(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の微粉炭調整装置は、キッカブロックを設けることにより、1次分配器の入口における上下方向の濃度分布を改善し、各バーナへの微粉炭配分の均一化を図ることができる。
通常、微粉炭バーナに微粉炭混合気を供給する微粉炭調整装置は、バーナに到達するまでに何度も曲げられ、管内の空気流れは、2次流れを伴う非常に複雑な流れになっている。
しかし、特許文献1の微粉炭調整装置は、管内にキッカブロックを設置してはいるものの、空気により搬送される微粉炭の濃度はバーナに至るまでに不均一に偏り、濃度分布は微粉炭管毎に異なっている。
微粉炭バーナの低NOx化を実現するには、バーナに至るまでに微粉炭濃度を均一化する必要があり、微粉炭濃度をより適切に制御する手段が必要である。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、均一な微粉炭濃度分布を実現できる微粉炭調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る微粉炭調整装置は、微粉炭を含む流体を輸送する微粉炭供給管に設けられ、前記微粉炭の濃度を調整する微粉炭調整装置であって、前記微粉炭供給管の内周面に設けられ、下流側に向かうにしたがって内周側に向かうように傾斜するとともに、周方向に沿って、前記内周面から内方へ突出する大きさが異なるように形成された傾斜面を有
し、前記傾斜面は、前記微粉炭供給管の軸方向に断面視して、前記微粉炭供給管の内径よりも曲率半径の大きい凹面状に形成されている。
【0007】
このような構成によれば、微粉炭供給管内の微粉炭の分布状況に応じて微粉炭を凹面状の傾斜面により集束反射させることにより、微粉炭の流れ方向を微粉炭供給管の中心方向に強制的に変更制御して空気に適度に混合させ、空気との濃度を調整することにより、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
また、微粉炭を、微粉炭供給管の凸面状の傾斜面により拡散反射させることにより、微粉炭の流れ方向を微粉炭供給管の内部全体に拡散する方向に強制的に変更させるために、微粉炭を全体的に拡散するように制御して空気に適度に混合させ、空気との濃度を調整することになって、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0012】
本発明に係る微粉炭調整装置は、前記微粉炭供給管の前記傾斜面は、前記内周面の複数個所に設けられている。
【0013】
このような構成によれば、複数の傾斜面で微粉炭を反射させることにより、微粉炭の流れ方向を強制的に変更制御して空気に適度に混合させ、空気との濃度を調整することにより、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る微粉炭調整装置によれば、均一な微粉炭濃度分布を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る複数の実施形態の微粉炭調整装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の微粉炭調整装置10を有する微粉炭供給管11を備えた石炭焚ボイラ50は、火炉51内へ空気を多段で投入することにより、微粉炭焚きのバーナ部52から追加空気投入部53までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図っている。
還元雰囲気となるバーナ部52から追加空気投入部53までの距離は、還元燃焼ゾーンの距離(高さ)については長くなるほど燃焼ガスの滞留時間が長くなってNOx発生量は小さくなる。
【0017】
バーナ部52には、微粉炭を1次空気で搬送する微粉炭供給管11および2次空気を供給する送気ダクト54が接続されており、追加空気投入ノズル55にも、2次空気を供給する送気ダクト54が接続されている。
石炭焚ボイラ50は、微粉炭(粉体燃料)および空気を火炉51内へ投入するバーナ56が各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部52とされ、各段にはそれぞれ1または複数(図示の例では1個)の旋回火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。
【0018】
石炭焚ボイラ50は、微粉炭および空気を火炉51の内部(炉内)へ投入するバーナ56が、火炉51内で各段の各コーナ部に配置されることにより、1個の旋回火炎を形成するものである。
石炭焚ボイラ50は、バーナ部52の各バーナ56が、微粉炭および空気を投入する不図示の微粉炭バーナと、微粉炭バーナ57の上下に各々配置されて2次空気を投入する不図示の2次空気投入ポートとを備えている。
【0019】
微粉炭バーナは、1次空気により搬送された微粉炭を投入する不図示のコール1次ポートと、コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入する不図示のコール2次ポートとを備えている。微粉炭バーナから投入される微粉炭は、火炉51内へ向けて略真っ直ぐに流れる。
