特許第5788385号(P5788385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788385
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】抗菌性組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 31/02 20060101AFI20150910BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20150910BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20150910BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150910BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20150910BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150910BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20150910BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20150910BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150910BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20150910BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20150910BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20150910BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20150910BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20150910BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20150910BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   A01N31/02
   A61K31/045
   A61K31/047
   A61K8/34
   A01N25/30
   A61K47/34
   A61K8/894
   A61P31/04
   A61P17/00 101
   A61Q17/00
   A61Q19/10
   A61P31/10
   A61P31/12
   A61P33/00
   A01P3/00
   A01P1/00
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-516148(P2012-516148)
(86)(22)【出願日】2010年6月14日
(65)【公表番号】特表2012-530139(P2012-530139A)
(43)【公表日】2012年11月29日
(86)【国際出願番号】US2010038453
(87)【国際公開番号】WO2010147868
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年6月14日
(31)【優先権主張番号】61/187,041
(32)【優先日】2009年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077861
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 勝三
(72)【発明者】
【氏名】マシンガ デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ハートゼル クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ドボス ケリー
(72)【発明者】
【氏名】クエザダ キャロル
(72)【発明者】
【氏名】エドモンズ サラ
【審査官】 田村 直寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−322591(JP,A)
【文献】 特開2007−145750(JP,A)
【文献】 特開2004−352688(JP,A)
【文献】 特表2008−531740(JP,A)
【文献】 特表2005−526036(JP,A)
【文献】 特表2009−517152(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/135085(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/067028(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/033970(WO,A1)
【文献】 特開2006−273719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 31/02
A01N 25/30
A61K 8/34
A61K 31/045
A61K 31/047
A61K 47/34
A61K 8/894
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性の抗菌性組成物であって、
抗菌性組成物の総質量基準で、C1-6アルコール少なくとも60質量%;
抗菌性組成物の総質量基準で、1,2−オクタンジオール0.02−10質量%;

2-Si(CH3)2-[O-Si(CH3)2]-[O-Si(CH3)R3]-O-Si(CH3)2-R2
〔ここで、R2及びR3は、独立して、メチル基又は式
-(CH2)3-O-(CH2CH2O)-[CH2CH(CH3)O]-(CH2CH2O)
で表される部分を含み(ただし、R2及びR3の両方がCH3であることはない)、aは3−21の整数であり、bは1−7の整数であり、cは0−40の整数であり、dは0−40の整数であり、及びeは0−40の整数であり、ただし、a≧3×b及びc+d+e≧5である〕で表されるシロキサンポリマー界面活性剤からなる群から選ばれる起泡性界面活性剤;及び
抗菌性組成物の総質量基準で、酸0−0.125質量%
を含んでなり、該抗菌性組成物は補助の抗菌剤を含まないことを特徴とする、発泡性の抗菌性組成物。
【請求項2】
アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、又はその混合物である、請求項1記載の発泡性の抗菌性組成物。
【請求項3】
ジオールが、抗菌性組成物の総質量基準で、少なくとも0.05質量%の量で存在する、請求項1記載の発泡性の抗菌性組成物。
【請求項4】
ジオールが、抗菌性組成物の総質量基準で、0.2−0.75質量%の量で存在する、請求項1記載の発泡性の抗菌性組成物。
【請求項5】
抗菌性の雑巾用組成物であって、
抗菌性の雑巾用組成物の総質量基準で、C1-6アルコール少なくとも60質量%;
抗菌性の雑巾用組成物の総質量基準で、1,2−オクタンジオール0.02−10質量%;及び
抗菌性の雑巾用組成物の総質量基準で、酸0−0.125質量%
を含んでなり、該抗菌性の雑巾用組成物は補助の抗菌剤を含まないことを特徴とする、抗菌性の雑巾用組成物。
【請求項6】
アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、又はその混合物である、請求項5記載の抗菌性の雑巾用組成物。
【請求項7】
ジオールが、抗菌性の雑巾用組成物の総質量基準で、少なくとも0.05質量%の量で存在する、請求項5記載の抗菌性の雑巾用組成物。
【請求項8】
ジオールが、抗菌性の雑巾用組成物の総質量基準で、0.2−0.75質量%の量で存在する、請求項5記載の抗菌性の雑巾用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年6月15日付け出願の米国仮特許出願第61/187,041号の利益を享受するものであり、前記出願を参照することによって本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の1以上の具体例は、表面を迅速に消毒する方法であって、前記表面を、効力を増大させる量のC1-10アルカンジオールを含んでなる抗菌性組成物の有効量と接触させることを含んでなる方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
医療の場では、広域抗菌スペクトルの皮膚消毒用製品及びハンドウォッシュ製品についての要求がある。手の洗浄は、ヒトから他のヒトへの又は同一のヒトにおける1つの部位から他の部位への微生物の移動の危険を低減するための簡単で最も重要な手段であると言われている。
【0004】
米国食品医薬品局(FDA)は、新規の消毒剤組成物についての性能基準を定めている。これらの性能基準は、医療従事者用のハンドウォッシュ製品が広域抗菌スペクトルかつ迅速に作用するものであることを要求している。この場合、用語「広域抗菌スペクトル」は、各種のグラム陽性及びグラム陰性の細菌、及び酵母に対して抗菌活性を有するものと定義される。FDAは、新規の消毒薬が、既に承認された製品と一緒にテストされるテスト方法を定めている。医療従事者のハンドウォッシュ製品についての要件は、医療管理用消毒剤に関するFDAの暫定的最終モノグラム(TFM)に概説されている(Federal Register 59 [116], Jun. 17, 1994; pp. 31402-31452)。その冒頭に記載されたインビボテスト法を、以下、FDA TFM医療従事者ハンドウォッシュテストと称する。テスト法も、手術時手洗い及び手術前皮膚消毒剤製品に関するTFMに定められている。ヨーロッパ基準のような他の基準と共に、モノグラムの要件に適合する効力を持つ医療従事者用ハンドウォッシュ製品についての要求が持続して存在する。
