特許第5788591号(P5788591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788591
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】電力監視装置および電力監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20150910BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20150910BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20150910BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20150910BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20150910BHJP
【FI】
   H02J3/14 130
   H02J13/00 311T
   H04Q9/00 301C
   H04Q9/00 311J
   G06Q50/06
   G06Q50/16 102
   H02J3/14 160
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-510953(P2014-510953)
(86)(22)【出願日】2012年4月16日
(86)【国際出願番号】JP2012002607
(87)【国際公開番号】WO2013157030
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小坂 忠義
(72)【発明者】
【氏名】宮田 克也
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 秀敏
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−125295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
G06Q 50/06
G06Q 50/16
H02J 13/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統から供給される電力を使用する電力消費機器の電力を監視する電力監視装置であって、
過去に前記電力消費機器で使用された電力量の実績値を保持する電力量実績値保持部と、
前記電力量の実績値から前記電力消費機器で使用される使用電力量の予測値を計算し、外部から電力系統の時間別の電力使用率を示す情報を受信し、当該電力使用率が所定の閾値より大きい時間帯について、予め定めた目標電力量を前記使用電力量の予測値から下げた目標電力量に変更して、時間別の目標電力量を設定する目標電力設定部と、
外部から前記電力消費機器で使用される使用電力量を入手し、入手した使用電力量が前記目標電力量を越えている時間帯に、電力消費機器の節電を行うための制御を行う判定・制御部と、
を備えることを特徴とする電力監視装置。
【請求項2】
前記目標電力設定部は、前記使用電力量の予測値から一定の値だけ下げた目標電力量に変更するか、あるいは、電力使用率が大きくなるほど前記使用電力量の予測値から下げた目標電力量に変更することを特徴とする請求項1に記載の電力監視装置。
【請求項3】
前記判定・制御部は、電力消費機器の節電を促す通知情報を外部に送信するか、あるいは、電力消費機器が節電設定を行うようにする制御情報を電力消費機器へ送信することを特徴とする請求項1に記載の電力監視装置。
【請求項4】
電力系統から供給される電力を使用する電力消費機器の電力を監視する電力監視装置の複数と、複数の電力監視装置と通信により接続可能な電力管理サーバと、で構成される電力監視システムであって、
電力管理サーバは、
複数の電力監視装置別に、過去に前記電力消費機器で使用された電力量の実績値を保持する電力量実績値保持部と、
外部から電力系統の時間別の電力使用率を示す情報を受信し、複数の電力監視装置別に、前記電力量の実績値から前記電力消費機器で使用される使用電力量の予測値を計算し、前記電力使用率が所定の閾値より大きい時間帯について、予め定めた目標電力量を前記使用電力量の予測値から下げた目標電力量に変更して、時間別の目標電力量を作成する目標電力作成部と、を備え、
