(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
まず、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置と呼ぶ。)について説明する。
図1(a)は、本実施形態のMRI装置100の機器構成図である。本図に示すように、本実施形態のMRI装置100は、撮像空間に静磁場を発生する静磁場発生装置102、患者などの被検体101を搭載し、撮像空間に配置するためのベッド112、高周波磁場(RF)パルスを撮像対象101に印加するRFコイル104、被検体101が発生する核磁気共鳴(NMR)信号を検出するためのRFプローブ105、および、撮像空間にX方向、Y方向、Z方向の傾斜磁場をそれぞれ発生させる傾斜磁場コイル103を備える。さらに、MRI装置100は、傾斜磁場電源109、RF送信部110、信号検出部106、情報処理部111、表示部108、操作部107を備える。
【0018】
傾斜磁場電源109は、傾斜磁場コイル103に信号を送り、各方向の傾斜磁場を発生させる。傾斜磁場は、エコー信号に位置情報を与えるものである。例えば、スライス選択傾斜磁場により選択された撮像スライス面上で、位相エンコード傾斜磁場により異なる位相エンコードを与え、それぞれの位相エンコードで得られるエコー信号を、読み出し傾斜磁場を与えながら検出する。位相エンコードの数は、通常、1枚の画像あたり、128,256、512等の値が選ばれる。
【0019】
RF送信部110は、RFコイル104に信号を送り、RFパルスを発生させるもので、高周波発振器と変調器と高周波増幅器とを備え、高周波発振器から出力されたRFパルスを情報処理部111からの指令によるタイミングで変調器により振幅変調し、振幅変調された高周波磁場パルスを高周波増幅器で増幅した後にRFコイル104に供給する。
【0020】
信号検出部106は、RFプローブ105が検出したNMR信号(エコー信号)を検出する。なお、各エコー信号は、通常、128、256、512、1024個のサンプリングデータからなる時系列信号として得られる。得られた信号(データ)は、情報処理部111において、2次元フーリエ変換され、1枚のMR画像として再構成される。
【0021】
表示部108および操作部
107は、ユーザインタフェースである。表示部108は、例えば、得られた画像信号を画像として表示する等、情報処理装置111での処理結果が表示される。また、操作者は、操作部107を介して、情報処理装置111における処理に必要な情報を入力する。
【0022】
情報処理部111は、上述のように、信号検出部106で検出したエコー信号を信号処理あるいは演算により画像信号に変換するとともに、傾斜磁場電源109、RF送信部110、信号検出部106の動作を、予め定められた撮像シーケンスに従って制御し、撮像を実現する。この撮像シーケンスは、RFパルスと傾斜磁場の印加およびエコー信号検出の手順を定めたパルスシーケンスと、これらのタイミング、強度、繰返し時間等を決定する撮像パラメータとにより定まる。
【0023】
本実施形態の情報処理部111の機能ブロック図を
図1(b)に示す。本実施形態の情報処理部111は、検査全体の流れを制御する検査制御部210を備える。検査制御部210は、撮像シーケンスに従って各部を制御して撮像を実現する撮像部220と、検出したエコー信号を処理し、画像再構成等の各種の演算を行う信号処理部230と、これらの各部と表示部108および操作部107とのインタフェースであるユーザインタフェース(UI)制御部250と、を備える。
【0024】
UI制御部250は、操作者から、検査実行に必要な情報を受け付けるとともに、検査制御部210の制御に従って行われた処理の結果を表示部108に表示させる。本実施形態では、例えば、検査部位、検査断面の入力を受け付け、各処理部に通知する。また、他の機能が処理した結果に対する各種の演算処理等も担う。
【0025】
なお、情報処理部111は、CPUとメモリと記憶装置とを備える。情報処理部111の各機能は、記憶装置に格納されたプログラムを、CPUがメモリにロードして実行することにより実現される。また、記憶装置には、各機能が処理を実行するために必要なデータ、処理により得られたデータ、パルスシーケンス、操作部107を介して入力されたデータ等が格納される。さらに、各処理を実行途上に得られるデータ等も一時的に保持される。また、情報処理部111の少なくとも1部の機能は、MRI装置100と独立して設けられる汎用の情報処理装置上に構成されてもよい。
【0026】
現在MRIの撮像対象は、臨床で普及しているものとしては、被検体101である被検体の主たる構成物質であるプロトンである。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または機能を2次元もしくは3次元撮像する。
【0027】
ところで、エコー信号には、組織固有のT1値、T2値と呼ばれるパラメータがあり、これを反映したT1強調画像、T2強調画像といったコントラストの異なる画像を撮像することにより、生体組織の判別、さらには、その組織が病変(たとえば腫瘍など)であるかを鑑別することができる。これは疾病などの組織の状態変化により、このT1値、T2値というパラメータが変化するためである。これらのコントラストの異なる画像は、撮像パラメータの中の、パルスシーケンスの繰返し時間TR、エコー信号取得のタイミングTEの設定を変更することにより得ることができる。
【0028】
一般に撮像は、各部位毎に、解剖学的な特徴構造により特定される検査断面を撮像スライスに指定して行われる。そして、その撮像スライスは、一般に、スキャノグラム撮像を行い、撮像スライスを設定可能な撮像スライス設定画像を得、その撮像スライス設定画像上で、設定される。本実施形態では、1の検査の中で、同一検査断面の、これらの複数のコントラストの異なる画像を取得する。すなわち、1の検査の中で、上記撮像シーケンスを複数回実行し、それぞれ画像を得る。
【0029】
撮像スライスは、MRI装置100固有の座標系上で特定され、一方で検査断面は、被検体101の解剖学的特徴構造により特定されるため、被検体101が基準である。従って、本実施形態のように、撮像を複数回行う場合、途中で被検体101が変位すると、被検体101の最初の位置の検査断面に合致するよう決定した撮像スライスが、その時点の被検体101の検査断面とずれてしまう。従来は、このずれを知ることができず、最終的に得られた画像で初めて知ることとなり、撮像をやり直している。あるいは、撮像毎に、毎回、その時点の検査断面に合致する撮像スライスを設定する必要があり、全検査時間が長引いている。
【0030】
本実施形態では、このような問題点を解消するため、検査内の撮像毎にナビゲータエコーを取得し、被検体101の体位の変動の有無を判別し、それに応じて撮像スライスを調整する。
【0031】
これらの機能を実現するため、本実施形態の検査制御部210は、撮像部220、信号処理部230およびUI制御部250により、UI制御部250を介して指定された検査部位および検査断面に応じて、推奨する撮像スライスである推奨撮像スライスを算出し、UI制御部250に表示させる撮像スライス設定部240を実現する。撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定用の画像を取得する撮像スライス設定画像取得部241と、検査制御部210の指示によりナビゲータエコーを取得するナビゲータエコー取得部242と、ナビゲータエコーにより、被検体101の体位に変動があったか否かを判別する変動判別部243と、検査制御部210の指示により撮像スライス設定画像上で本撮像用の撮像スライスを算出する撮像スライス算出部244を備える。
【0032】
また、情報処理部111は、自身が備える記憶装置に、検査制御部210が検査を実行するために必要な各種のデータを備える。本実施形態では、例えば、撮像スライス設定のために用いるテンプレート、スキャノグラム撮像を行うためのスキャノグラム撮像スライスが保持される。テンプレートおよびスキャノグラム撮像スライスは、検査部位および検査断面に対応づけて保持される。また、記憶装置には、処理途中のデータも保持される。
