(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
掘削手段により、地表面から地盤内に形成されて電柱の下端部を埋設するための建柱穴と、該建柱穴の下面中央から前記建柱穴の下方に形成されて前記建柱穴よりも小径の接地極埋設用の接地穴と、を同時に掘削する掘削工程と、
前記接地穴内に前記接地極を配設する接地極配設工程と、
前記建柱穴内に前記電柱の下端部を埋設する建柱工程と、
を有することを特徴とする電柱の設置工法。
前記接地極配設工程は、前記接地穴内に前記接地極を配置する工程と、前記接地極を配置した接地穴内に接地抵抗低減剤を充填する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電柱の設置工法。
前記掘削手段は、回転機械によって回転駆動される第一回転軸、及び該第一回転軸廻りに螺旋状に形成された第一掘削刃を有して、前記建柱穴を掘削する建柱穴掘削手段と、
該建柱穴掘削手段の先端に前記第一回転軸と同軸状、且つ相対回転不能に取り付けられて前記接地穴を掘削する接地穴掘削手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電柱の設置工法。
前記接地穴掘削手段は、前記第一回転軸と一体的に回転する第二回転軸と、該第二回転軸廻りに螺旋状に形成された第二掘削刃と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の電柱の設置工法。
前記接地穴掘削手段は、前記第一回転軸の先端に着脱自在に結合される被結合部を備えた第二回転軸を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電柱の設置工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接地極を設置する場合は、規定値以下の接地抵抗値を確保することが義務づけられている。接地極の設置後に所定の接地抵抗値が得られていないことが判明した場合は、接地極を追加して規定の接地抵抗値を確保できるようにする必要がある。接地極を追加する工事においては、追加の接地棒(接地極)を地表面から地盤内に打ち込むか、又は接地極埋設用の穴を新たに掘削して追加の接地極を地盤内に埋設する。そして、先に施工された接地極と追加の接地極とを並列に接続して、合成の接地抵抗値が規定値以下となるようにする。
接地極を追加する工事は、人件費及び工事費を増大させる原因となるため、可能な限り発生しないようにすることが望ましい。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電柱を建柱する建柱穴と、接地極を埋設する接地穴を効率的に形成して電柱を設置する作業性を大幅に向上し、且つ接地抵抗値の効果的な低減を図る新規な電柱の設置工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、掘削手段により、地表面から地盤内に形成されて電柱の下端部を埋設するための建柱穴と、該建柱穴の下面中央から前記建柱穴の下方に形成されて前記建柱穴よりも小径の接地極埋設用の接地穴と、を同時に掘削する掘削工程と、前記接地穴内に前記接地極を配設する接地極配設工程と、前記建柱穴内に前記電柱の下端部を埋設する建柱工程と、を有することを特徴とする。
接地極は、その先端を深く埋設するほど接地抵抗値が減少し、電柱に蓄積する電荷を効率的に大地に放電することができる。請求項1の発明では、接地穴を建柱穴よりも下方に形成して接地穴内に接地極を配設することで、接地抵抗値を効果的に低減する。
請求項2の発明は、前記接地極配設工程は、前記接地穴内に前記接地極を配置する工程と、前記接地極を配置した接地穴内に接地抵抗低減剤を充填する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項2の発明では、接地穴内に接地抵抗低減剤を充填するので、更に接地抵抗値を低減できる。また、接地穴を形成することで、充分な量の接地抵抗低減剤を充填でき、接地抵抗低減剤による接地抵抗の低減効果を最大限生かすことかできる。
【0006】
