(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記取付孔は、上記内側面部に設けられ、上記ボルトの頭部又は上記ナットが係止される切欠部と、上記上面部に設けられ、上記ボルトの頭部又は上記ナットが係合される係合縁部とを有していることを特徴とする請求項4記載のルーバーの接続構造。
橋梁の桁下裏面側に設けられた支持部材に長手方向に複数個取り付けられたルーバーの長手方向に隣り合う一対のルーバー内に摺動可能に収納された接続部材によって、該一対のルーバーを接続するルーバーの接続方法において、
上記ルーバーは、相対する一対の側面部間に開口部を有し、
上記接続部材は、相対する一対の側面部間に取付孔を有しており、
上記接続部材の取付孔に、ボルトが挿通され、該ボルトにナットが仮止めされ、
上記接続部材が、上記ルーバーの一端部から、上記取付孔が該ルーバーの開口部に対向するように、該ルーバー内に収納され、
上記ルーバーが、上記支持部材に長手方向に複数個取り付けられると共に、該接続部材が、該長手方向に隣り合う一対のルーバー内に挿入され、
上記ボルトが、上記一方のルーバーの開口部及び上記接続部材の取付孔に挿通されて、該ボルトに上記ナットが本締めされ、上記接続部材が、該一方のルーバーに取り付けられて、上記長手方向に隣り合う一対のルーバーが接続されることを特徴とするルーバーの接続方法。
上記接続部材は、上記ルーバーの内部側に撓んで上記ずれ止め部が該ルーバーの先端面の内面に当接された状態で該ルーバー内に収納され、上記ずれ止め部が該一方のルーバーの一端部と上記他方のルーバーの他端部との間の間隙に配置された際には、上記側面部が外部側に復元されて該ルーバーの側面部の内面と圧接され、上記ずれ止め部が該ルーバーの先端面と正面視で重なるように設けられることを特徴とする請求項10記載のルーバーの接続方法。
上記ルーバーは、長手方向に直交する方向に相対する一対の側面部の基端側の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられた端面部と、該端面部の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられたリップ部とを有し、上記開口部は、該リップ部間に設けられ、
上記接続部材は、長手方向に直交する方向に相対する一対の側面部の基端側の端部の内側に設けられ、上記端面部に当接される当接部と、該当接部の端部の内側に設けられた内側面部と、該内側面部間に設けられた上面部とを有し、上記取付孔は、該上面部に形成されていることを特徴とする請求項9乃至請求項11のうち何れか1項記載のルーバーの接続方法。
上記接続部材が上記一方のルーバーに取り付けられる際には、上記ボルトの頭部が、該一方のルーバーの端面部に係止され、上記ナットが、該接続部材の内部側で、上記内側面部に設けられた取付孔の切欠部に係止されて、上記上面部に設けられた取付孔の係合縁部に係合されて回り止めされた状態で、該ボルトに該ナットが本締めされることを特徴とする請求項12記載のルーバーの接続方法。_
上記ボルトに上記ナットが本締めされた後に、上記ルーバー上に吸音材が設けられ、上記ボルトの頭部が該吸音材と当接されることを特徴とする請求項13記載のルーバーの接続方法。
上記接続部材が上記一方のルーバーに取り付けられる際には、上記ボルトの頭部が、該接続部材の内部側で、上記内側面部に設けられた取付孔の切欠部に係止されて、上記上面部に設けられた取付孔の係合縁部に係合されて回り止めされ、上記ナットが、上方側で、該一方のルーバーの端面部に係止された状態で、該ボルトに該ナットが本締めされることを特徴とする請求項12記載のルーバーの接続方法。
当該接続部材は、先端側に向かうに従って次第に幅広となるように設けられており、上記ルーバー内に収納されたときに該ルーバーに対して略相似形状となるように設けられている請求項16又は請求項17のうち何れか1項記載のルーバーの接続部材。
上記取付孔は、上記上面部に設けられ、上記ボルトの頭部又は上記ナットが係合される係合縁部と、上記内側面部に設けられ、上記ボルトの頭部又は上記ナットが係止される切欠部とを有していることを特徴とする請求項19記載のルーバーの接続部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、接続部材を、長手方向に隣り合う一対のルーバー内に収納させて、これら一対のルーバーを接続することが出来、更に、容易且つ安価に製作することが出来るルーバーの接続構造及びルーバーの接続方法を提供することを目的とする。
【0009】
更に、本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、ルーバーと接続部材とを締結するボルト又はナットの締結時等の共回り等の回転止めを行うことが出来るルーバーの接続部材を提供することを目的とする。
【0010】
更に、本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、被締結部材を締結する締結部材の共回り等の回転止めを行う回転止め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のルーバーの接続構造は、橋梁の桁下裏面側に設けられた支持部材に長手方向に複数個取り付けられたルーバーと、長手方向に隣り合う一対のルーバー内に摺動可能に収納され、一対のルーバーを接続する接続部材とを備えている。ルーバーは、相対する一対の側面部間に開口部を有している。接続部材は、相対する一対の側面部間に取付孔を有している。接続部材は、取付孔が開口部に対向するように、
ルーバーの長手方向の一端部から該長手方向に隣り合う一対のルーバー内に収納され、ボルトが一対のルーバーの一方のルーバーの開口部及び取付孔に挿通されて、
該ボルトにナットが締め付けられ、
上記接続部材が、該一方のルーバーに
取り付けられ、上記長手方向に隣り合う一対のルーバーが接続されている。
【0012】
更に、接続部材の長手方向に直交する方向の側面部の先端側の端部には、
一対のルーバーの
長手方向に直交する方向の側面部の
