(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788002
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】非中央の制御装置を備える反転盤式射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/80 20060101AFI20150910BHJP
B29C 45/10 20060101ALI20150910BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20150910BHJP
B29C 33/26 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
B29C45/80
B29C45/10
B29C45/76
B29C33/26
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-525299(P2013-525299)
(86)(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公表番号】特表2013-538708(P2013-538708A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011064524
(87)【国際公開番号】WO2012025556
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2014年7月8日
(31)【優先権主張番号】102010035409.0
(32)【優先日】2010年8月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513035760
【氏名又は名称】クラウスマッファイ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Technologies GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート アールト
【審査官】
越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−154121(JP,U)
【文献】
特開2010−005792(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/050099(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外側の型締め盤(31,32)と、
前記外側の型締め盤(31,32)間に配置され、機械長手方向軸線に対して直交して位置する回転軸線周りに回転可能な少なくとも1つの別の型支持体(2)と、
を備え、前記型支持体(2)及び/又は該型支持体(2)に取り付け可能な型半部(8)に媒体を供給するために、回転分配器(12)が設けられていて、該回転分配器(12)は、回転可能な部分と回転不能な部分とを有し、前記回転可能な部分は、前記型支持体(2)の回転軸線に対して同軸的に位置し、前記回転不能な部分には、ライン(37,38,39)が接続可能となっており、かつ
中央の制御装置(40)を備える
射出成形機において、
前記型支持体(2)及び/又は該型支持体(2)に取り付け可能な型半部(8)に連結可能な、前記射出成形機の運転時に前記型支持体(2)とともに連れ回るエンクロージャ(6)を備え、該エンクロージャ(6)内には、センサ及び/又はアクチュエータの信号を処理し、信号をセンサ及び/又はアクチュエータに送信する制御ボード(19)が設けられており、かつ前記連れ回るエンクロージャ(6)から前記射出成形機の中央の制御装置(40)に至る少なくとも1つのバス接続(38,39)が設けられており、該バス接続(38,39)を介してデータ交換が、前記射出成形機の中央の制御装置(40)と、前記連れ回るエンクロージャ(6)内に設けられた制御ボード(19)との間で行われることを特徴とする、射出成形機。
【請求項2】
前記連れ回るエンクロージャ(6)内には、デジタルの入・出力及び/又はアナログの入・出力のための入・出力ボードが設けられている、請求項1記載の射出成形機。
【請求項3】
前記連れ回るエンクロージャ(6)内には、弁又はこれに類するものを操作する電気的な作動素子が設けられている、請求項1又は2記載の射出成形機。
