(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記置換ポリスチレンが、ニトロ置換ポリスチレン、塩素置換ポリスチレン、臭素置換ポリスチレン、ニトリル置換ポリスチレン、メチルケトン置換ポリスチレン、エチルケトン置換ポリスチレン、プロピルケトン置換ポリスチレン、ブチルケトン置換ポリスチレン、メチルアセチルエステル置換ポリスチレン、エチルアセチルエステル置換ポリスチレン、プロピルアセチルエステル置換ポリスチレン、ブチルアセチルエステル置換ポリスチレン、ペンチルアセチルエステル置換ポリスチレン、ヘキシルアセチルエステル置換ポリスチレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の吸収性物品。
前記伸張性積層体が、37℃で約0.16N/(g/m)以上の荷重除去力と、22℃にて15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約10%以上の回復と、を示す、緩回復型伸張性積層体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記緩回復型伸張性積層体が、37℃で15秒後に、当初ひずみに対してあるパーセントの回復を示し、22℃で15秒後の前記当初ひずみに対する回復のパーセントと、37℃で15秒後の前記当初ひずみに対する回復のパーセントとの差が、約5%を超える、請求項4に記載の吸収性物品。
前記変性樹脂が、水素添加されていないC5炭化水素樹脂又はC9炭化水素樹脂、部分的及び完全に水素添加されたC5炭化水素樹脂又はC9炭化水素樹脂;脂環式樹脂;テルペン樹脂;ポリスチレン及びスチレンオリゴマー;ポリ(t−ブチルスチレン)又はそのオリゴマー;ロジン及びロジン誘導体;クマロンインデン;ポリシクロペンタジエン及びそのオリゴマー;ポリメチルスチレン又はそのオリゴマー;フェノール樹脂;インデンポリマー、オリゴマー及びコポリマー;アクリレート及びメタクリレートオリゴマー、ポリマー、又はコポリマー;それらの誘導体;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性物品が、おむつ、トレーニングパンツ、プルオン衣料、再締結可能なパンツ、成人用失禁製品、又は女性用ケア製品からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性物品」又は「物品」は、液体を吸収及び/又は収容する着用可能な用具を指し、より具体的には、着用者の身体に当てて又はそれに近接して配置されて、身体からの様々な排出物を吸収及び収容する用具を指す。好適な例としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオン衣料、成人用失禁製品及び生理用ナプキン等の女性用ケア製品が挙げられる。更に、「吸収性物品」は、(ある特定の構成要素を、再生利用、再利用、又は堆肥化することができるが)10回以下の使用後に廃棄されることが意図され、洗濯されるか、又はさもなければ復元されることが意図されない「使い捨て吸収性物品」を含む。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「伸張性積層体」は、一般に、ポリマーフィルム、不織布、織布又はスクリム等の少なくとも1つの材料に取り付けられたエラストマーを指す。エラストマーは、当業者に既知の数多くの結合方法のいずれかによってその材料に取り付けられてもよく、接着剤結合、熱接着、圧力接着、超音波結合等、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「積層体」は、2つ以上の層を含む材料を指す。その用語は、伸張性積層体及び非伸張性積層体を包含する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「おむつ」とは、一般に乳幼児及び失禁者により胴体下部の周囲で着用される吸収性物品を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「基材」は、弾性部材に積層されて伸張性積層体を形成する材料を指す。好適な基材として、不織布ウェブ類、織布ウェブ類、編み布地類、フィルム類、フィルムラミネート類、孔あきフィルム類、不織布ラミネート類、スポンジ類、発泡体類、スクリム類、及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。好適な基材は、天然材料、合成材料、又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでもよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、「長手方向」という用語は、概して、物品の長手方向軸と平行する方向を意味し、長手方向の45度以内の方向を含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、物品又はその構成要素の「長さ」という用語は、概して、最大線形寸法の大きさ/距離、あるいは長手方向軸又は物品若しくはその部分の大きさ/距離を指す。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「横方向」又は「横断方向」は、長手方向に概ね直交し、横方向軸に平行な方向を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、物品又はその構成要素の「幅」という用語は、物品又はその構成要素の長手方向に対して直角の寸法、例えば、物品又はその構成要素の長さに対して直角の寸法の大きさ/距離を指し、物品又は構成要素の横軸に平行な寸法の距離/大きさを指し得る。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「取り付けられた」は、ある要素を他方の要素に直接固着することによって、その要素が別の要素に直接固定された構成を包含する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「結合された」又は「連結された」という用語は、第2の要素に直接付着させることによって第1の要素が第2の要素に直接的に固定される構成と、第1の要素を中間部材(複数を含む)に付着させることによって第1の要素が第2の要素に間接的に固定され、次いで、その中間部材(複数を含む)が第2の要素に付着する構成とを包含する。「結合された」又は「連結された」要素は、連続的又は断続的のいずれかで付着してもよい。
【0021】
本明細書で使用するとき、「弛緩」又は「弛緩状態」は、(重力等の自然発生力以外の)どのような力も物品に付加されていない状態を意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「拡張性」及び「伸張性」という用語、例えば、エラストマーの拡張性は、弛緩位のその品目の幅又は長さが拡張されるか、又は増加することができること意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、「弾性の」又は「伸縮性」は、構成要素が弾性材料で製造された少なくとも一部分を含むことを意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「弾性」、「エラストマー」、及び「エラストマー性」は、一般に破断又は断裂することなく少なくとも50%のひずみまで伸張することができ、且つ、変形力が除去された後、実質的にその元の寸法まで回復することができる材料を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「医療用製品」は、手術衣及び覆い布、顔マスク、頭キャップ、靴カバー、創傷被覆材、包帯、及び米国特許第5,540,976号にて開示されているような滅菌ラップを意味する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「コポリマー」は、異なる化学構造を有する2種以上のモノマーから合成されたポリマーを指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「温度に敏感な」及び「温度敏感性」は、低い温度より高い温度において、指定された時間の後で、より少ない伸張後ひずみを示す緩回復型伸張性積層体を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「従来型伸張性積層体」は、伸張後回復試験により測定して、22℃にて15秒後に、当初ひずみに対して最小限のパーセントの回復を示す伸張性積層体を指す。従来型伸張性積層体は、伸張後回復試験により測定して、22℃にて15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが10%未満の回復を示す。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「残留する当初ひずみに対するパーセント」は、伸張後回復試験により測定して、当初ひずみから解放された後、ある時間の経過後に残留する当初ひずみの百分率を指す。「残留する当初ひずみに対するパーセント」は、当初ひずみから解放された後、所定の時間におけるパーセントひずみを当初パーセントひずみにより除算して計算され、商は100倍されて百分率を与える。
【0030】
本明細書で使用するとき、「応力」、「工学的応力」、及び「公称応力」という用語は、変形力が作用する試料の当初の変形されていない断面積で割った荷重を指す。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「ひずみ」及び「工学的ひずみ」は、変形力が作用するサンプルの当初の未変形の長さにより除算したサンプル長における変化を指し、通常パーセントで表される。
【0032】
本明細書で使用するとき、「降伏点」という用語は、それを超えると変形が完全に復元できない工学的応力対ひずみ曲線上の点を指し、「降伏応力」という用語は、降伏点での工学的応力値を指し、「降伏ひずみ」という用語は、通常パーセントひずみとして表される降伏点でのひずみレベルを指す。幾つかの材料は、「降伏点降下」、すなわち、ひずみの増加に伴う工学的応力の減少も示し得る。
【0033】
本明細書で使用するとき、「破断時のひずみ」、「破損時のひずみ」、及び「最終的なひずみ」という用語は、材料が破断する前に供され得る最大引張ひずみを指し、ひずみを百分率で表すことができる。
【0034】
本明細書で使用するとき、「硬ブロック」という用語は、使用温度を超えるガラス転移温度(又はブロックが結晶化可能である場合は融解温度)を有するブロックコポリマーにおけるブロック又は複数のブロックを指す。
【0035】
本明細書で使用するとき、「硬質相」という用語は、化学組成及び物理的状態が均一であり、かつ使用温度を超えるガラス転移温度(又はブロックが結晶化可能である場合は融解温度)を有するブロックコポリマー組成物における相又は複数の相を指す。硬質相は、ブロックコポリマーの複数の硬ブロック、並びに加工油及び変性樹脂を含むが、それらに限定されない任意の硬ブロック会合成分を含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用するとき、「軟ブロック」という用語は、使用温度を下回るガラス転移温度(又はブロックが結晶化可能である場合は融解温度)を有するブロックコポリマーにおけるブロック又は複数のブロックを指す。
【0037】
本明細書で使用するとき、「軟質相」という用語は、化学組成及び物理的状態が均一であり、かつ使用温度を下回るガラス転移温度(又はブロックが結晶化可能である場合は融解温度)を有するブロックコポリマー組成物における相又は複数の相を指す。軟質相は、ブロックコポリマーの複数の軟ブロック、並びに加工油及び変性樹脂を含むが、それらに限定されない任意の軟ブロック会合成分を含んでもよい。
【0038】
本明細書で使用するとき、「ブロックコポリマー組成物」という用語は、ブロックコポリマーを含むポリマーブレンド物を指す。
【0039】
本明細書で使用するとき、「モルホロジー」という用語は、ポリマー、ポリマーブレンド物、複合体、及び結晶等の物質における相領域の形状、外観、又は形態を指す。モルホロジーは、顕微鏡法又は散乱法を含む方法によって観察される物質中に存在する異なる相領域の構造及び形状を説明する。例えば、ブロックコポリマー及びブロックコポリマー組成物の場合、一般的なモルホロジーは、Thermoplastic Elastomers,2
nd Edition,Chapters 3,4,11,及び12,G.Holden,et al.(Editors),Hanser Publishers,New York(1996)に記載されるもの等の球形及び円筒形を含む。
【0040】
本明細書で使用するとき、「相領域」又は「相」という用語は、化学組成及び物理的状態が均一である材料の領域を指す。多相材料において、それぞれの相は、他の相とは大きさ、化学組成、又は物理的状態の点で異なる領域を形成し得る。例えば、ブロックコポリマー組成物は、それぞれの相領域内で化学組成及び物理的状態が均一である軟質相及び硬質相領域を含み得るが、硬質相及び軟質相は、概して、大きさ、化学組成、及び物理的状態の点で相互に異なり得る。更に、例えば、ポリプロピレン等の半結晶性ホモポリマーは、大きさ及び物理的状態の点でのみ異なる結晶相及び非晶相を含み得る。
【0041】
本明細書で使用するとき、「ヒステリシス」という用語は、循環過程におけるエネルギーの消散を指す。例えば、ひずみが荷重サイクルで破断時のひずみ未満の目標のひずみまで増加するときに、応力がひずみに対してプロットされ、その後、荷重除去サイクルでひずみを減少させる引張ヒステリシス実験において、2つの曲線は一致しないが、荷重サイクルと比較して所与のひずみでより低い応力を有する荷重除去サイクルでヒステリシスループを形成する。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「引張弾性係数」又は「ヤング率」は、材料の硬さの尺度である。薄い材料では(厚さ約1.0ミリメートル未満)、引張弾性係数はASTM D 882に従って測定し得る一方、厚い材料(厚さ約1.0ミリメートル超、約14ミリメートル未満)、引張弾性係数は、ASTM D 638に従って測定し得る。
【0043】
本明細書で使用するとき、「EHBポリマー」又は「同等の硬ブロックポリマー」という用語は、ブロックコポリマー組成物の硬ブロックと本質的に同一の繰り返し単位組成物及び組成分布を有するポリマーを指す。例えば、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)ブロックコポリマーを含むブロックコポリマー組成物の場合、同等の硬ブロックポリマーは、ポリスチレンである。更に、ブロックコポリマー組成物は、2つ以上の同等の硬ブロックポリマーを特徴とし得る。例えば、SEPSブロックコポリマー及びアルファメチルスチレン−エチレン/プロピレン−アルファメチルスチレンブロックコポリマーを含むブロックコポリマー組成物の場合、この組成物のEHBポリマーは、ポリスチレン及びポリ(アルファメチルスチレン)であろう。本開示のある特定の実施形態において、ブロックコポリマー組成物におけるそれぞれのEHBポリマーの数平均分子量対その対応する硬ブロックの数平均分子量の比率は、約0.5対約100の範囲であり得るか、約1対約50の範囲であり得るか、又は約1対約20の範囲であり得る。
【0044】
