(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を説明する。本発明の洗浄製品は、変色液と、洗浄液とを備える。洗浄製品は、変色液及び洗浄液の2液から構成されてもよいし、さらに他の構成要素(例えば、第3の液等)を備えていてもよい。変色液と洗浄液とは、例えば、別々の容器に収容することができる。また、2つの区画に区切られた収容室を有する容器における一方の区画に変色液を収容し、他方の区画に洗浄液を収容してもよい。変色液及び洗浄液の容器としては、例えば、1回の操作で定量(一定の重量、又は一定の体積)を吐出するポンプを備えた容器が挙げられる。
【0008】
変色液は、pHに応じて色が変化する変色成分を含む。変色成分としては、例えば、植物色素が挙げられる、植物色素としては、例えば、ムラサキキャベツ色素、ムラサキイモ色素、コチニール色素、ラック色素、クチナシ青色素等が挙げられる。
【0009】
また、変色成分としては、例えば、公知の指示薬が挙げられる。指示薬としては、例えば、ピクリン酸、エチルバイオレット、p−クレゾールレッド、チモールブルー、2、4−ジニトロフェノール、コンゴーレッド、メチルオレンジ、メチルイエロー、フェノールフタレイン等が挙げられる。
【0010】
変色液のpHは、第1の値である。第1の値は、例えば、酸性領域の値とすることができる。この場合、第1の値を、例えば、2〜7の範囲内とすることができ、4〜6の範囲内とすることが好ましい。また、第1の値は、例えば、アルカリ性領域の値とすることができる。この場合、第1の値を、例えば、7〜11の範囲内とすることができ、8〜10の範囲内が好ましい。
【0011】
変色液の粘度は、100〜100000cPの範囲内であることが好ましく、500〜50000cPの範囲内であることが一層好ましく、800〜40000cPの範囲内であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、洗浄液を使用し始めてから、身体部位上で変色成分の色が均一に変化するまでの時間を適切な範囲に設定することができる。変色液の粘度が高いほど、洗浄液を使用し始めてから、身体部位上で変色成分の色が均一に変化するまでの時間が長くなる。
【0012】
変色液は、例えば、増粘剤を含むことができる。増粘剤を含むことにより、変色液の粘度を好ましい範囲に調整することができる。増粘剤としては公知の増粘剤から適宜選択することができ、例えば、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、アルギニン・ポリマー、アルギン酸ナトリウム、アルギンプロピレングルコール、エチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。
【0013】
変色液には、変色成分に加えて、各種添加剤を配合することができる。変色液は、洗浄成分を含んでいてもよい。洗浄成分としては、人の身体の洗浄用途に使用可能なものを適宜選択して用いることができる。洗浄成分としては、例えば、石鹸(脂肪酸のナトリウム塩、脂肪酸のカリウム塩)、合成洗剤、合成界面活性剤等が挙げられる。
【0014】
洗浄液は、洗浄成分を含む。洗浄成分としては、人の身体の洗浄用途に使用可能なものを適宜選択して用いることができる。洗浄成分としては、例えば、石鹸(脂肪酸のナトリウム塩、脂肪酸のカリウム塩)、合成洗剤、合成界面活性剤等が挙げられる。
【0015】
洗浄液のpHは第2の値である。第2の値は前記第1の値とは異なる値である。第2の値は、例えば、第1の値が酸性領域の値である場合、アルカリ性領域の値とすることができる。この場合、例えば、第2の値を、7〜11の範囲内とすることができ、8〜10の範囲内が好ましい。また、第2の値は、例えば、第1の値がアルカリ性領域の値である場合、酸性領域の値とすることができる。この場合、例えば、第2の値を、2〜7の範囲内とすることができ、4〜6の範囲内とすることが好ましい。
【0016】
変色成分は、pHが前記第1の値のときと、前記第2の値のときとでは、異なる色を呈する。例えば、変色成分がムラサキキャベツ色素である場合、第1の値を5.3〜5.5とし、第2の値を10とすることができる。この場合、ムラサキキャベツ色素は、pHの値が第1の値のとき、紫色を呈し、pHの値が第2の値のとき、緑色を呈する。
【0017】
洗浄液の粘度は、10〜40000cPの範囲内であることが好ましく、50〜35000cPの範囲内であることが一層好ましく、100〜20000cPの範囲内であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、洗浄液を使用し始めてから、身体部位上で変色成分の色が均一に変化するまでの時間を適切な範囲に設定することができる。洗浄液の粘度が高いほど、洗浄液を使用し始めてから、身体部位上で変色成分の色が均一に変化するまでの時間が長くなる。
【0018】
洗浄液は、例えば、増粘剤を含むことができる。増粘剤を含むことにより、洗浄液の粘度を好ましい範囲に調整することができる。増粘剤としては、変色液に配合する増粘剤と同様のものを用いることができる。
【0019】