【0005】
1,2-アルカンジオールのような特定のジオールは、化粧品において、湿潤剤又は保湿剤として使用されており、特定の化粧品処方中に存在する場合、保存能力を発揮することも示されている。
【0006】
しかし、保存料は、外用清浄剤及び皮膚消毒組成物について要求されるもののような迅速な効力を呈することは期待されない。むしろ、保存料は、1−3日又はそれ以上、その効力を発揮する。すなわち、保存料は、微生物の生育を阻害することが期待され、存在する微生物の顕著な対数死滅率を生ずるには必ずしも充分な致死性ではない。さらに、多くの保存料は、菌類に対する活性に乏しい。迅速な効力を持つ広域抗菌スペクトルの抗菌性製品についての要求が持続して存在する。
【0007】
保存料としてアルカンジオールを使用するものの中には、米国特許出願公開第2007/0059331号が含まれ、当該出願は、炭素原子6−12個を有する分枝状又は非分枝状のアルカンジオール1以上及びトロポロンを含んでなる抗菌剤混合物を教示している。相乗的抗菌活性を有する混合物が開示され、該混合物は、食品又は化粧品又は医薬品の処方において、保存料又は抗菌活性化合物として使用される。処方の例としては、日焼け止め及びシリコーンエマルジョンが含まれる。
【0008】
米国特許出願公開第2005/0222276号は、腐敗し易い製品の保存のための1,2-アルカンジオールの相乗的混合物を教示している。この混合物は、体臭、にきび、真菌症の原因となる微生物の美容的処置のため、及び無生物質の上又は内の微生物の処置のためにも使用される。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0228032号は、1,2-アルカンジオール及びフェノキシエタノール及び殺生物剤のブレンドを教示している。このブレンドは、パーソナルケア製品における微生物の成長を制御するものであることが示唆されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、医療関係者用のハンドウォッシュ製品について要求されるような、迅速な、広域抗菌スペクトルの効力を有する組成物についての要求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1以上の具体例では、本発明は、皮膚を消毒する方法であって、皮膚を、C1-6アルコール少なくとも約50質量%(抗菌性組成物の総質量基準で)及びC6-10アルカンジオールを含んでなる抗菌性組成物の有効量と接触させることを含んでなる皮膚の消毒法を提供する。
【0012】
1以上の具体例では、本発明は、迅速に表面を消毒する方法であって、表面を、C1-6アルコール少なくとも約50質量%(抗菌性組成物の総質量基準で)及び効力を増大させる量のC6-10アルカンジオールを含んでなる抗菌性組成物の有効量と接触させることを含んでなる表面の消毒法を提供する。
【0013】
1以上の具体例では、本発明は、C1-6アルコール少なくとも約50質量%(抗菌性組成物の総質量基準で)、C6-10アルカンジオール及び起泡性界面活性剤を含んでなる発泡性の抗菌性組成物を提供する。
【0014】
1以上の具体例では、本発明は、C1-6アルコール少なくとも約50質量%(抗菌性組成物の総質量基準で)及びC6-10アルカンジオールを含んでなる抗菌性の雑巾(wipe)組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1以上の具体例では、本発明は抗菌性組成物を提供する。抗菌性組成物の物理的形状は特に限定されず、1以上の具体例では、組成物は、注ぎ、ポンプ送給、噴霧、又は分散可能な液体、ゲル、エーロゾル、又はエーロゾル気泡及び非エーロゾル気泡の両方を含む泡として具現化される。手の消毒剤として有効であることに加えて、本発明の抗菌性組成物は、皮膚、多孔性及び無孔性の表面を含む広範な表面又は基材について使用される。1以上の具体例では、抗菌性組成物は、雑巾、すなわち、表面を拭くためのティッシュ又は布として具現化される。
【0016】
抗菌性組成物は、C1-6アルコール及びエンハンサーを含んでなる。1具体例では、アルコールは、低級アルコール、すなわち、炭素元素1−6個を含有するアルコールである。
低級アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びその異性体及び混合物が含まれる(ただし、これらに限定されない)。1具体例では、アルコールは、エタノール、プロパノール、又はブタノール、又はその異性体又は混合物を含んでなる。他の具体例では、アルコールはエタノールを含んでなる。
【0017】
一般に、抗菌性組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、アルコール少なくとも約30質量%を含んでなる。1具体例では、抗菌性組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、アルコール少なくとも約50質量%を含んでなり、他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール少なくとも約60質量%を含んでなり、他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール少なくとも約65質量%を含んでなり、さらに他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール少なくとも約70質量%を含んでなり、さらに他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール少なくとも約78質量%を含んでなる。特定の例では、特に、他の成分及び/又は組成物において使用されるその量に応じて、より多い又は少ない量のアルコールが要求される。特定の具体例では、抗菌性組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、アルコール約50−約98質量%を含んでなり、他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール約60−約95質量%を含んでなり、さらに他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール約65−約90質量%を含んでなり、及びさらに他の具体例では、抗菌性組成物は、アルコール約70−約85質量%を含んでなる。
【0018】
エンハンサーが存在する場合には、エンハンサーが存在しない場合と比べて、より低いアルコール濃度において迅速な抗菌効力が観察される。
【0019】
有利には、本発明によれば、アルコール及び効力を増大させる量のエンハンサーを含んでなる抗菌性組成物が、エンハンサーを含まないアルコール含有抗菌組成物と比べて、グラム陽性及びグラム陰性の細菌、真菌類、寄生虫、及びウイルスの広域抗菌スペクトルに対して増大された効力を有することが見出された。1以上の具体例では、ジオールは直鎖ジオールを含んでなる。1以上の具体例では、エンハンサーは、1以上のC6-10アルカンジオール、すなわち、炭素鎖長6−10を有するジオールを含んでなる。1以上の具体例では、ジオールとしては、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、又はその混合物が含まれる。1,2-オクタンジオールは、しばしば、カプリリルグリコールと称される。1,2-デカンジオールは、しばしば、デシレングリコールと称される。1具体例では、ジオールは、1以上のC6-8、すなわち、炭素鎖長6−8を有するジオールを含んでなる。
【0020】
1具体例では、効力を増大させるジオールの量は、抗菌性組成物の総質量基準で、少なくとも約0.02質量%であり、他の具体例では、少なくとも約0.05質量%、及びさらに他の具体例では、少なくとも約0.1質量%である。
【0021】
一般に、効力を増大させるジオールの量は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.02−約10質量%である。1具体例では、ジオールは、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.05−約5質量%の量で存在し、他の具体例では、ジオールは、約0.1−約1質量%の量で、さらに他の具体例では、約0.15−約0.8質量%、及びさらに他の具体例では、約0.2−約0.75質量%の量で存在する。必要であれば、より多い量のジオールを使用することができ、同様に、少なくとも同等に機能することが期待されることが理解されるであろう。
【0022】
特定の具体例では、ジオールは、溶液又はエマルジョンとして抗菌性組成物に添加される。換言すれば、ジオールは、キャリヤーとプレ混合されて、ジオール溶液又はエマルジョンが形成されるが、ただし、キャリヤーは、組成物の消毒特性に悪影響を及ぼしてはならない。キャリヤーの例としては、水、アルコール、プロピレン又はエチレングリコールのようなグリコール、アルケン、酢酸エステル、安息香酸エステル、脂肪酸エステル、グリセリルエステルのようなエステル、アミド、プロピレングリコール及びPEG/PPG共重合体、食塩水のような無機塩溶液、及びその混合物が含まれる。ジオールをプレ混合してジオール溶液又はエマルジョンを形成する場合、抗菌性組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、ジオールの量が上述の範囲内に入るように選択されることが理解されるであろう。
【0023】
1以上の具体例では、ジオールはアルコール及び/又は他の殺菌剤(存在する場合)の蒸発を遅らせる、これによって、増大された接触時間を提供することによって、抗菌効力を増大させるものと考えられる。