【請求項4】
前記連れ回るエンクロージャ(6)内には、閉ループ制御される電源回路部品(21)及び/若しくは閉ループ制御されない電源回路部品(21)並びに/又は供給電圧及び信号電圧に関する保安装置(22)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の射出成形機。
【請求項5】
前記連れ回るエンクロージャ(6)は、複数のカップリングインターフェースを有する手動のマルチカップリング(20)及び/又は自動のマルチカップリング(10′)を有し、かつ前記型支持体(2)及び/又は該型支持体(2)に固定される型半部(8)には、前記エンクロージャ(6)に設けられたマルチカップリングのカップリングインターフェースと係合可能なカップリングインターフェースが設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の射出成形機。
【請求項6】
電圧源(V)から提供される電力を処理し、単数又は複数の供給ライン(37)を介して前記回転分配器(12)に導く、別体の中央の供給エンクロージャ(36)を備える、請求項1から5までのいずれか1項記載の射出成形機。
【請求項7】
前記連れ回るエンクロージャ(6)と前記中央の制御装置(40)との間の前記バス接続(38,39)は、スリップリングにより前記回転分配器(12)を介してか、又はケーブルレスに形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の射出成形機。
【請求項8】
前記供給電圧は、前記回転分配器(12)の高性能スリップリングを介して前記連れ回るエンクロージャ(6)に導かれ、該連れ回るエンクロージャ(6)から、前記型半部内かつ/又は前記型支持体上に設けられた消費器へと分配されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の射出成形機。
【請求項9】
前記エンクロージャ(6)を前記中央の型支持体(2)に向かって、かつ該型支持体(2)から離間する方向に移動可能とする単数又は複数のリニア駆動装置(7a,7b)を備える、請求項1から8までのいずれか1項記載の射出成形機。
【請求項10】
複数の回転可能な型支持体(2)が前記外側の型締め盤(31,32)間に設けられており、各々の回転可能な型支持体(2)のために、それぞれ1つの連れ回るエンクロージャ(6)とそれぞれ1つの回転分配器(12)とが設けられており、かつ前記中央の制御装置(40)は、単数又は複数のバス接続を介して前記エンクロージャ(6)に接続されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の射出成形機に関する。
【0002】
この種の射出成形機は、従来技術において種々異なる形態で知られている。外側の型締め盤間には、単数又は複数の回転可能な型支持体が設けられている(ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005016239号明細書、欧州特許第1155802号明細書、国際公開第2005/077637号パンフレット)。公知の射出成形機の場合、回転可能な型支持体の各々には、それぞれ1つの回転分配器(Drehverteiler)が配設されている。回転分配器を介して、型に媒体、例えば水、油圧作動油、又は電気エネルギが供給可能である。場合によっては、対向する2つの回転分配器が1つの型支持体に設けられてもよい。さらに、適当なインターフェースを介して、型支持体に接して若しくは型支持体内に、又は型半部に接して若しくは型半部内に設けられたセンサ及びアクチュエータと、射出成形機の中央の制御装置との間での信号交換又はデータ交換が実施可能である。型支持体あるいは型半部の複雑性次第で、多数のアクチュエータ及びセンサが存在する場合がある。この場合、型半部から回転分配器を介して中央の制御装置に至る手間のかかる配線が必要である。これにより、ケーブル断線の危険が高まる。さらに、測定値の誤謬が起こる場合がある。
【0003】
さらに、データ及び信号を伝送するためにバスシステムが使用される射出成形機が公知である(ドイツ連邦共和国特許第19958790号明細書、ドイツ連邦共和国特許第10302878号明細書)。
【0004】
