【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
摺動性改良剤(B)の作製
摺動性改良剤(B)としてのオレフィン共重合体(B−1)を次のようにして作製した。エチレン含有量が70重量%でジシクロペンタジエンをジエン成分とするエチレン−プロピレン−ジエンゴム(住友化学工業社製「エスプレンEDPM301(商品名)」)45重量部と、ビニルアセテート含有量が28重量%のエチレン−ビニルアセテート共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製「エバフレックスEV260(商品名)」)45重量部と、低密度ポリエチレンとヘキセン−1の共重合体(エクソン社製「ESCORENE LL−3201(商品名)」)10重量部とをスクリュー型押出機に投入し、200℃の温度で溶融混練して反応を行ったのち、ペレット化して摺動性改良剤(B)としてのオレフィン系共重合体(B−1)を作製した。
【0054】
実施例1
ポリアセタール樹脂(A)として、オキシメチレン単位とコモノマー単位とを含有し、分子量50,000のポリアセタールコポリマー(ポリプラスチック社製「ジュラコンM90(商品名)」で、以下、ポリアセタール樹脂(A)という。)を準備し、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、摺動性改良剤(B)として前記オレフィン系共重合体(B−1)を1.1重量部配合し、高速ミキサーで撹拌して該ポリアセタール樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B−1)との混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物としてアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として平均粒径2.5μmの土状黒鉛(天然黒鉛)0.2重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.91重量部、オレフィン系共重合体1.09重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、土状黒鉛0.2重量部)を得た。
【0055】
この混合物(2)を二軸ベント式押出機に供給し、溶融混練して紐状の成形物に成形したのち裁断してペレットを作製し、このペレットを成形材料とした。次いで、この成形材料を、スクリュー型射出成形機(住友重機械社製、SG50、スクリュー径25mm)を用いて射出成形し、内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0056】
実施例2
前記実施例1と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)としてカーボンブラック(一次粒子径が10nm〜100nmのケッチェン・ブラック・インターナショナル社製の「ケッチェンブラックEC(商品名)」)0.4重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.91重量部、オレフィン系共重合体1.09重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、ケッチェンブラック0.4重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0057】
実施例3
前記実施例1と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物としてセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として前記実施例1で使用した土状黒鉛(天然黒鉛)と同様の土状黒鉛(天然黒鉛)0.2重量部と前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.91重量部、オレフィン系共重合体1.09重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、土状黒鉛0.2重量部、ケッチェンブラック0.4重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0058】
実施例4
前記実施例1と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例3で使用したセバシン酸ジヒドラジドと同様のセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部及び無機物フィラー(E)として比表面積が5m
2/gを呈するクレー0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.91重量部、オレフィン系共重合体1.09重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、クレー0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0059】
実施例5
前記実施例1と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1 重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例3で使用したセバシン酸ジヒドラジドと同様のセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、炭素材(D)として前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部及び無機物フィラー(E)として平均粒径1〜10μmの炭酸ストロンチウム0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.91重量部、オレフィン系共重合体1.09重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、カーボンブラック0.4重量部、炭酸ストロンチウム0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0060】
実施例6
前記実施例2で得た混合物(1)に追加成分として潤滑油剤(B−3)としての合成潤滑油(三井化学社製「ルーカント(商品名)」)1重量部配合し、高速ミキサーで撹拌して該ポリアセタール樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B−1)と潤滑油剤(B−3)との混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及び合成潤滑油1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂97.94重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、合成潤滑油0.98重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、カーボンブラック0.4重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0061】
実施例7
前記実施例1と同様のポリアセタール樹脂(A)を準備し、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、摺動性改良剤(B)として前記実施例1で使用したオレフィン系共重合体と同様のオレフィン系共重合体(B−1)1.1重量部及び官能基として無水マレイン酸が付加されたスチレン系熱可塑性エラストマー(B−2)(旭化成工業社製「タフテックM(商品名)」)0.5重量部を配合し、高速ミキサーで撹拌してポリアセタール樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B−1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B−2)との混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例3で使用したセバシン酸ジヒドラジドと同様のセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として前記実施例1で使用した土状黒鉛と同様の土状黒鉛0.2重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系エラストマー0.49重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、土状黒鉛0.2重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0062】
実施例8
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例3で使用したセバシン酸ジヒドラジドと同様のセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.49重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、カーボンブラック0.4重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0063】
実施例9
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例3で使用したセバシン酸ジヒドラジドと同様のセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として前記実施例1で使用した土状黒鉛と同様の土状黒鉛0.2重量部と前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.49重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、土状黒鉛0.2重量部、カーボンブラック0.4重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0064】
