特許第5787809号(P5787809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特許5787809耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法
<>
  • 特許5787809-耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法 図000002
  • 特許5787809-耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法 図000003
  • 特許5787809-耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法 図000004
  • 特許5787809-耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法 図000005
  • 特許5787809-耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787809
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20150910BHJP
   G01N 3/12 20060101ALI20150910BHJP
   G21C 17/003 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   G21C17/00 X
   G01N3/12
   G21C17/00 GGDP
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-70313(P2012-70313)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-200286(P2013-200286A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】中島 宣隆
(72)【発明者】
【氏名】香川 崇
(72)【発明者】
【氏名】岡村 祥典
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰史
(72)【発明者】
【氏名】門脇 宏和
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−149500(JP,U)
【文献】 特開平09−145574(JP,A)
【文献】 特開2005−315638(JP,A)
【文献】 実開昭60−029260(JP,U)
【文献】 実開昭56−084735(JP,U)
【文献】 特開2005−201704(JP,A)
【文献】 特開平08−114698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00
G21C 17/003
G01N 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次冷却水が供給排出される二次側の胴部内にU字状の伝熱管が配置されており、前記胴部の下部を閉塞する管板の下部に接合された椀状の水室鏡の内部が仕切板により入口側水室と出口側水室とに区画されるとともに、前記伝熱管の両端が前記管板に挿通固定されて各前記水室に連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器について、当該蒸気発生器の一次側の耐圧試験を行う耐圧試験装置であって、
各前記水室が前記水室鏡の外部に通じるそれぞれの開口部を閉塞する各閉塞蓋と、
前記蒸気発生器を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する一方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋の最上位置にて前記水室鏡の内外に通じる第一空気抜管と、
最も鉛直上方に位置する前記閉塞蓋に設けられており前記蒸気発生器を横倒しにした形態で前記水室鏡内の前記管板への接合部分における鉛直上方の位置から当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内外に通じる第二空気抜管と、
前記蒸気発生器を横倒しにした形態で他方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内部に試験用水を供給する水供給部と、
前記一次側の内圧を測定する圧力計と、
を備え、前記第二空気抜管は、前記水供給部の給水ポンプに接続可能に設けられていることを特徴とする耐圧試験装置。
【請求項2】
前記第一空気抜管および前記第二空気抜管を開閉する各開閉弁を備え、前記第一空気抜管に前記圧力計を配置することを特徴とする請求項1に記載の耐圧試験装置。
【請求項3】
他方の前記閉塞蓋に当該閉塞蓋の位置にて前記水室鏡の内外に通じる配管を備え、当該配管にも開閉弁および圧力計を配置することを特徴とする請求項2に記載の耐圧試験装置。