冒頭で述べた従来技術から出発して、本発明の根底にある課題は、請求項1の前提部に記載された形態の射出成形機を、多数のセンサ及びアクチュエータを装備している型半部を有する複雑な型工具を使用するのに特に適しているように改良することである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載された特徴を有する射出成形機によって解決される。好ましい態様及び形態は、従属請求項に係る発明である。
【0006】
型支持体及び/又はこの型支持体に取り付け可能な型あるいは型半部に連結可能な、射出成形機の運転時に型支持体とともに連れ回るエンクロージャを備え、このエンクロージャ内には、センサ及び/又はアクチュエータの信号を処理し、信号をセンサ及び/又はアクチュエータに送信する制御ボードが設けられており、かつ連れ回るエンクロージャから射出成形機の中央の制御装置に至る少なくとも1つのバス接続が設けられており、バス接続を介してデータ交換が、射出成形機の中央の制御装置と、連れ回るエンクロージャ内に設けられた制御ボードとの間で行われることにより、配線の手間は明らかに軽減される。信号の処理は、非中央において、あるいは集中させずに分散されて、直接型支持体において、連れ回るエンクロージャ内あるいはこのエンクロージャ内に格納された制御ボード内で実施される。このことから、信号伝送経路の短縮あるいはデータ伝送経路の短縮及び中継インターフェースの減少に基づいて、より良好な制御品質も生じ、かつより狭い測定値公差の設定も可能である。射出成形機の装備数、特に型工具の装備数に応じて、コストの明確な減少も生じ得る。
【0007】
本発明における開ループ制御及び閉ループ制御の分散制御技術の別の態様において、連れ回るエンクロージャ内に、型あるいは型半部及び/又は型支持体を運転するための別の電気的な素子及び/又は電子的な素子が格納されていてよい。これは、例えばデジタルの入・出力及び/又はアナログの入・出力のための入・出力ボードであってよい。さらに、弁、コアプラー又はこれに類するものを操作する電気的な作動素子が設けられていてもよい。さらに、連れ回るエンクロージャ内には、閉ループ制御される電源回路部品(geregelter Netzteil)及び/若しくは閉ループ制御されない電源回路部品(ungeregelter Netzteil)並びに/又は供給電圧及び信号電圧のための保安装置が設けられていてよい。
【0008】
電気エネルギ(供給電圧、信号電圧)及び/又は電気信号あるいはデータの交換は、好ましくは複数のカップリングインターフェースを備える手動のマルチカップリング及び/又は自動のマルチカップリングを介して実施可能である。型支持体及び/又はこの型支持体に固定される型半部には、エンクロージャに設けられたマルチカップリングのカップリングインターフェースに係合可能なカップリングインターフェースが設けられている。
【0009】
射出成形機の電気を消費する消費器(Verbraucher)あるいは電気的な負荷への給電のために、一般的には、電圧源に接続されている中央の供給エンクロージャが存在する。それゆえ、回転する型半部内又は回転する型支持体上に存在する消費器には、この中央の供給エンクロージャから電気エネルギが供給可能である。このために、電圧源Vから提供される電圧あるいは電気エネルギは、中央の供給エンクロージャ内で場合によっては処理されて、単数又は複数の供給ラインを介して回転分配器に導入可能である。供給電圧は、回転分配器の高性能スリップリングを介して回転分配器の回転可能な部分に、そしてこの回転可能な部分からさらに、連れ回るエンクロージャに導入可能である。このエンクロージャから、型半部内かつ/又は型支持体上に設けられた消費器への分配が実施可能である。
【0010】
中央のエンクロージャあるいはこのエンクロージャ内の制御ボードと、中央の制御装置との間のデータ交換のために、単数又は複数のバス接続が設けられていてよい。バス接続は、スリップリングにより回転分配器を介してか、又はケーブルレスに、例えば無線又はBluetoothを介して形成されていてよい。
【0011】
好ましくは、エンクロージャを中央の型支持体に向かって、かつ型支持体から離間する方向に移動可能とする単数又は複数のリニア駆動装置が設けられていてよい。このことは、特に、回転分配器が射出成形機のコラム間の横桁に取り付けられると、有利である。エンクロージャは、型半部と連結されている運転位置において、横桁の下を通過可能である。引き戻された位置で、メンテナンス作業及びインストール作業が実施可能である。それゆえ、この位置をメンテナンス位置とも言う。
