特許第5788211号(P5788211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788211
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   F25B49/02 520F
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-97440(P2011-97440)
(22)【出願日】2011年4月25日
(65)【公開番号】特開2011-247574(P2011-247574A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-102547(P2010-102547)
(32)【優先日】2010年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510118880
【氏名又は名称】株式会社 ナンバ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】難波 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】難波 昇一
【審査官】 関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−103820(JP,A)
【文献】 特開昭48−090762(JP,A)
【文献】 実開昭55−010002(JP,U)
【文献】 特開平10−281599(JP,A)
【文献】 特開2009−210558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受液タンク部に充填した冷媒を減圧する膨張部と、この膨張部で低温低圧となった前記冷媒が外部に対して冷却作用をもたらす蒸発部と、この蒸発部でガス状になった前記冷媒を圧縮する圧縮部と、この圧縮した前記冷媒を冷却し液状にしてから前記受液タンク部に戻す凝縮部とからなる冷凍サイクルの前記冷媒の漏洩の有無を検知する冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置であって、前記受液タンク部の外部に設けられ前記受液タンク部と連通管を介して連通状態に連結する漏洩検知用の冷媒収容部と、この冷媒収容部内に収容され、この冷媒収容部内の冷媒の液面変動に連動し、前記冷媒の液面位置を知らせる液面レベル出力手段と、前記冷媒収容部内の前記液面レベル出力手段の位置を検知することで前記冷媒収容部内の冷媒の液面位置を検知する液面レベル検知手段と、前記冷凍サイクルに漏洩が生じた際に、この漏洩が生じていることを報知する報知部とから成り、前記冷媒収容部は、前記受液タンク部の高さ寸法よりも長い筒状体に形成し、上端部が前記受液タンク部の上端よりも高い位置となるようにして、前記受液タンク部の外部にこの受液タンク部と並設状態に配設する構成とし、前記液面レベル出力手段は、磁石であり、丸棒状のアルミニウムの内部を片側から削り出して内部を中空状態にし、これを真空状態の中で削り出し部に蓋をして形成した浮遊体に設けて、前記冷媒の液面位置とほぼ同位置に配されて前記冷媒の液面変動と連動して移動する構成とし、前記液面レベル検知手段は、トランジスタセンサー若しくは磁気センサーであり、前記冷媒収容部の外周面の前記受液タンク部内に冷媒を初期充填したときの前記冷媒収容部内の冷媒の液面位置に設けた構成として、前記冷凍サイクルの漏洩を確認するために、前記冷凍サイクルをポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒を前記受液タンク部に回収し、このポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒を前記受液タンク部に回収した際の前記冷媒収容部内の冷媒の液面位置を前記液面レベル検知手段で検知することで、前記冷凍サイクルにおける冷媒漏洩の有無及び前記受液タンク部内に冷媒を初期充填したときの前記冷媒収容部内の冷媒の液面位置からの液面変動量を確認して前記冷凍サイクルにおける冷媒の漏れ状況を管理するように構成したことを特徴とする冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍設備などに用いられる冷凍サイクルに充填した冷媒の漏洩を検知するための冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍設備などに用いる冷凍サイクルにおいて、設備の老朽化や誤操作(点検不備や設定ミスなど)が原因で冷凍サイクル内の冷媒の漏洩事故が多く発生しているが、この冷凍サイクルにおける漏洩の有無を確認する際は、液化状態の冷媒の液面をサイトグラスを通じて人が目視で確認しており、このような確認方法では微少な漏洩時の判断が正確にできずに漏洩が生じていても気付かない場合があり、また、確認忘れをしたりするなどして、結果として、冷媒が漏洩したまま冷凍設備を使用し続けて、冷媒量が著しく低下したことで設備の性能が発揮されなくなった状態になって始めて冷凍サイクル内の冷媒の漏洩に気付くといったことが多く、そのため、冷媒が漏洩した際は、大量の冷媒が外部に放出され、大きな漏洩事故につながることもあった。
