特許第5788227号(P5788227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788227
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】ロールスクリーン用ウェイトバー
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20150910BHJP
   E06B 9/46 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   E06B9/17 U
   E06B9/46
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-122883(P2011-122883)
(22)【出願日】2011年5月31日
(65)【公開番号】特開2012-251312(P2012-251312A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 将哉
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−184991(JP,U)
【文献】 特公平07−039797(JP,B2)
【文献】 特開2009−155982(JP,A)
【文献】 実公昭63−024785(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取軸から垂下するスクリーンの下端に、板状の生地押さえを介して装着されるとともに、前記巻取軸の軸方向に対して垂直方向の断面が非対称に形成されるロールスクリーン用ウェイトバーにおいて、
前記スクリーン側に開口するとともに、前記生地押さえがその長手方向に沿って挿入可能とされる溝を有し、
前記溝には、前記生地押さえが前記溝に挿入された状態において、前記生地押さえの前後方向においてその一端側が相対的に前記スクリーン側に引っ張られたとき前記生地押さえの一端側を係止する第1の係止部と、
前記生地押さえが前記溝に挿入された状態から、前記スクリーンの表裏の反転に伴って前記前後方向における前記生地押さえの一端側と他端側とを反転させた状態となった場合、前記生地押さえの一端側が相対的に前記スクリーン側に引っ張られたとき前記生地押さえの一端側を係止する第2の係止部と、が形成され
前記溝は、
上側に延出するとともに、その上端に前記第1の係止部が形成される前壁と、
上側に延出するとともに、その上端に形成される前記第2の係止部が当該前壁よりも低い位置となる後壁と、
前記前壁及び後壁を連結させる底面と、で構成され、
前記スクリーンの表裏の反転に伴う前記生地押さえの反転時には、前記前壁の内面が前記生地押さえの他端側に当接しつつ、前記第2の係止部が前記生地押さえの一端側を前記溝内に係止するロールスクリーン用ウェイトバー。
【請求項2】
請求項1に記載のロールスクリーン用ウェイトバーにおいて、
前記ウェイトバーにおける前記第2の係止部の背面側に緩衝材であるダンパが装着され、前記ダンパは、前記スクリーンが前記巻取軸に巻き取られたときに、前記ウェイトバー及び前記巻取軸の上側に位置するフレーム間に位置し、
前記ウェイトバーは、前記ダンパが装着された状態で前記垂直方向の断面の外形の対称性が確保される態様で形成され、
前記第2の係止部は、前記ダンパに背面側及び上側が覆われるように形成されるロールスクリーン用ウェイトバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロールスクリーン用ウェイトバーにおいて、
前記溝には、前記底面と、前記前壁及び前記後壁とをなだらかに連結させる曲面が形成され、
前記第1の係止部又は前記第2の係止部に、前記生地押さえの一端側が前記スクリーンを介して係止されているとき、その他端側が前記曲面に当接されるロールスクリーン用ウェイトバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロールスクリーンにおける生地の端部に装着されるウェイトバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールブラインドは、取付面に回転可能に支持された巻取軸からスクリーンが吊下支持される。そして、巻取軸の回転操作によりスクリーンを昇降して採光量を適宜に調節可能としている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるロールブラインドにおいては、そのスクリーンをリバーシブル(表裏反転)可能に構成されている。このスクリーンの両面に異なる意匠を施すことで、ユーザは自身の好みに合わせてスクリーンの意匠を選択することができる。
