(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の端部における前記上流側と対向する側面の端部に、前記上流側に向かって凸状に突出する曲面である側面膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
前記静止部における前記回動部と対向する側面に、前記回動部側に向かって凸状に突出した曲面である静止膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のダンパ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1から3で提案された技術は、上述の流路面積が絞られた領域を通過する空調空気の流れを整流したり、意図的に流れの脈動を形成したりすることでヒュルヒュル音の発生を抑制していた。しかしながら、車両用空気調和装置内の流路形状は複雑であるため、流路形状によっては、上述の特許文献1から3で提案された技術でもヒュルヒュル音の発生を抑制できない恐れがあった。
【0006】
特に、上述の流路面積が絞られた領域よりも上流側や下流側の流路形状の影響を受けてヒュルヒュル音が発生する恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ダンパの開度が小さい場合に発生する異音(ヒュルヒュル音)の抑制を図ることができるダンパ、空気調和ユニットおよび車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のダンパは、空気の流路を形成する壁面から前記流路の中央に向かって延び、該流路中に所定寸法突出するエアミックスリブ部からなる静止部と、前記流路内に回動可能に配置され、一方の端部が前記静止部における前記流路を流れる空気流れの上流側の部分に接触する回動部と、が設けられ、前記回動部は、前記空気流れを前記一方の端部を回り込ませて前記静止部との間を通過させ、その下流側の側面に沿って前記一方の端部側に向う他の空気流れと混合するものであり、前記一方の端部における少なくとも前記静止部と接触する位置に、先端に向かって前記一方の端部の厚さが薄くなるように傾斜した面である接触部が設けられ、該接触部は、前記一方の端部を回り込んだ空気流を前記静止部との間を通過させ、前記下流側の側面に沿って前記一方の端部側に向う他の空気流れと混合させるべく、先端に向かって前記一方の端部の厚さが漸次薄くなるように、前記上流側の側面に対して鋭角をなし、前記下流側の側面に対して鈍角をなす傾斜した面とされており、前記下流側の側面に沿う他の空気流に対して所定の仰角をもって混合させる構成とされ、前記静止部には、前記エアミックスリブ部の先端から前記回動部の前記接触部に沿うように突出され、該接触部との間に流路面積を確保して壁面に沿う安定した流れを形成するリブ膨出部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、一方の端部が静止部に接近した際に、上述の流路の中央近傍を流れてきた空気は、回動部に沿って流れた後に一方の端部を回り込み、一方の端部と壁面から流路中に所定寸法突出するエアミックスリブ部からなる静止部との間を通過し、回動部の下流側の側面に沿って一方の端部側に向う他の空気流れと略正対するように衝突して混合される。この際、静止部が空気流路を形成する壁面から所定寸法突出するエアミックスリブ部で構成されているため、一方の端部側に向う他の空気流は静止部の先端領域まで流れて下流側に転向されることになる。また、一方の端部における静止部と接触する位置に、先端に向かって一方の端部の厚さが薄くなるように傾斜した面である接触部が設けられ、この接触部は、一方の端部を回り込んだ空気流を静止部のエアミックスリブ部の先端から回動部の接触部に沿うように突出されているリブ膨出部との間を通過させ、該静止部先端のエアミックス領域で下流側の側面に沿って一方の端部側に向う他の空気流れと略正対するように衝突させて混合させるべく、先端に向かって一方の端部の厚さが漸次薄くなるように、上流側の側面に対して鋭角をなし、下流側の側面に対して鈍角をなす傾斜した面とされているため、下流側の側面に沿う他の空気流に対して所定の仰角をもって衝突させ、混合させることができる。更に、傾斜した面である接触部が設けられていない場合と比較して、一方の端部を回り込んだ空気は接触部およびリブ膨出部に沿って流れるため、その接触部とリブ膨出部との間に安定した増速流れを形成することができる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0010】
一方の端部を回り込んだ空気が接触部から剥離することを抑制できるため、一方の端部と静止部との間における有効な流路面積を安定して確保することができる。そのため、一方の端部と静止部との間を通過する空気の流速を安定して低下させることができ、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0011】
