【実施例】
【0073】
本発明を実施例に基づいて説明する。
本発明で用いられる物性の測定方法及び条件は以下のとおりである。
【0074】
まず、物性の測定方法を以下にまとめて記す。
<キャストフィルムの粘着性、引張強度、引張伸度>
(1)フィルムコーティング液を、直径8.5cmのプラスチック製シャーレに適当量(キャストフィルムの厚みが0.27〜0.37mmの範囲内に入るようにする。水以外の固形分成分濃度が17質量%のフィルムコーティング液の場合は、11.3g程度に相当する。)入れる。
(2)無風オーブン中で40℃、10時間乾燥する。
(3)オーブンから取り出して直ちに、フィルム表面を指先(あらかじめ石けんでよく洗浄後、充分に乾燥しておく。)で触れて、粘着性(べたつき)を評価する。粘着性の評価基準(4段階評価)とそれに対応するコーティング時の評価とを検討した結果、下記のような相関が認められた。
【0075】
1 無 :比較的高速でスプレーできる(凝集微少)
2 微弱 :スプレー速度を落とすとコーティングできる程度(凝集少々)
3 弱 :間欠スプレーで、やっとコーティングできる程度(凝集多め)
4 強 :すぐに凝集し、コーティングできない
(4)さらにシャーレを無風オーブン中で、80℃、1時間加熱処理する。
(5)室温まで冷却後、フィルムを剥離し、10mm×30mmの矩形に切り出す。
(6)引張試験の測定部分の間隔が10mmになるようにキャストフィルムを引張試験機(クリープメータ、RE−33005型(シート引張試験用アダプター、200Nロードセル使用)、(株)山電)にセットし、0.5mm/secの速度で引っ張り、フィルムが破断した時の伸び(mm)と強度(引張強度)[N]を求める。
(7)引張伸度[%](=100×伸び(mm)/10(mm))を算出する。
<フィルムコーティング顆粒、素顆粒、核粒子の平均粒子径[μm]>
ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩を用いて試料10gを15分間篩分することにより粒度分布を測定する。そして、篩下積算分布における積算50質量%粒子径を平均粒子径とする。
<素顆粒、フィルムコーティング顆粒の回収率[%]>
素顆粒又はフィルムコーティング顆粒の回収量を、用いた原料の総量で除し、質量%で表す。
<素顆粒、フィルムコーティング顆粒の凝集率[%]>
レイヤリングによって得られた素顆粒、或いはフィルムコーティングによって得られたフィルムコーティング顆粒の凝集物(粗大粒子:顆粒の粒子径355μm以上)を篩目355μmで除去し、その重量を全量で除し、質量%で表す。
<薬物の溶出試験>
フィルムの溶解性はpHに依存しない為、試験液のpHは特に限定しなくても良いが、試験方法が明確に記載されている一般試験法「溶出試験法」に準じて実施した。装置は「装置2」(パドル法)を使用し、パドル回転数は100rpm、試験液は日本薬局方「溶出試験第1液」を使用する。
【0076】
カフェイン(分子量212.21)の場合、苦味を感じる閾値は148.5mg/Lである。実施例のフィルムコーティング顆粒は全てカフェイン含量が1.82%なので、そのフィルムコーティング顆粒1000mgを水20mlで服用すると仮定した場合、カフェイン全量が溶出すると、その濃度は910mg/Lとなる。この910mg/Lのカフェイン濃度に対して、苦味を感じる閾値の溶出率を算出((148.5/910)×100)すると16.3%となる。より厳しい側で判定する為、溶出試験において、カフェイン溶出率が10%以下であれば口腔内で苦味を感じることがないと考えた。よって、溶出試験において、1分後の溶出率が10%以下であるとき、苦味を抑制していると判断した。また、服用後の即放出性として、溶出試験における30分後の溶出率を指標とし、30分後の溶出率が90%以上であることを要件とした。また、実施例では錠剤に含まれるフィルムコーティング顆粒の含有量が違う事から、フィルムコーティング顆粒の含有量が1000mg付近になるように、錠剤の数を調整して溶出試験を実施した。(例えば、総重量180mgの錠剤中、フィルムコーティング顆粒の含有量が30%の場合、18錠を1つの試験液で溶出試験した)
<造粒顆粒の平均粒子径[μm]>
ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩を用いて試料20gを15分間篩分することにより粒度分布を測定した。そして、篩下積算分布における積算50質量%粒子径を平均粒子径とした。
<錠剤の崩壊試験>
第15改正日本薬局方、一般試験法「崩壊試験法」に従って実施した。試験液は水を用いた。
<錠剤の口腔内崩壊試験>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の唾液で錠剤が完全に崩壊する時間を測定した。各人2回測定し、3人の平均値を用いた。
<錠剤の摩損度試験>
第15改正日本薬局方、製剤総則に従って実施した。一定速度の25rpmで回転する円筒中に錠剤を20錠入れ、中板により錠剤の落下を繰り返した。4分間回転させ、円筒内の錠剤を取り出した。破損分離した粉及び小粒子を篩別除去して質量を測定し、質量減をもとの質量に対する百分率で表示した。
(実施例1)
結晶セルロース製球形核粒子(CP−203旭化成ケミカルズ社製)(平均粒子径237μm、355μm以上の粒子を含有せず)を転動流動層型コーティング装置に仕込み、薬物水分散液(3.0%カフェイン、2.0%ポビドン、2.0%酸化チタン)で噴霧・被覆(レイヤリング)し、素顆粒(G1)を得た。この素顆粒(G1)はカフェインを1.95質量%(核粒子に対して2質量%)含み、その平均粒子径は238μmであった。レイヤリング条件は下記の通りであった。
【0077】
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−25型((株)パウレック)
(2)風量 :8m
3/min
(3)給気温度 :70〜75℃
(4)排気温度 :35.0〜39.5℃
(5)ローター回転速度 :250〜300rpm
(6)核粒子量 :10.0kg
(7)薬物水分散液量 :6660.0kg
(8)薬物水分散液噴霧速度 :100〜120g/min
(9)噴霧エア圧 :0.55MPa
(10)噴霧エア量 :700NL/min
次に、前述の方法に従って、エチルセルロース(A)と、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(B)と、ポリビニルアルコールコポリマー(C)と、クエン酸トリエチル(D)と、酸化チタン(E)とを含むフィルムコーティング液(固形分濃度17質量%)(L1)を調製した。エチルセルロースはアクアコートECD30(FMC)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーはオイドラギットNE30D(デグサ)、ポリビニルアルコールコポリマーはPOVACOAT(大同化成工業)、酸化チタンはNA61(東邦チタニウム)を使用した。成分A、B、C、D及びEの質量比は、100:133:33:33:33とした。このキャストフィルムの引張伸度は250%、引張強度は12.0N、粘着性は「1:無」であった。