電力監視装置は、
目標電力作成部で作成される自装置の時間別の目標電力量を設定する目標電力設定部と、
入手した使用電力量が前記自装置の時間別の目標電力量を越えている時間帯に、電力消費機器の節電を行うための制御を行う判定・制御部と、
を備えることを特徴とする電力監視システム。
【請求項5】
前記目標電力作成部は、前記使用電力量の予測値から一定の値だけ下げた目標電力量に変更するか、あるいは、電力使用率が大きくなるほど前記使用電力量の予測値から下げた目標電力量に変更することを特徴とする請求項4に記載の電力監視システム。
【請求項6】
前記判定・制御部は、電力消費機器の節電を促す通知情報を外部に送信するか、あるいは、電力消費機器が節電設定を行うようにする制御情報を電力消費機器へ送信することを特徴とする請求項4に記載の電力監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や店舗などの電力を監視し、目標電力以下に電力を抑えるための電力監視装置あるいは電力監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗・施設のオーナーと電力会社との間で行なわれる電気料金の契約方式として、デマンド契約方式がある。デマンド契約方式では、予め定められたデマンド時限(通常は30分)毎に消費電力積算値を算出し、1年間のデマンド時限毎の消費電力量積算値のうち、最大の消費電力積算値を基準として電気料金が定められる。このため、1デマンド時限における消費電力積算値を常に低く抑える必要がある。
【0003】
そこで、デマンド時限内の途中において、デマンド時限開始時からデマンド時限終了時までの消費電力積算値を予測し、予測値が予め定められた契約電力量を超える場合には、特定の機器の運転を停止させるといった制御(デマンド制御)を行う電力監視装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、予測値が予め定められた契約電力量を超えそうな場合に省エネアドバイスを作成してユーザに通知する電力監視装置が特許文献2に開示されている。
【0005】
家庭においても消費電力や消費電力量を測定し、契約アンペア数を超えそうな場合に特定の機器の運転を停止させるといった制御をしたりする電力監視装置が販売されている。
【0006】
これらの装置は各店舗・施設、各家庭などの各需要家において電力監視、通知、制御を個別に行うものであり、電力会社が各需要家に電力を供給する電力系統の電力使用率とは独立して運用されている。
【0007】
一方で、電力系統に繋がる複数の需要家の複数の需要機器を統合制御し、電力系統の電力使用率を平準化するためのシステムが特許文献3に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−236038号公報
【特許文献2】特許第4562307号公報
【特許文献3】特開2007−336796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献1や2に示される電力監視が電力系統の電力使用率とは独立して運用されている様子を図14に示す。
【0010】
図14では、上段に電力系統の電力使用率が1日に変化する例を示し、下段にある店舗の一定時間毎の電力量が1日に変化する例を示す。
【0011】
図14の下段に示されるように、店舗の契約電力量などの目標電力量は、電力系統の電力使用率とは無関係に一定の値に設定されている。このため、電力系統の電力需給が逼迫している12時から17時の時間帯であっても、店舗の電力量は目標電力量を下回っており、電力削減の対象となっていない。逆に、電力系統の電力需給が逼迫していない18時から21時の時間帯では、店舗の電力量は目標電力量を上回っており、電力削減の対象となっている。
【0012】
このように、特許文献1や2に示される電力監視では、電気料金の削減はできるものの、電力系統の高まった電力使用率を下げることには寄与しない。
【0013】
もし、電力系統の電力使用率が100%を越えると、電力系統の需要に対して供給量が少なくなり、周波数が低下したり、電圧が低下したり、停電するなどの弊害が生じる。
【0014】
これを解決するためには、電力供給能力を増やすか、各需要家の需要機器を一元管理して電力需要を制御するシステムを導入する必要がある。
【0015】
