【実施例1】
【0014】
図1は出発案内表示装置を含む出発案内表示システムのブロック構成図であり、主として、バスのターミナルTの付近に設置され、乗客に行先や出発時刻等の情報を表示画面を介して提供する出発案内の表示装置10と、操作室C内に設置された制御装置20、操作装置30とから成っている。
【0015】
表示装置10はバスターミナルTの比較的広い場所で、乗客が見易い場所に設置され、カラー液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED表示器、CRT等の大型の表示画面11を有する表示部12と、制御装置20から有線又は無線により表示指令情報等の送信情報を受信し、表示部12に対して映像信号を送信して表示制御を行う画面制御部13とから成る。この画面制御部13は組込型のパソコン等を用いてもよい。
【0016】
また、画面制御部13は制御装置20内に組込んだり、制御装置20に画面制御部13の機能を持たせるようにしてもよい。このような場合は、制御装置20は映像信号から成る送信情報を直接表示部12に有線又は無線により送信することになる。
【0017】
表示装置10の表示画面11の大きさは横幅2m程度であり、
図2は表示画面11で表示される表示内容の一例である。本実施例では、例えば1列12段の出発情報11aを2列に表示し、計24個の出発情報11aを表示可能としている。これらの出発情報11aの表示段数及び表示列数は、乗客が文字を認識できる範囲で適宜に制御装置20からの指令により表示画面11を変更し設定することができる。
【0018】
バスの出発便数は時間帯によって大きく異なり、近距離バスは昼間に多く、遠距離バスは深夜になると増えてくる。このため、便数が多いラッシュ時には出発情報11aの文字を小さい文字で表示して例えば表示行数を増やし、閑散時やその日の出発便が少なくなってしまった場合には、大きな文字で表示して、表示行数を減少するようにすることもできる。この場合は、予め時間帯毎に表示段数及び表示列を設定しておき、現時刻に応じて表示可能な表示段数及び表示列を変更する処理を行う。
【0019】
表示画面11は行先方面毎に複数の表示エリア11bに区分けされており、各行先方面は分かり易くするために色分けされたヘッダとして表示区分11cを有している。例えば、東北方面行の表示エリア11bには、左上に青色の文字又は背景色を青とした東北方面の表示区分11cが表示され、その下には東北方面に向かう複数のバスの出発情報11aが出発時刻順に配置されている。
【0020】
また、表示画面11の一部に略式の地図を描いて行先方面別に色分けをし、この色分けを表示区分11cの色と合致させておくと、乗客は地図を見て該当の行先方面の色を知り、同じ色の表示区分11cの中から直ちに目的のバスを探し出すことができる。
【0021】
また、出発時刻が迫っている出発情報11aに対しては、表示エリア11bの横に表示される出発マーク11dが点灯する。この出発マーク11dの色は目立つ色で、輝度が大きいことが好ましい。また、出発マーク11dを点滅させてもよく、例えば出発乗場にバスが到着したときに点灯し、出発1分前になったら点滅するように表示制御してもよい。
【0022】
各行先方面毎の表示エリア11bは、少なくとも1便以上の出発情報11aが表示されるように制御装置20により表示エリア11bが区画制御される。バスの遅延等が発生している場合は、出発情報11aの経由地情報の表示個所に代えて「10分遅れ」や「10分程度遅延しております」の文字等から成るインフォメーション情報11eの表示を行う。現時刻以降にその日の出発する便がない場合には、出発情報11aの表示個所に「本日の出発便は全て終了しました」の文字等から成るインフォメーション情報11eの表示を行う。
【0023】
バスターミナルTに設けた表示装置10は複数台並べて設置してもよく、例えば一方の行先を西日本用、他方の行先を東日本用として用いるようにしてもよい。或いは、一方を遠距離用、他方を近距離用とすることもできる。また、この表示画面11と同じ内容の表示画面を案内センタ等に小型のモニタとして設けてもよい。