長手方向における先端側の端部間の先端面と正面視で少なくとも一部が重なるずれ止め部を有し、するようにしても良い。そして、ずれ止め部は、一対のルーバーの端部間の間隙に配置されているようにしても良い。これにより、接続部材は、ルーバーが長手方向に移動しても、ずれ止め部がルーバーの先端面と当接することで、それ以上ルーバーが長手方向にずれることを防止出来る。よって、接続部材は、ルーバーの端部同士が当接することを防止し、端部間の間隙を維持することが出来る。また、ルーバー内に水が浸入した際にも確実に水抜きすることが出来る。
【0013】
更に、接続部材の側面部は、ルーバーの側面部の内面に圧接されているようにしても良い。これにより、接続部材は、ルーバー内を安定的且つ円滑に摺動することが出来る。
【0014】
更に、ルーバーは、
長手方向に直交する方向に相対する一対の側面部の基端側の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられた端面部と、端面部の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられたリップ部とを有しているようにしても良い。そして、開口部は、リップ部間に設けられているようにしても良い。更に、接続部材は、
長手方向に直交する方向に相対する一対の側面部の基端側の端部の内側に
設けられ、端面部に当接される当接部と、当接部の端部の内側に設けられた内側面部と、内側面部間に設けられた上面部とを有しているようにしても良い。そして、取付孔は、内側面部及び上面部に亘って形成されているようにしても良い。
【0015】
更に、取付孔は、内側面部に設けられ、ボルトの頭部又はナットが係止される切欠部と、上面部に設けられ、ボルトの頭部又はナットが係合される係合縁部とを有しているようにしても良い。これにより、ボルト又はナットの回転が拘束され、ボルト又はナットが緩むことを防止出来る。
【0016】
更に、ナットは、切欠部に係止され、係合縁部に係合されているようにしても良い。これにより、ナットの回転が拘束され、ナットが緩むことを防止出来る。
【0017】
更に、ボルトの頭部は、ルーバー上に設けられている吸音材と当接されているようにしても良い。これにより、ボルトの回転が拘束され、ボルトが緩むことを防止出来る。
【0018】
更に、ボルトの頭部は、切欠部に係止され、係合縁部に係合されているようにしても良い。これにより、ボルトの回転が拘束され、ボルトが緩むことを防止出来る。
【0019】
また、本発明のルーバーの接続方法は、橋梁の桁下裏面側に設けられた支持部材に長手方向に複数個取り付けられたルーバーの長手方向に隣り合う一対のルーバー内に摺動可能に収納された接続部材によって、一対のルーバーを接続するルーバーの接続方法である。そして、ルーバーは、相対する一対の側面部間に開口部を有している。接続部材は、相対する一対の側面部間に取付孔を有している。
【0020】
そして、本発明のルーバーの接続方法は、接続部材の取付孔に、ボルトが挿通され、ボルトにナットが仮止めされる。接続部材が、ルーバーの一端部から、取付孔が当該ルーバーの開口部に対向するように、当該ルーバー内に収納される。ルーバーが、支持部材に長手方向に複数個取り付けられると共に、接続部材が、長手方向に隣り合う一対のルーバー内に挿入される。ボルトが、当該ルーバーの開口部及び接続部材の取付孔に挿通されている状態でボルトとナットが本締めされ、接続部材が、当該ルーバーに固定され、接続部材によって長手方向に隣り合う一対のルーバーが接続される。
【0021】
更に、接続部材の
長手方向に直交する方向の側面部の先端側の端部中央には、
一対のルーバーの
長手方向に直交する方向の側面部の
長手方向における先端側の端部間の先端面と正面視で少なくとも一部が重なるずれ止め部を有するようにしても良い。そして、ずれ止め部が、一対のルーバーの端部間の間隙に配置されるようにしても良い。これにより、接続部材は、ルーバーが長手方向に移動しても、ずれ止め部がルーバーの端部と当接することで、それ以上ルーバーが長手方向にずれることを防止出来る。よって、接続部材は、ルーバーの端部同士が当接することを防止し、端部間の間隙を維持することが出来る。また、ルーバー内に水が浸入した際にも確実に水抜きすることが出来る。
【0022】
更に、接続部材は、ルーバーの内部側に撓んでずれ止め部が当該ルーバーの先端面の内面に当接された状態で当該ルーバー内に収納され、ずれ止め部が当該ルーバーの一端部と他方のルーバーの他端部との間の間隙に配置された時点で、側面部が外部側に復元されてルーバーの側面部の内面と圧接され、ずれ止め部が当該ルーバーの先端面と正面視で重なるように設けられるようにしても良い。これにより、他方のルーバーを取り付ける際に、接続部材を、一方のルーバーの内部側へ摺動させて後退させることが出来、容易に施工することが出来る。
【0023】
更に、ルーバーは、相対する一対の側面部の基端側の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられた端面部と、端面部の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられたリップ部とを有するようにしても良い。そして、開口部は、リップ部間に設けられるようにしても良い。更に、接続部材は、相対する一対の側面部の基端側の端部の内側に
設けられ、上記端面部に当接される当接部と、当接部の端部の内側に設けられた内側面部と、内側面部間に設けられた上面部とを有するようにしても良い。そして、取付孔は、上面部に形成されているようにしても良い。
【0024】
更に、接続部材が一方のルーバーに取り付けられる際には、ボルトの頭部が、当該ルーバーの端面部に係止され、ナットが、接続部材の内部側で、内側面部に設けられた取付孔の切欠部に係止されて、上面部に設けられた取付孔の係合縁部に係合されて回り止めされた状態で、ボルトにナットが本締めされるようにしても良い。これにより、ナットの回転が拘束され、ナットが緩むことを防止出来る。
【0025】
更に、ボルトにナットが本締めされた後に、ルーバー上に吸音材が配設され、ボルトの頭部が吸音材と当接されるようにしても良い。これにより、ボルトの回転が拘束され、ボルトが緩むことを防止出来る。
【0026】
更に、接続部材が一方のルーバーに取り付けられる際には、ボルトの頭部が、接続部材の内部側で、内側面部に設けられた取付孔の切欠部に係止されて、上面部に設けられた取付孔の係合縁部に係合されて回り止めされ、ナットが、上方側で、当該ルーバーの端面部に係止された状態で、ボルトとナットを本締めするようにしても良い。これにより、ボルトの回転が拘束され、ボルトが緩むことを防止出来る。
