特許第5787995号(P5787995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5787995人工股関節用の寛骨臼ソケット内にソケットインサートを挿入する挿入器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787995
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】人工股関節用の寛骨臼ソケット内にソケットインサートを挿入する挿入器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   A61F2/46
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-515887(P2013-515887)
(86)(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公表番号】特表2013-533018(P2013-533018A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2011060455
(87)【国際公開番号】WO2011161166
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】102011004689.5
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010030540.5
(32)【優先日】2010年6月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511004645
【氏名又は名称】セラムテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】CeramTec GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ローマン プロイス
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キルヒェンマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ グリースマイア
(72)【発明者】
【氏名】マヌエラ ムーア−シェンク
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0219562(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10148022(DE,A1)
【文献】 特表2002−513631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/32
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち手(7)を備えたインパクタ(1)によって、人工股関節の寛骨臼ソケット(5)内に、球形のカップ(20)を備えたソケットインサート(4)を、器具を用いて挿入する挿入器具であって、前記持ち手(7)の一方の端部に、前記ソケットインサート(4)用の保持具が設けられている、挿入器具において、
前記インパクタ(1)の一方の端部(8)は、球状に形成されていて、かつ前記保持具の一部分であり、
さらに前記保持具は、前記インパクタ(1)の球形端部(8)を継手式に収容する、別体の構成部分として形成されたインパクタヘッド(2)と、該インパクタヘッド(2)の外側幾何学形状において前記ソケットインサート(4)を保持する、別体の構成部分として形成された挿入補助手段(3)とを有し、
前記インパクタヘッド(2)は、球継手を形成するように前記球形端部(8)に接続可能であり、撓曲性を有するカップ縁部(15)を備えた球状カップ(14)を有し、組付け時に前記球状カップ(14)内に前記インパクタ(1)の球形端部(8)がスナップ接続することを特徴とする、挿入器具。
【請求項2】
前記インパクタヘッド(2)の外側幾何学形状は、前記ソケットインサート(4)のカップ(20)の幾何学形状に適合されていることを特徴とする、請求項1記載の挿入器具。
【請求項3】
前記カップ縁部(15)は、環状の溝(12)によって同軸的に取り囲まれていることを特徴とする、請求項1又は2記載の挿入器具。
【請求項4】
