(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エンドソーム分解性成分が、イミダゾール、ポリまたはオリゴイミダゾール、直鎖または分岐鎖ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖および分岐鎖ポリアミン、カチオン性直鎖および分岐鎖ポリアミン、ポリカルボン酸塩、ポリカチオン、マスク化オリゴまたはポリカチオンまたはアニオン、アセタール、ポリアセタール、ケタール、ポリケタール、オルトエステル、マスク化または非マスク化カチオンまたはアニオン電荷を有する直鎖または分岐鎖ポリマー、マスク化または非マスク化カチオンまたはアニオン電荷を有するデンドリマー、ポリアニオン性ペプチド、ポリアニオン性ペプチド模倣薬、pH感受性ペプチド、ならびに天然または合成融合性脂質から成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載の構成物。
前記融合性脂質が、1,2−ジオレオイル−sn−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC),(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−オル(Di−Lin)、N−メチル(2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタンアミン(DLin−k−DMA)、およびN−メチル−2−(2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)エタンアミン(XTC)から成る群より選択されることを特徴とする請求項7記載の構成物。
前記エンドソーム分解性成分が、GALA、EALA、INF−7、Inf HA−2、diINF−7、diINF3、GLF、GALA−INF3、INF−5、JTS−1、ppTG1、ppTG20、KALA、HA、メリチン、およびヒスチジンに富んだペプチドCHK6HCから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載の構成物。
前記標的リガンドが、抗体、受容体のリガンド結合部分、受容体のためのリガンド、アプタマー、D−ガラクトース、N−アセチル−D−ガラクトース(GalNAc)、多価N−アセチル−D−ガラクトース、D−マンノース、コレステロール、脂肪酸、リポタンパク質、葉酸、チロトロピン、メラノトロピン、サーファクタント・タンパク質A、ムチン、炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、トランスフェリン、ビスホスフォネート、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、血漿タンパク結合を強化する親油性部分、ステロイド、胆汁酸、ビタミンB12、ビオチン、RGDペプチド、RGDペプチド模倣薬、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、および葉酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載の構成物。
前記標的リガンドが、D−ガラクトース、N−アセチル−D−ガラクトース(GalNAc)、GalNAc2、およびGalNAc3、コレステロール、および葉酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項11記載の構成物。
前記核酸が、iRNA剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、antagomir、活性化RNA、デコイオリゴヌクレオチド、アプタマー、マイクロRNA(miRNA)、miRNA模倣体、antimir、活性化RNA(RNAa)、supermir、U1アダプター、およびリボザイムから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載の構成物。
前記2'修飾が、2'−O−Me(2'−O−メチル)、2'−O−MOE(2'−O−メトキシエチル)、2'−F、2'−O−[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル](2'−O−NMA)、2'−NH2、2'−O−アミン、2'−SH、2'−S−アルキル、2'−O−CH2−(4'−C)(LNA)、2'−O−CH2CH2−(4'−C)(ENA)、2'−O−アミノプロピル(2'−O−AP)、2'−O−ジメチルアミノエチル(2'−O−DMAOE)、2'−O−ジメチルアミノプロピル(2'−O−DMAP)、および2'−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'−O−DMAEOE)から成る群より選択されることを特徴とする請求項15記載の構成物。
前記骨格修飾が、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミダート、ホスホネート、アルキルホスホネート、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホナート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンアミノカルボニル、メチレンメチルイミノ(MMI)、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ(MDH)、およびメチレンオキシメチルイミノから成る群より選択されることを特徴とする請求項17記載の構成物。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一態様では、本発明は、核酸、少なくとも1つのエンドソーム分解性成分、および少なくとも1つの標的リガンドを含む、
モジュラー構成物を特徴とする。エンドソーム分解性成分はまた、本明細書においてエンドソーム分解性リガンドおよびエンドソーム分解剤とも称される。
【0030】
は、核酸であり、Eは、エンドソーム分解性成分であり、Lは、標的リガンドであり、xは存在ごとに独立して、0または1を表し、yは存在ごとに独立して、1、2、3、4、5、または6を表し、zは存在ごとに独立して、0、1、2、3、4、5、または6を表す。
モジュラー構成物中、EおよびLはそれぞれ、少なくとも1つは存在する。
【0031】
好ましい
モジュラー構成物は、式:
【化2】
【0032】
を有する
モジュラー構成物、
式:
【化3】
【0033】
を有する
モジュラー構成物であって、式中、zは独立して、1、2、3、4、5、または6である、
モジュラー構成物、および
式:
【化4】
【0034】
を有する
モジュラー構成物であって、式中、zは、一例において、1、2、3、4、5、または6であり、zは、他の例において、0、1、2、3、4、5、または6である、
モジュラー構成物を含む。
【0035】
A部分は、連結部分である。エンドソーム分解性成分および/または標的リガンドを核酸に付着させるために、当該技術分野で既知の任意の部分が使用されてもよい。好ましくは、Aは、
【化5】
【0036】
から成る群より選択される、連結部分であり、式中、
Z
1は存在ごとに独立して、OまたはSを表し、
Z
2は存在ごとに独立して、−OH、−OM、−Oアルキル、−Oアリール、−Oアラルキル、−SH、−SM、−サルキル、−サリール、−アラルキル、−N(R
3)R
4、−C(R
11)
2)
mN(R
11)
2、−N(R
11)(C(R
11)
2)
mN(R
11)
2、またはアルキルを表し、
R
3およびR
4は独立して、Hもしくはアルキルを表すか、またはR
3およびR
4は一緒になって、3、4、5、6、もしくは7員環を形成し、
R
11は存在ごとに独立して、水素またはアルキルを表し、
Mは存在ごとに独立して、+1の総電荷を有するアルカリ金属または遷移金属を表し、
R
8は存在ごとに独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、シリル、核酸への結合、または、B
10と組み合わされる場合には連結部分間の結合を表し、
B
10は、Aと核酸との結合、または、R
8と組み合わされる場合には連結部分間の結合を表す。
【0037】
Aは、2つ以上であり得るため、連結部分は相互に結合され、次いで、エンドソーム分解性成分および/または標的リガンドに結合されてもよい。好ましい実施形態では、少なくとも2つのA連結部分が一緒に結合され、次いで、核酸に結合される。エンドソーム分解性成分および標的リガンドの両方は、同一連結部分を介して一緒に結合されてもよく、またはエンドソーム分解性成分が一方の連結部分に、標的リガンドが他方の連結部分に結合されてもよい。
【0038】
連結部分は、連結部分とエンドソーム分解性成分および/または標的リガンドとの間にテザー(A')を含有してもよい。したがって、A'は、式:−[(P−Q−R)
q−X−(P'−Q'−R')
q']
q"−T−を有する直接結合またはテザーであり、式中、
P、R、T、P'、およびR'はそれぞれ独立して、存在しないか、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH、CH
2O、NHCH(R
a)C(O)、−C(O)−CH(R
a)−NH−、C(O)−(随意的に置換されたアルキル)−NH−、CH=N−O、
【化6】
【0039】
シクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、R
50およびR
51は独立して、アルキル、置換アルキルであるか、またはR
50およびR
51は一緒になって、環式環を形成し、
QおよびQ'はそれぞれ存在ごとに独立して、存在しないか、−(CH
2)
n−、−C(R
40)(R
41)(CH
2)
n−、−(CH
2)
nC(R
40)(R
41)−、−(CH
2CH
2O)
mCH
2CH
2−、−(CH
2CH
2O)
mCH
2CH
2NH−、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり、
Xは、存在しないか、または開裂可能な連結基であり、
R
aは、Hまたはアミノ酸側鎖であり、
R
40およびR
41はそれぞれ独立して、H、CH
3、OH、SH、またはN(R
X)
2であり、
R
Xは、存在ごとに、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはベンジルであり、
q、q'、およびq”はそれぞれ独立して、0〜30であり、
nは、存在ごとに、1〜20の整数であり、
mは、存在ごとに、0〜50の整数である。
【0040】
好ましい実施形態では、テザーは、レドックス開裂可能な連結基、pH感受性成分、またはそれらの組み合わせを含有する。好ましいテザーは、アルキルジラジカル、ヘテロアルキルジラジカル、アルケニルジラジカル、アルキニルジラジカル、アルキルアルキニルジラジカル、アミノアルキルジラジカル、チオエーテル、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(R)
2−、または式:
【化7】
【0041】
を有するテザーを含み、式中、mは存在ごとに独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8を表し、m
1は存在ごとに独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、または8を表し、pは存在ごとに独立して、1、2、3、または4を表し、Rは存在ごとに独立して、水素またはアルキルを表す。
【0044】
本発明のエンドソーム分解性成分は、細胞内コンパートメント放出成分であり、エンドソーム、リソソーム、小胞体(ER)、ゴルジ装置、微小管、ペルオキシソーム、または他の細胞を伴う小胞体等、当該技術分野で既知の細胞内コンパートメントのいずれかからの放出が可能な任意の化合物であってもよい。
【0045】
エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、核酸中のどこにでも位置することができる。例示的な位置は、5'末端、3'末端および/または内部非末端位置である。「末端」という用語は、オリゴヌクレオチドの末端からの最初の5つのヌクレオチドを含む。したがって、末端からの最初の5つのヌクレオチドは、末端内にあると考えられる。
【0046】
例えば、5'末端は、核酸の一方または両方の鎖上にエンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方を含有してもよく、3'末端は、核酸の一方または両方の鎖上にエンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方を含有してもよく、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、核酸上の内部非末端位置に存在してもよく、または上記の任意の組み合わせでもよい。エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、相互を介して、および/または連結部分を介して付着されてもよい。
モジュラー構成物は少なくとも1つのエンドソーム分解性成分および標的リガンドを含有するが、それは、6つ以上のエンドソーム分解性成分および6つ以上の標的リガンドを含有することができる。異なる数のエンドソーム分解性成分および標的リガンドが、
構成物の所望の機能性に応じて、
モジュラー構成物上に存在してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、オリゴヌクレオチドの同一末端上にある。
【0048】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、オリゴヌクレオチドの5'末端上にある。
【0049】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、オリゴヌクレオチドの3'末端上にある。
【0050】
エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方が同一末端上にある場合、それらのうちの1つは、連結されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、オリゴヌクレオチドの反対側の末端上にある。
【0052】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、オリゴヌクレオチドの5'末端上にあり、標的リガンドは、オリゴヌクレオチドの3'末端上にある。
【0053】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、オリゴヌクレオチドの3'末端上にあり、標的リガンドは、オリゴヌクレオチドの5'末端上にある。
【0054】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドのうちの1つが末端上にある一方で、他方は、オリゴヌクレオチドの内部非末端部分に位置する。
【0055】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、末端上にあり、標的リガンドは、内部位置に位置する。
【0056】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、5'末端上にあり、標的リガンドは、内部位置に位置する。
【0057】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、3'末端上にあり、標的リガンドは、内部位置に位置する。
【0058】
いくつかの実施形態では、標的リガンドは、末端上にあり、エンドソーム分解性リガンドは、内部位置に位置する。
【0059】
いくつかの実施形態では、標的リガンドは、5'末端上にあり、エンドソーム分解性リガンドは、内部位置に位置する。
【0060】
いくつかの実施形態では、標的リガンドは、3'末端上にあり、エンドソーム分解性リガンドは、内部位置に位置する。
【0061】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、内部非末端位置に位置する。
【0062】
オリゴヌクレオチドが二本鎖オリゴヌクレオチドである場合、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、同一鎖上または異なる鎖上に位置してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、同一鎖上にある。
【0064】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、センス鎖上にある。
【0065】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドの両方は、アンチセンス鎖上にある。
【0066】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、異なる鎖上に位置する。
【0067】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドがセンス鎖上にある一方で、標的リガンドは、アンチセンス鎖上にある。
【0068】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドがセンス鎖上にある一方で、標的リガンドは、アンチセンス鎖上にある。
【0069】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、二本鎖オリゴヌクレオチドの異なる鎖上であるが、同一末端上にある。
【0070】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、二本鎖オリゴヌクレオチドの異なる鎖上および反対側の末端上にある。
【0071】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドは、異なる鎖上にあり、それらのうちの1つは、二本鎖オリゴヌクレオチドの末端上にあり、他方は、内部非末端位置に位置する。
【0072】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドは、介在テザー/リンカーを介して、オリゴヌクレオチドに付着される。いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドは、オリゴヌクレオチドへの共役前にモノマーに連結される。エンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドは、直接またはリンカーを介してモノマーに連結され得る。エンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドは、上記のモノマーが成長鎖に組み込まれる場合、モノマー上に存在し得る。いくつかの実施形態では、リガンドは、「前駆体」モノマーが成長鎖に組み込まれた後に、上記の「前駆体」モノマーへのカップリングを介して組み込まれてもよい。例えば、アミノ終端テザー(すなわち、関連リガンドを有しない)、例えば、X−(CH
2)
nNH
2を有するモノマーは、成長オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれてもよい。後続の作業において、すなわち、前駆体モノマーの鎖への組み込み後に、求電子基、例えば、ペンタフルオロフェニルエステルまたはアルデヒド基を有するリガンドは、続いて、リガンドの求電子基を前駆体モノマーのテザーの末端求核基とカップリングすることによって、前駆体モノマーに付着することができる。
【0073】
別の例では、例えば、アジドまたはアルキン終端テザー/リンカー等、クリック化学反応に関与するのに好適な化学基を有するモノマーが組み込まれてもよい。後続の作業において、すなわち、前駆体モノマーの鎖への組み込み後に、相補化学基、例えば、アルキンまたはアジドを有するリガンドは、アルキンおよびアジドを一緒にカップリングすることによって、前駆体モノマーに付着することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解剤および/または標的リガンドは、直接またはリンカーを介して、核酸塩基、糖部分、または核酸分子のインターヌクレオシド連結に共役することができる。プリン核酸塩基またはその誘導体への共役は、環内および環外原子を含む、任意の位置で生じることができる。いくつかの実施形態では、プリン核酸塩基の2、6、7、または8位置が、共役部分に付着される。ピリミジン核酸塩基またはその誘導体への共役もまた、任意の位置で生じることができる。いくつかの実施形態では、ピリミジン核酸塩基の2、5、および6位置は、共役部分で置換することができる。ヌクレオシドの糖部分への共役は、任意の炭素原子で生じることができる。共役部分に付着することができる糖部分の例示的な炭素原子は、2'、3'、4'、および5'炭素原子を含む。1'位置もまた、脱塩基残基中等、共役部分に付着することができる。インターヌクレオシド連結はまた、共役部分を有することができる。リン含有連結(例えばホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオアート、ホスホロアミデート等)に対して、共役部分は、リン原子に直接、またはリン原子に結合されるO、N、もしくはS原子に付着することができる。アミンまたはアミド含有インターヌクレオシド連結(例えばPNA)に対して、共役部分は、アミンもしくアミドの窒素原子、または隣接する炭素原子に付着することができる。
【0075】
オリゴマー化合物の共役体を調製するための多くの方法がある。概して、オリゴマー化合物は、オリゴマー化合物上の反応基(例えばOH、SH、アミン、カルボキシル、アルデヒド等)を共役部分上の反応基と接触させることによって、共役部分に付着される。いくつかの実施形態では、1つの反応基は、求電子性であり、他方は、求核性である。
【0076】
例えば、求電子基は、カルボニル含有官能性であってもよく、求核基は、アミンまたはチオールであってもよい。連結基を伴う、および伴わない核酸および関連オリゴマー化合物の共役の方法は、例えば、Manoharan in Antisense Research and Applications,Crooke and LeBleu,eds.,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1993,Chapter 17等の文献に詳細に記載されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つのエンドソーム分解性リガンドおよび2つ以上の標的リガンドが、オリゴヌクレオチド中に存在する。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つの標的リガンドおよび2つ以上の標的リガンドが、オリゴヌクレオチド中に存在する。
【0079】
いくつかの実施形態では、2つ以上のエンドソーム分解性リガンドおよび2つ以上の標的リガンドが存在する。
【0080】
オリゴヌクレオチドが二本鎖オリゴヌクレオチドであり、かつ複数のエンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドが存在する場合、そのような複数のエンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドは全て、二本鎖オリゴヌクレオチドの一方の鎖または両方の鎖に存在してもよい。
【0081】
複数のエンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドが存在する場合、それらは全て、同一であってもよく、または異なってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、リガンド、例えば、エンドソーム分解性リガンドおよび/または標的リガンドは、次いで成長オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれるモノマーに連結される。そのようなモノマーは、本明細書において担体モノマーとも称される。
【0083】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式(I)
【化9】
【0084】
の少なくとも1つの担体モノマーを含み、式中、
AおよびBは存在ごとに独立して、水素、保護基、随意的に置換された脂肪族化合物、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸、二リン酸、三リン酸、ホスホネート、ホスホノチオアート、ホスホノジチオアート、ホスホロチオエート、ホスホロチオレート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオロチオナート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、活性化リン酸基、活性化亜リン酸基、ホスホラミダイト、固体支持体、−P(Z
1)(Z
2)−、または−P(Z
1)(Z
2)−であり、
Z
1およびZ
2はそれぞれ存在ごとに独立して、O、S、N(アルキル)、または随意的に置換されたアルキルであり、
J
1およびJ
2は独立して、O、S、NR
N、随意的に置換されたアルキル、OC(O)NH、NHC(O)O、C(O)NH、NHC(O)、OC(O)、C(O)O、OC(O)O、NHC(O)NH、NHC(S)NH、OC(S)NH、OP(N(R
P)
2)O、またはOP(N(R
P)
2)であり、
【0085】
は、環式基または非環式基であり、
L
1は、−L
2または−L
2−リンカー−L
3であり、
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、エンドソーム分解剤または標的リガンドであり、
pは、1〜3である。
【0086】
いくつかの実施形態では、pは1である。
【0087】
いくつかの実施形態では、担体モノマーは環式であり、
【0088】
は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリル、およびデカリンから選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、担体モノマーは、非環式であり、
【0090】
は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格から選択される。
【0091】
ある実施形態では、L
1は、−L
2である。
【0092】
いくつかの実施形態では、担体モノマーは、式(II)
【化10】
【0093】
に示されるようなピロリン環系に基づいており、式中、Eは、存在しないか、またはC(O)、C(O)O、C(O)NH、C(S)、C(S)NH、SO、SO
2、もしくはSO
2NHであり、
R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、およびR
18はそれぞれ存在ごとに独立して、H、−CH
2OR
a、またはOR
bであり、
R
aおよびR
bはそれぞれ存在ごとに独立して、水素、ヒドロキシル保護基、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、随意的に置換されたアラルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸、二リン酸、三リン酸、ホスホネート、ホスホノチオアート、ホスホノジチオアート、ホスホロチオエート、ホスホロチオレート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオロチオナート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、活性化リン酸基、活性化亜リン酸基、ホスホラミダイト、固体支持体、−P(Z
1)(Z
2)−、または−P(Z
1)(O−リンカー−R
L)−であり、
R
30は存在ごとに独立して、−リンカー−R
Lであり、
R
Lは、水素、−L
2、または−L
2−リンカー−L
3であり、
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、エンドソーム分解剤または標的リガンドであり、
Z
1およびZ
2はそれぞれ存在ごとに独立して、O、S、N(アルキル)、または随意的に置換されたアルキルであり、
ただし、R
Lの少なくとも1つは、−L
2または−L
2−リンカー−L
3である。
【0094】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式(II)の少なくとも1つのモノマーを含む。
【0095】
ある実施形態では、R
Lは、−L
2である。
【0096】
ピロリン系モノマーに対して、R
11は、−CH
2OR
aであり、R1
3は、OR
bである。またはR
11は、−CH
2OR
aであり、R
9は、OR
bである。またはR
11は、−CH
2OR
aであり、R
17は、OR
bである。またはR
13は、−CH
2OR
aであり、R
11は、OR
bである。またはR
13は、−CH
2OR
aであり、R
15は、OR
bである。またはR
13は、−CH
2OR
aであり、R
17は、OR
bである。ある実施形態では、CH
2OR
aおよびOR
bは、ジェミナル置換されてもよい。4−ヒドロキシプロリン系モノマーに対して、R
11は、−CH
2OR
aであり、R
17は、OR
bである。したがって、ピロリン系および4−ヒドロキシプロリン系化合物は、結合回転がその特定の連結の周囲に制限される(例えば環の存在に起因する制限)、連結(例えば炭素−炭素結合)を含有し得る。したがって、CH
2OR
aおよびOR
bは、上記に説明されるいずれの対においても、相互に対してシスまたはトランスとなり得る。したがって、全てのシス/トランス異性体が明示的に含まれる。化合物はまた、1つ以上の不斉中心を含有し、それによって、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一光学異性体、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として生じてもよい。全てのそのような異性体の化合物が明示的に含まれる(例えばCH
2OR
aおよびOR
bを有する中心の両方がR配置を有するか、もしくは両方がS配置を有するか、または一方の中心がR配置を有し、他方の中心がS配置を有することができ、逆もまた同様である)。
【0097】
いくつかの実施形態では、R
11は、CH
2OR
aであり、R
15は、OR
bである。
【0098】
いくつかの実施形態では、R
bは、固体支持体である。
【0099】
一実施形態では、式(II)の担体は、ホスホラミダイトであり、すなわち、R
aまたはR
bのうちの1つは、−P(O−アルキル)N(アルキル)
2、例えば、−P(OCH
2CH
2CN)N(i−プロピル)
2である。一実施形態では、R
bは、−P(O−アルキル)N(アルキル)
2である。
【0100】
いくつかの実施形態では、担体モノマーは、式(III)に示されるようなリボース環系に基づく。
【化11】
【0101】
式中、
Xは、O、S、NR
N、またはCR
P2であり、
Bは存在ごとに独立して、水素、随意的に置換された天然または非天然核酸塩基、−リンカー−R
Lと共役される随意的に置換された天然核酸塩基、または−リンカー−R
Lと共役される随意的に置換された非天然核酸塩基であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5はそれぞれ存在ごとに独立して、H、OR
6、F、N(R
N)
2、または−J−リンカー−R
Lであり、
Jは、存在しないか、O、S、NR
N、OC(O)NH、NHC(O)O、C(O)NH、NHC(O)、NHSO、NHSO
2、NHSO
2NH、OC(O)、C(O)O、OC(O)O、NHC(O)NH、NHC(S)NH、OC(S)NH、OP(N(R
P)
2)O、またはOP(N(R
P)
2)であり、
R
6は存在ごとに独立して、水素、ヒドロキシル保護基、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、随意的に置換されたアラルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸、二リン酸、三リン酸、ホスホネート、ホスホノチオアート、ホスホノジチオアート、ホスホロチオエート、ホスホロチオレート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオロチオナート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、活性化リン酸基、活性化亜リン酸基、ホスホラミダイト、固体支持体、−P(Z
1)(Z
2)−、または−P(Z
1)(O−リンカー−R
L)−であり、
R
Nは存在ごとに独立して、H、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたアルキニル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、随意的に置換されたアラルキル、随意的に置換されたヘテロアリール、またはアミノ保護基であり、
R
Pは存在ごとに独立して、H、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたアルキニル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、または随意的に置換されたヘテロアリールであり、
R
Lは、水素、−L
2、または−L
2−リンカー−L
3であり、
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、エンドソーム分解剤または標的リガンドであり、
Z
1およびZ
2はそれぞれ存在ごとに独立して、O、S、N(アルキル)、または随意的に置換されたアルキルであり、
ただし、R
Lは、少なくとも1つ存在し、さらに、R
Lの少なくとも1つは、−L
2または−L
2−リンカー−L
3である。
【0102】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式(III)の少なくとも1つのモノマーを含む。
【0103】
ある実施形態では、R
Lは、−L
2である。
【0104】
いくつかの実施形態では、担体モノマーは、非環式基に基づいており、「非環式担体」と呼ばれる。好ましい非環式担体は、以下の式(IV)または式(V)に示される構造を有することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、非環式担体は、式(IV)に示される構造を有する。
【化12】
【0106】
式中、
Wは、存在しないか、O、S、およびN(R
N)であり、R
Nは存在ごとに独立して、H、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたアルキニル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、随意的に置換されたアラルキル、随意的に置換されたヘテロアリール、またはアミノ保護基であり、
Eは、存在しないか、またはC(O)、C(O)O、C(O)NH、C(S)、C(S)NH、SO、SO
2、もしくはSO
2NHであり、
R
aおよびR
bはそれぞれ存在ごとに独立して、水素、ヒドロキシル保護基、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、随意的に置換されたアラルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたヘテロアリール,ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸、二リン酸、三リン酸、ホスホネート、ホスホノチオアート、ホスホノジチオアート、ホスホロチオエート、ホスホロチオレート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオロチオナート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、活性化リン酸基、活性化亜リン酸基、ホスホラミダイト、固体支持体、−P(Z
1)(Z
2)−、または−P(Z
1)(O−リンカー−R
L)−であり、
R
30は存在ごとに独立して、−リンカー−R
Lであり、
R
Lは、水素、−L
2または−L
2−リンカー−L
3であり、
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、エンドソーム分解剤または標的リガンドであり、
Z
1およびZ
2はそれぞれ存在ごとに独立して、O、S、N(アルキル)、または随意的に置換されたアルキルであり、
r、s、およびtはそれぞれ存在ごとに独立して、0、1、2、または3であり、
ただし、R
Lの少なくとも1つは、−L
2または−L
2−リンカー−L
3である。
【0107】
rおよびsが異なる場合、第3炭素は、RまたはS配置のいずれかであることができる。好ましい実施形態では、xおよびyは、1であり、zは、ゼロである(例えば担体は、セリノールに基づく)。非環式担体は、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、パーハロアルキルで随意的に置換することができる。
【0108】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式(IV)の少なくとも1つのモノマーを含む。
【0109】
ある実施形態では、R
Lは、−L
2である。
【0110】
いくつかの実施形態では、非環式担体は、式(V)
【化13】
【0111】
に示される構造を有し、式中、Eは、存在しないか、またはC(O)、C(O)O、C(O)NH、C(S)、C(S)NH、SO、SO
2、もしくはSO
2NHであり、
R
aおよびR
bはそれぞれ存在ごとに独立して、水素、ヒドロキシル保護基、随意的に置換されたアルキル、随意的に置換されたアリール、随意的に置換されたシクロアルキル、随意的に置換されたアラルキル、随意的に置換されたアルケニル、随意的に置換されたヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸、二リン酸、三リン酸、ホスホネート、ホスホノチオアート、ホスホノジチオアート、ホスホロチオエート、ホスホロチオレート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオロチオナート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、活性化リン酸基、活性化亜リン酸基、ホスホラミダイト、固体支持体、−P(Z
1)(Z
2)−、または−P(Z
1)(O−リンカー−R
L)−であり、
R
30は存在ごとに独立して、−リンカー−R
Lであり、
R
Lは、水素、−L
2、または−L
2−リンカー−L
3であり、
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、エンドソーム分解剤または標的リガンドであり、
Z
1およびZ
2はそれぞれ存在ごとに独立して、O、S、N(アルキル)、または随意的に置換されたアルキルであり、
rおよびsはそれぞれ存在ごとに独立して、0、1、2、または3であり、
ただし、R
Lの少なくとも1つは、−L
2または−L
2−リンカー−L
3である。
【0112】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式(V)の少なくとも1つのモノマーを含む。
【0113】
ある実施形態では、R
Lは、−L
2である。
【0114】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式(I)〜式(V)から選択される、少なくとも2つの異なるモノマーを含む。
【0115】
干渉RNA
二本鎖干渉RNA(dsiRNA)は、RNA干渉(RNAi)として既知のプロセスによって、mRNAの配列特異的サイレンシングを導く。このプロセスは、哺乳動物および他の脊椎動物を含む、幅広い種類の生物において生じる。
【0116】
dsiRNAの21〜23ntの断片は、例えば、RNA分解を引き起こすことによる、RNAサイレンシングの配列特異的メディエータであることが証明されている。理論によって束縛されることを望まないが、単にこれらの21〜23ntの断片中に存在する断片の特定の長さであり得る分子シグナルが、RNAiを媒介する細胞因子を動員する可能性がある。これらの21〜23ntの断片および他のiRNA剤を調製および投与するための方法、ならびに特に活性化遺伝子機能におけるそれらの使用方法を本明細書に記載する。iRNA剤(または同一もしくは同様の性質の組み換え的に産生された、もしくは化学的に合成されたオリゴヌクレオチド)の使用は、哺乳類細胞におけるサイレンシングのための特異的mRNAの標的化を可能にする。加えて、例えば以下に記載するような、より長いdsiRNA剤の断片もまた使用することができる。
【0117】
哺乳類細胞において、長いdsiRNAは、しばしば有害であるインターフェロン応答を誘発し得るが、siRNAは、少なくとも細胞および宿主に有害である程度まで、インターフェロン応答を引き起こすことはない。特に、siRNA剤中のiRNA剤鎖の長さは、例えば、有害なインターフェロン応答の誘発を回避するのに十分短い、31、30、28、25、または23nt未満であり得る。したがって、siRNA剤
構成物(例えば本明細書に記載されるように製剤化される)の哺乳類細胞への投与は、インターフェロン応答を回避しながら標的遺伝子の発現をサイレンシングするために使用することができる。さらに、個別の種のiRNA剤の使用は、例えば、対立遺伝子に対してヘテロ接合性の対象において、標的遺伝子の1つの対立遺伝子を選択的に標的化するために使用することができる。
【0118】
さらに、一実施形態では、哺乳類細胞は、例えば、dsiRNA活性化タンパク質キナーゼPKR等、インターフェロン応答の成分を破壊するiRNA剤で治療される。そのような細胞は、標的RNAに相補的な配列を含み、かつそうでなければインターフェロン応答を引き起こし得る長さを有する、第2のiRNA剤で治療されてもよい。
【0119】
典型的な実施形態では、対象は、ウシ、ウマ、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ヤギ、または霊長類等の哺乳動物である。対象は、乳用哺乳動物(例えばウシもしくはヤギ)、または他の家畜動物(例えばニワトリ、シチメンチョウ、ヒツジ、ブタ、魚類、エビ)であってもよい。ある実施形態では、対象は、ヒト、例えば、正常な個人、または疾病もしくは疾患を有する、有すると診断される、または有すると予測される個人である。
【0120】
さらに、iRNA剤媒介サイレンシングは、iRNA剤
構成物を投与した後数日間持続するため、多くの場合、1日1回よりも少ない頻度で、場合によっては、治療計画全体に対して1回のみ、
構成物を投与することが可能である。例えば、いくつかの癌細胞の治療は、単回ボーラス投与によって媒介され得る一方で、慢性ウイルス感染症は、例えば、1週間に1回または1ヵ月に1回等、通常の投与を必要とし得る。
【0121】
対象にiRNA剤を投与するために使用され得る、多くの例示的な送達経路を記載する。加えて、iRNA剤は、本明細書に記載するいかなる例示的な方法に従っても製剤化することができる。
【0122】
本発明は、核酸(例えばiRNAまたはsiRNA)の送達のための
モジュラー構成物および方法に関する。本発明の一態様は、エンドソーム分解性成分、標的リガンド、および核酸(例えばiRNAまたはsiRNA剤)を含む、
モジュラー構成物に関する。
【0123】
説明を簡単にするために、本願における特定の
製剤、
構成物、および方法は、主に非修飾核酸またはiRNAに関して考察される。しかしながら、これらの
製剤、
構成物、および方法は、修飾核酸で実施することができ、そのような実施が本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0124】
エンドソーム分解性成分
容易に二分子層膜を通過することができない高分子薬物および親水性薬物分子に対して、細胞のエンドソーム/リソソームコンパートメントへの封入は、それらの作用部位への効果的な送達に対する最大の障害であると考えられる。近年、この問題に対処するために、多くの方法および戦略が考案されてきた。リポソーム製剤に関しては、製剤中の融合性脂質の使用が最も一般的な方法である(Singh,R.S.,Goncalves,C.et al.(2004).On the Gene Delivery Efficacies of pH−Sensitive Cationic Lipids via Endosomal Protonation.A Chemical Biology Investigation.Chem.Biol.11,713−723)。プロトン化および/またはpHによって誘発された立体配座の変化によって、pH感受性エンドソーム分解性活性を示す他の成分は、荷電ポリマーおよびペプチドを含む。例えば、Hoffman,A.S.,Stayton,P.S.et al.(2002).Design of “smart” polymers that can direct intracellular drug delivery.Polymers Adv.Technol.13,992−999、Kakudo,Chaki,T.,S.et al.(2004).Transferrin−Modified Liposomes Equipped with a pH−Sensitive Fusogenic Peptide:An Artificial Viral−like Delivery System.Biochemistry 436,5618−5628、Yessine,M.A. and Leroux,J.C.(2004).Membrane−destabilizing polyanions:interaction with lipid bilayers and endosomal escape of biomacromolecules.Adv.Drug Deliv.Rev.56,999−1021、Oliveira,S.,van Rooy,I.et al.(2007).Fusogenic peptides enhance endosomal escape improving siRNA−induced silencing of oncogenes.Int.J.Pharm.331,211−4を参照されたい。それらは、概して、リポソームまたはリポプレックス等、薬物送達システムとの関連で使用されている。リポソーム製剤を使用する葉酸受容体媒介送達に対して、例えば、pH感受性融合ペプチドがリポソームに組み込まれ、取り込みプロセス中の薬物の排出を改善することによって、活性を強化することが示されている(Turk,M.J.,Reddy,J.A.et al.(2002).Characterization of a novel pH−sensitive peptide that enhances drug release from folate−targeted liposomes at endosomal pHs.Biochim.Biophys.Acta 1559,56−68)。
【0125】
ある実施形態では、本発明のエンドソーム分解性成分は、pH依存性膜活性および/または融合性を示す、ポリアニオン性ペプチドまたはペプチド模倣薬であってもよい。ペプチド模倣薬は、ペプチドを模倣するように設計される、小タンパク質様鎖であってもよい。ペプチド模倣薬は、分子の特性を変化させるための既存のペプチドの修飾、または非天然アミノ酸もしくはそれらの類似体を使用した、ペプチド様分子の合成から生じ得る。ある実施形態では、それらは、ペプチドと比較して改善された安定性および/または生物活性を有する。ある実施形態では、エンドソーム分解性成分は、エンドソームpH(例えばpH5〜6)においてその活性立体配座を採る。「活性」立体配座は、エンドソーム分解性成分が、エンドソームの溶解、および/またはエンドソームから細胞の細胞質への本発明の
モジュラー構成物もしくはその構成成分のいずれか(例えば核酸)の輸送を促進する、立体配座である。
【0126】
化合物ライブラリは、溶血アッセイを使用して、中性pHに対してエンドソームpHにおけるそれらの異なる膜活性に対して、スクリーニングされてもよい。本方法によって単離される有望な候補を、本発明の
モジュラー構成物の構成成分として使用することができる。本発明の
構成物および方法で使用するためのエンドソーム分解性成分を同定するための方法は、化合物ライブラリを提供することと、血球をライブラリのメンバーと接触させ、接触が生じる媒体のpHは制御されること、化合物が、中性pH(例えば約pH7〜8)に対して低pH(例えば約pH5〜6)において、血球の異なる溶解を誘発するかどうかを判定することとを含み得る。
【0127】
例示的なエンドソーム分解性成分としては、GALAペプチド(Subbarao et al.,Biochemistry,1987、26:2964−2972)、EALAペプチド(Vogel et al.,J.Am.Chem.Soc.,1996、118:1581−1586)、およびそれらの誘導体(Turk et al.,Biochem.Biophys.Acta,2002、1559:56−68)が挙げられる。ある実施形態では、エンドソーム分解性成分は、pHの変化に反応した電荷の変化またはプロトン化を受ける化学基(例えばアミノ酸)を含有してもよい。エンドソーム分解性成分は、直鎖または分岐鎖であってもよい。エンドソーム分解性成分の例示的な一次配列としては、H
2N−(AALEALAEALEALAEALEALAEAAAAGGC)−CO
2H、H
2N−(AALAEALAEALAEALAEALAEALAAAAGGC)−CO
2H、およびH
2N−(ALEALAEALEALAEA)−CONH
2が挙げられる。
【0128】
エンドソーム分解性成分のさらなる例としては、表1のものが挙げられる。
【表1】
【0129】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、イミダゾール、ポリまたはオリゴイミダゾール、直鎖または分岐鎖ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖および分岐鎖ポリアミン、例えば、スペルミン、カチオン性直鎖および分岐鎖ポリアミン、ポリカルボン酸塩、ポリカチオン、マスク化オリゴまたはポリカチオンまたはアニオン、アセタール、ポリアセタール、ケタール/ポリケタール、オルトエステル、マスク化または非マスク化カチオンまたはアニオン電荷を有する直鎖または分岐鎖ポリマー、マスク化または非マスク化カチオンまたはアニオン電荷を有するデンドリマー、pH感受性ペプチド、天然または合成融合性脂質、天然または合成カチオン性脂質を含むことができる。
【0130】
エンドソーム分解性活性を有する好ましい合成ポリマーは、以下の米国特許出願公開第2009/0048410号、同第2009/0023890号、同第2008/0287630号、同第2008/0287628号、同第2008/0281044号、同第2008/0281041号、同第2008/0269450号、同第2007/0105804号、同第20070036865号、および同第2004/0198687号の各明細書に記載され、それらの内容は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0131】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解剤の膜活性官能基は、上記のエンドソーム分解剤がオリゴヌクレオチドと共役される時にマスクされる。オリゴヌクレオチドがエンドソームに達する時、膜活性官能基は、脱マスクされ、薬剤は活性化する。脱マスキングは、エンドソームの外側よりもエンドソーム内に見られる条件下でより容易に実行され得る。例えば、膜活性官能基は、エンドソーム内で開裂を受ける開裂可能なリンカーを介して分子でマスクすることができる。理論によって束縛されることを望まないが、エンドソーム内に入ると、そのような連結は開裂され、マスキング剤がエンドソーム分解剤から放出されることが想定される。
【0132】
いくつかの実施形態では、マスキング剤は、開裂によって、マスキング剤とエンドソーム分解剤の活性官能基との間の連結を開裂することができる官能基を放出する、開裂可能なリンカーを有する。一例は、アミド型連結を介してエンドソーム分解剤に連結され、かつS−S結合を有する、マスキング剤である。エンドソーム内に入ると、S−S結合は開裂し、遊離チオールを放出することができ、次いで、遊離チオールは、分子間あるいは分子内で、マスキング剤とエンドソーム分解剤との間のアミド連結を開裂することができる。米国特許出願公開第2008/0281041号明細書は、本発明に適したいくつかのマスク化エンドソーム分解性ポリマーを記載する。
【0133】
膜活性を有する脂質もまた、エンドソーム分解剤として本発明に適している。そのような脂質はまた、融合性脂質としても記載される。これらの融合性脂質は、膜と融合し、その結果として膜を不安定化すると考えられる。融合性脂質は通常、小さい頭部基および不飽和アシル鎖を有する。例示的な融合性脂質としては、1,2−ジオレオイル−sn−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−オル(Di−Lin)、N−メチル(2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタンアミン(DLin−k−DMA)、およびN−メチル−2−(2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)エタンアミン(XTC)が挙げられる。
【0134】
ヒスチジンに富んだペプチドH5WYGは、アミノ酸の5がヒスチジン残基で置き換えられた、インフルエンザウイルス血球凝集素のHA−2サブユニットのN末端配列の誘導体である。H5WYGは、ヒスチジン残基がプロトン化されると、弱酸性pHで膜を選択的に不安定化することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、エンドソーム分解性リガンドは、細胞透過剤であり、好ましくは、へリックス細胞透過剤である。好ましくは、その薬剤は、両親媒性である。へリックス薬剤は、好ましくは、αヘリックス薬剤であり、好ましくは、αヘリックス薬剤は、親油性および疎油性相を有する。細胞透過剤は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、例えば、主にTyr、Trp、およびPheから成る、両親媒性ペプチドもしくは疎水性ペプチド、デンドリマーペプチド、拘束ペプチド、または架橋されたペプチドであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞透過性ペプチドは、疎水性膜輸送配列(MTS)を含むことができる。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAPを有する、RFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えばアミノ酸配列AALLPVLLAAP)はまた、標的リガンドであってもよい。細胞透過性ペプチドは、細胞膜にわたってペプチド、オリゴヌクレオチド、およびタンパク質を含む大きい極性分子を運ぶことができる、「送達」ペプチドであってもよい。いくつかの例示的な細胞透過性ペプチドを表2に示す。
【表2】
【0136】
細胞透過性ペプチドは、直鎖または環式であってもよく、D−アミノ酸、非ペプチドまたは偽ペプチド連結、ペプチジル模倣体を含む。加えて、ペプチドおよびペプチド模倣体は、修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化することができる。標的化ペプチドの合成模倣体もまた含まれる。
【0137】
ある実施形態では、2つ以上のエンドソーム分解性成分が、本発明の
モジュラー構成物に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、これは、同一エンドソーム分解性成分のうちの2つ以上を
モジュラー構成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、これは、2つ以上の異なるエンドソーム分解性成分を
モジュラー構成物に組み込むことを含む。
【0138】
これらのエンドソーム分解性成分は、例えば、エンドソームpHにおいて立体配座を変化させることによって、エンドソームエスケープを媒介してもよい。ある実施形態では、エンドソーム分解性成分は、中性pHにおけるランダムコイル立体配座で存在し、エンドソームpHにおいて両親媒性へリックスに再配置され得る。この立体配座遷移の結果として、これらのペプチドは、エンドソームの脂質膜に挿入し、エンドソーム内容物の細胞質への漏出を引き起こし得る。立体配座遷移はpH依存性であるため、エンドソーム分解性成分は、血中を循環する間は融合活性をほとんどまたは全く示すことができない(pH〜7.4)。融合活性は、エンドソーム分解性成分によって脂質膜の破壊をもたらす活性として定義される。融合活性の一例は、エンドソーム溶解または漏出、およびエンドソームから細胞質への本発明の
モジュラー構成物の1つ以上の構成成分(例えば核酸)の輸送をもたらす、エンドソーム分解性成分によるエンドソーム膜の破壊である。
【0139】
本明細書に記載する溶血アッセイに加えて、好適なエンドソーム分解性成分は、当業者が他の方法を使用することによって試験および同定することができる。例えば、pH環境に応じた電荷変化に対応する化合物の能力は、例えば、細胞アッセイにおける通常の方法によって試験することができる。ある実施形態では、試験化合物は、細胞と組み合わされるか、または細胞と接触され、細胞は、例えば、エンドサイトーシスによって試験化合物を取り込むことが可能になる。次いで、エンドソーム調製物を接触した細胞から作製することができ、そのエンドソーム調製物は、対照細胞からのエンドソーム調製物と比較される。接触した細胞対対照細胞からのエンドソーム画分の変化、例えば、減少は、試験化合物が融合剤として機能することができることを示す。別法では、接触した細胞および対照細胞は、例えば、顕微鏡法、例えば、光学または電子顕微鏡法によって、細胞内のエンドソーム集団の差を判定することにより評価することができる。試験化合物および/またはエンドソームは、例えば、エンドソーム漏出を定量化するために、標識化することができる。
【0140】
別の種類のアッセイでは、本明細書に記載する
モジュラー構成物は、1つ以上の試験または推定融合剤を使用して構成される。
モジュラー構成物は、標識化核酸を使用して構成することができる。一旦
モジュラー構成物が細胞によって取り込まれると、エンドソームエスケープを促進するエンドソーム分解性成分の能力を、例えば、エンドソーム調製物の調製によって、または細胞の細胞質内の標識化核酸の可視化を可能にする顕微鏡技術によって、評価することができる。特定の他の実施形態では、遺伝子発現の阻害または任意の他の生理学的パラメータが、エンドソームエスケープに対する代理マーカとして使用されてもよい。
【0141】
他の実施形態では、pH依存性構造転移を示す化合物を同定するために、円偏光二色性分光法を使用することができる。
【0142】
二段階アッセイもまた実施することができ、第1のアッセイは、pHの変化に対応する試験化合物のみの能力を評価し、第2のアッセイは、pHの変化に対応する試験化合物を含む
モジュラー構成物の能力を評価する。
【0143】
標的リガンド
本発明の
モジュラー構成物は、標的リガンドを含む。いくつかの実施形態では、この標的リガンドは、特定の細胞に
モジュラー構成物を導くことができる。例えば、標的リガンドは、標的細胞の表面上の分子と特異的または非特異的に結合することができる。標的化部分は、標的細胞に対して特異親和性を有する分子であり得る。標的化部分は、標的細胞の表面上に見られるタンパク質、または標的細胞の表面上に見られる分子に対するリガンドもしくはリガンドの受容体結合部分に対する抗体を含むことができる。例えば、標的化部分は、癌特異的抗原(例えばCA15−3、CA19−9、CEA、またはHER2/neu)またはウイルス抗原を認識し、それによって癌細胞またはウイルス感染細胞にiRNAを送達することができる。例示的な標的化部分としては、抗体(IgM、IgG、IgA、IgD等、またはそれらの機能部分)、細胞表面受容体に対するリガンド(例えばそれらの細胞外ドメイン)が挙げられる。
【0144】
表3は、選択された細胞を標的化するために使用され得る、多くの抗原の例を提供する。
【表3】
【0145】
細胞表面上の特定組織のそれぞれの受容体への結合を介した特定組織へのリガンド媒介標的化は、薬物の組織特異的送達を改善するための魅力的な方法を提供する。疾病関連細胞型および組織への特異的標的化は、有効量を低下させ、副作用を低減し、その結果として治療指数を最大化するのに役立ち得る。複数の炭水化物モチーフを有する炭水化物および炭水化物群は、標的リガンドの重要な種類を表し、それは、幅広い種類の組織および細胞型への薬物の標的化を可能にする。例えば、Hashida,M.,Nishikawa,M.et al.(2001)Cell−specific delivery of genes with glycosylated carriers.Adv.Drug Deliv.Rev.52,187−9、Monsigny,M.,Roche,A.−C.et al.(1994).Glycoconjugates as carriers for specific delivery of therapeutic drugs and genes.Adv.Drug Deliv.Rev.14,1−24、Gabius,S.,Kayser,K.et al.(1996).Endogenous lectins and neoglycoconjugates.A sweet approach to tumor diagnosis and targeted drug delivery.Eur.J.Pharm. and Biopharm.42,250−261、Wadhwa,M.S.,and Rice,K.G.(1995)Receptor mediated glycotargeting.J.Drug Target.3,111−127を参照されたい。
【0146】
最もよく特徴がわかっている受容体−リガンド対のうちの1つは、肝細胞上に高度に発現し、かつD−ガラクトースならびにN−アセチル−D−ガラクトース(GalNAc)に対して高親和性を有する、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP−R)である。それらの炭水化物リガンドは、肝実質に幅広い種類の薬剤およびリポソームまたはポリマー担体系さえ標的化するために、成功裏に使用されている。例えば、Wu,G.Y.,and Wu,C.H.(1987)Receptor−mediated in vitro gene transformation by a soluble DNA carrier system.J.Biol.Chem.262,4429−4432、Biessen,E.A.L.,Vietsch,H.,Rump,E.T.,Flutter,K.,Bijsterbosch,M.K.,and Van Berkel,T.J.C.(2000)Targeted delivery of antisense oligonucleotides to parenchymal liver cells in vivo.Methods Enzymol.313,324−342、Zanta,M.−A.,Boussif,O.,Adib,A.,and Behr,J.−P.(1997)In Vitro Gene Delivery to Hepatocytes with Galactosylated Polyethylenimine.Bioconjugate Chem.8,839−844、Managit,C.,Kawakami,S.et al.(2003).Targeted and sustained drug delivery using PEGylated galactosylated liposomes.Int.J.Pharm.266,77−84、Sato,A.,Takagi,M.et al.(2007).Small interfering RNA delivery to the liver by intravenous administration of galactosylated cationic liposomes in mice.Biomaterials 28;1434−42を参照されたい。
