【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様において、本発明は、容器内に収容される飲料濃縮物から飲料を調製するための飲料製造装置であって、
容器を支持するための支持手段と、
支持手段に対して垂直に配置され、流体ジェットを容器内に注入するための少なくとも4つの出口ノズルを備えるプレート部材と、出口ノズルに接続される液体供給手段とを備え、出口ノズルのうちの少なくとも2つが、流体ジェットを容器の内側壁へ向けるようになっており、該出口ノズルは垂直線に対して異なる角度(α)でプレート部材に配置され、出口ノズルのうちの少なくとも2つが、流体ジェットを容器の底部へ向けるようになっており、該出口ノズルは垂直線に対して異なる角度(β)でプレート部材に配置される、飲料製造装置に関する。
【0012】
プレート部材の出口ノズルは、垂直線に対して異なる角度で配置される。容器の底面に垂直な軸線に対して出口ノズルが配置される角度は、−10°〜+10°の値を有することが好ましい。したがって、流体ジェットは、1つの単一の交点に集中されず、容器の異なる点へ加えられる。
【0013】
2つの流体ジェットは、容器に供給される分配された食品物質を溶解するのに不可欠な力を与えるために容器の底部へ向けられる。他の2つの流体ジェットは、容器に導入された食品物質が容器の側壁に付着するのを避けるために容器の内側壁へ方向付けられる。また、調製中に液体飲料の上端で流れる場合がある溶出が改善される。
【0014】
特定の実施形態によれば、4つの出口ノズルがリング形状に沿って配置される。
【0015】
好ましい実施形態では、液体供給手段が出口ノズルに接続される。これらの液体供給手段は、加圧液体を出口ノズルへ供給するようになっていることが好ましい。したがって、液体供給手段は、水リザーバまたは給水栓などの液体供給源に接続されるポンプを備えることが好ましい。
【0016】
また、液体供給手段は、リザーバによって供給される液体を加熱するのに適したボイラまたはサーモブロックを備えることが好ましい。したがって、加熱された加圧液体が供給手段によって出口ノズルへ供給される。
【0017】
本発明に係る装置を用いると、飲料濃縮物が導入された容器内へ冷水または熱水などの希釈剤を導入することにより、濃縮物を溶解させて最終的に泡立たせることができる。その場合、飲料濃縮物が乾燥粉末であることが好ましい。
【0018】
容器内で食品物質を混合することで、更なる混合室は不要となる。また、混合室も飲料機械の他の部分も細菌に影響される流体よって汚染されず、それにより、非常に衛生的な飲料を調製することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、プレート部材の出口ノズルはそれらの直径が異なり、それにより、異なる圧力の流体ジェットが対応する出口ノズルによって噴出される。したがって、異なる種類の飲料が本発明に係る装置によって調製されるように噴出される流体ジェットの圧力を調整することができる。
【0020】
好ましい実施形態では、本装置は制御手段を更に備える。該制御手段は、液体を液体供給手段から出口ノズルへ選択的に供給するようになっていることが好ましい。
【0021】
好ましい実施形態において、他の出口ノズルと比べて大きい出口直径の少なくとも1つの更なる出口ノズルがプレート部材に設けられる。そのため、より小さい出口直径のノズルが適用される場合と比べて低圧で多くの量の液体を容器へ供給できる。したがって、装置のユーザの待ち時間が短縮させて飲料の調製が促進される。更に、液体が低圧で注入される場合には、本装置を泡の形成を伴わない飲料を調製するために使用することができ、これは例えばお茶飲料を調製する場合も当てはまる。
【0022】
好ましい実施形態において、プレート部材は、液体のスプレーを容器へ供給するようになっているスプレーノズルを更に備える。スプレーノズルには、液体供給手段から液体が選択的に供給されるのが好ましい。したがって、スプレーノズルをプレート部材の出口ノズルとは無関係に動作させることができる。スプレーノズルは、カプチーノなどの調製されるべき飲料の上表面に小さい気泡を形成するために使用されるのが好ましい。飲料の上表面で大きい泡が形成されないようにスプレーノズルが効果的に使用されてもよい。これは、ノズルから出されるジェットにより形成される大きい泡とのその相互作用が泡を消失するからである。
【0023】
装置のプレート部材および支持手段は、相対的に回転移動されおよび/または互いに垂直に移動されるように構成されるのが好ましい。そのため、飲料調製プロセス中、食品物質の溶解または分散が向上される。これは、飲料調製中に、出口ノズルによって噴出される流体ジェットが容器の異なる部分へ方向付けられるからである。また、持ち上げ動作および下降または回転動作のそれぞれに起因して、容器の側壁部に固着する全ての残りの食品物質を洗い流すことができる。
【0024】
プレート部材は、プレート部材および支持手段の相対的な垂直動作を可能にする持ち上げ手段に接続されるのが好ましい。また、容器支持手段は、垂直線周りでの容器の回転を可能にする回転ドライブに接続されるのが好ましい。その場合、回転ドライブおよび持ち上げ手段を互いに独立に動作させることができる。
【0025】
装置の支持手段は、プレート部材に対して容器を正しく位置決めするための位置決め手段を備えることが好ましい。特に、出口ノズルにより噴出される流体ジェットを容器の内側壁部および底部に対して正確に位置決めできるようにするために、ノズル出口に対して容器が中心に位置決めされる。
【0026】
位置決め手段は、容器の下部を取り囲むように支持手段のベース部に接続され得る突出環状フレームであってもよい。支持手段は、容器の異なるサイズおよび形状に合わせて調整できる。したがって、食品濃縮物の溶解または分散を促進させるために、容器を出口ノズルに対して正確に位置決めすることができる。
【0027】
言うまでもなく、支持手段は、正確な位置決め、特に出口ノズルに対する容器の同心的な位置を可能にするために支持手段と容器との間の相互作用を可能にする任意の手段であってもよい。
【0028】
例えば、支持手段が該支持手段の中心に配置される磁気手段であってもよく、該磁気手段は、例えば支持手段の磁気手段と相互に作用するために少なくとも一部が強磁性体から形成される専用の容器と相互に作用することができる。それにより、支持手段に対する、つまり出口ノズルに対する容器の同心的な位置決めが容易になる。
【0029】
本発明に係る装置と共に使用されるべき容器は、円錐台形状を成すことが好ましい。容器の側壁は、ジェットによる混合の性能に影響を及ぼすことなく直線状にすることができる、あるいは傾斜させることができる。容器の側壁は、紙または発泡スチロール製のコーヒーカップに使用されるような従来の様式で僅かに傾けられるのが好ましい。したがって、容器は、容器の対称軸線に対して1〜15度の傾斜側壁を有してもよい。その場合、側壁は真っ直ぐであることが好ましい。すなわち、側壁は、容器の対称軸線に対して同じ角度で一定に傾けられる。しかしながら、側壁が僅かに丸みを帯びていてもよい。すなわち、容器の側壁が凸状または凹状の形状を成していてもよい。容器は50〜300mlの容積を有することが好ましい。
【0030】
好ましい実施形態において、装置の制御手段は、供給手段から分配される液体の蓄積量に関してプレート部材の出口ノズルへの液体の供給を制御するようになっている状態機械を備える。したがって、供給手段は、分配される液体の蓄積量を飲料調製サイクルごとに検出できる流量計を備えることが好ましい。この実施形態によれば、制御手段は、所定の時間に関してあるいは液体供給手段により供給される液体の蓄積量に関してプレート部材の出口ノズルを開放しあるいは閉塞してもよい。
【0031】
第2の態様によれば、本発明は、容器内に収容される飲料濃縮物から飲料を調製するための飲料製造装置であって、
容器を支持するための支持手段と、
該支持手段に対して垂直に配置され、流体ジェットを容器内に注入するための少なくとも2つの出口ノズルを備えるプレート部材と、
