特許第5788009号(P5788009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライカ ジオシステムズ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許5788009少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルマルチスペクトルカメラシステム
<>
  • 特許5788009-少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルマルチスペクトルカメラシステム 図000002
  • 特許5788009-少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルマルチスペクトルカメラシステム 図000003
  • 特許5788009-少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルマルチスペクトルカメラシステム 図000004
  • 特許5788009-少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルマルチスペクトルカメラシステム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788009
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルマルチスペクトルカメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/04 20060101AFI20150910BHJP
   H04N 9/09 20060101ALI20150910BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20150910BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   H04N9/04 B
   H04N9/09 A
   G03B11/00
   G03B15/00 T
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-530637(P2013-530637)
(86)(22)【出願日】2011年7月21日
(65)【公表番号】特表2013-545331(P2013-545331A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011062505
(87)【国際公開番号】WO2012041553
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年4月25日
(31)【優先権主張番号】102010041569.3
(32)【優先日】2010年9月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513076464
【氏名又は名称】ライカ ジオシステムズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Leica Geosystems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100165940
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 令子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ティム
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴェルツェンバッハ
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−098087(JP,A)
【文献】 特開平11−234686(JP,A)
【文献】 特表2013−524664(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0029714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/04 − 9/11
H04N 9/44 − 9/78
H04N 5/222− 5/257
H04N 5/30 − 5/378
G03B 11/00 −11/06
G03B 15/00 −15/035
G03B 15/06 −15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理ユニット(4)と、少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)を備えたデジタルカメラシステム(2)であって、
前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)は、異なる狭帯域スペクトル領域において画像信号を検出し、
前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)は、それぞれ1つの別個のシャッター(8a)および/または1つの別個の対物レンズ(8b)を有しており、かつ、前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)は、それぞれ少なくとも1つの別個の面状デジタル画像センサ(6)と、前記少なくとも1つの面状デジタル画像センサ(6)の前に配置されている、前記各狭帯域スペクトル領域に相応する少なくとも1つのカラーフィルターエレメント(7.1〜7.4)とを有しており、前記カラーフィルターエレメント(7.1〜7.4)は少なくとも1つのフィルター領域(7a.1〜7a.4)を有しており、