【0033】
以下、本実施形態の検査の流れを説明する。ここでは、複数の撮像からなる検査において、撮像毎に検査断面に合致した撮像スライスを設定する。
図2は、本実施形態の検査処理の処理フローである。なお、以下の検査は、本実施形態の検査制御部210による制御に従って実行される。また、n(nは正の整数)は撮像の回数をカウントするカウンタである。また、ここでは、m(mは正の整数)回撮像を行うものとする。
【0034】
UI制御部250は、操作者より検査部位(および検査断面)の指定を受け付ける(ステップS2001)。検査制御部210は、UI制御部250が指定を受け付けたことを契機に、検査処理を開始し、まず、カウンタnを1とし(ステップS2002)、撮像スライス設定部240に、撮像スライスを設定させる。
【0035】
具体的には、撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定画像取得部241には、UI制御部250が受け付けた検査部位および検査断面に応じて、撮像スライス設定画像を取得させる(ステップS2003)。次に、撮像スライス設定部240は、ナビゲータエコー取得部242に、ナビゲータエコーを取得させる(ステップS2004)。ここで、撮像スライス設定部240は、撮像の回数を判別し(ステップS2005)、1回目であれば、取得したナビゲータエコーを、記憶する(ステップS2006)。そして、撮像スライス設定部240は、撮像スライス算出部244に、撮像スライス設定画像上で本撮像の推奨撮像スライスを計算させ(ステップS2007)、計算結果を第1回目の推奨撮像スライスとして記憶装置に保持するとともに(ステップS2008)、UI制御部250を介して推奨撮像スライスとして表示部108に表示させる(ステップS2009)。
そして、操作者からの指示を待ち、推奨撮像スライスを撮像スライスとして設定する(ステップS2010)。
【0036】
検査制御部210は、撮像スライス設定部240による撮像スライスの設定を受け、当該撮像スライスで本撮像を実行する(ステップS2011)。
【0037】
そして、検査制御部210は、当該検査で行う予定であった全撮像を実行したか否かを判別する(ステップS2012)。全ての撮像を終えていた場合、処理を終了する。一方、全ての撮像を終えていない場合、カウンタnを1インクリメントし(ステップS2013)、ステップS2004に戻る。
【0038】
また、ステップS2005において、1回目でないと判別された場合、撮像スライス設定部240は、変動判別部243に、被検体101の体位の変動の有無を判別させる(ステップS2021)。ここで、変動無し、と判別された場合、ステップS2009に進み、記憶装置に保持される第1回目の撮像スライスをそのまま推奨撮像スライスとして表示させる。一方、ステップS2021で変動有りと判別された場合、撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定画像取得部241に、撮像スライス設定画像を取得させる(ステップS2022)。そして、ステップS2007に移行し、撮像スライス算出部244に、最新の撮像スライス設定画像上で本撮像の撮像スライスを計算させる。
【0039】
以下、各ステップの処理を詳細に説明する。ここでは、頭部検査であって、一般的なAC-PCラインを検査断面とする検査を行う場合を例にあげて説明する。操作者が予め容易された検査部位入力用のインタフェースを介して、頭部AC-PCラインと検査部位を入力したことをトリガとして検査制御部210は、検査を開始する。
【0040】
ステップS2003およびS2022における撮像スライス設定画像取得部241による撮像スライス設定画像取得処理について説明する。本実施形態の撮像スライス設定画像取得部241は、処理開始の指示を受け付けると、予め定められたスキャノグラム撮像用の撮像シーケンスに従って、UI制御部250を介して通知された検査部位(および検査断面)に対応づけて記憶装置に保持されるスキャノグラム撮像スライスについてスキャノグラム撮像を行い、検査対象部位のスキャノグラム画像を得る。スキャノグラム画像として、検査対象部位の、アキシャル、コロナル、サジタル画像を取得する。検査対象部位の検査断面が、これらのいずれかの画像上で設定可能な場合は、これらのスキャノグラム画像を、撮像スライス設定画像とする。なお、撮像スライス設定画像取得部241は、撮像部220にスキャノグラム撮像を行わせ、信号処理部230に、得られたエコー信号から画像を再構成させることにより、スキャノグラム画像を得る。
【0041】
ここで、頭部のAC-PCラインは、正中面画像上で設定する。正中面は、上記いずれのスキャノグラム画像でもない。このため、撮像部位として頭部が、検査断面としてAC-PCラインが操作者により入力された場合、撮像スライス設定画像取得部241は、さらに、得られたスキャノグラム画像を用いて、撮像スライス設定断面である正中面を算出する正中面算出処理を行う。そして、算出した正中面を撮像スライスとする撮像を行い、正中面画像を取得する。そして、この正中面画像を、撮像スライス設定画像とする。
【0042】
なお、正中面の算出には、テンプレートマッチングの手法を用いる。ここで、本実施形態の撮像スライス設定画像取得部241による正中面の算出処理について説明する。
図3は、本実施形態の正中面算出処理を説明するための図である。
図3(a)は、正中面算出処理の処理フローである。また、
図3(b)は、マッチングに用いる正中面テンプレート330およびスキャノグラム画像320およびスキャノグラム画像320を二値化した二値化画像321の一例である。
【0043】
図3(b)に示すように、正中面テンプレート330は、各サジタル(SAG)、アキシャル(Ax)、コロナル(COR)画像上で、形状を把握しやすい脳梁、脳室といった特徴部位(331)の形状と、特徴部位331と正中面332との位置関係を特定するパターンである。この正中面テンプレート330は、例えば、事前に撮像したスキャノグラム画像等に基づき、予め作成され、検査部位(および検査断面)に対応づけて、記憶装置に保持される。
【0044】
まず、撮像スライス設定画像取得部241は、得られたスキャノグラム画像320を、それぞれ二値化し、二値化画像321を得る(ステップS301)。次に、記憶装置に保持されるテンプレート群の中から、正中面テンプレート330を抽出する(ステップS302)。そして、二値化画像321とテンプレート330との間で、テンプレートマッチング処理を行う(ステップS303)。
【0045】
ここで、マッチング処理は、一般的なテンプレートマッチング処理を用いる。まず、二値化画像321とテンプレート330とのサイズを合わせる。サイズは、小さい方のデータに対し、k空間でゼロフィリングすることにより合わせる。大きい方のデータサイズで規定されるマトリクスの中央に小さい方のデータを配置し、周囲のデータ欠損部分にゼロデータを詰める。そして、フーリエ変換し、再構成する。二値化画像321側が小さい場合は、フーリエ変換前の状態でゼロフィリングを行い再構成する。一方、テンプレート330側が小さい場合は、逆フーリエ変換を施してからゼロフィリングを行い、再構成する。なお、テンプレート330を単純に拡大、縮小することにより、サイズを合わせてもよい。
【0046】
二値化画像321とテンプレート330とのサイズを合わせた後、例えば、二値化後のスキャノグラム画像321上で、正中面テンプレート330を1画素ずつ移動させながら、以下の式(1)、または、式(2)で表されるDを計算し、Dが最小となる位置をマッチング状態とする。
ここで、P
i=(P
i,1、P
i,2・・・P
i,n)はテンプレート330の各点の濃度値、P
j=(P
j,1、P
j,2、・・・P
j,n)は、二値化後のスキャノ画像
321の各点の濃度値を示す。
【0047】
マッチング状態の位置のテンプレート330上の正中面332を、スキャノグラム画像320上の正中面と決定する(ステップS304)。
【0048】
