特許第5788307号(P5788307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788307
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】プレス機械のベッド
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/02 20060101AFI20150910BHJP
   B30B 15/04 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   B30B15/02 M
   B30B15/04 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-281726(P2011-281726)
(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公開番号】特開2013-128971(P2013-128971A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089222
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 康伸
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100175400
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 伸
(72)【発明者】
【氏名】柳原 渉
【審査官】 水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−190610(JP,A)
【文献】 特開2001−079696(JP,A)
【文献】 実開昭56−055600(JP,U)
【文献】 特開昭49−111282(JP,A)
【文献】 実開昭49−049581(JP,U)
【文献】 特開平10−258399(JP,A)
【文献】 特開平08−257800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/02
B30B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウンと、ベッドと、該クラウンと該ベッドとを締結するメインタイロッドとからフレームが構成されるプレス機械のベッドであって、
上面にボルスタが取り付けられる中央上ベッドと、
該中央上ベッドの下方に配置される中央下ベッドと、
前記中央上ベッドおよび前記中央下ベッドを両側から挟む位置に配置され、前記メインタイロッドが連結される一対の側部ベッドと、を締結して構成される
ことを特徴とするプレス機械のベッド。
【請求項2】
クラウンと、ベッドと、該クラウンと該ベッドとを締結するメインタイロッドとからフレームが構成されるプレス機械のベッドであって、
中央上ベッドと、
該中央上ベッドの下方に配置される中央下ベッドと、
前記中央上ベッドおよび前記中央下ベッドを両側から挟む位置に配置され、前記メインタイロッドが連結される一対の側部ベッドと、を締結して構成され、
前記側部ベッドは、前記中央下ベッドと対向する下部に、ベッド中心に向かって突出した顎部が形成されており、
前記中央上ベッドは、前記顎部の上面に載置されており、
前記中央上ベッド、前記中央下ベッドおよび前記側部ベッドは、該側部ベッドの該中央上ベッドとの垂直分割面と前記顎部の上面との入隅に圧縮応力が発生するように締結されている
ことを特徴とするプレス機械のベッド。
【請求項3】
前記中央上ベッドの下面に、前記顎部の上面に立つ脚部が下方に突出して形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のプレス機械のベッド。
【請求項4】
クラウンと、ベッドと、該クラウンと該ベッドとを締結するメインタイロッドとからフレームが構成されるプレス機械のベッドであって、
中央上ベッドと、
該中央上ベッドの下方に配置される中央下ベッドと、
前記中央上ベッドおよび前記中央下ベッドを両側から挟む位置に配置され、前記メインタイロッドが連結される一対の側部ベッドと、を締結して構成され、
前記側部ベッドの前記中央上ベッドとの垂直分割面に、該中央上ベッドに向かって突出した上凸部が形成されており、
前記中央上ベッドの前記側部ベッドとの垂直分割面に、該側部ベッドに向かって突出した下凸部が形成されており、
前記上凸部は、前記下凸部に対して上方から係止している
