【実施例】
【0023】
[掛け油用組成物の製造]
(1)原材料
1)中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−107FR;理研ビタミン社製)
2)プロピレングリコールオレイン酸エステル(商品名:リケマールPO−100V;理研ビタミン社製)
3)プロピレングリコールパルミチン酸エステル(商品名:ポエムPP−100;理研ビタミン社製)
4)プロピレングリコールステアリン酸エステル(商品名:ポエムPS−100;理研ビタミン社製)
5)プロピレングリコールベヘン酸エステル(商品名:ポエムPB−100;理研ビタミン社製)
6)プロピレングリコールラウリン酸エステル(商品名:リケマールPL−100;理研ビタミン社製)
7)ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V;理研ビタミン社製)
8)デカグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製)
9)レシチン(商品名:大豆レシチンA;日清オイリオグループ社製)
【0024】
(2)掛け油用組成物の配合
上記原材料を用いて作製した掛け油用組成物(1〜10)の配合組成を表1に示した。この内、掛け油用組成物1〜3は本発明に係る実施例であり、掛け油用組成物4〜10はそれらに対する比較例である。
【0025】
【表1】
【0026】
(3)掛け油用組成物の製造方法
表1に示した原材料の配合割合に基づいて、所定の原材料を500mlガラス製ビーカーに入れ、ガラス棒で攪拌しながら75℃まで加熱して溶解した後、室温まで冷却し、掛け油用組成物(1〜10)を調製した。各製剤の作製量は200gとした。
【0027】
[掛け油用組成物の結晶性の測定]
上述した方法により得られた掛け油用組成物(1〜10)を10℃の恒温槽に48時間保存し、乳化剤の結晶が析出する程度を評価した。評価では、液状の掛け油用組成物の状態を肉眼で観察し、以下の基準に従って記号化した。結果を表2に示す。
○:液は澄明であり、沈殿物は認められない
△:液は白濁し、沈殿物は認められない
×:液は白濁し、沈殿物が認められる
【0028】
【表2】
【0029】
表2から明らかなように、本発明の掛け油用組成物は、乳化剤の結晶が析出せず保存安定性が良好であった。これに対し、比較例のものはいずれも乳化剤の結晶が析出し保存安定性が十分ではなかった。
【0030】
[掛け油の製造]
(1)原材料
1)なたね油(ボーソー油脂社製)
2)掛け油用組成物(1〜10)
3)中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−107FR;理研ビタミン社製)
4)プロピレングリコールオレイン酸エステル(商品名:リケマールPO−100V;理研ビタミン社製)
【0031】
(2)掛け油の配合組成
上記原材料を用いて作製した掛け油(試作品1〜14)の配合組成を表3に示し、これら掛け油中の中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび乳化剤の含有量を表4に示した。ただし、掛け油(試作品3)は、上述の掛け油用組成物1をそのまま用いることとした。この内、試作品1〜5は本発明に係る実施例であり、試作品6〜14はそれらに対する比較例である。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
(3)掛け油の製造方法
表3に示した原材料の配合組成に基づいて、所定の原材料を500mlガラス製ビーカーに入れ、ガラス棒で攪拌しながら75℃まで加熱して溶解した後、室温まで冷却し、掛け油(試作品3を除く試作品1〜14)を調製した。各掛け油の作製量は200gとした。
【0035】
[掛け油の浸透時間評価試験]
掛け油(試作品1〜14)について焼き菓子類に対する浸透時間の評価試験を実施した。先ず、常温下、スポイトを用いて、3秒間かけて、クラッカー(商品名:クリスピーシィン;カブリ社製)の表面の異なる3箇所に掛け油を1滴づつ静かに滴下した。滴下後、試料がクラッカーに浸透してクラッカー表面が完全に乾くまでの時間を計測した。このような計測を各々4回行い、これらの平均値を算出し、浸透時間とした。また、対照として、なたね油(ボーソー油脂社製)を掛け油としたものについても同様に評価試験を実施した。結果を表5に示した。
【0036】
【表5】
【0037】
表5から明らかなように、本発明の掛け油は、比較例および対照のものに比べて焼き菓子類に対する浸透時間が短いものであった。