【0012】
射出成形機の態様次第では、複数の回転可能な型支持体が外側の型締め盤間に設けられていてよい。この場合、各々の回転可能な型支持体のために、それぞれ1つの連れ回るエンクロージャとそれぞれ1つの回転分配器とが設けられている。中央の制御装置は、単数又は複数のバス接続及び回転分配器を介して複数のエンクロージャに接続されている。
【0013】
以下に、本発明について一実施の形態を基に
図1乃至
図6を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】エンクロージャの改変された実施の形態を示す図である。
【0015】
図1は、2つの外側の型締め盤と、1つの中央の回転可能な型支持体とを備えるそれ自体は公知の反転盤式射出成形機(Wendeplatten‐Spritzgiessmaschine)の一部の概略図である。反転盤式射出成形機は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102005016239号明細書に記載されており、本願の
図6に概略的に図示されている。
図1では不可視の外側の型締め盤の間を、閉鎖力を受容あるいは伝達する4つのコラムが延びており、これらのコラムのうち、両上のコラム1a,1bの一部のみが図示されている。中央の型支持体2は、機械ベッドに回転可能に支承されたターンテーブル上に取り付けられている。このことは、例えば上述のドイツ連邦共和国特許出願公開第102005016239号明細書に図示され、記載されている(
図6も参照)。中央の型支持体2は、本実施の形態では、型あるいは型半部を取り付ける2つの型締め面を有する「反転盤(Wendeplatte)」2として形成されている。しかし、型支持体2は、サイコロ状又はプリズム状に、2つより多くの型締め面を有して形成されていてもよい。反転盤2の両側には、型半部が取り付けられている。型半部のうち、
図1には、手前の型半部8のみが可視である。これらの型半部は、運転中、プラスチック成形品のための適当なキャビティを形成するために、外側の型締め盤に設けられた対応する型半部と組み合わせ可能である。反転盤2の上側には、コラム1aとコラム1bとの間に、横桁3が配置されている。横桁3の端部は、それぞれ、中間部材4を介して滑動ブシュ5に固定されている。横桁3は、適当なリニア駆動装置9a,9bによりコラム1a,1bに沿って移動可能である。前側のエンクロージャ部分6aと後側のエンクロージャ部分6bとを有するエンクロージャ6は、2つのリニア駆動装置7a,7bにより、
図1に示した上側の位置(メンテナンス位置)から下方に運転位置へ、そして再び逆向きに移動可能である。運転位置において、エンクロージャ6の下面に存在する自動のマルチカップリングは、型半部8に設けられた対応する自動のマルチカップリング10と係合あるいは連結されている。さらにエンクロージャ6は、運転位置において、自由に横桁3の下を通過できる程度に下降させられている。反転盤2の回転時、エンクロージャ6は連れ回る、つまり反転盤2の回転にともなって回転する。横桁3の上側には、回転分配器の回転不能な外側の部分がハウジング11内にある一方、回転分配器の回転可能な内側の部分は、下方に、外側の部分あるいはハウジング11から突出して、端子を有している。端子から電気的なラインがエンクロージャ6に向かってかつエンクロージャ6内へと延びている。回転分配器の回転不能な部分と中央の制御装置との間のデータ伝送のための接続ライン及び回転分配器の回転不能な部分と別のエンクロージャ、すなわち中央の供給エンクロージャとの間の中央からの電圧あるいは電気エネルギの供給のための接続ラインは、図示していない。
【0016】
エンクロージャ及び回転分配器のさらなる詳細については、以下に
図2乃至
図5を参照しながら説明する。電気的な回転分配器12は、
図2に側面図で示してあり、
図3に斜視図で、厳密に言えば斜め下から見た斜視図で示してある。ハウジング11は、下側のサイコロ状のハウジング部分11aと、上側の円柱状のハウジング部分11bとを有している。複数の端子13.1〜13.7が存在し、これらの端子13.1〜13.7には、所望の使用目的のためのケーブルが接続可能である。割り当ては、例えば以下の通りである:
13.1=供給電圧400V;
13.2=信号電圧24V;
13.3=第1のVaranケーブル(第1のVaranバス);