【0147】
D−マンノースに対して高親和性を有するマンノース受容体は、別の重要な炭水化物系リガンド−受容体対を表す。マンノース受容体は、マクロファージ及びおそらく樹枝状細胞等の特定の細胞型上に高度に発現する。マンノース共役体ならびにマンノース化薬物担体は、それらの細胞に薬物分子を標的化するために、成功裏に使用されている。例えば、Biessen,E.A.L.,Noorman,F.et al.(1996).Lysine−based cluster mannosides that inhibit ligand binding to the human mannose receptor at nanomolar concentration.J.Biol.Chem.271,28024−28030、Kinzel,O.,Fattori,D.et al.(2003).Synthesis of a functionalized high affinity mannose receptor ligand and its application in the construction of peptide−,polyamide− and PNA−conjugates.J.Peptide Sci.9,375−385、Barratt,G.,Tenu,J.P.et al.(1986).Preparation and characterization of liposomes containing mannosylated phospholipids capable of targeting drugs to macrophages.Biochim.Biophys.Acta 862,153−64、Diebold,S.S.,Plank,C.et al.(2002).Mannose Receptor−Mediated Gene Delivery into Antigen Presenting Dendritic Cells.Somat.Cell Mol.Genetics 27,65−74を参照されたい。
【0148】
炭水化物を基にした標的リガンドとしては、D−ガラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−D−ガラクトース(GalNAc)、多価GalNAc、例えば、GalNAC2およびGalNAc3、D−マンノース、多価マンノース、多価ラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、ならびにレクチンが挙げられるがこれに限定されない。多価という用語は、2つ以上の単糖ユニットが存在することを示す。そのような単糖サブユニットは、グリコシド連結を介して相互に連結されてもよく、または骨格分子に連結されてもよい。
【0149】
コレステロールまたは脂肪酸等の親油性部分は、核酸等の高親水性分子に付着される際、血漿タンパク結合、およびその結果として循環半減期を実質的に強化することができる。加えて、リポタンパク質等のある特定の血漿タンパク質への結合は、対応するリポタンパク質受容体(例えばLDL−受容体またはスカベンジャー受容体SR−B1)を発現する特定組織への取り込みを増加させることが示されている。例えば、Bijsterbosch,M.K.,Rump,E.T.et al.(2000).Modulation of plasma protein binding and in vivo liver cell uptake of phosphorothioate oligodeoxynucleotides by cholesterol conjugation.Nucleic Acids Res.28,2717−25、Wolfrum,C.,Shi,S.et al.(2007).Mechanisms and optimization of in vivo delivery of lipophilic siRNAs.Nat.Biotechnol.25,1149−57を参照されたい。したがって、親油性共役もまた、標的化送達方法と考えることができ、それらの細胞内移動は、潜在的に、エンドソーム分解剤との組み合わせによってさらに改善され得る。
【0150】
血漿タンパク結合を強化する例示的な親油性部分としては、ステロール、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コール酸、ジメトキシトリチル、フェノキサジン、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、およびビオチン等が挙げられるかこれに限定されない。
【0151】
葉酸は、葉酸受容体を介した標的化薬物送達に広く使用されている、別の種類のリガンドを表す。この受容体は、幅広い種類の腫瘍細胞、ならびに活性化マクロファージ等の他の細胞型上に高度に発現される。例えば、Matherly,L.H. and Goldman,I.D.(2003).Membrane transport of folates.Vitamins Hormones 66,403−456、Sudimack,J. and Lee,R.J.(2000).Targeted drug delivery via the folate receptor.Adv.Drug Delivery Rev.41,147−162を参照されたい。炭水化物系リガンドと同様に、葉酸は、核酸およびリポソーム担体さえ含む幅広い種類の薬物を送達することができることが示されている。例えば、Reddy,J.A.,Dean,D.et al.(1999).Optimization of Folate−Conjugated Liposomal Vectors for Folate Receptor−Mediated Gene Therapy.J.Pharm.Sci.88,1112−1118、Lu,Y. and Low P.S.(2002).Folate−mediated delivery of macromolecular anticancer therapeutic agents.Adv.Drug Delivery Rev.54,675−693、Zhao,X.B. and Lee,R.J.(2004).Tumor−selective targeted delivery of genes and antisense oligodeoxyribonucleotides via the folate receptor;Leamon,C.P.,Cooper,S.R.et al.(2003).Folate−Liposome−Mediated Antisense Oligodeoxynucleotide Targeting to Cancer Cells:Evaluation in Vitro and in Vivo.Bioconj.Chem.14,738−747を参照されたい。
【0152】
2008年12月4日出願の米国特許出願第12/328,537号および2008年12月4日出願の同第12/328,528号明細書は、本発明の
モジュラー構成物に適している、多くの葉酸および炭水化物標的リガンドを記載する。これらの特許出願の内容は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0153】
標的リガンドはまた、細胞マーカ、例えば、増殖細胞に濃縮されているマーカを標的化することができる、タンパク質、ペプチド、およびペプチド模倣薬も含む。ペプチド模倣薬(本明細書において、オリゴペプチド模倣薬とも称される)は、天然ペプチドと同様の明確な3次元構造に折り畳むことができる分子である。ペプチドまたはペプチド模倣薬部分は、約5〜50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であり得る。そのようなペプチドとしては、特にα
vβ
3(アルファvベータ3)インテグリンを示す細胞内の癌細胞を標的化することができる、RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣薬が挙げられるかこれに限定されない。標的化ペプチドは、直鎖または環式であってもよく、D−アミノ酸、非ペプチドまたは偽ペプチド連結、ペプチジル模倣体を含む。加えて、ペプチドおよびペプチド模倣体は、修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化することができる。標的化ペプチドの合成模倣体もまた含まれる。
【0154】
標的リガンドはまた、ホルモンおよびホルモン受容体結合リガンド等の他の受容体結合リガンドを含むことができる。標的リガンドは、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタント・タンパク質A、ムチン、グリコシル化ポリアミノ酸、トランスフェリン、ビスホスフォネート、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、脂質、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、またはアプタマーであってもよい。表4は、標的リガンドおよびそれらの関連受容体のいくつかの例を示す。
【表4】
【0155】
2つ以上の標的リガンドが存在する場合、そのような標的リガンドは全て、同一細胞/組織/器官を標的化する同一または異なる標的リガンドであってもよい。
【0156】
エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドに加えて、
モジュラー構成物は、循環半減期および/または細胞取り込みを強化し得る、1つ以上の他の部分/リガンドを含んでもよい。これらは、タンパク質(例えばヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、もしくはグロブリン)、または炭水化物(例えばデキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、またはヒアルロン酸)等の自然発生する物質を含むことができる。これらの部分はまた、合成ポリマーまたは合成ポリアミノ酸等の組み換えまたは合成分子であってもよい。例としては、ポリリシン(PLL)、ポリL‐アスパラギン酸、ポリL‐グルタミン酸、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L−ラクチド−CO−グリコリド)コポリマー、ジビニルエチル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG−5K、PEG−10K、PEG−12K、PEG−15K、PEG−20K、PEG−40K)、メチル−PEG(mPEG)、[mPEG]
2、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンが挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、偽ペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの四級塩、またはαへリックスペプチドが挙げられる。
【0157】
多くのホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドおよびオリゴマー化合物は、血清タンパク質に結合することが当該技術分野で知られており、したがって、短いオリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基、または20塩基のオリゴヌクレオチド、および複数のホスホロチオエート連結を含む非ヌクレオシドオリゴマー化合物を使用して、本発明の
モジュラー構成物の循環半減期を強化することができる。加えて、血清リガンド(例えば血清タンパク質)と結合するオリゴヌクレオチド、例えば、アプタマーもまた、本発明の
モジュラー構成物の循環半減期を強化するために使用することができる。これらのオリゴヌクレオチドおよびアプタマーは、本願に記載する任意の核酸修飾、例えば、糖修飾、骨格修飾、または核酸塩基修飾を含んでもよい。
【0158】
エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドに加えて、
モジュラー構成物の細胞取り込みを増加させるリガンドもまた存在してもよい。細胞取り込みを強化する例示的なリガンドとしては、ビタミンが挙げられる。これらは、例えば、癌細胞等の悪性または非悪性の望ましくない細胞増殖を特徴とする細胞/組織/器官を標的化するのに特に有用である。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E、およびKが挙げられる。他の例示的なビタミンとしては、Bビタミン、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサル、または癌細胞によって取り込まれる他のビタミンもしくは栄養素が挙げられる。
【0159】
リガンドは、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、および/または中間径フィラメントを破壊することによって、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、
モジュラー構成物の細胞への取り込みを増加させることができる、物質、例えば、薬物であってもよい。薬物は、例えば、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトルンクリンA、ファロイジン、スインホリドA、インダノシン、またはミオセルビンであってもよい。
【0160】
リガンドは、例えば、炎症反応を活性化することによって、
モジュラー構成物の細胞への取り込みを増加させることができる。そのような効果を有し得る例示的なリガンドとしては、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1β、またはγインターフェロンが挙げられる。
【0161】
いくつかの実施形態では、そのようなリガンドは、細胞透過剤、好ましくは、へリックス細胞透過剤である。好ましくは、薬剤は、両親媒性である。へリックス薬剤は、好ましくは、αへリックス薬剤であり、それは、好ましくは、親油性および疎油性相を有する。
【0162】
本発明の
モジュラー構成物中に存在し得る他のリガンドとしては、分布を監視するための色素およびレポーター基、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素(例えばフェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えばEDTA)、アルキル化剤、リン酸、メルカプト、アミノ、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカ、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、合成リボヌクレアーゼ(例えばイミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾール群、アクリジン−イミダゾール共役、テトラアザマクロサイクルのEu3+複合体、ジニトロフェニル、HRP、およびAPが挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、単一リガンドは、2つ以上の特性を有してもよく、例えば、リガンドは、エンドソーム分解性および標的化特性の両方を有する。
【0164】
強化された透過性および滞留性
ある実施形態では、本発明の
モジュラー構成物は、強化された透過性および滞留性(EPR)効果によって部位に標的化され得る。EPR効果は、ある特定のサイズの分子、典型的には高分子が、例えば、正常組織よりも腫瘍組織においてより大きい程度まで蓄積する傾向がある特性である。理論によって束縛されないが、この現象に関する一般的説明は、腫瘍を供給する血管が、典型的には、それらの構造に異常があり、血液からの高分子の拡散を可能にする幅広い有窓を含むということである。さらに、腫瘍は、典型的には、効果的なリンパ排液を欠いており、血液から拡散する分子の蓄積をもたらす。当業者は、そのような標的化方法がまた、異常な血管系が低下したリンパ排液の有無にかかわらず特定部位にアクセスすることが可能である他の条件にも有用であり得ることを認識するであろう。
【0165】
オリゴヌクレオチド共役の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第4,828,979号、同第4,948,882号、同第5,218,105号、同第5,525,465号、同第5,541,313号、同第5,545,730号、同第5,552,538号、同第5,578,717号、同第5,580,731号、同第5,580,731号、同第5,591,584号、同第5,109,124号、同第5,118,802号、同第5,138,045号、同第5,414,077号、同第5,486,603号、同第5,512,439号、同第5,578,718号、同第5,608,046号、同第4,587,044号、同第4,605,735号、同第4,667,025号、同第4,762,779号、同第4,789,737号、同第4,824,941号、同第4,835,263号、同第4,876,335号、同第4,904,582号、同第4,958,013号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,149,782号、同第5,214,136号、同第5,245,022号、同第5,254,469号、同第5,258,506号、同第5,262,536号、同第5,272,250号、同第5,292,873号、同第5,317,098号、同第5,371,241、5,391,723号、同第5,416,203、5,451,463号、同第5,510,475号、同第5,512,667号、同第5,514,785号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,595,726号、同第5,597,696号、同第5,599,923号、同第5,599,928号、同第5,672,662号、同第5,688,941号、同第5,714,166号、同第6,153,737号、同第6,172,208号、同第6,300,319号、同第6,335,434号、同第6,335,437号、同第6,395,437号、同第6,444,806号、同第6,486,308号、同第6,525,031号、同第6,528,631号、同第6,559,279号の各明細書が挙げられるが、これに限定されず、それらのそれぞれは、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0166】
リンカー
ある実施形態では、本発明の
モジュラー構成物の3つの構成成分のうちのいずれの間の共有結合も、リンカーによって媒介されてもよい。このリンカーは、用途に応じて開裂可能または開裂不可能であってもよい。ある実施形態では、エンドソームから細胞質への輸送後に核酸を放出するために、開裂可能なリンカーが使用されてもよい。共役もしくはカップリング相互作用の目的とする性質、または所望の生物学的効果により、リンカー基の選択が決定される。
【0167】
リンカー基は、リンカー基付着点(LAP)においてオリゴヌクレオチド鎖に接続されてもよく、任意のC
1〜C
100炭素含有部分(例えばC
1〜C
75、C
1〜C
50、C
1〜C
20、C
1〜C
10、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8、C
9、またはC
10)を含んでもよく、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸素原子、少なくとも1つのリン原子、および/または少なくとも1つの窒素原子を有する。いくつかの実施形態では、リン原子は、核酸鎖の接続点としての機能を果たし得る、リンカー基上の末端リン酸またはホスホロチオエート基の一部を形成する。ある実施形態では、窒素原子は、エンドソーム分解性成分または標的リガンドの接続点としての機能を果たし得る、リンカー基上の末端エーテル、エステル、アミノ、またはアミド(NHC(O)−)基の一部を形成する。好ましいリンカー基(下線)は、LAP−
X−(CH2)nNH−、LAP−
X−C(O)(CH2)nNH−、LAP−
X−NR''''(CH2)nNH−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−C(O)−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−C(O)O−、LAP−
X−C(O)−O−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−NH−C(O)−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−、LAP−
X−C(O)−NH−、LAP−X−
C(O)−、LAP−
X−(CH2)n−C(O)−、LAP−
X−(CH2)n−C(O)O−、LAP−X−
(CH2)n−、またはLAP−
X−(CH2)n−NH−C(O)−を含み、−Xは、(−O−(R''''O)P(O)−O)
m,(−O−(R''''O)P(S)−O−)
m,(−O−(R''''S)P(O)−O)
m,(−O−(R''''S)P(S)−O)
m,(−O−(R''''O)P(O)−S)
m,(−S−(R''''O)P(O)−O)
m、または無しであり、nは、1〜20(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)であり、mは、1〜3であり、R''''は、HまたはC
1−C
6アルキルである。好ましくは、nは、5、6、または11である。他の実施形態では、窒素は、末端オキシアミノ基、例えば、−ONH
2、またはヒドラジノ基、−NHNH
2の一部を形成してもよい。リンカー基は、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、パーハロアルキルで随意的に置換されてもよく、および/または1つ以上の追加のヘテロ原子例えば、N、O、もしくはSを随意的に挿入されてもよい。ある特定のリンカー基は、例えば、LAP−X−
(CH2)nNH−、LAP−
X−C(O)(CH2)nNH−、LAP−
X−NR''''(CH2)nNH−、LAP−
X−(CH2)nONH−、LAP−
X−C(O)(CH2)nONH−、LAP−
X−NR''''(CH2)nONH−、LAP−
X−(CH2)nNHNH2−、LAP−
X−C(O)(CH2)nNHNH2−、LAP−
X−NR''''(CH2)nNHNH2−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−C(O)−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−C(O)O−、LAP−
X−C(O)−O−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−NH−C(O)−、LAP−
X−C(O)−(CH2)n−、LAP−
X−C(O)−NH−、LAP−
X−C(O)−、LAP−
X−(CH2)n−C(O)−、LAP−
X−(CH2)n−C(O)O−、LAP−
X−(CH2)n−、またはLAP−
X−(CH2)n−NH−C(O)−を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アミノ終端リンカー基(例えばNH
2、ONH
2、NH
2NH
2)は、リガンドとのイミノ結合(すなわち、C=N)を形成することができる。いくつかの実施形態では、アミノ終端リンカー基(例えばNH
2、ONH
2、NH
2NH
2)は、例えば、C(O)CF
3でアシル化することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、リンカー基は、メルカプト基(すなわち、SH)またはオレフィン(例えばCH=CH
2)で終端することができる。例えば、リンカー基は、LAP
−X−(CH2)n−SH、LAP−
X−C(O)(CH2)nSH、LAP−
X−(CH2)n−(CH=CH2)、またはLAP−
X−C(O)(CH2)n(CH=CH2)であってもよく、Xおよびnは、上記のリンカー基に関して記載されるようなものであり得る。ある実施形態では、オレフィンは、ディールス・アルダージエンまたはジエノフィルであってもよい。リンカー基は、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、パーハロアルキルで随意的に置換されてもよく、および/または1つ以上の追加のヘテロ原子例えば、N、O、もしくはSを随意的に挿入されてもよい。二重結合は、シスもしくはトランス、またはEもしくはZであり得る。
【0169】
他の実施形態では、リンカー基は、好ましくは、リンカー基の末端位置において、求電子性部分を含み得る。ある特定の求電子性部分には、例えば、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、メシラート、トシラート、ノシラート、もしくはブロシラート、または活性化カルボン酸エステル、例えば、NHSエステル、もしくはペンタフルオロフェニルエステルが含まれる。他のリンカー基(下線)は、LAP−
X−(CH2)nCHO、LAP−
X−C(O)(CH2)nCHO、もしくはLAP−
X−NR''''(CH2)nCHOを含み、nは、1〜6であり、R''''は、C
1−C
6アルキルであるか、またはLAP−
X−(CH2)nC(O)ONHS、LAP−
X−C(O)(CH2)nC(O)ONHS、もしくはLAP−
X−NR''''(CH2)nC(O)ONHSを含み、nは、1〜6であり、R''''は、C
1−C
6アルキルであるか、LAP−
X−(CH2)nC(O)OC6F5、LAP−
X−C(O)(CH2)nC(O)OC6F5、もしくはLAP−
X−NR''''(CH2)nC(O)OC6F5を含み、nは、1−11であり、R''''は、C
1−C
6アルキルであるか、または
−(CH2)nCH2LG、LAP−
X−C(O)(CH2)nCH2LG、もしくはLAP−
X−NR''''(CH2)nCH2LGを含み、X、R''''、およびnは、上記のリンカー基に関して記載されるようなものであってもよい(LGは、離脱基、例えば、ハロゲン化物、メシラート、トシラート、ノシラート、ブロシラートであってもよい)。いくつかの実施形態では、リンカー基のエンドソーム分解性成分または標的リガンドへのカップリングは、エンドソーム分解性成分または標的リガンドの求核基をリンカー基上の求電子基とカップリングすることによって実行することができる。
【0170】
他の実施形態では、他の保護アミノ基は、リンカー基の末端位置において、例えば、alloc、モノメトキシトリチル(MMT)、トリフルオロアセチル、Fmoc、またはアリールスルホニル(例えばアリール部分は、オルト−ニトロフェニルもしくはオルト、パラ−ジニトロフェニルであってもよい)であってもよい。
【0171】
上記のリンカー基のいずれにおいても、さらに、n−CH
2−基のうちの1つ、2つ以上、または全ては、例えば、上記のX、−Y−(CH
2)
m−、−Y−(C(CH
3)H)
m−、−Y−C((CH
2)
pCH
3)H)
m−、−Y−(CH
2−C(CH
3)H)
m−、−Y−(CH
2−C((CH
2)
pCH
3)H)
m−、−CH=CH−、または−C≡C−のうちの1つまたは組み合わせによって置き換えられてもよく、Yは、O、S、Se、S−S、S(O)、S(O)
2であり、mは、1〜4であり、pは、0〜4である。
【0172】
2つ以上のエンドソーム分解性成分または標的リガンドが同一
モジュラー構成物上に存在する場合、2つ以上のエンドソーム分解性成分または標的リガンドは、オリゴヌクレオチド鎖またはエンドソーム分解性成分もしくは標的リガンドに、直鎖状に、または分岐リンカー基によって連結されてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、リンカー基は、分岐リンカー基であり、さらに、ある特定の場合においては、対称分岐リンカー基である。分岐点は、少なくとも三価であってもよいが、四価、五価、もしくは六価原子、またはそのような複数の価数を示す基であってもよい。いくつかの実施形態では、分岐点は、グリセロールまたはグリセロール三リン酸基である。
【0174】
いくつかの実施形態では、分岐点は、−N、−N(Q)−C、−O−C、−S−C、−SS−C、−C(O)N(Q)−C、−OC(O)N(Q)−C、−N(Q)C(O)−C、または−N(Q)C(O)O−Cであり、Qは存在ごとに独立して、Hまたは随意的に置換されたアルキルである。他の実施形態では、分岐点は、グリセロール誘導体である。
【0175】
一実施形態では、リンカーは、−[(P−Q−R)
q−X−(P'−Q'−R')
q']
q"−T−であり、
P、R、T、P'、およびR'はそれぞれ存在ごとに独立して、存在しないか、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH、CH
2O、NHCH(R
a)C(O)、−C(O)−CH(R
a)−NH−、C(O)−(随意的に置換されたアルキル)−NH−、CH=N−O、
【化14】
【0176】
シクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、
QおよびQ'はそれぞれ存在ごとに独立して、存在しないか、−(CH
2)
n−、−C(R
100)(R
200)(CH
2)
n−、−(CH
2)
nC(R
100)(R
200)−、−(CH
2CH
2O)
mCH
2CH
2−、−(CH
2CH
2O)
mCH
2CH
2NH−、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり、
Xは、存在しないか、または開裂可能な連結基であり、
R
aは、Hまたはアミノ酸側鎖であり、
R
100およびR
200はそれぞれ存在ごとに独立して、H、CH
3、OH、SH、またはN(R
X)
2であり、
R
Xは存在ごとに独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはベンジルであり、
q、q'、およびq”はそれぞれ存在ごとに独立して、0〜30であり、反復単位は、同一であっても、または異なってもよい。
【0177】
nは存在ごとに独立して、1〜20であり、
mは存在ごとに独立して、0〜50である。
【0178】
いくつかの実施形態では、担体モノマーもまたリンカーと考えられる。そのような場合において、リンカーという用語は、モノマーとリガンド、例えば、エンドソーム分解性リガンドおよび標的リガンドとの間の担体モノマーおよびリンカーを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1つの開裂可能な連結基を含む。
【0180】
開裂可能な連結基
開裂可能な連結基は、細胞外で十分安定しているが、標的細胞に入ると、リンカーが一緒に保持する2つの部分を放出するように開裂される、連結基である。好ましい実施形態では、開裂可能な連結基は、対象の血液中または第2の基準条件(例えば血液または血清に見られる条件を模倣または表現するように選択され得る)下よりも、標的細胞内または第1の基準条件(例えば細胞内条件を模倣または表現するように選択され得る)下において、少なくとも10回倍、好ましくは、少なくとも100倍速く開裂される。
【0181】
開裂可能な連結基は、開裂剤、例えば、pH、酸化還元電位、または分解性分子の存在に対して感受性を有する。概して、開裂剤は、血清または血液中よりも細胞内において、より行き渡るか、またはより高いレベルまたは活性において見られる。そのような分解剤の例としては、例えば、還元によってレドックス開裂可能な連結基を分解することができる、細胞内に存在する、メルカプタン等の酸化もしくは還元酵素または還元剤を含む、特定の基質に選択されるか、もしくは基質特異性を有しない酸化還元剤;エステラーゼ;例えば、5以下のpHをもたらすような、酸性環境を生成することができるエンドソームまたは薬剤;一般酸、ペプチダーゼ(基質特異的であってもよい)、およびホスファターゼとしての機能を果たすことによって、酸性開裂可能な連結基を加水分解または分解することができる酵素が挙げられる。
【0182】
ジスルフィド結合等の開裂可能な連結基は、pHに対して感受性を有し得る。ヒト血清のpHは、7.4であるが、平均細胞内pHは、わずかに低く、約7.1〜7.3の範囲である。エンドソームは、5.5〜6.0の範囲のより酸性のpHを有し、リソソームは、約5.0のさらに酸性のpHを有する。いくつかのリンカーは、好ましいpHにおいて開裂され、それによって、リガンドから細胞内または細胞の所望のコンパートメント内にカチオン性脂質を放出する、開裂可能な連結基を有する。
【0183】
リンカーは、特定の酵素によって開裂可能である、開裂可能な連結基を含むことができる。リンカーに組み込まれる開裂可能な連結基の種類は、標的化される細胞によって決定され得る。例えば、肝臓標的リガンドは、エステル基を含むリンカーを介して、カチオン性脂質に連結することができる。肝細胞は、エステラーゼが豊富であり、したがって、リンカーは、エステラーゼが豊富でない細胞型よりも肝細胞において、より効率的に開裂される。エステラーゼが豊富な他の細胞型としては、肺、腎皮質、および睾丸の細胞が挙げられる。
【0184】
肝細胞および滑膜細胞等のペプチダーゼが豊富な細胞型を標的化する場合、ペプチド結合を含有するリンカーを使用することができる。
【0185】
一般的に、候補の開裂可能な連結基の適合性は、候補連結基を開裂する分解剤(または条件)の能力を試験することによって、評価することができる。また、血液中または他の非標的組織と接触している時の開裂に抵抗する能力に関して、候補の開裂可能な連結基を試験することも望ましい。したがって、第1の条件と第2の条件との間の開裂に対する相対的感受性を決定することができ、第1の条件は、標的細胞内の開裂を示すように選択され、第2の条件は、他の組織または体液、例えば、血液もしくは血清中の開裂を示すように選択される。評価は、無細胞系中、細胞内、細胞培養物中、器官もしくは組織培養物中、または動物全体において実施することができる。無細胞または培養条件において最初の評価を行い、動物全体におけるさらなる評価によって確認することが有用であり得る。好ましい実施形態では、有用な候補化合物は、血液もしくは血清(または細胞外条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)と比較して、細胞内(または細胞内条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)で、少なくとも2、4、10、または100倍速く開裂される。
【0186】
レドックス開裂可能な連結基
開裂可能な連結基の1つの種類は、還元または酸化下で開裂されるレドックス開裂可能な連結基である。還元的に開裂可能な連結基の一例は、ジスルフィド連結基(−S−S−)である。候補の開裂可能な連結基が好適な「還元的に開裂可能な連結基」であるかどうか、または例えば、特定のiRNA部分および特定の標的薬剤で使用するのに好適であるかどうかを判定するために、本明細書に記載する方法に目を向けることができる。例えば、候補は、細胞、例えば、標的細胞内に観察され得る開裂速度を模倣する、当該技術分野で既知の試薬を使用して、ジチオスレイトール(DTT)またはた他の還元剤でのインキュベーションによって評価することができる。候補はまた、血液または血清条件を模倣する様に選択される条件下でも評価することができる。好ましい実施形態では、候補化合物は、血中で最大でも10%開裂される。好ましい実施形態では、有用な候補化合物は、血液(または細胞外条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)と比較して、細胞内(または細胞内条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)で、少なくとも2、4、10、または100倍速く分解される。候補化合物の開裂速度は、細胞内培地を模倣するように選択される条件下で、標準的な酵素反応速度アッセイを使用して判定し、細胞外培地を模倣するように選択される条件と比較することができる。
【0187】
リン酸系の開裂可能な連結基
リン酸系の開裂可能な連結基は、リン酸基を分解または加水分解する薬剤によって開裂される。細胞内のリン酸基を開裂する薬剤の一例は、細胞内のホスファターゼ等の酵素である。リン酸系連結基の例は、−O−P(O)(ORk)−O−、−O−P(S)(ORk)−O−、−O−P(S)(SRk)−O−、−S−P(O)(ORk)−O−、−O−P(O)(ORk)−S−、−S−P(O)(ORk)−S−、−O−P(S)(ORk)−S−、−S−P(S)(ORk)−O−、−O−P(O)(Rk)−O−、−O−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−O−、−S−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−S−、−O−P(S)(Rk)−S−である。好ましい実施形態は、−O−P(O)(OH)−O−、−O−P(S)(OH)−O−、−O−P(S)(SH)−O−、−S−P(O)(OH)−O−、−O−P(O)(OH)−S−、−S−P(O)(OH)−S−、−O−P(S)(OH)−S−、−S−P(S)(OH)−O−、−O−P(O)(H)−O−、−O−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−O−、−S−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−S−、−O−P(S)(H)−S−である。好ましい実施形態は、−O−P(O)(OH)−O−である。これらの候補は、上記の方法と類似した方法を使用して評価することができる。
【0188】
酸性開裂可能な連結基
酸性開裂可能な連結基は、酸性条件下で開裂される連結基である。好ましい実施形態では、酸性開裂可能な連結基は、約6.5以下(例えば約6.0、5.5、5.0、またはそれ以下)のpHを有する酸性環境において、または一般酸としての機能を果たすことができる酵素等の薬剤によって開裂される。細胞において、エンドソームおよびリソソーム等の特定の低pH細胞小器官は、酸性開裂可能な連結基のための開裂環境を提供することができる。酸性開裂可能な連結基の例としては、アミノ酸のヒドラゾン、エステル、およびエステルが挙げられるがこれに限定されない。酸性開裂可能な基は、一般式−C=NN−、C(O)O、または−OC(O)を有することができる。好ましい実施形態は、エステル(アルコキシ基)の酵素に付着した炭素が、アリール基、置換アルキル基、または第3級アルキル基、例えば、ジメチルペンチルまたはt−ブチルである場合である。これらの候補は、上記の方法と類似した方法を使用して評価することができる。
【0189】
エステル系の開裂可能な連結基
エステル系の開裂可能な連結基は、細胞内のエステラーゼおよびアミダーゼ等の酵素によって開裂される。エステル系の開裂可能な連結基の例としては、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基のエステルが挙げられるがこれに限定されない。エステル開裂可能な連結基は、一般式−C(O)O−または−OC(O)−を有する。これらの候補は、上記の方法と類似した方法を使用して評価することができる。
【0190】
ペプチド系の開裂連結基
ペプチド系の開裂可能な連結基は、細胞内のペプチダーゼおよびプロテアーゼ等の酵素によって開裂される。ペプチド系の開裂可能な連結基は、オリゴペプチド(例えばジペプチド、トリペプチド等)およびポリペプチドを生じさせるために、アミノ酸の間に形成されるペプチド結合である。ペプチド結合は、ペプチドおよびタンパク質を生じさせるために、アミノ酸の間に形成されるアミド結合の特別な種類である。ペプチド系開裂基は、概して、ペプチドおよびタンパク質を生じさせる、アミノ酸の間に形成されるペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全体を含まない。ペプチド系の開裂可能な連結基は、一般式−NHCHR
AC(O)NHCHR
BC(O)−を有し、R
AおよびR
Bは、2つの隣接するアミノ酸のR基である。これらの候補は、上記の方法と類似した方法を使用して評価することができる。
【0191】
2つ以上のエンドソーム分解性リガンドまたは標的リガンドが同一
モジュラー構成物上に存在する場合、2つ以上のエンドソーム分解性リガンドまたは標的リガンドは、オリゴヌクレオチド鎖またはエンドソーム分解性リガンドもしくは標的リガンドに、直鎖状に、または分岐リンカー基によって連結されてもよい。
【0192】
iRNA剤
iRNA剤は、iRNA剤またはその断片が、標的遺伝子の下方制御を媒介することができるように、標的遺伝子に対して十分な相同性の領域を含み、かつヌクレオチドの観点から十分な長さを有するべきである(説明を簡単にするために、ヌクレオチドまたはリボヌクレオチドという用語は、時にRNA剤の1つ以上のモノマーサブユニットに関連して、本明細書で使用される。本明細書の「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語の使用は、修飾RNAまたはヌクレオチド代替物の場合、修飾ヌクレオチドまたは1つ以上の位置における代理置換部分にも言及することをここで理解されたい)。したがって、iRNA剤は、標的RNAに少なくとも部分的に、いくつかの実施形態では完全に相補的である領域であるか、またはそのような領域を含む。iRNA剤と標的との間で完全な相補性がある必要はないが、対応は、iRNA剤またはその開裂産物が、例えば、標的RNA、例えば、mRNAのRNAi開裂によって、配列特異的サイレンシングを導くことを可能にするのに十分でなければならない。標的鎖との相補性または相同性の程度は、アンチセンス鎖において最も重要である。特にアンチセンス鎖において、完全な相補性がしばしば所望である一方で、いくつかの実施形態は、特にアンチセンス鎖において、1つ以上、例えば、6、5、4、3、2、またはそれ未満の(標的RNAに対する)ミスマッチを含むことができる。特にアンチセンス鎖において、ミスマッチは、末端領域内で最も許容され、存在する場合、末端領域、または例えば、5'および/もしくは3'末端の6、5、4、もしくは3ヌクレオチド内の領域内にあってもよい。センス鎖は、分子の二本鎖特徴全体を維持するために、アンチセンス鎖と十分に相補的であるだけでよい。
【0193】
本明細書の別の箇所に考察されるように、また全体が参照として組み込まれる資料において、iRNA剤はしばしば、修飾されるか、またはヌクレオシド代替物を含む。iRNA剤の一本鎖領域はしばしば、修飾されるか、またはヌクレオシド代替物を含み、例えば、ヘアピン構造の不対領域(複数を含む)、例えば、2つの相補的な領域を連結する領域は、修飾またはヌクレオシド代替物を有することができる。例えば、エキソヌクレアーゼに対して、iRNA剤の1つ以上の3'もしくは5'末端を安定化するための、またはアンチセンスsiRNA剤がRISCに入ることを助長するための修飾もまた、想定される。修飾は、C3(またはC6、C7、C12)アミノリンカー、チオールリンカー、カルボキシルリンカー、非ヌクレオチドスペーサー(C3、C6、C9、C12、脱塩基、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール)、特別なビオチン、またはホスホラミダイトとして生じ、かつRNA合成中に複数のカップリングを可能にするように、別のDMT保護ヒドロキシル基を有する、フルオレセイン試薬を含むことができる。
【0194】
iRNA剤は、インターフェロン応答を引き起こすのに十分長い分子(Dicer(Bernstein et al.2001.Nature,409:363−366)によって開裂され、RISC(RNAi誘発サイレンシング複合体)に入ることができる)、およびインターフェロン応答を引き起こさないくらい十分短い分子(その分子もまた、Dicerによって開裂され、RISCに入ることができる)、例えば、RISCへ入ることを可能にするサイズの分子、例えば、Dicer開裂産物に類似する分子を含む。インターフェロン応答を引き起こさないくらい十分短い分子は、本明細書において、siRNA剤またはより短いiRNA剤と呼ばれる。本明細書で使用する「siRNA剤またはより短いiRNA剤」は、ヒト細胞内で有害なインターフェロン応答を誘発しないくらい十分短い、iRNA剤、例えば、二本鎖RNA剤または一本鎖薬剤を指し、例えば、それは、60、50、40、または30未満のヌクレオチド対の二本鎖領域を有する。siRNA剤またはその開裂産物は、例えば、標的RNAに対してRNAiを誘発することによって、標的遺伝子を下方制御することができ、その標的は、内在性または病原体標的RNAを含み得る。
【0195】
siRNA剤の各鎖は、30、25、24、23、22、21、または20以下のヌクレオチド長であり得る。鎖は、少なくとも19ヌクレオチド長であり得る。例えば、各鎖は、21〜25の間のヌクレオチド長であってもよい。siRNA剤は、17、18、19、29、21、22、23、24、もしくは25のヌクレオチド対の二本鎖領域、および2〜3ヌクレオチドの1つ以上の突出部、または1つもしくは2つの3'突出部を有してもよい。
【0196】
標的RNAとの相同性および標的遺伝子を下方制御するための能力に加えて、iRNA剤は、以下の特性のうちの1つ以上を有することができる。
【0197】
(1)iRNA剤は、以下のRNA剤の項に記載される式VIであり得る。
【0198】
(2)一本鎖の場合、iRNA剤は、1つ以上のリン酸基、またはリン酸基の1つ以上の類似体を含む、5'修飾を有してもよい。
【0199】
(3)iRNA剤は、非常に多くの数または全てのヌクレオシドに対してさえの修飾にもかかわらず、正確な塩基対合を形成し、かつ例えば、標的RNAの開裂によって、標的の下方制御を可能にするのに十分な相同の標的RNAと二本鎖構造を形成することができるように、適切な3次元骨格において塩基(または修飾塩基)を示すことができる、アンチセンス鎖を有し得る。
【0200】
(4)iRNA剤は、非常に多くの数または全てのヌクレオシドに対してさえの修飾にもかかわらず、「RNA類似」の性質をなおも有し得、すなわち、リボヌクレオチドをベースとした内容物の全てまたは部分的でさえないが、RNA分子の全体の構造的、化学的、および物理的特性を有し得る。例えば、iRNA剤は、例えば、ヌクレオチド糖の全てが、2'ヒドロキシルの代わりに2'フルオロを含有する、センスおよび/またはアンチセンス鎖を含有することができる。このデオキシリボヌクレオチド含有薬剤は、RNA類似の性質を示すことがなおも予測され得る。理論によって束縛されることを望まないが、電気陰性のフッ素は、リボースのC2'位置に付着される場合、軸配向性を好む。このフッ素の空間的な優先傾向は、糖にC
3'エンドパッカーを採用させることができる。これは、RNA分子に観察されるものと同一のパッカー形式であり、RNAに特徴的なAファミリー型へリックスが生じる。さらに、フッ素は、良好な水素結合の受体であることから、RNA構造を安定化することが既知である水分子と同一の水素結合相互作用に関与することができる。2'糖位置における修飾部分は、デオキシリボヌクレオチドのH部分よりもリボヌクレオチドのOH部分の特徴をより示す、H結合に関与することが可能であり得る。特定のiRNA剤は、その糖の全てまたは少なくとも50、75,80、85、90、もしくは95%においてC
3'エンドパッカーを示すか、RNAに特徴的なAファミリー型へリックスを生じさせることができるくらい十分な量のその糖において、C
3'エンドパッカーを示すか、20、10、5、4、3、2、または1より多いC
3'エンドパッカー構造ではない糖を有することがない。修飾の本質にかかわらず、またRNA剤は、特に突出部または他の一本鎖領域において、デオキシヌクレオチドまたは修飾デオキシヌクレオチドを含有することができるが、DNA分子、あるいは分子中のヌクレオチドの50、60、もしくは70%超、または二本鎖領域内のヌクレオチドの50、60、もしくは70%超が、デオキシリボヌクレオチドであるか、または2'位置においてデオキシである修飾デオキシリボヌクレオチドである任意の分子が、RNA剤の定義から除外されることは確実である。
【0201】
本明細書で使用する「一本鎖iRNA剤」は、単一分子で構成されるiRNA剤である。それは、鎖内対合によって形成される二本鎖領域を含むことができ、例えば、ヘアピンまたはパンハンドル構造であっても、もしくはそれを含んでもよい。一本鎖iRNA剤は、標的分子に対してアンチセンスであり得る。ある実施形態では、一本鎖iRNA剤は、5'リン酸化であるか、または5'プライム末端においてホスホリル類似体を含む。5'−リン酸修飾は、RISC媒介遺伝子サイレンシングに適合するものを含む。好適な修飾としては、5'−一リン酸((HO)
2(O)P−O−5');5'−二リン酸((HO)
2(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−三リン酸((HO)2(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化)(7m−G−O−5'−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N−O−5'−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−モノチオリン酸(ホスホロチオエート;(HO)
2(S)P−O−5');5'−モノジチオリン酸(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P−O−5')、5'−ホスホロチオレート((HO)
2(O)P−S−5');酸素/硫黄で置き換えられた一リン酸、二リン酸、および三リン酸の任意の追加の組み合わせ(例えば5'−α−チオ三リン酸、5'−γ−チオ三リン酸等)、5'−ホスホロアミダート((HO)
2(O)P−NH−5'、(HO)(NH2)(O)P−O−5')、5'−アルキルホスホネート(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5'−、(OH)
2(O)P−5'−CH2−)、5'−アルキルエーテルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH
2−)、エトキシメチル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5'−)が挙げられる(これらの修飾はまた、二本鎖iRNAのアンチセンス鎖で使用することができる)。
【0202】
一本鎖iRNA剤は、RISCに入り、かつ標的mRNAのRISC媒介開裂に関与することができるくらい十分長くてもよい。一本鎖iRNA剤は、少なくとも14、他の実施形態では、少なくとも15、20、25、29、35、40、または50ヌクレオチド長である。ある実施形態では、200、100、または60未満のヌクレオチド長である。
【0203】
ヘアピンiRNA剤は、17、18、19、29、21、22、23、24、もしくは25に等しいか、または少なくとも17、18、19、29、21、22、23、24、もしくは25ヌクレオチド対の二本鎖領域を有する。二本鎖領域は、200、100、または50以下の長さであってもよい。ある実施形態では、二本鎖領域の範囲は、15〜30、17〜23、19〜23、および19〜21ヌクレオチド対長である。ヘアピンは、一本鎖突出部、またはいくつかの実施形態では、3'末端の、および特定の実施形態では、ヘアピンのアンチセンス側の末端不対領域を有してもよい。いくつかの実施形態では、突出部は、2〜3ヌクレオチド長である。
【0204】
本明細書で使用する「二本鎖(ds)iRNA剤」は、鎖間のハイブリダイゼーションが二本鎖構造の領域を形成することができる、2つ以上、場合によっては、2つの鎖を含むiRNA剤である。
【0205】
二本鎖iRNA剤のアンチセンス鎖は、14、15、16、17、18、19、25、29、40、もしくは60ヌクレオチド長に等しいか、または少なくとも14、15、16、17、18、19、25、29、40、もしくは60ヌクレオチド長であってもよい。それは、200、100、または50ヌクレオチド長以下であってもよい。範囲は、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド長であってもよい。
【0206】
二本鎖iRNA剤のセンス鎖は、14、15、16、17、18、19、25、29、40、もしくは60ヌクレオチド長に等しいか、または少なくとも14、15、16、17、18、19、25、29、40、もしくは60ヌクレオチド長であってもよい。それは、200、100、または50ヌクレオチド長以下であってもよい。範囲は、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド長であってもよい。
【0207】
二本鎖iRNA剤の二本鎖部分は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、29、40、もしくは60ヌクレオチド対長に等しいか、または少なくとも14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、29、40、もしくは60ヌクレオチド対長であってもよい。それは、200、100、または50ヌクレオチド対長以下であってもよい。範囲は、15〜30、17〜23、19〜23、および19〜21ヌクレオチド対長であってもよい。
【0208】
多くの実施形態では、ds iRNA剤は、より小さいds iRNA剤、例えば、siRNA剤を産生するために、内在性分子によって、例えば、Dicerによって開裂することができるくらい十分大きい。
【0209】
本発明はさらに、本発明のiRNA剤のうちの1つによって標的化される配列内で標的化するiRNA剤を含む。本明細書で使用するように、第2のiRNA剤は、第2のiRNA剤が第1のiRNA剤のアンチセンス鎖に相補的なmRNA内のどこかでメッセージを開裂する場合、第1のiRNA剤の配列内で標的化するとされる。そのような第2の薬剤は、概して、標的遺伝子中の選択された配列に連続する領域から取られる、さらなるヌクレオチド配列に結合した、少なくとも15連続ヌクレオチドから成る。
【0210】
本発明のdsiRNAは、標的配列との1つ以上のミスマッチを含有することができる。好ましい実施形態では、本発明のdsiRNAは、3つより多いミスマッチは含有しない。dsiRNAのアンチセンス鎖が標的配列とのミスマッチを含有する場合、ミスマッチの範囲は、相補性領域の中心に位置しないことが好ましい。dsiRNAのアンチセンス鎖が標的配列とのミスマッチを含有する場合、ミスマッチは、いずれかの末端から5−ヌクレオチド、例えば相補性領域の5'または3'末端のいずれかから5、4、3、2、または1ヌクレオチドに限定されることが好ましい。例えば、標的遺伝子の領域に相補的な23ヌクレオチドdsiRNA鎖に対して、dsRNAは、概して、中央の13ヌクレオチド内にいかなるミスマッチも含有しない。標的配列とのミスマッチを含有するdsiRNAが、標的遺伝子の発現の阻害に有効であるかどうかを判定するために、本発明に記載する方法を使用することができる。標的遺伝子の発現の阻害における、ミスマッチを有するdsiRNAの有効性の考察は、特に、標的遺伝子中の特定の相補性領域が集団内で多型配列変異を有することが既知である場合、重要であり得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖とのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、3'末端から5ヌクレオチド、例えば、相補性領域の末端から5、4、3、2、または1ヌクレオチドにある。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、標的開裂部位領域内に位置する。一実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖と1、2、3、4、または5つより多くのミスマッチを有することがない。好ましい実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖と3つより多くのミスマッチを有することはない。
【0212】
ある実施形態では、センス鎖は、標的開裂部位領域内に、核酸塩基修飾、例えば、随意的に置換された天然または非天然核酸塩基、ユニバーサル核酸塩基を含む。
【0213】
本明細書における「標的開裂部位」は、iRNA剤を利用することによって、RISC機構によって開裂される、標的遺伝子、例えば、標的mRNA、またはセンス鎖における骨格連結を意味する。また「標的開裂部位領域」は、開裂部位の両側に少なくとも1つまたは少なくとも2つのヌクレオチドを含む。センス鎖に対して、標的開裂部位は、センス鎖自体がRNAi機構によって開裂される標的であるならば、開裂されるであろうセンス鎖中の骨格連結である。標的開裂部位は、当該技術分野で既知の方法、例えば、Soutschek et al.,Nature(2004)432,173−178に詳述されるような5'−RACEアッセイを使用して判定することができる。当該技術分野においてよく理解されるように、2つの21ヌクレオチド長の鎖(該鎖は、3'末端において2−ヌクレオチド一本鎖突出部を有する、19の連続塩基対の二本鎖領域を形成する)を含む円錐型の二本鎖RNAi剤に対する開裂部位領域は、センス鎖の5'末端から9〜12位置に対応する。
【0214】
本発明はまた、キメラ化合物である核酸を含む。本発明との関連で、「キメラ」核酸化合物または「キメラ」は、2つ以上の化学的に異なる領域を含有する核酸化合物であり、各領域は、少なくとも1つのモノマー単位、すなわち、核酸化合物の場合、ヌクレオチドで構成される。これらの核酸は、典型的には、核酸が修飾され、それによって、増加したヌクレアーゼ分解への耐性、増加した細胞取り込み、および/または標的核酸に対する増加した結合親和性をもたらすような、少なくとも1つの領域を含有する。核酸のさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを開裂することが可能な酵素の基質としての機能を果たしてもよい。RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を開裂する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化は、RNA標的の開裂をもたらし、それによって、遺伝子発現のdsRNA阻害の効率性を大いに増大する。
【0215】
本発明はまた、2つの鎖が一緒に連結されるds iRNAを含む。2つの鎖は、(dT)
n(nは、4〜10である)等のポリヌクレオチドリンカーによって一緒に連結することができ、それによって、ヘアピンを形成する。2つの鎖はまた、非ヌクレオシドリンカー、例えば、本明細書に記載するリンカーによって一緒に連結することができる。本明細書に記載する任意のオリゴヌクレオチド化学修飾または変異を、ポリヌクレオチドリンカーで使用することができることは、当業者によって理解されるであろう。
【0216】
二本鎖オリゴヌクレオチドは、二本鎖がアンチセンス鎖の5'末端領域内で解離または融解する傾向を増加させる(二本鎖会合の自由エネルギーを減少させる)ことによって、RNA干渉に対して最適化することができる。これは、例えば、二本鎖がアンチセンス鎖の5'末端領域内で解離または融解する傾向を増加させる、修飾または修飾ヌクレオシドの包含によって達成することができる。それはまた、二本鎖がアンチセンス鎖の5'末端領域内で解離または融解する傾向を増加させる、修飾もしくは修飾ヌクレオシドの包含、またはリガンドの付着によっても達成することができる。理論によって束縛されることを望まないが、その効果は、ヘリカーゼ等の酵素の効果を促進すること、例えば、アンチセンス鎖の5'末端付近の酵素の効果を促進することに起因し得る。
【0217】
二本鎖中のアンチセンス鎖の5'末端が解離する傾向を増加させる修飾は、単独で、または本明細書に記載する他の修飾、例えば、二本鎖中のアンチセンスの3'末端が解離する傾向を現象させる修飾と組み合わせて使用することができる。同様に、二本鎖中のアンチセンスの3'末端が解離する傾向を減少させる修飾は、単独で、または本明細書に記載する他の修飾、例えば、二本鎖中のアンチセンスの5'末端が解離する傾向を増加させる修飾と組み合わせて使用することができる。
【0218】
核酸塩基対は、解離または融解を促進するそれらの傾向に基づいてランク付けすることができる(例えば会合の自由エネルギーまたは特定の対合の解離に対して、最も単純な方法は、個々の対に基づいて対を検査することであるが、近隣または同様分析を使用することもできる)。解離の促進の観点から、A:Uは、G:Cよりも好ましく、G:Uは、G:Cよりも好ましく、I:Cは、G:Cよりも好ましく(I=イノシン)、ミスマッチ、例えば、非正準または正準対合以外は、正準(A:T、A:U、G:C)対合よりも好ましく、ユニバーサル塩基を含む対合は、正準対合よりも好ましい。
【0219】
二本鎖を形成する傾向を減少させる対合は、アンチセンス鎖の5'末端における二本鎖中の位置の1つ以上で使用されることが好ましい。末端対(アンチセンス鎖の観点から、最も5'側の対)、および二本鎖中のそれに続く4つの塩基対合位置(アンチセンス鎖の観点から、3'方向に進む)が、二本鎖を形成する傾向を減少させるための修飾の置き換えに好ましい。最末端の対およびそれに続く3、2、または1つの塩基対合の置き換えがより好ましい。二本鎖中のアンチセンス鎖の5'末端から少なくとも1、およびより好ましくは、2、3、4、または5つの塩基対が、A:U、G:U、I:C、ミスマッチ対、例えば、非正準もしくは正準対合以外、またはユニバーサル塩基を含む対合の群から独立して選択されることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの塩基対がユニバーサル塩基を含む。
【0220】
解離を促進する修飾または変化は、好ましくは、センス鎖中で行われるが、いくつかの実施形態では、そのような修飾/変化は、アンチセンス鎖中で行われる。
【0221】