本明細書で使用するとき、「ESBポリマー」又は「同等の軟ブロックポリマー」という用語は、ブロックコポリマー組成物の軟ブロックと本質的に同一の繰り返し単位組成物及び組成分布を有するポリマーを指す。例えば、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)ブロックコポリマーを含むブロックコポリマー組成物の場合、同等の軟ブロックポリマーは、ポリ(エチレン/プロピレン)である。更に、ブロックコポリマー組成物は、2つ以上の同等の軟ブロックポリマーを特徴とし得る。例えば、SEPSブロックコポリマー及びスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーを含むブロックコポリマー組成物の場合、この組成物のESBポリマーは、ポリ(エチレン/プロピレン)及びポリ(エチレン/ブチレン)であろう。本開示のある特定の実施形態において、それぞれのESBポリマーの数平均分子量は、約0.3〜約150キロダルトンの範囲であり得る。
【0045】
本明細書で使用するとき、「硬ブロック会合」又は「硬質相会合」という用語は、ブロックコポリマーの硬ブロックと相混合するブロックコポリマー組成物の成分を指す。概して、硬ブロック又は硬質相会合成分は、硬ブロックの溶解度パラメーターに類似した溶解度パラメーターを有する。本開示のある特定の実施形態において、硬ブロック又は硬質相会合成分の溶解度パラメーターは、硬ブロックの溶解度パラメーターの約0.5(cal/cm
3)
1/2の範囲内であり得る。更に、本開示のある特定の実施形態において、硬ブロック又は硬質相会合成分は、純ブロックコポリマーにおけるその値から硬質相のガラス転移温度を上昇させるか、又は低下させ得る。硬ブロック会合成分の例には、変性樹脂、加工油、及び硬質相調整剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用する「表面薄層」という用語は、その製造及びその後の加工中にフィルムの外側表面として働く共押出しされた多層フィルムの外層を指す。
【0047】
本開示の吸収性物品の実施形態は、緩回復型伸張性積層体(伸張性積層体)を備えてもよい。伸張性積層体は、弾性特性が望ましい場合にはどの吸収性物品にも使用できる。伸張性積層体は、基材に結合される弾性部材を備えてもよい。伸張性積層体は、別個に形成されて、吸収性物品に結合されてもよい。逆に、伸張性積層体は、吸収性物品と一体(例えば、弾性部材が、トップシート等の吸収性物品内の既存基材に結合されて、伸張性積層体を形成)でもよい。弾性部材は、エラストマーポリマー、所望により少なくとも1種の変性樹脂、及び所望により1種以上の添加物を含む組成物から調製されてもよい。伸張性積層体は、以下に記載される2サイクルヒステリシス試験によって測定されるように、37℃で少なくとも約0.16N/(g/m)の正規化された荷重除去力を示し得る。伸張性積層体は、以下に記載される伸張後回復試験によって測定されるように、22℃で15秒後に約10%以上の当初ひずみに対するパーセントを示し得る。
【0048】
本開示の別の実施形態において、伸張性積層体を、手術衣、フェイスマスク、頭被覆材、靴被覆材、創傷被覆材、包帯、又は滅菌ラップ等の医療品に組み込んでもよい。伸張性積層体は、医療用製品において弾性特性を所望される場所に使用できる。
【0049】
図1A〜Eに示されるように、緩回復型伸張性積層体、従来型伸張性積層体、又はそれらの組み合わせのいずれかであり得る、伸張性積層体10は、基材14に結合される弾性部材12を備えてもよい。弾性部材12と基材14との結合を、熱接着、加圧接着、超音波接着、機械的接着、接着剤での接着、若しくは任意の他の好適な付着手段、又はこれらの付着手段の組み合わせ等の様々な接着方法で行ってもよい。特定の実施形態では、弾性部材12は、弾性部材12と基材14を結合するのに十分な粘着性を示してもよい。
【0050】
様々な形体の弾性部材12が、伸張性積層体10に使用されてもよい。弾性部材12に好適な形体として、フィルム、バンド、ストランド、個別化された繊維、スクリム、網状配置、発泡体、又はこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
図1A〜Eは、伸張性積層体10の幾つかの好適な実施形態を示す。
図1Aは、基材14に結合されたバンド又はリボンの形態で1つ以上の弾性部材12を有する伸張性積層体10を示す。
図1Bは、シート様基材14に結合されたシート様弾性部材12を有する伸張性積層体10を示す。伸縮性部材12と基材14は、同一の広がりをもつものとして示されているが、いずれかの層が、他方の層と異なる寸法を有してもよい。
図1Cは、基材14に結合されたストランド又はリボンの形態で1つ以上の弾性部材12を有する伸張性積層体10を示す。
【0052】
図1Dは、基材14に結合された網状配置の形態で1つ以上の弾性部材を有する伸張性積層体10を示す。網状配置は、一実施例では、平行な複数の伸縮性部材12aを基材14に結合することにより形成されてもよい。第二の複数の弾性部材12bが、平行に基材に結合されてもよい。第二の複数の伸縮性部材12bは、非平行配置で第1の複数の伸縮性部材12aに結合されてもよい。網状配置は又、エラストマーフィルムをホットニードルパンチ加工することにより形成されてもよい。網状配置は又、米国特許出願公開第2004/0013852号に記載されるように、多孔質の巨視的に伸張された三次元エラストマーウェブから形成されてもよい。その公報には、多孔質を形成する構造体の上にフィルムを形成して、フィルムの厚さを横切って流体圧力差をかけることによって、どのようにして網状配置が達成できるかが記載されている。流体圧力差が、フィルムを支持構造体に順応させて破裂させ、これにより網状配置を創り出す。
図1Eは、2つ以上の基材、すなわち、第1の基材14a及び第2の基材14bに結合される1つ以上の弾性部材12を有する伸張性積層体10を示す。伸張性積層体10の層の特定の順番は変化可能であるが、示されている実施形態では、弾性部材12が、第1の基材14aと第2の基材14bとの間に配置されており、片方又は両方に結合されてもよい。第一及び第二の基材14a、14bは、同一材料を含んでもよく、異なってもよい。
【0053】
米国特許第7,717,893号、並びに米国公開第2005−0273071号、同第2006−0155255号、同第2006−0167434号、及び同第2009−0134049号に開示される伸張性積層体を形成する技法は、本開示のSRSL 10の形成に適用可能であり得る。伸張性積層体を作り出す1つの技法は、「伸張結合」と通常呼ばれており、弾性ストランド、バンド、リボン、フィルム等の弾性部材が、伸張された配置の間に、基材に結合されることを伴う。弾性部材を、その弛緩長さの少なくとも25%まで伸張することができる。弾性部材は、結合の後、弛緩するままとされ、これにより基材にギャザーを寄せて、伸張性積層体を創り出す。
【0054】
伸張性積層体を作り出す別の技法は、「狭め結合(neck bonding)」と通常呼ばれており、基材が伸張されて狭められている間に、弾性部材が基材に結合されることを伴う。特定の実施形態では、基材は、非弾性基材であってもよい。狭め結合された積層体の例が、米国特許第5,226,992号、同第4,981,747号、同第4,965,122号及び同第5,336,545号に記載されている。「狭め結合」の変形は「挟め伸張結合」である。挟め伸張結合は、基材が伸張されて狭められ、弾性部材が伸ばされている間に、弾性部材が基材に結合されることを指す。狭め伸張結合された積層体の例が、米国特許第5,114,781号及び第5,116,662号に記載されている。
【0055】
伸張性積層体を形成する別の技法では、弛緩配置又は部分的伸張配置のいずれかにて、伸縮性部材を基材に取り付けることができる。基材が永久的に伸張されるが伸縮性部材は一時的にのみ伸張される伸張プロセスを積層体に受けさせることによって、得られた積層体は伸張可能にする(又は、部分的に伸張されたストランド若しくはフィルムの場合は、より伸張可能にする)ことができる。そのようなプロセスは、「ゼロひずみ」伸張性積層体の形成として当該技術分野において既知であり、そのような積層体の伸張は、ローラー、係合歯等の好適な手段で達成されてもよい。ゼロひずみ活性化加工、及び結果として生じる伸張性積層体の形成の例が、米国特許第5,167,897号及び同第5,156,793号に記載されている。
【0056】
伸張性積層体形成の別の技法が、米国特許出願公開第2003/0088228A1号、同第2003/0091807A1号、及び同第2004/0222553A1号に開示されている。これらの公開で開示されている技法は、1種以上の熱可塑性エラストマーを基材上に熱溶融塗布した後、エラストマーの伸張特性を基材に付与する基材の増分伸張によって、弾性部材を形成することを伴う。好適な塗布方法として、例えば、直接グラビア、オフセットグラビア、及びフレキソ印刷が挙げられる。これらの方法のそれぞれにより、ある量のエラストマーがいかなる形状及び方向にも付着可能となり、このようにして伸張性積層体が呈する伸張特性にかなりの柔軟性がもたらされる。伸張性積層体を形成する他の従来方法も、この説明の範囲内である。
【0057】
加えて、信頼できる伸張性積層体を製造するためには、伸張区域全体で比較的均一なひずみプロファイルを達成することが重要である。降伏点降下を示す材料は、伸張中に、例えば厚さの変動等の安定性の問題を有し、そのため一般に高いレベルの特性変動を伴う積層体を生じ得る。伸張温度の上昇、ひずみ速度の低下、及び/又は弾性部材の予備伸張は、降伏点降下を比較的はっきりしないものとし、それにより一層均一なひずみプロファイルの達成の機会を高める。それらは、より信頼できる伸張性積層体の加工に繋がる。信頼できるSRSLの製造を、米国公開第2005−0273071号で見出すことができる。
【0058】
弾性部材12は、エラストマーポリマー、場合により少なくとも1種の変性樹脂、及び場合により1種以上の添加物を含んでもよい。多数のエラストマーポリマーが、単独又は組み合わせいずれかで、弾性部材12の調製に使用可能である。エラストマーポリマーには、ホモポリマー(例えば、架橋ポリ(イソプレン))、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、及びグラフトコポリマーが含まれるが、それらに限定されない。好適なエラストマー性ポリマーは、スチレン系ブロックコポリマー、天然及び合成ゴム、ポリイソプレン、ネオプレン、ポリウレタン、シリコーンゴム、炭化水素エラストマー、アイオノマーなどを含む。他の好適なブロックコポリマーには、Thermoplastic Elastomers,2
nd Edition,Chapter 5,G.Holden,et al.(Editors),Hanser Publishers,New York(1996)に記載されるもの等のポリオレフィンベースブロックコポリマーが含まれるが、それらに限定されない。
【0059】
一実施形態では、エラストマー性ポリマーは、ブロックコポリマーであってよい。多数のブロックコポリマーが使用されてもよく、多元ブロックコポリマー、テーパードブロックコポリマー、及び星形ブロックコポリマーが挙げられる。本開示の実施形態における使用に好適なブロックコポリマーは、エラストマー特性と熱可塑性特性の両方を示し得る。そのようなブロックコポリマーにおいて、硬ブロック(又は部分)は、約25℃超過のガラス転移温度(Tg)を有してもよく、又は融解温度(Tm)が約25℃超過の結晶性又は半結晶性である。硬ブロックは、約35℃超のTgを有してもよく、又は約35℃超のTmを有する結晶質若しくは半結晶質である。硬ブロック部分は、スチレン及びアルファ−メチル−スチレン等のビニルアレーンを含むビニルモノマー、メタクリレート、アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むポリオレフィン、又はそれらの組み合わせに由来し得る。実質的にポリスチレンを含む硬ブロックの場合、硬ブロック分子量は、約4〜約20キロダルトンの範囲であり得るか、約6〜約16キロダルトンの範囲であり得るか、約7〜約14キロダルトンの範囲であり得るか、又は約8〜約12キロダルトンの範囲であり得る。純ブロックコポリマー中の硬ブロックの重量パーセントは、約10〜約40重量パーセントの範囲であり得るか、約20〜約40重量パーセントの範囲であり得るか、又は約25〜約35重量パーセントの範囲であり得る。更に、本開示の伸張性積層体実施形態は、少なくとも2つの硬ブロックを含むブロックコポリマーを含んでもよい。1つの硬ブロックのみを含むブロックコポリマーがエラストマーよりも粘性液体のように挙動するブロックコポリマー組成物になる可能性もある。更に、少なくとも2つの硬ブロックを含むブロックコポリマーが、エラストマーのように挙動するブロックコポリマー組成物になる可能性もある。
【0060】
本明細書で言及されるガラス転移温度は、ASTM D 5026に記載される方法等の温度ランプ法を用いて、1Hzの周波数で材料の線形弾性範囲内で行われる引張動的機械分析によって決定される。好適には、約0.3mmの均一厚さのフィルムサンプルが、約1℃/min以下の温度勾配率で、使用されてもよい。損失弾性率ピーク温度は、特定の材料又は相のTgと見なされる。
【0061】
本明細書で言及される結晶の融解温度は、10℃/分の温度勾配率を用いて、示差走査熱量計により決定される。第2の熱の融解吸熱ピーク温度は、ASTM D 3418に記載されるもの等の特定の結晶領域のTmと見なされる。
【0062】
ブロックコポリマーは、軟ブロック(又はセグメント)を含んでもよい。軟ブロックは、コポリマーの使用温度でガラス領域又は結晶領域を形成しないように、十分に低いガラス転移温度及び/又は融解温度を示し得る。一実施形態では、使用温度は、ほぼ室温(約22℃)〜ほぼ体温(約37℃)であってよい。しかしながら、他の使用温度も可能であって、本発明の範囲内である。そのような軟ブロックは一般に、硬ブロックと物理的相溶性がなく、別個の領域、ドメイン、又は相を形成する。本開示の伸張性積層体実施形態は、少なくとも1つの軟ブロックを含むブロックコポリマーを含んでもよい。少なくとも1つの軟ブロックを含むブロックコポリマーがエラストマーのように挙動するブロックコポリマー組成物になる可能性もある。
【0063】
軟ブロック部分は、共役脂肪族ジエンモノマーから誘導されたポリマーであってよい。軟ブロックを合成するために使用されるモノマーは、約6個未満の炭素原子を含有し得る。好適なジエンモノマーとして、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。更に、軟ブロックを変性して、軟ブロックのTgを調整してもよいことが想定される。例えば、軟ブロックのTgをスチレン対ジエンの比率によって制御することができるスチレン及びジエンのランダムコポリマーを使用してもよい。更に、例えば、高ガラス転移温度を有することで既知の高1,2ジエンポリマーを使用してもよいか、又はポリ(イソプレン)上にスチレンのグラフトを使用してもよい。そのような場合、より少ない量の変性樹脂が使用できる。更に、そのような調整された軟ブロックに水素添加することができる。更に、本開示のある特定の実施形態において、軟ブロック部分は、ポリ(アジピン酸エチレン)グリコール、ポリ(1,4アジピン酸ブチレン)グリコール、ポリ(1,4アジピン酸エチレンブチレン)グリコール、ポリ(2,2−ジメチルプロピレンアジピン酸ヘキサメチレン)グリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリ(アジピン酸ジエチレングリコール)グリコール、ポリ(1,6−ヘキサンジオールカーボネート)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、及びポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを含むが、それらに限定されない、アクリレート、シリコーン、ポリエステル、及びポリエーテルに由来するポリマーであり得る。
【0064】