【0027】
また、以上のようなルーバーの接続構造やルーバーの接続方法に用いられる本発明のルーバーの接続部材は、一端が一方のルーバーに挿入され、他端が他方のルーバーに挿入される接続部材であり、ルーバーと接続部材とをねじ締結するためのボルトを挿通する取付孔を有している。そして、取付孔は、互いに直交する第一開口幅と第二開口幅とを有している。第一開口幅は、ボルトの頭部又はボルトに螺合されるナットの二面幅以上対角幅未満に設定されている。第二開口幅は、ボルトの軸径以上対角幅未満に設定されている。
【0028】
更に、取付孔は、第一開口幅の両端部に設けられ、ボルトの頭部又はナットが係合される係合縁部と、第二開口幅の両端部に設けられ、ボルトの頭部又はナットが係止される切欠部とを有するようにしても良い。これにより、ルーバーの接続部材は、ボルト又はナットの回転を拘束し、締結時等の共回りなどの回転止めを行うことが出来る。
【0029】
更に、ルーバーに対する挿入方向における中間位置に、ずれ止め部が設けられ、ルーバーに対する挿入の位置決め及び挿入位置からのずれを防止するようにしても良い。
【0030】
更に、接続部材は、先端側に向かうに従って次第に幅広となるように設けられており、ルーバー内に収納されたときにルーバーに対して略相似形状となるように設けるようにしても良い。これにより、ルーバーの接続部材は、ルーバーの接続部材自体がルーバーに対して回転することを防止出来る。
【0031】
更に、接続部材は、
長手方向に直交する方向に相対する一対の側面部の基端側の端部の内側に
設けられ、端面部に当接される当接部と、当接部の端部の内側に設けられた内側面部と、内側面部間に設けられた上面部とを有し、取付孔は、内側面部及び上面部に亘って形成されているようにしても良い。これにより、ルーバーの接続部材は、ボルト又はナットの回転を拘束し、意図しない回転、特に締結時の共回り止めを行うことが出来る。
【0032】
更に、取付孔は、上面部に設けられ、ボルトの頭部又はナットが係合される係合縁部と、内側面部に設けられ、ボルトの頭部又はナットが係止される切欠部とを有しているようにしても良い。これにより、ルーバーの接続部材は、ボルト又はナットの回転を拘束し、意図しない回転、特に締結時の共回り止めを行うことが出来る。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係るルーバーの接続構造及び接続方法によれば、接続部材が
ルーバーの長手方向の一端部から該長手方向に隣り合う一対のルーバー内に摺動可能に収納されているので、接続部材によってこれら一対のルーバーを接続することが出来る。
【0043】
更に、本発明に係るルーバーの接続構造及び接続方法によれば、ルーバーの既設開口部に、接続部材とルーバーとを締結するボルト及びナットを設置することが出来るので、従来のようにルーバーに別途長孔等を形成する必要がなく、従来よりも容易且つ安価に製作することが出来ると共に、ルーバーの機械的強度が低下することを防止出来る。
【0044】
更に、本発明に係るルーバーの接続部材によれば、取付孔の係合縁部がルーバーと接続部材とを締結するボルト又はナットと係合することで、ボルト又はナットの回転を拘束し、共回り等の意図しない回転を止めることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明を適用したルーバーの接続構造、ルーバーの接続方法、ルーバーの接続部材及び回転止め具について、図面を参照して説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.概説
2.ルーバー
3.接続部材
4.接続方法
5.効果
6.変形例
7.回転止め具
【0048】
<1.概説>
図1に示すように、例えば高架道路や高架鉄道等2(以下、単に、高架道路等ともいう。)の桁下裏面には、交通騒音レベルの低減のため、地上の一般道路3等の交通騒音等を吸音する吸音システム1が設置されている。具体的に、この吸音システム1は、高架道路等2の桁下裏面側に吊り材4によって吊り下げられた支持部材となる横梁5に、略水平方向に取り付けられている。
【0049】
ここで、高架道路等2の裏面側に主桁から吊り材4で吊り下げられた横梁5は、
図2に示すように、例えばH形鋼であって、高架道路等2の橋軸直角方向(道路幅方向)に略水平に設けられ、高架道路等2の橋軸方向(長手方向)に所定の間隔をあけて複数個設置されている。このとき、横梁5は、一対のフランジ部6,7が高さ方向に並ぶように設けられている。
【0050】
このような横梁5に取り付けられる吸音システム1は、
図2に示すように、高架道路等2の長手方向に隣り合う横梁5,5間に設けられ、騒音等を吸音する吸音材8と、吸音材8に対して桁側に設けられ、吸音システム1の背面部となると共に、施工、点検及び補修等の作業時に作業用の足場となる背面板9と、吸音材8に対して地上側に設けられ、化粧部材となるルーバー10とを備えている。
【0051】
騒音等を吸音する吸音材8は、所謂グラスウールに代表されるようなガラス繊維集合体や、綿やポリエステル等の合成樹脂製の不織布等で構成され、所定の重量と剛性とを有しており、隣り合う横梁5,5間に略水平に敷設されている。更に、吸音システム1の背面部となると共に作業用の足場となる背面板9は、横梁5の上側フランジ部6の上面に略水平に敷設され、上側フランジ部6に背面板取付治具によって取り付けられている。
【0052】
更に、化粧部材となるルーバー10は、横梁5の下側フランジ部7の下面に略水平に敷設されており、長手方向を高架道路等2の長手方向に向けて、高架道路等2の道路幅方向に複数個敷設されると共に、これらの長手方向にも更に複数個敷設されている。このとき、
図3及び
図4に示すように、高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10b(以下、ルーバー10a,10bを、単に、ルーバー10とも言う。)は、例えば、一方のルーバー10aの一端部10cと他方のルーバー10bの他端部10dとが10mm程度の所定の間隔をあけて対向配置されており、接続部材20によって接続されている。なお、ルーバー10は、それぞれルーバー取付治具によって下側フランジ部7に取り付けられている。