一方の端部と静止部との間を通過した空気を傾斜した面である接触部およびリブ膨出部に沿って流すことで、他の壁部に衝突させることなく、上述の流路の下流に一方の端部と静止部との間を通過した空気を導くことができる。そのため、空気流れが壁に衝突して発生する圧力変動に起因するヒュルヒュル音の発生を防止することができる。
【0012】
上記発明において、前記一方の端部における前記上流側と対向する側面の端部に、前記上流側に向って凸状に突出する曲面である側面膨出部が設けられていることが望ましい。
【0013】
本発明によれば、一方の端部を回り込む際に空気は側面膨出部に沿って流れ、そのまま一方の端部の壁面に沿って、一方の端部と静止部との間を通過する。側面膨出部が設けられていない場合と比較して、一方の端部を回り込んだ空気は側面膨出部および一方の端部に沿って流れるため、一方の端部と静止部との間に安定した増速流れを形成することができる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0014】
空気の流れが一方の端部から剥離することを抑制できるため、一方の端部と静止部との間における有効な流路面積を安定して確保することができる。そのため、一方の端部と静止部との間を通過する空気の流速を安定して低下させることができ、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0015】
上記発明においては、前記静止部における前記回動部と対向する側面に、前記回動部側に向かって凸状に突出した曲面である静止膨出部が設けられていることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、一方の端部と静止部とが接近した際に、一方の端部と静止部との間と通過した空気は、静止膨出部に沿って流れる。そのため、空気の流れが静止部から剥離することを防止でき、剥離により発生するヒュルヒュル音を防止することができる。
一方の端部との間に形成される流路面積を連続して変化させることができるため、通過する空気の流速変動が緩やかになり、安定した流れとなる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0017】
本発明の空気調和ユニットは、上記のダンパが設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、上記のダンパが設けられることにより、ダンパの開度が小さい場合に発生するヒュルヒュル音の抑制を図ることができる。
【0019】
本発明の車両用空気調和装置は、上記の空気調和ユニットが設けられていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、上記の空気調和ユニットが設けられることにより、ダンパの開度が小さい場合に発生するヒュルヒュル音の抑制を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のダンパ、空気調和ユニットおよび車両用空気調和装置によれば、傾斜した面である接触部が設けられているため、一方の端部と静止部との間に安定した増速流れを形成することができ、ダンパの開度が小さい場合に発生するヒュルヒュル音の抑制を図ることができるという効果を奏する。
【0022】
本発明のダンパ、空気調和ユニットおよび車両用空気調和装置によれば、凸状に突出する曲面である側面膨出部が設けられているため、一方の端部と静止部との間に安定した増速流れを形成することができ、ダンパの開度が小さい場合に発生するヒュルヒュル音の抑制を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る車両用空気調和装置について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる車両用空気調和装置におけるHVACユニットの概略構成を説明する断面図である。
車両用空気調和装置1のHVAC(Heating,Ventilation,and Air−Conditioning)ユニット(空気調和ユニット)3には、
図1に示すように、ケーシング5と、エバポレータ7と、ヒータコア9とが設けられている。
【0025】
車両用空気調和装置1は、車室内に空調空気を供給することにより冷暖房および除湿を行って快適な車室内環境を提供する機能を有している。また、車両用空気調和装置1は、車両走行用内燃機関の出力の一部を利用して運転される圧縮機(図示せず)と、室外気と熱交換を行ってガス冷媒を凝縮させるコンデンサ(図示せず)と、液冷媒を減圧する膨張弁(図示せず)と、導入空気と熱交換を行って液冷媒を気化させるエバポレータ7と、が冷媒配管で連結されてなる閉回路の冷凍サイクルを備えている。なお、上述のエバポレータ7は、導入空気から気化熱を奪う機能を有しており、通常暖房用の加熱源となるヒータコア9とともにHVACユニット3内に設置される冷却手段として導入空気の冷却および除湿を行うものである。