洗浄液の態様は適宜設定することができ、例えば、泡状、液状、高粘度のスラリー状等とすることができる。本発明の洗浄製品は、人の身体を洗浄することを用途とし、例えば、特定の身体部位(例えば、手、腕、足、顔、頭等)を洗浄することを用途とする。洗浄液には、洗浄成分に加えて、各種添加剤を配合することができる。
【0020】
本発明の洗浄製品は、例えば、以下のように使用することができる。なお、この例は人の手を洗浄する場合の使用例である。洗浄する身体部位は手以外であってもよい。
まず、両手を水で濡らす。次に、濡らした手の一方又は両方に、変色液を供給する。変色液の量は、例えば、1〜10ml(好ましくは3ml)程度とすることができる。次に、両手を擦り合わせ、変色液を両手の全体に塗り広げる。このとき、塗り広げられた変色液の色は、pHが第1の値のときの色である。
【0021】
次に、一方の手又は両手に洗浄液を供給する。洗浄液の供給量は、例えば、0.1〜10g(好ましくは0.8g)とすることができる。次に、両手を擦り合わせながら、両手を洗浄する。このとき、時間の経過とともに、両手の各部分における色が変わってゆき、やがて、両手の全体が均一な色となる。これは、両手を十分に擦り合わせた部分(十分に洗浄が行われた部分)では、変色液と、pHが第2の値である洗浄液とが混合され、変色成分の色が変化するためである。両手の全体が均一な色になると洗浄を終了し、変色液及び洗浄液を水で洗い流す。
(実施例1)
1.変色液の製造
グリセリンと、ムラサキキャベツ色素と、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、精製水とを、表1に示す配合比で混合し、変色液1A〜1Eを製造した。
【0023】
表1における配合比の単位は重量%である。表1における「色素」は、ムラサキキャベツ色素を意味する。変色液1A〜1EのpHは、酸又は塩基を加える方法により、5.3〜5.5に調整した。
【0024】
また、変色液1A〜1Eの粘度を測定した。粘度と、測定に使用したロータの種類と、ロータの回転数とを上記表1に示す。粘度の測定は20℃において行い、東機産業株式会社製のB型粘度計を用いて行った。具体的には、粘度を以下のように測定した。
【0025】
B型粘度計のロータにはNo.1〜4の4種類がある。番号が小さいロータであるほど、回転抵抗が大きい。また、ロータの回転数は、60rpm、30rpm、12rpm、6rpmのうちのいずれかである。
【0026】
1つの被測定物に対し、ロータの種類とロータの回転数とを以下のように順次変えながら、B型粘度計が示す値(以下では換算前測定値とする)が上限値以下となるまで、測定を繰り返す。上限値は、ロータの種類とロータの回転数とに応じて表2に示すとおり定められている。換算前測定値の単位はmPa・sである。
【0028】
<No.1、60rpm>→<No.1、30rpm>→<No.1、12rpm>→<No.1、6rpm>→<No.2、60rpm>→<No.2、30rpm>→<No.2、12rpm>→<No.2、6rpm>→<No.3、60rpm>→<No.3、30rpm>→<No.3、12rpm>→<No.3、6rpm>→<No.4、60rpm>→<No.4、30rpm>→<No.4、12rpm>→<No.4、6rpm>。
【0029】
なお、ここでは、ロータの種類がNo.i(iは1〜4のいずれか)であり、ロータの回転数がj(jは60、30、12、6のいずれか)rpmであることを、<No.i、jrpm>と表している。
【0030】
上記の順番でロータの種類及びロータの回転数を変更しながら測定を繰り返し、最初に、換算前測定値が上限値以下となった条件での換算前測定値を採用する。例えば、<No.3、12rpm>では換算前測定値が上限値を越えており、次の<No.3、6rpm>では換算前測定値が上限値以下である場合は、<No.3、6rpm>における換算前測定値を採用する。
【0031】
次に、採用した換算前測定値に換算乗数を乗算し、最終的な測定値を得る。換算乗数はロータの種類とロータの回転数とに応じて表3に示すとおり定められている。
【0033】
2.洗浄液の用意
洗浄液として、市販のハンドソープ(エオリア株式会社製、商品名「薬用ハンドソープ メディキュッ! 泡タイプ」)を用意した。この洗浄液は、洗浄成分としてヤシ油脂肪酸エタノールアミドを含む。この洗浄液の態様は液状であり、洗浄液のpHは約10であり、洗浄液の粘度は6.8cPである。洗浄液における粘度の測定方法は、変色液の粘度を測定した方法と同様である。
【0034】
3.洗浄製品の構成
上記のように製造した変色液1A〜1Eのいずれか1つと、上記のように用意した洗浄液とが、洗浄製品を構成する。変色液は、1回のプッシュ操作で3mlを吐出するポンプを備えた容器に収容した。また、洗浄液は、1回のプッシュ操作で0.8gを吐出するポンプを備えた容器に収容した。洗浄液を収容した容器が備えるポンプは、洗浄液の態様を泡状にする機能を有する。よって、洗浄液は、泡状の態様で供給される。
【0035】
4.洗浄製品の使用