しかしながら、電力供給能力を増やすには、大規模な投資と年単位の建設時間が必要となる。また、特許文献3に示されるような各需要家の電力需要を制御するシステムは地域全体に渡る大規模なシステムとなり、既に人が居住して経済活動を行っている地域に導入するのは困難である。
【0016】
そこで、本発明では、需要家における電力監視、通知、制御をできるだけ簡易に電力系統の電力使用率と連携させて行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電力系統の電力使用率が予め設定した閾値より大きい時間帯に目標電力を平常時より下げるようにして、電力系統の電力使用率と連携させた節電を行うことができ、電力系統を安定化させ、停電を起こりにくくすることができる。
【0019】
また、各需要家における電力監視、通知、制御を個別に行う装置をできるだけ簡易に電力系統の電力使用率と自主的に連動させることにより、大規模なシステム開発をすること無く、電力系統を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施例の電力監視装置の監視の状況を説明する図。
図2】第1の実施例の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図。
図3】第1の実施例のシーケンス図。
図4】第2の実施例の電力監視装置の監視の状況を説明する図。
図5】第3の実施例の電力監視装置の監視の状況を説明する図。
図6】第3の実施例の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図。
図7】第3の実施例のシーケンス図
図8】第4の実施例の電力監視装置の監視の状況を説明する図。
図9】第5の実施例の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図。
図10】第5の実施例のシーケンス図。
図11】第6の実施例の電力監視装置の監視の状況を説明する図。
図12】第6の実施例の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図。
図13】第6の実施例のシーケンス図。
図14】電力監視が電力系統の電力使用率とは独立して運用されている様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【0022】
なお、以下では店舗における電力監視の例を説明するが、店舗でなく施設や家庭であってもよい。また、以下では監視する電力の対象を所定時間の電力量(Wh)として説明するが、電力量(Wh)でなく瞬時の電力(W)であってもよい。
【実施例1】
【0023】
図1に実施例1における電力監視装置の監視の状況を説明する図を示す。
【0024】
上段は電力系統の電力使用率の1日分の予測値の例を示し、下段にはある店舗での毎時0分〜30分間もしくは30分〜60分間の30分間の電力量の実測値の推移を示す。また、目標電力量は、予め図14のように一定値で設定されているものとする。目標電力量は、ユーザの判断により設定されてもよいし、電力会社との契約電力量に基づき設定されてもよい。
【0025】
電力系統の電力使用率がある閾値(図の例では90%)より大きくなったaの時間に、下段の予め設定されている目標電力量を所定の割合(図の例では20%)だけ低下させる。その後、電力系統の電力使用率が閾値より小さくなったbの時間に、下段の店舗の目標電力量を元に戻す。そして電力量の実測値が目標電力を越えた場合に節電を行うようにする。
【0026】
こうすることにより、電力系統の電力需給が逼迫している時間帯にも店舗で節電を行ない、電力系統の電力需給が逼迫していない時間帯では店舗の電力需要が目標電力量を越えた場合に店舗で節電を行う。目標電力量の設定は例えば、翌日分の設定を深夜1時に行う。
【0027】
なお、本実施例では、2011年現在における日本国内の事業者向け電力料金体系を元に、毎時0分〜30分間もしくは30分〜60分間の30分間の電力量を規定しているが、契約する電力料金体系によっては30分ではなく、別の時間単位を用いても良い。
【0028】
図2に実施例1の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図を示す。店舗100の中には、電力監視装置10、電力量計20、表示装置30、需要機器40が配置され、相互に店舗内ネットワークで接続されている。電力監視装置10には目標電力設定機能1、判定・制御機能2、目標電力量テーブル3が含まれる。