【0024】
サーバ側装置に相当する操作室C内の制御装置20は、バスターミナルTの表示装置10に有線又は無線により接続し、表示装置10の画面制御部13に対して表示内容を指示するデータや表示指令を送信する。クライアント側装置に相当する操作装置30は、制御装置20に接続され、制御装置20を介して表示装置10の表示内容の確認、表示内容の変更、修正等の指示をオペレータが行うことができる。本実施例では、制御装置20及び操作装置30とを別体で示したが、操作装置30の機能を制御装置20内に設けて、クライアント機能とサーバ機能を一体とした装置とすることもできる。
【0025】
制御装置20は出発情報11aを含むダイヤデータベースDを記憶する記憶部21と、操作装置30からの入力に基づきダイヤデータベースDに出発情報を変更、追加、削除等を行うダイヤ作成部22と、操作装置30からの入力に基づきダイヤデータベースDから該当するデータ抽出、加工処理及び表示画面11に表示する出発情報11aを作成する制御部23と、制御部23により作成された出発情報11a等から成る表示情報を画像データや表示指令データとして表示装置10の画面制御部13に無線又は有線により送信する送信部24とから構成されている。
【0026】
操作装置30はデスクトップPC等を用いてもよく、表示装置10の表示内容やダイヤデータベースDの内容を表示するモニタ部31と、各処理を入力するキーボード、マウスから成る入力部32と、モニタ部31及び入力部32と制御装置20との間でデータの送受信、入出力処理等を処理する操作処理部33とから構成されている。この操作装置30は操作室C以外に、券売機カウンター等に適宜に設置してもよく、同機能を有する操作装置30を複数個所にそれぞれ配置してもよい。
【0027】
制御装置20の記憶部21に記憶したダイヤデータベースDは、次の表1に示すように、出発時刻、到着時刻、行先、行先方面、出発乗場、バスの遅延の有無及び遅延時間の他に、経由地、座席数等のデータから構成され、適宜に行先や出発時刻等を対象にソートできるデータ構造になっている。
【0028】
表1
番号 出発時刻 到着時刻 行先 行先方面 乗場 遅延有無 遅延時間
1 9:00 12:30 仙台駅 東北方面 6
2 9:00 12:30 名古屋駅 東海方面 2
3 9:10 11:00 水戸駅 関東方面 3
4 9:20 14:20 大阪駅 関西方面 5 ○ 10分
5 9:30 11:50 静岡駅 東海方面 2
6 9:30 11:30 宇都宮駅 関東方面 4 ○ 15分
7 10:00 13:30 仙台駅 東北方面 6
8 10:00 13:30 名古屋駅 東海方面 2
9 10:00 12:00 水戸駅 関東方面 3
: : : : : : : :
【0029】
ダイヤデータベースDは他のネットワークを利用して中央センタ装置等から定期的に受信して、記憶部21に記憶するようにしてもよい。
【0030】
操作室Cには、操作装置30を介して制御装置20を操作するオペレータが常駐しており、モニタ部31により表示装置10の表示画面11の表示内容を確認できるようになっている。オペレータはモニタ部31の表示を見ながら各種の表示指令を入力したり、ダイヤデータベースDから抽出された出発情報11aの確認や、出発済便の処理、臨時便の追加などを入力部32を介して行う。
【0031】
更に、操作室C内では、表示装置10が表示する表示画面11を確認できるように、表示画面11と同じ表示内容を常時表示する小型であっても高精細の表示内容確認用モニタを別途設けることが好ましい。
【0032】
制御部23は出発情報11aの発車時刻が近付くと、自動的に出発情報11aに該当する出発マーク11dを点灯する。発車時刻が経過しバスが発車したと判断すると自動的に出発情報11aを消去し、同じ行先方面であって表示エリア11bに表示されていない次の出発情報11aを記憶部21のダイヤデータベースDの中から抽出して、同じ行先方面の表示エリア11bの最下段に追加表示する。
【0033】