核酸塩基対はまた、安定性を促進し、かつ解離または融解を阻害するそれらの傾向に基づいてランク付けすることができる(例えば会合の自由エネルギーまたは特定の対合の解離に対して、最も単純な方法は、個々の対に基づいて対を検査することであるが、近隣または同様分析を使用することもできる)。二本鎖安定性の観点から、G:Cは、A:Uよりも好ましく、ワトソン・クリックマッチ(A:T、A:U、G:C)は、非正準または正準対合以外よりも好ましく、安定性を増加させる類似体は、ワトソン・クリックマッチ(A:T、A:U、G:C)よりも好ましく、例えば、2−アミノ−A:Uは、A:Uよりも好ましく、2−チオUまたは5Me−チオ−U:Aは、U:Aよりも好ましく、G−クランプ(4つの水素結合を有するCの類似体):Gは、C:Gよりも好ましく、グアナジニウム−G−クランプ:Gは、C:Gよりも好ましく、偽ウリジン:Aは、U:Aよりも好ましく、結合を強化する糖修飾、例えば、2'修飾、例えば、2'F、ENA、またはLNAは、非修飾部分よりも好ましく、二本鎖の安定性を強化するために、一方または両方の鎖上に存在することができる。
【0222】
二本鎖を形成する傾向を増加させる対合は、アンチセンス鎖の3'末端における二本鎖中の位置の1つ以上で使用されることが好ましい。末端対(アンチセンス鎖の観点から、最も3'側の対)、および二本鎖中のそれに続く4つの塩基対合位置(アンチセンス鎖の観点から、5'方向に進む)は、二本鎖を形成する傾向を減少させるための修飾の置き換えに好ましい。最末端の対およびそれに続く3、2、または1つの塩基対合の置き換えがより好ましい。列挙された領域の少なくとも1、およびより好ましくは、2、3、4、または5つの対が、G:C、ワトソン・クリックマッチ(A:T、A:U、G:C)よりも安定性を増加させる類似体を有する対、2−アミノ−A:U、2−チオUまたは5Me−チオ−U:A、G−クランプ(4つの水素結合を有するCの類似体):G、グアナジニウム−G−クランプ:G、偽ウリジン:A、一方または両方のサブユニットが、結合を強化する糖修飾、例えば、2'修飾、例えば、2'F、ENA、またはLNAを有する、対の群から独立して選択されることが好ましい。いくつかの実施形態では、塩基対のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つが二本鎖の安定性を促進する。
【0223】
好ましい実施形態では、塩基対のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つは、一方または両方のサブユニットが、結合を強化する糖修飾、例えば、2'修飾、例えば、2'−O−メチル、2'−O−Me(2'−O−メチル)、2'−O−MOE(2'−O−メトキシエチル)、2'−F、2'−O−CH
2−(4'−C)(LNA)、および2'−O−CH
2CH
2−(4'−C)(ENA)を有する、対である。
【0224】
G−クランプおよびグアニジニウムG−クランプは、以下の参考文献において考察される。Holmes and Gait,“The Synthesis of 2'−O−Methyl G−Clamp Containing Oligonucleotides and Their Inhibition of the HIV−1 Tat−TAR Interaction,”Nucleosides,Nucleotides & Nucleic Acids,22:1259−1262,2003、Holmes et al.,“Steric inhibition of human immunodeficiency virus type−1 Tat−dependent trans−activation in vitro and in cells by oligonucleotides containing 2'−O−methyl G−clamp ribonucleoside analogues,”Nucleic Acids Research,31:2759−2768,2003、Wilds,et al.,“Structural basis for recognition of guanosine by a synthetic tricyclic cytosine analogue:Guanidinium G−clamp,”Helvetica Chimica Acta,86:966−978,2003、Rajeev,et al.,“High−Affinity Peptide Nucleic Acid Oligomers Containing Tricyclic Cytosine Analogues,”Organic Letters,4:4395−4398,2002、Ausin,et al.,“Synthesis of Amino− and Guanidino−G−Clamp PNA Monomers,”Organic Letters,4:4073−4075,2002、Maier et al.,“Nuclease resistance of oligonucleotides containing the tricyclic cytosine analogues phenoxazine and 9−(2−aminoethoxy)−phenoxazine(”G−clamp”) and origins of their nuclease resistance properties,”Biochemistry,41:1323−7,2002、Flanagan,et al.,“A cytosine analog that confers enhanced potency to antisense oligonucleotides,”Proceedings Of The National Academy Of Sciences Of The United States Of America,96:3513−8,1999。
【0225】
上で考察されるように、ds iRNAは、二本鎖のアンチセンス5'末端の安定性の減少、および二本鎖のアンチセンス3'末端の安定性の増加の両方を行うために修飾することができる。これは、二本鎖のアンチセンス5'末端における安定性減少修飾のうちの1つ以上を、二本鎖のアンチセンス3'末端の安定性増加修飾のうちの1つ以上と組み合わせることによって達成することができる。
【0226】
二本鎖iRNA剤のアンチセンスおよびセンス鎖の一方または両方を修飾することが望ましくあり得る。ある場合には、それらは、同一修飾または同一種類の修飾を有するが、他の場合では、センスおよびアンチセンス鎖は、異なる修飾を有し、例えば、ある場合には、センス鎖のみを修飾することが望ましい。例えば、センス鎖を不活性化するために、センス鎖のみを修飾することが望ましくあり得、例えば、センス鎖は、センス鎖を不活性化し、かつ活性siRNA/タンパク質またはRISCの形成を防止するために、修飾することができる。これは、例えば、5'−O−メチルリボヌクレオチドでの修飾によって、センス鎖の5'−リン酸化反応を防止する修飾によって、達成することができる(Nykaenen et al.,(2001)ATP requirements and small interfering RNA structure in the RNA interference pathway.Cell 107,309−321を参照)。リン酸化反応を防止する他の修飾もまた、使用することができ、例えば、O−MeよりもむしろHによって5'−OHを簡単に置換する。あるいは、巨大な基が5'−リン酸に添加され、それをホスホジエステル連結に変化させてもよいが、これは、ホスホジエステラーゼがそのような連結を開裂し、官能性siRNA5'−末端を放出することができるため、あまり望ましくない場合がある。アンチセンス鎖修飾は、5'リン酸化反応、および本明細書に考察される他の5'修飾のいずれか、特に、一本鎖iRNA分子の項で先に考察された5'修飾を含む。
【0227】
センスおよびアンチセンス鎖は、ds iRNA剤が分子の一方または両方の末端において一本鎖または不対領域を含むように選択されてもよい。したがって、ds iRNA剤は、突出部、例えば、1つもしくは2つの5'もしくは3'突出部、または2〜3ヌクレオチドの3'突出部を含有するように対合される、センスおよびアンチセンス鎖を含有してもよい。多くの実施形態は、3'突出部を有する。特定のsiRNA剤は、一本鎖突出部を、いくつかの実施形態では、各末端において1または2または3ヌクレオチド長の3'突出部を有する。突出部は、一方の鎖が他方よりも長い結果、または同一長さの2つの鎖が互い違いである結果であり得る。5'末端は、リン酸化されてもよい。
【0228】
一実施形態では、一本鎖突出部は、配列5'−GCNN−3'を有し、Nは存在ごとに独立して、A、G、C、U、dT、dUであるか、または存在しない。1つの突出部のみを有する二本鎖iRNAは、インビボ、ならびに種々の細胞、細胞培養媒体、血液、および血清中で特に安定し、かつ効果的であることがわかった。dsRNAはまた、概してアンチセンス鎖の5'末端に位置する、平滑末端を有してもよい。
【0229】
一実施形態では、ds iRNAのアンチセンス鎖は、センス鎖上の3'末端および5'末端において、それぞれ1〜10のヌクレオチド突出部を有する。一実施形態では、ds iRNAのセンス鎖は、アンチセンス鎖上の3'末端および5'末端において、それぞれ1〜10のヌクレオチド突出部を有する。
【0230】
いくつかの実施形態では、二本鎖領域の長さは、例えば、上記に考察されるsiRNA剤の範囲内で、15〜30の間、または18、19、20、21、22、および23ヌクレオチド長である。siRNA剤は、長いdsiRNAからの天然Dicer処理産物と長さおよび構造において類似し得る。siRNA剤の2つの鎖が連結される、例えば、共有結合される実施形態もまた含まれる。ヘアピン、または要求される二本鎖領域を提供する他の一本鎖構造、および3'突出部もまた、本発明の範囲内である。
【0231】
いくつかの実施形態では、二本鎖領域の長さは、10〜15の間、例えば、10、11、12、13、14、および15ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は、センス鎖上の3'末端および5'末端において、それぞれ1〜10のヌクレオチド一本鎖突出部を有する。
【0232】
iRNA剤およびsiRNA剤を含む、本明細書に記載する単離iRNA剤は、標的RNA、例えば、mRNA、例えば、タンパク質をコードする遺伝子の転写物のサイレンシングを媒介することができる。便宜上、そのようなmRNAはまた、本明細書において、サイレンシングされるmRNAと称される。そのような遺伝子はまた、標的遺伝子と称される。一般的に、サイレンシングされるRNAは、内在性遺伝子または病原遺伝子である。加えて、mRNA以外のRNA、例えば、tRNA、およびウイルスRNAもまた、標的化することができる。
【0233】
本明細書で使用する「RNAiを媒介する」というフレーズは、配列特異的な方法で標的RNAをサイレンシングする能力を指す。理論によって束縛されることを望まないが、サイレンシングは、RNAi機構またはプロセス、およびガイドRNA、例えば、21〜23ヌクレオチドのsiRNA剤を使用すると考えられる。
【0234】
本明細書で使用する「特にハイブリダイズ可能な」および「相補的な」は、本発明の化合物と標的RNA分子と間で、安定した、かつ特異的な結合が生じるのに十分な程度の相補性を示するのに使用される用語である。特異的結合は、特異的結合が望ましい条件下で、すなわちインビボアッセイもしくは治療の場合、生理学的条件下で、またはインビトロアッセイの場合、アッセイが実施される条件下で、オリゴマー化合物の非標的配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性を必要とする。非標的配列は、典型的には、少なくとも5ヌクレオチド異なる。
【0235】
一実施形態では、iRNA剤は、iRNA剤が標的mRNAによってコードされるタンパク質の産生をサイレンシングするように、標的RNA、例えば、標的mRNAに対して「十分相補的」である。別の実施形態では、iRNA剤は、例えば、正確な相補性領域内でワトソン・クリック塩基対のみで作製されるハイブリッドを形成するために、標的RNA、例えば、標的RNAおよびiRNA剤アニールに「正確に相補的」である。「十分に相補的な」標的RNAは、標的RNAに正確に相補的な内部領域(例えば少なくとも10ヌクレオチドの)を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、iRNA剤は、特に、単一のヌクレオチド差を区別する。この場合、iRNA剤は、正確な相補性が単一ヌクレオチド差の(例えば7ヌクレオチドの範囲内の)領域内に見られる場合にのみ、RNAiを媒介する。
【0236】
本明細書で使用する「オリゴヌクレオチド」という用語は、例えば、100、200、300、または400未満のヌクレオチド長の核酸分子(RNAまたはDNA)を指す。
【0237】
本明細書に考察されるRNA剤は、非修飾RNA、ならびに例えば、有効性を改善するために修飾されたRNA、およびヌクレオシド代替物のポリマーを含む。非修飾RNAは、核酸の構成成分、すなわち、糖、塩基、およびリン酸部分が、自然発生する、例えば、人体内で自然発生するものと同一、または本質的に同一である、分子を指す。当該技術はしばしば、希少または異常であるが自然発生するRNAを修飾RNAと称しており、例えば、Limbach et al.,(1994)Summary:the modified nucleosides of RNA,Nucleic Acids Res.22:2183−2196を参照されたい。しばしば修飾RNA(明らかに、典型的には転写後修飾の結果であるため)と呼ばれるそのような希少または異常なRNAは、本明細書で使用する非修飾RNAという用語の範囲内である。修飾RNAは、核酸の構成成分のうちの1つ以上、すなわち、糖、塩基、およびリン酸部分が、自然発生するものとは異なる、例えば、人体内で発生するものとは異なる、分子を指す。それらは、修飾「RNA」と称されるが、それらは、当然のことながら、修飾によって、RNAではない分子を含む。ヌクレオシド代替物は、リボリン酸骨格が非リボリン酸構造体で置き換えられた分子であり、非リボリン酸構造体は、例えば、リボリン酸骨格の非荷電模倣体のように、ハイブリダイゼーションがリボリン酸骨格に見られるものと実質的に同様になるように、塩基が正確な空間関係で示されることを可能にする。上記の全ての例を本明細書において考察する。
【0238】
以下の考察の大部分は、一本鎖分子を指す。本発明の多くの実施形態では、二本鎖iRNA剤、例えば、部分的に二本鎖のiRNA剤が想定される。したがって、以下に記載する一本鎖構造で作られる二本鎖構造(例えば2つの別々の分子が接触されて二本鎖領域を形成する、または二本鎖領域が分子内対合によって形成される(例えばヘアピン構造))が、本発明の範囲内であることが理解される。長さは、本明細書の他の箇所に記載される。
【0239】
核酸は、サブユニットのポリマーであるため、例えば、塩基、またはリン酸部分、またはリン酸部分の非連結Oの修飾等、以下に記載する修飾の多くは、核酸内で反復される位置で生じる。場合によっては、修飾は、核酸中の対象位置の全て生じるが、多くの場合はそうではない。一例として、修飾は、3'または5'末端位置においてのみ生じてもよく、末端領域のみ、例えば、末端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5、もしくは10ヌクレオチド中のみで生じてもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、または両方で生じてもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみで生じてもよく、またはRNAの一本鎖領域のみで生じてもよい。例えば、非連結O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端のみで生じてもよく、末端領域のみ、例えば、末端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5、もしくは10ヌクレオチド中のみで生じてもよく、または二本鎖および一本鎖領域で、特に末端において生じてもよい。5'末端(複数を含む)は、リン酸化することができる。
【0240】
本明細書に記載する修飾は、唯一の修飾、もしくは複数のヌクレオチド上に含まれる唯一の種類の修飾であってもよく、または修飾は、本明細書に記載する1つ以上の他の修飾と組み合わせることができる。本明細書に記載する修飾はまた、オリゴヌクレオチドに組み合わせることができ、例えば、オリゴヌクレオチドの異なるヌクレオチドは、本明細書に記載する異なる修飾を有する。
【0241】
いくつかの実施形態では、例えば、突出部において特定の塩基を含むように、または一本鎖突出部、例えば、5'もしくは3'突出部、または両方において、修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチド代替物を含むように、安定性を強化することが可能である。例えば、突出部においてプリンヌクレオチドを含むことが望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、3'または5'突出部における塩基の全てまたはいくつかは、例えば、本明細書に記載する修飾で修飾される。修飾は、例えば、リボース糖の2'OH基における修飾の使用、例えば、リボヌクレオチドの代わりにデオキシリボヌクレオチド、例えば、デオキシチミジンの使用、およびリン酸基における修飾、例えば、ホスホチオエート修飾の使用を含むことができる。突出部は、標的配列と相同である必要はない。
【0242】
修飾およびヌクレオチド代替物を以下に考察する。
【化15】
【0243】
上記の式VIに示される骨格は、リボ核酸の一部を表す。基本的構成成分は、リボース糖、塩基、末端リン酸、およびリン酸ヌクレオチド間リンカーである。塩基が、自然発生する塩基、例えば、アデニン、ウラシル、グアニン、またはシトシンである場合、糖は、(図示されるように)非修飾2'ヒドロキシルリボース糖であり、W、X、Y、およびZは、全てOであり、式VIは、自然発生する非修飾オリゴリボヌクレオチドを表す。
【0244】
非修飾オリゴリボヌクレオチドは、いくつかの用途において最適未満であり得、例えば、非修飾オリゴリボヌクレオチドは、例えば、細胞ヌクレアーゼによる分解する傾向がある。ヌクレアーゼは、核酸ホスホジエステル結合を加水分解することができる。しかしながら、上記のRNA構成成分のうちの1つ以上への化学修飾は、改善された特性をもたらすことができ、例えば、オリゴリボヌクレオチドをヌクレアーゼにより安定した状態にすることができる。
【0245】
修飾核酸およびヌクレオチド代替物は、以下のうちの1つ以上を含むことができる。
【0246】
(i)非連結(XおよびY)リン酸酸素のうちの一方もしくは両方、および/または連結(WおよびZ)リン酸酸素のうちの1つ以上の変化、例えば、置き換え(リン酸が末端位置にある場合、位置WまたはZのうちの1つは、リン酸を自然発生するリボ核酸中の追加の要素に連結しない。しかしながら、用語を簡単にするために、特に指定のない限り、核酸の5'末端におけるW位置および核酸の3'末端におけるZ位置は、本明細書で使用する「連結リン酸酸素」という用語の範囲内である)、
(ii)リボース糖の成分、例えば、リボース糖上の2'ヒドロキシルの変化、例えば、置き換え、
(iii)リン酸部分(括弧I)の「脱リン酸化」リンカーによる大規模な置き換え、
(iv)自然発生する塩基の修飾または置き換え、
(v)リボース−リン酸骨格(括弧II)の置き換えまたは修飾、
(vi)RNAの3'末端または5'末端の修飾、例えば、末端リン酸基の除去、修飾、もしくは置き換え、または部分、例えば、蛍光標識部分のRNAの3'末端もしくは5'末端のいずれかへの共役。
【0247】
この文脈において使用される置き換え、修飾、変化等の用語は、任意のプロセスの制限を暗示せず、例えば、修飾は、基準または自然発生するリボ核酸から始め、修飾リボ核酸を産生するためにそれを修飾しなければならないという意味ではなく、むしろ、修飾は、単に自然発生する分子との違いを示す。
【0248】
いくつかの化学物質の実際の電子構造は、たった1つの正準形式(すなわち、Lewis構造)によって適切に表すことができないことが理解される。理論によって束縛されることを望まないが、実際の構造は、その代わりに、集合的に共鳴形式または構造として既知である、2つ以上の正準形式のあるハイブリッドまたは加重平均であり得る。共鳴構造は、別個の化学物質ではなく、紙の上のみで存在する。それらは、特定の化学物質の結合および非結合電子の配置または「局在化」の点においてのみ、相互に異なる。1つの共鳴構造が他のものよりも大きい程度でハイブリッドに寄与することは可能であり得る。したがって、本発明の実施形態の文書および図の説明は、当業者が特定の種の主要な共鳴形式として認識するものの観点から作成されている。例えば、任意のホスホロアミデート(非連結酸素の窒素による置き換え)は、上記の図において、X=OおよびY=Nとして表されるだろう。
【0249】
特定の修飾を以下により詳細に考察する。
【0250】
リン酸基
リン酸基は、負に帯電した種である。電荷は、2つの非連結酸素原子(すなわち、上記の式VIにおけるXおよびY)にわたって均等に分布している。しかしながら、リン酸基は、酸素のうちの1つを異なる置換基で置き換えることによって修飾することができる。このRNAリン酸骨格に対する修飾の1つの結果は、核酸分解へのオリゴリボヌクレオチドの増加した耐性であり得る。したがって、理論によって束縛されることを望まないが、いくつかの実施形態では、非対称電荷分布を有する非荷電リンカーまたは荷電リンカーのいずれかをもたらす変化を導入することが望ましくあり得る。
【0251】
修飾リン酸基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、およびホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、両方の非連結酸素が硫黄によって置き換えられている。XまたはYのうちの1つのみが変化する状態とは異なり、ホスホロジチオエートのリン中心は、オリゴリボヌクレオチドジアステレオマーの形成を妨げるアキラルである。ジアステレオマー形成は、個々のジアステレオマーが種々のヌクレアーゼ耐性を示す調製物を得ることができる。さらに、キラルリン酸基を含有するRNAのハイブリダイゼーション親和性は、対応する非修飾RNA種に対してより低くなり得る。したがって、理論によって束縛されることを望まないが、キラル中心を排除するXおよびYの両方に対する修飾、例えば、ホスホロジチオエート形成は、それらがジアステレオマー混合物を産生することができないという点で望ましいであろう。したがって、XはS、Se、B、BR
3(Rは水素、アルキル、アリールである)、C(すなわち、アルキル基、アリール基等)、H、NR
2(Rは水素、アルキル、アリール等である)、またはOR(Rはアルキルまたはアリールである)のうちのいずれか1つであってもよい。したがって、YはS、Se、B、BR
3(Rは水素、アルキル、アリールである)、C(すなわち、アルキル基、アリール基等)、H、NR
2(Rは水素、アルキル、アリール等である)、またはOR(Rはアルキルまたはアリールである)のうちのいずれか1つであってもよい。Xおよび/またはYを硫黄で置き換えすることが可能である。
【0252】
リン酸の修飾がステレオジェニックになるリン原子をもたらす場合、そのようなキラルリン酸は、「R」配置(本明細書において、Rp)または「S」配置(本明細書において、Sp)のいずれかを有することができる。
【0253】
リン酸リンカーはまた、連結酸素(すなわち、式VIのWまたはZ)を窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、および炭素(架橋メチレンホスホネート)で置き換えることによって修飾することができる。置き換えは、末端酸素(位置W(3')または位置Z(5'))で生じることができる。Wの炭素での置き換えまたはZの窒素での置き換えが可能である。架橋酸素がヌクレオシドの3'−酸素である場合、炭素での置き換えが好ましい。架橋酸素がヌクレオシドの5'−酸素である場合、窒素での置き換えが好ましい。
【0254】
候補薬剤は、以下に記載されるように、適合性に関して評価することができる。
【0255】
糖基
修飾RNAは、リボ核酸の糖基の全てまたはいくつかの修飾を含むことができる。例えば、2'ヒドロキシル基(OH)は、多くの異なる「オキシ」または「デオキシ」置換基で修飾するか、または置き換えることができる。理論によって束縛されないが、ヒドロキシルが2'アルコキシドイオンを形成するためにもはやプロトン化することができないため、強化された安定性が期待される。2'アルコキシドは、リンカーリン原子への分子内求核攻撃による分解を触媒することができる。この場合もやはり、理論によって束縛されることを望まないが、いくつかの実施形態では、2'位置でのアルコキシド形成が不可能である変化を導入することが望ましくあり得る。
【0256】
「オキシ」−2'ヒドロキシル基修飾の例としては、アルコキシまたはアリールオキシ(OR、例えば、R=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2OR;2'ヒドロキシルが、例えば、メチレン架橋によって、同一リボース糖の4'炭素に接続される、「ロックされた」核酸(LNA);2'ヒドロキシルが、エチレン架橋によって同一リボース糖の4'炭素に接続される、ENA;−アミン(アミン=NH
2,アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ、およびアミノアルコキシ)、O(CH
2)
nアミン,(例えばアミン=NH
2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ、およびアミノアルコキシ)が挙げられる。メトキシエチル基(MOE)(OCH
2CH
2OCH
3、PEG誘導体)のみを含有するオリゴヌクレオチドが、強力なホスホロチオエート修飾で修飾されるものに相当するヌクレアーゼ安定性を示すことは、注目に値するものである。
【0257】
「デオキシ」修飾としては、水素(すなわち、部分的にds RNAの突出部分に特に関係があるデオキシリボース糖);ハロ(例えばフルオロ);アミノ(例えばNH
2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸);NH(CH
2CH
2NH)
nCH
2CH
2−アミン(アミン=NH
2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ)、−NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖)、シアノ;メルカプト;アルキル−チオ−アルキル;チオアルコキシ;ならびにハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、またはウレイドで随意的に置換されてもよい、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、およびアルキニルが挙げられる。ある実施形態の他の置換基としては、2'−メトキシエチル、2'−OCH3、2'−O−アリル、2'−C−アリル、および2'−フルオロが挙げられる。
【0258】
他の好ましい置換基は、2'−O−[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル](2'−O−NMA)、2'−NH
2、2'−O−アミン、2'−SH、2'−S−アルキル、2'−S−アリル、2'−O−CH
2−(4'−C)(LNA)、2'−O−CH
2CH
2−(4'−C)(ENA)、2'−O−アミノプロピル(2'−O−AP)、2'−O−ジメチルアミノエチル(2'−O−DMAOE)、2'−O−ジメチルアミノプロピル(2'−O−DMAP)、および2'−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'−O−DMAEOE)である。
【0259】
いくつかの実施形態では、同一リボース糖の2'−および4'−炭素は、本明細書に記載するリンカーによって一緒に連結されてもよい。
【0260】
糖基はまた、リボースにおける対応する炭素とは反対の立体化学的配置を有する、1つ以上の炭素を含有することもできる。したがって、修飾RNAは、糖として、例えば、アラビノースを含有するヌクレオチドを含むことができる。
【0261】
糖基はまた、糖上の1'位置においてα連結、例えば、α−ヌクレオシドを有することもできる。
【0262】
糖基はまた、L−糖例えば、L−ヌクレオシドであってもよい。
【0263】
修飾RNAはまた、C−1'において核酸塩基を欠いている「脱塩基」糖を含むことができる。これらの脱塩基糖はまた、構成糖原子のうちの1つ以上において、修飾をさらに含有することができる。
【0264】
ヌクレアーゼ耐性を最大化するために、2'修飾を1つ以上のリン酸リンカー修飾(例えばホスホロチオエート)と組み合わせて使用することができる。いわゆる「キメラ」オリゴヌクレオチドは、2つ以上の異なる修飾を含有するものである。
【0265】
修飾候補は、以下に記載するように評価することができる。
【0266】
リン酸基の置き換え
リン酸基は、非リン含有結合によって置き換えることができる(上記の式VIの括弧Iを参照)。理論によって束縛されることを望まないが、荷電ホスホジエステル基は、核酸分解における反応中心であるため、その中性の構造模倣体との置き換えは、強化されたヌクレアーゼ安定性を付与するはずであると考えられる。この場合もやはり、理論によって束縛されることを望まないが、ある実施形態では、荷電リン酸基が中性部分によって置き換えられる変化を導入することが望ましくあり得る。
【0267】
リン酸基を置き換えることができる部分の例としては、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホナート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、およびメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。ある実施形態では、置き換えは、メチレンカルボニルアミノおよびメチレンメチルイミノ基を含んでもよい。
【0268】
修飾候補は、以下に記載するように評価することができる。
【0269】
リボリン酸骨格の置き換え
また、オリゴヌクレオチド模倣骨格を構成することができ、そこで、リン酸リンカーおよびリボース糖は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシドまたはヌクレオチド代替物によって置き換えられる(上記の式1の括弧IIを参照)。理論によって束縛されることを望まないが、反復電荷骨格の非存在は、ポリアニオンを認識するタンパク質への結合を減少させると考えられる(例えばヌクレアーゼ)。この場合もやはり、理論によって束縛されることを望まないが、ある実施形態では、塩基が中性代替物骨格によってテザーされる変化を導入することが望ましくあり得る。
【0270】
例としては、モフィリノ、シクロブチル、ピロリジン、およびペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代替物が挙げられる。ある実施形態では、PNA代替物が使用されてもよい。
【0271】
リン酸に連結される酸素のうちの少なくとも1つ、またはリン酸基が、非リン基によって置き換えられた、修飾リン酸連結は、「非ホスホジエステル骨格連結」とも称される。
【0272】
好ましい骨格修飾は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミダート、ホスホネート、アルキルホスホネート、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホナート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンアミノカルボニル、メチレンメチルイミノ(MMI)、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ(MDH)、およびメチレンオキシメチルイミノである。
【0273】
修飾候補は、以下に記載するように評価することができる。
【0274】
骨格連結の種類
正準3'−5'骨格連結はまた、ヌクレオシド上の他の位置の間の連結によって置き換えることができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5'−5'、3'−3'、3'−2'、2'−3'、2'−3'、または2'−5'骨格連結のうちの少なくとも1つを含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの末端上の最後のヌクレオチドは、5'−5'、3'−3'、3'−2'、2'−3'、または2'−3'骨格連結を介して、オリゴヌクレオチドの残りの部分に連結される。
【0276】
末端修飾
オリゴヌクレオチドの3'および5'末端を修飾することができる。そのような修飾は、分子の3'末端、5'末端、または両方の末端にあってもよい。それらは、末端リン酸全体、またはリン酸基の原子のうちの1つ以上の修飾または置き換えを含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドの3'および5'末端は、標識部分、例えば、フルオロフォア(例えばピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3、またはCy5色素)、または保護基(例えば硫黄、シリコン、ホウ素、またはエステルに基づく)等の他の官能性分子物質に共役することができる。官能性分子物質は、リン酸基および/またはスペーサーを介して糖に付着することができる。スペーサーの末端原子は、リン酸基、あるいは糖のC−3'もしくはC−5'、O、N、S、またはC基の連結原子に接続するか、またはそれらを置き換えることができる。あるいは、スペーサーは、ヌクレオチド代替物の末端原子に接続するか、またはそれらを置き換えることができる(例えばPNA)。これらのスペーサーまたはリンカーは、例えば、−(CH
2)
n−、−(CH
2)
nN−、−(CH
2)
nO−、−(CH
2)
nS−、O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2OH(例えばn=3または6)、脱塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、またはモルホリノ、またはビオチン、およびフルオレセイン試薬を含むことができる。スペーサー/リン酸−官能性分子物質−スペーサー/リン酸の配列がiRNA剤の2つの鎖の間に介在する場合、この配列は、ヘアピン型RNA剤中のヘアピンRNAループと置き換わることができる。3'末端は、−OH基であってもよい。理論によって束縛されることを望まないが、特定の部分の共役は、輸送、ハイブリダイゼーション、および特異性の特性を改善することができると考えられる。この場合もやはり、理論によって束縛されることを望まないが、ヌクレアーゼ耐性を改善する末端変化を導入することが望ましいであろう。末端修飾の他の例としては、色素、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素(例えばフェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えばEDTA)、親油性担体(例えばコレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コール酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド共役(例えばアンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えばPEG−40K)、MPEG、[MPEG]
2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカ、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えばアスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えばイミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾール群、アクリジン−イミダゾール共役、テトラアザマクロサイクルのEu3+複合体)が挙げられる。
【0277】
末端修飾は、活性を調整するために、または分解への耐性を調整するために、本明細書の他の箇所で考察されるものを含む様々な理由で、追加することができる。活性を調整するのに有用な末端修飾は、リン酸またはリン酸類似体での5'末端の修飾を含む。例えば、特定の実施形態では、iRNA剤、特に、アンチセンス鎖は、5'リン酸化されるか、または5'プライム末端においてホスホリル類似体を含む。5'−リン酸修飾は、RISC媒介遺伝子サイレンシングに適合するものを含む。好適な修飾としては、5'−一リン酸((HO)2(O)P−O−5');5'−二リン酸((HO)2(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−三リン酸((HO)2(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化)(7m−G−O−5'−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N−O−5'−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5');5'−モノチオリン酸(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P−O−5');5'−モノジチオリン酸(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P−O−5')、5'−ホスホロチオレート((HO)2(O)P−S−5');酸素/硫黄置換一リン酸、二リン酸、および三リン酸の任意のさらなる組合せ(例えば5'−α−チオ三リン酸、5'−γ−チオ三リン酸等)、5'−ホスホロアミダート((HO)2(O)P−NH−5'、(HO)(NH2)(O)P−O−5')、5'−アルキルホスホネート(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5'−、(OH)2(O)P−5'−CH2−)、5'−アルキルエーテルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2−)、エトキシメチル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5'−)が挙げられる。
【0278】
末端修飾はまた、分布を監視するのに有用であり得、そのような場合、添加される基は、フルオロフォア、例えば、フルオレセイン、またはアレクサ色素、例えばアレクサ488を含んでもよい。末端修飾はまた、取り込みを強化するのに有用であり得、このための有用な修飾は、コレステロールを含む。末端修飾はまた、RNA剤を別の部分に架橋結合するのに有用であり得、これに有用な修飾は、マイトマイシンCを含む。
【0279】
修飾候補は、以下に記載するように評価することができる。
【0280】
塩基
アデニン、グアニン、シトシン、およびウラシルは、RNAに見られる最も一般的な塩基である。これらの塩基は、改善された特性を有するRNAを提供するために、修飾するか、または置き換えることができる。例えば、ヌクレアーゼ耐性オリゴリボヌクレオチドは、これらの塩基で、または合成および天然核酸塩基(例えばイノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン、イソグアニシン、またはツベルシジン)、ならびに上記の修飾のいずれか1つで調製することができる。あるいは、上記の塩基および「ユニバーサル塩基」のいずれかの置換または修飾類似体を採用することができる。例としては、2−アミノアデニン、6−メチル、アデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルおよびアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(偽ウラシル)、4−チオウラシル、5−ハロウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−アミノアリルウラシル、8−ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニン、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、およびN−2、N−6、およびO−6置換プリン、(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含む)、ジヒドロウラシル、3−デアザ−5−アザシトシン、2−アミノプリン、5−アルキルウラシル、7−アルキルグアニン、5−アルキルシトシン、7−デアザアデニン、N6、N6−ジメチルアデニン、2,6−ジアミノプリン、5−アミノ−アリル−ウラシル、N3−メチルウラシル、置換1,2,4−トリアゾール、2−ピリジノン、5−ニトロインドール、3−ニトロピロール、5−メトキシウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウラシル、5−メチルアミノメチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3カルボキシプロピル)ウラシル、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N
4−アセチルシトシン、2−チオシトシン、N6−メチルアデニン、N6−イソペンチルアデニン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、N−メチルグアニン、またはO−アルキル化塩基が挙げられる。さらなるプリンおよびピリミジンは、米国特許第3,687,808号明細書に開示されるもの、Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858−859,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990に開示されるもの、およびEnglisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613によって開示されるものを含む。
【0281】
概して、塩基の変化は、安定性を促進するために使用されないが、それらは、他の理由で有用であり得、例えば、いくつかの理由は、例えば、2,6−ジアミノプリンおよび2アミノプリンが蛍光性であることである。修飾塩基は、標的特異性を低減し得る。これは、iRNA剤の設計の際に考慮され得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、核酸塩基は、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン、イソグアニシン、ツベルシジン、2−(ハロ)アデニン、2−(アルキル)アデニン、2−(プロピル)アデニン、2−(アミノ)アデニン、2−(アミノアルキルl)アデニン、2−(アミノプロピル)アデニン、2−(メチルチオ)−N
6−(イソペンテニル)アデニン、6−(アルキル)アデニン、6−(メチル)アデニン、7−(デアザ)アデニン、8−(アルケニル)アデニン、8−(アルキル)アデニン、8−(アルキニル)アデニン、8−(アミノ)アデニン、8−(ハロ)アデニン、8−(ヒドロキシル)アデニン、8−(チオアルキル)アデニン、8−(チオール)アデニン、N
6−(イソペンチル)アデニン、N
6−(メチル)アデニン、N
6,N
6−(ジメチル)アデニン、2−(アルキル)グアニン,2−(プロピル)グアニン、6−(アルキル)グアニン、6−(メチル)グアニン、7−(アルキル)グアニン、7−(メチル)グアニン、7−(デアザ)グアニン、8−(アルキル)グアニン、8−(アルケニル)グアニン、8−(アルキニル)グアニン、8−(アミノ)グアニン、8−(ハロ)グアニン、8−(ヒドロキシル)グアニン、8−(チオアルキル)グアニン、8−(チオール)グアニン、N−(メチル)グアニン、2−(チオ)シトシン、3−(デアザ)−5−(アザ)シトシン、3−(アルキル)シトシン、3−(メチル)シトシン、5−(アルキル)シトシン、5−(アルキニル)シトシン、5−(ハロ)シトシン、5−(メチル)シトシン、5−(プロピニル)シトシン、5−(プロピニル)シトシン、5−(トリフルオロメチル)シトシン、6−(アゾ)シトシン、N
4−(アセチル)シトシン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウラシル、2−(チオ)ウラシル,5−(メチル)−2−(チオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−2−(チオ)ウラシル、4−(チオ)ウラシル、5−(メチル)−4−(チオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−4−(チオ)ウラシル、5−(メチル)−2,4−(ジチオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−2,4−(ジチオ)ウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−(アルキル)ウラシル、5−(アルキニル)ウラシル、5−(アリルアミノ)ウラシル、5−(アミノアリル)ウラシル、5−(アミノアルキル)ウラシル、5−(グアニジンアルキル)ウラシル、5−(1,3−ジアゾール−1−アルキル)ウラシル、5−(シアノアルキル)ウラシル、5−(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5−(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5−(ハロ)ウラシル、5−(メトキシ)ウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−(メトキシカルボニルメチル)−2−(チオ)ウラシル、5−(メトキシカルボニル−メチル)ウラシル、5−(プロピニル)ウラシル、5−(プロピニル)ウラシル、5−(トリフルオロメチル)ウラシル、6−(アゾ)ウラシル、ジヒドロウラシル、N
3−(メチル)ウラシル、5−ウラシル(すなわち、偽ウラシル)、2−(チオ)偽ウラシル、4−(チオ)偽ウラシル,2,4−(ジチオ)偽ウラシル,5−(アルキル)偽ウラシル、5−(メチル)偽ウラシル、5−(アルキル)−2−(チオ)偽ウラシル、5−(メチル)−2−(チオ)偽ウラシル、5−(アルキル)−4−(チオ)偽ウラシル、5−(メチル)−4−(チオ)偽ウラシル、5−(アルキル)−2,4−(ジチオ)偽ウラシル、5−(メチル)−2,4−(ジチオ)偽ウラシル、1−置換偽ウラシル、1−置換2(チオ)−偽ウラシル、1−置換4−(チオ)偽ウラシル、1−置換2,4−(ジチオ)偽ウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−偽ウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−2(チオ)−偽ウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−4−(チオ)偽ウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)偽ウラシル、1−(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−偽ウラシル、1−(アミノアルキルアミノ−カルボニルエチレニル)−2(チオ)−偽ウラシル、1−(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−4−(チオ)偽ウラシル、1−(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)偽ウラシル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジンアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジンアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジンアルキル−ヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジンアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、1,3,5−(トリアザ)−2,6−(ジオキサ)−ナフタレン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン、ツベルシジン、イソグアニシン、イノシニル、2−アザ−イノシニル、7−デアザ−イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンズイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニル、3−(メチル)イソカルボスチリリル、5−(メチル)イソカルボスチリリル、3−(メチル)−7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、7−(アザ)インドリル、6−(メチル)−7−(アザ)インドリル、イミジゾピリジニル、9−(メチル)−イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、プロピニル−7−(アザ)インドリル、2,4,5−(トリメチル)フェニル、4−(メチル)インドリル、4,6−(ジメチル)インドリル、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニル、ジフルオロトリル、4−(フルオロ)−6−(メチル)ベンズイミダゾール、4−(メチル)ベンズイミダゾール、6−(アゾ)チミン、2−ピリジノン、5−ニトロインドール、3−ニトロピロール、6−(アザ)ピリミジン、2−(アミノ)プリン、2,6−(ジアミノ)プリン、5−置換ピリミジン、N
2−置換プリン、N
6−置換プリン、O
6−置換プリン、置換1,2,4−トリアゾール、およびそれらの任意のO−アルキル化またはN−アルキル化誘導体から成る基から選択される。
【0283】
修飾候補は、以下に記載するように評価することができる。
【0284】
カチオン性基
オリゴヌクレオチドに対する修飾はまた、1つ以上のカチオン性基のリン酸または修飾リン酸骨格部分の糖、塩基、および/またはリン原子への付着を含むことができる。カチオン性基は、天然、異常、またはユニバーサル塩基に対する置換が可能である任意の原子に付着することができる。好ましい位置は、ハイブリダイゼーションを妨げない、すなわち、塩基対合に必要な水素結合相互作用を妨げない位置である。カチオン性基は、例えば、糖のC2'位置、または環式もしくは非環式糖代替物における類似位置を介して付着することができる。カチオン性基としては、例えば、O−アミン(アミン=NH
2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、もしくはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ);アミノアルコキシ、例えば、O(CH
2)
nアミン(例えばアミン=NH
2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、もしくはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ);アミノ(例えばNH
2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、もしくはアミノ酸);またはNH(CH
2CH
2NH)
nCH
2CH
2−AMINE(アミン=NH
2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、もしくはジヘテロアリールアミノ)から得られるプロトン化アミノ基を挙げることができる。
【0285】
オリゴヌクレオチド内の修飾の配置
いくつかの修飾は、好ましくは、特定の位置の、例えば、鎖の内部位置の、またはオリゴヌクレオチドの5'もしくは3'末端上のオリゴヌクレオチド上に含まれてもよい。オリゴヌクレオチドの修飾の好ましい位置は、該薬剤に好ましい特性をもたらし得る。例えば、特定の修飾の好ましい位置は、最適な遺伝子サイレンシング特性、またはエンドヌクレアーゼもしくはエキソヌクレアーゼ活性に対する増加した耐性をもたらし得る。
【0286】
オリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドは、2'−5'連結を有してもよい。オリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドは、逆連結、例えば、3'−3'、3'−2'、5'−5'、2'−2'、または2'−3'連結を有してもよい。
【0287】
オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの5'−ピリミジン−プリン−3'(5'−PyPu−3')ジヌクレオチドを含んでもよく、ピリミジンは、2'−O−Me(2'−O−メチル)、2'−O−MOE(2'−O−メトキシエチル)、2'−F、2'−O−[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル](2'−O−NMA)、2'−S−メチル、2'−O−CH
2−(4'−C)(LNA)、および2'−O−CH
2CH
2−(4'−C)(ENA)から成る基から独立して選択される修飾で修飾される。
【0288】
一実施形態では、オリゴヌクレオチド中の配列モチーフ5'−ピリミジン−プリン−3'(5'−PyPu−3')ジヌクレオチドの全ての出現における5'−最末端ピリミジンは、2''−O−Me(2'−O−メチル)、2'−O−MOE(2'−O−メトキシエチル)、2'−F、2'−O−[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル](2'−O−NMA)、2'−S−メチル、2'−O−CH
2−(4'−C)(LNA)、および2'−O−CH
2CH
2−(4'−C)(ENA)から成る基から選択される修飾で修飾される。
【0289】
二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの5'−ウリジン−アデニン−3'(5'−UA−3')ジヌクレオチドを含んでもよく、ウリジンは、2'−修飾ヌクレオチドまたは5'−ウリジン−グアニン−3'(5'−UG−3')ジヌクレオチドであり、5'−ウリジンは、2'−修飾ヌクレオチドまたは末端5'−シチジン−アデニン−3'(5'−CA−3')ジヌクレオチドであり、5'−シチジンは、2'−修飾ヌクレオチドまたは末端5'−ウリジン−ウリジン−3'(5'−UU−3')ジヌクレオチドであり、5'−ウリジンは、2'−修飾ヌクレオチドまたは末端5'−シチジン−シチジン−3'(5'−CC−3')ジヌクレオチドであり、5'−シチジンは、2'−修飾ヌクレオチドまたは末端5'−シチジン−ウリジン−3'(5'−CU−3')ジヌクレオチドであり、5'−シチジンは、2'−修飾ヌクレオチドまたは末端5'−ウリジン−シチジン−3'(5'−UC−3')ジヌクレオチドであり、5'−ウリジンは、2'−修飾ヌクレオチドである。これらの修飾を含む二本鎖オリゴヌクレオチドは、特に、エンドヌクレアーゼ活性に対して安定化される。
【0290】
候補RNAの評価
候補RNA剤、例えば、修飾RNAを、該薬剤または修飾分子および対照分子を適切な条件に露出し、選択された特性の存在を評価することによって、選択された特性に関して評価することができる。例えば、分解生成物への耐性を以下のように評価することができる。修飾候補RNA(および対照分子、通常は非修飾形態)は、分解条件に露出、例えば、分解剤、例えば、ヌクレアーゼを含む環境に露出することができる。例えば、生体試料、例えば、治療上の使用において遭遇し得る環境と同様の生体試料、例えば、血液または細胞分画、例えば、無細胞ホモジネートもしくは破壊細胞を使用することができる。次いで、候補および対照は、多くの方法のいずれかによって分解耐性に関して評価することができる。例えば、候補および対照は、例えば、放射性標識もしくは酵素標識、またはCy3もしくはCy5等の蛍光標識を用いて、露出前に標識化し得る。対照および修飾RNAは、分解剤、随意的に、対照、例えば、不活化された、熱不活性化された分解剤とインキュベートすることができる。次いで、物理的パラメータ、例えば、修飾および対照分子の大きさが決定される。それらは、物理的方法、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動またはサイジングカラムによって決定し、分子がその元の長さを維持しているかどうかを評価することができるか、または機能的に評価することができる。あるいは、未標識の修飾分子の長さを評価するために、ノーザンブロット分析を使用することができる。
【0291】
候補薬剤を評価するために、機能アッセイを使用することもできる。機能アッセイは、最初に、または前に行った非機能アッセイ(例えば分解耐性のアッセイ)の後に適用し、修飾が分子の遺伝子発現をサイレンシングする能力を変化させるかどうかを判定することができる。例えば、細胞、例えば、マウスまたはヒト細胞等の哺乳類細胞は、蛍光タンパク質を発現するプラスミド、例えばGFP、および蛍光タンパク質をコードする転写物と相同の候補RNA剤と同時にトランスフェクトすることができる(例えば国際公開第00/44914号パンフレットを参照)。例えば、GFP mRNAに相同の修飾dsiRNAは、トランスフェクションが候補dsiRNAを含んでいなかった対照細胞、例えば薬剤が添加されていない対照および/または非修飾RNAが添加された対照と比較して、細胞蛍光の低減を監視することによって、GFP発現を阻害する能力を分析することができる。遺伝子発現に対する候補薬剤の有効性は、修飾および非修飾dsiRNA剤の存在下で細胞蛍光を比較することによって、評価することができる。
【0292】
代替の機能アッセイでは、マウスの内在性遺伝子、例えば、c−mos等の母性発現した遺伝子に相同の候補dsiRNA剤をマウス未成熟卵母細胞に注入し、インビボにで該薬剤が遺伝子発現を阻害する能力を分析することができる(例えば国際公開第01/36646号パンフレットを参照)。卵母細胞の表現型、例えば、分裂中期IIにおいて停止を維持する能力は、該薬剤が発現を阻害している指標として監視することができる。例えば、dsiRNA剤によるc−mos mRNAの開裂によって、卵母細胞は、分裂中期停止を終了し、単為発生を開始する(Colledge et al.Nature 370:65−68,1994、Hashimoto et al .Nature,370:68−71,1994)。陰性対照と比較して、該修飾薬剤の標的RNA濃度に対する効果をノーザンブロット分析によって検証し、標的mRNAの濃度の低下を分析することができるか、またはウェスタンブロット分析によって検証し、標的タンパク質の濃度の低下を分析することができる。対照は、薬剤が添加されていない、および/または非修飾RNAが添加された細胞を含むことができる。
【0293】
RNA構造の参考文献
本明細書に列挙される全ての出版物、特許、および公開特許出願の開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0294】
一般的な参考文献
本発明に従って使用されるオリゴリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオシドは、固相合成によるものであってもよく、例えば、“Oligonucleotide synthesis,a practical approach”,Ed.M.J.Gait,IRL Press,1984、“Oligonucleotides and Analogues,A Practical Approach”,Ed.F.Eckstein,IRL Press,1991(特に、Chapter 1,Modern machine−aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis、Chapter 2,Oligoribonucleotide synthesis、Chapter 3,2'−O−−Methyloligoribonucleotide−s:synthesis and applications、Chapter 4,Phosphorothioate oligonucleotides、Chapter 5,Synthesis of oligonucleotide phosphorodithioates、Chapter 6,Synthesis of oligo−2'−deoxyribonucleoside methylphosphonates、およびChapter 7,Oligodeoxynucleotides containing modified bases)を参照されたい。他の特に有用な合成手順、試薬、保護基、および反応条件は、Martin,P.,Helv.Chim.Acta,1995,78,486−504、Beaucage,S.L. and Iyer,R.P.,Tetrahedron,1992,48,2223−2311、およびBeaucage,S.L. and Iyer,R.P.,Tetrahedron,1993,49,6123−6194、またはそれらの中で参照される参考文献に記載される。国際公開第00/44895号、同第01/75164号、または同第02/44321号の各パンフレットに記載される修飾もまた、本明細書で使用することができる。
【0295】
リン酸基の参考文献
ホスフィン酸オリゴリボヌクレオチドの調製に関しては、米国特許第5,508,270号明細書に記載される。アルキルホスホネートオリゴリボヌクレオチドの調製に関しては、米国特許第4,469,863号明細書に記載される。ホスホラミダイトオリゴリボヌクレオチドの調製に関しては、米国特許第5,256,775号または同第5,366,878号の各明細書に記載される。ホスホトリエステルオリゴリボヌクレオチドの調製に関しては、米国特許第5,023,243号明細書に記載される。ボラノリン酸オリゴリボヌクレオチドの調製に関しては、米国特許第5,130,302号および同第5,177,198号の各明細書に記載される。3'−デオキシ−3'−アミノホスホロアミダートオリゴリボヌクレオチドの調製に関しては、米国特許第5,476,925号明細書に記載される。3'−デオキシ−3'−メチレンホスホネートオリゴリボヌクレオチドに関しては、An,H,et al.J.Org.Chem.2001,66,2789−2801に記載される。硫黄架橋ヌクレオチドの調製に関しては、Sproat et al .Nucleosides Nucleotides 1988,7,651、およびCrosstick et al .Tetrahedron Lett.1989,30,4693に記載される。
【0296】
糖基の参考文献
2'修飾に対する修飾は、Verma,S.et al.Annu.Rev.Biochem.1998,67,99−134、およびその中の全ての参考文献に記載されている。リボースに対する具体的な修飾は、以下の参考文献に記載されている。2'−フルオロ(Kawasaki et.al.,J.Med.Chem.,1993,36,831−841)、2'−MOE(Martin,P.Helv.Chim.Acta 1996,79,1930−1938)、“LNA”(Wengel,J.Acc.Chem.Res.1999,32,301−310)。
【0297】
リン酸基の置き換えの参考文献