【0024】
1以上の具体例では、ジオールはアルコール組成物の水分活性を低下させ、このようにして、見掛けのアルコール濃度を増大させ、これにより、アルコール組成物の抗菌活性を増大させるものと考えられる。
【0025】
1以上の具体例では、エンハンサーを含有するアルコール組成物は、非常在性微生物を殺す又はその成長又は定着を阻止することによって抗菌効力を持続するものと考えられる。
【0026】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は発泡性のアルコール組成物である。本発明による発泡性の抗菌性アルコール組成物は、少なくとも1のアルコール、C1-10アルカンジオールエンハンサー、及び少なくとも1の起泡性界面活性剤を含む。
【0027】
起泡性界面活性剤は、抗菌性組成物に発泡性を付与するものであり、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、又は両性界面活性剤及びその関連する塩が含まれる。各種の起泡性界面活性剤を使用することができるが、ただし、組成物の抗菌効力に悪影響を及ぼしてならない。アルコール組成物に適する起泡性界面活性剤は、出願中の米国特許出願第11/138,664号に記載されており、参照することによって本明細書に含める。
【0028】
1具体例では、起泡性界面活性剤としては、フルオロ界面活性剤、シロキサンポリマー界面活性剤、又はその組み合わせが含まれる。フルオロ界面活性剤としては、少なくとも1のフッ素原子を含有する化合物が含まれる。フルオロ界面活性剤の例としては、ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、ペルフルオロアルキルエチルベタイン、フルオロ脂肪族アミンオキシド、フルオロ脂肪族スルホコハク酸ナトリウム、フルオロ脂肪族ステアリン酸エステル、フルオロ脂肪族リン酸エステル、フルオロ脂肪族4級アンモニウム、フルオロ脂肪族ポリオキシエチレン等及びその混合物が含まれる。
【0029】
1具体例では、フルオロ界面活性剤は荷電化学種を含有し、すなわち、アニオン性、カチオン性、又は両性イオン性である。荷電化学種を含有するフルオロ界面活性剤の例としては、ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、ペルフルオロアルキルエチルベタイン、フルオロ脂肪族アミンオキシド、フルオロ脂肪族スルホコハク酸ナトリウム、フルオロ脂肪族リン酸エステル、及びフルオロ脂肪族4級アンモニウムが含まれる。フルオロ界面活性剤の特別な例としては、DEA-C8-18ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、TEA-C8-18ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、NH4-C8-18ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、及び-C8-18ペルフルオロアルキルエチルベタインが含まれる。
【0030】
1具体例では、フルオロ界面活性剤は、式
[F3CF2C-(CF2CF2)x-CH2CH2-O-P2O3][R1]
(ここで、[R1]は、DEA、TEA、NH4又はベタインを含み、及びxは約4−約8の整数である)で表される化合物を含む。
【0031】
シロキサンポリマー界面活性剤は、一般に、ポリマー主鎖に1以上のSi-O-Si結合を含有することによって特徴付けられる。シロキサンポリマー界面活性剤はフッ素原子を含有するか又は含有しないものである。従って、いくつかの起泡性界面活性剤は、フルオロ界面活性剤及びシロキサンポリマー界面活性剤の両方として分類される。シロキサンポリマー界面活性剤としては、オルガノポリシロキサンジメチコーンポリオール、シリコーンカルビノール流動体、シリコーンポリエーテル、アルキルメチルシロキサン、アモジメチコーン、トリシロキサンエトキシレート、ジメチコノール、4級化シリコーン界面活性剤、ポリシリコーン、シリコーンクロスポリマー、及びシリコーンワックスが含まれる。
【0032】
シロキサンポリマー界面活性剤の例としては、ジメチコーンPEG-7ウンデシレネート、PEG-10ジメチコーン、PEG-8ジメチコーン、PEG-12ジメチコーン、ペルフルオロノニルエチルカルボキシデカルPEG-10、PEG-20/PPG-23ジメチコーン、PEG-11メチルエーテルジメチコーン、ビスPEG/PPG-20/20ジメチコーン、シリコーン4級アミン(silicone aquts)、PEG-9ジメチコーン、PPG-12ジメチコーン、フルオロPEG-8ジメチコーン、PEG-23/PPG-6ジメチコーン、PEG-20/PPG-23ジメチコーン、PEG-17ジメチコーン、PEG-5/PPG-3メチコーン、ビスPEG-20ジメチコーン、PEG/PPG -20/15ジメチコーンコポリオール及びスルホコハク酸エステルブレンド、PEG-8ジメチコーン/ダイマー酸ブレンド、PEG-8ジメチコーン/脂肪酸ブレンド、PEG-8ジメチコーン/冷却圧縮植物油/ポリクオタニウムブレンド、ランダムブロックポリマー及びその混合物が含まれる。
【0033】
1具体例では、シロキサンポリマー界面活性剤としては、式
R2-Si(CH3)2-[O-Si(CH3)2]a-[O-Si(CH3)R3]b-O-Si(CH3)2-R2
〔ここで、R2及びR3は、独立して、メチル基又は式
-(CH2)3-O-(CH2CH2O)c-[CH2CH(CH3)O]d-(CH2CH2O)eH
で表される部分を含み(ただし、R2及びR3の両方がCH3であることはない)、aは約3−約21の整数であり、bは約1−約7の整数であり、cは約0−約40の整数であり、dは約0−約40の整数であり、及びeは約0−約40の整数であり、ただし、a≧3×b及びc+d+e≧5である〕で表される化合物が含まれる。
【0034】
起泡性界面活性剤の量は、発泡を生ずるために有効な量で存在する限り、特に制限されない。特定の具体例では、発泡を生ずるために有効な量は、存在するアルコール及び他の成分の量に応じて変動する。1以上の具体例では、アルコール組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、起泡性界面活性剤少なくとも約0.002質量%を含む。他の具体例では、アルコール組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、起泡性界面活性剤少なくとも約0.01質量%を含む。さらに他の具体例では、アルコール組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、起泡性界面活性剤少なくとも約0.05質量%を含む。
【0035】
1具体例では、起泡性界面活性剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.002−約4質量%の量で存在する。他の具体例では、起泡性界面活性剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.01−約2質量%の量で存在する。より多い量も、泡の生成には有効であることが考えられる。記載した成分について示した質量は、すべて、活性レベルに基づくものであり、従って、他に特記しない限り、市販の有効な物質に含まれるキャリヤー及び副生物を含まないものである。
【0036】
いくつかの具体例では、経済的又は他の理由により、使用するフルオロ界面活性剤の量を制限することが望ましい。有利には、組成物の総質量基準で、アルコール約60質量%以上及びフルオロ界面活性剤約0.002−約0.5質量%を含有する本発明による組成物から、適切な泡が生成される。特定の具体例では、発泡性の組成物は、組成物の総質量基準で、アルコール約65質量%以上及びフルオロ界面活性剤約0.002−約0.4質量%を含む。
【0037】
他の具体例では、より多い量の起泡性界面活性剤を使用することが望ましい。例えば、本発明による発泡性のアルコール組成物が、表面に適用され、続いて、洗い流されるクレンジング又は消毒製品を含むものである特定の具体例では、より多い量の起泡性界面活性剤が使用される。これらの具体例では、起泡性界面活性剤は、組成物の総質量基準で、約35質量%以下の量で存在する。
【0038】
1以上の具体例では、起泡性界面活性剤は、抗菌性組成物に直接添加される。他の具体例では、起泡性界面活性剤は、溶液又はエマルジョンとして抗菌性組成物に添加される。換言すれば、起泡性界面活性剤は、キャリヤーとプレ混合されて、起泡性界面活性剤溶液又はエマルジョンが形成されるが、ただし、キャリヤーは、抗菌性組成物の発泡性に悪影響を及ぼしてはならない。キャリヤーの例としては、ジオールエンハンサーについて上記した各種のキャリヤーが含まれる。起泡性界面活性剤をプレ混合して起泡性界面活性剤溶液又はエマルジョンを形成する場合、抗菌性組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、起泡性界面活性剤の量が上述の範囲内に入るように選択されることが理解されるであろう。
【0039】
特定の具体例では、本発明のアルコール組成物は、さらに、少なくとも1の起泡性増進剤を含む。1具体例では、起泡性増進剤は、カチオン性のオリゴマー又はポリマー、コラーゲンアミノ酸、アマランスタンパク質、又は可溶性エラスチンを含んでなる。起泡性増進剤は、出願中の米国特許出願第12/032,083号に記載されており、参照することによって本明細書に組み込む。
【0040】