前記挿入補助手段(3)は、半径方向に突出する保持爪(16)を備えたばねリング(13)から成っていて、前記保持爪(16)は前記ばねリング(13)の撓曲性に基づき半径方向に移動可能であり、前記保持爪(16)の外側端部に軸線方向に突出するフック(9)が配置されていて、該フック(9)の保持面(17)は組み付けられた状態において、前記ソケットインサート(4)の外面(19)に当接していて、さらに前記保持爪(16)の載置面(18)は、前記ソケットインサート(4)の縁部に載置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の挿入器具。
【請求項5】
前記ばねリング(13)及び前記保持爪(16)は、組み付けられた状態において、前記ソケットインサート(4)のカップ(20)の上側の平面に位置していることを特徴とする、請求項記載の挿入器具。
【請求項6】
前記インパクタ(1)の球形端部(8)の上側に、前記球継手(8,14)の運動を制限する張出部(11)が配置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の挿入器具。
【請求項7】
前記インパクタヘッド(2)の半径方向の直径は、前記挿入補助手段(3)のばねリング(13)の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の挿入器具。
【請求項8】
−一方の端部(8)が球形に形成されている持ち手(7)を備えたインパクタ(1)と、
−前記インパクタ(1)の球形端部(8)を継手式に収容する、別体の構成部分として形成されたインパクタヘッド(2)と、
−前記ソケットインサート(4)を解除可能に取り付ける、別体の構成部分として形成された挿入補助手段(3)と、
を備えて成る、特に請求項1からまでのいずれか1項記載の、人工股関節の寛骨臼ソケット(5)内に、球形のカップ(20)を備えたソケットインサート(4)を、器具を用いて挿入する挿入器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の端部にソケットインサート用の保持具が設けられている持ち手を備えたインパクタ(衝打器具)によって、人工股関節の寛骨臼ソケット内に、球形のカップ(kugelfoermige Kalotte)を備えたソケットインサートを、器具を用いて挿入するための挿入器具に関する。
【0002】
市場においては、痛みを伴う外傷性の変形、関節炎による変形又は他の変形に際し、生まれつきの股関節の代用をするプロテーゼシステムの多様な構成がある。この構成において、通常いわゆるモジュール状のシステムが使用される。このモジュール状のシステムにおいて、大抵金属合金から成る寛骨臼ソケット内に、ソケットインサートが挿入される。このソケットインサートは、人工の滑り軸受の一部分を形成し、かつ金属合金、セラミック材料、プラスチック又は上記材料の複合体から成っていてよい。ソケットインサートと寛骨臼ソケットとの連結は、いわゆる円錐形の締付け部を介して通常行われる。この締付け部において、ソケットインサートの外側の幾何学的な形状の円錐形に成形された部分が、対応するように寛骨臼ソケットの内側の幾何学的な形状の円錐形に成形された部分でもって、摩擦接続(摩擦による束縛)を形成する(図1参照)。
【0003】
手術中に発生することがある問題の1つは、寛骨臼ソケット内へのソケットインサートの傾いた挿入である。こうして、上記円錐形の締付けの代わりに、寛骨臼ソケットの円錐形締付部の内側での3つの接触点間におけるソケットインサートの固着が発生することがある。点状の固着により、固着時に作用する力の大きさに応じて大きな摩擦力が発生し、これによりソケットインサートの位置を手術中にもはや修正することができない(図2参照)。
【0004】
ソケットインサートが傾いて挿入された場合の人工股関節の機能に対する結果は、ソケットインサートの材料に実質的に依存し、高められた摩耗によって腐食を介してソケットインサートの完全な破壊に至る。したがって、傾いて挿入されたソケットインサートは、後に手間と痛みを伴う高価な再手術の原因となり得る。
【0005】
ソケットインサートの傾いた挿入を回避するために、市場においては多くの挿入器具が使用可能となっている。これらの挿入器具の機能は、実質的に以下の3つのステップに基づいている:
1.ソケットインサートを上側の縁部を把持する。
2.寛骨臼ソケット及びソケットインサートの対称軸線が平行に延在するように、ソケットインサートを備えた器具を寛骨臼ソケットに対して位置調整する。
3.寛骨臼ソケット内にソケットインサートを急激にかつ迅速に押し込み、その際、保持グリップを離し、かつクランプ接続を形成する。
【0006】
