(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した発電システム500では、水量が膨大な海や湖が大容量の巨大なダム501として利用されることにより大容量の電力が貯蔵され、必要に応じて水力発電による安定した電力が供給される。その一方で、発電システム500を構築するのに、導水用トンネル502や貯水槽505を地下に施工しなければならず、発電システム500の構成の複雑化を招いている。また、発電システム500では、取水口503から取水された水が導水用トンネル502を介して発電水車504に至るまでの摩擦力等に起因するロスが大きく、発電効率の低下を招くという問題がある。
【0006】
この発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で所定量の電力を貯蔵することができると共に、水力発電による発電効率がよく品質の良好な電力を必要に応じて安定して供給することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の電力貯蔵システムは
、水中に設置される所定容積を有する水槽と、前記水槽内外を連通し、前記水槽の
深さ方向に沿って複数形成された連通路と、前記
各連通路
それぞれに設けられ
た発電機と、前記発電機による電力と異なる電力により駆動されて前記水槽内の水を外部に排出する排水手段とを備え、前記水槽内に溜まった水が前記排水手段により前記水槽外に排出されることにより前記水槽の容積に応じた所定量の電力をいつでも発電できる状態で貯えておき、必要に応じて、前記連通路を介して前記水槽内に流入する水の水力により前記発電機による発電が行われることで、貯蔵された電力が水力発電による電力に変換されて外部に供給されることを特徴としている。
また、本発明の電力貯蔵システムは、水中に設置される所定容積を有する水槽と、前記水槽内外を連通して形成された連通路と、前記連通路に設けられた発電機と、前記発電機による電力と異なる電力により駆動されて前記水槽内の水を外部に排出する排水手段と、前記水槽を主水槽として該主水槽に近接して水中に設置される補助水槽と、前記補助水槽内外を連通して形成された流水路と、前記流水路に設けられ、前記主水槽の前記発電機を主発電機として、前記補助水槽内外の水圧差により駆動する補助発電機とを備え、前記水槽内に溜まった水が前記排水手段により前記水槽外に排出されることにより前記水槽の容積に応じた所定量の電力をいつでも発電できる状態で貯えておき、必要に応じて、前記連通路を介して前記水槽内に流入する水の水力により前記発電機による発電が行われることで、貯蔵された電力が水力発電による電力に変換されて外部に供給され、前記補助発電機は、前記主水槽に所定水位以上の水が貯留されて前記主発電機の出力が所定電力以下となったときに、前記補助水槽内の水面と前記補助水槽外の水面との間の圧力差に応じた発電を行うことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の電力貯蔵
システムは、
上端部に開口が設けられ、水中に設置される所定容積を有する水槽
と、前記開口を開閉自在に閉塞する蓋部材と、前記水槽内外を連通して形成された連通路と、前記連通路に設けられた発電機と、前記発電機による電力と異なる電力により駆動されて前記水槽内の水を外部に排出する排水手段とを備え、前記水槽内に溜まった水
が前記排水手段によ
り前記水槽外に排出
されることにより前記水槽の容積に応じた所定量の電力をいつでも発電できる状態で貯えておき、必要に応じて、
前記連通路を介して前記水槽内に流入する水の水力により前記発電機による発電
が行
われることで、貯蔵
された電力
が水力発電による電力に変換
されて外部に供給
されることを特徴としている。
また、本発明の電力システムは、内面および外面に直交する断面が多角形を複数配列した補強構造を有するケーソンにより形成され、水中に設置される所定容積を有する水槽と、前記水槽内外を連通して形成された連通路と、前記連通路に設けられた発電機と、前記発電機による電力と異なる電力により駆動されて前記水槽内の水を外部に排出する排水手段とを備え、前記水槽内に溜まった水が前記排水手段により前記水槽外に排出されることにより前記水槽の容積に応じた所定量の電力をいつでも発電できる状態で貯えておき、必要に応じて、前記連通路を介して前記水槽内に流入する水の水力により前記発電機による発電が行われることで、貯蔵された電力が水力発電による電力に変換されて外部に供給され、前記水槽は、互いに所定間隔を開けて配列された複数の前記ケーソン内の空間が互いに連通されることにより形成され、前記複数のケーソン間に設けられた弾性部材により、前記複数のケーソン間の空間がシーリングされていることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、水中に設置される所定容積を有する水槽に当該水槽内外を連通して形成された連通路に発電機が設けられ、連通路を介して外部から水槽内に流入する水の水力により発電機による発電が行われる。したがって、蓄電池やキャパシタのような電気エネルギーの形で蓄えるものや、従来の水力発電の構成と比べると、水槽を水中に設置することにより、簡単な構成で水槽の容積に応じた所定量の電力をいつでも発電できる態勢で貯えておくことができ、常時発電システムのほか、非常用電源としても非常に有効であり、しかも、発電機に水を導水するための連通路の長さが従来と比較すると非常に短いのでロスが少なく、高い発電効率で、電圧変動や周波数変動の極めて少ない高品質の電力を必要に応じて安定して供給することができる。
【0010】
また、
連通路を介して水槽外から水槽内へと水が流入することにより発電機による発電が行われると、水槽内の水位が上昇して水槽内外の水圧差が小さくなって電力の貯蔵量が小さくなる。しかしながら、水槽内に溜まった水が排水手段により水槽外に排出されることにより、水槽内の水位が下がって水槽内外の水圧差が大きくなるので、水槽の容積に応じた所定量の電力を再度貯蔵することができる。また、発電機による電力と異なる電力により排水手段が駆動されて電力が貯蔵され、貯蔵された電力が、最も安定して電力を供給することができる水力発電による電力に変換されて外部に供給される。したがって、一旦、排水手段が駆動されて電力が貯蔵された後、水力発電による電力に変換されて外部に供給されることで、不安定な状態の電力を平準化して安定した状態で外部に供給することができる。
【0011】
また、前記水槽は、上端部が水面から露出するように水中に設置され、前記連通路は、前記水槽の底部近傍に形成され、前記発電機は、前記水槽内外の水圧差により駆動されるようにするとよい。
【0012】
このように構成すると、上端部が水面から露出するように水中に設置される所定容積を有する水槽の底部近傍において、水槽内外を連通して形成された連通路を介して外部から水が水槽内に流入することによって、当該連通路に設けられた水槽内外の水圧差により駆動する発電機により、水槽内の水面と水槽外の水面との間の圧力差に応じた発電が行われる。したがって、従来の水力発電の構成と比べると、水槽を水中に設置するという簡単な構成で高い発電効率で、電圧変動や周波数変動の極めて少ない高品質の電力を必要に応じて安定して供給することができる。
【0013】
また、前記排水手段が、前記発電機による発電が行われる時間帯と異なる時間帯に駆動されるとよい。このようにすると、排水手段が、例えば、他のエネルギーを用いた発電所の夜間の余剰電力により駆動されることにより、余剰電力を電力貯蔵システムに備蓄することができる。