【請求項4】
各前記閉塞蓋が、前記入口側水室に設けられて一次側に一次冷却材が供給される入口側管台と、前記出口側水室に設けられて一次側から一次冷却材が排出される出口側管台とをそれぞれ閉塞することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の耐圧試験装置。
【請求項5】
前記第二空気抜管は、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で前記第一空気抜管よりも下方で前記水室鏡の内部に通じることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の耐圧試験装置。
【請求項6】
二次冷却水が供給排出される二次側の胴部内にU字状の伝熱管が配置されており、前記胴部の下部を閉塞する管板の下部に接合された椀状の水室鏡の内部が仕切板により入口側水室と出口側水室とに区画されるとともに、前記伝熱管の両端が前記管板に挿通固定されて各前記水室に連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器について、当該蒸気発生器の一次側の耐圧試験を行う耐圧試験方法であって、
各前記水室が前記水室鏡の外部に通じるそれぞれの開口部を閉塞する各閉塞蓋と、
前記蒸気発生器を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する一方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋の最上位置にて前記水室鏡の内外に通じる第一空気抜管と、
最も鉛直上方に位置する前記閉塞蓋に設けられており前記蒸気発生器を横倒しにした形態で前記水室鏡内の前記管板への接合部分における鉛直上方の位置から当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内外に通じる第二空気抜管と、
前記蒸気発生器を横倒しにした形態で他方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内部に試験用水を供給する水供給部と、
前記一次側の内圧を測定する圧力計と、
を備える耐圧試験装置を用い、
前記水供給部により前記水室鏡の内部に試験用水を供給し、前記第一空気抜管および前記第二空気抜管から空気が抜けきった後、前記第二空気抜管を前記水供給部に接続し、前記第二空気抜管を介して前記水室鏡の内部に試験用水を供給することを特徴とする耐圧試験方法。
【請求項7】
前記伝熱管のU字状部分を上向きにする態様で、横倒しにした形態の前記蒸気発生器を傾斜させて前記試験用水を供給する工程と、
次に、前記伝熱管の下側部分および下方の前記水室に試験用水が満たされた後、上方に位置する水室を前記伝熱管のU字状部分よりも高い位置にする態様で、横倒しにした形態の前記蒸気発生器を傾斜させて上方に位置する前記水室から空気抜きを行う工程と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の耐圧試験方法。
【請求項8】
前記第二空気抜管が、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で前記第一空気抜管よりも下方で前記水室鏡の内部に通じて設けられることを特徴とする請求項6または7に記載の耐圧試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生器の製造時において耐圧試験を行うための耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、熱交換器の製造時における最終組立工程に実施する水による耐圧試験作業に用いる耐圧試験の自動測定装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3518823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)では、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電するものである。そして、この加圧水型原子炉は、高温高圧の一次冷却水の熱を蒸気発生器により二次冷却水に伝え、二次冷却水で水蒸気を発生させるものである。この蒸気発生器は、多数の細い伝熱管の内側を一次冷却水が流れ、外側を流れる二次冷却水に熱を伝えて水蒸気を生成し、この水蒸気によりタービンを回して発電している。
【0005】
この蒸気発生器において、中空密閉形状をなす胴部内に、その内壁面と所定間隔をもって管群外筒が配設され、この管群外筒内に逆U字形状をなす複数の伝熱管が配設され、各伝熱管の端部が管板に支持され、管板の下部に接合された椀状の水室鏡により一次冷却水の入口側水室および出口側水室が形成されている。また、水室鏡は、入口側水室において外部に開口する入口側管台が設けられ、出口側水室において外部に開口する出口側管台が設けられている。入口側管台は、加圧水型原子炉から高温高圧の一次冷却水を供給する冷却水配管が接続され、出口側管台は、熱交換を終了した一次冷却水を加圧水型原子炉に戻す冷却水配管が接続される。さらに、水室鏡は、入口側水室および出口側水室においてメンテナンス用のマンホールがそれぞれ設けられている。また、胴部内に、管群外筒の上方に位置して二次冷却水の入口部が設けられると共に、気水分離機と湿分分離機が上下に並んで配設され、その上方に蒸気出口が設けられている。