欧州特許第1076537号及びドイツ連邦共和国実用新案第29922792号明細書において、ソケットインサートが3つの保持爪によって上側縁部において把持される、挿入器具が開示されている。さらに上記挿入器具は、短いグリップ部材を有する。このグリップ部材において手術を行う外科医は挿入器具を把持し、ソケットインサート全体を手術領域に導入することができる。手術領域において、寛骨臼ソケットへの装着、及び最終的にはソケットインサートの接合が行われる。この手段の欠点(外科医に対する感触によるフィードバックが少ない点、器具の必要な構成スペースが挿入及び包装を困難にする点)は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009054633号明細書に記載の挿入器具により解決される。
【0007】
様々な外科医が、手を直接手術領域に入れ、場合によっては外傷組織に触れる直接的な手による扱いが欠点であると感じている。このことは、外科医の見地からすれば、感染リスクを高めることに繋がり得る。さらに、これにより手術領域への視界は短時間で極めて限定される。上記理由から多くの外科医が、長い持ち手及び端部側のグリップによる器具を介しての人工関節構成要素の取扱を好む。
【0008】
国際特許出願公開第2008106598号明細書において、一種の弾性的なカバーをソケットインサートに押し込む挿入器具が開示されている。この構成においてカバー縁部が、ソケットインサートを全周で把持する。半径方向スリット部を含むカバーにおける開口により、インパクタ、若しくはソケットインサート及びカバーの組合せが、インパクタに装着される。このインパクタによりソケットインサートは、手術領域に挿入されかつ接合される。
【0009】
上記手段の欠点は以下の通りである:
・カバーとインパクタとの連結が、カバー開口の半径方向のスリット部に基づき、確かに少し撓曲性を有しているが、インパクタの軸線に対する相対的な、カバーを備えたソケットインサートの大きな傾きは許容されない。つまり、ソケットインサートは手術領域内への導入時には、器具の持ち手の軸線に対してほぼ垂直に方向付けられている。ソケットインサート及び寛骨臼ソケットの方向の調整は、つまり自動的ではなく、外科医により能動的に対処する必要がある。
・カバー縁部はソケットインサートの全周面を取り囲み、ソケットインサートの方向を、寛骨臼ソケットに対して相対的に調整するために、全周面に亘ってソケット端面に載置する必要もある。このことは張り出した組織残部、例えば骨棘に基づき可能ではないので、ソケットインサートの正しい位置調整は衝打前には可能でない。その結果、傾いた挿入のリスクは上昇するか、若しくは器具は使用可能でない。
・カバーによるソケットインサートの完全な取囲みにより、ソケットインサートの挿入時の寛骨臼ソケットの端面への視界が場合によっては妨げられるので、寛骨臼ソケットに対して相対的なソケットインサートの正確な位置調整は、視覚によってコントロールすることはできない。
【0010】
本発明の根底にある目的は、挿入時にソケットインサートの傾きが排除されていて、挿入器具が持ち手形のインパクタを有するように、請求項1の上位概念部に記載の挿入器具を改良することである。
【0011】
持ち手形のインパクタの一方の端部が、球形に形成されていてかつ保持具の一部分であり、この保持具がさらに別体の構成部分として形成されている、インパクタの球形の端部を継手式に収容するインパクタヘッド(衝打ヘッド)と、このインパクタヘッドの外側幾何学形状において、ソケットインサートを保持する別体の構成部分として形成された挿入補助手段とを有し、インパクタヘッドが、球継手を形成するように球形の端部に接続可能であることにより、挿入時にソケットインサートの傾きが排除されている。挿入器具は、持ち手形のインパクタを有する。
【0012】
好ましくはソケットインサートのカップ若しくは球冠(Kalotte)の幾何学形状にインパクタヘッドの外側幾何学形状が適合されていて、これにより衝撃は挿入時に、ソケットインサートにおけるカップに均等に伝達される。
【0013】
別の構成において、インパクタヘッドは、撓曲性のカップ縁部を備えた球形カップ(Kugelkalotte)を有する。この球形カップにインパクタの球形端部が組み付け時にスナップ接続し、これによりインパクタヘッドの解離可能な取付けが簡略化されている。
【0014】
さらに有利な構成において、挿入補助手段は、半径方向に突出している保持爪を備えたばねリングから成っている。この構成において保持爪は、ばねリングの撓曲性により半径方向に移動可能であり、保持爪の外側の端部には、軸線方向に突出しているフックが配置されている。これらのフックの保持面は、組み付けられた状態において、ソケットインサートの外面に接触していて、これと同時に保持爪の載置面は、ソケットインサートの縁部に載置されている。これにより傾きを回避することができる。