【0078】
次に、素顆粒(G1)を転動流動層型コーティング装置に仕込み、フィルムコーティング液(L1)で噴霧・被覆(フィルムコーティング)し、篩で355μm以上の粒子を除去し、フィルムコーティング顆粒(F1)を得た。フィルムコーティング顆粒(F1)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は295.0μm(フィルム厚みは約28.5μm)であった。回収率は93.5%、凝集率は5.7%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:5.8%、30分後:96.8%であった。フィルムコーティング条件は下記の通りとした。
【0079】
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−25型((株)パウレック)
(2)風量 :7.5〜8m
3/min
(3)給気温度 :45〜50℃
(4)排気温度 :27〜31℃
(5)ローター回転速度:240〜300rpm
(6)素顆粒量 :10kg
(7)フィルムコーティング液量:11.7kg
(8)フィルムコーティング液噴霧速度:100〜120g/min
(9)噴霧エア圧 :0.6MPa
(10)噴霧エア量 :700NL/min
さらに、前述の方法に従って、ヒプロメロースと水を含むオーバーコーティング液(固形分濃度10質量%)(L2)を調製した。ヒプロメロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースTC−5E(信越化学)を使用した。フィルムコーティング顆粒(F1)を転動流動層型コーティング装置に仕込み、オーバーコーティング液(L2)で噴霧・被覆(フィルムコーティング)し、篩で355μm以上の粒子を除去し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)でオーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒(F2)を得た。オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒(F2)のフィルムコート量は5質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、オーバーコートを施したフィルムコーティング条件は下記の通りとした。
【0080】
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−25型((株)パウレック)
(2)風量 :7.5〜8m
3/min
(3)給気温度 :60〜70℃
(4)排気温度 :32〜43℃
(5)ローター回転速度:240〜300rpm
(6)素顆粒量 :10.0kg
(7)フィルムコーティング液量:5.0kg
(8)フィルムコーティング液噴霧速度:100〜120g/min
(9)噴霧エア圧 :0.6MPa
(10)噴霧エア量 :700NL/min
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒(F2)100質量%、トレハロース(トレハロースP(商品名)、林原)163質量%、結晶セルロース(セオラスKG−802(商品名)、旭化成ケミカルズ)70質量%、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP)10質量%(外割)、タルク(タルカンハヤシ(商品名)、林化成)3.4質量%(外割)を混合し、ロータリー打錠機(クリーンプレス・コレクト12HUK(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径8mm、杵の凹曲面半径が12mmのものを12セット使用し、ターンテーブル回転数45rpm、圧縮圧力6.6kNで打錠し、180mgの錠剤を得た。
【0081】
得られた錠剤の硬度は43N、摩損度0.13%、崩壊時間は27秒、口腔内崩壊試験は25秒、カフェインの溶出速度は、1分後:6.2%、30分後:98.9%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:280:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L3)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は350%、引張強度は30N、粘着性は「1:無」であった。
【0082】
次にフィルムコーティング液として(L3)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F3)を得た。フィルムコーティング顆粒(F3)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は305μm(フィルム厚みは約33.5μm)であった。回収率は92.0%、凝集率は6.9%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:4.3%、30分後:94.3%であった。
【0083】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F3)を用いる以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する180mgの錠剤を得た。錠剤の硬度は50N、摩損度0.16%、崩壊時間は28秒、口腔内崩壊試験は25秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:4.6%、30分後:95.6%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図2に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:85:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L4)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は185%、引張強度は11N、粘着性は「1:無」であった。
【0084】
次にフィルムコーティング液として(L4)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F4)を得た。フィルムコーティング顆粒(F4)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は301μm(フィルム厚みは約31.5μm)であった。回収率は92.7%、凝集率は5.5%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:8.5%、30分後:100.0%であった。
