特許第5788421号(P5788421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788421空気分離するとともに空気分離装置から生じた空気ガスを加熱する方法および一体型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788421
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】空気分離するとともに空気分離装置から生じた空気ガスを加熱する方法および一体型装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20150910BHJP
   F22B 33/18 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   F25J3/04 A
   F22B33/18
【請求項の数】28
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-556566(P2012-556566)
(86)(22)【出願日】2011年3月3日
(65)【公表番号】特表2013-534605(P2013-534605A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】FR2011050445
(87)【国際公開番号】WO2011110775
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年1月16日
(31)【優先権主張番号】1051676
(32)【優先日】2010年3月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】ドゥブティエ−グラニエ、リシャール
(72)【発明者】
【氏名】トラニエ、ジャン−ピエール
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−131821(JP,A)
【文献】 特開平06−304432(JP,A)
【文献】 特開平11−173753(JP,A)
【文献】 特開2004−257721(JP,A)
【文献】 特開2007−205188(JP,A)
【文献】 特表2008−545945(JP,A)
【文献】 米国特許第05656557(US,A)
【文献】 米国特許第06282901(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0132360(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0061385(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00−5/00
F22B 33/18
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気分離を行い、且つ前記空気分離によって生じた窒素富化されたガスを加熱する一体型装置であって、
空気分離装置 と、
熱交換器(13 )と、
酸素燃焼ボイラー(19)と、
水を予熱する熱交換器(5)と、
水脱気装置(27)と、
前記窒素富化されたガスを前記熱交換器(13 )に運ぶパイプ(11)と、
前記水を予熱する熱交換器(5)の水の入口及び水の出口、並びに前記水脱気装置(27)の水の入口及び水の出口に接続される管路に対し、前記水を予熱する熱交換器(5)の入口側もしくは出口側の配管、及び水脱気装置(27)の水の入口側もしくは水の出口側の配管に分岐して設けられた、水を前記熱交換器(13 )に運ぶ水移送パイプと、を具備し、
前記水を予熱する熱交換器(5)は、前記酸素燃焼ボイラー(19)に接続されて、当該ボイラー(19)から水を受け取るものであり、
前記水脱気装置(27)は、前記酸素燃焼ボイラー(19)に接続されて、当該ボイラー(19)に水を運ぶものであり、
前記熱交換器(13 )は、前記窒素富化されたガスを加熱するものであり、
前記酸素燃焼ボイラー(19)は、前記空気分離装置に接続されて、前記空気分離装置から酸素富化されたガス(17)を受け取るものである、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記水を前記熱交換器(13 )に運ぶパイプは、前記水を予熱する熱交換器(5)の入口、及び前記水脱気装置(27)の脱気された水の出口にあることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記熱交換器(13 )を前記予熱する熱交換器(5)の予熱される水の入口に接続したパイプを具備し、当該パイプは、前記熱交換器(13)において前記窒素富化されたガスの加熱に用いられた水を、前記水を予熱する熱交換器(5)に運んで加熱させるものである請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記熱交換器(13 )の上流の前記水のパイプに接続され、前記水へ直接導入し、または間接的に前記水と熱交換することによって、前記水の温度を上昇させる蒸気供給パイプを具備する請求項1ないし3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