【0004】
具体的には、スクリーンの両端に一対のウェイトバーを設ける。巻取パイプは、軸芯と、その軸芯の外周を覆う嵌合部とを備える。嵌合部は、軸芯の外周との間でスクリーンを厚さ方向に挟む。また、嵌合部には、ウェイトバーが嵌合可能な一対の嵌合穴が形成される。一方のウェイトバーが自身に対応した嵌合穴に嵌合した状態で、スクリーンにおける一方の面が室内側となる。そして、スクリーンを表裏反転させる場合には、嵌合穴におけるウェイトバーを下側に引っ張る。これにより、スクリーンが、軸芯及び嵌合部間を介して一方のウェイトバー側に送られる。そして、他方のウェイトバーが自身に対応した嵌合穴に嵌合して、スクリーンにおける他方の面が室内側となる。
【0005】
例えば、特許文献2に記載のロールブラインドは、図20に示すように、軸回転可能に支持される巻取パイプ105と、同巻取パイプ105に装着されるスクリーン100と、スクリーン100の下端に装着されるウェイトバー111とを備える。このウェイトバー111は、巻上げ時のフレームへの接触を緩和するべく、ダンパ115が嵌合可能に構成されている。すなわち、図20に拡大して示すように、ウェイトバー111の左側にはダンパ115が嵌合するダンパ側溝116が形成されている。また、ウェイトバー111の上側にはスクリーン側溝117が形成されている。このスクリーン側溝117を構成する図の右上端部には、スクリーン側溝117の内側に突出する係止部118が形成されている。
【0006】
一方、スクリーン100の下端には生地押さえ110が装着されている。この生地押さえ110は、ウェイトバー111の側方からスクリーン側溝117内に挿入される。挿入された状態においては、生地押さえ110の右側端部が係止部118の内側に係止される。これにより、ウェイトバー111が、生地押さえ110、ひいてはスクリーン100から脱落することが防止される。
【0007】
ダンパ115がダンパ側溝116を通じてウェイトバー111に嵌合された状態で、それらの断面の外形が同図の左右方向に対称となる。すなわち、ウェイトバー111のみの断面の外形形状は、同図の左右方向に非対称である。
【0008】
ダンパ115はエラストマーなどで形成されるとともに、スクリーン100の巻上げ時に、ウェイトバー111が、巻取パイプ105の上側に位置するフレーム120に接触することを防止する。これにより、静音性等を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−221693号公報
【特許文献2】意匠登録第1206738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の構成においては、ウェイトバーが2つ必要となるとともに、その一方のウェイトバーを巻取軸にて保持可能に構成する必要があることから構成が複雑であった。
【0011】
上記特許文献2の構成は、特許文献1の構成に比して簡易に構成されるものの、スクリーン100を表裏反転させた場合には以下のような問題が想定される。すなわち、図20に示す構成において、巻取パイプ105からスクリーン100を取り外す。そして、スクリーン100を表裏反転させた後に再び巻取パイプ105に装着する。この状態において、上記と同様の向きで、ウェイトバー111を生地押さえ110に装着すると、スクリーン100の巻上げ時にウェイトバー111がフレーム120に直接接触することになる。そのため、図21に示すように、ウェイトバー111を、同図の左右方向に反転させてから生地押さえ110に挿入する必要がある。このように挿入した場合には、生地押さえ110の左側端部が上側に引っ張られる。このとき、上記係止部118のように生地押さえ110を係止する部材がない。このため、同図の2点鎖線で示すように、ウェイトバー111は生地押さえ110から脱落する。このように、ダンパ115が装着される断面非対称に構成されるウェイトバー111は、スクリーン100の表裏反転に対応できなかった。
【0012】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロールスクリーンの構成を複雑化することなく、自身に対してスクリーンの表裏が反転されてもスクリーンに装着可能とされるウェイトバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、巻取軸から垂下するスクリーンの下端に、板状の生地押さえを介して装着されるとともに、前記巻取軸の軸方向に対して垂直方向の断面が非対称に形成されるロールスクリーン用ウェイトバーにおいて、前記スクリーン側に開口するとともに、前記生地押さえがその長手方向に沿って挿入可能とされる溝を有し、前記溝には、前記生地押さえが前記溝に挿入された状態において、前記生地押さえの前後方向においてその一端側が相対的に前記スクリーン側に引っ張られたとき前記生地押さえの一端側を係止する第1の係止部と、前記生地押さえが前記溝に挿入された状態から、前記スクリーンの表裏の反転に伴って前記前後方向における前記生地押さえの一端側と他端側とを反転させた状態となった場合、前記生地押さえの一端側が相対的に前記スクリーン側に引っ張られたとき前記生地押さえの一端側を係止する第2の係止部と、が形成され、前記溝は、上側に延出するとともに、その上端に前記第1の係止部が形成される前壁と、上側に延出するとともに、その上端に形成される前記第2の係止部が当該前壁よりも低い位置となる後壁と、前記前壁及び後壁を連結させる底面と、で構成され、前記スクリーンの表裏の反転に伴う前記生地押さえの反転時には、前記前壁の内面が前記生地押さえの他端側に当接しつつ、前記第2の係止部が前記生地押さえの一端側を前記溝内に係止することをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、スクリーンの表裏が反転されることに伴って生地押さえの一端側と他端側とが反転された場合であっても、生地押さえがウェイトバーの溝内に保持される。例えば、スクリーンの表面が室内側にあるときには、第1の係止部を通じて生地押さえが溝内に係止される。また、スクリーンの裏面が室内側にあるときには、第2の係止部を通じて生地押さえが溝内に係止される。よって、ウェイトバーが自重によってスクリーンから脱落することが抑制される。本構成においては、スクリーンの表裏の反転が可能とされるロールスクリーンであってもウェイトバーは1つで済む。よって、ロールスクリーンの構成を複雑化することなく、スクリーンの表裏が反転されてもウェイトバーをスクリーンに装着可能となる。加えて、第2の係止部が前壁よりも低い位置に形成される。また、スクリーンの表裏の反転に伴う生地押さえの反転時には、前壁の内面が生地押さえの他端側に当接しつつ、第2の係止部が生地押さえの一端側を係止する。これにより、生地押さえを反転させた場合であっても、溝内における生地押さえの回転が規制される。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のロールスクリーン用ウェイトバーにおいて、前記ウェイトバーにおける前記第2の係止部の背面側に緩衝材であるダンパが装着され、前記ダンパは、前記スクリーンが前記巻取軸に巻き取られたときに、前記ウェイトバー及び前記巻取軸の上側に位置するフレーム間に位置し、前記ウェイトバーは、前記ダンパが装着された状態で前記垂直方向の断面の外形の対称性が確保される態様で形成され、前記第2の係止部は、前記ダンパに背面側及び上側が覆われるように形成されることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、第2の係止部は、装着されたダンパに背面側及び上側に覆われるように形成される。このように第2の係止部を形成することで、ウェイトバーにダンパが装着された状態での断面の対称性を確保することができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載のロールスクリーン用ウェイトバーにおいて、前記溝には、前記底面と、前記前壁及び前記後壁とをなだらかに連結させる曲面が形成され、前記第1の係止部又は前記第2の係止部に、前記生地押さえの一端側が前記スクリーンを介して係止されているとき、その他端側が前記曲面に当接されることをその要旨としている。
【0020】
同構成によれば、第1の係止部又は前記第2の係止部に、生地押さえの一端側がスクリーンを介して係止されているとき、その他端側が曲面に当接する。ここで、スクリーンの厚さには多くの種類がある。この厚さが変更されると、スクリーンは、第1の係止部又は第2の係止部と生地押さえとの間に介在しているため、溝内における生地押さえの角度が変わる。この場合でも、生地押さえは、その他端側が曲面に沿って移動し安定的な角度をとる。これにより、スクリーンの厚さが変更された場合であっても、同一のウェイトバーの構成にて、生地押さえを保持することができる。従って、ウェイトバーの汎用性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ウェイトバーにおいて、ロールスクリーンの構成を複雑化することなく、自身に対してスクリーンの表裏が反転されてもスクリーンに装着可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態における(a)ロールスクリーンの側面図、(b)ロールスクリーンの正面図。
図2】第1の実施形態における巻取軸の部分断面図。