本明細書においてMMI連結オリゴリボヌクレオシドとしても特定される、メチレンメチルイミノ連結オリゴリボヌクレオシド、本明細書においてMDH連結オリゴリボヌクレオシドとしても特定される、メチレンジメチルヒドラゾ連結オリゴリボヌクレオシド、および本明細書においてアミド−3連結オリゴリボヌクレオシドとしても特定される、メチレンカルボニルアミノ連結オリゴヌクレオシド、および本明細書においてアミド−4連結オリゴリボヌクレオシドとしても特定される、メチレンアミノカルボニル連結オリゴヌクレオシド、ならびに、例えば、交互MMIおよびPOまたはPS連結を有する、混合骨格化合物は、米国特許第5,378,825号、同第5,386,023号、同第5,489,677号の各明細書、ならびに国際出願第PCT/US92/04294号および同第PCT/US92/04305号(それぞれ、国際公開第92/20822号および同第92/20823号として公開される)の各パンフレットに記載されるように調整することができる。ホルムアセタールおよびチオホルムアセタール連結オリゴリボヌクレオシドは、米国特許第5,264,562号および同第5,264,564号の各明細書に記載されるように調製することができる。エチレンオキシド連結オリゴリボヌクレオシドは、米国特許第5,223,618号明細書に記載されるように調製することができる。シロキサンの置き換えに関しては、Cormier,J.F.et al.Nucleic Acids Res.1988,16,4583に記載される。カーボネートの置き換えに関しては、Tittensor,J.R.J.Chem.Soc.C 1971,1933に記載される。カルボキシメチルの置き換えに関しては、Edge,M.D.et al.J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 1972,1991に記載される。カルバメートの置き換えに関しては、Stirchak,E.P.Nucleic Acids Res.1989,17,6129に記載される。
【0298】
リン酸−リボース骨格の置き換えの参考文献
シクロブチル糖代理化合物は、米国特許第5,359,044号明細書に記載されるように調製することができる。ピロリジン糖代替物は、米国特許第5,519,134号明細書に記載されるように調製することができる。モルホリノ糖代替物は、米国特許第5,142,047号および同第5,235,033号の各明細書、ならびに他の関連特許開示に記載されるように調製することができる。ペプチド核酸(PNA)は、それ自体が既知であり、Peptide Nucleic Acids(PNA):Synthesis,Properties and Potential Applications,Bioorganic & Medicinal Chemistry,1996,4,5−23において参照される種々の手順のいずれかに従って調製することができる。それらはまた、米国特許第5,539,083号明細書に記載されるように調製することもできる。
【0299】
末端修飾の参考文献
末端修飾に関しては、Manoharan,M.et al.Antisense and Nucleic Acid Drug Development 12,103−128(2002)およびその中の参考文献に記載される。
【0300】
塩基の参考文献
N−2置換プリンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,459,255号明細書に記載されるように調製することができる。3−デアザプリンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,457,191号明細書に記載されるように調製することができる。5,6−置換ピリミジンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,614,617号明細書に記載されるように調製することができる。5−プロピニルピリミジンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,484,908号明細書に記載されるように調製することができる。さらなる参考文献が、塩基修飾に関する上記の項において開示され得る。
【0301】
末端修飾の参考文献
末端修飾に関しては、Manoharan,M.et al.Antisense and Nucleic Acid Drug Development 12,103−128(2002)およびその中の参考文献に記載される。
【0302】
定義
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素の任意のラジカルを意味する。「アルキル」という用語は、随意的にN、O、またはSを挿入されてもよい、指定数の炭素原子(これらは、プロピル、アリル、またはプロパルギルを含むがこれに限定されない)を含む、直鎖または分岐鎖であってもよい、飽和および不飽和非芳香族炭化水素鎖を指す。例えば、C
1−C
10は、その基がその中に1〜10(を含む)個の炭素原子を有し得ることを示す。「アルコキシ」という用語は、−O−アルキルラジカルを指す。「アルキレン」という用語は、二価アルキル(すなわち、−R−)を指す。「アルキレンジオキソ」という用語は、構造−O−R−O−を持つ二価種を指し、Rは、アルキレンを表す。「アミノアルキル」という用語は、アミノで置換されるアルキルを指す。「メルカプト」という用語は、−SHラジカルを指す。「チオアルコキシ」という用語は、−S−アルキルラジカルを指す。
【0303】
「アリール」という用語は、6−炭素単環式または10−炭素二環式芳香環系を指し、各環の0、1、2、3、または4個の原子は、置換基で置換されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。「アリールアルキル」という用語または「アラルキル」という用語は、アリールで置換されるアルキルを指す。「アリールアルコキシ」という用語は、アリールで置換されるアルコキシを指す。
【0304】
本明細書で採用される「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素、例えば、3〜8個の炭素、および、例えば、3〜6個の炭素を有する、飽和および部分的に不飽和の環式炭化水素基を含み、シクロアルキル基はさらに、随意的に置換されてもよい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられるがこれに限定されない。
【0305】
「ヘテロアリール」という用語は、単環式の場合、1〜3個のヘテロ原子を有し、二環式の場合、1〜6個のヘテロ原子を有し、または三環式の場合、1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族5〜8員環単環式、8〜12員環二環式、または11〜14員環三環式環系を指し、上記のヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ、炭素原子およびN、O、またはSの1〜3、1〜6、または1〜9個のヘテロ原子)、各環の0、1、2、3、または4個の原子は、置換基で置換されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル等が挙げられる。「ヘテロアリールアルキル」という用語または「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されるアルキルを指す。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、ヘテロアリールで置換されるアルコキシを指す。
【0306】
「ヘテロシクリル」という用語は、単環式の場合、1〜3個のヘテロ原子を有し、二環式の場合、1〜6個のヘテロ原子を有し、または三環式の場合、1〜9個のヘテロ原子を有する、非芳香族5〜8員環単環式、8〜12員環二環式、または11〜14員環三環式環系を指し、上記のヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ、炭素原子およびN、O、またはSの1〜3、1〜6、または1〜9個のヘテロ原子)、各環の0、1、2、または3個の原子は、置換基で置換されてもよい。ヘテロシクリル基の例としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル等が挙げられる。
【0307】
「オキソ」という用語は、炭素に付着した場合にカルボニルを形成し、窒素に付着した場合にN−オキシドを形成し、硫黄に付着した場合にスルホキシドまたはスルホンを形成する、酸素原子を指す。
【0308】
「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、それらのいずれも、置換基によってさらに置換され得る。
【0309】
「置換基」という用語は、その基の任意の原子において、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基上で「置換される」基を指す。好適な置換基としては、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、およびウレイド基が挙げられるがこれに限定されない。
【0310】
パリンドローム
本発明のiRNA剤は、2つ以上のRNA領域を標的化することができる。例えば、iRNA剤は、ハイブリダイズするのに相互に十分に相補的な、第1および第2の配列を含むことができる。第1の配列は、第1の標的RNA領域に相補的であることができ、第2の配列は、第2の標的RNA領域に相補的であることができる。iRNA剤の第1および第2の配列は、異なるRNA鎖上にあってもよく、第1および第2の配列間のミスマッチは、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満であり得る。iRNA剤の第1および第2の配列は、同一RNA鎖上にあり、関連実施形態では、iRNA剤の50%、60%、70%、80%、90%、95%、または1%超が、二分子型であり得る。iRNA剤の第1および第2の配列は、相互に完全に相補的であってもよい。
【0311】
第1の標的RNA領域は、第1の遺伝子によってコードすることができ、第2の標的RNA領域は、第2の遺伝子によってコードすることができるか、または第1および第2の標的RNA領域は、単一遺伝子からのRNAの異なる領域であってもよい。第1および第2の配列は、少なくとも1ヌクレオチド異なり得る。
【0312】
第1および第2の標的RNA領域は、遺伝子の第1および第2の配列変異体、例えば、第1および第2の対立遺伝子によってコードされる転写物上にあってもよい。配列変異体は、例えば、突然変異または多型であってもよい。第1の標的RNA領域は、第2の標的RNA領域に対するヌクレオチド置換、挿入、もしくは欠失を含んでもよく、または第2の標的RNA領域は、第1の標的領域の突然変異体または変異体であってもよい。
【0313】
第1および第2の標的RNA領域は、ウイルスまたはヒトRNA領域を含むことができる。第1および第2の標的RNA領域はまた、癌遺伝子の変異体転写物上にあってもく、または腫瘍抑制遺伝子転写物の異なる突然変異を含むことができる。加えて、第1および第2の標的RNA領域は、遺伝的変異のためのホットスポットに対応することができる。
【0314】
本発明の
構成物は、iRNA剤分子の混合物を含むことができる。例えば、1つのiRNA剤は、ハイブリダイズするのに相互に十分に相補的な第1の配列および第2の配列を含有することができ、さらに、第1の配列は、第1の標的RNA領域に相補的であり、第2の配列は、第2の標的RNA領域に相補的である。その混合物はまた、ハイブリダイズするのに相互に十分に相補的な第3の配列および第4の配列を含む、少なくとも1つの追加のiRNA剤の種類を含むことができ、第3の配列は、第3の標的RNA領域に相補的であり、第4の配列は、第4の標的RNA領域に相補的である。加えて、第1または第2の配列は、相互にハイブリダイズすることが可能であるように、第3または第4の配列に十分に相補的であってもよい。第1および第2の配列は、同一または異なるRNA鎖上にあってもよく、第3および第4の配列は、同一または異なるRNA鎖上にあってもよい。
【0315】
標的RNA領域は、ウイルスまたはヒトRNAの変異体配列であってもよく、ある実施形態では、標的RNA領域のうちの少なくとも2つは、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の変異体転写物上にあってもよい。標的RNA領域は、遺伝子ホットスポットに対応することができる。
【0316】
iRNA剤
構成物を作製する方法は、標的遺伝子(例えばウイルスもしくはヒト遺伝子、または癌遺伝子もしくは腫瘍抑制遺伝子、例えば、p53)のRNAの領域に関する情報を取得または提供することを含み得、その領域は、高い変異性または突然変異頻度を有する(例えばヒトにおいて)。加えて、その領域内の複数のRNA標的に関する情報を取得または提供することができ、各RNA標的は、遺伝子の異なる変異体または突然変異体に対応する(例えばp53 248Qおよび/またはp53 249Sをコードするコドンを含む領域)。iRNA剤は、第1の配列が複数の変異体RNA標的のうちの第1の標的((例えば249Qをコードする)に相補的であり、第2の配列が複数の変異体RNA標的のうちの第2の標的((例えば249Sをコードする)に相補的であるように構成することができ、第1および第2の配列は、ハイブリダイズするのに十分に相補的であり得る。
【0317】
高い変異性または突然変異頻度を有する標的遺伝子の領域を同定するために、例えば、標的遺伝子中の一般的な突然変異体を同定するための配列分析を使用することができる。高い変異性または突然変異頻度を有する標的遺伝子の領域は、集団からの標的遺伝子に関する遺伝子型情報を取得または提供することによって、同定することができる。
【0318】
標的遺伝子の発現は、ハイブリダイズするのに相互に十分に相補的な第1の配列および第2の配列を有するiRNA剤を提供することによって、調整、例えば、下方制御またはサイレンシングすることができる。加えて、第1の配列は、第1の標的RNA領域に相補的であってもよく、第2の配列は、第2の標的RNA領域に相補的であってもよい。
【0319】
iRNA剤は、第1の変異体RNA標的領域に相補的な第1の配列、および第2の変異体RNA標的領域に相補的な第2の配列を含むことができる。第1および第2の変異体RNA標的領域は、標的遺伝子、例えば、ウイルス遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、または癌遺伝子の第1および第2の変異体または突然変異体に対応することができる。第1および第2の変異体標的RNA領域は、標的遺伝子の対立遺伝子変異体、突然変異(例えば点突然変異)、または多型を含むことができる。第1および第2の変異体RNA標的領域は、遺伝子ホットスポットに対応することができる。
【0320】
複数のiRNA剤(例えばパネルまたはバンク)を提供することができる。
【0321】
他の実施形態
さらに別の実施形態では、iRNA剤は、インビボで細胞内で、例えば、細胞に送達される外因性DNAテンプレートから産生される。例えば、DNAテンプレートは、ベクターに挿入し、遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば静脈注射、局所投与(米国特許第5,328,470号明細書)によって、または定位注射(例えばChen et al .(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照)によって、対象に送達することができる。遺伝子治療ベクターの医薬調製物は、許容可能な希釈剤中の遺伝子治療ベクターを含むことができ、または遺伝子送達媒体が埋め込まれた持続放出マトリックスを含むことができる。DNAテンプレートは、例えば、2つの転写ユニットを含むことができ、一方は、iRNA剤の上の鎖を含む転写物を産生し、他方は、iRNA剤の下の鎖を含む転写物を産生する。テンプレートが転写されると、iRNA剤が産生され、遺伝子サイレンシングを媒介するsiRNA剤断片に処理される。
【0322】
ある実施形態では、核酸は、2'−OMe修飾で修飾されてもよい(Kraynack & Baker,RNA,12:163−176,2006)。他の実施形態では、核酸は、エチレン−架橋核酸(ENA)を含んでもよい(Morita et al .,Nucleic Acids Res.,2001,Suppl.1,241−242、Surono A et al .,Human Gene Therapy,15:749−757,2004)。
【0323】
マイクロRNA
マイクロRNA(miRNAまたはmir)は、植物または動物のゲノム中のDNAから転写されるが、タンパク質には翻訳されない、小RNA分子の高度に保存された種類である。プレ−マイクロRNAは、miRNAに処理される。処理されたマイクロRNAは、RNA誘発サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、成長、細胞増殖、アポトーシス、および分化の主要調節因子として同定されている、一本鎖の約17〜25ヌクレオチド(nt)RNA分子である。それらは、特定のmRNAの3'−非翻訳領域に結合することによって、遺伝子発現の調節に関与すると考えられる。RISCは、翻訳阻害、転写物開裂、または両方を介して、遺伝子発現の下方制御を媒介する。RISCはまた、幅広い種類の真核生物の核内の転写サイレンシングに関与する。
【0324】
今日まで同定されたmiRNA配列の数は多く、かつ増加しており、それらの具体的な実例は、例えば、“miRBase:microRNA sequences,targets and gene nomenclature”Griffiths−Jones S,Grocock RJ,van Dongen S,Bateman A,Enright AJ.NAR,2006,34,Database Issue,D140−D144、“The microRNA Registry”Griffiths−Jones S.NAR,2004,32,Database Issue,D109−D111に記載されている。
【0325】
標的として使用され得る、または本発明のオリゴヌクレオチドの設計のテンプレートとしての機能を果たし得る、マイクロRNAまたはmirとして記載および/または同定されるものを含む、一本鎖オリゴヌクレオチドは、例えば、“Oligomeric compounds and compositions for use in modulation small non−coding RNAs”と題するEsau,et al.米国公開第2005/0261218号明細書(米国特許出願第10/909,125号明細書)において教示され、その内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する任意のオリゴヌクレオチド化学修飾または変異はまた、一本鎖オリゴヌクレオチドに適用することも、当業者に理解されるであろう。
【0326】
miRNA模倣体
miRNA模倣体は、1つ以上のmiRNAの遺伝子サイレンシング能力を模倣するために使用することができる、分子の種類を表す。したがって、「マイクロRNA」という用語は、RNAi経路に入り、遺伝子発現を調節することができる合成非コードRNA(すなわち、miRNAは、内在性miRNAの源からの精製によって得られない)を指す。miRNA模倣体は、成熟分子(例えば一本鎖)または模倣前駆体(例えばプリ−またはプレ−miRNA)として設計することができる。miRNA模倣体は、RNA、修飾RNA、DNA、修飾DNA、ロックされた核酸、もしくは2'−O,4'−C−エチレン−架橋核酸(ENA)、または上記の任意の組み合わせ(DNA−RNAハイブリッドを含む)が挙げられるがこれに限定されない、オリゴヌクレオチドを含む、核酸(修飾または修飾核酸)から成ることができる。加えて、miRNA模倣体は、送達,細胞内コンパートメント化、安定性、特異性、機能性、鎖の利用、および/または効力に影響を及ぼし得る共役を含むことができる。1つの設計において、miRNA模倣体は、二本鎖分子(例えば約16〜約31ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する)であり、所与のmiRNAの成熟鎖との同一性を有する、1つ以上の配列を含有する。修飾は、分子の一方または両方の鎖上の2'修飾(2'−Oメチル修飾および2'F修飾を含む)、ならびに核酸安定性および/または特異性を強化する、ヌクレオチド間修飾(例えばホスホロチオエート修飾)を含むことができる。加えて、miRNA模倣体は、突出部を含むことができる。突出部は、いずれかの鎖の3'または5'末端のいずれかの1〜6ヌクレオチドから成ることができ、安定性または機能性を強化するように修飾することができる。一実施形態では、miRNA模倣体は、16〜31の間のヌクレオチドおよび以下の化学修飾パターンのうちの1つ以上の二本鎖領域を含む。センス鎖は、ヌクレオチド1および2(センスオリゴヌクレオチドの5'末端から数えて)の2'−O−メチル修飾、ならびにCおよびUの全てを含有し、アンチセンス鎖修飾は、CおよびUの全ての2'F修飾、オリゴヌクレオチドの5'末端のリン酸化反応、ならびに2ヌクレオチド3'突出部に関連する安定化ヌクレオチド間連結を含むことができる。
【0327】
supermir
supermirは、miRNAと実質的に同一であり、その標的に対してアンチセンスである、核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)または両方またはその修飾の一本鎖、二本鎖、または部分的に二本鎖のオリゴマーまたはポリマーを指す。この用語は、自然発生する核酸塩基、糖、および共有ヌクレオシド間(骨格)連結から成り、同様に機能する少なくとも1つの非自然発生的な部分を含有する、オリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾または置換オリゴヌクレオチドは、例えば、強化された細胞取り込み、核酸標的に対する強化された親和性、およびヌクレアーゼの存在下での増加した安定性等の所望の特性により、天然型よりも好ましい。好ましい実施形態では、supermirは、センス鎖を含まず、別の好ましい実施形態では、supermirは、かなりの程度までは自己ハイブリダイズしない。本発明で取り上げられるsupermirは、二次構造を有することができるが、生理学的条件下では実質的に一本鎖である。実質的に一本鎖であるsupermirは、supermirの約50%未満(例えば約40%、30%、20%、10%、または5%未満)がそれ自体と二重である範囲で一本鎖である。supermirは、ヘアピン断片を含むことができ、例えば、好ましくは、3'末端における配列は、自己ハイブリダイズし、二本鎖領域、例えば、少なくとも1、2、3、または4、および好ましくは、8、7、6、またはn未満のヌクレオチド、例えば、5ヌクレオチドの二本鎖領域を形成することができる。二本鎖領域は、リンカー、例えば、ヌクレオチドリンカー、例えば、3、4、5、または6dT、例えば、修飾dTによって接続することができる。別の実施形態では、supermirは、例えば、3'および5'末端の一方もしくは両方において、またはsupermirの一方の末端および非末端もしくは中央において、例えば、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド長のより短いオリゴと二重である。
【0328】
AntimirまたはmiRNA阻害剤
「antimir」、「マイクロRNA阻害剤」、「miR阻害剤」、または「阻害剤」という用語は同義語であり、特定のmiRNAの能力を妨げるオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドを指す。一般的に、阻害剤は、RNA、修飾RNA、DNA、修飾DNA、ロックされた核酸(LNA)、または上記の任意の組み合わせを含む、オリゴヌクレオチドを本質的に含む、核酸または修飾核酸である。修飾は、送達、安定性、特異性、細胞内コンパートメント化、または効力に影響を及ぼし得る、2'修飾(2'−0アルキル修飾および2'F修飾を含む)ならびにヌクレオチド間修飾(例えばホスホロチオエート修飾)を含む。加えて、miRNA阻害剤は、送達、細胞内コンパートメント化、安定性、および/または効力に影響を及ぼし得る、共役を含むことができる。阻害剤は、一本鎖、二本鎖(RNA/RNAもしくはRNA/DNA二本鎖)、およびヘアピン設計を含む、種々の構造を採ることができ、一般的に、マイクロRNA阻害剤は、1つ以上の配列、または標的化されるmiRNAの成熟鎖(複数を含む)と相補的もしくは部分的に相補的な配列の部分を含有し、さらに、miRNA阻害剤は、成熟miRNAの逆相補体である配列に対して5'および3'に位置する追加の配列を含むこともできる。追加の配列は、成熟miRNAが得られるプリ−miRNA中の成熟miRNAに隣接する配列の逆相補体であってもよく、または追加の配列は、任意配列(A、G、C、またはUの混合物を有する)であってもよい。いくつかの実施形態では、追加の配列の一方または両方は、ヘアピンを形成することが可能な任意配列である。したがって、いくつかの実施形態では、miRNAの逆相補体である配列は、ヘアピン構造によって5'側および3'側に配置される。マイクロRNA阻害剤は、二本鎖である場合、反対側の鎖上のヌクレオチド間にミスマッチを含み得る。さらに、マイクロRNA阻害剤は、阻害剤の細胞への取り込みを促進するために、共役部分に連結されてもよい。例えば、マイクロRNA阻害剤は、マイクロRNA阻害剤の細胞への受動的な取り込みを可能にする、コレステリル5−(ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)−3ヒドロキシペンチルカルバメート)に連結されてもよい。ヘアピンmiRNA阻害剤を含むマイクロRNA阻害剤は、Vermeulen et al .,“Double−Stranded Regions Are Essential Design Components Of Potent Inhibitors of RISC Function,”RNA 13:723−730(2007)ならびに国際公開第2007/095387号および同第2008/036825号の各パンフレットに詳細に記載され、それらのそれぞれは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。当業者は、所望のmiRNAのデータベースから配列を選択し、本明細書に開示する方法に有用な阻害剤を設計することができる。
【0329】
U1アダプター
U1アダプターは、ポリA部位を阻害し、かつ標的遺伝子の末端エクソンにおける部位、およびU1 snRNPのU1核内低分子RNA構成成分に結合する「U1ドメイン」に相補的な標的ドメインを有する、二官能性オリゴヌクレオチドである(Goraczniak,et al.,2008,Nature Biotechnology,27(3),257−263。それは、その全体が参照として本明細書に明示的に組み込まれる)。U1 snRNPは、主に、プレ−mRNAエクソン−イントロン境界に結合することによって、スプライセオソーム形成における初期段階を導く働きをする、リボヌクレオタンパク質複合体である(Brown and Simpson,1998,Annu Rev Plant Physiol Plant MoI Biol 49:77−95)。U1 snRNA塩基対の5'末端のヌクレオチド2−11は、プレmRNAの5'ssと結合する。一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、U1アダプターである。一実施形態では、U1アダプターは、少なくとも1つの他のiRNA剤と組み合わせて投与することができる。
【0330】
antagomir
antagomirは、RNAse保護、ならびに強化された組織および細胞取り込み等の薬理学的特性のために、種々の修飾を有する、RNA様オリゴヌクレオチドである。それらは、例えば、糖の完全な2'−O−メチル化、ホスホロチオエート骨格、および例えば、3'−末端におけるコレステロール部分によって、正常なRNAとは異なる。antagomirは、antagomirおよび内在性miRNAを含む二本鎖を形成することによって、内在性miRNAを効率的にサイレンシングするために使用されてもよく、それによって、miRNA誘発遺伝子サイレンシングを防止する。antagomir媒介miRNAサイレンシングの一例は、Krutzfeldt et al ,Nature,2005,438:685−689に記載される、miR−122のサイレンシングであり、それは、その全体が参照として本明細書に明示的に組み込まれる。antagomir RNAは、標準的な固相オリゴヌクレオチド合成プロトコルを使用して合成することができる。米国特許出願第11/502,158号および同第11/657,341号明細書を参照されたい(それらのそれぞれの開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。antagomirは、オリゴヌクレオチド合成のためのリガンド共役モノマーサブユニットおよびモノマーを含むことができる。例示的なモノマーは、2004年8月10日出願の米国出願第10/916,185号明細書に記載される。antagomirは、2004年3月8日出願の国際出願第PCT/US2004/07070号パンフレットに記載されるような、ZXY構造を有することができる。antagomirは、両親媒性部分と複合することができる。オリゴヌクレオチド薬剤で使用するための例示的な両親媒性部分は、2004年3月8日出願の国際出願第PCT/US2004/07070号パンフレットに記載される。
【0331】
antagomirは、マイクロRNAを標的化する、一本鎖、二本鎖、部分的に二本鎖、またはヘアピン構造の化学修飾オリゴヌクレオチドであってもよい。antagomirは、内在性miRNAに実質的に相補的な約12個以上の連続的なヌクレオチド、より具体的には、miRNAまたはプレ−miRNAヌクレオチド配列の標的配列に実質的に相補的な約12個以上の連続的なヌクレオチドを含む薬剤から本質的に成るか、またはそれらを含んでもよい。ある実施形態では、本発明で取り上げられるantagomirは、約12〜25個のヌクレオチド、場合によっては、約15〜23個のヌクレオチドのmiRNA標的配列をハイブリダイズのに十分に相補的な、ヌクレオチド配列を含む。
【0332】
デコイオリゴヌクレオチド
転写因子は、周囲のゲノムDNAの非存在下でさえ、それらの比較的短い結合配列を認識することができるため、特定の転写因子のコンセンサス結合配列を有する短いオリゴヌクレオチドを生細胞内の遺伝子発現を操作するためのツールとして使用することができる。この戦略は、そのような「デコイオリゴヌクレオチド」の細胞内送達を含み、それは、次いで、標的因子によって認識および結合される。デコイによる転写因子のDNA結合部位の占領は、転写因子を、続いて標的遺伝子のプロモーター領域に結合することが不可能な状態にする。デコイは、転写因子によって活性化される遺伝子発現を阻害すること、または転写因子の結合によって抑制される遺伝子を上方制御することのいずれかのために、治療薬剤として使用することができる。デコイオリゴヌクレオチドの利用の例は、Mann et al .,J.Clin.Invest.,2000,106:1071−1075に記載されており、その全体が参照として本明細書に明示的に組み込まれる。
【0333】
本発明で取り上げられるオリゴヌクレオチド薬剤はまた、デコイ核酸、例えば、デコイRNAであってもよい。デコイ核酸は、天然核酸と似ているが、天然核酸の活性を阻害または遮断するように修飾され得る。例えば、デコイRNAは、リガンドの天然結合ドメインを模倣することができる。したがって、デコイRNAは、特異的リガンドとの結合をめぐって天然結合ドメインと競合する。天然結合標的は、内在性核酸、例えば、プレ−miRNA、miRNA、プレ−mRNA、mRNA、またはDNAであってもよい。例えば、HIVトランス活性化反応(TAR)RNAの過剰発現は、「デコイ」としての機能を果たし、HIV tatタンパク質に効率的に結合し、それによって、それが、HIV RNAにコードされるTAR配列に結合することを防止することができることが示されている。ある実施形態では、デコイRNAは、標的化を改善する修飾、例えば、本明細書に記載する標的化修飾を含んでもよい。
【0334】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、選択された配列に少なくとも部分的に相補的なDNAまたはRNAの一本鎖である。アンチセンスRNAの場合、それらは、相補的なRNA鎖に結合することによって、相補的なRNA鎖の翻訳を防止する。アンチセンスDNAはまた、特定の相補的(コードまたは非コード)RNAを標的化するために使用することができる。結合が起こる場合、DNA/RNAハイブリッドは、酵素RNase Hによって分解することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドの利用の例は、Dias et al .,Mol.Cancer Ther.,2002,1:347−355に記載されており、それは、その全体が参照として本明細書に明示的に組み込まれる。
【0335】
本発明で取り上げられる一本鎖オリゴヌクレオチド薬剤は、アンチセンス核酸を含む。「アンチセンス」核酸は、遺伝子発現産物をコードする「センス」核酸に相補的な、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的な、またはRNA配列、例えば、プレ−mRNA、mRNA、miRNA、もしくはプレ−miRNAに相補的な、ヌクレオチド配列を含む。したがって、アンチセンス核酸は、センス核酸標的と水素結合を形成し得る。
【0336】
コード鎖配列(例えばcDNA分子のセンス鎖の配列)を所与として、アンチセンス核酸は、ワトソン−クリック塩基対合の規則に従って設計することができる。アンチセンス核酸分子は、RNA、例えば、プレ−mRNAまたはmRNAのコードまたは非コード領域の一部に相補的であってもよい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、プレ−mRNAまたはmRNAの翻訳開始部位の周囲の領域、例えば、5'UTRに相補的であってもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約10〜25ヌクレオチド長(例えば約11、12、13、14、15、16、18、19、20、21、22、23、または24ヌクレオチド長)であってもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、miRNAまたはプレ−miRNAに相補的であってもよい。
【0337】
ある実施形態では、アンチセンス核酸は、当該技術分野で既知の手順を使用した、化学合成および/または酵素的連結反応を使用して、構成することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、分子の生物学的安定性を増加させるように、またはアンチセンスと標的核酸との間に形成される二本鎖の物理的安定性を増加させるように設計される、自然発生するヌクレオチドまたは様々に修飾されたヌクレオチドを使用して、化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用することができる。他の適切な核酸修飾は、本明細書に記載される。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向でサブクローン化された発現ベクターを使用して、生物学的に産生することができる(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAは、対象となる標的核酸に対してアンチセンス配向になる)。
【0338】
アンチセンス剤は、リボヌクレオチドのみ、デオキシリボヌクレオチドのみ(例えばオリゴデオキシヌクレオチド)、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方を含むことができる。例えば、リボヌクレオチドのみから成るアンチセンス剤は、相補的なRNAにハイブリダイズし、標的RNA転写物への翻訳機構のアクセスを防止し、それによってタンパク質合成を防止することができる。デオキシリボヌクレオチドのみ、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含むアンチセンス分子、例えば、アンチセンス剤の5'および3'末端においてRNA配列によって配置されるDNA配列は、相補的なRNAにハイブリダイズすることができ、RNA標的は、続いて、酵素、例えば、RNAse Hによって開裂することができる。標的RNAの分解は、翻訳を防止する。フランキングRNA配列は、2'−O−メチル化ヌクレオチドおよびホスホロチオエート連結を含むことができ、内部DNA配列は、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含むことができる。いくつかの実施形態では、内部DNA配列は、RNAseH活性による標的化が所望の場合、少なくとも5ヌクレオチド長であってもよい。
【0339】
増加したヌクレアーゼ耐性のために、アンチセンス剤を、3'−3'連結で3'−末端のヌクレオシドを反転させることによって、さらに修飾することができる。別の代替例では、3'−末端は、アミノアルキル基でブロックすることができる。
【0340】
他の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド薬剤は、標的化を改善する修飾、例えば、本明細書に記載する標的化修飾を含んでもよい。
【0341】
アプタマー
アプタマーは、特定の標的分子(複数を含む)を結合する核酸分子である。アプタマーは、RNAまたはDNAをベースとしてもよく、リボスイッチを含んでもよい。リボスイッチは、小さい標的分子を直接結合することができるmRNA分子の一部であり、その標的結合は、遺伝子活性に影響を及ぼす。したがって、リボスイッチを含有するmRNAは、その標的分子の存在または非存在に応じて、それ自体の活性の調節に直接関与する。
【0342】
本発明で取り上げられるオリゴヌクレオチド薬剤は、アプタマーであってもよい。アプタマーは、有機小分子またはタンパク質、例えば、転写または翻訳因子等の非核酸リガンドに結合し、続いて活性を修飾する(例えば阻害する)。アプタマーは、非核酸リガンド上の標的化結合部位の認識を導く、特定の構造に折り畳むことができる。アプタマーは、本明細書に記載する修飾のいずれをも含有することができる。
【0343】
リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を有する、特定の触媒ドメインを有する、オリゴヌクレオチドである(Kim and Cech,Proc Natl Acad Sci U S A.1987 Dec;84(24):8788−92、Forster and Symons,Cell.1987 Apr 24;49(2):211−20)。自然発生する酵素的RNAの少なくとも6個の基本的種類が現在既知である。一般的に、酵素的核酸は、最初に標的RNAと結合することによって作用する。そのような結合は、標的RNAを開裂するように作用する分子の酵素部分に極めて接近して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。したがって、酵素的核酸は、相補的な塩基対合を介して、最初に標的RNAを認識し、次いで標的RNAに結合し、一旦正確な部位に結合されると、標的RNAを切断するように酵素的に作用する。そのような標的RNAの戦略的開裂は、コードされたタンパク質の合成を導くその能力を破壊する。酵素的核酸は、そのRNA標的を結合および開裂した後、そのRNAから放出され、別の標的を探し、新たな標的を繰り返し結合および開裂することができる。
【0344】
任意の標的配列に標的化されるリボザイムを産生する方法は、当該技術分野で既知である。リボザイムは、国際公開第93/23569号および同第94/02595号の各パンフレット(それぞれは、参照することによって本明細書に明確に組み込まれる)に記載されるように設計され、それらの中に記載されるように、インビトロおよびインビボで試験されるように合成されてもよい。
【0345】
生理学的効果
本明細書に記載するiRNA剤は、治療毒性の決定が、iRNA剤の、ヒトおよび非ヒト動物の両方の配列に対する相補性によって容易になるように設計することができる。これらの方法によって、iRNA剤は、ヒトからの核酸配列、
および少なくとも1つの非ヒト動物、例えば、齧歯動物、反芻動物、または霊長動物等の非ヒト哺乳動物からの核酸配列に完全に相補的な配列から成ることができる。例えば、非ヒト哺乳動物は、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、サル、ボノボ、チンパンジー、アカゲザル、またはカニクイザルであってもよい。iRNA剤の配列は、非ヒト哺乳動物およびヒトの相同の遺伝子、例えば、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子内の配列に相補的であり得る。非ヒト哺乳動物におけるiRNA剤の毒性を判定することによって、ヒトにおけるiRNA剤の毒性を推定することができる。より厳しい毒性試験に対して、iRNA剤は、ヒト、および2つ以上の、例えば、2つまたは3つ以上の非ヒト動物に相補的であり得る。
【0346】
本明細書に記載する方法は、ヒトに対するiRNA剤の任意の生理学的効果、例えば、毒性効果等の任意の望ましくない効果、または任意のプラス効果もしくは所望の効果を関連付けるために使用することができる。
【0347】
dsiRNAの細胞取り込みの増加
本発明の方法は、iRNA剤およびiRNA剤の細胞への取り込みに影響を及ぼす薬剤を投与することを含む。薬剤は、iRNA剤が投与される前、後、またはそれと同時に投与することができる。薬剤は、iRNA剤に共有結合することができる。薬剤は、例えば、リポ多糖、p38 MAPキナーゼの活性化因子、またはNF−κBの活性化因子であってもよい。該薬剤は、細胞に一時的な影響を及ぼし得る。
【0348】
薬剤は、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、および/または中間径フィラメントを破壊することによって、iRNA剤の細胞への取り込みを増加させることができる。薬剤は、例えば、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトルンクリンA、ファロイジン、スインホリドA、インダノシン、またはミオセルビンであってもよい。
【0349】
薬剤はまた、例えば、炎症反応を活性化することによって、iRNA剤の細胞への取り込みを増加させることができる。そのような効果を有し得る例示的な薬剤としては、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1β、またはγインターフェロンが挙げられる。
【0350】
iRNA共役体
iRNA剤は、第2の薬剤にカップリング、例えば、共有結合することができる。例えば、特定の疾患を治療するために使用されるiRNA剤は、第2の治療薬剤、例えば、iRNA剤以外の薬剤にカップリングすることができる。第2の治療薬剤は、同一疾患の治療に向けられる薬剤であってもよい。例えば、望ましくない細胞増殖、例えば、癌を特徴とする疾患を治療するために使用されるiRNAの場合、iRNA剤は、抗癌作用を有する第2の薬剤にカップリングすることができる。例えば、それは、免疫系を刺激する薬剤、例えば、CpGモチーフ、あるいはより一般的には、トール様受容体を活性化する、および/またはγインターフェロンの産生を増加させる薬剤にカップリングすることができる。
【0351】
iRNA産生
iRNAは、種々の方法によって、例えば、大量に産生することができる。例示的な方法としては、有機合成およびRNA開裂、例えば、インビトロ開裂が挙げられる。有機合成は、非天然または修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖を容易に調製することができるという利点を提供する。当該技術分野で既知のそのような合成のための任意の他の手段が、追加的または代替的に採用されてもよい。また、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、およびアルキル化誘導体等、他のオリゴヌクレオチドを調製するための同様の技術を使用することも既知である。
【0352】
合成方法にかかわらず、オリゴヌクレオチドは、製剤に適切な溶液(例えば水溶液および/または有機溶液)中で調製することができる。例えば、オリゴヌクレオチド調製物は、純粋な2回蒸留水中で沈殿および再溶解し、凍結乾燥することができる。次いで、乾燥オリゴヌクレオチドは、目的とする製剤プロセスに適切な溶液中に再懸濁することができる。
【0353】
特定の修飾オリゴヌクレオチドの合成に関する教示は、米国特許または係属中の特許出願に記載されている。ポリアミンが共役されたオリゴヌクレオチドに関しては、米国特許第5,138,045号および同第5,218,105号の各明細書;キラルリン連結を有するオリゴヌクレオチドの調製のためのモノマーに関しては、米国特許第5,212,295号明細書;修飾骨格を有するオリゴヌクレオチドに関しては、米国特許第5,378,825号および同第5,541,307号の各明細書;骨格−修飾オリゴヌクレオチドおよび還元カップリングによるその調製に関しては、米国特許第5,386,023号;3−デアザプリン環系に基づく修飾核酸塩基およびその合成方法に関しては、米国特許第5,457,191号明細書;N−2置換プリンに基づく修飾核酸塩基に関しては、米国特許第5,459,255号明細書;キラルリン連結を有するオリゴヌクレオチドを調製するためのプロセスに関しては、米国特許第5,521,302号明細書;ペプチド核酸に関しては、米国特許第5,539,082号明細書;β−ラクタム骨格を有するオリゴヌクレオチドに関しては、米国特許第5,554,746号明細書;オリゴヌクレオチドの合成のための方法および材料に関しては、米国特許第5,571,902号明細書;アルキルチオ基を有するヌクレオシドであって、そのような基は、ヌクレオシドの種々の位置のいずれかにおいて付着される他の部分へのリンカーとして使用され得る、ヌクレオシドに関しては、米国特許第5,578,718号明細書;高いキラル純度のホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドに関しては、米国特許第5,587,361号および同第5,599,797号の各明細書;2'−O−アルキルグアノシン、および2,6−ジアミノプリン化合物を含む関連化合物の調製のためのプロセスに関しては、米国特許第5,506,351号明細書;N−2置換プリンを有するオリゴヌクレオチドに関しては、米国特許第5,587,469号明細書;3−デアザプリンを有するオリゴヌクレオチドに関しては、米国特許第5,587,470号;共役された4'−デスメチルヌクレオシド類似体に関しては、米国特許第5,223,168号および同第米国特許第5,608,046号の各明細書;骨格−修飾オリゴヌクレオチド類似体に関しては、米国特許第5,602,240号および同第5,610,289号の各明細書;ならびにとりわけ、2'−フルオロ−オリゴヌクレオチドを合成する方法に関しては、米国特許第6,262,241号および同第5,459,255号の各明細書。
【0354】
有機合成
iRNAは、二本鎖RNA分子の各鎖を別々に合成することによって作製することができる。次いで、構成成分鎖をアニールすることができる。
【0355】
所与のiRNAのための大量の特定のRNA鎖を産生するために、大型生物反応器、例えば、Pharmacia Biotec AB(Uppsala Sweden)のOligoPilot IIを使用することができる。OligoPilotII反応器は、1.5モル過剰のみのホスホラミダイトヌクレオチドを使用して、ヌクレオチドを効率的にカップリングすることができる。RNA鎖を作製するために、リボヌクレオチドアミダイトが使用される。iRNAのための21〜23ヌクレオチド鎖を合成するために、モノマー添加の標準的なサイクルを使用することができる。典型的には、2つの相補的な鎖が別々に産生され、次いで、例えば、固体支持体からの放出および脱保護の後にアニールされる。
【0356】
別個のiRNA種を産生するために、有機合成を使用することができる。特定の標的遺伝子に対する種の相補性は、正確に指定することができる。例えば、種は、多型、例えば、単一ヌクレオチド多型を含む領域に相補的であってもよい。さらに、多型の位置は、正確に定義され得る。いくつかの実施形態では、多型は、内部領域、例えば、末端の一方または両方から少なくとも4、5、7、または9ヌクレオチドに位置する。
【0357】
dsiRNA開裂
iRNAはまた、より大きいds iRNAを開裂することによって作製することができる。開裂は、インビトロまたはインビボで媒介することができる。例えば、インビトロでの開裂によってiRNAを産生するために、以下の方法を使用することができる。
【0358】
インビトロ転写。dsiRNAは、両方の方向に核酸(DNA)断片を転写することによって産生される。例えば、HiScribe(登録商標)RNAi転写キット(New England Biolabs)は、ベクター、およびT7プロモーターによってどちらの側にも配置される位置において、ベクターにクローン化される核酸断片のためのdsiRNAを産生するための方法を提供する。別々のテンプレートは、dsiRNAのための2つの相補的な鎖のT7転写のために生成される。テンプレートは、T7RNAポリメラーゼの添加によってインビトロで転写され、dsiRNAが産生される。PCRおよび/または他のRNAポリメラーゼ(例えばT3もしくはSP6ポリメラーゼ)を使用した、同様の方法もまた、使用することができる。一実施形態では、この方法によって評価されるRNA遺伝子は、組み換え酵素の調製物を汚染し得る内毒素を除去するために、注意深く精製される。
【0359】
インビトロ開裂。dsiRNAは、例えば、Dicerまたは類似のRNAse IIIベースの活性を使用して、iRNAにインビトロで開裂される。例えば、dsiRNAは、ショウジョウバエからのインビトロ抽出物中で、または精製された構成成分、例えば、精製されたRNAseもしくはRISC複合体(RNA誘発サイレンシング複合体)を使用して、インキュベートすることができる。例えば、Ketting et al .Genes Dev 2001 Oct 15;15(20):2654−9、およびHammond Science 2001 Aug 10;293(5532):1146−50を参照されたい。
【0360】
dsiRNA開裂は、概して、複数のiRNA種を産生し、それぞれは、元のdsiRNA分子の特定の21〜23nt断片である。例えば、元のdsiRNA分子の重複領域および隣接領域に相補的な配列を含む、iRNAが存在し得る。
【0361】
合成方法にかかわらず、iRNA調製物は、製剤に適切な溶液(例えば水溶液および/または有機溶液)中で調製することができる。例えば、iRNA調製物は、純粋な2回蒸留水中で沈殿および再溶解し、凍結乾燥することができる。次いで、乾燥iRNAは、目的とする製剤プロセスに適切な溶液中に再懸濁することができる。
【0362】
製剤
本明細書に記載するiRNA剤は、対象への投与のために製剤化することができる。
【0363】
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。
【0364】
製剤化されたiRNA
構成物は、種々の状態を取ることができる。いくつかの例では、
構成物は、少なくとも部分的に結晶性、均一に結晶性、および/または無水(例えば80、50、30、20、もしくは10%未満の水)である。別の例では、iRNAは、水相、例えば、水を含む溶液中にある。
【0365】
水相または結晶性
構成物は、例えば、送達媒体、例えば、リポソーム(特に水相に対する)または粒子(例えば結晶性
構成物に適切であり得るような微小粒子)に組み込まれる。概して、iRNA
構成物は、目的とする投与方法に適合する方法で製剤化される(以下を参照)。
【0366】
特定の実施形態では、該
構成物は、以下の方法のうちの少なくとも1つによって調製される。噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、蒸発、流動床乾燥、もしくはこれらの技術の組み合わせ;または脂質を用いた超音波処理、フリーズドライ、凝縮、および他の自己集合。
【0367】
iRNA調製物は、別の薬剤、例えば、別の治療薬剤またはiRNAを安定化する薬剤、例えば、iRNA剤と複合してiRNPを形成するタンパク質と組み合わせて、製剤化することができる。さらに他の薬剤としては、キレート剤、例えば、EDTA(例えばMg
2+等の二価カチオンを除去するための)、塩、RNAse阻害剤(例えばRNAsin等の広い特異性のRNAse阻害剤)等が挙げられる。
【0368】
一実施形態では、iRNA調製物は、別のiRNA剤、例えば、第2の遺伝子に対して、または同一遺伝子に対して、RNAiを媒介することができる、第2のiRNAを含む。さらに他の調製物は、少なくとも3、5、10、20、50、または100個以上の異なるiRNA種を含むことができる。そのようなiRNAは、同様の数の異なる遺伝子に対して、RNAiを媒介することができる。
【0369】
一実施形態では、iRNA調製物は、少なくとも第2の治療薬剤(例えばRNAまたはDNA以外の薬剤)を含む。例えば、ウイルス疾患、例えば、HIVの治療のためのiRNA
構成物は、既知の抗ウイルス薬(例えばプロテアーゼ阻害剤または逆転写酵素阻害剤)を含み得る。別の例では、癌治療のためのiRNA
構成物はさらに、化学療法剤を含み得る。
【0371】
リポソーム
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)調製物は、膜分子集合体、例えば、リポソームまたはミセルにおける送達のために製剤化することができる。本明細書で使用する「リポソーム」という用語は、少なくとも1つの二重層、例えば、1つの二重層または複数の二重層に配列される両親媒性脂質から成る小胞を指す。リポソームは、親油性物質および水性内部から形成される膜を有する、単層および多層小胞を含む。水性部分は、iRNA
構成物を含有する。親油性物質は、典型的にはiRNA
構成物を含まないが、いくつかの例では含み得る水性外部から、水性内部を隔離する。リポソームは、作用部位への活性成分の輸送および送達に有用である。リポソーム膜は、生体膜と構造的に類似するので、リポソームが組織に適用されると、リポソーム二重層は、細胞膜の二重層と融合する。リポソームおよび細胞の融合が進行すると、iRNAを含む内部の水性内容物は、細胞に送達され、そこで、iRNAは、標的RNAに特異的に結合することができ、RNAiを媒介することができる。場合によっては、リポソームはまた、例えば、特定の細胞型にiRNAを導くように、特異的に標的化される。
【0372】
iRNAを含有するリポソームは、種々の方法によって調製することができる。
【0373】
一例では、リポソームの脂質成分は、ミセルが脂質成分によって形成されるように、洗浄剤中に溶解される。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質または脂質複合体であり得る。洗浄剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であり得る。例示的な洗浄剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、およびラウロイルサルコシンが挙げられる。次いで、iRNA調製物は、脂質成分を含むミセルに添加される。脂質上のカチオン性基は、iRNAと相互作用し、iRNAの周囲で凝縮し、リポソームを形成する。凝縮後、洗浄剤は、例えば、透析によって除去され、iRNAのリポソーム調製物を得る。
【0374】
必要な場合、凝縮を補助する担体化合物を、例えば、制御された添加によって、凝縮反応中に添加することができる。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えばスペルミンまたはスペルミジン)であってもよい。凝縮を助けるためにpHを調節することもできる。
【0375】
送達媒体の構造的構成成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む安定したポリヌクレオチド送達媒体を生産するための方法のさらなる説明は、例えば、国際公開第96/37194号パンフレットに記載される。リポソーム形成はまた、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 8:7413−7417,1987、米国特許第4,897,355号明細書、米国特許第5,171,678号明細書、Bangham,et al.M.Mol.Biol.23:238,1965、Olson,et al.Biochim.Biophys.Acta 557:9,1979、Szoka,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194,1978、Mayhew,et al.Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984、Kim,et al.Biochim.Biophys.Acta 728:339,1983、およびFukunaga,et al.Endocrinol.115:757,1984に記載される例示的な方法の1つ以上の態様を含むことができる。送達媒体としての使用に適切なサイズの脂質会合体を調製するための一般的に使用される技術としては、超音波処理、および凍結融解と押出が挙げられる(例えばMayer,et al.Biochim.Biophys.Acta 858:161,1986を参照)。一貫して小さく(50〜200nm)かつ比較的均一な会合体が望ましい場合、微小流動化を使用することができる(Mayhew,et al.Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984)。これらの方法は、リポソームにiRNA調製物をパッケージングするように容易に適合される。
【0376】
pH感受性または負に帯電したリポソームは、核酸分子と複合するのではなくむしろ、核酸分子を捕捉する。核酸分子および脂質の両方が同様に帯電しているため、複合体形成ではなくむしろ反発が生じる。それにもかかわらず、いくつかの核酸分子は、これらのリポソームの水性内部内に捕捉される。pH感受性リポソームは、培養において細胞単層にチミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを送達するのに使用されている。外来遺伝子の発現が標的細胞で検出された(Zhou et al .,Journal of Controlled Release,19,(1992)269−274)。
【0377】
リポソーム組成物の1つの主要な種類は、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。例えば、中性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成することができる。アニオン性リポソーム組成物が、概して、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成される一方で、アニオン性融合リポソームは、主にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別の種類のリポソーム組成物は、例えば、大豆PCおよび卵PC等のホスファチジルコリン(PC)から形成される。別の種類は、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成される。
【0378】
インビトロおよびインビボでリポソームを細胞に導入する他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号、同第5,171,678号の各明細書、国際公開第94/00569号、同第93/24640号、同第91/16024号の各パンフレット、Felgner,J.Biol.Chem.269:2550,1994、Nabel,Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307,1993、Nabel,Human Gene Ther.3:649,1992、Gershon,Biochem.32:7143,1993、およびStrauss EMBO J.11:417,1992が挙げられる。
【0379】
一実施形態では、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームは、細胞膜に融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、血漿膜と同じくらい効率的に融合することはできないが、インビボでマクロファージによって取り込まれ、マクロファージにiRNAに送達するために使用することができる。
【0380】
リポソームのさらなる利点としては、天然リン脂質から得られるリポソームは、生体適合性および生分解性を有し、リポソームは、幅広い種類の水溶性および脂溶性薬剤を組み込むことができ、リポソームは、それらの内部コンパートメント内の封入されたiRNAを代謝および分解から保護することができる(Rosoff,”Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,volume 1,p.245)。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、脂質表面電荷、小胞サイズ、およびリポソームの含水量である。
【0381】
正に帯電した合成カチオン性脂質、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)を使用して、核酸と自発的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合し、iRNAの送達をもたらすことができる脂質−核酸複合体を形成する、小リポソームを形成することができる(例えばDOTMAおよびそのDNAとの使用の説明に関して、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 8:7413−7417,1987および米国特許第4,897,355号を参照)。
【0382】
DOTMA類似体、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)をリン脂質と組み合わせて使用し、DNA複合小胞を形成することができる。Lipofectin(登録商標)(Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、負に帯電したポリヌクレオチドと自発的に相互作用し、複合体を形成する、正に帯電したDOTMAリポソームを含む、生体組織培養細胞に高度にアニオン性の核酸を送達するための効果的な薬剤である。十分正に帯電したリポソームを使用する場合、得られた複合体上の正味電荷もまた、正である。このようにして調製される正に帯電した複合体は、自発的に負に帯電した細胞表面に付着し、血漿膜と融合し、機能性核酸を、例えば、組織培養細胞に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3,3−(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana)は、オレオイル部分が、エーテル連結よりもむしろエステルによって連結されるという点でDOTMAとは異なる。
【0383】