実施例10
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部及び無機物フィラー(E)として前記実施例4で使用したクレーと同様のクレー0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.49重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、クレー0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0065】
実施例11
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部及び無機物フィラー(E)として酸化ケイ素0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.49重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、酸化ケイ素0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0066】
実施例12
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、炭素材(D)として前記実施例2で使用したカーボンブラック同様のカーボンブラック0.4重量部及び無機物フィラーとして前記実施例4で使用したクレーと同様のクレー0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.49重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、カーボンブラック0.4重量部、クレー0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0067】
実施例13
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、炭素材(D)として前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部及び無機物フィラーとして平均粒径1〜5μmの炭酸カルシウム0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂98.43重量部、オレフィン系共重合体1.08重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.49重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、カーボンブラック0.4重量部、炭酸カルシウム0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0068】
実施例14
前記実施例7と同様の混合物(1)に追加成分として前記実施例6で使用した潤滑油剤と同様の潤滑油剤(B−3)としての合成潤滑油を1重量部配合し、高速ミキサーで撹拌して該ポリアセタール樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B−1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B−2)と潤滑油剤(B−3)の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部及び合成潤滑油1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例3で使用したセバシン酸ジヒドラジドと同様のセバシン酸ジヒドラジド0.5重量部及び炭素材(D)として前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂97.47重量部、オレフィン系共重合体1.07重量部、スチレン系エラストマー0.49重量部、合成潤滑油0.97重量部、セバシン酸ジヒドラジド0.5重量部、カーボンブラック0.4重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0069】
実施例15
前記実施例14と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部、スチレン系エラストマー0.5重量部及び合成潤滑油1重量部)を得た。この混合物(1)100重量部に、ホルムアルデヒド捕捉剤(C)としてのヒドラジド化合物として前記実施例1で使用したアジピン酸ジヒドラジドと同様のアジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、炭素材(D)として前記実施例2で使用したカーボンブラックと同様のカーボンブラック0.4重量部及び無機物フィラー(E)として前記実施例4で使用したクレーと同様のクレー0.1重量部を配合し、高速ミキサーにて撹拌して混合物(2)(ポリアセタール樹脂97.47重量部、オレフィン系共重合体1.07重量部、スチレン系エラストマー0.49重量部、合成潤滑油0.97重量部、アジピン酸ジヒドラジド0.5重量部、ケッチェンブラック0.4重量部、クレー0.1重量部)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。また、同じ成形材料を使用し、かつ同じスクリュー型射出成形機を用いて射出成形し、ホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0070】
比較例1
前記実施例1と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部)を得た。この混合物(1)を二軸ベント式押出機に供給し、溶融混練して紐状の成形物に成形したのち裁断してペレットを作製し、このペレットを成形材料とした。次いで、この成形材料を前記実施例と同様にして射出成形し、内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。成形材料を同様の方法で射出成形してホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0071】
比較例2
前記実施例7と同様の混合物(1)(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及びスチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部)を得た。この混合物(1)を二軸ベント式押出機に供給し、溶融混練して紐状の成形物に成形したのち裁断してペレットを作製し、このペレットを成形材料とした。次いで、この成形材料を前記実施例と同様にして射出成形し、内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmの円筒状摺動部材を得た。成形材料を同様の方法で射出成形してホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0072】
比較例3
前記実施例6で使用した混合物(1)と同様の混合物(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部及び合成潤滑油1重量部)を得た。この混合物を二軸ベント式押出機に供給し、溶融混練して紐状の成形物に成形したのち裁断してペレットを作製し、このペレットを成形材料とした。次いで、この成形材料を前記実施例1と同様にして射出成形し、内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmに円筒状摺動部材を得た。また、この成形材料を同様の方法で射出成形してホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0073】
比較例4
前記実施例14で使用した混合物(1)と同様の混合物(ポリアセタール樹脂100重量部、オレフィン系共重合体1.1重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー0.5重量部及び合成潤滑油1重量部)を得た。この混合物を二軸ベント式押出機に供給し、溶融混練して紐状の成形物に成形したのち裁断してペレットを作製し、このペレットを成形材料とした。次いで、この成形材料を前記実施例1と同様にして射出成形し、内径20mm、外径25.6mm、長さ15mmに円筒状摺動部材を得た。また、この成形材料を同様の方法で射出成形してホルムアルデヒド放出量の測定用試料として、一辺が30mm、厚さ3mmの方形状試験片を10個得た。
【0074】
次に、前記実施例1ないし実施例15及び比較例1ないし比較例4で得た円筒状摺動部材について、鈴木式摩擦摩耗試験機を用いて、表1に示す試験条件で摺動性(摩擦係数及び摩耗量)の評価を行った。その結果を表2ないし表5に示す。
なお、実施例1、4、7、10、11は参考例である。
【0075】
【表1】
【0076】
また、方形状試験片を使用してホルムアルデヒドの放出量を次の測定方法にて測定した。
<測定方法>
上記各実施例及び比較例にて作製した一辺が30mm、厚さ3mmの10個の方形状試験片を、成形後1時間室温(25℃)に放置した後、無作為に3個取り出し、それぞれポリエチレン製袋に入れて14日間保管する。14日間経過後、各試験片を取り出すと共に、各試験片の端面から約0.1gの片を切り出し、この片を10リットルのデシケータ内に挿入する。デシケータを65℃の温度に加温された乾燥炉内に入れ、2時間放置した後、デシケータを乾燥炉から取り出し1時間大気中で放冷する。デシケータに検知器(理研計器社製FP−30)を取り付け、デシケータ中のガスを0.33L/minの速度で該検出器に吸収させ、濃度(ppm)を測定する。測定した濃度よりホルムアルデヒドの重量に換算し、ホルムアルデヒド濃度(μg/g)を求める。表2ないし表5のホルムアルデヒド放出量は、3個の試料を測定した平均値を示した。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
上記試験結果から、実施例1ないし実施例15のポリアセタール樹脂組成物を成形して得た摺動部材は、ホルムアルデヒドの放出量(濃度)が比較例1ないし比較例4のポリアセタール樹脂組成物を成形して得た摺動部材よりも少なく、摺動性についてもほぼ同等の性能を示したことが分かる。