以下のようにして、洗浄製品を使用した。まず、被験者の両手にゴム手袋を装着した。次に、両手を水で濡らした。次に、濡らした手の一方に、1回のプッシュ操作分(3ml)の変色液を供給した。次に、両手を擦り合わせ、変色液を両手の全体に塗り広げた。このとき、塗り広げられた変色液の色は、紫色(pHが第1の値のときの色の一例)であった。
【0036】
次に、被験者の一方の手に、1回のプッシュ操作分(0.8g)の洗浄液を供給した。次に、両手を擦り合わせながら、両手を洗浄した。このとき、時間の経過とともに、両手の各部分における色が緑色に変わってゆき、やがて、両手の全体が均一な緑色となった。
【0037】
上記の洗浄製品の使用を、変色液が1Aの場合、1Bの場合、1Cの場合、1Dの場合、1Eの場合にそれぞれ行い、洗浄液の供給から、両手の全体が均一な緑色となるまでの時間Tを計測した。時間Tの計測結果を上記表1に示す。なお、実験はn数を10として行った。表1に示す時間Tは、10回の実験についての平均値である。
【0038】
5.洗浄製品が奏する効果
(1α)本発明の洗浄製品を用いれば、洗浄液の供給後、両手を十分に擦り合わせた部分(十分に洗浄を行った部位)では色が変わり、そうではない部分の色はそのままとなる。すなわち、十分に時間をかけて洗浄が行われたか否かを、両手における部分ごとに容易に識別することができる。ユーザは、両手における各部分の色を確認しながら、色が変化していない部分が残らないように洗浄を行えば、洗い残しなく、両手を洗浄できる。
【0039】
(1β)変色液の粘度が高いほど、時間Tは長くなる。両手を十分に洗浄するには、時間Tが長いことが好ましい。変色液1B〜1Eを使用した場合、変色液の粘度が高いため、時間Tが十分に長くなる。そのため、変色液1B〜1Eを使用し、両手の全体が均一な緑色となるまで洗浄を行えば、両手を十分に洗浄することができる。
【0040】
(1γ)変色液1B〜1Eは、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースを含む。そのことにより、変色液の粘度を適切な値に調整することができる。
(実施例2)
1.変色液の用意
前記実施例1の変色液1Dを用意した。
【0041】
2.洗浄液の製造
市販のハンドソープと、グリセリンと、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、精製水とを、表4に示す配合比で混合し、洗浄液2A〜2Eを製造した。ハンドソープは、前記実施例1で使用したものと同じである。表4における配合比の単位は重量%である。洗浄液2A〜2EのpHは、必要に応じて酸又は塩基を加える方法により、約10に調整した。表4に洗浄液2A〜2EのpHを示す。
【0043】
また、洗浄液2A〜2Eの粘度を測定した。粘度の測定方法は、前記実施例1と同様である。粘度と、測定に使用したロータの種類と、ロータの回転数とを上記表4に示す。
3.洗浄製品の構成
上記のように用意した変色液1Dと、上記のように製造した洗浄液2A〜2Eのいずれか1つとが、洗浄製品を構成する。変色液は、1回のプッシュ操作で3mlを吐出するポンプを備えた容器に収容した。また、洗浄液は、1回のプッシュ操作で1.8mlを吐出するポンプを備えた容器に収容した。
【0044】
4.洗浄製品の使用
前記実施例1と同様に洗浄製品を使用した。洗浄製品の使用は、洗浄液が2Aの場合、2Bの場合、2Cの場合、2Dの場合、2Eの場合にそれぞれ行い、洗浄液の供給から、両手の全体が均一な緑色となるまでの時間Tを計測した。時間Tの計測結果を上記表4に示す。なお、実験はn数を3として行った。表4に示す時間Tは、3回の実験についての平均値である。
【0045】
5.洗浄製品が奏する効果
本実施例の洗浄製品は、前記実施例1の効果(1α)〜(1γ)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0046】
(2β)洗浄液2B、2C、2D、2Eを使用した場合、洗浄液の粘度が高いため、時間Tが十分に長くなる。そのため、両手の全体が均一な緑色となるまで洗浄を行えば、両手を十分に洗浄することができる。
【0047】
(2γ)洗浄液2B、2C、2D、2Eは、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースを含む。そのことにより、洗浄液の粘度を適切な値に調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0048】
(1)変色液1A〜1Eのいずれかと、洗浄液2A〜2Eのいずれかとを適宜選択して組み合わせ、洗浄製品としてもよい。
(2)上述した洗浄製品の他、当該洗浄製品を構成する変色液、洗浄液、洗浄方法等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【解決手段】pHに応じて色が変化する変色成分を含み、pHが第1の値である変色液と、洗浄成分を含み、pHが第2の値である洗浄液と、を備え、前記変色成分は、pHが前記第1の値のときと、前記第2の値のときとでは、異なる色を呈することを特徴とする、人の身体の洗浄を用途とする洗浄製品。前記変色液の粘度は100〜100000cPの範囲内であることが好ましい。前記洗浄液の粘度は10〜40000cPの範囲内であることが好ましい。