【0003】
また、この冷凍サイクルに用いる冷媒には、アンモニアやフロンガスが多く用いられており、漏洩の際には、様々な問題が発生することが懸念される。
【0004】
例えば、フロンガスを用いた場合、このフロンガスは無色・無臭であるため、漏洩していても気付きにくく、結果的に漏洩に気付いたときには、冷凍サイクル内の大半のフロンガスを大気中に放出してしまった後であり、この放出されたフロンガスは温暖化係数が大きく地球温暖化に影響することが考えられる。
【0005】
また、例えば、アンモニアを用いた場合、このアンモニアは人体に有害であり、更に燃焼性を有することから漏洩によって大事故につながる可能性が考えられる。
【0006】
従って、上述のような漏洩事故を未然に防止するための設備改善や管理体制の見直しは当然のことであるが、このような対策を行っても、万が一、漏洩が発生した場合には、大量の冷媒が漏洩してしまう前に、即ち、微量な漏洩の段階で漏洩の発生を検知し対処を行わなければならず、このような課題に対して、この冷凍サイクルにおける冷媒の漏洩確認をより正確に行うことができるよう特許文献1に示すような冷媒リークの検知手段が提案されている。
【0007】
この特許文献1の冷媒リークの検知手段は、冷凍装置に使用する冷媒の漏れを検知するもので、ポンプダウン時に冷媒を収集する受液タンク内または受液タンクの上下に設けた連通管を介して並設した補助タンク内に、液面レベルに応じて上下する磁石を備えたフロートと、このフロートの内側にフロートを案内するリードスイッチを備えたガイドを設けることで、予め設定した正常液面レベル範囲であるか否かを検知し、冷媒の漏れを早期に検知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−103820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、冷凍サイクルに充填する冷媒量は、冷凍設備の大きさ、用途、使用条件、冷媒の種類など様々な要素を加味して決定するため、メーカー出荷時は、冷媒は充填されておらず、現場に設置してから必要量の冷媒を充填している。この設備設置後の初期充填時の冷媒量が冷凍サイクル内の冷媒の最大量であり、このときの冷媒の液面を基準値とするので、これに合わせてリードスイッチの位置を調整しなくてはならないが、このリードスイッチが補助タンク内に設けてあるため、非常に操作しにくいものであった。
【0010】
そこで、本発明は、設備設置後の初期充填時の冷媒の液面レベルに応じて容易に液面位置検知手段の位置調整ができ、より精度の高い漏洩管理が可能な実用性に優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
受液タンク部1に充填した冷媒2を減圧する膨張部3と、この膨張部3で低温低圧となった前記冷媒2が外部に対して冷却作用をもたらす蒸発部4と、この蒸発部4でガス状になった前記冷媒2を圧縮する圧縮部5と、この圧縮した前記冷媒2を冷却し液状にしてから前記受液タンク部1に戻す凝縮部6とからなる冷凍サイクルの前記冷媒2の漏洩の有無を検知する冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置であって、前記受液タンク部1の外部に設けられ前記受液タンク部1と連通管を介して連通状態に連結する漏洩検知用の冷媒収容部7と、この冷媒収容部7内に収容され、この冷媒収容部7内の冷媒2の液面変動に連動し、前記冷媒2の液面位置を知らせる液面レベル出力手段8と、前記冷媒収容部7内の前記液面レベル出力手段8の位置を検知することで前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を検知する液面レベル検知手段9と、前記冷凍サイクルに漏洩が生じた際に、この漏洩が生じていることを報知する報知部10とから成り、前記冷媒収容部7は、前記受液タンク部1の高さ寸法よりも長い筒状体に形成し、上端部が前記受液タンク部1の上端よりも高い位置となるようにして、前記受液タンク部1の外部にこの受液タンク部1と並設状態に