前記空気分離装置が、圧縮空気供給パイプと、浄化装置(6)と、蒸留分離管システムを収容する保冷容器(9)と、前記保冷容器(9)および前記浄化装置に接続され、前記蒸留分離管システムにより生成された窒素富化されたガスを前記保冷容器(9)から前記熱交換器(13)へと運ぶパイプ(11)と、を有し、前記熱交換器(13)は前記窒素富化されたガスが前記浄化装置(6)の上流で加熱されるように前記パイプ(11)に接続されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記空気分離装置が、圧縮空気供給パイプと、浄化装置(6)と、蒸留分離管システムを収容する保冷容器(9)と、前記圧縮空気供給パイプ、および/または前記保冷容器から来る窒素富化されたガスのパイプに接続されることで、前記ボイラー(19)及び前記水脱気装置(27)に向かう水を加熱する前記水を予熱する熱交換器(5)を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記予熱する熱交換器(5)で予熱された水を前記水脱気装置(27)に送る手段と、前記予熱および脱気された水を前記水脱気装置(27)から前記ボイラー(19)に送る手段と、を具備することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
空気分離を行い、且つ前記空気分離によって生じた酸素富化されたガスを加熱する一体型装置であって、
空気分離装置 と、
熱交換器( 43)と、
酸素燃焼ボイラー(19)と、
水を予熱する熱交換器(5)と、
水脱気装置(27)と、
前記酸素富化されたガスを前記熱交換器( 43)に運ぶパイプと、
前記水を予熱する熱交換器(5)の水の入口及び水の出口、並びに前記水脱気装置(27)の水の入口及び水の出口に接続される管路に対し、前記水を予熱する熱交換器(5)の入口側もしくは出口側の配管、及び水脱気装置(27)の水の入口側もしくは水の出口側の配管に分岐して設けられた、水を前記熱交換器( 43)に運ぶ水移送パイプと、を具備し、
前記水を予熱する熱交換器(5)は、前記酸素燃焼ボイラー(19)に接続されて、当該ボイラー(19)から水を受け取るものであり、
前記水脱気装置(27)は、前記酸素燃焼ボイラー(19)に接続されて、当該ボイラー(19)に水を運ぶものであり、
前記熱交換器( 43)は、前記酸素富化されたガスを加熱するものであり、
前記酸素燃焼ボイラー(19)は、前記空気分離装置に接続されて、前記空気分離装置から酸素富化されたガス(17)を受け取るものである、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記水を前記熱交換器(43)に運ぶパイプは、前記水を予熱する熱交換器(5)の入口、及び前記水脱気装置(27)の脱気された水の出口にあることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記熱交換器(43)を前記予熱する熱交換器(5)の予熱される水の入口に接続したパイプを具備し、当該パイプは、前記熱交換器(43)において前記酸素富化されたガスの加熱に用いられた水を、前記水を予熱する熱交換器(5)に運んで加熱させるものである請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記熱交換器(43)の上流の前記水のパイプに接続され、前記水へ直接導入し、または間接的に前記水と熱交換することによって、前記水の温度を上昇させる蒸気供給パイプを具備する請求項8ないし10のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
前記空気分離装置が、圧縮空気供給パイプと、浄化装置(6)と蒸留分離管システムを収容する保冷容器(9)とを接続するパイプとを有することを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
前記空気分離装置が、圧縮空気供給パイプと、浄化装置(6)と、蒸留分離管システムを収容する保冷容器(9)と、前記圧縮空気供給パイプ、および/または前記保冷容器(9)から来る酸素富化されたガスのパイプに接続されることで、前記ボイラー(19)及び前記水脱気装置(27)に向かう水を加熱する前記水を予熱する熱交換器(5)を有することを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
前記予熱する熱交換器(5)で予熱された水を前記水脱気装置(27)に送る手段と、前記予熱および脱気された水を前記水脱気装置(27)から前記ボイラー(19)に送る手段と、を具備することを特徴とする請求項8ないし13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
