【実施例】
【0039】
以下の非限定的な実施例は、本発明の様々な実施の形態を説明するのに役に立つ。各実施例において、担体はコージライトであった。第一の塗膜及び第二の塗膜への言及は、位置又は塗膜の方向について何の限定をもたらすものではない。
【0040】
実施例1
触媒材料を有する複合材料を、下塗り層、内側層、及び外側層の三つの層を用いて製造した。積層した触媒複合材料は、パラジウムと白金を、合計約120g/ft
3(
4.24kg/m3)の貴金属積載量で、且つ2/1/0の名目上のPt/Pd/Rh比で含んだ。基材は5.3in
3(0.9L)の容積、平方インチ(平方センチメートル)あたり400(
62.0)セルのセル密度、及び約100μmの膜厚を有した。その層を以下のように製造した:
【0041】
下塗り層
下塗り層に存在する成分は100%の高表面積(70m
2/g)ガンマアルミナであった。下塗り層の積載量の合計は1.0g/in
3(
0.061g/cm3)であった。
ガンマアルミナを水(45〜50%の固形物懸濁液)及び酢酸と組み合わせてpH4.5未満とし、そして8ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕することで水性懸濁液を作った。コージライト基材上に触媒を堆積させる公知の堆積法を用いてその懸濁液をコージライト担体上に塗布した。塗布後、下塗り層を加えた担体を乾燥させ、それから450℃で約1時間か焼した。
【0042】
内側層
内側層に存在する成分は、高表面積(80m
2/g)ガンマアルミナ、白金、及びパラジウムであり、か焼した触媒の質量に対してそれぞれ約95.1%、3.2%、及び1.7%の濃度であった。中間層の合計積載量は1.4g/in
3(
0.085g/cm3)であった。内側層は積載量が100%のパラジウム及び積載量が約90%の白金を含んだ。ガンマアルミナは0.59〜0.71cm
3/gの範囲の一点吸着の合計細孔容積、及び319〜350Åの範囲の平均BET細孔径を有した。
硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウム及びアミン塩形態の白金を、初期湿潤を達成させる間、湿式粉体を形成させる遊星型ミキサー(P−ミキサー)によりガンマアルミナに含浸させた。それから、pHを4.5未満に減少させるために酸を用いて水性懸濁液を形成した。懸濁液を10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。懸濁液をコージライト基材上に触媒を堆積させるための先行技術で公知の堆積法を用いてコージライト担体上に内側層に亘って塗布した。塗布後、下塗り層及び内側層を加えた担体を乾燥させ、それから450℃の温度で約1時間か焼した。
【0043】
外側層
外側層に存在する成分は、か焼した触媒の質量に対してそれぞれ約32.3%、25.8%、38.7%、及び3.2%の濃度の高表面積ガンマアルミナ、H−ベータゼオライト、0.6%のPt−ベータゼオライト、及び結合剤であった。外側層の合計積載量は0.8g/in
3(
0.049g/cm3)であった。
ガンマアルミナの水性懸濁液を、そのpHを4.5未満に低減させるために酸を用いて形成した。その懸濁液を16ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。H−ベータゼオライト及びPt−ベータゼオライトをその懸濁液に添加した。その後、懸濁液を10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。結合剤をその懸濁液に添加した。懸濁液をコージライト基材上に触媒を堆積させるための先行技術で公知の堆積法を用いてコージライト担体上に内側層に亘って塗布した。塗布後、下塗り層、内側層、及び外側層を加えた担体を、それから450℃の温度で約1時間か焼した。
【0044】
実施例2
触媒材料を有する複合材料を、内側層及び外側層の二つの層を用いて製造した。その積層触媒複合材料は、合計約120g/ft
3(
約4.24kg/m3)の貴金属積載量及び2/1/0の名目上のPt/Pd/Rh比でパラジウムと白金を含んだ。基材は5.3in
3(0.09L)の容積、平方インチ(平方センチメートル)あたり400(
62.0)セルのセル密度、及び約100μmの壁厚を有した。内側層を、実施例1の内側層同様、その同一の成分、量、及び方法で製造した。外側層を、実施例1の外側層同様、その同一の成分及び量で製造した。
【0045】
実施例3
比較
触媒材料を有する比較の複合材料を、内側層と外側層の二つの層を用いて製造した。積層した触媒複合材料は、パラジウムと白金を合計約120g/ft
3(
約4.24kg/m3)の貴金属積載量、及び2/1/0の名目上のPt/Pd/Rh比で含んだ。その層を次のように製造した:
【0046】
内側層
内側層に存在する成分は高表面積(70m
2/g)ガンマアルミナ、促進剤、及びその層中に60g/ft
3(
2.12kg/m3)の量で、且つ7/5の名目上のPt/Pd比で存在する白金及びパラジウムの貴金属であった。ガンマアルミナは合計約0.4cm