本発明の発泡性の組成物は、代表的に泡製品について使用される各種のディスペンサーにおいて使用される。有利には、発泡性の組成物は、組成物をエーロゾル化することによって任意に発泡され、発泡のために、必ずしもエーロゾル化された製品ある必要はない。発泡性のアルコール組成物を空気又は不活性ガスと混合することができる各種のディスペンサーを使用することができる。不活性ガスとしては、発泡性の組成物と本質的に反応しない又は悪影響を及ぼさないガスが含まれる。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、キセノン、クリプトン、ヘリウム、ネオン、及びラドンが含まれる。1具体例では、アルコール組成物は、発泡ポンプを使用するディスペンサーにおいて使用され、このディスペンサーは、混合チャンバーにおいて大気中の空気又は不活性ガス及びアルコール組成物を混合し、混合物を、メッシュスクリーンを通して送給する。
【0041】
1以上の具体例では、組成物の粘度は、約100 mPa未満であり、1具体例では約50mPa未満、他の具体例では約25mPa未満である。
【0042】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は、ディスペンス可能な抗菌性ゲルとして処方される。これらの具体例では、抗菌性組成物は、上述のアルコール及びエンハンサーに加えて、増粘剤、中和剤、及び詰り防止添加剤を含んでなることができる。
【0043】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は、市販の及び/又は従来技術において公知の物のようなポリアクリレート増粘剤にて増粘される。ポリアクリレート増粘剤の例としては、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸及びアルキル(C5−C10)アクリレートの共重合体、アクリル酸及び無水マレイン酸の共重合体、及びその混合物が含まれる。
【0044】
1以上の具体例では、ポリマー性増粘剤は、架橋剤約0.5−約4質量%を含む。架橋剤の例としては、ポリアルケニルポリエーテルが含まれる。
【0045】
ポリアクリレートタイプの市販ポリマーとしては、商品名Carbopol(登録商標)、Acrysol(登録商標)ICS-1、Polygel(登録商標)、Sokalan(登録商標)、Carbopol 1623、Carbopol 695、Ultrez(登録商標)10、及びPolygel DBが含まれる。
【0046】
1以上の具体例では、抗菌性ゲル組成物は、抗菌性ゲルの粘度を約1000−約65,000センチポイズ(cPs)の範囲に調整するに有効な量のポリマー性増粘剤を含む。1具体例では、抗菌性ゲルの粘度は約5000−約35,000 cPsであり、及び他の具体例では、抗菌性ゲルの粘度は約10,000−約25,000 cPsである。粘度は、22±3℃でRV及び/又はLVを使用するブルックフィールドRV粘度計によって測定される。
【0047】
当業者によって理解されるように、増粘剤の量は、抗菌性ゲル組成物におけるアルコール及び他の成分の量を含む多くのファクターによって変動する。1以上の具体例では、増粘剤の有効な量は、抗菌性ゲル組成物の総質量基準で、少なくとも約0.01質量%である。他の具体例では、有効な量は、少なくとも約0.02質量%であり、さらに他の具体例では、少なくとも約0.05質量%であり、さらに他の具体例では、少なくとも約0.1質量%である。1具体例では、有効な増粘剤の量は、抗菌性ゲル組成物の総質量基準で、少なくとも約0.5質量%であり、他の具体例では、少なくとも約0.75質量%である。1以上の具体例では、本発明による組成物は、組成物全体の約10質量%以下のポリマー性増粘剤を含んでなる。特定の具体例では、増粘剤の量は、抗菌性ゲルの総質量基準で、約0.01−約1質量%、他の具体例では、約0.02−約0.4質量%、及び他の具体例では、約0.05−約0.3質量%である。1具体例では、増粘剤の量は、抗菌性ゲルの総質量基準で、約0.1−約10質量%、他の具体例では、約0.5−約5質量%、及び他の具体例では、約0.75−約2質量%である。
【0048】
1以上の具体例では、抗菌性ゲルは、さらに、中和剤を含んでなることができる。カルボマーポリマーの塩を形成するために中和剤を使用することは公知である。中和剤の例としては、アミン、アルカノールアミン、アルカノールアミド、無機塩基、アミノ酸が含まれる(その塩、エステル及びアシル誘導体を含む)。
【0049】
一般的な中和剤の例を、これら中和剤の製造者、及びポリマーが当量約76±4を有する場合に中和(pH7.0)を達成するための示唆された割合(ポリマー性増粘剤1部当たり)と共に表1に示す。
【表1】
【0050】
1以上の具体例では、中和剤は、ゲル化されるアルコールの量に基づいて選択される。第2表は、水性アルコール系について一般的に推奨される中和剤を示している。
【表2】
【0051】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は、さらに、共‐添加剤として、1以上の詰り防止剤を含んでなる。1以上の具体例では、抗菌性組成物は、エステル基2−6個を有するエステル及びエステル基少なくとも1個を含むポリマー性エステルを含む詰り防止共‐添加剤を含んでなる。1以上の具体例では、詰り防止添加剤は、モノマー性又はポリマー性のジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステル、又はヘキサエステル、又はポリマー性のモノエステルを含んでなる。エステル詰り防止添加剤は、出願中の国際特許出願PCT/US2008/081502号に記載されており、参照することによって本明細書に組み込む。
【0052】
1具体例では、詰り防止添加剤又は共‐添加剤は、抗菌性ゲル組成物の総質量基準で、約0.005‐約4質量%の量で存在する。他の具体例では、詰り防止添加剤は、抗菌性ゲル組成物の総質量基準で、約0.01‐約1質量%の量で存在し、さらに他の具体例では、詰り防止添加剤は、抗菌性ゲル組成物の総質量基準で、約0.02‐約0.7質量%の量で存在する。
【0053】
1以上の具体例では、詰り防止添加剤は、抗菌性組成物に直接添加される。1以上の他の具体例では、詰り防止添加剤は、溶液又はエマルジョンとして抗菌性組成物に添加される。換言すれば、詰り防止添加剤は、キャリヤーとプレ混合されて、詰り防止添加剤溶液又はエマルジョンが形成されるが、ただし、キャリヤーは、抗菌性組成物の詰り防止特性に悪影響を及ぼしてはならない。キャリヤーの例としては、水、アルコール、プロピレン又はエチレングリコールのようなグリコール、ケトン、直鎖状及び/又は環状の炭化水素、トリグリセリド、カーボネート、シリコーン、アルケン、酢酸エステル、安息香酸エステル、脂肪酸エステル、グリセリルエステルのようなエステル、エーテル、アミド、プロピレングリコール及びPEG/PPG共重合体、食塩水のような無機塩溶液、及びその混合物が含まれる。詰り防止添加剤をプレ混合して詰り防止添加剤溶液又はエマルジョンを形成する場合、抗菌性ゲル組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、詰り防止添加剤の量が上述の範囲内に入るように選択されることが理解されるであろう。
【0054】
1以上の具体例では、抗菌性ゲル組成物の残余は水又は他の好適な溶媒を含んでなる。1具体例では、さらに蒸発プロセスを援助するために、1以上の揮発性シリコーン系物質が組成中に含まれる。一例としての揮発性シリコーンは、アルコールよりも小さい蒸発熱を有する。特定の具体例では、シリコーン系物質の使用は、液状組成物の表面張力を低下させることができる。これにより、表面とのより大きい接触性が提供される。1具体例では、シクロメチコーン、トリメチルシロキシシリケート又はその組合せのようなシリコーン系物質が、抗菌性ゲル組成物の総質量基準で、約4−約50質量%、他の具体例では、約5−約35質量%、及びさらに他の具体例では、約11−約25質量%の濃度で組成中に含まれる。
【0055】
単に成分を一緒に混合することによって、ディスペンス可能な抗菌性ゲル組成物が調製される。添加の順序は特に限定されない。1具体例では、抗菌性ゲル組成物は、ゆっくり−中位の速度で撹拌しながらポリマー性増粘剤をアルコール中に分散させ、水を添加し、ついで、詰り防止添加剤を添加し、混合物が均質になるまで混合することを含んでなる方法によって調製される。他の具体例では、抗菌性ゲル組成物は、ゆっくり−中位の速度で撹拌しながらポリマー性増粘剤を水に分散させ、アルコールを添加し、ついで、詰り防止添加剤を添加し、混合物が均質になるまで混合することを含んでなる方法によって調製される。1以上の具体例では、増粘剤を中和し及びゲルを形成するために、混合物に中和剤を添加する。当業者であれば、混合プロセスの間に、各種の時点で、任意の成分を添加できることが理解できるであろう。また、増粘剤が、水又はアルコールと混合される際に棒準するものであれば、中和剤なしでゲルが形成されることが理解されるであろう。
【0056】
本発明の抗菌性ゲル組成物は、一般的にゲル製品について使用される各種のタイプのディスペンサー、例えば、ポンプディスペンサーにおいて使用される。広範なタイプのポンプディスペンサーが適する。ポンプディスペンサーはボトル又は他の自立型容器に取り付けられる。ポンプディスペンサーは、壁搭載型ディスペンサーに組み込まれる。ポンプディスペンサーは、手又はフットポンプによって人為的に稼動されるか、又は自動的に稼動される。使用できるディスペンサーとしては、従来のバッグ‐イン‐ボックスディスペンサーと同様に、GOJO Industriesから商品名NXT(登録商標)又はTFX(登録商標)として市販されている物が含まれる。ディスペンサーの例は、米国特許第5,265,772号、同第5,944,227号、第6,877,642号、同第7,028,861号、及び米国特許出願公開第2006/0243740号及び同第2006/012446号に記載されており、参照することによって本明細書に組み込む。1以上の具体例では、ディスペンサーは、ノズルのような出口(ここを介して、抗菌性ゲル組成物がディスペンスされる)を含む。
【0057】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は雑巾用組成物である。本発明による雑巾用の抗菌性アルコール組成物は、少なくとも1のアルコール、C1-10アルカンジオールエンハンサーを含み、雑巾基材に塗布される。