【0026】
ケーシング5は、
図1に示すように、内部にエバポレータ7とヒータコア9とを収納するものである。エバポレータ7は、空気の流入側(
図1の左側)に配置され、ヒータコア9は、エバポレータ7よりも下流側(
図1の右側)に配置されている。
【0027】
ケーシング5内には、ヒータコア9の空気流出面に所定の間隔を隔てて対向する位置に風路仕切板11が設けられている。風路仕切板11は、ヒータコア9の下端部支持面から上向きに、ヒータコア9と略平行にミックス領域Mの近傍まで設けられている。風路仕切板11の上端部は、エバポレータ7方向を向くような曲面に形成されている。
【0028】
ヒータコア9側から見た風路仕切板11の背面側(
図1の右側)には、ケーシング5との間に、エバポレータ7の下流側でかつヒータコア9の上部に形成されたミックス領域Mから温風が流れる温風流路13が形成されている。温風流路13は、車室の足元に温風を吹き出すフット吹出口(図示せず)に接続されている。温風流路13におけるミックス領域Mに対する開口部には、温風流路13への温風の流入を制御する切り替えダンパ15が配置されている。
なお、ミックス領域Mは、エバポレータ7で冷却された冷風とヒータコア9で加熱された温風とを混合させて所望の温度の空調空気を形成するための空間である。
【0029】
エバポレータ7とヒータコア9との間には、エバポレータ7を通過した空気の流路を選択的に切り替えるエアミックスダンパ(回動部)17が設けられている。このエアミックスダンパ17は、エアミックス軸19を支点として回動可能に設けられている。
エバポレータ7とヒータコア9との間の上方には、エバポレータ7を通過した空気をミックス領域Mに直接導くための冷風バイパス流路(流路)21が形成されている。
【0030】
最大暖房時には、エアミックスダンパ17は上方に回動して冷風バイパス流路21が全閉とされ、エバポレータ7を通過した空気の全量がヒータコア9に導かれる。一方、最大冷房時には、エアミックスダンパ17は下方に回動して冷風バイパス流路21が全開とされ、エバポレータ7を通過した空気の全量がミックス領域Mに導かれる。エアミックスダンパ17は、ミックス領域Mで混合して形成される空調空気の温度に応じて、これら2つの位置の間の任意の位置に制御されている。
【0031】
ミックス領域Mの上方には、ミックス領域Mで温度が調節された空調空気が流れる空調空気流路(流路)23が形成されている。空調空気流路23は、車室内に空調空気を吹き出させるベント吹出口(図示せず)と接続されている。
ミックス領域Mと空調空気流路23との間に、モード軸27を支点として回動するモードダンパ(回動部)25が設けられている。
モードダンパ25は、空調空気流路23を全閉とする位置と、全開とする位置との間を回動し、モードダンパ25に位置により空調空気流路23に流入する空調空気の流量を制御するものである。
【0032】
次に、本実施形態の特徴部であるエアミックスダンパ17およびモードダンパ25と、その周辺の構成要素について説明する。
図2は、
図1のモードダンパおよびその周辺の構成を説明する模式図である。
モードダンパ25には、
図2に示されるように、空調空気流路23の略中央に配置されたモード軸27と、モード軸27から空調空気流路23の下流側に延びる第1モード板体(一方の端部)29および上流側に延びる第2モード板体31と、が設けられ、空調空気流路23を構成する壁面33から、モード軸27に向かって延びる第1モードリブ部(静止部)35と、空調空気流路23の上流側に延びる第2モードリブ部37と、が設けられている。
【0033】
図3は、
図2のモードダンパにおける下流側の端部およびその周辺の構成を説明する模式図である。
第1モード板体29には、
図3に示すように、第1モード板体29における端面と、第1モードリブ部35と接触する面とを滑らかに繋ぐ曲面部39が形成されている。
【0034】
第1モードリブ部35の端部には、空調空気流路23の下流側に向かって突出するとともに、モード軸27に沿って(
図3の紙面に対して垂直方向に)延びるリブ突起部(突起部)41が設けられている。リブ突起部41は下流側に向かって断面積が小さくなる形状に形成されているとともに、リブ突起部41における第1モードリブ部35の取付け端部側の面には、取付け端部側に向かって凸状に突出する曲面である突起膨出部43が設けられている。
【0035】
第1モードリブ部35よりも下流側の壁面33には、空調空気流路23の中央に向かって凸状に突出して曲生された曲壁部45が設けられ、曲壁部45の下流側には、下流側に向かって空調空気流路23の流路面積を拡大させる傾斜壁47が設けられている。言い換えると、第1モードリブ部35よりも下流側の壁面33には、下流側に向かって空調空気流路23の流路面積を拡大させる傾斜壁47と、第1モードリブ部35が設けられた壁面33と傾斜壁47とを滑らかに繋ぐ曲壁部45が設けられている。