本開示の実施形態における使用に好適なブロックコポリマーは、少なくとも2つの硬ブロック(A)及び少なくとも1つの軟ブロック(B)を含んでもよい。ブロックコポリマーは、多元ブロックを有してもよい。一実施形態において、ブロックコポリマーは、A−B−A三元ブロックコポリマー、A−B−A−B四元ブロックコポリマー、又はA−B−A−B−A五元ブロックコポリマーであってもよい。また、硬ブロックA及びA’を有する三元ブロックコポリマーが本明細書において有用であり、A及びA’は、異なるビニル化合物に由来し得る。また、2つ以上の硬ブロック及び/又は2つ以上の軟ブロックを有するブロックコポリマーが本開示の実施形態において有用であり、それぞれの硬ブロックは、同一又は異なるモノマーに由来し得、それぞれの軟ブロックは、同一又は異なるモノマーに由来し得る。コポリマーが残留オレフィン性二重結合を有する場合、望むならば、コポリマーは部分的又は完全に水素添加されてもよいことを、記さなければならない。飽和は、コポリマーのエラストマー特性において有益な効果をもたらし得る。
【0065】
好適な星形ブロックコポリマーは、中央で結合し、かつそのアームが少なくとも1つの軟ブロック及び少なくとも1つの硬ブロックから構成される複数のアームからなる場合もあり、硬ブロックは、a)モノアルケニル芳香族炭化水素のブロック、又はb)モノアルケニル芳香族炭化水素のランダムコポリマーのブロック及び20℃を超えるガラス転移温度を有する共役ジオレフィンモノマーのいずれかから選択され、軟ブロックは、c)モノアルケニル芳香族炭化水素のランダムコポリマーのブロック及び10℃未満のガラス転移温度を有する共役ジオレフィンモノマー、又はd)共役ジオレフィンのブロックのいずれかから選択される。これらの星形ブロックポリマーは、a−cブロック、b−cブロック、a−dブロック、又はb−dブロックに基づき得る。本開示のある特定の実施形態において、アームの数は100以下であり得るか、アームの数は50以下であり得るか、アームの数は10以下であり得るか、又はアームの数は5以下であり得る。
【0066】
弾性部材12は、約20重量%〜約100重量%の量のエラストマーポリマーを含み得る。他の好適な実施形態では、弾性部材12は、約20%〜約80%の量のエラストマーポリマーを含み得るか、約30%〜約65%の量のエラストマーポリマーを含み得るか、又は約40%〜約60%の量のエラストマーポリマーを含み得る。あるいは、弾性部材12は、約45%〜約60%の量のエラストマーポリマーを含み得る。
【0067】
ある特定の実施形態において、エラストマーポリマーは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(S−EB−S)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(S−EP−S)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(S−EEP−S)、及びそれらの混合物等のスチレン−オレフィン−スチレン三元ブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは、単独で又はブロックコポリマーのブレンド中で使用されてもよく、部分的に又は完全に水素添加されていてもよい。
【0068】
特定の実施形態において、エラストマーポリマーは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(S−EB−S)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(S−EP−S)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(S−EEP−S)、及び水素添加スチレン−イソプレン/ビニルイソプレン−スチレンを含む。そのような線形ブロックコポリマーは、商標表記Kraton(Kraton Polymers,Houston,TX)、並びに商標表記Septon(商標)及びHybrar(商標)(Kuraray America,Inc.,Pasedena,TX)で市販されている。
【0069】
弾性部材12は、1種以上の変性樹脂を含んでもよい。好適な変性樹脂は、エラストマーポリマーの軟ブロックと会合するか、又は相混合し得る。変性樹脂は、軟質相のガラス転移温度が上昇し、22℃で15秒間の回復後に伸長後ひずみの増加をもたらすように、十分に高い分子量平均を有してもよい。この理論によって拘束されるものではないが、変性樹脂が軟質相のTgを、使用温度での分子緩和が遅延する程度まで上昇させると考えられる。これは、伸長後ひずみが比較的高くなることによって証明される。本開示のある特定の実施形態において、軟質相のガラス転移温度は、約−50℃未満であり得る。本開示の他の実施形態において、軟質相のガラス転移温度は、約−50℃〜約35℃の範囲であり得る。本開示の他の実施形態において、軟質相のガラス転移温度が約−40℃〜約25℃の範囲であり得る一方で、他の実施形態では、軟質相のガラス転移温度は、約−30℃〜約20℃の範囲であり得る。更に、本開示の更に他の実施形態において、軟質相のガラス転移温度が約−20℃〜約15℃の範囲であり得る一方で、他の実施形態では、軟質相のガラス転移温度は、約−10℃〜約10℃の範囲であり得る。軟質相のガラス転移温度は、22℃で15秒後の当初ひずみに対するパーセント、温度応答性のレベル、及び37℃での荷重除去力に影響を与える。
【0070】
弾性部材12は、重量で約0%〜約60%の量の変性樹脂を含んでもよい。他の実施形態では、弾性部材12は、約10%〜約55%の量の変性樹脂を含んでもよいか、約20%〜約55%の量の変性樹脂を含んでもよいか、又は約30%〜約50%の量の変性樹脂を含んでもよい。特定の実施形態では、弾性部材12は、約40%〜約50%の量の変性樹脂を含んでもよい。
【0071】
本明細書において有用な好適な変性樹脂は、約60℃〜約180℃、約70℃〜約150℃、及び約90℃〜約130℃の範囲のガラス転移温度を有してもよい。
【0072】
好適な変性樹脂は、軟ブロックと会合してもよい。変性樹脂がブロックコポリマーの軟ブロックと相混合するかどうかを決定するに際して、溶解パラメーターが有用である。一般に、変性樹脂は、変性樹脂の溶解パラメーターが軟ブロック相の溶解パラメーターに近似するように選定される。例えば、軟ブロック相の溶解度パラメーターが約8(cal/cm
3)
1/2である場合、変性樹脂の溶解度パラメーターは、約7.5(cal/cm
3)
1/2〜約8.5(cal/cm
3)
1/2であり得る。変性樹脂の溶解パラメーターはまた、硬ブロックの溶解パラメーターに近似してもよい。しかしながら、変性樹脂が軟ブロックと相混合する限り、硬ブロックの相混合は限定的に読み取られるべきではない。普通のポリマー又は樹脂の溶解パラメーターのリストは、溶解パラメーターを決定又は概算する方法と共に、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)第3版」(ワイリー・インターサイエンス社(Wiley Interscience)、第7章、519〜559頁)に見出すことができる。
【0073】
本明細書で有用な変性樹脂として、水素添加のないC5炭化水素樹脂又はC9炭化水素樹脂、部分的又は完全に水素添加されたC5炭化水素樹脂又はC9炭化水素樹脂;脂環式樹脂;テルペン樹脂;ポリスチレン及びスチレンオリゴマー;ポリ(t−ブチルスチレン)又はそのオリゴマー;ロジン及びロジン誘導体;クマロンインデン;ポリシクロペンタジエン及びそのオリゴマー;ポリメチルスチレン又はそのオリゴマー;フェノール樹脂;インデンのポリマー、オリゴマー、及びコポリマー;アクリレート及びメタクリレートのオリゴマー、ポリマー又はコポリマー;これらの誘導体;並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。樹脂を、t−ブチルスチレン、シクロペンタジエン、イソボルニルメタクリレート、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、インデン、クマロン、ビニルシクロヘキサン、メチルスチレン、及び3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレートに由来するオリゴマー、ポリマー、及び/又はコポリマーからなる群から選択してもよい。変性樹脂は、脂環式テルペン、炭化水素樹脂、脂環式樹脂、ポリ−ベータ−ピネン、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの組み合わせも含み得る。「C5炭化水素樹脂類」及び「C9炭化水素樹脂類」は、米国特許第6,310,154号に開示されている。
【0074】
伸縮性部材12は、様々な添加物を含んでもよい。弾性部材12の熱的、酸化的、及び生化学的劣化を防ぐために、例えば、安定剤、酸化防止剤及び抗菌剤が挙げられる好適な添加物を使用してもよい。添加物は、弾性部材12の全重量の約0.01%〜約60%を占めてもよい。他の実施形態において、組成物は、約0.01%〜約25%を構成する。他の好適な実施形態において、組成物は、約0.01重量%〜約10重量%の添加物を含む。
【0075】
様々な安定剤及び酸化防止剤が、当該技術分野において周知であり、高分子量ヒンダードフェノール(すなわち、ヒドロキシル基に近接して立体的なかさばったラジカルを有するフェノール化合物)、多機能フェノール(すなわち、イオウ及びリンを含有する基を有するフェノール化合物)、トリス−(p−ノニルフェニル)−ホスファイト等のリン酸塩、ヒンダードアミン、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。特許で保護された安定剤及び/又は酸化防止剤は、様々なWingstay(登録商標)、Tinuvin(登録商標)、及びIrganox(登録商標)製品を含む幾つかの商標名で入手可能である。
【0076】
弾性部材12は、当該技術分野において既知の様々な抗菌剤を含んでもよい。好適な抗菌剤の例として、ベンゾエート、フェノール、アルデヒド、ハロゲンを含む化合物、窒素化合物、水銀等の金属を含む化合物、亜鉛化合物、及びスズ化合物等が挙げられる。代表的な例として、商標表記Irgasan PA(Ciba Specialty Chemical Corporation,Tarrytown,NY)で入手可能なものがある。
【0077】
その他の任意添加物として、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマー組成物が挙げられ、これはブロックコポリマーの硬ブロック又はセグメントと優先的に会合する。これらの熱可塑性ポリマーが硬質相の絡み合った三次元ネットワーク構造に組み込まれる可能性もある。この絡み合ったネットワーク構造は、エラストマー性組成物の引張り弾性及び応力緩和特性に改善をもたらすことができる。エラストマーポリマーがスチレンブロックコポリマーを含むとき、スチレン、アルファ−メチルスチレン、パラメチルスチレン、他のアルキルスチレン誘導体、ビニルトルエン、及びそれらの混合物を含むモノマーに由来するポリフェニレンオキサイド及びビニルアレーンポリマー等の熱可塑性ポリマー添加物は、それらが、概して、ブロックコポリマーのスチレン硬ブロックと化学的に適合性があると考えられるため、本開示の実施形態において有用であり得る。
【0078】
弾性部材は、同等の硬ブロック(EHB)ポリマーを含み得る。例えば、実質的にポリスチレンの硬ブロックを含むブロックコポリマーの場合、ホモポリマーポリスチレンを添加する。EHBポリマーの添加が、ブロックコポリマー組成物に強化効果をもたらす可能性もある。更に、ブロックコポリマーの硬ブロックとEHBポリマーとの間の相互作用の程度が、それぞれの種の分子量に依存する可能性もある。EHBポリマーの数平均分子量対ブロックコポリマーの硬ブロックの数平均分子量の比率は、約0.5対約100の範囲であり得るか、又は約1〜約100の範囲であり得るか、又は約1〜約50の範囲であり得るか、又は約1〜約20の範囲であり得る。更に、その強化効果が、強度の増加及び力緩和の減少をもたらす可能性もある。本開示のある特定の実施形態において、EHBポリマーを含むブロックコポリマー組成物は、EHBポリマーを有しないブロックコポリマー組成物上で、約5%を超えるか、又は約10%を超えるか、又は約20%を超えるか、又は約30%を超える引張強度の増加をもたらし得る。薄い材料(約1.0ミリメートル未満の厚さ)において、引張強度をASTM D 882に従って決定することができ、一方で、厚い材料(約1.0ミリメートル超〜約14ミリメートル未満の厚さ)において、引張強度をASTM D 638に従って決定することができる。更に、EHBポリマーを含むブロックコポリマー組成物は、EHBポリマーを有しないブロックコポリマー組成物上で力緩和の減少をもたらし得る。本開示のある特定の実施形態において、37℃で1時間の緩和及びEHBポリマーを含むブロックコポリマー組成物の50%の工学的ひずみ後の引張モードにおける百分率での力損失は、EHBポリマーを有しないブロックコポリマー組成物の約0.99倍未満であり得るか、又は約0.95倍未満であり得るか、又は約0.9倍未満であり得るか、又は約0.8倍未満であり得、百分率での力損失ASTM D 6048に従って決定することができる。
【0079】
弾性部材12は、粘度調節剤、加工助剤、スリップ剤又は抗ブロック剤を含んでもよい。加工助剤には、加工油が含まれており、これらは、当該技術分野において周知であって、合成及び天然油、ナフテン系油、パラフィン系油、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、植物油、動物油、及び水素添加変成物が含まれるそれらの誘導体が挙げられる。加工油にはまた、そのような油の組み合わせが組み込まれてもよい。鉱油を加工油として使用してもよい。粘度調節剤も当該技術分野において周知である。例えば、石油抽出ワックスを使用すると、熱加工中の緩慢に回復するエラストマーの粘度を低下させることができる。好適なワックスは、低数平均分子量(例えば、0.6〜6.0キロダルトン)のポリエチレン、パラフィンワックス及び微結晶ワックス等の石油ワックス、アタクチックポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス等の一酸化炭素と水素を重合して作製される合成ワックス、及びポリオレフィンワックスを含む。
【0080】
様々な着色剤及び充填材が、当該技術分野において既知であり、伸縮性部材12を形成する組成物の中に添加物として含まれてもよい。着色剤は、染料と二酸化チタン等の顔料とを含むことができる。充填材には、タルク及び粘土のような物質が含まれてもよい。その他の添加物として、染料、UV吸収剤、臭気抑制剤、芳香剤、充填材、乾燥剤等が含まれてもよい。
【0081】
本開示のある特定の実施形態において、エラストマー組成物は、ミクロ相分離している場合もあり、結晶性ドメイン、相分離ブロック、及びイオン基のうちの1つ以上を含むが、それらに限定されない(1)化学的架橋及び(2)物理的架橋のうちの1つ又はそれら両方を含むが、それらに限定されない特定のアンカリングポイントを含む間は、軟質相が実質的に連続的であることが所望され得る。軟質相を実質的に連続して維持することは、37℃で15秒間の回復後に比較的高い荷重除去力、及び22℃で15秒間の回復後に比較的高い伸長後ひずみを確実にする可能性もある。
【0082】