【0029】
目標電力量テーブル3は時間と目標電力量からなるテーブルで、時間単位は従来のデマンド制御の時間間隔に合わせて30分毎に設定されるのが望ましい。契約する電力料金体系によっては30分値ではなく、別の時間単位を用いても良い。電力監視装置10は店舗100の外の電力系統の電力使用率通知サーバ200とインターネット経由で接続されている。
【0030】
図3に実施例1のシーケンス図を示す。
【0031】
目標電力設定機能1は予め図14に示すような目標電力量を設定しておく。
【0032】
目標電力設定機能1は電力系統の電力使用率通知サーバ200に対して電力使用率通知サーバ200が保持する電力系統の電力使用率予測情報を送信するように要求する。電力使用率予測情報は図1の上段に示される時間と使用率からなる情報である。
【0033】
前記要求に対し、電力使用率通知サーバ200は電力系統の電力使用率予測情報を送信し、目標電力設定機能1はこれを受信する。
【0034】
目標電力設定機能1は電力使用率予測情報を受信すると、電力使用率が所定の閾値を上回っている時間帯について予め設定されている目標電力量を所定の割合だけ下げ、単位時間毎の目標電力量情報を設定する。その後、設定した目標電力量情報を目標電力量テーブル3に登録する。目標電力量情報は図1の下段に示される時間と目標電力量からなる情報である。
【0035】
目標電力量の更新間隔は1日に1回、例えば深夜1時に行うようにすればよいが、更新時間や更新間隔を限定するものではない。
【0036】
電力量計20は需要機器40で使用される使用電力量を測定し、保持する。
【0037】
判定・制御機能2は、電力量計20が保持する使用電力量を予め定められた所定時間ごとに入手する。また、判定・制御機能2は、要求により、目標電力量テーブル3から設定された目標電力量を入手する。
【0038】
そして、判定・制御機能2は、使用電力量に基づく毎時0分〜30分間もしくは30分〜60分間の電力量積分値と目標電力量とを比較し、電力量積分値が目標電力量を上回ると予測される場合に、表示装置30に節電を促す通知情報を送信し、当該通知情報を受信した表示装置30は通知情報を表示する。通知情報を見た管理者は、節電する場合には、需要機器40を操作して電力使用量を低減する。
【0039】
あるいは、判定制御機能2が需要機器40に対して節電設定を行うための制御情報を送信し、当該制御情報を受信した需要機器40が制御情報に従って節電設定を行う。需要機器40は、例えば、テレビ、エアコン、照明装置、冷蔵装置などの電力消費機器である。
【0040】
これらに対する操作は、電源を落とす操作、エアコンの温度設定を変化させる操作、エアコン室外機の出力を制限する操作、照明の明るさを制限する操作、冷蔵装置の強度を弱くする操作が考えられる。表示装置30、需要機器40は複数あっても良い。特に需要機器40が複数ある場合は、優先順位を付けて優先順位の低い物から操作を行い、使用電力量が目標電力量を下回らない場合は次の優先度の需要機器を操作すればよい。
【0041】
本実施例によれば、電力系統の電力使用率が予め設定した閾値より大きい時間帯に目標電力を平常時より下げ、使用電力量が目標電力量を超えそうな場合にユーザに通知して需要機器の電力を低減させるか、需要機器を制御して電力を低減させる。
【0042】
このような節電が、多数の店舗あるいは多数の家庭で行われれば、電力系統の電力使用率を下げ、電力系統を安定化させ停電などを防止することができる。
【0043】
また、既設の電力監視装置の目標電力量を可変にするだけで対応でき、改造や機能の追加を最小限に抑えられる。
【実施例2】
【0044】
図4に実施例2における電力監視装置の監視の状況を説明する図を示す。
【0045】
図4では図1に対して、目標電力量の下げ方を変更する。
【0046】
本実施例では、図4に示されるように、電力系統の電力使用率が所定の閾値を超えている時間に、電力系統の電力使用率の大きさに応じて店舗内の予め定めた目標電力量の下げる大きさを変化させる。すなわち、電力系統の電力使用率が所定の閾値を超えている時間に電力使用率が閾値を越える割合の分だけ予め定めた目標電力量を下げる。目標電力量を変化させる時間間隔は電力料金のデマンド契約に用いられる30分毎が望ましいが、契約する電力料金体系によっては30分毎ではなく、別の時間単位を用いても良い。