前記少なくとも1つのカラーフィルターエレメント(7.1〜7.4)は追加的に、少なくとも1つのニュートラルな領域(7b)を有しており、
前記ニュートラルな領域(7b)は、前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)の異なる狭帯域スペクトル領域を少なくとも含んでいるスペクトル領域(ND)において透光性であり、かつ、
前記ニュートラルな領域(7b)は、属する前記少なくとも1つの面状デジタル画像センサ(6)の少なくとも1つの特定のニュートラルなピクセル領域(6b)上に配置されており、
前記画像処理ユニット(4)は、前記デジタルカメラシステム(2)のカラーバランスを調整する方法を実施するように構成されており、同一のシーン(9)を前記少なくとも2つの独立したカメラ(3.1〜3.4)が同期画像撮影する場合の、前記デジタルカメラシステム(2)の前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)間の露光時間の差および/または撮影された光量の差が求められ、なお、前記露光時間の差および/または前記撮影された光量の差は、前記同期画像撮影の終了後に、前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)の前記面状デジタル画像センサ(6)の各ニュートラルなピクセル領域(6b)において撮影された光量相互に比較することによって求められ、
その後、前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)によって、各異なる狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)において同期して撮影された同じシーン(9)の画像の処理時に、前記各狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)の画像信号が、前記求められた露光時間の差および/または撮影された光量の差に相応して、それぞれ、変化されない、減衰される、または増幅されるように補償計算が行われる、
ことを特徴とする、デジタルカメラシステム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)は、
少なくとも近似的に同一のシーン(9)が前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)の異なる狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)において撮影され、かつ、
前記異なる狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)の画像信号を組み合わせて、前記シーン(9)のマルチスペクトル画像が得られるように、相対的に配置されている、請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項3】
前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)は、前記異なる狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)に相応する各カラーフィルターエレメント(7.1〜7.4)を除いて実質的に同様の撮影特性を有している、および/または、実質的に同じ構造を有しており、
前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)の面状デジタル画像センサ(6)と、前記別個のシャッター(8a)および前記対物レンズ(8b)の少なくとも一方と、は実質的に同様に構成されている、請求項1または2記載のデジタルカメラシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカラーフィルターエレメント(7.1〜7.4)は、ストリップ状の2つのニュートラルな領域(7b)を、前記フィルター領域(7a.1〜7a.4)の、対向する側に有している、請求項1、2または3記載のデジタルカメラシステム。
【請求項5】
・第1の独立したデジタルカメラ(3.1)は、第1のカラーフィルターエレメント(7.1)を備えており、前記第1のカラーフィルターエレメント(7.1)は約600nm〜約700nmの波長を有するスペクトル領域(R)において透光性であり、
・第2の独立したデジタルカメラ(3.2)は、第2のカラーフィルターエレメント(7.2)を備えており、前記第2のカラーフィルターエレメント(7.2)は約500nm〜約600nmの波長を有するスペクトル領域(G)において透光性であり、
・第3の独立したデジタルカメラ(3.3)は、第3のカラーフィルターエレメント(7.3)を備えており、前記第3のカラーフィルターエレメント(7.3)は約400nm〜約500nmの波長を有するスペクトル領域(B)において透光性であり、
・第4の独立したデジタルカメラ(3.4)は、第4のカラーフィルターエレメント(7.4)を備えており、前記第4のカラーフィルターエレメント(7.4)は約700nm〜約900nmの波長を有するスペクトル領域(NIR)において透光性である、請求項1から4までのいずれか1項記載のデジタルカメラシステム。