【0014】
また、マイクロ波帯の電磁波を受信するための受信アンテナを備え、他の発電装置から送信されたマイクロ波帯の電磁波を前記受信アンテナにより受信して生成された電力により前記排水手段が駆動されるようにするとよい。
【0015】
このように構成すると、例えば他の発電装置で生成された電力がマイクロ波帯の電磁波に変換されて送信されたものを受信アンテナにより受信して生成された電力により排水手段が駆動されることにより、他の発電装置で生成された電力を
電力貯蔵システムに貯蔵することができる。
【0016】
また、例えば、他の発電装置として、宇宙空間に設置された太陽光発電装置から送信されたマイクロ波帯の電磁波が受信アンテナで受信されることにより生成される電力の状態は、太陽光発電装置により生成される電力の電圧変動の状態や、受信アンテナによる電磁波の受信状態等に影響を受けるが、当該電力を用いて排水手段が駆動されることによって一旦電力が貯蔵されることにより、水力発電による電力に変換されて平準化された安定した状態の電力が外部に供給されるので実用的である。
【0017】
また、例えば、宇宙空間に反射鏡や反射アンテナ等のマイクロ波帯の電磁波を反射する反射手段が設置されている場合には、次のような効果を奏することができる。すなわち、他の発電装置として、遠隔地に設置された他の
電力貯蔵システムにより生成された電力がマイクロ波帯の電磁波に変換されて送信されたものを、宇宙空間に設置されている反射手段を介して受信アンテナにより受信して生成された電力により排水手段が駆動されることにより、遠隔地に設置された
電力貯蔵システムで生成された電力を
電力貯蔵システムに貯蔵することができる。
【0018】
また、前記受信アンテナは、水面から露出する前記水槽の上端部に配置されているとよい。
【0019】
受信アンテナが、水面から露出する水槽の上端部に配置されることにより、受信アンテナの配置場所を新たに確保しなくてもよいので、
電力貯蔵システムの省スペース化を図ることができる。また、受信アンテナが水槽の上端部に配置されることにより、受信アンテナによりマイクロ波帯の電磁波が受信されることにより生成される直流電力が、排水手段を駆動するのに使用されるときの当該直流電力の伝送距離を短くすることができるので、当該直流電力の伝送損失を小さくすることができる。
【0020】
また、排水手段は、再生可能エネルギーにより生成された電力により駆動されるとよい。
【0021】
このように構成すると、太陽エネルギーや水力、風力、潮力、波力、海流、地熱、バイオ燃料、バイオマス等の再生可能エネルギーにより生成された電力によって排水手段が駆動されて水槽内の水が水槽外に排出されることにより、水槽の容積に応じた所定量の電力が
電力貯蔵システムに貯蔵される。そして、
電力貯蔵システムにおいて貯蔵された電力は、再生可能エネルギーを利用した発電方法のうち、最も安定して電力を供給することができる水力発電による電力に変換されて外部に供給される。したがって、例えば、水力以外の再生可能エネルギーを利用して生成された電力が、電圧変動や周波数変動等が生じることにより不安定な状態であっても、一旦、当該不安定な電力により排
水手段が駆動されることにより水槽内の水が外部に排出されて電力が貯蔵された後、水力発電による電力に変換されて外部に供給されることで、不安定な状態の電力を平準化して安定した状態で外部に供給することができる。
【0022】
また、前記再生可能エネルギーは、太陽光または風力であるとよい。
【0023】
このように構成すると、日照時間や天候等による影響を受ける太陽光発電による電力や、風の状態による影響を受ける風力発電による電力は、電圧変動や周波数変動等が生じ不安定な状態である蓋然性が高いが、当該電力により排水手段が駆動されることによって
電力貯蔵システムに電力が一旦貯蔵されることで水力発電による電力に変換されて平準化されて安定した状態で外部に電力が供給されるので非常に実用的である。
【0024】
また、前記太陽光により発電を行う太陽光発電パネルが水面から露出する前記水槽の上端部に配置されているとよい。
【0025】
太陽光発電パネルが、水面から露出する水槽の上端部に配置されることにより、太陽光発電パネルの配置場所を新たに確保しなくてもよいので、
電力貯蔵システムの省スペース化を図ることができる。また、太陽光発電パネルが水槽の上端部に配置されることにより、太陽光発電パネルにより生成される直流電力が、排水手段を駆動するのに使用されるときの当該直流電力の伝送距離を短くすることができるので、当該直流電力の伝送損失を小さくすることができる。
【0026】
前記排水手段は、原子力発電により生成された電力により駆動されるとよい。
【0027】
原子力発電は、電力需要に応じた出力調整が難しいという特徴を有するが、例えば電力需要の少ない夜間における余剰電力を用いて排水手段が駆動されることによって、原子力発電の余剰電力が
電力貯蔵システムに貯蔵されるため、原子力発電の余剰電力を備蓄することができるので非常に効率がよい。また、備蓄された余剰電力を、非常時や、電力需要ピーク時等に使用することができるので実用的である。
【0028】
また、前記連通路が前記水槽の深さ方向に沿って複数形成されており、前記各連通路それぞれに前記発電機が設けられているとよい。
【0029】
このように構成すると、各連通路を介して水が流入して水槽の水位が上昇するのに応じて深さ方向に沿って水槽に設けられた各発電機それぞれの出力が変化するので、水槽に貯留された水の水位の変化に応じて各発電機の駆動状態が制御されることにより、水槽の水位が変化しても
電力貯蔵システムの出力をほぼ一定にすることができる。例えば、水槽の水位が上昇するのに応じて、水槽の最も深い位置に設けられた発電機から浅い位置に設けられた発電機に向かって順次発電機が駆動されるようにするとよい。
【0030】
また、前記水槽を主水槽として該主水槽に近接して水中に設置される補助水槽と、前記補助水槽内外を連通して形成された流水路と、前記流水路に設けられ、前記主水槽の前記発電機を主発電機として、前記補助水槽内外の水圧差により駆動する補助発電機とをさらに備え、前記補助発電機は、前記主水槽に所定水位以上の水が貯留されて前記主発電機の出力が所定電力以下となったときに、前記補助水槽内の水面と前記補助水槽外の水面との間の圧力差に応じた発電を行うとよい。
【0031】
このように構成すると、主水槽に所定水位以上の水が貯留されて主発電機の出力が所定電力以下となったときに、流水路を介して補助水槽内に水が流入することにより補助水槽内の水面と補助水槽外の水面との間の圧力差に応じた発電が補助発電機により行われるので、主発電機の出力に補助発電機の出力を加えることで、常に一定出力の電力を安定して供給することができる。
【0032】
また、原子力発電所が設置されている海岸線付近の海中に水槽が設置されることにより、原子力発電所の非常用電源として
電力貯蔵システムが使用されるとよい。
【0033】
このように構成すると、地上に設置された非常用電源システムと比較すると、海中に
電力貯蔵システムが設置されているので津波等の水害に対して非常に堅牢であり、非常時に原子力発電所に対して安定して電力を供給することができる。また、水槽の高さ・幅・奥行が適切に設定されることにより、従来の非常用電源システムと比較すると、
電力貯蔵システムを非常用電源として非常に長時間駆動することが可能であるため、原子力発電所の安全性の向上を図ることができる。
【0034】
また、前記水槽の上端部に開口が設けられているとよい。
【0035】