空気分離装置において、空気の分離を行い、空気が分離される場所で空気分離によって生成された窒素富化されたガスの加熱を行う一体的な方法であって、
酸素富化されたガスが前記空気分離装置から酸素燃焼ボイラー(19)に送られ、
前記空気分離装置から来た窒素富化されたガスがパイプ(11)により熱交換器(13)に運ばれ、
前記窒素富化されたガスは、前記熱交換器(13)において、水移送パイプにより運ばれ、水を予熱する熱交換器(5)の上流から取られて予熱される液体状の水、又は水を予熱する熱交換器(5)の下流から取られて予熱された前記水移送パイプにより運ばれる液体状の水、及び水脱気装置(27)から来る脱気された又は脱気される前記水移送パイプにより運ばれる液体状の水との間接的な熱交換によって加熱され、
前記水を予熱する熱交換器(5)及び前記水脱気装置(27)が前記酸素燃焼ボイラー(19)に向かう水及び前記酸素燃焼ボイラー(19)から来る水を処理し、
前記空気の予熱に用いられる前記水の温度が 100℃ないし200℃である、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記窒素富化されたガスの加熱に用いられる前記水は、前記水を予熱する熱交換器(5)で加熱され、 前記水脱気装置(27)において脱気されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記空気分離装置に向かう空気は圧縮機(1)において圧縮され、当該空気は前記水を予熱する熱交換器(5)において前記ボイラー(19)から来る水との熱交換によって冷却されることを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記空気は圧縮機(1)において圧縮され、浄化装置(6)において浄化され、そして、前記浄化装置(6)は、前記熱交換器(13)において前記水によって加熱された前記空気分離装置から来る窒素によって再生されることを特徴とする請求項15ないし17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記圧縮機(1)において圧縮された後に前記浄化装置(6)により浄化された全ての 空気が、前記空気分離装置に送られることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱交換器(13)において前記窒素富化されたガスにより冷却された前記水が、前記水移送パイプにより運ばれ前記水を予熱する熱交換器(5)に戻されて、前記水を予熱する熱交換器(5)において予熱されることを特徴とする請求項15ないし19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
前記熱交換器(13)に送られる前記水(29)の絶対圧は5バールないし20バールであることを特徴とする請求項15ないし20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
空気分離装置において、空気の分離を行い、空気が分離される場所で空気分離によって生成された酸素富化されたガスの加熱を行う一体的な方法であって、
前記酸素富化されたガスが前記空気分離装置から酸素燃焼ボイラー(19)に送られ、
前記空気分離装置から来た前記酸素富化されたガスがパイプにより熱交換器(43)に運ばれ、
前記酸素富化されたガスは、前記熱交換器(43)において、水移送パイプにより運ばれ、水を予熱する熱交換器(5)の上流から取られて予熱される液体状の水、又は水を予熱する熱交換器(5)の下流から取られて予熱された前記水移送パイプにより運ばれる液体状の水、及び水脱気装置(27)から来る脱気された又は脱気される前記水移送パイプにより運ばれる液体状の水との間接的な熱交換によって加熱され、
前記水を予熱する熱交換器(5)及び前記水脱気装置(27)が前記酸素燃焼ボイラー(19)に向かう水及び前記酸素燃焼ボイラー(19)から来る水を処理し、
前記空気の予熱に用いられる前記水の温度が 100℃ないし200℃である、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記酸素富化されたガスの加熱に用いられる前記水は、前記水を予熱する熱交換器(5)で加熱され、 前記水脱気装置(27)において脱気されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記空気分離装置に向かう空気は圧縮機(1)において圧縮され、当該空気は前記水を予熱する熱交換器(5)において前記ボイラー(19)から来る水との熱交換によって冷却されることを特徴とする請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記空気は圧縮機(1)において圧縮され、浄化装置(6)において浄化されることを特徴とする請求項22ないし24のいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