ブロックコポリマー組成物を含む本開示のある特定の実施形態の場合、硬質相にヒステリシスを最小限に抑え得る球形モルホロジーを形成させることが望ましい場合もある。本開示に好適な多くの市販のブロックコポリマーは、約20重量%〜約40重量%の硬ブロックを含有し得、円筒形又は層状モルホロジーを有し得る。球形モルホロジーを得るために、例えば、ブロックコポリマー組成物中の硬質相の重量百分率を減少させることによって、組成物を調整して球形モルホロジーをもたらす軟質相会合成分をブレンドすることが有益であり得る。軟質相のTgを上昇させ得る変性樹脂、及び軟質相のTgを低下させ得る加工油に加えて、軟質相調整剤の別の種類として、同等の軟ブロック(ESB)ポリマーがある。例えば、SEPS等のエチレン/プロピレン軟ブロックを含むブロックコポリマーへのポリ(エチレン/プロピレン)の添加、又はランダムスチレン−イソプレン軟ブロックを含むポリスチレンブロックコポリマー組成物への類似した繰り返し単位組成物のポリ(スチレン−イソプレン)ランダムコポリマーの添加がある。ESBポリマーの添加は、例えば、硬質相の球形モルホロジーを引き起こすといったブロックコポリマー組成物に硬質相希釈効果をもたらし、かつ秩序無秩序温度を低減し得る変性樹脂及び加工油等の他の軟ブロック会合成分と比較して、秩序無秩序温度の維持又は上昇効果をもたらす可能性もある。更に、同等の軟ブロックポリマーの分子量が、ESBポリマーのレオロジーに影響を与え、かつブロックコポリマー組成物のレオロジーに影響を及ぼす可能性もある。本開示のある特定の実施形態において、ESBポリマーの数平均分子量は、約0.3〜約150キロダルトンの範囲であり得る。更に、本開示のある特定の実施形態において、(1)緩回復型伸張性積層体が、22℃で15秒後に約10%以上の当初ひずみに対するパーセント及び37℃で約0.16N/(g/m)以上の荷重除去力を示し、かつ球形モルホロジーを示す硬質相を含むか、又は(2)緩回復型エラストマーが、22℃で15秒後に約10%以上の当初ひずみに対するパーセント、並びに37℃及び約0.07Nを超える60%の保持ひずみで正規化された荷重除去力を示し、かつ球形モルホロジーを示す硬質相を含む限り、軟質相会合成分及び百分率の任意の組み合わせを選択してもよい。
【0083】
本開示のある特定の実施形態において、弾性部材を備える伸張性積層体を備える吸収性物品の使用中に、物品の適用前に着用者の皮膚に塗布される、ある特定のベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等が、弾性部材によって、ある程度吸収される可能性があることが見出された。この挙動は、弾性部材の膨張及び破断に繋がる場合があり、それが、性能の低下をもたらし得る可能性もある。膨張は、(1)吸収性物品の着用者に不快感を与え得る、べたっとした感触の伸縮性積層体、並びに/あるいは(2)フィット感不良をもたらし得、例えば、使用中の尿若しくは排便の漏れ増加、使用中の吸収性物品のたるみ若しくは垂下、及び/又は吸収性物品着用時の不快感増加につながり得る、37℃での伸張性積層体の荷重除去力の低下、をもたらす可能性がある。弾性部材の破断は、それが局所的である場合はフィット感不良をもたらす場合があるが、広範囲の場合は緩回復型伸張性積層体の壊滅的破損をもたらし得、それが緩回復型伸張性積層体を備える吸収性物品の破損につながり得る。
【0084】
ブロックコポリマー組成物を含む弾性部材を備える伸張性積層体の場合、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等のある特定の成分は、弾性部材の硬ブロック又は硬質相領域を弱化又は可溶化し得る可能性もある。本開示のある特定の実施形態では、この挙動が、物理的架橋(硬質相)の溶解につながり、それによって弾性部材の弱化又は破断に繋がると考えられる。硬ブロックの溶解度パラメーターは、硬ブロックが、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等の成分によって、可溶化の影響を受けやすい可能性があるかどうかの判定に有用である。本開示のある特定の実施形態では、硬ブロックの溶解度パラメーターは、約9.1(cal/cm
3)
1/2を超えてもよいか、又は約9.3(cal/cm
3)
1/2を超えてもよいか、又は約9.5(cal/cm
3)
1/2を超えてもよく、硬ブロックの溶解度パラメーターは、L.H.Sperling in Introduction to Physical Polymer Science,Wiley−Interscience(New York,1992)によって記載される方法に従って決定される。例えば、Sperlingによって記載される方法によると、ポリスチレンの硬ブロックの溶解度パラメーターは、8.96(cal/cm
3)
1/2であると決定される。更に、本開示のある特定の実施形態では、パルミチン酸イソプロピルを含むがこれに限定されない成分を含有するベビーオイルへの、実質的にポリスチレン硬ブロックを含む弾性部材の曝露は、弾性部材が脆弱化し、劣化して繊維様の断片となり得る、弾性部材の分解に繋がる可能性があることが見出された。Sperlingによって記載される方法によると、パルミチン酸イソプロピルの溶解度パラメーターは、8.12(cal/cm
3)
1/2であると決定され、パルミチン酸イソプロピル等の成分に曝露された弾性部材に、硬ブロックとこのような成分との間の溶解度パラメーターの差異が、約0.84(cal/cm
3)
1/2以下の場合、悪影響が生じる可能性があることを示す。更に、本開示のある特定の実施形態において、油曝露方法に記載されるように、鉱油及びパルミチン酸イソプロピルへの曝露に耐える弾性部材は、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等が、弾性部材を備える緩回復型伸張性積層体を含む吸収性物品の適用前に着用者の皮膚に塗布される場合、それらに抵抗性であると考えられることが見出された。なおも更に、上述の高ガラス転移温度の硬ブロック調整剤とは対照的に、弾性部材に悪影響をもたらす可能性のある、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等の成分は、室温より十分に低いガラス転移温度を有し得、例えば、室温及び使用温度において、液体であってもよく、このような成分への弾性部材の曝露は、使用温度よりも低い硬質相のガラス転移温度をもたらし得、弾性部材の弱化及び潜在的な溶解につながり得る可能性もある。更に、使用温度で液体であるベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等の成分は、硬ブロックがこのような成分への曝露後に無傷に留まるためには、このような成分の溶解度パラメーターと、硬ブロックの溶解度パラメーターとの間に、上述のように、変性樹脂が軟ブロック会合するための、通常は使用温度で固体である変性樹脂の溶解度パラメーターと、軟ブロックの溶解度パラメーターとの間の差異と比較して、より大きな差異を必要とする可能性もある。
【0085】
ポリスチレンを含む硬ブロックを含むブロックコポリマー組成物を含む弾性部材を備える伸張性積層体の場合、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等のある特定の成分に対する弾性部材の抵抗を増加させることが可能な手段には、ニトロ、塩素、臭素、又はニトリル基、メチル、エチル、プロピル、及びブチルケトンを含む様々な構造のケトン基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルエステルを含む様々な構造のエステル基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、及びベンジルアミドを含む様々な構造のモノ−及びジ−置換アミド基、並びにそれらの組み合わせでの芳香族置換が挙げられるが、これらに限定されない。ポリスチレンを含む硬ブロックを含むブロックコポリマーの場合、置換の程度は、約10%超〜約300%未満であり得るか、又は置換の程度は、約10%超〜約200%未満であり得るか、又は置換の程度は、約10%超〜約100%未満であり得るか、又は置換の程度は、約20%超〜約70%未満であり得るか、又は置換の程度は、約30%超〜約60%未満であり得、50%の置換の程度とは、ブロックコポリマーの2個の芳香族環につき平均1個の置換された基を意味し、100%の置換の程度とは、1個の芳香族環につき平均1個の置換された基を意味し、200%の置換の程度とは、1個の芳香族環につき平均2個の置換された基を意味し、300%の置換の程度とは、1個の芳香族環につき平均3個の置換された基を意味する。更に、芳香族置換の際の軟ブロック内での鎖切断を最小限に抑えるために、軟ブロック主鎖の水素添加の程度は、軟ブロック主鎖の約70モルパーセントを超えてもよいか、又は水素添加の程度は、軟ブロック主鎖の約80モルパーセントを超えてもよいか、又は水素添加の程度は、軟ブロック主鎖の約90モルパーセントを超えてもよいか、又は水素添加の程度は、軟ブロック主鎖の約95モルパーセントを超えてもよいか、又は水素添加の程度は、軟ブロック主鎖の約99モルパーセントを超えてもよい。
【0086】
更に、弾性部材上のポリマー表面薄層の使用、例えば、A層がポリマー表面、B層がエラストマー、例えば緩回復型エラストマーを表す、A−B−A(3層)フィルム構成を通じて、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等の、ある特定の成分に対する弾性部材の抵抗を増加させることが可能である。本開示のある特定の実施形態の場合、ポリマー表面薄層は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むエラストマーポリオレフィン、エラストマーポリオレフィン配合物、並びにそれらの組み合わせに基づくが、これらに限定されない、熱可塑性エラストマーを含んでもよい。本開示の他の実施形態では、ポリマー表面薄層は、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィンポリマー、並びにこれらの組み合わせに基づくが、これらに限定されない、熱可塑性ポリマーを含んでもよい。更に、本開示のある特定の実施形態の場合、ポリマー表面薄層は、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性ポリマーの組み合わせを含んでもよい。更に、A−B−C、A−B−A−B−A、及びA−B−C−B−A型の構成を含むがこれらに限定されない、他の多層フィルム構成もまた、本開示の範囲内である。更に、ポリマー表面の使用により、粘着防止効果を提供し、弾性部材が、それ自体、基材、又は処理装置に貼り付く傾向を軽減することができる。
【0087】
更に、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等のある特定の成分に対する弾性部材の抵抗を、弾性部材の外表面上に組み込まれた粒子材料の使用を通じて、増加させることが可能である。本開示のある特定の実施形態の場合、好適な粒子材料には、タルク、炭酸カルシウム、粘土、二酸化チタン、リン酸三カルシウム、及びシリカ、例えば、Evonik Degussa Corporation,Piscataway,NJから入手可能なAerosil(登録商標)90等の無機鉱物、デンプン及びセルロース等の有機粒子、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、粒子材料の使用はまた、粘着防止効果を提供し、弾性部材がそれ自体、基材、又は処理装置に貼り付く傾向を軽減することができる。
【0088】
更に、ベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等のある特定の成分に対する弾性部材の抵抗を、弾性部材の外表面上に流体又は溶融状態で適用された粘着防止剤の使用を通じて、増加させることが可能である。本開示のある特定の実施形態の場合、好適な粘着防止剤及び粘着防止剤を塗布するのに好適な手順は、Arman Ashraf及びDaniel Steven Wheelerの名の下に2006年4月28日に出願された、米国特許出願第11/413,483号及び同第11/413,545号に開示され、それぞれ、2005年4月29日に出願された米国特許仮出願第60/676,755号及び同第60/676,275号の利益を主張する。
【0089】
伸張性積層体10での使用に好適な基材14(
図1A〜Eに示される)には、不織布、織布、編布、フィルム、フィルム積層体、有孔フィルム、不織布積層体、スポンジ、発泡体、スクリム、及び任意のそれらの組み合わせが含まれる。好適な基材は、天然材料、合成材料、又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでもよい。吸収性物品、並びに特におむつ及び類似製品、で使用するために、基材14は一般に、順応性があり、触感が柔らかく、着用者の皮膚を刺激しない。特定の実施形態では、基材14には、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ、カード加工ウェブ、及びこれらの組み合わせ(例えば、スパンボンド−メルトブローン複合品及び変異品)等の、不織布ウェブが含まれてもよい。
【0090】
基材14の寸法は、一般に、伸張性積層体10を必要とする最終用途によってのみ制限される。
【0091】
本開示の伸張性積層体10実施形態は、特有の弾性及び回復特性を示し得る。伸張性積層体10は、2サイクルヒステリシス試験によって測定されるように、37℃で約0.16N/(g/m)を超える正規化された荷重除去力を示し得る。37℃で約0.12N/(g/m)未満の正規化された荷重除去力は、吸収性物品内のエラストマーとして使用するのに不十分であり得る。37℃で0.12N/(g/m)未満の正規化された荷重除去力を有する積層体は、吸収性物品を着用者の皮膚に心地よく密着させて保持することが不可能であり得る。ある特定の実施形態において、伸張性積層体10は、37℃で約0.24N/(g/m)を超える正規化された荷重除去力を示し得るか、又は37℃で約0.36N/(g/m)を超える正規化された荷重除去力を示し得るか、又は37℃で約0.48N/(g/m)を超える正規化された荷重除去力を示し得るか、又は37℃で約0.60N/(g/m)を超える正規化された荷重除去力を示し得る。
【0092】
従来の伸張性積層体(すなわち、おむつを含む吸収性物品においてよく見られるもの等)は、22℃で15秒間の回復後に最小の伸長後ひずみを示し得る。定性的には、従来型伸張性積層体は、「跳ね戻り」(すなわち、伸張状態からの解放後、比較的急速に収縮)を示す。対照的に、本発明の緩回復型伸張性積層体(SRSL)10は、伸張後回復試験によって測定されるように、22℃で15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約10%以上の回復を示し得る。他の実施形態では、SRSL 10は、22℃で15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約20%以上の回復を示し得る。他の好適な実施形態において、SRSL 10は、22℃で15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約30%以上の回復を示し得る。他の好適な実施形態において、SRSL 10は、22℃で15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約40%以上の回復を示し得る。
【0093】
更に、本開示のSRSL 10実施形態は、22℃で30秒後、60秒後、又は3分後に、当初ひずみに対して特定のパーセントの回復を示し得る。特定の実施形態では、SRSL 10は、22℃において30秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約10%以上の回復を示してもよい。他の実施形態において、SRSL 10は、22℃で30秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約15%以上の回復を示し得る。他の実施形態において、SRSL 10は、22℃において60秒後に、当初ひずみに対するパーセントが約10%以上の回復を示してもよい。
【0094】