【0020】
図2に示すように、微粉炭供給管11は、径方向の断面形状が円形の筒形状に形成されており、微粉炭供給管11の内周面12の一部に微粉炭調整装置10の構成要素となるキッカブロック13を一体的に設けている。
キッカブロック13は、微粉炭の流れ方向の下流側に向かうにしたがって内周側に向かうように傾斜するとともに、周方向に沿って内周面12から内方へ突出する大きさが異なるように形成された傾斜面14を有する。
キッカブロック13は、微粉炭供給管11の内周面12の軸方向に対してあらかじめ定められた傾斜角度θ1を有する。
【0021】
図3に示すように、キッカブロック13は、傾斜面14が、微粉炭供給管11の軸方向に断面視して、所定の湾曲率を有する凹面状に形成されている。
なお、キッカブロック13は、微粉炭供給管11の内周面12に一体的に形成されるのに代えて、石炭焚ボイラ50を製造する際に、不図示の取付部材を介して微粉炭供給管11の内周面12に取付部材が内周側に突出しないように固定してもよい。
【0022】
次に、微粉炭調整装置10の作用について説明する。
複数の屈曲部を通じて送給されることにより偏りを生じながら微粉炭供給管11内を送給されてきた微粉炭Cは、キッカブロック13の傾斜面14により反射する。
このとき、キッカブロック13の傾斜面14が、微粉炭供給管11の軸方向に断面視して、所定の湾曲率を有する凹面状に形成されているために、微粉炭Cは、その流れ方向を微粉炭供給管11の中心方向に強制的に変更されて流路中央部に集束されることになる。
従って、微粉炭供給管11内を送給されてきた微粉炭Cは、流路中央部に集束されるように制御されて空気に適度に混合され、空気との濃度を調整されることになって、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0023】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態の微粉炭調整装置10によれば、微粉炭の流れ方向を、微粉炭供給管11のキッカブロック13の傾斜面14により微粉炭供給管11の中心方向に強制的に変更させる。
従って、微粉炭調整装置10によれば、微粉炭供給管11内の微粉炭Cの分布状況に応じて、微粉炭Cを制御して空気に適度に混合させ、空気との濃度を調整することにより、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0024】
また、微粉炭調整装置10によれば、微粉炭Cを、微粉炭供給管11の凹面状の傾斜面14により集束反射させることにより、微粉炭Cの流れ方向を微粉炭供給管11の中心方向に強制的に変更制御して空気に適度に混合させる。
従って、微粉炭調整装置10によれば、微粉炭Cと空気との濃度を調整することにより、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0025】
次に、微粉炭調整装置の変形例について説明する。
図4に示すように、本変形例の微粉炭調整装置30は、微粉炭Cの流れ方向の下流側に向かうにしたがって内周側に向かうように傾斜するとともに、周方向に沿って内周面12から内方へ突出する大きさが異なるように形成された傾斜面32を有するキッカブロック31を備えている。
キッカブロック31は、傾斜面32が、微粉炭供給管11の内周面12の軸方向に対してあらかじめ定められた傾斜角度θ2を有する。
この場合、傾斜面32は、
図5に示すように、微粉炭供給管11の軸方向に断面視して、所定の湾曲率を有する凸面状に形成されている。
【0026】
次に、微粉炭調整装置30の作用について説明する。
図5に示すように、微粉炭供給管11内を送給されてきた微粉炭Cは、送給途中においてキッカブロック31の傾斜面32により反射する。
このとき、キッカブロック31の傾斜面32が、微粉炭供給管11の軸方向に断面視して、所定の湾曲率を有する凸面状に形成されているために、微粉炭Cは、その流れ方向を微粉炭供給管11の内部全体に拡散する方向に強制的に変更され、内周面12からの剥離が促進されながら全体的に拡散されることになる。
従って、微粉炭供給管11内を送給されてきた微粉炭Cは、微粉炭供給管11内において全体的に拡散されるように制御されて空気に適度に混合され、空気との濃度を調整されることになって、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0027】
本変形例の微粉炭調整装置30によれば、微粉炭Cを、キッカブロック31の凸面状の傾斜面32により拡散反射させることにより、微粉炭Cの流れ方向を微粉炭供給管11の内部全体に拡散する方向に強制的に変更させる。
従って、微粉炭調整装置30によれば、微粉炭Cを微粉炭供給管11の内部に全体的に拡散するように制御して空気に適度に混合させ、空気との濃度を調整することになって、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の微粉炭調整装置について説明する。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0029】