3/gの一点吸着の細孔容積、及び約74Åの平均BET細孔径を有した。
硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウム及びアミン塩の形態の白金を、初期湿潤を達成させる間に湿式粉体を形成させる遊星型ミキサー(P−ミキサー)によりそのガンマアルミナに含浸させた。それから、pHを低減させるために酸を用いて水性懸濁液を形成した。懸濁液を約10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。懸濁液をコージライト基材上に触媒を堆積させるための先行技術で公知の堆積法によりコージライト担体上に塗布した。塗布後、内側層を加えた担体を乾燥させ、その後か焼した。
【0047】
外側層
外側層に存在する成分は高表面積(100m
2/g)ガンマアルミナ、ベータゼオライト、促進剤、及び60g/ft
3(
2.12kg/m3)の量でその層に3/1の名目上のPt/Pd比で存在する白金及びパラジウムの貴金属であった。その貴金属をガンマアルミナ上に支持した。ガンマアルミナは合計約0.4cm
3/gの一点吸着の細孔容積及び150〜171Åの範囲の平均BET細孔径を有した。
パラジウム硝酸溶液の形態のパラジウム及びアミン塩の形態の白金を、初期湿潤を達成させる間に湿式粉体を形成させる遊星型ミキサー(P−ミキサー)によりガンマアルミナに含浸させた。それから、pHを低下させるための酸を用いて水性懸濁液を形成した。懸濁液を約10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。ベータゼオライト及び促進剤をその懸濁液に添加した。懸濁液をコージライト基材に触媒を堆積させるための先行技術で公知の堆積法を用いてコージライト担体上に内側層に亘って塗布した。塗布後、内側及び外側層を加えた担体を乾燥させ、その後か焼した。
【0048】
実施例4
試験
実施例1〜3の複合材料を次のように試験した。サイズ1.5”×3.0”(3.8cm×7.6cm)の触媒複合材料を研究室のオーブンで10%の蒸気大気中で約750℃で5時間エージングし、経時変化させた。エージング後、その複合材料を研究室の反応系を用いて着火を評価した。着火試験手順は、1500ppmのCO、400ppmのC
1(134ppmのC
3H
6、133ppmのC
7H
8、n−C
10H
22)、10%のO
2、100ppmのNO、5%のCO
2、及び7%のH
2Oの試験ガス組成物を含んだ。勾配率は15℃/minであった。空間速度は50,000h
-1であった。反応ガス給送に最初の含浸はなかった。
温度が80℃から325℃まで急速に上昇する間、HC/CO変換を測定した。CO濃度はフーリエ変換赤外線分析計(FTIR)を用いて測定した。総炭化水素(THC)をFIDを用いて測定した。CO及びTHCの50%変換が生じた温度を表1に報告する。
【0049】
【表1】
【0050】
着火試験の結果は、ゼオライト層から分離されたパラジウムを有し、且つ貴金属成分を支持する内側層に多孔性アルミナを有する触媒を用いる利点を明確に示した。
【0051】
実施例5
触媒支持材料の間隙率の効果を評価した。高間隙率のアルミナ粉末を1g/ft
3(
0.04kg/m3)の積載量で含み、2:1のPt:Pd比及び60g/ft
3(
2.12kg/m3)の積載量で白金及びパラジウムの貴金属を含む薄め塗膜から本明細書の“触媒複合材料の製造”に記載の方法に従って形成した単一塗膜の支持体で着火試験を行った。表2中に示されるように、サンプル5B(比較)のより小さい間隙率のアルミナと比較してサンプル5Aの高間隙率のアルミナは25℃の着火の利点を示した。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例6
ゼオライトからのパラジウム及び大部分の白金の分離の効果を評価した。一酸化炭素の変換を、750℃/24時間のエンジンのエージング後のNEDC試験の間、2.0L試験車両で、ユーロ4試験を用いて3つの触媒で評価した。表3に示されるように、触媒は次の組成及び構成を有し、記載のCO変換効率を示した。
【0054】
【表3】
【0055】
ゼオライトからパラジウム及び白金の大部分を分離したサンプル6A及び6Bはサンプル6A及び6Bと同じ全体組成を有する単一層の触媒であるサンプルCと比較して改善されたCO変換を示した。
【0056】
実施例7
触媒材料を有する複合材料を下塗り層、内側層、及び外側層の三つの層を用いて製造した。積層した触媒複合材料はパラジウム及び白金を合計約120g/ft
3(
約4.24kg/m3)の貴金属積載量及び2/1/0の名目上のPt/Pd/Rh比で含んだ。基材は75.5in
3(1.24L)の容積、平方インチ(平方センチメートル)あたり400(
62.0)セルのセル密度、及び約6μmの壁厚を有した。その層を次のように製造した:
【0057】
下塗り層
下塗り層に存在する成分は100%高表面積(70m
2/g)ガンマアルミナであった。下塗り層の合計積載量は1.0g/in