【0047】
本実施例の構成図は実施例1の図2と同じであり、シーケンス図は実施例1の図3と同じである。ただし、目標電力設定機能1で設定される目標電力量情報が図4の下段に示される時間と目標電力量からなる情報となる。
【0048】
本実施例によれば、実施例1の目標電力量に比べて目標電力量を瞬時に大きく変化させなくて済む。このため必要以上に節電しなくても済む。
【実施例3】
【0049】
実施例1及び2では、電力系統の需要が逼迫している時間に、目標電力量を低下させた。
【0050】
しかしながら、電力系統の需要が逼迫している時間に、店舗の使用電力が平常時の目標電力と比較して十分小さい場合には、低下させた目標電力を越えず、節電できない。
【0051】
本実施例では、電力系統の電力使用率が所定の閾値を超えた時間に、店舗の使用電力量予測値を基準に目標電力量を設定する。
【0052】
図5に実施例3における電力監視装置の監視の状況を説明する図を示す。
【0053】
図5のおいて、上段は電力系統の電力使用率の1日分の予測値の例を示し、下段にはある店舗での毎時0分〜30分間もしくは30分〜60分間の30分間の電力量の予測値と実測値の推移を示す。また、目標電力量は、予め図14のように一定値で設定されているものとする。目標電力量は、ユーザの判断により設定されてもよいし、電力会社との契約電力量に基づき設定されてもよい。
【0054】
電力系統の電力使用率がある閾値(図の例では90%)より大きくなったaの時間に、下段の店舗の目標電力量を電力量の予測値から一定値だけ低下させる。その後、電力系統の電力使用率が閾値より小さくなったbの時間に、下段の店舗の目標電力量を元に戻す。そして電力量の実測値が目標電力を越えた場合に節電を行うようにする。
【0055】
図6に実施例3の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図を示す。図2と異なるのは、電力監視装置10に過去の電力量実績値テーブル4が追加されている点である。電力量実績値テーブル4には、過去の使用電力量履歴や気温、曜日、休日/平日の区分が記録される。
【0056】
図7に実施例3のシーケンス図を示す。
【0057】
目標電力設定機能1は予め図14に示されるような目標電力量を設定しておく。
【0058】
目標電力設定機能1は電力系統の電力使用率通知サーバ200に対して電力使用率通知サーバ200が保持する電力系統の電力使用率予測情報を送信するように要求する。電力使用率予測情報は図5の上段に示される時間と使用率からなる情報である。
【0059】
前記要求に対し、電力使用率通知サーバ200は電力系統の電力使用率予測情報を送信し、目標電力設定機能1はこれを受信する。また、目標電力設定機能1は、要求により、電力量実績値テーブル4が保持する過去の使用電力量履歴や気温、曜日、休日/平日の区分、季節などの電力量実績情報を入手する。目標電力設定機能1は、入手した電力量実績情報から使用電力量の予測値を計算する。
【0060】
目標電力設定機能1は電力使用率予測情報を受信し、使用電力量の予測値を計算すると、電力使用率が所定の閾値を上回っている時間帯について予め設定されている目標電力量を使用電力量の予測値から所定値だけ下げた目標電力量に変更し、単位時間毎の目標電力量情報を設定する。その後設定した目標電力量情報を目標電力量テーブル3に登録する。目標電力量情報は図5の下段に示される時間と目標電力量からなる情報である。
【0061】
目標電力量の更新間隔1日に1回、例えば深夜1時に行うようにすればよいが、更新時間や更新間隔を限定するものではない。
【0062】
これ以降の判定・制御機能2で行われる目標電力量と使用電力量との比較・判定、通知、制御については、図3の説明と同様である。なお、判定・制御機能2は、随時電力計から入手した電力量実績を電力量実績値テーブル4に登録する。
【0063】
本実施例によれば、電力系統の電力使用率が予め設定した閾値より大きい時間帯に目標電力量を使用電力量の予測値より下げ、使用電力量が目標電力量を超えそうな場合にユーザに通知して需要機器の電力を低減させるか、需要機器を制御して電力を低減させる。
【0064】
従って、電力系統の電力使用率が予め設定した閾値より大きい時間帯には、使用電力量の予測値に近似する実測値が低い場合であっても、使用電力量を確実に低減することが可能となる。
【0065】
