(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック部材(25、27、127)は、前記貫通孔(15)に挿入されるべき挿入部(127n)と、前記挿入部(127n)が結合し、前記挿入部(127n)よりもサイズが大きい基部(127m)を含む、請求項1に記載の連結具。
前記貫通孔(15)への前記ロック部材(25、27、127)の挿入方向に沿う前記ロック部材(25、27、127)の移動を規制する規制手段(27a、27p、127r、36)を更に備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の連結具。
貫通孔(15)が頂部(19b)に設けられた係合凸部(11d)、及び前記係合凸部(11d)と共に凹状の溝(18)を形成する段差部(16)を含む板状の雄部材(10)と、
前記係合凸部(11d)が挿入される開口(34)を囲む周囲部(31p)を含む板状の雌部材(30)と、
前記係合凸部(11d)の前記貫通孔(15)に通されるロック部材(25、27、127)を備える連結具(100)の使用方法であって、
前記雄部材(10)上に前記雌部材(30)を積層して前記雌部材(30)の前記開口(34)に前記雄部材(10)の前記係合凸部(11d)を挿入するステップにして、当該ステップにより、前記雌部材(30)の前記周囲部(31p)の一部(31a)が前記雄部材(10)の前記溝(18)により受け入れられ、前記係合凸部(11d)の前記頂部(19b)が前記雌部材(30)から突出する、ステップと、
前記周囲部(31p)から突出した前記係合凸部(11d)の前記頂部(19b)に設けられた前記貫通孔(15)に前記ロック部材(25、27、127)を通して前記周囲部(31p)上に前記ロック部材(25、27、127)を配することで前記雄部材(10)と前記雌部材(30)の連結をロックするステップと、
を含む、連結具の使用方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。実施の形態は、本発明の一例を表すに過ぎず、本発明を限定解釈するために参酌されるべきものではない。各図においては同一の要素には同一の符号を付し、原則として、重複する説明は省略する。図面は、発明説明を主目的とするものであり、適宜、簡略化されている。
【0028】
<第1実施形態>
図1乃至
図8を参照して第1実施形態について説明する。
図1は、連結具の概略的な斜視図である。
図2は、雌部材の概略的な断面図である。
図3は、雄部材の概略的な断面図である。
図4は、雄及び雌部材の連結状態を示す概略的な部分断面図である。
図5は、キャップの変形例を示す概略的な部分断面図である。
図6は、キャップを具備しない変形例を示す概略的な部分断面図である。
図7は、プラグに返しを設けた変形例を示す概略的な部分断面図である。
図8は、雄部材からプラグを別体とした変形例を示す概略的な模式図である。
【0029】
説明の便宜上、前後方向、上下方向、及び左右方向という方向を示す用語を各図に一貫して用いる。説明の便宜上、各図に対してXYZ座標を設定すると、X軸は、上述の前後方向に対応する。前後方向について補足的に説明する。雄部材から見て雌部材に近接するX軸に沿う方向を前側と呼び、雄部材から見て雌部材から離間するX軸に沿う方向を後側と呼ぶ。同様に、雌部材から見て雄部材に近接するX軸に沿う方向を前側と呼び、雌部材から見て雄部材から離間するX軸に沿う方向を後側と呼ぶ。Y軸は、上述の上下方向に対応する。Z軸は、上述の左右方向に対応する。
【0030】
図1に示すように、連結具100は、雄部材10、ロック部材25、雌部材30、及びキャップ40を有する。キャップ40は、被覆部材である。なお、
図1では、連結具100を構成する要素が個々に分離して示されているが、
図2に示すようにキャップ40は雌部材30に装着されるものであり、連結具100の連結状態においては
図4に示すように雄部材10と雌部材30が連結する。また、
図2に示すように雌部材30にはロープ201が巻かれ、
図3に示すように雄部材10にもロープ202が巻かれ、各ロープ201、202は、
図4に示すように雄部材10と雌部材30とが連結した連結具100を介して連結される。なお、連結具100により連結される物は、漁網等として用いられるロープが例示できるが、これに限らず、その他の任意の物であっても良い。
【0031】
まず、雄部材10及びロック部材25の構成について説明する。
図1に示す雄部材10の本体11は、任意の方法により
図1に示す形状に成型/加工された板状体である。本体11は、好適にはダイキャスト成形されるが、金属板の曲げ、打ち抜き等の加工により製造しても良い。なお、本体11は、平板状に限らず、その具体的形状は任意である。金属以外の材料、例えば、繊維強化樹脂等により本体11を構成しても良い。
【0032】
図1に示すように、雄部材10の本体11の上面には、ロック部材25が設けられる。ロック部材25は、雄部材10と雌部材30間の連結をロックするための部材であり、本体11の固定部13によって本体11の上面に固定される。ロック部材25は、図面及び後述の説明から理解できるように、雌部材30の開口34内での雄部材10の係合凸部11dの上下移動を規制し、これにより、雌部材30の開口34からの係合凸部11dの抜けが規制される。雌部材30の開口34内での係合凸部11dの上下移動を規制する態様は任意であり、他の態様を採用しても良い。例えば、ロック強度は低下してしまうものの、後述の係合凸部11dの貫通孔15の代わりに、係合凸部11dの後側面に対して前後方向に窪んだ窪みを設け、この窪みに対してロックプラグ27を挿入又は圧入させても良い。他にも様々な態様が考えられる。
【0033】
図1に示すように、ロック部材25は、本体11に基端が固定された可撓性の紐(帯体)26と、紐26の自由端に固定されたロックプラグ27とを有する。ロックプラグ27をロック片と呼んでも良い。ロックプラグ27は、前述の貫通孔15へのロックプラグ27の抜き差しの容易性と貫通孔15内でのロックプラグ27の安定保持という各点を考慮し、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー樹脂等に例示される樹脂製とし、可撓性/弾性を具備させることが望ましい。これにより、雄部材10と雌部材30の連結ロックの容易性を確保しつつ、そのロックの安定性も確保できる。
【0034】
図1に示すように、本体11は、後端から前端へと前後方向に延在する板状体であり、その前側部位が凹状/U字状に曲げられ、この結果、平板部11a、段差壁11b、平板部11c、及び係合凸部11dが連続的に設けられる。なお、段差壁11b、平板部11c、及び係合凸部11dによりU字部12が構成される。凹状/U字状とは、左右方向から雄部材10を見る場合を前提としている。段差壁11bは、平板部11aの前端から下方へ屈曲/起立して下方向に延在する。係合凸部11dは、平板部11cの前端から上方へ屈曲/起立して上方向に延在する。平板部11cは、前後方向に延びて段差壁11bと係合凸部11d間を接続する。なお、段差壁11bの左右方向の中央には、凹み17が設けられている。雄部材10の凹み17は、後述の雌部材の膨大部31rが段差壁11bに干渉することを避けるべく設けられた逃げ空間である。