図3】第1の実施形態における(a)ウェイトバーの正面図、(b)ウェイトバーの背面図、(c)ウェイトバーの上面図、(d)ウェイトバーの下面図、(e)ウェイトバーの右側面図、(f)ウェイトバーの左側面図。
図4】第1の実施形態におけるウェイトバーにダンパを組んだ状態での斜視図。
図5】第1の実施形態におけるダンパがフレームに接触したときの断面図。
図6】第1の実施形態における巻取軸の部分断面図。
図7】第1の実施形態における巻取軸の部分断面図。
図8】第1の実施形態における巻取軸の部分断面図。
図9】第1の実施形態における巻取軸の部分断面図。
図10】第1の実施形態におけるスクリーンの表面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図11】第1の実施形態におけるスクリーンの裏面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図12】第2の実施形態におけるスクリーンの表面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図13】第2の実施形態におけるスクリーンの裏面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図14】第3の実施形態におけるスクリーンの表面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図15】第3の実施形態におけるスクリーンの裏面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図16】第4の実施形態におけるスクリーンの表面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図17】第4の実施形態におけるスクリーンの裏面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図18】第5の実施形態におけるスクリーンの表面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図19】第5の実施形態におけるスクリーンの裏面が室内側のときのウェイトバーの断面図。
図20】背景技術におけるダンパを有するウェイトバーを備えたロールスクリーンの側面図。
図21】背景技術における生地押さえを左右反転させたときのウェイトバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるウェイトバーをロールブラインドに具体化した第1の実施形態について図1図11を参照して説明する。
【0024】
(構成)
図1(a)及び図1(b)に示すように、ロールブラインドは、取付面に固定されるフレーム11の両端に一対の支持ブラケット12が取着され、その支持ブラケット12間に巻取軸13が回転可能に支持されている。この巻取軸13は、アルミ押し出し形材で円筒状に形成される。巻取軸13の軸回転に伴って、布状のスクリーン10は、巻取軸13に対して巻き取られ又は巻き出される。
【0025】
スクリーン10は、その上下端部に沿って、上側生地押さえ15及び下側生地押さえ17が取り付けられる。このスクリーン10は、リバーシブル用であって表面10a及び裏面10bにそれぞれ異なる意匠が施されている。本実施形態では、両生地押さえ15,17は、スクリーン10に対して縫合されている。また、スクリーン10として縫製用の最も厚い生地が採用されている。両生地押さえ15,17は、弾性を有する合成樹脂で前記巻取軸13の軸方向とほぼ同様な長さの板状に形成される。
【0026】
図2に示すように、上側生地押さえ15の右側端部には、図の下方向に突出した当接部15aが形成される。当接部15aの外面は球面状に形成されている。また、当接部15aの内面は、上側生地押さえ15の本体面に対して直交している。上側生地押さえ15における、この直交した部分にスクリーン10の上端面を合わせることで、縫合時にスクリーン10の位置がずれることが抑制される。また、図10に示すように、下側生地押さえ17にも上記当接部15aと同一形状の当接部17aが形成される。
【0027】
図2に示すように、巻取軸13の上側外周面には取付凹部14が形成されている。この取付凹部14の底面には、巻取軸13の径方向に突出する係止突部18が設けられている。そして、その係止突部18の先端部に球状の膨径部19が形成されている。
【0028】
この取付凹部14の左側縁部には、巻取軸13の外周面を延長するように庇部21が形成されている。
係止突部18の膨径部19には生地保持部材31が装着される。生地保持部材31には、その下面に膨径部19の形状に対応した嵌合溝32が形成されている。生地保持部材31には、自身の嵌合溝32が膨径部19に嵌合した状態で、庇部21の下側に延出する延出部33が形成される。