このような節電が、多数の店舗あるいは多数の家庭で行われれば、電力系統の電力使用率を下げ、電力系統を安定化させ停電などを防止することができる。
【実施例4】
【0066】
図8に実施例4における電力監視装置の監視の状況を説明する図を示す。
【0067】
図8では図5に対して、目標電力量の下げ方を変更する。
【0068】
本実施例では、図8に示されるように、電力系統の電力使用率が所定の閾値を超えている時間に、電力系統の電力使用率の大きさに応じて店舗内の予め定めた目標電力量を使用電力量の予測値から下げる大きさを変化させる。すなわち、電力系統の電力使用率が所定の閾値を超えている時間に電力使用率が閾値を越える割合の分だけ使用電力量の予測値から下げて目標電力量を設定する。目標電力量を変化させる時間間隔は電力料金のデマンド契約に用いられる30分毎が望ましいが、契約する電力料金体系によっては30分毎ではなく、別の時間単位を用いても良い。
【0069】
本実施例の構成図は実施例3の図6と同じであり、シーケンス図は実施例3の図7と同じである。ただし、目標電力設定機能1で設定される目標電力量情報が図8の下段に示される時間と目標電力量からなる情報となる。
【0070】
本実施例によれば、実施例3の目標電力量に比べて目標電力量を瞬時に大きく変化させなくて済む。このため必要以上に節電しなくても済む。
【実施例5】
【0071】
本実施例では、実施例3の図5及び実施例4の図8のような電力監視を実施する別の構成図及びシーケンス図を説明する。
【0072】
図9に実施例5の電力監視装置とこれを含むシステムの構成図を示す。図6と異なるのは、電力監視装置10がインターネットを介して新たに需要家目標電力管理サーバ300と接続されている点である。
【0073】
需要化目標電力管理サーバ300は、複数の店舗あるいは複数の家庭などの複数の需要家の電力監視装置10と接続可能である。そして、需要化目標電力管理サーバ300は、目標電力作成機能5と各需要家の電力量実績値が記録された需要家電力量実績値テーブル6と各需要家の目標電力量が記録された需要家目標電力テーブル7を備える。
【0074】
図10に実施例5のシーケンス図を示す。
【0075】
需要化目標電力管理サーバ300内の目標電力設定機能5は予め図14に示されるような目標電力量を設定しておく。
【0076】
需要化目標電力管理サーバ300内の目標電力作成機能5は、電力系統の電力使用率通知サーバ200に対して電力使用率通知サーバ200が保持する電力系統の電力使用率予測情報を送信するように要求する。電力使用率予測情報は図5図8の上段に示される時間と使用率からなる情報である。
【0077】
前記要求に対し、電力使用率通知サーバ200は電力系統の電力使用率予測情報を送信し、目標電力作成機能5はこれを受信する。また、目標電力作成機能5は、要求により、需要家電力量実績値テーブル6が保持する需要家毎の過去の使用電力量履歴や気温、曜日、休日/平日の区分、季節などの電力量実績情報を入手する。目標電力作成機能5は、入手した各需要家の電力量実績情報から各需要家の使用電力量の予測値を計算する。
【0078】
目標電力作成機能5は電力使用率予測情報を受信し、使用電力量の予測値を計算すると、図5図8に示すように、電力使用率が所定の閾値を上回っている時間帯について予め設定されている目標電力量を使用電力量の予測値から下げた目標電力量に変更し、各需要家の単位時間毎の目標電力量情報を作成する。その後設定した目標電力量情報を需要家目標電力量テーブル7に登録する。
【0079】
店舗100内の目標電力設定機能1は、需要家目標電力管理サーバ300に対して需要家目標電力量テーブル7に登録された目標電力量情報を送信するように要求する。
【0080】
前記要求に対し、需要家目標電力管理サーバ300は店舗100の目標電力量情報を送信し、目標電力設定機能1はこれを受信する。
【0081】
目標電力設定機能1は受信した目標電力量情報に基づき単位時間毎の目標電力量情報を設定して、目標電力量テーブル3に登録する。目標電力量情報は図5図8の下段に示される時間と目標電力量からなる情報である。
【0082】
需要家目標電力量テーブル7および目標電力量テーブル3の目標電力量の更新間隔1日に1回、例えば深夜1時に行うようにすればよいが、更新時間や更新間隔を限定するものではない。これ以降の判定・制御機能2で行われる目標電力量と使用電力量との比較・判定、通知、制御については、図3の説明と同様である。
【0083】