このような構成とすることで、曲壁部45および傾斜壁47が形成された壁面33を、スライドピンなどを用いることなく型を用いて容易に形成することができる。
【0036】
図4は、
図1のエアミックスダンパの構成を説明する全体図である。
エアミックスダンパ17には、
図1および
図6に示すように、エアミックス軸19と、エアミックス軸19からエバポレータ7側に延びる第1エアミックス板体(回動部)49およびヒータコア9側に延びる第2エアミックス板体51と、が設けられている。
第1エアミックス板体49の三方の端部には、
図4に示すように、ウレタンゴムなどの弾性材料から形成された端部材53が設けられている。
【0037】
図5は、
図4のエアミックスダンパにおける要部の構成を説明する部分拡大断面図である。
図6は、
図1のエアミックスダンパにおける要部およびその周辺の構成を説明する部分拡大断面図である。
端部材53のうちのエアミックス軸19と平行に延びる先端部(一方の端部)55には、
図5および
図6に示すように、先端に向かって先端部55の厚さが薄くなるように傾斜した面である接触部57が設けられている。接触部57は、先端部55におけるケーシング5から延びるエアミックスリブ部(静止部)59と接触する面に設けられている。
また、エアミックスリブ部(静止部)59の先端には、接触部57の傾斜に沿うように突出され、該接触部57との間に流路面積を確保して壁面に沿う安定した流れを形成するためのリブ膨出部60が設けられている。
【0038】
図7は、
図4のエアミックスダンパにおける他の要部の構成を説明する部分拡大断面図である。
端部材53のうちのエアミックス軸19と交差する方向に延びる側端部63には、
図7に示すように、エアミックスリブ部59に向かって(
図7の左方向に向かって)略半円柱状に突出するダンパ突出部65が設けられている。
【0039】
側端部63にダンパ突出部65のみを設けることにより、側端部63の厚さを薄く保ち、柔軟性を確保することができる。側端部63は、エアミックスダンパ17を閉じる際にエアミックス軸19に近い側端部63から順にエアミックスリブ部59と接触する。上述のように柔軟性が確保された側端部63は、エアミックスダンパ17の回動とともに容易に変形し、エアミックスダンパ17の回動を阻害しない。さらに、ダンパ突出部65とエアミックスリブ部59との接触を保ち続けて隙間の形成を防止することができる。
【0040】
次に、上記の構成からなる車両用空気調和装置1におけるエアミックスダンパおよびモードダンパの開度が小さい場合の空気の流れを説明する。
まず、エアミックスダンパにおける空気の流れについて説明する。
図6に示すように、エアミックスダンパ17の端部材53がエアミックスリブ部59に接近し、エアミックスダンパ17における開度が小さくなった場合、エバポレータ7を通過した空気の一部は、エアミックスダンパ17とエアミックスリブ部59により流路面積が絞られた冷風バイパス流路21を通過してミックス領域Mに流入する(
図1参照)。
【0041】
このとき、通過する空気は端部材53のエアミックス軸19側(
図6の右側)から先端部55を回り込んで先端部55とエアミックスリブ部59との間を通過する。
先端部55を回り込み、先端部55とエアミックスリブ部59との間に流入した空気は、接触部57およびリブ膨出部60に沿って流れる。
接触部57およびリブ膨出部60に沿って流れる空気は、そのまま接触部57およびリブ膨出部60に沿って流れ、ミックス領域Mに流入し、ヒータコア9を通過して昇温された空気と混合される。
【0042】
次に、モードダンパ25における空気の流れについて説明する。
第1モード板体29が、
図3に示すように、第1モードリブ部35に接近すると、
図2に示すように、第2モード板体31も第2モードリブ部37に接近し、モードダンパ25における開度が小さくなり、空調空気流路23の流路面積が絞られる。ミックス領域Mで混合された空調空気の少なくとも一部は、モードダンパ25により絞られた空調空気流路23と通過してベント吹出口から吹き出される。
【0043】
ミックス領域Mからモードダンパ25に向かって流れた空調空気は、
図2に示されるように、第1モード板体29に沿って流れ、第1モード板体29と第1モードリブ部35との間を通過する。
空調空気は、
図3に示されるように、第1モード板体29とリブ突起部41とにより流路面積が絞られた空調空気流路23を増速して流れる。リブ突起部41の近傍領域を通過した空調空気は、突起膨出部43に沿って流れ、流路面積が増えることにより流速が低下する。
第1モード板体29とリブ突起部41との間を通過した空調空気は、そのまま真っ直ぐに流れ、曲壁部45に衝突する。曲壁部45に衝突した空調空気は、曲壁部45に沿って局所的に増速され、その後、下流側(
図3の上方側)に流れる。曲壁部45に沿って流れた空調空気は、そのまま傾斜壁47に沿って流れ、空調空気流路23を介してベント吹出口(図示せず)から流出する。
【0044】
一方、第1モード板体29の近傍を流れる空調空気は、第1モード板体29における第1モードリブ部35と対向する面から、曲面部39に沿って流れ、空調空気流路23の下流側(