このように構成すると、例えば、水槽の高さ・幅・奥行が適切に設定されて海岸線付近の海中に水槽が設置されていれば、津波が発生した場合に、該津波を上端部の開口から水槽内に落とし込むことができるので、津波による陸上設備に対する被害の低減を図ることができる。また、津波のエネルギーは、津波が上端部の開口から水槽内に落とし込まれる際に水槽内壁に打ち付けられることにより熱エネルギーに変換されるので、非常に効率よく津波のエネルギーを消費することができる。
【0036】
また、前記開口を開閉自在に閉塞する蓋部材をさらに備えていてもよい。
【0037】
このように構成すると、通常時は蓋部材により水槽の上端部に設けられた開口を閉塞することにより、水槽内に海水や雨水、ごみ等が浸入するのを防止することができる。また、水槽が海中に配置されている場合に、高潮や津波の際に蓋部材を移動させて開口を解放することにより、海水を水槽内に落とし込むことができるので、高潮や津波による陸上設備に対する被害の低減を図ることができる。
【0038】
また、前記水槽がケーソンにより形成されており、前記ケーソンは、内面および外面に直交する断面が多角形を複数配列した補強構造を有するようにするとよい。
【0039】
このように構成すると、水槽をケーソンで形成することにより、ケーソンをユニット化して水槽を形成することができるので、水槽のコストダウン化を図ることができる。また、ケーソンの内面と外面との間を中空に構成し、内面および外面に直交する断面が多角形を複数配列した補強構造を有するようにケーソンを形成することにより、ケーソンの強度を維持したままでケーソンの軽量化を図ることができる。また、ケーソンをユニット化して水槽を形成することにより、工期の短縮を図ることができる。
【0040】
また、複数の前記ケーソン内の空間が互いに連通されて前記水槽が形成されていてもよい。
【0041】
このようにすれば、ユニット化されたケーソンが複数組み合わされて水槽が形成されることにより、ケーソンの数を変更することにより水槽の容積を容易に変更することができる。
【0042】
また、前記複数のケーソンが互いに所定間隔を開けて配列され、前記各ケーソン間に設けられた弾性部材をさらに備え、前記各ケーソン間の空間が前記弾性部材によりシーリングされていてもよい。
【0043】
このように構成すると、各ケーソン間にゴム等の弾性部材が設けられることにより、弾性部材により振動を減衰することができるので、
電力貯蔵システムの耐震性の向上を図ることができる。また、各ケーソン間の空間が弾性部材によりシーリングされているので、シーリングされた各ケーソン間の空間において各ケーソンの外面を検査することができるので、
電力貯蔵システムのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0044】
また、前記水槽の下方の岩盤中に設けられた固定部材と、前記固定部材と前記水槽とを連結する連結部材とをさらに備えるとよい。
【0045】
このように構成すると、水槽の下方の岩盤中に設けられた固定部材と水槽とが連結部材で連結されることにより、例えば水槽が軽量化されたケーソンで形成されている場合でも、水槽を確実に固定することができる。
【0046】
また、マイクロ波帯の電磁波を送信するための送信アンテナを備え、前記発電機による発電が行われて生成された電力をマイクロ波帯の電磁波に変換して前記送信アンテナを用いて送信するようにしてもよい。
【0047】
このように構成すると、
電力貯蔵システムで生成された電力をマイクロ波帯の電磁波に変換することにより送信アンテナを用いて他の
電力貯蔵システムに送信することができる。例えば、宇宙空間に反射鏡や反射アンテナ等のマイクロ波帯の電磁波を反射する反射手段が設置されている場合には、次のような効果を奏することができる。すなわち、送信アンテナを用いて送信されたマイクロ波帯の電磁波を宇宙空間に設置されている反射手段を介して遠隔地に設置されている他の
電力貯蔵システムに送信することにより、
電力貯蔵システムで生成された電力を遠隔地に設置された他の
電力貯蔵システムに伝送することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、水槽を水中に設置するという簡単な構成で、水槽の容積に応じた所定量の電力を貯蔵することができると共に、発電機に水を導水するための連通路の長さが従来と比較すると非常に短いのでロスが少なく、水力発電による発電効率のよい安定した電力を必要に応じて供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
<第1実施形態>
本発明の
電力貯蔵システムの第1実施形態について
図1〜
図3を参照して説明する。
図1は本発明の
電力貯蔵システムの第1実施形態を示す図、
図2は
図1の
電力貯蔵システムの配置場所の一例を示す図、
図3は太陽光を利用して生成される電力の電圧が変動する様子を示す図である。
【0051】
図1の断面図に示す
電力貯蔵システム1は、海中USに設置された水槽10と、水槽10の底部に形成された連通路11に設けられた発電機20とを備え、水槽10内に連通路11を介して海水が流入するときの水力によって発電機20が備える水車が回転することにより発電が行われる。また、この実施形態では、
電力貯蔵システム1は、原子力発電所100の非常用電源としても使用される。
【0052】
水槽10は、上端部に開口12が設けられた所定容積を有する直方体状に形成されており、上端部が海面SSから露出するように海中USに設置される。この実施形態では、
図2に示すように、水槽10は、幅Wが約2000m、高さHが約200m、長さ(奥行)が数km〜数10kmに形成されて、原子力発電所100が設置されている海岸の沖合の約1kmの位置に海岸線に沿って設置されている。このとき、水槽10は、海底の岩盤BRが掘削されることにより形成された凹部に嵌入されることにより海底に強固に固定配置される。
【0053】
また、この実施形態では、水槽10の内部空間が仕切部材13により複数の空間に仕切られることにより、水槽10の強度の向上が図られている。また、この実施形態では、仕切部材13の方向は、
図2に示すように、例えば海岸線の方向にほぼ直交する津波の進行方向と平行にして仕切部材13が配置されている。このようにすると、津波の圧力に対する水槽10の強度を向上することができる。
【0054】
連通路11は、水槽10の底部において水槽10内外を連通して形成される。
【0055】
発電機20は、連通路10に設けられ、水槽10内外の水圧差に基づいて駆動される。すなわち、発電機20は、圧力水頭を有する流水の水力により回転するフランシス水車、プロペラ水車、斜流水車等の水車を備えている。そして、発電機20は、連通路11を介して水槽10内に流入する海水の水力によって水車が回転することにより、水槽10内の水面と水槽10外の水面との間の圧力差に応じた発電を行う。なお、発電機20の構成は、連通路11を介して水槽10内に流入する海水の水力により発電を行うことができるものであればどのようなものであってもよい。
【0056】
また、発電機20は、水車が発電の際とは反対方向に回転駆動されることにより、水槽10内の水を外部に排出する。
【0057】
この実施形態では、水槽10の上端部の開口12を閉塞するように、マイクロ波帯の電磁波を受信するための受信するための受信アンテナ30が設けられている。また、宇宙空間には、太陽光を受光することにより発電を行う太陽光発電装置200(SPS:Solar Power Satellite)が設置されている。そして、