他の報告されているカチオン性脂質化合物としては、2つの種類の脂質のうちの1つに共役され、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(Transfectam(登録商標),Promega,Madison,Wisconsin)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミル−アミド(「DPPES」)等の化合物を含む、例えば、カルボキシスペルミンを含む種々の部分に共役されたものが挙げられる。(例えば米国特許第5,171,678号明細書を参照)。
【0384】
別のカチオン性脂質複合体としては、DOPEと組み合わせてリポソームに製剤化されたコレステロール(「DC−Chol」)での脂質の誘導体化が挙げられる(Gao,X. and Huang,L.,Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280,1991を参照)。ポリリシンをDOPEに共役することによって作製されるリポポリリシンは、血清の存在下でのトランスフェクションに効果的であると報告されている(Zhou,X.et al.,Biochim.Biophys.Acta 1065:8,1991)。特定の細胞株に対して、共役されたカチオン性脂質を含有するこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物よりも低い毒性を示し、かつより効率的なトランスフェクションを提供するとされている。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIEおよびDMRIE−HP(Vical,La Jolla,California)、ならびにLipofectamine (DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Maryland)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質は、国際公開第98/39359号および同第96/37194号の各パンフレットに記載される。リポソーム形成に好適な他のカチオン性脂質は、米国仮特許出願第61/018,616号(2008年1月2日出願)、同第61/039,748号(2008年3月26日出願)、同第61/047,087号(2008年4月22日出願)、および同第61/051,528号(2008年5月21日出願)の各明細書に記載され、それらの全ては、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0385】
リポソーム製剤は、局所投与に特に適しており、リポソームは、他の製剤に優る利点を示す。そのような利点としては、投与された薬物の高全身性吸収率に関連する副作用の減少、所望の標的における投与された薬物の蓄積の増加、およびiRNAの皮膚への投与能力が挙げられる。いくつかの実施において、表皮細胞にiRNAを送達するために、かつ真皮組織、例えば、皮膚へのiRNAの透過性を強化するために、リポソームが使用される。例えば、リポソームは、局所的に適用することができる。リポソームとして製剤化される薬物の皮膚への局所送達が報告されている(例えばWeiner et al .,Journal of Drug Targeting,1992,vol.2,405−410およびdu Plessis et al .,Antiviral Research,18,1992,259−265、Mannino,R.J. and Fould−Fogerite,S.,Biotechniques 6:682−690,1988、Itani,T.et al.Gene 56:267−276.1987、Nicolau,C.et al.Meth.Enz.149:157−176,1987、Straubinger,R.M. and Papahadjopoulos,D.Meth.Enz.101:512−527,1983、Wang,C.Y. and Huang,L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855,1987を参照)。
【0386】
非イオン性リポソーム系はまた、皮膚への薬物送達におけるそれらの有用性を判定するために検査され、特定の系は、非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む。マウス皮膚の真皮に薬物を送達するために、Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)およびNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が使用された。iRNAを有するそのような製剤は、皮膚疾患を治療するのに有用である。
【0387】
iRNAを含むリポソームは、高度に変形可能に作製することができる。そのような変形能は、リポソームがリポソームの平均半径よりも小さい孔に浸透することを可能にし得る。例えば、トランスフェロソームは、変形可能なリポソームの一種である。トランスフェロソームは、表面縁活性化因子、通常は界面活性剤を標準的なリポソーム組成物に添加することによって作製することができる。iRNAを含むトランスフェロソームは、例えば、皮膚のケラチノサイトにiRNAを送達するために、例えば、皮下感染によって送達することができる。無傷哺乳動物の皮膚を横断するために、脂質小胞は、好適な経皮勾配の影響下で、それぞれが50nm未満の直径を有する、一連の微細孔を通過しなければならない。加えて、脂質の特性に起因して、これらのトランスフェロソームは、自己最適化(例えば皮膚の孔の形状に適応可能)、自己修復性であってもよく、かつ多くの場合、断片化することなくそれらの標的に到達し、多くの場合、自己装填性であってもよい。
【0388】
界面活性剤
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。界面活性剤は、エマルション(マイクロエマルションを含む)およびリポソーム(上記を参照)等の製剤に広く応用される。iRNA(または前駆体、例えば、iRNAに処理することができる、より大きいdsiRNA、またはiRNAもしくは前駆体をコードするDNA)
構成物は、界面活性剤を含むことができる。一実施形態では、iRNAは、界面活性剤を含むエマルションとして製剤化される。天然および合成の両方の多くの異なる種類の界面活性剤の特性を分類およびランク付けする最も一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用によるものである。親水性基の性質は、製剤に使用される異なる界面活性剤を分類するのに最も有用な手段を提供する(Rieger,“Pharmaceutical Dosage Forms,”Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1988,p.285)。
【0389】
界面活性剤分子がイオン化されない場合、非イオン性界面活性剤と分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品に広く応用され、広範囲のpH値にわたって使用可能である。一般に、それらのHLB値は、それらの構造に応じて、2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤としては、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシ化エステル等の非イオン性エステルが挙げられる。脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、およびエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー等の非イオン性アルカノールアミドおよびエーテルもまた、この種類に含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤の種類の最も一般的なメンバーである。
【0390】
界面活性剤分子が水中に溶解または分散されると負電荷を担持する場合、界面活性剤は、アニオン性と分類される。アニオン性界面活性剤としては、石鹸等のカルボン酸、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキル硫酸およびエトキシル化アルキル硫酸等の硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、アシルイセチオナート、アシルタウレートおよびスルホコハク酸、およびリン酸が挙げられる。アニオン性界面活性剤の種類の最も重要なメンバーは、アルキル硫酸および石鹸である。
【0391】
界面活性剤分子が水中に溶解または分散されると正電荷を担持する場合、界面活性剤は、カニオン性と分類される。カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。第4級アンモニウム塩は、この種類の最も使用されるメンバーである。
【0392】
界面活性剤分子が、正または負電荷のいずれかを担持する能力を有する場合、界面活性剤は、両性として分類される。両性界面活性剤としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン、およびホスファチドが挙げられる。
【0393】
薬物製品、製剤、およびエマルションにおける界面活性剤の使用が考察されている(Rieger,“Pharmaceutical Dosage Forms,”Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1988,p.285)。
【0394】
ミセルおよび他の膜状製剤
説明を簡単にするために、本項のミセルおよび他の製剤、
構成物、ならびに方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらのミセルおよび他の製剤、
構成物、ならびに方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)
構成物は、ミセル製剤として提供することができる。「ミセル」は、分子の疎水性部分の全てが内側に向き、親水性部分を周囲の水相と接触したままにするように、両親媒性分子が球体構造で配置される、特定の種類の分子集合体として本明細書に定義される。環境が疎水性である場合、逆の配列が存在する。
【0395】
経皮膜を通じた送達に好適な混合ミセル製剤は、iRNA
構成物の水溶液、アルカリ金属C
8〜C
22アルキル硫酸、およびミセル形成化合物を混合することによって調製することができる。例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ルリヂサ油、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシンおよびその薬学的に許容可能な塩、グリセリン、ポリグリセリン、リシン、ポリリシン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテルおよびその類似体、ポリドカノールアルキルエーテルおよびその類似体、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属アルキル硫酸の添加と同時またはその後に添加されても良い。混合ミセルは、実質的に任意の種類の成分混合で形成されるが、より小さいサイズのミセルを提供するためには、強力な混合で形成される。
【0396】
一方法では、iRNA
構成物および少なくともアルカリ金属アルキル硫酸を含有する、第1のミセル組成物が調製される。次いで、第1のミセル組成物は、少なくとも3個のミセル形成化合物と混合され、混合ミセル組成物を形成する。別の方法では、ミセル組成物は、iRNA
構成物、アルカリ金属アルキルサルフェート、およびミセル形成化合物のうちの少なくとも1つを混合し、続いて強力に混合しながら,残りのミセル形成化合物を添加することによって調製される。
【0397】
フェノールおよび/またはm−クレゾールが混合ミセル組成物に添加され、製剤を安定化し、細菌増殖から保護してもよい。あるいは、フェノールおよび/またはm−クレゾールは、ミセル形成成分と添加されてもよい。グリセリン等の等張剤もまた、混合ミセル組成物の形成後に添加されてもよい。
【0398】
噴霧としてのミセル製剤の送達のために、製剤は、エアロゾルディスペンサーに入れることができ、ディスペンサーは、噴射剤で充填される。圧力下にある噴射剤は、ディスペンサー内で液体形態である。成分の比は、水相および噴射剤相が1つになるように、すなわち1つの相が存在するように調節される。2つの相が存在する場合、例えば、定量弁によって内容物の一部を投薬する前に、ディスペンサーを震盪する必要がある。医薬品の投薬用量は、微細噴霧で定量弁から噴射される。
【0399】
噴射剤は、水素含有クロロフルオロカーボン、水素含有フルオロカーボン、ジメチルエーテル、およびジエチルエーテルを含み得る。ある実施形態では、HFA 134a(1,1,1,2テトラフルオロエタン)が使用されてもよい。
【0400】
必須成分の特定濃度は、比較的容易な実験によって決定することができる。口腔による吸収のために、投与量を注射または胃腸管を介した投与に対する投与量の、例えば、少なくとも2倍または3倍に増加させることが望ましい場合が多い。
【0401】
粒子
説明を簡単にするために、本項の粒子、製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの粒子、製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。別の実施形態では、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)調製物は、粒子、例えば、微小粒子に組み込まれてもよい。微小粒子は、噴霧乾燥によって産生することができるが、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはこれらの技術の組み合わせを含む他の方法によって産生されてもよい。
【0402】
持続放出製剤。本明細書に記載するiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)は、制御、例えば、持続放出のために製剤化することができる。制御放出は、その放出を妨げる構造または物質内にiRNAを配置することによって、達成することができる。例えば、iRNAは、多孔質マトリックスまたは浸食性マトリックス内に配置することができ、それらのいずれも、ある期間にわたるiRNAの放出を可能にする。
【0403】
ポリマー粒子、例えば、微小粒子のポリマーは、生分解によって微小粒子からのみ放出される、細胞によって取り込まれるiRNAの持続放出リザーバとして使用することができる。したがって、本実施形態のポリマー粒子は、食作用を妨害するのに十分大きくあるべきである(例えば10μmを超える、または20μmを超える)。そのような粒子は、より小さい粒子を作製するのと同一の方法によって産生することができるが、第1および第2のエマルションの混合はあまり強力ではない。すなわち、10μmよりもむしろ約100μmの直径を有する粒子を得るために、より低い均質化速度、ボルテックス混合速度、または超音波処理設定を使用することができる。混合時間もまた変更することができる。
【0404】
より大きい微小粒子は、筋肉内、皮下、皮内、静脈、もしくは腹腔内注射によって、吸入(鼻腔内もしくは肺内)を介して、経口で、または埋め込みによって送達される、懸濁液、粉末、または埋め込み可能な固体として製剤化することができる。これらの粒子は、比較的長い期間にわたる持続放出が望ましい場合、任意のiRNAの送達に有用である。分解およびその結果としての放出の速度は、ポリマー製剤によって異なる。
【0405】
微小粒子は、液体懸濁媒体が粒子境界を自由に浸透およびかん流する孔、空隙、中空、欠損、または他の間質腔を含んでもよい。例えば、中空の多孔質噴霧乾燥マイクロスフェアを形成するために、有孔微細構造を使用することができる。
【0406】
iRNA(例えばsiRNA)を含有するポリマー粒子は、例えば、二重エマルション技術を使用して作製することができる。第一に、ポリマーが、有機溶媒中に溶解される。ポリマーは、65:35、50:50、または75:25の乳酸/グリコール酸の重量比を有する、ポリ乳酸−co−グリコール酸であってもよい。次に、水溶液中に懸濁される核酸の試料がポリマー溶液に添加され、2つの溶液が、第1のエマルションを形成するために混合される。その溶液は、ボルテックスまたは撹拌によって混合することができ、その混合物中で超音波分解することができる。核酸がニッキング、剪断、または分解の形で、最も少ない量の損傷を受ける一方で、適切なエマルションの形成を可能にする、任意の方法が考えられる。例えば、設定#3における、1/8”のマイクロチッププローブを有するビブラセルモデルVC−250超音波処理器によって、許容できる結果を得ることができる。
【0407】
噴霧乾燥
iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)は、噴霧乾燥によって調製することができる。噴霧乾燥iRNAは、対象に投与するか、またはさらなる製剤化に供することができる。iRNAの医薬組成物は、分散性粉末組成物、例えば、医薬組成物を提供するのに十分な条件下で、iRNAを含む、均質水性混合物を噴霧乾燥することによって調製することができる。噴霧乾燥のための材料はまた、薬学的に許容される賦形剤、または分散性を強化する量の生理学的に許容される水溶性タンパク質のうちの1つ以上を含むことができる。噴霧乾燥生成物は、iRNAを含む分散性粉末であってもよい。
【0408】
噴霧乾燥は、液体またはスラリー材料を乾燥粒子形態に転換するプロセスである。吸入を含む種々の投与経路のための粉末材料を提供するために、噴霧乾燥を使用することができる。例えば、M.Sacchetti and M.M.Van Oort in:Inhalation Aerosols:Physical and Biological Basis for Therapy,A.J.Hickey,ed.Marcel Dekkar,New York,1996を参照されたい。
【0409】
噴霧乾燥は、液滴の微細ミストを形成するために、溶液、エマルション、または懸濁液を噴霧化し、液滴を乾燥させる、各工程を含むことができる。ミストは、乾燥チャンバ(例えば容器、タンク、管、またはコイル)に放出することができ、そこで乾燥ガスと接触する。ミストは、固体または液体孔形成剤を含むことができる。溶媒および孔形成剤は、液滴から乾燥ガスへと蒸発し、液滴を固化し、同時に該固体全体にわたって孔を形成する。次いで、その固体(典型的には、粉末、粒子形態)は、乾燥ガスから分離され、回収される。
【0410】
噴霧乾燥は、高度に分散された液体および十分な量の空気(例えば熱気)を一緒にし、液体液滴の蒸発および乾燥をもたらすことを含む。噴霧乾燥される調製物は、選択された噴霧乾燥器具を使用して噴霧化され得る任意の溶液、粗懸濁液、スラリー、コロイド分散液、またはペーストであってもよい。典型的には、該供給物は、溶媒を蒸発し、乾燥生成物を回収器に運搬する、温かい濾過空気流中に噴霧される。次いで、消費された空気は、溶媒と共に排出される。所望の生成物を提供するために、いくつかの異なる種類の器具が使用されてもよい。例えば、Buchi Ltd.またはNiro Corp.によって製造される市販の噴霧乾燥機は、所望のサイズの粒子を効果的に産生することができる。
【0411】
噴霧乾燥粉末粒子は、ほぼ球状の形状であり、サイズがほぼ均一であり、多くの場合、中空であってもよい。組み込まれた薬剤および噴霧乾燥条件に応じて、形状にはある程度の不規則性があり得る。多くの場合、噴霧乾燥マイクロスフェアの分散安定性は、それらの産生において膨張剤(または発泡剤)が使用される場合、より有効であるように思われる。特定の実施形態は、分散相または連続相(他方の相は、本質的に水性である)として膨張剤を有するエマルションを含んでもよい。膨張剤は、例えば、5,000〜15,000psiの圧力で、市販の微小流動化装置を使用して、界面活性剤溶液で分散されてもよい。本プロセスは、典型的には、水性連続相中に分散される水非混和性発泡剤のサブミクロン液滴を含む、組み込まれた界面活性剤によって安定化され得るエマルションを形成する。この技術および他の技術を使用したそのような分散の形成は、一般的であり、当業者に一般的かつ既知である。発泡剤は、噴霧乾燥プロセス中に蒸発し、概して、中空の多孔質の空気力学的に軽いマイクロスフェアを残す、フッ素化化合物(例えばペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタン)であってもよい。以下により詳細に考察されるように、他の好適な発泡剤としては、クロロホルム、フレオン、および炭化水素が挙げられる。窒素ガスおよび二酸化炭素もまた、好適な発泡剤として考えられる。
【0412】
有孔微細構造は、上記の発泡剤を使用して形成されてもよいが、場合によっては、発泡剤は必要ではなく、薬剤および界面活性剤の水分散液が直接噴霧乾燥されることを理解されたい。そのような場合、製剤は、概して、中空の比較的多孔質の微小粒子の形成をもたらすプロセス条件(例えば昇温)に適し得る。さらに、薬剤は、そのような技術での使用に特に好適となるような特別な物理化学的特性(例えば高結晶性、融解温度の上昇、表面活性等)を有し得る。
【0413】
有孔微細構造は、随意的に、1つ以上の界面活性剤を伴うか、またはそれを含んでもよい。さらに、混和性界面活性剤は、随意的に、懸濁媒体液相と組み合わされてもよい。界面活性剤の使用はさらに、分散安定性を増加させる、製剤化手順を単純化する、または投与時のバイオアベイラビリティを増加させ得ることを、当業者は理解するであろう。当然のことながら、液相中の1つ以上の界面活性剤および有孔微細構造に伴う1つ以上の界面活性剤を含む、界面活性剤の組み合わせは、本発明の範囲内であると考えられる。「伴う、または含む」とは、構造マトリックスまたは有孔微細構造が、界面活性剤を組み込む、吸収する、界面活性剤で被覆される、または界面活性剤によって形成され得ることを意味する。
【0414】
使用に好適な界面活性剤としては、構造マトリックスと懸濁媒体との間の界面において層を形成することによって、安定化された呼吸器用分散液の形成および維持を補助する任意の化合物または組成物が挙げられる。界面活性剤は、単一化合物、またはコサーファクタントの場合のように、化合物の任意の組み合わせを含んでもよい。特に特定の界面活性剤は、噴射剤中に実質的に不溶性であり、非フッ素化であり、飽和および不飽和脂質、非イオン性洗浄剤、非イオン性ブロックコポリマー、イオン性界面活性剤、ならびにそのような薬剤の組み合わせから成る群より選択される。上述の界面活性剤に加えて、好適な(すなわち、生体適合性の)フッ素化界面活性剤は、本明細書の教示に適合しており、所望の安定化された調製物を提供するために使用され得ることが強調され得る。
【0415】
構造マトリックスを形成するために、天然または合成源の両方からのリン脂質を含む脂質が、異なる濃度で使用されてもよい。概して、適合する脂質は、約40℃を超えるゲルから液晶相への遷移を有する脂質を含む。ある実施形態では、組み込まれた脂質は、比較的長い鎖(すなわち、C
6〜C
22)飽和脂質であり、リン脂質を含んでもよい。開示された安定化された調製物に有用な、例示的なリン脂質は、卵ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジル−コリン、ジステロイルホスファチジルコリン、短鎖ホスファチジルコリンs、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン;ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドン等のポリマー鎖を有する脂質;スルホン化単糖、二糖、および多糖を有する脂質;パルミチン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸等の脂肪酸;コレステロール、コレステロールエステル、およびコレステロールヘミコハク酸を含む。それらの優れた生体適合性の特徴によって、リン脂質、ならびにリン脂質およびポロキサマーの組み合わせは、本明細書に開示する安定化された分散液のでの使用に特に好適である。
【0416】
適合する非イオン性洗浄剤は、三オレイン酸ソルビタン(Spans(登録商標)85)、セスキオレイン酸ソルビタン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアートを含む、ソルビタンエステル、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、ならびにショ糖エステルを含む。他の好適な非イオン性洗浄剤は、McCutcheon's Emulsifiers and Detergents(McPublishing Co.,Glen Rock,N.J.)を使用して、容易に同定することができる。特定のブロックコポリマーとしては、ポロキサマー188(Pluronic.RTM.F68)、ポロキサマー407(Pluronic.RTM.F−127)、ならびにポロキサマー338を含む、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのジブロックおよびトリブロックコポリマーが挙げられる。スルホコハク酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤および脂肪酸石鹸もまた、利用されてもよい。ある実施形態では、微細構造は、オレイン酸またはそのアルカリ塩を含んでもよい。
【0417】
上述の界面活性剤に加えて、特に、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)の送達の場合、カチオン性界面活性剤または脂質が使用されてもよい。好適なカチオン性脂質の例としては、DOTMA、N−[−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム;DOTAP,1,2−ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン;およびDOTB,1,2−ジオレイル−3−(4'−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロールが挙げられる。ポリリシン等のポリカチオン性アミノ酸およびポリアルギニンもまた考えられる。
【0418】
噴霧プロセスのために、回転噴霧化、圧力噴霧化、および二液噴霧化等の噴霧方法を使用することができる。これらのプロセスに使用されるデバイスの例としては、Yamato Chemical Co.製造の「Parubisu[音声レンダリング]Mini−Spray GA−32」および「Parubisu Spray Drier DL−41」が挙げられるか、または回転ディスクアトマイザーを使用した噴霧方法のために、Okawara Kakoki Co.製造の「Spray Drier CL−8」、「Spray Drier L−8」、「Spray Drier FL−12」、「Spray Drier FL−16」、もしくは「Spray Drier FL−20」を使用することができる。
【0419】
噴霧材料を乾燥させるために使用されるガスに関して、特定の制限は設けられていないが、空気、窒素ガス、または不活性ガスを使用することが勧められる。噴霧材料を乾燥させるために使用されるガスの入口の温度は、噴霧材料の熱不活性化を引き起こさない温度である。温度範囲は、約50℃〜約200℃、例えば、約50℃〜100℃の間で変化し得る。噴霧材料を乾燥させるために使用される出口ガスの温度は、約0℃〜約150℃、例えば、0℃〜90℃、および例えば、0℃〜60℃の間で変化し得る。
【0420】
噴霧乾燥は、呼吸に適した粒径、低水分含量、および即座のエアロゾル化を可能にする流量特性を有する均質構造の実質的に非晶質の粉末をもたらす条件下で行われる。場合によっては、得られた粉末の粒径は、質量の約98%超が、約10μm以下の直径を有する粒子中にあり、質量の約90%が5μm未満の直径を有する粒子中にあるような粒径である。あるいは、質量の約95%は、10μm未満の直径を有する粒子を有し、質量の約80%が5μm未満の直径を有する粒子である。
【0421】
iRNA調製物を含む分散性医薬ベースの乾燥粉末は、随意的に、経呼吸器および経肺投与に好適な医薬担体または賦形剤と組み合わされてもよい。そのような担体は、患者に送達されている粉末中のiRNA濃度を低減するのが所望である場合、単に増量剤としての機能を果たし得るが、iRNA
構成物の安定性を強化し、粉末分散装置内の粉末の分散性を改善し、より効率的かつ再現可能なiRNAの送達を提供し、製造および粉末充填を促進するための流動性および一貫性等のiRNAの取り扱い特性を改善する働きもし得る。
【0422】
そのような担体材料は、噴霧乾燥の前に薬物と組み合わされてもよく、すなわち、担体材料を精製されたバルク溶液に添加することによって、組み合わされてもよい。そのようにして、担体粒子は、薬物粒子と同時に形成され、均質粉末を生成する。あるいは、担体は、乾燥粉末形態で別に調製され、ブレンドによって乾燥粉末薬物と組み合わされてもよい。粉末担体は、通常、結晶性(吸水を回避するために)であるが、場合によっては、非晶質、または結晶性および非晶質の混合物であり得る。担体粒子の粒径は、薬物粉末の流動性を改善するように選択されてもよく、典型的には、25μm〜100μmの範囲である。担体材料は、上記の範囲の粒径を有する結晶性ラクトースであってもよい。
【0423】
上記の方法のいずれかによって調製される粉末は、それに続く使用のために、従来の方法で噴霧乾燥機から回収される。製薬としての使用および他の目的のために、多くの場合、遮蔽または他の従来の技術によって形成された可能性がある任意の凝集体を破壊することが望ましい。製薬学的用途のために、乾燥粉末製剤は、通常、測定され単回投与に分けられ、単回投与は、パッケージに密閉される。そのようなパッケージは、以下に詳細に記載するような乾燥粉末吸入器中の分散に特に有用である。あるいは、粉末は、複数回投与容器にパッケージングされてもよい。
【0424】
疎水性薬物および他の薬物ならびに成分を噴霧乾燥させるための方法は、米国特許第5,000,888号、同第5,026,550号、同第4,670,419号、同第4,540,602号、および同第4,486,435号の各明細書に記載される。Bloch and Speison(1983)Pharm.Acta Helv 58:14−22は、ジオキサン−水および2−エトキシエタノール−水の共沸溶媒中のヒドロクロロチアジドおよびクロルタリドン(親油性薬物)ならびに親水性補助剤(ペンタエリトリトール)の噴霧乾燥を教示する。多くの日本特許出願の要約は、親水性−疎水性生成物の組み合わせの噴霧乾燥に関し、特開平08−006766号、特開平07−242568号、特開平07−101884号、特開平07−101883号、特開平07−1018982号、特開平07−101881号、および特開平04−036233号の各明細書が挙げられる。親水性−疎水性生成物の組み合わせの噴霧乾燥に関する他の外国の特許出願としては、仏国特許出願公開第2594693号、独国特許出願公開第2209477号の各明細書、および国際公開第88/07870号パンフレットが挙げられる。
【0425】
凍結乾燥
iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)調製物は、凍結乾燥によって作製することができる。凍結乾燥は、水が凍結した後に組成物から昇華する、フリーズドライプロセスである。凍結乾燥プロセスに関連する特定の利点は、水溶液中で比較的不安定な生物学的製剤および医薬品を、昇温なしで乾燥させ(それによって、熱の悪影響を排除する)、次いで、安定性に関する問題がほとんどない乾燥状態で保存することができるという点である。本発明に関して、そのような技術は、生理学的活性を低下させることなく、核酸の有孔微細構造への組み込みに特に適合する。凍結乾燥した粒子を提供するための方法は、当業者に既知であり、本明細書の教示に従った分散適合性の微細構造を提供するために、過度の実験は明らかに必要ないであろう。したがって、所望の多孔性およびサイズを有する微細構造を提供するために、凍結乾燥プロセスが使用され得る限りにおいて、凍結乾燥プロセスは、本明細書の教示に適合し、本発明の範囲内であると明確に考えられる。
【0426】
遺伝子
一態様では、本発明は、本発明の
モジュラー構成物の投与が有効であり得る疾病のリスクがあるか、またはその疾病に罹患した対象を治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療される疾病に応じて決まる。
【0427】
ある実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、成長因子もしくは成長因子受容体遺伝子、キナーゼ、例えば、タンパク質チロシン、セリンもしくはトレオニンキナーゼ遺伝子、アダプタータンパク質遺伝子、Gタンパク質スーパーファミリー分子をコードする遺伝子、または転写因子をコードする遺伝子をサイレンシングする。
【0428】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、PDGFβ遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPDGFβ発現を特徴とする疾患、例えば、精巣癌および肺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0429】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、Erb−B遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないErb−B発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0430】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、Src遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないSrc発現を特徴とする疾患、例えば、結腸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0431】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、CRK遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないCRK発現を特徴とする疾患、例えば、結腸癌および肺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0432】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、GRB2遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないGRB2発現を特徴とする疾患、例えば、扁平上皮癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0433】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、RAS遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないRAS発現を特徴とする疾患、例えば、膵臓癌、結腸癌、および肺癌、ならびに慢性白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0434】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、MEKK遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないMEKK発現を特徴とする疾患、例えば、扁平上皮癌、メラノーマ、もしくは白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0435】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、JNK遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないJNK発現を特徴とする疾患、例えば、膵臓癌もしくは乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0436】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、RAF遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないRAF発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌もしくは白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0437】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、Erk1/2遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないErk1/2発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0438】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、PCNA(p21)遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPCNA発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0439】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、MYB遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないMYB発現を特徴とする疾患、例えば、結腸癌もしくは慢性骨髄性白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0440】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、c−MYC遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないc−MYC発現を特徴とする疾患、例えば、バーキットリンパ腫もしくは神経芽腫を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0441】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、JUN遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないJUN発現を特徴とする疾患、例えば、卵巣癌、前立腺癌、もしくは乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0442】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、FOS遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないFOS発現を特徴とする疾患、例えば、皮膚癌もしくは前立腺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0443】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、BCL−2遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないBCL−2発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌もしくは前立腺癌または非ホジキンリンパ腫を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0444】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、サイクリンD遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサイクリンD発現を特徴とする疾患、例えば、食道癌および結腸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0445】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、VEGF遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないVEGF発現を特徴とする疾患、例えば、食道癌および結腸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0446】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、EGFR遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないEGFR発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0447】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、サイクリンA遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサイクリンA発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌および子宮頸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0448】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、サイクリンE遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサイクリンE発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌および乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0449】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、WNT−1遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないWNT−1発現を特徴とする疾患、例えば、基底細胞癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0450】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、β−カテニン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないβ−カテニン発現を特徴とする疾患、例えば、腺癌もしくは肝細胞癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0451】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、c−MET遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないc−MET発現を特徴とする疾患、例えば、肝細胞癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0452】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、PKC遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPKC発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0453】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、NFKB遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないNFKB発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0454】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、STAT3遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないSTAT3発現を特徴とする疾患、例えば、前立腺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0455】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、スルビビン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないスルビビン発現を特徴とする疾患、例えば、子宮頸癌もしくは膵臓癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0456】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、Her2/Neu遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないHer2/Neu発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0457】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、トポイソメラーゼI遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないトポイソメラーゼI発現を特徴とする疾患、例えば、卵巣癌および結腸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0458】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、トポイソメラーゼIIα遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないトポイソメラーゼIIα発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌および結腸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0459】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、p73遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp73発現を特徴とする疾患、例えば、結腸直腸腺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0460】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、p21(WAF1/CIP1)遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp21(WAF1/CIP1)発現を特徴とする疾患、例えば、肝臓癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0461】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、p27(KIP1)遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp27(KIP1)発現を特徴とする疾患、例えば、肝臓癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0462】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、PPM1D遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないPPM1D発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0463】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、RAS遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないRAS発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0464】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、カベオリンI遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないカベオリンI発現を特徴とする疾患、例えば、食道扁平上皮癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0465】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、MIB I遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないMIB I発現を特徴とする疾患、例えば、男性乳癌(MBC)を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0466】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、MTAI遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないMTAI発現を特徴とする疾患、例えば、卵巣癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0467】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、M68遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないM68発現を特徴とする疾患、例えば、食道、胃、結腸、および直腸のヒト腺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0468】
特定の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、腫瘍抑制遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、化学療法薬と組み合わせて、アポトーシス活性を促進する方法として使用することができる。
【0469】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、p53腫瘍抑制遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp53発現を特徴とする疾患、例えば、胆嚢癌、膵臓癌、および肺癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0470】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、p53ファミリーメンバーDN−p63の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないDN−p63発現を特徴とする疾患、例えば、扁平上皮癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0471】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、pRb腫瘍抑制遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないpRb発現を特徴とする疾患、例えば、口腔扁平上皮癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0472】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、APC1腫瘍抑制遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないAPC1発現を特徴とする疾患、例えば、結腸癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0473】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、BRCA1腫瘍抑制遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないBRCA1発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0474】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、PTEN腫瘍抑制遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないPTEN発現を特徴とする疾患、例えば、過誤腫、神経膠腫、ならびに前立腺癌および子宮内膜癌を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0475】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、MLL融合遺伝子、例えば、MLL−AF9をサイレンシングし、したがって、望ましくないMLL融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、急性白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0476】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、BCR/ABL融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないBCR/ABL融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、急性および慢性白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0477】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、TEL/AML1融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないTEL/AML1融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、小児急性白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0478】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、EWS/FLI1融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないEWS/FLI1融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、ユーイング肉腫を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0479】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、TLS/FUS1融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないTLS/FUS1融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、粘液性脂肪肉腫を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0480】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、PAX3/FKHR融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPAX3/FKHR融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、粘液性脂肪肉腫を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0481】
別の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、AML1/ETO融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないAML1/ETO融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、急性白血病を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0482】
疾病
血管形成
別の態様では、本発明は、血管形成阻害が有効であり得る疾病または疾患、例えば、癌のリスクがあるか、またはそれに罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療される血管形成関連遺伝子の種類に応じて決まる。
【0483】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、α v−インテグリン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないα v−インテグリンを特徴とする疾患、例えば、脳腫瘍もしくは上皮性起源の腫瘍を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0484】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、Flt−1受容体遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないFlt−1受容体を特徴とする疾患、例えば、癌および関節リウマチを有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0485】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、チューブリン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないチューブリンを特徴とする疾患、例えば、癌および網膜新生血管を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0486】
いくつかの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、チューブリン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないチューブリンを特徴とする疾患、例えば、癌および網膜新生血管を有するか、またはそのリスクがある対象を治療するために使用することができる。
【0487】
ウイルス性疾患
さらに別の態様では、本発明は、ウイルスに感染した、またはウイルス感染に関連する疾患もしくは疾病のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した対象を治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療されるウイルス性疾患の種類に応じて決まる。いくつかの実施形態では、核酸は、ウイルス遺伝子を標的化してもよい。他の実施形態では、核酸は、宿主遺伝子を標的化してもよい。
【0488】
したがって、本発明は、ヒトパピローマウイル(HPV)に感染した、またはHPVによって媒介される疾患、例えば、子宮頸癌のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。HPVは、子宮頸癌の95%に関連があり、したがって、抗ウイルス療法は、これらの癌およびウイルス感染の他の症状を治療するための魅力的な方法である。いくつかの実施形態では、HPV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HPV遺伝子は、E2、E6、またはE7の群のうちの1つである。いくつかの実施形態では、HPV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0489】
本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した、またはHIVによって媒介される疾患、例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、HIV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HIV遺伝子は、CCR5、Gag、またはRevである。いくつかの実施形態では、HIV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、遺伝子は、CD4またはTsg101である。
【0490】
本発明はまた、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した、またはHBVによって媒介される疾患、例えば、肝硬変および肝細胞癌のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、HBV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、標的化HBV遺伝子は、HBVコアタンパク質の尾部領域、プレ−cregious(プレc)領域、またはcregious(c)領域の群のうち1つをコードする。別の実施形態では、標的化HBV−RNA配列は、ポリ(A)尾部から成る。特定の実施形態では、遺伝子は、CD4またはTsg101である。特定の実施形態では、HBV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0491】
本発明はまた、A型肝炎ウイルス(HAV)に感染した、またはHAVによって媒介される疾患のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HAV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0492】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した、またはHCVによって媒介される疾患、例えば、肝硬変のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HCV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HCV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0493】