前記圧縮機(1)において圧縮された後に前記浄化装置(6)により浄化された全ての 空気が、前記空気分離装置に送られることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記熱交換器(43)において前記酸素富化されたガスにより冷却された前記水が、前記水移送パイプにより運ばれ前記水を予熱する熱交換器(5)に戻されて、前記水を予熱する熱交換器(5)において予熱されることを特徴とする請求項22ないし26のいずれか一つに記載の方法。
【請求項28】
前記熱交換器(43)に送られる前記水(29)の絶対圧は5バールないし20バールであることを特徴とする請求項22ないし27のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、空気分離するとともに空気分離装置から生じた空気ガスを加熱する方法および一体型装置に関する。往々にして、空気分離装置のガス生成物は、使用温度に加熱する必要がある。特に:
・保冷容器の上流にある空気浄化装置の吸着剤を再生するため、前記保冷容器から来た残留窒素を加熱する電気またはスチームヒーターを用いる、
・酸素燃焼ボイラーに煙道ガスと共に導入される酸素を予熱する、
ことが知られている。
【0002】
熱エネルギーと電気エネルギーとの間の変換効率は最高でも50%を超えない。このため、流体を加熱するために電気を使用することは、「貴重な」エネルギーの浪費に等しい。
【0003】
発電所において、蒸気サイクルからの蒸気流出は、重大な電気生成の損失につながり得る。
【0004】
熱力学的な見地から、図1の蒸気Vと残留窒素WN2との加熱についての横座標軸の熱交換Eと縦座標軸の温度Tとを示す交換図は、高温の端で細るが、低温の端で大きいΔTを有している。蒸気の凝縮物から熱を回復するとしても(その時は低温の端のΔTはより小さいだろう)、当該交換図は全体として非常に広がったままであろう(すなわち、高いエントロピーの損失を示す曲線の間の面積は、非常に大きいままである)。
【0005】
「酸素燃焼」型の発電所において、酸素燃焼工程に送る酸素を予熱するため:
・ボイラーからの煙道ガスが使われ得る;
・空気分離装置の圧縮機の出口において熱を回復することで、装置の全体的な効率が向上され得る。
【0006】
後者の場合、ガス/ガス(空気/酸素)熱交換器が用いられ得るが、これは大きな交換面積を必要とする装置の非常に大きい部品であり、一方で非常に低いヘッドロスを有する。
【0007】
本発明の目的は、低コストで、空気ガスの加熱において効率の高い熱交換ができるおおよそ一定の温度で加熱する手段を見出すことである。
【0008】
本発明の一つの特徴によれば、空気分離を行い、前記空気分離によって生成された空気ガスを加熱する一体型装置であって、空気分離装置と、熱交換器と、空気中のガスを前記熱交換器に運ぶパイプと、水を予熱する熱交換器または水の脱気装置の水の入口または水の出口に接続され、水を前記熱交換器に運ぶパイプと、を具備し、前記予熱する熱交換器および/または前記脱気装置は酸素燃焼ボイラーに接続されることで水を当該酸素燃焼ボイラーに運ぶとともに前記ボイラーから水を受け取り、前記ボイラーは前記分離装置に接続されることで酸素富化されたガスを受け取る、装置が提供される。
【0009】
任意の他の特徴によれば:
― 前記水を前記予熱する熱交換器に運ぶパイプは、前記水を予熱する熱交換器の予熱された水の出口、または前記水の脱気装置の脱気された水の出口に接続される;
― 前記空気ガスは酸素富化されたガスであり、パイプが前記熱交換器を前記ボイラーに接続することで加熱された前記酸素富化されたガスを前記ボイラーに送る;
― 前記熱交換器を前記予熱する熱交換器の予熱される水の入口に接続することで、前記空気ガスを加熱するために用いられた水を前記予熱する熱交換器に送って加熱するパイプが存在する;
― 前記熱交換器の上流の前記水のパイプに接続され、前記水に直接導入し、または前記水と間接的に熱交換することで、前記水の温度を上昇させる蒸気供給パイプが存在する;
― 空気分離装置は、圧縮空気供給パイプと、浄化装置と、蒸留分離管システムを収容した保冷容器と、前記保冷容器および前記浄化装置に接続され窒素リッチなガスを生成するパイプと、を有し、前記熱交換器は前記窒素リッチなガスが前記浄化装置の上流で加熱されるように前記生成するパイプに接続される;
― 前記空気分離装置は、圧縮空気供給パイプと、浄化装置と、蒸留分離管システムを収容する保冷容器と、前記圧縮空気供給パイプおよび/または前記保冷容器から来る空気ガスパイプに接続されことで前記ボイラー、場合によっては前記脱気装置に向かう水を加熱する前記予熱する熱交換器を有する;
― 前記装置は、前記予熱する熱交換器で予熱された水を前記脱気装置に送る手段と、前記予熱および脱気された水を前記脱気装置から前記ボイラーに送る手段と、を備える。
【0010】
本発明の他の一つの特徴によれば、空気分離装置において、空気の分離を行い、空気が分離される場所で空気分離によって生成された空気ガスの加熱を行う一体的な方法であって、酸素富化されたガスが前記空気分離装置から酸素燃焼ボイラーに送られ、前記空気分離装置から来た空気ガスが、水を予熱する熱交換器の下流から取られて予熱されたまたは予熱される液体状の水、および/または水の脱気装置から来る脱気されたまたは脱気される液体状の水との間接的な熱交換によって加熱され、前記予熱する熱交換器および/または前記脱気装置が前記酸素燃焼ボイラー(19)に向かいそして前記酸素燃焼ボイラーから来る水を処理し、前記空気の予熱に用いられる前記水の温度が好ましくは100℃ないし200℃である、方法が提供される。
