(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体支持体コアが、糖、デンプンまたはその誘導体、アルギン酸塩、ジェランガム、ポリオール、およびこれらの組合せの中から選択される物質を含む、請求項1に記載の組成物。
基材層中のバインダーが、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ジェランガム、キサンタンゴム、カラギーナン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、デキストリン、デンプンまたはデンプン誘導体、およびこれらの組合せの中から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
放出制御成分が、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこのようなセルロース誘導体の2つまたはそれ以上の混合物、ポリ酢酸ビニル、ポビドン、架橋デンプン、架橋キトサン、架橋ゼラチン、架橋ヒアルロン酸、架橋ポリビニルアルコール、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシポリメチレン、ゼイン、およびこれらの組合せの中から選択される皮膜形成ポリマーを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
放出制御成分が、60〜95重量%のエチルセルロースおよび40〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
封止コートが、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アラビアゴム、デキストリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン、ポリメタクリレート、およびこれらの組合せの中から選択される水溶性ポリマーを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
基材層中の血小板数減少剤が組成物の0.12重量%のアナグレリド塩酸塩一水和物であり、基材層中のバインダーが組成物の2.3重量%のヒドロキシメチルセルロースであり;
固体支持体コアが組成物の89.42重量%の複数の非パレイル糖球の形態であり、;
封止コートが組成物の4.6重量%のヒドロキシメチルセルロースを含み;および
放出制御成分が組成物の1.55重量%のエチルセルロース、組成物の0.52重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および組成物の0.89重量%のクエン酸トリエチルを含む、請求項1の組成物。
仕上げコートおよび/または腸溶コーティングを含み、ここで、該仕上げコートおよび/または腸溶コーティングが組成物の10重量%までで存在する、請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
対象が、血管疾患、骨髄増殖性疾患または異常、血栓症、血栓事象に起因する症状または異常、血管閉塞事象を体験する高いリスク、それらの組合せの中から選択される症状を有する、請求項21に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】
図1は、3種類のpH条件における、異なるアナグレリドCRカプセル(681F−0745−I002、水性配合物)の溶解プロフィールを示すグラフである。7時間が無限大とみなされる(250rpmで1時間撹拌)。
【
図2】
図2は、3種類のpH条件における、異なるアナグレリドCRカプセル(F−2887−044BおよびF−2887−044C、有機配合物)の溶解プロフィールを示すグラフである。7時間が無限大とみなされる(250rpmで1時間撹拌)。
【
図3】
図3は、模擬胃液(SGF)における異なるアナグレリドCRカプセル(F−2887−028、有機配合物)の溶解プロフィールを示すグラフである。7時間が無限大とみなされる(250rpmで1時間撹拌)。
【
図4】
図4は、加速貯蔵安定性試験後の模擬胃液における異なるアナグレリドCRカプセル(F−2887−044C、有機配合物)の溶解プロフィールを示すグラフである。7時間が無限大とみなされる(250rpmで1時間撹拌)。
【0081】
詳細な説明
A.定義
B.血小板の役割および健康
C.血小板に関連する症状および疾患
1.血栓事象
2.血管閉塞事象
3.血管疾患
4.骨髄増殖性障害
a.本態性血小板血症(ET)
b.真性赤血球増加症(PV)
c.特発性骨髄線維症(IM)
5.他の症状
D.アナグレリド
1.化学
2.代謝産物
3.アナグレリドの誘導体および類似体
4.薬物動態特性
5.作用機序
E.組成物
1.形態
a.コア
b.血小板数減少剤
c.微粒子
d.コーティング
i.所望による予備コート
ii.基材層
iii.所望による封止コート層
iv.制御放出成分
v.所望による仕上げコート
2.医薬供給形態
a.経口投与のための組成物
b.他の投与経路のための組成物
F.組成物において使用するための被覆粒子の製造方法
G.製造物品
H.血小板数減少剤の活性を測定するためのアッセイ
I.組成物を用いる処置の方法
J.組合せ療法
1.血小板粘着阻害剤
2.血小板凝集阻害剤
3.抗炎症剤
4.プラスミノーゲン活性化因子受容体アンタゴニスト
5.抗血栓剤
6.ADP受容体アンタゴニスト
7.糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤
8.抗凝固剤および/またはフィブリン溶解剤
9.脂質低減剤
10.シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤
11.アンギオテンシン系阻害剤
12.降圧剤
13.化学療法抗癌薬物およびアルキル化剤
14.トロンボキサン合成阻害剤
15.細胞シグナル伝達分子
16.JAK−2阻害剤
K.投与
L.実施例
【0082】
A.定義
特定の定義が供されていなければ、本明細書中に記載される分析化学、生化学、合成有機化学ならびに薬および医薬化学に関連して使用する命名法ならびにそれら化学の実験室操作および方法は、当分野で既知のものである。本明細書中の全開示において言及される全ての特許、特許出願および出版物は、他に記すことがなければ、あらゆる目的のためにその全体が参考として本明細書の一部を構成する。本明細書中の用語について複数の定義が存在する場合には、このセクションのものが優先する。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスに言及される場合、そのような識別子は変わることがあり、インターネット上の特定の情報は現れたり消えたりすることがあるが、インターネットを検索することによって等価な情報を見つけることができるものと解される。それへの参照は、該情報の利用可能性および公然の普及の証拠となる。
【0083】
前記の一般的記載および後記の詳細な記載は、例示および説明のためだけのものであり、特許請求の範囲に記載される対象を限定するものではないことを理解すべきである。
【0084】
標準的な方法を、化学合成、化学分析、医薬の調製、配合および供給、ならびに対象の処置のために使用することができる。標準的な方法を、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換のために使用することができる(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)。反応および精製法は、例えば、製造元の仕様書に従ってキットを用いて、または当分野で普通に行われているように、または本明細書中に記載されているように行うことができる。通常、前記の方法および操作は、当分野で周知の従来法に従って、ならびに本明細書中で引用および議論する様々な一般的文献およびより具体的な文献に記載されているように行う。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual [第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1989)]を参照。
【0085】
本明細書中で使用する場合、あらゆる保護基、アミノ酸および他の化合物の省略形は、他に示すことがなければ、それらの普通の使用法、認められた省略形、または「生化学命名法に関するIUPAC−IUB委員会(IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature(1972)Biochem.、11:942−944)」に従う。
本明細書中で使用する場合、単数形の使用は、他に特記することがなければ、複数形を包含する。
【0086】
本明細書中で使用する場合、「または」は、他に記すことがなければ、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む」ならびに他の形態、例えば「包含する」および「含まれる」の使用は、限定的ではない。
本明細書中で使用する場合、用語「処置する」または「処置」は、例えば、疾患または障害の症候の開始を阻害、遅延または延期するように、症候または疾患状態の完全または部分的な低減を達成するように、そして/または、疾患または障害および/またはその症候を軽減、改善、減少または治癒するように設計した、応答的および/または予防的手段を包含する。
【0087】
本明細書中で使用する場合、「疾患または症状を有する対象を処置する」は、処置後に対象の症候が部分的もしくは完全に軽減されるか、または変化しないままであることを意味する。
本明細書中で使用する場合、特定の化合物または医薬組成物の投与による特定の障害の症候の改善とは、該化合物または組成物の投与に帰することができるかまたはそれに伴う重篤性のあらゆる減少、開始の延期、進行の遅延、または期間の短縮を指す(永久的または一時的であるか、持続的または一過的であるかを問わない)。
【0088】
本明細書中で使用する場合、「予防」は、可能性ある疾患の防止および/または症候の悪化または疾患の進行の防止を指す。
本明細書中で使用する場合、「防止」は、特定の疾患または障害の絶対的な防止あるいは疾患または障害を発症するリスクの低減を指す。一般に、疾患または障害が決して発症しないかどうかを確かめることができないので、防止には、疾患または障害を有するかまたは発症するリスクの低減が含まれる。
【0089】
本明細書中で使用する場合、「誘導体」は、類似構造の別化合物の修飾によって得られるかまたは製造される化合物である。誘導体は、当分野で既知の1つまたはそれ以上の修飾工程によって製造することができる。
本明細書中で使用する場合、「曲線下の面積またはAUC」は、ピーク型シグナルにおけるピークとベースラインの間の面積を指す。曲線下の面積は、総和法を用いて、または数学関数、例えば、観察されたデータのピーク形状を近似する「最良適合」関数を用いて「最良適合」ピーク関数下の面積を正味面積として報告することによって算出することができる。
【0090】
本明細書中で使用する場合、用語「組合せ」は、2つまたはそれ以上の事項または要素の間のあらゆる連合を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「モニタリング」は、効果または効果の不存在を観察することを指し、臨床対象の観察を包含する。例えば、薬剤(例えば、血小板数減少剤)の効果を、所与の血液体積中の血小板の数を計数することによってパラメーター(例えば、血小板カウント)でモニターすることができる。また、対象を観察して、何らかの有害事象が治療薬剤の投与後に起こるか否かを決定することもできる。比較として、プラシーボ処置した対象を、対照として使用することができる。繰返し投与のために、一定期間にわたって定期的に対象をモニターすることができる。
【0091】
本明細書中で使用する場合、用語「接触させる」は、2つまたはそれ以上の物質を、それらが相互作用しうるに十分な近さまで接近させることを指す。ある種の態様において、接触を、例えば、試験管、フラスコ、ペトリ皿または混合タンクなどの容器において行うことができる。ある種の態様において、接触を、追加の物質の存在下で行うことができる。
本明細書中で使用する場合、用語「対象」は、動物、通常は哺乳動物であり、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタまたは齧歯類を包含する。
【0092】
本明細書中で使用する場合、用語「見掛けは健康な対象」は、処置の時点で、疾患の徴候または症候を示さない対象である。換言すると、そのような個体は、医療専門家が検査したときに、健康かつ疾患の症候がないと特徴づけられるであろう。しかし、この見掛けは健康な対象は、該対象を高い血栓事象リスクに置きうる特定のリスク因子をなお示すことができる。例えば、そのような対象は、見掛けは健康であるが、血栓症に関連する障害の家族歴をなお有することができる。また、対象は、血管閉塞性疾患の症候(例えば、胸痛、心臓動悸、息切れ、ならびに、通常の医者には周知である広範囲の他の症候)を有することができるか、またはそのような疾患があると診断されうる。
【0093】
本明細書中で使用する場合、用語「患者」は、ヒトおよび動物対象を包含する。
本明細書中で使用する場合、用語「担体」は、細胞または組織への化合物の導入を容易にする化合物を指す。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)が、細胞または組織へのある種の有機化合物の導入を改善するために普通に使用される担体である。
【0094】
本明細書中で使用する場合、用語「血小板数減少剤」は、対象の循環血小板数を減少させるあらゆる薬剤、化学物質または化合物を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「医薬組成物」は、対象において所望の治療効果を誘導しうる化学的コンパウンドまたは組成物を指す。ある種の態様において、医薬組成物は、所望の治療効果を誘導する薬剤である活性薬剤を含有する。ある種の態様において、医薬組成物は、例えば、担体や賦形剤などの不活性成分を含有する。
【0095】
本明細書中で使用する場合、用語「治療有効量」は、所望の治療効果を達成するのに十分な医薬組成物の量を指す。この有効量は、投与の様式、処置される特定の症状および所望の結果に依存するであろう。また、それは、疾患または症状(もしあれば)の段階、対象の年齢および身体状態、いずれかの同時治療の性質、および医者には周知である同様の因子に依存するであろう。予防適用のためには、それは、処置される特定の症状の開始を延期するか、その進行を阻害するか、またはそれを完全に停止させるのに十分な量であり、それによって患者の利益を生じる量である。治療適用のためには、それは、医学的に望ましい結果を達成するのに十分な量であり、それによって患者の利益を生じる量である。ある場合には、患者の利益を、罹患率および/または死亡率の減少によって測定することができる。ある場合に、これは、細胞の成熟および/または増殖の減少である。巨核球の場合、医学的に望ましい結果は、巨核球の成熟、核内倍加および/または増殖のブロックによって血栓症を阻害することでありうる。他の場合に、それは、血小板の消費、排出または死の増加である。最後に、投与される量は、例えば骨髄増殖性障害を有する対象における高い血小板カウントを、正常血小板カウントを目標として、600×10
3血小板/μl未満まで、特に450×10
3血小板/μlまたはそれ未満まで減少させるのに有効な量である。骨髄増殖性障害を有さない対象において、投与される量は、対象において、低正常レベルまで、一部の態様においては正常以下レベルまで減少させるのに有効な量である。
【0096】
本明細書中で使用する場合、用語「医薬的に許容しうる」は、配合された化合物が対象に投与されたときに、化合物の生物学的活性、薬理学的活性および/または他の特性を有意に無効化しない化合物の配合を指す。ある種の態様において、医薬的に許容しうる配合物は、対象に有意の刺激を引き起こさない。
【0097】
本明細書中で使用する場合、化合物の医薬的に許容しうる誘導体には、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物またはプロドラッグが含まれるが、これらに限定はされない。このような誘導体は、このような誘導体化のための既知の方法を用いて、当業者なら容易に製造することができる。製造した化合物を、大きな毒性作用なしに動物またはヒトに投与することができ、これら化合物は、医薬的に活性であるか、またはプロドラッグのいずれかである。医薬的に許容しうる塩には、アミン塩、例えば、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジル−エチレンジアミン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジル−フェネチルアミン、1−パラ−クロロ−ベンジル−2−ピロリジン−1’−イルメチル−ベンズイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタンの塩(これらに限定はされない);アルカリ金属塩、例えば、リチウム、カリウムおよびナトリウム塩(これらに限定はされない);アルカリ土類金属塩、例えば、バリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩(これらに限定はされない);遷移金属塩、例えば、亜鉛塩(これに限定はされない);および他の金属塩、例えば、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウム塩(これらに限定はされない);が含まれるが、これらに限定はされず、また、無機酸の塩、例えば、塩酸塩および硫酸塩(これらに限定はされない);および有機酸の塩、例えば、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩(これらに限定はされない);が含まれるが、これらに限定はされない。医薬的に許容しうるエステルには、酸性基(カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸およびボロン酸を包含するが、これらに限定はされない)のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルエステルが含まれるが、これらに限定はされない。医薬的に許容しうるエノールエーテルには、式:C=C(OR)[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである]で示される誘導体が含まれるが、これらに限定はされない。医薬的に許容しうるエノールエステルには、式:C=C(OC(O)R)[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである]で示される誘導体が含まれるが、これらに限定はされない。医薬的に許容しうる溶媒和物および水和物は、化合物と1つまたはそれ以上の溶媒または水分子、あるいは1〜約100、あるいは1〜約10、あるいは1〜約2、3または4つの溶媒または水分子との複合体である。
【0098】
本明細書中で使用する場合、「血管閉塞事象」は、対象において血流を妨げる程度にまで局所的または全身的に血管内部直径が減少することを特徴とするか、またはそのような減少の結果になる事象を指す。血管閉塞事象は、病的な性質のものであることもある。即ち、血管閉塞事象は、ステント、血管移植片または血管の病的狭窄または完全閉塞を包含する。血管閉塞事象は、血管の狭窄または閉塞(血栓事象、血栓塞栓事象および内膜過形成など)ならびにそのような血管の狭窄に起因する症状(心筋梗塞および虚血性脳卒中など)を引き起こす事象を包含する。また、血管閉塞事象は、血小板およびそれが分泌する因子の存在によって誘導される異常血管増殖をも包含する。この後者形態の血管閉塞事象の例は、内膜過形成であり、これは、血管壁の内膜層の細胞の過増殖による血管狭窄(即ち、局所的または延長した血管セグメント全体にわたる血管直径の減少)の結果になる。
【0099】
本明細書中で使用する場合、「病的狭窄または閉塞」は、障害および/または疾患に関連する狭窄または閉塞を指す。
本明細書中で使用する場合、「血栓」は、細胞要素の取り込みを伴う血液因子(主に血小板およびフィブリン)の凝集体を指し、その形成の時点で血管閉塞を引き起こすことが多い。
【0100】
本明細書中で使用する場合、「血栓事象」は、対象における血栓の形成または存在に、特に血管系に存在するときに伴われる事象を指す。血栓事象は、局所原発部位ならびに遠位部位(即ち、血栓塞栓症)における血栓症および遠位血栓事象(例えば、塞栓性脳卒中などの血栓塞栓事象)を包含する。
本明細書中で使用する場合、「血栓症」は、集合的に、血栓の形成、成長または存在によって引き起こされる症状を指す。本明細書中で使用する場合、用語「血栓症」は、血栓塞栓症を包含することが意図されている。
【0101】
本明細書中で使用する場合、「血栓塞栓症」は、血流によって遠位部位に運ばれた血栓による、血栓形成の初発部位以外における血管のブロックによって特徴付けられる症状を指す。
本明細書中で使用する場合、「血管閉塞事象を阻害する」は、血管閉塞事象の生成の防止、あるいは既に確立された血管閉塞事象の進行および/または結果の低減、あるいは血管閉塞事象の逆行の誘導を指す。
【0102】
本明細書中で使用する場合、「末梢血管疾患」は、心臓および脳の外側の血管の疾患を指す。用語「末梢血管疾患」には、あらゆる血管に影響を及ぼすあらゆる障害が含まれる。この用語は、末梢動脈疾患の同義語として使用されることも多い。末梢血管疾患は、血管における構造修飾(狭窄および炎症を含む)によって引き起こされることが多い。この構造修飾には、血管壁への物質の堆積、例えば、正常血流を阻害またはブロックする脂肪またはプラークの蓄積が含まれうる。
【0103】
本明細書中で使用する場合、「間欠性跛行」は、脚に血液を供給する動脈の狭窄を指し、これは、脚筋肉への酸素の供給が限定される結果になる。間欠性跛行は、脚において痙攣、疼き、および時には灼熱痛として現れることが多い(その性質が間欠性である)。動脈の狭窄は、例えば血管痙攣によるために一過性であるか、または、例えばアテローム性動脈硬化症によるために永久的であることができる。
【0104】
本明細書中で使用する場合、「心筋梗塞」は、心筋への不可逆性損傷を指す。一般に、心筋梗塞は、冠動脈の血栓閉塞(例えば、血栓塞栓症)に続く冠血流の突然の減少に起因する。多くの場合に、血栓は、疾患を有する冠動脈における動脈硬化性プラークの破裂後に生成する。このような損傷は、喫煙、高血圧および脂質蓄積などの因子と深く関係している。
【0105】
本明細書中で使用する場合、「脳卒中」は、動脈破裂または脳出血(出血性脳卒中)によるか、または動脈を閉塞する血栓または塞栓(虚血性脳卒中)を含む脳血管障害によって引き起こされることが多い、脳への減少した血流によって引き起こされる脳細胞の突然死を指す。
本明細書中で使用する場合、「一過性虚血発作」または「TIA」は、脳循環における血栓塞栓症に起因する一過性の急性神経機能障害を指す。
【0106】
TIAは脳卒中様の症候を生じるが、通常は永久的な損傷を生じないので、それは「警告脳卒中」または「軽度脳卒中」とも称される。TIAに随伴することが多い症候は、脳卒中に伴われるものと同様であり、突然の眩暈、平衡または協調の損失、突然の視覚障害、例えば片目または両目の視力損失、混乱、会話困難または突然の理解力損失、および顔面または四肢(例えば、腕もしくは脚または両方)における突然の衰弱または無感覚(身体の一方の側面にのみ作用することが多い)が含まれる。
【0107】
本明細書中で使用する場合、「一過性黒内障」は、網膜血管系における血栓塞栓症に起因する一時的単眼盲を指す。
本明細書中で使用する場合、「一次血管閉塞事象」は、対象が経験した最初の既知の血管閉塞事象を指す。
本明細書中で使用する場合、「二次血管閉塞事象」は、血管閉塞事象(即ち、一次血管閉塞事象)を以前に経験していると診断されたかまたはそれがわかっている対象において起こる血管閉塞事象を指す。
【0108】
本明細書中で使用する場合、「正常血小板カウント」は、年齢や性別など処理した個体として同様の特徴を有する対象を含む対照集団中の平均対象における血小板の数を指す。また、「正常」レベルは、例えば、ある集団を用いて対象が入る特定の群についてベースライン範囲を得たところの範囲であることもできる。即ち、「正常」値は、選択した特定の集団に依存することができる。「正常」レベルは、血小板媒介障害の以前の履歴を持たない見掛けは健康な対象のレベルである。次いで、このような「正常」レベルを、個体が入るカテゴリーを考慮して、予め選択した値として確立することができる。適切な範囲およびカテゴリーは、当業者により定型的にすぎない実験を用いて選択することができる。範囲内の平均または別の予め選択した数のいずれかを、予め選択した正常値として確立することができる。当分野で知られているように、「健康」ヒト対象における血小板の典型的な範囲は、約150×10
3〜450×10
3血小板/μl血液(平均300×10
3血小板/μl)である。平均健康集団について、正常血小板カウントは、約250±50×10
3血小板/μlである。
【0109】
本明細書中で使用する場合、平均健康集団における「正常以下レベル」の血小板との言及は、通常は約150×10
3血小板/μlまたはそれ未満であるが約100×10
3血小板/μl以上である血小板カウントを指す。100×10
3血小板/μl未満の血小板カウントを有するヒト対象は、血小板減少症とみなされる。25×10
3血小板/μl未満の血小板カウントは、重篤な血小板減少症を示す。
【0110】
本明細書中で使用する場合、「低正常レベル」は、集団の中央血小板カウントと150×10
3血小板/μlの間である対象の血小板カウントを指す。
本明細書中で使用する場合、「近正常レベル」は、集団の正常血小板カウントの範囲の約10%上である血小板カウントを指す。即ち、上記した平均健康集団について、近正常レベルは、約500×10
3血小板/μlであろう。
【0111】
本明細書中で使用する場合、「高正常レベル」は、集団の正常血小板カウントの上限範囲の10%以内である血小板カウントを指す。即ち、上記した平均健康集団について、高正常レベルは、約450×10
3血小板/μl〜約400×10
3血小板/μlであろう。
【0112】
本明細書中で使用する場合、用語「血小板レベル」、「血小板数」および「血小板カウント」は、対象の所与の血液体積あたりの血小板の数を指すように交換可能に使用する。血小板カウントは、多数の方法で言及することができる(例えば、血液1μlあたり、血液1mlあたりなど)。通常、血小板カウントは、本明細書中では血液1μlあたりの血小板の数(即ち、血小板/μl)として言及するが、他の単位を使用することもできる。
【0113】
本明細書中で使用する場合、「対象の処置」は、予防および治療処置を指し、症候または血管閉塞事象の発生を完全に制限または排除することを指す。
本明細書中で使用する場合、「同時投与」は、単一組成物における混合物として2つまたはそれ以上の化合物を同時に投与すること、あるいは、化合物が付加的またはさらに相乗作用を発揮しうるように十分に接近した時間で連続して投与することを指す(即ち、心血管疾患において心筋細胞死を減少させる際に)。例示の組合せは、アナグレリドと、例えば心血管疾患の処置において有益であることが知られている薬剤(例えば、アスピリン)である。
【0114】
本明細書中で使用する場合、「アテローム血栓症」は、血液成分(血小板および凝固因子など)と血管の急性血栓症および閉塞を導くアテロームに罹患している血管壁の領域との相互作用を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「孔形成剤」は、使用環境においてコーティングから溶解、抽出または浸出されうるあらゆる物質を指す。使用環境において液体(例えば、生物学的液体)に暴露されたときに、孔形成剤は、例えば溶解し、環境液体で満たされる経路および孔が形成される。
【0115】
本明細書中で使用する場合、用語「製造物品」は、製造および販売され、容器およびパッケージ、および所望により製品使用のための指示書を含む製品である。本発明の目的のために、製造物品は、本明細書中で開示したようなパッケージされた制御放出組成物を包含する。
【0116】
本明細書中で使用する場合、「消失速度定数」(K
elと省略する)は、身体からの薬物排泄を記述する一次速度定数を指す。これは、代謝および排出を含む全排泄過程による薬物の除去を記述する全体の消失速度定数である。この消失速度定数(K
el、λzに等しい)を算出するために、回帰分析を、時間(x)−対−血漿濃度値(y)の自然対数(Ln)において行うことができる。算出は、対数線形排泄相が始まる時点(TLIN)と、定量限界より上の最後の濃度(LQCT)が現れた時点の間で行うことができる。K
elは、(−1)を掛けた傾きとして得ることができる。
【0117】
本明細書中で使用する場合、用語「C
t」は、最後に観察された非ゼロ濃度を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「AUC」は、濃度−時間曲線下の面積を指し、これを医薬暴露の程度の基準として使用することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「暴露」はAUCを指す。
【0118】
本明細書中で使用する場合、用語「AUC
0−∞」または「AUC
0−inf」は、時間ゼロから無限大(外挿)までの濃度−時間曲線下の面積を指す。AUC
0−∞は、AUC
0−t+(C
t/K
el)[ここで、C
tは時間tにおける算出値である]として算出することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「全暴露」はAUC
0−∞を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「AUC
0−t」は、時間ゼロから最後の非ゼロ(最後の測定可能)濃度の時間までの濃度−時間曲線下の面積を指す。線形台形公式を使用してAUC
0−tを算出した。
【0119】
本明細書中で使用する場合、用語「AUC
t/∞」は、AUC
0−tのAUC
0−∞に対する比を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「Cmax」は、最大(ピーク)観察された血漿濃度を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「Cmin」は、最小観察された血漿濃度を指す(これを、トラフ濃度と称することもできる)。
【0120】
本明細書中で使用する場合、用語「Tmax」は、最大(ピーク)観察された血漿濃度Cmaxに達する時間を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「見掛け半減期」または「t
1/2」、「終末期半減期」または「t
1/2 el」は、生物に投与された薬物または他の物質の量の半分が代謝または排泄されるのに要する見掛け時間を指す。見掛け終末期半減期(T
1/2 el)は、(ln 2)/K
elである。
本明細書中で使用する場合、用語「W
50」は、Cmaxの50%における血漿濃度−対−時間曲線の幅を指す。
【0121】
本明細書中で使用する場合、用語「アンギオテンシン系阻害剤」は、アンギオテンシンIIの機能、合成または異化を妨げる薬剤を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「微粒子」は、ナノメートルからマイクロメートルまでの直径を有する小粒子を指し、不規則、非球形または球形の形状の固体粒子を指し、ミクロンまたはサブミクロン寸法の結晶性粒子を包含する。
本明細書中で使用する場合、用語「即時放出配合物に本質的に等しいかまたはそれより大きい全暴露」は、即時放出配合物によって供される全暴露の約50%〜約250%である暴露を指す。
【0122】
本明細書中で使用する場合、用語「ホスホジエステラーゼ」または「PDE」は、プリン環状ヌクレオチド基質に特異性を示し、環状AMP(cAMP)および/または環状GMP(cGMP)加水分解を触媒する環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼを指す[例えば、Thompson、Pharma.Ther.51:13−33(1991)を参照]。環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼは、cAMPおよびcGMPの定常状態レベルを調節し、環状ヌクレオチドシグナルの大きさおよび持続期間を調整する。少なくとも8種類の異なるが相同である遺伝子ファミリーが、哺乳動物組織において存在する。ほとんどのファミリーは、別個の遺伝子を含み、その多くが、機能的に独特の別のスプライス変異体として異なる組織において発現される[例えば、Beavo、Physiological Reviews 75:725−748(1995)および米国特許第5798246号を参照]。3型ホスホジエステラーゼ(PDE III)は、心血管系においてcAMPによって媒介される応答の重要な調節物質であり、血栓形成において極めて重要な役割を果たす。PDE IIIは巨核球において発現される。5型ホスホジエステラーゼ(PDE V)は、cGMPによって媒介される応答の重要な調節物質である。
【0123】
本明細書中で使用する場合、用語「有害事象プロフィール」は、薬物に関連する有害事象または薬物に普通に伴われる副作用を指す。例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)、例えばPDE IIIおよびPDE Vの阻害剤の有害事象プロフィールには、頭痛、動悸、頻脈、心不整脈、無力、体液貯留、血管拡張、吐気および下痢が含まれる。これらの作用は、主にcAMPおよび/またはcGMPの増加によって媒介される。ホスホジエステラーゼ IIIの阻害に特異的に関連している有害事象には、頭痛、下痢および異常便、斑状出血、浮腫、眩暈、動悸、頻脈、狭心症、不整脈、心室性期外収縮、鼻炎、吐気および嘔吐、消化不良、鼓腸、発疹、掻痒、胸痛、腹痛、無力、増大した心筋収縮能、加速した房室結節伝道、増大した心室自動能、心拍数、および冠血流が含まれる[例えば、Nolanら、Int J Cardiol.35:343−349(1992);Product Monograph−Pletal(シロスタゾール)、2003;およびKumarら、J Anaesth Clin Pharmacol 20(3):227−237(2004)を参照]。ホスホジエステラーゼ Vの阻害に特異的に関連している有害事象には、頭痛、目の視神経への一過性の血流減少(突然の失明を引き起こす)、一過性の低血圧、顔面紅潮、消化不良、鼻炎、および鼻閉塞が含まれる[例えば、Kirogluら、Tohoku Journal of Experimental Medicine 208(3):251−254(2006);Vitezic、Drug Saf.24(4):255−65(2001);Golanら、Principles of Pharmacology:The Pathophysiologic Basis of Drug Therapy、(第2版、(paperback、2008)、p.377)およびLincoln、Molecular Pharmacology 66(1):11−13(2004)を参照]。これらの副作用は、血管拡張を引き起こすことが知られている環状グアノシン一リン酸(cGMP)レベルを上昇させるPDE−V阻害の薬理を反映する。有害事象プロフィールの減少は、上に挙げたものを含む有害事象または副作用のいずれかの発生、重症度または再発生を低減または排除することを意味する。
【0124】
本明細書中で使用する場合、用語「臨床的に有意な程度まで阻害する」は、系または酵素(ホスホジエステラーゼなど)を、有害事象が明白である程度まで阻害することを意味する。例えば、用語「臨床的に有意な程度までホスホジエステラーゼを阻害する」は、ホスホジエステラーゼの阻害が、有害事象(例えば、頭痛、動悸、頻脈、心不整脈、体液貯留、血管拡張、吐気または下痢)が対象において明白である程度までであることを意味する。用語「臨床的に有意な程度までホスホジエステラーゼを阻害することなく」は、ホスホジエステラーゼの阻害が、有害事象が対象において明白ではない程度までであることを意味する。
【0125】
本明細書中で使用する場合、用語「血小板の巨核球産生を阻害する」には、正常な基礎的状態の血小板産生を有する対象における血小板の基礎的産生ならびに刺激された血小板の巨核球産生(例えば、血小板由来の成長因子および他の成長因子による)の阻害が含まれる。個々の対象は、個々の血小板要求に依存して、それら自身の基礎的血小板産生レベルを有することができる。Mplリガンド、トロンボポイエチンは、血小板産生の負のフィードバック調節を与えるが、これは、未結合Mplリガンドの循環レベルが、巨核球から血小板への濃度依存性受容体媒介の増殖性および抗増殖性成熟を誘導すると考えられるためである。循環血小板の数が増加するにつれて、循環Mplリガンドは血小板に結合し、より少ないリガンドが、巨核球への結合に利用可能になる。循環血小板数が減少するにつれて、より多くのMplリガンドが溶解可能および未結合であり、かつ巨核球への結合に利用可能になり、最終的に血小板の数を増加させる。また、他の因子(血小板由来の成長因子を含む)によって巨核球を刺激して血小板を産生させることもできる。例えば、高い血漿レベルの基礎的線維芽細胞成長因子が、本態性血小板血症および真性赤血球増加症を有する患者において観察されている。即ち、本明細書中で使用する場合の血小板の巨核球産生の阻害には、血小板の基礎的産生の阻害および/または低減ならびに刺激された血小板産生(例えば、骨髄増殖性疾患または障害における)の阻害が含まれる。
【0126】
本明細書中で使用する場合、用語「アナグレリド」は、6,7−ジクロロ−1,5−ジヒドロイミダゾ−[2,1−b]キナゾリン−2(3H)−オンを指し、その遊離塩基形態[CAS No.68475−42−3]およびその塩形態、例えばその塩酸塩一水和物[CAS No.58579−51−4]を包含する[The Merck Index(第13版、2001)、エントリー629、ページ105を参照]。それは、塩酸塩一水和物、例えば、米国およびカナダにおいて商標 Agrylin