出口ノズルに接続される液体供給手段と、
を備え、
出口ノズルのうちの少なくとも1つは、流体ジェットを容器の内側壁へ向けるようになっており、
出口ノズルのうちの少なくとも1つは、流体ジェットを容器の底部へ向けるようになっており、
プレート部材は、コーヒーを容器内へ注入するためにコーヒー混合室と接続する出口ノズルを備える、飲料製造装置に関する。
【0032】
支持手段およびプレート部材は、本発明の第1の態様に係る飲料製造装置の場合と同じ特徴を有することが好ましい。特定の実施形態によれば、プレート部材は、流体ジェットを容器内に注入するための少なくとも4つの出口ノズルを備えることができる。この場合、出口ノズルのうちの少なくとも2つは、流体ジェットを容器の内側壁へ向けるようになっており、該出口ノズルは垂直線に対して異なる角度(α)でプレート部材に配置され、また、出口ノズルのうちの少なくとも2つは、流体ジェットを容器の底部へ向けるようになっており、該出口ノズルは垂直線に対して異なる角度(β)でプレート部材に配置される。
【0033】
プレート部材は、コーヒーを容器内に注入するためにコーヒー混合室と接続する出口ノズルを備えることができる。該コーヒー混合室は、装置の外側からアクセスできることが好ましい。そのため、液体供給手段によって供給される液体がコーヒー混合室へ供給されるコーヒー抽出物と相互に作用する場合にはコーヒー飲料が調製され、その後、該コーヒー飲料をプレート部材の出口によって容器へ供給することができる。好ましい実施形態によれば、本発明の装置は、コーヒー混合室と接続する出口ノズルを択一的に閉塞、開放、または、制限するための手段も備えることができる。これらの手段は2つの穴を有するプレートであってもよく、一方の穴は、コーヒー混合室と接続する出口ノズルと少なくとも同じ大きさの断面を有し、また、他方の穴は、コーヒー混合室と接続する出口ノズルよりも小さい断面を有する。このプレートは、プレートとコーヒー混合室出口との相対的な動作に加えて2つの穴のうちの1つをコーヒー混合室出口と対向させることができるようにあるいは2つの穴をコーヒー混合室出口と対向させることができないようにプレート部材に対して配置させることができる。この動作は、出口に対するプレートの回転動作または並進摺動動作であってもよい。コーヒー混合室と接続する出口ノズルを択一的に開放、閉塞、または、制限するための手段は、
該手段が閉塞されるときに、混合室内でのコーヒー飲料の製造および保持を可能にする、
該手段が開放されるときに、コーヒー飲料の容器内への供給を可能にする、
該手段が制限されるときに、容器へ供給されるコーヒー飲料の泡立ちを可能にする。実際に、小さい方の穴は、ノズルの出口を制限し、それにより、コーヒー混合室から出るコーヒージェットにせん断力をもたらして、良好なコーヒークレマを形成することができる。
【0034】
その結果、これらの手段は、複合飲料の調製時間を短くするという課題を解決する。これは、他の飲料が容器内で調製される間に、コーヒーがコーヒー混合室内で調製されて保持されるからである。また、これらの手段は、クレマの層を伴う泡立ちコーヒーまたは泡立ちのないコーヒーを供給することによりコーヒー品質が異なるという課題も解決する。
【0035】
第3の態様において、本発明は、食品物質から飲料を調製するための方法であって、
a)飲料濃縮物を容器へ供給するステップと、
b)容器に対して垂直に配置されるプレート部材に設けられる出口ノズルにより、少なくとも2つの流体ジェットを容器の内底部へ向けるとともに、少なくとも2つの流体ジェットを容器の内側壁部へ向けるステップとを備え、容器の内底部へ向けられる少なくとも2つの流体ジェットおよび容器の内側壁部へ向けられる少なくとも2つの流体ジェットのそれぞれが垂直線に対して異なる角度(α、β)で配置される、方法に関する。
【0036】
容器およびプレート部材は、飲料の調製中に互いに対して回転移動されおよび/または垂直に移動されることが好ましい。そのため、流体ジェットが容器の異なる部分へ向けられると、容器へ供給される飲料濃縮物が効果的に溶解または分散される。