【0006】
従って、冷却水配管より入口側水室を通して複数の伝熱管に一次冷却水が供給される一方、入口部からこの胴部内に二次冷却水が供給される。すると、複数の伝熱管内を流れる一次冷却水(熱水)と胴部内を循環する二次冷却水(冷水)との間で熱交換を行われることで、二次冷却水が熱を吸収して水蒸気が生成される。そして、生成された蒸気が気水分離機により水分が除去され、湿分分離機により湿分が除去された蒸気が蒸気出口から排出される一方、熱交換を終了した一次冷却水が出口側水室から排出される。
【0007】
このような蒸気発生器の一次側において、製造時に、特許文献1に記載されているような耐圧試験を行う場合、当該蒸気発生器を横倒しにして行う。このとき、一次側に水を供給して満水状態にするため、一次側の空気抜きを行う必要がある。残留空気の量が多いと加圧に時間が掛かる不都合や、加圧試験時の温度変化で圧力変化を生じやすい不具合がある。一般には、上述した入口側管台または出口側管台に蓋をして上方に向け、この管台の蓋に空気抜管を配置する。しかし、水室鏡は椀状に形成されており、横倒しにした状態では、管台よりも椀状の開口部である管板への接合部分付近の位置が高くなり、そこに空気が溜まりやすくなる。また、水室鏡は仕切板で仕切られているために下方に位置する水室内に空気が溜まり易くなる。このため、一次側を満水状態にするのに容易かつ確実に空気抜きを行うことが望まれている。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、蒸気発生器の製造時において一次側の耐圧試験を行う場合に、給水に際して容易かつ確実に一次側の空気抜きを行うことのできる耐圧試験装置並びに蒸気発生器および耐圧試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明の耐圧試験装置は、二次冷却水が供給排出される二次側の胴部内にU字状の伝熱管が配置されており、前記胴部の下部を閉塞する管板の下部に接合された椀状の水室鏡の内部が仕切板により入口側水室と出口側水室とに区画されるとともに、前記伝熱管の両端が前記管板に挿通固定されて各前記水室に連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器について、当該蒸気発生器の一次側の耐圧試験を行う耐圧試験装置であって、各前記水室が前記水室鏡の外部に通じるそれぞれの開口部を閉塞する各閉塞蓋と、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する一方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋の最上位置にて前記水室鏡の内外に通じる第一空気抜管と、最も鉛直上方に位置する前記閉塞蓋に設けられており前記蒸気発生器を横倒しにした形態で前記水室鏡内の前記管板への接合部分における鉛直上方の位置から当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内外に通じる第二空気抜管と、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で他方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内部に試験用水を供給する水供給部と、前記一次側の内圧を測定する圧力計と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この耐圧試験装置によれば、水供給部により入口側水室または出口側水室に試験用水を圧送する。一方の水室に供給された試験用水は、伝熱管を経て他方の水室に至る。この際、蒸気発生器を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する一方の閉塞蓋の最上位置に一端が接続されて水室鏡の内外に連通している第一空気抜管、および蒸気発生器を横倒しにした形態で水室鏡内の管板への接合部分における鉛直上方の位置から一方の閉塞蓋を介して水室鏡の内外に通じる第二空気抜管により、一次側内の全ての空気を抜くことができる。この結果、蒸気発生器の製造時において一次側の耐圧試験を行う場合に、給水に際して容易かつ確実に一次側の空気抜きを行うことができる。
【0011】
また、本発明の耐圧試験装置は、前記第一空気抜管および前記第二空気抜管を開閉する各開閉弁を備え、前記第一空気抜管に前記圧力計を配置することを特徴とする。
【0012】
この耐圧試験装置によれば、一次側の内圧を計測する圧力計を、第一空気抜管を利用して配置することで、一次側の圧力計測を簡素な構成にて行うことができる。
【0013】
また、本発明の耐圧試験装置は、他方の前記閉塞蓋に当該閉塞蓋の位置にて前記水室鏡の内外に通じる配管を備え、当該配管にも開閉弁および圧力計を配置することを特徴とする。
