(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788445
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】腕金支持金具の補強金具及び腕金支持装置
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20150910BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
H02G7/00
F16B2/08 A
F16B2/08 K
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-176377(P2013-176377)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-46998(P2015-46998A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2014年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】専徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】大西 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】延原 上夫
(72)【発明者】
【氏名】相原 義則
(72)【発明者】
【氏名】加納 光幸
(72)【発明者】
【氏名】福田 益久
(72)【発明者】
【氏名】北村 克典
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 雅則
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長 登志樹
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−027264(JP,A)
【文献】
特開2008−245432(JP,A)
【文献】
特開2011−234475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕金を片持ち支持し電柱の外周面に固定される支持体と、前記支持体を前記電柱の外周面に固定する固定バンドとを備える腕金支持金具を補強する腕金支持金具の補強金具であって、
電柱に前記固定バンドを介して固定された前記支持体に対して着脱可能に係止するフックと、
前記フックに取付けられ、前記電柱の全周を包囲するように電柱に締付けられることで前記腕金支持金具の回転を防止する補強バンドと、
を備えることを特徴とする腕金支持金具の補強金具。
【請求項2】
前記補強バンドは、前記支持体の下端に接するように取付けられ、電柱に固定された前記腕金支持金具がずり下がることを防止することを特徴とする請求項1に記載の腕金支持金具の補強金具。
【請求項3】
前記腕金支持金具は、前記支持体が電柱の外周面に沿って湾曲し電柱の外周面に当接する左右に配置された当接部と、前記左右の当接部を連結する連結部とを有し、前記支持体を前記固定バンドを介して電柱に固定したとき、前記連結部が電柱の外周面に接することなく、前記連結部と電柱の外周面との間には隙間Lが生じるように形成されており、
前記フックは、フックの一部が前記連結部と電柱の外周面との間の隙間Lに嵌り込むように前記連結部に係止することを特徴とする請求項1又は2に記載の腕金支持金具の補強金具。
【請求項4】
前記腕金支持金具は、前記支持体が一対の略L字状の支持片と、互いの一片が平行にかつ間隔を設けた状態で配置された前記一対の支持片を連結する上下に配置された上連結板及び下連結板と、を有し、前記一対の支持片の他片が、前記当接部を形成し、前記上連結板及び下連結板が前記連結部を形成し、
前記フックは、ヘアピン状又はコ字状の係止部を有し、
前記フックの係止部が前記下連結板に引掛けられ係止することを特徴とする請求項3に記載の腕金支持金具の補強金具。
【請求項5】
前記腕金支持金具は、さらに前記一対の支持片の前記一片の間に取り付けられ、前記腕金が嵌り込む腕金取付座を形成する仕切板を備え、
前記腕金が、基端部を前記腕金取付座に嵌め入れ、ボルト止めされていることを特徴とする請求項4に記載の腕金支持金具の補強金具。
【請求項6】
前記腕金支持金具が、高圧カットアウト支持アーム用の腕金支持金具であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の腕金支持金具の補強金具。