【0085】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F4)を用いて、圧縮圧力5.7kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する180mgの錠剤を得た。錠剤の硬度は47N、摩損度0.18%、崩壊時間は25秒、口腔内崩壊試験は26秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:9.0%、30分後:100.0%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図3に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:75:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L5)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は340%、引張強度は24N、粘着性は「1:無」であった。
【0086】
次にフィルムコーティング液として(L5)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F5)を得た。フィルムコーティング顆粒(F5)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は296μm(フィルム厚みは約29.0μm)であった。回収率は91.3%、凝集率は6.6%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:4.2%、30分後:93.1%であった。
【0087】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F5)を用いて、圧縮圧力8.2kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する180mgの錠剤を得た。錠剤の硬度は53N、摩損度0.15%、崩壊時間は28秒、口腔内崩壊試験は30秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:4.6%、30分後:94.2%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図4に示す。
(実施例5)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:80であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L6)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は180%、引張強度は10N、粘着性は「1:無」であった。
【0088】
次にフィルムコーティング液として(L6)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F6)を得た。フィルムコーティング顆粒(F6)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は295μm(フィルム厚みは約28.5μm)であった。回収率は98.9%、凝集率は2.0%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:7.3%、30分後:100.0%であった。
【0089】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F6)を用いて、圧縮圧力7.6kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する180mgの錠剤を得た。錠剤の硬度は46N、摩損度0.17%、崩壊時間は26秒、口腔内崩壊試験28秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:7.8%、30分後:100.0%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図5に示す。
(
参考例6)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:350:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L7)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は500%、引張強度は25N、粘着性は「4:強」であった。
【0090】
次にフィルムコーティング液として(L7)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F8)を得た。フィルムコーティング顆粒(F7)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は318μm(フィルム厚みは約40.0μm)であった。回収率は86.8%、凝集率は23.6%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:12.3%、30分後:100.0%であった。
【0091】
薬物溶出パターンを
図6に示す。
(実施例7)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:95:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L8)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は310%、引張強度は21N、粘着性は「4:強」であった。
【0092】
次にフィルムコーティング液として(L8)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F8)を得た。フィルムコーティング顆粒(F8)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は314μm(フィルム厚みは約38μm)であった。回収率は83.5%、凝集率は28.5%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:13.5%、30分後:100.0%であった。
【0093】
薬物溶出パターンを
図7に示す。