【0053】
このような吸音システム1は、高架道路等2の桁下裏面側に付設されることで、所謂裏面吸音効果を発現する。即ち、地上の一般道路3等を走行する車両の騒音は、高架道路等2の道路幅方向に互いに隣接するルーバー10の間で反復反射し、更に、ルーバー10の間から吸音材8に入射され、吸音材8に吸音される。つまり、騒音は、ルーバー10の間で反復反射されることで減衰され、更に、吸音材8によって吸音される。
【0054】
<2.ルーバー>
横梁5の下側フランジ部7に取り付けられるルーバー10は、
図2に示すように、それぞれ、鋼板を折り曲げ成形した均等断面を有する長尺部材であり、内部が中空に設けられ、相対する一対の側面部12,12間に開口部16が形成されている。なお、鋼板は、所謂パンチングメタル等の多孔のものでも良く、無孔のものでも良い。更に、
図5に示すように、ルーバー10は、相対して略平行な一対の側面部12,12の先端側の端部間に亘って、先端角が鋭角となるような一対の先端面13a,13aを有する先端部13が設けられている。
【0055】
このような形状のルーバー10では、先端面13aに音が入射しても、隣り合うルーバー10の基端側の方向に音を反射させることが出来る。即ち、音が先端面13aに入射しても、一般道路3(音源)側に反射することを防止出来る。更に、ルーバー10では、ルーバー10の先端面13aや側面部12に入射した音を、横梁5の部分に配設された吸音材8側に導くことが出来る。
【0056】
なお、先端部13は、鋭角ではなく、鈍角であっても良く、曲面形状であっても良く、更に、平坦な面であっても良い。即ち、先端部13の形状は、特に限定されるものではない。
【0057】
具体的に、ルーバー10は、相対する一対の側面部12,12の基端側の端部が内側に略垂直に折曲されて設けられた端面部14と、端面部14の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられたリップ部15と、リップ部15,15間に長手方向に沿って設けられた開口部16とを有している。端面部14は、平坦な面で構成されており、横梁5の下側フランジ部7に当接される。リップ部15は、先端が幅方向中央に向かって下側に傾斜した傾斜片15aとなっており、拡幅する方向にやや撓むことで、ルーバー取付治具を開口部16からルーバー10内に容易に挿入することが出来る。なお、端面部14は、平坦が好ましいが、緩やかな曲面や、凹凸があっても良い。更に、リップ部15は、端面部14に略垂直(側面部12に略平行)に設けても良い。
【0058】
このようなルーバー10は、長手方向を高架道路等2の長手方向に向けて、高架道路等2の道路幅方向に複数個敷設されると共に、長手方向にも複数個敷設されている。このとき、
図3及び
図4に示すように、高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bは、例えば、一方のルーバー10aの一端部10cと他方のルーバー10bの他端部10dとが10mm程度の所定の間隔をあけて対向配置されており、内部に収納された接続部材20によって互いに接続されている。
【0059】
なお、ルーバー10は、高架道路等2の道路幅方向において、隣り合うルーバー10と密接させて設けても良いし、離間させて設けても良い。更に、ルーバー10としては、先端面13aや側面部12に、複数の貫通孔が種々のパターンで形成されていても良い。
【0060】
<3.接続部材>
高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bを接続する接続部材20は、
図6乃至
図9に示すように、鋼板を略M字状に折り曲げ成形して形成された長尺部材であり、一対のルーバー10a,10b内に摺動可能に収納されている。このような接続部材20は、
図10に示すように、一対のルーバー10a,10b内に摺動可能に収納された後に、相対する一対の側面部21,21間に形成された取付孔26にボルト27の軸部が挿通されてナット28が締め付けられ、例えば、一方のルーバー10aと締結されることで、一対のルーバー10a,10bが接続される。
【0061】
具体的に、接続部材20は、
図6乃至
図9に示すように、相対する一対の側面部21,21と、側面部21の基端側の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられた当接部22と、当接部22の端部が内側に向かって曲がった折曲形状に設けられた内側面部23と、内側面部23,23間に設けられた上面部24と、側面部21の先端部に設けられ、ルーバー10のずれ止めを行うずれ止め部25とを有し、上面部24がルーバーの開口部16に対向するように、ルーバー10内に収納されている。
【0062】
側面部21,21は、先端側に向かうに従って次第にやや幅広となるように設けられており、先端側は開口されている。更に、側面部21、当接部22、内側面部23は、
図10に示すように、ルーバー10内に収納された際に、ルーバー10の側面部12、端面部14、リップ部15よりも、例えばルーバー10の肉厚分だけ小さくなるように設けられており、ルーバー10内に収納されたときには略相似形状となっている。従って、ルーバー10内に収納された際には、側面部21がルーバー10の側面部12の内面に圧接され、当接部22、内側面部23は、ルーバー10の端面部14、リップ部15の内面に当接される。よって、接続部材20は、ルーバー10内で接続部材20自体が回転やズレ等するのが規制され、更に、ルーバー10によってガイドされ、安定的且つ円滑に摺動することが出来る。
【0063】
更に、ずれ止め部25は、
図6及び
図8に示すように、側面部21の先端部の長手方向略中央部に設けられた突出片である。このようなずれ止め部25は、
図4に示すように、一対のルーバー10a,10bの端部10c,10d間に、端部10c,10dからそれぞれ所定の間隔をあけて配置されている。即ち、ずれ止め部25は、端部10c,10d間の間隙11の略中央部に配置されている。更に、ずれ止め部25は、一対のルーバー10a,10bの端部10c,10d間に配置された際に、