図3の上方側)に向かって導かれる。
そのため、第1モード板体29および第1モードリブ部35の間を通過した空調空気の有効流路面積の減少を防止することができ、空調空気の流速の低下を図ることができる。
【0045】
上記の構成によれば、第1モード板体29と第1モードリブ部35とが接近した際に、両者の間と通過した空調空気は、曲壁部45に衝突して曲壁部45に沿って流れる。曲壁部45は空調空気流路23の中央に向かって凸状に突出して曲生されているため、曲壁部45に沿って流れる空調空気の流速は局所的に速くなり、曲壁部45の近傍領域における圧力の上昇が軽減される。そのため、曲壁部45が設けられていない場合と比較して、空調空気が第1モード板体29と第1モードリブ部35との間を通過した際に発生した渦および噴流に起因する曲壁部45の近傍領域における圧力変動は、全体的に低くなり、当該圧力変動によって発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0046】
リブ突起部41を設けたことにより、リブ突起部41より後流側での空調空気の有効流路面積を広くすることができる。そのため、リブ突起部41を設けていない場合と比較して、第1モード板体29とリブ突起部41との間を通過した後の空調空気の最大流速を下げることができ、発生するヒュルヒュル音のレベルを下げることができる。
【0047】
突起膨出部43を設けたことにより、第1モード板体29とリブ突起部41との間を流れた空調空気は、凸状に突出した曲面の突起膨出部43に沿って流れる。そのため、突起膨出部43が設けられていない場合と比較して、空調空気はリブ突起部41より後流側で広がる流路に沿って流れやすくなるため、空調空気の最大流速を下げることができ、発生するヒュルヒュル音のレベルをより確実に下げることができる。
【0048】
先端部55がエアミックスリブ部59に接近した際に、冷風バイパス流路21の中央近傍を流れてきた空気は、第1エアミックス板体49に沿って流れた後に先端部55を回り込み、先端部55とエアミックスリブ部59との間を通過する。傾斜した面である接触部57およびリブ膨出部60が設けられていない場合と比較して、先端部55を回り込んだ空気は接触部57およびリブ膨出部60に沿って流れるため、先端部55とエアミックスリブ部59との間に増速流れを形成するとともに、壁面に沿う安定した流れを形成することができる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0049】
先端部55を回り込んだ空気が接触部57から剥離することを抑制できるため、先端部55とエアミックスリブ部59との間における有効な流路面積を安定して確保することができる。そのため、先端部55とエアミックスリブ部59との間を通過する空気の流速を安定して低下させることができ、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0050】
先端部55とエアミックスリブ部59との間を通過した空気を傾斜した面である接触部57およびリブ膨出部60に沿って流すことで、他の壁部に衝突させることなく、ミックス領域Mに先端部55とエアミックスリブ部59との間を通過した空気を導くことができる。そのため、空気流れが壁に衝突して発生する圧力変動に起因するヒュルヒュル音の発生を防止することができる。
【0051】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について
図8および
図9を参照して説明する。
本実施形態の車両用空気調和装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、エアミックスダンパにおける先端部の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、
図8および
図9を用いてミックスダンパにおける先端部の構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本実施形態におけるエアミックスダンパの先端部の構成を説明する部分断面図である。
図9は、
図8の先端部とエアミックスリブ部との位置関係を説明する部分断面図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、第1の実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
エアミックスダンパ17における端部材53の先端部(一方の端部)155には、
図8および
図9に示すように、エアミックスリブ部159と対向した側面であって、先端に向かって先端部155の厚さが薄くなるように傾斜した面である接触部157と、接触部157が形成された面と反対側の側面に凸状に突出する曲面である側面膨出部160と、が設けられている。
【0053】