以上の手順で本実施形態の撮像スライス設定画像取得部241は、撮像部位が頭部、検査断面がAC-PCラインと設定された場合、正中面を算出する。そして、上述のように、算出した正中面を撮像スライスとして正中面画像を取得し、これを撮像スライス設定画像とする。このとき、撮像スライス設定画像取得部241は、信号処理部230に正中面算出処理を行わせ、撮像部220に、正中面を撮像スライスとするスキャノグラム撮像を実行させ、信号処理部230に得られたエコー信号から正中面の画像を再構成させる。
【0049】
次に、上記ステップS2004におけるナビゲータエコー取得部242によるナビゲータエコー取得処理について説明する。ナビゲータエコー取得部242は、撮像スライス設定部240から指示を受けると、検査部位(および検査断面)に対応付けて予め保持されているナビゲータエコーを取得する。本実施形態では、2Dおよび/または3Dの画像のナビゲータエコー(2Dナビゲータ画像、3Dナビゲータ画像)、および、直交する3軸方向、すなわち、x軸方向、y軸方向、z軸方向の、ナビゲータエコーを、周知のナビゲータエコー取得用の撮像シーケンスに従って取得する。例えばTR=4msの撮像シーケンスを用いて、64×64の2Dナビゲータ画像を取得する場合の取得時間は、256msであり、これを直交3断面分取得する場合であっても取得時間は0.7秒程度である。
また、位相エンコード傾斜磁場を印加しないで、各軸方向1エコー取得する場合の取得時間は、数10ms程度である。従って、ナビゲータエコー取得処理による検査時間の延長はほとんどない。
【0050】
なお、ナビゲータエコー取得部242は、撮像部220にナビゲータエコー取得用の撮像シーケンスを実行させ、得られたエコー信号を信号処理部230に再構成させ、2D/3Dナビゲータ画像を得る。
【0051】
次に、変動判別部243による上記ステップS2021における変動判別処理について説明する。
図4および
図5は、本実施形態の変動判別処理を説明するための図である。変動判別部243は、各撮像の直前に取得するナビゲータエコーと、基準時に取得したナビゲータエコーとを比較し、被検体101の体位の変動の有無を判別する。本実施形態の変動判別部243は、第1回目の撮像直前に取得したナビゲータエコーを基準時のナビゲータエコーとし、直交する3軸方向(x軸方向、y軸方向、z軸方向)のナビゲータエコーから、体位変化の平行移動分を、直交する3断面の2Dナビゲータ画像から、体位変位の回転移動分を検出する。なお、変動判別部243は、得られたナビゲータエコーまたは2Dナビゲータ画像から、信号処理部230に、以下の変動判別処理を行わせる。
【0052】
まず、平行移動分の検出について
図4を用いて説明する。変動判別部243は、
図4(a)に示すように、第1回目の撮像直前の体位401と、n回目の撮像直前の被検体101の体位402との間に、x軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれに関する変動があったか否かを判別する。ここでは、x軸方向、y軸方向、z軸方向をそれぞれ別個に変位量を算出する。具体的には、変動判別部243は、ナビゲータエコーを取得した方向にフーリエ変換した絶対値データを1画素ずつずらしながら相関計算し、相関係数が最大となる画素ずれ量を、当該方向の被検体101の体位の変化量とする。ここでは、説明を簡単にするため、xy平面上での変動のみを取り上げ、説明する。
【0053】
図4(b)に、x軸方向の変化量Δx算出の様子を示す。第1回目の撮像の直前に取得したx軸方向のナビゲータエコーをx方向にフーリエ変換した絶対値データ411と、n回目の撮像直前に取得したx軸方向のナビゲータエコーをx方向にフーリエ変換した絶対値データ412とをx方向に1画素ずつずらしながら、相関計算を行い、相関係数が最大となるずれ量を検索する。そして、得られたずれ量を、x方向の変位量Δxとする。
【0054】
図4(c)に、y軸方向の変化量Δy算出の様子を示す。第1回目の撮像の直前に取得したy軸方向のナビゲータエコーをy方向にフーリエ変換した絶対値データ421と、n回目の撮像直前に取得したy軸方向のナビゲータエコーをy方向にフーリエ変換した絶対値データ422とをy方向に1画素ずつずらしながら、相関計算を行い、相関係数が最大となるずれ量を検索する。そして、得られたずれ量を、y方向の変位量Δyとする。
【0055】
以上のように、y軸方向の変位量Δyとx軸方向の変位量Δxとがそれぞれ独立に算出され、
図4(d)に示すように、xy平面上での変位が特定される。
【0056】
次に、回転移動分の検出について
図5を用いて説明する。本図に示すように、本実施形態の変動判別部243は、第1回目の撮像で取得した各軸方向のナビゲータエコーおよび各断面の2Dナビゲータ画像と、n回目の撮像直前に取得した各断面の2Dナビゲータ画像とを比較し、第1回目の撮像直前の被検体101の体位401と、n回目の撮像直前の被検体101の体位402とに変動があったか否かを判別する。
【0057】
第1回目の撮像直前に取得した、アキシャル面(xy面)のナビゲータエコー画像431、サジタル面(zx面)のナビゲータエコー画像441、コロナル面(yz面)のナビゲータエコー画像451と、n回目の撮像直前に取得した、アキシャル面(xy面)のナビゲータエコー画像432、サジタル面(zx面)のナビゲータエコー画像442、コロナル面(yz面)のナビゲータエコー画像452とを、それぞれについて、いずれか一方を所定の角度ずつ回転させ、マッチング処理を行う。マッチング処理は、正中面算出処理で説明したテンプレートマッチング処理等の手法を用いる。そして、マッチング状態となった際の回転角Δφ、Δθ、Δρを、各面内の回転移動分とする。
【0058】
以上のように、平行移動分(Δx、Δy、Δz)および回転移動分(Δφ、Δθ、Δρ)を算出し、それぞれについて、予め定められた閾値と比較する。そして、少なくとも1つが閾値を越えた場合、変動判別部243は、被検体101の体位に変動有りと判別する。一方、全ての値がそれぞれ閾値以下である場合、被検体101の体位に変動はないものと判別する。なお、ここでは、2Dおよび/または3Dの画像のナビゲータエコーと直交する3軸方向のナビゲータエコーの両方を取得し、平行移動分、回転移動分の両方を検出しているが、これに限られない。いずれか一方のみ取得し、いずれか一方の移動分のみ検出するよう構成してもよい。
【0059】
次に、撮像スライス算出部244による上記ステップS2007における推奨撮像スライス算出処理について説明する。撮像スライス算出部244は、撮像スライス設定画像上で、本撮像の撮像スライスを算出し、結果を記憶装置に格納するとともに、推奨撮像スライスとして表示部108に表示する。本実施形態では、撮像スライス設定画像を二値化し、特徴部位と撮像スライスとの位置関係を特定するテンプレートとマッチングをすることにより撮像スライスを算出する。
【0060】
図6は、本実施形態の推奨撮像スライス算出処理を説明するための図である。
図6(a)は、推奨撮像スライス算出処理の処理フローであり、
図6(b)は、マッチングに用いるAC-PCラインテンプレート530および撮像スライス設定画像520とその二値化画像521の一例である。
【0061】
図6(b)に示すように、AC-PCラインテンプレート530は、撮像スライス設定画像(ここでは、正中面画像)上で、特徴部位531の形状と、特徴部位531と撮像スライスとして設定する検査断面(ここでは、AC-PCライン)532との位置関係を特定するパターンである。このAC-PCラインテンプレート530は、事前に撮像したスキャノグラム画像等に基づき、予め作成され、検査部位(および検査断面)に対応づけて記憶装置に保持される。
【0062】
撮像スライス算出部244は、撮像スライス設定画像(ここでは、正中面画像)520を二値化した画像(二値化画像)521と、AC-PCラインテンプレート530とをマッチングさせ、二値化画像521上の検査断面(ここでは、AC-PCライン)を特定する。なお、推奨撮像スライス算出処理の流れは、基本的に、撮像スライス設定画像取得処理中の、正中面算出処理と同様である。以下、具体的に説明する。
【0063】