【0035】
図1に示すように、平板部11aと段差壁11bとにより段差部16が設けられ、段差部16と係合凸部11dとの間には左右方向に延在する溝18が設けられる。溝18を凹部と呼んでも良い。溝18は、段差部16と係合凸部11dとによって凹状に構成される。溝18の側部が上述の段差壁11bに一致し、溝18の他方の側部が上述の係合凸部11dに一致し、そして、溝18の底部が上述の平板部11cに一致する。なお、平板部11aが位置するXZ平面(例えば、平板部11aの上面)と平板部11cが位置するXZ平面(例えば、平板部11aの上面)との間には上下方向においてレベル差が存在し、このレベル差は、段差壁11bの上下方向の長さに応じたものである。段差部16の表面は、R面であり、これにより、溝18への後述の棒部31aの挿入が容易になる。棒部31aは、雄部材10上に積層される雌部材30の部分である。
【0036】
図1と
図3を併せて参照して理解されるように、係合凸部11dは、胴部19aと頂部19bとを有し、山状の輪郭を有する。XZ平面における胴部19aの断面形状(前後方向の胴部19aの長さ、左右方向の胴部19aの幅)は、係合凸部11dの延在方向において一定であり変化しない。XZ平面における頂部19bの断面形状(前後方向の頂部19bの長さ、左右方向の胴部19aの幅)は、係合凸部11dの頂端側への延在に応じて縮小する。
図3に示すように、係合凸部11dが先細りの形状を有することにより、係合凸部11dの後側面19cが緩慢に傾斜し、また、後側面19cに対向する前側面19dも緩慢に傾斜する。これにより、雌部材30の開口から雄部材10の係合凸部11dの離脱を容易化することができ、特に、迅速な連結解除が要求される用途(例えば、漁業)においては特に有利である。係合凸部11dの先細りの形状をテーパー形状と呼んでも良い。なお、係合凸部11dの後側面は、係合凸部11dの4つの左右前後の側面のうち、上述の固定部13を臨む面である。
【0037】
図1に示すように、上下方向に延びる係合凸部11dの頂部19bには、前後方向に延在する貫通孔15が設けられている。貫通孔15の左右方向の横開口幅は、貫通孔15の上下方向の縦開口幅よりも広く、従って、貫通孔15は、横長であると言える。
図1及び
図4から理解できるように、貫通孔15は、差し込まれたロックプラグ27を保持するべく、ロックプラグ27の左右方向の幅と上下方向の厚みとに対応したサイズとなっている。例えば、ロックプラグ27が貫通孔15に圧入されて貫通孔15内に保持されるように、貫通孔15がサイズされる。ロックプラグ27の外表面の摩擦係数を高くすること等によって、貫通孔15からのロックプラグ27の離脱を抑制しても良い。
【0038】
図1に示すように、本体11の後端にある平板部11aには、平板部11aを上下方向に貫通した開口14が設けられている。平板部11aの開口14によってロープが取り付けられる雄側取付部が構成される。なお、取付部の具体的態様は任意であり、開口部に限られるべきものではない。
図1及び
図3に示すように、開口14を周囲する環状部11mの内周面11nは、開口14の内側へ弧状に膨らみ、これにより、開口14に挿通される漁網等のロープの摺動性が高められる。なお、環状部11mは、開口14を周囲する周囲部である。
【0039】
次に、雌部材30の構成についてより詳細に説明する。
図1に示すように、雌部材30は、梁32によって分離された2つの開口34、35が設けられた平板状の枠体31である。枠体31は、棒部31a〜31eが連続して構成される。棒部31aは、左右方向に延在し、その左右方向の中央に略直方体状の膨大部31rが設けられている。膨大部31rは、棒部31aが前後方向に膨大した部分である。膨大部31rの上面は、前後方向及び左右方向にある程度の幅を持つ平坦面であり、これにより、係合凸部11dの貫通孔15へのロックプラグ27の抜き差しが好適にガイドされる。棒部31bは、棒部31aの左端から上下方向に直線的に延在する。棒部31eは、棒部31aの右端から上下方向に直線的に延在する。棒部31cは、棒部31bの後端から前後方向に緩慢に傾斜しながら延在し、棒部31dの後端に結合する。棒部31dは、棒部31eの後端から上下方向に緩慢に傾斜しながら延在し、棒部31cの後端に結合する。なお、梁32の左右方向の中央には略直方体状の膨大部32mが設けられている。膨大部31mは、梁32が前後方向及び上下方向に膨大した部分である。
【0040】
開口34は、棒部31a、棒部31b、梁32、及び棒部31eから構成された環状部31pにより囲まれる。環状部31pは、開口34を周囲する周囲部であり、その上面視形状は略矩形状である。開口35は、棒部31c、31d、及び梁32から構成された環状部31qにより囲まれる。環状部31qは、開口35を周囲する部分であり、その上面視形状は略三角形状である。なお、
図2に示すように、環状部31pの開口34にはキャップ40が挿入固定され、環状部31qの開口35にはロープ201が挿入される。枠体31に設けられた開口35によって、ロープが取り付けられる雌側取付部が構成される。
図1及び
図2に示すように、開口35を周囲する環状部31qの内周面31nは、開口35の内側へ弧状に膨らみ、これにより、開口35に挿通される漁網等のロープの摺動性が高められる。なお、環状部31qは、開口35を周囲する周囲部である。
【0041】
図1に示すように、梁32の右端から環状部31pの内周面に沿って膨大部31rに至るまで延在した薄肉部32pが環状部31pの内側に設けられている。同様に、梁32の左端から環状部31pの内周面に沿って膨大部31rに至るまで延在した薄肉部32qが環状部31pの内側に設けられている。薄肉部32p、32qは、環状部31pよりも薄肉であって、環状部31pとの間に段差が設けられるように環状部31pの内側面に設けられている。梁32、薄肉部32p、及び薄肉部32qによって、キャップ40が載置される載置面を有する環状台座が構成される。左記した環状台座には、膨大部31rに応じた欠きがある。
【0042】
続いて、キャップ40の構成について説明する。キャップ40を雌部材30に設け、これにより、雌部材30の開口34に挿入された雄部材10の係合凸部11dを被覆することによって、係合凸部11d自体を保護し、これに加えて、係合凸部11dと環状部31pとの間の隙間に、例えば、わかめ等の海藻の異物が入り込むことを抑制することができる。なお、
図6に示す変形例のようにキャップ40を省略しても良い。
【0043】