接触部157は、エアミックスリブ部159におけるリブ膨出部161の凸状の曲面に応じて、凹状の曲面に形成されている。
側面膨出部160は、エアミックス軸19に沿って(
図8の紙面に対して略垂直方向に)延びるように形成されている。
エアミックスリブ部(静止部)159には、
図9に示すように、先端部155と対向する面に先端部155側に向かって凸状に突出した曲面であるリブ膨出部(静止膨出部)161が設けられている。
【0054】
次に、上記の構成からなる車両用空気調和装置1におけるエアミックスダンパの開度が小さい場合の空気の流れを説明する。
図9に示されるように、エアミックスダンパ17の端部材53がエアミックスリブ部159に接近し、エアミックスダンパ17における開度が小さくなった場合、エバポレータ7を通過した空気の一部は、エアミックスダンパ17とエアミックスリブ部159により流路面積が絞られた冷風バイパス流路21を通過してミックス領域Mに流入する(
図1参照)。
【0055】
このとき、通過する空気は端部材53のエアミックス軸19側(
図9の右側)から先端部155を回り込んで、先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過する。空気は先端部155を回り込む際に、側面膨出部160に沿って流れ、側面膨出部160からそのまま接触部157に沿って、先端部155とエアミックスリブ部159との間に流入する。
先端部155とエアミックスリブ部159との間に流入した空気は、接触部157とリブ膨出部161とに沿って流れ、ミックス領域Mに流入し、ヒータコア9を通過して昇温された空気と混合される。
【0056】
上記の構成によれば、先端部155がエアミックスリブ部159に接近した際に、冷風バイパス流路21の中央近傍を流れてきた空気は、第1エアミックス板体49に沿って流れた後に先端部155を回り込み、先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過する。先端部155を回り込む際に空気はリブ膨出部161に沿って流れ、そのまま先端部155に沿って、先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過する。リブ膨出部161が設けられていない場合と比較して、先端部155を回り込んだ空気はリブ膨出部161および先端部155に沿って流れるため、先端部155とエアミックスリブ部159との間に流れの剥離領域が少ない安定した増速流れを形成することができる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑えることができる。
【0057】
空気の流れが先端部155から剥離することを抑制できるため、先端部155とエアミックスリブ部159との間における有効な流路面積を安定して確保することができる。そのため、先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過する空気の流速を安定して低下させることができ、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0058】
接触部157を設けたことにより、先端部155を回り込んだ空気は接触部157に沿って流れるため、先端部155とエアミックスリブ部159との間に安定した増速流れを形成することができる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0059】
先端部155を回り込んだ空気が接触部157から剥離することを抑制できるため、先端部155とエアミックスリブ部159との間における有効な流路面積を安定して確保することができる。そのため、先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過する空気の流速を安定して低下させることができ、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。
【0060】
先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過した空気を傾斜した面である接触部157に沿って流すことで、他の壁部に衝突させることなく、ミックス領域Mに先端部155とエアミックスリブ部159との間を通過した空気を導くことができる。そのため、空気流れが壁に衝突して発生する圧力変動に起因するヒュルヒュル音の発生を防止することができる。
【0061】
リブ膨出部161を設けたことにより、先端部155とエアミックスリブ部159との間と通過した空気は、リブ膨出部161に沿って流れる。そのため、空気の流れがエアミックスリブ部159から剥離することを防止でき、剥離により発生するヒュルヒュル音を防止することができる。
先端部155との間に形成される流路面積を連続して変化させることができるため、通過する空気の流速変動が緩やかになり、安定した流れとなる。そのため、空気の流速変動により発生するヒュルヒュル音のレベルを抑制することができる。