【0029】
延出部33は、取付凹部14の底面との間で、生地押さえ15及びそれに面接触するスクリーン10を挟み込む。延出部33は、庇部21によって上側への変位が規制されている。
【0030】
スクリーン10の上端は、生地保持部材31によって生地押さえ15を介して取付凹部14内に固定される。そして、スクリーン10は、生地保持部材31の上面に沿って巻取軸13の室外側から垂下した状態となる。この状態においては、スクリーン10の表面10aが室内側となる。
【0031】
一方、図1(a)に示すように、下側生地押さえ17には、アルミ製のウェイトバー40が装着される。図3(a)〜図3(f)には、ウェイトバー40の正面図、背面図、上面図、下面図及び両側面図が図示されている。
【0032】
図3(f)に示すように、ウェイトバー40は、右側の一部が欠落した略楕円状に形成されるとともに、スクリーン10側に開口した上側溝41と、下側に開口した下側溝42とを備える。両溝41,42間には、中空部43が形成されている。なお、ウェイトバー40はアルミ押し出し成形されている。
【0033】
また、中空部43の右側には、右方向に開口したダンパ側溝45が形成されている。ダンパ側溝45は、図10の反時計回りに90度傾けた略T字状に形成されている。なお、ウェイトバー40は、長手方向に沿って同一断面形状を有している。
【0034】
上側溝41は、図10に示すように、室内側(前側)に形成される前壁48と、室外側(後側)に形成される後壁49と、前壁48及び後壁49を下側で連結する底壁44とで形成されている。
【0035】
前壁48は、底壁44から上方向に延出するとともに、その上端側は右斜め上に傾斜している。そして、前壁48における先端には第1の係止部46が形成されている。この第1の係止部46は、上側溝41の内側に屈曲している。一方、後壁49は、底壁44から上方向に延出するとともに、その上端部には第2の係止部47が形成されている。第2の係止部47は、図中の左方向に突出した態様で形成されている。また、第2の係止部47は、第1の係止部46と比較して下側、すなわち低く位置している。さらに、前壁48及び後壁49と、底壁44とはなだらかな曲面41aにて連結されている。
【0036】
図4に示すように、ウェイトバー40にはダンパ50が装着される。ダンパ50は、エラストマーなどからなる緩衝材である。図10に示すように、ダンパ50には、ダンパ側溝45に嵌合する嵌合部51が形成されている。ダンパ50は、ウェイトバー40の側方から、嵌合部51をダンパ側溝45に挿入していく。ダンパ50をウェイトバー40に装着した状態で断面の外形が楕円状となる。換言すると、ダンパ50をウェイトバー40に装着したとき断面の外形が楕円状となるように、ダンパ50及びウェイトバー40の形状を設定している。ダンパ50は、第2の係止部47の背面からその上側を覆うように形成されている。ダンパ50における上端部52は、第1の係止部46と外形が左右対称となるように形成されている。ただし、このダンパ50の上端部52に下側生地押さえ17を係止する機能はない。
【0037】
図5に示すように、スクリーン10が巻き上げられたときには、フレーム11にダンパ50が当接する。これにより、静音性を高めることができる。
図10に2点鎖線で示すように、中空部43には錘58が充填される。また、下側溝42には、プルコードに接続されるプルコード止め59が装着される。プルコードを下方へ引っ張る操作を通じて、スクリーン10が下方に引き出される。
【0038】
上側溝41は、下側生地押さえ17を略水平を保った状態で、ウェイトバー40の側方から挿入可能に形成されている。すなわち、上側溝41内における所定の角度の対角線は、下側生地押さえ17における図10の左右方向(前後方向)の長さより長く形成されている。
【0039】
スクリーン10の表面10aが室内側となっているときには、スクリーン10を介して下側生地押さえ17の左端部が上側に引っ張られる。この力は、スクリーン10が実際に上側に引っ張られているわけではなく、ウェイトバー40及び錘58等の重力によって相対的に加わっている。このとき、下側生地押さえ17の一端側(当接部17aと反対側の端部)が、それに装着されるスクリーン10を介して第1の係止部46によって係止される。これにより、ウェイトバー40及び錘58等の重力によってウェイトバー40が下側生地押さえ17から脱落することがない。
【0040】
(作用)
スクリーン10の表裏を反転させた場合の作用について説明する。ここでは、まず、スクリーン10の反転時における巻取軸13への装着時の作用について説明する。
【0041】