13.4=第2のVaranケーブル(第2のVaranバス);
13.5=第1のCANバス;
13.6=第2のCANバス;
13.7=今後の用途のための予備
スリップリング伝送器によって、電気的な回転分配器12の、本図においては不可視の回転不能な部分と回転可能な部分14との間で、電気的な接続が形成可能である。回転可能な部分14は、ハウジング11の下面から一部導出されており、複数の端子15を有している。これらの端子15から、電気エネルギ若しくは供給電圧又は信号電圧を伝送するケーブルあるいはラインと、データ又は信号を伝送するケーブルあるいはラインとが、エンクロージャ6に向かって延びている。
【0017】
図4は、
図1に示したエンクロージャ6の斜視図であって、厳密に言えばハウジング壁を取り外した状態で斜め下から見た斜視図である。そのため、エンクロージャ6の少なくとも右前部の内側が看取可能である。つまり、エンクロージャ6は、第1の前側のエンクロージャ部分6aと第2の後側のエンクロージャ部分6bに分割可能である。これらの部分6a,6bの各々に、それぞれ1つの型半部8が割り当てられている。支持板16を介して互いに結合されている2つのエンクロージャ6a,6bが設けられているとも言える。支持板16の中央に設けられた穴に、センタリングピン17が通されており、このセンタリングピン17によって、型半部に関するエンクロージャ6a,6bの正確な位置決めが可能である。エンクロージャ6a,6bの各々は、その下面に自動のマルチカップリング10′を有している。マルチカップリング10′は、運転位置において、型半部8に設けられた対応する自動のマルチカップリング10と係合あるいは連結されている。この種のマルチカップリング自体は、従来技術において公知であり、それゆえ本明細書で詳細に説明する必要はない。エンクロージャ6a,6bの内部には、一連の、開ループ制御及び閉ループ制御を行う制御ボード並びに別の電気的及び電子的な要素が配置されている。
【0018】
図5は、本発明における連れ回るエンクロージャ6の改変された実施の形態を、ハウジング壁18をフラップ式に開放した状態で示す図である。エンクロージャ6の内部には、制御ボードを収容かつ固定する複数の収容装置19(本実施の形態では6つ)が存在している。例えば以下のボードが収容装置19に格納可能である:
‐温度制御ボード(例えば温度センサ及び加熱素子用);
‐パワーエレクトロニクスボード(例えば型半部のヒータの閉ループ制御及び開ループ制御用);
‐デジタルの入・出力を有するボード;
‐アナログの入・出力を有するボード;
‐チャージアンプを有するボード(例えば工具内圧用)。
【0019】
自動のマルチカップリング10′の他に、手動のマルチカップリング20が設けられていてもよい。さらに制御変圧器21、例えば閉ループ制御される電源回路部品及び/又は閉ループ制御されない電源回路部品、及び保安装置22、例えば供給電圧に関して保護を行う保安装置が存在する。供給電圧は、ハイボルト(400V、230V)及びローボルト(24V)の電圧であってよい。これは、直流電圧(DC)又は交流電圧(AC)であってよい。概略的に図示した電気的な回転分配器12も、自動又は手動のマルチカップリング23を有していてよい。電気的な回転分配器12は、例えば電力供給、種々異なるバスインターフェース、安全に関する信号の伝送あるいは供給のために役立つ。マルチカップリング23を介して、上述の電気的な要素は、回転分配器12に供給可能であり、かつ必要であれば導出可能である。導出は、特にエンクロージャ6と射出成形機の中央の制御装置との間での信号及びデータの伝送に該当する。中央の制御装置のCPUあるいはデータ処理装置内では、データのさらなる処理が実施可能である。しかし、中央の制御装置のCPUは、第1にエンクロージャ6内の制御ボードを統括するために役立つ。これにより、エンクロージャ6は、型半部に接して又は型半部内に設けられたセンサ及びアクチュエータの運転を開ループ制御及び閉ループ制御する、反転盤あるいは回転可能な型支持体とともに回転する非中央あるいは分散型の制御装置を形成している。センサにより出された信号の処理は、連れ回るエンクロージャ内で実施され、通常のように射出成形機の中央の制御装置内では行われない。しかし、中央の制御装置内では、さらにプロセスデータの可視化並びにエンクロージャ6内の制御ボードのためのプリセット値としての目標値及び実際値の入力がなされる。さらに、中央の制御装置内では、射出成形機のその他の部分の別の運転パラメータの入力がなされる。中央の制御装置と非中央のエンクロージャとの間で、データ交換が実施される。例えば、エンクロージャ6内では、コアプラーシステムのすべてのコアが進入したか否か、又はいつ進入したかが把握され、この情報は、バスシステムを介して中央の制御装置に転送可能である。非中央の連れ回る制御装置の管理は、射出成形機の中央の制御装置の代わりに、例えば複数の射出成形機が接続されているより上位の制御システムによって実施されてもよい。これにより、この上位の制御システムは、本明細書において説明する形態の複数の非中央の制御装置とデータを交換し合う関係にある。