【0014】
この耐圧試験装置によれば、上述した圧力計が計測困難である場合、配管の圧力計により一次側の内圧を計測することができる。また、上述した圧力計は一方の閉塞蓋である一方の水室側に設けられ、配管の圧力計は他方の水室側に設けられているため、相互の圧力差を計測することもできる。この結果、一次側の内圧を精度良く計測することができる。
【0015】
また、本発明の耐圧試験装置は、各前記閉塞蓋が、前記入口側水室に設けられて一次側に一次冷却材が供給される入口側管台と、前記出口側水室に設けられて一次側から一次冷却材が排出される出口側管台とをそれぞれ閉塞することを特徴とする。
【0016】
この耐圧試験装置によれば、水室鏡は、各水室に対応してマンホールがそれぞれ形成され、蒸気発生器の使用時では、これらマンホールの開口部はマンホール蓋により閉塞されている。このため、入口側管台および出口側管台に耐圧試験装置を設けることで、マンホール蓋の耐圧試験も行うことができる。
【0017】
上述の目的を達成するために、本発明の蒸気発生器は、二次冷却水が供給排出される二次側の胴部内にU字状の伝熱管が配置されており、前記胴部の下部を閉塞する管板の下部に接合された椀状の水室鏡の内部が仕切板により入口側水室と出口側水室とに区画されるとともに、前記伝熱管の両端が前記管板に挿通固定されて各前記水室に連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器において、前記一次側を試験用水で満水状態とする耐圧試験で、前記入口側水室と前記出口側水室との間での空気抜きを行う空抜通路を有することを特徴とする。
【0018】
この蒸気発生器によれば、空抜通路が、耐圧試験時に下側になる水室の最高位置になるように配置することで、下側になる水室の空気を上側になる水室へ逃がして除去することができる。
【0019】
上述の目的を達成するために、本発明の耐圧試験方法は、二次冷却水が供給排出される二次側の胴部内にU字状の伝熱管が配置されており、前記胴部の下部を閉塞する管板の下部に接合された椀状の水室鏡の内部が仕切板により入口側水室と出口側水室とに区画されるとともに、前記伝熱管の両端が前記管板に挿通固定されて各前記水室に連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器について、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で下方に位置する前記水室側から試験用水を供給するとともに、上方に位置する前記水室側から空気抜きを行うことで、前記蒸気発生器の一次側に試験用水を満水状態として耐圧試験を行う耐圧試験方法であって、前記伝熱管のU字状部分を上向きにする態様で、横倒しにした形態の前記蒸気発生器を傾斜させて前記試験用水を供給する工程と、次に、前記伝熱管の下側部分および下方の前記水室に試験用水が満たされた後、上方に位置する水室を前記伝熱管のU字状部分よりも高い位置にする態様で、横倒しにした形態の前記蒸気発生器を傾斜させて上方に位置する前記水室から空気抜きを行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
この耐圧試験方法によれば、試験用水の供給開始時には伝熱管のU字状部分を上向きにするように蒸気発生器を傾けることで、U字状部分の下側部分および下方の水室に残留する空気を除去する。そして、これらが満水状態となった後に、上方に位置する水室を伝熱管のU字状部分よりも高い位置にする。この結果、伝熱管内あるいは下方の水室内に残留する空気を除去することができる。
【0021】
上述の目的を達成するために、本発明の耐圧試験方法は、二次冷却水が供給排出される二次側の胴部内にU字状の伝熱管が配置されており、前記胴部の下部を閉塞する管板の下部に接合された椀状の水室鏡の内部が仕切板により入口側水室と出口側水室とに区画されるとともに、前記伝熱管の両端が前記管板に挿通固定されて各前記水室に連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器について、当該蒸気発生器の一次側の耐圧試験を行う耐圧試験方法であって、各前記水室が前記水室鏡の外部に通じるそれぞれの開口部を閉塞する各閉塞蓋と、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する一方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋の最上位置にて前記水室鏡の内外に通じる第一空気抜管と、最も鉛直上方に位置する前記閉塞蓋に設けられており前記蒸気発生器を横倒しにした形態で前記水室鏡内の前記管板への接合部分における鉛直上方の位置から当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内外に通じる第二空気抜管と、前記蒸気発生器を横倒しにした形態で他方の前記閉塞蓋に設けられており当該閉塞蓋を介して前記水室鏡の内部に試験用水を供給する水供給部と、前記一次側の内圧を測定する圧力計と、を備える耐圧試験装置を用い、前記水供給部により前記水室鏡の内部に試験用水を供給し、前記第一空気抜管および前記第二空気抜管から空気が抜けきった後、前記第二空気抜管を前記水供給部に接続し、前記第二空気抜管を介して前記水室鏡の内部に試験用水を供給することを特徴とする。