SRSL 10は、温度敏感性を示してもよい。ある特定の実施形態において、SRSL 10は、37℃で特定の回復時間後に、22℃で同一の回復時間後に示される当初ひずみに対するパーセント未満の当初ひずみに対するパーセントを示し得る。一実施形態では、温度に敏感なSRSL 10は、22℃にて15秒後に示される当初ひずみに対するパーセントと比較して、37℃において15秒後の当初ひずみに対するパーセントの低下を示してもよい(すなわち、[22℃において15秒後の回復の当初ひずみに対するパーセント]−[37℃において15秒後の回復の当初ひずみに対するパーセント])。幾つかの実施形態では、差異が5%と等しいか又はそれ以上である。他の実施形態では、SRSL 10は、37℃で15秒後と比較して、22℃で15秒後において10%、20%、30%、又は40%以上の当初ひずみに対するパーセントの差を示し得る。温度応答性を示すSRSL 10が、おむつの適用を更に促進し得ると考えられる。おむつがほぼ室温(すなわち約22℃)で当てられるとき、SRSL 10は、処方された時間は当初ひずみに対して比較的高いパーセントを示すことができ、これにより、介護人又は着用者がおむつを当てることが可能になる。おむつを当てた後、SRSL 10の温度は、着用者の皮膚と密接しているため上昇するであろう。SRSL 10の温度が上昇し、体温(すなわち、約37℃)に近づくと、当初ひずみに対するパーセントが低下する。温度応答性により、「反発」なしにおむつを適用すると共に、適用後の回復を向上させることが可能になる。
【0095】
SRSL 10は、様々な消費者用及び市販製品に利用できる。しかしながら、SRSL 10は、吸収性物品の中で、特におむつ等の使い捨て吸収性物品で、特別の効果を有する。SRSL 10は、様々な領域で又は様々な物品要素に使用して、吸収性物品に弾性特性を提供することができる。本開示のSRSL 10実施形態を、米国公開第2005−0273071号、同第2005−0171499号、同第2007−0191806号、同第2004−0162538号、及び同第2005−0095942号に記載の吸収性物品に組み込むことが望ましくあり得る。
【0096】
本開示の別の実施形態は、上に開示される吸収性物品のうちのいずれかを適用する方法を対象とする。吸収性物品が、着用者に適用されるために、介護人に提供されてもよい。吸収性物品は、SRSLを含む伸張性積層体が弛緩した実質的に無張力の状態であるように、圧縮状態であってもよい。介護人が、吸収性物品を伸張し、これにより伸張性積層体が拡大されて張力がかかってもよい。適用する準備に際して、その物品は一般に伸張される。吸収性物品は、有効時間中には、機能的に伸ばされた状態を維持することができる。一実施形態では、その物品は、介護人が物品を着用者に適用するのに必要とされる十分な時間、伸ばされた状態を維持してもよい。従来のおむつ(SRSLを含まない)では、伸張後におむつを解放するとき、おむつは、多くの場合、それを着用者にうまく適用することができる前に収縮し、かつ/又は折り重なる。一実施形態において、SRSLは、22℃で15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが10%以上の回復を示し得る。適用後、物品は収縮し続けて、ぴったり合った理想的な装着を提供することができる。
【0097】
別の実施形態では、上で開示されたような複数の吸収性物品が、キットにパッケージされてもよい。一般に、キットにより、多数の吸収性物品が、空間を節約並びに輸送及び貯蔵を簡単化しながら、消費者まで供給されて購入されることが可能になる。キットは、物品がアクセス可能(例えば、蓋の開放、パネルの除去等)になるように、活性化を必要としてもよい。一実施形態では、キットは、米国特許第5,934,470号にて開示されるように、統一体として共に束ねられて熱可塑性フィルムの外装により覆われた多数の吸収性物品によって定義される。熱可塑性フィルムのカバーは、開口手段を有して、熱可塑性フィルムカバーの一部の取去り及び物品へのアクセスを可能にしてもよい。開口手段は、熱可塑性フィルムカバー内の穿孔を含む、実質的に連続した脆弱な線を含んでもよい。使用することができる開口手段は、米国特許出願第5,036,978号に提示されている。
【0098】
1つのキット実施形態が上で説明されたが、キットに対する他の変形形態も明瞭に想定される。外装は、様々な材料を含んでもよく、熱可塑性フィルム、不織布、織布、箔、布地、紙、厚紙、弾性体、ひも、帯、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。この外装は、完全に又は部分的に、複数個の吸収性物品を縛ってもよい及び/又は覆ってもよい。他の有用なパッケージ及びパッケージング方法は、米国特許第5,050,742号及び同第5,054,619号に開示されている。更に、キットは、複合的な外装を有してもよい。例えば、本開示の複数の吸収性物品を、熱可塑性フィルム外装でパッケージ化し、その後、複数のフィルムで包装されたプルオン衣料を段ボール箱内に重ねるか、又は第2の熱可塑性フィルム外装でパッケージ化することができる。その上、キットは、専用の開口手段を有さなくてもよい。例えば、穿孔の無い熱可塑性フィルムの外装が、フィルムの引き裂きにより簡単に開けられてもよい。
【0099】
試験方法
伸張後の回復
本方法を使用して、温度及び時間の関数として、伸張性積層体の伸長後ひずみを決定し、かつ以下に記載のある特定の変形例を用いて、温度及び時間の関数として、エラストマーの伸長後ひずみを決定する。測定は、22℃(72°F)又は37℃(99°F)で行われる。22℃(72°F)での測定は、室温での伸張性積層体(又はエラストマー)の回復をシミュレートするように設計され、一方で、37℃(99°F)での測定は、ほぼ体温での伸張性積層体(又はエラストマー)の回復を測定するように設計される。他の試験温度は、本方法の範囲内であり、ほぼ皮膚温(32℃)での伸張性積層体(又はエラストマー)の回復を含むが、それらに限定されない。伸張及び回復の2段階分析が、サンプルに対して実施される。本方法は、動的機械的分析器(Dynamic Mechanical Analyzer)を使用する。デラウエア州ニューキャッスル(New Castle, Delaware)のTAインスツルメンツ社(TA Instruments, Inc.)から入手可能なTAインスツルメンツDMA Q800(以降では「DMA Q800」)が本明細書で使用され、これは、フィルムクランプ、データ獲得のためのサーマルアドバンテージ(Thermal Advantage)/サーマルソリューションズ(Thermal Solutions)ソフトウェア、及びデータ分析のためのユニバーサル・アナリシス(Universal Analysis)2000ソフトウェアを装備していた。多数の他のタイプのDMA装置が存在しており、動的機械的分析の使用は、ポリマー及びコポリマーの特性決定技術の当業者には周知である。
【0100】
DMA Q800を用いるための操作法、較正、及び指針は、2007年7月に発行されたTA Instruments DMA Q800 Getting Started Guide、2004年2月に発行されたThermal Advantage Q Series(商標)Getting Started Guide、及び2004年5月に発行されたUniversal Analysis 2000 guideで見出される。DMA Q800の使用に慣れた者には、下記の運転上の実行条件が、サンプルの伸張及び回復を模倣するのに十分なはずである。
【0101】
DMA Q800は、フィルムクランプで「制御された力モード」にて運転するように構成された。フィルムクランプは、DMA Q800上に取り付けられ、ユーザー・リファレンス・ガイドに従って較正される。試験される伸張性積層体(又はエラストマー)は、実質的に均一の寸法の試料に切り取られる。DMA Q800の場合、好適なサンプル寸法は、約20mm×6.4mm×1.0mm(長さ×幅×厚さ)である。伸張性積層体の試料厚さは、伸張性積層体の材料及び構造、並びに厚さの測定に使用される封圧に依存している。TAインスツルメンツ(TA Instruments)は、フィルムクランプ内に確実に取り付けられたときのサンプル厚さが約2.0mm以下であるように推奨している。DMA Q800の下側フィルムクランプは、クランプ面間が約10mmとなる位置に調節されて固定される。サンプルがフィルムクランプ内に取り付けられ、下側クランプが浮遊のままとされて、フィルムクランプ間のゲージ長さが決定される。本方法に引用したサンプルは、SRSLが上側クランプから下側クランプへ延びる必要があるものと理解するべきである。サンプルID及び寸法が記録される。フィルムクランプが適切な位置に固定されて、ファーネスが密閉される。
【0102】
伸張方法−上で指定された試料寸法の場合、DMA Q800は、以下のように設定される:クランプ内の試料に印加される前荷重力(0.01N);試験開始時、自動ゼロ変位(オン);炉(閉)、クランプ位置(ロック)、及び伸張方法終了時、T
i(22℃又は37℃)で温度保持。データ受入れ率は、0.5Hzに設定される(2秒毎に1点)。伸張方法がDMA Q800に読み込まれる。本方法のセグメントは、(1)当初温度T
i(22℃又は37℃)、(2)T
iに平衡、(3)データ記憶オン、及び(4)勾配力5.0N/分〜18.0Nである。
【0103】
試験開始時、温度を指定のT
i(22℃又は37℃)まで昇温させ[方法セグメント1]、温度はこのT
iで維持される[方法セグメント2]。T
iにて最低15分間の後、操作者は、サンプル延伸及び同時にデータ採取を開始する[方法セグメント3及び4]。サンプルは、当初のサンプル幅1ミリメートル当たり0.8N/分の勾配力の適用により(例えば、上記に特定したサンプル寸法では、適用される勾配力は5N/分である)長さ約30mmに伸張される。力を徐々に増加することにより、物品を当てることがより精密に模擬され、及びサンプルの破断が防がれる。伸張長さ約30mmにおいて、サンプルは定位置に固定されて、T
iに維持される。積層体を約30mmの長さに伸張するのに必要とされた力とこの長さにおける積層体のパーセントひずみとが、計器上のデジタル読取りから手で記録される。パーセントひずみは、伸張長さからゲージ長さを引き、次にその結果をゲージ長さにより除して100を乗算することにより、計算される。当初のパーセントひずみは、以下の式により記述される:
当初のパーセントひずみ=%ひずみ
i=100
*[(Ls−L
g)/L
g]
式中、L
gは、伸張工程開始時のフィルムクランプ間の弛緩伸張性積層体(又はエラストマー)の集合的な長さであり、Lsは、本分析の伸張工程終了時のフィルムクランプ間の伸張した積層体(又はエラストマー)の長さ(約30mm)である。%ひずみ
iは、回復方法開始時(すなわち、本方法の伸張過程が完了した後)の伸張性積層体(又はエラストマー)のパーセントひずみである。ゲージ長さ10mmから長さ30mmに伸張されたサンプルでは、200%のパーセントひずみという結果になる。
【0104】
伸張性積層体は、不可逆的な変形、層間剥離、破断又は有意なパーセントのゆがみ(set)(すなわち、約10%を超えるゆがみ)を受けずに、200%ひずみの伸張性を示すことができないと思われる。このことは、おむつのサイドパネル、レッグカフス、及びウエストバンド等の市販製品から得た伸張性積層体の場合、特に当てはまる。例えば、比較的小さな力(<4N)が印加されるとき、伸張性積層体(約6.4mmの幅)を、100%ひずみ又は150%ひずみまで容易に伸張することができる。しかしながら、適用される力が継続して増大し、200%ひずみが達成された場合、伸張性積層体のパーセントひずみは安定水準に達し、更なる伸張は困難であり得、及び/又は伸張性積層体の不可逆的な変形、層間剥離、破断又は有意なパーセントゆがみ(すなわち、約5%を超えるゆがみ)が生じ得る。伸張性積層体の場合、当初のパーセントひずみ(%ひずみ
i)は、その値がパーセントを四捨五入するときに5で割ることができる目標のひずみをもたらさない場合、最大積層体ひずみ試験に従って決定される、5の倍数に四捨五入される平均最大パーセントひずみの70%と見なされる。例えば、平均最大パーセントひずみの70%が187.1%と等しい場合、この値は、パーセントを四捨五入したときに5で割ることができないため(187%)、当初のパーセントひずみは、190%と見なされる。また、例えば、平均最大パーセントひずみの70%が180.1%と等しい場合、この値は、パーセントを四捨五入したときに5で割ることができるため(180%)、ひずみのピークは、180%と見なされる。536%を超える平均最大パーセントひずみを有する積層体の場合、当初のパーセントひずみとして375%が使用される。エラストマー又はエラストマーフィルム(若しくは伸張フィルム)の場合、当初のパーセントひずみは、400%である。伸張工程開始時のフィルムクランプ間の弛緩積層体(又はエラストマー)の所要の集合的な長さを、上の当初のパーセントひずみ等式を用いて決定される当初のパーセントひずみから概算することができる。
【0105】
異なる寸法のサンプルの場合、サンプルを伸張するために付加される力は、当初サンプル幅のミリメートル当たり0.8N/分にて付加される勾配力を達成するように調節される。例えば、当初幅が3.2mmのサンプルに対しては、2.5N/分の勾配力が付加される。
【0106】
回復方法−回復方法が計器に搭載され、伸張方法において所望の当初のパーセントひずみ(%ひずみ
i)に到達してから約15秒後に開始される。回復方法の4つのセグメントは、(1)データ記憶オン、(2)力0.01N、(3)T
iまで昇温、及び(4)3.0分間の等温である。DMA Q800の次のパラメーター設定が伸張方法から変更される:自動ゼロ変位を(オフ)に変更。回復方法は、指定の温度(T
i=22℃又は37℃のどちらか)において、3分間にわたってサンプルの長さを測定する。サンプル長さ、パーセントひずみ、及び試験温度が、回復時間に応じて記録される。伸張後ひずみが、種々の時間(15秒間、30秒間、60秒間及び3分間)後の回復の当初パーセントひずみに対するパーセントとして報告される。例えば、当初のパーセントひずみが400%であり、22℃で15秒後にパーセントひずみが50%である場合、22℃で15秒後の当初ひずみに対するパーセントは、12.5%(=100×50%/400%)と報告される。
【0107】
異なる寸法試料の場合、回復中に試料に印加される力(上記セグメント2)を調整して、当初の試料幅の1ミリメートル当たり0.0016Nの印加力を得る(幅6.4mmの試料では0.01N)。例えば、3.2mm幅のサンプルに対して、0.005Nの力が付加される。
【0108】
最大積層体ひずみ
最大積層体ひずみは、伸張性積層体が不可逆的変形、層間剥離、引裂、又は著しいパーセントのゆがみ(すなわち、5%を超えるゆがみ)を維持し得るひずみである。ASTM D 882に記載の引張試験等の引張試験において、最大積層体ひずみは、引張ひずみの増加を伴う引張力の比較的急な増加に関連し得る(非常に小さいひずみ、多くの場合、約15パーセント未満の工学的ひずみで生じる当初の増加を含まない)。
【0109】
引張試験を室温(約22℃)で行う。試験される伸張性積層体が、実質的に直線寸法のサンプルに切断される。サンプル寸法は、計器に適切な力で必要な歪が達成されるように選定される。この試験に好適な計器には、MTS Systems Corp.,Eden Prairie,Minnの引張試験装置(例えば、Alliance RT/1若しくはSintech 1/S)、又はInstron Engineering Corp.,Canton,Massの引張試験装置が含まれる。上に列挙されるAlliance RT/1又はSintech 1/S計器のいずれかの場合、好適な試料寸法は、幅約16ミリメートル×長さ約75ミリメートルである。
【0110】
以下の手順は、上の試料寸法及びAlliance RT/1又はSintech 1/Sのいずれかを用いたときの測定を説明する。計器をコンピュータに接続する。TestWorks 4(商標)ソフトウェアが、試験パラメーターを制御し、データ獲得及び計算を実施して、グラフ及びデータの報告を提供する。
【0111】
試験に使用するグリップの幅は、試料の幅以上である。幅2.54cm(1インチ)のグリップを使用することができる。保持具は、全保持力を試験応力の方向に垂直な単一の線に沿って集中させるように設計された、1つの平坦面と対向面を有する空気圧式の保持具であり、対向面からは、サンプルの滑りを最小限に抑えるための半円形(半径=6mm)が突出している。