Rのもとで市販されているもの、および欧州において商標 Xagrid
Rのもとで市販されているものであり、これは、骨髄増殖性障害を有する患者における血栓性出血性事象の改善および高い血小板カウントの低減のために市販されている。
【0127】
本明細書中で使用する場合、用語「貯蔵安定性」は、貯蔵中の完成製品または組成物中に含まれる医薬生物の活性の低下または有意の損失に耐える完成製品または組成物の能力を指す。化合物、完成製品または組成物は、医薬成分の活性が、貯蔵期間の開始時に薬剤の活性の少なくとも95%または元の投与配合物の活性の少なくとも95%である場合に、貯蔵安定性を示す。
【0128】
本明細書中で使用する場合、用語「通常の貯蔵条件」は、周囲温度または約20〜25℃を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「加速試験」は、高い温度、例えば約25℃の温度、および約75%の相対湿度を含む貯蔵条件を指す。
【0129】
本明細書中で使用する場合、用語「水分含量」または「水分レベル」は、化合物または組成物中の水の量を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「有効水分」は、完成投薬形態にある血小板減少剤に供される水分である。有効水分レベルは、結晶水分子(結晶化の水)を定位置に維持するのに十分であり、従って、血小板減少剤は、血小板減少剤粒子の結晶性を維持するのに十分な水和レベルを有する。
【0130】
本明細書中で使用する場合、活性薬剤の「即時放出形態」は、活性薬剤が大きく遅れることなく生物利用可能になるように、胃液または他の生物学的液体と接触したときに実質的即時に活性薬剤を放出することを指す。即時放出形態の活性薬剤は、活性薬剤の大部分を、比較的短時間内に、例えば、経口摂取後の約30〜60分以内に放出する。
【0131】
本明細書中で使用する場合、用語「生物学的液体」は、生物学的生物によって産生される任意の1つまたはそれ以上の液体を指す。例示の生物学的液体には、胃液、腸液、唾液または他の口腔液、粘液、涙液、尿、血液または血液分画、血清および血漿が含まれる。
【0132】
本明細書中で使用する場合、用語「有害相互作用」は、活性薬剤の生物学的利用能または安定性に負の影響を及ぼす、活性薬剤と別の化合物または組成物の間のあらゆる化学的または物理的相互作用を指す。例えば、有害相互作用には、水和結晶形態の活性薬剤から組成物の隣接分子または成分への結晶水の損失が含まれる。また、有害相互作用には、別の化合物または組成物との相互作用によってまたはそれによって加速される活性薬剤の分解、例えば、配合物の成分(可塑剤など)との相互作用によって触媒されるかまたはそれによって加速される加速安定性試験中の活性薬剤の分解も含まれる。
【0133】
本明細書中で使用する場合、用語「水和結晶形態を実質的に維持する」は、結晶水の損失を最少にすることを指す。活性薬剤が水和結晶形態を維持するのに十分な水和レベルを有するように、水和結晶形態を、活性薬剤の水和結晶形態の結晶水分子のほとんどまたは全てを定位置に、または結晶に近接して保つことによって維持する。結晶水の損失は、半水和結晶形態の形成の結果を与えることができる。ある種の場合に、半水和物は、水和結晶形態と同じほど安定ではない。例えば、アナグレリドの半水和物は、塩酸塩一水和物の結晶形態と同じほど安定ではないことが当分野で知られている。
【0134】
本明細書中で使用する場合、用語「単位用量」または「単位投薬量」は、予め決めた量の活性成分、例えば、所望の治療効果を生じるように算出された活性成分を含む本発明で提供される組成物を含有する物理的に分離している単位、入れ物または容器(錠剤またはカプセルなど)を指す。単位投薬量は、活性薬剤が供給される配合物である。単位用量が投与されるとき、それは、任意の分離している単位で、例えば、錠剤またはカプセルの形態で供することができる。投与される投薬量は、患者の身体的特徴、患者の症候の重症度、および薬物投与に使用する手段に依存して変化することができる。所与の患者のための具体的用量は、通常、主治医の判断によって設定される。1日投薬量は、1つまたは複数の投薬量単位を必要とすることがある。投薬量は、例えば、1日あたり約10ng〜10mgであることができる。例えば、錠剤またはカプセルは、10ng〜10mgの活性薬剤または10ng〜10mgの活性薬剤を含む組成物を含むことができ、1日投薬量は、1日あたり1つまたはそれ以上のカプセルであることができる。
【0135】
対象の体重に基づいて供される投薬量、例えば、μg/kgまたはmg/kgの形態で、あるいはμg/kg/日またはmg/kg/日として供される投薬量を算出する目的のため、平均体重80kgを対象に対して使用する(これは、雌性対象の平均体重 約74kgおよび雄性対象の平均体重 約86kgに基づく)。例えば、0.1μg/kg/日の1日投薬量は、8μg/日であり、37.5μg/kg/日の1日投薬量は、3000μg/日である。
【0136】
B.血小板の役割および健康
血小板は、止血に関与する血液の重要な細胞成分である。また、血小板は、血栓および/または血栓塞栓事象における因子でもある。正常な血小板カウントは、約150,000〜450,000血小板/μl血液の範囲内であると考えられる[例えば、Sloan、J.Clin.Path.4:37−46(1951)を参照]。「正常」血小板カウントは、正常な止血に決定的であると長く考えられていた。血小板カウントが低いときには、出血および/またはあざが容易に起こる。例えば、血液学的増殖性障害(例えば、本態性血小板血症など)に起因する異常に高い血小板カウントは、血栓形成における重要なリスク因子であると認識されていた。非常に大きい数(600,000血小板/μl血液を超える数)において、血小板は、異常出血および血管における凝固を引き起こしうる。シクロオキシゲナーゼを阻害することが知られ、それによって血小板におけるトロンボキサンA
2の産生を妨げるアスピリンは、血栓および血栓塞栓事象の発生を低下させることが当分野で受け入れられていた。
【0137】
血小板について、これまで報告されていた治療処方は、主に血小板機能の阻害(例えば、血小板粘着、凝集または因子放出の阻害)をその照準として有している。ある種の骨髄増殖性障害およびある種の血液悪性疾患において、治療処方は、異常に高いレベルを有する患者の血小板カウントを、正常レベルに近いレベルまで低減することに照準を当てている。骨髄増殖性障害のない対象において、血小板カウントを低正常または正常以下レベルまで低減する治療介入は提案されていなかったが、これは主に、正常な血小板カウントが正常な止血にとって決定的であると考えられていたためである。
【0138】
血栓または血栓塞栓事象に起因する症状が、西洋文明における成人の病気および死亡の主原因である。例えば、アテローム血栓症(アテロームによって既に損傷した血管系の領域において急性血栓症が生じ、それで、脳卒中、心筋梗塞または肢虚血が急に引き起こされる)は、先進国世界における死亡および身体障害の主原因である。急性血栓事象における血小板凝集の重要性は、該事象の発生を減少させる血小板阻害剤(アスピリンおよびクロピドグレルなど)の効果によって立証される。血小板阻害剤によって達成される相対的リスク低減は、25〜30%程度にすぎず、かなりの改善余地を残す。
【0139】
データの事後解析に基づいて、対象(正常レベルの循環血小板を有する対象および高レベルの循環血小板を有する対象を含む)は、低正常または正常以下レベルへの血小板カウントの低減によって、血小板カウント低減の結果としての重大な有害帰結なしに、医学的利益を得ることができる。この利益は、広い安全範囲内の血小板カウントの低減に比例的または相関的でありうる。本発明で提供される組成物および方法は、正常レベルの循環血小板を有する対象、ならびに高レベルの循環血小板を有する対象(骨髄増殖性障害を有する対象など)を含む対象において血小板数を減少させるのに有用である。
【0140】
C.血小板に関連する症状および疾患
本発明で提供される組成物および方法を用いて、血小板に関連する症状または疾患を有する対象を処置することができる。例えば、該組成物および方法を、過去において一次血管閉塞事象を有していたか、または血管閉塞事象を経験している対象(血栓症を有するか、または血栓事象を有すると診断された対象を含む)の処置に使用することができる。また、本発明で提供される組成物および方法を用いて、血管の障害治癒を示す対象または骨髄増殖性障害に罹患している対象を処置することもできる。
【0141】
1.血栓事象
血栓事象(血栓塞栓事象を含む)は、特に、これらが決定的重要器官(脳および心筋を含む)への血流の減少を引き起こすことができるので、重大な医学的症状でありうる。血栓事象の例には、ステントおよび移植片血栓症、心臓血栓症、冠動脈血栓症、心臓弁血栓症を含む動脈血栓症および静脈血栓症が含まれるが、これらに限定はされない。心臓血栓症は、心臓における血栓症である。動脈血栓症は、動脈における血栓症である。冠動脈血栓症は、冠動脈における閉塞性血栓の発生であり、突然死または心筋梗塞を引き起こすことが多い。静脈血栓症は、静脈における血栓症である。心臓弁血栓症は、心臓弁における血栓症である。ステント血栓症は、血管ステントに起因し、そして/またはその周辺に位置する血栓症である。移植片血栓症は、埋め込まれた移植片(特に血管移植片)に起因し、そして/またはその周辺に位置する血栓症である。
【0142】
血栓事象に起因する症状または障害の例には、心筋梗塞、脳卒中、一過性虚血発作、一過性黒内障、閉塞した自己動静脈瘻、動静脈(AV)瘻における血栓症、大動脈弁狭窄症、心臓狭窄症、冠動脈狭窄症および肺動脈狭窄症が含まれるが、これらに限定はされない。狭窄症は、管または導管の狭窄または狭小化である。冠動脈狭窄症は、冠動脈の狭窄または狭小化である。心臓狭窄症は、いずれかの心臓通路または空洞の狭窄または縮小である。肺動脈狭窄症は、肺動脈と右心室の間の開口部の狭窄である。大動脈弁狭窄症は、心臓の大動脈口または大動脈それ自体の狭窄である。脳卒中は、1つまたはそれ以上の閉塞性血栓に起因しうる脳への酸素の不足に起因する症状である。冒された脳の領域に依存して、脳卒中は、一過性の虚血発作から死亡までにわたる広範囲の症候の結果になりうる(例えば、昏睡、可逆性または不可逆性の麻痺、会話障害または認知症)。本発明で提供される組成物および方法を用いて、血栓事象(例えば、脳卒中)のリスクを低減することができる。
【0143】
また、異常に高い脳卒中(例えば非出血性脳卒中)のリスクを有する対象を、本発明で提供される組成物および/または方法を用いて処置することもできる。異常に高い虚血性脳卒中のリスクを有する対象は、従来医療に従って決定されるカテゴリーであり、該対象は、従来医療において、既知の脳卒中リスク因子をゆうするとして、または高い脳血管事象リスクを有するとして識別されることもある。一次リスク因子には、高血圧、高コレステロール血症、および喫煙が含まれる。また、異常に高い虚血性脳卒中リスクを有する対象には、脳への血流の減少を導きうるいずれかの心臓症状、例えば、心房細動、心室頻脈、拡張型心筋症および抗凝固を必要とする他の心臓症状を有する個体も含まれる。また、異常に高い虚血性脳卒中リスクを有する対象には、例えば、狼瘡、血管の先天性疾患、例えば、カダシル症候群、または片頭痛(特に長期出現)によって引き起こされる動脈疾患または脳血管炎を含む症状を有する個体も含まれる。
【0144】
また、処置される対象は、異常に高い血栓事象リスクにある対象であることもできる。処置される対象は、血栓事象を起こしやすい対象であることもできる。このカテゴリーの対象に含まれるのは、(1)外科手術を受け、該手術後に固定された対象、(2)慢性鬱血性心不全を有する対象、(3)動脈硬化性血管疾患を有する対象、(4)異常に高い血小板カウントの結果を与える血液悪性疾患以外の悪性疾患を有する対象、および(5)妊娠している対象である。血栓事象を起こしやすいヒト対象の大部分は、止血においてどのような観察可能な混乱をも示さない。
【0145】
異常に高い血栓事象リスクを有する対象の1つのカテゴリーは、一次血栓事象を既に経験している対象である。また、異常に高い血栓事象リスクを有する対象には、(i)血栓症に対する傾向を受け継いだ対象、例えば、血栓症に関連する障害の家族歴を有する対象、(ii)血栓事象リスクを獲得した対象、例えば手術患者、および(iii)血栓症の高リスク指標と考えられるライフスタイル習慣を有する対象も含まれる。
【0146】
ライフスタイルリスク因子には、喫煙、運動しないこと、および他のリスク因子、例えば、肥満、高コレステロール、高脂質血症および高血圧(即ち、高血圧症)に影響を及ぼす程度までの食餌が含まれる。高コレステロール(即ち、高コレステロール血症)、高血圧(即ち、高血圧症)、高脂質血症、および肥満は、間違いなく様々な非食餌の原因要素(遺伝的因子および環境因子を含む)によっても誘導される。
【0147】
高脂質血症の対象は、コレステロールおよびトリグリセリドのレベルが、高コレステロール血症および高トリグリセリド血症の対象に対して本明細書中の記載のように設定した限界に等しいかまたはそれを超えている対象と定義される。高コレステロール血症の対象(即ち、高コレステロールを有する対象)は、LDL(即ち、低密度リポタンパク質)レベルが>160mg/dLであるか、またはLDLレベルが>130mg/dLであって、かつ男性、早期冠動脈性心疾患の家族歴、喫煙(1日あたり10本を超えるシガレット)、高血圧、低HDL(<35mg/dL)、糖尿病、高インスリン血症、腹部肥満、高リポタンパク質(a)、および脳血管疾患または閉塞性末梢血管疾患の個人歴からなる群から選択される少なくとも2つのリスク因子を有する。高トリグリセリド血症の対象は、トリグリセリド(TG)レベルが>250mg/dLである。
【0148】
また、高血圧である対象(即ち、高い血圧を有する対象)も、血栓事象リスクにある。高血圧対象は、持続的に高い動脈血圧を経験している対象である。高血圧は、既知の原因を持たないこともあり、その場合、それは本態性または特発性高血圧と称される。また、高血圧は、他の一次疾患に伴われることもあり、その場合、それは二次高血圧と称される。一般に、それは心疾患、末梢血管疾患、脳卒中および腎臓疾患の進行のリスク因子と考えられている。成人において、85mmHgを下回る拡張期圧は正常とみなされ、85〜89mmHgは高正常とみなされ、90〜104mmHgは穏やかな高血圧とみなされ、105〜114mmHgは中程度の高血圧とみなされ、115mmHg以上は重度の高血圧とみなされる。拡張期圧が90mmHgを下回るとき、140mmHgを下回る収縮期圧は正常血圧を示し、140〜159mmHgは境界収縮期高血圧であり、160mmHg以上は収縮期高血圧である。即ち、一般に、正常対象は140/90またはそれ未満の血圧を有する対象である。
【0149】
高い血栓事象リスク、およびそのような血栓事象の根底にある障害(例えば、動脈硬化症)に寄与する他のリスク因子には、高脂質血症、高血糖症および糖尿病、ストレスおよび性格、低指数の高密度リポタンパク質(HDL)、男性、年齢、高インスリン血症、高リポタンパク質(a)および脳血管疾患または閉塞性末梢血管疾患の個人歴が含まれる。高血糖症は、高すぎる血中グルコースレベルに伴われる症状であり、ときには未制御の糖尿病を示すものである。それは、身体が十分なインスリンを有していないか、またはインスリンを有効に使用してグルコースを代謝することができないときに起こる。この症状は、糖尿病、クッシング病、およびクッシング症候群に伴われることもある。高血糖症の徴候は、有意の口渇、口内乾燥、および頻尿である。
【0150】
2.血管閉塞事象
血管閉塞事象には、血管狭窄が必ずしも血栓に起因するものではなく、むしろ血管壁の肥厚(例えば内膜過形成による)に起因する障害が含まれる。内膜過形成は、血管壁の内膜層の細胞の異常増殖によって特徴付けられる症状を指す。内膜過形成は、血管の損傷に対する身体の応答である。内膜過形成は、動静脈移植不全の主原因であり、閉塞性の血管移植疾患を伴う。また、内膜過形成は、冠動脈バイパス移植片を有する対象における加速アテローム性動脈硬化症の原因としても示唆されている。また、内膜過形成は、再狭窄症の原因因子としても確認されている。
【0151】
本発明で提供される組成物および方法を用いて、一次または二次血管閉塞事象(血栓事象など)のリスクを低減するか、またはそのような事象の進行を阻害することができる。また、本発明で提供される組成物および方法を用いて、特定の血管閉塞事象を経験する異常に高いリスクにある対象を処置することもできる。例えば、異常に高い心筋梗塞リスクを有する対象を、本発明で提供される組成物または方法を用いて処置することができる。対象を予防的に処置して、一次または二次心筋梗塞のリスクを低減することができる。これには、不安定狭心症、複数の冠リスク因子、およびプリンツメタル異型狭心症を有する対象、ならびに一般性が低い病因因子(凝固性亢進、冠動脈塞栓、コラーゲン血管疾患、およびコカイン乱用を含む)のいずれかを有する対象を処置することが含まれる。
【0152】
本発明で提供される組成物および方法を用いて、内膜過形成のリスクを低減すること、ならびに内膜過形成を有する対象を処置することができる。本発明で提供される方法において、内膜過形成を有するかまたは内膜過形成を発症するリスクにある対象に、血小板カウントを処置前レベルの少なくとも10%〜少なくとも95%低減するのに有効な量で血小板減少剤を供給する本発明で提供される制御放出組成物を投与する。一部の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、血小板カウントを処置前レベルの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減するのに有効な量で投与する。
【0153】
3.血管疾患
異常に高い血栓症リスクを有する対象の別カテゴリーは、血管疾患を有する対象である。血管疾患は、小および大の動脈および静脈を含む血管(集合的に血管系として知られる)ならびに血流の全障害を広く包含する用語である。最も多い血管疾患の形態は、動脈硬化症、即ち、動脈壁の肥厚および硬化に伴われる症状である。本明細書中で使用する動脈硬化症または動脈硬化性症状は、古典的アテローム性動脈硬化症、加速アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症病変および望ましくない内皮および/または血管平滑筋の細胞増殖によって特徴付けられるいずれかの他の動脈硬化性症状(糖尿病の血管合併症を含む)を意味する。それは、米国および最も西洋化した社会における多くの死亡の原因である。
【0154】
大血管の動脈硬化症は、アテローム性動脈硬化症と称される。アテローム性動脈硬化症は、冠動脈疾患、大動脈瘤、下肢の動脈疾患および脳血管疾患などの障害における主な根底因子である。他の種類の動脈硬化症には、局所石灰沈着性動脈硬化症(メンケベルグ硬化症)および細動脈硬化症が含まれる。動脈硬化症以外の動脈疾患には、先天性構造欠陥、炎症性または肉芽腫性の疾患(例えば、梅毒性大動脈炎)、および小血管の障害(例えば、高血圧および自己免疫疾患)が含まれる。早期動脈硬化症に伴われる障害には、糖尿病、高血圧、家族性の高コレステロール血症、家族性の複合高脂質血症、家族性の異常βリポタンパク質血症、家族性の低αリポタンパク質血症、甲状腺機能低下、コレステロールエステル蓄積症、全身性の紅斑性狼瘡、ホモシステイン血症、慢性腎不全、慢性ビタミンD中毒、弾性線維性仮性黄色腫、幼児における特発性動脈石灰化、高齢者における大動脈弁石灰化およびウェルナー症候群が含まれる。
【0155】
また、心血管疾患、脳血管疾患および/または末梢血管疾患(例えば、糖尿病足、失敗移植片)を有する対象も、異常に高い血栓事象リスクにあると考えられる。心血管疾患は、多数の心臓および血管系の障害を指す。脳血管疾患は、多数の脳血管の障害を指す。末梢血管疾患は、末梢血管系(下肢の血管系を含む)の障害を包含する。
【0156】
異常に高い血栓事象リスクを有する対象の別カテゴリーは、血管修復および/または血管再生の目的で外科的または機械的介入手術を受けるようとする対象または既に受けた対象である。このような手術は、その性質として治療用または診断用であることができ、従って選択的または緊急的な処置であることができ、塞栓の解放または血栓の形成のリスクが関与している可能性が最も高い。このカテゴリーに入る手術には、血管手術(末梢血管手術を含む)、血管移植、血管レーザー治療、血管置換(人工弁置換を含む)および血管ステント移植、心室補助手術、人工心臓移植、心臓および他の器官の移植(これは、移植器官と移植受容者の血管系との整合を必要とする)、血栓切除、冠動脈血管造影、冠動脈および末梢ステント配置、頚動脈手術(頚動脈内膜切除を含む)、脳血管造影、血管を圧迫または閉塞する神経外科手術、心臓カテーテル、血管形成(バルーン血管形成、冠動脈血管形成、経皮経管冠動脈血管形成、内膜下血管形成、浅大腿動脈(SFA)血管形成を含む)、SFAリモート動脈内膜切除、および冠動脈バイパス手術が含まれるが、これらに限定はされない。外科手術中またはその直後の血栓形成リスクに加えて、外科手術を受け、手術後に現在固定されている対象に対するリスクも存在する。従って、本発明で提供される組成物および方法は、外科手術前、手術中および手術後に対象を処置することを意図している。
【0157】
対象を異常に高い血栓事象リスクにしむける他の因子は、遺伝的リスク因子およびライフスタイル習慣である。受け継がれた症状は、一般に、凝固亢進状態または前血栓状態とみなすことができる。この前血栓対象は、該対象が、明らかな素因となる症状の不存在下で早期(即ち、青年期または若い成人として)および/または反復の血栓塞栓事象の個人歴および/または血栓症に関連する症状の家族歴を呈する場合に、確認されることもある。歩行痛、虚血(即ち、血管の機能的収縮または閉塞による身体の領域への血流の不足)、壊疽(即ち、通常は大きさが相当なものであり、一般に血流の損失と関係している組織死)、跛行(即ち、歩行時または運動時の下肢における筋肉痛、うずき、さしこみ、無感覚または倦怠感、これは、休息によっておさまるのが普通であり、脚におけるブロックされた動脈によって引き起こされることが多い)、決定的な肢虚血(即ち、血流を重度に減少させる四肢への動脈の閉塞、これは、慢性虚血性痛み、治癒しない痛みおよび潰瘍、壊疽および最終的に四肢欠損の結果を与える)、および胸痛を経験した対象を、動脈血栓症または脳卒中の個人歴を有するとみなすことができ、従って、血栓事象リスクのもとにもある。また、血栓事象のリスク因子には、相続可能な血液学的異常、例えば、あらゆる因子(抗トロンビンIII、プロテインC、プロテインSおよび凝固因子Vを含む)における不足および/または機能障害も含まれる。また、心血管障害、即ち、心血管系の先天性構造障害も、血栓事象のリスク因子であると考えられる。また、血管障害、例えば動脈硬化性プラーク破裂も、リスク因子であると考えられる。
【0158】
本発明で提供される組成物および方法を用いて、血管疾患リスクを軽減ならびに血管疾患を有する対象を処置することができる。本発明で提供される方法において、血管疾患を有するかまたは血管疾患を発症するリスクにある対象に、血小板カウントを処置前レベルの少なくとも10%〜少なくとも95%低減するのに有効な量で血小板数減少剤を供給する本発明で提供される制御放出組成物を投与する。一部の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、血小板カウントを処置前レベルの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減するのに有効な量で投与する。
【0159】
4.骨髄増殖性障害
本発明で提供される組成物および方法を用いて、骨髄増殖性障害または疾患を有する対象を処置することができる。多数の病的症状または過程が、例えば、増殖性障害(骨髄増殖性障害など)に起因する高レベルの循環血小板によって、一部において媒介されている。骨髄増殖性障害は、骨髄が多すぎる赤血球、白血球および/または血小板を作る一群の疾患を包含する。骨髄増殖性障害には、大量の異常赤血球、白血球および/または血小板が骨髄および末梢血において増殖し、そして広がる進行の遅い血液癌が含まれる。血小板数が高まる骨髄増殖性障害には、例えば、真性赤血球増加症、特発性骨髄線維症および本態性血小板血症または本態性血小板増加症が含まれる。高い血小板数を有するそのような障害に苦しむ対象を、本発明で提供される組成物および方法を用いて処置して、血小板カウントを近正常または正常レベルに低下させることができる。JAK−2遺伝子の体細胞点突然変異(後天性V617F突然変異)は、典型的な骨髄増殖性障害(MPD)に大きく関係していることが確認されている[例えば、Campbellら、Lancet 366:1945−1953(2005)を参照]。V617F突然変異は、真性赤血球増加症と診断された対象に多く見られ、本態性血小板血症および特発性骨髄線維症と診断された対象においても見られる[Wagstaffら、Drugs 66(1):111−131(2006)]。JAK−2突然変異は、対象において特異なリスクプロフィールを示すようである。骨髄増殖性障害を有する患者における血栓症のリスク因子として対象のJAK−2 V617F突然変異状態を使用する価値が研究されている[例えば、Vannucchiら、Leukemia 21:1952−1959(2007)およびFinazziら、Haematologica 92:135−136(2007)を参照]。
【0160】
a.本態性血小板血症
高レベルの循環血小板によって一部媒介される例示の増殖性障害は、本態性血小板血症(ET)である。本態性血小板血症は、血液中の血小板(トロンボサイト)の数の増加を特徴とする骨髄の過増殖性疾患である。本態性血小板血症は、世界保健機関(WHO)の基準によれば、600×10
9/Lを超える、多くは1,000×10
9/Lまたはそれ以上の血小板増加症、および骨髄における巨核球過形成と定義される。本態性血小板血症における血小板の関与が、Seminars in Hematology 42(4):230−238(2005)、およびNew Eng.J.Med.353:1,33−45(2005)において報告されている。血栓塞栓事象は、この患者群における死亡の主原因である。血小板カウントの厳格な制御が血栓塞栓の合併症の発生を減少させる証拠が存在する。
【0161】
ETは、骨髄巨核球の自律的クローン増殖による高い血小板カウントを特徴とする多数の慢性骨髄増殖性障害の1つである。この増殖の根底原因は知られていないが、細胞および細胞外サイトカインレベルの変化に加えて骨髄の微環境における変化が、重要な役割を果たすと提案されている[Tefferi、N.Engl.J.Med.342:1255−1265(2000)]。
【0162】
血小板血症に関連する多数の臨床的合併症が知られている。これらには、狭心症、心臓梗塞、毛細血管閉塞、肺塞栓症、脳卒中および血栓症が含まれる。また、血小板血症は、頭痛および視覚障害を含む血管運動症候を引き起こすことも知られている。血小板血症を有する対象は、数年間にわたり症状に苦しめられることがあり、この症状は平均余命に影響するようには見えないが、動脈および静脈血栓症を含む血管合併症は、対象の死亡につながることもある。
【0163】
骨髄増殖性障害における高血小板カウントを低減するための多数の治療法が開発されている。これらには、物理的方法、例えば血小板フェレーシスおよび分画遠心、ならびに医薬治療法が含まれる。例えば、血小板カウントを低減させるためにET(本態性血小板血症)を処置する治療法には、ヒドロキシカルバミド(以前はヒドロキシ尿素と称される)、アナグレリド(低用量のアセチルサリチル酸と組合せることが多い)、およびある種の集団においてはインターフェロン−α、ブスルファンおよびピポブロマンによる処置が含まれる[例えば、De Stefanoら、Haematologica 93(3):372−380(2008);Barbui & Finazzi、N Engl J Med 353(1):85−86(2005);Barbui & Finazzi、Blood Reviews 19(5):243−252(2005);Wagstaff & Keating、Drugs 66(1):111−131(2006);Barbui & Finazzi、Blood 109(12):5104−5111(2007);Najeanら、Blood、90(9):3370−3377(1997)を参照]。骨髄増殖性疾患を診断および処置するための診断指針は、当分野で既知である[例えば、Barbuiら、Haematologica 89(2):215−232;McMullinら、Br J Haem 130:174−175(2005);Nordic MPD Study Group、「真性赤血球増加症、本態性血小板血症および特発性骨髄線維症を有する患者の診断および処置のための指針」(2007);Barbui & Finazzi、N Engl J Med 353(1):85−86(2005);およびTefferi & Vardiman、Leukemia 22:14−22(2008)を参照]。
【0164】
この症状のための処置処方には、ヒドロキシカルバミド(ヒドロキシ尿素としても知られる)および他のアルキル化剤の投与が含まれる。ヒドロキシカルバミドは、骨髄における血球前駆体の産生を抑制する抗新生物薬物である。ヒドロキシカルバミドは、造血幹細胞に直接作用し、従って、血小板数の低減に特異的ではない[例えば、Petrides、Expert Opin Pharmacother 5(8):1781−1798(2004)を参照]。通常、ヒドロキシカルバミドは、他の代替物が利用可能ではないときに対象において使用する。高リスク対象において、ヒドロキシカルバミドは、ときには低用量のアスピリンと組合せて広く使用されている。既知の副作用は、GI合併症、皮膚変化(腫瘍を含む)または肺炎である。単剤療法としてヒドロキシカルバミドを用いて処置した患者は、低(3〜6%)リスクの白血病性形質転換を有する[例えば、Cortelazzoら、New Eng J Med 332:1132−1136(1995)、Anderssonら、Ann Hematol 79:40−42(2000)、およびFinazziら、Br J Haematol 110:577−583(2000)を参照]。IFN−αは、より最近のETの処置のための治療薬剤であるが、それは高価であり、注入可能な薬物として投与しなければならず、その急性副作用(例えば、倦怠、抑鬱、インフルエンザ様症候、高肝臓酵素、食欲不振、脱毛症、神経精神症候)が、多数の患者においてその中止を導く[Samuelssonら、Cancer 106(11):2397−2405(2006)およびFruchtman、Leuk Res.29:481−491(2005)]。また、ブスルファンおよびピポブロマン、既知の発癌の可能性を有するアルキル化抗新生物剤を用いて、ETを処置することもできる。
【0165】
b.真性赤血球増加症
高レベルの循環血小板によって一部媒介される別の例示の増殖性障害は、真性赤血球増加症(PV)である。真性赤血球増加症における血小板の関与が、当分野で報告されている[例えば、Seminars in Thrombosis and Hemostatis 32(3):267−275(2006)を参照]。真性赤血球増加症は、慢性の骨髄増殖性障害である。真性赤血球増加症は、造血細胞(赤血球および血小板を含む)の過剰産生を引き起こす造血幹細胞のクローン性後天性疾患である。真性赤血球増加症を有する対象における血小板カウントは、400×10
9/Lを超えることが多く、ある種の場合には1,000×10
9/Lを超える[例えば、Turgeon、Clinical Hematology:Theory and Procedures、第4版、Lippincott Williams & Wilkins(2004)、p.313を参照]。
【0166】
c.特発性骨髄線維症
高レベルの循環血小板によって一部媒介される別の例示の増殖性障害は、特発性骨髄線維症である。特発性骨髄線維症は、通常は骨髄中の単一造血幹細胞のDNAにおける異常変化から始まる造血幹細胞のクローン性後天性疾患である[例えば、Idiopathic Myelofibrosis、The Leukemic & Lymphoma Society、No.14(2007)を参照]。異常細胞の産生は、正常細胞の産生に取って代わり、骨髄の進行性の線維症または瘢痕化が起こり、血球を産生するその能力を低減させる。代償として、血球は、他の器官、例えば脾臓および肝臓において産生されるが、これらは、血球の産生において血液髄ほど効率的ではない。特発性骨髄線維症において、過剰の巨核球(血小板を産生する細胞)が、通常は骨髄におけるサイトカインの同時放出を伴って産生される。骨髄における過剰のサイトカインは、骨髄において線維性組織の産生を刺激することができる。特発性骨髄線維症を有する対象における血小板カウントは、600×10
9/Lを超えることが多い。
【0167】
5.他の症状
冠動脈疾患を有する対象において、線維素溶解後の残留血栓の量および経皮的介入後の冠動脈事象の頻度を、ベースライン血小板カウントと関連させうることが示されている[例えば、Stoneら、N Eng J Med 346:957−966(2002)およびNikolskyら、Am J Cardiol.99(8):1055−1061(2007)を参照]。血小板カウントが増加するにつれて、アテローム血栓事象のリスクが増加する傾向にあることが示されている。従って、アテローム血栓事象のリスクにある対象において、正常または低正常範囲内またはそれ以下への血小板カウントの低減は、これら事象の低減につながりうる。
【0168】
さらに、正常レベルの循環血小板によって一部媒介される病的症状または過程を阻害することが望ましい状況において、対象を処置して血小板カウントを低正常レベルまたは正常以下レベルまで低下させることができ、これにより、症状の発症、進行または伝播を阻害するか、またはその逆行を促進または増強する。また、血小板の数を減少させると、血小板の存在によって誘導される異常血管増殖の発生の低減にもつながる。
【0169】
さらに、冠動脈、脳および末梢循環におけるアテローム血栓事象は、先進国世界における死亡および身体障害の主原因であり、これら事象の有病率は、いわゆる「西洋ライフスタイル」(それに付随して高レベルの高血圧、肥満、糖尿病および脂質異常症を伴う)が世界的に広がるにつれて増加しつつある[例えば、Grant、Br J Diabetes Vasc Dis 2:347−348(2002)、Lopexら、Nat Med 4:1241−1243(1998)、およびKannelら、Circulation 59:8−13(1979)を参照]。血小板は、アテローム血栓症の発病において主要な役割を果たすことが知られており、これが、様々な臨床状況においてそのような事象の発生を低減する際の抗血小板剤(アスピリンおよびクロピドグレルなど)の効力によって示される[例えば、Antithrombotic Trialists’ Collaboration、BMJ 324:71−86(2002)、CAPRIE Steering Committee、Lancet 348:1329−1339(1996)、Gerschutzら、Cleveland Clinic J Med 69:377−385(2002);Kneidら、Arch Intern Med.163:1145−1153(2003)、Yusufら、N Engl J Med.345:494−502(2001)を参照]。血小板凝集に関与する主な機序が、アスピリン(トロンボキサンA
2産生を阻害するため、およびシクロオキシゲナーゼ経路を阻害するため)およびクロピドグレル(アデノシン二リン酸誘導の血小板凝集経路を阻害するため、およびP2Y12受容体をブロックするため)を用いる併用療法を用いて向けられているときであっても、心血管事象の低減は、25〜30%程度であるにすぎず、関連した出血の増加があり、これが重篤であることもあり、生命を脅かすことすらある。循環血小板の数の減少によって利益を受けうる他の例示の症状または障害には、粘着性血小板症候群、末梢血管疾患(末梢動脈疾患を含む)、急性冠不全症候群、間欠性跛行、および虚血(腸虚血、心臓虚血、脳虚血、結腸虚血、決定的肢虚血、腸虚血、肺虚血再灌流損傷(LIRI)、腸間膜虚血、腎臓虚血および網膜虚血を含む)が含まれる。
【0170】
D.アナグレリド
血小板数を減少させる1つの薬剤はアナグレリドである。アナグレリド(6,7−ジクロロ−1,5−ジヒドロイミダゾ−[2,1−b]キナゾリン−2(3H)−オン)は、当初は血小板凝集の阻害剤として開発され、後にETに苦しむ患者の処置のための血小板数減少剤として価値を有することがわかった経口イミダゾキナゾリンである。アナグレリドは、遊離塩基として、および塩形態、通常は塩酸塩一水和物として存在するが、他の塩形態も存在する。この塩酸塩一水和物(6,7−ジクロロ−1,5−ジヒドロイミダゾ−[2,1−b]キナゾリン−2(3H)−オン一塩酸塩一水和物)は、米国およびカナダにおいて商標AGRYLIN
Rのもとで、および欧州において商標XAGRID
Rのもとで市販されている。米国において、アナグレリドは、骨髄増殖性障害に関連する血小板血症を有する患者における血栓性出血性事象の改善および高血小板カウントの低減に使用されている。欧州において、アナグレリドは、現在の治療法に寛容ではないか、または現在の治療法によっては高血小板カウントが許容しうるレベルまで減少しない、本態性血小板血症を有するリスク患者における高血小板カウントの低減に使用されている。
【0171】
アナグレリドは、選択的なトロンボサイト減少剤である[例えば、Pescatoreら、Expert Opin Pharmacother 1(3):537−546(2000)を参照]。本態性血小板血症を有する患者において、3mg/日の即時放出形態の投薬量(これを分割用量で投与することができる)が、循環血小板プールが1回転した後に、即ち約10日後に、約30〜50%の循環血小板数の減少を与え、アナグレリドが巨核球生成を調整することを示すであろう。
【0172】
1.化学
アナグレリドは、ジメチルスルホキシドおよびN,N−ジメチルホルムアミドに貧可溶性であり、水に極めてわずかに可溶性であるイミダゾキナゾリンである。アナグレリドは、ジエチルエーテルまたはn−ヘプタンに不溶性である。アナグレリドは、当分野で知られる方法のいずれかを用いて製造することができる(例えば、米国特許第3,932,407号;第4,146,718号;第4,208,521号;第4,357,330号;再発行特許第31,617号;第5,801,245号、および第6,388,073号および国際公開第