なお、発車すべきバスに遅延が生じた場合には、オペレータはバスの運転手やバス乗場の係員等からのバスの状態情報に基づいて、ダイヤデータベースDの変更、追加、削除を行い、遅延するバスのインフォメーション情報11eを表示したり、或いは出発情報11aの新たな出発時刻を表示し直す指令等を行う。これにより、発車時刻が経過しても遅延バスの出発情報11aが消去されることはない。
【0034】
オペレータはこのようなバスの状態情報を運転手や係員が所持する携帯端末からの無線通信情報により取得してもよいし、携帯電話からの音声通話による連絡によって取得してもよい。或いは、発車すべきバスに遅延等の問題が発生する場合のみ、バスの状態情報を連絡するように決めておいてもよく、連絡のない出発情報11aに対しては、表示画面11の出発情報11aの通りの運行状況であると看做して、制御装置20は出発間近の出発情報11aに対しての出発マーク11dの表示指令、出発済みとなった出発情報11aの表示を削除する指令を行う。
【0035】
また、操作室Cにはオペレータを常駐させずに、全てを自動的に表示制御を行うようにすることもできる。制御装置20はバスに設けた読み取りタグによる通信や狭域通信などの無線通信を利用してバスのID情報及び状態情報を取得し、取得した情報に基づいて、出発マーク11dの表示指令、インフォメーション情報11eの表示指令、出発済みとなった出発情報11aの表示を削除する削除指令を行う。
【0036】
バスとの通信を行う場合は、超音波等を利用した在車センサを併せて用いてもよい。停車位置近傍に設置した在車センサによりバスを検知した後に、バスのID情報を無線通信により受信し、ID情報に対応する出発情報11aの出発マーク11dを点灯する。出発数分前になると出発マーク11dの点滅表示制御を行い、在車センサがバスを検知しなくなれば、出発情報11aの表示を削除する。
【0037】
また、欠便、臨時便等の緊急事態に対しては、運転手や係員が所持する携帯端末から無線通信により制御装置20に入力される。このようにオペレータを介さずに表示制御を行う場合は、制御装置20の記憶部21、制御部23及び携帯端末等から無線通信機能を表示装置10内に設けることで、制御装置20を不要とすることもできる。
【0038】
図3は制御装置20の制御部23による表示画面11に表示すべき出発情報11aの内容を決定するフローチャート図である。
【0039】
最初のステップS11において、表示画面11内に表示可能な出発情報11aの全表示個数n、行先方面数m、ダイヤデータベースDからデータ抽出すべき抽出時間範囲rを設定する。これらのパラメータ値は、オペレータが操作装置30から制御装置20に対して一旦設定した後は、変更するまで記憶しているパラメータ値を利用して表示処理を行う。
【0040】
ステップS12において、制御部23は現時刻から抽出時間範囲r分の出発情報11aを記憶部21から抽出する。そして、抽出した出発情報11aの各行先方面に対する表示エリア11bの構成比を算出し、この構成比に応じて行先方面毎の表示エリア11bの表示個数n’を算出する。
【0041】
ステップS12の具体的な処理として、例えば表示個数nを24、行先方面数を東北、北陸・甲信、東海、関東、関西の5方面とし、更に抽出時間範囲rを3時間とした場合に、制御部23は現時刻から3時間分の出発情報11aを記憶部21から抽出する。そして、抽出された出発情報11aの便数は、東北方面が8便、北陸・甲信方面が6便、東海方面が11便、関東方面が18便、関西方面が8便の合計51便であるとすると、行先方面別の表示エリア11bの構成比は、8:6:11:18:8となる。表示エリア11bの表示個数n’は、
図2に示すように東北方面が表示個数24×8/51=4便、北陸・甲信方面が3便、東海方面が5便、関東方面が8便、関西方面が4便となる。各行先方面の表示個数n’は表示エリア11bの構成比に応じて、適当な整数になるように調整される。
【0042】
ステップS13において、決定した行先方面毎の表示個数n’個分の出発情報11aを表示画面11の行先方面の表示エリア11bにそれぞれ出発時刻順に表示する。
【0043】