【請求項6】
前記第1、第2、第3および第4のカラーフィルターエレメント(7.1〜7.4)はそれぞれ1つのニュートラルな領域(7b)を有しており、前記ニュートラルな領域(7b)は、約400nm〜約900nmのスペクトル領域(ND)において透光性である、請求項5記載のデジタルカメラシステム。
【請求項7】
飛行機から航空写真を撮影するための航空測量用である、請求項1から6までのいずれか1項記載のデジタルカメラシステム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のデジタルカメラシステム(2)のカラーバランスを調整する方法であって、
同一のシーン(9)を前記少なくとも2つの独立したカメラ(3.1〜3.4)が同期画像撮影する場合の、前記デジタルカメラシステム(2)の前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)間の露光時間の差および/または撮影された光量の差が求められ、なお、前記露光時間の差および/または前記撮影された光量の差は、前記同期画像撮影の終了後、前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)の前記面状デジタル画像センサ(6)の各ニュートラルなピクセル領域(6b)において撮影された光量相互に比較することによって求められ、
その後、前記少なくとも2つの独立したデジタルカメラ(3.1〜3.4)によって、各異なる狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)において同期して撮影された同じシーン(9)の画像の処理時に、前記各狭帯域スペクトル領域(R、G、B、NIR)の画像信号が、前記求められた露光時間の差および/または撮影された光量の差に相応して、それぞれ、変化されない、減衰される、または増幅されるように補償計算が行われる、
ことを特徴とする、デジタルカメラシステム(2)のカラーバランスを調整する方法。
【請求項9】
請求項8の方法を実施するように構成されている、デジタルカメラシステム(2)の画像処理ユニット(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念において詳細に規定されている様式の、少なくとも2つの独立したデジタルカメラを備えたデジタルカメラシステムに関する。本発明はまた、カラーフィルターエレメントおよびデジタルカメラシステムの独立した少なくとも2つのデジタルカメラ間の露光時間および/または撮影された光量の差を求める方法並びにデジタルカメラシステムのカラーバランスを再現する方法に関する。さらに本発明は、カメラシステムの画像処理ユニットにも関する。
【0002】
DE102005045036A1号には、マルチスペクトルカメラおよびマルチスペクトルカメラによって画像情報を形成する方法が提示されている。
【0003】
シャッターと、撮影されるべき光量ないしは露光時間を定めるための相応のデジタルセンサとを有する複数の独立したカメラないしはカメラヘッドを備えたデジタルカメラシステムでは、個々のカメラにおいて、製造に起因する、シャッター特性およびセンサ特性の散乱によって相互に差が生じ得る。
【0004】
個々のないしは自立したまたは独立したカメラヘッドがそれぞれ、相応する前置カラーフィルターエレメントによって分けられる種々のスペクトル領域ないしは波長領域における光を、殊に同じシーンの画像を全てのカメラヘッドが同時画像撮影ないしは同期画像撮影することによって撮影するマルチスペクトルカメラでは(ここではこの画像信号が後から1つのマルチスペクトル画像にまとめられる)、画像撮影時に、全ての独立したカメラヘッドに対してできるだけ同じ光量ないしは露光時間が発生するべきである。従って、上述した、個々のカメラヘッドの僅かに異なっている露光時間によって生じる差ないしは許容公差によって、マルチスペクトル画像内での色誤りが生じてしまい得る。
【0005】
実践から、ポジションセンシングまたは同様の粗い測定を個々のカメラヘッドの実際の露光時間に関して行い、かつ、ここから既に大まかに、必要なカラーバランシングを計算することが既知である。しかし個々のカメラの異なるカラーチャネルまたはカラーフィルターによって生じる異なった光量ないしは画像情報のために、正確な推定が行われないことがある。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に記載した様式のデジタルカメラシステムを撮影された画像のカラーバランシングに関してさらに改善する、ということである。
【0007】
この課題は、本発明と相応に、請求項1の特徴部分に記載されている構成によって解決される。
【0008】
本発明では、少なくとも2つの独立しているデジタルカメラを備えたデジタルカメラシステムが提示される。これらのデジタルカメラは、画像信号を異なる狭帯域スペクトル領域において検出する。ここで、これらの少なくとも2つの独立したデジタルカメラはそれぞれ少なくとも1つの別個の面状のデジタル画像センサ、有利にはCCDセンサまたはCMOSセンサと、入射光の方向においてこの少なくとも1つの面状のデジタル画像センサの前に配置されているないしは面状のデジタル画像センサの前に接続されている、各狭帯域スペクトル領域に相応する少なくとも1つのカラーフィルターエレメントとを有している。ここでこのカラーフィルターエレメントは、少なくとも1つのフィルター領域を有している。ここで少なくとも1つのカラーフィルターエレメントは、付加的に少なくとも1つのニュートラルな領域ないしはニュートラルな密度の領域を有している。このニュートラルな領域は、少なくとも2つの独立したデジタルカメラの少なくとも異なる狭帯域スペクトル領域を含んでいるスペクトル領域において、殊にパンクロマチックスペクトル領域において光を通し、かつ属する、少なくとも1つの面状の画像センサの特定のニュートラルな、殊に使用されていないピクセル領域に割り当てられている。