【請求項7】
腕金を片持ち支持し電柱の外周面に固定される支持体、及び前記支持体と連結し前記支持体を前記電柱の外周面に固定する固定バンドを備える腕金支持金具と、
前記請求項1から6のいずれか1項に記載の腕金支持金具の補強金具と、
を備えることを特徴とする腕金支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕金の回転を防止するように腕金支持金具を補強する補強金具及び腕金支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱には、高圧配電線、電圧を降圧する柱上変圧器、柱上変圧器を保護する高圧カットアウト、低圧配電線等が、腕金及び装柱金具を介して電柱に取付けられている。腕金(アーム)及び装柱金具には、種々の形態のものが使用されている。
図7は、高圧カットアウトを支持する高圧カットアウト支持アームの一例である。
【0003】
図7に示す高圧カットアウト支持アーム91は、高圧カットアウト99を支持するアーム95とアーム95を電柱100に取付けるための装柱金具92とで構成されている。アーム95は、主アーム97と副アーム98とを有し、主アーム97の先端部に副アーム98が直交するように取付けられている。主アーム97及び副アーム98は角パイプからなり、副アーム98に高圧カットアウト99が取付けられている。主アーム97の基端部が装柱金具92に固定され、装柱金具92が電柱100に固定される。
【0004】
装柱金具92は、電柱100の外周面102に当接する、電柱の外周面102と同じ曲率半径を有する当接部を有し、当接部の中央に主アーム取付部が設けられた支持体93と、支持体93を電柱100に固定する固定バンド94とで構成されている。主アーム97は、基端部を主アーム取付部に挿入し、2本のボルトで支持体93に固定されている。
【0005】
以上からなる高圧カットアウト支持アーム91は、強風の影響で回転し、電柱100に対する取付け位置(角度)が変わることがある。高圧カットアウト支持アーム91の位置が変わると、高圧カットアウト99に接続する高圧引下線が引っ張られ、断線し、広範囲の停電事故に至る場合もある。
【0006】
上記高圧カットアウト支持アームに限らず、電柱に取付けられたアームが強風の影響で回転することはこれまでにも指摘されており、その対策案も提案されている。例えば特許文献1には、電柱に取付けられた腕金が強風で回転することを防止すべく、腕金支持部を補強する金具が提案されている。この補強金具は、台形状の切欠き部を有するチャネル型の補強金具本体を、電柱を隔てて腕金の反対側にセットし、腕金と補強金具本体とを長ボルトで固定することで、腕金の電柱への押し付け力を増強し、腕金の回転を止めようとするものである。
【0007】
また電柱に縫いボルトで固定されている腕金を補強する方法として、半円状の当て金を電柱を隔てて腕金の反対側にセットし、腕金と当て金とをボルトとワイヤとで固定する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。また上記高圧カットアウト支持アームのような槍出しアームの回転を防止すべく、アームを支持する連結枠体を上下2本のバンドで電柱に固定し、電柱に穿設した孔に挿入するボルトを一方のバンドに取り付けた腕金支持装置がある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−268653号公報
【特許文献2】特開2008−72853号公報
【特許文献3】特開2013−27264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、高圧カットアウト支持アームの位置のずれ(回転)を防止可能な、柱上変圧器を固定する変圧器バンドと高圧カットアウト支持アームとが一体化された製品も販売されているが、既存の高圧カットアウト支持アームを当該製品に取替えるには、多大なコストがかかる。
【0010】
高圧カットアウト支持アームの位置がずれる問題に対して、特許文献1及び特許文献2に記載の補強金具の技術を応用することが考えられる。しかしながら特許文献1及び特許文献2に記載の補強金具及び当て金の電柱への接触面積は、構造上、電柱の外周の半分以下とせざるを得ず、結果、補強金具及び当て金の電柱への接触面積が小さく、補強力が十分とは言い難い。また、
図7に示す高圧カットアウト支持アームに、特許文献1及び特許文献2に記載の補強金具を転用することは、形態上の点から難しい。