図1に示すように、キャップ40は、雄部材10の係合凸部11dを収容するように構成された収容体であり、好適には、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー樹脂等に例示される樹脂等の弾性材料から構成される。
図1、
図2、及び
図4を併せて参照して理解されるように、キャップ40は、雄部材10の係合凸部11dの胴部19aの左、前、右の3つの側面を囲む周壁41と、雄部材10の係合凸部11dの頂部19bの全ての4つの側面を囲み、かつ係合凸部11dの頂部19bの上面を覆う被覆部42を有する。キャップ40は、更に、爪部43を有し、これにより、雌部材30との一体性が確保される。
【0044】
爪部43は、上下方向に延在する基部、及び基部の下端が前側へ曲げられたフックを有する。爪部43のフックが膨大部31rの下面に引っ掛かることにより、雌部材30に対してキャップ40が装着固定される。
図1及び
図2から明らかなように、周壁41の下端にも、爪部43と同様、外側へ向いたフックが設けられている。
図1及び
図2から理解できるように、周壁41の下端フックは、周壁41と同様、雄部材10の係合凸部11dを周囲するように下面視U字状に延在する。周壁41の下端フックは、薄肉部32p、薄肉部32q、及び膨大部32mの各下面に対して引っ掛かる。爪部43のフックと周壁41のフックとは、開口34を周囲する雌部材30の部分の下面に引っ掛かり、このように開口34の左右前後の各箇所に雌部材30からのキャップ40の離脱防止構造を持たせることにより、雌部材30に対するキャップ40の装着をより強固にすることができる。キャップ40は、外力に応じて変形可能であり、従って、キャップ40を人手/工具等で変形させることにより、キャップ40は雌部材30から脱着させることができる。爪部43を設ける位置/範囲は任意であり、図示されたものは一例にしか過ぎない。離脱防止の具体的構造は任意であり、フックの引っ掛け構造に限られるべきものではない。
【0045】
図2に示すように、キャップ40の4つの側壁のうち前後の側壁には、係合凸部11dの貫通孔15に対応して設けられた開口44、45が設けられる。開口44と開口45は、貫通孔15と同様、ロックプラグ27の左右方向の幅と上下方向の厚みとに対応してサイズされている。
図1に示すように、開口45が設けられた被覆部42の外周面には、膨大部32mに対応する切欠きが設けられており、その切欠きに対して膨大部32mが嵌め込まれることで、キャップ40と雌部材30の一体性が高められる。膨大部32mに関するこの説明は、膨大部31rについても同様に当てはまる。つまり、膨大部31rは、キャップの前側面に設けられた切欠きに対して嵌め合わされて、これにより、キャップ40と雌部材30の一体性が高められる。
【0046】
ここで、連結具100を用いて異なる2つのロープ/同一のロープの異なる部分を連結する方法について説明する。まず、
図2に示すように、雌部材30の開口34に対してキャップ40を挿入し、雌部材30に対してキャップ40を装着する。次に、雌部材30の開口35にロープ201の一端を通し、一端を任意の態様にてロープ201の他の部分に固定し、これにより、環状部31qを囲むロープの輪を閉じる。次に、
図3に示すように、雄部材10の開口14にロープ202の一端を通し、一端を任意の態様にてロープ202の他の部分に固定し、これにより、環状部11mを囲むロープの輪を閉じる。次に、
図4から理解できるように、雌部材30の開口34に対して雄部材10の係合凸部11dを嵌めて雄部材10と雌部材30を積層させる。その後、
図4から理解できるように、雄部材10のロック部材25のロックプラグ27をキャップ40の開口44、係合凸部11dの貫通孔15、そしてキャップ40の開口45に順に差し込む。このようにして雄部材10と雌部材30とが連結し、また、雄部材10と雌部材30との連結がロックされる。雄部材10と雌部材30の連結のロック解除は、貫通孔15からのロックプラグ27の抜出によって行うことができる。
【0047】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、雄部材10の係合凸部11dと雌部材30の開口34の嵌め合いにより雄部材10と雌部材30とを連結する。この場合、雄部材10の係合凸部11dを雌部材30の開口34から外すことにより雄部材10と雌部材30の連結を簡易に解除することができる。雄部材10に取り付けられたロープ202と雌部材30に取り付けられたロープ201とが連結具100から離れる方向へ互いに逆方向に引かれて張った状態にあっても、雄部材10の係合凸部11dを雌部材30の開口34から外すことにより雄部材10と雌部材30の連結を簡易に解除することができる。この場合、一方のロープを切除する必要がない。
【0048】
更に、本実施形態においては、
図4に示すように、雄部材10上に積層される雌部材30の環状部31pの棒部31aが、雄部材10の溝18により受け入れられる。換言すれば、棒部31aが、雄部材10の係合凸部11dと雄部材10の段差部16間の空間により受け入れられる。これによって、
図4に示すように雄部材10と雌部材30とが連結/積層したとき、雄部材10の平板部11aと雌部材30とを同一のXZ平面内に位置させることができる。より原理的に説明すれば、溝18の深さを調整することによって、
図4に例示的に示した雄部材10が位置する平面PL10と雌部材30が位置する平面PL30間の上下方向のレベル差の平面同士の間隔を小さくすることができる。これによって、後述の説明から理解されるように、ロープ201、202が連結具100から離間する方向に同一直線上で各々反対側へ強く張られた状態にあっても雄部材10と雌部材30の連結を容易に解除することが可能になる。なお、
図4においては例示的に、雄部材10が位置する平面PL10を雄部材10の平板部11aの厚み中心に設定し、雌部材30が位置する平面PL30を雌部材の枠体31の厚み中心に設定したが、他の任意のXZ平面であっても構わない。なお、XY平面は、Y軸方向に沿って無数に存在する平面として観念される。
【0049】
上述のように平面PL10と平面PL30とを近接又は一致させることによって、ロープ201、202が連結具100から離間する方向に同一直線上で各々反対側へ強く張られた状態にあっても雄部材10と雌部材30の連結を容易に解除することが可能になる。ロープ202が雄部材10の環状部11mに対して作用する点が平面PL10に位置し、ロープ201が雌部材30の環状部31qに対して作用する点が平面PL30に位置すると仮定した場合、平面PL10と平面PL30とが一致するならば、各作用点は同一直線上に位置する。この場合、外力の影響がなければ雄部材10と雌部材30とが同一平面内から離れる上下方向へ変位しないため、雄部材10の係合凸部11dの貫通孔15からロックプラグ27を抜き出すことが極端に困難になることは抑制される。従って、上述の構成によって、ロープ201、202が連結具100から離間する方向に同一直線上で各々反対側へ強く張られた状態にあっても雄部材10と雌部材30の連結を容易に解除することが可能になる。この点は、特に、漁網同士を連結する用途においては極めて有利である。従来のようにロープを切断する必要が解消すると共に、連結具100を介したロープの連結及びその解除の迅速性/容易性も確保できる。