また、このステップS13において、表示画面11内に或る行先方面の出発情報11aが1個も含まれなかった場合は、ダイヤデータベースDからその行先方面の最も早い出発情報11aを抽出し、この出発情報11aを該当の行先方面の表示エリア11bに表示する処理を行う。ダイヤデータベースDにその日に出発する出発情報11aがない場合には、当日の出発便がない旨の表示を該当の行先方面の表示エリア11bに表示する。なお、この場合に表示画面11の表示個数nを1個増加するか、或いは表示個数nはそのままとし、他の行先方面の出発情報11aの中から最も出発時刻が遅い出発情報11aを表示画面11から削除する。
【0044】
このようにすることで、数時間に1便しか出発しないような行先方面であっても、1つの出発情報11aが表示されるので、乗客はその行先方面の出発が何時であるのか、或いは出発便がまだあるのかを知ることができる。
【0045】
ステップS14においては、バスの状態情報に基づいて、何れかの出発情報11aに該当するバスが出発したか否かの判定する。何れかのバスが出発した場合は、該当の出発情報11aを表示エリア11bから削除し、ステップS12に戻り、表示画面11の再表示処理を行う。バスがまだ出発していない場合にはステップS14の処理に戻り、表示画面11の表示を維持する。
【0046】
このように、ステップS11〜S14による処理を繰り返すことで、出発便数が多い行先方面に対しては、多くの出発情報11aを表示することができる。
【0047】
また、上述のように表示エリア11bの構成比は抽出時間範囲rに含まれる便数に基づいて算出したが、オペレータが表示エリア11bの構成比を任意に決定してもよい。
【実施例2】
【0048】
実施例1では、バスが出発する度に表示エリア11bの構成比を算出し、表示すべき出発情報11aの再表示処理を行っているが、ラッシュ時等では数分置きに表示画面11を再表示処理すると表示画面11の変化が頻発し、今まで表示していた出発情報11aの表示場所が大きく移動してしまい、見失うという場合も起こり得る。
【0049】
そこで本実施例2においては、表示保持時間sを定めて、この表示保持時間sが経過するまでは、行先方面毎の表示エリア11bの表示個数n’を維持するようにする。なお、この表示保持時間sは30分程度とすることが好ましいが、ラッシュ時は表示保持時間sを例えば20分毎とし、ラッシュ時以外は2時間毎にするなど適宜に調整してもよい。
【0050】
図4は実施例2の制御部23の表示画面11への出発情報11aの内容を決定するフローチャート図であり、ステップS21においては、表示個数n、行先方面数m、抽出時間範囲rに加えて、表示保持時間sを設定する。
【0051】
ステップS22及びステップS23は実施例1の
図3のステップS12及びステップS13と同様の処理を行う。なお、このステップS23においても、実施例1と同様に各行先方面に、少なくとも1個の出発情報11aを表示することが好ましい。
【0052】
ステップS24でステップS23の表示画面11への表示から開始した経過時間が表示保持時間sに達したか否かを判定する。表示保持時間sに達していない場合はステップS25に進み、表示保持時間sに達した場合はステップS22に戻り、改めて出発情報11aの再表示処理を行う。
【0053】
例えば、最初のステップS22が9時に実行し、表示保持時間が3時間とした場合では、まず
図2に示すように出発情報11aの東北方面が4便、北陸・甲信方面が3便、東海方面が5便、関東方面が8便、関西方面が4便から成る表示エリア11bが保持された状態で12時まで表示される。そして、経過時間が表示保持時間sに達する12時になると、出発情報11aの再表示処理を行い、12時から抽出時間範囲rに含まれる出発情報11aの便数に基づいて、
図5に示す出発情報11aの東北方面が3便、北陸・甲信方面が2便、東海方面が5便、関東方面が9便、関西方面が5便から成る表示エリア11bが再表示される。
【0054】
ステップS25においては、バスの状態情報に基づいて、何れかの出発情報11aに該当するバスが出発したか否かを判定する。何れかのバスが出発した場合はステップS26に進み、出発していない場合にはステップS24の処理に戻り、表示画面11の出発情報11aの表示を維持する。