請求項3の発明は、前記掘削手段は、回転機械によって回転駆動される第一回転軸、及び該第一回転軸廻りに螺旋状に形成された第一掘削刃を有して、前記建柱穴を掘削する建柱穴掘削手段と、該建柱穴掘削手段の先端に前記第一回転軸と同軸状、且つ相対回転不能に取り付けられて前記接地穴を掘削する接地穴掘削手段と、を備えていることを特徴とする。
請求項3の発明では、従来建柱穴の掘削に用いられている建柱穴掘削手段の先端に接地穴掘削手段を同軸状に固定するので、建柱に使用される従来の工事用機械を本発明の工法においても有効活用できる。
請求項4の発明は、前記接地穴掘削手段は、前記第一回転軸と一体的に回転する第二回転軸と、該第二回転軸廻りに螺旋状に形成された第二掘削刃と、を備えていることを特徴とする。
請求項4の接地穴掘削手段によれば、確実に接地穴を掘削できる。
請求項5の発明は、前記接地穴掘削手段は、前記第一回転軸の先端に着脱自在に結合される被結合部を備えた第二回転軸を備えていることを特徴とする。
請求項5の発明では、接地穴掘削手段が破損した場合には容易に交換できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建柱穴と接地穴とを同時に掘削するので、電柱を設置する作業性を大幅に向上させることができる。また、接地穴を建柱穴の下方に形成するので、接地極を深く埋設することができ、接地抵抗値を効果的に低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、従来の工法にて得られる接地抵抗値と、本発明の工法にて得られる接地抵抗値について説明する。
図1(a)は従来の工法にて埋設された接地極の概要を示す図であり、(b)は本発明の工法にて埋設された接地極の概要を示す図である。
【0010】
従来の工法は
図1(a)に示すように、電柱107の下端部を埋設するために地表面101から建柱穴103を掘削し、建柱穴103内に接地極105(接地棒)を配置して電柱107の下端部と共に埋設するものであった。このため、接地極105の埋設深度(接地極先端の地表面からの深さ)は掘削された建柱穴103の深さと同一となる。この図では、建柱穴103の深さを2.5mとしている。また、接地極105は単体での長さが1.5mの連結式接地棒と仮定する。なお、図中符号109は、架空地線(不図示)からの電荷を接地極105に導くためのリード線である。
【0011】
図2は、接地棒の埋設深さと接地抵抗値との関係を示したグラフ図である。なお、本図は、電気共同研究第63巻第1P28より抜粋したものである。このグラフでは土の抵抗率を100Ω・mとしているが、以下の説明では大地の抵抗率を300Ω・m(土の抵抗率の3倍)として計算する。図示するように、接地抵抗は接地棒の埋設深度が深いほど減少し、また接地棒の直径が太いほど(表面積が大きいほど)減少する。
図1(a)にて埋設された接地極105の直径が10mmである場合、1つの接地極105にて得られる接地抵抗値は、
図2から「45Ω×3=135Ω」である。ここで、54Ωの接地抵抗値を確保しなければならない場合、接地極105単独では135Ωの接地抵抗値しか得られていないため、新たな接地極111、111を追加する工事を行って接地抵抗値を低減させる必要がある。
【0012】
追加の接地極111、111として、直径10mmの接地棒(単体での長さが1.5mの連結式接地棒を長手方向に2本連結して全長を3mとしたもの)を2箇所に打ち込んで、リード線113を介して先に設置した接地極105と並列に接続する場合を考える。
追加の接地極111、111の埋設深度が3.75mである場合、追加の接地極111単独で得られる接地抵抗値は、夫々「35Ω×3=105Ω」である。従って、追加の接地極111、111による合成抵抗値は、「1.3×105×105/(105+105)=68Ω」である。先に施工した接地極105と追加の接地極111、111によって得られる合成の接地抵抗値は、「1.2×135×68/(135+68)=54Ω」となる。なお、「1.3」や「1.2」という数値は、経験的に得られる結合係数である。
このように、従来の工法では接地極105先端の深さが建柱穴103の深さと同一となるため、建柱時に埋設した接地極105のみで確保できる接地抵抗値には限界がある。結果として、接地極111、111を追加する工事が必要となりやすい。
【0013】
一方、