電力貯蔵システム1では、太陽光発電装置200から送信されたマイクロ波帯の電磁波が受信アンテナ30により受信されることによって生成される電力により、発電機20の水車が発電の際とは反対方向に回転駆動される。
【0058】
なお、連通路11(発電機20)には図示省略されたシャッター手段(水門)が設けられており、必要に応じてシャッター手段が開放、閉塞されることにより、連通路11への海水の流入が許容された状態と、連通路11への海水の流入が禁止された状態とが切り換えられるように構成されている。このように、発電機20が本発明の「排水手段」として機能している。
【0059】
以上のように、この実施形態によれば、上端部が水面から露出するように海中USに設置される所定容積を有する水槽10の底部において、水槽10内外を連通して形成された連通路11を介して外部から海水が水槽10内に流入することによって、当該連通路11に設けられた水槽10内外の水圧差により駆動する発電機20により、水槽10内の水面と水槽10外の水面との間の圧力差に応じた発電が行われる。したがって、水槽10を水中に設置するという簡単な構成で、水槽10の容積に応じた所定量の電力を貯蔵することができると共に、発電機20に海水を導水するための連通路11の長さが従来と比較すると非常に短いのでロスが少なく、高い発電効率で、電圧変動や周波数変動の極めて少ない高品質の水力発電による電力を、季節や気象条件に左右されずに非常に短い準備時間で必要に応じて安定して供給することができる。
【0060】
また、連通路11を介して水槽10外から水槽10内へと海水が流入することにより発電機20よる発電が行われると、水槽10内の水位が上昇して水槽10内外の水圧差が小さくなって電力の貯蔵量が小さくなる。しかしながら、水槽10内に溜まった水が、発電機20の水車が発電の際とは逆方向に回転駆動されることによって水槽10外に排出されることにより、水槽10内の水位が下がって水槽10内外の水圧差が大きくなるので、水槽10の容積に応じた所定量の電力を再度貯蔵することができる。
【0061】
このとき、再生可能エネルギーにより生成された電力により、発電機20の水車が発電の際とは逆方向に回転駆動されるようにするとよい。このように構成すると、太陽エネルギーや水力、風力、潮力、波力、海流、地熱、バイオ燃料、バイオマス等の再生可能エネルギーにより生成された電力によって発電機20の水車が逆方向に回転駆動されて水槽10内の海水が水槽10外に排出されることにより、水槽10の容積に応じた所定量の電力が
電力貯蔵システム1に貯蔵される。そして、
電力貯蔵システム1において貯蔵された電力は、再生可能エネルギーを利用した発電方法のうち、最も安定して電力を供給することができる水力発電による電力に変換されて外部に供給される。したがって、例えば、水力以外の再生可能エネルギーを利用して生成された電力が、電圧変動や周波数変動等が生じることにより不安定な状態であっても、一旦、当該不安定な電力により発電機20が駆動されることにより水槽10内の水が外部に排出されて電力が貯蔵された後、水力発電による電力に変換されて外部に供給されることで、不安定な状態の電力を平準化して安定した状態で外部に供給することができる。
【0062】
この実施形態では、太陽光を利用して生成された電力により発電機20の水車が発電の際とは逆方向に駆動されるように構成されている。すなわち、水槽10の上端部に配置されたマイクロ波帯の電磁波を受信するための受信アンテナ30を備え、宇宙空間に設置されて太陽光を受光することにより発電を行う太陽光発電装置200から送信されたマイクロ波帯の電磁波が受信アンテナ30により受信されることにより、発電機20の水車を発電時とは逆方向に回転駆動してモーターポンプとして機能させるための電力が生成される。
【0063】
したがって、宇宙空間に設置された太陽光発電装置200から送信されたマイクロ波帯の電磁波が受信アンテナ30で受信されることにより生成される電力の状態は、
図3(Susumu Sasaki, et al., "A new concept of solar power satellite:
Tethered-SPS", Acta Astronautica, 60(2006), 153-165)中の●に示すように、太陽光発電パネルに対する太陽光の入射角度の時間変動に基づいて変動する太陽光発電装置200の発電状態や、受信アンテナ30による電磁波の受信状態等に影響を受けるが、当該電力を用いて発電機20が駆動されることによって一旦電力が貯蔵されることにより、水力発電による電力に変換されて平準化された安定した状態の電力が外部に供給されるので実用的である。
【0064】
また、受信アンテナ30が、水面SSから露出する水槽10の上端部に配置されることにより、受信アンテナ30の配置場所を新たに確保しなくてもよいので、
電力貯蔵システム1の省スペース化を図ることができる。また、受信アンテナ30が水槽10の上端部に配置されることにより、受信アンテナ30によりマイクロ波帯の電磁波が受信されることにより生成される直流電力が、発電機20を発電時とは逆方向に駆動するのに使用されるときの当該直流電力の伝送距離を短くすることができるので、当該直流電力の伝送損失を小さくすることができる。
【0065】
ところで、水槽10の上端部には開口が設けられていると共に、水槽10の高さH・幅W・奥行が、8億トン程度の海水であれば確実に収容できるように適切に設定されている。したがって、津波が発生した場合に、水槽10は海岸線付近の岩盤BRに強固に固定配置されているので、津波の圧力に一時的に耐えることができると共に、受信アンテナ30は壊れやすい構造であるため、受信アンテナ30が該津波により破壊されることにより、該津波を上端部の開口12から水槽10内に落とし込むことができるので、津波による陸上設備に対する被害の低減を図ることができる。
【0066】
すなわち、原子力発電所100が設置された海岸線の沖合において約6.8mの波高を有する津波の波長が40.2kmとすると、1mの海岸線に押し寄せる海水量は、約68,300m
3(=6.8m×40.2km×0.5(正弦波)×0.5(上半分))であり、10kmの海岸線には、約6.83億トン(=68,300m
3×10,000m)の海水が押し寄せることになる。しかしながら、水槽10の高さH・幅W・奥行が、8億トン程度の海水であれば確実に収容できるように適切に設定されているので、海岸線に押し寄せた海水を水槽10内に落とし込むことができる。
【0067】
また、このとき、水槽10に津波が衝突したときに、1m当たり、約75.9トンの水圧が水槽10に加わるが、
図1に示すように、水槽10は岩板BRに強固に固定配置されているため、津波の水圧を岩板BRの抗力により確実に受け止めることができる。また、津波は、水深200mの地点において約44.2m/sec((g×h)
1/2=(9.8×200)
1/2)の速度νを有しているが、その津波が有するエネルギーは、海水が水槽10内に落とし込まれるときに水槽10の内壁に海水が打ち付けられて岩盤BRの抗力により海水が受け止められる際に、海水温を上昇させることにより消費される。具体的には、海水に対して1cc(1グラム)あたり、0.69cal(=(ν
2/2+g・h)/4.2(J/cal))のエネルギーを印加して海水温を約0.7℃上昇させることにより、津波のエネルギーが消費される。したがって、津波が水槽10内に落とし込まれることにより、津波のエネルギーが消費されると共に、海岸線に押し寄せる海水が水槽10内に収納されるので、原子力発電所100等の陸上設備に対する津波による被害の低減を確実に図ることができる。
【0068】