【0058】
抗菌性雑巾において使用される雑巾基材は、米国特許第5,686,088号、同第6,410,499号、同第6,436,892号、同第6,495,508号、同第6,844,308号に記載されている。1以上の具体例では、雑巾は、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)によって形成された積層体を含んでなることができる。一般に、SMS物質は、2つの外側のスパンボンドウエブの間にサンドウィッチされたメルトブローウエブを含有する。SMS物質は、米国特許第4,041,203号、同第5,169,706号、同第5,464,688号及び同第4,766,029号に記載されており、例えば、Kimberly-Clark CorporationからSpunguard 7及びEvolution 7のようなマークで市販されている。SMS積層体は、処理済又は未処理のものである。
【0059】
上述のように、本発明の抗菌性組成物は、アルコール及びエンハンサーを含む。組成物は、さらに、広範な任意成分を含むことができるが、ただし、これらは組成物の消毒効力に悪影響を及ぼしてはならない。「悪い」とは、FDA TMF医療従事者の手洗いテストによる対数減少値の低減が最小ではないこと、換言すれば、対数減少値が約0.5より大減少しないこと意味する。CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 11版, 2005年及び2004 CTFA International Buyer's Guide(いずれも、参照することによって本明細書に組み込む)は、スキンケア工業において一般的に使用される広範な非限定的化粧品用及び医薬用成分(本発明の組成物における使用に適する)を開示している。成分の機能別分類の非限定的な例は、後者の文献の第537頁に記載されている。これらの機能別分類の例としては、研磨剤、抗ニキビ剤、固化防止剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤;着色料、化粧品用アストリンゼン、化粧品用殺生物剤、変性剤、薬用アストリンゼン、乳化剤、外用鎮痛剤、膜形成剤、芳香成分、保湿剤、乳白剤、可塑化剤、保存料(しばしば、抗菌薬と称される)、噴射剤、還元剤、皮膚漂白剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、保湿剤、その他、及び水分蒸発防止剤(occlusive))、皮膚保護剤、溶媒、界面活性剤、起泡性増進剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外線吸収剤、脱粘着剤、増粘剤(水性又は非水性)がある。ここで使用できる当業者によく知られている他の機能別種類の例としては、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、角質溶解剤、局所活性成分等がある。
【0060】
特定の具体例では、抗菌性組成物は、1以上の保湿剤を含んでなる。保湿剤の例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,4-ジヒドロキシヘキサン、1,2,6-ヘキサントリオール、ソルビトール、ブチレングリコール、メチルプロパンジオールのようなプロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、ポリエチレンソルビトール、及びその組合せがある。他の保湿剤としては、グリコール酸、グリコール酸塩、乳酸塩、乳酸、ナトリウムピロリドンカルボン酸、ヒアルロン酸、キチン等がある。1具体例では、保湿剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.1−約20質量%の量で存在する。他の具体例では、保湿剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約1−約8質量%の量、さらに他の具体例では、約2−約3質量%の量で存在する。
【0061】
これらの又は他の具体例では、抗菌性組成物は、1以上のコンディショニング又は保湿用エステルを含んでなる。エステルの例としては、ミリスチン酸セチル、ミリストレイン酸セチル及び他のセチルエステル、セバシン酸ジイソプロピル、及びミリスチン酸イソプロピルがある。1具体例では、エステルは、抗菌性組成物の総質量基準で、10質量%以下の量で存在する。他の具体例では、エステルは、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.5−約5質量%の量、さらに他の具体例では、約1−約2質量%の量で存在する。
【0062】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は1以上の乳化剤を含む。乳化剤の例としては、ステアリルアルコール、ソルビタンオレイン酸エステルトリデセス-2、ポロキサマー、及びPEG/PPG-20/6ジメチコーンがある。1具体例では、乳化剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、10質量%以下の量で存在する。他の具体例では、乳化剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.1−約5質量%の量、さらに他の具体例では、約0.5−約2質量%の量で存在する。
【0063】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は1以上の増粘剤及び任意に1以上の安定剤を含む。増粘剤及び安定剤の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアンモニウムアクロイルジメチルタウレート/VP共重合体が含まれる。増粘剤又は安定剤がデンプン系である1具体例では、増粘剤又は安定剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約10質量%以下の量、他の具体例では、約0.1−約5質量%の量、さらに他の具体例では、約0.2−約1質量%の量で存在する。増粘剤又は安定剤が合成ポリマーである他の具体例では、増粘剤又は安定剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約15質量%以下の量、他の具体例では、約0.1−約10質量%の量、さらに他の具体例では、約1−約2質量%の量で存在する。
【0064】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は1以上の可溶化剤を含む。可溶化剤の例としては、PEG-40水素化ヒマシ油、ポリソルベート-80、PEG-80ソルビタンラウレート、セテアレス-20、オレス-20、PEG-4、及びプロピレングリコールがある。可溶化剤の量は、抗菌性組成物の消毒効力に悪影響を及ぼさない限り、特に制限されない。
【0065】
1以上の具体例では、抗菌性組成物は、1以上の抗ウイルス剤又は抗ウイルス性増強剤を含む。抗ウイルス剤の例としては、ロスマリン酸、テトラヒドロクルクミノイド、オレウロペイン、オレアノール酸、ルイボス(Aspalathus linearis)エキス、白茶、紅茶、緑茶エキス、ニーム油リモノイド、コレウス油、甘草エキス、ワレモコウ、ショウガエキス及びシナモンエキス、α-グルカンオリゴサッカロイド、シソ(Perilla ocymonoides)の葉粉末、カンファー、椿(Camellia oleifera)の葉のエキス、ショウガ、メントール、ユーカリ、キャピリシルhc、ヒドロキシプロリシランcn、サンドルウッズオイル/樹脂、キンセンカ油、ローズマリー油、ライム/オレンジ油、及びホップ酸のような植物成分が含まれる。使用する場合、抗ウイルス剤は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の量で存在する。
【0066】
抗ウイルス性増強剤の例としては、プロトン供与体、カチオン性オリゴマー及びポリマー、カオトロピック剤、及び銅化合物及び亜鉛化合物が含まれる。抗ウイルス性増強剤は、出願中の米国特許出願公開第2007/084013号、同第2007/0185216号、及び同第2009/0018213号に記載されており、参照することによって本明細書に組み込む。
【0067】
アルコール及びエンハンサーの組み合わせは増強された抗菌性効力を発揮することが見出された。有利には、補助の抗菌剤(そのいくつかは皮膚に対して過酷である)が不要である。アルコール及びエンハンサーの組み合わせ以外の各種の抗菌性成分を、補助の抗菌剤と称することができる。1具体例では、補助の抗菌剤の量は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満である。他の具体例では、抗菌性組成物は補助の抗菌剤を含まない。
【0068】