【0050】
本実施形態においては、上述の点に鑑みて、雄部材10の平板部11aの上下方向の厚みと雌部材30の枠体31の上下方向の厚みが略等しい場合において、溝18の深さを棒部31aの上下方向の厚みと等しく設定し、雄部材10が位置する平面PL10と雌部材30が位置する平面PL30とを一致させている。なお、この場合、
図4の点線に模式的に示すように、棒部31aの上面と平板部11aの上面とは面一になっている(同一のXZ平面に位置する)。棒部31aの下面と平板部11aの下面も面一になっている(同一のXZ平面に位置する)。
【0051】
本実施形態においては、雄部材10の係合凸部11dが先細りに構成されている。これにより、雌部材30の開口34から雄部材10の係合凸部11dを外すことを容易化し、雄部材10と雌部材30の連結を迅速に解除することが可能になる。
【0052】
本実施形態においては、ロック部材25を雄部材10に設ける。これにより、溝18が設けられた空間を利用してロック部材25の前後方向の長さを確保することができ、雄部材10と雌部材30とが連結した状態の連結具全体の長さを短くすることができる。
【0053】
図5を参照して変形例について説明する。
図5に模式的に示すように、キャップ40を雌部材30に対して埋め込むように装着しても良い。
図5に示す場合、上述の爪部43を省略するべく、次の構成を採用する。膨大部31rの内側面に凹部31r5を設け、膨大部32mの内側面に凹部32m5を設ける。膨大部31rの凹部31r5にキャップ40の前側壁の下端を嵌め込み、膨大部32mの凹部32m5にキャップ40の後側壁の下端を嵌め込む。キャップ40は、凹部31r5を上方から閉じる突片31r6と凹部32m5を上方から閉じる突片32m6とによって雌部材30からの離脱が好適に抑制される。このよう異なる装着態様を取る場合にあっても、上述と同様の効果を得ることができる。なお、凹部31r5、32m5を設ける位置/範囲は任意であり、開口34の周方向に各凹部31r5、32m5を連続させても良い。キャップ40が雌部材30に装着されたとき、膨大部31r、32mとの間でキャップ40が開口34の内側へ圧縮されるようにしても良い。
【0054】
図6を参照して変形例について説明する。
図6に模式的に示すように、キャップ40を雌部材30に取り付けず、キャップ40を省略しても良い。このような場合であっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0055】
図7を参照して変形例について説明する。
図7に模式的に示すように、雄部材10の係合凸部11dの貫通孔15の出口から突出したロックプラグ27の先端部27mの上面に返し27aを設けても良い。返し27aは、貫通孔15に挿入されたロックプラグ27の後方移動を規制する規制手段/規制構造である。返し27aを設けることにより、ロックプラグ27が係合凸部11dの貫通孔15から自重等によって抜け出ることを効果的に抑制することができる。ロックプラグ27は、上述の実施形態で説明したように、可撓性/弾性を有する。従って、ロックプラグ27に対して返し27aを設けたとしても、係合凸部11dの貫通孔15に対するロックプラグ27の挿入自体は阻害されない。返し27aの具体的な大きさ、形状、個数は、ロックプラグ27の抜けを適当に抑制し、かつ係合凸部11dの貫通孔15へのロックプラグ27の挿入の迅速性/容易性を損なわないように設定すると良い。返し27aは、島状部分であっても良く、これに代えて、左右方向に長い長尺部分であっても良い。返し27aの個数は任意であり、1つであっても2以上であっても良い。
【0056】
図7に示すように、返し27aは、ロックプラグ27の上面に設けられた凸部であり、返し27aの断面視形状は、ロックプラグ27の後端側へ寝た三角形状である。返し27aは、ロックプラグ27の前端側を向いた前傾斜面27a1、及びロックプラグ27の後端側を向いた後傾斜面27a2を有する。各前傾斜面27a1、後傾斜面27a2は、ロックプラグ27の上面から上方へ離間するに応じてロックプラグ27の前端側から後端側へ傾斜し、その後、交差する。Y軸に対して前傾斜面27a1がなす角度は、Y軸に対して後傾斜面27a2がなす角度よりも大きい。
図7に示すとき、後傾斜面27a2は、雄部材10の係合凸部11d及びキャップ40に対向配置されている。
【0057】
図7に示す状態においてロックプラグ27の自重によってロックプラグ27が後方へ引かれたとしても、返し27aがキャップ40及び係合凸部11dに引っ掛かり、これにより、意図しないロックプラグ27の抜けが効果的に抑制される。
図7に示す状態とすべく、係合凸部11dの貫通孔15へロックプラグ27を差し込むとき、返し27aの前傾斜面27a1によって貫通孔15内への返し27aの挿入がガイドされる。従って、貫通孔15へのロックプラグ27の挿入の迅速性/容易性は損なわれない。返し27aは、ロックプラグ27と同材料で構成されるため、返し27a自体も弾性変形可能である。
図7に示す状態からロックプラグ27を抜き出すとき、返し27aが貫通孔15周りの係合凸部11dに対してキャップ40を介して衝突してしまうが、返し27a自体の変形によって、ロックプラグ27の抜き出し自体は確保される。
【0058】
ロックプラグ27に返しを設ける具体的な態様は任意である。上述の返し27aをロックプラグ27の下面に設けても良い。返し27aを単なる半円状の凸部として、その返し機能を低減させても良い。返し27aは、貫通孔15からのロックプラグ27の抜けを規制する規制手段/規制構造の一例でしかない。
【0059】
図8を参照して変形例について説明する。
図8に模式的に示すように、ロックプラグ27のみによりロック部材25を構成し、雄部材10に対してロックプラグ27を別体としても良い。この場合、
図7の変形例と同様、係合凸部11dの貫通孔15に挿入されたロックプラグ27の前後移動を規制する規制手段/規制構造を設け、係合凸部11dの貫通孔15からのロックプラグ27の抜けを抑止することが特に望ましい。この点に照らし、
図8に係る変形例においては、雄部材10の本体11の平板部11aの上面に対して平板部11aの上面と共に貫通孔11qを画定する略幅広U字状の枠部11pを設け、他方、ロックプラグ27の後端部27nには、枠部11pの左右方向に延びる棒部11p1を受け入れて保持する棒受け27pを設ける。ロックプラグ27の棒受け27pが枠部11pの棒部11p1を受け入れて保持することにより、上述したロックプラグ27の抜けが効果的に抑制される。なお、ロックプラグ27の棒受け27p、及び枠部11pの棒部11p1の各具体的形状は任意である。