【0011】
特許文献3に記載の腕金支持装置は、電柱に穿設した孔に挿入され回転を防止するボルトを備えるため高圧カットアウト支持アームの位置がずれる問題に対して、有用であるが、この装置を使用するには回転を防止するボルトを挿入するための孔を電柱に穿設する必要があり、既設の腕金支持金具に適用することは容易ではない。
【0012】
本発明の目的は、既存の腕金支持金具を改造することなく既存の腕金支持金具に簡単に取付け使用することができる、腕金の回転を防止するように腕金支持金具を補強する腕金支持金具の補強金具及び腕金支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、腕金を片持ち支持し電柱の外周面に固定される支持体と、前記支持体を前記電柱の外周面に固定する固定バンドとを備える腕金支持金具を補強する腕金支持金具の補強金具であって、電柱に前記固定バンドを介して固定された前記支持体に対して着脱可能に係止するフックと、前記フックに取付けられ、前記電柱の全周を包囲するように電柱に締付けられることで前記腕金支持金具の回転を防止する補強バンドと、を備えることを特徴とする腕金支持金具の補強金具である。
【0014】
本発明の腕金支持金具の補強金具は、電柱に固定された腕金支持金具に対して後から補強バンドを取付けることができるので使い勝手がよい。補強バンドは、支持体に対してフックを介して取付けられるので腕金支持金具を改造する必要がなく、また簡単に取付け使用することができる。また補強バンドは、電柱の全周を包囲するように電柱に取付けられるので、電柱への接触面積も広く大きな締付力が得られ、腕金支持金具の回転を十分に防止することができる。さらに本発明の腕金支持金具の補強金具は、構造が簡単であり、市販の部材を組合せて簡単に又安価に製造することができる。
【0015】
本発明において、前記補強バンドは、前記支持体の下端に接するように取付けられ、電柱に固定された前記腕金支持金具がずり下がることを防止することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、補強バンドは、電柱に固定された腕金支持金具がずり下がることも防止できるので使い勝手がよく腕金支持金具の補強金具として優れる。
【0017】
また本発明において、前記腕金支持金具は、前記支持体が電柱の外周面に沿って湾曲し電柱の外周面に当接する左右に配置された当接部と、前記左右の当接部を連結する連結部とを有し、前記支持体を前記固定バンドを介して電柱に固定したとき、前記連結部が電柱の外周面に接することなく、前記連結部と電柱の外周面との間には隙間Lが生じるように形成されており、前記フックは、フックの一部が前記連結部と電柱の外周面との間の隙間Lに嵌り込むように前記連結部に係止することを特徴とする。
【0018】
また本発明において、前記腕金支持金具は、前記支持体が一対の略L字状の支持片と、互いの一片が平行にかつ間隔を設けた状態で配置された前記一対の支持片を連結する上下に配置された上連結板及び下連結板と、を有し、前記一対の支持片の他片が、前記当接部を形成し、前記上連結板及び下連結板が前記連結部を形成し、前記フックは、ヘアピン状又はコ字状の係止部を有し、前記フックの係止部が前記下連結板に引掛けられ係止することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、電柱の外周面との間に隙間Lが形成される支持体の下連結板にフックを引掛け係止するので、腕金支持金具を改造する必要もなく、電柱に固定された状態の腕金支持金具に対しても簡単かつ確実に本発明の腕金支持金具の補強金具を取付けることができる。
【0020】
また本発明において、前記腕金支持金具は、さらに前記一対の支持片の前記一片の間に取り付けられ、前記腕金が嵌り込む腕金取付座を形成する仕切板を備え、前記腕金が、基端部を前記腕金取付座に嵌め入れ、ボルト止めされていることを特徴とする。
【0021】
また本発明において、前記腕金支持金具が、高圧カットアウト支持アーム用の腕金支持金具であることを特徴とする。
【0022】
本発明の腕金支持金具の補強金具は、高圧カットアウトを支持する腕金の腕金支持金具の回転防止に好適に使用するができる。
【0023】
