【実施例】
【0024】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
【0025】
実験例1 コーヒー含有飲料の調製(無糖)
表1の処方に基づき、各種デキストリンを用いてコーヒー含有飲料を調製した。具体的には、各種デキストリン、砂糖、スクラロース及び乳化剤の粉体混合物を水に加え、75℃で10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、コーヒー抽出液(コーヒーエキス)を添加した。さらに炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して、混合液のpHを6.8に調整した。水にて全量補正後、75℃まで加温し、150kgf/cm
2の圧力にて均質化処理後、香料を添加した。缶に充填してレトルト殺菌(123℃20分間)を行い、コーヒー含有飲料を調製した。
【0026】
【表1】
【0027】
注1)「αシクロデキストリン」(株式会社シクロケム製)
注2)「ファイバーソル2」(松谷化学工業株式会社製)
注3)スクラロースは砂糖の600倍の甘味倍率を有するため、飲料全体の甘味が同等となる添加量を使用した。
【0028】
得られたコーヒー含有飲料について、パネラー3名で、(1)コク味増強効果、(2)香味立ち、及び(3)高甘味度甘味料の甘味の後引き改善効果を評価した。結果を表2に示す。
(1)コク味増強効果:コク味増強効果が高いものを5、効果がないものを1として5段階で評価した。
(2)香味立ちが良好なものを5、香味立ちが悪いものを1として5段階で評価した。
(3)甘味の後引き改善効果が高いものを5、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きを感じるものを1として5段階で評価した。
【0029】
【表2】
【0030】
実施例1及び2のコーヒー含有飲料は、糖類含量が0.48%と極めて低い無糖コーヒーにも関わらず、馬鈴薯由来でDEが3.5であるデキストリンを、0.05、0.15質量%と少量添加するのみで、糖類含量が6.48%のコーヒー含有飲料(比較例1)と遜色ない十分なコク味を有していた。更には、糖類含量が6.48%と高いコーヒー含有飲料では実現できなかった、コーヒーの良好な香味立ちも実現でき、十分なコク味及び良好な香味立ちを兼ね備えたコーヒー含有飲料であった。また、実施例1及び2のコーヒー含有飲料は、高甘味度甘味料(スクラロース)を含有しているにも関わらず、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きも改善され、キレのよい甘味を有するコーヒー含有飲料であった。
【0031】
一方、シクロデキストリン(比較例2)や、難消化性デキストリン(比較例3)を用いたコーヒー含有飲料や、馬鈴薯由来であってもDEが5以上のデキストリン(比較例4)、DEが3であってもコーン由来のデキストリン(比較例5)を用いたコーヒー含有飲料は、0.5質量%と実施例1、2に比べて約3〜10倍のデキストリンを用いているにも関わらず、無糖コーヒーにコク味を付与することはできなかった。更には、比較例2〜5のコーヒー含有飲料は香味立ちや、高甘味度甘味料の甘味の後引き改善効果も不十分であった。
【0032】
実験例2 コーヒー含有飲料の調製(低糖)
表3の処方に基づき、低糖タイプのコーヒー含有飲料を調製した。具体的には、デキストリン、砂糖、スクラロース及び乳化剤の粉体混合物を水に加え、75℃で10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、コーヒー抽出液を添加した。炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して、混合液のpHを6.8に調整した。水にて全量補正後、75℃まで加温し、150kgf/cm
2の圧力にて均質化処理後、香料を添加した。缶に充填してレトルト殺菌(123℃20分間)を行い、コーヒー含有飲料(実施例3、比較例6)を調製した。
【0033】
【表3】
【0034】
馬鈴薯由来、DE4のデキストリンを用いた実施例3のコーヒー含有飲料は、糖類含量が2.1%と低いにも関わらず、十分なコク味と良好な香味立ちを兼ね備えたコーヒー含有飲料であった。更に、実施例3のコーヒー含有飲料は、高甘味度甘味料(スクラロース)を使用しているにも関わらず、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きも改善され、味にキレのあるコーヒー含有飲料であった。
一方、デキストリン不使用である比較例6のコーヒー含有飲料は、水っぽく薄い味である上、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きが残存する飲料であった。
【0035】