【0060】
図8に示すように、棒受け27pは、ロックプラグ27の上面に平行に前後方向に延在する平行壁27p1、平行壁27p1の後端をロックプラグ27の後端部27nに対して結合する結合壁27p2、及び平行壁27p1の前端下面が凸状に下方に隆起したフック27p3を有する。なお、ロックプラグ27の後端部27nは、雄部材10の平板部11a上に配されるロックプラグ27の部分を示すが、雄部材10の係合凸部11dの貫通孔15よりも後方側部分を示すものと理解しても構わない。
【0061】
図8に模式的に示すように、雄部材10と雌部材30とが連結した状態で、ロックプラグ27を係合凸部11dの貫通孔15に通すと、枠部11pの棒部11p1がプラグ後端部27nと平行壁27p1との間で任意の強度で挟み込まれる。また、フック27p3が棒部11p1の前側面に引っ掛かることによって、棒部11p1が棒受け27pから抜けることが抑制される。このようにして、雄部材10にロックプラグ27を脱着可能に装着し、ロックプラグ27の自重等によるロックプラグ27の抜けが効果的に抑制される。
【0062】
枠部11pを設けたとしても平板部11aの平坦性が確保されているため、貫通孔15へのロックプラグ27の挿入容易性は損なわれない。ロックプラグ27は、平板部11aの上面、及び膨大部31rの上面によって、貫通孔15まで好適にガイドされる。
【0063】
なお、フック27p3を省略し、棒受け27pによる棒部11p1の上下方向からの挟み込みのみによって、棒受け27pからの棒部11p1の抜けを抑制しても良い。これとは逆に、棒受け27pによる棒部11p1の上下からの挟み込みを省き、棒受け27pのフック27p3のみによって、棒受け27pからの棒部11p1の抜けを抑制しても良い。枠部11p及び棒受け27pは、貫通孔15からのロックプラグ27の抜けを規制する規制手段/規制構造の一例でしかない。
【0064】
<第2実施形態>
図9乃至
図13を参照して第2実施形態について説明する。
図9は、連結具の概略的な斜視図である。
図10は、非連結状態の連結具の概略的な分解断面模式図である。
図11は、ロック状態の連結具の概略的な断面模式図である。
図12は、連結具の雄部材の概略的な上面図である。
図13は、連結具の雌部材の概略的な斜視図である。
【0065】
図9乃至
図11に示すように、上述のものとは異なる構成のロックプラグ127をロック部材25として活用する。このような場合であっても上述の実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態においては、
図8に示した変形例の場合と同様、ロックプラグ127のみによりロック部材25を構成し、雄部材10に対してロックプラグ127を別体とするが、必ずしもこの限りではない。ロックプラグに関して異なる符号27、127を用いるが、この点は、説明の便宜上の問題である。
【0066】
本実施形態の如くロックプラグ127の挿入部127nに比してロックプラグ127の基部127mを大きくサイズすると良い。この場合、ロックプラグ127の基部127mに対して所定の態様で力をかければ、係合凸部11dの貫通孔15からロックプラグ127をより簡単に抜き出すことが可能である。本実施形態の場合においても上述の実施形態及び変形例の構成の追加的又は代替的導入により、上述の実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0067】
図9乃至
図11から理解できるように、雄部材10上に雌部材30を積層すると、雄部材10の係合凸部11dが雌部材30の環状部31pの開口34を通過し、雌部材30の上面よりも上方へ突出し、係合凸部11dに設けられた貫通孔15も雌部材30の上面上に配された態様になり、この貫通孔15へのロックプラグ127の挿入が可能になる。
【0068】
ロックプラグ127は、左右方向を長手方向とする環状の基部127mの外周面に平板状の挿入部127nが結合しており、非限定的及び典型的にはシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー樹脂等の弾性材料から成り、所定の弾性を有する。係合凸部11dの貫通孔15にはシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー樹脂等の弾性材料から成る環状のリング50が設けられる。リング50は、改めて説明するまでもなく弾性部材である。
【0069】
係合凸部11dの貫通孔15のリング50へロックプラグ127を挿入する際、ロックプラグ127が雌部材30の棒部31aの上面上をスライド移動し、ロックプラグ127の基部127mの外周面が係合凸部11dに対して、より正確には係合凸部11dの貫通孔15に設けられたリング50に対して衝突し、この位置でロックプラグ127が停止する。ロックプラグ127の基部127mが棒部31a上に位置し、ロックプラグ127の挿入部127nのうちリング50を通過した先端部が、梁32上に位置する。ロックプラグ127により棒部31aと梁32の上方変位が規制され、雄部材10からの雌部材30の離脱が阻止される。
【0070】
ロックプラグ127及びリング50をシリコーン等の弾性材料で構成する場合、両者の当接により両者が摩擦係合した状態になり、両者間の変位を抑制可能である。より好ましくはリング50内へロックプラグ127の挿入部127nを圧入可能とし、これにより、両者間の変位をより十分に抑制可能となる。この場合、
図10に示すリング50へのロックプラグ127の未挿入の状態において、リング50の上下開口幅W50hがロックプラグ127の挿入部127nの厚みW127nよりも狭い。必要に応じて、ロックプラグ127の硬さをリング50の硬さよりも硬くしても良く、これにより、リング50へのロックプラグ127のよりスムーズな挿入が確保可能になる。ロックプラグ127やリング50は金型成形により製造可能であるが、必ずしもこの限りではない。
【0071】
係合凸部11dの貫通孔15に対するリング50の位置固定方法は任意であるが、本例においては、係合凸部11dの貫通孔15周りの部分に対してリング50を嵌め合わせる。端的には、
図10及び
図11に示すように、リング50の両方の開口縁51が、
図10及び
図11を正面視したときの上下方向に一致するリング50の開口50hの開口幅方向外側へ膨出しており、これにより、係合凸部11dの貫通孔15周りの部分をリング50が挟み込み保持可能になる。貫通孔15の前側口15jの上下に位置する係合凸部11dの貫通孔15を囲む上部及び下部が後方へ後退し、膨出したリング50の開口縁51が好適に嵌め合わされる。貫通孔15の後側口15kの上下に位置する係合凸部11dの貫通孔15を囲む上部及び下部が前方へ後退し、膨出したリング50の開口縁51が好適に嵌め合わされる。
【0072】
ロックプラグ127の挿入部127nの先端側の下面には抜止凹部127rが設けられ、雌部材30の梁32の上面には抜止凸部36が設けられ、