また本発明は、腕金を片持ち支持し電柱の外周面に固定される支持体、及び前記支持体と連結し前記支持体を前記電柱の外周面に固定する固定バンドを備える腕金支持金具と、前記腕金支持金具の補強金具と、を備えることを特徴とする腕金支持装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、腕金の回転を防止するように腕金支持金具を補強することができる。このとき既存の腕金支持金具を改造することなく既存の腕金支持金具に対して、安全にまた簡単に取付け使用することができる。また本発明の腕金支持装置を使用すれば、腕金の回転を防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態である腕金支持金具の補強金具1の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態である腕金支持金具の補強金具1を腕金支持金具51に装着した状態を示す図である。
【
図3】電柱100に固定された腕金支持金具51に補強金具1を取付けた状態を示す側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態である腕金支持金具の補強金具1で補強される腕金支持金具51の正面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態である腕金支持金具の補強金具1で補強される腕金支持金具51の平面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態である腕金支持装置の補強金具2の斜視図である。
【
図7】従来の電柱100に装柱された高圧カットアウト支持アーム91の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態である腕金支持金具の補強金具1の斜視図、
図2は、腕金支持金具の補強金具1を腕金支持金具51に装着した状態を示す図、
図3は、電柱100に固定された腕金支持金具51に腕金支持金具の補強金具1を取付けた状態を示す側面図である。
図4及び
図5は、腕金支持金具の補強金具1で補強される腕金支持金具51の正面図及び平面図である。
【0027】
腕金支持金具の補強金具1(以下、単に補強金具1と記す)は、電柱100に固定された腕金支持金具51が強風等で回転しないように腕金支持金具51を補強するためのものである。補強対象となる腕金支持金具51の構成を説明した後に、補強金具1の構成を説明する。腕金支持金具51は、
図7に示す装柱金具92と同一である。
【0028】
腕金支持金具51は、高圧カットアウト支持アームのような腕金52を片持ち支持し電柱の外周面102に固定するためのものであり、腕金52を片持ち支持する支持体53と、支持体53を電柱の外周面102に固定する固定バンド77とを備える。
【0029】
支持体53は、左右一対の支持片57a、57bと該支持片57a、57bを連結する連結板65、69とを有する。左右一対の支持片57a、57bは、左右対称の形状からなり、平面視において略L字状である。支持片の一片59a、59bは、側面視において台形状を有する平板であり、他片61a、61bは、電柱の外周面102にぴったりと接触するように平面視において湾曲した曲板である。2つの支持片57a、57bは、互いの一片59a、59bが平行となるようにかつ間隔を隔て配置され、この2つの支持片57a、57bを連結板65、69が連結する。2つの支持片の一片59a、59bの間隔は、腕金52の幅と同じである。
【0030】
連結板65、69は、2つの支持片の一片59a、59bの上部を連結する上連結板65、2つの支持片の一片59a、59bの下部を連結する下連結板69からなる。上連結板65及び下連結板69とも矩形形状の平板である。上連結板65は、2つの支持片57a、57bを真上から見た状態(平面視)で、支持片の一片59a、59bの基端(曲板側)から僅かに先端部側に寄った位置に取付けられている。下連結板69も平面視において上連結板65と同じ位置に取付けられている。このため固定バンド77を介して支持体53を電柱100に取付けると、平面視において、支持片の他片61a、61bは、電柱100に隙間なく接触するが、上連結板65及び下連結板69と電柱の外周面102との間には隙間Lが形成される。
【0031】
さらに支持体53には、角パイプ形状の腕金52を取付けるための腕金取付座70が中央部に設けられている。腕金取付座70は、上連結板65の下辺67に接し、支持片の一片59a、59bの先端部側に伸びる上仕切板73と、上仕切板73と腕金52の高さ分を隔てて取付けられた下仕切板75とで、支持片の一片59a、59bの間を仕切る形で形成されている。上仕切板73及び下仕切板75は、支持片の一片59a、59bに溶接付けされている。
【0032】