図6に示すように、まず、巻取軸13の室外側から垂下していたスクリーン10を、巻取軸13の室内側から垂下した状態とした後に生地保持部材31を取り外す。そして、図7に示すように、スクリーン10の表裏を反転させて、上側生地押さえ15が生地の下側となってその上にスクリーン10が位置する状態とする。次に、図8に示すように、生地保持部材31を係止突部18の膨径部19に嵌め込む。そして、図9に示すように、再び、スクリーン10を巻取軸13の室外側から垂下した状態とすることで、スクリーン10の表裏の反転が完了する。
【0042】
次に、スクリーン10の反転時におけるウェイトバー40の装着時の作用について説明する。
上記図5を参照して説明したように、ウェイトバー40に装着されるダンパ50は、ウェイトバー40とフレーム11との接触を抑制する。この機能を発揮させるためには、ウェイトバー40がスクリーン10に装着された状態でダンパ50は室外側に存在する必要がある。よって、スクリーン10の反転時にウェイトバー40も反転させる。
【0043】
図10を参照して上述したように、第1の係止部46を通じて下側生地押さえ17が係止されている状態において、ウェイトバー40の側方から下側生地押さえ17を引き抜く。そして、上記スクリーン10の反転に伴って下側生地押さえ17を左右反転させた状態で、再びウェイトバー40に挿入していく。すると、図11に示すように、下側生地押さえ17の右端部がスクリーン10により相対的に上側に引っ張られる。
【0044】
このとき、当接部17aは、前壁48側の曲面41aに接することで、下側生地押さえ17は安定した姿勢となる。そして、下側生地押さえ17の一端側(当接部17aと反対側の端部)がスクリーン10を介在させて第2の係止部47に当接する。第2の係止部47は下側生地押さえ17の一端側を係止することで、下側生地押さえ17を上側溝41内に保持する。これにより、ウェイトバー40及び錘58等の重力によってウェイトバー40が下側生地押さえ17から脱落することがない。
【0045】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)スクリーン10の表裏が反転されることに伴って下側生地押さえ17が反転された場合であっても、下側生地押さえ17がウェイトバー40の上側溝41内に保持される。スクリーン10の表面10aが室内側にあるときには、第1の係止部46を通じて下側生地押さえ17が上側溝41内に係止される。また、スクリーン10の裏面10bが室内側にあるときには、第2の係止部47を通じて下側生地押さえ17が上側溝41内に係止される。よって、ウェイトバー40が自重によってスクリーン10から脱落することが抑制される。本構成においては、スクリーン10の表裏の反転が可能とされるロールスクリーンであってもウェイトバー40は1つで済む。よって、ロールスクリーンの構成を複雑化することなく、スクリーン10の表裏が反転されてもウェイトバー40をスクリーン10に装着可能となる。
【0046】
(2)第2の係止部47は、装着されたダンパ50に背面側及び上側に覆われるように形成される。すなわち、第2の係止部47は、第1の係止部46に比して低く、かつ内側に形成される。このように第2の係止部47を形成することで、ウェイトバー40にダンパ50が装着された状態での断面の外形の対称性を確保することができる。これにより、ウェイトバー40にダンパ50が装着した状態における重量バランスや意匠性を向上させることができる。
【0047】
(3)上側溝41には1対の曲面41aが形成されている。この曲面41aは、下側生地押さえ17の当接部17aの曲面に合わせた形状となっている。これにより、スクリーン10を反転させた図10及び図11の状態において、当接部17aにおける曲面41aとの接触位置を一定とすることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図12及び図13を参照しつつ説明する。
この実施形態のロールスクリーンは、スクリーンの生地の厚さを除き第1の実施形態のロールスクリーンとほぼ同様の構成を備えている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
図12に示すように、本例におけるスクリーン60には、縫製用の最も薄い生地が採用されている。このスクリーン60は、上記実施形態と同様に、両生地押さえ15,17は、スクリーン10に対して縫合されている。
【0050】
スクリーン60の表裏の反転は、上記第1の実施形態と同様に行われる。
図12に示すように、スクリーン60の生地は薄いため、第1の実施形態における図10に比べて、下側生地押さえ17は時計回りにその厚みの差分に応じた角度だけ回転した位置に保持される。このときにも、下側生地押さえ17の当接部17aは、右側の曲面41aに当接することで下側生地押さえ17の位置が安定する。