2002/008228号を参照)。商業的には、米国特許第5,801,245号に議論されているように、アナグレリドは、中間体のエチル N−(6−アミノ−2,3−ジクロロベンジル)グリシンから、熱アルコール溶液中での臭化シアンとの反応によって、または優先的には、非プロトン性溶媒中での臭化シアン(CNBr)との反応によって、イミノキナゾリン中間体を製造し、これを単離し、次いで熱アルコール溶液中で塩基と反応させてアナグレリド塩基を形成させることにより、塩酸塩一水和物として製造されている。
例えば、アナグレリドは、以下のスキームIに示すように、2−(6−アミノ−2,3−ジクロロベンジル−アミノ)酢酸エチルを、トルエン中で還流下にCNBrで処理して2−(5,6−ジクロロ−2−イミノ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)酢酸エチルを得ることによって製造することができ、これを、エタノール中で還流下にトリエチルアミンで処理すると、アナグレリド遊離塩基が得られる。この遊離塩基を、HClで適切に処理することによって、アナグレリド塩酸塩一水和物に変換することができる。アナグレリド一塩酸塩のCAS
R登録番号は、58579−51−4である。
【0173】
スキームI:アナグレリドの製造
【化1】
【0174】
アナグレリド(遊離塩基および塩酸塩一水和物)は、市販されている(例えば、Shire plc,Wayne,ペンシルバニア;Ash Stevens,Inc.,Riverview,ミシガン;Hallochem Pharmaceutical Co.,Ltd.,Sichuan,中国;およびCipla Ltd.,Bangalore,インド)。
【0175】
2.代謝産物
アナグレリドは、ヒトにおいて2つの主要な代謝産物に大きく代謝される:3−ヒドロキシアナグレリド(6,7−ジクロロ−3−ヒドロキシ−1,5−ジヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、BCH24426およびSPD604としても知られ、3−HAとも称される)、およびその後の生体内変換生成物2−アミノ−5,6−ジクロロ−3,4−ジヒドロキナゾリン(RL603としても知られる):
【化2】
6,7−ジクロロ−3−ヒドロキシ−1,5−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン
3−ヒドロキシアナグレリド
【化3】
2−アミノ−5,6−ジクロロ−3,4−ジヒドロキナゾリン
【0176】
本態性血小板血症(ET)または他の骨髄増殖性疾患を有する患者の研究において、3−ヒドロキシアナグレリド(3−HA)は、血液中の主要な循環成分であることがわかり、血漿中の全ての薬物関連生成物の約45%を示した。他の代謝産物(RL603)は、これらの患者において血漿成分の約33%を構成した。アナグレリドそれ自体は、血漿構成成分の約20%未満を示した。アナグレリドに対して観察された半減期は約1.7時間であり、それに続いて3−HAは半減期3.9時間を有し、最後にRL603は半減期8.7時間を有していた。(例えば、ウエブサイト:
fda.gov/ohrms/dockets/dailys/04/aug04/081604/04p−0365−cp00001−08−Tab−G−vol1.pdfにおいて利用可能な、「付属書G:薬物の臨床活性におけるアナグレリドの主要な代謝産物3−ヒドロキシアナグレリドの主な役割の証拠」と題するFDAのファイル上のShireデータの要約)。
【0177】
3−ヒドロキシアナグレリドは、巨核球生成に対するそのインビトロ効果においてアナグレリドと等効力を有し、従って、潜在的に血小板を低下させるが、それはPDEIII阻害剤として、従って、イノトロープ(inotrope)、クロノトロープ(chronotrope)および血管拡張剤として、40倍以上強力である。さらなる代謝産物RL603は、本質的に不活性である。
【0178】
3.アナグレリドの誘導体および類似体
アナグレリドの類似体および誘導体は、多数のグループによって報告されている。Jonesらは、類似体RS−82856(N−シクロヘキシル−N−メチル−4−(7−オキシ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オンの合成を報告している[Jonesら、J.Med.Chem.30:295−303(1987)]。また、アナグレリドの側鎖の直接置換によって合成されるアナグレリドの誘導体も、報告されている[例えば、Meanwellら、J.Med.Chem.35:2672−2687(1992)を参照]。他のアナグレリド類似体が、米国特許第3,932,407号、第4,146,718号および再発行特許第31,617号に記載されている。例えば、Beverung,Jr.ら[米国再発行特許第31,617号(1984)]は、所望により置換された1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オンおよび6(H)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミド[2,1−b]キナゾリン−2−オンを開示している。これらには、以下のものが含まれる:1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−ニトロ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−アミノ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、6−ヒドロキシ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−ヒドロキシ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、8−ブロモ−6−[H]−1,2,3,4−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、6−メチル−7−ニトロ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−ブロモ−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−クロロ−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、6−クロロ−7−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、6,7−ジクロロ−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−アミノ−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、7−アミノ−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、3−(カルボキシメチル)−3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−メチレン−1H−キナゾリン−2−オン、3−(カルボキシメチル)−4,5−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2−オン、2−クロロ−3−カルボエトキシメチル−4,5−ジメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン、5,6−ジメチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]−キナゾリン−2−オン、3−(カルボエトキシメチル)−3,4−ジヒドロ−6−メチレン−1H−キナゾリン−2−オン、3−(カルボエトキシメチル)−4,6−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2−オン、2−クロロ−3−カルボエトキシメチル−4,6−ジメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン、5,7−ジメチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、5−メチル−3−(カルボエトキシメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2−オン、2−クロロ−3−カルボエトキシメチル−5−メチル−3,4−ジヒドロキナゾリン塩酸塩および6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−2−オン。
【0179】
上記したアナグレリドの代謝産物、類似体および/または誘導体の全てが、本発明で提供される組成物および方法において使用して、対象の血小板カウントを、血管閉塞事象を防止または処置する目的で、正常血小板カウントを有する対象において低正常または正常以下レベルまで、あるいは高血小板カウントを有する対象において近正常または正常レベルまで低減するのに適している。一部の場合において、これらの利益は、血小板カウントを低正常レベルまで低減することによって達成されるが、他の場合において、血小板カウントは、正常以下レベルまで低減する。
【0180】
4.薬物動態特性
ヒトにおけるアナグレリドの薬物動態は、0.5〜2mg用量範囲において直線的である。市販の即時放出配合物の経口投与後に、アナグレリドは、胃腸管において約70%まで迅速に吸収され、薬物は、主に初回通過中に、2つの主な代謝産物、即ち、活性な3−ヒドロキシアナグレリドおよび不活性な5,6−ジクロロ−3,4−ジヒドロキナゾール−2−イルアミンに代謝される。アナグレリドの別のその後の尿代謝産物は、N−(5,6−ジクロロ−3,4−ジヒドロキナザリン−2−イル)−2−オキソアセトアミドである。絶食対象において、ピーク血漿レベルは、0.5mg即時放出用量の約1時間後に生じる。用量比例性が、約0.5mg〜2mgの用量範囲において見られる。アナグレリドは、主にCYP1A2によって代謝され、1%未満がアナグレリドとして尿中に回収される。
【0181】
市販の瞬間放出配合物中で投与したときのアナグレリドおよびその活性代謝産物3−ヒドロキシアナグレリドの終末期半減期は、1.7および3.9時間である。アナグレリド投薬量の個々の滴定は、年齢または肝臓もしくは腎臓損傷の効果を考慮に入れることを可能にする。アナグレリドは、特異的に、可逆的に、および用量依存的に後期巨核球の成熟をブロックし、こうして対象における血小板カウントを低減する。この薬物は、血小板凝固機能を正常化し、骨髄線維症の進行を刺激せず、ヒドロキシ尿素とは異なり、血管形成またはDNAへの損傷を伴わないようである。ホスホジエステラーゼ(PDEIIIを含む)に対するアナグレリドおよび40倍以上強力な3−ヒドロキシアナグレリド代謝産物の阻害効果は、陽性変力効果および他のPDE阻害剤との薬力学相互作用の可能性を与える[Gisslinger、Semin Thromb Hemost 32:430−436(2006)]。また、アナグレリドがトロンボポイエチン(TPO)受容体の活性化を妨げることも示されている[Petrides、Semin Thromb Hemost.32(4):399−408(2006)]。アナグレリドは、血小板の巨核球産生においてトロンボポイエチンの効果を妨げることによって作用し、それによって血小板数を低減するものと考えられている。アナグレリドの他の効果が、当分野において記載されている(例えば、米国特許第3,932,407号および第4,146,718号を参照)。
【0182】
アナグレリドは、シトクロムP450 1A2(CYP1A2と省略する)、即ちシトクロムP450混合機能オキシダーゼ系の一員を阻害し、それによって代謝される。この阻害は、治療暴露において予測されるよりもはるかに高いレベルで起こり(約900倍)、従って臨床暴露とは関係しないと考えられる。ラットおよびイヌ血漿におけるヒト代謝産物(RL603およびSPD604)の存在は、代謝的に見て、これらの種が、ヒト安全性評価のための適切な毒性学的モデルとして適することを確証する。アナグレリドとヒドロキシカルバミドまたはアスピリンの間に、薬物−薬物相互作用は確認されなかった。
【0183】
5.作用機序
アナグレリドは、c−Mpl受容体(c−mpl遺伝子によってコードされる)によるTPO誘導シグナル伝達の阻害が関与すると考えられている巨核球に対する直接効果によって、血小板カウントを低減する。培養巨核球のインビトロ研究は、TPO/c−Mpl系に対するアナグレリドの阻害効果が、非常に低いアナグレリド濃度において起こることを示した。また、アナグレリドおよびその3−ヒドロキシ代謝産物は、ホスホジエステラーゼ(ホスホジエステラーゼIIIおよびVを含む)をも阻害する。最も普通の薬物関連の有害事象(頭痛、動悸、体液貯留、吐気および下痢)は、環状AMPホスホジエステラーゼIIIおよび/または環状GMPホスホジエステラーゼVの阻害によるものであると考えられる。一般に、有害事象は用量依存的であり、直接の陽性イオンチャンネル効果による血管拡張を含むPDE効果を伴う。これらの効果は、主にcAMPおよび/またはcGMPの増加によって媒介される。動悸、頻脈および心不整脈が、最も普通に報告されている心血管有害事象である。血管拡張に伴う他の有害事象には、吐気、嘔吐および頭痛が含まれる。cGMPの増加に特異的に関連する別の有害事象は、視覚障害である。総合して、アナグレリドの使用による報告されている有害作用の大多数は、PDE阻害活性に帰することができる。
【0184】
本発明で提供される組成物は、アナグレリドおよびその活性代謝産物に対して独立した作用機序が存在するという事実を利用する:即ち、1つは、ホスホジエステラーゼに対する効果により細胞レベルのcAMPおよびcGMPに対してその効果を示す機序、ならびに、第2は、TPO誘導の巨核球刺激が関与するこれまで完全には明確にされていない機序によって生じる機序。本発明で提供される組成物は、アナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの誘導体または類似体の治療使用を制限するかまたは妨げる臨床症候をあからさまに引き起こすことなく、血小板数減少剤を、循環血小板数を低減するのに有効な限定された血漿濃度範囲に調節する。
【0185】
当分野で既知の市販配合物は、即時放出配合物である。即時放出配合物の薬物動態は、非常に鋭い血漿ピークの生成、それに続く迅速な分布および排泄段階によって特徴付けられる。即時放出配合物において、ピーク血漿濃度は、絶食対象への投与の1時間後に生じ、次いで迅速に低下する。シトクロムP450代謝は、CYP1A2アイソザイムの関与が確認されており、アナグレリドは排泄物中に排出されるが(ヒトにおいて約10%の
14C標識アナグレリド)、この分子は、親化合物(<1%)として、あるいは2つの主な尿代謝産物、即ち2−アミノ−5,6−ジクロロ−3,4−ジヒドロキナゾリンおよびN−(5,6−ジクロロ−3,4−ジヒドロキナザリン−2−イル)−2−オキソアセトアミドのどちらかとして、主に腎臓を介して排泄される(ヒトにおいて>70%の
14C標識アナグレリド)。いくつかの研究により、親化合物およびその3−OH血漿代謝産物が、PDE III酵素およびTPO誘導の巨核球刺激に対して活性であることが確認された。別の血漿代謝産物であるRL603は、どちらの薬理学的系においても不活性であると考えられる。
【0186】
培養巨核球のインビトロ研究は、アナグレリドによるTPO阻害効果が、非常に低い濃度(0.01〜5μg/mL、0.032〜0.16μMに等しい、310.55g/モルにおいて)において見られ、より高い濃度が、より高い応答を生じないことを示した。超音波処理したヒト血小板を用いたcAMPおよびcGMPのPDE活性の阻害に関する生体外研究は、それぞれ0.054および34μMのアナグレリドIC
50濃度を示した。さらに、いくつかのモデルにおいてアナグレリドを用いた生体内研究は、PDE III阻害効果が、比較的高い血漿濃度(0.1mg〜100mg/kgの有効経口用量)において生じることを示唆する。
【0187】
本発明で提供される組成物は、活性成分の有効血清濃度を生成し、その持続性暴露(濃度−時間曲線下の面積、AUC)を維持しながら、ピーク血漿濃度(C
max)を低減するための、アナグレリドおよびその代謝産物ならびに医薬的に許容しうる塩、誘導体および類似体の薬物動態プロフィールを提供する。本発明で提供される組成物は、許容できないことが多い有害作用プロフィールを低減しながら、血小板低下効果を保持する。例えば、アナグレリドを含む本明細書中に記載される制御放出(CR)組成物を、市販のアナグレリドの即時放出配合物(XAGRID
R)と、1回用量交差研究において0.5mgの用量で比較した。本発明で提供されるCR組成物は、対象間変動を最少にしながら、低下したC
maxを示した。
【0188】
本発明で提供される組成物は、アナグレリドおよびその活性な代謝産物3−OHアナグレリドによって影響を受ける2つの薬理学的系の間の有効濃度の差を利用する。本発明で提供される組成物は、アナグレリドに対して独立した作用機序が存在するという事実を利用する:即ち、1つは、ホスホジエステラーゼに対する効果により細胞レベルのcAMPおよびcGMPに対してその効果を示す機序、ならびに、第2は、巨核球に対するTPO受容体が関与するこれまで完全には明確にされていない機序によって生じ、それにより血小板数を低減する機序。
【0189】
E.組成物
本発明で提供されるのは、血小板減少剤の制御放出または持続放出のための組成物である。提供されるのは、実質的水溶性、膨潤性または不溶性の物質からなる固体支持体コア;所望による予備コート、ここで、該予備コートは組成物の0〜5重量%である;バインダーおよび50μg〜10mgの血小板数減少剤の微粒子を含む基材層、ここで、該バインダーは、組成物の0.1〜5重量%の重量で存在し、該血小板減少剤は、少なくとも3ヶ月間の貯蔵安定性を有する形態、例えば水和結晶形態にあり、該微粒子の少なくとも90%は、25ミクロンまたはそれ未満である;該血小板数減少剤の制御放出に有効な放出制御成分、ここで、該放出制御成分は、組成物の0〜10重量%の重量で存在する;および、所望による仕上げコートおよび/または腸溶コーティング、ここで、該仕上げコートおよび/または腸溶コーティングは、組成物の0〜10重量%の重量で存在する;を含む組成物である。
【0190】
1つの態様において、本組成物は、基材層上に実質的水溶性のポリマーを含む封止コート層をさらに含み、ここで、該封止コートは、組成物の0〜10重量%の重量で存在し;該封止コートは、基材層と放出制御成分の間に配置され、該封止コートは、血小板減少剤と放出制御成分および/または血小板減少剤と所望による仕上げコートの間の化学的相互作用を低減する。
【0191】
本明細書中に記載される封止層は、改善された組成物を与える。例えば、血小板減少剤が水和結晶形態にある本明細書中に記載される組成物において、該水和結晶形態の血小板減少剤は、少なくとも3ヶ月間、通常は6ヶ月間またはそれ以上の貯蔵期間にわたって実質的に維持される。さらに、本明細書中に記載される改善された安定性を有する組成物は、より良好な生物学的利用能プロフィールを与える。例えば、本明細書中に記載されるアナグレリド一水和物を含有する組成物は、従来の制御放出配合物、例えばBurnsideら(米国特許出願公開第2004/0062800号)が開示する配合物と比較して、改善された生物学的利用能を与える。
【0192】
本発明で提供される組成物において、血小板減少剤(アナグレリド塩酸塩一水和物など)を含む投薬形態の安定性を低減することなく、可塑剤を使用することができる。例えば、本発明で提供されるのは、放出制御成分および/または所望による仕上げ層が可塑剤を含み、封止層が血小板減少剤と可塑剤の間の有害相互作用を軽減する組成物である。
【0193】
一部の態様において、本発明で提供される組成物は、血小板減少剤の水和結晶形態を実質的に維持する方法によって形成した基材層を含んでいる。例えば、本発明で提供されるのは、血小板減少剤が固体支持体上に噴霧乾燥されている組成物である。
【0194】
一部の態様において、血小板減少剤は、0.5%〜約10%の水分含量を有する。一部の態様において、血小板減少剤は、約1%〜約8%の水分含量を有する。一部の態様において、血小板減少剤は、約2%〜約7%の水分含量を有する。一部の態様において、血小板減少剤は、約3%〜約6%の水分含量を有する。一部の態様において、血小板減少剤は、少なくとも6%の水分含量を有する。一部の態様において、血小板減少剤は、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%または10%の水分含量を有する。
【0195】
水分含量は、当分野で既知のいずれかの方法を用いて測定することができる。例えば、水分含量は、水含量を測定するためのカール・フィッシャー分析によって測定することができる[これは、Pharmacopeial Forum,24(1):5438−5441(1998年1月−2月)に記載されている]。また、カール・フィッシャー試薬を用いるMettler DL−35装置またはMitsubishi CA−06水分計(Mitsubishi Chemical Corporation、東京、日本)を用いる滴定法を使用することもできる。水分含量を測定するための別の方法は、熱重量分析(TGA)である。TGAは、物質の熱的に誘導された重量損失を、適用した温度の関数として測定するものである。当業者なら、水分含量を測定するための他の普通に使用されている熱分析を使用することもできることを理解するであろう(例えば示差走査熱量計)。
【0196】
一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約0.5%〜約5重量%の水分含量を有する。一部の態様において、本組成物は、約1%〜約3%の水分含量を有する。一部の態様において、本組成物は、0.5%、0.75%、1%、1.25%、1.5%、1.75%、2%、2.25%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.25%、4.5%、4.75%または5%の水分含量を有する。1つの態様において、少なくとも約5重量%の水分含量を有する組成物が提供される。一部の態様において、本組成物は、2%またはそれ未満の水分含量を有する。
【0197】
血小板減少剤が水和結晶形態にある態様において、組成物の有効水分は、結晶水分子を定位置に維持するのに十分なものであり、従って、血小板減少剤は、血小板減少剤粒子の結晶性を維持するのに十分な水和レベルを有する。有効水分は、特定の血小板数減少剤に対して実験的に決定することができる。一部の態様において、本組成物は、少なくとも1%の有効水分を有する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、1%〜10%の有効水分を有する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、5%を超える有効水分を有する。一部の態様において、血小板減少剤はアナグレリド塩酸塩一水和物であり、本組成物は、少なくとも6%の有効水分含量を有する。一部の態様において、約1%〜約3%の水分含量を有する組成物は、血小板減少剤の水和結晶形態を維持するのに、例えばアナグレリド塩酸塩一水和物をその水和結晶形態に維持するのに十分な有効水分を有する。
【0198】
一部の態様において、封止コートは、基材に適用されたときに、基材層からの水移動を制御するように配合することができる。例えば、組成物の基材層から他の層への水分の移動または損失を妨げることによって、例えば、封止コートを、基材層中の血小板減少剤の水分を維持するように配合することができる。血小板減少剤が水和結晶形態にある態様において、封止コートを、基材層中の有効水分を維持するように配合して、結晶水が血小板減少剤中で維持され、該減少剤が、長期間にわたって、例えば、少なくとも3ヶ月間または少なくとも6ヶ月間または少なくとも12ヶ月間またはそれ以上にわたって水和結晶形態にあるようにすることができる。
【0199】
水和結晶形態にある一部の血小板減少剤について、結晶水の損失は、該減少剤の分解または活性の損失の結果につながることがある。例えば、アナグレリドの貯蔵または誤った取扱い中の結晶水の損失は、アナグレリドのラクタム環の加水分解の結果につながることがある。アナグレリドのラクタム環の加水分解は、従来のアナグレリド医薬配合物(例えば、米国特許第6,388,073号を参照)に対して長期安定性の課題を与える。結晶水の損失は、半水和結晶形態の形成の結果を与えることができる。アナグレリドの半水和物は、塩酸塩一水和物の結晶形態と同じほど安定ではないことが当分野で知られている。組成物の封止コートを用いて、基材層からの水損失を最少化または排除することができ、アナグレリド塩酸塩一水和物からの結晶水の損失を最少化し、これによりアナグレリドのラクタム環の加水分解を最少化または排除することができる。一部の態様において、封止コートを、基材層からの水移動を最少化するように配合し、これにより結晶水分子を定位置に維持するのに十分な局所化有効水分を与えて、血小板減少剤が、長期間にわたって血小板減少剤粒子の結晶性を維持するのに十分な水和レベルを有するようにする。
【0200】
本発明で提供される組成物は、周囲温度で少なくとも3ヶ月間の貯蔵安定性を有する。一部の態様において、本組成物は、室温で少なくとも6ヶ月間の貯蔵安定性を有する。一部の態様において、本組成物は、室温で少なくとも12ヶ月間の貯蔵安定性を有する。また、本発明で提供される組成物は、加速貯蔵安定性試験下で高い安定性を示す。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約40℃および約75%相対湿度での貯蔵の少なくとも2ヶ月後に、血小板減少剤の初期活性(貯蔵期間の開始時に測定)の少なくとも95%を維持する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約40℃および約75%相対湿度での貯蔵の少なくとも3ヶ月後に、血小板減少剤の初期活性の少なくとも95%を維持する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約40℃および約75%相対湿度での貯蔵の少なくとも6ヶ月後に、血小板減少剤の初期活性の少なくとも95%を維持する。
【0201】
血小板減少剤は、循環血小板の数を減少させるいずれの薬剤であってもよい。1つの態様において、血小板数減少剤はアナグレリドである。一部の態様において、このアナグレリドは水和結晶形態として存在する。一部の態様において、血小板減少剤はアナグレリド塩酸塩一水和物である。例えば、本発明で提供されるのは、基材層が1μg〜10000μgの微粒子アナグレリド(遊離塩基として測定)を含む組成物である。一部の態様において、基材層は、10μg〜1000μgの微粒子アナグレリドを含んでいる。一部の態様において、基材層は、100μg〜800μgの微粒子アナグレリドを含んでいる。一部の態様において、基材層は、200μg〜600μgの微粒子アナグレリドを含んでいる。
【0202】
また本発明で提供されるのは、約10ng〜約10000μg量の血小板減少剤を含むほぼ球形の顆粒、ペレットまたはビーズを含む単位投薬形態であり、ここで、該血小板減少剤は、少なくとも3ヶ月間の貯蔵安定性を有する形態で存在し;ここで、該ほぼ球形の顆粒、ペレットまたはビーズは、実質的水溶性、膨潤性または不溶性の物質からなる固体支持体コア;所望による予備コート;血小板数減少剤を含む基材層;基材層上に実質的水溶性のポリマーを含む封止コート層;血小板減少剤の制御放出に有効な放出制御成分;および、所望による仕上げコートおよび/または腸溶コーティング;を含み、ここで、該単位投薬形態は、血小板数減少剤の即時放出配合物によって得られるよりも少なくとも50%低い血小板数減少剤のピーク血漿レベルを与え;該封止コートは、基材層と放出制御成分の間に配置され、血小板減少剤と放出制御成分および/または血小板減少剤と所望による仕上げコートの間の化学的相互作用を低減する。1つの態様において、血小板数減少剤は、水和した結晶の形態にある。1つの態様において、血小板数減少剤は、自由流動性微粒子の形態で供される。
【0203】
また本発明で提供されるのは、有害事象または副作用を最少にしながら対象の血小板カウントを低減する血小板数減少剤の最適薬物動態プロフィールを与える組成物である。1つの態様において、本発明で提供されるのは、薬剤の血小板減少能力を維持しながらC
maxの低下を伴って血小板数減少剤アナグレリドまたはその代謝産物、類似体もしくは誘導体または医薬的に許容しうる塩またはプロドラッグの最適薬物動態プロフィールを与える組成物である。一部の態様において、アナグレリドはアナグレリド塩酸塩一水和物である。一部の態様において、血小板数減少剤は、3−ヒドロキシアナグレリドまたはその医薬的に許容しうる塩である。一部の態様において、血小板数減少剤は、アナグレリドの誘導体もしくは類似体またはこれらの医薬的に許容しうる塩である。
【0204】
本発明で提供される組成物は、市販の即時放出配合物、例えばXAGRID
R(Shire Pharmaceuticals)において見られるピーク/谷の特徴を生じない血漿濃度プロフィールを与える。一部の態様において、C
maxは、即時放出の対照配合物、例えばXAGRID
R(Shire Pharmaceuticals)の50%またはそれ未満である。一部の態様において、C
maxは、即時放出配合物の25%またはそれ未満である。一部の態様において、C
maxは、即時放出配合物の50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%あるいは15%またはそれ未満である。
【0205】
一部の態様において、本発明で提供される組成物は、即時放出の対照配合物と比較して、暴露の持続期間を増加させ、ピーク血漿濃度を低下させる。
【0206】
血小板数減少剤がアナグレリドである態様において、例えば、約100pg/mL〜約5000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、500〜4500pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、600〜4000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、700〜3500pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、800〜3000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、900〜2500pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、1000〜2000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、組成物は、1050pg/mL、1100pg/mL、1150pg/mL、1200pg/mL、1250pg/mL、1300pg/mL、1350pg/mL、1400pg/mL、1450pg/mL、1500pg/mL、1550pg/mL、1600pg/mL、1650pg/mL、1700pg/mL、1750pg/mL、1800pg/mL、1850pg/mL、1900pg/mL、1950pg/mL、2000pg/mL、2050pg/mL、2100pg/mL、2150pg/mL、2200pg/mL、2250pg/mL、2300pg/mL、2350pg/mL、2400pg/mL、2450pg/mL、2500pg/mL、2550pg/mL、2600pg/mL、2650pg/mL、2700pg/mL、2750pg/mL、2800pg/mL、2850pg/mL、2900pg/mL、2950pg/mL、3000pg/mL、3050pg/mL、3100pg/mL、3150pg/mL、3200pg/mL、3250pg/mL、3300pg/mL、3350pg/mL、3400pg/mL、3450pg/mL、3500pg/mL、3550pg/mL、3600pg/mL、3650pg/mL、3700pg/mL、3750pg/mL、3800pg/mL、3850pg/mL、3900pg/mL、3950pg/mL、4000pg/mL、4050pg/mL、4100pg/mL、4150pg/mL、4200pg/mL、4250pg/mL、4300pg/mL、4350pg/mL、4400pg/mL、4450pg/mL、4500pg/mL、4550pg/mL、4600pg/mL、4650pg/mL、4700pg/mL、4750pg/mL、4800pg/mL、4850pg/mL、4900pg/mL、4950pg/mLまたは5000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。
【0207】
一部の態様において、約100pg/mL〜約1000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約200pg/mL〜約800pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、組成物は、250〜750pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、300〜700pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、350〜550pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、100pg/mL、150pg/mL、200pg/mL、250pg/mL、300pg/mL、350pg/mL、400pg/mL、450pg/mL、500pg/mL、550pg/mL、600pg/mL、650pg/mL、700pg/mL、750pg/mL、800pg/mL、850pg/mL、900pg/mL、950pg/mLまたは1000pg/mLのアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。
【0208】
一部の態様において、約250〜約5000pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約500pg/mL〜約4500pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約600pg/mL〜約4000pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約700pg/mL〜約3500pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約800pg/mL〜約3000pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約900pg/mL〜約2500pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、約1000pg/mL〜約2000pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与えるように組成物を設計する。一部の態様において、組成物は、1050pg/mL、1100pg/mL、1150pg/mL、1200pg/mL、1250pg/mL、1300pg/mL、1350pg/mL、1400pg/mL、1450pg/mL、1500pg/mL、1550pg/mL、1600pg/mL、1650pg/mL、1700pg/mL、1750pg/mL、1800pg/mL、1850pg/mL、1900pg/mL、1950pg/mL、2000pg/mL、2050pg/mL、2100pg/mL、2150pg/mL、2200pg/mL、2250pg/mL、2300pg/mL、2350pg/mL、2400pg/mL、2450pg/mL、2500pg/mL、2550pg/mL、2600pg/mL、2650pg/mL、2700pg/mL、2750pg/mL、2800pg/mL、2850pg/mL、2900pg/mL、2950pg/mL、3000pg/mL、3050pg/mL、3100pg/mL、3150pg/mL、3200pg/mL、3250pg/mL、3300pg/mL、3350pg/mL、3400pg/mL、3450pg/mL、3500pg/mL、3550pg/mL、3600pg/mL、3650pg/mL、3700pg/mL、3750pg/mL、3800pg/mL、3850pg/mL、3900pg/mL、3950pg/mL、4000pg/mL、4050pg/mL、4100pg/mL、4150pg/mL、4200pg/mL、4250pg/mL、4300pg/mL、4350pg/mL、4400pg/mL、4450pg/mL、4500pg/mL、4550pg/mL、4600pg/mL、4650pg/mL、4700pg/mL、4750pg/mL、4800pg/mL、4850pg/mL、4900pg/mL、4950pg/mLまたは5000pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。
【0209】
一部の態様において、組成物は、約250pg/mL〜約1000pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、約300pg/mL〜約900pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、約350pg/mL〜約850pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、約400pg/mL〜約800pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、約450pg/mL〜約750pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、約500pg/mL〜約700pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、約600pg/mL〜約800pg/mLの3−OHアナグレリドのピーク血漿濃度を与える。一部の態様において、組成物は、250pg/mL、300pg/mL、350pg/mL、400pg/mL、450pg/mL、500pg/mL、550pg/mL、600pg/mL、650pg/mL、700pg/mL、750pg/mL、800pg/mL、850pg/mL、900pg/mL、950pg/mLまたは1000pg/mLのピーク血漿濃度を与える。