本発明はまた、D、E、F、G、もしくはH型肝炎を含む肝炎ウイルス株の群のいずれかに感染した、またはこれらの肝炎型のいずれかによって媒介される疾患のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、D、E、F、G、またはH型肝炎遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、D、E、F、G、またはH型肝炎複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0494】
本発明の方法はまた、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に感染した、またはRSVによって媒介される疾患、例えば、乳児における下部呼吸器感染症および小児喘息、例えば、高齢者における肺炎および他の合併症のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、RSV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、標的化HBV遺伝子は、遺伝子N、L、またはPの群のうちの1つをコードする。いくつかの実施形態では、RSV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0495】
本発明の方法は、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染した、またはHSVによって媒介される疾患、例えば、性器ヘルペスおよび単純疱疹、ならびに主に免疫障害を持つ患者における命に関わる疾病もしくは視覚障害をもたらす疾病のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HSV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、標的化HSV遺伝子は、DNAポリメラーゼまたはヘリカーゼ−プライマーゼをコードする。いくつかの実施形態では、HSV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0496】
本発明はまた、ヘルペスサイトメガロウイルス(CMV)に感染した、またはCMVによって媒介される疾患、例えば、免疫障害を持つ患者における先天性ウイルス感染および合併症のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、CMV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、CMV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0497】
本発明の方法はまた、ヘルペスエプスタインバーウイルス(EBV)に感染した、またはEBVによって媒介される疾患、例えば、NK/T−細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、およびホジキン病のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、EBV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、EBV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0498】
本発明の方法はまた、ヒトヘルペスウイルス8型とも呼ばれる、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)に感染した、またはKSHVによって媒介される疾患、例えば、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、およびAIDS関連原発性滲出液のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、KSHV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、KSHV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0499】
本発明はまた、JCウイルス(JCV)、またはこのウイルスに関連した疾病もしくは疾患、例えば、進行性多巣性白質脳症(PML)に感染した患者を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、JCV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、JCV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0500】
本発明の方法はまた、ミクソウイルスに感染した、またはミクソウイルスによって媒介される疾患、例えば、インフルエンザのリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ミクソウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、ミクソウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0501】
本発明の方法はまた、ライノウイルスに感染した、またはライノウイルスによって媒介される疾患、例えば、感冒のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ライノウイルス遺伝子の発現が低減される。特定の実施形態では、ライノウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0502】
本発明の方法はまた、コロナウイルスに感染した、またはコロナウイルスによって媒介される疾患、例えば、感冒のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス遺伝子の発現が低減される。特定の実施形態では、コロナウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0503】
本発明の方法はまた、フラビウイルス・ウエストナイルに感染した、またはウエストナイルウイルスによって媒介される疾患のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ウエストナイルウイルス遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、ウエストナイルウイルス遺伝子は、E、NS3、またはNS5を含む群のうちの1つである。いくつかの実施形態では、ウエストナイルウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0504】
本発明の方法はまた、セントルイス脳炎フラビウイルスに感染した、またはこのウイルスに関連した疾病もしくは疾患、例えば、ウイルス性出血熱もしくは神経疾病のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、セントルイス脳炎遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、セントルイス脳炎ウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0505】
本発明の方法はまた、ダニ媒介脳炎フラビウイルスに感染した、またはダニ媒介脳炎ウイルスによって媒介される疾患、例えば、ウイルス性出血熱および神経疾病のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ダニ媒介脳炎ウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、ダニ媒介脳炎ウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0506】
本発明の方法はまた、一般的にウイルス性出血熱および神経疾病をもたらす、マレーバレー脳炎フラビウイルスに感染した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、マレーバレー脳炎ウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、マレーバレー脳炎ウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0507】
本発明はまた、デング熱フラビウイルス、またはこのウイルスに関連した疾病もしくは疾患、例えば、デング出血熱に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、デング熱ウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、デング熱ウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0508】
本発明の方法はまた、シミアンウイルス40(SV40)に感染した、またはSV40によって媒介される疾患、例えば、腫瘍形成のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、SV40遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、SV40複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0509】
本発明はまた、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV)、またはこのウイルスに関連した疾病もしくは疾患、例えば、白血病および脊髄症に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、HTLV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HTLV1遺伝子は、Tax転写活性化因子である。いくつかの実施形態では、HTLV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0510】
本発明の方法はまた、モロニーマウス白血病ウイルス(Mo−MuLV)に感染した、またはMo−MuLVによって媒介される疾患、例えば、T−細胞白血病のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、Mo−MuLV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、Mo−MuLV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0511】
本発明の方法はまた、脳心筋炎ウイルス(EMCV)に感染した、またはEMCVによって媒介される疾患、例えば、心筋炎のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。EMCVは、マウスおよびブタにおける心筋炎をもたらし、ヒト心筋細胞に感染することができる。したがって、このウイルスは、異種移植を受ける患者に対する懸念事項である。いくつかの実施形態では、EMCV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、EMCV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0512】
本発明はまた、麻疹ウイルス(MV)に感染した、またはMVによって媒介される疾患、例えば、麻疹のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、MV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、MV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0513】
本発明はまた、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に感染した、またはVZVによって媒介される疾患、例えば、水疱瘡もしくは帯状疱疹(帯状ヘルペスとも呼ばれる)のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、VZV遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、VZV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0514】
本発明はまた、アデノウイルスに感染した、またはアデノウイルスによって媒介される疾患、例えば、呼吸器感染症のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、アデノウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、アデノウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0515】
本発明は、黄熱病ウイルス(YFV)に感染した、またはYFVによって媒介される疾患、例えば、呼吸器感染症のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、YFV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、遺伝子は、E、NS2A、またはNS3遺伝子を含む群のうちの1つであり得。いくつかの実施形態では、YFV複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0516】
本発明の方法はまた、ポリオウイルスに感染した、またはポリオウイルスによって媒介される疾患、例えば、ポリオのリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリオウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、ポリオウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0517】
本発明の方法はまた、ポックスウイルスに感染した、またはポックスウイルスによって媒介される疾患、例えば、天然痘のリスクがあるか、もしくはそれに罹患した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポックスウイルス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、ポックスウイルス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0518】
他の病原体
別の態様では、本発明は、病原体、例えば、細菌性、アメーバ性、寄生性、または菌類病原体に感染した対象を治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療される病原体の種類に応じて決まる。いくつかの実施形態では、核酸は、病原遺伝子を標的化してもよい。他の実施形態では、核酸は、宿主遺伝子を標的化してもよい。
【0519】
標的遺伝子は、成長、細胞壁合成、タンパク質合成、転写、エネルギー代謝、例えば、クレブス回路、または毒素産生に関与するものであってもよい。
【0520】
したがって、マラリアを引き起こすマラリア原虫に感染した患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、マラリア原虫遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、遺伝子は、頂端膜抗原1(AMA1)である。いくつかの実施形態では、マラリア原虫複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0521】
本発明はまた、マイコバクテリウム・ウルセランス、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、ブルーリ潰瘍に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、マイコバクテリウム・ウルセランス遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、マイコバクテリウム・ウルセランス複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0522】
本発明はまた、ヒト型結核菌、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、結核に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、ヒト型結核菌遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、ヒト型結核菌複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0523】
本発明はまた、ハンセン菌、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、ハンセン病に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、ハンセン菌遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、ハンセン菌複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0524】
本発明はまた、黄色ブドウ球菌、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、皮膚および粘膜感染症に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、黄色ブドウ球菌遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、黄色ブドウ球菌複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0525】
本発明はまた、肺炎連鎖球菌、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、肺炎もしくは小児下部呼吸器感染症に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、肺炎連鎖球菌遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、肺炎連鎖球菌複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0526】
本発明はまた、化膿連鎖球菌、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、連鎖球菌性咽頭炎もしくは猩紅熱に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、化膿連鎖球菌遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、化膿連鎖球菌複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0527】
本発明はまた、クラミジア・ニューモニエ、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、肺炎もしくは小児下部呼吸器感染症に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、クラミジア・ニューモニエ遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、クラミジア・ニューモニエ複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0528】
本発明はまた、マイコプラズマ・ニューモニエ、またはこの病原体に関連する疾病もしくは疾患、例えば、肺炎もしくは小児下部呼吸器感染症に感染した患者を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、マイコプラズマ・ニューモニエ遺伝子の発現が低減される。いくつかの実施形態では、マイコプラズマ・ニューモニエ複製に必要なヒト遺伝子の発現が低減される。
【0529】
免疫障害
一態様では、本発明は、望ましくない免疫反応を特徴とする疾病もしくは疾患、例えば、炎症性疾病もしくは疾患、または自己免疫疾病もしくは疾患のリスクがあるか、またはそれに罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療される免疫障害の種類に応じて決まる。
【0530】
いくつかの実施形態では、疾病または疾患は、虚血または再かん流傷害、例えば、急性心筋梗塞、不安定狭心症、心肺バイパス、外科的介入、例えば、血管形成、例えば、経皮経管冠動脈形成、移植器官もしくは組織、例えば、移植心臓もしくは維管束組織への反応、または血栓溶解に関連した虚血もしくは再かん流傷害である。
【0531】
いくつかの実施形態では、疾病または疾患は、再狭窄、例えば、外科的介入、例えば、血管形成、例えば、経皮経管冠動脈形成に関連した再狭窄である。
【0532】
特定の実施形態では、疾病または疾患は、炎症性腸疾患、例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎である。
【0533】
特定の実施形態では、疾病または疾患は、感染症または損傷に関連した炎症である。
【0534】
特定の実施形態では、疾病または疾患は、喘息、ループス、多発性硬化症、糖尿病、例えば、2型糖尿病、関節炎、例えば、リウマチまたは乾癬である。
【0535】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、インテグリンまたはそのコリガンド、例えば、VLA4、VCAM、ICAMをサイレンシングする。
【0536】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、セレクチンまたはそのコリガンド、例えば、P−セレクチン、E−セレクチン(ELAM)、I−セレクチン、P−セレクチン糖タンパク質−1(PSGL−1)をサイレンシングする。
【0537】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、補体系の構成成分、例えば、C3、C5、C3aR、C5aR、C3転換酵素、C5転換酵素をサイレンシングする。
【0538】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、ケモカインまたはその受容体、例えば、TNFI、TNFJ、IL−1I、IL−1J、IL −2、IL−2R、IL−4、IL−4R、IL−5、IL−6、IL−8、TNFRI、TNFRII、IgE、SCYA11、CCR3をサイレンシングする。
【0539】
他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、GCSF、Gro1、Gro2、Gro3、PF4、MIG、プロ−血小板塩基性タンパク質(PPBP)、MIP−1I、MIP−1J、RANTES、MCP−1、MCP−2、MCP−3、CMBKR1、CMBKR2、CMBKR3、CMBKR5、AIF−1、I−309をサイレンシングする。
【0540】
疼痛
一態様では、本発明は、急性疼痛または慢性疼痛のリスクがあるか、またはそれに罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療される疼痛の種類に応じて決まる。
【0541】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、イオンチャネルの構成成分をサイレンシングする。
【0542】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、神経伝達物質受容体またはリガンドをサイレンシングする。
【0543】
一態様では、本発明は、神経疾病または疾患のリスクがあるか、またはそれに罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。この方法は、
iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)を提供することであって、iRNAは、神経疾病または疾患を媒介する遺伝子と相同であり、かつ例えば開裂によって、遺伝子をサイレンシングすることができ、そのiRNA剤を対象に投与することと、
それによって、その対象を治療することと、
を含む。
【0544】
神経障害
特定の実施形態では、疾病または疾患は、アルツハイマー病またはパーキンソン病を含む神経障害である。この方法は、本発明の
モジュラー構成物をそれを必要としている対象に投与し、それによってその対象を治療することを含む。投与される核酸は、治療される神経障害の種類に応じて決まる。
【0545】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、アミロイドファミリー遺伝子、例えば、APP、プレセニリン遺伝子、例えば、PSEN1およびPSEN2、またはI−シヌクレインをサイレンシングする。
【0546】
いくつかの実施形態では、疾病または疾患は、神経変性トリヌクレオチド反復障害、例えば、ハンチントン病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、または脊髄小脳失調、例えば、SCA1、SCA2、SCA3(マシャド・ジョセフ病)、SCA7、もしくはSCA8である。
【0547】
特定の他の実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、HD、DRPLA、SCA1、SCA2、MJD1、CACNL1A4、SCA7、SCA8をサイレンシングする。
【0548】
ヘテロ接合性の消失
ヘテロ接合性の消失(LOH)は、LOHの領域内の配列、例えば、遺伝子の半接合をもたらし得る。これは、正常細胞と病態の細胞、例えば、癌細胞との間の有意な遺伝的な差をもたらし得、正常細胞と病態の細胞、例えば、癌細胞との間の有益な差を提供する。遺伝子または他の配列は、正倍数体細胞においてヘテロ接合であるが、LOHを有する細胞においては半接合であるため、この差が生じ得る。LOHの領域はしばしば、その遺伝子の消失が望ましくない増殖を促進する遺伝子、例えば、腫瘍抑制遺伝子、および例えば、他の遺伝子、場合によっては、正常な機能、例えば、成長に必須の遺伝子を含む他の配列を含む。本発明の方法は、部分的に、本発明のiRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)による、必須遺伝子の1つの対立遺伝子の特異的な開裂またはサイレンシングに依存する。iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、それが、LOHを有する細胞内に見られる必須遺伝子の1つの対立遺伝子を標的化するが、LOHを示さない細胞内に存在する他の対立遺伝子をサイレンシングしないように選択される。本質的に、iRNA剤は、2つの対立遺伝子を区別し、選択された対立遺伝子を選択的にサイレンシングする。本質的に、多型、例えば、LOHによって影響を受ける必須遺伝子のSNPは、LOHを有する細胞、例えば、LOHを有する癌細胞を特徴とする疾患に対する標的として使用される。
【0549】
当業者は、腫瘍抑制遺伝子に近接し、かつ腫瘍抑制遺伝子を含むLOH領域内にある必須遺伝子を同定することができる。ヒトRNAポリメラーゼIIの大サブユニットをコードする遺伝子であるPOLR2A、すなわち腫瘍抑制遺伝子p53に近接して位置する遺伝子は、そのような遺伝子である。それはしばしば、癌細胞におけるLOHの領域内に生じる。LOH領域内に生じ、かつ多くの癌細胞型において欠けている他の遺伝子としては、複製タンパク質A70−kDaサブユニット、複製タンパク質A32−kD、リボヌクレオチドレダクターゼ、チミジル酸シンターゼ、TATA関連因子2H、リボソームタンパク質S14、真核開始因子5A、アラニルtRNAシンテターゼ、システイニルtRNAシンテターゼ、NaK ATPase、α−1サブユニット、およびトランスフェリン受容体を含む群が挙げられる。
【0550】
したがって、本発明は、LOHを特徴とする疾患、例えば、癌を治療する方法を特徴とする。この方法は随意的に、LOHの領域内の遺伝子の対立遺伝子の遺伝子型を決定し、正常細胞内の遺伝子の両方の対立遺伝子の遺伝子型を決定し、LOH細胞内に見られる対立遺伝子を選択的に開裂またはサイレンシングし、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)を提供し、対象にiRNAを投与し、それによって該疾患を治療する、各工程を有してなる。
【0551】
本発明はまた、本明細書に開示するiRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)、例えば、多型遺伝子の1つの対立遺伝子を選択的にサイレンシングする、例えば、開裂することができる、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)を含む。
【0552】
別の態様では、本発明は、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)で、2つ以上の遺伝子を開裂またはサイレンシングする方法を提供する。これらの実施形態では、iRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、2つ以上の遺伝子に見られる配列に十分な相同性を有するように選択される。例えば、配列AAGCTGGCCCTGGACATGGAGATは、マウスラミンB1、ラミンB2、ケラチン複合体2−遺伝子1、および等ミンA/Cの間で保存される。したがって、この配列に標的化されるiRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)は、遺伝子の集合体全体を効果的にサイレンシングし得る。
【0553】
本発明はまた、2つ以上の遺伝子をサイレンシングすることができる、本明細書に開示するiRNA剤(例えば本明細書に記載する
モジュラー構成物中のiRNA剤)を含む。
【0554】
送達経路
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。iRNAを含む
構成物は、種々の経路で対象に送達することができる。例示的な経路としては、静脈、局所、直腸、経肛門、膣内、経鼻、経肺、眼内が挙げられる。
【0555】
本発明のiRNA分子は、投与に好適な医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は、典型的には、1つ以上の種のiRNAおよび薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」という用語は、医薬投与に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒質、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌薬、等張剤、ならびに吸収遅延剤等を含むことを意図する。薬学的活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。任意の従来の媒質または薬剤が活性化合物に適合する場合を除いて、組成物中のその使用が企図されている。補助活性化合物もまた、該組成物中に組み込むことができる。
【0556】
本発明の医薬組成物は、局所または全身治療が望ましいかに応じて、かつ治療される領域に応じて、多くの方法で投与され得る。投与は、局所的(眼内、膣内、直腸、鼻腔内、経皮)、経口、または非経口であってもよい。非経口投与としては、静脈内点滴、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射、または髄腔内もしくは脳室内投与が挙げられる。
【0557】
投与経路および部位は、標的化を強化するように選択されてもよい。例えば、筋細胞を標的化するために、対象となる筋肉への筋肉内注射が、当然のふさわしい選択であり得る。肺細胞は、エアロゾルの形態でiRNAを投与することによって標的化されてもよい。血管内皮細胞は、iRNAでバルーンカテーテルを被覆し、DNAを機械的に導入することによって標的化され得る。
【0558】
局所投与のための製剤としては、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴、坐剤、噴霧、液体、および粉末が含まれ得る。従来の医薬担体、水性基剤、粉末状基剤、または油性塩基、増粘剤等が必要または所望であり得る。被覆されたコンドーム、手袋等もまた有用であり得る。
【0559】
経口投与のための組成物としては、粉末もしくは顆粒、水中の懸濁液もしくは溶液シロップ、エリキシル剤、非水性溶媒、タブレット、カプセル、ドロップ、またはトローチが挙げられる。タブレットの場合、使用され得る担体としては、ラクトース、クエン酸ナトリウム、およびリン酸塩が挙げられる。デンプン等の種々の崩壊剤、ならびにステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルク等の潤滑剤が、一般的にタブレットに使用される。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤は、ラクトースおよび高分子量ポリエチレングリコールである。水性懸濁液が経口使用に必要な場合、核酸組成物は、乳化剤および懸濁化剤と組み合わせることができる。望ましい場合、特定の甘味剤および/または香味剤を添加することができる。
【0560】
髄腔内または脳室内投与のための組成物は、緩衝剤、希釈剤、および他の好適な添加剤を含有し得る滅菌水溶液を含んでもよい。
【0561】
非経口投与のための製剤は、緩衝剤、希釈剤、および他の好適な添加剤も含有し得る滅菌水溶液を含んでもよい。脳室内注射は、例えば、リザーバに取り付けられた脳室内カテーテルによって促進されてもよい。静脈使用のために、溶質の総濃度は、調製物を等張性にするように制御されてもよい。
【0562】
眼内投与のために、軟膏または点滴液体が、アプリケータまたは点眼器等の当該技術分野で既知の眼内送達システムによって送達されてもよい。そのような組成物は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはポリ(ビニルアルコール)等の粘液模倣物、ソルビン酸、EDTA、もしくは塩化ベンジルクロム等の防腐剤、ならびに通常の量の希釈剤および/または担体を含むことができる。
【0563】
局所送達
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。いくつかの実施形態では、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)は、局所投与を介して対象に送達される。「局所投与」とは、対象の表面に製剤を直接接触させることによる、対象への送達を指す。最も一般的な形態の局所送達は、皮膚への送達であるが、本明細書に開示する
構成物は、身体の他の表面、例えば、眼、粘膜、体腔、または内面に直接適用することができる。上記のように、最も一般的な局所送達は、皮膚への送達である。この用語は、局所および経皮を含むがこれに限定されない、いくつかの投与経路を包含する。これらの投与方法は、典型的には、皮膚の透過障壁への浸透および標的組織または層への効率的な送達を含む。局所投与は、表皮および真皮に浸透し、最終的に
構成物の全身送達を達成するための手段として使用することができる。局所投与はまた、対象の表皮もしくは真皮、またはその特定の層、または下層組織にオリゴヌクレオチドを選択的に送達するための手段としても使用することができる。
【0564】
本明細書で使用する「皮膚」という用語は、動物の表皮および/または真皮を指す。哺乳動物の皮膚は、2つの主要な異なる層から成る。皮膚の外層は、表皮と呼ばれる。表皮は、角質層、顆粒層、有棘層、および基底層から成り、角質層は、皮膚の表面にあり、基底層は、表皮の最深部分にある。表皮は、身体上のその位置に応じて、50μm〜0.2mmの間の厚さである。
【0565】
表皮の下には、表皮よりも有意に厚い真皮がある。真皮は主に、繊維束の形態のコラーゲンから成る。コラーゲン束は、とりわけ、血管、毛細リンパ管、腺、神経終末、および免疫学的に活性な細胞に対する支持を提供する。
【0566】
器官としての皮膚の主要な機能のうちの1つは、体内に物質が入ることを調節することである。皮膚の主要な透過障壁は、分化の種々の状態で細胞の多くの層から形成される角質層によって提供される。角質層中の細胞間の空間は、皮膚の透過障壁をさらに強化するための密閉を提供する、格子状の構造に配列された異なる脂質で充填される。
【0567】
皮膚によって提供される透過障壁は、約750Daを超える分子量を有する分子に概して不浸透性であるような障壁である。より大きい分子が皮膚の透過障壁を通過するために、通常の浸透作用以外の機構を使用しなければならない。
【0568】
いくつかの要因が、投与された薬剤に対する皮膚の透過性を決定する。これらの要因としては、治療された皮膚の特徴、送達剤の特徴、薬剤と送達剤との間および薬剤と皮膚との間の両方の相互作用、適用される薬剤の投与量、治療形態、および治療後レジメンが挙げられる。表皮および真皮を選択的に標的化するために、時に、予め選択された層に対する薬剤の浸透を可能にする1つ以上の浸透促進剤を含む、組成物を製剤化することが可能である。
【0569】
経皮送達は、脂溶性治療薬の投与に有益な経路である。真皮は、表皮よりも透過性であり、したがって、吸収は、擦りむいた皮膚、火傷した皮膚、または剥離された皮膚を通じてはるかに急速である。炎症および皮膚への血流量を増加させる他の生理学的条件もまた、経皮吸収を強化する。この経路を介した吸収は、油性媒体(塗擦)の使用によって、または1つ以上の浸透促進剤の使用によって強化され得る。経皮経路を介して本明細書に開示する
構成物を送達する他の効果的な方法としては、皮膚の水和および制御放出局所パッチの使用が挙げられる。経皮経路は、全身および/または局所療法のために本明細書に開示する
構成物を送達するための潜在的に効果的な手段を提供する。
【0570】
加えて、イオントフォレーシス(電場の影響下での生体膜を通じたイオン性溶質の輸送)(Lee et al .,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.163)、フォノフォレーシス、またはソノフォレーシス(生体膜、特に皮膚および角膜にわたる種々の治療薬剤の吸収を強化するための超音波の使用)(Lee et al .,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.166)、および投与部位における用量状態および滞留性に対する媒体特徴の最適化(Lee et al .,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.168)は、皮膚および粘膜部にわたる局所的に提供される
構成物の輸送を強化するための有用な方法であり得る。
【0571】
提供される
構成物および方法はまた、インビトロで、培養または保存真皮組織中で、および動物において、種々のタンパク質および遺伝子の機能を検査するために使用されてもよい。したがって、本発明は、任意の遺伝子の機能を検査するために適用することができる。本発明の方法はまた、治療的または予防的に使用することができる。例えば、乾癬、扁平苔癬、中毒性表皮剥離症、多形性紅斑、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性メラノーマ、パジェット病、カポジ肉腫、肺線維症、ライム病、ならびに皮膚のウイルス感染、真菌感染、および細菌感染等の疾病に罹患していることが既知であるか、またはその疑いがある動物の治療に使用され得る。
【0572】
経肺送達
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む
構成物は、経肺送達によって対象に投与することができる。経肺送達組成物は、分散剤中の
構成物、例えば、iRNAが肺に達することができ、肺内で肺胞領域を通じて血液循環に直接容易に吸収されることができるように、分散剤の患者による吸収によって送達することができる。経肺送達は、全身送達、および肺疾患を治療するための局所送達の両方に効果的であり得る。
【0573】
経肺送達は、ネブライザー製剤、エアロゾル製剤、ミセル製剤、または乾燥粉末製剤の使用を含む、異なる方法によって達成することができる。送達は、液体ネブライザー、エアロゾル吸入器、および乾燥粉末分散装置を用いて達成することができる。定量デバイスが使用されてもよい。アトマイザーまたは吸入器を使用する利点のうちの1つは、デバイスが内蔵式であるため、汚染の可能性が最小限に抑えられることである。乾燥粉末分散装置は、例えば、乾燥粉末として容易に製剤化され得る薬剤を送達する。iRNA
構成物は、単独で、または好適な粉末担体と組み合わせて、凍結乾燥または噴霧乾燥粉末として安定的に保存され得る。吸入のための組成物の送達は、デバイスに組み込まれた場合に、エアロゾル薬剤の投与中に患者に対する用量追跡、コンプライアンス監視、および/または用量トリガーを可能にする、タイマー、用量カウンター、時間測定デバイス、または時間指示器が挙げられ得る、投薬タイミング要素によって媒介することができる。.
「粉末」という用語は、自由流動性であり、吸入デバイス内で容易に分散され、続いて対象によって吸入され、粒子が肺に達し、肺胞への浸透を可能にすることができる、微細分散した個体粒子から成る組成物を意味する。したがって、粉末は、「呼吸に適している」と考えられる。例えば、平均粒径は、直径が約10μm未満であり、比較的均一な球状の分布を有する。いくつかの実施形態では、直径は、約7.5μm未満であり、いくつかの実施形態では、約5.0μm未満である。通常、粒径分布は、約0.1μm〜約5μmの間の直径である、時に、約0.3μm〜約5μmの間の直径である。
【0574】
「乾燥」という用語は、組成物が、水分含量が約10重量%(%w)を下回る、約5重量%を下回る、および場合によっては、約3重量%を下回る水を有することを意味する。乾燥組成物は、粒子が、エアロゾルを形成するために吸入デバイス内で容易に分散可能であるような組成物である。
【0575】
「治療有効量」という用語は、予測される生理学的反応をもたらすために、治療されている対象において所望のレベルの薬剤を提供するために必要な組成物中に存在する量である。
【0576】
「生理学的有効量」という用語は、緩和または治療効果をもたらすために対象に送達される量である。
【0577】
「薬学的に許容される担体」という用語は、肺への有意な有害毒性効果なく、担体を肺に取り込むことができることを意味する。
【0578】
担体として有用な医薬品賦形剤の種類としては、ヒト血清アルブミン(HSA)等の安定剤、炭水化物、アミノ酸、およびポリペプチド等の増量剤;pH調整剤または緩衝剤;塩化ナトリウム等の塩等が挙げられる。これらの担体は、結晶性または非晶質形態であってもよく、または2つの混合物であってもよい。
【0579】
特に有益な増量剤としては、適合する炭水化物、ポリペプチド、アミノ酸、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好適な炭水化物としては、ガラクトース、D−マンノース、ソルボース等の単糖類;ラクトース、トレハロース等の二糖類;2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン等のシクロデキストリン;およびラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン等の多糖類;マンニトールキシリトール等のアルジトールが挙げられる。炭水化物の群としては、ラクトース、トレハロース、ラフィノースマルトデキストリン、およびマンニトールが挙げられ得る。好適なポリペプチドとしては、アスパルテームが挙げられる。アミノ酸としては、アラニンおよびグリシンが挙げられ、いくつかの実施形態では、グリシンが使用されている。
【0580】
本発明の組成物の微量構成成分である添加剤は、噴霧乾燥中の構造安定性および粉末の分散性の改善のために含まれてもよい。これらの添加剤としては、トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニン等の疎水性アミノ酸が挙げられる。
【0581】
好適なpH調整剤または緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸および塩基から調整される有機塩が挙げられ、いくつかの実施形態では、クエン酸ナトリウムが使用されてもよい。
【0582】
ミセルiRNA製剤の経肺投与は、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロエタン、ジメチルフルオロプロパン、テトラフルオロプロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、ならびに他の非CFCおよびCFC噴射剤等の噴射剤を用いた定量噴霧デバイスによって達成することができる。
【0583】
経口または経鼻送達
説明を簡単にするために、本項の製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらの製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。口膜および鼻粘膜の両方は、他の投与経路に優る利点を提供する。例えば、これらの膜を通じた投与される薬物は、作用の急速な発現を有し、治療血漿レベルを提供し、肝代謝の初回通過効果を回避し、好ましくない胃腸(GI)を環境への薬剤の暴露を回避する。さらなる利点としては、薬剤を容易に適用、局所化、および除去することができるような、膜部位への容易なアクセスである。
【0584】
経口送達において、
構成物は、口腔の表面、例えば、舌の腹側表面の膜および口底を含む舌下粘膜、または頬の内面を構成する頬粘膜に標的化することができる。舌下粘膜は、比較的透過性であり、したがって、多くの薬物の急速な吸収および許容可能なバイオアベイラビリティをもたらす。さらに、舌下粘膜は、便利、許容可能、かつ容易にアクセス可能である。
【0585】
分子が口腔粘膜に浸透する能力は、分子量、脂溶性、およびペプチドタンパク質イオン化に関連するように思われる。1000ダルトン未満の小分子は、急速に粘膜を横断するように思われる。分子量が増加するにつれて、透過性は急速に減少する。脂溶性化合物は、非脂溶性分子よりも透過性である。最大吸収は、分子がイオン化されていないか、電荷において中性である場合に生じる。したがって、荷電分子は、口腔粘膜を介した吸収にとって最大の課題を示す。
【0586】
iRNAの医薬組成物はまた、上記の混合ミセル医薬品製剤および噴射剤を定量噴霧ディスペンサーから吸入なしで口腔に噴霧することによって、ヒトの口腔に投与されてもよい。一実施形態では、ディスペンサーは、医薬品製剤および噴射剤を口腔に噴霧する前に最初に震盪される。
【0587】
デバイス
説明を簡単にするために、本項のデバイス、製剤、
構成物、および方法は、主に、非修飾iRNA剤に関して考察される。しかしながら、これらのデバイス、製剤、
構成物、および方法は、他のiRNA剤、例えば、修飾iRNA剤で実施することができ、そのような実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)は、デバイス、例えば、対象内に埋め込まれる、または別様に配置されるデバイス上またはデバイス内に配置することができる。例示的なデバイスとしては、ステント、カテーテル、心臓弁、および他の血管デバイスを含む、血管系に導入されるデバイス、例えば、維管束組織の管腔に挿入されるデバイス、またはそれ自体が血管系の一部を形成するデバイスが挙げられる。これらのデバイス、例えば、カテーテルまたはステントは、肺、心臓、または脚の血管系に配置することができる。
【0588】
他のデバイスとしては、非血管デバイス、例えば、腹膜内、または器官もしくは腺組織内に埋め込まれるデバイス、例えば、人工器官が挙げられる。デバイスは、iRNAに加えて治療物質を放出することができ、例えば、デバイスは、インスリンを放出することができる。
【0589】
他のデバイスとしては、人工関節、例えば、股関節、および他の整形外科用インプラントが挙げられる。
【0590】
一実施形態では、iRNAを含む単位用量または測定用量の組成物は、埋め込み型デバイスによって分注される。デバイスは、対象内のパラメータを監視するセンサを含むことができる。例えば、デバイスは、例えば、ポンプ、および随意的に、関連電子機器を含むことができる。
【0591】
組織、例えば、細胞または器官は、エクスビボで、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)で処理し、次いで、対象に投与するか、または埋め込むことができる。
【0592】
組織は、自家移植組織、同種異系組織、または異種組織であってもよい。例えば、組織は、移植片対宿主病を軽減するように処置することができる。他の実施形態では、組織は、同種異系であり、組織は、組織内の望ましくない遺伝子発現を特徴とする疾患を治療するように処置される。例えば、組織、例えば、造血細胞、例えば、骨髄造血細胞は、望ましくない細胞増殖を阻害するように処置することができる。
【0593】
自己移植組織または移植組織にかかわらず、組織の導入は、他の両方と組み合わせることができる。
【0594】
いくつかの実施において、iRNAで処理された細胞は、例えば、細胞が移植片から離れることを防止するが、身体からの分子が細胞に到達すること、および細胞によって産生される分子が体内に入ることを可能にする、半透過性多孔質障壁によって、他の細胞から隔離される。一実施形態では、多孔質障壁は、アルギン酸から形成される。
【0595】
一実施形態では、避妊用デバイスが、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)によって被覆されるか、またはそれを含有する。例示的なデバイスとしては、コンドーム、ペッサリー、IUD(埋め込み型子宮内デバイス)、スポンジ、膣コンドーム、およびバースコントロールデバイスが挙げられる。一実施形態では、iRNAは、精子または卵子を不活性化するように選択される。別の実施形態では、iRNAは、ウイルスまたは病原体RNA、例えば、STDのRNAに相補的になるように選択される。場合によっては、iRNA組成物は、殺精子剤を含んでもよい。
【0596】
投与量
一態様では、本発明は、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤を対象(例えばヒト対象)に投与する方法を特徴とする。この方法は、(a)二本鎖部分が19〜25ヌクレオチド(nt)長、例えば、21〜23ntであり、(b)標的RNA(例えば内在性または病原体標的RNA)に相補的であり、かつ随意的に(c)1〜5ヌクレオチド長の少なくとも1つの3'突出部を含む、iRNA剤、例えば、siRNA剤、例えば、二本鎖siRNA剤の単位用量を投与することを含む。一実施形態では、単位用量は、体重1kg当たり1.4mg未満、または体重1kg当たり10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、もしくは0.00001mg未満、および体重1kg当たり200ナノモル未満のRNA剤(例えば約4.4×10
16の複製)、または体重1kg当たり1500、750、300、150、75、15、7.5、1.5、0.75、0.15、0.075、0.015、0.0075、0.0015、0.00075、0.00015ナノモル未満のRNA剤である。
【0597】
規定量は、疾病もしくは疾患、例えば、標的RNAに関連する疾病もしくは疾患を治療または予防するのに有効な量であり得る。例えば、単位用量は、注射(例えば静脈もしくは筋肉内)、吸入投与、または局所適用によって投与することができる。いくつかの実施形態では、投与量は、2、1、または0.1mg/体重kg未満であってもよい。
【0598】
いくつかの実施形態では、単位用量は、1日1回よりも少ない頻度、例えば、2、4、8、または30日ごとよりも少なく投与される。別の実施形態では、単位用量は、ある頻度で投与されない(例えば定期的な頻度ではない)。例えば、単位用量は、単回投与されてもよい。
【0599】
一実施形態では、有効量は、他の従来の治療法とともに投与される。一実施形態では、対象は、ウイルス感染を有し、治療法は、iRNA剤以外の、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤以外の抗ウイルス薬である。別の実施形態では、対象は、アテローム性動脈硬化症を有し、有効量のiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤が、外科的介入、例えば、血管形成と組み合わせて、例えば、その後に投与される。
【0600】
一実施形態では、対象は、初期用量および1つ以上の維持用量のiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を投与される。維持用量(複数を含む)は、概して、初期用量よりも低く、例えば、初期用量の半分である。維持レジメンは、1日当たり0.01μg〜1.4mg/体重kgに及ぶ用量(複数を含む)、例えば、1日当たり体重1kg当たり10、1、0.1、0.01、0.001、または0.00001mgで、対象を治療することを含むことができる。維持用量は、例えば、5、10、または30日に1回以下投与される。さらに、治療レジメンは、特定の疾病の性質、その重症度、および患者の全身状態に応じて異なる一定期間にわたって継続され得る。特定の実施形態では、投与量は、1日1回以下、例えば、24、36、48、またはそれ以上の時間に1回以下、例えば、5または8日に1回以下送達されてもよい。治療後、状態の変化および病態の症状の緩和に関して患者を監視することができる。化合物の投与量は、患者が現在の投与量レベルに有意に反応しない場合増加されてもよく、あるいは、病態の症状の緩和が観察される場合、病態が除去された場合、または望ましくない副作用が観察される場合は、用量は減少されてもよい。
【0601】
有効量は、特定の状況下において望ましい、または適切と見なされる通りに、単回投与または2回以上の用量で投与することができる。反復の、または頻繁な注入を促進することが望ましい場合、送達デバイス、例えば、ポンプ、半永久的ステント(例えば静脈、腹腔内、嚢内、もしくは関節包内)、またはリザーバ等の埋め込みが望ましくあり得る。
【0602】
一実施形態では、iRNA剤医薬組成物は、複数のiRNA剤種を含む。別の実施形態では、iRNA剤種は、自然発生する標的配列に対して、別の種と非重複および非隣接である配列を有する。別の実施形態では、複数のiRNA剤種は、異なる自然発生する標的遺伝子に特異的である。別の実施形態では、iRNA剤は、対立遺伝子に特異的である。
【0603】
場合によっては、患者は、他の治療法と併用してiRNA剤で治療される。例えば、ウイルス性疾患、例えば、HIV関連疾病(例えばAIDS)の治療を受けている患者は、既知の抗ウイルス薬(例えばプロテアーゼ阻害剤または逆転写酵素阻害剤)と併用して、ウイルスに必須の標的遺伝子に特異的なiRNA剤を投与されてもよい。別の例では、癌の治療を受けている患者は、化学療法と併用して、腫瘍細胞増殖に必須の標的に特異的なiRNA剤を投与されてもよい。
【0604】
成功的治療後、病態の再発を予防するために、患者に維持療法を受けさせることが望ましくあり得、本発明の化合物は、体重1kg当たり0.01μg〜100gに及ぶ維持用量で投与される(米国特許第6,107,094号明細書を参照されたい)。
【0605】
iRNA剤
構成物の濃度は、ヒトにおける疾患を治療もしくは予防するのに、または生理学的状態を調節するのに有効であるのに十分な量である。投与されるiRNA剤の濃度または量は、薬剤および投与方法、例えば、経鼻、口腔、経肺に関して決定されるパラメータに応じて決まる。例えば、経鼻製剤は、鼻道の刺激またはヒリヒリ感を回避するために、はるかに低濃度のいくつかの成分を必要とする傾向がある。時に、好適な経鼻製剤を提供するために、経口製剤を最大で10〜100倍希釈することが望ましい。
【0606】
疾病または疾患の重症度、以前治療、対象の全般的健康および/または年齢、ならびに他の存在する疾病が挙げられるがこれに限定されない、特定の要因が、対象を効果的に治療するために必要な投与量に影響を及ぼし得る。さらに、治療有効量のiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)での対象の治療は、単回治療を含むことができるか、または例えば、一連の治療を含むことができる。また、治療に使用されるsiRNA剤等のiRNA剤の有効投与量は、特定の治療過程にわたって増加または減少し得ることを理解されたい。投与量の変化は、本明細書に記載するような診断アッセイの結果に起因し得、かつ該結果から明らかとなり得る。例えば、対象は、iRNA剤
構成物の投与後に監視され得る。監視からの情報に基づいて、追加の量のiRNA剤
構成物が投与され得る。
【0607】
投薬は、治療される病状の重症度および反応性に依存し、治療過程は、数日間から数ヶ月まで、または治癒が達成されるか、もしくは病態の軽減が達成されるまで継続される。最適な投薬スケジュールは、患者の体内の薬物蓄積の測定から計算することができる。当業者は、最適な投与量、投薬方法、および反復率を容易に決定することができる。最適な投与量は、個々の化合物の相対効力に応じて異なってもよく、概して、インビトロおよびインビボ動物モデルで効果的であることがわかっているEC50に基づいて推測することができる。いくつかの実施形態では、動物モデルとしては、ヒト遺伝子、例えば、標的RNAを産生する遺伝子を発現するトランスジェニック動物が挙げられる。トランスジェニック動物は、対応する内在性RNAが欠損し得る。別の実施形態では、試験のための
構成物は、動物モデルの標的RNAとヒトの標的RNAとの間で保存される配列に、少なくとも内部領域において相補的である、iRNA剤を含む。
【0608】
本発明者らは、本明細書に記載するiRNA剤が、多くの方法で、哺乳動物、特に非ヒト霊長動物またはヒト等の大型哺乳動物に投与され得ることを発見した。
【0609】
一実施形態では、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤
構成物の投与は、非経口、例えば、静脈(例えばボーラスまたは拡散注入として)、皮内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、脳室内、頭蓋内、皮下、経粘膜、口腔、舌下、内視鏡的、直腸、経口、膣内、局所、経肺、鼻腔内、尿道、または眼内である。投与は、対象によって、または別の人、例えば、医療提供者によって提供することができる。薬剤は、測定用量で、または定量を送達するディスペンサーで提供することができる。選択された送達方法は、以下により詳細に考察される。
【0610】
本発明は、本明細書に記載するiRNA剤の直腸投与または送達のための方法、組成物、およびキットを提供する。
【0611】
したがって、本明細書に記載するiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)、例えば、本明細書に記載する治療有効量のiRNA剤、例えば、40未満、例えば、30未満のヌクレオチドの二本鎖領域を有し、かつ1つまたは2つの1〜3ヌクレオチド一本鎖3'突出部を有するiRNA剤は、直腸内に投与することができ、例えば、直腸を通じて下部結腸または上部結腸に導入することができる。この方法は、炎症性疾患、望ましくない細胞増殖、例えば、ポリープを特徴とする疾患、または結腸癌の治療に特に有用である。
【0612】
薬剤は、分注デバイス、例えば、薬剤の送達のための手段を含む、結腸の視診またはポリープの除去に使用されるものと同様のフレキシブルカメラ誘導デバイスを導入することによって、結腸内の部位に送達することができる。
【0613】
iRNA剤の直腸投与は、浣腸を用いる。浣腸用のIRNA剤は、食塩溶液または緩衝液に溶解することができる。直腸投与はまた、他の成分、例えば、賦形剤、例えば、ココアバターまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことができる、坐剤を用いることができる。
【0614】
本明細書に記載するiRNA剤はいずれも、例えば、タブレット、カプセル、ゲルカプセル、ドロップ、トローチ、または液体シロップの形態で、経口投与することができる。さらに、該組成物は、口腔の表面に局所的に適用することができる。
【0615】
本明細書に記載するiRNA剤はいずれも、口腔投与することができる。例えば、該薬剤は、口腔に噴霧するか、または例えば、液体、固体、またはゲルの形態で、口腔の表面に直接適用することができる。この投与は、口腔、例えば、歯肉または舌の炎症の治療に特に望ましく、例えば、一実施形態では、口腔投与は、ディスペンサー、例えば、医薬組成物および噴射剤を分注する定量噴霧ディスペンサーから、例えば、吸入なしで、腔に噴霧することによる。
【0616】
本明細書に記載するiRNA剤はいずれも、眼組織に投与することができる。例えば、該薬剤は、眼組織または周囲組織、例えば、眼瞼の内側の表面に適用することができる。それらは、例えば、噴霧することによって、点滴剤中で、洗眼液として、または軟膏として局所的に適用することができる。投与は、対象によって、または別の人、例えば、医療提供者によって提供することができる。該薬剤は、測定用量で、または定量を送達するディスペンサーで提供することができる。該薬剤はまた、眼内に投与することもでき、該薬剤を選択された範囲または構造に導入することができる、針または他の送達デバイスによって導入することができる。眼治療は、癌組織または周囲組織の炎症を治療するのに特に望ましい。
【0617】
本明細書に記載するiRNA剤はいずれも、皮膚に直接投与することができる。例えば薬剤は、局所的に適用するか、例えば、皮膚は貫通するが、例えば、下層の筋組織は貫通しないマイクロニードルまたは一連のマイクロニードルの使用によって、皮膚の層に送達することができる。iRNA剤組成物の投与は、局所的であってもよい。局所適用は、例えば、対象の真皮または表皮に組成物を送達することができる。局所投与は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴、坐剤、噴霧、液体、または粉末の形態であってもよい。局所投与のための組成物は、リポソーム、ミセル、エマルション、または他の親油性分子集合体として製剤化することができる。経皮投与は、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、およびソノフォレーシス等の少なくとも1つの浸透促進剤を用いて適用することができる。
【0618】
本明細書に記載するiRNA剤はいずれも、肺系に投与することができる。経肺投与は、吸入によって、または肺系への送達デバイスの導入によって、例えば、該薬剤を分注することができる送達デバイスを導入することによって、達成することができる。特定の実施形態は、吸入による経肺送達の方法を使用し得る。該薬剤は、それが吸入され得るくらい十分に小さい形態で、例えば湿潤または乾燥の薬剤を送達する、ディスペンサーで提供することができる。デバイスは、定量の薬剤を送達することができる。対象または別の人が、該薬剤を投与することができる。
【0619】