【0051】
これと同様に、図13に示すように、スクリーン60の表裏を反転させたときには、第1の実施形態における図11に比べて、下側生地押さえ17は反時計回りに生地の厚みの差分に応じた角度だけ回転した位置に保持される。このときにも、下側生地押さえ17の当接部17aが左側の曲面41aに当接することで下側生地押さえ17の位置が安定する。換言すると、スクリーンの厚さを変えることで、安定する下側生地押さえ17の角度が異なる場合であっても、曲面41aが形成されることで、その安定する角度に下側生地押さえ17を保持できる。すなわち、曲面41aを通じて下側生地押さえ17の回転自由度が確保されている。
【0052】
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の効果を奏することができる。
(4)スクリーン60として縫製用の最も薄い生地が採用された場合であっても、第1の実施形態と同一のウェイトバー40にて、下側生地押さえ17を保持することができる。これにより、ウェイトバー40の汎用性を向上させることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図14及び図15を参照しつつ説明する。
この実施形態のロールスクリーンは、スクリーンの生地の厚さ及び両生地押さえ15,17の取り付け方法を除き第1の実施形態のロールスクリーンとほぼ同様の構成を備えている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図14に示すように、本例におけるスクリーン61に対して、生地押さえはホッチキスによって取り付けられる。また、本例では、スクリーン61としてホッチキス用の最も厚い生地が採用されている。この生地は、第1の実施形態における縫製用の最も厚い生地よりさらに厚く形成されている。
【0055】
本例では、上記両実施形態と形状の異なる生地押さえ62が採用される。具体的には、図14に示すように、縫製用の生地押さえに設けられる当接部15a,17aは省略されて、完全な板状に形成される。これは、ホッチキスを通じた取り付けは一度に行えるところ縫製の場合と異なって生地のずれが生じないからである。そして、生地押さえ62は、縫製用の生地押さえより薄く形成されている。
【0056】
スクリーン61の表裏の反転は、上記両実施形態と同様に行われる。図14に示すように、スクリーン61の生地は厚いため、第1の実施形態における図10に比べて、生地押さえ62は反時計回りにその厚みの差分に応じた角度だけ回転した位置に保持される。このときにも、生地押さえ62の右端部が右側の曲面41aに当接することで生地押さえ62の位置が安定する。
【0057】
これと同様に、図15に示すように、スクリーン61の表裏を反転させたときには、第1の実施形態における図11に比べて、生地押さえ62は時計回りにスクリーンの厚みの差分に応じた角度だけ回転した位置に保持される。このときにも、生地押さえ62の左端部(正確にはスクリーン61の端部)が左側の曲面41aに当接することで生地押さえ62の位置が安定する。換言すると、スクリーンの厚さを変えることで、安定する生地押さえ62の角度が異なる場合であっても、その安定する角度に生地押さえ62を保持可能とするために曲面41aが形成されている。
【0058】
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の効果を奏することができる。
(5)スクリーン61としてホッチキス用の最も厚い生地が採用されて、さらにホッチキス用の生地押さえ62が採用された場合であっても、上記各実施形態と同一のウェイトバー40にて、生地押さえ62を保持することができる。これにより、ウェイトバー40の汎用性を向上させることができる。
【0059】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について、図16及び図17を参照しつつ説明する。
この実施形態のロールスクリーンは、スクリーンの生地の厚さを除き第3の実施形態のロールスクリーンとほぼ同様の構成を備えている。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0060】
図16に示すように、本例におけるスクリーン65には、ホッチキス用の最も薄い生地が採用されている。この生地は、第2の実施形態における縫製用の最も薄い生地と同じ厚さである。
【0061】
スクリーン65の表裏の反転は、上記両実施形態と同様に行われる。