図10に示すように、正面視(縦断面視)でルーバー10の先端面13aと重なるように設けられている。従って、ずれ止め部25は、一対のルーバー10a,10bが接続部材20によって接続された後に、ルーバー10が長手方向に移動しても、ルーバー10の端部10c,10dと当接することで、それ以上ルーバー10が長手方向にずれることを防止することが出来る。これにより、ずれ止め部25は、一対のルーバー10a,10bの端部10c,10dが当接することを防止し、端部10c,10d間の間隙11を少なくとも長手方向の幅分は維持することが出来る。よって、これら一対のルーバー10a,10bは、内部に侵入した水を、端部10c,10d間の間隙11から外部に排出して水抜きすることが出来る。
【0064】
なお、ずれ止め部25は、一対のルーバー10a,10bの端部10c,10d間に配置された際に、正面視でルーバー10の先端面13aと完全に重なるように設けることに限定されるものではなく、例えば、一部だけが重なるように設けても良い。即ち、ずれ止め部25は、一対のルーバー10a,10bの端部10c,10d間に配置された際に、正面視でルーバー10の先端面13aと少なくとも一部が重なるようなものであれば良い。
【0065】
また、
図7(A)及び
図7(B)に示すように、上面部24の長手方向の一端部20aの近傍の位置には、平面視略矩形状の取付孔26が1個形成されている。この取付孔26は、長手方向の長さL1(第一開口幅)がナット28の相対する平坦な側面28a,28a間の幅H1(二面幅)以上ナット28の対角頂部28b,28b間の幅H2(対角幅)未満に形成されている。なお、ここでは、取付孔26の長手方向の長さL1は、ナット28の二面幅H1と略同じ長さに形成されている。更に、取付孔26は、幅方向の長さL2(第二開口幅)がボルト27の軸部の径以上ナット28の対角幅H2未満に形成されている。更に、このような形状の取付孔26は、上面部24から内側面部23の中途部まで形成されている。従って、
図11に示すように、取付孔26は、ボルト27の軸部が挿通する挿通部26aと、内側面部23(第二開口幅の両端部)に設けられ、接続部材20とルーバー10とを締結するボルト27を締め付けるナット28が係止される凹状の切欠部26bと、上面部24の長手方向の縁部(第一開口幅の両端部)に設けられ、ナット28が係合される係合縁部26cとを有することになる。
【0066】
ここで、接続部材20は、一対のルーバー10a,10b内に収納された後に、
図10に示すように、一方のルーバー10に、ボルト27及びナット28によって締結されて、取り付けられる。具体的に、ボルト27は、例えば丸頭ボルトやナベボルト等であり、軸部が、ルーバー10の開口部16及び取付孔26の挿通部26aに挿通され、頭部が、ルーバー10の端面部14に係止されている。ナット28は、例えば六角ナット等であり、接続部材20の内部側で内側面部23の切欠部26bに対角頂部28bが係止された状態で、ボルト27に締め付けられている。なお、ボルト27は、六角ボルトや、他の形状、例えば多角形の頭部を有するボルトであっても良い。更に、ナット28は、六角ボルトの他に、多角形状等、角部を有する非円形状のナットであっても良い。
【0067】
更に、ナット28は、
図11に示すように、対角頂部28bが切欠部26bに係止された際に、ナット28の相対する平坦な側面28aが係合縁部26c,26cに係合されている。従って、ナット28は、係合縁部26c,26cによって回転が拘束され、緩み止めされている。即ち、接続部材20は、ボルト27及びナット28の回転止め具としても機能する。
【0068】
更に、
図4に示すように、ルーバー10の上方には、吸音材8が配置されており、ボルト27の頭部は、吸音材8と当接されている。吸音材8は、上述したように、所定の重量と剛性とを有しているので、ボルト27の頭部は、吸音材8の重量によって下方に押圧される。よって、ボルト27は、吸音材8によって回転が拘束され、緩み止めされる。
【0069】
なお、ボルト27の頭部上には、更に、耐水性、耐候性、耐久性に優れたブチルテープ等の粘着テープを貼り付けるようにしても良い。これにより、ボルト27は、この粘着テープによって回転が拘束され、一層緩み止めされる。更に、粘着テープは、ルーバー10の上方に配置されてボルト27の頭部と当接する吸音材8をボルト27から保護し、吸音材8の吸音率が低下することを防止する。なお、粘着テープは、ブチルテープに限定されるものではなく、耐水性、耐候性、耐久性に優れたものであれば如何なるものでも良い。
【0070】
更に、このようなボルト27は、作業員が手に持って接続部材20を摺動させる際に操作部として機能する。これにより、作業者は、容易に接続部材20を前進及び後退操作することが出来る。
【0071】
なお、接続部材20は、鋼板を折り曲げ成形して形成されることに限定されるものではなく、当接部22が側面部21の基端側の端部の内側に設けられ、内側面部23が当接部22の端部の内側に設けられ、上面部24が内側面部23,23間に設けられていれば良く、例えば、複数個の構成部品から成り、これらの構成部品を溶接して形成されたり、樹脂成形によって形成されたり、切削加工によって削り出して形成されたり等、他の製造方法で形成されるようにしても良い。
【0072】
<4.接続方法>
接続部材20によって、高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bを接続するにあたっては、
図12に示すように、先ず、接続部材20に、ボルト27及びナット28を仮止めする。具体的に、ボルト27の軸部を、接続部材20の上方から、接続部材20の取付孔26の挿通部26aに挿通させて、ナット28を、接続部材20の内部側でナット28が脱落しない程度、ボルト27に軽く締め付ける。
【0073】
次いで、ボルト27及びナット28が仮止めされた接続部材20をルーバー10内に収納する。具体的に、ボルト27を上方に引き上げて、ボルト27と接続部材20の当接部22との間にルーバー10の端面部14が挿入可能な隙間を形成した状態で、ルーバー10の一端部10cから、接続部材20の一端部20aを挿入端として、接続部材20をルーバー10内に挿入する。このとき、接続部材20は、側面部21の全体を、
図9中の矢印A1に示すように、側面部21と当接部22とのコーナ部周辺を支点に内部側に撓ませて、ずれ止め部25を、ルーバー10の先端面13aの内面に当接させて、ルーバー10内に収納させる。すると、ボルト27は、軸部が、ルーバー10の開口部16及び接続部材20の取付孔26に挿通された状態となる。