撮像スライス算出部244は、得られた撮像スライス設定画像(ここでは、正中面画像)520を二値化し、二値化画像521を得る(ステップS501)。次に、記憶装置に保持されるテンプレート群の中から、AC-PCラインテンプレート530を抽出する(ステップS502)。そして、二値化画像521とテンプレート
530との間で、テンプレートマッチング処理を行う(ステップS503)。ここで、テンプレートマッチング処理は、上記正中面算出処理と同様の処理を用いる。
【0064】
そして、マッチング状態の位置のテンプレート
530上の検査断面(ここでは、AC-PCライン)
532を、撮像スライス設定画像(ここでは正中面画像)
520上の撮像スライスとする(ステップS504)。そして、撮像スライス算出部244は、推奨撮像スライスとして出力する。なお、撮像スライス算出部244は、以上の推奨撮像スライス算出処理を、UI制御部250に行わせる。
【0065】
次に、ユーザインタフェース(UI)制御部250により生成され、表示されるユーザインタフェース(UI)画面について説明する。
図7は、本実施形態のUI画面600の一例である。上記処理フローでは、スキャノグラム画像および撮像スライス設定断面を表示するステップはないが、ここでは、表示する場合を例示する。UI画面600を生成するための画像データは、記憶装置に予め保持される。
【0066】
本図に示すように本実施形態のUI画面600は、患者を特定する情報、例えば、患者名などを入力する患者情報入力領域601と、操作者を特定する情報、例えば、操作者名などを入力する操作者情報入力領域602と、検査部位を特定する情報を入力する検査部位情報入力領域611と、検査断面を特定する情報を入力する検査断面情報入力領域612と、撮像スライス設定画像に関する情報を表示する撮像スライス設定画像情報表示領域620と、撮像スライスに関する情報を表示する撮像スライス情報表示領域630と、操作者から本撮像を開始する指示を受け付ける本撮像スタートボタン表示領域640と、を備える。
【0067】
撮像スライス設定画像情報表示領域620は、撮像スライス設定画像取得部で取得したスキャノグラム画像と、スキャノグラム画像上で設定する撮像スライス設定画像の位置を示す情報とを表示する撮像スライス設定画像表示領域621と、撮像スライス設定画像表示領域621に表示されている内容を特定する情報を表示する撮像スライス設定画像情報表示領域622と、を備える。
【0068】
撮像スライス情報表示領域630は、撮像スライス設定画像と撮像スライス位置を示す情報とを表示する撮像スライス表示領域631と、撮像スライス表示領域631に表示されている内容を特定する情報を表示する撮像スライス情報表示領域632と、を備える。
【0069】
MRI装置100が起動されると、UI制御部250は、UI画面600を生成し、表示部108に表示させる。UI制御部250は、操作者からの、患者情報入力領域601、操作者情報入力領域602、検査部位情報入力領域611および検査断面情報入力領域612への入力を受け付ける。検査制御部210は、UI制御部250が入力を受け付けると、検査を開始する。
【0070】
また、撮像スライス設定部240から、スキャノグラム画像を表示部108に表示させる指示および、当該スキャノグラム画像と検査部位に応じて予め保持される撮像スライス設定断面の情報を受け付けると、UI制御部250は、受け付けたスキャノグラム画像と撮像スライス設定断面を撮像スライス設定画像情報表示領域620に表示する。
【0071】
また、撮像スライス設定部240から、推奨撮像スライスを表示部108に表示させる指示および、当該撮像スライスの情報を受け取ると、UI制御部250は、撮像スライス設定画像とともに推奨撮像スライスを特定する情報を撮像スライス情報表示領域630に表示する。撮像スライス設定部240から推奨撮像スライス算出の指示を受けると、UI制御部250は、推奨撮像スライスを算出し、撮像スライス設定画像とともに算出した推奨撮像スライスを特定する情報を撮像スライス情報表示領域630に表示する。
【0072】
本実施形態の頭部AC-PCラインを検査断面とする例では、撮像スライス設定画像表示領域621には、コロナル、アキシャル、サジタルの各断面のスキャノグラム画像が表示され、各画像上には、正中面を特定するラインまたは面が表示される。また、撮像スライス設定画像情報表示領域622には、表示されている画像が、スキャノグラム画像であることおよび表示されているスライスが正中面であることを示す情報が表示される。また、撮像スライス表示領域631には、コロナル、アキシャル、サジタルの各断面の正中面画像が表示され、撮像スライス情報表示領域632には、表示されている画像が正中面画像であり、表示されているスライスが、AC-PCラインであることを示す情報が表示される。
【0073】
なお、頭部AC-PCラインとは異なり、検査断面を、コロナル、アキシャル、サジタルの各断面のスキャノグラム画像上で直接指定可能な検査部位、検査断面の場合、撮像スライス設定画像情報表示領域620と撮像スライス情報表示領域630とには、同じ情報が表示される。または、この場合、撮像スライス設定画像情報表示領域620はなくてもよい。
【0074】
ここで、以上説明した、頭部のAC-PCラインを検査断面として撮像を行う場合の、検査制御部210による検査処理の流れを
図8に示す。また、得られる画像を
図9に示す。ここでも、m回撮像を行い、nは撮像回数をカウントするカウンタとする。
【0075】
UI制御部250は、操作者より、UI画面600を介して、撮像部位(ここでは、頭部AC-PCライン)の指定を含む撮像条件の入力を受け付ける(ステップS3001)。UI制御部250が入力を受け付けると、検査制御部210は、処理を開始する。まず、検査制御部210は、カウンタnを1とし(ステップS3002)、撮像スライス設定部240に、撮像スライスを設定させる。
【0076】
撮像スライス設定部240は、検査制御部210からの指示を受け、撮像スライス設定画像取得部241に、スキャノグラム画像を取得させる(ステップS3003)。次に、撮像スライス設定部240は、
図9(a)に示すように、撮像スライス設定画像取得部241に、スキャノグラム画像320上で、正中面332を特定する正中面算出処理を行わせる(ステップS3004)。ここで、UI制御部250は、撮像スライス設定画像情報表示領域620に、スキャノグラム画像上に正中面を特定する情報を表示する(ステップS3005)。そして、得られた正中面の画像を取得させる(ステップS3006)。
【0077】
次に、撮像スライス設定部240は、ナビゲータエコー取得部242にナビゲータエコーを取得させる(ステップS3007)。そして、撮像回数が1回目であるか否かを判別する(ステップS3008)。1回目であれば、取得したナビゲータエコーを記憶する(ステップS3009)。そして、撮像スライス設定部240は、
図9(b)に示すように、撮像スライス算出部244に、正中面の画像520上で、推奨撮像スライス(ここでは、AC-PCライン)532を算出させる(ステップS3010)。
【0078】
そして、撮像スライス設定部240は、算出した推奨撮像スライスを、記憶装置に記憶する(ステップS3011)とともに、UI制御部250に、UI画像600上の撮像スライス情報表示領域に表示させ(ステップS3012)、操作者からの指示を待つ。操作者から本撮像スタートボタン表示領域640を介して本撮像開始の指示を受け付けると、撮像スライス設定部240は、ステップS3010で算出した推奨撮像スライスを本撮像の撮像スライスとして設定する(ステップS3013)。
【0079】
撮像スライス設定部240が撮像スライスを設定したことを受け、検査制御部210は、本撮像を実行する(ステップS3014)。本撮像は、撮像部220が、予め定められた撮像シーケンスに従って設定された撮像スライスの撮像を実行し、信号処理部230が得られたエコー信号から画像を再構成する。
【0080】
本撮像を終えると、検査制御部210は、予定していた全撮像を終了したか否かを判別し(ステップS3015)、全ての撮像を終えていた場合、検査処理を終了する。一方、全ての撮像を終えていない場合、カウンタnを1インクリメントし(ステップS3016)、ステップS3007に戻る。