配設する構成とし、前記液面レベル出力手段8は、磁石であり、丸棒状のアルミニウムの内部を片側から削り出して内部を中空状態にし、これを真空状態の中で削り出し部に蓋をして形成した浮遊体14に設けて、前記冷媒2の液面位置とほぼ同位置に配されて前記冷媒2の液面変動と連動して移動する構成とし、前記液面レベル検知手段9は、トランジスタセンサー若しくは磁気センサーであり、前記冷媒収容部7の外周面の前記受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置に設けた構成として、前記冷凍サイクルの漏洩を確認するために、前記冷凍サイクルをポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を前記受液タンク部1に回収し、このポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を前記受液タンク部1に回収した際の前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を前記液面レベル検知手段9で検知することで、前記冷凍サイクルにおける冷媒漏洩の有無及び前記受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置からの液面変動量を確認して前記冷凍サイクルにおける冷媒2の漏れ状況を管理するように構成したことを特徴とする冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、冷凍サイクルの漏洩の有無の確認を行うために、冷凍サイクルをポンプダウンして冷凍サイクル内の冷媒を受液タンク部に回収した際の冷媒の量を、冷凍サイクルに冷媒を初期充填した時の量(実際には冷凍サイクル内に残存し回収しきれない冷媒がある場合もあり、そのような場合も含めて、漏洩が発生していないと判断できる冷媒の量)と比較するだけの極めて簡易な方法で確実に漏洩の有無を確認することができ、しかも、受液タンク部内の冷媒の液面変動を検知するための液面レベル検知手段を、受液タンク部の外部に設けた冷媒収容部の外側に設けたことで、設備設置後の冷媒の初期充填時の冷媒の液面位置に液面レベル検知手段を極めて容易に調整・配設することができるので、取り付け作業や、例えば、液面レベル検知手段にセンサーを用いた場合はこのセンサーの感度調整なども容易に行うことができ、また更に、液面レベル検知手段が故障した際にも容易に修理、交換ができる。
【0014】
このように、本発明は、冷凍サイクル内の冷媒の漏洩を早期に発見することができ、しかも、設置・設定時の作業性が従来に比して画期的に向上し、尚且つ、極めて簡易な構成で設計実現容易で安価に製造可能な作業性、実用性に優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の使用状態を示す概要図である。
図2】本実施例の使用状態を示す説明概要図である。
図3】本実施例の冷媒収容部内に浮遊体を配設した状態を示す説明断面図である。
図4】本実施例の浮遊体を示す断面図である。
図5】本実施例の浮遊体の別例(アルミ中空構造)を示す説明断面図である。
図6】本実施例の浮遊体の別例(合成樹脂で作製)を示す説明分解斜視図である。
図7】本実施例の浮遊体の別例(ガイド部付)を示す斜視図である。
図8】本実施例のスライド部を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、冷媒収容部7に設けた液面レベル検知手段9を、設備設置後の冷媒2の初期充填時の液面レベルに合わせて調整し配設して、冷凍サイクルの漏洩を確認するために、この冷凍サイクルをポンプダウンし、膨張部3,蒸発部4,圧縮部5,凝縮部6や配管内などにある冷媒2を受液タンク部1に回収して、冷凍サイクル内の冷媒2の状態を設備設置後の初期充填時と同じ状態にして、この受液タンク部1に回収した冷媒2の回収量を確認することで冷凍サイクルに漏洩が発生しているかどうかを判断するものである。
【0018】
即ち、本発明は、冷凍サイクルの漏洩の有無を確認するために、冷凍サイクル内の冷媒2を受液タンク部1に回収した回収量と、初期充填時などの漏洩が発生していない状態の受液タンク部1内の冷媒2の量(漏洩確認時判断基準液面位置)とを、この受液タンク部1に連通状態に設けた冷媒収容部7で比較するだけの極めて簡易な方法で確実に漏洩の有無を確認することができるので、設計実現容易で且つ安価に製造可能な実用性に優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置となる。
【0019】