図1(b)に示す本発明の工法では、建柱穴121の下面121aから建柱穴の下方に接地極埋設用の接地穴123を形成して、接地穴123内に接地極125を埋設する。例えば、深さ2.5mの建柱穴121の下面121aから下方に深さ2.0mの接地穴123を掘削する場合、接地極125の埋設深度(接地極先端の深さ)は4.5mとなる。仮に接地穴123内に接地極125として直径50mmの接地棒(長さ1.5m)を埋設する場合、
図2から接地抵抗値は「18Ω×3=54Ω」となる。
このように本発明の工法においては、建柱穴121の深さに依らずに接地極125の埋設深度を決定できるため、所望の接地抵抗値を確保しやすい。また、接地極125が建柱穴121の下方に位置するため、接地極125単独であっても接地抵抗値を効果的に低減させることができる。従って、従来必要であった接地極の追加工事が不要となり、追加工事に伴う工事費や人件費等を大幅に削減できる。
【0014】
以下、本発明の方法について具体的に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0015】
本発明の一実施形態に係る電柱の設置工法は、地表面101から地盤内に形成されて電柱の筒状の下端部を埋設するための建柱穴121と、建柱穴121の下面中央から建柱穴121の下方に形成されて、建柱穴121よりも小径の接地極125埋設用の接地穴123とを穴掘建柱車に設けた掘削手段により、同時に掘削する掘削工程を有する点に特徴がある。
【0016】
まず、穴掘建柱車について
図3に基づいて説明する。
図3は、穴掘建柱車の概略構成と、建柱穴及び接地穴の掘削工程を示す側面図である。
穴掘建柱車10は、車体11と、車体11上に水平旋回自在に取り付けられた旋回台12と、旋回台12の上部に設けられて起伏、及び伸縮自在なブーム13と、を備えている。
ブーム13は、旋回台12側から基端ブーム13a、中間ブーム13b、先端ブーム13cを備え、3段のブームは入れ子式に伸縮自在に構成されている。ブーム13の先端には、掘削手段30を支持するオーガ支持部材14が配置されている。オーガ支持部材14には、オーガ減速機15(回転機械)が取り付けられており、オーガ支持部材14は、オーガ減速機15を介して掘削手段30を支持する。オーガ減速機15は、駆動手段としての油圧モータ(不図示)の回転を減速して掘削手段30に伝達して、掘削手段30を回転させる。
【0017】
図4は、掘削手段の分解斜視図である。掘削手段30は、建柱穴掘削手段31と接地穴掘削手段51とを備える。
建柱穴掘削手段31は建柱穴121を掘削する手段であり、オーガ減速機15(回転機械:
図3参照)によって支持されると共にオーガ減速機15によって回転駆動される第一回転軸33(33a、33b)と、第一回転軸33(33a)廻りに螺旋状に形成された第一掘削刃35と、第一回転軸33の先端寄りの側面(第一回転軸33bの側面)から径方向に突出形成されたオーガヘッド37と、第一回転軸33(33b)の先端に配置されて接地穴掘削手段51を着脱自在に結合する結合部39と、を備える。
建柱穴掘削手段31は、埋設する電柱の下端部のサイズに見合った建柱穴を掘削しうる長さ及び直径を有する。例えば、設置する電柱が直径約0.3m、地中に埋設される電柱下端部の長さが2.5mである場合は、直径約0.5m、全長2.5m程度の建柱穴を掘削可能となるような軸方向長、及び径方向長を有する建柱穴掘削手段31を使用する。
結合部39は接地穴掘削手段51を相対回転不能に結合して一体化させる手段であり、第一回転軸33の先端面に開口を有する共に軸方向後端に向かって伸びる角穴39aと、第一回転軸33をその軸方向と直交する方向に貫通して形成された貫通孔39bを備えている。貫通孔39bは第一回転軸33の角穴39aに対応する軸方向位置に形成されており、貫通孔39bは第一回転軸33の外部と角穴39a内とを連通させる。
【0018】
接地穴掘削手段51は接地穴123を掘削する手段であり、建柱穴掘削手段31の先端に第一回転軸33と同軸状、且つ相対回転不能に取り付けられる第二回転軸53と、第二回転軸53廻りに螺旋状に形成された第二掘削刃55と、第二回転軸53の先端に設けられた切り込み用のドリル部57と、第二回転軸53の後端に配置されて結合部39に着脱自在に結合される被結合部59と、を備えている。第一回転軸33に結合した第二回転軸53は第一回転軸33と一体的に回転する。
接地穴掘削手段51は、埋設する接地極のサイズに見合った接地穴を掘削しうる長さ及び直径を有する。例えば、埋設する接地極が