他の具体例では、補助の抗菌剤を含むことができると考えられるが、ただし、補助の抗菌剤は、組成物の消毒特性に悪影響を及ぼしてはならない。補助の抗菌剤の例としては、トリクロサン(5-クロロ-2(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(PCMX)としても知られており、Ciba-Geigy社から商標名IRGASAN(登録商標)として市販されている);クロロキシレノール(4-クロロ-3,5-キシレノールとしても知られており、Nipa Laboratories Inc.から商標名NIPACIDE(登録商標)MX又はPXとして市販されている);ヘキセチジン(5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルへキシル)-5-メチル-ヘキサヒドロピリミジンとしても知られている);クロロヘキシジングルコネート及びN,N''-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,14-テトラアザテトラデカンジイミジアミドの塩を含むクロロヘキシジン塩;2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1;3-ジオール塩化ベンザルコニウム;塩化セチルピリジニウム;塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム;ヨウ素;フェノール、ビスフェノール、ジフェニルエーテル、フェノール誘導体、ポリビニルピロリドン-ヨウ素を含むポビドン-ヨウ素;パラベン;ジメチロール5,5-ジメチルヒダントイン(DMDMヒダントイン又はグリダントとしても知られている)と共に、2,4-イミダゾリンジノン及び2,4-イミダゾリンジノン誘導体を含むヒダントイン及びその誘導体;フェノキシエタノール;塩化1-(3-クロロアリル)-3,5,6-トリアザ-1-アゾニアアダマンタン(クオタニウム-15としても知られており、Dow Chemical Companyから商標名DOWCIL 2000として市販されている)のシス異性体;ジアゾリジニル尿素;塩化ベンゼトニウム;塩化メチルベンゼトニウム;グリセリルラウレート、銀、銅、マグネシウム、亜鉛化合物のような遷移金属化合物、過酸化水素、二酸化塩素、アニリド、ビスグアニジン、トロポロン、及びその混合物がある(これらに限定されない)。使用する場合、補助の抗菌剤は、抗菌性組成物の総質量基準で約0.1−約1質量%の量で存在する。
【0069】
有利には、本発明の抗菌性組成物では、現在の消毒性組成物について臨界的として考えられている特定の成分に限定される。例えば、亜鉛の有機塩、亜鉛グルコネート、亜鉛ピリチオン、又は亜鉛オマジンのような亜鉛化合物は不要であり、必要であれば、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.5質量%未満、他の具体例では、約0.1質量%未満に制限される。他の具体例では、抗菌性組成物は亜鉛の有機塩を含有しない。
【0070】
1以上の具体例では、酸の量は制限される。さらに詳しくは、1以上の具体例では、有機酸の量は制限される。1以上の具体例では、次の酸、すなわち、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及び酢酸の量は制限される。制限される場合、1以上の具体例では、酸の量は、抗菌性組成物の総質量基準で、0.125質量%未満、他の具体例では、約0.08質量%未満である。他の具体例では、抗菌性組成物は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及び酢酸を含有しない。
【0071】
1以上の具体例では、精油の量は、抗菌性組成物の総質量基準で、0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満である。他の具体例では、抗菌性組成物は精油を含有しない。さらに詳しくは、1以上の具体例では、抗菌性組成物は、次の精油、すなわち、ケイヒ油、バジル油、ベルガモット油、サルビアセージ油、イランイラン油、ネロリ油、サンダル油、オリバナム油、ジンジャー油、ハッカ油、ラベンダー油、ジャスミンアブソリュート、ゼラニウム油バーボン、スペアミント油、チョウジ油、パッチュリ油、ローズマリー油、ローズウッド油、チャノキ油、バニラ油、レモングラス油、セダー油、バルサム油、タンジェリン油、ヒノキ油、ヒバ油、ギンナン油、ユーカリ油、レモン油、オレンジ油、及びカレンジュラ油のいずれか0.1質量%未満、他の具体例では、0.05質量%未満を含有し、他の具体例では含有しない(なお、上記の量は、抗菌性組成物の総質量基準である)。
【0072】
1以上の具体例では、精油の特殊な構成成分の量も制限される。さらに詳しくは、1具体例では、抗菌性組成物は、次の精油の構成成分、すなわち、ファルネソール、ネロリドール、ビサボロール、アプリトーン、カマズレン、サンタロール、ジンギベロール、カロトール、及びカリオフィレン、クルクミン、1-シトロネロール、α-アミルシンナムアルデヒド、lyral(ヒドロキシメチルペンチルシクロヘキセンカルボキシアルデヒド)、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラール、イソオイゲノール、オイゲノール、カンファー、ユーカリプトール、リナロール、シトラール、チモール、リモネン及びメントールのいずれか0.1質量%未満、他の具体例では、0.05質量%未満を含有し、他の具体例では含有しない(なお、上記の量は、抗菌性組成物の総質量基準である)。
【0073】
有利には、一般的な保存料は不要である。1以上の具体例では、ソルビン酸カリウム、パラベン、及びヨードプロピニルブチルカルボメート(IPBC)のような一般的な保存料の量は制限される。1以上の具体例では、抗菌性組成物は、抗菌性組成物の総質量基準で、一般的な保存料約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満、又は他の具体例では、約0.01質量%未満を含有する。他の具体例では、抗菌性組成物は一般的な保存料を含有しない。
【0074】
実際、抗菌性効力の達成には、アルコール及びジオールエンハンサー以外の成分は必要ではなく、任意に約0.5質量%未満、望まれる場合には約0.1質量%未満、望まれる場合には約0.01質量%未満、又は望まれる場合には約0.001質量%未満に制限される。抗菌性組成物の残余は、特定の具体例では、水又は他の好適な溶媒を含んでなることが理解されるであろう。1具体例では、抗菌性組成物は、アルコール、ジオールエンハンサー及び任意の水又は他の好適な溶媒以外の成分を含有しない。
【0075】
抗菌性組成物は、単に、成分を一緒に混合することによって調製される。1以上の成分が固状粉末である1具体例では、抗菌性組成物は、固状粉末を水に分散させてゲルを形成し、ゆっくり−中位の速度で撹拌しながらアルコールを添加し、ついで、所望の他の成分を添加し、及び混合物が均質になるまで撹拌することを含んでなる方法によって調製される。
【0076】
上述のように、本発明の抗菌性組成物は、液体、ゲル、泡又は雑巾組成物を含む各種の形態で具現化される。驚くべきことには、液状の抗菌性組成物の粘性は、組成物の消毒効力に影響を及ぼさないことが見出された。例えば、本発明の1以上の具体例では、粘度5cPsを有する液状の抗菌性組成物及び粘度約2000 cPsを有する抗菌性組成物により、同じ対数減少値が達成される。このように、本発明の抗菌性組成物の粘度は限定されないことが理解されるであろう。
【0077】
抗菌性組成物が液状である1具体例では、抗菌性組成物の固形分は、約6%未満、他の具体例では、約5%未満、さらに他の具体例では、約4%未満、他の具体例では、約3%未満、さらに他の具体例では、約2%未満、さらに他の具体例では、約1%未満である。固形分は、各種の公知の方法によって測定される。
【0078】
1以上の具体例では、抗菌性組成物のpHは、約1.5−約10、他の具体例では、約4.5−約9.5、他の具体例では、約7−約8である。
【0079】
意外にも、本発明に従い、エンハンサーをアルコールと組み合わせる場合、迅速な抗菌活性が増大、すなわち、増強される。1以上の具体例では、抗菌組成物は、グラム陰性及びグラム陽性の細菌、真菌類、寄生虫、非エンベロープウイルス及びエンベロープウイルスを殺すことにおいて有効である。1以上の具体例では、抗菌性組成物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)のような細菌、及びカンジダ・アルビカンス(Candida arbicans)及びアルペルギルス・ニガー(Aspergllus niger)のような真菌類に対する迅速な抗菌効力を有する。1以上の具体例では、抗菌性組成物は、常在性及び一過性の皮膚ミクロフローラを含む皮膚ミクロフローラに対する迅速な効力を有する。
【0080】
このように、本発明は、さらに、表面上の微生物を殺す又は不活化する方法であって、表面に、ここに記載の抗菌性組成物の有効な量を塗布することを含んでなる方法を提供する。抗菌性組成物は、皮膚、多孔性又は非多孔性表面を含む広範な表面又は基材について使用される。
【0081】
1以上の具体例では、本発明の抗菌性組成物は、一般的には、哺乳類の皮膚に適用される。これらの具体例では、組成物は、目、耳、鼻、口又はその膜には適用されない。1具体例では、抗菌性組成物をヒトの皮膚上の微生物と接触させる方法は、皮膚に適量の組成物を塗布し、組成物を、適当な時間、皮膚との接触状態に維持することを含む。他の具体例では、組成物を皮膚の表面に噴霧し、擦り込み、洗い落とし、蒸発を介して乾燥させるか、又は拭取ることができる。
【0082】
このように、本発明は、皮膚を消毒する方法であって、哺乳類の皮膚を、少なくとも30質量%(抗菌性組成物の総質量基準)のアルコール、及び効力を増大させる量の少なくとも1のC6-10アルカンジオールを含んでなる抗菌性組成物の有効な量と接触させることを含んでなる方法を提供する。1以上の具体例では、本発明は手の消毒法を提供する。
【0083】
有利には、本発明の抗菌性組成物は、医療従事者のハンドウォッシュ製品として使用される。1以上の具体例では、本発明は、医療管理用消毒剤に関するFDAの暫定的最終モノグラム(TFM)の基準(Federal Register 59 [116], Jun. 17, 1994; pp. 31402-31452)に適合する抗菌性組成物を提供する。
【0084】