図11に示す状態において抜止凹部127rが抜止凸部36に嵌め合わされ、これにより、外力の作用に応じてロックプラグ127が係合凸部11dの貫通孔15のリング50から抜け出ることが抑制される。抜止凹部127rを係合部とし、抜止凸部36を非係合部としたとき、係合部を凸部とし、被係合部を凹部としても構わない。しかしながら、本例の如く、リング50へのロックプラグ127のスムーズな挿入という観点等を考慮すれば、ロックプラグ127に凸状の係合部を設け、雌部材30の梁32に凸部を設けることが望ましい。抜止凹部127rは、
図10の紙面に対して直交する方向に一致する左右方向に長く延び、抜止凸部36についても同様である。抜止凹部127rと抜止凸部36により、貫通孔15からのロックプラグ27の抜けを規制する規制手段/規制構造が構成される。
【0073】
雌部材30の上面に第1抜止凸部36aを設けることに加えて、その下面にも第2抜止凸部36bを追加的に設けても良い。これにより、雌部材30の表裏の判別が不要になり、雄部材10と雌部材30の連結時の作業性が向上する。なお、雌部材30は、屈曲が設けられていない平坦な平板であり、表裏の区別が容易ではない。他方、雄部材10は、係合凸部11dの突出の向きに応じて表裏の区別が可能である。なお、上面のことを表面と把握し、下面のことを裏面と把握する場合がある。
【0074】
係合凸部11dの貫通孔15、端的にはリング50の開口50hに対してロックプラグ127が挿入された状態において、外力の作用に応じてロックプラグ127がリング50から抜け出ることを抑制するために、第1実施形態の変形例に開示した構成をロックプラグ127に適用しても良い。端的には、
図7に示した返し27aをロックプラグ127の挿入部127nに設け、後方へのロックプラグ127の移動を規制しても良い。追加的若しくは代替的に、
図8に示すように、雄部材10に枠部11pを設け、ロックプラグ127に棒受け27pを設けても良い。
【0075】
図11に示すように、雄部材10の溝18の底面18c上に雌部材30の環状部31pの棒部31aが載置されるとき、雌部材30の開口34と開口35間にある梁32が、雄部材10の前端に設けられた台座部111上に載置され、これにより、雄部材10上に雌部材30がより安定に載置される。このような構成により、雄部材10に対する雌部材30の下方向の枢動が規制され、雄部材10の環状部11mと雌部材30の環状部31qが同一平面に配された状態をより安定して保つことが促進される。
図11に示すように、雄部材10の環状部11m及び平板部11a、雌部材30の棒部31a、雌部材30の梁32、及び雌部材30の環状部31qが同一の軸線AX上に配置され、この点は、上述の実施形態並びに変形例と同様である。
【0076】
図11に示すように、雌部材30の環状部31pの棒部31aと雄部材10の係合凸部11dとが面接触する。これにより、連結状態において雄部材10と雌部材30が離間するように両者に対して強い力が付与されたときの雄部材10と雌部材30間の安定性を高めることができる。同様に、ロープ201、202が連結具100から離間する方向に同一直線上で各々反対側へ強く張られた状態の連結具100の安定性を高めることができる。
【0077】
溝18の底面18cと平板部11cの上面の間隔に等しい溝18の深さD18を基準としたとき、溝18の深さD18に一致する方向において溝18の底面18c上に載置された棒部31aが係合凸部11dの後側面19cに接触する範囲を上下接触範囲R31aとする。この時、上下接触範囲R31a≧深さD18/2を満足することが好ましく、上下接触範囲R31a>深さD18/2を満足することがより好ましい。
【0078】
連結具100の連結解除は、典型的及び非限定的には、次のように行われる。まず係合凸部11dの貫通孔15に設けられたリング50からロックプラグ127を引き抜き、トンカチ等の工具を用いて雄部材10又は雌部材30に対して力を与え、雄部材10と雌部材30の連結を解除する。
【0079】
本願発明者らの検討によれば、特に漁網用途においては連結具100の連結を解除するためには、雄部材10と雌部材30が離間するように両者に対して強い力が付与されており、従って、場合によっては、係合凸部11dの貫通孔15のリング50からのロックプラグ127の抜け出しにも比較的強い力が必要になることが判明した。この点に鑑みて、本実施形態においては、ロックプラグ127の基部127mにワイヤ挿通孔127hを設け、金属製ワイヤ等をワイヤ挿通孔127hに挿通可能とする。この場合、ロックプラグ127の基部127mのワイヤ挿通孔127hにワイヤを挿通し、この状態でワイヤを連結具100から引き離すことにより、係合凸部11dの貫通孔15に設けられたリング50からロックプラグ127をより簡単に抜出可能である。連結具100の連結解除の迅速化、典型的には漁網の連結解除に要する時間の短縮を図ることが期待される。なお、ロックプラグ127の基部127mのワイヤ挿通孔127hの延在方向は任意である。ワイヤにより多数のロックプラグ127を一括して回収又は管理することもできる。
【0080】
なお、ワイヤ挿通孔127hは、ロックプラグ127に対して別部材が係合することを確保するために設けられ、かかる観点からすれば、ロックプラグ127の引き抜きに「ワイヤ」を用いることは必須ではなく、任意の素材の紐等を「ロックプラグ引抜部材」として用いても良い。ワイヤは、典型的には、アルミ、鉄、銅等の金属線であり、場合によっては、塩化ビニール等の樹脂により被覆されるが、このような態様に限定されるべきものではない。ロックプラグ引抜部材は、ロック部材引抜部材である。ロックプラグ引抜部材は、典型的には線状体である。ワイヤ挿通孔127hを単に「挿通孔」と呼ぶ場合がある。
【0081】
ワイヤ挿通孔127hにワイヤを通し、雄部材10及び雌部材30の少なくとも一方の開口にもワイヤを通しても良い。この場合、ロックプラグ127の紛失防止することができる。
【0082】
最後に
図12及び
図13を参照して予備的かつ補足的に説明する。
図12に示すように、雄部材10の上面視形状は、雄部材10の後端側から前端側に向かって左右幅が緩慢に減少する。雄部材10の後端側が円弧状である。雄部材10の前端面から台座部111が突出して設けられる。言い換えれば、台座部111は、係合凸部11dを挟んで凹条の溝18とは反対側に延設されている。
【0083】
ロック部材25であるロックプラグ127が雄部材10とは別体であるため、
図1に示した場合とは異なり、雄部材10の本体11の平板部11aの上面には固定部13が設けられず、雄部材10の構成の簡素化が確保される。雄部材10の開口14が左右方向に長い角取りされた矩形状であり、より太いロープ等や幅の広いロープを挿入可能である。溝18の底面18cから隆起した島状の態様で係合凸部11dが設けられ、係合凸部11dの左右側面が平板部11cの左右側面に連続していないが、必ずしもこの限りではない。