なお、判定・制御機能2は、随時電力系から入手した電力量実績を電力量実績値テーブル4に登録し、登録されたデータを1日1回程度の頻度で需要家目標電力管理サーバ300内の需要家電力量実績値テーブル6に登録する。
【0084】
このように、需要家目標電力管理サーバ300を需要家の外部に設けることにより、複数の需要家の電力量実績値を収集することができ、外部で一括して需要家ごとの電力系統の電力使用率を考慮した目標電力量を設定可能となる。
【0085】
このため、複数の需要家別に目標電力設定機能が電力系統の電力使用率を考慮した目標電力量を設定する機能を持たなくて済む。
【0086】
このような本実施例のシステムは、複数の店舗を展開する企業や、複数の家庭の集まった集合住宅などに導入するのに適している。
【0087】
また、需要家目標電力管理サーバを、店舗内では設置するのが困難な大容量サーバとすることにより、電力量実績値を長期間分保持することができ、長期間分の電力実績値を用いることにより、目標電力量設定時の使用電力量の予測値の精度を高めることができる。
【実施例6】
【0088】
図11に実施例6における電力監視装置の監視の状況を説明する図を示す。
【0089】
上段は、電力会社において、電力系統の電力使用率が制限を越えないように設定された時間帯別の電気料金を示す。電力料金は、電力系統の電力使用率が高いほど高くなるように設定されている。
【0090】
下段にはある店舗での一定時間毎の電力量の実測値の推移を示す。下段の目標電力量は電気料金が高いほど下げるように設定される。そして、電力量の実測値が目標電力量を越えた場合に節電を行うようにする。こうすることにより、電力系統の電力使用率が高いほど、節電が行われるようにする。
【0091】
図12に実施例6における電力監視装置とこれを含むシステムの構成図を示す。
【0092】
図2と異なるのは、電力系統の電力使用率通知サーバ200が時間帯別電気料金通知サーバ400に代わっている点である。
電力監視装置10は店舗100の外の電力系統の時間帯別電気料金通知サーバ400とインターネット経由で接続される。
【0093】
図13に実施例6のシーケンス図を示す。目標電力設定機能1は時間帯別電気料金通知サーバ400に対して時間帯別電気料金通知サーバ400が保持する時間帯別電気料金情報を送信するように要求する。時間帯別電気料金情報は図11の上段に示される時間と電気料金からなる情報である。
【0094】
前記要求に対し、時間帯別電気料金通知サーバ400は時間帯別電気料金情報を送信し、目標電力設定機能1はこれを受信する。
【0095】
目標電力設定機能1は受信した時間帯別電気料金情報を元に単位時間毎の目標電力量情報を設定して目標電力量テーブル3に登録する。目標電力量情報は図11の下段に示される時間と目標電力量からなる情報である。
【0096】
目標電力量の更新間隔は1日に1回、例えば深夜1時に行うようにすればよいが、更新時間や更新間隔を限定するものではない。
【0097】
これ以降の判定・制御機能2で行われる目標電力量と使用電力量との比較・判定、通知、制御については、図3の説明と同様である。
【0098】
本実施例によれば、電力系統の電力使用率が制限を越えないように設定された時間帯別の電力料金に基づき目標電力量を設定するため、目標電力量を越えた使用電力を低減すれば、確実に電力系統の安定化に寄与できる。
【0099】
また、電力系統の電力使用率が高いほど高くなるように設定された電気料金が高いほど、目標電力量を下げているため、目標電力量を越えた使用電力を低減すれば、電気料金と電力系統の電力使用率の削減を両立して行うことができる。
【0100】
また、既設の電力監視装置の目標電力量を可変にするだけで対応でき、改造や機能の追加を最小限に抑えられる。
【符号の説明】
【0101】
1:目標電力設定機能、2:判定・制御機能、3:目標電力量テーブル、4:電力量実績値テーブル、5:目標電力作成機能、6:需要家電力量実績値テーブル、7:需要家目標電力量テーブル、10:電力監視装置、20:電力計、30:表示装置、40:需要機器、100:店舗、200:電力系統の電力使用率通知サーバ、300:需要家目標電力管理サーバ、400:時間帯別電気料金通知サーバ
図1
図2
図3
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図5
図6
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