また、上記した実施形態では、原子力発電所100が設置されている海岸線付近の海中USに水槽10が設置されることにより、原子力発電所100の非常用電源として
電力貯蔵システム1が使用されている。したがって、地上に設置された非常用電源システムと比較すると、上記したように、海中USに
電力貯蔵システム1が設置されているので津波等の水害に対して非常に堅牢であり、非常時に原子力発電所100に対して安定して電力を供給することができる。
【0069】
また、上記したように、水槽10の高さH・幅W・奥行が、適切に設定されることにより、例えば、1家庭あたり約310kW/hの電力が消費される場合に、約74万世帯の60日分の電力を
電力貯蔵システム1に貯蔵することができるので、従来の非常用電源システムと比較すると、
電力貯蔵システム1を非常用電源として非常に長時間駆動することが可能であるため、原子力発電所100の安全性の向上を図ることができる。
【0070】
また、海水のみを用いて発電を行うことができるので、海洋汚染のおそれがない。
【0071】
また、上記したように、津波が有するエネルギーの大部分は、海水が水槽10内に落とし込まれるときに海水温を上昇させるために消費される。したがって、津波により水槽10が破壊された場合であっても、津波による沿岸の被害を大幅に軽減することができる。
【0072】
また、水槽10の上面と海面SSとがほぼ同一面を形成するように水槽10を海中に配置することにより、地域の観光資源である景観を守り、海洋資源と共生することができる。また、山間に設置される従来の水力発電のダムと異なり、水槽10が海中USに設けられることにより、日照りが続き干ばつの際にも発電することが可能な全天候型の
電力貯蔵システム1を提供することができる。また、高潮や津波などの水害にも強く、災害全般に対して耐性が高い
電力貯蔵システム1を提供することができる。
【0073】
<第2実施形態>
本発明の
電力貯蔵システムの第2実施形態について
図4および
図5を参照して説明する。
図4は本発明の
電力貯蔵システムの第2実施形態を示す図であり、
図5は
図4の
電力貯蔵システムにおける出力を説明するための図である。
【0074】
この実施形態が、上記した第1実施形態と異なるのは、
図4に示すように、
電力貯蔵システム1aが、水槽10を主水槽として、水槽10に近接して設置される補助水槽10aを備えている点である。補助水槽10aは、その容積が水槽10の1/2となるように構成されている。その他の構成は、上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
【0075】
補助水槽10aの底部には、補助水槽10a内外を連通して形成された流水路11aが設けられており、流水路11aには、主水槽10の発電機20を主発電機として、補助水槽10a内外の水圧差により駆動する補助発電機20aが設けられている。そして、補助発電機20aは、水槽10に所定水位以上の水が貯留されて発電機20の出力が所定電力以下となったときに、補助水槽10a内の水面と補助水槽10a外の水面との間の圧力差に応じた発電を行う。
【0076】
水槽10に設けられた発電機20は、
図5中の直線Pに示すように、最大1GWの発電能力を有し、水槽10への注水率yが上がり水槽10内外の水圧差が小さくなるのに比例して出力が小さくなる。そして、この実施形態では、
電力貯蔵システム1aの出力が所定電力(例えば500MW)に設定されており、発電機20の出力が所定電力を超える場合には、発電機20の出力のうち、所定電力に相当する出力(
図5中の領域A)が
電力貯蔵システム1aの出力として出力される。
【0077】
また、発電機20の出力のうち、所定電力を超える余剰電力(
図5中の領域B)を用いて、補助水槽10aの補助発電機20aの水車が発電時とは反対方向に回転駆動されることによって補助水槽10aから海水が外部に排出される電力が貯蔵される。また、水槽10に所定水位以上(注水率yが50%以上)の水が貯留されて発電機20の出力が所定電力以下となったときに、流水路11aを介して補助水槽10a内に海水が流入することにより補助水槽10a内の水面と補助水槽10a外の水面との間の圧力差に応じた発電が補助発電機20aにより行われる。
【0078】
そして、発電機20の出力(
図5中の領域C)に補助発電機の出力(
図5中の領域D)が加算されることにより、出力が所定電力となるように
電力貯蔵システム1aが構成されている。すなわち、水槽10への注水率yが50%より低いときには、発電機20の余剰電力を用いて補助水槽10aから海水が排水されて電力が貯蔵され、水槽10への注水率yが50%以上であるときには、発電機20の出力の不足分が、補助発電機20aにより補助水槽10aへの注水率xに応じた出力で発電される。なお、水槽10への注水率yが50%のときに、補助水槽10aへの注水率xが0%となるように構成するとよい。
【0079】
このように構成すると、水槽10に所定水位以上の海水が貯留されて発電機20の出力が所定電力以下となったときに、流水路11aを介して補助水槽10a内に海水が流入することにより補助水槽10a内の水面と補助水槽10a外の水面との間の圧力差に応じた発電が補助発電機20aにより行われるので、発電機20の出力に補助発電機20aの出力を加えることで、常に一定出力の電力を安定して供給することができる。
【0080】
<第3実施形態>
本発明の
電力貯蔵システムの第3実施形態について
図6を参照して説明する。
図6は本発明の
電力貯蔵システムの第3実施形態を示す図である。
【0081】
この実施形態が、上記した第1実施形態と異なるのは、
図6に示すように、連通路11が水槽10の深さ方向Hに沿って複数形成されており、各連通路11それぞれに発電機20が設けられている点である。その他の構成は、上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
【0082】
このように構成すると、各連通路11を介して海水が流入して水槽10への注水率yが上昇するのに応じて深さ方向Hに沿って水槽10に設けられた各発電機20それぞれの出力が変化するので、水槽10に貯留された海水の水位の変化に応じて各発電機20の駆動状態が制御されることにより、水槽10の水位が変化しても
電力貯蔵システム1の出力をほぼ一定にすることができる。例えば、水槽10の水位が上昇するのに応じて、水槽10の最も深い位置に設けられた発電機20から浅い位置に設けられた発電機20に向かって順次発電機20が駆動されるようにするとよい。
【0083】
<第4実施形態>
本発明の
電力貯蔵システムの第4実施形態について
図7および
図8を参照して説明する。
図7は本発明の
電力貯蔵システムの第4実施形態を示す図、
図8は
図7のケーソンの内部構造を示す図である。また、
図9は
図7の
電力貯蔵システムの海側に形成された盛土を示す図であり、(a)は平面図、(b)は沖合側の正面から見た断面図である。
【0084】
この実施形態が、上記した第1実施形態と異なるのは、
図7の断面図に示すように、
電力貯蔵システム1bの水槽10が、2個のケーソン40内の空間を連通路14により互いに連通することにより形成されている点である。また、各ケーソン40内の空間を連通する連通路14にはシャッター手段と排水ポンプとが配設されている。また、上記した第1実施形態と同様に、海岸からの距離が約500m〜約1kmの位置に海岸線に沿って設置されている。その他の構成は、上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
【0085】