【0081】
また、ステップS3008において、2回目以降と判別された場合、撮像スライス設定部240は、変動判別部243に、被検体101の体位の変動の有無を判別させる(ステップS3021)。変動がなければ、ステップS3012に移行し、記憶装置に記憶されている撮像スライスを表示部108に再度表示し、処理を続ける。
【0082】
一方、ステップS316において変動有りと判別された場合、撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定画像取得部241に、撮像スライス設定画像を取得させる。撮像スライス設定画像取得部241は、ここでは、まず、部位に応じて定められたスキャノグラム撮像スライスにおいて、スキャノグラム撮像を行い、スキャノグラム画像320を取得する(ステップS3022)。そして、撮像スライス設定画像取得部241は、スキャノグラム画像320上で、正中面332を特定する正中面算出処理を行う(ステップS3023)。ここで、UI制御部250は、撮像スライス設定画像情報表示領域620に、スキャノグラム画像上に正中面を特定する情報を表示する(ステップS3024)。そして、撮像スライス設定画像取得部241は、得られた正中面の画像520を取得する(ステップS3025)。そして、撮像スライス設定画像として正中面の画像520を得ると、撮像スライス設定部240は、ステップS3010に移行し、処理を続ける。
【0083】
以上、頭部のAC-PCラインを検査断面として撮像を行う場合の、検査制御部210による検査制御の流れを説明した。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、検査部位を指定することで、自動的に撮像スライスの設定が行われるだけでなく、検査中に被検体101が動いた場合であっても、精度よく所望の検査断面を撮像スライスに設定し、撮像を行うことができる。
【0085】
すなわち、本実施形態によれば、同一検査断面の複数の撮像を行う検査において、検査中に被検体101の体位に変動があっても、被検体101の体位の変動を自動的に認識し、撮像スライスを再設定する。そして、この変位の認識および撮像スライスの再設定は、短時間に行われる。従って、本実施形態によれば、同一検査断面の複数の撮像を行う検査において、検査時間の大幅な延長および操作の増加無しに、精度よく同一検査断面の撮像を行うことができる。特に、検査中に被検体101が動いた場合であっても、その影響を受けず、毎回同じ検査断面の撮像ができる。
【0086】
本実施形態によれば、1回の検査フローで同一検査断面の画像を得る可能性が高まる。
従って、取り直しといった無駄もない。また、スライス断面設定のために、時間のかかる3Dボリュームデータを取得する手間もない。従って、本実施形態によれば、同一の検査断面について複数の画像を取得する検査において、操作者に余計な負担をかけず、検査時間の延長を抑え、所望の検査断面の複数の画像を容易かつ高精度に取得することができ、検査効率を向上させることができる。
【0087】
なお、上記実施形態では、ステップS2021(頭部AC-PCラインの例の場合、ステップS3021)において、被検体101の体位に変動があると判別された場合、そのまま、同じスキャノグラム撮像スライスで再度スキャノグラム撮像を実行し、撮像スライス設定画像を取得するよう構成しているが、これに限られない。ここで、変動判別部243が判別時に算出する変動量(Δx、Δy、Δz、Δφ、Δθ、Δρ)を反映し、スキャノグラム撮像を行うよう構成してもよい。
【0088】
変動量は、スキャノグラム撮像スライス、マッチングを行うテンプレートなどに反映させる。例えば、スキャノグラム撮像スライスを、算出した変動量分ずらしてスキャノグラム撮像を行う。あるいは、上記頭部AC-PCラインの例の場合、スキャノグラム画像からさらに正中面を算出しているが、ここで用いる正中面テンプレート730の各点を、変動量分変位させ、マッチングを行う。
【0089】
例えば、変動量がx方向にΔx、y方向にΔyである場合、正中面テンプレート730の点(x、y)の値Px、yを、点(x+Δx、y+Δy)の値とし、マッチングを行う。上記式(1)および(2)内のPiは、以下のように示される。
【0090】
P
i+Δx=(P
i+Δx,1+Δy、P
i+Δx、2+Δy、・・・P
i+Δx、n+Δy)
また、上記頭部AC-PCラインの例の場合、より精度よく正中面を特定するため、撮像スライス設定画像取得処理(ステップS3003からステップS3006の処理、または、ステップS3022からS3025の処理)を複数回繰り返すよう構成してもよい。
このときの処理の様子を
図10に示す。
図10(a)は、複数回繰り返す場合の撮像スライス設定画像取得処理の処理フローであり、
図10(b)は、処理途中で得られる画像である。ここでは、mm(mmは1以上の整数)回繰り返すものとする。また、nnはカウンタである。
【0091】
撮像スライス設定画像取得部241は、まず、カウンタnnに1を設定する(ステップS701)。そして、この時点で設定されているスキャノグラム撮像スライスで、スキャノグラム撮像を行う(ステップS702)。1回目は、予め検査部位に対応づけて保持されるスキャノグラム撮像スライスが用いられる。そして、得られたスキャノグラム画像720上で、正中面721を算出する(ステップS703)。その後、得られた正中面721に直交する面722を算出する(ステップS704)。算出した面722を新たなスキャノグラム撮像スライスとし(ステップS705)、ステップS702にもどり、予め定められた回数(mm回)処理を繰り返す(ステップS706、S707)。以上の手順により正中面721決定の精度を高めることができる。撮像スライス設定画像取得部241は、決定した正中面721の画像730を取得し、より正確な本撮像の撮像スライス(ここでは、AC-PCライン)731を設定することができる。
【0092】
また、撮像スライス算出部244が算出した推奨撮像スライスを、操作者が、調整可能なよう構成してもよい。調整の入力は、例えば、上記UI画面600の、撮像スライス情報表示領域630を介して受け付ける。操作者は、操作部107のマウス、キーボード等を用い、この撮像スライス情報表示領域630に推奨撮像スライスとともに表示されている撮像スライス設定画像上で、撮像スライスを所望の位置に設定する。撮像スライス設定部240は、操作者の調整量の入力を受け付け、推奨撮像スライスを変更後、撮像スライスとして設定する。
【0093】
さらに、受け付けた調整量を、撮像スライスを設定する際に用いるテンプレートに反映する機能を備えてもよい。すなわち、テンプレートとして持つ、特徴部位と撮像スライスとして設定する検査断面との位置関係を示す情報に、受け付けた調整量を反映させ、テンプレートを更新する。例えば、正中面画像のAC-PCラインテンプレート530では、特徴部位531に対する検査断面(ここでは、AC-PCライン)532の位置を微調整する。
【0094】
これにより、より精度の高いテンプレートを得ることができ、所望の撮像スライスに精度良く位置決めが可能となる。なお、調整量をテンプレートに反映するか否かを選択可能な構成を備えるようにしてもよい。すなわち、操作者が反映することを選択した場合のみ、受け付けた調整量をテンプレートに反映させる。
【0095】
なお、本実施形態では、テンプレートは、部位毎、検査断面毎に保持するよう構成しているがこれに限られない。例えば、部位および検査断面毎に、患者毎および/または操作者毎に保持するよう構成してもよい。この場合、操作者による、UI画面600を介した、患者および/または操作者を特定する情報と、検査部位および検査断面を特定する情報との入力を受け付け、各処理部は、テンプレートデータベースから抽出する。
【0096】
これらの、操作者毎、患者毎のテンプレートは、予め、操作者毎、患者毎に作成し、テンプレートデータベースに保持する。また、当初は操作者、患者などを区別せず作成し、上記手法で、更新時に、操作者毎、患者毎に区別して登録するよう構成してもよい。患者毎にテンプレートを保持しておくと、術後のフォローアップ検査のように、期間をおいて同一被検体101の同一検査断面を繰返し撮像する際、精度よく撮像スライスを設定することができる。