しかも、液面レベル検知手段9を冷媒収容部7の外側に設けたことで、容易に漏洩確認時判断基準液面位置に精度よく調整して固定することができるので、シビアに漏洩の有無を管理することができ、また、液面レベル検知手段9の位置調整や感度調整などを設定する際の操作性にも優れ、更に、この液面レベル検知手段9が故障した際にも、極めて容易に修理・交換ができるのでメンテナンス性も一層向上した実用性に優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置となる。
【実施例】
【0020】
本発明の具体的な実施例について図1図8に基づいて説明する。
【0021】
一般的に冷凍サイクルは、設備設置後に最初に冷媒2を受液タンク部1内に充填する初期充填時が冷媒2の最大量であり、このときの受液タンク部1内の冷媒2の液面レベルが上限となるので、設備稼働後に、冷凍サイクルをポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒を回収した際には、受液タンク部1内の冷媒2の液面レベルは、上述した初期充填時の上限より低くなることはあってもこの上限を超えることはない。
【0022】
また、この冷媒2の液面レベルが低下する要因としては、設備を運転させると受液タンク部1の冷媒2は冷凍サイクル内を循環し冷凍サイクル内に冷媒2が行き渡った状態となるので、その分、受液タンク部1内の冷媒2の液面レベルが低下する場合、若しくは漏洩の発生による液面レベルの低下のいずれかであり、運転中はそのどちらの要因で液面レベルが低下しているか判断しにくく、また、設備が運転している状態では、冷媒2は常に流動しているため液面レベルが安定しておらず、更に、設備の使用状態(例えば、冷却の設定温度や環境負荷)などで冷媒2の液面レベルが変動する可能性があるため、設備運転時に冷媒2の液面レベルを監視して冷凍サイクルにおける冷媒2の漏洩の有無を管理することは難しい。
【0023】
従って、冷凍サイクルにおける冷媒2の漏洩の有無を管理するには、冷凍サイクル内の冷媒2を初期充填時と同じように受液タンク部1内に全て回収した状態にし、受液タンク部1内に回収された冷媒2の液面レベルと初期充填時の受液タンク部1内の冷媒2の液面レベルとを比較することで正確に漏洩の有無を判断でき、結果、早期に漏洩を発見できることとなり、本実施例は、このような方法で冷媒2の漏洩の有無を検知するように構成したものである。
【0024】
即ち、本実施例は、図1に示すように、受液タンク部1に充填した冷媒2を減圧する膨張部3と、この膨張部3で低温低圧となった前記冷媒2が外部に対して冷却作用をもたらす蒸発部4と、この蒸発部4でガス状になった前記冷媒2を圧縮する圧縮部5と、この圧縮した前記冷媒2を冷却し液状にしてから前記受液タンク部1に戻す凝縮部6とからなる冷凍サイクルの前記冷媒2の漏洩の有無を検知する冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置であって、前記受液タンク部1の外部に設けられ前記受液タンク部1と連通管を介して連通状態に連結する漏洩検知用の冷媒収容部7と、この冷媒収容部7内に収容され、この冷媒収容部7内の冷媒2の液面変動に連動し、前記冷媒2の液面位置を知らせる液面レベル出力手段8と、前記冷媒収容部7内の前記液面レベル出力手段8の位置を検知することで前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を検知する液面レベル検知手段9と、前記冷凍サイクルに漏洩が生じた際に、この漏洩が生じていることを報知する報知部10とから成り、前記冷媒収容部7は、前記受液タンク部1の高さ寸法よりも長い筒状体に形成し、上端部が前記受液タンク部1の上端よりも高い位置となるようにして、前記受液タンク部1の外部にこの受液タンク部1と並設状態に配設する構成とし、前記液面レベル出力手段8は、磁石であり、前記冷媒2に浮遊する浮遊体14に設けることで前記冷媒2の液面位置とほぼ同位置に配されて前記冷媒2の液面変動と連動して移動する構成とし、前記液面レベル検知手段9は、トランジスタセンサー若しくは磁気センサー若しくは複数の接点を有する磁気センサーであり、前記冷媒収容部7の外周面に、前記受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を検知する位置に設ける構成とし、この液面レベル検知手段9を前記冷媒収容部7に一若しくは前記受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を検知するものを含む複数並設状態に設けて、前記冷凍サイクルの漏洩を確認するために、前記冷凍サイクルをポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を前記受液タンク部1に回収し、このポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を前記受液タンク部1に回収した際の前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を前記液面レベル検知手段9で検知することで、前記冷凍サイクルにおける冷媒漏洩の有無及び前記受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置からの液面変動量を確認して前記冷凍サイクルにおける冷媒2の漏れ状況を管理するように構成したものである。