【0015】
好ましくはカップ縁部は、環状の溝によって同軸的に取り囲まれている。これらの溝は、挿入補助手段のばねリングを組み付け状態において収容することができる。
【0016】
さらに別の有利な構成において、ばねリング及び保持爪は、組み付けられた状態において、ソケットインサートのカップの外側にある平面に位置していて、これにより取扱いが容易になる。
【0017】
好ましくは、インパクタの球形端部の上側に、球継手の運動を制限するために張出部が配置されている。この張出部は、持ち手に環状に形成されている。
【0018】
挿入補助手段が、インパクタから滑り落ちないように、好ましくはインパクタヘッドの半径方向の直径は、挿入補助手段のばねリングの直径よりも大きくなっている。
【0019】
人工股関節の寛骨臼ソケット内に、球形のカップを備えたソケットインサートを、器具を用いて挿入する本発明に係る挿入器具は、
−一方の端部が球形に形成されている持ち手を備えたインパクタと、
−インパクタの球形端部を継手式に収容する、別体の構成部分として形成されたインパクタヘッドと、
−ソケットインサートの解除可能な取付けのための、別体の構成部分として形成された挿入補助手段と、
から成っている。
【0020】
上記挿入器具を備えた人工股関節の寛骨臼ソケット内に球形のカップを備えたソケットインサートを挿入するための本発明に係る方法は、
−ソケットインサートのトライボロジカルなペア(Gleitpaarung)の直径に適合するインパクタヘッドを、ソケットインサートのカップ内に差し込み、
−続いて、ソケットインサートの外径に適合する挿入補助手段を、挿入されたインパクタヘッドを備えたソケットインサート上に置き、挿入補助手段の保持爪をソケットインサートの縁部に覆い被せて、ソケットインサートを保持爪によって確実に保持し、
−次いで、ソケットインサート内に支持されているインパクタヘッドを、インパクタの球形端部に差込み、球体−カップのスナップ接続を形成する、
ことを特徴とする。
【0021】
挿入時の他の措置は、好ましくは、
−続いて、挿入補助手段の保持爪がその下面で、寛骨臼ソケットの端面に接触し、ソケットインサートが、寛骨臼ソケットに対して軸線方向で平行に方向調整されているまで、ソケットインサートを、ソケットインサートが取り付けられたインパクタでもって寛骨臼ソケット内に動かし、
−次いで、インパクタの他方の自由端部に衝撃を加え、これによりインパクタヘッドは、急激にソケットインサートを寛骨臼ソケットに向かって助勢し、これによりソケットインサートを保持爪から押し出し、さらに2つの構成要素の係止がもたらされるまで、方向調整された位置において寛骨臼ソケット内に押し込む、
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ソケットインサート4が円錐形の締付け部10を介して正確に挿入されている、寛骨臼ソケット5を示す図である。
図2】ソケットインサート4が傾いて挿入されている寛骨臼ソケット5を示す図であり、設けられている円錐形の締付け部10がその効果を発揮してない。この状況は回避したい。
図3】保持グリップ6、持ち手7、及び球継手の一部分である球形端部8と、この球形端部8を収容するための球継手の第2の部分であるカップ及び挿入補助手段3を有する着脱可能なインパクタヘッド2とを備えるインパクタ1からなる挿入器具を示す図である。
図4図4aは、一方の端部において保持グリップ6に移行し、反対側で球継手の部分である球形端部8を有する持ち手7を備えたインパクタ1を示す図であって、図示の実施の形態において、持ち手7は屈曲していて、球形端部8に張出部11が傾きストッパとして配置されている。図4bは、傾きストッパがない択一的なインパクタ1を示す図であり、図4cは、図4bの断面A−Aを示す図である。
図5図5aは、本発明に係るインパクタヘッド2を上から見た平面図である。図5bは、図5aに示した断面A−Aを示す図である。図5cは、インパクタヘッド2が装着されたインパクタ1を示す図及び断面図であり、着脱可能なインパクタヘッド2には、挿入補助手段3のばねリング13を収容するための環状の溝12が設けられていて、球状カップ14は、球体の赤道を越えている撓曲性を有するカップ縁部15を有し、インパクタ1は、インパクタヘッド2に球形端部8に球継手として組み付けられている。