【0097】
また、被検体101の体位の変位が特定の面内のみであれば、撮像スライス設定画像取得処理を再度行なわず、第1回目の撮像で設定された撮像スライスで本撮像を行うよう構成してもよい。変位が特定の面内とは、Δx、Δy、Δzの中で、1軸方向または2軸方向の変位量のみが閾値を越えている場合である。
【0098】
この場合の検査処理の流れを
図11に示す。ここでは、上記実施形態と同様に、頭部のAC-PCラインを撮像する場合を例にあげて説明する。この場合の検査処理の流れは、基本的に
図8と同じである。ここでは、
図8と同じ処理には同じ符号を付す。ただし、本処理では、撮像スライス設定部240は、ステップS3021において、変動判別部243に、被検体101の体位の変動の有無を判別させ、変動有りと判別された後、その変動が面内のみであるか否かを判別させる(ステップS3031)。そして、面内移動のみでない場合は、ステップS3022へ移行する。一方、面内移動のみ、と判別された場合は、面内移動のみ有ることを示す情報と当該変位量とを記憶し(ステップS3032)、ステップS3012に移行する。また、ステップS3014の本撮像後、検査制御部210は、面内移動有りとの情報が保持されているか否かを判別し(ステップS3033)、保持されている場合は、信号処理部230に、再構成した画像を保持している変位量分移動させ(ステップS3034)、ステップ
S3015に移行する。
図12に示すように、ユーザインタフェース制御部250は、再構成画像830を記憶した変位量だけ変位させた画像840を表示部108に表示する。一方、保持されていない場合は、そのままステップS3015に移行する。
【0099】
さらに、被検体101の体位の変位が、特定の面内のみの場合、再構成画像を変位させるのではなく、本撮像の推奨撮像スライスを、変位量分ずらして算出するよう構成してもよい。この場合の検査処理の流れを
図13に示す。ここでは、上記実施形態と同様に、頭部のAC-PCラインを撮像する場合を例にあげて説明する。この場合の検査処理の流れは、基本的に
図3と同じであり、同一の処理については同一の符合を付す。ただし、本処理では、撮像スライス設定部240は、ステップS3021において、変動判別部243に、被検体101の体位の変動の有無を判別させ、変動有りと判別された後、その変動が面内のみであるか否かを判別させる(ステップS3031)。そして、面内移動のみでない場合は、ステップS3022へ移行する。一方、面内移動のみ、と判別された場合は、撮像スライス設定部240は、撮像スライス算出部244に、記憶装置に記憶されている推奨撮像スライスから変位量分シフトさせた撮像スライスを、新たな推奨撮像スライスとして算出させる(ステップS3041)。そして、ステップS3011へ移行する。
【0100】
さらに、上記実施形態では、被検体101の体位の変動について、第1回目の体位を基準にし、これと比較して変動の有無を判別しているが、変動の有無を判別する手法はこれに限られない。例えば、前回撮像時の体位と比較し、変動の有無を判別してもよい。
【0101】
また、本実施形態では、検査部位および検査断面は、UI画面600を介して入力するよう構成しているが、これに限られない。例えば、
図14に示すようなグラフィカル表示650から入力するよう構成してもよい。
【0102】
また、本実施形態では、頭部AC-PCラインの検査の場合を例にあげて説明しているが、検査対象部位はこれに限られない。また、頭部AC-PCラインの検査の場合、アキシャル、コロナル、サジタルの各断面のスキャノグラム画像から直接検査断面を設定できないため、上述のように、撮像スライス設定画像として正中面画像を算出している。しかし、検査断面を、アキシャル、コロナル、サジタルのいずれかのスキャノグラム画像上で直接設定可能な部位の検査の場合、スキャノグラム撮像で得たスキャノグラム画像をそのまま撮像スライス設定画像とする。
【0103】
本実施形態によれば、例えば、検査部位が、心臓や腹部といった呼吸動などの大きな動きのある部位であっても、本実施形態は対応可能である。一例として、心臓短軸のマルチスライス撮像を、複数回の息止めで撮像する場合の検査処理の処理フローを
図15に示す。本処理フローは、基本的に上記
図2に示す処理の流れと同様であり、同一の処理については同一の符号を付す。ただし、撮像スライス設定部240は、操作者の指示により被検体101が息止めを行った後、ナビゲータエコーを取得(ステップS2003)する。被検体101が息止めを行ったこと、すなわち、息止め完了の指示は、UI画面600または操作部107を介して受け取る。
【0104】
例えば、呼吸動により変動する横隔膜のナビゲータエコーを取得することにより、息止めレベルの違い(変位)を検知する。変位分撮像スライスを上記いずれかの手法で調整することにより、
図16に示すように、第1回目の撮像時の撮像スライス850と同じ検査断面を、それ以降の第n回目の撮像時の撮像スライス851として設定することができる。
【0105】
従って、本実施形態によれば、呼吸動などのある部位の複数回の撮像において、体動だけでなく、息止めのレベルの差があった場合であっても、撮像毎に、予め定めた検査断面を撮像スライスと設定することができる。なお、息止めを用いず、自由呼吸下においても、同様に、撮像毎に予め定めた検査断面を撮像スライスと設定することができる。
【0106】
<第二の実施形態>
次に、本発明を適用する第二の実施形態について説明する。本実施形態では、体位を変更しながら複数の撮像を行う動態検査に適用する。本実施形態では動態検査において、体位の変更があっても、所望の検査断面を撮像する。本実施形態のMRI装置は基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。以下、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて本実施形態を説明する。
【0107】
図17は、本実施形態の情報処理部111の機能ブロック図である。ここでは、第一の実施形態と同じ機能構成には、同じ符号を付す。本図に示すように、本実施形態の情報処理部111の検査制御部210は、撮像部220、信号処理部230およびUI制御部250により、撮像スライス設定部240を実現する。そして、撮像スライス設定部240は、第一の実施形態の構成に加え、テンプレート選択部245およびスキャノグラム撮像スライス適否判別部246とを備える。
【0108】
本実施形態では、動態検査を行う。動態検査の対象部位は可動部であり、検査部位の特徴的部位と検査断面との位置関係が一定しない。従って、複数の可動態様のテンプレートを用意する。本実施形態テンプレート選択部245は、検査部位に応じて用意された複数の異なる可動態様のテンプレートから、撮像時の被検体101の状態に最も適するテンプレートを選択する。テンプレート選択部245は、UI制御部250にテンプレートの選択処理を行わせる。
【0109】
また、本実施形態では、上述のように検査部位が可動部であるため、検査部位(および検査断面)に対応づけて記憶装置に登録されているスキャノグラム撮像スライスが必ずしも最適とは限らない。スキャノグラム撮像スライス適否判別部246は、撮像スライス設定画像を取得したスキャノグラム撮像スライスの適否を評価する。評価は、パターンマッチングにより行う。撮像スライス設定部240は、評価に応じて、得られた撮像スライスをスキャノグラム撮像スライスとして、撮像スライス設定画像取得部241に、再度撮像スライス設定画像を取得させる。スキャノグラム撮像スライス適否判別部246は、UI制御部250に判別を行わせる。
【0110】
なお、第一の実施形態では、変動判別部243は、変位の有無の判別の基準とするナビゲータエコーを、基本的に第1回目のナビゲータエコーとしている。しかし、本実施形態では、動態検査であるため、基準とするナビゲータエコーを、前回撮像直前に取得したナビゲータエコーとする。また、第一の実施形態では、パターンマッチング、または、絶対値データで比較しているが、本実施形態では、信号値プロファイルを用いる。詳細は後述する。