【0009】
カラーフィルターエレメントのニュートラルな領域は有利には、必要な全波長スペクトルにおいて、光を修正なく通過させる、ないしは必要な波長スペクトルにおいて、例えば少なくとも95%の極めて高い透過率を有している。これによって、独立したデジタルカメラは、このニュートラルな領域によって、同様のかつ同量の光を得る。なぜなら、ニュートラルな領域ないしはニュートラルな密度領域のこのフィルター特性は、全ての独立したカメラで、実質的に同様に構成されているからである。カラーフィルターエレメントのニュートラルな領域が、対応する少なくとも1つの面状のデジタル画像センサの特定のニュートラルな、殊に使用されていないピクセル領域に割り当てられていることによって、ないしはこの上に配置されていることによって、異なる独立したデジタルカメラにおいて、正確に同じ光量が画像情報に対して発生する。全ての独立したデジタルカメラが同期して画像撮影する際にニュートラルないしは使用されていないピクセル領域において差が生じる場合、この差は異なるカラーチャネルに起因するのではなく、異なるシャッター時間またはその他の、殊に機械的な許容公差に起因する。従って、相応の補償計算が画像処理の間に行われ、ここで強過ぎる色成分は相応に弱められる、ないしは標準化(Normierung)等が行われる。
【0010】
特に有利には、面状のデジタル画像センサは、いずれにせよアプリケーションによって使用されないピクセル領域を有している。このピクセル領域はニュートラルな領域として使用される。このニュートラルなピクセル領域はここで充分に大きいべきである(例えば2000ピクセル等)。なぜならカラーフィルターエレメントの異なる領域間に、相応する大きさの移行領域も(異なる種類のガラスの間に)設けられるべきだからである。
【0011】
少なくとも2つの独立したデジタルカメラは、それぞれ別個のシャッターおよび/または別個の対物レンズを有することができる。このような配置構成の場合には、本発明の措置は特に有利である。なぜなら、少なくとも2つの独立したデジタルカメラ間の露光時間および/または撮影光量の過度に強い差が生じ得るからである。
【0012】
少なくとも2つの独立したデジタルカメラは、次のように相互に配置される。すなわち、少なくとも類似した同一のシーンが、少なくとも2つの独立したデジタルカメラの異なる狭帯域スペクトル領域において撮影可能であり、異なるカラーチャネルまたは狭帯域スペクトル領域の画像信号を組み合わせて、このシーンないしは検出された画像信号のマルチスペクトル画像が得られるからである。
【0013】
少なくとも2つの独立したデジタルカメラは、自身の各異なる色感度または狭帯域スペクトル領域に相応するカラーフィルターエレメントを除いて実質的に同様の撮影特性を有している、および/または、実質的に同じ構造を有している。この場合には、その面状のデジタル画像センサは、場合によって設けられているその別個のシャッターおよび/または対物レンズは実質的に同様に構成されている。
【0014】
有利には、少なくとも1つのカラーフィルターエレメントはストリップ状の2つのニュートラルな領域を、フィルター領域の、対向する側に有している。複数の異なるニュートラルフィルター領域を使用することによって、光学的な差の改善された、ないしはより正確な補償が可能になる。
【0015】
デジタルカメラシステムを独立した4つのカメラを備えたマルチスペクトルカメラシステムとして構成することができる。これは、
・第1の独立したデジタルカメラを有しており、このデジタルカメラは、第1のカラーフィルターエレメントを備えている。このカラーフィルターエレメントは約600nm〜約700nmの波長領域を有するスペクトル領域において、ないしは赤色光に対して光透過性である。
・第2の独立したデジタルカメラを有しており、このデジタルカメラは、第2のカラーフィルターエレメントを備えている。このカラーフィルターエレメントは約500nm〜約600nmの波長を有するスペクトル領域において、ないしは緑色光に対して光透過性である。
・第3の独立したデジタルカメラを有しており、このデジタルカメラは、第3のカラーフィルターエレメントを備えている。このカラーフィルターエレメントは約400nm〜約500nmの波長を有するスペクトル領域において、ないしは青色光に対して光透過性である。
・第4の独立したデジタルカメラを有しており、このデジタルカメラは、第4のカラーフィルターエレメントを備えている。このカラーフィルターエレメントは約700nm〜約900nmの波長を有するスペクトル領域において、ないしは近赤外光に対して光透過性である。
【0016】
この第1のカラーフィルターエレメント、第2のカラーフィルターエレメント、第3のカラーフィルターエレメントおよび第4のカラーフィルターエレメントは、それぞれ1つのニュートラル領域を有している。このニュートラル領域は、約400nm〜約900nmのスペクトル領域において光透過性である。これによって、カラーフィルターエレメントの全体的なスペクトル領域は、カラーフィルターエレメントのこれらのニュートラル領域によってカバーされる。