【0025】
また、本実施例では、図2に示すように、冷媒収容部7は受液タンク部1の外側に設置する構成とし、具体的には、冷媒収容部7は、受液タンク部1の高さ以上の高さに設定した円筒形に形成し、この円筒形に形成した冷媒収容部7を直立状態で受液タンク部1に並設し、受液タンク部1の上部側と冷媒収容部7の上部側とを第一連通管11を介して連結し、受液タンク部1の下部側と冷媒収容部7の下部側とを第二連通管12を介して連結して、受液タンク部1と冷媒収容部7とを連通状態に設けた構成としている。
【0026】
即ち、受液タンク部1と冷媒収容部7とを連通状態に設けたことで、受液タンク部1に冷媒2を充填した際に、冷媒収容部7にも冷媒2が充填され、更に、受液タンク部1内の冷媒2の液面レベルと冷媒収容部7内の冷媒2の液面レベルとが同一液面レベルで連動する構成としている。
【0027】
また、この冷媒収容部7内に、この冷媒収容部7内の冷媒2に浮遊し該冷媒2の液面変動に連動する浮遊体14を設け、液面レベル検知手段9がこの浮遊体14の位置を検知することで冷媒収容部7内の冷媒2の液面レベルを検知し得るように構成している。
【0028】
尚、本実施例では、この浮遊体14に液面レベル出力手段8を設け、液面レベル検知手段9がこの液面レベル出力手段8を検知することで冷媒収容部7内の冷媒2の液面レベルを検知し得るように構成している。
【0029】
また、本実施例では、この液面レベル出力手段8として磁石を採用した構成とし、具体的には、図3に示すように、浮遊体14の内部に液面レベル出力手段8としての磁石を収納した構成としている。
【0030】
より具体的には、液面レベル出力手段8は、ネオジウム磁石若しくはフェライト磁石の二種類の磁力の異なる磁石を適宜採用する構成としている。
【0031】
この二種類の磁力の異なる磁石を適宜採用する理由としては、本来、冷凍サイクルにおいて許容量以上の漏洩が発生して冷凍サイクル内の冷媒2の量が減少した場合、漏洩確認のために冷凍サイクル内の冷媒2を回収した際に、漏洩の有無を検知するための冷媒収容部7内の冷媒2の液面レベルが漏洩の有無を判断する基準位置、例えば受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置に到達せず、漏洩が発生したと判断されこれを報知することとなるが、液面レベル出力手段8が出力する磁力が強すぎると、漏洩が発生しているにもかかわらず、液面レベル検知手段9が冷媒収容部7内の液面を示す液面レベル出力手段8を検知してしまうことで漏洩が発生していないと判断してしまう恐れがあるからであり、このような場合は磁力の弱いフェライト磁石を採用した構成とし、また、浮遊体14の肉厚が厚かったり、液面レベル出力手段8と液面レベル検知手段9との間隔が広かったりして、液面レベル出力手段8が出力する磁力が冷媒収容部7の外側に設けた液面レベル検知手段9に対して弱くなってしまうと、液面レベル検知手段9が液面レベル出力手段8の位置を正確に検知できなくなるので、このような場合には磁力が強いネオジウム磁石を採用した構成としている。
【0032】
尚、採用する磁石は、上記以外の磁石、例えば、サマリウムコバルト磁石やアルニコ磁石など、その特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0033】
また、この液面レベル出力手段8を設ける浮遊体14は、この浮遊体14の内部に設ける液面レベル出力手段8が出力する磁力に影響を及ぼさないように非磁性体材料で形成しており、具体的には、アルミ、チタン、ステンレスなどの比較的耐圧性が高い非磁性体金属、若しくは合成樹脂を採用して形成している。
【0034】
尚、アルミ、チタン、ステンレスなどの比較的耐圧性が高い非磁性体金属を採用した場合は、耐圧性を重視するよりも浮力を向上させるために内部を中空にした円筒形に形成し、合成樹脂を採用した場合は、耐圧性を重視し、耐圧性を向上させるために内部を中空にせず中身が詰まった状態の円柱形に形成した構成としてもよい。