【0111】
さらに、本実施形態のUI制御部250は、撮像毎に膝の角度の変更を終えたこと、すなわち、次の撮像のための準備が完了したことを示す指示を操作者から受け付けるインタフェースを有する。
【0112】
ここで、本実施形態の検査制御部210による検査処理の流れについて説明する。
図18は、本実施形態の検査処理の処理フローである。ここでは、第一の実施形態同様、複数の撮像からなる検査において、各撮像毎に検査断面に合致した撮像スライスを設定するものとし、m(mは正の整数)回撮像を行うものとする。なお、n(nは正の整数)は撮像の回数をカウントするカウンタである。また、以下の検査は、本実施形態の検査制御部210による制御に従って実行される。
【0113】
操作者よりUI画面600を介して検査部位(および検査断面)の指定を受け付けると、UI制御部250は、検査部位(および検査断面)を検査制御部210および撮像スライス設定部240に通知する(ステップS4001)。検査制御部210は、UI制御部250から通知を受けたことを契機に、検査処理を開始する。まず、検査制御部210は、カウンタnを1とし(ステップS4002)、撮像スライス設定部240に、撮像スライスを設定させる。
【0114】
撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定画像取得部241に、UI制御部250が受け付けた検査部位および検査断面に応じて保持されるスキャノグラム撮像スライスで撮像スライス設定画像を取得させる(ステップS4003)。次に、撮像スライス設定部240は、ナビゲータエコー取得部242にナビゲータエコーを取得させ(ステップS4004)、その時点の撮像回数(n)に対応づけて記憶装置に記憶する(ステップS4005)。そして、撮像スライス設定部240は、撮像の回数を判別し(ステップS4006)、1回目であれば、テンプレート選択処理に移行し、テンプレート選択部245に、推奨撮像スライスを計算するために用いるテンプレートを選択させる(ステップS4007)。そして、撮像スライス算出部244に、選択したテンプレートを用い、撮像スライス設定画像上で本撮像の推奨撮像スライスを計算させる(ステップS4008)。
【0115】
そして、撮像スライス設定部240は、スキャノグラム撮像スライス適否判別部246に算出した結果の適否を判別させ(ステップS4009)、適切と判別された場合、算出結果を第n回目の推奨撮像スライスとして記憶装置に保持する(ステップS4010)とともに、推奨撮像スライスとして表示部108に表示させる(ステップS4011)。そして、操作者からの指示を待ち、撮像スライス設定部240は、推奨撮像スライスを撮像スライスとして設定する(ステップS4012)。
【0116】
検査制御部210は、撮像スライス設定部240による撮像スライスの設定を受け、当該撮像スライスで本撮像を実行する(ステップS4013)。
【0117】
そして、検査制御部210は、当該検査で行う予定であった全撮像を実行したか否かを判別する(ステップS4014)。全ての撮像を終えていた場合、処理を終了する。一方、全ての撮像を終えていない場合、カウンタnを1インクリメントし(ステップS4015)、操作者からの、体位の変動完了の指示を待つ。操作者から変動完了の指示を受け付けると(ステップS4016)、ステップS4004に戻り、処理を継続する。
【0118】
また、ステップS4006において、1回目でないと判別された場合、撮像スライス設定部240は、変動判別部243に、被検体101の体位の変動の有無を判別させる(ステップS4021)。ここで、変動無し、と判別された場合、ステップS4010に進み、記憶装置に保持される前回(n-1)回目の撮像スライスを、n回目の撮像スライスとして記憶し、処理を継続する。一方、ステップS4021で変動有りと判別された場合、撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定画像取得部241に、撮像スライス設定画像を取得させる(ステップS4022)。そして、ステップS4007に移行し、処理を継続する。
【0119】
また、ステップ4009で適切と判別されない場合、撮像スライス設定部240は、ステップS4008で算出した推奨撮像スライスを、スキャノグラム撮像スライスとして、撮像スライス設定画像取得部241に、撮像スライス設定画像を取得させる撮像スライス設定画像再取得処理を行わせ(ステップS4031)、ステップS4007移行し、処理を継続する。
【0120】
以下、上記第一の実施形態と異なる処理について、膝関節の動態検査(Kinematic撮像)を例にあげ、具体的な処理を説明する。検査断面は、膝蓋骨と直交するアキシャル面とし、撮像毎に膝の角度を変更する。また、検査対象部位が可動部であるため、記憶装置には、当該検査部位(および検査断面)に対応づけて、可動状況に応じた複数のテンプレートが保持される。
【0121】
まず、本実施形態の撮像スライス設定画像取得部241による、ステップS4003の撮像スライス設定画像取得処理について説明する。上述のように、本実施形態では、検査断面が膝蓋骨と直交するアキシャル面である。従って、撮像スライス設定画像は、膝蓋骨部が撮像されたサジタル面のスキャノグラム画像(サジタルスキャノグラム画像)である。ここでは、予め、検査部位に対応づけて保持されるスキャノグラム撮像スライスのスキャノグラム撮像を行い、サジタルスキャノグラム画像を取得する。
【0122】
次に、本実施形態の変動判別部243による、ステップS4021の変動判別処理について
図19を用いて説明する。なお、本実施形態では、ナビゲータエコー取得部242は、周知のナビゲータエコー取得用の撮像シーケンスに従って、直交する3軸方向、すなわち、x軸方向、y軸方向、z軸方向のナビゲータエコーを取得する。
【0123】
本実施形態の変動判別部243は、前回の撮像直前の体位(n-1回目の体位)1001と、今回の撮像直前の体位(n回目の体位)1002とを比較し、変動の有無を判別する。本実施形態では、意図的に膝の角度を変えるため、撮像毎に異なる画像と考えられる。従って、前後のナビゲータエコーの各軸方向のずれでは判別できないため、信号値プロファイルを利用して判別する。ここでは、一例として、xy平面上での変動のみを取り上げ、説明する。
【0124】
図19(a)は、y軸方向の変化の有無の判別手法を説明するための図である。n-1回目の体位1001の状態で取得したナビゲータエコーをy軸方向にフーリエ変換した絶対値データ1011の信号値プロファイル1021と、n回目の体位1002の状態で取得したナビゲータエコーをy軸方向にフーリエ変換した絶対値データ1012の信号値プロファイル1022とを比較する。
【0125】
図19(b)は、x軸方向の変化の有無の判別手法を説明するための図である。n-1回目の体位1001の状態で取得したナビゲータエコーをx軸方向にフーリエ変換した絶対値データ1013の信号値プロファイル1023と、n回目の体位1002の状態で取得したナビゲータエコーをx軸方向にフーリエ変換した絶対値データ1014の信号値プロファイル1024とを比較する。
【0126】
比較は単純な差分等で行う。すなわち、信号プロファイル1021と信号プロファイル1022とのy座標が同じ点どうしの差分値の平均値を算出する。そして、算出した平均値と予め定めた閾値とを比較する。同様に、信号プロファイル1023と信号プロファイル1024とのx座標が同じ点どうしの差分値の平均値を算出する。そして、算出した平均値と、予め定めた閾値とを比較する。同様の処理を、z方向についても行う。そして、変動判別部243は、比較結果に関し、y軸方向、x軸方向およびz軸方向の、少なくとも1方向について、算出した平均値が閾値を越えた場合、変動有りと判別する。いずれも閾値以内であれば、変動無しと判別する。
【0127】
なお、本実施形態では、動態検査であるため、撮像毎に被検体101の体位は変動する。ただし、上述のように閾値を用いて変動の有無を判別しているため、変動量が小さい場合は、変動無しと判断される。
