特許第5787887号(P5787887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787887
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】液体ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/06 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   F04D13/06 C
   F04D13/06 D
   F04D13/06 H
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-523258(P2012-523258)
(86)(22)【出願日】2010年7月5日
(65)【公表番号】特表2013-501188(P2013-501188A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2010059522
(87)【国際公開番号】WO2011015413
(87)【国際公開日】20110210
【審査請求日】2012年4月6日
(31)【優先権主張番号】102009028310.2
(32)【優先日】2009年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ハイン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ハイアー
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−205246(JP,A)
【文献】 特開2006−009819(JP,A)
【文献】 特開2007−205190(JP,A)
【文献】 特開2006−316652(JP,A)
【文献】 特開平02−252998(JP,A)
【文献】 特開2002−155884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/06
F04D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受ピン(13)を有し、該軸受ピン(13)に、滑り軸受ブシュ(12)を有する羽根車(11)が回転可能に支承されている形式の、液体ポンプ(1)のロータを形成する方法において、
前記羽根車(11)と前記滑り軸受ブシュ(12)とを、同じ基本材料より一体的に構成し、前記滑り軸受ブシュ(12)の基本材料に、前記軸受ピン(13)における前記滑り軸受ブシュ(12)の滑り特性を改善する別の材料を混入し、前記羽根車(11)の基本材料に、磁気材料を混合するにあたり、
第1の射出成形工程で前記滑り軸受ブシュ(12)が製造され、前記滑り軸受ブシュ(12)の溶融物が完全に硬化する前に、第2の射出成形工程において羽根車(11)が射出されて、滑り軸受ブシュ(12)と共に溶融され、それによって一体的な構成部分が形成されることを特徴とする、液体ポンプのロータを形成する方法。
【請求項2】
前記別の材料として、ワックス及び/又は炭素粉末を使用する、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記基本材料として、ポリアミド、部分的に結晶した部分的な芳香族ポリアミド又はポリフェニレンスルフィドを使用する、請求項記載の方法。
【請求項4】
前記液体ポンプがウォーターポンプ(1)である、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記磁気材料としてフェライト粉末を使用する、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ポンプ特にウォーターポンプであって、軸受ピンを有しており、該軸受ピンに、滑り軸受ブシュを有する羽根車が回転可能に支承されている形式のもの、並びにこのような液体ポンプ特にウォーターポンプを形成するための方法に関する。
【0002】
従来技術
液体ポンプ特にウォーターポンプは、冷却媒体の循環を確実に行うために、例えば自動車に使用される。この場合、種々異なる型式の液体ポンプが使用される。液体ポンプは、一般的に2つの部分より構成されていて、ポンプ領域とモータ領域とを有している。液体循環させるための及び液体ポンプを駆動するためのインペラとして羽根車が使用される。羽根車は、磁気特性を有するようにするために、一般的にプラストフェライト(Plastoferrit)より形成されている。一般的に、羽根車は滑り軸受ブシュに結合されており、該滑り軸受ブシュは、例えば合成樹脂と結合された圧縮成型炭(Presskohle)より形成されている。それによって羽根車は、滑り軸受ブシュを介して軸受ピンに取り付けられたロータとして使用され、軸受ピンを中心として回転する。
【0003】
羽根車の材料及び滑り軸受ブシュの材料の異なる熱膨張係数に基づいて、しばしば、構成部分の内部応力によって亀裂が生じ、この亀裂は構成部分が故障する原因となる。さらに、このような液体ポンプを製造するには時間がかかる。何故ならば、羽根車を滑り軸受ブシュ上に射出成形法で鋳造する前に、滑り軸受ブシュを、射出成形工具内に入れる必要があるからである。