図6】ソケットインサート4を寛骨臼ソケット5内に手術中に挿入するために用意された、挿入補助手段3、インパクタヘッド2及びソケットインサート4を備えて組み立てられたインパクタ1を示す図である。
図7図7aは、寛骨臼ソケット5との接触前の、挿入補助手段3、インパクタヘッド2及びソケットインサート4を備えて組み立てられたインパクタ1を示す図である。図7bは、寛骨臼ソケット5への装着後の図である。
図8図8aは、3つの保持爪を備えた別体の構成部分である挿入補助手段3を示す図である。図8bはソケットインサート4に装着されかつ係止された状態を示す図である。図8cは、図8bの断面図である。
図9図9aは、5つの保持爪を備えた別体の構成部分である挿入補助手段3を示す図である。図9bは、ソケットインサートに装着されかつ係止された状態を示す図である。図9cは、図9bの断面図である。
図10図10aは、5つの保持爪を備えた別体の構成部分である択一的な挿入補助手段3の平面図である。図10bは図10aの断面図であり、図10cは図10aの斜視図である。
図11図11a〜図11hは、本発明に係る方法の組立ての進行順を示す図である。図11aは、個別部分である挿入補助手段3、インパクタヘッド2及びソケットインサート4を接合前に示す図である。図11bは、ソケットインサート4内に挿入されたインパクタヘッド2を示す図である。図11cは、挿入補助手段3を示し、この挿入補助手段3を、インパクタヘッド2が挿入されたソケットインサート4に被せ、挿入補助手段3の保持爪をソケットインサート4の縁部に被せる。図11dは、インパクタ1との接合前の、組み合わされた構成部分、つまり挿入補助手段3、インパクタヘッド2及びソケットインサート4を示す図である。図11eは、インパクタ1とインパクタヘッド2とのスナップ接続の組み付けられた状態を示す図である。図11fは、寛骨臼ソケット5との接触前の、手術領域への導入時に完全に組み付けられたセットの状態を示す図である。図11gは、寛骨臼ソケット5の端面に下面が載置されている挿入補助手段3と共に導入されたソケットインサート4を示す図である。図11hは、寛骨臼ソケット5に係止されているソケットインサート4、並びにソケットインサートからの離脱後に依然として接続されている個別部分、つまりインパクタヘッド2、インパクタ1及び挿入補助手段3を示す図である。
【0023】
以下に、本発明を図面に基づき詳細に説明する。同じ符号は同じ対象を示す。
【0024】
図面に示す本発明に係る挿入器具は、インパクタ1と、インパクタヘッド2と、挿入補助手段3とから成っていて、以下の機能を有するエレメント若しくは個別部分を有する。つまり:
・衝打時に打撃が与えられる端部を有する、保持グリップ6を備えたインパクタ1を有する。
・保持グリップ6とは反対側で球体8として終わっている端部を有する、真っ直ぐな又は低侵襲技術のために屈曲した持ち手7を有する。
・球形端部若しくは球体8の近くにさらに、連結されたソケットインサート4が傾く場合に、運動制限のために機械的なストッパとして作用する張出部11が随意的に設けられていてよい。
・ソケットインサート4のカップに対してほぼ球頭直径に適合している球欠形のインパクタヘッド2を有する。さらにこのインパクタヘッド2は、撓曲性を有するカップ縁部15を備えた球状カップ14を有し、カップ縁部15内に持ち手7の球形端部若しくは持ち手の球体8に組付け時にスナップ接続して、低摩擦の球継手を形成する。さらにインパクタヘッド2は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009054633号明細書に記載の挿入補助手段3の撓曲性を有するばねリング13を収容するための環状の溝12を有する(例えば図5参照)。
【0025】
ここに記載する挿入器具は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009054633号明細書に開示されている挿入器具に対する増改部分若しくは付加的な器具類(以下、「挿入補助手段」と称呼する)が設けられていて、好ましくは公知の挿入器具と組み合わせて使用される。これにより、ソケットインサートの手による直接的な挿入に対して批判的である外科医が、長い持ち手7及び端部側のグリップ6を備えた「古典的な」器具によりソケットインサートを取り扱いかつ接合することが可能になる。ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009054633号明細書に記載の挿入補助手段は、好ましくは、使捨て製品として提供される。少ない個別部分から成るここに記載の挿入器具は、いわゆるシーブ(Sieb)において、好ましくは繰り返し殺菌可能な機械器具として提供される。