【0084】
平板部11cの前側面には、上述の台座部111が前側に突出して設けられる。雄部材10上に雌部材30が積層された時、雌部材30の梁32の下面の抜止凸部36bが台座部111に干渉することを防止するために台座部111が左右方向に空間112を挟んで離間した一組の台座部111a、111bとして構成される。雄部材10への雌部材30の積層時、台座部111に設けられた空間112により雌部材30の梁32の下面の抜止凸部36bが受け入れられ、雌部材30の梁32の下面の抜止凸部36bが台座部111に干渉することが回避される。換言すれば、雄部材10は、雌部材30の梁32の下面の抜止凸部36bに干渉しないように構成される。
【0085】
図13に示すように雌部材30の厚みが一定であり、梁32の厚みが、開口34や開口35を囲む他の部分の厚みに等しく、
図1等に示した例と比較して構成が簡素化されている。抜止凸部36は、開口34側の梁32の縁部に設けられ、梁32の上面から上方へ突出している。抜止凸部36の長さは、ロックプラグ127の抜止凹部127rの長さに等しく、若しくはそれよりも短く、開口34の左右幅よりも短い。
【0086】
<第3実施形態>
図14を参照して第3実施形態について説明する。
図14は、ロック状態の連結具の概略的な部分拡大断面模式図である。本実施形態においては、雌部材30の環状部31pの断面視形状が略円形の形状を呈している。これにより、雄部材10の係合凸部11dを雌部材30の開口34へ挿入しやすくなる。このような場合であっても、上述の実施形態や変形例と同様の効果を得ることができる。
【0087】
ここで、
図14に示すように棒部31aの側面31a5が、係合凸部11dの後側面19cに直接的に面接触している。円形状の環状部31pの外形ラインに合わせて係合凸部11dの後側面19cが溝18の底面18cから上方へ緩慢に湾曲し、これにより、棒部31aと係合凸部11dの十分な面接触が確保される。これにより、雄部材10及び雌部材30が互いに離れる方向、すなわちX軸方向に力が加わったとしても好適に係合状態を維持することができる。なお、棒部31aの断面視形状を矩形状とし、係合凸部11dの後側面19cを溝18の底面18cから垂直に起立した面としても構わなく、この点は、第4実施形態の
図18に開示されている。
【0088】
第2実施形態と同様、
図14に示すように、溝18の底面18cと平板部11cの上面の間隔に等しい溝18の深さD18を基準としたとき、溝18の深さD18に一致する方向において溝18の底面18c上に載置された棒部31aが係合凸部11dの後側面19cに接触する範囲を上下接触範囲R31aとする。この時、上下接触範囲R31a>深さD18/2を満足することが好ましい。
【0089】
<第4実施形態>
図15乃至
図21を参照して第4実施形態について説明する。
図15は、連結具の概略的な斜視図である。
図16は、非連結状態の連結具の概略的な分解模式図であり、雄部材の側面構成を示し、雌部材の断面構成を示し、ロック部材の側面構成を示す。
図17は、ロック状態の連結具の概略的な上面模式図である。
図18は、ロック状態の連結具の概略的な断面模式図であり、
図17のX20−X20に沿う断面構成を示す。
図19は、ロック状態の連結具の概略的な断面模式図であり、
図17のX21−X21に沿う断面構成を示す。
図20は、連結具の雄部材の概略的な上面図である。
図21は、連結具の雌部材の概略的な上面図である。
【0090】
本実施形態においては、雄部材10の係合凸部11dの貫通孔15の貫通方向が前後方向ではなく左右方向であり、これに応じてロックプラグ127の挿脱方向も前後方向ではなく左右方向にある。雄部材10及び雌部材30が互いに離れる方向に力が加わっている場合、ロックプラグ127を抜き出したと同時に雄部材10と雌部材30の連結が解除し、雄部材10が雌部材30から勢いよく離れる又は雌部材30が雄部材10から勢いよく離れる場合があるが、ロックプラグ127を引き抜いた時の作業者の手が左右方向において連結具100から離れた位置にあるため、その雄部材10や雌部材30が作業者の手に衝突することを回避することができる。
【0091】
なお、貫通孔15の延在方向は、左右方向に限られるべきではなく、「連結状態の雄部材10と雌部材30の横並び方向」に対して交差する方向であれば構わない。ここで述べる「連結状態の雄部材10と雌部材30の横並び方向」は、典型的には、本願において一貫して用いられている前後方向に一致するが、次のようにも説明できる。「連結状態の雄部材10と雌部材30の横並び方向」は、連結状態の雄部材10の長手方向及び雌部材30の長手方向の少なくとも一方に一致する方向であり、より典型的には連結状態の雄部材10や雌部材30の上面や下面に沿う方向でもある。雄部材10の単体で見た時、次のように説明できる。係合凸部11dの貫通孔15は、雄部材10の後端から前端に至る前後方向に対して交差する方向に延びる。係合凸部11dの貫通孔15は、雄部材10の後端から前端に至る長手方向に対して交差する方向に延びる。係合凸部11dの貫通孔15は、板状の雄部材10の上面や下面に平行に延びる。
【0092】
本実施形態の場合においても上述の実施形態及び変形例の構成の追加的又は代替的導入により、上述の実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0093】
図16に示すように雄部材10に雌部材30が非連結の状態において、雄部材10上に雌部材30を載置し、これにより、溝18の底面18c上に棒部31aが載置され、台座部111上に梁32が載置される。雄部材10上への雌部材30の積層により、雄部材10の係合凸部11dが、雌部材30の開口34を通過して雌部材30の上面から突出し、係合凸部11dの貫通孔15が雌部材30の上面上に配置される。貫通孔15が、
図16の紙面に直交する左右方向に延びている。係合凸部11dの貫通孔15に設けられたリング50へロックプラグ127を挿入する時、
図15の参照から理解できるように、ロックプラグ127が雌部材30の棒部31bの上面上をスライド移動し、ロックプラグ127の基部127mが係合凸部11dに対して、より正確には係合凸部11dの貫通孔15に設けられたリング50に対して衝突し、この位置でロックプラグ127が停止する。
【0094】
図17乃至
図19に示すようにロックプラグ127により雄部材10と雌部材30の連結をロックした状態では、
図19に端的に示されているように、ロックプラグ127の基部127mが棒部31e上に位置し、ロックプラグ127の挿入部127nのうちリング50を通過した先端部が、棒部31b上に位置付けられる。ロックプラグ127により棒部31b、31eの上方変位が規制され、雄部材10からの雌部材30の離脱が阻止される。
【0095】