【0011】
場合によっては:
― 前記空気ガスの加熱に用いられる前記水は、前記予熱する熱交換器で加熱され、場合によっては前記脱気装置において脱気される;
― 前記空気分離装置に向かう空気は圧縮機において圧縮され、当該空気は前記予熱する熱交換器において前記ボイラーから来る水との熱交換によって冷却される;
― 前記空気は圧縮機において圧縮され、浄化装置において浄化され、そして、前記浄化装置は、前記熱交換器において前記水によって加熱された前記空気分離装置から来る窒素によって再生される;
― 前記圧縮機において圧縮された全ての前記空気が、前記空気分離装置に送られる;
― 前記熱交換器において冷却された前記水が、前記予熱する熱交換器に戻されて予熱される;
― 前記熱交換器に送られる前記水の絶対圧は5バールないし20バールである;
― 前記脱気装置で脱気された水の少なくとも一部が直接前記ボイラーに送られる。
【0012】
空気ガスを加熱するBFWの液体状の水の流れを用いる熱的な優位性は、残留窒素WN2の加熱についての横座標軸における熱交換Eと縦座標軸における温度Tとを示す図2の交換図に明確に表れており、ΔTは、加熱工程において一定且つ小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1 熱交換Eと温度Tとを示す交換図。
図2 熱交換Eと温度Tとを示す他の交換図。
図3 本発明に係る加熱装置。
図4 本発明に係る他の加熱装置。
【0014】
本発明は、図面を参照してさらに詳細に述べられるだろう。図3および4は、本発明に係る加熱装置を示している。
【0015】
図3において、圧縮機1、熱交換器5、浄化装置6、および保冷容器9を備える空気分離装置が示されている。圧縮機で圧縮された全ての空気3は、熱交換器5において、酸素17と燃料(図示せず)が供給される酸素燃焼ボイラー19に行き来する液体状の水25との熱交換によって冷却される。当該ボイラーは、再循環されまたは処理される煙道ガス(図示せず)を生成する。冷却された空気は浄化装置6において浄化され、浄化空気7をつくるとともに、熱交換器および分離管システムを収容する保冷容器9で分離される。当該保冷容器から、酸素燃焼ボイラー19に送られる酸素リッチな流れ17と、室温(例えば0〜30℃)の窒素リッチなガス流11とが生成される。窒素は、間接熱交換器13において、100〜200℃の液体状の熱湯29の流れによって加熱される。100〜200℃且つ絶対圧5〜20バールの熱湯29は熱交換器13に入り、20〜60℃に冷却される。加熱された窒素15は、浄化装置5の再生に用いられる。
【0016】
100〜200℃の熱湯29は、示した場所において水脱気装置27の下流から来る。同様に、水を上記水脱気装置のすぐ上流から、当該水の予熱に用いられる(そして必要な温度まで温度を高めるために蒸気をこの水に導入するかもしれない)熱交換器5の下流から、またはこの熱交換器5の上流から取っても良い。窒素を加熱するために用いられない水は、高圧ポンプ33でボイラーに送られる。ボイラー19から出た25〜60℃の水21は、ポンプ23によって低圧で予熱器5に送られる。窒素を加熱するために用いられた水は、流れ35としてポンプ23の上流に戻される。
【0017】
図4において、圧縮機1、熱交換器5、浄化装置6、および保冷容器9を備える空気分離装置が示されている。圧縮機で圧縮された全ての空気3は、熱交換器5において、酸素燃焼ボイラー19に向かう液体状の水25との熱交換によって冷却される。冷却された空気は、浄化装置6において浄化されて浄化空気7をつくるとともに、熱交換器および分離管システムを収容する保冷容器9において分離される。当該保冷容器から、酸素燃焼ボイラー19に送られる酸素リッチな流れ17と、室温の窒素リッチなガス流とが生成される。当該0〜30℃の流れ17は、酸素を100〜200℃に加熱するとともに水を10〜30℃に冷却する熱交換器43において、熱湯29の流れによって加熱される。100〜200℃且つ5〜20バールの熱湯29は、示した場所において水脱気装置27の下流から来る。同様に、水を上記水脱気装置のすぐ上流から、当該水の予熱に用いられる熱交換器5の下流から、または熱交換器5の上流から取っても良い。酸素の加熱に用いられない水は、高圧ポンプ33でボイラーに送られる。ボイラー19から出る25〜60℃の水は、ポンプ23によって低圧で予熱器5に送られる。酸素の加熱に用いられた水は、流れ35としてポンプ23の上流に戻る。
【0018】
本発明の装置はガスタービンを含まず、空気分離装置の圧縮機からの全ての空気は分離に送られる。
以下、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた事項を付記しておく。
[1]