【0026】
使捨て製品としての挿入補助手段と、複数回使用製品としての挿入器具とから成るモジュール状の組合せは、全ての機能を1つの再利用可能な挿入器具に統合することに比べて、多くの利点を有する。ソケットインサートのサイズ範囲(Groessenportfolio)は、トライボロジカルなペアの(トライボロジー式のペア)直径及びソケットインサート4の外径に対応させられる。この実施の形態において、同じトライボロジカルなペアの直径ではあるが、種々様々な外径を備えたソケットインサート4が存在する、ということは市場では一般的である。この実施の形態において外径は、一般的にソケットインサート4が挿入されることになっている寛骨臼ソケット5の直径に合わされている。さらに、所定の外径に対して種々様々なトライボロジカルなペアの直径を備えたソケットインサート4を提供することが市場においては一般的である。
【0027】
上記全ての種々様々なソケットインサート4を、再利用可能な挿入器具でもって取り扱うことができるように、n個のトライボロジカルなペアの直径で、m個の可能な外径の場合、器具セットにおいて正確にn×m個のインパクタヘッド2を提供することが必要となる。存在する挿入補助手段に対して付加的な挿入器具の上記モジュール状の解決手段は、これに対して、m個の種々様々な挿入補助手段3の場合には、n個の種々様々なインパクタヘッド2で十分である。
【0028】
構成部分の手術中の組立ては、まずソケットインサート4のトライボロジカルなペアの直径に適合するインパクタヘッド2が、ソケットインサート4のカップ内に差し込まれるように行われる。続いて、ソケットインサート4の外径に対して適合する挿入補助手段3が、挿入されたインパクタヘッド2を備えたソケットインサート4上に置かれ、挿入補助手段3の保持爪が、ソケットインサート4の縁部に被され、これによりソケットインサート4は確実に保持爪によって保持される(図11a〜図11c参照)。次いでソケットインサート4に支承されているインパクタヘッド2は、インパクタ1の球形端部に差し込まれ、球体及びカップ間のスナップ接続が形成される。したがってソケットインサート4は、有利な取扱い及び手術中の器具による寛骨臼ソケット5内への挿入のために製造されている。この実施の形態に関しては、図11d〜図11eを参照されたい。
【0029】
挿入は、ソケットインサート4の手術領域内への導入でもって始まる。この実施の形態では低侵襲アクセスにおいて、ソケットインサート4を良好に「組み込む(einfaedeln)」ことができるように、挿入器具における球継手は、持ち手7の軸線に対するソケットインサート4の傾けを可能にする。同様に球継手は、外傷組織におけるソケットインサート4又は保持爪16の側方の「接触」若しくは「引っかかり」を、ソケットインサート4からの保持爪16の滑落ちの危険を冒すことなく許容する。この実施の形態において、ソケットインサート4は球継手において傾き、不具合なくさらに手術領域に滑り込む。
【0030】
最終的にソケットインサート4は寛骨臼ソケット5内に、保持爪16の下面が寛骨臼ソケット5の端面に接触するまで移動する。これによりソケットインサート4は、寛骨臼ソケット5に対して軸線平行に方向調整されている。このことは、挿入器具における球継手に基づき、従来の解決手段よりも簡単に達成することができる。この実施の形態に関しては、図11f〜図11gを参照されたい。
【0031】
ソケットインサート4及び寛骨臼ソケット5が軸線平行に方向付けられていると、ソケットインサート4に衝撃を与えることができる(図11h参照)。この目的のために、例えば市場において一般的な手術ハンマにより、ハンドグリップ6の自由端部に衝撃が与えられる。この衝撃は、持ち手7を通じてインパクタヘッド2へさらに伝えられる。インパクタヘッド2は、急激にソケットインサート4を寛骨臼ソケット5の方向に動かす。これにより、ソケットインサート4は、保持爪16から押し出され、さらに方向調整された姿勢において、寛骨臼ソケット5内に押し込まれ、2つの構成要素の係止が、例えば円錐形の締付け部10によりもたらされる。挿入補助手段3は、保持爪16の解除後に、持ち手7において少し上方に跳ね上がるも、引き続き持ち手7に確実に引っかかったままである。
【0032】
人工関節製造業者の薦めに応じて、構成要素を確実に係止するために続いてさらなる打撃を加えることができる。続いて挿入器具は手術領域から取り除かれる。インパクタヘッド2の構造的な実施の形態に基づき、挿入補助手段3が、意に反して手術領域に取り残されることはない、ということが保証されている。したがって、インパクタヘッド2の半径方向の直径は、挿入補助手段3のばねリング13の直径よりも大きい。これにより挿入補助手段3は、手術領域から強制的に取り除かれる。