【0210】
一部の態様において、本組成物は、高レベルの血小板数減少剤、例えば、アナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの誘導体もしくは類似体の長期提示を与える。例えば、一部の態様において、本発明で提供される制御放出組成物は、即時放出配合物のW
50の約1.25〜約5倍のW
50(C
maxの50%における血漿濃度−対−時間曲線の幅)を与える。一部の態様において、制御放出組成物のW
50は、即時放出配合物のW
50の約3〜約5倍である。一部の態様において、制御放出組成物のW
50は、即時放出対照のW
50より約50%〜400%大きい。一部の態様において、W
50は、即時放出対照より約75%〜300%大きい。一部の態様において、W
50は、即時放出対照より約100%〜250%大きい。一部の態様において、W
50は、即時放出対照のW
50より25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%または500%大きい。一部の態様において、本発明で提供される組成物のW
50は、約0.5〜約10時間である。一部の態様において、本発明で提供される組成物のW
50は、約0.75〜約8時間である。一部の態様において、本発明で提供される組成物のW
50は、約1〜約6時間である。一部の態様において、本発明で提供される組成物のW
50は、約7〜約10時間である。一部の態様において、本発明で提供される組成物のW
50は、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75または8時間である。
【0211】
一部の態様において、T
maxは約1時間〜約6時間延期する。一部の態様において、T
maxは2〜4時間延期する。一部の態様において、T
maxは3〜6時間延期する。一部の態様において、T
maxは2〜3時間延期する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約6時間〜約12時間の血清中での暴露を達成する放出特性を供する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約6時間〜約8時間の血清中での暴露を達成する放出特性を供する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約8時間〜約12時間の血清中での暴露を達成する放出特性を供する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、約10時間〜約12時間の血清中での暴露を達成する放出特性を供する。一部の態様において、本発明で提供される組成物は、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5または12時間の血清中での暴露を達成する放出特性を供する。
【0212】
また、本発明で提供される組成物は、薬物の見掛け半減期の増大を与える。1つの態様において、見掛け半減期は、即時放出配合物における約1.3時間から約10時間またはそれ以上に増大する。本発明で提供される組成物によるヒトにおける1.3時間から10時間またはそれ以上への見掛けt
1/2の増大のゆえに、定常状態血漿レベルを、少数の投与で得ることができる。一部の態様において、見掛け半減期は、9、9.25、9.5、9.75、10、10.25、10.5、10.75、11、11.25、11.5、11.75、12、12.25、12.5、12.75、13、13.25、13.5、13.75、14、14.25、14.5、14.75または15時間増大する。
【0213】
本発明で提供される組成物は、PDE系(特に、PDE IIIおよびPDE V)への影響を回避しながら、TPO誘導の巨核球生成に影響を及ぼす血小板数減少剤の血漿レベルを選択的に生じることによって、有害事象プロフィールを低減する。本発明で提供される組成物の投与処方は、1日1回または1日複数回に調節することができる。例えば、1つの態様において、組成物は、1日2回投与される活性成分の量を供して、定常状態を達成し、所望の薬力学効果を得る。他の態様において、組成物は、1日1回投与される活性成分の量を供して、定常状態を達成し、所望の薬力学効果を得る。
【0214】
1つの態様において、本発明で提供されるのは、1日1回または1日2回で投与するのに適し、かつ、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間またはそれ以上の活性の有効持続期間を有する持続放出の経口投与可能な投薬単位形態である。別の態様において、本発明で提供される組成物には、活性成分としてアナグレリドまたはその活性な代謝産物、またはこれらの医薬的に許容しうる誘導体、類似体または塩を含有する経口投与可能な持続放出の投薬単位形態が含まれ、ここで、該組成物は、投与後に低下したピーク血漿レベルおよび約8時間またはそれ以上、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間の持続性暴露を与える。
【0215】
本発明で提供される組成物は、C
maxの低下を伴ってアナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体の最適薬物動態プロフィールを与え、これにより対象の血小板数を減少させる。本組成物は、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体を、TPOを阻害するのに十分であるが、PDE(PDE IIIまたはPDE Vなど)を有意に阻害しない量および速度で放出し、これにより、PDEに関連する有害事象、例えば、細胞cAMPおよび/またはcGMPレベルの増加によって媒介される有害事象を最少化または排除する。例えば、いくつかのモデルにおいてアナグレリドを用いたインビボ研究は、PDE III阻害効果が、TPO阻害効果に必要な血漿濃度よりも高い血漿濃度(0.1mg〜100mg/kgの有効経口用量)におけることを示唆する。
【0216】
単一の投薬単位形態(例えば、カプセル、錠剤、丸剤、トローチ、芳香錠、糖衣錠、ウエハー、粉剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、カプレット、ロゼンジまたは溶解性フィルム)中に含まれる血小板数減少剤(例えば、アナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体)の例示の投薬量は、約50μg〜約2500μgの範囲、例えば、2500μg、2000μg、1900μg、1800μg、1700μg、1600μg、1500μg、1400μg、1300μg、1200μg、1100μg、1000μg、900μg、800μg、700μg、600μg、500μg、400μg、300μg、200μg、100μgまたは50μgであることができる。
【0217】
正確な投薬量および処置の持続期間は、処置する疾患または症状の関数であり、インビボまたはインビトロ試験データからの外挿によって、または既知の試験プロトコールを用いて実験的に決定しうることが理解される。濃度および投薬量の値は、軽減すべき疾患または症状の重症度によっても変化しうることに注意すべきである。さらに、いずれかの特定の対象のために、特定の投薬処方を、個々の必要性および組成物の投与を管理または監督する人の専門的判断に従って時間とともに調節しうること、ならびに、本明細書中に記載した濃度範囲が、例示のためだけのものであり、本発明で提供される組成物、方法および他の対象の範囲または実施の制限を意図するものではないことを理解すべきである。投薬量は、単一の1日用量として、1日あたり2〜4つの分割用量として、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、1週間に1回、10日に1回、2週間に1回、1月に1回、またはそれ以上に1回として投与することができる。
【0218】
一部の態様において、本発明で提供される組成物は、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体を、血小板の巨核球産生に対する成長因子阻害効果を誘導するのに十分な循環濃度を生じるように放出し、これにより、血小板数を減少させるが、ホスホジエステラーゼ(PDE)活性を臨床的に有意な程度にまで阻害するのに十分ではない濃度を生じるように放出し、これにより、有害事象を最少化または排除する。
【0219】
アナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体の投薬量を適切に選択すること、ならびに、それを複数の薬物を担持した固体コア(制御放出成分を含む)を含む制御放出組成物中の微粒子として供することによって、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体の見掛け半減期は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15倍またはそれ以上に増加する。また、本発明で提供される組成物は、T
maxを、約1時間〜約6時間延期する。また、本発明で提供される組成物は、約6時間〜約18時間(6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17および18時間を含む)の血清中の暴露を与える。
【0220】
本発明で提供される組成物は、巨核球生成には影響を及ぼすが、PDE系(PDE IIIおよび/またはPDE V系を含む)を臨床的に有意な程度にまで阻害しないアナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体の血漿レベルを選択的に生じることによって、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体の有害事象プロフィールを低減する。
【0221】
また本発明で提供されるのは、治療有効量のアナグレリド、3−ヒドロキシアナグレリド、これらの類似体もしくは誘導体、またはこれらの医薬的に許容しうる塩を含有する経口持続放出性の医薬単位投薬形態であり、ここで、該単位投薬形態は、約10ng〜約1000μg量のアナグレリド、3−ヒドロキシアナグレリド、これらの類似体もしくは誘導体、またはこれらの医薬的に許容しうる塩を含む、ほぼ球形の顆粒、ペレットまたはビーズから形成される錠剤またはそれを含有するカプセルであり、該ほぼ球形の顆粒、ペレットまたはビーズは、実質的水溶性、膨潤性または不溶性の物質からなるコア;所望による予備コート;アナグレリド、3−ヒドロキシアナグレリド、これらの類似体もしくは誘導体、またはこれらの医薬的に許容しうる塩の微粒子を含む基材層;基材層上の、実質的水溶性のポリマーを含む所望による封止コート層;活性成分の制御放出に有効な放出制御成分;および、所望により仕上げコートおよび/または腸溶コーティング;を含み、こうして、該単位投薬形態は、即時放出配合物によって得られるよりも少なくとも50%低いアナグレリド、3−ヒドロキシアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体のピーク血漿レベルを与え、かつ、循環アナグレリド、3−ヒドロキシアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体を、少なくとも4時間にわたって与える。一部の態様において、アナグレリド、3−ヒドロキシアナグレリド、これらの類似体もしくは誘導体、またはこれらの医薬的に許容しうる塩の微粒子を、組成物において使用する。
【0222】
1.制御放出組成物の形態
1つの態様において、本発明で提供される組成物は、複数の水溶性、膨潤性または不溶性コア(所望により、コア上のまたはそれを包む予備層を含む)、血小板数減少剤(例えば、アナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの医薬的に許容しうる塩、誘導体もしくは類似体)を含有する基材層、基材層上のまたはそれを包む所望による封止コート層、制御放出層、および、制御放出層上のまたはそれを包む所望による仕上げコートおよび/または腸溶コーティングを含んでいる。この複数のコアは、一緒になって複数単位系を構成する別個の粒子である。その小さいサイズのゆえに、別個の粒子は、単一の単位配合物よりも大きい表面積を供する。また、制御放出粒子は、胃排出に依存することが少なく、比較的良好に分布し、あらゆる局所刺激を最少化する。基材層、封止コート層(存在するとき)、および制御放出層の重量および組成を調節することによって、組成物を修飾して所望の薬物放出プロフィールを達成する。
【0223】
a.コア
例示の水溶性、膨潤性または不溶性コアには、非パレイル種子(non−pareil seed)、ビーズ、顆粒、およびペレットが含まれるが、これらに限定はされない。1つの態様において、コアはビーズを含んでいる。1つの態様において、コアは、非パレイル種子またはペレットを含んでいる。コアは、可溶性または不溶性の物質、例えば、糖、デンプン(修飾デンプンを含む)、またはポリオール、またはこれらの組合せを含んでいる。コアは、約100〜約1500ミクロンの範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約500ミクロン〜約1000ミクロンの範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約1000ミクロン〜約1500ミクロンの範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約100〜約500ミクロンの範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約200〜約250ミクロンの範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約1000〜約1400ミクロン(14〜18メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約600〜約700ミクロン(25〜30メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約1000〜約1200ミクロン(16〜18メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約500〜約600ミクロン(30〜35メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約850〜約1200ミクロン(16〜20メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約425〜約500ミクロン(35〜40メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約850〜約1000ミクロン(18〜20メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約250〜約425ミクロン(40〜60メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。一部の態様において、コアは、約700〜約850ミクロン(20〜25メッシュ篩)の範囲内のサイズを有する。
【0224】
本発明で提供される組成物の放出プロフィールを、固体コアのサイズの選択によって調整することができる。比較的小さいサイズのコアを選択して、血小板数減少剤の提示のための比較的大きい表面積を供することができ、血小板数減少剤の溶解のための生物学的液体(胃液など)への提示を容易にすることができる。比較的大きい固体コアを選択することにより、生物学的液体への血小板数減少剤の提示のための比較的小さい表面積を得ることができ、溶解速度を遅くすることができる。一部の態様において、異なるサイズの固体コアの組合せを本発明で提供される組成物の製造のために選択して、目標の溶解速度を達成することができる。
【0225】
b.血小板数減少剤
対象の血小板数を低減するあらゆる化合物を、本発明で提供される組成物において使用することができる。例示の血小板数減少剤には、アナグレリド、3−OHアナグレリド、およびこれらの類似体および誘導体;ヒドロキシカルバミド(以前はヒドロキシ尿素と称される);ブスルファン;シクロホスファミド;ラニムスチンおよびピポブロマンが含まれる[例えば、De Stefanoら、Haematologica 93(3):372−380(2008);Barbui & Finazzi、Blood Reviews 19(5):243−252(2005);Wagstaff & Keating、Drugs 66(1):111−131(2006);Barbui & Finazzi、Blood 109(12):5104−5111(2007)、およびNajeanら、Blood、90(9):3370−3377(1997)を参照]。一部の態様において、抗血小板剤は、アナグレリド、3−OHアナグレリド、アナグレリドの誘導体もしくは類似体、またはアナグレリドもしくは3−OHアナグレリドの医薬的に許容しうる塩、またはこれらの組合せである。一部の態様において、血小板数減少剤は、ヒドロキシカルバミドと、アナグレリド、3−OHアナグレリド、アナグレリドの誘導体もしくは類似体、またはアナグレリドもしくは3−OHアナグレリドの医薬的に許容しうる塩、またはこれらの組合せとの組合せである。
【0226】
c.微粒子
一部の血小板数減少剤は、水に貧可溶性である。例えば、アナグレリドは、水に貧可溶性である。本明細書中に記載されるように、この薬物および他のそのような薬物は、小粒子の形態で供したときに、より高い生物学的利用能にすることができる。一部の態様において、血小板数減少剤、例えば、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの誘導体もしくは類似体もしくは医薬的に許容しうる塩は、微粒子の形態にある。このような微粒子は、比較的高い表面積を与え、改善された経口生物学的利用能を与える。微粒子は、微粉化法によって血小板数減少剤のサイズを小さくすることによって製造することができる。当分野で既知のあらゆる微粉化法を使用することができる(例えば、米国特許第5,145,684号、第5,302,401号および第5,470,583号を参照)。例示の微粉化法には、超音波処理、微細流動化、ホモジナイズ法、湿式粉砕、および製粉(回転衝撃製粉、回転子固定子コロイド製粉、ジェット製粉および空気衝撃製粉を含む)が含まれる(例えば、米国特許第5,091,187号、第5,091,188号、第5,972,366号および第6,994,283号を参照)。商業製造業者は、微粉化サービスを提供している(例えば、Micron Technologies,Inc.、Exton、ペンシルバニアを参照)。一部の態様において、血小板数減少剤を微粉化して、約0.05ミクロン〜約25ミクロンの範囲内の直径を有する微粒子を得る。一部の態様において、血小板数減少剤を微粉化して、25ミクロン未満の直径を有する微粒子を得る。一部の態様において、血小板数減少剤を微粉化して、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.75または0.5ミクロンに等しいかまたはそれ未満の直径を有する微粒子を得る。
【0227】
また、微粒子は、意図したサイズ範囲内にあるように成長させた血小板数減少剤の結晶であることもできる。血小板減少剤の結晶性微粒子は、当分野で既知の任意の方法によって製造することができ、任意の適する方法(濾過、遠心または噴霧乾燥を含む)によって回収することができる[例えば、米国特許第4,595,418号および第6,682,761号、国際公開第02/06538号、Vehringら、Pharm Res.25(5):999−1022(2008)、およびRasenackら、Powder Technology、第143−144巻、第291−296頁(2004)を参照]。薬物微粒子のサイズは、薬物の所望の放出速度によって、ならびに、最終製品の物理的安定性および機械的特性によって決定される大きな制限内で変化することができる。一部の態様において、血小板数減少剤の結晶は、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.75または0.5ミクロンに等しいかまたはそれ未満の直径を有する微粒子を与えるように成長させ、回収する。
【0228】
一部の態様において、血小板数減少剤の粒子サイズを薬剤の微粉化によって必要サイズおよび表面積まで減少させるか、または必要サイズおよび表面積の血小板数減少剤の結晶を成長させて、改善されたかまたは持続性の生物学的利用能;固体コア上への活性薬剤の微粒子の適用のために活性薬剤の表面積を増加する微粒子(25ミクロンに等しいかまたはそれ未満、例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.75または0.5ミクロンに等しいかまたはそれ未満の微粒子を含む)を得ること、および血小板数減少剤の制御放出に有効な放出制御成分を用いることを組合せることによって、所望の放出プロフィールを達成する。
【0229】
血小板数減少剤のサイズを減少させて微粒子を得ることによって、血小板数減少剤の放出プロフィールを調整することができる。例えば、血小板数減少剤の微粒子のサイズを増加させて薬剤の可溶性を低くすることによって、C
maxを低くすることができる。逆に、微粒子のサイズを減少させて薬剤の可溶性を高くすることによって、C
maxを高くすることができる。また、血小板数減少剤の微粒子のサイズを調節して、T
maxおよびAUCまたは暴露を調整することもできる。一部の態様において、微粒子サイズの分布または比較的大きいおよび比較的小さい微粒子の組合せを用いて、血小板数減少剤の遅いおよび速い溶解性の組合せを得る。
【0230】
d.コーティング
本発明で提供される組成物は、1つまたはそれ以上のコーティングが積層された固体コアを含んでいる。このコーティングは、本発明で提供される組成物の放出プロフィールを調整する。1つまたはそれ以上のコーティングの存在、該コーティングの組成、例えば選択したポリマー、その分子量または生物学的液体における溶解性、該コーティング中に含まれるいずれかの賦形剤の特性、および該コーティングの厚みを調節して、所望の放出プロフィールを達成することができる。
【0231】
本発明で提供される例示組成物は、固体コアとして糖ビーズ(これには所望により予備コートが積層されている);該固体コア上のまたはそれを包む血小板数減少剤の微粒子を含む基材層;該基材層上のまたはそれを包む所望による封止コート層;制御放出層;および、該制御放出層上のまたはそれを包む所望による仕上げコート層および/または腸溶コーティング層;を含んでいる。固体コアのサイズまたはサイズ分布、基材層中の血小板数減少剤の微粒子のサイズおよび/またはサイズ分布、封止コート層(存在するとき)の厚みおよび組成、制御放出層の厚みおよび組成、ならびに、仕上げコート層および/または腸溶コーティング層(存在するとき)の厚みおよび組成を適切に選択することによって、組成物の所望の放出プロフィールを達成することができる。組成物のこれら成分の調節によって、組成物の薬物動態特性(C
max、T
maxおよびAUCなど)の調整が可能になる。
【0232】
i.所望による予備コート
一部の態様において、所望による予備コートを、コアと活性成分を含有する基材層の間のコア表面に適用する。この予備コートは、コアに適用したときに、乾燥した予備コートが、組成物の重量に約0.1〜約5重量%を加えるように調製することができる。例示の予備コート重量には、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、1.25%、1.3%、1.35%、1.4%、1.45%、1.5%、1.55%、1.6%、1.65%、1.7%、1.75%、1.8%、1.85%、1.9%、1.95%、2%、2.05%、2.1%、2.15%、2.2%、2.25%、2.3%、2.35%、2.4%、2.45%、2.5%、2.55%、2.6%、2.65%、2.7%、2.75%、2.8%、2.85%、2.9%、2.95%、3%、3.05%、3.1%、3.15%、3.2%、3.25%、3.3%、3.35%、3.4%、3.45%、3.5%、3.55%、3.6%、3.65%、3.7%、3.75%、3.8%、3.85%、3.9%、3.95%、4%、4.05%、4.1%、4.15%、4.2%、4.25%、4.3%、4.35%、4.4%、4.45%、4.5%、4.55%、4.6%、4.65%、4.7%、4.75%、4.8%、4.85%、4.9%、4.95%および5%が含まれる(重量%に基づく)。所望による予備コート中に含まれうる例示のポリマーには、セルロース誘導体[ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む]、キサンタンゴム、デンプン[アミロースまたはアミロペクチンを含む]、修飾デンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)およびこれらの組合せが含まれる。予備コートは、コアの表面を滑らかにして表面積がロット間でより一貫するようにし、これにより、活性成分を含有する基材層が適用されたときに、表面積および全体のコーティング品質を改善する。
【0233】
ii.基材層
本発明で提供される組成物において、血小板減少剤は、少なくとも1つの賦形剤(例えば、バインダー、界面活性剤および充填剤であるが、これらに限定はされない)を含む基材層を介して、固体支持体コアの表面上に、またはコア上の所望による予備層上に被覆することができる。例示のバインダーには、水溶性の親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ジェランガム、キサンタンゴム、カラギーナン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、デキストリン、およびデンプンまたはデンプン誘導体、またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定はされない。一部の態様において、バインダーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。1つの態様において、バインダーには、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。一部の態様において、バインダーにはポビドンが含まれる。
【0234】
バインダーが基材層中に含まれる場合、バインダーは、組成物の重量の約0.1〜5%(重量%)の量で存在することができる。例えば、基材層中のバインダーは、最終組成物において乾燥したときに、最終組成物の重量の0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、1.25%、1.3%、1.35%、1.4%、1.45%、1.5%、1.55%、1.6%、1.65%、1.7%、1.75%、1.8%、1.85%、1.9%、1.95%、2%、2.05%、2.1%、2.15%、2.2%、2.25%、2.3%、2.35%、2.4%、2.45%、2.5%、2.55%、2.6%、2.65%、2.7%、2.75%、2.8%、2.85%、2.9%、2.95%、3%、3.05%、3.1%、3.15%、3.2%、3.25%、3.3%、3.35%、3.4%、3.45%、3.5%、3.55%、3.6%、3.65%、3.7%、3.75%、3.8%、3.85%、3.9%、3.95%、4%、4.05%、4.1%、4.15%、4.2%、4.25%、4.3%、4.35%、4.4%、4.45%、4.5%、4.55%、4.6%、4.65%、4.7%、4.75%、4.8%、4.85%、4.9%、4.95%または5%であることができる。
【0235】
一部の態様において、基材層は充填剤を含んでいる。適する充填剤の例には、ラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、リン酸二カルシウム、糖アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、エリトリトール、および水素化デンプン加水分解物(いくつかの糖アルコールのブレンド)、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、および酢酸セルロース、またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定はされない。一部の態様において、基材層は界面活性剤を含んでいる。界面活性剤は、陰イオン性、例えばラウリル硫酸ナトリウム(USP)およびその誘導体、陽イオン性、例えば第4アンモニウムハロゲン化物(例えば塩化セチルピリジニウム)、あるいは非イオン性、例えば直鎖脂肪アルコールエトキシレートまたはポリオキシエチレン縮合生成物[例えば、SpanおよびTweenまたはポリオキシエチレンポリプロピレングリコール、例えば、Pluronic F68(BASF Corp.,Mt.Olive、ニュージャージーから入手可能)]、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−またはトリ−ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、脂肪および脂肪酸のプロピレングリコールモノおよびジエステル、ソルビタンモノステアレート、ポロキサマーおよびその誘導体、中鎖トリグリセリド、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG−6オリーブ油、PEG−6ピーナツ油、PEG−6水素化パーム核油、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリエトキシル化ヒマシ油、PEG−60水素化ヒマシ油、PEG−40水素化ヒマシ油、ラウリルグルタミン酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、Polyoxyl 23ラウリルエステルおよびこれらの組合せであってよい。
【0236】
iii.封止コート層
本発明で提供される組成物は、1つまたはそれ以上の血小板減少剤を含む基材層の上にある封止コート層を含んでいる。この封止コート層を、血小板数減少剤を含む基材層と制御放出層の間の物理的または化学的相互作用(例えば疎水性相互作用)を防止するために供することができる。また、この封止コート層を用いて、組成物の放出プロフィールを調整することもできる。例えば、封止コート層を含ませて生物学的液体に暴露したときの溶解速度を低下させ、これにより、C
max、T
maxおよびAUCまたは暴露を調整することができる。例えば、封止コート層の厚みを増大させることによって、または生物学的液体中で徐々に水和するポリマーを選択することによって、または高分子量を有するポリマーまたは水和したときに高粘度を示すポリマーを選択することによって、またはこれらの任意の組合せによって、溶解速度を遅くすることができる。所望による封止コート層において使用するポリマーの水和特性は、該高分子の構造、サイズおよび特性によって支配される。また、封止コート層の溶解性を、所望により少なくとも1つの賦形剤(例えば、バインダー、界面活性剤、または充填剤)を含ませることによって調整することもできる。
【0237】
封止コート層中に含ませうる適するポリマーの例には、水溶性の親水性ポリマー、例えばポビドン(PVP:ポリビニルピロリドン)、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低分子量カルボキシメチルセルロース(CMC)、低分子量エチルセルロース、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アラビアゴム、デキストリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン、およびポリメタクリレート、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定はされない。1つの態様において、封止コート層はHPMCを含んでいる。一部の態様において、例えば制御放出層が脂肪酸または脂肪酸エステルを含んでいる場合、制御放出層のコーティング前に、基材層に封止コート層を上被覆する。特に、制御放出層がオレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびラウリン酸の中から選択される脂肪酸を含み、かつ、血小板数減少剤がアナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの誘導体もしくは類似体である場合、制御放出層のコーティング前に、基材層に封止コート層を上被覆する。制御放出層の適用前の封止コート層による基材層の積層は、アナグレリドまたは3−OHアナグレリドと制御放出層中の脂肪酸の間の疎水性相互作用を排除することができる。このような活性成分と脂肪酸の間の疎水性相互作用は、得られる制御放出組成物からの活性成分の放出プロフィールに負の影響を及ぼす脂肪酸/活性成分の複合体を生じる結果になりうる。
【0238】
封止コート層は、組成物の重量の約1%〜約10%(重量%)の量で存在することができる。例えば、封止コート層は、最終組成物において乾燥したときに、ほぼ球形の複数微粒子(multiparticulate)(被覆された固体コア)の重量の1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、1.25%、1.3%、1.35%、1.4%、1.45%、1.5%、1.55%、1.6%、1.65%、1.7%、1.75%、1.8%、1.85%、1.9%、1.95%、2%、2.05%、2.1%、2.15%、2.2%、2.25%、2.3%、2.35%、2.4%、2.45%、2.5%、2.55%、2.6%、2.65%、2.7%、2.75%、2.8%、2.85%、2.9%、2.95%、3%、3.05%、3.1%、3.15%、3.2%、3.25%、3.3%、3.35%、3.4%、3.45%、3.5%、3.55%、3.6%、3.65%、3.7%、3.75%、3.8%、3.85%、3.9%、3.95%、4%、4.05%、4.1%、4.15%、4.2%、4.25%、4.3%、4.35%、4.4%、4.45%、4.5%、4.55%、4.6%、4.65%、4.7%、4.75%、4.8%、4.85%、4.9%、4.95%、5%、5.05%、5.1%、5.15%、5.2%、5.25%、5.3%、5.35%、5.4%、5.45%、5.5%、5.55%、5.6%、5.65%、5.7%、5.75%、5.8%、5.85%、5.9%、5.95%、6%、6.05%、6.1%、6.15%、6.2%、6.25%、6.3%、6.35%、6.4%、6.45%、6.5%、6.55%、6.6%、6.65%、6.7%、6.75%、6.8%、6.85%、6.9%、6.95%、7%、7.05%、7.1%、7.15%、7.2%、7.25%、7.3%、7.35%、7.4%、7.45%、7.5%、7.55%、7.6%、7.65%、7.7%、7.75%、7.8%、7.85%、7.9%、7.95%、8%、8.05%、8.1%、8.15%、8.2%、8.25%、8.3%、8.35%、8.4%、8.45%、8.5%、8.55%、8.6%、8.65%、8.7%、8.75%、8.8%、8.85%、8.9%、8.95%、9%、9.1%、9.15%、9.2%、9.25%、9.3%、9.35%、9.4%、9.45%、9.5%、9.55%、9.6%、9.65%、9.7%、9.75%、9.8%、9.85%、9.9%、9.95%または10%であることができる。
【0239】
iv.放出制御成分
また、本発明で提供される組成物の放出プロフィールを、放出制御成分を含ませることによって調整することができる。一部の態様において、本発明で提供される組成物のほぼ球形の複数微粒子は、血小板数減少剤の制御放出に有効な放出制御成分を含んでいる。医薬組成物からの活性薬剤の放出を調整することができる当分野で既知のあらゆる皮膜形成ポリマーを、組成物において使用することができる(例えば、米国特許第3,065,143号;第3,427,378号;第3,444,290号;第3,458,622号;第3,555,151号;第3,574,820号;第3,976,764号;第4,140,755号;第4,173,626号;第4,248,857号;第4,252,786号;第4,259,314号;第4,309,404号;第4,309,405号を参照)。皮膜コーティングに使用するポリマーの特性は、該高分子の構造、サイズおよび特性によって支配される。放出制御コーティング層を含ませて生物学的液体に暴露したときの溶解速度を低下させ、これにより、C
max、T
maxおよびAUCまたは暴露を調整することができる。
【0240】
本発明で提供される組成物において使用しうる非腸溶物質として医薬において使用される通常の皮膜形成ポリマーには、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこのようなセルロース誘導体の2つまたはそれ以上の混合物、ポリ酢酸ビニル、ポビドン、架橋デンプン、架橋キトサン、架橋ゼラチン、架橋ヒアルロン酸、架橋ポリビニルアルコール、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシポリメチレン、ゼインまたはこれらの組合せが含まれる。
【0241】