図6に示すように、本発明に係る第2実施形態の微粉炭調整装置40は、微粉炭供給管41の屈曲部(エルボ)42における大径側内周面43の下流側に凹面状の傾斜面14を有するキッカブロック13を設けているとともに、屈曲部42における小径側内周面44の上流側に凸面状の傾斜面32を有するキッカブロック31を設けている。
そのため、屈曲部42の下流側に配置されたキッカブロック13と、屈曲部42の上流側に配置されたキッカブロック31とは、微粉炭供給管41の軸方向にずれた位置において互い違いに設けられている。
なお、各キッカブロック13,31は、微粉炭供給管41の軸方向にずれた位置において互い違いに設けられるのに代えて、微粉炭供給管41の径方向に対向するように配置されてもよい。
また、屈曲部42における小径側内周面44の上流側に、凹面状の傾斜面14を有するキッカブロック13を設けてもよい。
【0030】
次に、微粉炭調整装置40の作用について説明する。
複数の屈曲部を通じて送給されることにより偏りを生じながら微粉炭供給管41内を送給されてきた微粉炭Cは、屈曲部42の上流側においてキッカブロック31の凸面状の傾斜面32により反射する。
そのため、微粉炭Cは、その流れ方向を微粉炭供給管41の内部全体に拡散する方向に強制的に変更されて全体的に拡散される。
次に、キッカブロック31において微粉炭供給管41の内部全体に拡散する方向に強制的に変更されて全体的に拡散された微粉炭Cは、屈曲部42の下流側においてキッカブロック13の凹面状の傾斜面14により反射する。
そのため、微粉炭Cは、その流れ方向を微粉炭供給管41の中心方向に強制的に変更されて流路中央部に集束される。
従って、微粉炭供給管41内を送給されてきた微粉炭Cは、屈曲部42の上流側におけるキッカブロック31の傾斜面32および屈曲部42の下流側におけるキッカブロック13の傾斜面14により流れ方向を中央部に向けて制御されて空気に適度に混合され、空気との濃度を調整されることになって、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【0031】
第2実施形態の微粉炭調整装置40によれば、微粉炭供給管41の屈曲部42の上流側におけるキッカブロック31の傾斜面32および微粉炭供給管41の屈曲部42の下流側におけるキッカブロック13の傾斜面14により、微粉炭Cの流れ方向を中央部に向けて制御して空気に適度に混合する。
従って、微粉炭調整装置40によれば、微粉炭Cと空気との濃度を調整することにより、均一な微粉炭濃度分布を得ることができる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明の微粉炭調整装置の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例には、
図7に示すように、キッカブロックを有さない微粉炭調整装置70を有する微粉炭供給管71および
図8に示すように管内の径方向に平行な傾斜面82を有する微粉炭調整装置80を有する微粉炭供給管81を適用した。
すなわち、
図8に示す微粉炭調整装置80は、傾斜面82が、凹面状でも凸面状でもなく、単純な平坦面を有するものである。
そして、管内の微粉炭Cの分布状況について、各微粉炭調整装置70,80を、第1実施形態の微粉炭調整装置10、変形例の微粉炭調整装置30および第2実施形態の微粉炭調整装置40と比べた。
なお、管内の微粉炭Cの流れは、例えば管内検査カメラ等の検査機器を用いて画像として取得した。
【0033】
比較の結果、キッカブロックを有さない微粉炭調整装置70では、微粉炭Cが外周側に断面視で三日月形状に偏ることがわかった。
そのため、キッカブロックを有さない微粉炭調整装置70は、微粉炭Cと空気との混合が均一にならずに、微粉炭Cの均一な微粉炭濃度分布を得ることができないことが判明した。
【0034】
また、管内の径方向に平行な傾斜面82を有する微粉炭調整装置80では、微粉炭Cが傾斜面82に対して、ほぼ直角の方向に反射することがわかった。
そのため、管内の径方向に平行な傾斜面82を有する微粉炭調整装置80は、微粉炭Cと空気との混合が均一にならずに、均一な微粉炭濃度分布を得ることができないことが判明した。
【0035】
図9示すように、これらに対して、第1実施形態の微粉炭調整装置10、変形例の微粉炭調整装置30および第2実施形態の微粉炭調整装置40は、微粉炭Cを管内の中央部に制御して空気に適度に混合させて、均一な微粉炭濃度分布を得ることができたことがわかった。
これは、第1実施形態の微粉炭調整装置10、変形例の微粉炭調整装置30および第2実施形態の微粉炭調整装置40が、各傾斜面14,32により、微粉炭Cと空気との濃度を調整できたからであることが判明した。
【0036】
なお、本発明の微粉炭調整装置は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。