【0033】
以下に、挿入補助手段3の有利な本発明に係る実施の形態を、如何にこれらの実施の形態が個別に又は上記インパクタ1及びインパクタヘッド2と相俟って使用することができるかを説明する。
【0034】
図8図10には、保持爪16を備えた、環状で撓曲性を有するばねリング13から成る、本発明に係る3つの挿入補助手段3を示す。
【0035】
図8記載の挿入補助手段3(挿入器具とも称呼)は、この実施の形態においては、撓曲性を有する環状のばねリング13から成っている。このばねリング13に3つの保持爪16が接続される。挿入補助手段3は、この実施の形態においては、製造技術的な観点において、例えば射出成形により製造することができる好ましくはモノリシックな構成部分として構成される。挿入補助手段3の撓曲性は、保持爪16を半径方向に移動させることができる、ということをもたらす。保持爪16の半径方向の移動が増大するにつれて、克服しなければならないばね力は上昇する。保持爪16の力−距離特性曲線は、ばねリング13の適切な幾何学的な構成により影響を与えることができる。
【0036】
保持爪16は夫々、保持面17及び載置面18(図10b参照)を有する。保持爪16の載置面18は、組み付けられた状態においてソケットインサート4の端面に載置される。保持面17は、組み付けられた状態において、ソケットインサート4の外面19に当接している。したがって組み付けられた状態において、保持爪16は、ソケットインサート4の端面及び外側の縁部に上方から係合する。好ましくは、ばねリング13及び保持爪16は、ソケットインサート4のカップ20の上側の平面に位置する。これにより挿入補助手段3を、より簡単につかむことができる。
【0037】
図9に、同じ間隔を置いてばねリング13から半径方向に出ている5つの保持爪16を備えた本発明に係る択一的な挿入補助手段3を示す。
【0038】
本発明により、保持爪16が、ソケットインサート4の外側の縁部上を、半径方向の伸張によってのみ押し込むことができるように寸法設定されている。つまり、ばねリング13は変形され、保持爪16にばね力が作用する。したがって、各保持面17(図9c参照)は、ソケットインサート4に圧力を加える。この圧力は、量、方向共に各保持爪16におけるばね力とほぼ同じである。上記圧力により、ソケットインサート4の保持面17と、外面19との間に同様に、挿入補助手段3のソケットインサート4からの引抜きに対して対抗して作用する摩擦力が作用する。この実施の形態は、挿入補助手段3の機能にとって重要である。
【0039】
図9bは、本発明に係る挿入補助手段3を備えた、組み立てられた状態におけるソケットインサート4を示している。
【0040】
挿入補助手段3が組み付けられたソケットインサート4が、寛骨臼ソケット5内に押し込まれると、保持爪16の下側の端部は、寛骨臼ソケット5の端面に接触する。保持爪16は全て、下方へ同じ大きさを有しているので、接触点は、寛骨臼ソケット5の端面に対しても、ソケットインサート4の端面に対しても平行な平面を形成する。したがってこれにより同様に、2つの端面の方向調整が行われるので、2つの端面は互いに平行になっている。これにより、ソケットインサート4の起こり得る傾きに抗して作用する。この時点においてまだ残っている、ソケットインサート4と寛骨臼ソケット5との間の側方のギャップにより、寛骨臼ソケット5におけるソケットインサート4の小さな移動が可能である。寛骨臼ソケット5におけるソケットインサート4の繰り返しの往復移動により、寛骨臼ソケット5においてソケットインサート4の正しい位置を点検することが、使用者には可能である。まさに少しの移動可能性があるということ、及び構成要素の衝突が、使用者に寛骨臼ソケット5におけるソケットインサート4の正しい位置に関する極めて良好な感触によるフィーバックを伝達する。このことは、インパクタ1が使用されずに、使用者が指でもってインパクタ1の代替をする場合である。
【0041】
最終的にソケットインサート4を、ソケットインサート4の外側及び寛骨臼ソケット5の内側間で、両円錐面が摩擦接続式に接触するまで寛骨臼ソケット5内に押し込むために、挿入補助手段3の保持面17と、ソケットインサート4の外面19との間の摩擦力を克服する必要がある。このことは、使用者の指による軸線方向の接合力の連続的な又は好ましくは突発的な上昇により行われる。ソケットインサート4は、残りの短い距離だけ寛骨臼ソケット5内に滑り込む。この実施の形態において、ソケットインサート4の著しい傾きはもはや起こり得ない。起こり得る小さな傾きは、円錐形の締付け接続の自己センタリング式の作用により補償され、かつ修正される。