実験例3 コーヒー含有飲料の調製(低糖)
表4の処方に基づき、低糖タイプのコーヒー含有飲料を調製した。具体的には、デキストリン、砂糖及び乳化剤の粉体混合物を水に加え、75℃で10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、コーヒー抽出液を添加した。炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して、混合液のpHを6.8に調整した。水にて全量補正後、75℃まで加温し、150kgf/cm
2の圧力にて均質化処理後、香料を添加した。缶に充填してレトルト殺菌(123℃20分間)を行い、コーヒー含有飲料(実施例4、比較例7)を調製した。
【0036】
【表4】
【0037】
馬鈴薯由来、DE4.5のデキストリンを用いた実施例4のコーヒー含有飲料は、糖類含量が2.2%と低いにも関わらず、十分なコク味を有するコーヒー含有飲料であった。
一方、デキストリンを使用しなかった比較例7のコーヒー含有飲料は、コク味が不十分であった。
【0038】
実験例4 コーヒー含有飲料の調製(無糖)
表5の処方に基づき、無糖タイプのコーヒー含有飲料を調製した。具体的には、デキストリン、スクラロースの粉体混合物を水に加えて溶解後、コーヒー抽出液を添加した。水にて全量補正後、香料を添加し、缶に充填してレトルト殺菌(121℃5分間)を行い、コーヒー含有飲料(実施例5、比較例8)を調製した。
【0039】
【表5】
【0040】
馬鈴薯由来、DE4のデキストリンを用いた実施例5のコーヒー含有飲料(無糖、ブラックコーヒー)は、糖類を含まないにも関わらず、比較例8に比べて、十分なコク味を有するコーヒー含有飲料であった。更に、比較例8のコーヒー含有飲料は高甘味度甘味料(スクラロース)の甘味の後引きがコーヒーの呈味に影響を与えていたが、実施例5のコーヒー含有飲料は甘味の後引きもが改善され、キレのあるコーヒー含有飲料であった。
【0041】
実験例5 茶飲料の調製(紅茶飲料(低糖))
表6の処方に基づいて紅茶飲料を調製した。具体的には、デキストリン、砂糖、スクラロース及び乳化剤を粉体混合し、得られた粉体混合物を水に加えて、80℃で10分間加熱溶解した。当該溶液を室温まで冷却して、牛乳、紅茶エキス及びアスコルビン酸ナトリウムを添加した。水にて全量を補正した後に70℃まで加温し、1段目100kgf/cm
2、2段目50kgf/cm
2の圧力にて均質化処理を行い、香料を添加した。容器に充填後、レトルト殺菌(123℃20分間)を行い、紅茶飲料を調製した。
得られた紅茶飲料について、(1)コク味増強効果、(2)香味立ち、及び(3)高甘味度甘味料(スクラロース)の甘味の後引き改善効果を、実験例1と同様にして評価した。結果を表7に示す。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
実施例6の紅茶飲料は、比較例9から糖類含量を半分以上も低減しているにも関わらず、比較例9と遜色ない、十分なコク味が付与された紅茶飲料であった。更には、比較例9にはない良好な香味立ちを有しており、十分なコク味及び良好な香味立ちを兼ね備えた紅茶飲料である上、スクラロース特有の甘味の後引きも改善された飲料であった。一方、デキストリン無添加区の比較例10は、コク味が不十分である上、スクラロース特有の甘味の後引きを改善することもできなかった。
【0045】
実験例6 茶飲料の調製(紅茶飲料(無糖))
表8の処方に基づいて紅茶飲料を調製した。具体的には、デキストリン、砂糖及びスクラロースを粉体混合し、得られた粉体混合物を水に加えて、80℃で10分間加熱溶解した。当該溶液を室温まで冷却して、紅茶エキス及びアスコルビン酸ナトリウムを添加した。水にて全量を補正した後に、香料を添加した。容器に充填し、レトルト殺菌(121℃5分間)を行い、紅茶飲料を調製した。
得られた紅茶飲料について、(1)コク味増強効果、(2)香味立ち、及び(3)高甘味度甘味料の甘味の後引き改善効果を、実験例1と同様にして評価した。結果を表9に示す。
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
実施例7の紅茶飲料は、糖類含量が0%にも関わらず、また、デキストリン添加量が0.1%と低添加量にも関わらず、糖類含量が3%である紅茶飲料と遜色ないコク味を有していた。更には、茶葉の香り立ちも良好である上、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きも改善され、キレのよい呈味を有する紅茶飲料であった。
一方、デキストリン無添加区である比較例12の紅茶飲料は、コク味が不十分であり水っぽい呈味を有する上、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きを改善することもできなかった。