経肺送達は、肺組織に直接影響を及ぼす疾患だけでなく、他の組織に影響を及ぼす疾患にも効果的である。
【0620】
iRNA剤は、経肺送達のための液体、または非液体、例えば、粉末、結晶、またはエアロゾルとして製剤化することができる。
【0621】
本明細書に記載するiRNA剤はいずれも、経鼻投与することができる。経鼻投与は、鼻への送達デバイスの導入によって、例えば、薬剤を分注することができる送達デバイスを導入することによって、達成することができる。経鼻送達方法としては、例えば、点滴による、または鼻腔の表面への局所投与による、噴霧、エアロゾル、液体が挙げられる。薬剤は、それが吸入され得るくらい十分に小さい形態で、例えば湿潤または乾燥の薬剤を送達する、ディスペンサーで提供することができる。デバイスは、定量の薬剤を送達することができる。対象または別の人が、該薬剤を投与することができる。
【0622】
経鼻送達は、鼻腔組織に直接影響を及ぼす疾患だけでなく、他の組織に影響を及ぼす疾患にも効果的である。
【0623】
iRNA剤は、経鼻送達のための液体、または非液体、例えば、粉末、結晶として製剤化することができる。
【0624】
iRNA剤は、ウイルス天然カプシド内に、または化学的もしくは酵素的に生成された人工カプシド、またはそれから得られる構造内にパッケージングすることができる。
【0625】
iRNA剤を含む医薬組成物の投与量は、病態、例えば、癌または心血管疾患の症状を軽減するために投与することができる。対象は、上記の方法のいずれかによって、該医薬組成物で治療することができる。
【0626】
対象における遺伝子発現は、iRNA剤を含む医薬組成物を投与することによって調整することができる。
【0627】
対象は、粉末形態、例えば、結晶状粒子等の微小粒子の集合体である、規定量のiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤)組成物を投与することによって、治療することができる。組成物は、例えば、1つ以上の異なる内在性標的RNAに特異的な複数のiRNA剤を含むことができる。この方法は、本明細書に記載する他の特徴を含むことができる。
【0628】
対象は、噴霧乾燥、すなわち、溶液、エマルション、または懸濁液を噴霧化し、即座に液滴を乾燥ガスに曝露し、得られた多孔質粉末粒子を回収することを含む方法によって調製される、規定量のiRNA剤組成物を投与することによって、治療することができる。組成物は、例えば、1つ以上の異なる内在性標的RNAに特異的な複数のiRNA剤を含むことができる。この方法は、本明細書に記載する他の特徴を含むことができる。
【0629】
IRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)は、吸入または他の経肺送達に好適な担体、例えば、微粒子またはナノ粒子とともに、またはそれを伴わず、粉末化、結晶化、または他の微粉化形態で提供することができる。これは、エアロゾル調製物、例えば、エアロゾル化噴霧乾燥組成物を提供することを含むことができる。エアロゾル組成物は、定量送達デバイスで提供および/または分注することができる。
【0630】
対象は、吸入によって、例えば、噴霧乾燥iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)組成物をエアロゾル化し、エアロゾル化組成物を吸入することによって治療可能な状態の治療を受けることができる。iRNA剤は、siRNAであり得る。組成物は、例えば、1つ以上の異なる内在性標的RNAに特異的な複数のiRNA剤を含むことができる。この方法は、本明細書に記載する他の特徴を含むことができる。
【0631】
対象は、例えば、有効量/規定量のiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む組成物を投与することによって、治療することができ、該組成物は、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、蒸発、流動床乾燥、またはこれらの技術の組み合わせを含む方法によって調製される。
【0632】
別の態様では、本発明は、対象の細胞内の転写物の存在量に関するパラメータを評価し、評価されたパラメータを基準値と比較し、評価されたパラメータが基準値に対する予め選択された関係(例えばより大きい)を有する場合に、iRNA剤(または前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤もしくはまたはその前駆体をコードするDNA)を対象に投与する、各工程を有してなる方法を特徴とする。一実施形態では、iRNA剤は、評価された転写物に相補的な配列を含む。例えば、パラメータは、転写レベルの直接測定値、タンパク質レベルの測定値、疾病もしくは疾患の症状、または特性化(例えば細胞増殖速度および/または腫瘍量、ウイルス負荷)であってもよい。
【0633】
別の態様では、本発明は、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む第1の量の組成物を対象に投与し、iRNA剤は、標的核酸に実質的に相補的な鎖を含むことと、標的核酸によってコードされるタンパク質に関連する活性を評価し、その評価は、第2の量が投与され得るかを判定するために使用されることを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、この方法は、第2の量の組成物を投与することを含み、第2の量の投与のタイミングまたは投与量は、評価に依存する。この方法は、本明細書に記載する他の特徴を含むことができる。
【0634】
別の態様では、本発明は、二本鎖iRNA剤(ds iRNA剤)の供給源を対象に投与する方法を特徴とする。この方法は、(a)19〜25ヌクレオチド長、例えば、21〜23ヌクレオチドである二本鎖領域を含み、(b)標的RNA(例えば内在性RNAまたは病原体RNA)に相補的であり、かつ随意的に(c)1〜5nt長の少なくとも1つの3'突出部を含む、ds iRNA剤、例えば、siRNA剤の供給源を投与する、または埋め込むことを含む。一実施形態では、供給源は、長期間にわたりds iRNA剤を放出し、例えば、供給源は、制御または持続放出供給源、例えば、ds iRNA剤を徐々に放出する微小粒子である。別の実施形態では、供給源は、ポンプ、例えば、センサを含むポンプ、または1つ以上の単位用量を放出することができるポンプである。
【0635】
一態様では、本発明は、標的RNAに相補的な、例えば、実質的におよび/または正確に相補的なヌクレオチド配列を含む、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む、医薬組成物を特徴とする。標的RNAは、内在性ヒト遺伝子の転写物であってもよい。一実施形態では、iRNA剤は、(a)19〜25ヌクレオチド長、例えば、21〜23ヌクレオチドであり、(b)内在性標的RNAに相補的であり、かつ随意的に(c)1〜5nt長の少なくとも1つの3'突出部を含む。一実施形態では、医薬組成物は、エマルション、マイクロエマルション、クリーム、ゼリー、またはリポソームであってもよい。
【0636】
一例では、該医薬組成物は、局所送達剤と混合されたiRNA剤を含む。局所送達剤は、複数の微細小胞であってもよい。微細小胞は、リポソームであってもよい。いくつかの実施形態では、リポソームは、カチオン性リポソームである。
【0637】
別の態様では、医薬組成物は、局所浸透促進剤と混合された、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む。一実施形態では、局所浸透促進剤は、脂肪酸である。脂肪酸は、アラキドン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプリン酸、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、もしくはC
1−10アルキルエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、またはそれらの薬学的に許容される塩であり得る。
【0638】
別の実施形態では、局所浸透促進剤は、胆汁塩である。胆汁塩は、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、またはそれらの薬学的に許容される塩であり得る。
【0639】
別の実施形態では、浸透促進剤は、キレート剤である。キレート剤は、EDTA、クエン酸、サリチル酸、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9、β−ジケトンのN−アミノアシル誘導体、またはそれらの混合物であり得る。
【0640】
別の実施形態では、浸透促進剤は、界面活性剤、例えば、イオン性または非イオン性界面活性剤である。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテル、ペルフルオロ化合物エマルション、またはそれらの混合物であり得る。
【0641】
別の実施形態では、浸透促進剤は、不飽和環状尿素、1−アルキル−アルコン、1−アルケニルアザシクロ−アラカノン、ステロイド性抗炎症薬、およびそれらの混合物から成る群より選択することができる。さらに別の実施形態では、浸透促進剤は、グリコール、ピロール、アゾン、またはテルペンであり得る。
【0642】
一態様では、本発明は、経口送達に好適な形態で、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、経口送達は、iRNA剤組成物を胃腸管、例えば、小腸、結腸(例えば結腸癌を治療するために)等の細胞または領域に送達するために使用することができる。経口送達形態は、タブレット、カプセル、またはゲルカプセルであってもよい。一実施形態では、医薬組成物のiRNA剤は、細胞接着タンパク質の発現を調整する、細胞増殖速度を調整する、または真核病原体もしくはレトロウイルスに対する生物活性を有する。別の実施形態では、医薬組成物は、哺乳動物の胃においてタブレット、カプセル、またはゲルカプセルの溶解を実質的に防止する腸溶性物質を含む。いくつかの実施形態では、腸溶性物質は、コーティングである。コーティングは、酢酸フタル酸、プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、トリメリト酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはセルロース酢酸フタル酸であり得る。
【0643】
別の実施形態では、医薬組成物の経口投薬形態は、浸透促進剤を含む。浸透促進剤は、胆汁塩または脂肪酸であり得る。胆汁塩は、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、およびそれらの塩であり得る。脂肪酸は、カプリン酸、ラウリン酸、およびそれらの塩であり得る。
【0644】
別の実施形態では、医薬組成物の経口投薬形態は、賦形剤を含む。一例では、賦形剤は、ポリエチレングリコールである。別の例では、賦形剤は、プレシロールである。
【0645】
別の実施形態では、医薬組成物の経口投薬形態は、可塑剤を含む。可塑剤は、ジエチルフタレート、トリアセチンセバシン酸ジブチル、ジブチルフタレート、またはクエン酸トリエチルであり得る。
【0646】
一態様では、本発明は、iRNA剤および送達媒体を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、iRNA剤は、(a)19〜25ヌクレオチド長、例えば、21〜23ヌクレオチドであり、(b)内在性標的RNAに相補的であり、かつ随意的に(c)1〜5nt長の少なくとも1つの3'突出部を含む。
【0647】
一実施形態では、送達媒体は、局所投与経路によって、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を細胞に送達することができる。送達媒体は、微細小胞であり得る。一例では、微細小胞は、リポソームである。いくつかの実施形態では、リポソームは、カチオン性リポソームである。別の例では、微細小胞は、ミセルである。一態様では、本発明は、注射可能な投薬形態で、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、医薬組成物の注射可能な投薬形態は、滅菌水溶液または分散液、および滅菌粉末を含む。いくつかの実施形態では、滅菌溶液は、水等の希釈剤、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、またはプロピレングリコールを含むことができる。
【0648】
一態様では、本発明は、経口投薬形態で、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、経口投薬形態は、タブレット、カプセル、およびゲルカプセルから成る群より選択される。別の実施形態では、医薬組成物は、哺乳動物の胃においてタブレット、カプセル、またはゲルカプセルの溶解を実質的に防止する腸溶性物質を含む。いくつかの実施形態では、腸溶性物質は、コーティングである。コーティングは、酢酸フタル酸、プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、トリメリト酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはセルロース酢酸フタル酸であり得る。一実施形態では、医薬組成物の経口投薬形態は、浸透促進剤、例えば、本明細書に記載する浸透促進剤を含む。
【0649】
別の実施形態では、医薬組成物の経口投薬形態は、賦形剤を含む。一例では、賦形剤は、ポリエチレングリコールである。別の例では、賦形剤は、プレシロールである。
【0650】
別の実施形態では、医薬組成物の経口投薬形態は、可塑剤を含む。可塑剤は、ジエチルフタレート、トリアセチンセバシン酸ジブチル、ジブチルフタレート、またはクエン酸トリエチルであり得る。
【0651】
一態様では、本発明は、直腸投薬形態で、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、直腸投薬形態は、浣腸である。別の実施形態では、直腸投薬形態は、坐剤である。
【0652】
一態様では、本発明は、膣内投薬形態で、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、膣内投薬形態は、坐剤である。別の実施形態では、膣内投薬形態は、泡、クリーム、またはゲルである。
【0653】
一態様では、本発明は、経肺または経鼻投薬形態で、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、iRNA剤は、粒子、例えば、マクロ粒子、例えば、マイクロスフェアに組み込まれる。粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはそれらの組み合わせによって生成することができる。マイクロスフェアは、懸濁液、粉末、または埋め込み可能な固体として製剤化することができる。
【0654】
一態様では、本発明は、(a)吸入によって対象の状態を治療するのに好適な治療有効量のiRNA剤、(b)炭水化物およびアミノ酸から成る群より選択される、薬学的に許容される賦形剤、ならびに(c)随意的に、分散性を強化する量の生理学的に許容される水溶性ポリペプチドを含む、対象による吸入に好適な噴霧乾燥iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)組成物を特徴とする。
【0655】
一実施形態では、賦形剤は、炭水化物である。炭水化物は、単糖類、二糖類、三糖類、および多糖類から成る群より選択することができる。いくつかの実施形態では、炭水化物は、デキストロース、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルビトール、およびソルボースから成る群より選択される、単糖類である。別の実施形態では、炭水化物は、ラクトース、マルトース、スクロース、およびトレハロースから成る群より選択される、二糖類である。
【0656】
別の実施形態では、賦形剤は、アミノ酸である。一実施形態では、アミノ酸は、疎水性アミノ酸である。いくつかの実施形態では、疎水性アミノ酸は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンから成る群より選択される。さらに別の実施形態では、アミノ酸は、極性アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、システイン、グリシン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸から成る群より選択される。
【0657】
一実施形態では、分散性強化ポリペプチドは、ヒト血清アルブミン、α−ラクトアルブミン、トリプシノーゲン、およびポリアラニンから成る群より選択される。
【0658】
一実施形態では、噴霧乾燥iRNA剤組成物は、10ミクロン未満の質量中央径(MMD)を有する粒子を含む。別の実施形態では、噴霧乾燥iRNA剤組成物は、5ミクロン未満の質量中央径を有する粒子を含む。さらに別の実施形態では、噴霧乾燥iRNA剤組成物は、5ミクロン未満の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を有する粒子を含む。
【0659】
特定の他の態様では、本発明は、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)の医薬品製剤を含有する好適な容器を含むキットを提供する。特定の実施形態では、医薬品製剤の個々の構成成分は、1つの容器内に提供されてもよい。あるいは、2つ以上の容器に別々に医薬品製剤の構成成分を提供すること、例えば、iRNA剤調製物に対して1つの容器、および担体化合物に対して少なくとも別の容器が望ましくあり得る。キットは、単一の箱内の1つ以上の容器等、多くの異なる構成でパッケージングされ得る。異なる構成成分は、例えば、キットと共に提供される説明書に従って混合することができる。構成成分は、例えば、医薬組成物を調製および投与するために、本明細書に記載する方法に従って混合することができる。キットはまた、送達デバイスを含むことができる。
【0660】
別の態様では、本発明は、デバイス、例えば、埋め込み型デバイスを特徴とし、そのデバイスは、iRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えば、siRNA剤に処理することができる、より大きいiRNA剤、またはiRNA剤、例えば、二本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)、例えば、内在性転写物をサイレンシングするiRNA剤を含む組成物を分注または投与することができる。一実施形態では、デバイスは、組成物で被覆される。別の実施形態では、iRNA剤は、デバイス内に配置される。別の実施形態では、デバイスは、組成物の単位用量を分注する機構を含む。他の実施形態では、デバイスは、例えば、拡散によって組成物を連続的に放出する。例示的なデバイスとしては、ステント、カテーテル、ポンプ、人工器官または器官構成要素(例えば人工心臓、心臓弁等)、および縫合が挙げられる。
【0661】
本明細書で使用する「結晶性」という用語は、結晶の構造または特徴を有する固体、すなわち、平面が明確な角度で交差し、かつ規則正しい内部構造がある三次元構造の粒子を表す。本発明の
構成物は、結晶形態を有し得る。結晶形態は、例えば、噴霧乾燥を含む種々の方法によって調製することができる。
【0662】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これは、さらなる限定と解釈されるべきではない。本願全体を通して引用される全ての参考文献、係属中の特許出願、および公開特許の内容は、参照することによって本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0663】
実施例1:iRNA、エンドソーム分解性成分、および標的リガンドを含むモジュラー構成物の合成
iRNAまたは他の核酸(例えばantagomir、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、デコイオリゴヌクレオチド)が提供される。エンドソーム分解性成分および標的リガンドは、種々の形式で選択されたiRNAまたは核酸に共役されてもよい(
図1および2)。ある実施形態では、核酸とエンドソーム分解性成分との間、核酸と標的リガンドとの間、および/または標的リガンドとエンドソーム分解性成分との間にリンカーが使用されてもよい。このリンカーは、用途に応じて開裂可能または開裂不可能であってもよい。
【0664】
実施例2:オリゴヌクレオチド合成および精製
ステップ1.オリゴヌクレオチド合成
全てのオリゴヌクレオチドをAKTAoligopilot合成装置またはABI 394 DNA/RNA合成装置上で合成した。合成のために、市販の制御された多孔質ガラス固体支持体(Prime SynthesisのrU−CPG、2'−O−メチル修飾rA−CPG、および2'−O−メチル修飾rG−CPG)または社内で合成した固体支持体ヒドロキシプロリノール−コレステロール−CPGを使用した。標準的な保護基を有するRNAホスホラミダイトおよび2'−O−メチル修飾RNAホスホラミダイト(5'−O−ジメトキシトリチル−N6−ベンゾイル−2'−t−ブチルジメチルシリル−アデノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−シチジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N2−イソブトリル−2'−t−ブチルジメチルシリル−グアノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−ウリジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N6−ベンゾイル−2'−O−メチル−アデノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2'−O−メチル−シチジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N2−イソブトリル−2'−O−メチル−グアノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−2'−O−メチル−ウリジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、および5'−O−ジメトキシトリチル−2'−デオキシ−チミジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト)は、Pierce Nucleic Acids TechnologiesおよびChemGenes Researchから入手した。Quasar 570ホスホラミダイトは、Biosearch Technologiesから入手した。5'−O−ジメトキシトリチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−イノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイトは、ChemGenes Researchから入手した。5'−O−ジメトキシトリチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−(2,4)−ジフルオロトリル−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト(DFT−ホスホラミダイト)、および5'−O−ジメトキシトリチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−9−(2−アミノエトキシ)−フェノキサジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト(G−クランプホスホラミダイト)は、社内で合成した。
【0665】
AKTAoligopilot合成装置上での合成のために、10%THF/CH
3CN(v/v)中0.2M濃度で使用したグアノシンおよび2'−O−メチル−ウリジンを除いて、全てのホスホラミダイトをCH
3CN中0.2Mの濃度で使用した。全てのホスホラミダイトカップリングのために、16分間のカップリング/リサイクル時間を使用した。活性化因子は、5−エチル−チオ−テトラゾール(0.75M、American International Chemicals)であった。PO酸化のために、水/ピリジン(10:90v/v)中50mMのヨードを使用し、PS酸化のために、2,6−ルチジン/CH
3CN(1:1v/v)中2%PADS(GL Synthesis)を使用した。ABI 394 DNA/RNA合成装置上の合成のために、10%THF/CH
3CN(v/v)中0.15Mの濃度で使用した2'−O−メチル−ウリジンを除いて、DFTおよびG−クランプホスホラミダイトを含む全てのホスホラミダイトを、CH
3CN中0.15Mの濃度で使用した。全てのホスホラミダイトカップリングのために、10分間のカップリング時間を使用した。活性化因子は、5−エチル−チオ−テトラゾール(0.25M、Glen Research)であった。PO酸化のために、水/ピリジン中20mMのヨード(Glen Research)を使用し、PS酸化のために、ピリジン中0.1MのDDTT(AM Chemicals)を使用した。Quasar570ホスホラミダイトのカップリングをABI DNA/RNA合成装置上で実施した。Quasar570ホスホラミダイトは、10分間のカップリング時間で、CH
3CN中0.1Mの濃度で使用した。活性化因子は、5−エチル−チオ−テトラゾール(0.25M、Glen Research)であり、PS酸化のために、ピリジン中0.1MのDDTT(AM Chemicals)を使用した。
【0666】
ステップ2.オリゴヌクレオチドの脱保護
A.AKTAoligopilot合成装置上で合成された配列
合成終了後、支持体を100mLガラスボトル(VWR)に移した。45℃で90分間、40mLの40%水性メチルアミン(Aldrich)による塩基およびリン酸基の脱保護と同時に、オリゴヌクレオチドを開裂した。ボトルを氷上で短時間冷却し、次いで、メチルアミンを新しい500mLボトルに濾過した。CPGを40mL部分のDMSOで3回洗浄した。次いで、混合物をドライアイス上で冷却した。
【0667】
2'位置におけるtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を除去するために、60mLのトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(Et3N−HF)を上記の混合物に添加した。混合物を60分間40℃で加熱した。次いで、反応物を220mLの50mM酢酸ナトリウム(pH5.5)で反応停止処理をし、精製までフリーザー内に保管した。
【0668】
B.ABI DAN/RNA合成装置上で合成された配列
合成終了後、支持体を15mL管(VWR)に移した。65℃で15分間、7mLの40%水性メチルアミン(Aldrich)による塩基およびリン酸基の脱保護と同時に、オリゴヌクレオチドを開裂した。ボトルを氷上で短期間冷却し、次いで、メチルアミンを100mLボトルに濾過した。CPGを7mL部分のDMSOで3回洗浄した。次いで、混合物をドライアイス上で冷却した。
【0669】
2'位置におけるtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を除去するために、10.5mLのトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(Et3N−HF)を上記の混合物に添加した。混合物を15分間60℃で加熱した。次いで、反応物を38.5mLの50mM酢酸ナトリウム(pH5.5)で反応停止処理をし、精製までフリーザー内に保管した。
【0670】
ステップ3.粗オリゴヌクレオチドの定量化
全ての試料に対して、10μLアリコートを990μLの脱イオン化ヌクレアーゼ無含有水(1.0mL)で希釈し、260nmの吸収度測定値を得た。
【0671】
ステップ4.オリゴヌクレオチドの精製
(a)非共役オリゴヌクレオチド
最初に、非共役粗オリゴヌクレオチドをHPLC(Dionex PA 100)によって分析した。緩衝剤は、20mMのリン酸、pH11(緩衝剤A)、および20mMのリン酸、1.8MのNaBr、pH11(緩衝剤B)であった。流速は、1.0mL/分であり、監視された波長は、260〜280nmであった。各試料に対して、5〜15μLの注入を行った。
【0672】
社内で充填したTSK−Gel SuperQ−5PW(20)カラム(17.3×5cm)、またはTOSOH Bioscienceから入手可能な市販のTSK−Gel SuperQ−5PWカラム(15×0.215cm)上でHPLCによって非共役試料を精製した。緩衝剤は、10%CH
3CN中20mMのリン酸、pH8.5(緩衝剤A)、および10%CH
3CN中20mMのリン酸、1.0MのNaBr、pH8.5(緩衝剤B)であった。流速は、社内で充填したカラムに対して50.0mL/分であり、評者から入手したカラムに対して10.0ml/分であった。260および294nmの波長を監視した。完全長オリゴヌクレオチドを含有する画分を一緒に混合し、蒸発させ、脱イオン水で約100mLに再構成した。
【0673】
(b)コレステロール共役オリゴヌクレオチド
最初に、純度を判定するために、コレステロール共役粗オリゴヌクレオチドをLC/MSによって分析した。社内で充填したRPC−Source15逆相カラム(17.3×5cmまたは15×2cm)上で、コレステロール共役配列をHPLC精製した。緩衝剤は、10%CH
3CN中20mMのNaOAc(緩衝剤A)、および70%CH
3CN中20mMのNaOAc(緩衝剤B)であった。流速は、17.3×5cmカラムに対して50.0mL/分であり、15×2cmカラムに対して12.0mL/分であった。260および284nmの波長が監視された。完全長オリゴヌクレオチドを含有する画分を混合し、蒸発させ、脱イオン水で約100mLに再構成した。
【0674】
ステップ5.精製されたオリゴヌクレオチドの脱塩
社内で充填したSephadex G−25カラムを使用して、AKTA ExplorerまたはAKTA Primeシステム(Amersham Biosciences)のいずれかで、精製されたオリゴヌクレオチドを脱塩した。最初に、20〜30分間、40mL/分の流速の水でカラムを洗浄した。次いで、試料を40〜60mL画分で適用した。溶出無塩画分を混合し、乾燥させ、約50mLのRNaseフリー水中で再構成した。
【0675】
ステップ6.キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、イオン交換HPLC(IEX)、およびエレクトロスプレーLC/MSによる純度分析
約0.3ODの各脱塩オリゴヌクレオチドを水中で300μLに希釈し、CGE、イオン交換HPLC、およびLC/MSによって分析した。
【0676】
ステップ7.二本鎖形成
完全な二本鎖の二本鎖ために、等モル量の2つの鎖を一緒に混合した。混合物を−80℃で冷凍し、真空遠心分離装置(Speed−Vac)上の真空下で乾燥させた。次いで、乾燥試料を40mg/mLの最終濃度まで1xPBS中に溶解した。溶解した試料を5分間、95℃まで加熱し、ゆっくりと室温まで冷却した。
【0677】
ステップ8.Tm判定
部分的に二本鎖の二本鎖およびヘアピンのために、融解温度を決定した。二本鎖のために、等モル量の2つの一本鎖RNAを一緒に混合した。混合物を−80℃で冷凍し、真空遠心分離装置(Speed−Vac)上の真空下で乾燥させた。次いで、乾燥試料を2.5μMの最終濃度まで1xPBS中に溶解した。溶解した試料を5分間、95℃まで加熱し、ゆっくりと室温まで冷却した。6試料恒温セルブロックが取り付けられたBeckman分光光度計を使用して、0.5℃/分の温度傾斜で、260nmにおいて、10〜90℃の間で変性曲線が得られた。次いで、製造者が供給したプログラムの第1の誘導法を使用して、Tmを判定した。
【0678】
実施例3:2'−Fオリゴヌクレオチド合成
1.オリゴヌクレオチド合成:
全てのオリゴヌクレオチドをAKTAoligopilot合成装置上で合成した。オリゴヌクレオチド合成のために、市販の制御された多孔質ガラス固体支持体(dT−CPG、500Å、プライム合成)、ならびに標準的な保護基を有するRNAホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチルN6−ベンゾイル−2'−t−ブチルジメチルシリル−アデノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−シチジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N2−−イソブトリル−2'−t−ブチルジメチルシリル−グアノシン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、および5'−O−ジメトキシトリチル−2'−t−ブチルジメチルシリル−ウリジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト(Pierce Nucleic Acids Technologies)を使用した。2'−Fホスホラミダイト、5'−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2'−フルロ−シチジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホラミダイト、および5'−O−ジメトキシトリチル−2'−フルロ−ウリジン−3'−O−N,N'−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホラミダイトをPromegaから購入した。10%THF/ANC(v/v)中0.2Mの濃度で使用したグアノシンを除いて、全てのホスホラミダイトをアセトニトリル(CH
3CN)中0.2Mの濃度で使用した。16分間のカップリング/リサイクル時間を使用した。活性化因子は、PO酸化に対して5−エチルチオテトラゾール(0.75M、American International Chemicals)であり、PS酸化に対して2,6−ルチジン/ACN(1:1v/v)中のPADS(2%)を使用した。コレステロールホスホラミダイトを社内で合成し、ジクロロメタン中0.1Mの濃度で使用した。コレステロールホスホラミダイトに対するカップリング時間は、16分間であった。
【0679】
2.脱保護−I(核酸塩基脱保護)
合成終了後、支持体を100mLガラスボトル(VWR)に移した。55℃で6.5時間、80mLのエタノールアンモニア[アンモニア:エタノール(3:1)]の混合物による塩基およびリン酸基の脱保護と同時に、オリゴヌクレオチドを支持体から開裂した。ボトルを氷上で短期間冷却し、次いで、エタノールアンモニア混合物を新しい250mLボトルに濾過した。CPGを2×40mL部分のエタノール/水(1:1v/v)で洗浄した。次いで、混合物の体積を回転式エバポレータによって約30mLまで減少させた。次いで、混合物をドライアイス上で冷凍し、真空遠心分離装置(Speed−Vac)上の真空下で乾燥させた。
【0680】
3.脱保護−II(2'TBDMS基の除去)
乾燥残渣を26mLのトリエチルアミン、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA.3HF)、およびDMSO(3:4:6)中に再懸濁し、90分間、60℃で加熱し、2'位置におけるtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を除去した。次いで、反応物を、pHを6.5に調節した50mLの20mM酢酸ナトリウムで反応低処理をし、精製までフリーザー内に保管した。
【0681】
4.粗オリゴマーの定量化または生分析
全ての試料に対して、10μlアリコートを990μlの脱イオン化ヌクレアーゼ無含有水(1.0mL)で希釈し、260nmにおいて吸収度測定値を得た。
【0682】
5.オリゴマーの精製
(a)HPLC精製
最初に、粗オリゴマーをHPLC(Dionex PA100)によって分析した。緩衝系は、A=20mMのリン酸、pH11、B=20mMのリン酸、1.8MのNaBr、pH11であり、流速は、1.0mL/分、波長は、260〜280nmであった。5〜15μlの各試料を注入した。社内で充填したTSK−Gel SuperQ−5PW(20)カラム(17.3×5cm)上で、HPLCによって非共役試料を精製した。緩衝系は、A=10%CAN中20mMのリン酸、pH8.5、およびB=10%CAN中20mMのリン酸、1.0MのNaBr、pH8.5であり、流速は、50.0mL/分、波長は、260および294であった。5'−コレステロール共役配列は、逆相カラムを使用してHPLC精製した。緩衝系は、A=10%CAN中20mMのTEAA、およびB=70%CAN中20mMのTEAAであった。次いで、完全長オリゴヌクレオチドを含有する画分を一緒に混合し、蒸発させ、脱イオン水で100mLに再構成した。
【0683】
6.精製されたオリゴマーの脱塩
Sephadex G−25カラムを使用したAKTA Explorer(Amersham Biosciences)を使用して、精製されたオリゴヌクレオチドを脱塩した。20〜30分間、25mL/分の流速の水で第1のカラムを洗浄した。次いで、試料を25mL画分で適用した。溶出無塩画分を一緒に混合し、乾燥させ、50mLのRNase無含有水中に再構成した。
【0684】
7.キャピラリーゲル電気泳動(CGE)およびエレクトロスプレーLC/MS
約0.15ODの脱塩オリゴヌクレオチドを150μlに水中で希釈し、次いで、CGEおよびLC/MS分析のためにバイアルにピペットで採取した。
【0685】
表5は、合成したオリゴヌクレオチドのいくつかを列挙する。
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【化16-1】
【化16-2】
【化16-3】
【化16-4】
【化16-5】
【0686】
本発明がその特定の実施形態を参照して具体的に示され記載されているが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において種々の変更が加えられ得ることが、当業者には理解されるであろう。例えば、本明細書に記載する
構成物および方法は、任意の数のオリゴヌクレオチド修飾、標的リガンド、または膜作用性薬剤、およびそれに関連する方法、ならびに当該技術分野で既知の他の
構成物および方法と組み合わせて使用される場合に有用であり得る。
【0687】
特に、本発明で使用され得るそのような
構成物および方法の限定されない例は、以下の共同出願に記載され、それらの全ては、その全体が参照として本明細書に明示的に組み込まれる。2005年4月27日出願の米国特許出願第11/115,989号明細書;2005年4月29出願の米国特許出願第11/119,533号明細書;2005年7月21日出願の米国特許出願第11/186,915号明細書;2007年8月26日出願の米国特許出願第11/834,140号明細書;2005年8月4日出願の米国特許出願第11/197,753号明細書;2005年4月5日出願の米国特許出願第11/099,430号明細書;2005年6月29日出願の米国特許出願第11/170,798号明細書;および2004年6月14日出願の米国特許出願第11/560,336号明細書。
【0688】
実施例3−2
【化17】
【0689】
化合物901の合成:ヒドラゾン一水和物(0.80g、16mmol)をTHF(30mL)中の市販の化合物900(2.00g、6.40mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。NHSを除去するための濾過、溶媒の除去、次いで、カラムカラムクロマトグラフィによって、純粋化合物901、0.89g、61%を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.06(s,1H),8.43(d,J=4.1,1H),7.81(td,J=7.9,1.8,1H),7.73(d,J=8.1,1H),7.26−7.18(m,1H),2.99(t,J=7.1,2H),2.51−2.45(m,2H),2.42(t,J=7.1,2H)。
13C NMR(101MHz,DMSO−d
6,)δ170.16,160.01,150.56,138.80,122.15,120.11,34.85,33.70。エレクトロスプレー/APCIデュアルモードMS(+ve):C
8H
12N
3O
8S
2(MH)
+に対する分子量、計算値:230.0、実測値:229.9
化合物903の合成:化合物902をすでに記載されたように調製した(Bioconjugate Chem.2002,13,47−58)。化合物902(0.85g、3.84mmol)、化合物901(0.88g、3.84mmol)、およびAcOH(2mL)のエタノール溶液(40mL)を45℃で6時間加熱した。室温まで冷却し、得られた無色沈殿物を濾過によって回収し、吸引下で乾燥させた。純粋化合物903の収量は、1.49g、90%であった。
1H NMR(400MHz,DMSO,80℃で処理)δ11.82(s,1H),10.18(s,1H),8.48(d,J=4.1,1H),7.81(d,J=4.0,2H),7.69(s,2H),7.24(d,J=3.9,1H),6.96(d,J=8.6,2H),4.10(t,J=6.5,2H),3.20(t,J=6.8,2H),3.07(s,2H),2.43(t,J=7.3,2H),2.24(s,3H),2.02(p,J=6.9,2H)。
13C NMR(101MHz,DMSO−d
6,80℃で処理)δ174.16,160.00,159.90,149.95,137.96,131.38,127.97,121.57,120.16,114.94,67.57,34.67,30.74,24.89。エレクトロスプレー/APCIデュアルモードMS(+ve):C
20H
24N
3O
4S
2(MH)
+に対する分子量、計算値:434.1、実測値:434.1。
【0690】
化合物904の合成:DCC(181mg、0.878mmol)のDMF溶液(4mL)をNaSO
3NHS(173mg、0.798mmol)、DMAP(5mg、0.04mmol)、および化合物903(346mg、0.798mmol)のDMF溶液(1mL)に添加し、室温で18時間撹拌した。混合物を氷浴上で2時間冷却し、ジシクロヘキシル尿素を濾過によって除去し、撹拌しながら濾液にEtOAc(100mL)を添加することによって生成物を沈殿させた。淡クリーム色固体化合物904(426mg、84%)を濾過によって回収し、真空内で乾燥させた。この物質は、元素分析によって、10mol%のNaSO
3NHSおよび30mol%の水を含有することがわかった。
1H NMRは、加熱によって単一化合物に分解する、3:1の比の異性体のE/Z混合物を示す。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ10.41(2xs,1H),8.43(2xd,J=4.6,1H),7.85−7.75(m,2H),7.65(2xd,J=8.8,2H),7.32−7.12(m,1H),6.94(2xd,J=8.9,2H),4.07(t,J=6.2,2H),3.94(s,1H),3.15−3.01(m,4H),2.91−2.78(m,3H),2.74(2xd,5.4,1H),2.18(2xs,3H),2.13−2.00(m,2H)。元素分析:(C
24H
25N
4NaO
9S
3)(C
4H
4NNaO
6S)
0.1(H
2O)
0.3に対する計算値:C:44.42、H:3.98、N:8.71、S:15.04、実測値:C:44.32、H:4.01、N:8.68、S:15.26。
【0691】
化合物906の合成:化合物905をすでに記載されたように調製した(Paramonov,Sergey E.;Bachelder,Eric M.;Beaudette,Tristan T.;Standley,Stephany M.;Lee,Cameron C.;Dashe,Jesse;Frechet,Jean M.J.Bioconjugate Chemistry(2008),19(4),911−919)。
【0692】
化合物900(1.76g、5.6mmol)のDCM溶液(10mL)を化合物905(1.00g、6.16mmol)およびNEt
3(1.4g、14mmol)の冷却された(−78℃)メタノール溶液(30mL)に添加した。混合物を2時間にわたって室温まで温めた。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィに供し(DCM中0〜10%の7NメタノールNH
3)、不安定な無色油として化合物906(1.38g、69%)を得、それを次の反応ステップに即刻使用した。エレクトロスプレー/APCIデュアルモードMS(+ve):C
15H
26N
3O
3S
2(MH)
+に対する分子量、計算値:360.1、実測値:360.1。
【0693】
化合物907の合成:コハク酸無水物(578mg、5.77mmol)を新しく調製した化合物906(1.38g、3.84mmol)およびNEt
3(1.6g、15.4mmol)のDCM溶液(50mL)に添加し、1時間室温で撹拌した。混合物をカラムクロマトグラフィ精製に供し、部分的トリエチルアンモニウム塩として化合物907(1.83g、95%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.99(s,1H),8.44(dd,J=4.8,0.8,1H),8.04(d,J=5.4,1H),7.92(d,J=5.5,1H),7.86−7.79(m,1H),7.75(d,J=8.1,1H),7.23(ddd,J=7.3,4.8,1.0,1H),3.32(q,J=5.9,6H),3.14(dq,J=11.8,5.9,4H),2.99(t,J=7.1,2H),2.37(t,J=6.6,2H),2.28(t,J=6.6,2H),1.24(s,6H)。エレクトロスプレー/APCIデュアルモードMS(+ve):C
19H
28N
3O
6S
2(M−H)
+に対する分子量、計算値:458.2、実測値:458.0。
【0694】
化合物909の合成:化合物908(385mg、0.54mmol)のDCM溶液(8mL)を化合物907(248mg、0.54mmol)、
iPr
2NEt(0.17g、1.35mmol)、およびHBTU(205mg、0.54mmol)のDMF溶液(8mL)に一度に全て添加し、混合物を1時間室温で撹拌した。水による後処理、次いで、カラムクロマトグラフィによって、無色油として純粋909(488mg、78%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.58−8.41(m,1H),7.77−7.59(m,2H),7.12(ddd,J=6.7,4.9,1.8,1H),7.05(s,1H),6.31(s,1H),6.20(s,1H),5.45−5.21(m,8H),4.27−4.15(m,1H),4.13−4.03(m,1H),3.60−3.34(m,9H),3.22(dd,J=13.1,6.9,2H),3.09(t,J=6.8,2H),2.78(t,J=6.5,4H),2.66(t,J=6.8,2H),2.59−2.47(m,5H),2.47−2.31(m,3H),2.27(s,3H),2.13−1.98(m,8H),1.68−1.54(m,8H),1.54−1.42(m,4H),1.42−1.19(m,42H),0.90(t,J=6.9,6H)。エレクトロスプレー/APCIデュアルモードMS(+ve):C
66H
116N
5O
7S
2(MH)
+に対する分子量、計算値:1154.8、実測値:1154.8。
【0695】
実施例4
【化18】
【0696】
化合物112の合成:0℃のDCM(12.0ml)中の化合物111(1.0g、1.629mmol、1.0当量)およびNaBH(OAc)
3(0.46g、2.1mmol、1.3当量)の懸濁液に、アルゴン下で、0℃のDCM(3.0ml)中の化合物110(0.28g、1.79mmol、1.1当量)の溶液を添加し、反応を1時間室温で継続した。出発物質の完全反応後、反応を1NのMaHCO
3で反応停止処理をし、DCMで希釈し、2つの層に分離し、混合有機物を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮し、勾配としてDCM:MeOH(5%):トリエチルアミン(0.5%)を用いたカラムクロマトグラフィによって精製し、純粋な0.87g(70%)のエステル化合物112を得た。MS:C
49H
89N
2O
4に対する計算質量:756.68実測値:757.7(MH)
+。
【0697】
化合物114の合成:ジクロロメタン(40.0ml)中の化合物113(3.0g、4.12mmol、1.0当量)の溶液に、固体N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)(0.52g、4.53mmol、1.1当量)、続いて、DCC(0.93g、4.53mmol、1.1当量)、DMAP(0.05g、0.45mmol、0.1当量)を添加し、反応をアルゴン雰囲気下の室温で継続した。尿素誘導体の白色沈殿物が反応物中にゆっくりにと現れ、一晩反応を継続し、出発物質の完全な消費後、ジクロロメタンを蒸発させた。反応混合物を酢酸エチル(25.0ml)中に溶解し、氷浴温度に冷却し、DCC尿素誘導体を完全に沈殿させた。固体を濾過し、固体を冷たい酢酸エチル(2×6.0ml)で洗浄し、溶媒を蒸発させ、真空で乾燥させ、定量的収率で3.4gの化合物114の純粋NHSエステルを得、これをさらなる精製なしで次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ5.50−5.16(m,8H),4.52(brs,1H),4.25−4.05(m,1H),3.52(t,J=7.9,1H),2.95−2.52(m,16H),2.11−1.97(m,8H),1.82−1.76(m,3H),1.64−1.42(m,6H),1.40−1.11(m,38H),0.88(t,J=6.8,6H);MS:C
51H
88N
2O
6に対する計算質量:824.6実測値:825.5(MH)
+。
【0698】
実施例5
【化19】
【0699】
化合物116の合成:DMF(200mL)中の6−ブロモ−1−ヘキサノール115(55.2mmol、10g)、アジ化ナトリウム(132mmol、8.6g)の懸濁液を15時間、オートクレーブで100℃まで加熱した(TLC)。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、ジエチルエーテル(500ml)で希釈し、水(4×100ml)、続いて塩水(1×100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧で蒸発させ、所望の生成物を得た。粗生成物をさらなる精製なしで次の段階に移した。収率(7.5g、94.5%、淡黄色油として)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ1.41(t,4H,J=3.6Hz),1.61(m,4H),3.28(t,2H,J=6.8Hz),3.66(t,2H,J=6.8Hz)。
【0700】
化合物117の合成:シリカゲル(17g)に吸収されたPCC(17g、78.6mol)を、室温で、ジクロロメタン(75mL)中の116(7.5g、52.4mmol)生成物の溶液に5分間にわたって添加した。添加後、反応混合物を40分間撹拌した(TLC)。反応質量をセライト床を通して濾過し、濾液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧で蒸発させ、淡黄色油として必要な生成物を得た。粗生成物をそのまま、さらなる精製なしで次の段階に移した(収率、6.60g、90%)
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ1.42(m,2H),1.65(m,4H),2.47(t,2H,J=7.2Hz),3.29(t,2H,J=6.8Hz),9.78(s,1H)。
【0701】
化合物118の合成:ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(5.36g、24.36)を、DCM(180ml)中の111(12g、19.50mmol)の溶液に、0℃で5分間にわたって少量ずつ添加した。この懸濁液に、117(3.03g、21.48mmol)生成物を0℃で滴下添加した。全て添加後、反応混合物を室温まで温め、さらに30分間撹拌した(TLC)。反応混合物を1NのNaHCO
3(1×50ml)で反応停止処理をし、DCM(200ml)で希釈した。有機層を分離し、水(2×100ml)、塩水(1×100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧で蒸発させ、粗生成物を得、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィによって精製した。必要な生成物を7%EtOAc/ヘキサンで溶出した(12.20g、84%、淡緑色として)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ0.89(s,6H),1.27(s,40H),1.47(t,2H,J=6.8Hz),1.58(t,6H,J=4.4Hz),2.05(d,8H,J=6Hz),2.27(s,3H),2.43(m,3H),2.56(m,1H),2.77(t,4H,J=5.6Hz),3.26(t,2H,J=6.8Hz),3.53(t,1H,J=7.6Hz),4.08(t,1H,J=7.6Hz),4.2(t,1H,J=5.6Hz),5.33m,8H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ14.1,22.6,23.7,25.6,27.0,27.1,27.2,28.8,29.2,29.3,29.32,29.5,29.6,29.7,29.9,31.5,37.3,37.7,43.1,51.4,58.3,60.1,69.1,74.4,76.7,77.0,77.7。MS:C
47H
86N
4O
2に対する計算質量:738.68、実測値:739.65(MH)
+。
【0702】
化合物119の合成:無水THF(12.0ml)中アジド化合物118(1.0g、1.35mmol、1.0当量)の溶液に、THF中1MのLAH(2.03ml、2.03mmol、1.5当量)の溶液を、アルゴン下0°で滴下添加した。反応温度をゆっくり上昇させ、室温で2時間反応を継続した。出発物質の完全な消費後、0℃で、反応物を飽和Na
2SO
4溶液の滴下添加で反応停止処理をした。固体から溶液を分離し、酢酸エチル(25.0ml)に抽出し、生成物が現れなくなるまで、水溶液を酢酸エチルで抽出した。Na
2SO
4で混合有機物を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、さらに真空下で乾燥させ、0.82g(86%)の純生成物119を得、さらなる精製なしで次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.46−5.22(m,8H),4.24−4.14(m,1H),4.08−4.05(m,1H),3.52(t,J=7.7,1H),2.77(t,J=6.4,4H),2.67(t,J=6.9,2H),2.54(dd,J=12.8,6.2,1H),2.46−2.30(m,3H),2.26(s,3H),2.10−1.96(m,8H),1.57−1.52(m,4H),1.45−1.40(m,4H),1.39−1.16(m,42H),0.88(t,J=6.8,6H);計算値:C
47H
88N
2O
2に対する質量:712.6、絶対質量:713.7(MH)
+。
【0703】
化合物120の合成:化合物903(0.26g、0.6mmol、1.0当量)を2.5mlのDMF中に溶解し、HBTU(0.27g、0.72mmol、1.2当量)、続いてDIPEA(0.33ml、1.8mmol、3.0当量)を室温で添加し、アルゴン雰囲気下で10分間撹拌した。DMF:DCM(1:2、3.0ml)中の化合物119(0.42g、0.6mmol、1.0当量)の溶液を、室温で上記の混合物にゆっくりと添加し、出発物質がなくなるまで反応を継続した。2時間後、反応混合物を氷に注ぎ、DCMで抽出し、有機層を過量の水で洗浄し、有機溶液中に存在する全DMFを除去し、NaHCO
3でさらに洗浄し、MgOS
4で乾燥させ、濃縮し、勾配としてDCM:MeOH(5%):トリエチルアミン(0.5%)を使用したカラムクロマトグラフィによって精製し、0.57g(85%)の純粋化合物120を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.63(s,1H),8.43(dd,J=4.8,0.8,1H),7.76(d,J=8.1,1H),7.64−7.59(m,2H),7.07−7.00(m,1H),6.87(d,J=8.9,2H),5.52(s,1H),5.43−5.19(m,8H),4.27−4.12(m,1H),4.05(dd,J=13.2,7.0,3H),3.52(t,J=7.7,1H),3.30−3.11(m,6H),2.76(t,J=6.4,4H),2.53(dd,J=12.7,6.2,1H),2.45−2.31(m,5H),2.25(s,3H),2.19−2.10(m,5H),2.04(q,J=6.7,8H),1.64−1.40(m,9H),1.37−1.18(m,40H),0.88(t,J=6.8,6H);計算値:C
67H
109N
5O
5S
2に対する質量:1127.7、絶対質量:1128.5(MH)
+。
【0704】
実施例6
【化20】
【0705】
化合物6bの合成:火炎乾燥した500mL RBフラスコに、新しく活性化された削り屑状Mg(2.4g、100mmol)を添加し、フラスコに磁気撹拌バー、添加漏斗、および還流冷却器を取り付けた。この設定を脱気し、アルゴンで洗い流し、シリンジを介して10mLの無水エーテルをフラスコに添加した。臭化物3(26.5g、80.47mmol)を無水エーテル(50mL)中に溶解し、添加漏斗に添加した。激しく撹拌しながら、約5mLのこのエーテル溶液を削り屑状Mgに添加した。発熱反応が見られ(Grignard試薬形成を確認/促進するために、5mgのヨードを添加し、即座の脱色が観察され、Grignard試薬の形成を確認した)、エーテルは、還流を開始した。水中でフラスコを冷却することによって、緩やかな還流下で反応を保持しながら、臭化物の溶液の残りを滴下添加した。添加終了後、反応混合物を1時間35℃で保持し、次いで、氷浴で冷却した。ギ酸エチル(2.68g、36.2mmol)を無水エーテル(40mL)中に溶解し、添加漏斗に移し、撹拌しながら反応混合物に滴下添加した。発熱反応が観察され、反応混合物は、還流を開始した。反応開始後、ギ酸塩のエーテル溶液の残りを流れとして添加し、反応混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌した。10mLのアセトン滴下、続いて氷のように冷たい水(60mL)を添加することによって、反応物を反応停止処理をした。溶液が均質になり、層が分離するまで、反応混合物をH
2SO
4水溶液(10容量%、300mL)で処理した。水相をエーテル(2×100mL)で抽出した。混合エーテル層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮し、粗生成物を得、カラム(シリカゲル、ヘキサン中0〜10%エーテル)クロマトグラフィで精製した。極性がわずかに少ない画分を濃縮し、ギ酸塩6a(1.9g)を得、純粋生成物画分を蒸発させ、無色油として純粋生成物6b(14.6g、78%)を得た。
【0706】
化合物7の合成:CH
2Cl
2(60mL)中アルコール6b(3g、5.68mmol)の溶液に、新しく活性化された4A分子篩(50g)を添加し、この溶液に、粉末PCC(4.9g、22.7mmol)を20分間にわたって一部ずつ添加し、混合物を1時間さらに撹拌し(注:長期の反応時間はより低い収率をもたらすため、良好な収率を得るために、反応の注意深い監視が必要である)、続いて反応混合物のTLCを10分毎に行った(ヘキサン中5%エーテル)。反応終了後、シリカゲルのパッドを通して反応混合物を濾過し、残渣をCH
2Cl
2(400mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、それによて得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン中1%Et
2O)によってさらに精製し、無色油として純粋生成物7(2.9g、97%)を単離した。
1H NMR(CDCl
3,400MHz)δ=5.33−5.21(m,8H),2.69(t,4H),2.30(t,4H),2.05−1.95(m,8H),1.55−1.45(m,2H),1.35−1.15(m,18H),0.82(t,3H)。
13C NMR(CDCl
3)δ=211.90,130.63,130.54,128.47,128.41,43.27,33.04,32.01,30.93,29.89,29.86,29.75,29.74,27.69,26.11,24.35,23.06,14.05。MS:C
37H
66Oに対して計算された分子量、計算値:526.92、実測値:528.02(MH)
+。
【化21】
【0707】
化合物9の合成:化合物8(10.6g、100mmol)、化合物7(10.54g、20mmol)、およびPTSA(0.1当量)の混合物を、活性化4Å分子篩を含有するSoxhlet抽出器を用いたトルエン還流下で、3時間加熱した。溶媒の除去、次いで、カラム精製(シリカゲル、ヘキサン中0〜30%EtOAc)によって、無色油として化合物9(11g、90%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.45−5.24(m,8H),4.30−4.17(m,1H),4.08(dd,J=7.8,6.1,1H),3.80(dd,J=10.6,5.0,3H),3.53(t,J=8.0,1H),2.77(t,J=6.4,5H),2.29−2.18(m,1H),2.05(q,J=6.7,9H),1.86−1.74(m,2H),1.59(dd,J=18.3,9.7,5H),1.42−1.18(m,43H),0.89(t,J=6.8,6H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ130.39,130.36,130.35,128.14,112.80,77.54,77.22,76.90,75.74,70.14,61.08,37.97,37.50,35.56,31.74,30.14,30.13,29.88,29.80,29.73,29.57,29.53,27.45,27.41,25.84,24.20,24.00,22.79,14.30。
【0708】
化合物10の合成:DCM(100mL)中の化合物9(10.5g、17mmol)およびNEt
3(5mL)の氷のように冷たい溶液に、DCM(20mL)中のMsCl(2.96g、20.5mmol)の溶液を、撹拌しながら滴下添加した。室温で1時間後、水による後処理により、10の淡黄色油を得、カラム精製し(シリカゲル、ヘキサン中0〜30%EtOAc)、無色油として純粋メシラート(11.1g、94%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.44−5.26(m,8H),4.37(m,2H),4.26−4.13(m,1H),4.10(m,1H),3.53(m,1H),3.02(s,3H),2.76(d,J=6.4,4H),2.05(d,J=6.9,10H),1.55(s,4H),1.29(d,J=9.8,34H),0.88(t,J=6.9,6H)。エレクトロスプレーMS(+ve):C42H76O5S(MH)