ことを特徴とするプレス機械のベッド。
【請求項5】
前記中央上ベッドの上面に、前記側部ベッドに向かって張り出した翼部が形成されており、
該翼部は前記側部ベッドの上面に形成された凹部に嵌合している
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のプレス機械のベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機械のベッドに関する。さらに詳しくは、製造限界や輸送限界により分割構成される大型のプレス機械のベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
大型プレス機械の場合、製造限界(素形材の製造能力および加工能力)や輸送限界(道路交通制限)を考慮して、大きな構成部品については分割構成することが行われる。例えばベッドは長尺となるため、分割構成とし、構成部材ごとに製造、輸送した後に、複数の構成部材をタイロッドなどで一体化して形成することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、前後方向中央で垂直に切断して2分割されたベッドが記載されている。また、特許文献2には、前後方向に垂直に切断して3分割されたベッドが記載されている。
また、プレス機械をさらに大型化しようとした場合、上記3分割したベッドでは、分割した個々のベッドも大型化するため製造限界や輸送限界に達するおそれがある。このような場合には、3分割されたベッドのうち中央部分のベッドを更に垂直方向に分割して4分割構成とし、中央の分割面にはキーを挿入することが考えられる。
【0004】
一般に、ベッドの上にはボルスタが取り付けられ、ボルスタの中央には下型が取り付けられる。下型には油圧シリンダなどの加圧装置のプレス荷重がかかるため、プレス機械の稼働中はベッドの中央に大きなプレス荷重がかかる。しかし、プレス荷重は必ずしもベッドの中央にかかるわけではなく、ベッドの中央から水平方向に若干ずれた位置にかかることもある。
【0005】
上記の4分割構成のベッドにおいては、プレス荷重がベッドの中央にかかる場合には、中央の2つの分割ベッドに均等にプレス荷重がかかるが、プレス荷重がベッドの中央からずれた位置にかかる場合には、中央の2つの分割ベッドのうちのどちらか一方にプレス荷重が集中する。このような場合、プレス荷重が集中する分割ベッドから、隣接する分割ベッドへ、分割面に挿入されたキーを介して荷重が伝達される。そのため、キーには大きな荷重がかかるため、キーの破損を防ぐためには、キーを大きくする必要がある。
【0006】
しかし、キーを大きくすると、ベッド自体もさらに大型化させる必要がある。そして、ベッドをさらに大型化させると、ベッドをクラウンと締結するメインタイロッドの位置と、プレス荷重の作用点とが離れて、メインタイロッドの位置を中心とするモーメントが大きくなり、ベッドが変形しやすくなる。すなわち、ベッドの強度が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−258399号公報
【特許文献2】特開平8−257800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、分割による強度の低下を抑えたプレス機械のベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のプレス機械のベッドは、クラウンと、ベッドと、該クラウンと該ベッドとを締結するメインタイロッドとからフレームが構成されるプレス機械のベッドであって、上面にボルスタが取り付けられる中央上ベッドと、該中央上ベッドの下方に配置される中央下ベッドと、前記中央上ベッドおよび前記中央下ベッドを両側から挟む位置に配置され、前記メインタイロッドが連結される一対の側部ベッドと、を締結して構成されることを特徴とする。
第2発明のプレス機械のベッドは、クラウンと、ベッドと、該クラウンと該ベッドとを締結するメインタイロッドとからフレームが構成されるプレス機械のベッドであって、中央上ベッドと、該中央上ベッドの下方に配置される中央下ベッドと、前記中央上ベッドおよび前記中央下ベッドを両側から挟む位置に配置され、前記メインタイロッドが連結される一対の側部ベッドと、を締結して構成され、前記側部ベッドは、前記中央下ベッドと対向する下部に、ベッド中心に向かって突出した顎部が形成されており、前記中央上ベッドは、前記顎部の上面に載置されており、前記中央上ベッド、前記中央下ベッドおよび前記側部ベッドは、該側部ベッドの該中央上ベッドとの垂直分割面と前記顎部の上面との入隅に圧縮応力が発生するように締結されていることを特徴とする。