【0017】
このデジタルカメラシステムを、飛行機から航空写真を撮影するための航空測量用のマルチスペクトルデジタルカメラシステムとして使用することができる。
【0018】
請求項9では、少なくとも1つの面状デジタル画像センサ用のカラーフィルターエレメントが提示される。
【0019】
請求項10では、デジタルカメラシステムの少なくとも2つの独立したデジタルカメラ間の露光時間および/または撮影光量の差を求める方法が提示されている。これは殊に、有利には同一のシーンを少なくとも2つの独立したカメラが同期して画像撮影する場合の方法である。この方法では、同期画像撮影が行われた後に、少なくとも2つの独立したデジタルカメラの面状デジタル画像センサの各ニュートラルピクセル領域において撮影された光量が相互に比較される。
【0020】
請求項11では、デジタルカメラシステムのカラーバランスを調整する方法が提案されている。ここで、デジタルカメラシステムの少なくとも2つの独立したデジタルカメラ間の露光時間およびまたは撮影光量の差が求められ、その後、少なくとも2つの独立したデジタルカメラシステムによって、各異なる狭帯域スペクトル領域ないしはカラーチャネルにおいて同期して撮影された、同一のシーンの画像の処理時に、補償計算が次のように行われる。すなわち、各狭帯域スペクトル領域が前もって求められたこの差に相応してそれぞれ変化されない、弱められるまたは強められるように、すなわち標準化されるように行われる。
【0021】
さらに請求項12において、デジタルカメラシステムの画像処理ユニットが示されている。
【0022】
本発明の有利な構成および発展形態は、従属請求項に記載されている。以降では、図面に基づいて、原則的に、本発明の実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】独立した4つのカメラを有する本発明のマルチスペクトルカメラシステムの概略図
図2図1に示されている、本発明のマルチスペクトルデジタルカメラシステムの独立したデジタルカメラの概略図
図3】カラーフィルターエレメントの概略図
図4】本発明のマルチスペクトルデジタルカメラシステム内にある4つのカラーフィルターエレメントの配列の概略図
【実施例】
【0024】
本発明のデジタルカメラシステム、殊にマルチスペクトルカメラシステムは以降で、飛行機(図示されていない)から航空写真を撮影するための航空測量用の航空写真撮影機器として使用される。さらに、図示されていない実施例においては、本発明のデジタルカメラシステムは例えば、顕微鏡等でも使用される。
【0025】
図1は、航空測量用の航空写真撮影機器1を示しており、これは、独立した4つのデジタルカメラ3.1〜3.4を備えている、本発明のマルチスペクトルデジタルカメラシステム2を備えている。これらのデジタルカメラは、異なる狭帯域のスペクトル領域において画像信号を検出し、これを画像処理ユニット4に転送する。画像処理ユニット4は次に、この信号を画像記憶ユニット5に伝達する。付加的に、本発明のデジタルカメラシステム2は、高い解像度のパンクロマチック独立デジタルカメラ3.5を有することができる(破線で示されている)。ここでこれらの独立したデジタルカメラ3.1〜3.4は、低い解像度を有するように構成されている。
【0026】
本発明のデジタルカメラシステム2内の独立したデジタルカメラ3.1〜3.5の配列は図1では著しく簡易化して示されており、独立したデジタルカメラ3.1〜3.5の実際の配列とは格段に異なっている。
【0027】
独立した4つのデジタルカメラ3.1〜3.4は次のように相互に配列されている。すなわち、少なくとも近似的に同一のシーンが、その異なる狭帯域スペクトル領域において撮影可能であり、これらの異なる狭帯域スペクトル領域の画像信号からこのシーンのマルチスペクトル画像が、殊に画像処理ユニット4内で組み合わせて生成されるように配列されている。この組み合わせ時に、オプションとして、独立したデジタルパンクロマチックカメラ3.5も使用可能である。
【0028】
図2には、本発明のデジタルカメラシステム2の各独立したデジタルカメラ3.1〜3.4が示されている。ここでは独立したデジタルカメラ3.1〜3.4はそれぞれ1つの別個の面状の、CCDセンサとして構成されているデジタル画像センサ6と、この面状のデジタル画像センサ6の前に接続されているカラーフィルターエレメント7.1〜7.4を有している(図3および4も参照)。これらは、各狭帯域スペクトル領域用のフィルター領域7a.1〜7a.4を有している。別の実施例では、デジタル画像センサ6は、各狭帯域スペクトル領域に対して、CMOSセンサとして構成される。
【0029】
カラーフィルターエレメント7.1〜7.4は、2つのニュートラルな領域7bを有している。これらのニュートラルな領域は、4つの独立したデジタルカメラ3.1〜3.4の異なる狭帯域スペクトル領域を少なくとも含んでいるスペクトル領域NDにおいて、殊にパンクロマチックスペクトル領域において光透過性である。カラーフィルターエレメント7.1〜7.4のニュートラルな領域7bないしはニュートラルな密度の領域は、対応する面状デジタル画像センサ6の2つの特定のニュートラルなピクセル領域、殊に使用されていないピクセル領域6bに割り当てられている。面状デジタル画像センサ6の、マルチスペクトル画像用の、このシーンの画像信号の記録のために使用される領域には、参照符号6aが付けられている。
【0030】