【0055】
ステップS26では、表示画面11から出発したバスの出発情報11aの表示を消去し、同じ行先方面であって表示エリア11bに表示されていない次の出発情報11aを表示エリア11bに追加した後にステップS24に戻る。
【0056】
実施例2において、このような表示処理を行うことで、表示保持時間sが経過するまでは、各行先方面毎の表示エリア11bの表示個数n’は変化しないので、表示エリア11bの切換わりによる画面変化が少なく、乗客は乗車すべきバスの出発情報11aの表示を見失うことがなくなる。
【0057】
また、出発便の出発間隔が短いラッシュ時には、画面変化のない表示保持時間sを用いた実施例2の出発情報11aの表示処理を行い、出発便の出発間隔が長い時間帯には、バスが出発する毎に抽出処理を行う実施例1による出発情報11aの表示処理を行うようにしてもよい。
【実施例3】
【0058】
実施例1、2では、表示エリア11b内に或る行先方面の出発情報11aが1個も含まれなかった場合に、その行先方面の表示エリア11bに1個の出発情報11aを表示する場合を説明した。本実施例3では全ての行先方面の出発情報11aを2個以上表示するようにして出発情報11aの表示処理を行う。
【0059】
或る行先方面に主要な行先が複数ある場合、例えば東北方面の行先として仙台便の次に盛岡便があるとすると、実施例1、2の1個のみの出発情報11aの表示では、仙台便が表示されていると、盛岡便に乗車予定の乗客は盛岡便が何時出発するのか、或いは仙台便の後に盛岡便があるかどうかが分からない。そこで、行先方面に表示する最低表示個数を増やすことで盛岡便も表示されることになる。
【0060】
図2の表示画面11を例にすれば、最低表示個数を3個とすると、3×5方面の15個の出発情報11aの数は固定され、残りの9個の出発情報11aが行先方面別に出発便の便数に応じて振り分けられることになる。
【0061】
図6は行先方面に表示する最低表示個数を任意に設定して表示する場合のフローチャート図である。
【0062】
最初のステップS31において、表示画面11内に表示可能な出発情報11aの表示個数n、行先方面数m、行先方面に表示すべき最低表示個数p、行先方面毎の表示エリア11bの構成比を更新する抽出時間範囲r、表示保持時間sを設定する。
【0063】
ステップS32において、行先方面数mの現時刻以降の各方面毎に最低表示個数pずつの出発情報11aを抽出する。例えば、
図2においては5個の行先方面に対して最低表示個数pを2と設定すると、行先方面数5×最低表示個数2=10個の最低表示出発情報11tをダイヤデータベースDから抽出する。
【0064】
ステップS33において、現時刻から抽出時間範囲r分の出発情報11aを抽出し、これらの出発情報11aの各行先方面に対して、実施例1のステップS12の処理同様に表示エリア11bの構成比を算出する。そして、この構成比を表示個数nから最低表示出発情報11tを差し引いた個数に対して行先方面毎の表示エリア11bの表示個数n’を算出する。この例のように最低表示出発情報11tが10個の場合は、表示個数24−10=14個の出発情報11aに対して、構成比に応じて表示エリア11bの行先方面毎の表示個数n’を決定する。
【0065】
ステップS34において、行先方面毎に表示個数n’と最低表示個数pとを合計した表示個数n”の出発情報11aをダイヤデータベースDからを抽出し、行先方面の表示エリア11bに出発時刻順に表示する。
【0066】
ステップS35〜S37においては、実施例2の
図4のステップS24〜S26と同じ処理を行う。
【0067】
このように、ステップS31〜S37による処理を行うことで、或る行先方面に長時間出発便がない行先が複数あったとしても、少なくとも最低表示個数pの出発情報11aが行先方面毎の表示エリア11bに表示される。例えば、仙台便が5時間後、盛岡便が6時間後に出発するような場合であっても、双方共に表示することになり、両便の乗客は確認することができる。
【0068】