例示の皮膜形成ポリマーは、エチルセルロースであり、これはそれ自体でまたは他の皮膜形成ポリマーと組合せて使用される。エチルセルロースは、塩化エチルとアルカリ性セルロースとの反応によって得られるセルロースエーテルであり、通常は水および胃腸液に不溶性である。これは、強靭にするためまたは皮膜の溶解速度に影響を及ぼすために、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他の皮膜形成剤と組合せて使用するのが普通である。エチルセルロースの溶解特性のゆえに、このポリマーを、水性分散液または有機溶媒分散液として適用することができる。水性のエチルセルロース分散液は、分散剤、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、消泡剤、可塑剤および溶解助剤を含むことができる。例示の可塑剤には、アセチル化モノグリセリド;アセチルグリコール;クエン酸アセチルトリブチル;グリコール酸ブチルフタリルブチル;セバシン酸ジブチル;酒石酸ジブチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジメチル;グリコール酸エチルフタリルエチル;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;クエン酸トリアセチン;クエン酸トリブチル;およびトリプロピオニン(トリプロピオン酸グリセリル)が含まれる。例えば、エチルセルロースを、セバシン酸ジブチルおよびオレイン酸アンモニウムとブレンドして、安定化および可塑化したエチルセルロース粒子の分散液を製造することができる(例えば、米国特許第4,123,403号および第4,502,888号を参照)。エチルセルロースの有機溶媒分散液は、任意の適する有機溶媒を含むことができる。例示の有機溶媒には、アルコール(例えば、エタノール、プロパノールおよびブタノール)、アセトン、酢酸エチルおよび乳酸エチルが含まれる。また、エチルセルロースの有機溶媒分散液は、分散助剤、界面活性剤および可塑剤を含むこともできる。有機溶媒コーティング系は、水を含むことができ、従って厳密には非水性ではない。この系は、混合分散液中の比較的多い割合の有機溶媒のゆえに、その性質において有機性が優勢である。一部の態様において、制御放出層はエチルセルロースを含んでいる。
【0242】
別の例示の皮膜形成ポリマーは、ポリ酢酸ビニルであり、これはそれ自体でまたは他の皮膜形成ポリマー(ポビドンなど)と組合せて使用される。ポリ酢酸ビニルは、水性分散液に配合することができ、優れた皮膜形成特性およびpH−非依存性の放出速度調節を与える。水性ポリ酢酸ビニル分散液は、分散助剤、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、消泡剤、可塑剤および溶解助剤を含むことができる。例示の可塑剤には、アセチル化モノグリセリド;アセチルグリコール;クエン酸アセチルトリブチル;グリコール酸ブチルフタリルブチル;セバシン酸ジブチル;酒石酸ジブチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジメチル;グリコール酸エチルフタリルエチル;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;クエン酸トリアセチン;クエン酸トリブチル;およびトリプロピオニンが含まれる。ポリ酢酸ビニルを含有する市販の皮膜コーティング配合物を使用することができる。放出制御成分中に含ませることができる例示の市販配合物には、ポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムで安定化したポリ酢酸ビニルの水性分散液、例えば、商標KOLLICOAT
R(BASF、Florham Park、ニュージャージーから)のもとで販売されている市販配合物が含まれる。
【0243】
一部の態様において、制御放出層は、親水性の孔形成剤を含んでいる。制御放出層中に含まれる孔形成剤は、制御成分と一緒に使用するのに適合する任意の当分野で認められている孔形成化学種であることができる。例えば、制御放出成分がエチルセルロースを含んでいるときには、エチルセルロース分散液と適合するように親水性の孔形成剤を選択する。孔形成剤は、水溶性の親水性ポリマー、タンパク質、糖または糖アルコールであることができる。例示の孔形成剤には、セルロースエーテル(ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む)、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、プルラン、デキストラン、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、ラクトース、マンノース、ガラクトース、およびソルビトールが含まれる。1つの態様において、孔形成剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0244】
制御放出層中に含まれる孔形成剤の量は、選択した孔形成剤の化学にある程度は依存するが、限定のためではなく例示の目的で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを孔形成剤として選択したときには、それを、約0.1%〜約10%(約0.25%〜約5.0%を含む)の範囲内で使用することができる。一部の態様において、孔形成剤は、適用される溶液の大きな部分であることができる(例えば;適用される溶液の25%)。孔形成剤を含有する溶液が適用された後の組成物の重量増加の見地から、孔形成剤は、ほぼ球形の複数微粒子の重量の0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、1.25%、1.3%、1.35%、1.4%、1.45%、1.5%、1.55%、1.6%、1.65%、1.7%、1.75%、1.8%、1.85%、1.9%、1.95%、2%、2.05%、2.1%、2.15%、2.2%、2.25%、2.3%、2.35%、2.4%、2.45%、2.5%、2.55%、2.6%、2.65%、2.7%、2.75%、2.8%、2.85%、2.9%、2.95%、3%、3.05%、3.1%、3.15%、3.2%、3.25%、3.3%、3.35%、3.4%、3.45%、3.5%、3.55%、3.6%、3.65%、3.7%、3.75%、3.8%、3.85%、3.9%、3.95%、4%、4.05%、4.1%、4.15%、4.2%、4.25%、4.3%、4.35%、4.4%、4.45%、4.5%、4.55%、4.6%、4.65%、4.7%、4.75%、4.8%、4.85%、4.9%、4.95%または5%を構成することができる(即ち、適用された孔形成剤に基づく、被覆された固体コアの重量増加)。制御放出層中の孔形成剤と制御放出ポリマー(エチルセルロースなど)の相対的な量を変化させて放出速度を調節することができ、小さい割合の孔形成剤と比較して、大きい割合の孔形成剤ほど、速い放出速度を与える結果になる。一部の態様において、制御放出層は、約60〜約95重量%のエチルセルロースおよび約40〜約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する。一部の態様において、制御放出層は、約90%のエチルセルロースおよび約10%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する。一部の態様において、制御放出層は、約85%のエチルセルロースおよび約15%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する。制御放出層中のエチルセルロースと孔形成剤の比は、約1:1〜約12:1の範囲であってよい。一部の態様において、この比は、10:1または9:1のエチルセルロース:孔形成剤である。一部の態様において、この比は、約2:1〜約4:1のエチルセルロース:孔形成剤である。
【0245】
エチルセルロースを制御放出皮膜形成ポリマーとして使用するときには、有効量の適する可塑剤を含ませることができる。可塑剤の添加は、皮膜の物理的特性を調整する。適する可塑剤の例には、長鎖の脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、ミリスチルアルコールおよびステアリルアルコール、脂肪酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびラウリン酸、脂肪酸エステル、例えば、ソルビチル誘導体およびグリセリド、アセチル化モノグリセリド、グリセリド、例えば、脂肪酸または水素化脂肪族酸のグリセリルエステル、例えば、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ヒマシ油およびその誘導体、水素化ヒマシ油のグリセリルエステル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよび他のフタル酸エステル、グリセリン、プロピレングリコール、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンが含まれるが、これらに限定はされない。
【0246】
制御放出層は、最終被覆生成物の約0.1%〜約25重量%、例えば、約0.15〜約20%、または約0.2〜約15%、または約0.25〜約10%でありうるコートまたは層を与える1つまたはそれ以上の皮膜形成ポリマーの堆積によって調製する。一部の態様において、制御放出層は、組成物の重量の約0.25〜約5%である。一部の態様において、制御放出層は、組成物の重量の約2.5%〜約7.5%である。一部の態様において、制御放出層は、組成物の重量の約4%〜約12%である。例えば、治療活性薬剤の物理的特性および所望の放出速度、可塑剤が組成物に導入されているか否か、および該可塑剤の導入方法(それが使用されているとき)に依存して、制御放出層を、比較的小さいまたは比較的大きい重量増加において適用することができる。一部の態様において、制御放出層は、ほぼ球形の複数微粒子(被覆された固体コア)の重量の約0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、1.25%、1.3%、1.35%、1.4%、1.45%、1.5%、1.55%、1.6%、1.65%、1.7%、1.75%、1.8%、1.85%、1.9%、1.95%、2%、2.05%、2.1%、2.15%、2.2%、2.25%、2.3%、2.35%、2.4%、2.45%、2.5%、2.55%、2.6%、2.65%、2.7%、2.75%、2.8%、2.85%、2.9%、2.95%、3%、3.05%、3.1%、3.15%、3.2%、3.25%、3.3%、3.35%、3.4%、3.45%、3.5%、3.55%、3.6%、3.65%、3.7%、3.75%、3.8%、3.85%、3.9%、3.95%、4%、4.05%、4.1%、4.15%、4.2%、4.25%、4.3%、4.35%、4.4%、4.45%、4.5%、4.55%、4.6%、4.65%、4.7%、4.75%、4.8%、4.85%、4.9%、4.95%、5%、5.05%、5.1%、5.15%、5.2%、5.25%、5.3%、5.35%、5.4%、5.45%、5.5%、5.55%、5.6%、5.65%、5.7%、5.75%、5.8%、5.85%、5.9%、5.95%、6%、6.05%、6.1%、6.15%、6.2%、6.25%、6.3%、6.35%、6.4%、6.45%、6.5%、6.55%、6.6%、6.65%、6.7%、6.75%、6.8%、6.85%、6.9%、6.95%、7%、7.05%、7.1%、7.15%、7.2%、7.25%、7.3%、7.35%、7.4%、7.45%、7.5%、7.55%、7.6%、7.65%、7.7%、7.75%、7.8%、7.85%、7.9%、7.95%、8%、8.05%、8.1%、8.15%、8.2%、8.25%、8.3%、8.35%、8.4%、8.45%、8.5%、8.55%、8.6%、8.65%、8.7%、8.75%、8.8%、8.85%、8.9%、8.95%、9%、9.05%、9.1%、9.15%、9.2%、9.25%、9.3%、9.35%、9.4%、9.45%、9.5%、9.55%、9.6%、9.65%、9.7%、9.75%、9.8%、9.85%、9.9%、9.95%または10%である。
【0247】
エチルセルロースの分散液は市販されている。例えば、市販のエチルセルロースの水性分散液が、商標AQUACOAT
R(FMC Corp.,Philadelphia、ペンシルバニア、米国)のもとで販売されている。AQUACOAT ECD
Rは、24.5〜29.5重量%のエチルセルロース、0.9〜1.7%のラウリル硫酸ナトリウムおよび1.7〜3.3%のセチルアルコールを含む水ベースの系である。別の市販のエチルセルロースの水性分散液が、商標SURELEASE
R(Colorcon,Inc.、West Point、ペンシルバニア、米国)のもとで販売されている。この製品は、製造過程中に、可塑剤(オレイン酸アンモニウムなど)をエチルセルロースの分散液に導入することによって製造されている(例えば、米国特許第4,123,403号および第4,502,888号を参照)。
【0248】
制御放出層を、基材層に直接、または基材層に適用した所望による封止コート層に適用する。本発明で提供される組成物の放出プロフィールを、放出制御成分の厚みならびに放出制御成分として選択したポリマーの性質によって調整することができる。
【0249】
v.所望による仕上げコート
一部の態様において、仕上げコートを制御放出層上に適用して、均一性を供するか、または浸食されうる層を供する。これは、ほぼ球形の複数微粒子からの活性成分の放出速度を操作するため、または抗血小板剤の標的放出のための生体接着剤として、または粘着性のないビーズ表面を供するためである。一部の態様において、所望による仕上げコートを用いて、ほぼ球形の複数微粒子の取扱いおよび計量を助ける(例えば、カプセル充填または錠剤化のため)。仕上げコートは、親水性ポリマー、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、他のセルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、デンプン、キサンタンゴム、ジェランガム、修飾デンプン、アクリルポリマーまたはポリビニルピロリドン(PVP)またはこれらの組合せを含むことができる。また、仕上げコートは、可塑剤および追加の固体、例えば、タルクまたは酸化チタンを含むこともできる。通常、仕上げコート溶液/懸濁液は、約0.25〜約15%の合計固体内容物、例えば、約0.5〜約10%のポリマー−可塑剤固体を含んでいる。
【0250】
一部の態様において、仕上げコート層は、ほぼ球形の複数微粒子(被覆されたコア)の全重量の約0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、1.25%、1.3%、1.35%、1.4%、1.45%、1.5%、1.55%、1.6%、1.65%、1.7%、1.75%、1.8%、1.85%、1.9%、1.95%、2%、2.05%、2.1%、2.15%、2.2%、2.25%、2.3%、2.35%、2.4%、2.45%、2.5%、2.55%、2.6%、2.65%、2.7%、2.75%、2.8%、2.85%、2.9%、2.95%、3%、3.05%、3.1%、3.15%、3.2%、3.25%、3.3%、3.35%、3.4%、3.45%、3.5%、3.55%、3.6%、3.65%、3.7%、3.75%、3.8%、3.85%、3.9%、3.95%、4%、4.05%、4.1%、4.15%、4.2%、4.25%、4.3%、4.35%、4.4%、4.45%、4.5%、4.55%、4.6%、4.65%、4.7%、4.75%、4.8%、4.85%、4.9%、4.95%、5%、5.05%、5.1%、5.15%、5.2%、5.25%、5.3%、5.35%、5.4%、5.45%、5.5%、5.55%、5.6%、5.65%、5.7%、5.75%、5.8%、5.85%、5.9%、5.95%、6%、6.05%、6.1%、6.15%、6.2%、6.25%、6.3%、6.35%、6.4%、6.45%、6.5%、6.55%、6.6%、6.65%、6.7%、6.75%、6.8%、6.85%、6.9%、6.95%、7%、7.05%、7.1%、7.15%、7.2%、7.25%、7.3%、7.35%、7.4%、7.45%、7.5%、7.55%、7.6%、7.65%、7.7%、7.75%、7.8%、7.85%、7.9%、7.95%、8%、8.05%、8.1%、8.15%、8.2%、8.25%、8.3%、8.35%、8.4%、8.45%、8.5%、8.55%、8.6%、8.65%、8.7%、8.75%、8.8%、8.85%、8.9%、8.95%、9%、9.05%、9.1%、9.15%、9.2%、9.25%、9.3%、9.35%、9.4%、9.45%、9.5%、9.55%、9.6%、9.65%、9.7%、9.75%、9.8%、9.85%、9.9%、9.95%および10%である。ある種の適用のために、少量の非水性溶媒または担体を仕上げコート中に含ませうることが意図される。
【0251】
市販の皮膜コーティング配合物を使用することができる。所望による仕上げコート中に含ませうる例示の市販配合物は、ポリマーとして低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでいる。これは、例えば、商標OPADRY
R(Colorcon Corporation,West Point、ペンシルバニア)のもとで販売されている市販配合物である。任意の適する可塑剤を含ませることができる。また、消泡剤を含ませることもできる。例示の消泡剤には、シリコーンまたはポリジメチルシロキサン、例えば、Dow Corning
R MEDICAL ANTIFOAM A COMPOUND(Dow Corning、Midland、ミシガン)(これは、シメチコーンUSPである)が含まれる。
【0252】
所望による仕上げコートを、水性コーティング系または有機溶媒コーティング系を用いて堆積された制御放出層上に積層することができる。一部の態様において、有機溶媒コーティング系を用いて堆積された制御放出層は、十分に滑らかであり、所望による仕上げコートが不要である。
【0253】
2.医薬供給形態
本発明で提供される組成物を、経口または他の投与経路に適する形態で供することができる。
a.経口投与のための組成物
ある種の態様において、固体、ゲルまたは液体のいずれかである経口医薬投薬形態が提供される。本明細書中に記載されるように調製した被覆複数微粒子、例えば、球形またはほぼ球形の顆粒、ペレットまたはビーズを、投薬単位形態、例えば、カプセル、錠剤、丸剤、トローチ、芳香錠、糖衣錠、ウエハー、粉剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、カプレット、ロゼンジまたは溶解性フィルムとして、またはいずれかの他の適する投薬形態で供することができる。一部の態様において、異なる放出速度を有する被覆複数微粒子を調製し、混合する。例えば、血小板数減少剤を6〜8時間の時間枠にわたって放出する被覆複数微粒子を、血小板数減少剤を2〜4時間の時間枠にわたって放出するか、または血小板数減少剤を10〜12時間の時間枠にわたって放出する被覆複数微粒子とブレンドすることができる。
【0254】
一部の態様において、制御放出複数粒子を、血小板数減少剤を含む0〜50%の即時放出微粒子と混合することができる。一部の態様において、血小板数減少剤の即時放出配合物を含む即時放出微粒子50%と本明細書中に記載される制御放出微粒子50%のブレンドを、経口医薬投薬形態(例えば、固体、ゲルまたは液体)で、特にカプセルまたは錠剤の形態で供する。
【0255】
本発明で提供される1つまたはそれ以上の血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、対象に投与するための固体投薬形態に含ませることができる。1つの態様において、胃液によって摂取および接触されたときに有効な制御放出用量を供するのに十分な量で、制御放出ビーズをカプセルに入れる。カプセルは、硬質または軟質ゼラチンカプセルであることができるか、または非ゼラチン物質から作られていてよい(例えば、米国特許第5,342,626号および第6,214,376号を参照)。ある種の態様において、本発明で提供される経口投与のための医薬組成物は、ゼラチンまたは他の適するポリマーから作られた押し込み型カプセルを含んでいる。ある種の態様において、本発明で提供される経口投与のための医薬組成物は、ゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)から作られた軟質の封止されたカプセルを含み、これに、本発明で提供される血小板数減少剤を含む制御放出組成物が入れられる。
【0256】
また、本発明で提供される制御放出組成物を、当分野で既知の任意の方法を用いて錠剤に圧縮することもできる。例えば、本発明で提供される組成物を、医薬的に許容しうる母材と混合し、錠剤に圧縮することができる。圧縮した錠剤を、例えば、本発明で提供される組成物と結合特性および/または崩壊特性の付加を意図した賦形剤とを混合することによって製造することができる。この混合物を、当業者には既知の方法および機械装置を用いて、直接圧縮するか、または顆粒化した後に圧縮する。次いで、得られた圧縮錠剤投薬単位を、市場の必要性に応じてパッケージすることができる(例えば、単位用量、ロール、大きい瓶またはブリスターパック)。例えば、溶融したステアリルアルコールを、本発明で提供される組成物と混合し、次いでタルクおよびステアリン酸マグネシウムと混合してブレンドを得ることができる。次いで、得られたブレンドを、錠剤プレスを用いて錠剤に圧縮することができる。従来の打錠機および操作(直接圧縮を含む)を使用することができる。医薬固体投薬形態の製造に従事している各個人は、医薬工業において固体投薬形態の製造に使用する方法および機械装置に精通している。経口錠剤の種類には、圧縮錠剤、ロゼンジおよび被覆錠剤(腸溶−、糖−または皮膜−コーティングを含む)が含まれる。
【0257】
ある種の態様において、本発明で提供される制御放出組成物は、経口、舌下または口腔投与に使用される。ある種のこのような医薬組成物は、従来のように配合された錠剤またはロゼンジである。また、経口配合物は、本明細書中に記載される制御放出組成物を含む食用フィルムまたは易溶解性フィルムであることもできる。易溶解性の食用フィルムおよびその製造方法は、当分野で周知である(例えば、米国特許第6,596,298号;第6,656,493号;第6,923,981号;および第7,241,411号を参照)。
【0258】
ある種の態様において、本明細書中に記載される制御放出組成物を含む固体投薬形態、例えば、錠剤、丸剤、カプセルおよびトローチは、結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑剤;流動促進剤;甘味剤;および湿潤剤のいずれかまたはこれらの組合せを含有する。
【0259】
本発明で提供される組成物において使用するための結合剤の例には、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチンおよびデンプンペーストが含まれる。滑剤には、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウムおよびステアリン酸が含まれる。希釈剤には、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムが含まれる。流動促進剤には、コロイド二酸化ケイ素が含まれるが、これに限定はされない。崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースが含まれる。着色剤には、例えば、あらゆる認可され承認された水溶性FDおよびC染料、これらの混合物、およびアルミナ水和物上に浮遊させた水不溶性FDおよびC染料が含まれる。甘味剤には、スクロース、ラクトース、マンニトールおよび人工甘味剤、例えば、サッカリン、スクラロース、ネオテーム、アセサルフェームカリウムおよびアスパルテームが含まれる。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコールおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが含まれる。
【0260】
一部の態様において、所望による腸溶コーティングを含ませて、制御放出投薬形態を胃の酸性環境から保護する。例えば、組成物を、胃においてその完全性を維持し、腸において活性薬剤を放出する外側の腸溶コーティングを含むように配合することができる。腸溶コーティングは当分野で周知である。例えば、腸溶コーティングには、以下に挙げるものが含まれるが、これらに限定はされない:アクリル樹脂、脂肪、脂肪酸、ワックス、ワックス混合物、セラック、アンモニア処理セラック、フェニルサリチレート、メタクリル酸コポリマー(商標EUDRAGIT
Rポリマーのもとで市販されているものなど)、マレイン酸コポリマー、例えば、スチレンマレイン酸コポリマー、ポリ(メチルビニルエーテル)マレイン酸(商標GANTREZ
Rモノエステル樹脂のもとで市販されているものなど)、ならびに、以下のポリマーのフタル酸またはコハク酸塩:酢酸セルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリ酢酸ビニル、またはこれらの組合せ。
【0261】
また、本発明で提供される制御放出組成物は、組成物の成分、例えば、懸濁液として投与することもできる。懸濁液は、医薬的に許容しうる懸濁剤、例えば、キサンタンゴム、カラギーン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、グアーまたはクレー(例えば、商標VEEGUM
Rのもとで市販されているもの)、および防腐剤を使用する。
【0262】
b.他の投与経路のための組成物
また、他の投与経路(直腸投与など)も、本発明において意図されている。ある種の態様において、医薬組成物を局所投与(直腸投与など)のために製造する。直腸投与のための医薬投薬形態には、全身性作用のための直腸座剤、カプセルおよび錠剤が含まれるが、これらに限定はされない。ある種の態様において、本発明で提供される制御放出組成物を、直腸投与(座剤など)のために製造する。直腸座剤は、体温で溶融または軟化するように配合された直腸に挿入するための固体投薬形態である。直腸座剤において使用する医薬的に許容しうる物質は、ベース媒剤、例えば、ココアバター、ポリオキシエチレングリコール(例えば、商標carbowax
TMのもとで入手可能)、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン−ゼラチンの組合せ、および脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリ−グリセリドの適当な混合物を含んでいる。様々なベース媒剤の組合せを使用することができる。座剤は、所望により融点を高める薬剤を含むことができる。座剤の融点を高める薬剤には、例えば、鯨ろうおよびワックスが含まれる。直腸座剤は、圧縮法または成形のいずれかによって製造することができる。直腸投与のための錠剤およびカプセルは、経口投与のための配合物のものと同一の医薬的に許容しうる物質および同一の方法を用いて製造される。
【0263】
F.被覆微粒子の製造方法
本発明で提供される制御放出組成物の被覆微粒子は、当分野で既知の任意の適当な方法を用いて製造することができる。例えば、様々なコーティング層を、従来のコーティング法、例えば、パンコーティング、流動床コーティング、流動床底部噴霧コーティング、空気サスペンションコーティング、圧縮コーティング、噴霧乾燥、噴霧凝固、溶媒蒸発、コアセルベーション、および界面複合化などによって、固体支持体(例えば、水溶性、膨潤性または不溶性コア)に適用することができる。ポリマーの溶液または懸濁液を、従来のコーティングパンにおいて、あるいは、自動システム、例えば、Fluidized Bed Processor(例えば、Glatt Air Techniques Inc.,Ramsey、ニュージャージーから入手可能)または頂部噴霧または底部噴霧流動床塗布機(例えば、Precision Coater
TM、Niro Inc.,Columbia、メリーランドから入手可能)を用いて適用することができる。流動床は、粒子の間を上方に通過する空気または気体の流れの中に浮遊する固体粒子の床(ベッド)であり、その中でコーティング物質がエアロゾル化される。空気が粒子床を通って進むときに、粒子は、気体または空気の流れの中でコーティング物質と混合され、こうして被覆され、また乾燥される。
【0264】
1つの態様において、複数の水溶性、膨潤性または不溶性コア微粒子、例えば、非パレイル(non−pareil)ビーズに、血小板数減少剤(例えば、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド)を含む基材層を被覆し、そして制御放出層を積層する。この態様においては、例えば、血小板数減少剤を水に分散させ、次いで分散させた活性薬剤を基材(例えば、非パレイル18/20ビーズ)上に適用することによって、治療活性量の血小板数減少剤を被覆したビーズを調製する。分散液は、当分野で既知の任意の方法、例えば、噴霧、流動床加工またはパンコーティングによって適用することができる。また所望により、血小板数減少剤(例えば、アナグレリドまたは3−OHアナグレリド、またはこれらの誘導体もしくは類似体)の固体支持体への結合を助けるために、固体支持体(例えば、非パレイルビーズ)への適用前に、追加の成分を基材層溶液に加える。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはこれらのブレンドを基材層溶液に加え、この基材層溶液を、基材層溶液の固体支持体上への適用前に混合することができる(例えば、約60〜120分間)。次いで、得られた基材層を含む被覆固体支持体コア(例えば、アナグレリドまたは3−OHアナグレリドを含む基材層を含む非パレイルビーズ)に、所望により封止コート層を上被覆して、例えば、血小板数減少剤を制御放出層から分離することができる。適する封止コート層の例は、セルロース誘導体ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである。当分野で既知の任意の皮膜形成ポリマーを使用することができる。
【0265】
次いで、基材層および所望により封止コート層を含む固体支持体コアに、1つまたはそれ以上の制御放出ポリマーを含む溶液を上被覆する。1つの態様において、制御放出ポリマーを含む溶液は、エチルセルロースの水性分散液、例えば、予め配合したエチルセルロースの水性分散液、例えば、商標AQUACOAT
Rまたは商標SURELEASE
Rのもとで市販されている水性分散液である。制御放出ポリマーを、活性成分を含む基材層または封止コート層(存在するとき)上に、当分野で既知の任意の適する噴霧装置を用いて噴霧することによって適用することができる。被覆された基材が水溶液(例えば胃液)に暴露されたときに、活性成分の予め決めた制御放出を得るのに十分な量の制御放出ポリマーを適用する。制御放出ポリマー層を適用した後に、さらなる仕上げコート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)の上被覆を、所望によりビーズに適用する。この仕上げコートは、それが存在するとしても、ビーズの凝集を低減するため、および加工を助けるために供することができる。
【0266】
着色剤を、基材層、所望による封止コート層、制御放出層または所望による仕上げコーティングのいずれかに加えることができる。例えば、着色剤を、エチルセルロースの水性分散液または血小板数減少剤を含む溶液に加えることができる。着色剤には、例えば、あらゆる認可され承認された水溶性FDおよびC染料、これらの混合物;およびアルミナ水和物上に浮遊させた水不溶性FDおよびC染料、製粉したアルミニウムレーキおよび不透明化剤(二酸化チタンなど)が含まれる。
【0267】
例えば、アナグレリド基材層溶液(アナグレリドコーティング溶液)を、固体コア上に噴霧被覆することができる。このコーティング溶液は、使用する製造装置および条件に対して適切な量の固体を含んでいる。アナグレリド被覆したビーズを、本明細書中ではアナグレリド担持ビーズと称する。このアナグレリド担持ビーズを用いて、即時放出および制御放出配合物を製造する。コーティング溶液を、薬物担持ビーズのために調製することができる。投薬形態(錠剤およびカプセルを含む)を、制御放出ビーズまたは即時放出ビーズと制御放出ビーズの組合せから製造して、血小板数減少剤(例えば、アナグレリド、3−OHアナグレリド、またはこれらの類似体もしくは誘導体)の所望の放出プロフィールを達成することができる。本明細書中に記載される制御放出組成物を含有するカプセルを製造するための例示の製造スキームを、以下のスキームIIに示す。
【0268】
スキームII:アナグレリドカプセル製造方法のフローチャート
【化4】
【0269】
G.製造物品
本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、パッケージ用物質、該パッケージ用物質中の本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物(これは、対象の血小板数の低減に、あるいは、高い血小板カウントによって特徴付けられる疾患または障害あるいは血小板が関与している疾患または障害の1つまたはそれ以上の症候の防止または改善に有効である)、および本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む組成物が、対象の血小板数の低減に、あるいは、血小板媒介の疾患または障害あるいは血小板が関与している疾患または障害の1つまたはそれ以上の症候の処置、防止または改善に使用するものであることを示すラベルを含有する製造物品としてパッケージすることができる。
【0270】
本発明で提供される製造物品は、パッケージ用物質を含有する。医薬製品をパッケージする際に使用するためのパッケージ用物質は、当業者にとって周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号を参照。医薬パッケージ用物質の例には、ブリスターパック、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、瓶、ならびに選択した配合物および意図する投与および処置の様式に適するあらゆるパッケージ用物質が含まれるが、これらに限定はされない。本発明で提供される制御放出組成物は、血小板が症候または原因に対する媒介物または寄与物であるあらゆる疾患または障害のための処置を意図するものである。
【0271】
ある種の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を含有する1つまたはそれ以上の単位投薬形態を含有しうるパックまたはディスペンサーデバイス中に供された医薬組成物として供することができる。このパックは、例えば、金属またはプラスチックホイルを含有することができる(ブリスターパックなど)。このパックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための指示を伴うことができる。また、このパックまたはディスペンサーは、医薬の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式で容器に付随する掲示を伴うこともできる(この掲示は、ヒトまたは獣医学投与のための薬物の形態の該機関による認可を示すものである)。このような掲示は、例えば、処方薬に対して米国食品医薬品局により認可されたラベル、または認可された製品挿入物であることができる。また、適合性の医薬担体中に配合された本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を含有する組成物を、調製し、適当な容器に入れ、示された症状の処置についてラベルを貼ることもできる。
【0272】
H.血小板数減少剤の活性を測定するためのアッセイ
血小板カウントを低減する一部の薬剤は、他の細胞系統、特に他の造血細胞系統にも影響を及ぼすことができる。本発明で提供される方法において、恐らくは巨核球系統に対して独占的ではないが、血小板数減少剤が他の細胞型に対して限定された特異性を有するように、該血小板数減少剤を選択することができる。推定的有用薬剤を試験する1つの方法は、血小板または血小板前駆体(例えば、巨核球または巨核球前駆体)を試験化合物に暴露し、その後に、その形態学(例えば、適当な細胞染色法、例えばWright染色を用いる)、その数(例えば、Coulterカウンターを用いる)および/またはそのコロニー形成能力を試験するインビトロアッセイを行うことである。この後者アッセイは、巨核球系統または巨核球系統に分化することが知られているセルライン(そのいくつかは当分野で樹立されており、その例にはBa/F3およびUT−7/GMセルラインが含まれる)、または一次造血組織(骨髄など)のいずれかを用いて行うことができる。巨核球コロニーの数および性質を、推定的有用薬剤の存在および不存在の関数として測定することができる。
【0273】
細胞を半固体培養物において細胞集団からの最大巨核球コロニー成長を刺激するのに十分なトロンボポイエチンの量で培養することによって、アッセイを行うことができる。次いで、推定的有用薬剤を培養物に漸増して入れて、巨核球コロニー形成を低減するのに必要な量を測定する。このようにして、巨核球成長を完全に阻害するのに必要な推定的有用薬剤の量に加えて、特定の百分率で成長を阻害する量を決定することもできる。例えば、インビボで血小板カウントの低減を達成するために巨核球成長および増殖を50%低減することが望ましい場合、アッセイを用いて巨核球コロニー成長を50%阻害するにの必要な推定的有用薬剤の量を決定することができる。クローン形成アッセイの重要な利点は、多種多様の造血細胞型に対する推定的有用薬剤の効果を分析する能力である。成長因子の適切なカクテルを用いて、様々な造血系統の成長を培養物において刺激することができるので、各系統に対する推定的有用薬剤の効果を研究することができる。即ち、推定的有用薬剤を、巨核球系統に対するその選択的作用について、さらにスクリーニングすることができる。クローン形成アッセイは、当業者によって日常的に使用されており、高処理能力スクリーニングになじみやすい。
【0274】