独立したデジタルカメラ3.1〜3.4は、別個のシャッター8aおよび別個の対物レンズ8b、すなわち別個の光学系を有している。撮影されるべきシーン9が、図2に簡略化して示されている。さらに図2から見て取れるように、デジタル画像センサ6はシーン9を撮影する。この際に、使用されているピクセル領域6aは、光10aで露光される。この光は、カラーフィルターエレメント7.1〜7.4のフィルター領域7a.1〜7a.4を通過する。フィルター領域7a.1〜7a.4は、次のように構成されている。すなわち、相応の波長を有する光だけが通過するように構成されている。デジタル面状画像センサ6の使用されていないピクセル領域6bは、光10bによって露光される。この光は、使用されていないピクセル領域6bに割り当てられている、カラーフィルターエレメント7のニュートラルな領域7bを通過する。
【0031】
独立した4つのデジタルカメラ3.1〜3.4は、異なる狭帯域スペクトル領域に相応する各カラーフィルターエレメント7.1〜7.4を除いて、実質的に同様の撮影特性を有しており、および/または実質的に同じ構造を有している。ここでその面状デジタル画像センサ6、別個のシャッター8aおよび対物レンズ8bは実質的に同様に構成されている。
【0032】
図3には、フィルター領域7a.1を有しているカラーフィルターエレメント7.1が示されている。これは、約600nm〜約700nmの波長を有する赤色の狭帯域スペクトル領域Rにおいて光を通す。図3は、カラーフィルターエレメント7.1の平面図であり、図2にはこのようなカラーフィルターエレメント7.1の側面図が示されている。カラーフィルターエレメント7.1は、2つのストリップ状のニュートラル領域7bを、フィルター領域7a.1の、対向する側に有している。カラーフィルターエレメント7.1は、ストリップ状フィルターとも称される。
【0033】
面状のデジタル画像センサ6用のカラーフィルターエレメント7.1は、通されるべき光の第1のスペクトル領域Rに対してフィルター領域7a.1を有しており、第2のスペクトル領域NDに対してニュートラルな領域7bを有している。ここで、ニュートラル領域7bの第2のスペクトル領域NDはフィルター領域7a.1の第1の狭帯域スペクトル領域Rよりも広く、これを含んでいる。
【0034】
図4は、本発明によるデジタルカメラシステム2の正面図を示しており、これは相応に並列して配置されている独立したデジタルカメラ3.1〜3.4を有している。このうち、図4には、その各カラーフィルターエレメント7.1〜7.4のみが示されている。対応する面状のデジタル画像センサ6は、カラーフィルターエレメント7.1〜7.4の後方に配置されている。カメラ3.1〜3.4の別個のシャッター8aおよび対物レンズ8bも、図4に示されていない。第1の独立したデジタルカメラ3.1には、第1のカラーフィルターエレメント7.1が設けられている。これは実質的に、約600nm〜約700nmの波長を有するスペクトル領域Rにおいてのみ、光を通す。第2の独立したデジタルカメラ3.2には第2のカラーフィルターエレメント7.2が設けられている。これは実質的に、約500nm〜約600nmの波長を有する、緑色の光に対するスペクトル領域Rにおいてのみ、光を通す。第3の独立したデジタルカメラ3.3には第3のカラーフィルターエレメント7.3が設けられている。これは実質的に、約400nm〜約500nmの波長を有する、青色の光に対するスペクトル領域Bにおいてのみ、光を通す。第4の独立したデジタルカメラ3.4には第4のカラーフィルターエレメント7.4が設けられている。これは実質的に、約700nm〜約900nmの波長を有する、近赤外光用のスペクトル領域NIRにおいてのみ、光を通す。第1、第2、第3および第4のカラーフィルターエレメント7.1〜7.4はそれぞれニュートラルな領域7bを有している。この領域は約400nm〜900nmまでのスペクトル領域NDにおいて光を通す。さらに、カラーフィルターエレメント7.1〜7.4は、相応のフィルター領域7a.1〜7a.4を各スペクトル領域R、G、B、NIRに対して有している。上述したスペクトル領域R、G、B、NIRは単なる例である。さらなる、図示されていない実施例では、相応する別のスペクトル領域を伴う任意の用途が考えられる。
【0035】
デジタルカメラシステム2の画像処理ユニット4は、デジタルカメラシステム2の独立したデジタルカメラ3.1〜3.4間の露光時間および/または撮影された光量の差を求めるように構成されている。ここで殊に、有利には同じシーン9の独立したデジタルカメラ3.1〜3.4の同期画像撮影時には、同期画像撮影が行われた後、独立したデジタルカメラ3.1〜3.4の面状デジタル画像センサ6の各ニュートラルピクセル領域6bにおいて撮影された光量が相互に比較される。
【0036】
さらに、デジタルカメラシステム2の画像処理ユニット4は、デジタルカメラシステム2に対してカラーバランスを調整する方法を実施するように構成されている。ここでデジタルカメラシステム2の独立した4つのデジタルカメラ3.1〜3.4間の露光時間および/または撮影された光量の差が上述した方法を用いて求められる。その後、独立した4つのデジタルカメラ3.1〜3.4によって、それぞれ異なる狭帯域スペクトル領域R、G、B、NIRにおいて同期して撮影された、同一のシーン9の画像の処理時に、補償計算が次のように行われる。すなわち、各狭帯域スペクトル領域R、G、B、NIRの画像信号が、事前に求められた差に相応して、変えられない、減衰される、または増幅され、従ってカラーチャネルR、G、B、NIRの相応する標準化が行われる。
図1
図2
図3
図4