【0022】
この耐圧試験方法によれば、第一空気抜管および第二空気抜管から空気が抜けきった後に、第二空気抜管を介して試験用水を強制的に循環させ、その循環時の試験用水の流動により、残留空気を、第一空気抜管を介して排出させる。このため、一次側内の全ての空気を抜くことが可能になる。この結果、蒸気発生器の製造時において一次側の耐圧試験を行う場合に、給水に際してさらに容易かつ確実に一次側の空気抜きを行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、蒸気発生器の製造時において一次側の耐圧試験を行う場合に、給水に際して容易かつ確実に一次側の空気抜きを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る耐圧試験装置の構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る耐圧試験装置の構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る耐圧試験方法の工程図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る耐圧試験方法の工程図である。
図5図5は、蒸気発生器の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0026】
図5は、蒸気発生器の構成を示す説明図である。図5に示すように、蒸気発生器101は、胴部102を有している。胴部102は、上下方向に延在され、かつ密閉された中空円筒形状をなし、上半部に対して下半部が若干小径とされている。胴部102は、その下半部内に、当該胴部102の内壁面と所定間隔をもって配置された円筒形状をなす管群外筒103が設けられている。この管群外筒103は、その下端部が、胴部102の下半部内の下方に配置された管板104近傍まで延設されている。管群外筒103内には、伝熱管群105Aが設けられている。伝熱管群105Aは、逆U字形状をなす複数の伝熱管105からなる。伝熱管群105Aは、その上端部に、伝熱管105の上述した逆U字形状の円弧部が配置されている。伝熱管105は、中央から外側に向けて円弧部の径が大きなものを配列した伝熱管層を構成し、この伝熱管層を、重ねつつ径を変えることで、伝熱管群105Aの上端部を半球形状に形成している。この伝熱管群105Aの半球形状部分は、各伝熱管層の円弧部の間に、一次冷却水が各伝熱管105内を通過する際に発生し得る流体励起振動を抑制するための振止部材105aが設けられている。そして、各伝熱管105は、U字形状の円弧部を上方に向け、下端部が管板104の管穴104aに挿通支持されているとともに、中間部が複数の管支持板106を介して管群外筒103に支持されている。管支持板106は、多数の管穴106aが形成されており、この管穴106aに各伝熱管105が挿通されることで各伝熱管105を支持する。
【0027】
胴部102は、その下端部に水室鏡107が接合されている。水室鏡107は、椀状に形成された開口縁が管板104に接合された状態で、その内部が仕切板108により入口側水室107Aと出口側水室107Bとに区画されている。入口側水室107Aは、各伝熱管105の一端部が連通され、出口側水室107Bは、各伝熱管105の他端部が連通されている。また、入口側水室107Aは、胴部102の外部に通じる入口側管台107Aaが形成され、出口側水室107Bは、胴部102の外部に通じる出口側管台107Baが形成されている。そして、入口側管台107Aaは、加圧水型原子炉から一次冷却水が送られる冷却水配管(図示せず)が連結され、出口側管台107Baは、熱交換された後の一次冷却水を加圧水型原子炉に送る冷却水配管(図示せず)が連結される。また、入口側水室107Aおよび出口側水室107Bは、保守や点検時に作業者が水室107A,107B内に進入することのできる作業用のマンホール107Ab,107Bbがそれぞれ形成されている(図2参照)。
【0028】
また、胴部102は、その上半部内に、給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器109、および分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器110が設けられている。気水分離器109と伝熱管群105Aとの間には、外部から胴部102内に二次冷却水の給水を行う給水管111が挿入されている。さらに、胴部102は、その上端部に、蒸気排出口112が形成されている。また、胴部102は、その下半部内に、給水管111からこの胴部102内に給水された二次冷却水を、胴部102と管群外筒103との間を流下させて管板104にて折り返させ、伝熱管群105Aに沿って上昇させる給水路113が形成されている。なお、蒸気排出口112は、タービンに蒸気を送る冷却水配管(図示せず)が連結され、給水管111は、タービンで使用された蒸気が復水器(図示せず)で冷却された二次冷却水を供給するための冷却水配管(図示せず)が連結される。