【0042】
保持爪16の外側の端部に好ましくは切込み21が配置されていて、射出成形法において簡単に製造される。
【0043】
単に3つの保持爪16の代わりに5つの保持爪16を備えた挿入補助手段3の実施の形態は、ソケットインサート4の明らかに高い締付けという利点を有する。使用中の1つの保持爪16が解離又は破壊するような付加的に不都合な事例においても、寛骨臼ソケット5内への挿入という機能が保証されている。
【0044】
ソケットインサート4に挿入補助手段3が組み付けられた状態において、ソケットインサート4の端面から上方に突出しているばねリング13(図9参照)は、組み合わされた状態における把持時のより良好な取扱い/感覚を使用者に与える。ばねリング13の軸線方向の高さh(図9参照)は、図9に記載の実施の形態において、好ましくは6〜12mmにあり、特に好ましくは8〜10mmにあり、特別な実施の形態においては9mmである。
【0045】
ばねリング13の上記高さhは、ソケットインサート4のカップ底部への指の差込み及びこれと同時の軸線方向での押し込みを介しての標準解除の他に、解除の付加的な可能性を許容する。上方からのばねリング13の把持、及び上方からのばねリング13への簡単な押圧により、同様に保持接続は外れ、ソケットインサート4は寛骨臼ソケット5内に押し込まれ、寛骨臼ソケット5における円錐形の締付け部により位置決めされ、係止される。
【0046】
さらに上述したように、指の代わりにインパクタヘッド2を備えたインパクタ1を使用することができる。2つの使用形式(指又はインパクタ1)は、同じ結果、すなわち図1に示したように、寛骨臼ソケット5におけるソケットインサート4の持続的で安定的な係止に繋がる。図2に示すように、傾いて挿入されたソケットインサート4は排除されている。
【0047】
図10には、既述したように、同じ間隔を置いてばねリング13から半径方向に出ている5つの保持爪16を備えた本発明に係る他の挿入補助手段3を示す。
【0048】
挿入補助手段3は、上記実施の形態においては、保持爪16をソケットインサート4の外側の縁部上に、半径方向の伸張によってのみ押し込むことができるように寸法設定されている。つまり、ばねリング13は変形し、ばね力が保持爪16に作用する。したがって各保持爪16は、その保持面17を介して(図10c参照)ソケットインサート4に圧力を加える。この圧力は、各保持爪16におけるばね力と大きさ、方向共に同じである。このことは挿入補助手段3の機能にとって重要である。
【0049】
挿入補助手段は、この実施の形態においては、全体的な構成部分に亘って比較的高い材料使用量で構成されている。
【0050】
ばねリング13と保持爪16との間の移行部は、滑らかに湾曲して構成されている。ばねリング13及び保持爪16は、好ましくは同じ軸線方向の高さを有し、この高さは、3〜5mmの範囲にある。
【0051】
保持面17を備えた保持爪16は、幅においては一貫して同一に構成されている。幅は好ましくは10〜14mmであり、特別な実施の形態においては12mmである。直接的な保持面17は、好ましくはソケットインサート4の外面19に半径方向において適合されている。外面19に接続されている大きな接触面を介して摩擦力は高められる。
【0052】
上記幾何学的な構成が、ソケットインサートの明らかに高い締付けという利点でもって、構成部分の剛性を高める。周囲との接触時にソケットインサート4からの挿入補助手段3の早期の離脱に対する抵抗が、これにより高まる。
【0053】
使用時における高い締付け力若しくは克服したい解除力により、挿入補助手段3、インパクタ1及びインパクタヘッド2は、好適に互いに適合する。
【0054】
挿入補助手段3の保持面17とソケットインサート4の外面19との間の摩擦力の克服により、ソケットインサート4を安定して位置決めするために、インパクタ1の端部への手の平での軽い衝撃を介しての軸線方向の接合力の急激な上昇が推奨される。
【0055】
上記挿入補助手段3は、いわゆるシーブにおいて、インパクタ1及びインパクタヘッド2と一緒に好ましくは繰り返し殺菌可能な製品として提供される。挿入補助手段の材料の選択は、繰り返される処理サイクル(134℃における蒸気殺菌)における耐性に関する要求に対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
図11-5】
図11-6】
図11-7】
図11-8】