第3発明のプレス機械のベッドは、第2発明において、前記中央上ベッドの下面に、前記顎部の上面に立つ脚部が下方に突出して形成されていることを特徴とする
第4発明のプレス機械のベッドは、クラウンと、ベッドと、該クラウンと該ベッドとを締結するメインタイロッドとからフレームが構成されるプレス機械のベッドであって、中央上ベッドと、該中央上ベッドの下方に配置される中央下ベッドと、前記中央上ベッドおよび前記中央下ベッドを両側から挟む位置に配置され、前記メインタイロッドが連結される一対の側部ベッドと、を締結して構成され、前記側部ベッドの前記中央上ベッドとの垂直分割面に、該中央上ベッドに向かって突出した上凸部が形成されており、前記中央上ベッドの前記側部ベッドとの垂直分割面に、該側部ベッドに向かって突出した下凸部が形成されており、前記上凸部は、前記下凸部に対して上方から係止していることを特徴とする。
第5発明のプレス機械のベッドは、第1、第2、第3または第4発明において、前記中央上ベッドの上面に、前記側部ベッドに向かって張り出した翼部が形成されており、該翼部は前記側部ベッドの上面に形成された凹部に嵌合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、ベッドの中央付近が上下に分割された中央上ベッドと中央下ベッドとから構成され、垂直な分割面を有さないので、プレス機械の稼働により発生する垂直方向のプレス荷重に対して強く、幅方向の分割による強度低下は生じない。また、中央上ベッドと中央下ベッドとの間の分割面にキーを挿入する必要がないので、ベッドを必要以上に大きくする必要がなく、ベッドの強度低下を抑えることができる。
第2発明によれば、中央上ベッドは側部ベッドの顎部の上面に載置されているので、プレス荷重により中央上ベッドが顎部を下方へ押し、側部ベッドの中央上ベッドとの垂直分割面と顎部の上面との入隅に引張応力が発生する。この引張応力は、締結により発生する圧縮応力により緩和されるので、プレス機械の稼働により発生する応力を低減できる。そのため、ベッドを分割構成としたことによる強度低下を抑えることができる。
第3発明によれば、プレス荷重により中央上ベッドの中央が窪むことで、中央上ベッドの下面と脚部の内側面との入隅に圧縮応力が発生しようとする。しかし、同時に、脚部の下端が外側に開く。そのため、入隅の角度は、プラス荷重がかかる前と同じ角度が維持され、結果として入隅の内部には大きな応力が発生しない。そのため、ベッドを分割構成としたことによる強度低下を抑えることができる
第4発明によれば、側部ベッドの上凸部と中央上ベッドの下凸部とが係止しているので、中央上ベッドを持ち上げる荷重に抗することができる。
第5発明によれば、中央上ベッドの翼部が側部ベッドの凹部に嵌合しているので、ベッドの水平方向の剛性が高まり、プレス荷重により生じるベッドの捩れに抗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るベッドの正面図である。
図2】同ベッドの平面図である。
図3】同ベッドの底面図である。
図4図2におけるIV-IV線矢視断面図である。
図5】同ベッドの締結状態の説明図であって、破線が締結前の状態、実線が締結後の状態である。
図6】同ベッドのプレス荷重による変形の説明図であって、実線がプレス荷重がかかっていない状態、破線がプレス荷重がかかっている状態である。
図7図1におけるVII-VII線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
一般に、プレス機械は、クラウンと、ベッドと、それらの間に立設するアップライトと、アップライトの内部に挿入されクラウンとベッドとを締結するメインタイロッドとから構成されるフレームを有している。
図1において、符号Bは本発明の一実施形態に係るベッドを示しており、ベッドBはプレス機械のフレームの一構成部材である。
【0013】
図1図2および図3に示すように、ベッドBは、中央上ベッド10と、その中央上ベッド10の下方に配置される中央下ベッド20と、中央上ベッド10および中央下ベッド20を左右両側から挟む位置に配置される一対の側部ベッド30、30の4つの部材から構成される分割構成のベッドである。各側部ベッド30は、その上面に2本のアップライトAが立設されており、アップライトAの内部に挿入されたメインタイロッドTの一端が連結されている。すなわち、ベッドBの四隅に設けられた合計4本のメインタイロッドTで、クラウンとベッドBとが締結されている。
【0014】