3(
0.061g/cm3)であった。
水性懸濁液を、ガンマアルミナを水及び酸と組み合わせてpH4.5未満とし、10ミクロン未満の粒子サイズが90%となるよう粉砕することにより形成した。その懸濁液をコージライト担体に触媒を堆積させるための先行技術で公知の堆積法を用いてコージライト担体上に塗布した。塗布後、下塗り層を加えた担体を乾燥させ、その後450℃の温度で約1時間か焼した。
【0058】
内側層
内側層に存在する成分は高表面積(160m
2/g)ガンマアルミナ、白金、パラジウム、及び安定剤であった。その中間層の合計積載量は1.6g/in
3(
0.098g/cm3)であった。その内側層は100%のパラジウム及び約90%の白金積載物を含む。ガンマアルミナは合計約0.85cm
3/gの範囲の一点吸着の細孔容積及び約100Åの平均BET細孔径を有した。
溶解性塩の形態のパラジウム及び白金を、初期湿潤を達成させる間に湿式粉体を形成させる遊星型ミキサー(P−ミキサー)によりガンマアルミナ上に含浸させた。その後、水性懸濁液をpHを4.5未満に低下させるために酸を用いて形成した。懸濁液を10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。懸濁液をコージライト基材に触媒を堆積させるための先行技術で公知の堆積法を用いてコージライト担体上に下塗り層に亘って塗布した。塗布後、下塗り層及び内側層に加えてその担体を乾燥させ、それから450℃の温度で約1時間か焼した。
【0059】
外側層
外側層に存在する成分は高表面積(160m
2/g)ガンマアルミナ、H−ベータゼオライト、及び白金であった。外側層の合計積載量は0.8g/in
3(
0.049g/cm3)であった。
ガンマアルミナの水性懸濁液はpH4.5未満に低下させるために酸を用いて形成した。その懸濁液を10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。白金の可溶性塩を懸濁液中に添加されるH−ベータゼオライトに含浸させるために用いた。懸濁液を10ミクロン未満の粒子サイズが90%に粉砕した。その懸濁液をコージライト基材に触媒を堆積させるための先行技術で公知な堆積法を用いてコージライト担体上に内側層に亘って塗布した。塗布後、下塗り層、内側層、及び外側層を加えた担体を乾燥させ、それから450℃の温度で約1時間か焼した。
【0060】
実施例8
試験
実施例3〜7の触媒材料を75in
3(1.24L)の基材に塗布し、エンジンの着火性能を評価した。温度が80℃から325℃まで急速に上昇する間のHC/CO変換を測定した。CO濃度はフーリエ変換赤外線分析計(FTIR)を用いて測定した。総炭化水素(THC)はFIDを用いて測定した。変換効率、COのためのT
50(50%のCOが変換される温度)、HCのためのT
70(70%のHCsが変換される温度)を表4に報告する。表4は、実施例7の積層触媒が70%の炭化水素変換で18℃、50%の一酸化炭素変換で31℃の改善を提供したことを示している。
【0061】
【表4】
【0062】
実施例3〜7の積層触媒材料を1.5Lエンジンと2Lエンジンの二つの異なるエンジンサイズを有するユーロ4型車両で試験した。CO及びHCに対する変換効率を、規制されたヨーロッパのNEDC運転サイクルで測定し、表5に報告した。
【0063】
【表5】
【0064】
表5中のこれらの車両変換試験結果は、ゼオライト層から分離されたパラジウムを有し、且つ貴金属成分を支持する内側層に多孔性アルミナを有する触媒を使用する利点を明確に示した。COに対して変換効率は23%ポイント改善し、HCに対して変換効率は12%ポイント改善した。
【0065】
実施例9
触媒材料を有する触媒すすフィルター(CSF)を下塗り層、内側層、及び外側層の三つの層を用いて製造する。CSFはパラジウム及び白金を25g/ft
3の合計PGM積載量及び2/1/0の名目上のPt/Pd/Rh比で含有する。その層は、背圧への悪影響なくCO及びHCsを変換するために十分な積載量で実施例1、3、及び7の1以上に基づく組成物を含む。
【0066】
本明細書を通じて“ある実施の形態”、“特定の実施形態”、“1以上の実施形態”、又は“1実施の形態”への言及は、その実施例に関して記載される特定の機能、構成、材料、又は特徴が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の様々な場所での“1以上の実施形態”、“特定の実施形態に”、“ある実施の形態に”、又は“1実施の形態に”等の語句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態を言及しているわけではない。さらに、特定の機能、構成、材料、又は特徴は1以上の実施の形態における任意の好適な方法に関連していても良い。
【0067】
その上、本発明は上述の実施例及び変形例への具体的な言及とともに記載される。更なる変形及び変更が他に本明細書の解釈及び理解上に生じても良い。そのような変形及び変更が本発明の範囲内に入る限りそれらは全て含むように意図されている。