【0035】
また、非磁性体金属を採用する場合は、図4に示すように、浮遊体14の周方向に沿って周面を、凹部を並設し、この並設した凹部間に液面レベル出力手段8となる磁石を配する構成とすることで、容易に浮遊体14内に安定した状態で液面レベル出力手段8を固定することができ、更に、この凹部を設けた形状としたことで耐圧性も向上したより実用性に優れた浮遊体14となる。
【0036】
また更に、図5に示すように、浮遊体14を、丸棒状のアルミニウムの内部を片側から削り出して内部を中空状態にし、これを真空状態の中で削り出し部に蓋をする構成とし、この内部が中空状態となった丸棒状のアルミニウムからなる浮遊体14の先端に突起部24を設け、この突起部24にリング状に形成した液面レベル出力手段8を被嵌し、ピンなどの固定具25で固定して構成したものを採用しても良い。
【0037】
また、中空の内部にヘリウムガスなどの分子量の小さいガスを充填することで、より一層浮力を向上させることができ、更に、耐圧性も向上するので、非磁性体金属の肉厚を薄くすることができ、よって、浮遊体14自体を小型化することが可能となる。即ち、浮遊体14を小型化することで、冷媒収容部7も小型化できるので、より安価に製造することができる。
【0038】
また、合成樹脂を採用する場合は、上述したように中身が詰まった状態に形成するが、この中身が詰まった状態の内部に液面レベル出力手段8を設ける際は、例えば、図6に示すように、上方側をくりぬいて液面レベル出力手段8を配置する空間部を形成し、この空間部に雌螺子部22を形成し、この空間部を埋めるスクリューキャップ状の雄螺子部23を設け、この雄螺子部23を雌螺子部22に螺着する構成としても良い。
【0039】
また、合成樹脂の場合は、冷媒2によって変質したり腐食したりすることがあるので、冷媒2に対して変質したり腐食したりしない合成樹脂を採用する必要があり、例えば、冷媒2にR−404Aを使用する場合は、ABC樹脂、ポリ塩化ビニール若しくはポリフェニレンオキサイドを採用し、例えば、R−410Aを使用する場合は、エポキシ樹脂を採用し、例えば、R−22を使用する場合は、フェノール樹脂を採用して浮遊体14を形成すると良い。
【0040】
また、この浮遊体14は、冷媒収容部7の内面とのクリアランスが狭いと冷媒収容部7の内面と浮遊体14とが接触してスムーズに動作しない可能性があるので、本実施例では、浮遊体14と冷媒収容部7内面とのクリアランスが2mm以上となる形状に形成している。
【0041】
また、クリアランスが大きすぎると(冷媒収容部7の内径に対して浮遊体14の直径が小さすぎると)液面変動の際などに浮遊体14が傾斜状態となってしまい、この浮遊体14に設ける液面レベル出力手段8の位置が正確に出力されず検出精度が低下してしまうので、より精度の高い管理を行う場合は、図7に示すように、この浮遊体14の上面及び下面にガイド部16を設けて、浮遊体14が傾斜状態となることを防止し、常に安定な状態を確保する構成としても良い。
【0042】
このガイド部16は、できるだけ冷媒収容部7の内面との接触が少ないほうが好ましく、従って、このガイド部16の形状を、図7に示すように、十字形状に構成すると良い。
【0043】
また、浮遊体14の内部に設けた液面レベル出力手段8が出力する磁気を検知し、冷媒収容部7内の冷媒2の液面を検知する液面レベル検知手段9は、単にON/OFFだけの無電圧接点のもの、複数の接点を設けた磁気センサー若しくはトランジスタを組み込んだ磁気センサーなどを採用している。特にトランジスタを組み込んだ磁気センサーを用いた場合は、磁石の磁束の強弱を検知することで微少な漏洩も検知することができる精度の高い漏洩管理が可能となる。
【0044】
また、本実施例では、液面レベル検知手段9を冷媒収容部7にスライド自在に設けて取り付け位置調整自在に設けた構成としているが、具体的には、液面レベル検知手段9は、冷媒収容部7の外周面をガイドにして高さ方向、即ち、上下方向にスライド自在に設けたスライド部17に液面レベル検知手段9を設けて、この液面レベル検知手段9を冷媒収容部7の外面にスライド自在に設けた構成としている。
【0045】
また、このスライド部17に設けた液面レベル検知手段9は、このスライド部17に水平方向に進退自在に設けた構成とし、感度調整自在に設けた構成としている。
【0046】
具体的には、図8に示すように、スライド部17は、液面レベル検知手段9を水平方向に進退自在に装着する挿入孔26を設けた検知手段取付部18と抱持固定部19からなり、この検知手段取付部18と抱持固定部19とで冷媒収容部7を抱持した状態で、立直状態に設けた冷媒収容部7の上下方向にスライド自在に設けた構成としている。
【0047】