医療従事者の手洗いについてのFDA TFMテスト及び他の標準テストにおいて、テスト法は複数の洗浄サイクルを含む。各サイクルにおいて、対象表面を供試微生物で汚染し、表面をテスト製品で洗浄する。特定の洗浄サイクル回数後、表面を洗い流し、洗い流し液をテストして、テスト製品によって、対数減少値が達成されたかを測定する。例えば、医療従事者の手洗いについてのFDA TFMテストでは、アルコール組成物のようなリーブ‐オン製品について、下記のプロトコルを行う。テスト対象の手をセラチア・マルセッセンスのような供試微生物にて汚染し、テスト製品を使用して洗浄する。ついで、手を無菌のグローブに入れ、細菌回収溶液を添加し、専門家によって、所定の時間、手をマッサージして、手から生菌を回収する。回収溶液を平板培養して、1回の洗浄によって達成された対数減少値を測定する。テスト対象の手を、再度、供試微生物にて汚染し、テスト製品を使用して洗浄する。3回目についても、テスト対象の手を供試微生物にて汚染し、テスト製品を使用して洗浄する。3回目の洗浄の後、手をグローブに入れ、生菌を回収して、3回目の洗浄後の対数減少値を測定する。汚染及び洗浄のサイクルを繰返し行い、7回目の洗浄後、手を、再度、グローブに入れ、生菌を回収して、7回目の洗浄後の対数減少値を測定する。汚染及び洗浄のサイクルを繰返し行い、10回目の洗浄後、手を、再度、グローブに入れ、生菌を回収して、10回目の洗浄後の対数減少値を測定する。FDA TFMテストによれば、医療従事者の手洗い法は、1回目の洗浄後、手の上の細菌の数がlog10減少値2まで減少し、10回目の洗浄後、手の上の細菌の数がlog10減少値3まで減少しなければならない。FDA TFMは、リンス‐オフ及びリーブ‐オン製品の両方に関する「洗浄」に言及するものであり、従って、本明細書でも同様である。
【0085】
多くのアルコール製品は、FDA TFMテストを使用する場合、1回目の洗浄後に最少の対数減少値3に達する。しかし、多くのアルコール製品は、FDA TFMテストを使用する場合、10回目の洗浄後に最少の対数減少値3に達しえない。事実、多くのアルコール製品は、連続洗浄で、対数減少値の低減を示す。
【0086】
有利には、本発明の増強アルコール組成物は、FDA TFM医療従事者の手洗い又は同様のプロトコルに従ってテストする場合、連続洗浄でも、効力の低減を示さない。
【0087】
1以上の具体例では、本発明の抗菌性組成物は、1回目の洗浄後のlog10減少値2、及び10回目の洗浄後のlog10減少値3の要件に適合するか又は越えない。1以上の具体例では、本発明による増強アルコール組成物は、1回目の洗浄後、少なくとも約3、及び10回目後、少なくとも約3の対数減少値を提供する。特定の具体例では、抗菌性組成物は累積効果を示し、1回目の洗浄後にlog10減少値3、及び10回目の洗浄後にlog10減少値4を達成することによって、FDA TFM医療従事者の手洗いテストの要件を上回る。
【0088】
1以上の具体例では、本発明による増強組成物を使用した3回目の洗浄によって達成される供試微生物のlog10減少値は、少なくとも、1回目の洗浄サイクルによって達成されたlog10減少値と等しい。1以上の具体例では、本発明による増強組成物を使用した10回目の洗浄によって達成される供試微生物のlog10減少値は、少なくとも、1回目の洗浄サイクルによって達成されたlog10減少値と等しい。
【0089】
複数の洗浄サイクルプロトコルを必要とするテストに従って評価する場合、本発明による増強アルコール組成物は、複数の洗浄サイクル後も維持されるか又は改善された対数減少値を提供する。さらに、増強組成物は、意外にも、累積活性を提供し、すなわち、増強組成物の効力が複数回の使用により増大する。
【0090】
本発明の増強アルコール抗菌性組成物によって発揮される持続した効力のため、このような組成物は、手術時手洗い用組成物としても有用である。手術時手洗いのインビトロ及びインビボテストについての要件は、医療管理用消毒剤に関するFDA暫定的最終モノグラム(TFM)に概説されている(Federal Register 59 [116], Jun. 17, 1994; pp. 31445-31448)。その31445頁の冒頭に記載されたインビボテストを、以後、FDA TFM手術時手洗いテストと称する。手術時手洗いの抗菌効力は、常在性皮膚ミクロフローラの適切な消毒を示すために、各種の好適に認められたテスト法によってテストされる。このようなテスト法の例としては、ASTM E 1115-02「手術時手洗い剤の評価のための基準テスト法」(ASTM International)及びEN 12791: 2005「化学消毒剤及び抗菌剤, 手術時の手の消毒, テスト法及び要件(phase 2, step2)」(CEN-Comitee Europeen de Normalisation, ブラッセル, ベルギー国)がある。
【0091】
本発明の抗菌性組成物及び方法は、補助の抗菌剤を必要とすることなく、ただ1回の使用で迅速な抗菌効力を提供する。ASTM E 1173-01(「術前、カテーテル挿入前、又は注射前の皮膚消毒剤の評価のための標準テスト法」を提供する)及び医療管理用消毒剤に関するFDA暫定的最終モノグラム(Federal Register 59 [116], Jun. 17, 1994; pp. 31402-31452)の記載に基づいてテストされるように、迅速な、広域抗菌スペクトルの効力のため、組成物は皮膚消毒剤として有用である。
【0092】
1以上の具体例では、本発明は、基本的な抗菌活性に関するEN 1040、基本的な殺真菌類活性に関するEN 1275、消毒用手洗い剤として使用される製品の活性に関するEN 1500、結核菌殺菌活性に関するEN 14348、殺ウイルス活性に関するEN 14476、及び手術時の手の消毒に関するEN 12791の1以上の基準に適合する抗菌性組成物を提供する。
【0093】
さらに一般的には、1以上の具体例では、方法は、約1分未満で、一過性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、一過性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、一過性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、一過性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、一過性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0094】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0095】
1以上の具体例では、方法は、約15秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、一過性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0096】
1以上の具体例では、方法は、約1分未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0097】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0098】
1以上の具体例では、方法は、約15秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、大腸菌に対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0099】
1以上の具体例では、方法は、約1分未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0100】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0101】
1以上の具体例では、方法は、約15秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、セラチア・マルセッセンに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0102】
さらに一般的には、1以上の具体例では、方法は、約1分未満で、常在性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、常在性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、常在性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、常在性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、常在性皮膚ミクロフローラの対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0103】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0104】
1以上の具体例では、方法は、約15秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約2を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約3を提供する。他の具体例では、方法は、約15秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約4を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約15秒未満で、常在性皮膚ミクロフローラに対する対数減少値少なくとも約5を提供する。
【0105】
各塗布当たり、実質的にターゲットの表面全体に接触し、少なくとも15‐30秒間湿った状態を維持するに十分な量であれば、抗菌性組成物は各種の量で使用される。1具体例では、有効な量は、少なくとも約1.5ml、他の具体例では、少なくとも約2ml、さらに他の具体例では、少なくとも約2.5ml、さらに他の具体例では、少なくとも3.0ml、さらに他の具体例では、少なくとも約4.5ml、及びさらに他の具体例では、少なくとも約5mlである。有利には、本発明よる抗菌性組成物の有効な量、すなわち、実質的にターゲットの表面全体と接触するために必要な最少量は、適正な効力を達成するために有効な量でもある。他の製品では、実質的にターゲットの表面全体と接触するために有効な量のみを使用する場合には、適正な効力を達成できない。少量の製品を使用して適正な効力を達成でることは有利であると考えられる。これは、より少ない量の製品を使用する場合には、製品を皮膚に擦り付ける及び/又は蒸発させる/乾燥させるために要求される時間が少なくてよいとの理由と共に、経済的な理由から当然である。