【0112】
ロードセルは、測定される力がロードセルの容量の10%〜90%、又は使用される荷重範囲となるように選定される。25ニュートンのロードセルが適切であり得る。装備品及びグリップが取り付けられる。計器が、製造者の指示書に従って較正される。把持力の線の間の距離(ゲージ長さ)は、25.4ミリメートル(1.0インチ)であり、これは、グリップの脇に保持された鋼定規を用いて測定される。装備品及びグリップの質量を補正するために、計器上の負荷読み取り値がゼロにされる。試料は、試験前に約22℃で最低1時間平衡化される。たるみがなく、かつ測定される荷重が0.00ニュートン〜0.02ニュートンであるような様式で、試料をグリップ内に装着する。約22℃及び50.8cm/分(1分間当たり20インチ)のクロスヘッド速度で測定を行うために、計器を恒温室内に設置する。試験を開始し、試料が破れるまで50.8cm/分(20インチ/分)で伸長する。データ取得速度は、工学的ひずみが最大約40%のひずみでは200ヘルツであり、約40%を超えるひずみでは50ヘルツである。
【0113】
引張試験の出力は、試料ひずみ(工学的ひずみ)及び対応する引張力を含み、独創的な材料の例(積層体試料L2、表5)が、
図3に示される。低ひずみで引張力に小さい増加120があり得、積層体の一次伸張領域に対応する比較的平らな平坦領域121が続き、その後、伸張領域を過ぎると、試料ひずみの増加を伴って、測定された引張力に急な増加122がある。最大積層体ひずみは、引張力−ひずみ曲線上に描かれた2つの直線:(i)平坦領域124及び(ii)急増領域125の交点123と見なされる。降伏点降下(
図3に示されるもの等)を示す試料の場合、線124は、当初の増加領域120と急増領域122との間の最も高いひずみ値128での力−ひずみ曲線に対する接線であり、力−ひずみ曲線の勾配は、ゼロに等しい。降伏点降下を示さない試料の場合、線124は、当初の増加領域120と急増領域122との間のひずみ値での力−ひずみ曲線に対する接線であり、力−ひずみ曲線の勾配は、その最小値に達する。線125は、ひずみ点127での接線であり、力−ひずみ曲線の勾配は、急増領域122内のその第1のピーク値に達し、例えば、力−ひずみ曲線の第2の誘導体は、ゼロに等しい。上述のクロスヘッド速度及びデータ取得速度について、それぞれのひずみ点での接線は、以下の7つの力−ひずみデータ点:(i)特定のひずみにおける力−ひずみ値、(ii)特定のひずみ前の3つのひずみ点における力−ひずみ値、及び(iii)特定のひずみ後の3つのひずみ点における力−ひずみ値を通る回帰直線の勾配と見なされる。1つの回帰線当たりのデータ点の数を2点ずつ増加及び減少させる際に、例えば、1つの回帰線当たり7点から1つの回帰線当たり9点にデータ点の数を増加させる際に、1つの回帰線当たりのデータ点の数を、交点123におけるひずみ値に5%未満の変化が存在するように選択し、すべての場合において、線形回帰分析に含まれる特定のひずみ前後に等しい数のデータ点が存在するように回帰を設定する。それぞれの伸張性積層体の最低5つの試料を最大積層体ひずみについて測定し、算術平均を最大積層体ひずみとして報告する。
【0114】
エラストマーの2サイクルヒステリシス試験
この方法を用いて、緩回復型伸張性積層体を含有する製品の適用中に消費者が経験する力、並びに適用時の製品の適合性及び性能性の程度と相関し得る積層体の特性を決定する。
【0115】
2サイクルヒステリシス試験方法を、室温(約22℃)で行い、体温(37℃)でも行う。試験される伸張性積層体が、実質的に直線寸法のサンプルに切断される。サンプル寸法は、計器に適切な力で必要な歪が達成されるように選定される。この試験に好適な計器には、MTS Systems Corp.,Eden Prairie,Minnの引張試験装置(例えば、Alliance RT/1若しくはSintech 1/S)、又はInstron Engineering Corp.,Canton,Massの引張試験装置が含まれる。上に列挙されるAlliance RT/1又はSintech 1/S計器のいずれかの場合、好適な試料寸法は、幅約16ミリメートル×長さ約75ミリメートルである。試料の厚さは、伸張性積層体の材料及び構造、並びに厚さを測定するために用いる封圧に依存している。試料の厚さは、0.5ミリメートル〜5ミリメートルの厚さであってもよく、1.38kPa(1平方インチ当たり0.2ポンド)の封圧で測定される。しかしながら、異なる厚さ(例えば、0.5ミリメートル未満又は5ミリメートル超)を有する伸張性積層体の試験は、この方法の範囲内である。
【0116】
以下の手順は、上の試料寸法及びAlliance RT/1又はSintech 1/Sのいずれかを用いたときの測定を説明する。計器をコンピュータに接続する。TestWorks 4(商標)ソフトウェアが、試験パラメーターを制御し、データ獲得及び計算を実施して、グラフ及びデータの報告を提供する。
【0117】
試験に使用するグリップの幅は、試料の幅以上である。幅25.4ミリメートル(1インチ)のグリップを使用してもよい。保持具は、全保持力を試験応力の方向に垂直な単一の線に沿って集中させるように設計された、1つの平坦面と対向面を有する空気圧式の保持具であり、対向面からは、サンプルの滑りを最小限に抑えるための半円形(半径=6mm)が突出している。
【0118】
ロードセルは、測定される力がロードセルの容量の10%〜90%、又は使用される荷重範囲となるように選定される。25ニュートンのロードセルを用いてもよい。装備品及びグリップが取り付けられる。計器が、製造者の指示書に従って較正される。把持力線の間の距離(ゲージ長さ)は、63.5ミリメートル(2.50インチ)であり、別途明記されない限り、グリップの脇に保持される鋼定規で測定される。装備品及びグリップの質量を補正するために、計器上の負荷読み取り値がゼロにされる。試料は、試験前に約22℃で最低1時間平衡化される。別途明記されない限り、たるみがなく、かつ測定される荷重が0.00ニュートン〜0.02ニュートンであるような様式で、試料をグリップ内に装着する。測定を22℃で行うために、計器を温度制御された部屋に設置する。測定を37℃で行うために、好適な環境試験室を用いて試験温度を維持し、試料をグリップ内に装着し、試験開始前に37℃で5分間平衡化する。
【0119】
異なるソースからの伸張性積層体は、異なるひずみを有してもよく、その上で、不可逆的変形、層間剥離、引裂、又は著しいパーセントのゆがみ(すなわち、5%を超えるゆがみ)が生じ始める。これは、おむつのサイドパネル、レッグカフ、及びウエストバンド等の市販の製品から得られる伸張性積層体、並びに内部で作製される伸張性積層体、例えば、実施例に開示の積層体調製方法に従って作製される伸張性積層体にも当てはまる。積層体試料の2サイクルヒステリシス試験のために、試験ひずみのピーク(%ひずみ
ピーク)は、その値が四捨五入するときに5で割ることができる目標のひずみをもたらさない場合、最大の積層体ひずみ試験に従って決定される、5の倍数に四捨五入される平均最大パーセントひずみの70%と見なされる。例えば、平均最大パーセントひずみの70%が187.1%と等しい場合、この値は、パーセントを四捨五入したときに5で割ることができないため(187%)、ひずみのピークは、190%と見なされる。また、例えば、平均最大パーセントひずみの70%が180.1%と等しい場合、この値は、パーセントを四捨五入したときに5で割ることができるため(180%)、ひずみのピークは、180%と見なされる。536%を超える平均最大パーセントひずみを有する積層体の場合、ひずみのピークとして375%が使用される。
【0120】
フィルム試料の2サイクルヒステリシス試験方法は、以下の工程を含む(すべてのひずみは工学的ひずみである):
(1)1分間当たり50.8センチメートル(1分間当たり20インチ)の一定したクロスヘッド速度で、保持することなく、試料に規定のひずみパーセントのピーク(%ひずみ
ピーク)のひずみを与える。
(2)1分間当たり7.62センチメートル(1分間当たり3インチ)の一定したクロスヘッド速度で、保持することなく、ひずみを0%ひずみまで低減させる(すなわち、グリップを最初のゲージ長さ2.50インチに戻す)。
(3)1分間当たり50.8センチメートル(1分間当たり20インチ)の一定したクロスヘッド速度で、保持することなく、試料に%ひずみ
ピークのひずみを与える。
(4)1分間当たり7.62センチメートル(1分間当たり3インチ)の一定したクロスヘッド速度で、ひずみを、規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第1の保持ひずみまで低減させる。
(5)規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第1の保持時間、試料を工程(4)のひずみで保持する。
(6)1分間当たり7.62センチメートル(1分間当たり3インチ)の一定したクロスヘッド速度で、規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第2の保持ひずみまでひずみを低減させる。
(7)規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第2の保持時間、工程(6)のひずみで試料を保持する。
(8)1分間当たり7.62センチメートル(1分間当たり3インチ)の一定したクロスヘッド速度で、規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第3の保持ひずみまでひずみを低減させる。
(9)規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第3の保持時間、工程(8)のひずみで試料を保持する。
(10)1分間当たり7.62センチメートル(1分間当たり3インチ)の一定したクロスヘッド速度で、規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第4の保持ひずみまでひずみを低減させる。
(11)規定の%ひずみ
ピークについて表1に列記される第4の保持時間、工程(10)のひずみで試料を保持する。
(12)1分間当たり7.62センチメートル(1分間当たり3インチ)の一定したクロスヘッド速度で、0%ひずみにする。
【0121】
試験%ひずみ
ピークが60%以上であり、かつ工程(5)、工程(7)、工程(9)、又は工程(11)の保持ひずみのうちの1つが60%と等しい積層体の場合、報告される荷重除去力は、保持期間後、60%ひずみで伸張性積層体(SL)の測定される荷重除去力であり、以下の等式に示されるように、SLの幅1メートル×SL中のエラストマー+接着剤(E+A)の1平方メートル当たり1グラムの坪量当たりのニュートン、N/(m・gsm)=N/(g/m)に正規化される。SL中の弾性体及び接着剤の坪量は、SL中のエラストマー+接着剤のグラムを完全に伸長したSLの面積で割って計算される。完全に伸ばされた伸張性積層体の面積(A
FESL)は、弾性体及び接着剤が存在しない伸張性積層体の基材の面積として定義される。正規化した荷重除去力N/(m・gsm)=N/(g/m)=
【数1】
【0122】
それぞれの材料につき最低5つの試料を試験し、60%ひずみで正規化された荷重除去力の算術平均を報告する。
【0123】
試験%ひずみ
ピークが60%以上であり、かつ工程(5)、工程(7)、工程(9)、又は工程(11)の保持ひずみのうちいずれも60%に等しくない積層体の場合、報告される荷重除去力は、隣接したひずみで荷重除去力の間を直線的に補間し、その後、上の等式に従って正規化することによって得られる、60%ひずみでの伸張性積層体の補間荷重除去力である。例えば、%ひずみ
ピークが180%である場合、表1に従って、工程(5)、工程(7)、工程(9)、及び工程(11)の保持ひずみは、それぞれ、100%、75%、50%、及び30%であり、60%での荷重除去力は、例えば、以下の関係を用いて、保持期間後に工程(7)及び工程(9)で得られる荷重除去力の間を直線的に補間することによって決定されるであろう。
【数2】
式中、UL
60は、保持期間後、60%ひずみでの荷重除去力であり、UL
60+及びUL
60−は、それぞれ、保持期間後、60%ひずみをほんの少し上回る保持ひずみ及び60%ひずみをほんの少し下回る保持ひずみでの荷重除去力であり、HS
60+及びHS
60−は、それぞれ、60%ひずみをほんの少し上回る保持ひずみ及び60%ひずみをほんの少し下回る保持ひずみである。したがって、上の例において、保持後75%ひずみでの工程(7)の荷重除去力が1.04ニュートンであり、保持後50%ひずみでの工程(9)の荷重除去力が0.78ニュートンである場合、保持期間後の60%ひずみでの補間荷重除去力は、0.88ニュートンである。
【数3】
【0124】
次いで、補間荷重除去力を、上の等式に従って正規化する。それぞれの材料につき最低5つの試料を試験し、60%ひずみで正規化された補間荷重除去力の算術平均を報告する。
【0125】
試験%ひずみ
ピークが60%未満である積層体の場合、報告される荷重除去力は、保持期間後の工程(5)の伸張性積層体の測定される荷重除去力であり、上の等式に従って正規化される。それぞれの材料につき最低5つの試料を試験し、保持期間後の工程(5)からの正規化された荷重除去力の算術平均を報告する。サンプル寸法が異なる場合、クロスヘッド速度が、試験の各部分に対して適切な歪速度を維持するように調節される。例えば、ゲージ長さが31.7ミリメートル(1.25インチ)の試料において、1分間当たり25.4センチメートル(1分間当たり10インチ)のクロスヘッド速度を、工程1及び工程3で使用し、1分間当たり3.81センチメートル(1分間当たり1.5インチ)のクロスヘッド速度を、工程4、工程6、工程8、工程10、及び工程12で使用する。
【表1-1】
【表1-2】
【0126】
油曝露方法(Oil Exposure Method)
この方法を使用して、弾性部材又は緩回復型エラストマーを含む緩回復型伸張性積層体を、過剰な鉱油、及び多くのベビーオイル、ローション、ゲル、クリーム等の一般的な成分である、過剰なパルミチン酸イソプロピルに曝露することの影響を判定する。伸張性積層体又は弾性部材のいずれかの少量の試料(〜0.1グラム)を、2つの清潔なバイアル瓶のそれぞれに設置する。1つのバイアル瓶に、約10mlの鉱油(Crompton Corporation,Petrolia,PAから入手可能なBritol(登録商標)50T)を添加し、2つ目のバイアル瓶に、約10mlのパルミチン酸イソプロピル(90+%グレード、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから入手可能)を添加する。試料を、鉱油又はパルミチン酸イソプロピルに完全に濡らすか、又は浸すために、内容物を穏やかに混合することが必要な場合もある。混合物を、室温(22℃)で30時間放置する。30時間後、各試料の目視観測を行い、無傷に留まっている思われる試料をすべてバイアル瓶から除去し、手で、例えば、それぞれの手で親指と人差し指との間に挟み、引き離したときの、その伸張能力を概算する。試料が、鉱油及びパルミチン酸イソプロピルの両方において、30時間後に無傷に留まる場合、並びに30時間後の試料が、鉱油及びパルミチン酸イソプロピルの両方から約50%を超える工学的ひずみの拡張を維持する場合、積層体又はエラストマーの試料は、油曝露方法を通過したと考えられる。鉱油を主成分として記載している市販のベビーオイル、例えば、米国でJohnson & Johnson,New Brunswick,NJから市販のJohnson’s Baby Oilを含む、他の鉱油は、この方法の範囲内である。
【実施例】
【0127】
実施例1.ポリマー分子量の決定