推定的有用薬剤の生物学的活性を測定する別の方法は、動物(マウスなど)に化合物を注射し(例えば静脈内)、次いで巨核球成長および増殖または血小板産生について分析するインビボアッセイを行うことである。造血性集団(骨髄および脾臓など)を、処置した動物から収穫し、インビトロ半固体クローン形成培養物にプレーティングして、巨核球に対する推定的有用薬剤の効果を測定することができる。試験動物に由来する巨核球コロニーの数および性質を、対照担体(例えば、塩水)を注射した動物のものと比較すべきである。別法によれば、動物の血小板カウントを直接アッセイすることができる。これを多数の方法で行うことができ、これには、動物から採血し(通常は尾静脈または眼窩後静脈から)、血小板の数を自動細胞カウンター(例えば、Coulterカウンター)の使用によって、または血球計を用いて手動で数えることによる方法が含まれる。
【0275】
また、このようにして推定的有用薬剤を注射した動物において、有害副作用を試験することもできる。1つの可能な有害副作用は、血小板の重度の低減のゆえに凝固ができないことでありうる。凝固機能を評価するために、実験的に引き起こした傷からの出血が凝固(即ち停止)するのに必要な時間を測定する通常の出血アッセイを使用することができる。血小板カウントおよび出血アッセイは、血小板カウントおよび血小板活性の尺度として、ヒト対象において日常的に行われている。100×10
3血小板/μl血液を超える血小板カウントを有するヒト対象は、一般に無症候であり、その出血時間は正常範囲内である。10分未満の出血時間が正常と考えられる。血小板カウントが100×10
3血小板/μlを下回ると、出血時間が延び、血小板カウントに直線的に関連するようである。50×10
3血小板/μl未満の血小板カウントを有するヒト対象は、容易なあざを体験し、一方、20×10
3血小板/μl未満の血小板カウントを有する対象は、自然発生的な内部出血を起こしやすい。血小板カウントおよび出血アッセイは、当業者により日常的に実施されており、Harrison’s Principles of Internal Medicine、Isselbacher、McGraw Hill、ニューヨーク(1994)に教示されている。
【0276】
I.組成物の使用方法
本発明で提供されるのは、対象の血小板カウントを低減するための方法である。1つの態様において、この方法は、少なくとも3ヶ月間の貯蔵安定性を有する形態にある血小板数減少剤の制御放出組成物を対象に投与する工程を含み、この際に、該組成物は、対象の血小板カウントを処置前レベルの少なくとも10%低減するのに有効な血小板数減少剤の量を供給し、この際に、該制御放出組成物は、血小板数減少剤の治療使用を妨げるかまたは制限する臨床症候を明白に引き起こすことがない量で血小板減少剤を放出する。一部の態様において、血小板減少剤は水和結晶形態にある。一部の態様において、血小板減少剤の水和結晶形態は、少なくとも6ヶ月間の貯蔵期間にわたって実質的に維持される。一部の態様において、血小板減少剤の水和結晶形態は、少なくとも12ヶ月間の貯蔵期間にわたって実質的に維持される。
【0277】
別の態様は、対象の血小板カウントを低減するための方法であって、該方法が、本明細書中に記載される制御放出組成物を対象に投与することを含み、該組成物が、対象の血小板カウントを処置前レベルの少なくとも10%低減するのに有効な血小板数減少剤の量を供給し、該制御放出組成物が、血小板数減少剤の治療使用を妨げるかまたは制限する臨床症候を明白に引き起こすことがない速度および量で血小板減少剤を供給する方法を提供する。
【0278】
本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、単独でまたは血小板数減少剤の即時放出配合物と組合せて使用する(例えば、処置のために投与する)方法が提供される。この方法は、対象の血小板数を低減するため、ならびに、血小板が関与している疾患または障害(例えば、血栓または血栓塞栓事象、血管疾患および骨髄増殖性障害)の1つまたはそれ以上の症候の処置、防止および/または改善のために、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を対象に投与することを含んでいる。
【0279】
正常血小板カウントを有するとみなされる集団における血小板数の関連性が、他では健康な人における冠動脈性心疾患の死亡率が、高正常血小板カウントを有する対象において上昇するという発見によって示唆されていた[例えば、Thaulowら、Circulation 84:613−617(1991)を参照]。さらに、CADILLAC試験(心筋梗塞直後の2000人を超える患者におけるPTCA−対−ステント挿入およびアブシキマブ有り−対−アブシキマブ無しの前向きランダム化2×2要因計画研究)の結果の分析は、比較的高い血小板カウントを有する患者が比較的高いピーク心筋酵素レベルを有していたことを示し、比較的高い血小板カウントを有する患者が広範囲の血栓症および比較的多い梗塞を有していたことを示唆した[例えば、Stoneら、N Eng J Med 346:957−966(2002)、およびNikolskyら、Am J Cardiol 99:1055−1061(2007)を参照]。低用量のアナグレリドを用いて控えめにのみ正常血小板カウントを低下させると(低正常範囲、即ち止血を損なわないレベルまで)、アテローム血栓事象の発生を顕著に減少させ、アスピリンまたはクロピドグレルよりも好ましいリスク/利益プロフィールを示すであろう。さらに、アスピリンおよび/またはクロピドグレルと組合せた血小板低下療法は、有意の追加リスクを伴わずに抗血栓効果をさらに高めるであろう。
【0280】
骨髄増殖性障害(本態性血小板血症など)を有する対象にとって、血小板カウントは非常に高くなっており、閉塞性心血管事象は普通のことである。本態性血小板血症において、血小板数の低減は、アテローム血栓リスクの低減における重要因子として認識されている[例えば、Cortelazzoら、J Clin Oncol 8:556−562(1990)、およびFenauxら、Cancer 66:549−556(1990)]。血小板カウントの低下は、このような事象のリスクを薬理学的に低減する。
【0281】
即ち、正常レベルの循環血小板を有する対象および高い循環血小板数を有する対象(例えば、ある種の骨髄増殖性疾患または障害において普通である)を含む対象は、低正常または正常以下レベルへの血小板カウントの低減によって、血小板カウント低減の結果としての重大な有害帰結を伴うことなく、医学的利益を得ることができる。この利益は、広い安全性範囲において、血小板カウントの低減に比例的または相関的であることができる。即ち、正常レベルの循環血小板によって一部媒介される病的症状または過程を阻害することが望ましい状況において、対象を処置して血小板カウントを低正常または正常以下レベルまで低下させることができ、それにより、症状の発症、進行または伝播を阻害するか、またはその逆行を促進または増強する。一部の態様において、本方法は、骨髄増殖性疾患(例えば、本態性血小板血症、特発性骨髄線維症または真性赤血球増加症)と診断された対象の循環血小板の数を、高レベルから近正常、正常、または低正常レベルい低減する。また、本発明で提供される方法は、血小板の存在によって誘導される異常血管増殖の発生を低減するためにも有用である。
【0282】
本発明で提供されるのは、少なくとも一部が血小板によって媒介される有害症状の発症のリスクを低減するため、または有害症状の進行および結果を阻害するために、対象を処置する方法である。1つの態様において、血小板カウントを低正常レベルに低減するために対象を処置する。この方法は、医薬的有効量の本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を投与し、これにより対象の血小板カウントを低減することを含んでいる。
【0283】
また提供されるのは、循環血小板の数の低下によって利益を受ける対象を処置する方法である。例えば、提供されるのは、既存の血栓の成長の阻害または血管閉塞事象(血栓事象など)のリスクの低下によって利益を受ける対象を処置する方法である。また提供されるのは、血管閉塞事象を防止または処置するために、対象の血小板カウントを、例えば、高い血小板カウントを有する対象においては正常レベルに、正常血小板カウントを有する対象においては低正常または正常以下レベルに低減する方法である。また提供されるのは、血管疾患を有すると診断された対象を処置する方法である。また提供されるのは、血液学的増殖性障害、例えば、骨髄増殖性疾患または障害(本態性血小板血症、真性赤血球増加症および特発性骨髄線維症を含む)を有すると診断された対象を処置する方法である。また提供されるのは、血管修復および/または血管再生の目的で外科的または機械的介入手術を受けようとする対象または既に受けた対象を処置する方法である。
【0284】
本発明で提供される方法の一部の態様において、対象は、血小板数減少剤による処置を求める症候を他には有さない。対象は見掛け上健康であってよい。一部の態様において、対象は、特に血小板カウントを低減する薬剤による処置を通例は求める症候を示さない。例として、対象は、アナグレリドが通常は処方される障害(例えば、骨髄増殖性疾患)の徴候、症候または証拠を他には有さない対象であってよい。一部の態様において、対象は、骨髄増殖性疾患または障害を有すると診断されている。一部の態様において、対象は、真性赤血球増加症を有すると診断されている。一部の態様において、対象は、本態性血小板血症を有すると診断されている。一部の態様において、対象は、特発性骨髄線維症を有すると診断されている。一部の態様において、対象は、血液学的増殖性障害によっては引き起こされない異常に高い血小板レベル(即ち、正常範囲よりも高い血小板カウント)を有している。一部の態様において、対象は、正常範囲を超える血小板カウントを有していることもあるが、どのような根底にある血液学的増殖性障害をも伴わない。一部の態様において、対象は、血小板数低下療法の必要性を示す血液学的増殖性障害(例えば、骨髄増殖性疾患または障害)を有すると診断されていない。一部の態様において、対象は、処置前に正常血小板カウントを有している。一部の態様において、対象は、平均正常レベルよりも高い血小板カウントを有しているが、なお正常範囲内とみなされる。例として、450×10
3血小板/μlの血小板カウントを有する対象が、正常範囲の上限にあると考えられ、本発明で提供される方法によって処置することが意図されている。
【0285】
本発明で提供される方法において、血管閉塞事象を防止または処置するために、対象の循環血小板の数を、高い血小板カウントを有する対象においては近正常または正常レベルに、正常血小板カウントを有する対象においては低正常または正常以下レベルに低減することができる。
【0286】
本方法は、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、血小板カウントの低減を与える投薬量で投与することを含んでいる。一部の態様において、本方法は、骨髄増殖性障害を有する対象に、本明細書中に記載される組成物を投与して循環血小板を低減し、医学的に許容しうるレベルまでの血小板カウントを得ることを含んでいる。一部の態様において、本方法は、骨髄増殖性障害を有する対象に、本明細書中に記載される組成物を投与して循環血小板を低減し、医学的に許容しうるレベルの血小板カウントを得ることを含んでいる。一部の態様において、本方法は、骨髄増殖性障害を有する対象に本明細書中に記載される組成物を投与して循環血小板を低減し、1,000×10
3、950×10
3、900×10
3、850×10
3、800×10
3、750×10
3、700×10
3または650×10
3、600×10
3、590×10
3、580×10
3、570×10
3、560×10
3、550×10
3、540×10
3、530×10
3、520×10
3、510×10
3、500×10
3、490×10
3、480×10
3、470×10
3、460×10
3、450×10
3、440×10
3、430×10
3、420×10
3、410×10
3、400×10
3、390×10
3、380×10
3、370×10
3、360×10
3、350×10
3、340×10
3、330×10
3、320×10
3、310×10
3、300×10
3、290×10
3、280×10
3、270×10
3、260×10
3、250×10
3、240×10
3、230×10
3、220×10
3、210×10
3、200×10
3、190×10
3、180×10
3、170×10
3、160×10
3または150×10
3血小板/μlに等しいかまたはそれ未満の血小板カウントを得ることを含んでいる。
【0287】
一部の態様において、本方法は、心血管疾患または血栓または血管閉塞障害を有する対象あるいは心血管疾患または血栓または血管閉塞障害のリスクにある患者に、本明細書中に記載される組成物を投与して循環血小板を低減し、410×10
3、400×10
3、390×10
3、380×10
3、370×10
3、360×10
3、350×10
3、340×10
3、330×10
3、320×10
3、310×10
3、300×10
3、290×10
3、280×10
3、270×10
3、260×10
3、250×10
3、240×10
3、230×10
3、220×10
3、210×10
3、200×10
3、190×10
3、180×10
3、170×10
3、160×10
3または150×10
3血小板/μlに等しいかまたはそれ未満の血小板カウントを得ることを含んでいる。
【0288】
一部の態様において、血小板カウントを、ヒト対象において、250×10
3血小板/μlを下回るが、150×10
3血小板/μlに等しいかまたはそれを上回るまで低減する。一部の態様において、血小板カウントを、150×10
3血小板/μlまで低減する。一部の態様において、血小板カウントを、ヒト対象において、150×10
3血小板/μlを下回るが、100×10
3血小板/μlを上回るまで低減する。
【0289】
一部の場合において、正常範囲の血小板カウントを有する対象を処置してその血小板カウントを低減し、これによって血管閉塞事象のリスクを低減することが望ましいこともある(たとえ、処置後の血小板カウントがなお正常範囲にあるとしても)。例として、本発明で提供される方法を用いて、450×10
3血小板/μlの血小板カウント(これは高いがなお正常範囲内にある)を有する対象を処置することができる。対象を処置して、血小板カウントを、正常範囲内の比較的低いレベル(例えば、本明細書中に記載した低正常レベル)まで、または正常以下レベルまで低減することができる。
【0290】
血小板数の低減を、対象の処置前血小板カウントの百分率(%)として測定することができる。即ち、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、血小板カウントを処置前レベルの少なくとも10%〜少なくとも95%低減するのに有効な量で投与することができる。一部の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、血小板カウントを処置前レベルの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低減するのに有効な量で投与する。一部の態様において、対象は、血液学的増殖性障害のゆえでありうる異常に高いレベルの循環血小板(例えば、500×10
3血小板/μlを超える、または600×10
3血小板/μlを超える血小板カウント)を有さない正常対象である。一部の態様において、対象は、正常範囲内である高レベルの循環血小板を有する正常対象である。一部の態様において、対象は、正常範囲を上回る血小板カウントを有するが、それでも血液学的増殖性障害を有さない対象であってよい。一部の態様において、血小板を、処置前レベルの少なくとも20%低減する。一部の態様において、血小板を、処置前レベルの少なくとも20%〜少なくとも90%低減する。さらなる他の態様において、血小板を、処置前レベルの50%を超えて低減する。
【0291】
絶対レベルを下回る血小板カウントの低下(例えば、200×10
3血小板/μlを下回るなど)および処置前レベルに対する血小板カウントの特定の百分率低下(例えば、少なくとも10%など)を達成するように、対象を処置することができる。例として、血小板カウントを少なくとも20%低減し、200×10
3血小板/μl未満の血小板カウントを達成するように、対象を処置することができる。
【0292】
本発明で提供される処置方法は、対象の循環血小板数を低減する薬剤を含む本明細書中に記載される制御放出組成物を、対象に投与することを含んでいる。循環血小板数を低減するあらゆる薬剤を、本発明で提供される方法において使用することができる。例示の血小板数減少剤には、アナグレリド、3−OHアナグレリドおよび上記したアナグレリドの活性な代謝産物、類似体および/または誘導体の全てが含まれる。別の例示の血小板数減少剤は、ヒドロキシ尿素単独またはアナグレリド、3−OHアナグレリドおよび上記したアナグレリドの活性な代謝産物、類似体および/または誘導体の全てと組合せたヒドロキシ尿素である。
【0293】
一部の態様において、循環血小板カウントのみを低減する特異的効果を有するが、他の細胞型のレベルに影響を与えない血小板数減少剤を選択する。一部の態様において、血小板数を低減し、かつ他の細胞型のレベルをも低減することができる血小板数減少剤を選択する(ただし、この後者の低減が、該他の細胞型の低減に伴われる許容しえないレベルの有害副作用を誘導しない場合)。例えば、薬剤は、血小板の前駆体である巨核球の倍数性を低減することができ、他の細胞型に対してどのような望ましくない臨床的に重要な副作用をも有することなく血小板の産生速度を低減することができる。なお別の例において、薬剤は、巨核球の機能を阻害することができる。このような薬剤をどのように選択および区別するかは、当業者には明らかであろう。
【0294】
一部の態様において、本方法は、血管閉塞事象のリスクにある対象を処置する。これらの対象は、以前の血管閉塞事象を有していてもよいし、有していなくてもよい。一部の態様において、本方法は、血管閉塞事象前に、血管閉塞事象時に、および/または血管閉塞事象後に対象を処置する。1つの態様において、対象は、血管閉塞事象の症候を示すことができる。一部の態様において、本方法は、異常に高い血管閉塞事象(血栓事象など)のリスクを有する対象を処置する。対象は、血管疾患を有していてもよい。血管疾患は、動脈硬化症、心血管疾患、脳血管疾患、腎血管疾患、腸間膜血管疾患、肺血管疾患、眼血管疾患または末梢血管疾患の中から選択することができる。
【0295】
一部の態様において、処置する対象は、一次血管閉塞事象(一次血栓事象など)を有している。一部の態様において、対象を処置して、二次血栓事象のリスクを低減するか、または既存の血栓事象の伝播を阻害する。血栓事象は、動脈血栓症、冠動脈血栓症、心臓弁血栓症、冠動脈狭窄症、ステント血栓症および移植片血栓症の中から選択することができる。また、血管閉塞事象は、血栓事象または血栓塞栓事象に起因しうる障害または症状を含み、これに関して、血管閉塞事象には、心筋梗塞、脳卒中および一過性虚血発作が含まれるが、これらに限定はされない。一部の態様において、血管閉塞事象は心筋梗塞である。1つの態様において、対象は心筋梗塞を有している。また、高コレステロール血症、高血圧またはアテローム性動脈硬化症を有する対象を、本発明で提供される方法によって処置することもできる。1つの態様において、提供されるのは、血管閉塞事象(血栓による完全または部分的な血管ブロックを導きうる血栓事象などであるが、これに限定はされない)、または過剰の細胞増殖による動脈狭窄症からの対象の死亡率または罹患率を低減するために対象を処置する方法である。
【0296】
提供される方法において、本明細書中に記載される制御放出組成物を、対象の血小板カウントを低減する投薬量を供給するのに有効な量で投与する。1つの態様において、血小板カウントを、少なくとも低正常レベルまで低減する。
【0297】
一部の態様において、本方法は、血小板数減少剤がアナグレリドである本明細書中に記載される制御放出組成物を投与することを含んでいる。1つの態様において、血小板数減少剤は3−OHアナグレリドである。1つの態様において、血小板数減少剤はアナグレリドの誘導体である。1つの態様において、血小板数減少剤はアナグレリドの類似体である。
【0298】
1つの態様において、血小板数減少剤を、約0.1μg/kg/日〜約500μg/kg/日の範囲内の量で投与する。
一部の態様において、血小板数減少剤を、約0.15μg/kg/日〜約400μg/kg/日の範囲内の量で投与する。一部の態様において、血小板数減少剤を、約0.25μg/kg/日〜約250μg/kg/日の範囲内の量で投与する。一部の態様において、血小板数減少剤を、約0.5μg/kg/日〜約200μg/kg/日の範囲内の量で投与する。一部の態様において、血小板数減少剤を、約1μg/kg/日〜約150μg/kg/日の範囲内の量で投与する。一部の態様において、血小板数減少剤を、約2.5μg/kg/日〜約100μg/kg/日の範囲内の量で投与する。一部の態様において、血小板数減少剤を、約5μg/kg/日〜約75μg/kg/日の範囲内の量で投与する。一部の態様において、血小板数減少剤を、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295または300μg/kg/日の量で投与する。
【0299】
一部の態様において、本方法は、50〜2500μgの血小板数減少剤の投薬量(1回用量としてまたは2〜4分割した用量として投与される)を供する本発明で提供される制御放出組成物の投与を含んでいる。一部の態様において、本発明で提供される制御放出組成物を、50μg〜1000μgの血小板数減少剤の投薬量を含む投薬形態として供する。一部の態様において、本発明で提供される制御放出組成物を、100μg〜600μgの血小板数減少剤の投薬量を含む投薬形態として供する。一部の態様において、本発明で提供される制御放出組成物を、200μg〜500μgの血小板数減少剤の投薬量を含む投薬形態として供する。一部の態様において、本発明で提供される制御放出組成物を、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg、260μg、265μg、270μg、275μg、280μg、285μg、290μg、295μg、300μg、305μg、310μg、315μg、320μg、325μg、330μg、335μg、340μg、345μg、350μg、355μg、360μg、365μg、370μg、375μg、380μg、385μg、390μg、395μg、400μg、405μg、410μg、415μg、420μg、425μg、430μg、435μg、440μg、445μg、450μg、455μg、460μg、465μg、470μg、475μg、480μg、485μg、490μg、495μg、500μg、505μg、510μg、515μg、520μg、525μg、530μg、535μg、540μg、545μg、550μg、555μg、560μg、565μg、570μg、575μg、580μg、585μg、590μg、595μg、600μg、605μg、610μg、615μg、620μg、625μg、630μg、635μg、640μg、645μg、650μg、655μg、660μg、665μg、670μg、675μg、680μg、685μg、690μg、695μg、700μg、705μg、710μg、715μg、720μg、725μg、730μg、735μg、740μg、745μg、750μg、755μg、760μg、765μg、770μg、775μg、780μg、785μg、790μg、795μg、800μg、805μg、810μg、815μg、820μg、825μg、830μg、835μg、840μg、845μg、850μg、855μg、860μg、865μg、870μg、875μg、880μg、885μg、890μg、895μg、900μg、905μg、910μg、915μg、920μg、925μg、930μg、935μg、940μg、945μg、950μg、955μg、960μg、965μg、970μg、975μg、980μg、985μg、990μg、995μgまたは1000μgの血小板数減少剤の投薬量を含む投薬形態として供する。
【0300】
K.組合せ療法
一部の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、別の薬剤、例えば別の血小板数減少剤、または対象に普通に必要とされる別の薬剤を含むように配合する。一部の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、別の薬剤、例えば対象に普通に必要とされる薬剤とともに投与する。一部の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、他の治療薬剤と実質的に同時に投与することができる。実質的に同時とは、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、他の治療薬剤の投与と時間的に十分近接して対象に投与し、これにより、2つの化合物が付加的な効果またはさらには相乗効果を発揮しうること(例えば、血小板数を低減することおよびその凝集能力を阻害すること)を意味する。他の態様において、本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物を、他の治療薬剤の投与前または投与後に投与することができる。
【0301】
本明細書中に記載される血小板数減少剤を含む制御放出組成物は、いくつかのカテゴリーの治療薬剤を含むことができるか、またはそれとともに投与することができる。これらの薬剤は、それらの機能の点で、またはそれらが必要とされる異常の点で分類することができる。このような薬剤のいくつかの有用なカテゴリーには、血小板粘着阻害剤、血小板凝集阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子受容体(PAR)阻害剤、抗炎症剤、抗血栓剤、ADP受容体アンタゴニスト、血小板粘着阻害剤、糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、フィブリン溶解剤、脂質低減剤、レニン−アンギオテンシン系阻害剤、降圧剤、P2Y
12受容体に不可逆的に結合する化合物、化学療法抗癌薬物およびアルキル化剤(ヒドロキシ尿素など)、トロンボキサンシンテターゼ阻害剤、トロンボキサンA
2生成を阻害する化合物、細胞シグナル伝達分子およびJAK−2阻害剤が含まれるが、これらに限定はされない。
【0302】
1.血小板粘着阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる1つの広いカテゴリーの薬剤には、血小板粘着阻害剤が含まれる。これらには、コラーゲンに強く結合し、コラーゲンへの血小板粘着を阻害する化合物が含まれる[例えば、米国特許第7,090,986号およびMoritaら、FEBS Journal 273:2955−2962(2006)を参照]。血小板粘着阻害剤は、当分野で既知のアッセイ、例えば、米国特許第5,686,571号および米国特許出願公開第2007/0202108号に記載されている血小板粘着阻害剤アッセイを用いて同定することができる。例示の血小板粘着阻害剤には、カリン、ジャララギン、ヒル抗血小板タンパク質(LAPP)、サラチンおよびトリプラチンが含まれるが、これらに限定はされない。
【0303】
2.血小板凝集阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、血小板凝集阻害剤が含まれる。任意の血小板凝集阻害剤を、組成物中に含ませることができるか、または本発明で提供される組成物と組合せて投与することができる。活性化された血小板への粘着性タンパク質の結合をブロックし、血小板凝集を阻害するいくつかの種類のペプチドが、当分野において記載されている(例えば、米国特許第4,578,079号、第4,614,517号、第4,661,471号、第4,792,525号および第5,318,899号を参照)。血小板凝集阻害剤には、低分子量ポリペプチド因子、例えば、GPIIb/IIIa複合体に対して極めて高い親和性を有するヘビ毒からの因子が含まれる[例えば、Ganら、J Biol Chem 263:19827−19832(1988);Huangら、J Biol Chem 262:16157−16163(1987);およびHuangら、Biochemistry 28:661−666(1989)を参照]。血小板凝集阻害剤には、フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(即ち、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト)が含まれる。また、ネズミ抗GPIIb/IIIaモノクローナル抗体も、刺激された血小板への粘着性タンパク質の結合をブロックする。このようなモノクローナル抗体を用いて、イヌにおける組織プラスミノーゲン活性化因子による再灌流後の冠動脈再閉塞を防止している[例えば、Yasudaら、J Clin Invest 81:1284−1291(1988)を参照]。例示の血小板凝集阻害剤には、アルボラブリン、アプラギン、アスピリン、バルボウリン、バシリシン、バトロキソスタチン、ビチスタチン、セラスチン、クロピドグレル、コチアリン、クロタトロキシン、ジピリダモール、エキスタチン、エレガンチン、エリスチコフィン、フラボビリジン、ハリシン、ヘメンチン、ホリジン、イフェトロバン、ラケシン、ルトシン、モロシン、モウバチン、パリジピン、ルベリン、サルモシン、サクサトリリン、テルゲミニン、チクロピジン、トリグラミンおよびビリジアンが含まれるが、これらに限定はされない。
【0304】
3.抗炎症剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、抗炎症剤が含まれる。抗炎症剤には、アルクロフェナック;アルクロメタゾンジプロピオネート;アルゲストンアセトニド;アルファアミラーゼ;アムシナファール;アムシナフィド;アムフェナクナトリウム;アミプリロース塩酸塩;アナキンラ;アニロラック;アニトラザフェン;アパゾン;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;ベンジダミン塩酸塩;ブロメライン類;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオネート;クロベタゾンブチレート;クロピラック;クロチカゾンプロピオネート;コルメタゾンアセテート;コルトドキソン;デフラザコルト;デソニド;デソキシメタゾン;デキサメタゾンジプロピオネート;ジクロフェナックカリウム;ジクロフェナックナトリウム;ジフロラゾンジアセテート;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサール;ジフルプレドネート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エンドリゾン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラック;エトフェナメート;フェルビナック;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナック;フェンクロラック;フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザック;フラザロン;フルザコルト;フルフェナミン酸;フルミゾール;フルニソリドアセテート;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル;フルオロメトロンアセテート;フルクアゾン;フラービプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオネート;フラプロフェン;フロブフェン;ハルシノニド;ハロベタゾールプロピオネート;ハロプレドンアセテート;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;イソフルプレドンアセテート;イソキセパック;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾール塩酸塩;ロルノキシカム;ロテプレドノールエタボネート;メクロフェナメートナトリウム;メクロフェナミン酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メザラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロンスレプタネート;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;パラニリン塩酸塩;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;フェンブタゾングリセリン酸ナトリウム;ピルフェニドン;ピロキシカム;ピロキシカムシンナメート;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;プレドナゼート;プリフェロン;プロドリン酸;プロクアゾン;プロキサゾール;プロキサゾールシトレート;リメキソロン;ロマザリット;サルコレックス;サルナセジン;サルサレート;サリチレート類;サンギナリウムクロリド;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダック;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメート;タロサレート;テブフェロン;テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトリダミン;チオピナック;チキソコルトールピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;グルココルチコイド類;およびゾメピラックナトリウムが含まれる。1つの特定の抗炎症剤はアスピリンである。
【0305】
4.プラスミノーゲン活性化因子受容体アンタゴニスト
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、プラスミノーゲン活性化因子受容体(PAR)アンタゴニストが含まれる。
【0306】
2種類の既知のプラスミノーゲン活性化因子:ウロキナーゼまたはuPAおよび組織プラスミノーゲン活性化因子またはtPA;が存在する。両酵素は、血漿中に存在し、線維素溶解において決定的な役割を果たす。tPAは、血漿中で重要なプラスミノーゲン活性化因子であるようであるが、ウロキナーゼは、特異的な細胞表面ウロキナーゼ受容体(uPAR、CD87)への結合の結果として、細胞表面プラスミノーゲン活性化に関係している。uPARは、細胞プラスミノーゲン活性化の調節に決定的な役割を果たす。また、プラスミノーゲンは細胞表面結合するので、プラスミン生成の過程が細胞表面においてより効率的に進行し、プラスミンそれ自体は、細胞表面において活性であるときに阻害の影響を受けにくい[例えば、Andreasenら、International Journal of Cancer 72:1−22(1997)を参照]。既知のプラスミノーゲン活性化因子は、その生物学的半減期およびそのフィブリンに対する優先性などの特性において大きく異なる。プラスミノーゲン活性化因子は、例えば、心筋梗塞、脳卒中および動脈閉塞における血栓症の処置のための血栓溶解剤として広く使用されている(例えば、米国特許第5,098,840号、第5,004,609号、第4,851,345号および第4,258,030号を参照)。アンタゴニストは、抗体、ペプチド、タンパク質、核酸または小さい有機分子であってよい。例示のPARアンタゴニストには、2−アルキリデンヒドロキシクマラノン誘導体(米国特許第6,200,989号に記載)、シクロ[21,29][D−Cys21Cys29]−uPA2,−3oおよびその模倣薬(米国特許出願公開第2003/232389号に記載)、スピロノラクトン、イミダプリル、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI、カプトプリル、またはエナラプリル)、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(AIIRA)、デフィブロチド(ポリデオキシリボヌクレオチド)、およびポルフィリン類(欧州特許第0792647号に記載)が含まれる。
【0307】
5.抗血栓剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、抗血栓剤が含まれる。抗血栓剤には、多数の可能性ある機序によって血栓の形成を妨げる薬剤が含まれ、これには、フィブリン溶解剤、抗凝固剤、および血小板機能の阻害剤が含まれる。抗血栓剤には、凝固経路のいずれかの段階で介入することができる化学的および生物学的化合物が含まれる。具体的な化合物の例には、Xa因子の活性を阻害する小分子ならびにXa因子およびトロンビンを阻害しうるヘパリノイド型薬剤(直接的または間接的のいずれかによる)、例えば、ヘパリン、硫酸ヘパリン、低分子量ヘパリンなど(例えば、商標CLIVARIN
Rのもとで市販されているもの)、および合成オリゴ糖(例えば、商標ARIXTRA
Rのもとで市販されているもの)が含まれるが、これらに限定はされない。また含まれるのは、直接的トロンビン阻害剤(例えば、メラガトラン、キシメラガトラン、アルガトロバン、イノガトランなど)、およびトロンビンのためのPhe−Pro−Argフィブリノーゲン基質の結合部位のペプチド模倣薬である。別種類の抗血栓剤には、VII/VIIa因子阻害剤、例えば、抗−VII/VIIa因子抗体、rNAPc2、および組織因子経路阻害剤(TFPI)が含まれる。また、抗血栓剤には、アボキナーゼ、アニソイル化プラスミノーゲン−ストレプトキナーゼ活性化因子複合体、ビバリルジン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、ダゾキシベン塩酸塩、デキストラン、硫酸エフェガトラン、エミナーゼ、エノキサパリンナトリウム、イフェトロバンおよびイフェトロバンナトリウム、プラスミノーゲン、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、チンザパリンナトリウム、トリフェナグレル、ウロキナーゼおよびプロウロキナーゼ、およびワルファリンも含まれる。
【0308】