【0106】
有利には、1以上の具体例では、本発明は、さらに、1以上のエンベロープウイルス又は1以上の非エンベロープウイルスに対する広域抗菌スペクトルの殺ウイルス効力と共に、グラム陽性及びグラム陰性の細菌及び真菌類に対する迅速な抗菌効力を持つ組成物及び方法を提供する。エンベロープウイルスの例としては、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、呼吸器系発疹ウイルス、コロナウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、SARS-CoV、及びTogaウイルスが含まれる。非エンベロープウイルスは、しばしば、「裸のウイルス」と称され、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、カリシウイルス科(Caliciviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)及びパルボウイルス科(Parvoviridae)が含まれる。これらの科に属するメンバーとしては、ライノウイルス(Rhinovirus)、ポリオウイルス(Poliovirus)、アデノウイルス(Adenovirus)、A型肝炎ウイルス、ノロウイルス(Norovirus)、パピローマウイルス(Papillomavirus)、及びロタウイルス(Rotavirus)が含まれる。
【0107】
1以上の具体例では、方法は、エンベロープウイルス粒子又は非エンベロープウイルス粒子を、C1-6アルコール、C6-10アルカンジオール、及びカチオン性オリゴマー及びポリマー、プロトン供与体、カオトロピック剤、及びその混合物からなる群から選ばれる、効力を増強する量の1以上抗菌性エンハンサーを含んでなる増強アルコール組成物と接触させることを含んでなる。抗菌性エンハンサーは、出願中の米国特許出願公開第2007/0185216号及び同第2007/0184013号に記載されており、参照することによって本明細書に組み込む。
【0108】
本発明の実施を説明するために、下記の組成物の具体例を調製し、テストした。しかし、これらの例は、本発明の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲が、発明を限定するように機能する。
【実施例】
【0109】
例1−3は、泡として分散される発泡性の処方である。例1の組成物は、70質量%エタノール、及び一般的な量のPEG-10ジメチコーン、PEG-12ジメチコーン、グリセリン、芳香剤、プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、及びトコフェリル酢酸を含有する。例2の組成物は、例1の組成物と同じであるが、ただし、例2の組成物は0.5質量%1,2-オクタンジオールも含有する。例3の組成物は、62質量%エタノール、0.5質量%1,2-オクタンジオール、及び一般的な量のPEG-10ジメチコーン、PEG-12ジメチコーン、グリセリン、芳香剤、プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、及びトコフェリル酢酸を含有する。例4は、約63容量%イソプロパノールを含有する市販の液状組成物であり、Steris Corporationによって商品名CalStat(登録商標)で販売されている。不活性成分としては、脱イオン水、メチルプロパンジオール、フェノキシエタノール、乳酸セチル、ヒドロキシプロピルセルロースポリクオタニウム-6、ベヘントリモニウムメトスルフェート、及び芳香剤粉末が含まれる。
【0110】
上記組成物をFDA TFM医療従事者の手洗いテストに従ってテストした。テストのため、参加者8名を使用した。被検サンプルの適量(容積)を一方の手の手のひらに置き、手及び手首の全体均等に広げ、その間、爪の下の空間、外皮、手指間隙に特に注意を払った。乾燥するまで手を擦りあわせるように参加者を誘導した。被検製品についての臨界的な性能特性は:1回目の洗浄後、マーカーの微生物(セラチア・マルセッセン)の濃度におけるlog10減少値2、及び10回目の洗浄後、マーカーの微生物(セラチア・マルセッセン)の濃度におけるlog10減少値3である。
【0111】
例1−4の組成物についての抗菌効力テストのデータを表3に示す。例1の組成物について、複数の洗浄サイクルによって効力は低減し、一方、例2の組成物については、効力が増大したことが理解される。
【表3】
【0112】
例5−7の組成物は水性アルコールゲル処方である。例5の組成物は、70質量%エタノール、及び一般的な量のアクリレート、クロスポリマー、アミノメチルプロパノール、及び白色ユニスフィアーズ(Unispheres)を含有する。例6の組成物は、例5の組成物と同じであるが、ただし、例6の組成物は0.5質量%1,2-オクタンジオールを含有する。例7の組成物は、例5の組成物と同じであるが、ただし、例7の組成物は1質量%デシレングリコールを含有する。
【0113】
例5−7の組成物について、例1−4の組成物について上述したものと同様にテストした。
【表4】
【0114】
例8−14の組成物は35質量%エタノール水溶液である。例9−14の組成物は、さらに、下記の表に示すように1,2-アルカンジオール2質量%を含有する。大腸菌、黄色ブドウ球菌及びセラチア・マルセッセンスの混合物(グループ1)に対するこれら組成物のインビトロ効力を測定した。また、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、プロテウス・ミラビリス(P. mirabilis)、肺炎桿菌(K. pneumoniae)、及び表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)の混合物(グループ2)に対する効力を測定した。テストを、ASTM E 2315「Time-Kill Procedureを使用する抗菌活性アセスメントに関する標準ガイドライン」に従って行った。接触時間は15秒である。結果を下記の表に示す。炭素原子5個以上の鎖長のアルカンジオールはアルコールの迅速抗菌活性を増強するが、炭素原子5個未満の鎖長のアリランジオールは増強しないことが理解される。
【表5】
【0115】
例15−18のサンプルは、雑巾用組成物及び雑巾用基材を含んでなる。雑巾用組成物は、下記の表に示すとおりである。例15−18について、例5−7と同様にテストした。結果を下記の表に示す。驚くべきことには、1,2-アルカンジオールを含有する組成物のみが10回目の洗浄で増大された効力を有することが認められた。
【表6】
【0116】
例19−22の組成物は、下記の表に示すように、水中の1,2-オクタンジオールを各種の量で含有する。これらの組成物の大腸菌、セラチア・マルセッセンス、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、プロテウス・ミラビリス、肺炎桿菌、及び表皮ブドウ球菌に対するインビトロ効力を測定した。テストを、ASTM E 2315「Time-Kill Procedureを使用する抗菌活性アセスメントに関する標準ガイドライン」に従って行った。接触時間は15秒である。結果を下記の表に示す。
【表7】
【0117】
例23−25の組成物は、下記の表に示すように、エタノール及び1,2-オクタンジオールを各種の量で含有する。これらの組成物のセラチア・マルセッセンス、及び黄色ブドウ球菌に対するインビトロ効力を測定した。テストを、ASTM E 2315「Time-Kill Procedureを使用する抗菌活性アセスメントに関する標準ガイドライン」に従って行った。接触時間は15秒である。結果を下記の表に示す。
【表8】
【表9】
【0118】
このように、本発明は、要求される医療従事者の手洗いスクラブテストをパスするために、処方において、追加の抗菌性化合物を必要としないことを含む各種の理由から有利であることが明らかである。これは、追加の抗菌剤が皮膚に対して刺激性であったり、過敏性であったりすること、必要以上のコスト及び製造時間を追加するものであること、及び多くが、世界的な販売を妨げる規制制限を有することの理由から有利である。1以上の具体例では、本発明の抗菌性組成物は、製品を指示されたように使用するごとに、グラム陽性及びグラム陰性の細菌に対して3以上の対数減少値を提供する。
【0119】
有利には、本発明の組成物の迅速な効力は、一般的な組成物よりも少ない量の製品が使用される場合にも、適切な対数減少値を提供する。少ない量の製品が使用される場合には、製品を皮膚に塗布し、乾燥するために必要な時間がより短くなる。このように、効果的な手洗いを行うために必要な時間が短縮される。
【0120】
さらに、1以上の具体例では、本発明の組成物は、持続した又は不変の保護を提供する。組成物は保湿性を発揮し、ディスペンサーの詰り及び誤った方向への吐出が減少する。
【0121】
1以上の具体例では、本発明の抗菌性組成物は、長い保存期間にわたり良好な製品安定性を提供する。特定の具体例では、本発明の抗菌性組成物の安定性は、エマルジョン又は固体懸濁液の製品の安定性よりも良好である。製品安定性には、安定した粘度及びpH値の経時変化のような物理特性が含まれる。また、製品安定性は、製品が均一なコンシステンシー及び外観を保持し、時間経過した製品と新たに製造した製品とが異なるほど色及びにおいが顕著に変化してはならないことを要求する。1以上の具体例では、本発明の抗菌性組成物は、約3年の保存期間にわたって良好な製品安定性を発揮する。
【0122】
当業者にとっては、本発明の範囲及び精神を逸脱しない各種の変形及び変更が明白であろう。本発明は、ここに記載の実施例に限定されるものではない。