空気分離を行い、且つ前記空気分離によって生じた空気ガスを加熱する一体型装置であって、
空気分離装置(9)と、
熱交換器(13,43)と、
前記空気ガスを前記熱交換器に運ぶパイプと、
水を予熱する熱交換器(5)の水の入口もしくは水の出口、または水の脱気装置(27)の水の入口もしくは水の出口に接続され、水を前記熱交換器に運ぶ水移送パイプと、を具備し、
前記予熱する熱交換器および/または前記脱気装置は、酸素燃焼ボイラー(19)に接続されて、当該ボイラーに水を運ぶとともに当該ボイラーから水を受け取るものであり、
前記ボイラーは、前記分離装置に接続されて、前記分離装置から酸素富化されたガス(17)を受け取るものである、ことを特徴とする装置。
[2]
前記水を前記熱交換器(13,43)に運ぶパイプは、前記水を予熱する熱交換器(5)の予熱された水の出口、または前記水の脱気装置(27)の脱気された水の出口にあることを特徴とする[1]に記載の装置。
[3]
前記空気ガスは前記酸素富化されたガスであり、パイプが前記熱交換器を前記ボイラー(19)に接続することで加熱された前記酸素富化されたガスを前記ボイラーに運ぶことを特徴とする[1]ないし[2]のいずれか一つに記載の装置。
[4]
前記熱交換器(13,43)を前記予熱する熱交換器(5)の予熱される水の入口に接続したパイプを具備し、当該パイプは、前記空気ガスの加熱に用いられた水を前記予熱する熱交換器に運んで加熱させるものである[1]ないし[3]のいずれか一つに記載の装置。
[5]
前記熱交換器(13,43)の上流の前記水のパイプに接続され、前記水へ直接導入し、または間接的に前記水と熱交換することによって、前記水の温度を上昇させる蒸気供給パイプを具備する[1]ないし[4]のいずれか一つに記載の装置。
[6]
空気分離装置が、圧縮空気供給パイプと、浄化装置(6)と、蒸留分離管システムを収容する保冷容器(9)と、前記保冷容器および前記浄化装置に接続され窒素リッチなガスを生成するパイプ(11)と、を有し、前記熱交換器は前記窒素リッチなガスが前記浄化
装置の上流で加熱されるように前記生成するパイプに接続されることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれか一つに記載の装置。
[7]
空気分離装置が、圧縮空気供給パイプと、浄化装置(6)と、蒸留分離管システムを収容する保冷容器(9)と、前記圧縮空気供給パイプ、および/または前記保冷容器から来る空気ガスパイプに接続されることで、前記ボイラー(19)、場合によっては脱気装置
(27)に向かう水を加熱する前記予熱する熱交換器(5)を有することを特徴とする[1]ないし[6]のいずれか一つに記載の装置。
[8]
前記予熱する熱交換器で予熱された水を前記脱気装置(27)に送る手段と、前記予熱および脱気された水を前記脱気装置から前記ボイラーに送る手段と、を具備することを特徴とする[1]ないし[7]のいずれか一つに記載の装置。
[9]
空気分離装置において、空気の分離を行い、空気が分離される場所で空気分離によって生成された空気ガスの加熱を行う一体的な方法であって、
酸素富化されたガスが前記空気分離装置から酸素燃焼ボイラーに送られ、
前記空気分離装置から来た空気ガスが、水を予熱する熱交換器(5)の上流もしくは下流から取られて予熱されたまたは予熱される液体状の水、および/または水の脱気装置(27)から来る脱気されたまたは脱気される液体状の水との間接的な熱交換によって加熱され、
前記予熱する熱交換器および/または前記脱気装置が前記酸素燃焼ボイラー(19)に向かう水および前記酸素燃焼ボイラーから来る水を処理し、
前記空気の予熱に用いられる前記水の温度が好ましくは100℃ないし200℃である、ことを特徴とする方法。
[10]
前記空気ガスの加熱に用いられる前記水は、前記予熱する熱交換器(5)で加熱され、場合によっては前記脱気装置(27)において脱気されることを特徴とする[9]に記載の方法。
[11]
前記空気分離装置に向かう空気は圧縮機において圧縮され、当該空気は前記予熱する熱交換器において前記ボイラーから来る水との熱交換によって冷却されることを特徴とする[9]または[10]に記載の方法。
[12]
前記空気は圧縮機において圧縮され、浄化装置において浄化され、そして、前記浄化装置は、前記熱交換器において前記水によって加熱された前記空気分離装置から来る窒素によって再生されることを特徴とする[9]ないし[11]のいずれか一つに記載の方法。
[13]
前記圧縮機において圧縮された全ての前記空気が、前記空気分離装置に送られることを特徴とする[9]ないし[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14]
前記熱交換器において冷却された前記水が、前記予熱する熱交換器に戻されて予熱されることを特徴とする[9]ないし[13]のいずれか一つに記載の方法。
[15]
前記熱交換器に送られる前記水(29)の絶対圧は5バールないし20バールであることを特徴とする[9]ないし[14]のいずれか一つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4