【0004】
発明の開示
本発明の課題は、改善された液体ポンプを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1に記載した液体ポンプによって、及び請求項8に記載した液体ポンプを構成するための方法によって解決される。本発明のその他の有利な実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明によれば、液体ポンプは軸受ピンを有しており、該軸受ピン上に羽根車が滑り軸受ブシュで以て回転可能に支承されている。羽根車と滑り軸受ブシュとは、基本材料から一体的に構成されているか、又は複数部分より構成されている。さらに、滑り軸受ブシュの基本材料内に、軸受ピンにおける前記滑り軸受ブシュの滑り特性を改善する別の材料が埋め込まれている。
【0007】
本発明による液体ポンプの利点は、羽根車と滑り軸受ブシュとが、同じ基本材料より一体的に構成されているか又は複数部分より構成されているので、同じ材料特性を有している、という点にある。これによって、羽根車と滑り軸受ブシュとは、少なくとも同じ熱膨張係数を有しているので、構成部分の内部応力により亀裂は減少されるか又は避けられる。また、羽根車と滑り軸受ブシュとが、射出成形法で一体的に製造されるので、製造時間並びに製造コストが低減される。
【0008】
本発明の実施態様によれば、滑り軸受ブシュの別の材料は、ワックス及び/又は炭素粉末を含んでいる。別の材料としてワックス及び/又は炭素粉末を滑り軸受ブシュ内に埋め込むことによって、軸受ピンにおける滑り特性が改善される。
【0009】
本発明の別の実施態様によれば、基本材料が、ポリアミド、ポリフタルアミド、部分的に結晶した部分的な芳香族ポリアミド又はポリフェニレンスルフィドを有している。これらの材料は、搬送媒体に対して必要な加水分解耐性を有しているので、使用時に材料が溶解することはない。
【0010】
本発明の別の実施態様によれば、羽根車は磁気材料を有している。この場合、磁気材料は、有利な形式でフェライト粉末を有しており、このフェライト粉末は基本材料内に埋め込まれている。磁気粉末が埋め込まれているので、羽根車は、液体ポンプのロータとして使用され、それによって磁力若しくは駆動力を伝達するために用いられる。
【0011】
本発明の別の実施態様によれば、軸受ピンは特殊鋼より形成されている。それによって軸受ピンは耐腐食性がある。
【0012】
さらに、本発明の別の実施態様によれば、溝として形成された洗浄通路が滑り軸受ブシュ内に配置されている。洗浄通路によって、静圧式及び/又は動圧式の滑り軸受が得られる。この場合、搬送媒体は、滑り軸受のための潤滑剤として用いられる。
【0013】
本発明の別の実施態様によれば、ラビリンスシールが液体ポンプに配置されている。このラビリンスシールによって、液体ポンプのポンプ領域内に発生する不純物が液体ポンプのモータ領域内に達することは阻止される。
【0014】
本発明を以下に図示の実施例を用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ウォーターポンプの概略的な部分断面図である。
図2】洗浄通路を備えた、図1に示したウォーターポンプの概略図である。
【0016】
図1には、ウォーターポンプ1として構成された液体ポンプの概略的な部分断面図が示されている。ウォーターポンプ1は、モータ領域18と、図示していないポンプ領域とを有している。ウォーターポンプ1のモータ領域18は、ポット形の形状を有するハウジング10を有している。ポット形のハウジング10は、有利な形式で射出成形法によって、熱可塑性プラスチック、例えばポリフタルアミド(Polyphthalamide)又はポリフェニレンスルフィド(Polyphenylensulfid)より製造されている。選択的に、ポット形のハウジング10は、それぞれ非磁性材料より製造されている。ウォーターポンプ1は電気的に駆動せしめられるので、ポット形のハウジング10内にロータ19が配置され、ポット形のハウジング10の外に図示していないステータが配置されている。さらに、ポット形のハウジング10は、突起15と、ラビリンスシール14と軸受ピン13とを有している。
【0017】
突起15は、取り付け補助手段としてポット状のハウジング10に配置されていて、ウォーターポンプ1のポンプ領域にモータ領域18を簡単に位置決めするために使用される。ラビリンスシール14は、ウォーターポンプ1のポンプ領域に対してモータ領域18をシールするために、ポット状のハウジング10に設けられた切欠として構成されている。このウォーターポンプ1は自動車に使用され、自動車の内燃機関は射出成形法で製造されるので、鋳物砂の残渣が搬送媒体に達することがある。鋳物砂は残留磁気を有しており、この残留磁気は、電磁操作されるロータ19によって引き寄せられる。ラビリンスシール14によって、少量の鋳物砂を有する搬送媒体が、ポット状のハウジング10とロータ19との間の狭いギャプ内に達し、それによってロータ19がロックされることは阻止される。この場合、ウォーターポンプ1内の搬送媒体は、水とグリコールとの混合物であってよい。軸受ピン13は例えば特殊鋼(ステンレススチール)より成っている。ポット状のハウジング10を射出成形する前に、軸受ピン13は、射出成形工具内の中央に位置決めされ、次いでポット状のハウジング10の熱可塑性プラスチックによって射出成形により包囲される。それによって、軸受ピン13はウォーターポンプ1のポット状のハウジング10に堅固に固定される。