【0128】
次に、本実施形態のテンプレート選択部245による、ステップS4007におけるテンプレート選択処理について説明する。上述のように、本実施形態では、膝蓋骨を含むサジタル面を撮像スライス設定画像とし、ここで、検査断面である膝蓋骨と直交するアキシャル面を、テンプレートマッチングで決定する。膝蓋骨を含むサジタル面において、特徴部位は、膝蓋骨、大腿骨および脛骨である。ところが、これらを結合する膝関節は可動関節であるため、膝蓋骨と大腿骨と脛骨との位置関係は変動する。特に、本実施形態では、動態検査であるため、意図的に変動させている。このため、本実施形態では、大腿骨と脛骨との角度が異なる複数の膝関節サジタルテンプレートを用意し、この中から、取得した撮像スライス設定画像上の検査部位の形態に最も近い膝関節サジタルテンプレートを最適膝関節サジタルテンプレートとして選択し、テンプレートマッチングに用いる。
【0129】
具体的には、テンプレート選択部245は、上記手法で式(1)または(2)で表されるDを計算し、それぞれマッチング状態のDminを得る。すなわち、まず、撮像スライス設定画像を二値化し、二値化後の画像上で、各膝関節サジタルテンプレートを1画素ずつ移動させながら、式(1)または式(2)で表されるDを計算し、最小になるDminの場合を、各膝関節サジタルテンプレートについてマッチング状態とする。そして、Dminの値が最も小さい膝関節サジタルテンプレートを、最適膝関節サジタルテンプレートとして選択する。
【0130】
なお、ここでは、膝関節サジタルテンプレート全体で合致度を判別しているが、これに限られない。例えば、膝蓋骨、大腿骨、脛骨など、膝関節を構成する個別部位毎に合致度を判別し、総合的に合致度の高いものを選択するよう構成してもよい。一例として、膝蓋骨と大腿骨との合致度の高いものを選択する場合を例にあげて
図20を用いて説明する。
【0131】
まず、
図20(a)に示すように、テンプレート選択部245は、撮像スライス設定画像を二値化し、複数用意された膝関節サジタルテンプレート1111、1112、1113、・・・・の中で、合致度の高い膝関節サジタルテンプレートを選択する。ここでは、膝関節サジタルテンプレート1111、1112が選択されたものとする。そして、
図20(b)に示すように、選択した膝関節サジタルテンプレート1111、1112の中から、大腿骨部が予め定めた範囲で合致するものの中で最も合致度の高いものを選択する。
ここでは、膝関
節サジタルテンプレート1111が選択されたものとする。これを、最適膝関節サジタルテンプレートとし、選択結果とする。なお、これらの選択は、上記式(1)または(2)を計算することにより決定する。
【0132】
なお、スキャノグラム撮像スライス適否判別部246による上記ステップS4009の、適否の判別は、上記テンプレート選択部245のテンプレート選択処理で算出したDminを用いる。スキャノグラム撮像スライス適否判別部246は、Dminが予め定められた閾値以下であれば、適と判別する。
【0133】
次に、撮像スライス設定画像取得部241による、上記ステップS4031の、撮像スライス設定画像再取得処理の詳細について説明する。本処理は、ステップS4009で不適と判別された場合に再度撮像スライス設定画像を取得する処理である。ステップS4009の判別において、適と判別されない場合は、予め設定されているスキャノグラム撮像スライスが、現時点の体位に対して適切でなく、撮像スライス設定画像自体に被検体101の軸に対する傾きに不整合があるものと考えられる。従って、スキャノグラム撮像スライスを変更し、より適切な撮像スライス設定画像を得る。
【0134】
ここでは、上記ステップS4009において適と判別されるまで撮像スライス設定画像再取得処理を繰り返し、精度よく推奨撮像スライスを算出する処理全体の流れを説明する。
図21は、ステップS4031の撮像スライス設定画像取得部241による撮像スライス設定画像再取得処理を含んだ上記処理を説明するための図である。
図21(a)は、その処理フロー、
図21(b)は、用いるテンプレートおよび得られる画像である。
【0135】
まず、テンプレート選択部245は、テンプレート1220を選択する(ステップS4007)。選択されたテンプレートおよびその時点の撮像スライス設定画像1230を用い、撮像スライス算出部244は、テンプレートマッチングにより検査断面1122を推奨撮像スライス1231として算出する(ステップS4008)。そして、スキャノグラム撮像スライス適否判別部246は、上記Dminを計算し、撮像スライス設定画像の適否を判別する(ステップS4009)。
【0136】
ステップS4009で不適と判別された場合は、撮像スライス設定部240は、撮像スライス設定画像取得部241に撮像スライス設定画像再取得処理を行わせる。具体的には、撮像スライス設定画像取得部241は、ステップS4008で算出した推奨撮像スライス1231を、スキャノグラム撮像スライスとしてスキャノグラム撮像を行い、アキシャル画像1240を取得する(ステップS1201)。
【0137】
そして、撮像スライス設定画像取得部241は、アキシャル画像1240上で、テンプレート選択部245に、ステップS4007と同様の手法でテンプレート1221を選択させる(ステップS1202)。そして、撮像スライス算出部244に、テンプレート1221およびアキシャル画像1240を用い、テンプレートマッチングにより断面1223をスキャノグラム撮像スライス1241として算出させる(ステップS1203)。そして、撮像スライス設定画像取得部241は、ステップS1203で算出したスキャノグラム撮像スライス1241のスキャノグラム撮像を行い、サジタル画像1250を取得する(ステップS1204)。
【0138】
そして、ステップS4007に戻り、テンプレート選択部245は、テンプレートを選択し(ステップS4007)、撮像スライス算出部244は、テンプレートマッチングにより推奨撮像スライス1251を算出し(ステップS4008)、スキャノグラム撮像スライス適否判別部246は、その適否を判別する(ステップS4009)。
【0139】
ステップS4009で、適と判別された場合、得られた推奨撮像スライス1251を記憶する(ステップS4010)とともに、その時点の撮像スライス設定画像であるサジタル画像1250と推奨撮像スライス1251とを表示する(ステップS4011)。そして、検査制御部210は、推奨撮像スライス1251を撮像スライスとして本撮像を行い、再構成画像1260を得る。
【0140】
以上説明したように、本実施形態によれば、Dminが閾値以下となるまで撮像スライス設定画像再取得処理を繰り返す。これにより、動態検査のように、撮影毎に被検体101の体位が大きく変わる場合であっても、撮像時の撮像スライス設定画像を精度よく得ることができる。
【0141】
本実施形態によれば、第一の実施形態と同様に、同一検査断面の複数の撮像を行う検査において、被検体101の体位の変動を自動的に認識し、短時間に煩雑な処理を要せず撮像スライスを再設定できる。従って、本実施形態によれば、同一の検査断面について複数の画像を取得する検査において、操作者に余計な負担をかけず、検査時間の延長を抑え、所望の検査断面の複数の画像を容易かつ高精度に取得することができ、検査効率を向上させることができる。
【0142】
さらに、本実施形態によれば、上述のように、動態検査であっても、撮像時の撮像スライス設定画像を精度よく得ることができる。従って、本実施形態によれば、撮像毎に検査対象の形態に変動のある動態検査において、精度よく所望の検査断面の画像を得ることができる。
【0143】
また、ここでは、各撮像時のナビゲータエコーを記憶装置に保持するよう構成しているが、上述のように変位の有無を判別するための比較は、前回撮像時のナビゲータエコーと行うため、前回撮像時のナビゲータエコーと、最新のナビゲータエコーのみ保持するよう構成してもよい。
【0144】
逆に、第一の実施形態において、本実施形態で説明した、ナビゲータエコーの信号プロファイルを用いて、変動の有無を判別してもよい。