ポリマー数平均分子量及び分子量分布を、GPC SEC/MALSによって決定する。GPCは、Waters Alliance 2695 HPLC自動注入器を使用する。それは、3つのStyragel HRカラム(HR3、HR4、及びHR5)を含有する。カラム加熱器を30℃に設定する。流量は1.0mL/分であり、移動相は、Sigma−Aldrich Inc.,St.Louis,MOから入手可能なHPLCグレードのテトラヒドロフランである。検出器は、トルエンで較正され、かつ移動相内で100キロダルトンのポリスチレン(Polysciences,Inc.,Warrington,PAから入手可能な分子量標準)を用いて正規化されたWyatt Dawn EOS光散乱検出器、及び30℃でのWaters 2414屈折率検出器である。分析のための試料を、既知の濃度、2mg/mLで調製する。試料を、0.45μmのナイロン膜フィルタを用いて濾過する。注入量は、100μlである。ASTRA 5.3.2.15を用いてデータを収集及び分析する。dn/dcの値を屈折率追跡から計算し、100%の質量回復を想定する。
【0128】
実施例2.スチレンモノマー精製
スチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)を、窒素雰囲気下で活性アルミナ(Sigma−Aldrichから入手可能)カラムを通過させることによって精製して阻害物質を除去し、その後、窒素を充填し、かつゴム隔膜を装着したきれいな乾燥した丸底フラスコにスチレンを添加する。
【0129】
実施例3.ランダム化触媒
ランダム化触媒を、50mlのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能なPRAグレード)中に溶解した1グラムのカリウム金属(Sigma−Aldrichから入手可能)と1.16グラムの2,3−ジメチル−3−ペンタノール(Sigma−Aldrichから入手可能)との反応により生成する。
【0130】
実施例4.t−ブチルスチレンの精製
tert−ブチルスチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)を、窒素雰囲気下で活性アルミナ(Sigma−Aldrichから入手可能)カラムを通過させることによって精製して阻害物質を除去し、その後、窒素を充填し、かつゴム隔膜を装着したきれいな乾燥した丸底フラスコにt−ブチルスチレンを添加する。
【0131】
実施例5.水素化触媒
水素化触媒を、0.345グラムのニッケル(2−ヘキサン酸エチル)(0.001モル)(Sigma−Aldrichから入手可能)を30mLのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能なPRAグレード)中に溶解して調製する。これに、3mLのトリエチルアルミニウム(0.003モル)(Sigma−Aldrichから入手可能なヘキサン中1.0M)を添加して、黒色のニッケル触媒分散物を得る。
【0132】
実施例6.硝酸アセチルの調製
硝酸アセチルの溶液を以下のように調製する。600mlの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)に320グラムの無水酢酸(Sigma Aldrichから入手可能)を添加し、これを0℃まで冷却する。温度を0℃で保持しながら、これに100グラムの硝酸(Sigma−Aldrichから入手可能)を緩徐に添加する。これを0℃で60分間反応させる。
【0133】
実施例7.ポリスチレンブロックコポリマーとイソプレン軟ブロックとの合成。
【0134】
きれいな反応器に60℃で、3リットルのシクロヘキサン(Sigma Aldrichの農薬残留分析(PRA)グレード)及び60グラムのスチレン(実施例2で精製したもの)を添加する。これを、黄色が持続するまでs−ブチルリチウム(Sigma−Aldrichから入手可能)で滴定し、5ミリモルのs−ブチルリチウムを添加して、所望の分子量を得る。20分後、試料を採取し、280グラムのイソプレン(Sigma−Aldrichから入手可能)を反応器に添加する。温度を60℃で維持しながら、これを45分間反応させる。分析のために試料を採取し、60グラムのスチレン(実施例2で精製したもの)を添加する。20分後、反応を脱気メタノールで停止する。分析のために試料を採取し、0.1重量パーセントのIrganox 1010(BASFから入手可能)で安定させ、真空乾燥させる。
【0135】
ポリマー溶液を、激しく撹拌しながら大過剰のメタノールに注いで沈殿させる。ポリマー沈殿物を濾過し、Irganox 1010を添加してポリマーを安定させ、その後、真空乾燥させる。
【0136】
実施例1の方法によるGPC分析は、Mn=12.8キロダルトンの数平均分子量及びMw/Mn=1.08の分子量分布を有する第1のブロック、80.0キロダルトンの数平均分子量及びMw/Mn=1.02の分子量分布を有する最後の三元ブロック、並びに27重量パーセントのスチレン及び73重量パーセントのイソプレンの全体組成を示す。
【0137】
実施例8.ポリスチレンブロックコポリマーとイソプレン軟ブロックとの水素化
実施例7から得られる300グラムのポリマーを2500mLのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichの農薬残留分析(PRA)グレード)中に溶解する。この溶液を通して窒素を2分間泡立てることによって溶液を脱気する。この溶液を圧力反応器に添加し、実施例5から得られる水素化触媒を添加し、激しい撹拌(500rpm)を提供しながら0.35MPa(50psi)の水素圧力を維持する。水素化を16時間実行し、その時点で、ポリマー溶液を反応器から取り除き、1リットルの0.5モルHCl溶液を有する瓶に入れる。黒色の触媒が酸化し、ポリマー溶液が透明になるまで、これを激しく撹拌して混合する。混合物を2つの層内に沈着させ、水層を廃棄する。ポリマー/シクロヘキサン溶液に、1リットルの0.5M水酸化ナトリウム水溶液(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加する。これを5分間激しく混合し、その後、2つの層内に沈着させる。水層を廃棄し、ポリマー/シクロヘキサン層を0.1重量パーセントのIrganox 1010(BASFから入手可能)で安定させ、その後、ポリマー溶液を乾燥させて、ポリマーを単離する。乾燥したポリマーのNMR分析は、イソプレン二重結合の約100%の水素化を示す。
【0138】
実施例9.ポリスチレンブロックコポリマーとエチレン/プロピレン軟ブロックとのニトロ化
実施例8から得られる50グラムのポリマーを、20mLの無水酢酸(Sigma−Aldrichから入手可能)とともに、500mLの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に0℃で溶解し、これに、実施例6から得られる129mLの硝酸アセチルを添加する。この混合物を0℃で120分間反応させ、3リットルのメタノール中に溶液を沈殿させて反応を停止する。元素分析は、30%程度のニトロ化を示す。
【0139】
実施例10.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムスチレン−イソプレン軟ブロックとの合成
きれいな反応器に60℃で、3リットルのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichの農薬残留分析(PRA)グレード)及び60グラムのスチレン(実施例2で精製したもの)を添加する。これを、黄色が持続するまでs−ブチルリチウム(Sigma−Aldrichから入手可能)で滴定し、5ミリモルのs−ブチルリチウムを添加して、所望の分子量を得る。続いて、実施例3から得られる0.2ミリモル(1mL)のランダム化触媒の添加を添加する。20分後、試料を採取し、95グラムのイソプレン(Sigma−Aldrichから入手可能)及び85グラムのスチレン(実施例9で精製したもの)を反応器に添加する。温度を50℃で維持しながら、これを45分間反応させる。分析のために試料を採取し、40グラムのスチレン(実施例2で精製したもの)を添加する。20分後、反応を脱気メタノールで停止する。分析及び試験のために20グラムの試料を採取し、0.1重量パーセントのIrganox 1010(BASFから入手可能)で安定させ、真空乾燥させる。
【0140】
実施例1の方法による最後の三元ブロックのGPC分析は、Mn=65キロダルトンの数平均分子量及びMw/Mn=1.03の分子量分布を示す。
【0141】
実施例11.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムスチレン−イソプレン軟ブロックとの水素化
実施例10から得られる150グラムのポリマーを2500mLのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichの農薬残留分析(PRA)グレード)中に溶解する。この溶液を通して窒素を2分間泡立てることによって溶液を脱気する。この溶液を圧力反応器に添加し、実施例5から得られる水素化触媒を添加し、激しい撹拌(500rpm)を提供しながら0.35MPa(50psi)の水素圧力を維持する。水素化を16時間実行し、その時点で、ポリマー溶液を反応器から取り除き、1リットルの0.5モルHCl溶液を有する瓶に入れる。黒色の触媒が酸化し、ポリマー溶液が透明になるまで、これを激しく撹拌して混合する。混合物を2つの層内に沈着させ、水層を廃棄する。ポリマー/シクロヘキサン溶液に、1リットルの0.5M水酸化ナトリウム水溶液を添加する。これを5分間激しく混合し、その後、2つの層内に沈着させる。水層を廃棄し、ポリマー/シクロヘキサン層を0.1重量パーセントのIrganox 1010(BASFから入手可能)で安定させ、その後、ポリマー溶液を乾燥させて、ポリマーを単離する。乾燥したポリマーのNMR分析は、イソプレン二重結合の約100%の水素化を示す。
【0142】
実施例12.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムスチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックとのニトロ化
実施例11から得られる50グラムのポリマーを、500mLの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に0℃で溶解し、それに、20mLの無水酢酸(Sigma−Aldrichから入手可能)及び実施例6から得られる129mLの硝酸アセチルを添加する。この混合物を0℃で120分間反応させ、3リットルのメタノール中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物を、容量が50/50のエタノール/水の溶液で更に洗浄し、その後、水に一晩浸す。その後、ポリマーをエタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0143】
実施例13.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムt−ブチルスチレン−イソプレン軟ブロックとの合成
きれいな反応器に20℃で、3リットルのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichの農薬残留分析(PRA)グレード)、2mLのテトラヒドロフラン(Sigma−Aldrichから入手可能)、及び60グラムのスチレン(実施例2で精製したもの)を添加する。これを、黄色が持続するまでs−ブチルリチウム(Sigma−Aldrichから入手可能)で滴定し、5ミリモルのs−ブチルリチウムを添加して、所望の分子量を得る。20分後、試料を採取し、132グラムのイソプレン(Sigma−Aldrichから入手可能)を、55グラムの精製t−ブチルスチレン(実施例4で調製されたもの)とともに反応器に添加する。温度を30℃で維持しながら、これを180分間反応させる。分析のために試料を採取し、40グラムのスチレン(実施例2で精製したもの)を添加する。20分後、反応を脱気メタノールで停止する。分析及び試験のために20グラムの試料を採取し、0.1重量パーセントのIrganox 1010(BASFから入手可能)で安定させ、真空乾燥させる。
【0144】
実施例1の方法による最後の三元ブロックのGPC分析は、Mn=80キロダルトンの数平均分子量及びMw/Mn=1.01の分子量分布を示す。
【0145】
実施例14.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムt−ブチルスチレン−5イソプレン軟ブロックとの水素化
実施例13から得られる200グラムのポリマーを2500mLのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichの農薬残留分析(PRA)グレード)中に溶解する。この溶液を通して窒素を2分間泡立てることによって溶液を脱気する。この溶液を圧力反応器に添加し、実施例5から得られる水素化触媒を添加し、激しい撹拌(500rpm)を提供しながら0.35MPa(50psi)の水素圧力を維持する。水素化を16時間実行し、その時点で、ポリマー溶液を反応器から取り除き、1リットルの0.5モルHCl溶液を有する瓶に入れる。黒色の触媒が酸化し、ポリマー溶液が透明になるまで、これを激しく撹拌して混合する。混合物を2つの層内に沈着させ、水層を廃棄する。ポリマー/シクロヘキサン溶液に、1リットルの0.5M水酸化ナトリウム水溶液を添加する。これを5分間激しく混合し、その後、2つの層内に沈着させる。水層を廃棄し、ポリマー/シクロヘキサン層を0.1重量パーセントのIrganox 1010(BASFから入手可能)で安定させ、その後、ポリマー溶液を乾燥させて、ポリマーを単離する。乾燥したポリマーのNMR分析は、イソプレン二重結合の約100%の水素化を示す。
【0146】
実施例15.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムt−ブチルスチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックとのニトロ化
実施例14から得られる50グラムのポリマーを、500mLの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に0℃で溶解し、それに、50mLの無水酢酸(Sigma−Aldrichから入手可能)及び実施例6で調製される138mLの硝酸アセチルを添加する。この混合物を0℃で120分間反応させ、5リットルのエタノール中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物をエタノールで更に洗浄し、一晩真空乾燥させる。
【0147】
実施例16.ポリスチレンブロックコポリマーとランダムエチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックとのニトロ化
25.4グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mLの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に0℃で溶解する。個別に、12.66グラムの塩素を凝縮して52.75グラムの塩化メチレンにする。この塩素溶液の12.66グラムをSepton溶液に添加し、室温(22℃)で混合させる。2日間反応させた後、15mLの無水酢酸をSepton溶液に添加し、これを1時間撹拌させる。100mLの塩化メチレン及び30.24グラムの無水酢酸の別個の溶液を作製し、0℃まで冷却し、その後、13.1グラムの硝酸を緩徐に添加する。このアセチル−硝酸塩の溶液をSepton溶液に滴加し、−10℃まで冷却する。全ての反応物を暗所に保管する。−10℃で2時間後、反応物を更に1時間反応させて0℃になるまで加温し、その後、それを沈殿させて3リットルのメタノールにする。この混合物を濾過し、容量が50/50のエタノール/水で洗浄し、その後、水に一晩浸す。翌日、これを濾過し、エタノールで洗浄し、その後、真空乾燥させる。