図1(b)に示すような全長1.5m、直径50mmの長尺棒状の接地棒(接地極125)である場合は、全長約2m、直径約54mm程度の接地穴を掘削可能となるような軸方向長、及び径方向長を有する接地穴掘削手段51を使用する。
【0019】
被結合部59は、第二回転軸53の後端から軸方向に突出形成される共に角穴39aに嵌合する角柱部59aと、軸方向と直交する方向に角柱部59aを貫通して形成された貫通孔59bとを有している。建柱穴掘削手段31の角穴39aに接地穴掘削手段51の角柱部59aを嵌合させるとともに、2つの貫通孔39b、59bを連通させてボルトBを挿通し、ナットNにて締結することで、接地穴掘削手段51を建柱穴掘削手段31に対して相対回転不能に(一体的に回転するように)固定することができる。このように、接地穴掘削手段51は第一回転軸33の先端に着脱自在に結合するので、第一回転軸33には埋設する接地極のサイズに応じた接地穴掘削手段51を取り付けることができる。また、接地穴掘削手段51が破損した場合には、容易に交換できる。
【0020】
掘削手段30により建柱穴及び接地穴を掘削する場合は、
図3に示す穴掘建柱車10の油圧モータ(不図示)を回転駆動し、オーガ減速機15によって掘削手段30の第一回転軸33と第二回転軸53とを一体的に回転させる。掘削手段30を、その先端側に配置された接地穴掘削手段51から地表面101に突き刺して徐々に地盤を掘削していくと、接地穴掘削手段51により接地穴123を掘削すると同時に、建柱穴掘削手段31により建柱穴121を掘削することができる。
本実施形態では、オーガ減速機15により建柱穴掘削手段31と接地穴掘削手段51とを第一回転軸33及び第二回転軸53を中心として回転させて建柱穴121と接地穴123を掘削するので、建柱穴121と接地穴123とは同軸状(同心状)に形成されるとともに、両穴は互いに連通する。また、小径の接地穴123の後端(上方)に、接地穴123よりも大径の建柱穴121を形成するので、建柱穴121と接地穴123とは側断面視階段状になる。
【0021】
なお、
図4に示すように、第一回転軸33aは先端に結合部39を備え、第一回転軸33bは後端に被結合部59を備えており、オーガヘッド37は第一回転軸33aに対して着脱自在に構成されている。このため、直接、第一回転軸33aの結合部39に第二回転軸53の被結合部59を結合させても構わない。
本例では、確実に接地穴を掘削できる接地穴掘削手段として、螺旋状の第二掘削刃55を備えた接地穴掘削手段51を示した。もちろん、所定のサイズの接地穴を掘削できる手段であれば、接地穴掘削手段は上記以外の形状とすることができる。
【0022】
ところで、
図1(a)に示す従来工法において建柱穴103を掘削する掘削手段としての穴掘建柱車10(
図3参照)のアースオーガは、
図4に示す建柱穴掘削手段31の先端にビットアダプタ131とパイロットビット133を固定したものである。なお、ビットアダプタ131は、軸方向後端に被結合部59を備え、第一回転軸33aに対して着脱自在に構成されている。本発明に用いる接地穴掘削手段51は、従来、建柱穴103の掘削に用いられているアースオーガの一部を利用するので、既存の工事用機械を有効活用できる。
【0023】
本発明の実施形態による電柱の設置工法について
図3、
図5、及び
図6に基づいて説明する。
図5(a)、(b)は、接地極の配設工程を示す側面図である。
図6は、電柱の建柱工程を示す側面図である。
【0024】
(工程1:掘削工程)
図4に示すように、予め建柱穴掘削手段31からビットアダプタ131とパイロットビット133を取り外して、オーガヘッド37の先端に接地穴掘削手段51を固定した掘削手段30を準備しておく。
掘削工程では、
図3に示すように、掘削手段30により電柱の筒状の下端部を埋設するための建柱穴121を地表面101から地盤内に形成し、建柱穴121よりも小径の接地極埋設用の接地穴123を建柱穴121の下面中央から建柱穴121の下方に掘削形成する。即ち、穴掘建柱車10の油圧モータ(不図示)を回転駆動し、オーガ減速機15により掘削手段30の第一回転軸33と第二回転軸53とを一体的に回転させる。掘削手段30を、その先端側に配置された接地穴掘削手段51から地表面に突き刺して徐々に掘り進めることで、建柱穴掘削手段31により建柱穴121を、接地穴掘削手段51により接地穴123を、同時に掘削する。