図4に示すように、中央上ベッド10と一対の側部ベッド30、30の上部30uとは、それらの内部に挿入された上タイロッド41により締結されており、中央下ベッド20と一対の側部ベッド30、30の下部30dとは、それらの内部に挿入された下タイロッド42により締結されている。ここで、上タイロッド41と下タイロッド42は、ベッドBの幅方向に横断するように設けられている。
【0015】
なお、図1に示すように、中央下ベッド20と側部ベッド30との垂直分割面にはキー51が水平に挿入されており、このキー51により側部ベッド30の中央下ベッド20に対する垂直方向の位置決めがなされている。
また、図3に示すように、中央下ベッド20および側部ベッド30の底面には、インロー52が形成されており、このインロー52により側部ベッド30の中央下ベッド20に対する水平方向の位置決めがなされている。
【0016】
このように、構成部材10、20、30ごとに製造、輸送した後に、4つの構成部材10、20、30をタイロッド41、42で締結して一体化することで、大型のプレス機械に用いられる大型のベッドBを構成することができる。
【0017】
上記ベッドBの構成部材のうち、中央上ベッド10の上面には、ボルスタ(図示せず)が取り付けられ、そのボルスタの中央には下型(図示せず)が取り付けられる。一方、クラウンには油圧シリンダなどの加圧装置が設けられており、その加圧装置の駆動により昇降するスライドの下面には、上型が取り付けられている。そして、加圧装置の駆動により上型と下型とで素材を挟んで加圧することで加圧成形を行う。そのため、下型には加圧装置のプレス荷重がかかり、プレス機械の稼働中はベッドBの中央に大きなプレス荷重がかかる。
なお、加圧成形を行う素材は、トランスファ装置などにより、プレス機械の正面(図2における下側)から搬入され下型に設置され、成形後はプレス機械の背面(図2における上側)から排出される。また、素材を、プレス機械の右側または左側(図2における右側または左側)から搬入して下型に設置し、成形後はプレス機械の左側または右側(図2における左側または右側)から排出するように構成してもよい。
【0018】
ここで、本実施形態に係るベッドBは、その中央付近が上下に分割された中央上ベッド10と中央下ベッド20とから構成され、分割面が垂直ではなく水平であるので、プレス機械の稼働により発生する垂直方向のプレス荷重に対して強く、幅方向の分割による強度低下は生じない。そのため、ベッドBの剛性が向上する。
また、中央上ベッド10と中央下ベッド20との間の分割面にキーを挿入する必要がない。そのため、大きなキーを挿入するためにベッドBを必要以上に大きくする必要がなく、ベッドBの大型化にともなって、プレス荷重により発生するメインタイロッドTの位置を中心とするモーメントが大きくなることを抑制できる。これにより、ベッドBの強度低下を抑えることができる。
【0019】
図1に示すように、側部ベッド30は正面視略L字形であり、中央下ベッド20と対向する下部30dに、ベッド中心(ベッドBの幅方向中心)に向かって突出した顎部31が形成されている。また、側部ベッド30の上部30uの中央上ベッド10との垂直分割面と顎部31の上面との入隅32は、角がないように湾曲して形成されている。
【0020】
一方、中央上ベッド10の下面には、左右両端に一対の脚部11、11が下方に突出して形成されている。そして、中央上ベッド10は、その脚部11が側部ベッド30の顎部31の上面に立つことで、顎部31の上面に載置されている。また、中央上ベッド10の下面と脚部11の内側面との入隅12は、角がないように湾曲して形成されている。
なお、中央下ベッド20の上面は側部ベッド30の顎部31の上面より低く構成されており、中央上ベッド10は中央下ベッド20に接触しておらず側部ベッド30のみに載置されている。
【0021】
前述のごとく、ベッドBは4つの構成部材10、20、30が上タイロッド41および下タイロッド42で締結されているが、図5に示すように、締結前(破線)に比べて、締結後(実線)は幅方向に圧縮されている。ここで、側部ベッド30は、その下部30dに比べて、上部30uの方がよりベッドBの中央に寄るように圧縮されている。そのため、側部ベッド30の上部30uの中央上ベッド10との垂直分割面と顎部31の上面との入隅32は、角度が小さくなり、その内部には圧縮応力が発生している。
【0022】
なお、上記のように側部ベッド30を圧縮するためには、上タイロッド41に比べて下タイロッド42の締結力を強くしたり、予め側部ベッド30の下部30dと中央下ベッド20との間にクリアランスを設け、下タイロッド42の締結によりそのクリアランスをなくしたりすることが行われる。