ケーソン40は、この実施形態では鉄により形成されており、幅Wが約200m、高さHが約200m、奥行が約200mの立方体状を有している。また、
図7に示すように、ケーソン40内には、直径が約2mの補強用の柱41が約50m間隔で配設されている。また、
図8に示すように、ケーソン40は、約4m程度の厚みを有する内面42と外面43との間が中空に形成され、内面42および外面43に直交する断面が、多角形が複数配列された補強構造44を有している。なお、この実施形態では、補強構造44はトラス状に形成されているが、ハニカム状に形成されるなど、補強構造44はどのように構成されていてもよい。
【0086】
また、各ケーソン40は互いに所定間隔を開けて配列され、各ケーソン40間にゴム等の弾性部材50が設けられている。また、各ケーソン40間の空間が弾性部材50によりシーリングされている。なお、弾性部材50は、海水に対する腐食耐性等に優れているゴムにより形成するとよい。
【0087】
また、沖合側に配置されたケーソン40(
図7において左側に配置されたケーソン40)の上端部には、ケーソン40の上端部の左側の海に対向する辺に沿って幅が約25mで奥行が約200mの開口12が設けられており、開口12を開閉自在に閉塞するスライドドア45(本発明の「蓋部材」に相当)が配設されている。なお、スライドドア45は、幅が約25mで奥行が約200mの大きさに形成されており、開口12はスライドドア45により常時閉塞されている。そして、必要に応じてスライドドア45が
図7中の矢印方向にスライド移動することにより、開口12が解放される。
【0088】
また、
図7に向って右側の陸地側に配置されたケーソン40に隣接して取水塔60が、ケーソン40と所定間隔を開けて配設される。また、取水塔60の海面SS付近にシャッター手段61に設けられている。そして、シャッター手段61を介して取水塔60内に取り込まれた海水が、発電機20が設けられた連通路11を介してケーソン40内に流入する。なお、取水塔60は、ケーソン40と同様に構成されたケーソンが海中に配置されて形成される。また、ケーソン40と取水塔60との間に弾性部材50が設けられており、ケーソン40と取水塔60との間の空間が弾性部材50によりシーリングされている。
【0089】
また、
図7に示すように、水槽10の下方の岩盤BR中に、シールド工法により形成されたシールドトンネル70(本発明の「固定部材」に相当)が設けられている。また、水槽10(ケーソン40)および取水塔60と、シールドトンネル70とが連結部材71によって連結されることにより、水槽10および取水塔60が固定されている。なお、海水が満杯に貯留された水槽10の重さにより岩盤BRが崩壊するのを防止したり、水槽10(ケーソン40)の浮力に対抗できるように、岩盤BR中の約100m〜約150mの深さの位置にシールドトンネル70が形成されるとよい。例えば比重2の土砂であれば約100mの深さにシールドトンネル70が設けられていればよく、例えば比重1.5の土砂であれば約133mの深さにシールドトンネル70が設けられていればよい。
【0090】
また、水槽10および取水塔60を囲むように防波堤80が配設されている。また、防波堤は杭81により岩盤BRに固定されている。また、防波堤80と、水槽10および取水塔60との間に弾性部材50が配設されている。
【0091】
また、取水塔60の上部にコントロールタワー2が配設されている。そして、各ケーソン40内の空間を連通する連通路14に設けられたシャッター手段や排水ポンプ、連通路11に設けられた発電機20、取水塔60に設けられたシャッター手段61がコントロールタワー2により制御される。
【0092】
また、各ケーソン40の上面に約25mの高さの支持部材31が設けられており、支持部材31上に受信アンテナ30が固定配置されている。なお、支持部材31上に受信アンテナ30に代えて太陽光発電パネルが設けられることにより、太陽光発電パネルにより発電された電力を用いて水槽10内から海水を排水する排水手段が駆動されるようにしてもよい。
【0093】
また、
図9(a),(b)に示すように、水槽10を配置するために岩盤BRが掘削されたときに生じた土砂を利用して、
図9(a)に向って
電力貯蔵システム1bの下側の沖合側の位置に、高潮や津波を水槽10に向けて誘導するための盛土90が形成されている。盛土90は、
図9(a)に示すように、沖合に向って先細りするように形成されると共に、
図9(b)に示すように、沖合側の正面から見て中央部分が盛り上がった山状に形成されている。
【0094】
この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に次のような効果を奏することができる。すなわち、開口12を開閉自在に閉塞するスライドドア45が設けられているので、通常時はスライドドア45により水槽10(ケーソン40)の上端部に設けられた開口12が閉塞されることにより、水槽10内に海水や雨水、ごみ等が浸入するのを防止することができる。
【0095】
また、高潮や津波の際に、水槽10(ケーソン40)の沖合側に設けられているスライドドア45がスライド移動して開口12が解放されることにより、海水を水槽10内に落とし込むことができるので、高潮や津波による陸上設備に対する被害の低減を図ることができる。
【0096】
また、水槽10を鉄製のケーソン40で形成することにより、ケーソン40をユニット化して水槽10を形成することができるので、水槽10のコストダウン化を図ることができる。また、ケーソン40の内面42と外面43との間を中空に構成し、内面42および外面43に直交する断面が多角形を複数配列した補強構造44を有するようにケーソン40を形成することにより、ケーソン40の強度を維持したままでケーソン40の軽量化を図ることができる。したがって、陸上の設備でユニット化されて製造された軽量のケーソン40を海上に輸送して水槽10を形成することにより、工期の短縮を図ることができる。
【0097】
また、ユニット化された2個のケーソン40を組み合わせて、ケーソン40内の空間が互いに連通されて水槽10が形成されているが、ケーソン40の数を変更することにより水槽10の容積を容易に変更することができる。
【0098】
また、2個以上の複数のケーソン40が組み合わされて水槽40が形成されている場合に、次のような効果を奏することができる。すなわち、各ケーソン40内の空間を連通する連通路14にシャッター手段や排水ポンプが設けられているので、シャッター手段を閉じて排水ポンプによる排水を行うことで一部のケーソン40への水の流入を阻止することにより、他のケーソン40を利用して
電力貯蔵システム1bを稼働しながら、水の流入が阻止されたケーソン40の点検を行うことができるので、
電力貯蔵システム1bのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0099】
また、複数のケーソン40のうちの一部が破損したとしても、例えば当該破損ケーソンへの水の流入を阻止することにより、正常な他のケーソン40を利用して
電力貯蔵システム1bを稼働したままで当該破損ケーソンを補修するのみで水槽10を補修することができるので、
電力貯蔵システム1bの堅牢性の向上を図ることができる。また、一部のケーソン40への海水の流入を阻止したり、各ケーソン40の水位を調整することにより、水槽10の容積を容易に変更することができるので、
電力貯蔵システム1bの発電プロファイルを容易に変更することができる。
【0100】
また、各ケーソン40間にゴム等の弾性部材50が設けられることにより、弾性部材50により振動を減衰することができるので、