【0029】
図1および図2は、本実施の形態に係る耐圧試験装置の構成図である。図1は、蒸気発生器101を胴部102の側方から視た図であり、図2は蒸気発生器101を水室鏡107側から視た図である。
【0030】
上述した蒸気発生器101は、製造時に横倒しの形態で組み立てられる。そして、最終組立工程において、一次側および二次側に試験用水を満水状態として耐圧試験が行われる。本実施の形態では、一次側の耐圧試験に用いられる耐圧試験装置について説明する。
【0031】
耐圧試験装置は、入口側水室107Aおよび出口側水室107Bの各閉塞蓋1と、第一空気抜管2と、第二空気抜管3と、水供給部4と、圧力計5とを含み構成されている。
【0032】
閉塞蓋1は、入口側水室107Aおよび出口側水室107Bが水室鏡107の外部に通じるそれぞれの開口部を閉塞するものである。入口側水室107Aの閉塞蓋1は、入口側管台107Aaの開口部を閉塞する入口側管台蓋1Aがあり、出口側水室107Bの閉塞蓋1は、出口側管台107Baの開口部を閉塞する出口側管台蓋1Bがある。各管台蓋1A,1Bは、管台107Aa,107Baの中心線に沿って水室鏡107の外側に突出する筒部1Aa,1Baと、当該筒部1Aa,1Baの突出端を閉塞する半球状の覆部1Ab,1Bbとで構成されている。
【0033】
第一空気抜管2は、蒸気発生器101を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する閉塞蓋1の一方に設けられており、当該閉塞蓋1の最上位置にて水室鏡107の内外に通じるものである。本実施の形態では、蒸気発生器101を横倒しにした形態で、入口側管台蓋1Aを最も鉛直上方に位置するようにしている。そして、第一空気抜管2は、入口側管台蓋1Aの覆部1Abの最上位置に一端が接続されて入口側水室107Aに連通している。また、第一空気抜管2は、水室鏡107の外部において当該管を開閉する開閉弁である第一開閉弁2Aが設けられている。
【0034】
第二空気抜管3は、最も鉛直上方に位置する前記閉塞蓋1に設けられており、蒸気発生器101を横倒しにした形態で水室鏡107内の管板104への接合部分における鉛直上方の位置から前記閉塞蓋1を介して水室鏡107の内外に通じるものである。本実施の形態では、蒸気発生器101を横倒しにした形態で、入口側管台蓋1Aを最も鉛直上方に位置するようにしているため、第二空気抜管3は、入口側管台蓋1Aに設けられている。そして、第二空気抜管3は、入口側管台蓋1Aの覆部1Abに貫通され、水室鏡107内の管板104への接合部分における鉛直上方の位置に一端が配置されて入口側水室107Aに連通している。また、第二空気抜管3は、水室鏡107の外部において当該管を開閉する開閉弁である第二開閉弁3Aが設けられている。
【0035】
水供給部4は、蒸気発生器101を横倒しにした形態で閉塞蓋1の他方に設けられており、当該閉塞蓋1を介して水室鏡107の内部に試験用水を供給するものである。本実施の形態では、蒸気発生器101を横倒しにした形態で、入口側管台蓋1Aを最も鉛直上方に位置するようにしているため、閉塞蓋1の他方は、出口側管台蓋1Bとなり、水供給部4は、出口側管台蓋1Bを介して水室鏡107の内部に試験用水を供給する。水供給部4は、給水管4aと、給水ポンプ4bと、給水開閉弁4cとを含み構成されている。給水管4aは、出口側管台蓋1Bに一端が接続されて出口側水室107Bに連通している。給水ポンプ4bは、給水管4aの他端側に接続され、当該給水管4aに試験用水を圧送する。給水開閉弁4cは、給水管4aの途中に設けられて当該給水管4aを開閉する。
【0036】
圧力計5は、第一空気抜管2において、入口側管台蓋1Aと第一開閉弁2Aとの間に設けられている。
【0037】
このような耐圧試験装置は、水供給部4の給水ポンプ4bにより給水管4aを介して出口側水室107Bに試験用水を圧送する。出口側水室107Bに供給された試験用水は、伝熱管105を経て入口側水室107Aに至る。この際、第一空気抜管2の第一開閉弁2Aを開放状態とすることで、第一空気抜管2を介して一次側の空気が外部に抜け出る。また、同様に、第二空気抜管3の第二開閉弁3Aを開放状態とすることで、第二空気抜管3を介して一次側の空気が外部に抜け出る。第一空気抜管2は、入口側管台蓋1Aの覆部1Abの最上位置に一端が接続されて入口側水室107Aに連通しているため、一次側内の大半の空気を抜くことが可能である。しかし、水室鏡107は椀状に形成されており、横倒しにした状態では、入口側管台107Aaよりも椀状の開口部である管板104への接合部分付近の位置が高くなっているため、そこに空気が溜まりやすい。そこで、本実施の形態では、第二空気抜管3が、入口側管台蓋1Aの覆部1Abに貫通され、水室鏡107内の管板104への接合部分における鉛直上方の位置に一端が配置されて入口側水室107Aに連通している。このため、この部分の空気も一次側の外部に抜け出るので、一次側内の全ての空気を抜くことが可能になる。第一空気抜管2および第二空気抜管3から試験用水が出たことで、一次側内の全ての空気が抜けたことが分かる。その後、第一空気抜管2の第一開閉弁2Aおよび第二空気抜管3の第二開閉弁3Aを閉塞状態とし、給水ポンプ4bにより一次側の内圧を上昇させ、一次側の内圧は圧力計5により計測することで、一次側の耐圧試験が行われる。