【0020】
図6を参照しながら、反転盤2に設けられた連れ回る非中央の制御装置6と、中央の制御装置及び中央の供給エンクロージャとの間の接続について説明する。
図6は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005016239号明細書に開示される形態の、工場のホールの床Bに設置された射出成形機を概略的に示している。機械ベッド30には、1つの固定の型締め盤31、1つの可動の型締め盤32及び2つの可塑化兼射出ユニット33,34が支持されている。両外の型締め盤の間には、長手方向で移動可能なターンテーブル35上に、反転盤2が固定されている。見やすくするために、コラムと、上側のコラム間に設けられた横桁とは省略されている。反転盤2には、型半部8が固定されている。型半部8は、外側の型締め盤に設けられた対応する型半部8′と組み合わせ可能である。反転盤2の上側には、エンクロージャ6あるいは非中央の制御装置6及び回転分配器12が存在する。機械ベッド30の下又は中に、中央の供給エンクロージャ36が設けられている。中央の供給エンクロージャ36は、電圧源Vに接続されている。電圧源Vからは供給ライン37が回転分配器12に通じている。回転分配器12から、供給電圧は、上述したようにエンクロージャ6に達し、さらに型半部8内にかつ/又は反転盤2に接して設けられた消費器あるいは負荷に達する。もちろん、例えば可塑化兼射出ユニット33,34の電気的な駆動装置又は電気的な加熱帯材等のその他の消費器のための別の供給ラインも存在する。別のライン38,39により、エンクロージャ6、あるいはこのエンクロージャ6内に存在する制御ボードが、中央の制御装置40に接続されている。この中央の制御装置40は、少なくとも1つの中央のプロセッサ(CPU)を有するデータ処理装置41と、表示部42a及び操作部42bを有する入出力装置42とを有している。データ処理装置41は、双方向性のデータライン43により入出力装置42に接続可能である。ライン39を介して、例えばデータ及び指令がエンクロージャ6内の制御ボードに伝送される。ライン38を介して、逆方向で、制御ボードのデータ及び信号が、中央の制御装置40に伝送可能である。もちろん、別のライン(例えば50,51)も存在する。これらの別のラインは、運転中に回転されず、ひいては回転分配器12を介して中央の制御装置40に接続される必要のないセンサ及びアクチュエータに接続されている。
【符号の説明】
【0021】
1a,1b 上側のコラム
2 反転盤
3 横桁
4 中間部材
5 滑動ブシュ
6 非中央のエンクロージャ
6a 前側のエンクロージャ部分
6b 後側のエンクロージャ部分
7a,7b エンクロージャ用のリニア駆動装置
8,8′ 型半部
9a,9b 横桁用のリニア駆動装置
10 型半部に設けられたマルチカップリング
10′ エンクロージャに設けられたマルチカップリング
11 回転分配器のハウジング
11a 下側のハウジング部分
11b 上側のハウジング部分
12 回転分配器
13.1〜13.7 電気的な接続箇所
14 回転分配器の回転可能な部分
15 電気的な接続箇所
16 支持板
17 センタリングピン
18 ハウジング壁
19 制御ボード用の収容装置
20 手動のマルチカップリング
21 制御変圧器
22 電気的な保安装置
23 マルチカップリング
30 機械ベッド
31 固定の型締め盤
32 可動の型締め盤
33 第1の可塑化兼射出ユニット
34 第2の可塑化兼射出ユニット
35 ターンテーブル
36 中央の供給エンクロージャ
37 供給ライン
38 第1のデータライン
39 第2のデータライン
40 中央の制御装置
41 データ処理装置
42 入出力装置
42a 表示部
42b 操作部
43 双方向性のデータライン
50,51 別のデータライン
B 床
V 供給電圧源