【0074】
次いで、
図12に示すように、ルーバー10内に収納されている接続部材20を、ボルト27を操作部として用いて、接続部材20の他端部20bが隣り合うルーバー10の他端部10dと接触しないように、内部側へ摺動させて後退させる。次いで、接続部材20が内部に収納されたルーバー10を、横梁5の下側フランジ部7の下面に、長手方向を高架道路等2の長手方向に向けて、高架道路等2の道路幅方向に複数個敷設すると共に、これらの長手方向にも更に複数個敷設し、ルーバー取付治具によって下側フランジ部7に取り付ける。このとき、長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bの一方のルーバー10aの一端部10cと他方のルーバー10bの他端部10dとを、例えば10mm程度の所定の間隔をあけて対向配置させる。
【0075】
次いで、接続部材20を、ボルト27を操作部として用いて、他方のルーバー10b側へ摺動させて、接続部材20の他端部20bを、他端部10dから他方のルーバー10b内に挿入させる。次いで、接続部材20を更に摺動させて、
図4に示すように、接続部材20のずれ止め部25を、一方のルーバー10aの一端部10cと他方のルーバー10bの他端部10dとの間の間隙11の略中央部に配置させる。これにより、接続部材20は、側面部21の先端部の略中央部に設けられているので、一方のルーバー10aと他方のルーバー10bとでほぼ等しく収納されるように設けられる。このとき、接続部材20は、一方のルーバー10aの先端面13aの内面に当接されていたずれ止め部25と当該ルーバー10aの先端面13aの内面との当接状態が解除され、
図10に示すように、側面部21が、外部側に復元されてルーバー10の側面部12の内面と当接されると共に、ずれ止め部25が、ルーバー10の先端面13aと正面視で重なるように設けられる。
【0076】
次いで、ボルト27及びナット28の本締めを行う。具体的に、
図10及び
図11に示すように、ボルト27の頭部を、一方のルーバー10aの端面部14に係止させ、ナット28の対角頂部28bを接続部材20の内部側で切欠部26bに係止させて、相対する平坦な側面28aを係合縁部26cに係合させて回り止めさせた状態で、ボルト27を本締めする。すると、接続部材20には、当接部22がルーバー10の端面部14の内面に圧接された状態で、ルーバー10が固定される。次いで、ボルト27の頭部上に、粘着テープを貼り付ける。
【0077】
以上のようにして、接続部材20は、高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bを接続させる。次いで、横梁5に、吸音材8及び背面板9を取り付け、吸音システム1を設ける。
【0078】
なお、本発明のルーバーの接続方法は、ルーバー10を下側フランジ部7に取り付けた後に、接続部材20を摺動させて長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bを接続することに限定されるものではなく、長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bを接続させながら取り付けるようにしても良い。この場合、例えば、ボルト27及びナット28が仮止めされた接続部材20を、ずれ止め部25をルーバー10内に収納させずに、一端部20aだけをルーバー10内に収納する。次いで、接続部材20の一端部20aだけが収納され、他端部20bが露出された一方のルーバー10aを下側フランジ部7に取り付ける。次いで、
図13に示すように、他方のルーバー10b内に、一方のルーバー10aの接続部材20の露出された他端部20bを挿入させながら、他方のルーバー10bを下側フランジ部7に敷設して取り付ける。このとき、一方のルーバー10aの一端部10cと他方のルーバー10bの他端部10dとを、例えば10mm程度の所定の間隔をあけて対向配置させる。その後、接続部材20を摺動させて、接続部材20のずれ止め部25を、一方のルーバー10aの一端部10cと他方のルーバー10bの他端部10dとの間の間隙11の略中央部に配置させる。以上のようにしても、接続部材20は、高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10bを接続することが出来る。
【0079】
<5.効果>
本発明によれば、接続部材20が高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー10a,10b内に摺動可能に収納されているので、接続部材20によってこれら一対のルーバー10a,10bを接続することが出来る。
【0080】
更に、本発明は、取付孔26が形成された上面部24が開口部16に対向するように、接続部材20がルーバー10内に収納され、ボルト27が一方のルーバー10aの開口部16及び取付孔26の挿通部26aに挿通されて、ナット28が締め付けられることで、接続部材20を当該ルーバー10aに取り付けることが出来る。従って、本発明によれば、ルーバー10の開口部16にボルト27及びナット28を設置することが出来、従来のようにルーバー10に別途長孔等を形成する必要がないので、従来よりも容易且つ安価に製作することが出来ると共に、ルーバー10の機械的強度が低下することを防止出来る。
【0081】
更に、本発明によれば、ナット28は、対角頂部28bが切欠部26bに係止された際に、ナット28の相対する平坦な側面28aが係合縁部26c,26cに係合されている。従って、本発明によれば、係合縁部26c,26cによってナット28の回転が拘束され、ナット28が緩むことを防止出来る。
【0082】
更に、本発明によれば、ルーバー10の上方には、吸音材8が配置されており、ボルト27の頭部は、吸音材8と当接され、吸音材8の重量によって下方に押圧されている。従って、本発明によれば、吸音材8によってボルト27の回転が拘束され、ボルト27が緩むことを防止出来る。
【0083】
<6.変形例>
なお、
図14及び