(実施例8)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:20であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L9)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は276%、引張強度は13N、粘着性は「3:弱」であった。
【0094】
次にフィルムコーティング液として(L9)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F9)を得た。フィルムコーティング顆粒(F9)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は286μm(フィルム厚みは約24μm)であった。回収率は94.7%、凝集率は21.3%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:11.8%、30分後:100.0%であった。
【0095】
薬物溶出パターンを
図8に示す。
(
参考例9)
成分Cをヒドロキシプロピルセルロース(HPC)に変更する以外は、実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L10)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は235%、引張強度は11N、粘着性は「2:微弱」であった。次にフィルムコーティング液として(L10)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F10)を得た。フィルムコーティング顆粒(F10)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は286μm(フィルム厚みは約24μm)であった。回収率は94.4%、凝集率は7.7%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:7.2%、30分後:98.3%であった。
【0096】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F10)を用いて、圧縮圧力6.8kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する錠剤を得た。錠剤の硬度は44N、摩損度0.15%、崩壊時間は26秒、口腔内崩壊試験は27秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:7.8%、30分後:99.6%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図9に示す。
(
参考例10)
成分Dをトリアセチンに変更する以外は、実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L11)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は160%、引張強度は9N、粘着性は「1:無」であった。次にフィルムコーティング液として(L11)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F11)を得た。フィルムコーティング顆粒(F11)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は280μm(フィルム厚みは約21μm)であった。回収率は95.7%、凝集率は4.5%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:8.2%、30分後:99.2%であった。
【0097】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F11)を用いて、圧縮圧力8.6kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する錠剤を得た。錠剤の硬度は42N、摩損度0.19%、崩壊時間は28秒、口腔内崩壊試験は29秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:8.9%、30分後:100.0%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図10に示す。
(実施例11)
実施例1のフィルムコーティング顆粒(F2)を用いて、圧縮圧力23kNで打錠する以外は実施例1と同様にして、180mgの錠剤を得た。
【0098】
得られた錠剤の硬度は105N、摩損度0.04%、崩壊時間は35秒、口腔内崩壊試験は40秒、カフェインの溶出速度は、1分後:6.2%、30分後:99.4%であった。
すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図11に示す。
(実施例12)
成分Bに可塑化酢酸ビニルポリマーを用いる以外は実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L12)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は240%、引張強度は11N、粘着性は「1:無」であった。
次にフィルムコーティング液として(L12)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F12)を得た。フィルムコーティング顆粒(F12)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は290μm(フィルム厚みは約26μm)であった。回収率は92.7%、凝集率は5.8%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:6.0%、30分後:94.9%であった。最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F12)を用いて、圧縮圧力6.6kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する錠剤を得た。錠剤の硬度は42N、摩損度0.14%、崩壊時間は28秒、口腔内崩壊試験は27秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:6.5%、30分後:99.2%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図12に示す。
(実施例13)