上仕切板73及び下仕切板75で仕切られた空間は、正面視において正方形であり、ここの腕金取付座70に腕金52が差込まれ固定される。上仕切板73及び下仕切板75で仕切られた空間を形成する支持片の一片59a、59bには、腕金52をボルト止めするためのボルト挿通孔(図示省略)が設けられている。腕金52にもボルト挿通孔が設けられており、腕金52を腕金取付座70に差込み、支持片の一片59a、59bのボルト挿通孔及びボルト挿通孔にボルト71を差込み、ナット72で固定することで、腕金52を支持体53に固定することができる。
【0033】
固定バンド77は、バンド径を可変可能な自在バンドであり、左右一対の半円状の帯状のバンド本体79a、79bと該バンド本体79a、79bを締付ける締付けボルト85からなる。それぞれのバンド本体79a、79bは、一端部が折り曲げられ締付けボルト85を取り付けるボルト取付部81a、81bが形成されている。ボルト取付部81a、81bには、締付けボルト85を挿通させるための挿通孔(図示省略)が設けられている。
【0034】
またそれぞれのバンド本体79a、79bの他端部には、支持片57a、57bに係止するフック83a、83bが設けられている。支持片57a、57bには、該フック83a、83bが係止する係止孔63a、63bが設けられており、バンド本体79a、79bはフック83a、83bを介して支持片57a、57bに連結される。フック83a、83bは、係止孔63a、63bに嵌り込み係止するが、固定されていないためバンド本体79a、79bは、フック83a、83bを起点として回動することができる。
【0035】
以上からなる腕金支持金具51を使用する際は、バンド本体79a、79bを、電柱100を包囲するように取付け、締付ボルト85で一対のバンド本体79a、79bを締付け、支持体53を電柱100に固定する。このとき、支持片の他片61a、61bは、電柱100に隙間なく接触するが、上連結板65及び下連結板69と電柱の外周面102との間には、隙間Lがある。
【0036】
補強金具1は、下連結板69と電柱の外周面102との間に形成される隙間Lを利用して腕金支持金具51に取付けられ、腕金支持金具51が回転しないように補強する金具であり、下連結板69に係止するフック11と、フック11に取付けられ腕金支持金具51の回転を防止する補強バンド25とを備える。
【0037】
フック11は、金属製の板材からなり、上部がヘアピン状に折り曲げられ係止部13が形成されている。下部は、補強バンド25との連結部19となっている。フック11を構成する板材の厚さは、下連結板69と電柱の外周面102との間に形成される隙間Lと略同一であり、係止部の折返し部15が前記隙間Lにほぼ隙間なく嵌り込む。フック11を構成する板材の幅は、下連結板69の幅と略同一であり、係止部の折返し部15が前記隙間Lにほぼ隙間なく嵌り込む。このため電柱100に取付けられた支持体53にフック11を引掛けると、フック11は、ぐらつかず支持体53とフック11とが一体化される。
【0038】
係止部の折返し部15の長さは、特に限定されず、下連結板69にしっかりと係止することができる長さがあればよい。不必要に長くすると、電柱100に取り付けた支持体53にフック11を係止するとき、フック11の係止部13が下仕切板75にぶつかり嵌め入れることができないので、不必要に長くすべきではない。
【0039】
フック11の中央部には、側面視において折返し部15側に僅かに屈曲した屈曲部17が設けられ、この屈曲部17の下側が連結部19となっている。連結部19は、折返し部15のほぼ真下に位置する。屈曲部17を設けることで連結部19が電柱100側に近づき、結果、連結部19に取付ける補強バンド25も電柱100側に近づき、補強バンド25を電柱100にしっかりと固定することができる。
【0040】
連結部19は、中央部に3個のボルト挿通孔21を有する。このボルト挿通孔21のいずれか1個を使用して、フック11と補強バンド25とが固定される。補強バンド25の連結部19に対する取付け位置は、補強バンド25のバンド本体上辺30と支持体の下端55とが接触するか、近接する位置が好ましい。補強バンドのバンド本体上辺30と支持体の下端55とが接触するように補強バンド25を固定することで、電柱100に取り付けたとき支持体53のずり下がりを防止することができる。
【0041】
フックの屈曲部17、連結部19の構造等は、上記実施形態に限定されるものではなく、フック11に対して補強バンド25をしっかり固定することができ、支持体53にフック11を取付けた状態で補強バンド25を電柱100に隙間なく固定することができればよく、屈曲部はなくてもよい。