図15に示すように、ボルト27とナット28とを、逆に配置しても良い。この場合、ボルト27は、六角ボルトを用いるのが好ましく、頭部の対角頂部27bが接続部材20の内部側で切欠部26bに係止されると共に、相対する平坦な側面27aが一対の係合縁部26c,26cによって係合される。従って、ボルト27は、係合縁部26c,26cによって回転が拘束され、緩み止めされる。更に、六角ボルトを締め付けるナット28は、座金を介して一方のルーバー10aの端面部14に係止されている。以上のようにして、接続部材20によって、接続部材20の当接部22がルーバー10の端面部14の内面に圧接された状態で、ルーバー10を固定するようにしても良い。
【0084】
更に、ルーバー10は、横梁5の下側フランジ部7に取り付けられるものに限定されるものではなく、高架道路等2の裏面側に、高架道路等2の道路幅方向に間隔をあけて、長手方向に略水平に設置された縦梁の下側フランジ部に取り付けられるようなものでも良い。このとき、ルーバー10は、長手方向を高架道路等2の道路幅方向に向けて、高架道路等2の道路幅方向に複数個敷設される。
【0085】
更に、接続部材20は、当接部22が側面部21の基端側の端部の内側に設けられ、内側面部23が当接部22の端部の内側に設けられ、上面部24が内側面部23,23間に設けられていれば良く、ルーバー10と略相似形状となっていることに限定されるものではない。例えば、接続部材20は、
図16乃至
図18に示すように、側面部23及び上面部24を湾曲状に設けても良い。このような接続部材20は、例えば、鋼板を折り曲げ成形して形成されたり、複数個の構成部品から成り、これらの構成部品を溶接して形成されたり、樹脂成形によって形成されたり、切削加工によって削り出して形成される。なお、これらの製造方法は、あくまで一例であり、これらの製造方法に限定されるものではない。従って、このような接続部材20は、上述したルーバー10と略相似形状となっているものと同様の作用効果を有することに加え、特に、折り曲げ成形によって製造する際に、容易に製造することができる。以上のようにして、接続部材20によって、接続部材20の当接部22がルーバー10の端面部14の内面に圧接された状態で、ルーバー10を固定するようにしても良い。
【0086】
<7.回転止め具>
ところで、上述した接続部材20は、取付孔26に切欠部26bと係合縁部26cとを設けることで、ボルト27及びナット28の共回り防止を図っている。このような接続部材20の考え方は、更に次のような回転止め具に適用することが出来る。ここでは、一対の被締結部材30,30を締結する締結部材40の回転を拘束し、回転止めを行う回転止め具50について説明する。なお、
図19に示すように、回転止め具50によって、一対の筒状部材30,30を締結するボルト40a及びナット40bのボルト40aの回転を拘束し、共回り等の意図しない回転防止を行う場合を例に説明する。
【0087】
ボルト40a及びナット40bによって締結される筒状部材30は、例えば、
図20に示すように、断面略矩形状の長尺部材である。この筒状部材30の一端部30aには、他の筒状部材30の他端部30bに嵌合する嵌合部31が形成されている。この嵌合部31は、筒状部材30の内周面30cに対して略相似形状となっており、内周面30cよりも、例えば肉厚分だけ小さく設けられている。更に、嵌合部31の相対する一対の面、例えば上面31a及び底面31bには、六角ボルト等のボルト40aの軸部が挿通される挿通孔32が形成されている。更に、筒状部材30の他端部30bの相対する一対の面、例えば上面30d及び底面30eには、他の筒状部材30の嵌合部31が嵌合された際にこの他の筒状部材30の挿通孔32に対応する位置に、軸線を一致させて貫通孔33が形成されている。
【0088】
回転止め具50は、
図19に示すように、筒状部材30の上面30dに取り付けられて、ボルト40aの頭部と係合し、ボルト40aの回転を拘束して、回転止めを行う。具体的に、回転止め具50は、
図21(A)及び
図21(B)に示すように、筒状部材30の上面30dに当接する当接部51と、当接部51の内側の端部が折曲形状に設けられた内側面部52と、内側面部52,52間に設けられた上面部53とを有している。
【0089】
更に、回転止め具50は、回転止め具50自体が筒状部材30に対して回転することを防止する回転規制部として、当接部51の外側の端部が内側面部52と反対側に向かって曲がった折曲形状に設けられた係合片54を有している。この係合片54は、
図19に示すように、当接部51が筒状部材30の上面30dに当接されて回転止め具50が筒状部材30に取り付けられた際に、筒状部材30の側面部30fに係合し、回転止め具50自体が筒状部材30に対して回転することを防止する。
【0090】
更に、
図21(A)及び
図21(B)に示すように、上面部53の長手方向の略中央部には、平面視略矩形状の取付孔55が形成されている。この取付孔55は、長手方向の長さL3(第一開口幅)がボルト40aの頭部の相対する平坦な側面40c,40c間の幅H3(二面幅)以上ボルト40aの頭部の対角頂部40d,40d間の幅H4(対角幅)未満に形成されている。なお、ここでは、取付孔55の長手方向の長さL3は、ボルト40aの頭部の二面幅H3と略同じ長さに形成されている。更に、取付孔55は、幅方向の長さL4(第二開口幅)がボルト40aの軸部の径以上ボルト40aの頭部の対角幅H4未満に形成されている。更に、このような形状の取付孔55は、上面部53から内側面部52の中途部まで形成されている。従って、取付孔55は、ボルト40aの軸部が挿通する挿通部55aと、内側面部52(第二開口幅の両端部)に設けられ、ボルト40aの頭部の対角頂部40dが係止される凹状の切欠部55bと、上面部53の長手方向の縁部(第一開口幅の両端部)に設けられ、ボルト40aの頭部の相対する平坦な側面40cが係合される係合縁部55cとを有することになる。
【0091】
このような回転止め具50は、係合片54を筒状部材30の側面部30fに係合させた状態で、筒状部材30の上面30dに取り付けられる。従って、回転止め具50自体が筒状部材30に対して回転することを防止することが出来る。
【0092】
従って、一対の筒状部材30,30は、先ず、
図19に示すように、一方の筒状部材30の一端部30aの嵌合部31が他方の筒状部材30の他端部30bに嵌合される。次いで、回転止め具50の係合片54を筒状部材30の側面部30fに係合させた状態で、回転止め具50を、筒状部材30の上面30dに取り付ける。次いで、