【0025】
(工程2:接地極配設工程)
接地極配設工程では、
図5に示すように、掘削工程にて掘削された接地穴123内に接地極125を配設する。この工程では、まず後端にリード線109が接続された接地極125を接地穴123に配置(挿入)する(
図5(a))。続いて接地極125を配置した接地穴123内に接地抵抗低減剤127を充填する(
図5(b))。なお、接地抵抗低減剤を充填することは必須ではないが、接地抵抗低減剤を充填した方が接地抵抗値を効果的に低減でき、接地極を追加する工事が減少する。
【0026】
(工程3:建柱工程)
建柱工程では、電柱107の下端部を建柱穴121内に埋設する。
図6に示すように、電柱107の上端側に巻き付けたロープ19aを、フック18に掛け、ウィンチ16によってワイヤ17を巻き上げたり、ブーム13を作動させるなどして、電柱107を起立した姿勢で吊り上げて移動させる。作業者Mが、電柱107の下端側に巻き付けたロープ19bを適宜引き寄せる等のガイドを行い、電柱107の下端側を建柱穴121内に配置する(
図1(b)参照)。電柱107が垂直に立っているか否かを確認しながら、電柱107と建柱穴121との隙間に土を入れて固めて、電柱107の下端部を建柱穴121内に埋設する。
電柱107を建柱した後、接地極125のリード線109を架空地線(接地線:不図示)と接続する。
【0027】
以上の説明においては、接地穴掘削手段と接地極とを別個の構成としたが、接地穴掘削手段と接地極とを兼用し、接地極を用いて接地穴を掘削してもよい。この場合、掘削工程において、建柱穴掘削手段31により建柱穴を掘削すると同時に、接地穴掘削手段51としての接地極により接地穴を掘削する。接地極配設工程においては、接地極としての接地穴掘削手段を接地穴内に残置し、必要に応じて接地穴内(或いは接地極周辺の地盤内)に接地抵抗低減剤を注入した後、建柱工程を実施すれば良い。
【0028】
本発明の実施形態による効果について述べる。
(効果1)
従来のように建柱時に掘削する建柱穴内に接地極を埋設する場合(
図1(a))に比べて、本実施形態では接地極の埋設深度を深くできるので(
図1(b))、接地抵抗値を効果的に低減できる。本実施形態によれば規定の接地抵抗値を確保しやすくなるため、接地極を追加する工事が減少し、人件費及び工事費の削減が図れる。
【0029】
(効果2)
仮にボーリング工法により建柱穴と接地穴を多段状に掘削する場合、接地穴掘削用のオーガスクリュを用いて地盤面から接地穴を掘削する工程と、接地穴掘削用のオーガスクリュを建柱穴掘削用のオーガスクリュに交換する工程と、建柱穴掘削用のオーガスクリュを用いて接地穴の内径を広げるように地盤面から建柱穴を掘削する工程が必要であり、作業工程が増大するという問題がある。本実施形態の掘削手段は接地穴掘削手段と建柱穴掘削手段の双方を備えており、接地穴と建柱穴とを多段状に同時に掘削するので作業工程の減少、及び作業時間の短縮が図れ、作業性が大幅に向上する。
また本発明の実施形態にて用いる掘削手段は、従来建柱穴を掘削するために一般的に用いられているオーガスクリュの一部を活用するものであるので(
図4参照)、工事車両等、既存の工事用機械を有効活用できる。
【0030】
(効果3)
建柱する電柱の大きさにもよるが、建柱穴は標準的には直径50cm程度、深さは2.5m程度である。仮に、建柱穴の下端から地盤内に連結式接地棒を打ち込むには、垂直に打ち込めない、接地棒が曲がりやすくなる等の各種の困難を伴う。さらに、地盤が岩盤等、硬質である場合は接地棒の打ち込み自体ができない場合もあり、いずれにしても接地棒を地中深くに埋設することは困難である。
本発明では、接地穴掘削手段により、接地極埋設用の接地穴を掘削するので、接地極の設置作業時に接地極が折れ曲がる等の不具合が発生する虞はない。
【0031】
(効果4)
従来の工法にて接地極(接地棒)を地盤内に直接打ち込む場合に、接地抵抗低減剤(液体)を地盤内に注入して接地抵抗を低減させることもできる。しかし、大地と接地棒との隙間が殆どなく、接地抵抗低減剤を十分に充填することが困難なため、所望の接地抵抗低減効果を得られない虞がある。本発明では、接地穴を掘削して接地棒を埋設することから、接地棒と接地穴の側面との間に充分な量の接地抵抗低減剤を充填でき、接地抵抗低減剤による接地抵抗低減効果を最大限生かすことかできる。