また、長時間に渡って出発便がない行先を多数有する行先方面については、最低表示個数pの表示エリア11b内で表示の切換えを行いながら運用してもよい。最低表示個数が1個であったとしても、10秒程度毎に出発情報11aを切換えることで長時間出発便がないが行先の全ての乗客に対して情報提供が可能である。数時間に渡って出発便がない行先を多数有する行先方面の場合は、最低表示個数pは複数が好ましい。
【実施例4】
【0069】
図7は実施例4の出発案内表示装置のブロック構成図である。制御装置20には券売機売場に設置された券売装置40が有線又は無線により接続されている。この券売装置40は券売機と接続され、既に販売した乗車券の予約、販売情報を有している。券売装置40に代えて、券売装置40を一括で管理する中央センタの端末装置や、券売機カウンタの端末装置を接続してもよい。
【0070】
また、ダイヤデータベースDは出発時刻、到着時刻等に加えて、券売装置40から取得する乗車券の予約、販売状況及びバスの定員情報等が付加されたデータ構造になる。これらの乗車券の予約、販売状況及び定員情報に基づいて、混雑率や満・空、キャンセル待ちの混雑情報を作成できる。
【0071】
図8は混雑情報11fを含む表示画面11であり、混雑情報11fの表示欄には、◎:十分に空席がある、○:多少空席が残っている、△:空席が僅かである、×:満席であることを示す表示がなされている。これらの記号に代えて、残り座席の数値を表示するようにしてもよく、記号、残数に応じて色を変えるようにしてもよい。このように表示することで、乗客は次の出発便に乗れるのか、又はキャンセル待ちを行うかを判断することができる。
【0072】
図8に示すような混雑情報11fを含む出発情報11aの表示方法は、先の実施例と同様に抽出時間範囲rに含まれる便数に基づいて、表示エリア11bの構成比を算出して、表示画面11に表示し、乗場情報と同様に付加情報として表示してもよいし、また乗車券の予約、販売状況に基づいて、行先方面毎の表示エリア11bの構成比を算出して出発情報11aを表示画面11に表示してもよい。
【0073】
販売乗車券の予約、販売状況に基づく、表示画面11への出発情報11aの内容を決定する処理に関しては、
図3のステップS12、
図4のステップS22、
図6のステップS33に示した抽出時間範囲rに含まれる便数に基づいて、行先方面に対する表示エリア11bの構成比を算出しているのに対し、実施例4では抽出時間範囲rに含まれる行先便の予約、販売数に応じて、行先方面に対する表示エリア11bの構成比を算出することもできる。この場合に、抽出時間範囲rに含まれる各行先方面毎に行先便の乗客率の平均値を算出し、この平均値から各行先方面の構成比を算出する。
【0074】
即ち、抽出時間範囲rに含まれる各行先方面毎の予約、販売数を集計し、この集計値を用いて、各行先方面の構成比を算出する。そして、この構成比に応じて表示エリア11bの表示個数n’を決定し、各行先方面の表示エリア11bに出発情報11aを出発時刻順に表示する。
【0075】
このように表示処理することで、たとえ出発便数が多い行先方面であっても、予約数が少ない、つまり乗客数が少ない行先であればその行先方面の表示エリア11bは小さくなる。逆に、出発便数が少ない行先便であっても、予約数が多ければその行先方面の表示エリア11bを大きくする。このように表示することで、乗客が多い方面ほど多くの出発情報11aが提供され、乗客にとって効率的な情報提供を行うことが可能である。
【0076】
また、抽出時間範囲rに含まれる行先便の予約、販売した乗客の人数の合計値に基づいて構成比を算出してもよい。
【0077】
また、実施例4の乗客数、乗車率を利用した表示画面11の出発情報11aの抽出処理に、実施例3の行先方面に表示する最低表示個数pを組み合わせて表示するようにしてもよい。
【0078】
更に、実施例1〜3の抽出時間範囲rに含まれる便数に基づく出発情報11aの表示処理と、実施例4の抽出時間範囲rに含まれる予約、販売数に基づく出発情報11aの表示処理とを時間帯に応じて適宜に切換えて表示するようにしてもよい。