【0038】
このように、本実施の形態の耐圧試験装置は、二次冷却水が供給排出される二次側の胴部102内にU字状の伝熱管105が配置されており、胴部102の下部を閉塞する管板104の下部に接合された椀状の水室鏡107の内部が仕切板108により入口側水室107Aと出口側水室107Bとに区画されるとともに、伝熱管105の両端が管板104に挿通固定されて各水室107A,107Bに連通することで一次冷却材が供給排出される一次側をなす蒸気発生器101について、当該蒸気発生器101の一次側の耐圧試験を行うものである。そして、この耐圧試験装置は、各水室107A,107Bが水室鏡107の外部に通じるそれぞれの開口部を閉塞する各閉塞蓋1(入口側管台蓋1Aおよび出口側管台蓋1B)と、蒸気発生器101を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する一方の閉塞蓋1(入口側管台蓋1A)に設けられており当該閉塞蓋1(入口側管台蓋1A)の最上位置にて水室鏡107の内外に通じる第一空気抜管2と、最も鉛直上方に位置する前記閉塞蓋1(入口側管台蓋1A)に設けられており蒸気発生器101を横倒しにした形態で水室鏡107内の管板104への接合部分における鉛直上方の位置から当該閉塞蓋1(入口側管台蓋1A)を介して水室鏡107の内外に通じる第二空気抜管3と、蒸気発生器101を横倒しにした形態で他方の閉塞蓋1(出口側管台蓋1B)に設けられており当該閉塞蓋1(出口側管台蓋1B)を介して水室鏡107の内部に試験用水を供給する水供給部4と、一次側の内圧を測定する圧力計5と、を備える。
【0039】
この耐圧試験装置によれば、水供給部4の給水ポンプ4bにより給水管4aを介して出口側水室107Bに試験用水を圧送する。出口側水室107Bに供給された試験用水は、伝熱管105を経て入口側水室107Aに至る。この際、蒸気発生器101を横倒しにした形態で最も鉛直上方に位置する入口側管台蓋1Aの最上位置に一端が接続されて入口側水室107Aに連通している第一空気抜管2、および蒸気発生器101を横倒しにした形態で水室鏡107内の管板104への接合部分における鉛直上方の位置から入口側管台蓋1Aを介して水室鏡107の内外に通じる第二空気抜管3により、一次側内の全ての空気を抜くことが可能になる。この結果、蒸気発生器101の製造時において一次側の耐圧試験を行う場合に、給水に際して容易かつ確実に一次側の空気抜きを行うことが可能になる。
【0040】
また、本実施の形態の耐圧試験装置は、第一空気抜管2および第二空気抜管3を開閉する第一開閉弁2Aおよび第二開閉弁3Aを備え、第一空気抜管2に圧力計5を配置している。
【0041】
この耐圧試験装置によれば、一次側の内圧を計測する圧力計5を、第一空気抜管2を利用して配置することで、一次側の圧力計測を簡素な構成にて行うことが可能になる。
【0042】
また、本実施の形態の耐圧試験装置は、他方の閉塞蓋1(出口側管台蓋1B)に当該閉塞蓋1(出口側管台蓋1B)の位置にて水室鏡107の内外に通じる配管6を備え、当該配管6にも開閉弁6Aおよび圧力計7を配置することが好ましい。具体的に、配管6は、出口側管台蓋1Bの覆部1Bbに一端が接続されて出口側水室107Bに連通している。また、配管6は、水室鏡107の外部において当該管を開閉する開閉弁である配管開閉弁6Aが設けられている。また、配管6は、出口側管台蓋1Bと配管開閉弁6Aとの間に圧力計7が設けられている。
【0043】
この耐圧試験装置によれば、圧力計5が計測困難である場合、圧力計7により一次側の内圧を計測することが可能である。また、圧力計5は入口側水室107A側に設けられ、圧力計7は出口側水室107B側に設けられているため、相互の圧力差を計測することも可能である。この結果、一次側の内圧を精度良く計測することが可能になる。
【0044】
また、本実施の形態の耐圧試験装置は、各閉塞蓋1(入口側管台蓋1Aおよび出口側管台蓋1B)が、入口側水室107Aに設けられて一次側に一次冷却材が供給される入口側管台107Aaと、出口側水室107Bに設けられて一次側から一次冷却材が排出される出口側管台107Baとをそれぞれ閉塞することが好ましい。
【0045】
この耐圧試験装置によれば、水室鏡107は、上述したようにマンホール107Ab,107Bbが形成され、蒸気発生器101の使用時では、これらマンホール107Ab,107Bbの開口部はマンホール蓋1C,1Dにより閉塞されている。このため、入口側管台蓋1Aおよび出口側管台蓋1Bに耐圧試験装置を設けることで、マンホール蓋1C,1Dの耐圧試験も行うことが可能になる。
【0046】