電力貯蔵システム1bの耐震性の向上を図ることができる。また、各ケーソン40間の空間が弾性部材50によりシーリングされているので、シーリングされた各ケーソン40間の空間において各ケーソン40の外面43を検査することができるので、
電力貯蔵システム1bのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0101】
なお、各ケーソン40間の空間をシーリングする必要がなければ、バネやダンパー等の弾性部材を各ケーソン40間に設けるだけでもよい。このようにしても、弾性部材により振動を減衰することができるので、
電力貯蔵システム1bの耐震性の向上を図ることができる。また、バネやゴム等の複数の弾性部材を併用して各ケーソン40間の空間をシーリングしてもよい。また、コンクリートや鉄等の部材で各ケーソン40間の空間をシーリングするだけでもよい。このようにしても、シーリングされた各ケーソン40間の空間において各ケーソン40の外面43を検査することができるので、
電力貯蔵システム1bのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0102】
また、水槽10の下方の岩盤BR中に設けられたシールドトンネル70と、水槽10(ケーソン40)および取水塔60とを連結部材71で連結することにより、例えば水槽10が軽量化されたケーソン40で形成されている場合でも、水槽10を確実に岩盤BRに固定することができる。このように、水槽10を固定するのに当該水槽10の自重に頼らずに、水槽10を固定する機能を岩盤BR中に強固に配置されたシールドトンネル70および連結部材71に分担させることにより、水槽10を形成するケーソン40を軽量化することができる。したがって、ケーソン40を軽量化することにより、ケーソン40の輸送コストを低減できると共に、工期の短縮とコストダウンを図ることができる。
【0103】
また、
図7に示すように、シールドトンネル70内の空間において、シールドトンネル70と水槽10とを連結する連結部材71の点検を行うことができるので、
電力貯蔵システム1
bのメンテナンス性の向上を図ることができる。なお、水槽10の配置範囲に応じて、複数本のシールドトンネル70が岩盤BRに配設されていてもよい。
【0104】
また、水槽10を配置するために岩盤BRを掘削した土砂を利用して、高潮や津波を水槽10に向けて誘導するための盛土90が
電力貯蔵システム1bの沖合側の位置に形成されることにより、土砂を有効利用することができるので非常に効率がよい。
【0105】
<第5実施形態>
本発明の
電力貯蔵システムの第5実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は本発明の
電力貯蔵システムの第5実施形態を示す図である。
【0106】
この実施形態の
電力貯蔵システム1cが、上記した第4実施形態と異なるのは、
図10の平面図に示すように、100個のケーソン40が、10×10の行列状に配列され、各ケーソン40内の空間が互いに連通されて水槽10が形成されている点である。また、陸上には火力発電所101が設置されている。その他の構成は、上記した第4実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
【0107】
図10に示すように、水槽10を形成する各ケーソン40のうち、同図に向って右側を除く最外周に配置された各ケーソン40の上端部の海側には、上記した第4実施形態と同様に、スライドドア45が設けられている。また、水槽10の陸地側に隣接して3か所にコントロールタワー2が配置され、図示省略されているが、各コントロールタワー2に対応する位置に配置されたケーソン40のそれぞれに発電機が設けられている。
【0108】
また、上記した第4実施形態と同様に、水槽10の周囲に防波堤80が配設されている。
【0109】
また、各コントロールタワー2はケーブル線21により互いに接続されている。また、各コントロールタワー2のそれぞれはケーブル線22により火力発電所101に接続されて、例えば夜間の火力発電所101の余剰電力により、図示省略された排水手段が駆動されて水槽10から海水が排水される。また、この実施形態においても、
電力貯蔵システム1cは、火力発電所101の非常用電源としても使用される。
【0110】
なお、図示省略されているが、上記した第4実施形態と同様に、水槽10の上部に受信アンテナや太陽光発電パネルが配置される。また、上記した第4実施形態と同様に、水槽10を形成する各ケーソン40を固定するための複数本のシールドトンネル(図示省略)が水槽10下方の岩盤中に配設され、シールドトンネルと各ケーソン40とが連結手段により連結されている。
【0111】
この実施形態では、上記した第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0112】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、上記した各実施形態における各構成をどのように組み合わせてもよい。例えば、上記した実施形態では水槽が海中に設置されることにより
電力貯蔵システムが構成されているが、水槽が湖中に設置されることにより
電力貯蔵システムが構成されてもよい。
【0113】
また、上記した第1実施形態において、上記した受信アンテナ30に代えて、太陽光発電パネルを開口12を閉塞するように水槽10の上端部に配置してもよい。このように構成すると、
図3中の□に示すように、日照時間や天候等による影響を受ける太陽光発電による電力が、当該電力により発電機20が発電時とは逆方向に駆動されることによって
電力貯蔵システム1に一旦電力が貯蔵されることで水力発電による電力に変換されて平準化されて安定した状態で外部に電力が供給されるので非常に実用的である。なお、太陽電池パネルも破壊されやすい構造であるため、津波等が発生した場合に上記した効果と同様の効果を奏することができる。
【0114】
また、太陽光発電パネルが、水面から露出する水槽10の上端部に配置されることにより、太陽光発電パネルの配置場所を新たに確保しなくてもよいので、
電力貯蔵システム1,1b,1cの省スペース化を図ることができる。また、太陽光発電パネルが水槽10の上端部に配置されることにより、太陽光発電パネルにより生成される直流電力が、排水手段(発電機20)を駆動するのに使用されるときの当該直流電力の伝送距離を短くすることができるので、当該直流電力の伝送損失を小さくすることができる。
【0115】
また、発電機20(排水手段)を発電時とは逆方向に駆動するときの電力は、どのような手段により生成されたものであってもよく、例えば、風力発電による電力により排水手段が駆動されれば、風の状態による影響を受けて電圧変動や周波数変動等が生じ易い風力発電による不安定な電力が、当該電力により排水手段が駆動されることによって
電力貯蔵システムに電力が一旦貯蔵されることで水力発電による電力に変換されて平準化されて安定した状態で外部に電力が供給されるので非常に実用的である。
【0116】
また、排水手段が、原子力発電により生成された電力により駆動されると、原子力発電は、電力需要に応じた出力調整が難しいという特徴を有するが、例えば電力需要の少ない夜間における余剰電力を用いて排水手段が駆動されることによって、原子力発電の余剰電力が
電力貯蔵システムに貯蔵される。したがって、原子力発電の余剰電力を
電力貯蔵システムに備蓄することができるので非常に効率がよい。また、