6.ADP受容体アンタゴニスト
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、ADP受容体アンタゴニストが含まれる。これらの薬物は、血小板アデノシン二リン酸(ADP)受容体の1つ(P2Y12受容体)における非競合拮抗作用によって作用する。このP2Y12受容体は、環状アデノシン一リン酸酸性を阻害し、血小板凝集を高める。例示のADP受容体アンタゴニストには、チエノピリジン誘導体クロピドグレル(商標PLAVIX
Rのもとで市販されている)、チクロピジンおよびプラスグレル(CS−747としても知られ、商標EFFIENT
TMのもとで市販される;Daiichi Sankyo Co.により開発されたものであり、チエノピリジンプロドラッグである)、スルフィンピラゾン、AZD6140、AZD6933およびAR−C69931(クロピドグレルと同様の効果を有するアンタゴニストである)が含まれる。
【0309】
7.糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤が含まれる。これらの薬剤は、血小板または巨核球によって特異的に発現される細胞表面受容体を阻害する。この受容体に結合するアンタゴニストは、可逆的または永久的に血小板−血小板の相互作用を阻害することができる。糖タンパク質IIb/IIIa受容体のアンタゴニストには、糖タンパク質IIb/IIIa受容体に結合し、フィブリノーゲンおよび他の粘着リガンドを調整するポリクローナルまたはモノクローナル抗体またはFabフラグメントが含まれる。例示の抗−糖タンパク質IIb/IIIa受容体抗体は、アブシキマブである。糖タンパク質IIb/IIIa受容体の非抗体非ペプチド経口活性アンタゴニストには、アルギニン−グリシン−アスパルテート−模倣エプチフィバチド(これは、血小板に可逆的に結合する)、フラダフィバン、ラミフィバン、ロトラフィバン、オルボフィバン、ロキシフィバン、シブラフィバン、チロフィバンおよびキセミロフィバンが含まれる。
【0310】
8.抗凝固剤および/またはフィブリン溶解剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、抗凝固剤およびフィブリン溶解剤が含まれる。抗凝固剤は、血塊の形成に必須である因子の産生、蓄積、切断および/または活性化に負の影響を及ぼすことによって凝固経路を阻害する薬剤である。タイミングまたは投与は議論の余地があるが、再発心原性塞栓を防止するために、抗凝固剤を開始することができる。凝固溶解剤(組織プラスミノーゲン活性化因子およびストレプトキナーゼを含む)が、急性脳卒中のごく初期の処置に対して評価されつつある。ニモジピンは、虚血性脳卒中後の生存および臨床結末を改善することが示されている。抗凝固剤には、ビタミンKアンタゴニスト、例えばクマリンおよびクマリン誘導体(例えば、ワルファリンナトリウム);グリコソアミノ−グリカン、例えば未分画形態および低分子量形態のヘパリン;アルデパリンナトリウム、ビバリルジン、ブロミンジオン、クマリンダルテパリンナトリウム、デシルジン、ジクマロール、リアポレートナトリウム、ナファモスタットメシレート、フェンプロクモン、スルファチド、およびチンザパリンナトリウムが含まれるが、これらに限定はされない。
【0311】
フィブリン溶解剤は、通常は酵素作用によるフィブリンの溶解によって血栓(例えば、血塊)を溶解する薬剤として定義される。血栓溶解剤の例には、アンクロッド、アニストレプラーゼ、ビソブリンラクターゼ、ブリノラーゼ、ハーゲマン因子(即ち、XII因子)フラグメント、モルシドミン、プラスミノーゲン活性化因子、例えば、ストレプトキナーゼ、TFPI、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)およびウロキナーゼ、ならびにプラスミンおよびプラスミノーゲンが含まれるが、これらに限定はされない。また、抗凝固剤には、トロンビン(FIIa)、FVa、FVIIa、FVIIIa、FIXa、FXa、FXIa、FXIIaおよびFXIIIaの阻害剤も含まれる。
【0312】
他の抗凝固剤および/またはフィブリン溶解剤には、ウロキナーゼ:アニソイル化プラスミノーゲン−ストレプトキナーゼ活性化因子複合体、プロウロキナーゼ(Pro−UK)、rTPA(アルテプラーゼまたはアクチバーゼ;ここで、rは組換えを示す)、rPro−UK、アボキナーゼ、エミナーゼ、ストレプターゼ、ビバリルジン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、ダゾキシベン塩酸塩、硫酸エフェガトラン、エノキサパリンナトリウム、イフェトロバン、イフェトロバンナトリウム、チンザパリンナトリウム、レテプラーゼ、トリフェナグレル、ワルファリン、デキストラン、抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液、抗凝固剤クエン酸リン酸デキストロースアデニン溶液、抗凝固剤クエン酸リン酸デキストロース溶液および抗凝固剤クエン酸ナトリウム溶液が含まれる。
【0313】
9.脂質低減剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、脂質低減剤およびコレステロール調整剤が含まれる。例えば、HMGCoAレダクターゼ阻害剤(通常はスタチンと称される)は、コレステロール代謝の制御において周知の機序を有しており、通常は心血管疾患のリスクにあるかまたはそれを有する対象のコレステロールレベルを低下させるために使用する。例示の脂質低減剤および/またはコレステロール調整剤には、両親媒性カルボン酸(フィブレート類、ベザフィブレート、シプロフィブレート、クロフィブレート、エトフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、ロニフィブレートおよびシムフィブレートを含む);スタチン(アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシムバスタチンを含む);ナイアシンおよびナイアシン誘導体(アシピモックス、ニコチン酸アルミニウム、ニセリトロール(ペンタエリトリトールテトラニコチネート)、ニコフラノースおよびニコチニルアルコールを含む);胆汁酸捕捉剤(コレセベラム、コレスチラミン、コレスチポールおよびコレキシトランを含む);CETP阻害剤(例えば、アナセトラピブ、ベンフルオレックス、コレスチラミン、デキストロチロキシン、エゼチミブ、ラロピプラント、メグルトール、オメガ−3−トリグリセリド、ポリコサノール、プロブコールおよびチアデノール);が含まれる。
【0314】
10.シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤が含まれる。非ステロイド抗炎症薬物は、シクロオキシゲナーゼの阻害により、その抗炎症、鎮痛および解熱活性のほとんどを発揮し、ホルモン誘導の子宮収縮およびある種の癌成長を阻害する。対照的に、誘導可能な形態COX−2は、プロスタグランジンの病的効果(酵素の迅速な誘導が、炎症剤、ホルモン、成長因子、およびサイトカインなどの薬剤に応答して生じる)の主な原因であると考えられている。COX−2の選択的阻害剤は、従来の非ステロイド抗炎症薬物と同様の抗炎症、解熱および鎮痛特性を有する。特に、COX−2阻害剤は、低減した胃腸毒性の可能性、低減した腎臓副作用の可能性、低減した出血時間に対する効果、そして恐らくは、減少したアスピリン感受性喘息対象において喘息発作を誘導する可能性を有すると考えられる。例示のCOX−2阻害剤には、アスピリン、セレコキシブ(例えば、商標CELEBREX
Rのもとで市販されているもの)、ルミラコキシブ(例えば、商標PREXIGE
Rのもとで市販されているもの)、エトリコキシブ(例えば、商標ARCOXIA
Rのもとで市販されているもの)、メロキシカム、ニメスリド、ならびに以下の米国特許のいずれかに記載されているものが含まれる(米国特許第5,474,995号;第5,521,213号;第5,536,752号;第5,552,422号;第5,604,253号;第5,604,260号;第5,639,780号;第5,643,933号;第5,677,318号;第5,691号;第5,698,584号;第5,710,140号;第5,733,909号;第5,789,413号;第5,817,700号;第5,849,943号;第5,861,419号;第5,922,742号;および第5,925,631号)。他のCOX−2阻害剤には、バルデコキシブ(例えば、商標BEXTRA
Rのもとで市販されているもの)およびロフェコキシブ(例えば、商標VIOXX
Rのもとで市販されているもの)が含まれるが、これらは、市場から除外されている。上記したCOX−2阻害剤の多くは、選択的COX−2阻害剤のプロドラッグであり、活性かつ選択的なCOX−2阻害剤へのインビボでの変換によってその作用を発揮する。上記したCOX−2阻害剤プロドラッグから生成する活性かつ選択的なCOX−2阻害剤は、国際公開第95/00501号;国際公開第95/18799号および米国特許第5,474,995号に詳しく記載されている。
【0315】
11.レニン−アンギオテンシン系阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、アンギオテンシン系阻害剤が含まれる。アンギオテンシン系阻害剤には、アンギオテンシンIIの機能、合成または異化を妨げる薬剤が含まれる。これらの薬剤には、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、デラプリル、エナラプリル、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリルおよびゾフェノプリル;アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、例えば、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;アンギオテンシンIIの異化を活性化する薬剤;およびアンギオテンシンI(これからアンギオテンシンIIが最終的に誘導される)の合成を妨げる薬剤;が含まれるが、これらに限定はされない。レニン−アンギオテンシン系は、血液動力学および水および電解質バランスの調節に関与している。血液体積、腎臓灌流圧、または血漿中のNa
+濃度を低下させる因子は、系を活性化する傾向があるが、一方、これらのパラメーターを高める因子は、その機能を抑制する傾向がある。
【0316】
アンギオテンシンIおよびアンギオテンシンIIは、酵素のレニン−アンギオテンシン経路によって合成される。この合成プロセスは、酵素レニンが、アンギオテンシノーゲン(血漿中の偽グロブリン)に作用してデカペプチドのアンギオテンシンIを産生するときに開始される。アンギオテンシンIは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)によってアンギオテンシンII(アンギオテンシン−[1−8]オクタペプチド)に変換される。この後者は、様々な哺乳動物種(例えば、ヒト)の高血圧のいくつかの形態における原因物質として関与している活性な昇圧物質である。
【0317】
アンギオテンシン(レニン−アンギオテンシン)系阻害剤は、アンギオテンシノーゲンまたはアンギオテンシンIからのアンギオテンシンIIの産生を妨げるか、またはアンギオテンシンIIの活性を妨げるように作用する化合物である。このような阻害剤は当業者には周知であり、これには、アンギオテンシンIIの最終的な産生に関与している酵素(レニンおよびACEを含む)を阻害するように作用する化合物が含まれる。また、これらには、産生されたときのアンギオテンシンIIの活性を妨げる化合物も含まれる。このような化合物群の例には、抗体(例えば、レニンに対するもの)、アミノ酸およびその類似体(比較的大きい分子にコンジュゲート化しているものを含む)、ペプチド(アンギオテンシンおよびアンギオテンシンIのペプチド類似体を含む)、プロレニン関連の類似体が含まれる。最も強力かつ有用なレニン−アンギオテンシン系阻害剤には、レニン阻害剤、ACE阻害剤、およびアンギオテンシンIIアンタゴニストが含まれる。一部の態様において、レニン−アンギオテンシン系阻害剤は、レニン阻害剤、ACE阻害剤、およびアンギオテンシンIIアンタゴニストである。
【0318】
アンギオテンシンIIアンタゴニストは、アンギオテンシンII受容体に結合し、その活性を妨げることによって、アンギオテンシンIIの活性を妨げる化合物である。アンギオテンシンIIアンタゴニストは周知であり、これには、ペプチド化合物および非ペプチド化合物が含まれる。ほとんどのアンギオテンシンIIアンタゴニストは、8位のフェニルアラニンがある種の他のアミノ酸で置換されてアゴニスト活性が減弱されたわずかに修飾された同属種である(インビボでの変性を遅くする他の置換によって安定性を高めることができる)。アンギオテンシンIIアンタゴニストの例には、以下のものが含まれる:ペプチド性化合物(例えば、サララシン、[(Sar
1)(Val
5)(Ala
8)]アンギオテンシン−(1−8)オクタペプチドおよび関連の類似体);N−置換イミダゾール−2−オン(米国特許第5,087,634号);イミダゾールアセテート誘導体、例えば2−N−ブチル−4−クロロ−1−(2−クロロベンジル)イミダゾール−5−酢酸[Longら、J.Pharmacol.Exp.Ther.247(1)、1−7(1988)を参照];4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−6−カルボン酸および類似誘導体(米国特許第4,816,463号);N2−テトラゾール β−グルクロニド類似体(米国特許第5,085,992号);置換ピロール、ピラゾールおよびトリアゾール(米国特許第5,081,127号);フェノールおよび複素環式誘導体、例えば1,3−イミダゾール(米国特許第5,073,566号);イミダゾ融合した7員の複素環(米国特許第5,064,825号);ペプチド(例えば、米国特許第4,772,684号);アンギオテンシンIIに対する抗体(例えば、米国特許第4,302,386号);およびアラルキルイミダゾール化合物、例えばビフェニル−メチル置換イミダゾール(例えば、欧州特許第253,310号、1988年1月20日);ES8891(N−モルホリノアセチル−(−1−ナフチル)−L−アラニル−(4,チアゾリル)−L−アラニル(35,45)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−シクロヘキサ−ペンタノイル−N−ヘキシルアミド、Sankyo Company,Ltd.、東京、日本);SKF108566(E−α−2−[2−ブチル−1−(カルボキシフェニル)メチル] 1H−イミダゾール−5−イル[メチレン]−2−チオフェンプロパン酸、Smith Kline Beecham Pharmaceuticals、ペンシルバニア);ロサルタン(DUP753/MK954、DuPont Merck Pharmaceutical Company);レミキリン(RO42−5892、Hoffman LaRoche AG);A
2アゴニスト(Marion Merrill Dow)、およびある種の非ペプチド複素環(G.D.Searle and Company)。
【0319】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は、アンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの変換を触媒する酵素である。ACE阻害剤には、アミノ酸およびその誘導体、ペプチド(ジ−およびトリ−ペプチドを含む)およびACEに対する抗体(これらは、ACEの活性を阻害し、それにより昇圧物質アンギオテンシンIIの生成を低減または排除することによってレニン−アンギオテンシン系に介入する)が含まれる。ACE阻害剤は、高血圧、鬱血性心不全、心筋梗塞および腎臓疾患を処置するために医学的に使用されている。ACE阻害剤として有用であることが知られている化合物の種類には、アシルメルカプトおよびメルカプトアルカノイルプロリン、例えばカプトプリル(米国特許第4,105,776号)およびゾフェノプリル(米国特許第4,316,906号)、カルボキシアルキルジペプチド、例えばエナラプリル(米国特許第4,374,829号)、リシノプリル(米国特許第4,374,829号)、キナプリル(米国特許第4,344,949号)、ラミプリル(米国特許第4,587,258号)およびペリンドプリル(米国特許第4,508,729号)、カルボキシアルキルジペプチド模倣薬、例えばシラザプリル(米国特許第4,512,924号)およびベナゼプリル(米国特許第4,410,520号)、ホスフィニルアルカノイルプロリン、例えばフォシノプリル(米国特許第4,337,201号)およびトランドロプリルが含まれる。
【0320】
12.降圧剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、降圧剤が含まれる。例示の降圧剤には、レニン阻害剤、例えばアリスキレン、ベータ遮断薬、例えばアセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、アドレナリンアゴニスト、例えばアロチノロール、カルベジロール、セリプロロール、クロニジン、ドキサゾシン、グアネチジン、グアンフェシン、インドラミン、ラベタロール、ロフェキシジン、メチルドーパ、モキソニジン、プラゾシン、リルメニジン、ヒドララジン塩酸塩、血管拡張剤、例えばジアゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシドおよびフェントラミン、セロトニンアンタゴニスト、例えばケタンセリン、およびエンドテリン受容体アンタゴニスト、例えばアンブリセンタン、ボセンタンおよびシタックスセンタン、レセルピン、および利尿薬、例えばベンドロフルメチアジド、ブメタニド、クロルタリドン、クロロチアジド、シクレタニン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メルサリル、メトラゾン、キネタゾン、テオブロミンおよびトラセミドが含まれる。
【0321】
13.化学療法抗癌薬物およびアルキル化剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別の広いカテゴリーの薬剤には、化学療法抗癌薬物およびアルキル化剤が含まれる。多くの抗新生物および化学療法癌薬物を、循環血小板の数を低減するために使用することができる。化学療法薬物の一部はアルキル化剤である。アルキル化剤は、DNAを架橋または切断する化合物であり、複製を阻害するか、または回復不可能な修飾を引き起こし、アポトーシスの結果を与える。血小板数を低減するために使用しうる例示の化学療法癌薬物には、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ドクソルビシン、エストラムスチン、ヘプスルファン、ヒドロキシカルバミドまたはヒドロキシ尿素、イフォスファミド、ロムスチン、メルファラン、メトトレキサート、ピポブロマンおよびチオTEPAが含まれる[例えば、Br.J.Haematol.62:229−237(1986)、N Engl J Med 332:1132−1136(1995)、Br J Radiol 70:1169−1173(1997)、Scand J.Haematol 37:306−309(1986)、およびJ Cell Physiol 112:222−228(1982)を参照]。
【0322】
14.トロンボキサンシンテターゼ阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別のカテゴリーの薬剤には、トロンボキサンシンテターゼ阻害剤が含まれる。トロンボキサンシンテターゼ阻害剤には、ピリジンおよびイミダゾール誘導体が含まれる。例示のピリジン誘導体は、β−[4−(2−カルボキシ−1−プロペニル)ベンジル]−ピリジンHCl(OKY−1555)であり、例示のイミダゾール誘導体には、1−カルボキシヘキシル−、1−カルボキシヘプチル−、および1−カルボキシオクチル−イミダゾールが含まれる。他の例示のトロンボキサンシンテターゼ阻害剤には、4(Z)−6−[(4RS,5SR)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル]ヘキサ−4−エン酸、BM−573、カモナグレル、CGS−12970、ダルトロバン、ダズメグレル、DTTX30、E−6700、FCE−27262、イミトロダスト(CS−518)、イスボグレル(CV−4151)、ケトコナゾール、KK−505、KY−063、ナファグレル(DP−1904)、オザグレル(OKY−046)、ピコタミド、ピルマグレル(CGS−13080)、リドグレル、SQ29548、ロラファグレル(FCE−22178)、サチグレル(E−5510)、スロトロバン、テルボグレルおよびUK38485が含まれる。
【0323】
15.細胞シグナル伝達分子
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別のカテゴリーの薬剤には、細胞シグナル伝達分子が含まれる。また、細胞シグナル伝達分子(サイトカイン、例えばインターロイキンを含む)を用いて、血小板レベルを調整することもできる(例えば、巨核球の血小板への変換を調整することによって)。例示のシグナル伝達分子には、サイトカイン、成長因子およびインターロイキン、例えばα−インターフェロン(Cancer Immunol Immunother 1987 25:266−73)、γ−インターフェロン、形質転換成長因子−β、好中球活性化ペプチド−2およびその類似体(米国特許第5,472,944号)、マクロファージ炎症性タンパク質およびその類似体(米国特許第5,306,709号)、および血小板または巨核球のいずれかにより分泌される化合物、例えば血小板第4因子(米国特許第5,185,323号)、トロンビンおよびトロンボスポンジンおよびそのアミノ(1〜174アミノ酸)末端フラグメント[J Lab Clin Med 129:231−238(1997)]が含まれる。
【0324】
16.JAK−2阻害剤
本発明で提供される組成物中に含まれうるか、または血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物とともに投与されうる別のカテゴリーの薬剤には、JAK−2阻害剤が含まれる。ヤヌス(Janus)ファミリーキナーゼ(JKA)は、受容体媒介のシグナル伝達に決定的であるタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)のファミリーである。JKAは、細胞表面受容体と相互作用する様々な細胞外因子によって開始される膜シグナル伝達事象に関与している。JKAは、タンパク質チロシンキナーゼドメインを欠くサイトカイン受容体の細胞質シグナル伝達カスケードを開始する。JAK−2遺伝子の体細胞点突然変異(後天性V617F突然変異)は、典型的な骨髄増殖性障害(MPD)に大きく関係していることが確認されている[例えば、Campbellら、Lancet 366:1945−1953(2005)を参照]。突然変異が、真性赤血球増加症を有する多くの患者において生じ、本態性血小板血症または特発性骨髄線維症と診断された対象の約半分において見出されうることがわかっている。JKA−STATシグナル伝達[シグナル伝達性転写因子(STAT)タンパク質]の過剰活性化が、骨髄増殖性障害を含む多くの疾患または症状[本態性血小板血症(ET)、真性赤血球増加症(PV)および特発性骨髄線維症(IMF)を含む]に関係している。JAK−2阻害剤は開発下にある。例示のJAK−2阻害剤には、AT9283、VX−680、MK0457、TG101209、INCB018424、LS104、XLO19、TG101348、ボリノスタット、4−アリール−2−アミノ−ピリジンおよび4−アリール−2−アミノアルキル−ピリジン(国際公開第2007/089768号に記載)および米国特許第7,070,972号に記載される阻害剤が含まれる。
【0325】
K.投与
本発明で提供される方法において、血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物は、医学的に許容しうる任意の投与様式を用いて対象に投与することができる。これは、臨床的に許容しえない有害作用を引き起こすことなく有効レベルの活性化合物を与える任意の腸内または非経口様式を意味する。例示のこのような投与様式には、経口、直腸、腔内、皮下、筋肉内、経皮または局所経路が含まれる。
【0326】
血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物を、対象に治療および/または予防の利益を供するのに十分な長さの時間にわたって投与する。一般に、血小板数減少剤を含有する本発明で提供される制御放出組成物を、少なくとも1日間投与する。一部の態様において、本発明で提供される組成物を、少なくとも1回の血小板回転サイクル、または5〜10日間にわたって投与する。一部の態様において、本発明で提供される組成物を、少なくとも2回の血小板回転サイクル、または10〜20日間にわたって投与する。一部の場合に、特に対象が血管閉塞事象を有しているとき、または対象がそのような事象のリスクにあるときには、本発明で提供される制御放出組成物を、対象の寿命の残り期間にわたって投与することができる。薬剤を投与する速度は、使用する制御放出組成物によって決定され、投与様式および対象の要求に依存して変化することができる。一部の態様において、一度達成された所望の血小板カウントを維持するために、比較的少ない用量を投与する。投与の頻度は変化することができる。薬剤を、1日1回、1日2回、1日4回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、1週間に1回、10日に1回、2週間に1回、1ヶ月またはそれ以上に1回で、あるいは、これらの間の任意の回数(あたかも、このような回数が本明細書中に明示されているかのように)で投与することができる。
【0327】
一部の態様において、例えば、骨髄増殖性障害を有する対象を処置するために、本発明で提供される組成物を含む1つまたはそれ以上の投薬形態(例えば、カプセルまたは錠剤)(約300μg〜約1000μgの血小板数減少剤の用量を含む)を、1日1回または1日複数回で投与することができる(食物とともに、または食物なしで摂取する)。例えば、本発明で提供される組成物を含む2つの経口投薬形態(例えば、錠剤またはカプセル)(それぞれが1000μgの血小板数減少剤の用量を含む)を、1日4回投与して、8mg/日の血小板数減少剤の用量を供することができる。一部の態様において、約10mgまでの血小板数減少剤を、1日あたりに投与することができる(1回用量は約2500μgまたはそれ未満である)。一部の態様において、1000μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。一部の態様において、500μgの血小板数減少剤の用量を1日4回投与する。一部の態様において、400μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。
【0328】
一部の態様において、例えば、血栓または血管閉塞事象の予防または処置のために、あるいは、心血管疾患または障害またはそれに関連する症候の開始を阻害、遅延または延期するために、本発明で提供される組成物を含む1つまたはそれ以上の投薬形態(約50μg〜約1000μgの血小板数減少剤の用量を含む)を、1日1回または1日複数回で投与することができる(食物とともに、または食物なしで摂取する)。例示の投薬形態には、約1000μgまたはそれ未満の血小板数減少剤の用量(1000μg、900μg、800μg、700μg、600μg、500μg、400μg、300μg、200μg、100μgまたは50μgを含む)が含まれる。例えば、本発明で提供される組成物を含む2つの経口投薬形態(それぞれが約100μgの血小板数減少剤の用量を含む)を、1日4回投与して、800μg/日の血小板数減少剤の用量を供することができる。一部の態様において、約1000μgまでの血小板数減少剤を、1日あたりに投与することができる。一部の態様において、500μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。一部の態様において、250μgの血小板数減少剤の用量を1日4回投与する。一部の態様において、400μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。一部の態様において、300μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。一部の態様において、200μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。一部の態様において、100μgの血小板数減少剤の用量を1日2回投与する。
【実施例】
【0329】
L.実施例
実験および得られた結果を含む以下の実施例は、説明の目的のためだけに挙げたものであり、特許請求の対象を限定するものと解するべきではない。
【0330】
1.
例示組成物の調製
アナグレリドの瞬間放出および制御放出組成物を、以下の操作を用いて調製した。
A.
基材層を含むビーズの製造
血小板減少剤アナグレリド塩酸塩一水和物を含む基材層を被覆した固体コアを、固体コアとして非パレイル20/25糖ビーズを用いて調製し、アナグレリド担持ビーズ(基材被覆したビーズ)を得た。このアナグレリド担持ビーズの組成を表1に示す。
【表1】
【0331】
基材層:
基材層のための溶液を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel
TM E5 USPまたはMethocel
TM E5 LV Premium、これらはDow Chemical、Midland、ミシガンから市販されている)を精製水に溶解することによって調製した。精製水USP(691g)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(52g)を、全ての固体が溶解するまで混合した。次いで、アナグレリド(3.3168g)を加え、全ての固体が十分に分散するまで混合した。超音波処理を用いて分散を助けた。この混合物を、5,000rpmで少なくとも20分間ホモジナイズし、溶液を1時間以上放置して脱気した。脱気後に、穏やかな撹拌を用いて溶液を混合して、溶液中に空気を引き込むことなく未溶解の固体を懸濁させたまま保った。この溶液を用いて、基材層を固体コア(非パレイル20/25ビーズ)に適用した。
【0332】
流動床加工を用いる基材層の適用:
コーティングユニットを、以下のパラメーター:空気体積(約40scfm)、大気圧(14〜18psi)、噴霧速度(2〜9g/分)、およびフィルター(20psi);を用いるプロセスのために、制御条件下での加工用に準備し、目標入口温度60℃および出口温度32℃に予備加熱した。
次いで、このコーティングユニットに非パレイル20/25ビーズを入れた。
出口温度が温度32℃に達したときに、コーティングを、基材層溶液を用いて10分間開始した。完全な基材層が適用されるまで、基材層を、それぞれ10分間の3段階で適用した。
溶液の容器を精製水USPで洗い流した。
被覆した非パレイルを、目標入口温度38℃で5分間乾燥し、被覆した非パレイルを、ポリエチレンバッグに排出した。アナグレリドを含む基材層が被覆されたビーズを、18メッシュ通し35メッシュ超え(−18/+35メッシュ)でふるい分けた。
【0333】
B.
アナグレリドIR仕上げビーズの製造
アナグレリドの瞬間放出組成物を、以下の操作を用いて調製した。
即時放出(IR)コーティング溶液の調製
精製水USP(210g)を混合容器に入れ、ミキサー速度を、強い渦を生じるのに十分なエネルギーに設定した。
HPMC(Methocel
TM E5 USPまたはMethocel
TM E5 LV Premium、これらはDow Chemical、Midland、ミシガンから市販されている)(18.2g)を、渦に徐々に加えて塊およびフィッシュアイの形成を最少にし、全ての固体が溶解するまで溶液を混合した。
【0334】
流動床加工を用いるIR層の適用
コーティングユニットを、以下のパラメーター:空気体積(約40scfm)、およびフィルター(25psi);を用いるプロセスのために、制御条件下での加工用に準備し、目標入口温度71℃に予備加熱した。
コーティングユニットに、アナグレリド担持ビーズ(基材層被覆したビーズ、894.6g、−18/+35メッシュ)を入れた。
全てのIRコーティング溶液が適用されるまで、IRコーティングを、目標入口温度71℃、出口温度42℃、大気圧(約20psi)、および噴霧速度 約5g/分で適用した。
被覆したビーズを、入口温度32℃で乾燥し、この物質をポリエチレンバッグに排出した。
IR配合物でコーティングした後、IR被覆したアナグレリド含有ビーズを、−18/+35メッシュでふるい分けした。IRビーズ配合物の組成を表2に示す。
【表2】
【0335】
C.
アナグレリドCR仕上げビーズの製造
アナグレリドの制御放出組成物(封止コートを有する組成物を含む)を、以下の操作を用いて調製した。
1.
組成物1:「速」放性、封止コートなし
制御放出コーティング溶液の調製
精製水USP(110.8g)を、フィルターまたはスクリーンを通して混合タンクに入れた。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel
TM E5 USPまたはMethocel
TM E5 LV Premium、これらはDow Chemical、Midland、ミシガンから市販されている)(3.7g)を、一定に混合しながら渦に徐々に加えて塊およびフィッシュアイの形成を避け、全ての固体が溶解するまで溶液を混合した。混合速度を、起泡を避けるのに必要なように調節した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを孔形成剤として使用した。
【0336】
制御放出コーティングはエチルセルロースを含んでいた。可塑剤を含むエチルセルロースの水性分散液(Surelease E−7−19040;Colorcon、West Point、ペンシルバニアから入手可能)を使用した。Surelease E−7−19040は、約25%の固体を含有し、その約20%がエチルセルロースである。Surelease E−7−19040(33.6g)を、一定に混合しながら溶液に加え、Sureleaseの添加が完了した後に30分間以上、溶液を混合した。
【0337】
流動床加工を用いるCR層の適用:
コーティングユニットを、以下のパラメーター:空気体積(約40scfm)、およびフィルター(25psi);を用いるプロセスのために、制御条件下での加工用に準備し、目標入口温度71℃に予備加熱した。
コーティングユニットに、アナグレリド担持ビーズ(基材層被覆したビーズ、894.6g、−18/+35メッシュ)を入れた。
全てのIR溶液が適用されるまで、CRコーティングを、目標入口温度71℃、出口温度42℃、大気圧(約20psi)、および噴霧速度 約5g/分で適用した。
被覆したビーズを、入口温度32℃で乾燥し、この物質をポリエチレンバッグに排出した。CR組成物でコーティングした後、CR被覆したアナグレリド含有ビーズを、−18/+35メッシュでふるい分けした。封止コートを含まない「速放性」組成物である制御放出組成物1の組成を表3に示す。
【表3】
【0338】
2.
組成物2:「速」放性、封止コートあり
封止コートを含むアナグレリドの「速」放性の制御放出組成物を、上記した操作を用い、表4に記載した組成を用いて調製した。
【表4】
【0339】
3.
組成物3:「徐」放性、封止コートなし
アナグレリドの「徐」放性の制御放出組成物を、上記した操作を用い、表5に記載した組成を用いて調製した。
【表5】
【0340】
投薬形態の調製
通常の装置を用いて、ビーズを錠剤に錠剤化することができるか、またはゼラチンカプセルまたはゼラチン以外の物質から作られたカプセルに分配することができる。上記スキームIIに示すように、IR被覆ビーズ、CR被覆ビーズ(封止コートを含むかまたは含まない)またはこれらのブレンドを、ゼラチンカプセルに入れた。封止コートなしのCR被覆ビーズを含む代表的バッチのためのカプセルの組成を表7に示す。
【表6】
アナグレリド組成物の製造に使用した全ての賦形剤は、公定書グレード(EP/USP/NF)であった。
【0341】
後記で議論するように、表6に示した投薬形態は、有利なヒト薬物動態プロフィールを与えたが、カプセルは、分解物質の増加とは関係なく活性医薬成分(API)含量の損失として特徴付けられる不安定性の証拠を示した。表6に示すように、制御放出層は、Surelease
R E7 1904(エチルセルロースの水性分散液)の適用によって製造した。
【0342】
APIと様々な賦形剤(エチルセルロース、Eudragit
R RSおよびRL、Aquacoat
R ECD30、オレイン酸アンモニウムおよびSurelease E7 1904)との二元混合物を用いる予備配合研究を、高感度熱量計を等温モードで用いて行った。賦形剤を、飽和塩化ナトリウム溶液の存在下/不存在下に、それ自体でおよび混合物として比較した。この方法において、試料[API単独、賦形剤単独、API:賦形剤(1:1の比)]の熱変化を、30〜80℃の温度範囲において24時間にわたってモニターした。APIとエチルセルロースは、適合性の証拠を示した。APIとAquacoatのデータは、適合性に関して確実ではなかった。APIとEudragit(RSおよびRL)、Sureleaseおよびオレイン酸アンモニウムの全ては、不適合性の証拠を示した。改善された投薬形態が、賦形剤系においてエチルセルロースを使用し、水へのエチルセルロースの不溶解性のゆえに有機(エタノール)噴霧適用を含む適用様式を使用することによって得られた。
【0343】
表7は、有機配合物を利用する説明のためのアナグレリドCRの成分および機能を示す。この系を、非パレイルビーズにWurster様式での流動床噴霧コーティングとして適用した。APIの層を、バインダーとしてHPMCの存在下に適用した。次いで、5%(w/w)のHPMC封止コートを、薬物担持ビーズに適用し、続いて、エチルセルロース、HPMC、クエン酸トリエチル(TEC)、およびタルクを含む制御放出層を、3.5%(w/w)の目標重量増まで適用した。
【表7】
【0344】
2.