図22に示すように、ボルト40aの軸部を、取付孔55の挿通部55a、他方の筒状部材30の上面30dの貫通孔33、一方の筒状部材30の嵌合部31の上面31aの挿通孔32、一方の筒状部材30の嵌合部31の底面31bの挿通孔32、他方の筒状部材30の底面30eの貫通孔33の順に挿通させる。次いで、
図19及び
図22に示すように、ボルト40aの頭部の対角頂部40dを切欠部55bに係止させると共に、ボルト40aの頭部の相対する平坦な側面40cを係合縁部55cに係合させた状態で、筒状部材30の底面30e側で六角ナット等のナット40bを締め付ける。以上のようにして、一対の筒状部材30,30をボルト40a及びナット40bによって締結して連結させる。
【0093】
従って、回転止め具50は、係合片54が筒状部材30の側面部30fに係合されて、回転止め具50自体が回転することが防止されると共に、係合縁部55cによって、ボルト40aの頭部の相対する平坦な側面40cが係合されることで、一対の筒状部材30,30を締結するボルト40aの回転を拘束して意図しない回転を止めることが出来る。
【0094】
なお、回転止め具50は、更に、係合片54を筒状部材30の側面部30fに係合させた状態で、筒状部材30の上面30dに、粘着テープや粘着剤等から成る粘着層によって貼り付けるようにしても良い。これにより、更に、回転止め具50自体が筒状部材30に対して回転することを防止出来る。
【0095】
更に、ボルト40aとナット40bとを、逆に配置をしても良い。この場合、回転止め具50は、
図21(B)に示すように、ナット40bの対角頂部40dを切欠部55bに係止させ、ナット40bの相対する平坦な側面40cを係合縁部55cに係合させる。これにより、回転止め具50は、ナット40bの回転を拘束し、共回りなどの意図しない回転を防止することが出来る。
【0096】
更に、回転止め具50は、切欠部55bを設けることに限定されるものではなく、
図23(A)及び
図23(B)に示すように、切欠部55bを設けずに、取付孔55の幅方向の長さL4(第二開口幅)をボルト40aの頭部又はナット40bの対角幅H4以上に形成し、ボルト40a又はナット40bの回転を拘束し、共回りなどの意図しない回転を防止するようにしても良い。この場合、
図23(B)及び
図24に示すように、一対の筒状部材30,30をボルト40a及びナット40bによって締結した後に、回転止め具50を、係合片54を筒状部材30の側面部30fに係合させて、ボルト40aの頭部の相対する平坦な側面40c又はナット40bの相対する平坦な側面40cを係合縁部55cに係合させた状態で、筒状部材30の上面30dに粘着層56によって貼り付けるようにすれば良い。これにより、回転止め具50は、筒状部材30に後付けすることが出来、既に筒状部材30等を締結しているボルト40a及びナット40bの回転を拘束し、回転止めを行うことが出来る。
【0097】
更に、切欠部55bのない回転止め具50は、
図25に示すように、ボルト40aの頭部又はナット40bの対角頂部40dを当接部51に係止させるようにしても良い。具体的には、取付孔55は、切欠部55bを設けずに、幅方向の長さL4(第二開口幅)をボルト40aの軸部の径以上ボルト40aの頭部又はナット40bの対角幅H4未満に形成する。これにより、回転止め具50は、粘着層56によって貼り付けることなく、筒状部材30に取り付けることが出来る。
【0098】
更に、回転止め具50は、
図26(A)及び
図26(B)に示すように、内側面部52と上面部53とを設けずに、当接部51に取付孔55を形成するようにしても良い。このとき、取付孔55の幅方向の長さL4(第二開口幅)は、ボルト40aの頭部又はナット40bの対角幅H4以上に形成する。このような場合であっても、回転止め具50は、
図26(B)に示すように、係合縁部55cによって、ボルト40a及びナット40bの回転を拘束し、意図しない回転、特に共回りを防止することが出来る。更に、回転止め具50は、筒状部材30に後付けすることが出来、既に筒状部材30等を締結している既存のボルト40a又はナット40bの回転を拘束することも出来る。
【0099】
更に、回転止め具50は、係合片54を設けることに限定されるものではなく、
図27乃至
図29に示すように、係合片54を設けずに、粘着層56だけで、回転止め具50自体が回転することを防止するようにしても良い。即ち、
図27に示す回転止め具50は、
図21(A)に示す回転止め具50に係合片54を設けずに、粘着層56だけで、回転止め具50自体が回転することを防止するようにしたものである。
図28に示す回転止め具50は、
図23(A)に示す回転止め具50に係合片54を設けずに、粘着層56だけで、回転止め具50自体が回転することを防止するようにしたものである。
図29に示す回転止め具50は、
図26(A)に示す回転止め具50に係合片54を設けずに、粘着層56だけで、回転止め具50自体が回転することを防止するようにしたものである。
【0100】
更に、筒状部材30は、断面略矩形状に限定されるものではなく、円形状、楕円状、円弧状、三角形状、多角形状等、如何なる形状であっても良い。更に、この場合、当接部51を、筒状部材30の外周面の形状と略同じ形状に設けるようにしても良い。これにより、当接部51と筒状部材30の外周面とが密接し、回転止め具50自体が回転することを防止出来る。
【0101】
更に、回転止め具50は、一対の筒状部材30,30を締結するボルト40a及びナット40bの回転を拘束して共回り等の意図しない回転を防止することに限定されるものではなく、例えば、筒状部材30と板状部材や、板状部材同士等を締結するボルト40a及びナット40bの回転を拘束して回転止めを行うようにしても良く、被締結部材30は如何なる形状の部材であっても良い。
【0102】
更に、回転止め具50は、ボルト40a及びナット40bの回転を拘束することによる回転止めを行うことに限定されるものではなく、例えば、被締結部材30に形成されたネジ穴に螺合することで被締結部材30を締結するボルト40aの回転を拘束して意図しない回転を防止するようにしても良い。
【0103】
更に、回転止め具50は、鋼板を折り曲げ成形して形成されることに限定されるものではなく、例えば、複数個の構成部品から成り、これらの構成部品を溶接して形成されたり、樹脂成形によって形成されたり、切削加工によって削り出して形成されたり等、他の製造方法で形成されるようにしても良い。