電力貯蔵システムに備蓄された余剰電力を、非常時や、電力需要ピーク時等に使用することができるので非常に実用的である。
【0117】
なお、排水手段が火力発電や水力発電等の他のエネルギーを用いた発電所の余剰電力を用いて駆動された場合にも、原子力発電の場合と同様に、余剰電力を
電力貯蔵システムに備蓄することができるので非常に効率がよい。また、
電力貯蔵システムに備蓄された余剰電力を、非常時や、電力需要ピーク時等に使用することができるので非常に実用的である。
【0118】
また、上記した第1実施形態において、太陽光と異なる再生可能エネルギーが用いられている場合などは、水槽の上端部の開口は必ずしも閉塞されている必要はない。また、受信アンテナや太陽電池パネルを地上に配置したり、水槽に隣接して海上に配置したりしてもよい。
【0119】
また、上記した第2実施形態では、補助水槽は主水槽と別個の部材により構成されているが、一の水槽の内部空間を仕切部材により2つの空間に仕切ることにより、主水槽と補助水槽とを構成してもよい。
【0120】
また、上記した各実施形態では、発電機20,20aが本発明の「排水手段」として機能しているが、「排水手段」として機能する排水ポンプ等を発電機20,20aとは別個に水槽10,10aに設けてもよい。このように構成すると、発電時に、水槽への海水の流入量と同じ割合で海水が水槽外へ排出されるように排水手段を駆動することにより、常に一定出力で発電を行うことができる。このとき、例えば太陽光発電により生成された直流電力を用いて排水手段を駆動する場合には、直流電力で駆動される直流モーター等により排水手段を構成するとよい。このように構成すると、太陽光発電により生成された直流電力を交流電力に変換せずに排水手段を駆動することができるので効率がよい。
【0121】
また、上記したように、太陽光発電や風力発電、原子力発電、火力発電等、排水手段を駆動するための電力はどのように生成されてもよいが、排水手段が、これらの複数の発電手段による電力により駆動されるようにしてもよい。このように構成すると、一の発電手段が故障した場合であっても、他の発電手段による電力により排水手段を駆動することができる。
【0122】
また、本発明の
電力貯蔵システムが、原子力発電所や火力発電所の非常用電源としても使用される構成を例に挙げて説明したが、本発明の
電力貯蔵システムの使用形態としては上記した例に限られるものではなく、本発明の
電力貯蔵システムにより一般家庭や工場に電力を送電する発電所を構成してもよいし、水槽が空の状態で海中や湖中に本発明の
電力貯蔵システムを設置しておくことにより、他の発電設備の高負荷時や災害時に使用される非常用電源として本発明の
電力貯蔵システムを構成してもよく、本発明の
電力貯蔵システムの使用形態はどのような形態であってもよい。
【0123】
また、上記した第1、第4、第5実施形態において、宇宙空間における太陽光発電装置200により発電された電力をマイクロ波帯の電磁波を用いて所定以上の送信効率で地上に送信することができない場合には、水槽10の上端部に、受信アンテナ30に代えて太陽光発電パネルを設けることにより、太陽光発電パネルにより発電された電力を用いて排水手段が駆動されるようにするとよい。そして、宇宙空間における太陽光発電装置200から地上へ所定以上の送信効率で電力を送信できる場合に、水槽10の上端部に設けられた太陽光発電パネルを受信アンテナ30に置き換えるようにしてもよい。
【0124】
また、上記した第4,第5実施形態では、本発明の固定部材として中空のシールドトンネル70を例に挙げて説明したが、例えば、コンクリートの塊や鉄の塊により形成されたアンカー部材が固定部材として岩盤中に配設されていてもよい。
【0125】
また、上記したケーソンの形状や大きさは上記した例に限定されるものではなく、
電力貯蔵システムの規模や構成に応じてケーソンを直方体状や球状に形成してもよいし、ケーソンの大きさを変更してもよい。また、水槽を形成するケーソンの数も、
電力貯蔵システムの規模や構成に応じて適宜変更すればよい。
【0126】
また、水槽は、その一部が陸地に食い込むように配置されていてもよい。また、
図7に示すように、海底を深く掘削して水槽(ケーソン)を水中に配置するようにしてももちろんよい。
【0127】
また、上記した第4および第5実施形態では鉄製のケーソンを例に挙げて説明したが、ケーソンの構成としては上記した例に限定されるものではない。例えば、ケーソンはコンクリート製であってもよいし、ケーソンは鉄およびコンクリートが組み合わされて構成されてもよい。
【0128】
また、上記した
電力貯蔵システムにおいて、マイクロ波帯の電磁波を送信するための送信アンテナをさらに設置し、発電機による発電が行われて生成された電力をマイクロ波帯の電磁波に変換して送信アンテナを用いて送信するようにしてもよい。
【0129】
このように構成すると、
電力貯蔵システムで生成された電力をマイクロ波帯の電磁波に変換することにより送信アンテナを用いて他の
電力貯蔵システムに送信することができる。例えば、宇宙空間に反射鏡や反射アンテナ等のマイクロ波帯の電磁波を反射する反射手段を設置することにより、次のような効果を奏することができる。すなわち、送信アンテナを用いて送信されたマイクロ波帯の電磁波を宇宙空間に設置されている反射手段を介して遠隔地に設置されている他の
電力貯蔵システムに送信することにより、
電力貯蔵システムで生成された電力を遠隔地に設置された他の
電力貯蔵システムに伝送することができる。
【0130】
また、送信アンテナは、受信アンテナや太陽光発電パネルと同様に水槽の上端部に設けられていてもよいし、送信アンテナは、地上に設置されたり、水槽に隣接して海上に設置されたりしてもよい。
【0131】
また、例えば他の発電装置で生成された電力がマイクロ波帯の電磁波に変換されて送信されたものを受信アンテナにより受信して生成された電力により排水手段が駆動されるようにしてもよい。このようにすると、他の発電装置で生成された電力を
電力貯蔵システムに貯蔵することができる。
【0132】
また、例えば、宇宙空間に反射鏡や反射アンテナ等のマイクロ波帯の電磁波を反射する反射手段が設置されている場合には、次のような効果を奏することができる。すなわち、他の発電装置として、遠隔地に設置された他の
電力貯蔵システムにより生成された電力がマイクロ波帯の電磁波に変換されて送信されたものを、宇宙空間に設置されている反射手段を介して受信アンテナにより受信して生成された電力により排水手段が駆動されることにより、遠隔地に設置された
電力貯蔵システムで生成された電力を
電力貯蔵システムに貯蔵することができる。
【0133】
なお、上記したように、受信アンテナや送信アンテナを利用してマイクロ波帯の電磁波の送受信を行うことにより、本発明の
電力貯蔵システムと電力の伝送を行う相手の発電装置は、本発明の
電力貯蔵システムと同様の発電装置であってもよいし、原子力発電や火力発電、水力発電等により発電を行う発電装置であってもよいし、各種の再生可能エネルギーを利用した発電を行う発電装置であってもよく、電力の伝送相手の発電装置の発電原理はどのような原理であってもよい。また、受信アンテナや送信アンテナを利用することにより、本発明の
電力貯蔵システムを含む、原子力発電や火力発電、水力発電等により発電を行う発電装置、各種の再生可能エネルギーを利用した発電を行う発電装置など、種々の発電装置間で電力の伝送を行うことができる。
【0134】
また、上記した実施形態では水槽の上端が水面から露出する例を挙げて説明しているが、水槽を水中に沈めて設置してもよい。このとき、水槽内と外とで水面の位置に差が生じるようにするとよい。