+に対する分子量、計算値:693.5、実測値:693.4。
【0709】
実施例7
【化22】
【0710】
化合物11の合成:Parr反応器内で、エタノール(20.0ml)中化合物10(12.0g、17.31mmol、1.0当量)のメタンスルホニル誘導体の溶液に、エタノール(200ml)中の過量の33%メチルアミンを添加し、反応を70℃で4時間継続し、出発物質の完全な消費後、反応を冷却し、丸底フラスコに移し、濃縮した。反応生成物を酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、蒸発させ、真空下でさらに乾燥させ、10.3g(95%)の純粋生成物11を得、これをさらなる精製なしで次のステップに使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.47−5.21(m,8H),4.14−4.04(m,2H),3.49(t,J=7.6,1H),3.00−2.83(m,1H),2.80−2.74(m,5H),2.60(s,3H),2.04(q,J=6.8,8H),1.94−1.81(m,2H),1.60−1.52(m,4H),1.41−1.15(m,37H),0.88(t,J=6.8,6H);計算値:C
42H
77NO
2に対する質量:627.6、絶対質量:628.5(MH)
+。
【0711】
化合物13:0℃のDCM(12.0ml)中の化合物11(1.0g、1.59mmol、1.0当量)およびNaBH(OAc)
3(0.44g、2.0mmol、1.3当量)の懸濁液に、アルゴン下0℃で、DCM(3.0ml)中の化合物12(0.25g、1.75mmol、1.1当量)の溶液を添加し、反応を1時間室温で継続した。出発物質の完成反応後、反応物を1NのMaHCO
3で反応停止処理をし、DCMで希釈し、2つの層に分離し、混合有機物を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮し、勾配としてDCM:MeOH(5%):トリエチルアミン(0.5%)を使用したカラムクロマトグラフィによって精製し、純粋な0.86g(72%)のエステル化合物13を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.47−5.24(m,8H),4.09−4.02(m,2H),3.66(s,3H),3.47(t,J=7.0,1H),2.77(t,J=6.4,4H),2.44−2.41(m,1H),2.31(t,J=7.5,4H),2.19(s,3H),2.04(q,J=6.7,8H),1.88−1.74(m,1H),1.71−1.52(m,7H),1.49−1.45(m,2H),1.40−1.16(m,39H),0.89(t,J=6.8,6H);計算値:C
49H
89NO
4に対する質量:755.6、絶対質量:756.5(MH)
+。
【0712】
化合物14の合成:THF(4.0ml)中の化合物13(0.86g、1.12mmol、1.0当量)の溶液に、水(2.0ml)中のLiOH.H
2O(0.14g、3.36mmol、3.0当量)の水溶液を、0℃で滴下添加し、出発物質がなくなるまで室温で反応を継続した。出発物質の完全な消費後、THFを蒸発させ、酢酸の滴下添加によって、水性反応混合物をpH6.0に酸性化した。反応生成物を酢酸エチルに抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、真空下でさらに乾燥させ、0.73g(89%)の純生成物14を得、これをさらなる精製なしで直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.46−5.24(m,8H),4.08(dd,J=8.2,4.3,2H),3.53(s,1H),3.23−2.93(m,4H),2.77−2.71(m,7H),2.37−2.14(m,3H),2.04(q,J=6.8,8H),1.97−1.77(m,3H),1.70−1.47(m,6H),1.44−1.14(m,38H),0.88(t,J=6.8,6H);計算値:C
48H
87NO
4に対する質量:741.6、絶対質量:742.5(MH)
+。
【0713】
化合物15の合成:ジクロロメタン(8.0ml)中の化合物14(0.73g、0.98mmol、1.0当量)の溶液に、固体N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)(0.12g、1.08mmol、1.1当量)、続いてDCC(0.22g、1.08mmol、1.1当量)、DMAP(0.012g、0.098mmol、0.1当量)を添加し、反応をアルゴン下、室温で継続した。尿素誘導体の白色沈殿物が反応中にゆっくりにと現れ、一晩反応を継続した。出発物質の完全な消費後、ジクロロメタンを蒸発させ、反応混合物を酢酸エチル(6.0ml)中に溶解し、氷浴温度に冷却し、DCC尿素誘導体を完全に沈殿させた。固体を濾過し、固体を冷たい酢酸エチル(2×2.0ml)で洗浄し、溶媒を蒸発させ、真空で乾燥させ、定量的収率で0.82gの化合物15の純粋NHSエステルを得、これをさらなる精製なしで次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.45−5.22(m,8H),4.13−3.99(m,2H),3.56−3.44(m,1H),2.95−2.79(m,6H),2.76(t,J=6.4,4H),2.62(t,J=7.1,2H),2.57(s,2H),2.03(q,J=6.8,8H),1.95−1.86(m,2H),1.83−1.63(m,5H),1.61−1.40(m,6H),1.39−1.15(m,38H),0.87(t,J=6.8,6H);計算値:C
52H
90N
2O
6に対する質量:838.6、絶対質量:839.5(MH)
+。
【0714】
実施例8
【化23】
【0715】
化合物17の合成:0℃のDCM(15.0ml)中の化合物11(2.0g、3.18mmol、1.0当量)およびNaBH(OAc)
3(0.87g、4.13mmol、1.3当量)の懸濁液に、アルゴン下0℃で、DCM(5.0ml)中の化合物16(0.49g、3.5mmol、1.1当量)の溶液を添加し、反応を1時間室温で継続した。反応終了後、反応物を1NのMaHCO
3で反応停止処理をし、DCMで希釈し、2つの層を分離し、混合有機物を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮し、勾配としてDCM:MeOH(5%):トリエチルアミン(0.5%)を使用したカラムクロマトグラフィによって精製し、1.85g(77%)の純粋エステル化合物17を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.44−5.25(m,8H),4.14−3.95(m,2H),3.47(t,J=7.1,1H),3.26(t,J=6.9,2H),2.77(t,J=6.4,3H),2.49−2.25(m,3H),2.20(s,3H),2.05(q,J=6.7,8H),1.86−1.76(m,1H),1.71−1.51(m,7H),1.49−1.13(m,44H),0.89(t,J=6.8,6H);計算値:C
48H
88N
4O
2に対する質量:752.7、絶対質量:753.5(MH)
+。
【0716】
化合物18の合成:無水THF(12.0ml)中のアジド誘導体17(1.5g、2.0mmol、1.0当量)の溶液に、アルゴン下0℃で、THF中のLAH(3.0ml、3.0mmol、1.5当量)の1Mの溶液を滴下添加した。反応温度はゆっくりと上昇し、反応を2時間室温で継続した。出発物質の完全な消費後、反応を0℃で、飽和Na
2SO
4溶液の滴下添加で反応停止処理をした。固体から溶液を分離し、酢酸エチル(25.0ml)に抽出し、生成物が現れなくなるまで、水溶液を酢酸エチルで抽出した。Na
2SO
4で混合有機物を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、さらに真空下で乾燥させ、1.31g(90%)の純生成物18を得、さらなる精製なしで次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.45−5.24(m,8H),4.13−3.96(m,2H),3.47(t,J=7.1,1H),2.77(t,J=6.4,4H),2.68(t,J=6.9,2H),2.49−2.26(m,4H),2.20(s,3H),2.04(q,J=6.7,8H),1.88−1.73(m,1H),1.70−1.51(m,5H),1.50−1.40(m,4H),1.39−1.19(m,40H),0.89(t,J=6.8,6H);計算値:C
48H
90N
2O
2に対する質量:726.7、絶対質量:727.8(MH)
+。
【0717】
化合物19の合成:化合物903(0.6g、0.82mmol、1.0当量)を3.0mlのDMFに溶解し、HBTU(0.37g、0.99mmol、1.2当量)、続いてDIPEA(0.45ml、2.47mmol、3.0当量)を室温で添加し、アルゴン雰囲気下で10分間撹拌した。DMF:DCM(1:2、3.0ml)中の化合物18(0.35g、0.82mmol、1.0当量)の溶液を室温で上記の混合物にゆっくりと添加し、出発物質がなくなるまで反応を継続した。2時間後、反応混合物を氷に注ぎ、DCMで抽出し、有機層を過量の水で洗浄し、有機層中に存在する全DMFを除去し、NaHCO
3でさらに洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮し、勾配としてDCM:MeOH(5%):トリエチルアミン(0.5%)を使用したカラムクロマトグラフィによって精製し、0.81g(86%)の純粋化合物19を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.63(s,1H),8.47−8.36(m,1H),7.76(d,J=8.1,1H),7.61(d,J=8.8,2H),7.07−6.99(m,1H),6.87(d,J=8.9,2H),5.52(s,1H),5.43−5.25(m,8H),4.13−3.95(m,4H),3.46(t,J=6.9,1H),3.28−3.13(m,6H),2.80−2.75(m,4H),2.42−2.28(m,6H),2.16(dd,J=19.3,9.6,8H),2.04(q,J=6.7,8H),1.86−1.74(m,1H),1.70−1.40(m,8H),1.39−1.18(m,42H),0.88(t,J=6.8,6H);計算値:C
68H
111N
5O
5S
2に対する質量:1141.8、絶対質量:1142.7(MH)
+。
【0718】
実施例9
【化24】
【0719】
化合物301の合成:コレステロール酸300(4.10g、7.53mmol)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(1.29g、11.29mmol)、およびEDAC(2.16g、11.26mol)をDCM/DMFの混合物に取り込んだ。それにDMAP(0.183g)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を除去し、残渣をDCM中に溶解し、水で数回洗浄した。TLCは、出発物質の完全な転換を示した。これをさらなる精製なしで次の反応に使用した(白色固体、4.40g、92%)。MS:C
38H
60N
2O
6に対する計算値:640.45;実測値641.40(MH)
+。
【0720】
化合物302の合成:化合物301(2.00g、3.12mmol)をTHF中に溶解し、それにヒドラジン水和物(0.200mL、1.2当量)およびTEA(1mL、過剰)を添加し、一晩撹拌した。TLCは、溶媒を確認および除去した。残渣をEtOAc/ヘキサンの混合物で洗浄し、一晩乾燥させ、白色固体として化合物(2.10g、95%)を得た。MS:C
34H
59N
3O
3に対する計算値:557.46;実測値:558.44(MH
+)。
【0721】
化合物303の合成:化合物302(1.81g、3.24mmol)およびケトン(0.722g、3.24mmol)をエタノール(20mL)中に取り込んだ。それにAcOH(2mL)を添加し、混合物を50℃で6時間撹拌した。反応混合物を冷却し、フリーザー内で一晩保持した。濾過し、EtOAcおよび無水エーテルで洗浄した。真空下で乾燥させ、白色固体として化合物(1.68g、71%)を得た。この化合物をさらなる精製なしで次の反応に使用した。MS:C
46H
71N
3O
6に対する計算値:761.53実測値:760.52(M−H)。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ11.95(bs,1H),9.73(m,1H),7.93−7.48(m,5H),7.09−6.80(m,8H),5.29(s,2H),4.26(s,2H),4.09−3.87(m,6H),3.48−2.02(m,20),2.02−0.55(m,20H)。
【0722】
化合物304の合成:化合物303(0.500g、0.656mmol)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(0.113g、1.5当量)、およびEDAC(0.188g、1.5当量)をDCM中に取り込んだ。それにDMAP(20mg)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水で数回洗浄し、乾燥させた。TLCは、出発物質の完全な転換を示した。溶媒を除去し、残渣を一晩乾燥させ、白色固体(480mg、92%)を得た。MS:C
50H
74N
4O
8に対する計算値:858.55;実測値:859.53(MH)
+。
【0723】
実施例10
【化25】
【0724】
502の合成:プテロイン酸前駆体500(1.88g、3mmol)を無水DMF(20mL)中に溶解し、HBTU(1.14g、1当量)、続いてDIEA(1.3g、3当量)を添加し、20分間撹拌した。この反応混合物に、アミン501(0.961g、3mmol)をDMF(20mL)中の溶液として添加した。反応をTLC(10%MeOH/DCM、PMA染色)によって監視した。反応混合物のTLCは、1時間後に反応の終了を示した。激しく撹拌しながら、反応混合物をゆっくりと氷に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、混合有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮し、粗生成物を得た。それによって得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM中0〜10%MeOH)によってさらに精製し、白色発泡体として502を得た(収率=2.4g、87%)。MS。C
41H
56F
3N
9O
12に対して計算された分子量、計算値:923.40、実測値:924.5(MH)
+。
【0725】
503の合成:Boc保護されたプテロイン酸502(2.3g)をエーテル(100mL)中の2MのHClで処理し、出発物質がなくなるまで、溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、乾燥させ、ワックス状固体としてアミン塩酸塩を単離した(1.9g、100%)。MS。C
36H
48F
3N
9O
10に対して計算された分子量、計算値:823.35、実測値:824.35(MH)
+。
【0726】
504の合成:アミン塩酸塩503(1.8g)を100mLのTHF/MeOH(1:1)中に溶解し、それにLiOHの水溶液(10mLの水中0.4g)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物のMSは、出発物質の完全な消失を示し、生成物ピークのみが見られた。反応混合物を濃縮し、有機溶媒を除去し、酢酸を添加することによって、残りの水溶液をpH6.8に中和した。それによって得られた水溶液をフリーズドライし、酢酸エチルで粉砕し、橙色結晶性固体として504(無機不純物と合わせて2.1g)を得た。LC検査は、アミンが91%純粋であることを示し、MSは、正確な質量を示した。これを次のステップにそのまま使用した。MS。C
29H
41N
9O
8に対して計算された分子量、計算値:643.31、実測値:624.35(MH)
+。
【0727】
505の合成:無水DMF(20mL)中のアミン504(64mg、0.1mmol)の溶液に、ヒューニッヒ塩基(0.3mL)、続いて活性化エステル904(63mg、0.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、その後、MSは、出発物質の完全な消失を示した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルで粉砕し、黄色固体として生成物(67mg、52%)を得た。MS。C
49H
62N
12O
11S
2に対して計算された分子量、計算値:1058.41、実測値:1057.4(M−H
−)。
【0728】
実施例11
【化26】
【0729】
化合物52の合成:ベンジルアルコール(24mL)中の化合物51
1(3.78g、7.52mmol)の溶液に、アクリル酸ベンジル(1.22g、7.52mmol)および飽和ホウ酸水溶液(0.5mL)を滴下添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。次いで、ジ−tert−ブチルジカーボネート(2.46g、11.3mmol)を混合物に添加した。撹拌を一晩継続し、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜2:1)によって直接精製し、52(4.45g、5.82mmol、77%、R
f=0.26、ヘキサン:酢酸エチル=2:1で展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ7.34−7.36(m,5H),6.76(brs,1H),5.08(s,2H),3.39(t,J=7.0Hz,2H),3.09(brs,10H),2.88(dd,J=12.4Hz,6.0Hz,2H),2.54−2.61(m,2H),1.37−1.62(m,44H)。
13C NMR(DMSO−d
6,100MHz)δ171.1,155.4,154.5,154.4,154.3,135.9,128.3,127.9,127.8,78.6,78.2,78.1,77.3,65.5,44.3,44.2,42.7,37.5,28.1,27.9。C
40H
68N
4NaO
10(M+Na)
+に対する分子量、計算値:787.48、実測値:787.4。
【0730】
(1)(a)Geall,A.J.,Blagbrough,I.S.Tetrahedron Letters(1998),39,443−446.(b)Geall,A.J.,Taylor,R.J.,Earll,M.E.,Eaton,M.A.W.,Blagbrough,I.S.Bioconjugate Chem.(2000),11,314−326。
【0731】
化合物53の合成:CH
2Cl
2(120mL)中の52(4.20g、5.49mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(30mL)を氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。反応混合物を15分間、次いで室温で2時間撹拌し続けた。溶媒を除去し、トルエンと共蒸発させ、真空内で乾燥させ、粗物質を得た。粗物質を氷浴で冷却しながらCH
2Cl
2中に再懸濁し、次いで、トリフルオロ酢酸無水物(6.87mL、49.4mmol)およびトリエチルアミン(9.18mL、65.9mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を氷浴で15分間、および室温で16時間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2(300mL)および飽和NaHCO
3水溶液(150mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)によって精製し、53(3.61g、4.82mmol、88%、R
f=0.36、ヘキサン:酢酸エチル=1:1で展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.45−9.52(m,1H),7.33−7.37(m,5H),5.11(d,J=7.6Hz,2H),3.61−3.69(m,2H),3.34−3.39(m,10H),3.21−3.22(m,2H),2.79(t,J=7.4Hz,1H),2.71(t,J=7.2Hz,1H),1.75−1.91(m,4H),1.51−1.54(m,4H)。
19F NMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−68.15,−68.19,−68.21,−68.26,−68.29,−68.31,−68.33,−68.38,−68.40,−68.41,−68.48,−68.49,−74.47,−74.49,−74.50,−74.61。
13C NMR(DMSO−d
6,100MHz)δ170.7,170.3,156.8,156.5,156.4,156.1,156.0,155.9,155.8,155.7,155.6,155.5,155.3,155.2,154.9,154.8,135.8,135.7,129.2,128.8,128.4,128.1,127.6,127.3,120.6,120.4,120.1,117.7,117.6,117.5,117.3,114.8,114.7,114.6,112.0,111.8,111.6,66.6,66.4,65.8,65.7,64.9,64.8,64.2,61.2,61.1,59.8,59.7,58.3,54.9,46.8,46.7,46.6,46.0,45.9,45.8,45.7,45.5,45.4,45.3,45.2,45.0,44.9,44.7,44.6,44.5,44.4,44.2,44.1,44.0,43.9,43.7,43.6,42.8,42.7,42.6,40.5,40.3,40.2,36.8,36.4,32.7,32.6,31.6,31.5,31.2,31.1,31.0,30.0,29.6,27.7,27.4,26.5,26.4,26.2,25.8,25.4,25.3,25.1,25.0,24.6,23.9,23.5,23.4,23.3,20.2,19.8,18.9,14.6,14.0,13.4,12.2。C
28H
32F
12N
4NaO
6(M+Na)
+に対する分子量、計算値:771.20、実測値:771.0。
【0732】
化合物54の合成:EtOAc(50mL)中53(3.57g、4.77mmol)の溶液に、炭素上のパラジウム(10重量%、Degussa型E101NE/W:600mg)を添加した。反応混合物をH
2雰囲気下で16時間撹拌した。セライトを通した濾過後、濾液を真空内で除去し、54(3.04g、4.62mmol、97%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.45−9.55(m,1H),3.54−3.63(m,2H),3.36−3.39(m,10H),3.19−3.24(m,2H),2.62(t,J=7.2Hz,1H),2.56(t,J=9.0Hz,1H),1.75−1.91(m,4H),1.52−1.55(m,4H)。
19F NMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−68.19,−68.22,−68.23,−68.24,−68.33,−68.35,−68.38,−68.41,−68.44,−68.48,−68.50,−68.51,−74.50,−74.52,−74.53,−74.64。
13C NMR(DMSO−d
6,100MHz)δ172.4,172.0,156.5,156.4,156.2,156.1,155.9,155.8,155.6,155.5,155.4,155.3,155.2,154.9,120.6,120.5,120.2,117.7,117.6,117.3,114.9,114.8,114.5,112.0,111.6,46.7,46.1,46.0,45.9,45.8,45.0,44.6,44.2,44.0,43.7,42.9,40.1,39.9,39.7,39.5,39.3,39.1,38.9,36.9,36.4,33.1,31.2,27.7,27.5,25.8,25.4,25.1,24.0,23.6,23.3。C
21H
25F
12N
4O
6(M−H)
−に対する分子量、計算値:657.16、実測値:657.0。
【0733】
化合物56の合成:DMF(50mL)中の化合物54(3.0g、4.57mmol)およびHBTU(1.91g、5.03mmol)の溶液を、iPr
2NEt(3.98mL、22.9mmol)および化合物55(2.68g、5.03mmol)で連続的に処理し、次いで、室温で14時間撹拌した。Et
2Oおよび飽和NaHCO
3水溶液での抽出、次いで、カラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中0〜5%)によって、化合物56(3.70g、3.15mmol、69%、R
f=0.59、CH
cCl
2中10%MeOHで展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.44−9.52(m,1H),7.92−7.98(m,1H),7.16−7.32(m,9H),6.86−6.89(m,4H),4.88−4.98(m,1H),4.28−4.40(m,1H),4.09−4.15(m,1H),3.72(s,6H),3.54−3.62(m,3H),3.29−3.36(m,10H),3.13−3.23(m,3H),2.99−3.02(m,3H),2.36−2.44(m,2H),1.74−2.21(m,9H),1.23−1.53(m,10H)。
19FNMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−68.17,−68.19,−68.22,−68.23,−68.26,−68.29,−68.32,−68.34,−68.40,−68.42,−68.49,−68.51,−74.49,−74.51,−74.52,−74.63。
13C NMR(DMSO−d
6,100MHz)d170.9,170.8,169.4,169.0,158.1,158.0,156.5,156.2,155.6,155.3,145.1,144.7,135.9,135.7,135.5,135.4,129.6,129.5,127.9,127.8,127.6,126.7,126.6,117.7,117.3,114.9,114.5,113.2,113.1,85.8,85.1,68.6,67.4,65.2,63.3,55.9,53.4,46.7,46.0,45.9,45.8,45.1,44.7,44.2,44.1,43.9,43.7,43.6,38.4,38.0,36.9,36.4,36.3,34.5,34.1,32.6,32.5,28.9,27.7,27.5,26.2,25.9,25.8,25.4,25.1,24.5,24.1,23.9,23.6,23.3。C
53H
64F
12N
6NaO
10(M+Na)
+に対する分子量、計算値:1195.44、実測値:1195.2。
【0734】
化合物57の合成:CH
2Cl
2(14mL)中の化合物56(1.00g、0.852mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.742mL、4.26mmol)および2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイト(0.248mL、1.11mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で30分間、次いで、アルゴン雰囲気下の室温で30分間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2(100mL)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。濾液を濃縮し、得られた粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc=1:4〜100%EtOAc)によって精製し、57(892mg、0.650mmol、76%、R
f=0.18、EtOAcで展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.34−9.52(m,1H),7.92−7.95(m,1H),7.16−7.31(m,9H),6.83−6.87(m,4H),4.62−4.64(m,1H),4.11−4.17(m,1H),3.65−3.72(m,9H),3.49−3.56(m,5H),3.30−3.42(m,9H),3.15−3.21(m,3H),2.95−3.02(m,3H),2.72−2.76(m,2H),2.37−2.40(m,2H),2.10−2.20(4H),1.75−1.87(m,5H),1.07−1.54(m,22H)。
31P NMR(DMSO−d
6,162MHz)δ146.93,146.71,146.51,146.20。C
62H
81F
12N
8NaO
11P(M+Na)
+に対する分子量、計算値:1395.55、実測値:1395.2。
【0735】
化合物58の合成:CH
2Cl
2(30mL)中の化合物56(1.01g、0.861mmol)をDMAP(314mg、2.57mmol)およびコハク酸無水物(171mg、1.71mmol)で処理し、次いで、室温で16時間撹拌した。水による後処理なしで、粗混合物のカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中4%MeOH/4%Et
3N)によって、対応するトリエチルアンモニウム塩として化合物58(1.18g、99.8%、R
f=0.CH
2Cl
2中21、4%MeOH/4%Et
3Nで展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.51−9.58(m,1H),8.01−8.10(m,1H),7.17−7.32(m,9H),6.84−6.88(m,4H),5.22−5.33(m,1H),4.18−4.19(m,1H),3.72(s,6H),3.54−3.62(m,3H),3.35−3.37(m,10H),3.18−3.22(m,3H),2.99−3.06(m,3H),2.34−2.44(m,6H),1.74−2.22(m,9H),1.10−1.53(m,10H)。
13C NMR(100MHz,DMSO−d
6)δ173.9,172.3,170.7,170.6,169.3,168.9,158.0,157.9,156.5,156.1,156.0,155.9,155.8,155.5,155.4,155.3,155.2,155.1,144.9,144.6,135.7,135.5,135.3,129.6,129.5,129.4,127.8,127.7,127.5,126.7,126.5,120.5,117.7,117.6,117.3,114.8,114.7,114.4,113.1,113.0,111.9,85.9,85.2,72.6,63.2,54.9,54.8,52.1,51.9,46.7,46.6,46.5,45.4,43.6,38.3,36.8,36.4,34.4,33.9,33.0,32.5,32.4,29.8,29.7,29.4,28.9,28.8,27.7,26.0,25.9,25.8,25.7,25.3,25.1,25.0,24.4,24.0,23.5,23.3,7.11。C
57H
67F
12N
6O
13(M−H)
−に対する分子量、計算値:1271.46、実測値:1271.2。
【0736】
化合物59の合成:化合物58(1.15g、0.837mmol)をDMF(80mL)中に溶解した。HBTU(350mg、0.921mmol)、次いで、iPr
2NEt(0.730mL、4.19mmol)、および最後にCPG−NH
2(Prime Synthesis CPG−500、NH
2負荷=147μmol/g)(6.27g、0.921mmol)を連続して添加した。混合物を室温で2.5時間震盪し、次いで、固体を濾過によって回収し、CH
2Cl
2(100mL)、次いで、50%MeOH/CH
2Cl
2(300mL)で洗浄し、真空内で乾燥させた。残存アミノ基を、1時間の撹拌によって、Ac
2O/ピリジン/Et
3N(25mL/75mL/5mL)でキャップした。濾過、およびCH
2Cl
2(100mL)、次いで50%MeOH/CH
2Cl
2(300mL)での洗浄、次いで、一晩真空内での乾燥によって、化合物59(6.56g、53μmol/g)を得た。
【0737】
実施例12:合成後共役のためのスペルミンアジド誘導体
【化27】
【0738】
化合物63の合成:スペルミン60(11.25g、55.6mmol)をアセトニトリル(50mL)中に溶解した。次に、撹拌しながら、硫酸銅五水和物(139mg、0.556mmol)およびトリエチルアミン(15.5mL、111.2mmol)を溶液に添加した。混合物を氷浴で冷却し、次に、すでに報告されている方法
2によって調製されたアセトニトリル(0.55M、100mL)中のトリフリックアジド61の溶液を混合物にゆっくり添加した。反応混合物を室温まで温め、一晩処理した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(60.7g、278mmol)を溶液にゆっくり添加し、反応混合物を2時間撹拌した。蒸発後、粗物質をEtOAcおよびH
2Oで抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc=2:1、R
f=0.46)によって精製し、63(13.12g、24.8mmol、45%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)d6.77(brs,1H),3.30−3.34(m,2H),3.11−3.19(m,8H),2.86−2.90(m,2H),1.71−1.72(m,2H),1.54−1.56(m,2H),1.37−1.39(m,29H)。C
25H
48N
6NaO
6(M+Na)
+に対する分子量、計算値:551.35、実測値:551.2。
【0739】
(2)Yan,R.B.,Yang,F.,Wu,Y.,Zhang,L.H.,Ye,X.S.Tetrahedron Letters(2005),46,8993−8995。
【0740】
化合物64の合成:CH
2Cl
2(36mL)中の化合物63(1.37g、2.59mmol)の溶液に、TFA(4mL)を、氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、次いで、トルエンと共蒸発させた。残渣をエーテルで沈殿させ、白色固体(64のTFA塩)を回収した。収率:950mg、1.67mmol、64%。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ3.48(t,J=6.4Hz,2H),2.93−2.96(m,10H),1.62−1.93(m,8H)。C
10H
25N
6(MH)
+に対する分子量、計算値:229.21、実測値:229.3。
【0741】
化合物65の合成:ピリジン(5mL)中の化合物64(324mg、0.568mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(0.361mL、2.27mmol)を氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2および飽和NaHCO
3水溶液で抽出し、次いで、無水Na
2SO
4で乾燥させた。濾液を濃縮し、得られた粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc=4:1〜1:1)によって精製し、65(214mg、0.414mmol、73%、R
f=0.33、ヘキサン:EtOAc=1:1で展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.48−9.53(m,1H),3.32−3.43(m,10H),3.18−3.23(m,2H),1.75−1.84(m,4H),1.51−1.54(m,4H)。
19F NMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−70.92,−70.95,−70.98,−71.02,−71.05,−71.15,−71.18,−77.23,−77.26,−77.38,−77.38。C
10H
25N
6(MH)
+に対する分子量、計算値:229.21、実測値:229.3。
【0742】
実施例13
【化28】
【0743】
化合物68の合成:化合物63に関して記載するように、化合物66
3から化合物68を調製した。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ6.73(brs,1H),3.05−3.33(m,18H),2.86−2.88(m,2H),1.36−1.70(m,57H)。C
41H
78N
8NaO
10(M+Na)
+に対する分子量、計算値:865.57、実測値:865.5。
【0744】
(3)Miller,K.A.,Suresh Kumar,E.V.K.,Wood,S.J.,Cromer,J.R.,Datta,A.,David,S.A.Journal of Medicinal Chemistry(2005),48,2589−2599。
【0745】
化合物69の合成:化合物64に関して記載するように、化合物68(275mg、0.326mmol)から化合物69を調製した。収率:235mg(0.257mmol、79%)。
1H NMR(400MHz,D
2O)δ3.50(t,J=6.0Hz,2H),3.09−3.15(m,18H),2.06−2.10(m,6H),1.96(t,J=6.0Hz,2H),1.75−1.77(m,4H)。C
16H
39N
8(MH)
+に対する分子量、計算値:343.33、実測値:343.2。
【0746】
実施例14
【化29】
【0747】
化合物70の合成:偽ウリジンのN1位置におけるアルキル化のために、2'−デオキシ偽ウリジン類似体に関してSeela et al .によって報告された方法を使用した
4。1Mの重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝剤(pH8.5、780mL)およびEtOH(940mL)中の偽ウリジン(20g、81.9mmol)の溶液に、メチルアクリレートを滴下添加した。反応混合物を一晩撹拌した。16時間後、TLCは、完全な反応を示した。溶媒を除去し、真空内で乾燥させ、白色発泡体を得た。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中10%MeOH、R
f=0.23)によって精製し、70(26.6g、80.5mmol、98%)を得た。
1H NMR(400MHz,MeOH−d
4)δ7.77(d,J=0.8Hz,1H),4.58(d,J=4.8Hz,1H),4.15(t,J=5.2Hz,1H),4.05(t,J=5.0Hz,1H),3.98−4.02(m,2H),3.91−3.94(m,1H),3.80(dd,J=12.0Hz,3.3Hz,1H),3.67(s,3H),3.66(dd,J=12.0Hz,3.3Hz,1H),2.73−2.77(m,2H)。
13C NMR(100MHz,MeOH−d
4)δ173.1,165.4,152.5,145.8,112.9,85.6,81.5,75.6,72.6,63.3,52.5,46.2,33.7。C
13H
19N
2O
8(MH)
+に対する分子量、計算値:330.11、実測値:331.0。
【0748】
(4)Ramzaeva,N.;Rosemeyer,H.;Leonard,P.;Muhlegger,K.;Bergmann,F.;Von der Eltz,H.;Seela,F.Helvetica Chimica Acta 2000,83,1108−1126。
【0749】
化合物71の合成:THF(100mL)およびH
2O(20mL)中の化合物70(5.00g、15.1mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(1.03g、25.5mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。さらなる水酸化リチウム一水和物(500mg、11.9mmol)を添加した。2時間後、反応混合物をアンバーライトIR−120(プラス)イオン交換樹脂で処理した。樹脂を濾過し、THF/H
2Oで洗浄した。濾液を蒸発させ、白色固体として化合物71(4.78g、定量的に)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.34(s,1H),7.75(s,1H),4.92−4.93(m,1H),4.70−4.72(m,1H),4.45(d,J=4.0Hz,1H),3.80−3.93(m,4H),3.68−3.72(m,1H),3.61(dd,J=12.0Hz,3.2Hz,1H),3.47(dd,J=12.0Hz,4.0Hz,1H),3.17(d,J=3.2Hz,1H),2.59(t,J=7.0Hz,2H)。
13C NMR(100MHz,DMSO−d
6)δ172.1,163.0,150.4,143.6,111.4,83.2,79.0,73.7,70.4,61.3,44.1,32.7。C
12H
15N
2O
8(M−H)
−に対する分子量、計算値:315.08、実測値:315.1。
【0750】
化合物72の合成:DMF(150mL)中の化合物71(4.78g、15.1mmol)の溶液に、HBTU(6.89g、18.17mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(13.19mL、7.57mL)を添加した。10分間の撹拌後、CH
2Cl
2(100mL)中の化合物51の溶液を添加した。反応混合物を16時間撹拌した。水による後処理およびシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中0〜10%)によって、化合物72(7.51g、9.38mmol、62%、R
f=0.30、CH
2Cl
2中10%MeOHで展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.34(s,1H),7.94(brs,1H),7.67(s,1H),6.76(brs,1H),4.92(d,J=2.6Hz,1H),4.72−4.75(m,2H),4.43(d,J=2.2Hz,1H),3.81−3.94(m,4H),3.68−3.72(m,1H),3.57−3.62(m,1H),3.44−3.49(m,1H),3.09(s,8H),2.99(dd,J=6.0Hz,12.4Hz,2H),2.88(dd,J=6.4Hz,12.4Hz,2H),2.43(t,J=6.8Hz,2H),1.37−1.56(m,35H)。
13C NMR(100MHz,DMSO−d
6)δ169.5,163.2,155.8,154.9,150.5,144.0,111.4,83.5,79.1,78.6,77.8,73.8,70.7,61.5,54.9,46.7,46.6,46.2,45.0,44.6,44.5,37.6,36.4,34.3,28.4,28.2,25.8,25.7,25.4,25.3,25.2,22.4。C
37H
64N
6NaO
13(M+Na)
+に対する分子量、計算値:823.44、実測値:823.2。
【0751】
化合物74の合成:CH
2Cl
2(40mL)中の72(2.48g、3.10mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(10mL)を氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。反応混合物を10分間、次いで、室温で1時間撹拌し続けた。溶媒を除去し、トルエンと共蒸発させ、真空内で乾燥させ、粗物質73を得た(C
22H
41N
6O
7(M+H)
+に対する分子量、計算値:501.30、実測値:501.2)。粗物質をピリジン(30mL)中に溶解し、次いで、トリフルオロ酢酸無水物(2.15mL、15.5mmol)を氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。反応混合物を16時間撹拌し、次いで、H
2O(15mL)の添加によって反応停止処理をした。1時間の撹拌後、混合物を蒸発させ、真空内で乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中0〜20%MeOH)によって化合物74(1.34g、1.70mmol、55%、R
f=0.56、CH
2Cl
2中20%MeOHで展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.35(s,1H),9.45−9.53(m,1H),8.00−8.08(m,1H),7.66(s,1H),4.92(brs,1H),4.74(brs,1H),4.42(d,J=4.4Hz,1H),3.83−4.10(m,6H),3.58−3.71(m,2H),3.34−3.48(m,10H),3.19−3.24(m,2H),2.44(t,J=7.0Hz,2H),1.52−1.82(m,8H).
19FNMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−68.18,−68.19,−68.24,−68.27,−68.31,−68.38,−68.41,−74.47,−74.50,−74.63。
13C NMR(100MHz,DMSO−d
6)δ169.4,169.3,163.0,150.4,146.0,143.6,140.9,125.4,111.3,83.3,78.9,73.7,70.5,61.4,46.8,46.7,46.6,46.0,45.8,45.6,45.0,44.7,44.6,44.5,44.2,36.8,36.4,36.1,35.7,34.2,34.1,28.5,27.7,26.5,25.8,25.4,25.1,23.5,23.3。C
28H
37F
9N
6NaO
10(M+Na)
+に対する分子量、計算値:811.23、実測値:811.2。
【0752】
化合物75の合成:ピリジン(4mL)中の化合物74(450mg、0.571mmol)の溶液に、DMTrCl(193mg、0.571mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで全て蒸発させた。粗物質をCH
2Cl
2およびH
2Oで抽出し、無水Na
2SO
4で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中0〜10%MeOH)によって精製し、75(300mg、0.275mmol、48%、R
f=0.44、CH
2Cl
2中10%MeOHで展開)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.33(s,1H),9.42−9.53(m,1H),7.91−8.00(m,1H),7.18−7.43(m,10H),6.87−6.89(m,4H),5.02(dd,J=3.0Hz,4.6Hz,1H),4.76(t,J=6.0Hz,1H),4.50−4.51(m,1H),3.79−3.92(m,3H),3.73(s,6H),3.53−3.71(m,2H),2.98−3.37(m,14H),2.36(t,J=6.4Hz,2H),1.48−1.82(m,8H)。
19F NMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−68.17,−68.18,−68.19,−68.24,−68.28,−68.31,−68.34,−68.37,−68.40,−74.45,−74.48,−74.60,−74.61。C
49H
55F
9N
6NaO
12(M+Na)
+に対する分子量、計算値:1113.36、実測値:1114.2;C
49H
54F
9N
6O
12(M−H)
−に対する分子量、計算値:1089.37、実測値:1089.3。
【0753】
実施例15
【化30】
【0754】
化合物307の合成:ジリノレイルアルコール6b(5.60g、10.50mmol)およびDSC(4.00g、15.87mmol)を無水DCM(100mL)中に取り込み、氷−水混合物で冷却した。TEA(4.27ml、3当量)を添加し、混合物を2日間撹拌した。反応をTLCによって監視した。反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄し(2回)、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、残渣を一晩乾燥させた。この物質をいかなる精製なしで次の反応にそのまま使用した。DCM(100mL)中の上記の反応からの化合物305(10.50mmol)およびヒドロキシルプロリン誘導体55(5.59g、10.50mmol)の溶液に、ピリジン(10mL)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応をTLCによって監視し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM中に溶解し、水、重炭酸ナトリウム溶液、および塩水で洗浄した。粗生成物をクロマトグラフィ(30〜80%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、必要な生成物(6.64g、54%)を得た。MS:C
70H
106N
2O
7に対して計算された分子量:1086.80実測値:1109.79(M+Na)。
【0755】
化合物308の合成:DCM中の化合物307(1.42g、1.30mmol)の溶液に、DMAP(0.475g、3.90mmol)、続いてコハク酸無水物(0.201g、2当量)を添加し、反応をアルゴン下の室温で一晩継続した。反応終了後、反応を氷冷温度下で冷却し、冷却した反応混合物を10%の冷たいクエン酸溶液、続いて、冷水で洗浄した。混合有機物を塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、勾配としてDCM:MeOH(10%):トリエチルアミン(0.5%)を使用した小さいシリカゲル床を用いて混合物を精製し、純粋な308(1.50g、定量的収率)を得た。MS:C
74H
110N
2O
10に対して計算された分子量:1186.82、実測値:1185.78(M−1)。
【0756】
CPG誘導体309の合成:DMF中の化合物308(1.50g、1.30mmol)の溶液に、DIEA(0.700ml、3.0当量)、HBTU(0.740g、1.5当量)、続いて長鎖アルキルアミノCPG(10g、負荷:124μmol/g)を添加し、震盪を4時間継続した。樹脂を濾過し、DCM(×2)、DCM中の10%MeOH(×2)、DCM(×2)、最後にエーテル(×2)で洗浄し、真空で乾燥させた。キャッピング:乾燥した樹脂をピリジン:無水酢酸(20%)混合物(100ml)の溶液中にキャップし、震盪を45分間継続した。終了後、樹脂を濾過し、DCM(×2)、DCM中の10%MeOH(×2)、DCM(×2)、最後にエーテル(×2)で洗浄し、真空で乾燥させた(負荷:73μmol/g)。
【0757】
実施例16
【化31】
【0758】
化合物310の合成:DCM(50mL)中の化合物307(3.12g、2.86mmol)の溶液に、DIEA(1.00mL、2当量)、続いてクロロアミダイト試薬(0.850ml、1.30当量)を添加し、混合物をアルゴン下で撹拌した。反応をTLCによって監視し、15分間後、混合物をDCMで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、乾燥させた。粗生成物をクロマトグラフィ(1%TEAを有する40〜80%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、必要な化合物(2.86g、78%)を得た。
31P NMR(400MHz,DMSO−d6)d151.87,151.69,151.52,151.20。
【0759】
実施例17
【化32】
【0760】
化合物313の合成:DCM中の化合物311(6.28g、15.0mmol、1.0当量)およびDIPEA(8.3ml、45.0mmol、3.0当量)の溶液に、DCM中の化合物312(6.33g、15.0mmol、1.0当量)の活性化エステルの溶液を室温で添加し、反応を4時間継続し、反応終了後、溶媒を蒸発させ、勾配としてヘキサン:酢酸エチル:トリエチルアミン(0.5%)を使用したシリカゲル上で直接精製し、9.47g(87%)の純粋生成物313を得た。Ms:C
40H
42N
2O
7S
2に対する計算質量:726.2実測値:749.2(M+Na)。
【0761】
化合物314の合成:DCM中の化合物313(9.46g、13.03mmol、1.0当量)の溶液に、DMAP(4.76g、39.09mmol、3.0当量)、続いてコハク酸無水物(2.6g、26.06g、2.0当量)を添加し、反応をアルゴン下の室温で一晩継続した。反応終了後を氷冷温度下で冷却し、冷却した反応混合物を10%クエン酸溶液、続いて冷水で洗浄した。混合有機物を塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、勾配としてDCM:MeOH(10%):トリエチルアミン(0.5%)を使用した小さいシリカゲル床を用いて混合物を精製し、純粋な10.7g(定量的収率)の化合物314を得た。MS:C
44H
46N
2O
10S
2に対する計算質量:826.2、実測値:826.2。
【0762】
化合物315の合成(CPG−NH
2への負荷):DMF中の化合物314(10.65g、12.9mmol、1.0当量)の溶液に、DIPEA(6.98ml、37.92mmol、3.0当量)、HBTU(7.19g、18.96mmol、1.5当量)、続いてCPG−NH
2(105g、13.02mmol、1.01当量、負荷:124μmol/g)を添加し、震盪を4時間継続した。樹脂を濾過し、DCM(×2)、DCM中の10%MeOH(×2)、DCM(×2)、最後にエーテル(×2)で洗浄し、真空で乾燥させた。キャッピング:乾燥した樹脂をピリジン:無水酢酸(20%)混合物(400ml)の溶液中にキャップし、震盪を45分間継続した。終了後、樹脂を濾過し、DCM(×2)、DCM中の10%MeOH(×2)、DCM(×2)、最後にエーテル(×2)で洗浄し、真空で乾燥させ、樹脂315(110g、負荷:66μmol/g)を得た。
【0763】
実施例18
【化33】
【0764】
化合物316の合成:DCM(50mL)中の化合物313(5.36、7.37mmol)の溶液に、DIEA(3.30mL、2.5当量)、続いてクロロアミダイト試薬(2.14ml、1.30当量)を添加し、混合物をアルゴン下で撹拌した。反応をTLCによって監視し、15分後、混合物をDCMで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、乾燥させた。粗生成物をクロマトグラフィ(1%TEAを有する40〜100%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、必要な化合物(5.63、82%)を得た。
31P NMR(400MHz,DMSO−d6)d151.92,151.74,151.53,151.28。
【0765】
実施例19:スペルミンおよびコレステロールオリゴヌクレオチド共役の合成
【化34】
【0766】
実施例2に概説されるように、標準的なホスホラミダイト化学を使用した、40μmolスケールのABI 392 DNA/RNA合成装置上で、オリゴヌクレオチド(A−40867:AAUCuuAuAuuuGAUCcAAsQ94L10(標的ApoB)を合成した。次いで、固体支持体をアセトニトリル中の0.5Mのピペルジンで5〜10分間処理し、続いてアセトニトリルで3回洗浄した。固体支持体からの開裂および核酸塩基脱保護を、55℃で5時間、アンモニア/エタノールの3:1の混合物で行った。反応混合物を冷却および濾過し、支持体を3倍の容積のDMSOで洗浄した。1.5倍の容積のTEA3HFを反応混合物に添加し、40℃で1.5時間加熱した。粗生成物を逆相HPLCで精製し、サイズ排除カラムで脱塩した。計算MW:8010.8、実測MW:8009.1。
【0767】
実施例20:オリゴヌクレオチドへのヒドラゾン連結とのDLink−DMAの共役
【化35】
【0768】
実施例2に概説される標準的なプロトコルを使用して、オリゴヌクレオチド(A30861)を合成および精製した。精製されたA30861を50mMのTEAA緩衝剤(pH=7)に溶解し、2〜3当量のTCEP(水中0.1M)を添加した。40℃で30分間、または室温で一晩インキュベートした。C18カラム上で過剰なTCEPを除去し、25%アセトニトリルを有する50mMのTEAA緩衝剤にRNAを回収した。2〜3当量のDLink−DMAピリジルジスルフィドを、DMSOおよびアセトニトリルの1:1の混合物中に溶解し、RNA溶液に添加した。カップリング反応を室温で30分間実施した。計算MW:8056.1、実測MW:8053.8(主要不純物:8038.6)。
【0769】
実施例21:チオール修飾オリゴヌクレオチドとの活性化DLin−k−DMAの合成後共役
【化36】
【0770】
実施例2に概説される標準的なプロトコルを使用して、オリゴヌクレオチド(40377.1:AcAuGAAGcAGcACGACuUdTsdTQ8L99,Q8,=Hyp−アミノ,L99=Hyp−S−S−アミノ)を合成および精製した。次いで、DLin−k−DMAをオリゴヌクレオチドと以下のように共役した。
【0771】
ジスルフィド結合の還元:オリゴヌクレオチド(10mg)を1.0mlの0.5Mの酢酸アンモニウム中に溶解した。0.2MのTCEP溶液(280ul)を添加し、45℃で90分間加熱ブロックに配置した。Sephadex G−25 Nap−25カラムを使用して、過剰なTCEPを除去した。イオン交換分析ならびにLC−MS分析によって、化合物の同定を確認した。
【0772】
酸開裂可能なDLin−k−DMAとのチオール修飾オリゴヌクレオチドの共役。チオール含有試料を450μlの0.2M重炭酸ナトリウム緩衝剤(pH8.5)中に溶解した。溶解されたオリゴヌクレオチドに、50μlのDMF中の活性化された酸開裂可能なDLin−k−DMA(10当量)を添加し、反応混合物を室温で一晩震盪した。反応の進行をHPLCによって分析した。共役されたオリゴヌクレオチドのLC−MS分析は、進行中である。
【0773】
実施例22
【化37】
【0774】
アミノRNA350を塩基性pH下で化合物15で処理し、化合物351を得る。それを精製し、対応する相補的な配列でアニールし、二本鎖352を得る。この化合物を全ての生物学的実験に使用する。
【0775】
実施例23
【化38】
【0776】
チオールRNA353を塩基性pH下で化合物19で処理し、化合物354を得る。それを精製し、対応する相補的な配列でアニールし、二本鎖355を得る。この化合物を全ての生物学的実験に使用する。
【0777】
実施例24
【化39】
【0778】
二官能性RNA357を対応する相補的な鎖でアニールし、二本鎖358を得る。この化合物を、最初に塩基性pH下で化合物506で処理し、中間体を得る。次いで、中間体をNHSエステル114で処理し、最終化合物359を得る。それを精製し、全ての生物学的実験に使用する。
【0779】
実施例25
【化40】
【0780】
報告された手順(Paramonov,S.E.;Bachelder,E.M.;Beaudette,T.T.;Standley,S.M.;Lee,C.C.;Dashe,J.;Frechet,Jean M.J.Fully Acid−Degradable Biocompatible Polyacetal Microparticles for Drug Delivery.Bioconjugate Chemistry(2008),19(4),911−919)を使用して、ケタール366を合成した。最初に1当量のトリフルオロ酢酸エチルで、続いて1当量のCbz−OSuでジアミンを処理することによって、1つのポット内で、2つのステップで、ケタールの過渡保護を実施し、カラム精製後、80%の収率でジ保護誘導体367を得た。保護アミン367を水性LiOHで処理することによって、定量的収率でアミン368を得た。保護葉酸113(1g)とこのアミン368(0.5g)とのカップリングによって、カップリングされた生成物369(1.1g)を得、水素化によって、定量的収率でアミン370を得た。マレイミドプロピオン酸371とアミン370のカップリングを実施し、良好な収率でカップリングされた生成物372を得た。THF中の氷冷LiOH水溶液を使用して、372における保護基の全ての最終脱保護を実施し、橙色固体として前駆体373を得た。
【0781】
実施例26
【化41】
【0782】
別の実施形態では、ジメチルアセタール基をシクロペンテニル基で置き換えた。以下のスキームに示されるように、TFA誘導体375を介して、ケタール374をモノ保護アミン376に転換する。アミン376を酸500で処理することによって、カップリングされた生成物377を得、それを水素化し、アミン378を得、それをマレイミド379とカップリングし、脱保護し、誘導体381を得る。
【0783】
実施例27
【化42】
【0784】
別の実施形態では、ジメチルアセタール基をシクロヘキシル基で置き換えた。以下のスキームに示されるように、TFA誘導体383を介して、ケタール382をモノ保護アミン384に転換する。アミン384を酸500で処理することによって、カップリングされた生成物385を得、それを水素化し、アミン386を得、それをマレイミド387とカップリングし、脱保護し、誘導体389を得る。
【0785】
実施例28
【化43】
【0786】
別の実施形態では、ジメチルアセタール基をメチルt−ブチル基で置き換えた。以下のスキームに示されるように、TFA誘導体391を介して、ケタール390をモノ保護アミン392に転換する。アミン392を酸500で処理することによって、カップリングされた生成物393を得、それを水素化し、アミン394を得、それをマレイミド395とカップリングし、脱保護し、誘導体397を得る。
【0787】
実施例29
【化44】
【0788】
化合物403を上で概説するように調製し、次いで、核酸に共役する。
【0789】
実施例30
【化45】
【0790】
化合物407を上記に概説するように調製し、次いで、核酸に共役する。
【0791】
実施例31
【化46】
【0792】
化合物411を上記に概説するように調製し、次いで、核酸に共役する。
【0793】
実施例32
【化47】
【0794】
化合物415を上記に概説するように調製し、次いで、核酸に共役する。
【0795】
実施例33
【化48】
【0796】
化合物416、417、418、419を上記に概説するように調製し、次いで、核酸に共役する。