成分Cにメタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマーを用いる以外は実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L13)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は245%、引張強度は12N、粘着性は「1:無」であった。
次にフィルムコーティング液として(L13)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F13)を得た。フィルムコーティング顆粒(F13)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は292μm(フィルム厚みは約27μm)であった。回収率は94.2%、凝集率は6.3%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:6.4%、30分後:98.2%であった。最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F13)を用いて、圧縮圧力6.6kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する錠剤を得た。錠剤の硬度は43N、摩損度0.13%、崩壊時間は27秒、口腔内崩壊試験は25秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:6.9%、30分後:99.4%であった。すなわち、硬度、崩壊性に優れ、かつ、打錠前のフィルムコーティング顆粒の溶出速度に対し±10%以内である薬物溶出速度を有する、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内速崩壊錠を得ることができた。薬物溶出パターンを
図13に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:90:33:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L14)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は130%、引張強度は7N、粘着性は「1:無」であった。
【0099】
次にフィルムコーティング液として(L14)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F14)を得た。フィルムコーティング顆粒(F14)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は290μm(フィルム厚みは約26.0μm)であった。回収率は98.6%、凝集率は2.5%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:6.3%、30分後:97.8%であった。
【0100】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F14)を用いて、圧縮圧力7.5kNで打錠する以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する錠剤を得た。錠剤の硬度は45N、摩損度0.15%、崩壊時間は25秒、口腔内崩壊試験は27秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:13.7%、30分後:100.0%であった。
すなわち、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(B)の配合比が少ないことで、フィルムの伸度及び強度が足りず打錠時の圧縮圧力でフィルムが損傷し、薬物の溶出が速まる結果となった。薬物溶出パターンを
図14に示す。
(比較例2)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:95:33:33であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L15)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は120%、引張強度は6N、粘着性は「1:無」であった。
【0101】
次にフィルムコーティング液として(L15)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F15)を得た。フィルムコーティング顆粒(F15)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は302μm(フィルム厚みは約32μm)であった。回収率は98.3%、凝集率は2.8%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:14.5%、30分後:100.0%であった。
すなわち、ポリビニルアルコールコポリマー(C)の配合比が多いことで、フィルムの伸度、強度が低下し、さらに、水溶性成分であることで、薬物の溶出速度が促進され、1分で10%以下の溶出にすることができなかった。薬物溶出パターンを
図15に示す。
(比較例3)
実施例1と同様にして、成分A、B、C、D及びEの質量比が、100:133:33:33:95であるフィルムコーティング液(水以外の成分濃度17質量%)(L16)を調製した。このキャストフィルムの引張伸度は110%、引張強度は5N、粘着性は「1:無」であった。
【0102】
次にフィルムコーティング液として(L16)を用いる以外は実施例1と同様に操作し、オーバコートを施したフィルムコーティング顆粒(F16)を得た。フィルムコーティング顆粒(F16)のフィルムコート量は20質量%(素顆粒(G1)に対して)であり、平均粒子径は320μm(フィルム厚みは約41μm)であった。回収率は98.2%、凝集率は3.0%(355μm以上)であった。カフェインの溶出速度は、1分間後:6.2%、30分後:93.0%であった。
【0103】
最後に、オーバーコートを施したフィルムコーティング顆粒として(F16)を用いる以外は実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒を30質量%含有する錠剤を得た。錠剤の硬度は43N、摩損度0.13%、崩壊時間は27秒、口腔内崩壊試験は25秒、カフェインの溶出速度は、1分間後:14.5%、30分後:100.0%であった。
すなわち、酸化チタン(E)の配合比が多いことで、フィルムの伸度、強度が低下し、打錠後のフィルムコーティング顆粒に被覆されたフィルムが損傷し、薬物の溶出速度が促進され、1分で10%以下の溶出にすることができなかった。薬物溶出パターンを
図16に示す。
【0104】
以下の表1〜2に各実施例及び比較例の処方と評価の結果を示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】