また、本実施例では、スライド部17を下方から支持し、このスライド部17の位置を固定するスライド支持部20を冷媒収容部7に設けた構成としており、このスライド支持部20は、スライド部17の固定位置、即ち、液面レベル検知手段9の固定位置を液面レベル出力手段8に対して最適な位置(検出感度が最も良い位置)に設定するための微調整を行う固定位置微調整部21を備えた構成とし、本実施例では、この固定位置微調整部21にねじ込み式の高さ調整機構を採用している。
【0048】
また、本実施例は、冷凍サイクル内の冷媒2を受液タンク部1に回収した状態でこの冷凍サイクル内に充填した冷媒2の漏洩の有無を確認する際に、所定時間内に液面レベル出力手段8の位置が、冷凍サイクル内(受液タンク部1内)に冷媒2を最初に充填したときの液面レベルに達せず、冷凍サイクルに漏洩が発生したと判断された際にこの漏洩が生じたことを報知する報知部10を設けている。
【0049】
即ち、本実施例は、冷凍サイクルの漏洩を確認するために、冷凍サイクルをポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を受液タンク部1に回収し、このポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を受液タンク部1に回収した際の冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置を液面レベル検知手段9で検知することで、冷凍サイクルにおける冷媒漏洩の有無を判断し、漏洩が発生していると判断した場合に報知部10が警報を発報する構成としている。
【0050】
また、本実施例は、例えば、上述のトランジスタセンサーや磁気センサーを複数並設して、液面レベルの移動量(液面変動量)を数値化し、この液面変動量から冷媒2の漏洩量を算出する冷媒漏洩量算出部を設けて、この算出結果をデジタル表示させて作業者がいつでも目視確認可能に構成したり、或いは、この冷媒2の漏洩量を報知部10に出力して数値的に漏洩管理をすることで、より一層精度の高い漏洩管理ができる構成としても良い。
【0051】
また、本実施例を遠隔管理可能な構成とし、遠隔地に設置した端末装置を用いて、現場に行かずに漏洩量の計測を可能とする構成としても良く、また、前記端末装置を用いて、複数の冷凍機に対して個別に遠隔操作によって漏洩管理可能な構成としても良い。
【0052】
本実施例は、このように構成したことで、受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置と、冷凍サイクルの漏洩を確認するために、前記冷凍サイクルをポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を前記受液タンク部1に回収し、このポンプダウンしてこの冷凍サイクル内の冷媒2を前記受液タンク部1に回収した際の前記冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置とを比較するだけの極めて簡易な方法で確実に漏洩の有無を確認することができるので、設計実現容易で且つ安価に製造可能な実用性に優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置となる。
【0053】
しかも、液面レベル検知手段9を冷媒収容部7の外面に調整自在に設けたことで、容易に液面レベル検知手段9を受液タンク部1内に冷媒2を初期充填したときの冷媒収容部7内の冷媒2の液面位置に調整して固定することができるので、取り付け作業や、感度調整なども容易に行うことができ、また更に、この液面レベル検知手段9が故障した際にも容易に修理、交換ができるのでメンテナンス性にも優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置となる。
【0054】
また、例えば、複数台の冷凍設備などが並設されている場合は、夫々の冷凍サイクルに対して漏洩管理を行う必要があるが、本実施例を用いることで、例えば、無電圧接点を増設するだけで、操作管理部を一箇所にまとめて管理することが出来るので、設備設置現場が煩雑にならず、また、遠隔操作も可能で作業性、操作性に優れた冷凍サイクルにおける冷媒漏洩検知装置となる。
【0055】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0056】
1 受液タンク部
2 冷媒
3 膨張部
4 蒸発部
5 圧縮部
6 凝縮部
7 冷媒収容部
8 液面レベル出力手段
9 液面レベル検知手段
10 報知部
14 浮遊体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8