【0042】
補強バンド25は、公知の自在バンドである。この補強バンド25は、バンド本体27に複数の係止孔29を有し、バンド本体27の一端に取付けられたフックボルト31の先端部33をいずれかの係止孔29に引掛け、フックボルト31に取り付けられたナット35を締め込むことでバンドを縮径させることができる。
【0043】
補強バンド25は、本実施形態に示すものに限定されず、公知の自在バンドを使用することができる。ただし、自在バンドの中には、予め対象物に挿通させておくことが必要なタイプのものもあるが、ここでは、そのようなタイプの自在バンドは好ましくない。電柱100に後から取り付け使用することができるタイプの自在バンドが好ましい。
【0044】
補強金具1の使用方法を説明する。腕金支持金具51が電柱100に取付けられていない状態から腕金支持金具51及び補強金具1を電柱100に取付けるときは、支持体53の下連結板69に補強金具1のフック11を引掛け、支持体53を電柱100に宛がい、固定バンド77及び補強バンド25を締付け固定する。その後、腕金52を腕金取付座70に差込みボルト止めする。
【0045】
腕金支持金具51が既に電柱100の固定されているときは、補強金具1のフック11を下連結板69の上方から電柱100との隙間Lに差し込み、補強バンド25で固定する。
【0046】
以上のように本腕金支持金具の補強金具1は、既存の腕金支持金具51を何ら改良することなく、電柱100に取付ける前の腕金支持金具51はもちろん、電柱100に取付けられた腕金支持金具51に対しても後から取付け補強することができる。また取付けも安全かつ簡単に行うことができ使い勝手がよい。さらに本腕金支持金具の補強金具1は、電柱100の全周を包囲する補強バンド25を電柱100に取付けることで腕金支持金具51を補強するので、電柱100に対する締付力が大きく、腕金支持金具51の回転を防止又は抑制することができる。さらに本腕金支持金具の補強金具1は、構造が簡単で、市販されている部材をほぼそのまま利用することができるので容易にかつ安価に製作することができる。
【0047】
図6に本発明の第2実施形態の補強金具2を示す。
図1から
図5に示す第1実施形態の補強金具1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
補強金具2は、補強金具1と同様にフック11と補強バンド26とで構成され、使用方法、作用効果も同じである。補強金具2と補強金具1との違いは、補強バンド26の形態にあり、フック11は、補強金具1のフック11と同様に考えることができる。
【0049】
補強バンド26は、支持体53を固定する固定バンド77と同様に、左右一対の半円状の帯状のバンド本体28a、28bと該バンド本体28a、28bを締付ける締付ボルト32からなるバンド径を可変可能な自在バンドである。それぞれのバンド本体28a、28bは、一端部が折り曲げられ締付ボルト32を取り付けるボルト取付部36a、36bが形成されている。ボルト取付部36a、36bには、締付ボルト32を挿通させるための挿通孔38が設けられている。バンド本体28a、28bは、連結ピン37a、37bを介して、フック11に回動自在に連結される。
【0050】
本発明に係る腕金支持金具の補強金具は、高圧カットアーム支持金具を含め、支持体と電柱の外周面との間にフックを係止することのできる隙間が形成される腕金支持金具を補強する補強金具として好適に使用することができる。なお、本発明に係る腕金支持金具の補強金具は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。例えば、上記実施形態では、フックの係止部がヘアピン状であったが、フックの係止部は、転倒コ字状であってもよい。また補強バンドは、特定の形状、構造のものに限定されるものではなく、また実質的にバンドとして機能するものであればよく、名称に拘泥されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
1 補強金具
2 補強金具
11 フック
13 係止部
15 係止部の折返し部
25 補強バンド
26 補強バンド
27 バンド本体
28a、28b バンド本体
30 バンド本体上辺
51 腕金支持金具
52 腕金
53 支持体
55 支持体の下端
57a、57b 支持片
59a、59b 支持片の一片
61a、61b 支持片の他片
65 上連結板
69 下連結板
70 腕金取付座
73 上仕切板
75 下仕切板
77 固定バンド
100 電柱
102 電柱の外周面