インビトロ溶解の検討
アナグレリド100μgCR組成物、300μgCR組成物、100μgIR/CRブレンド、300μgIR/CRブレンドおよび200μgCR(封止コートを含む)(表7の500μgと同様の配合物、200μg投薬形態を示すように調整した)のインビトロ溶解速度を、標準USP法を用いて模擬胃液において調べ、対照の市販即時放出アナグレリド0.5mgIRカプセル(XAGRID
R、Shire Pharmaceutical Contracts Limited、Hampshire、英国)の溶解と比較した。これらの結果を表8−aに示す。
【表8】
封止コートを有するアナグレリドCR配合物のインビトロ溶解プロフィール、安定性および水分含量を、表8−b、8−cおよび8−dならびに
図1〜4に示す。
【0345】
水性条件下で行ったアナグレリドCR生成物の溶解を、3種類の条件で調べた(
図1):模擬胃液(SGF)、酢酸ナトリウム(pH4.5)中の0.3%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、およびリン酸カリウム(pH6.8)中の0.1%Tween 80。溶解プロフィールは、水性配合された物質を用いて試験した全ての条件について溶解が可能であるが、この実験においては比較的低いpH系が有利であるようであることを示唆する。
【0346】
対照的に、有機コーティング系を用いる配合物による溶解研究は、水性コーティング系と比較して、アナグレリドの溶解能力に差が存在することを示唆する(
図2)。比較的高い2種類のpH条件において、有機被覆した物質は、水性被覆した物質よりも遅く溶解する。いずれかの理論に拘束されることを望むものではないが、Surelease
R水性分散液系は、この溶解系においてAPIのための局所化溶解性支持体を供することができ、こうして、比較的高いpH条件において溶解知見を変えることができると考えられる。
【0347】
有機配合物について、異なる比でバインダー/孔形成剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いて、複数の典型が得られた。3%(w/w)の重量増での3:1のエチルセルロース:HPMC比は、水性配合物に対して得られた溶解特性と同等の溶解特性を与えた(
図3)。
【0348】
有機配合物のための加速安定性試料は、ある程度の分解を示し(データは示していない)、これは、コーティングフォーミュラ中の可塑剤(TEC)によって引き起こされるものと決定された。この分解のレベルは、水性配合物において見られるものよりもはるかに低かった。別の可塑剤(トリアセチンおよびセバシン酸ジブチル)が、APIとの相互作用を排除しながら、TECの効果的な代替物を与えるか否かを決定するために検討を行った。等温熱量測定データは、TECに対する明らかな代替物を示唆しなかった。5%(w/w)HPMCの保護バリアーを、コーティング系のAPIと制御放出層の間に加えた(封止コート)。
【0349】
有機フォーミュラの3ヶ月加速安定性を以下に示す(表8−b、
図4)。アナグレリドCRカプセルは、加速条件において少なくとも3ヶ月間安定である。即ち、有機配合物に対する安定性の結果は、室温貯蔵条件において少なくとも6ヶ月間の貯蔵寿命にわたって安定性を示した。
【表9】
【0350】
Agrylin
Rを試験する安定性プログラムを行って、アナグレリドCRを参照製品と比較した。表8−cおよび8−dは、加速安定性条件下でのアナグレリドAPIおよびAgrylin
Rのアッセイおよび純度データを示す。これらのデータは、アナグレリドCRにおいて見られる主な不純物(表8−b)が、参照製品Agrylin
Rと共通していることを示す。また、これらのデータは、酸形態への徐々の変換が、加速条件下でAPIにおいても起こりうることを示唆する。
3.
インビボでのヒヒ研究
本発明で提供されるアナグレリドのCR組成物が、AUCを維持しながらC
maxを低減することを示すために、インビボ動物研究を行った。5種類の異なるアナグレリド配合物の1回用量の薬物動態の非臨床的1回用量交差オープンラベル研究を、6匹の健康な絶食アヌビスヒヒ(Papio anubis baboon)において行った。配合物は、市販のアナグレリド配合物(IR−Shire)と、放出制御のために使用される様々なポリマーが被覆されたアナグレリド担持の非パレイルビーズの形態にある組成物とを含んでいた。試験配合物は、即時放出ビーズ(IRビーズ)、制御放出−速放性(CR−Fast)、制御放出−徐放性(CR−Slow)および腸溶被覆(EC)であった。各ヒヒに、交差デザインを用いて各配合物の1回0.5mg用量を投与し、投与間に少なくとも7日間置いた。アナグレリドを次のように投与した。即ち、0.5mgの各配合物を、水に懸濁し、口腔ガベージにより各ヒヒに投与した。処置の間に3日間の洗い出しを用いた。
【0351】
以下の配合物を使用した:
・Agrylin
R:(IR−Shire)、即時放出製品(0.5mg、カプセルを開け、経口ガベージにより投与した);
・腸溶被覆アナグレリドビーズ配合物(EC):基材層(アナグレリドを含む)被覆した非パレイルビーズに、pH5.5での放出のためにEudragit
Rポリマーを被覆した(0.5mgのビーズを経口ガベージにより投与した);
・制御放出(Fast)アナグレリドビーズ配合物(CR−Fast):基材層(アナグレリドを含む)被覆した非パレイルビーズに、4〜6時間にわたる放出のためにHPMC/エチルセルロースを被覆した(0.5mgのビーズを経口ガベージにより投与した);
・制御放出(Slow)アナグレリドビーズ配合物(CR−Slow):基材層(アナグレリドを含む)被覆した非パレイルビーズに、8〜12時間にわたる放出のためにHPMC/エチルセルロースを被覆した(0.5mgのビーズを経口ガベージにより投与した);および
・即時放出アナグレリドビーズ配合物(IRビーズ):アナグレリドを15分間で放出する基材層(アナグレリドを含む)被覆した非パレイルビーズ(0.5mgのビーズをバイアル経口ガベージ投与した)。
【0352】
動物:研究における全てのヒヒ(papio anubis)は、動物資源部門の世話を受けている体重が8.5kg〜11.5kgの範囲内にある疾患がないことが観察された健康な若い雄性ヒヒであった。動物は、それぞれ週1回の研究期間の間、サル食、果物および野菜からなる標準の食餌を摂っていた。1日あたり2〜3匹の動物に投与し、1週間あたりに合計6動物を用いた。処置の間に3日間の洗い出しを用いた。5つの処置群が存在し、各動物を各処置群に交差させた。
【0353】
投与:ヒヒを一晩絶食させた。朝に、ヒヒをケタミン(1〜2mg/kg)で鎮静させ、座った位置で垂直に拘束した。ベースライン血液試料の後に、アナグレリドをガベージによって投与し、約15mLの水で洗い落とし、タイマーを開始させた。薬物用量を、試験管において乾燥したまま維持し、次いで、それをガベージ管に供給し、7〜8mLの水で、続いて別の7〜8mLの水で管に洗い落とした。ガベージ管を除去したときに残留ビーズについて検査し、それは清浄であった。時間毎の血液試料を集めるために、最少ケタミンを用いて動物を4時間にわたって拘束したままにし、次いで動物ケージに戻し、果物を与えた。残りの血液試料は、ケタミン(1〜2mg/kg)による日中鎮静後にヒヒから集めた。各薬物配合物を、1週間に1回だけ与えた。
【0354】
有害事象:ガベージ操作から観察される有害事象は存在しなかった。1匹の動物(動物#6)は、腸溶ビーズ(EC)、速放性ビーズ配合物(CR−Fast)および即時放出ビーズ(IRビーズ)の投与の1時間後に、大量の排泄物を伴う多発排便を有していた。また、この動物は、即時放出ビーズ(IRビーズ)の投与の2時間後に吐いた。動物#2は、この動物における薬物の低い循環濃度に基づいて、腸溶ビーズ(EC)の投与後に吐いたものと考えられる。他の動物のいずれにも他の症候は観察されなかった。CBCを1週間に1回モニターしたが、研究期間中は正常範囲のままであった。
【0355】
試料収集および加工:
1日目の投与前(0)ならびに投与の0.5、1、2、3、4、6、8、12および24時間後に、血液を採取した。試料を、注射器に集め、抗凝固剤としてK2−EDTAを含む適切なラベルを貼った空の血液収集試験管に移した。収集の直後に、充填した血液収集試験管を、穏やかに数回反転させて、抗凝固剤が完全に血液と混合することを確実にした。収集後30分以内に、血液を血漿に加工するために、血液試料を、4℃で10分間、3000rpmで遠心した。各血漿試料を、遠心した試料から30分以内に集めた。各試料を、ラベルを貼ったポリプロピレン製ネジ蓋付き移送管に、等しいサイズの分割試料に分割した。集めた血漿試料を遅滞なく冷凍庫に移し、そこで垂直位置で凍結させた。試料を、積出しまで−80℃で維持した。
【0356】
血漿試料のアナグレリドおよび3−OHアナグレリド濃度を、LCMS/MSによって分析した。50〜5000pg/mLの範囲内のアナグレリドの8点較正曲線および独立した3−OHアナグレリドの8点較正曲線を、適切量のアナグレリドおよび3−OHアナグレリドとともにK2−EDTAを含有する薬物不含のヒト血漿をスパイクする(打ち付ける)ことによって作成した。3種類の濃度(低、中、高)でスパイクした品質対照試料を、同様にして調製した。薬物不含のヒヒ血漿において第2組の品質対照試料を調製して、ヒトアッセイのために開発した抽出および方法論が、ヒヒ血漿のどのような内生的妨害にも会わないことを確実にした。
【0357】
抽出操作:血漿(400μL)を、自動ピペットを用いて試験管に入れ、次いで緩衝液(2mL)を添加し、続いて内部標準(15ng/mLブロマゼパム)(100μL)を添加した。この混合物に、0.85Mアスコルビン酸(0.1mL)を加えた。得られた容量を、SPEカートリッジ(Oasis HLB 60mg、3cc)上に担持させた。このカートリッジを、遠心し、Milli−Qタイプの水、および洗浄溶液[メタノール/Milli−Qタイプの水(60/40)]で洗浄した。それに続く遠心の後、カラムをメタノールで溶離した。この溶離液を、Turbo Vapエバポレーターにおいて50℃で窒素を用いて蒸発乾固した。この乾燥残留物を、復元溶液[2mMギ酸アンモニウムを含有するメタノール/Milli Qタイプの水(50/50)](200μL)において復元した。
【0358】
質量スペクトルを、加熱噴霧器を装備したAPI 5000(MDS Sciex、Toronto、カナダ)を用いて得た。データ取得を、分析者1.4.1(またはそれ以上、MDS Sciex、Toronto、カナダ)によって確かめた。陽性モードを分析に使用した。測定した質量イオン対は、アナグレリドについては256.10±199.00、3−OHアナグレリドについては272.04±199.04、およびブロマゼパムについては316.40±182.10であった。質量スペクトロメーター条件は、次のように設定した:
補助ガス圧(GS2):50psi;
噴霧器ガス圧(GS1):50psi;
カーテンガス圧:25psi;
CADガス:10;
界面ヒーター(Ihe):1;
加熱噴霧器温度:500℃;
イオン化モード:陽性;
ニードルコロナ(NC):3.00。
【0359】
以下の薬物動態パラメーターを、各対象および各処置について、測定した血漿アナグレリドおよび3−OHアナグレリド濃度から概算した:
C
max=測定した最大濃度;
T
max=最大濃度に到達する時間;
AUC
all=時間0から定量可能濃度(C
t)を有する最後の試料の時間までの線形台形公式によって算出した濃度−時間曲線下の面積;
AUC
0−∞=時間0から無限大まで外挿した濃度−時間曲線下の面積;
T
1/2=Ln(2)/K
elとして算出した終末期半減期。
【0360】
3.
結果
表9に示すように、即時放出参照製品(Shire)に対する関連の薬物動態パラメーターの比について評価した。
【表10】
【0361】
3.1:
即時放出(IR−SHIRE)配合物
個々の薬物動態パラメーターおよび平均濃度データを、表10および11に示す。
【表11】
【0362】
【表12】
【0363】
3.2:
腸溶被覆した配合物
ビーズ上に腸溶コーティングを含む配合物を調製した。個々の薬物動態パラメーターおよび平均濃度データを、表12〜14に示す。動物#2は、薬物動態データに対して測定可能な薬物を欠くことに基づいて、腸溶ビーズ(EC)の投与後に吐いたものと考えられる。
【表13】
【0364】
【表14】
【0365】
【表15】
【0366】
3.3:
制御放出−速放性組成物(CR−FAST)
アナグレリドの制御放出組成物を調製した。1つの組成物は、4〜6時間にわたる放出のためにHPMC/エチルセルロース層が上被覆されたアナグレリド担持非パレイルビーズを含んでいた(CR−Fastと称する)。個々の薬物動態パラメーターおよび平均濃度データを、表15〜17に示す。
【表16】
【0367】
【表17】
【0368】
【表18】
【0369】
3.4:
制御放出−徐放性組成物(CR−SLOW)
8〜12時間にわたる放出のために、アナグレリド担持非パレイルビーズにHPMC/エチルセルロース層を上被覆することによって、アナグレリドの1つの制御放出組成物を調製した(CR−Slowと称する)。個々の薬物動態パラメーターおよび平均濃度データを、表18〜20に示す。
【表19】
【0370】
【表20】
【0371】
【表21】
【0372】
3.5:
即時放出配合物(IRビーズ)
アナグレリドの即時放出のための配合物を調製した。個々の薬物動態パラメーターおよび平均濃度データを、表21〜23に示す。
【表22】
【0373】
【表23】
【0374】
【表24】
【0375】
全ての配合物の薬物動態パラメーターのまとめを、表24に示す。
【表25】
【0376】
4.
考察
ヒヒ薬物動態:時間=0における全ての試料は、1つ(IR−Shire配合物を投与した動物3)を除いて、親物質および代謝産物の定量の下限を下回る濃度を示し、持ち越し効果がないことおよび処置間の洗い出し期間が適切であったことを確認した。
【0377】
Shire物質の投与後に、アナグレリドのT
max(平均±SD)は2.0±1.0時間であり、迅速な吸収を示した。3−OHアナグレリドのT
max(平均±SD)は1.9±1.1時間であった。CR−Fast、CR−SlowおよびECビーズ配合物のそれぞれは、親のアナグレリドおよびその代謝産物3−OHアナグレリドのT
maxを、少なくとも2.5倍延期した。観察された最も長いT
maxは、CR−Slow組成物に対してであり、平均が5.833±2.23であった。T
maxの傾向は、IR(Shire)=IRビーズ<CR−Fast=腸溶被覆<CR−Slowであった。
【0378】
瞬間放出Shire物質の投与後に、アナグレリドのC
max(平均±SD)は5.4±1.9ng/mLであった。3−OHアナグレリドのC
max(平均±SD)は1.1±0.62ng/mLであった。CR−Fast、CR−SlowおよびECビーズ配合物のそれぞれは、親物質および代謝産物のC
maxを低下させた。CR組成物は、アナグレリドのC
maxの最も劇的な低下を与え、その両方がC
maxを少なくとも半分低下させた。EC配合物のC
maxは、IR−ShireおよびIRビーズ配合物とほとんど同等であった。C
maxの傾向は、IR(Shire)=IRビーズ=EC>CR−Fast>CR−Slowであった。
【0379】
瞬間放出Shire物質の投与後に、アナグレリドへの暴露(AUC
all;平均±SD)は27.8±4.4時間*ng/mLであった。3−OHアナグレリドのAUC
all(平均±SD)は5.5±2.1ng/mLであった。CR−SlowおよびCR−Fastビーズ組成物のそれぞれは、親物質および代謝産物の暴露を低下させたが、EC配合物は、IR−ShireおよびIRビーズ配合物と等価な暴露を示した。親物質への暴露は、CRFastおよびCR−Slowについては、それぞれIRの約60%および70%であった。AUC
allの傾向は、IR(Shire)=IRビーズ=EC>CR−Slow>CR−Fastであった。
【0380】
終末期排泄半減期の値は、Shire瞬間放出配合物と比較して、制御または修飾放出組成物において増加するようである。長期放出組成物においては、薬物の延期した放出により薬物吸収が遅くなることができ、「フリップフロップ」状況の結果になる(この場合、K>Ka)。
【0381】
1回の1mg用量の即時放出アナグレリド[Agrylin
R(Shire)]を投与した38人のボランティアからのアナグレリド、3−OHアナグレリドおよびRL603の平均薬物動態パラメーターのまとめを表25に示す。これは、FDAにファイルされているShireデータのまとめを供するものである(薬物の臨床活性におけるアナグレリドの主な代謝産物3−ヒドロキシアナグレリドの一次的役割の証拠;例えば、ウエブサイトfda.gov/ohrms/dockets/dailys/04/aug04/081604/04p−0365−cp00001−08−Tab−G−vol1.pdfにおいて利用可能)。
【表26】
【0382】
ヒヒ薬物動態とヒト薬物動態の比較
アナグレリドに対するヒヒの代謝能力は知られていない。ヒトは主に初回通過肝臓代謝によって3−OHアナグレリドを生成すると仮定されるが、この仮定を確かめる絶対的な経口生物学的利用能データは存在しない。ヒトにおけるアナグレリドの腸代謝は、インビトロ研究に基づいて無視できると考えられる。親物質に対する代謝産物の比の検討は、アナグレリドの代謝において種の相違が存在することを示唆するが、これら相違の源および影響は知られていない。異なる配合物の関数として、3−OHアナグレリド代謝産物の生成における相違は存在しないようである。
【0383】
市販の即時放出形態のアナグレリド(Xagrid
R、Agrylin
R;IR−Shire)は、本明細書中に記載されるようにして調製したIRビーズと同様の暴露を有しているようである。正式な生物学的同等性の算出は、2種類の即時放出組成物の間で等価なピークおよび全暴露を示した。腸溶被覆(EC)配合物は、予測のように挙動し、見掛け遅延時間を示し、関連のpHが達成されたときにGI管において薬物が放出されるにつれてピーク暴露が生じた。EC配合物は、IR配合物と同様のAUC値を示した。アナグレリドの最大濃度C
maxへの時間は、IR−Shire=IRビーズ<CR−Fast=腸溶被覆<CR−Slowであった。また、制御放出組成物は、アナグレリドの最大観察濃度を鈍らせた。アナグレリドのC
maxは、CR−slowおよびCR−fast組成物の投与後に低下し、その両方がC
maxを少なくとも半分に低下させた。EC配合物のC
maxは、IR−ShireおよびIRビーズ配合物と同様であった。C
maxの傾向は、IR−Shire=IRビーズ=EC>CR−Fast>CR−Slowであった。AUC
∞(AUC
inf)によって示されるアナグレリドへの暴露は、CR−slowおよびCR−fast組成物については減少し、一方、EC配合物は、IR−ShireおよびIRビーズ配合物と同様の暴露を示した。親薬物(アナグレリド)への暴露は、CR−fastおよびCR−slow組成物については、それぞれIRの約60%および70%であった。AUC
infの傾向は、IR−Shire=IRビーズ=EC>CR−Slow>CR−Fastであった。制御放出組成物からのアナグレリドの見掛け終末期排泄半減期は、即時放出配合物と比較して長い。CR組成物からの比較的遅い全身薬物吸収のゆえに、見掛けの比較的長い排泄半減期は、恐らくは典型的なフリップフロップ動力学の結果であろう。データは、CR組成物が、即時放出配合物(IR−Shire)に等しい全暴露を維持しながらピーク血漿濃度を低下させることを示す。
【0384】
生物学的同等性の研究
正式な生物学的同等性アプローチを行って、IR−Shire即時放出アナグレリド生成物と本明細書中に記載されるようにして調製したIRビーズアナグレリド生成物の薬物動態を比較した。
全対象のデータを算出に含ませた。生物学的同等性に関するFDAガイダンス文書[米国保健社会福祉省、食品医薬品局、医薬品評価センター(CDER);産業上の生物学的利用能および生物学的同等性のためのガイダンス;経口投与した薬物製品の研究−一般的考察;2002年7月]に従って、前用量(predose)値がC
maxの5%に等しいかまたはそれ未満である対象のデータを、算出に含ませることができる。動物2は、74ng/mLのIR−Shire物質の前用量濃度を与えた;このサンプルを繰返し、当初の値に戻した。試験生成物と参照生成物の比を表26に示す。
【0385】
【表27】
【0386】
投与したIRビーズ(試験)−対−IR−Shire(参照)生成物について、アナグレリドおよび3−OHアナグレリドのC
max、AUC
all、AUC
infおよびT
max平均比の値は、許容しうる0.8〜1.2の範囲内である。親物質および代謝産物の見掛け半減期の平均比は、それぞれ0.63および0.66である。ピークおよび全暴露に関して、これら2種類の配合物は、生物学的等価であるようである。
【0387】
4.
インビボでのヒト臨床試験−即時放出配合物と比較
本発明で提供される制御放出(CR)組成物と本発明で提供される即時放出(IR)配合物とのブレンドの影響を理解するためにモデル予測を用いて、最適薬物動態プロフィールを得た。CRおよびIRのブレンドに対するピーク血漿濃度の実質的な相違を、数学的モデル予測に基づいて、50/50ブレンドで予測した。モデル予測は、約80%のAUCを維持しながらC
maxの約50%低下を概算した。動物データおよび1回用量ブレンド予測に基づいて、50/50のIR−CR(組成物A)および100%CR組成物(配合物B)を、試験のために選択した。
【0388】
健康なヒト対象においてアナグレリドの2種類の例示配合物(配合物Aおよび配合物B)とアナグレリドの市販配合物(Xagrid
R、Shire Pharmaceuticals、配合物C)の薬物動態を比較するために、ランダム化したオープンラベル3方向交差研究を行った。
【0389】
例示配合物の単位用量は0.1mgであり、一方、参照アナグレリド(配合物C)の単位用量は0.5mgであった。比較のために、対象を3群(A、BおよびC)に分けた。例示配合物AおよびBを投与した対象の投与処方は、配合物AまたはBのいずれかの対象あたり、5×0.1mgカプセルの1回用量の投与であった。対照即時放出配合物(配合物C)を投与した対象の投与処方は、対象あたり1×0.5mgカプセルの1回投薬量であった。血液試料を、薬物投与の研究前ならびに投与後の0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18、24および30時間の各期間に集めた。評価の基準には、AUC
0−t、AUC
0−inf、C
max、AUC
t/inf、T
max、T
1/2elおよびK
elが含まれていた。アナグレリドについての結果を以下の表27に示し、3−OHアナグレリドについての結果を表28に示す。
【0390】
表27:アナグレリド配合物の結果のまとめおよび処置比較
【表28】
【0391】
【表29】
【0392】
表28:3−OHアナグレリド配合物の結果のまとめおよび処置比較
【表30】
【0393】
【表31】
【0394】
結果:
アナグレリドのAUC
0−tおよびAUC
0−infによって示される配合物A(CR/IRブレンド)の吸収の程度は、対照の即時放出配合物[処置C(Xagrid
R)]に対して、それぞれ77.72%および81.54%であった。また、配合物B(CR配合物)のアナグレリド吸収の程度も、即時放出対照[処置C(Xagrid
R)]に対して低下した(59.24%および71.58%)。配合物Bの全暴露は、その長い見掛け終末期半減期11.58時間[相対的に、対照(Xagrid
R)の平均T
1/2elは1.33時間である]のゆえに、選択したサンプリングスキームを用いて恐らくは過小評価されていたであろう。また、C
maxおよびT
maxによって概算される吸収速度も、対照の即時放出配合物[処置C(Xagrid
R)]と比較して、制御放出配合物AおよびBにおいて有意に遅くなり、特に、配合物Bについては、C
maxは対照C
maxの22.84%であり、T
maxは2時間延期する。
【0395】
全体として、結果は、例示の配合物(特に配合物B)が、対照(Xagrid
R、配合物C)と比較してピーク血漿濃度を低下させ、暴露の持続時間を増大させることによって、意図したように機能したことを示す。
【0396】
統計学的分析
アナグレリドおよび3−ヒドロキシアナグレリドについて、分散分析を、AUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxのln−変換したデータにおいて行った。また、ANOVAを、T
max、T
1/2elおよびK
elの未変換データにおいて行った。全てのANOVAを、SAS(ウインドウズに対するリリース8.02)一般線形モデル法(GLM)を用いて行った。このモデルは、因子として、配列、配列内の対象、期間および処置を含んでいた。誤差項として配列効果内の対象を用いて、配列効果を検定した。処置および期間効果は、残余平均2乗誤差に対して検定した。全ての2乗和(タイプI、II、IIIおよびIV)を報告した。確率(p)値は、タイプIIIの2乗和から導いた。全ての分析について、「F」と関連する確率が0.05未満であるときに、効果は統計学的に有意であるとみなされる。処置間の差が統計学的に有意であるときに、Duncanの多範囲検定を用いて、どの処置が有意に異なっているかを決定する。ln−変換したAUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxデータの一対比較に基づいて、式「e(X−Y)X100」に従って算出した最小2乗平均の比ならびに90%幾何的信頼区間を、ln−変換したAUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxについて決定した。最後に、対象内CVをも決定した。
【0397】
薬物動態分析
この研究のための薬物動態パラメーターは、AUC
0−t、AUC
0−∞、C
max、AUC
t/∞、T
max、K
elおよびT
1/2elであった。薬物動態分析のための血液試料を、投与前ならびに投与後の0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18、24および30時間の各期間に集めた。アナグレリドについて、対象No.06は、処置Bの消失速度定数を適切に概算することができず、この対象を、AUC
0−inf、AUC
t/inf、K
elおよびT
1/2elを含む全ての分析から除外した(これらのパラメーターについて、対象の合計数は11であった)。
【0398】
アナグレリドおよび3−ヒドロキシアナグレリドについて、処置間の統計学的な有意差が、ln−変換したAUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxに対してANOVAを用いて検出された。アナグレリドについて、AUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxは、Duncanの多範囲検定によれば、処置C(対照IRアナグレリド配合物、XAGRID
R、Shire)が、処置A(IR/CRビーズブレンド)およびB(CRビーズ配合物)と比較して高く、また、処置Aが処置Bと比較して高かった。3−ヒドロキシアナグレリドについて、AUC
0−tおよびC
maxは、処置Cが処置AおよびBと比較して高く、また、処置Aが処置Bと比較して高く、一方、AUC
0−∞は、処置Cが処置AおよびBと比較して高かった。
【0399】
AUC
0−t、AUC
0−infおよびC
maxの対象内CVは、アナグレリドについてはそれぞれ12.64%、14.01%および24.65%であり、3−ヒドロキシアナグレリドについてはそれぞれ15.43%、14.72%および25.94%であった。AUC
0−tおよびAUC
0−∞によって示される処置A(IR/CRブレンド)の吸収の程度は、処置C(XAGRID
R)に対して、それぞれ77.72%および81.54%であった。また、処置B(CR配合物)の吸収の程度も、処置C(XAGRID
R)に対して低下した(59.24%および71.58%)。CR配合物(処置B)の全暴露は、その長い見掛け終末期半減期11.58時間(相対的に、XAGRID
Rの平均T
1/2elは1.33時間である)のゆえに、選択したサンプリングスキームを用いて恐らくは過小評価されていたであろう。また、C
maxおよびT
maxによって概算される吸収速度も、処置C(XAGRID
R)と比較して、CR配合物(処置AおよびB)において有意に遅くなり、特に、処置Bについては、C
maxはXAGRIDのC
maxの22.84%であり、T
maxは2時間延期する。この研究の設計は、試験および参照配合物の薬物動態パラメーターを決定するのに適切であった。洗い出し期間は、第2期投与前に薬物を完全排出させるのに、およびいずれかの持ち越し効果を回避するのに十分であった。
【0400】
考察
AUC
0−tおよびAUC
0−∞によって示される処置Aの吸収の程度は、対照の即時放出配合物(処置C、XAGRID
R)に対して、それぞれ77.72%および81.54%であった。また、処置Bの吸収の程度も、対照(処置C、XAGRID
R)に対して低下した(59.24%および71.58%)。CR配合物(処置B)の全暴露は、その長い見掛け終末期半減期11.58時間(相対的に、XAGRID
Rの平均T
1/2elは1.33時間である)のゆえに、選択したサンプリングスキームを用いて恐らくは過小評価されていたであろう。また、C
maxおよびT
maxによって概算される吸収速度も、処置C(XAGRID
R)と比較して、CR配合物(処置AおよびB)において有意に遅くなり、特に、処置Bについては、C
maxはXAGRIDのC
maxの22.84%であり、T
maxは2時間延期する。
【0401】
これらの結果は、CR配合物(処置B)が、即時放出配合物(XAGRID
R、Shire、処置C)と比較して、暴露の持続期間を増大させるか、または十分な全暴露を維持しながら、ピーク血漿濃度を低減したことを示す。
【0402】
5.
インビボでの用量漸増研究
健康対象において、本明細書中に記載されるアナグレリドの制御放出組成物の薬物動態および薬力学を評価するために、プラシーボ対照、二重盲検反復投与、用量漸増、連続コホート研究を行った。この研究の目的は、健康対象における低用量範囲の本明細書中に記載されるアナグレリド組成物の血小板カウントに対する効果について、用量−応答の関係を調べることであった。この研究の他の目的には、血小板カウントに対するある用量範囲の組成物(アナグレリドを含む)の効果および回復の時間経過を調べること、血小板凝集(アゴニストとしてコラーゲンおよびADP)に対するある用量範囲のアナグレリド組成物の効果を調べること、アナグレリド組成物の1回および反復投与の薬物動態を調べること、ならびに、1回用量としておよび21日目まで反復して投与された組成物の安全性および許容性を調べることが含まれていた。
【0403】
適当な対象を次のように処置した:
・対象を、一晩絶食後の1日目の朝にユニットに入れ、5日目の朝の投与の4時間後までユニットに滞在させた。
・1日目の朝に、対象に、アナグレリドを含む制御放出組成物(またはそれに合致するプラシーボ)の1回用量を投与した。
・3日目の朝に、対象において、制御放出アナグレリド組成物による1日2回の反復投与を開始し、5日目の朝の投与の4時間後までユニットに滞在させた。
・対象において、外来患者として、制御放出アナグレリド組成物による反復1日2回投与を続けた。投与を23日目の朝まで続けた。
・全ての朝用量は、少なくとも8時間の一晩絶食後に服用した。
・全ての夕用量は、食物摂取の少なくとも2時間後に服用した。いずれかの投与の後、少なくとも1時間(1日目および23日目の朝投与については4時間)にわたっては食物を摂取しなかった。
・6日目〜21日目に、全血カウント(FBC)および血小板カウント(毎日)、谷間PK(7日目、10日目、13日目、16日目および19日目)、および臨床化学(13日目)のために、制御放出アナグレリド組成物の投与前に血液を採取した。
・22日目の朝に、対象を再びユニットに入れ、そこに25日目まで滞在させ、23日目のアナグレリドを含有する制御放出組成物の最終用量のPKを、48時間にわたって追跡できるようにした。
・対象を、26日目から31日目までの毎日、FBCおよび血小板カウントのために外来に戻した。
・対象を、アナグレリドを含有する制御放出組成物の最後の投与の14〜16日後の追跡訪問に戻した。
【0404】
研究集団:18〜50歳の健康な男性および女性対象
検討生成物:実施例1の表4に記載したアナグレリドの制御放出組成物(組成物2:速放性、封止コートを有する)を、100μgおよび300μgの単位用量で使用し、経口投与した。このCR配合物は、全暴露に対して実質的に低いピーク血漿レベルの基準で選択し、即時放出アナグレリド配合物のC
maxの約25%であるC
maxを示すが、即時放出アナグレリド配合物(XAGRID
R)の約60%であるAUC
0−lastを示した。
【0405】
用量:このプロトコールにおいて、200μg、300μg、400μgおよび600μg用量のアナグレリドを含む制御放出組成物(1日2回投与される)の4コホートを研究した。
薬力学およびPK:血小板カウント、コラーゲン誘導の血小板凝集、ADP誘導の血小板凝集、テンプレート出血時間、AUC
0−t、AUC
0−∞、C
max、C
min、t
1/2、λ
Zおよびt
maxを調べた。
【0406】
200μgの出発用量(1日目に1回用量、次いで21日間は1日2回として)を、健康対象においてどのような血小板カウントの臨床的に有意の低減をも引き起こしそうにない用量として選択した。血小板カウントに対して何らかの効果を生じるアナグレリドを含有する制御放出組成物の最低用量の同定に興味があったので、この出発用量を選択した。それぞれのその後のコホートにおいて、血小板カウントを30〜50%低下させる用量範囲の同定を目的として、用量を200μg増加させた(1日2回)。血小板カウントを毎日モニタリングして、この漸増を決定し、対象を有意の臨床リスクに置くことなく、アナグレリドの制御放出組成物の有効用量範囲の同定を可能にした。
【0407】
有効性分析
1日目から23日目までの血小板カウントの%変化であるように、一次有効性終点を選択した(ベースラインからの少なくとも30%の血小板数の低減)。また、有効性分析を、用量範囲と交差する線形用量傾向についても検定した(プラシーボ、200μg〜最高用量)。この分析を、共変量として用量を用いる線形パワーモデルを用いて行った。
【0408】
結果
この研究を、プロトコールに従って経口により、200μg、400μgおよび600μgの1日2回(b.i.d.)で開始した。600μgのb.i.d.の用量において、各対象について12〜14日目に、血小板が許容しえないレベルまで低下し、投与を停止した。次の用量群の用量を、300μgのb.i.dまで低減した。21日間の治療経過にわたり、血漿におけるアナグレリド蓄積の証拠は存在しなかった。さらに、結果は、アナグレリドクリアランスの自己誘導の証拠を示さなかった。また、結果は、21日間の治療経過にわたり、用量範囲と交差する線形用量傾向を示唆する。
【0409】
【表32】
【0410】
【表33】
【0411】
【表34】
修飾は当業者にとって明らかであるので、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。