【0148】
実施例1の方法によるGPC分析は、Mn=85キロダルトンの数平均分子量及びMw/Mn=1.09の分子量分布を示す。元素分析は、32%程度のニトロ化を示す。
【0149】
実施例17.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するポリスチレンブロックコポリマーの塩素化
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に溶解する。別個に、12グラムの塩素(Sigma−Aldrichから入手可能)を、52.75グラムの塩化メチレン中に濃縮する。Septon溶液を、無灯でフラスコ内で0℃まで冷却し、2グラムの鉄粉(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加し、続いて12グラムの塩素を含有する溶液を30分間にわたり添加する。この混合物を0℃で更に30分間反応させ、次に3リットルのメタノール中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物を、容量が50/50のエタノール/水の溶液で更に洗浄し、その後、水に一晩浸す。その後、ポリマーをエタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0150】
実施例18.エチレン−エチレン/ポリスチレン軟ブロックを有するポリスチレンブロックコポリマーの臭素化(想定(Prophetic))
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlの塩化メチレン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に溶解し、これを0℃まで冷却し、暗所で保管する。2グラムの鉄粉(Sigma−Aldrichから入手可能)を、Septon溶液に添加し、25グラムの臭素(Sigma−Aldrichから入手可能)を、1時間にわたり滴下添加する。
【0151】
反応から生成されたHBrを、重炭酸ナトリウムを通して窒素をパージすることによって捕捉する。この混合物を0℃で30分間反応させ、次いで、反応物を1時間で50℃まで加熱し、3リットルのメタノール中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物を、容量が50/50のエタノール/水の溶液で更に洗浄し、その後、水に一晩浸す。その後、ポリマーをエタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0152】
実施例19.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するメチルエステル修飾されたポリスチレンブロックコポリマーの調製(想定)
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に溶解する。この溶液を0℃まで冷却し、20グラムのトリクロロアルミニウム(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加する。20グラムのクロロ酢酸メチル(Sigma−Aldrichから入手可能)を30分間にわたり滴下添加する。0℃で60分後、反応を1時間50℃で加熱し、次いで0℃で水中に注ぐことによって、生成物を分離する。固体を水中でpH 7まで洗浄し、次いで、エタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0153】
実施例20.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するベンジルエステル修飾されたポリスチレンブロックコポリマーの調製(想定)
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に溶解する。この溶液を0℃まで冷却し、20グラムのトリクロロアルミニウム(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加する。35グラムのクロロ酢酸ベンジル(Sigma−Aldrichから入手可能)を30分間にわたり滴下添加する。0℃で60分後、反応を1時間50℃で加熱し、次いで0℃で水中に注ぐことによって、生成物を分離する。固体を水中でpH 7まで洗浄し、次いで、エタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0154】
実施例21.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するポリスチレンブロックコポリマーにおけるニトリル基の芳香族置換(想定)
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlの二硫化炭素(Sigma−Aldrichから入手可能)中に0℃で溶解する。これに、35グラムのBrCN(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加し、続いて、250グラムの無水三塩化アルミニウム(Sigma−Aldrichから入手可能)を、1時間にわたり、少量ずつ添加する。混合物を24時間還流させ、次いで、水/ジクロロメタン中に注ぎ、水で洗浄する。
【0155】
実施例22.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するポリスチレンブロックコポリマー5におけるメチルケトンの芳香族置換(想定)
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に25℃で溶解する。溶液を、凝縮器及び攪拌棒を有する丸底フラスコに入れ、凝縮器の排気口を、反応によって生成される塩化水素を吸収するためのトラップに接続する。この溶液に、26.7グラムの無水塩化アルミニウム(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加し、続いて11.8グラムの塩化アセチル(Sigma−Aldrichから入手可能)を1時間にわたり滴下添加する。この混合物を、次に、50℃まで加熱し、120分間反応させる。3リットルの水中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物を、メタノール溶液で更に洗浄し、その後、水に一晩浸す。その後、ポリマーをエタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0156】
実施例23.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するポリスチレンブロックコポリマーにおけるブチルケトン芳香族置換(想定)
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に25℃で溶解する。溶液を、凝縮器及び攪拌棒を有する丸底フラスコに入れ、凝縮器の排気口を、反応によって生成される塩化水素を吸収するためのトラップに接続する。この溶液に、26.7グラムの無水塩化アルミニウム(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加し、続いて18.1グラムの塩化ブタノイル(塩化バレロイル)(Sigma−Aldrichから入手可能)を1時間にわたり滴下添加する。この混合物を、次に、50℃まで加熱し、120分間反応させる。3リットルの水中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物を、メタノール溶液で更に洗浄し、その後、水に一晩浸す。その後、ポリマーをエタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0157】
実施例24.エチレン−エチレン/プロピレン軟ブロックを有するポリスチレンブロックコポリマーにおけるフェニルケトンの芳香族置換(想定)
50グラムのSepton 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)を、500mlのシクロヘキサン(Sigma−Aldrichから入手可能)中に25℃で溶解する。溶液を、凝縮器及び攪拌棒を有する丸底フラスコに入れ、凝縮器の排気口を、反応によって生成される塩化水素を吸収するためのトラップに接続する。この溶液に、26.7グラムの無水塩化アルミニウム(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加し、続いて21.1グラムの塩化ベンゾイル(Sigma−Aldrichから入手可能)を1時間にわたり滴下添加する。この混合物を、次に、50℃まで加熱し、120分間反応させる。3リットルの水中に溶液を沈殿させて反応を停止する。沈殿物を、メタノール溶液で更に洗浄し、その後、水に一晩浸す。その後、ポリマーをエタノールで洗浄し、真空乾燥させる。
【0158】
実施例25.
実施例16から得られる45.1重量%のポリマー、53.0重量%のEastotac H−142R変性樹脂(Eastman Chemical Company,Kingsport,TNから入手可能)、及び1.9重量%のBritol(登録商標)50T鉱油(Crompton Corporation,Petrolia,PAから入手可能)からなるエラストマー組成物を、溶液ブレンディング方法及びフィルムへの圧縮成形によって、調製する。この方法は、(1)すべての成分を、好適な溶媒、例えば、ジクロロメタン(Sigma Aldrichから入手可能)中に溶解すること(固体の重量パーセントは約5%である)、(2)溶液を、ペトリ皿又は他の好適な容器に注ぎ、室温で一晩乾燥させること、(3)フィルムを約120℃で約1時間真空乾燥させること、及び(4)圧縮成形フィルムを調製することからなる。
【0159】
22.9cm×22.9cm(9インチ×9インチ)の加熱圧盤を備える圧縮成形プレス(Carver,Inc.,Wabash,IN、モデル番号3853−0/3925)を、特注の鋳型とともに使用して、圧縮成形フィルム試料を調製する。鋳型は、2つの金属板(幅約22.9cm及び長さ約30.5cm(幅約9インチ及び長さ約12インチ)、2枚のテフロン(登録商標)フィルム(幅約15.2cm、長さ約30.5cm、及び厚さ約0.025cm(幅約インチ6、長さ約12インチ、及び厚さ約0.010インチ))、並びに2つの金属シム(幅約2.54cm、長さ約30.5cm、及び厚さ約0.069cm(幅約1インチ、長さ約12インチ、及び厚さ約0.027インチ))のアセンブリである。このアセンブリは、深さ約0.018cm(0.007インチ)の鋳型を形成する。圧縮成形プレス上の金属圧盤を、180℃の温度に設定し、金属板を下方の圧盤上に積み重ねて予熱する。圧盤及び金属板の温度が設定温度に達した後、約3グラムの真空乾燥組成物をテフロン(登録商標)シートのうちの1つの上に設置し、その後、予熱した金属板のうちの1つの上に設置する。シムを、テフロン(登録商標)シートの外側の金属板の外縁上に設置する。次いで、第2のテフロン(登録商標)シート及び第2の予熱した金属板を一番上に設置して、鋳型のアセンブリを仕上げる。鋳型アセンブリ全体を圧縮成形プレス内に設置し、鋳型に約6.89MPa(平方インチ当たり1000ポンド)の圧力をかけて、設定温度で維持する。約30秒後、鋳型に印加される圧力を約68.9MPa(1平方インチ当たり10,000ポンド)まで上昇させ、約30秒間保持する。テフロン(登録商標)シートの間に維持される押圧されたフィルムを鋳型から取り除き、室温(約22℃)まで冷却する。フィルムをテフロン(登録商標)シートの間から取り除き、折り畳み、6.89MPa(1平方インチ当たり1000ポンド)で約30秒間保持した後に、約103.4MPa(1平方インチ当たり15,000)を鋳型に印加し、約45秒間保持することを除いて、上で概説された手順に従って再押圧する。第2の押圧後にフィルムを鋳型から取り除き、テフロン(登録商標)シートの間に維持し、室温(約22℃)まで冷却する。フィルムをテフロン(登録商標)シートの間から取り除き、フィルムの特性を評価する前に、両面剥離紙の間に室温で約2日間保存する。最低5つのランダム試料を、少なくとも2つの異なる圧縮成形フィルムから切り取って試験し、試験試料の数を圧縮成形フィルムの数で比較的均等に分ける。例えば、2つの圧縮成形フィルム試料を製造するとき、3つのランダム試験試料を一方の成形フィルムから採取し、2つのランダム試験試料を他方の成形フィルムから採取する。
【0160】
このエラストマー組成物のフィルムを伸張後回復に従って測定し、22℃で15秒後に、当初ひずみに対するパーセントが39%の回復を示す。
【0161】
実施例26.
次の物質の試料を、試験方法の部分に記載の油曝露方法に従って、Johnson’s Baby Oil(米国でJohnson & Johnson,New Brunswick,NJから入手可能であり、鉱油及び芳香剤が記載成分である)、並びにパルミチン酸イソプロピル(90+%、Sigma−Aldrichから入手可能)を使用して試験した:(1)実施例25からのエラストマーフィルム及び(3)エラストマー樹脂Septon 4033(Kuraray America Inc.,Pasedena,TXから入手可能)。室温で30時間、過剰なベビーオイルへの曝露後、両方の物質は、油で膨張して無傷に留まり、実施例25からのエラストマーフィルムは、少なくとも約500%の工学的ひずみまで伸張可能であることが、手で容易に識別可能である。室温で30時間、過剰なパルミチン酸イソプロピルへの曝露後、Septon 4033樹脂は、完全に溶解されるが、実施例25からのエラストマーフィルムは、無傷に留まり、少なくとも約100%の工学的ひずみまで伸張可能であることが、手で容易に識別可能である。
【0162】
実施例27.(想定)
表2は、様々な置換ポリスチレンの溶解度パラメーターを示し、表3及び4は、スチレン及び置換スチレンの様々なランダムコポリマーの溶解度パラメーターを示す。溶解度パラメーターは、L.H.Sperling in Introduction to Physical Polymer Science,Wiley−Interscience(New York,1992)に記載の方法に従って決定される。更に、Sperlingによって記載される方法によると、ポリスチレンの溶解度パラメーターは、8.96(cal/cm
3)
1/2であり、パルミチン酸イソプロピルの溶解度パラメーターは、8.12(cal/cm
3)
1/2であり、鉱油(ドデカン)の溶解度パラメーターは、7.75(cal/cm
3)
1/2であり、これらの溶解度パラメーターの決定に使用される密度は、それぞれ、1.04g/cm
3、0.85g/cm
3、及び0.75g/cm
3である。
【表2】
*PS=ポリスチレン
**括弧内の数字は、溶解度パラメーターの判定に使用したg/cm
3単位での密度である。
【表3】
【表4】
【表5】
【0163】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法はそれぞれ、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0164】
「本発明の詳細な説明」で引用したすべての文献は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれ、いかなる文献の引用も、本開示に対する先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0165】
本開示の特定の実施形態を図解及び説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び改変を添付の特許請求の範囲において網羅するものとする。