【0023】
プレス機械が稼働すると、プレス荷重は中央上ベッド10で受け止められ、その荷重は中央上ベッド10の脚部11を通じて側部ベッド30の顎部31に伝達される。そして、その荷重は、側部ベッド30に連結されたメインタイロッドTに伝達され、このメインタイロッドTで吸収される。
【0024】
ここで、図6に示すように、中央上ベッド10は、その中央付近に垂直方向のプレス荷重がかかるので、中央付近が下方に窪む。これにより、中央上ベッド10の下面と脚部11の内側面との入隅12は、角度が小さくなり、その内部には圧縮応力が発生しようとする。しかし、同時に、脚部11の下端が外側に開く。そのため、入隅12の角度は、プラス荷重がかかる前と同じ角度が維持され、結果として入隅12の内部には大きな応力が発生しない。
【0025】
また、中央上ベッド10の脚部11が側部ベッド30の顎部31を下方へ押すので、側部ベッド30の上部30uの中央上ベッド10との垂直分割面と顎部31の上面との入隅32は、角度が大きくなり、その内部には引張応力が発生する。しかし、この引張応力は、上タイロッド41および下タイロッド42の締結により発生する圧縮応力により緩和されるので、プレス機械の稼働により発生する応力を低減できる。
以上のように、ベッドBを分割構成としたことによる強度低下を抑えることができる。
【0026】
なお、中央上ベッド10の入隅12および側部ベッド30の入隅32は、いずれも湾曲して形成されているので、プレス荷重により応力集中が発生することなく、破損しにくくなっている。
【0027】
図2および図4に示すように、中央上ベッド10の上面には、側部ベッド30、30に向かって左右に張り出した一対の翼部13、13が形成されており、中央上ベッド10は平面視略十字形に形成されている。
一方、側部ベッド30の上面には凹部33が形成されており、この凹部33に翼部13が嵌合している。
【0028】
このように、中央上ベッド10の翼部13が側部ベッド30の凹部33に嵌合しているので、中央上ベッド10が側部ベッド30に対して前後方向(図2における上下方向)にズレることがなく、ベッドBの水平方向の剛性が高まる。
一般に、プレス機械を稼働させると、プレス荷重によりベッドBに捩れが生じるが、ベッドBの水平方向の剛性が高まることで、この捩れに抗することができる。
【0029】
図1および図7に示すように、側部ベッド30の上部30uの中央上ベッド10との垂直分割面には、中央上ベッド10に向かって突出した上凸部34が形成されており、中央上ベッド10の側部ベッド30との垂直分割面には、側部ベッド30に向かって突出した下凸部14が形成されている。そして、中央上ベッド10と側部ベッド30とを組み合わせると、上凸部34が下凸部14より上方に位置し、それらの間にクリアランスが確保されるようになっている。
【0030】
このクリアランスには、一対のテーパーキー53、54が嵌めこまれている。より詳細には、中央上ベッド10の下凸部14の上面には、クリアランスの奥(図7における右方向)に向かって上り勾配を有する下テーパーキー53が挿入されており、下テーパーキー53の上面と側部ベッド30の上凸部34の下面との間には、クリアランスの奥に向かって下がり勾配を有する上テーパーキー54が挿入されている。中央上ベッド10と側部ベッド30とを組み合わせ、クリアランスに下テーパーキー53を挿入した後、上テーパーキー54をハンマで挿入することにより、上凸部34が下凸部14に対して上方から係止し、側部ベッド30に対して中央上ベッド10が上方に持ち上がらないように規制されている。
【0031】
このように、側部ベッド30に対して中央上ベッド10が上方に持ち上がらないように規制されているので、ベッドBは中央上ベッド10を持ち上げる荷重に抗することができる。
例えば、クランクプレスの場合、上型と下型とが成形素材により接着された状態(スティック)が発生することがあるが、スティックを解消してスライドを上昇させるためには上型およびベッドBに上向きの荷重をかける必要がある。このような場合でも、テーパーキー53、54により、この上向きの荷重に抗することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 中央上ベッド
11 脚部
12 入隅
13 翼部
14 下凸部
20 中央下ベッド
30 側部ベッド
31 顎部
32 入隅
33 凹部
34 上凸部
41 上タイロッド
42 下タイロッド
51 キー
52 インロー
53 下テーパーキー
54 上テーパーキー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7