ロックプラグ127の挿入部127nの先端側の下面には抜止凹部127rが設けられ、雌部材30の棒部31bの上面に抜止凸部36が設けられる。抜止凹部127rが抜止凸部36に嵌め合わされ、これにより、外力の作用に応じてロックプラグ127が係合凸部11dの貫通孔15のリング50から抜け出ることを抑制される。なお、第2実施形態とは異なり、雌部材30の梁32の上面ではなく、雌部材30の棒部31bの上面に抜止凸部36が設けられるが、この点は、係合凸部11dの貫通孔15の貫通方向の変化に対応したものである。
【0096】
第2実施形態と同様に、雌部材30の上面に第1抜止凸部36aを設けることに加えて、その下面にも第2抜止凸部36bを設ける。これにより、雌部材30の表裏を判別する必要がなく、雄部材10と雌部材30を連結可能となり、連結時の作業性が向上する。抜止凹部127rは、
図19の紙面に対して直交する方向に一致する前後方向に長く延び、抜止凸部36についても同様である。抜止凹部127rと抜止凸部36は、貫通孔15からのロックプラグ27の抜けを規制する規制手段/規制構造でもある。
【0097】
雌部材30の上面及び下面に抜止凸部36を設ける場合、雌部材30の下面の抜止凸部36が雄部材10に干渉してしまうことが危惧される。本例においては、この点に鑑みて、雄部材10が雌部材30の梁32の下面の第2抜止凸部36bに干渉しないように構成する。本例のように、雄部材10上に雌部材30を載置した状態において、雌部材30の棒部31bや棒部31eが、雄部材10上に配されない構成とすることが望ましい。雄部材10の平板部11cの左右幅を雌部材30の開口34の左右幅の最大値よりも狭くし、より好適には、雄部材10の平板部11cの左右幅を雌部材30の開口34の左右幅の最小値以下とする。これにより、雌部材30の抜止凸部36と雄部材10の干渉を回避可能である。
【0098】
図18に示すように、本例の場合にも雌部材30の環状部31pの棒部31aの外周面と雄部材10の係合凸部11dの後側面19cとが面接触する。また、上下接触範囲R31a>深さD18/2を満足する。
【0099】
最後に
図20及び
図21を参照して予備的かつ補足的に説明する。
図20に示すように、雄部材10は、雄部材10の後端側の上面視正円状の環状部11mを有し、この環状部11mに棒状の平板部11cが段下げされた態様にて結合し、平板部11cの上面に係合凸部11dが凸状に設けられる。段差部16と係合凸部11dにより溝18が設けられる点は上述の実施形態と同様であるが、係合凸部11dの貫通孔15が前後方向ではなく左右方向に設けられているため、段差部16と貫通孔15の一端側の開口が対向しない。平板部11cが係合凸部11dよりも更に前方に延在し、これにより台座部111が設けられる。台座部111が雌部材30に設けられる抜止凸部36と干渉することがないため、台座部111には干渉回避のための空間112が設けられていない。
【0100】
本例の如く係合凸部11dの貫通孔15の延在方向を左右方向に合致させる場合、係合凸部11dの左右幅を短くすることもでき、従って、平板部11cの左右幅W11cも狭くすることができる。例えば、本例の如く、環状部11mの直径に等しい左右幅W11mと比較すると、左右幅W11c<左右幅W11mとすると良く、左右幅W11c<左右幅W11m/2としても良い。かかる構成変更は、雄部材10の製造に用いられる材料の低減に寄与し、その価格低減に貢献できることが見込まれる。
【0101】
図21に示すように、雌部材30の左右幅は、前端側が狭く、後端側が広い。雄部材10の係合凸部11dの構成変更に伴い、雌部材30の開口34が前後方向に長い。開口34の左右幅は、前方から後方に向かって漸増し、開口35が十分な開口幅を有することが確保される。
【0102】
上述の開示に照らせば、次のように記載された連結具の使用方法も開示されている。
<付記1>
貫通孔(15)が頂部(19b)に設けられた係合凸部(11d)、及び前記係合凸部(11d)と共に凹状の溝(18)を形成する段差部(16)を含む板状の雄部材(10)と、
前記係合凸部(11d)が挿入される開口(34)を囲む周囲部(31p)を含む板状の雌部材(30)と、
前記係合凸部(11d)の前記貫通孔(15)に挿入可能な挿入部(127n)を含むロック部材(25、27、127)と、を備える連結具(100)の使用方法であって、
前記雄部材(10)上に前記雌部材(30)を積層して前記雌部材(30)の前記開口(34)に前記雄部材(10)の前記係合凸部(11d)を挿入するステップにして、当該ステップにより、前記雌部材(30)の前記周囲部(31p)の一部(31a)が前記雄部材(10)の前記溝(18)により受け入れられ、前記係合凸部(11d)の前記頂部(19b)が前記雌部材(30)から突出する、ステップと、
前記係合凸部(11d)の前記頂部(19b)に設けられた前記貫通孔(15)に前記ロック部材(25、27、127)の前記挿入部(127n)を挿入して前記雄部材(10)と前記雌部材(30)の連結をロックするステップと、
を含む、連結具の使用方法。
【0103】
<付記2>
前記ロック部材(25、27、127)は、ワイヤ挿通孔(127h)が設けられた基部(127m)を含む付記1に記載の連結具(100)の使用方法であって、
前記ロック部材(25、27、127)の前記基部(127m)の前記ワイヤ挿通孔(127h)にワイヤを通すステップと、
前記挿通により前記ロック部材(25、27、127)に係合したワイヤを所定方向に移動し、前記係合凸部(11d)の前記貫通孔(15)から前記ロック部材(25、27、127)を引き抜くステップと、を更に含む、連結具の使用方法。
【0104】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。本発明は漁業以外の幅広い用途に用いることができ、従って、上述の説明により本願発明の用途が限定されるべきものではない。雄部材と雌部材の具体的な形状、構成材料等は任意である。開口を囲む環状部分を周囲部と呼ぶ場合もあるが、周囲部の具体的な形状は任意である。雄部材に設けられる溝の延在態様も任意である。
【0105】
雄部材と雌部材が板状部材から構成されるため、それらの構成の簡素化を図ることができ、更に、それらの機械的な強度も高めることが可能である。雄部材と雌部材が板状部材であるため、それらの粗い取扱いも許容されるだろう。この点は、海中への投入と引き揚げが繰り返される漁網用の用途において特に有利である。雄部材と雌部材の材質は、任意であり、用途に応じて適当に選定されるものであるが、特に漁網用途においては海中に浸される点を考慮し、それらをステンレス製として耐食性を高めることが好ましい。
【0106】
請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。
図1乃至
図4に係る実施形態に開示された雌部とキャップの装着態様と
図5に係る変形例に開示された雌部とキャップの装着態様とを組み合わせても良い。各変形例間の様々な組み合わせは、当業者にとっては上述の説明から理解可能である。