図16に示すように、スクリーン65の生地は薄いため、第3の実施形態における図14に比べて、生地押さえ62は時計回りにその厚みの差分に応じた角度だけ回転した位置に保持される。このときにも、生地押さえ62の右端部が右側の曲面41aに当接することで生地押さえ62の位置が安定する。
【0062】
これと同様に、図17に示すように、スクリーン65の表裏を反転させたときには、第3の実施形態における図15に比べて、生地押さえ62は反時計回りにスクリーンの厚みの差分に応じた角度だけ回転した位置に保持される。このときにも、生地押さえ62の左端部が左側の曲面41aに当接することで生地押さえ62の位置が安定する。
【0063】
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の効果を奏することができる。
(6)スクリーン65としてホッチキス用の最も薄い生地が採用された場合であっても、上記各実施形態と同一のウェイトバー40にて、生地押さえ62を保持することができる。これにより、ウェイトバー40の汎用性を向上させることができる。
【0064】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について、図18及び図19を参照しつつ説明する。
この実施形態のロールスクリーンは、ウェイトバーの構成を除き第1の実施形態のロールスクリーンとほぼ同様の構成を備えている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本例では、ホッチキス用の生地押さえ62が採用されているが、縫製用の生地押さえ17を採用してもよい。
【0065】
図18に示すように、上側溝41内の両曲面41aが省略されている。すなわち、前壁48及び後壁49が底壁44に対して直交している。また、本例の第2の係止部70は、上側溝41の底壁44側に屈曲されてなる。すなわち、第2の係止部70は、略L字状に形成されるとともに、その長手辺が左斜め下に延出する角度に倒されてなる。
【0066】
図18に示すように、第1の係止部46により生地押さえ62が係止されているとき、第2の係止部70の先端は、生地押さえ62の上面を当接する。これにより、生地押さえ62の位置を安定させることができる。
【0067】
図19に示すように、スクリーン65の表裏を反転させたときには、第2の係止部70が生地押さえ62をスクリーン65を介して上側溝41内に係止する。このとき、生地押さえ62の左端部がスクリーン65を介して底壁44に当接することで生地押さえ62の位置が安定する。これにより、ウェイトバー40がスクリーン65から脱落することが抑制される。
【0068】
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の効果を奏することができる。
(7)ウェイトバー40における上側溝41及び第2の係止部70の形状を変更した場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・スクリーンの生地の厚さは、上記各実施形態に限定されない。すなわち、縫製用及びホッチキス用の最も厚い生地及び最も薄い生地の中間の厚さであってもよい。また、最も厚い生地よりさらに厚くしたり、最も薄い生地よりさらに薄くしたりしても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0070】
・上記各実施形態において、ウェイトバー40における中空部43及び下側溝42を省略してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、生地押さえ17の当接部17aの外面は曲面状に形成されていなくてもよい。また、ホッチキス用の生地押さえと同様に、当接部17aを省略して各生地押さえ17を板状に形成してもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0071】
・上記各実施形態において、スクリーンは、両生地押さえ15,17に接着剤や両面テープにより装着されてもよい。
・第3及び第4の実施形態においても、当接部15a,17aを有する生地押さえを採用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…スクリーン、10a…表面、10b…裏面、11…フレーム、13…巻取軸、15…上側生地押さえ、17…下側生地押さえ、40…ウェイトバー、41…上側溝、42…下側溝、41a…曲面、46…第1の係止部、47…第2の係止部、50…ダンパ、60,61,65…スクリーン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図18
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