【0018】
ウォーターポンプ1の軸受ピン13に、羽根車11が滑り軸受ブシュ12で以て回転可能に支承されている。羽根車11と滑り軸受ブシュ12とは、同じ基本材料より一体的に又は複数部分より形成されている。基本材料は、有利な形式でポリアミド(PA6)、ポリフタルアミド(PPA)、部分的に結晶した、部分的な芳香族ポリアミド(PA6T/6l)又はポリフェニレンスルフィド(PPS)を有している。さらに、基本材料は、搬送媒体に対して加水分解耐性(Hydrolysebestaendigkeit)を有しているので、材料が使用時に溶解することはない。しかしながら、羽根車11及び滑り軸受ブシュ12のための基本材料としてその他の加水分解耐性を有する材料を使用してもよい。
【0019】
羽根車11は、磁気材料、有利にはフェライト粉末を有している。このような磁気材料が有利な形式で羽根車11の全領域に混入されている。選択的に、その他の磁気粒子又は磁気材料を使用することもできる。羽根車11は、磁気粉末に基づいて磁気特性を有しているので、羽根車11はウォーターポンプ1のロータ19として使用される。また、滑り軸受ブシュ12は別の材料を有しており、この別の材料は軸受ピン13における滑り軸受ブシュ12の滑り特性を高める。特に、この別の材料は、基本材料の滑り面の領域に埋め込まれており、この滑り面によって滑り軸受ブシュ12は軸受ピン13に回転可能に支承されている。別の材料としては、例えばワックス及び/又は炭素粉末が使用される。しかしながら、滑り軸受ブシュ12の滑り特性を改善するために適したその他の材料を使用してもよい。
【0020】
羽根車11と滑り軸受ブシュ12は、射出成形法により製造される。この場合、羽根車11及び滑り軸受ブシュ12は、2段階の射出成形法で製造することができる。第1の射出成形工程で滑り軸受ブシュ12が製造される。この際に、基本材料に別の材料が混合され、それによって射出成形法のための粒状物が生じる。次いで粒状物が射出成形機のホッパーに投入され、粒状物がホッパーからスクリューに引き込まれ、分断かつ剪断される。それによって発生した摩擦熱と、加熱シリンダによって供給された熱とによって、比較的均質な溶融物が得られる。溶融物は高圧下で射出成形機内に射出される。滑り軸受ブシュ12の溶融物が完全に硬化する前に、第2の射出成形工程において羽根車11が射出されて、滑り軸受ブシュ12と共に溶融され、それによって一体的な構成部分が形成される。この場合、羽根車11の粒状物のために、基本材料が磁気材料と混合される。必要に応じて、所定量のその他の材料若しくは磁気材料が基本材料に混合される。選択的に、射出成形法は、1段階の射出成形法で又はその他の態様で行ってもよい。
【0021】
軸受ピン13と滑り軸受ブシュ12との間に、最小の軸受ギャプを提供する狭い滑り嵌め16が設けられている。この狭い滑り嵌め16は、滑り面全体に亘って0.08mmまでの幅を有しており、それによって滑り軸受ブシュ12と軸受ピン13との間に不純物が侵入することはない。さらに、狭い滑り嵌め16に基づき、搬送媒体で濡らされると同時に潤滑されることによって、侵入する鋳物砂による高い摩耗は避けられる。
【0022】
図2に示されているように、狭い滑り嵌め16に追加的に、洗浄通路17を配置することができる。洗浄通路17は溝として形成されていて、滑り軸受ブシュ12に配置されており、それによって、搬送媒体又は冷却水が滑り軸受内に流入するようになっている。洗浄通路17によって、静圧式及び/又は動圧式の滑り軸受が得られる。この場合、搬送媒体は、滑り軸受のための潤滑剤として使用される。これによって、比較的純粋な搬送媒体における利点を有している。さらに洗浄通路17に基づいて、羽根車11は滑り軸受ブシュ12と共に、軸受ピン13に浮動状態で支承される。それによって軸受内の摩擦は著しく低下される。
【0023】
本発明はウォーターポンプ1の1例を用いて示されているが、その他の搬送媒体を有するその他の液体ポンプに使用してもよい。この場合、羽根車11及び滑り軸受ブシュ12は、同じ基本材料より一体的に又は複数部分より構成されている。それによって、羽根車11と滑り軸受ブシュ12とは、ほぼ同じ材料特性を有しているので、構成部分内の内部応力による亀裂は避けられる。さらに、羽根車11及び滑り軸受ブシュ12は、加水分解耐性を有する材料より構成されている。選択的に、滑り軸受ブシュ12及び羽根車111のために、射出成形法により製造されるそれぞれ異なる基本材料を使用してもよいが、その場合、これらの異なる基本材料は、同じ熱膨張係数を有していて、構成部分内の内部応力による亀裂は避けられるものでなければならない。
【符号の説明】
【0024】
1 ウォーターポンプ、 10 ハウジング、 11 羽根車、 12 滑り軸受ブシュ、 13 軸受ピン、 14 ラビリンスシール、 15 突起、 16 滑り嵌め、 17 洗浄通路、 18 モータ領域
図1
図2