【0037】
また、出口ノズルには、出口ノズルに供給される液体の蓄積量に応じて、液体供給手段から液体が選択的に供給されるのが好ましい。これによれば、例えば、所定の飲料調製段階で特定の出口ノズルを開放または閉塞することができる。これは、例えば、スプレーを容器へ供給する出口ノズルが飲料調製プロセスの最後の所定の一連の時間中に開放されるお茶の調製において有益となり得る。そのため、出口ノズルにより噴出される該スプレーに起因して、飲料の上表面の大きい泡の変形を抑制できる。
【0038】
また、好ましい実施形態において、出口ノズルは、飲料の調製前に容器の縁部に近づけられる。そのため、飲料の表面に衝突する流体ジェットの圧力が増大するので、飲料の混合が促進される。容器の充填中、該容器が前述したように回転されるのが好ましい。
【0039】
容器は円錐台形状を有することが好ましい。
【0040】
第4の態様において、本発明は、飲料濃縮物およびコーヒー抽出物からコーヒーベースの飲料を調製するための方法であって、
a)飲料濃縮物を容器へ供給するステップと、
b)容器に対して垂直に配置されるプレート部材に設けられる出口ノズルにより、少なくとも1つの流体ジェットを容器の内底部へ向けるとともに、少なくとも1つの流体ジェットを容器の内側壁部へ向けるステップと、
を備え、
c)液体供給手段に接続される混合室へコーヒー抽出物を供給する工程、および
d)結果として生じるコーヒー飲料をプレート部材の出口によって容器へ排出する工程、
によってコーヒー飲料を製造するステップを更に備える、方法に関する。
【0041】
コーヒー抽出物は、液体コーヒー濃縮物または可溶性コーヒー粉末であってもよい。
【0042】
コーヒー飲料を製造するステップc)は、ステップa)、b)が実施される最中に実施されるのが好ましい。特に、
コーヒー飲料を製造するステップc)の最中に、コーヒー混合室と接続する出口ノズルが閉じられ、
コーヒー飲料を容器へ排出するステップd)の最中に、コーヒー混合室と接続する該出口ノズルが開放されあるいは制限される。
【0043】
本方法によれば、容器内に導入される飲料原料を出口ノズルを通じて導入される希釈剤を用いて希釈することにより他の飲料が容器内で直接に調製される間にコーヒー混合室内でコーヒー飲料を調製することができる。両方の調製は別個にかつ同時に行なわれ、それは、別個に調製されて最終的に共に混合されなければならない異なる基本飲料から成る複合飲料を調製するための時間を短くするという利点を有する。コーヒー飲料および他のカップ内飲料が調製されたら、コーヒー混合室と接続する出口ノズルを開放できるとともに、コーヒーを容器内に注ぐことができる。これは、ラテマキアートまたはカプチーノなどの混合飲料の調製において特に有益である。なぜなら、異なる飲料濃縮物を1つの単一の混合室内で混合させる必要がないからである。加えて、コーヒー混合室は、コーヒー飲料の調製のみに使用することができるので、細菌の影響を受ける流体の場合のように各飲料調製サイクルの後に洗浄する必要がない。
【0044】
好ましい実施形態では、ステップb)中、プレート部材に設けられる出口ノズルにより、少なくとも2つの流体ジェットが容器の内底部へ向けられるとともに、少なくとも2つの流体ジェットが容器の内側壁部へ向けられる。この場合、容器の内底部へ向けられる少なくとも2つの流体ジェットおよび容器の内側壁部へ向けられる少なくとも2つの流体ジェットのそれぞれが垂直線に対して異なる角度(α、β)で配置される。
【0045】
本発明の態様が何であろうと、飲料濃縮物は、ミルクまたはミルクベースの粉末、お茶粉末、および、チョコレートベースの粉末のリストの中で選択されるのが好ましい。
【0046】
本発明の更なる特徴、利点、および、目的は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読んで、添付図面の図と併せて解釈されると、当業者に明らかになる。