なお、上述した実施の形態において、入口側水室107Aの閉塞蓋1は、入口側水室107Aの入口側マンホール107Abの開口部を閉塞する入口側マンホール蓋1Cもあり、出口側水室107Bの閉塞蓋1は、出口側水室107Bの出口側マンホール107Bbの開口部を閉塞する出口側マンホール蓋1Dもある。各マンホール蓋1C,1Dは、円盤状に形成されており、蒸気発生器101を使用する場合にマンホール107Ab,マンホール107Bbを閉塞するものである。すなわち、蒸気発生器101を横倒しにした形態で、マンホール蓋1C,1Dの一方を最も鉛直上方に位置するようにし、マンホール蓋1C,1Dに上記構成を適用してもよい。
【0047】
ところで、上述した耐圧試験で、一次側を試験用水で満水状態とする際、図1および図2に示すように、下方に位置する水室鏡107(出口側水室107B)内の空気が仕切板108によって遮られて除去できない場合がある。そこで、本実施の形態の蒸気発生器101は、入口側水室107Aと出口側水室107Bとの間での空気抜きを行う空抜通路107Cを有する。具体的に、空抜通路107Cは、図1および図2に示すように、下方に位置する出口側水室107Bにおいて、管板104と水室鏡107とに接続される仕切板108の最高位置の端部(隅部)が一部切り欠かれて形成されている。
【0048】
この蒸気発生器101によれば、空抜通路107Cが、耐圧試験時に下側になる水室(出口側水室107B)の最高位置(鉛直最上方位置)になるように配置することで、下側になる水室(出口側水室107B)の空気を上側になる水室(入口側水室107A)へ逃がして除去することが可能になる。空抜通路107Cは、蒸気発生器101の運転時に一次冷却水が入口側水室107Aから出口側水室107Bにバイパスしても支障の無い範囲で小さなものにするか、耐圧試験後に蓋(図示せず)を設けて入口側水室107Aから出口側水室107Bへのバイパスを塞ぐ。
【0049】
また、図3および図4は、本実施の形態に係る耐圧試験方法の工程図である。本実施の形態の耐圧試験方法は、伝熱管105のU字状部分を上向きにする態様、すなわち、図3に示すように水張り水位W1より下側に、下方の水室(出口側水室107B)および伝熱管105のU字状部分の一部が位置する態様で、横倒しにした形態の蒸気発生器101を傾斜させて試験用水を供給する工程と、次に、伝熱管105の下側部分および下方の水室(出口側水室107B)に試験用水が満たされた後、上方に位置する水室(入口側水室107A)を伝熱管105のU字状部分の一部よりも高い位置にする態様、すなわち、図4に示すように水張り水位W2より下側に、全伝熱管105および上方に位置する水室(入口側水室107A)が位置し、かつ伝熱管105のU字状部分を下向きにする態様で、横倒しにした形態の蒸気発生器101を傾斜させて上方に位置する水室(入口側水室107A)から空気抜きを行う工程と、を含む。
【0050】
横倒しの蒸気発生器101の伝熱管105が水平でない場合には、空気が伝熱管105内あるいは下方の水室(出口側水室107B)内に残留して除去できない場合がある。本実施の形態の耐圧試験方法によれば、試験用水の供給開始時には伝熱管105のU字状部分よりも上方に位置する水室(入口側水室107A)が低くなるよう蒸気発生器101を傾けることで、U字状部分の一部を除く伝熱管105および下方の水室(出口側水室107B)に残留する空気を除去する。そして、これらが満水状態となった後に、上方に位置する水室(入口側水室107A)を伝熱管105のU字状部分の一部よりも高い位置にする。この結果、伝熱管105内あるいは下方の水室(出口側水室107B)内に残留する空気を除去することが可能になる。
【0051】
また、上述した耐圧試験で、図3および図4に示すように蒸気発生器101を傾ける方法の他に、水供給部4により水室鏡107の内部に試験用水を供給し、第一空気抜管2および第二空気抜管3から空気が抜けきった後(試験用水が第一空気抜管2および第二空気抜管3から出た後)、第二空気抜管3を水供給部4の給水ポンプ4bに接続し、第二空気抜管3を介して上方に位置する水室(入口側水室107A)から水室鏡107の内部に試験用水を供給するようにしてもよい。この耐圧試験方法によれば、第一空気抜管2および第二空気抜管3から空気が抜けきった後に、第二空気抜管3を介して試験用水を強制的に循環させ、その循環時の試験用水の流動により、残留空気を、第一空気抜管2を介して上方に位置する水室(入口側水室107A)から排出させる。このため、一次側内の全ての空気を抜くことが可能になる。この結果、蒸気発生器101の製造時において一次側の耐圧試験を行う場合に、給水に際してさらに容易かつ確実に一次側の空気抜きを行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 閉塞蓋
1A 入口側管台蓋
1B 出口側管台蓋
1C 入口側マンホール蓋
1D 出口側マンホール蓋
2 第一空気抜管
2A 第一開閉弁
3 第二空気抜管
3A 第二開閉弁
4 水供給部
4a 給水管
4b 給水ポンプ
4c 給水開閉弁
5 圧力計
6 配管
6A 配管開閉弁
7 圧力計
101 蒸気発生器
102 胴部
104 管板
105 伝熱管
107 水室鏡
107A 入口側水室
107Aa 入口側管台
107Ab 入口側マンホール
107B 出口側水室
107Ba 出口側管台
107Bb 出口側マンホール
107C 空気抜通路
108 仕切板
図1
図2
図3
図4
図5