(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方の前記反転板との接続部の周囲には、薄肉部及び/又は溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の角形二次電池。
前記外部端子には電池外部と前記導電部材の筒状部の内面側の空間との間を連通する貫通孔が形成されており、前記外部端子の前記貫通孔は封止部材によって封止されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の角形二次電池。
前記電極体は、偏平形電極体であり、一方側の端部に複数枚積層された正極芯体露出部を有し、他方側の端部に複数枚積層された負極芯体露出部を有し、前記正極芯体露出部が前記角形外装体の一方側の側壁に対向し、前記負極芯体露出部が前記角形外装体の他方側の側壁に対向するように配置され、前記正極集電体は前記正極芯体露出部に接続され、前記負極集電体は前記負極芯体露出部に接続されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の角形二次電池。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンを含む携帯電話機、携帯型コンピュータ、PDA、携帯型音楽プレイヤー等の携帯型電子機器の駆動電源として、ニッケル−水素電池に代表されるアルカリ二次電池やリチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池が多く使用されている。さらに、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)の駆動用電源、太陽光発電、風力発電等の出力変動を抑制するための用途や夜間に電力をためて昼間に利用するための系統電力のピークシフト用途等の定置用蓄電池システムにおいても、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池が多く使用されている。特に、EV、HEV、PHEV用途ないし定置用蓄電池システムでは、高容量及び高出力特性が要求されるので、個々の電池が大型化されると共に、多数の電池を直列ないし並列に接続して使用されるが、スペース効率の点から角形二次電池が汎用されている。
【0003】
このような用途に使用される電池は、特に非水電解質二次電池を用いる場合においては極めて反応性に富む材料が使用されているので、携帯用の小型機器に用いる二次電池と比較して格段に高い安全性が要求されている。そのため、上記のような用途に使用される角形二次電池においては、たとえば下記特許文献1〜3に示されているように、電池外装体内の圧力が高まったときに内圧を開放するガス排出弁を設けるだけでなく、外部端子と外装体内部の電極体との間の電気的接続を遮断する電流遮断機構が設けられている。
【0004】
たとえば、下記特許文献1には、
図8Aに示したように、電流遮断機構51と角形二次電池50の外側空間とを連通する貫通穴52が設けられた外部端子53を備えており、外装体54内の圧力が高まった際に確実に電流遮断機構51が作動するようにした角形二次電池50の発明が開示されている。また、下記特許文献2には、
図8Bに示したように、電流遮断機構61と角形二次電池60の外側空間とを連通する貫通穴62が設けられた外部端子63を備え、外装体64内の圧力が高まった際に電流遮断機構61が作動するようになすと共に、この貫通穴62から水分や酸素が入り込んで電流遮断機構61が劣化することを防止するために、貫通穴62を樹脂製の膜栓65によって封止した角形二次電池60の発明が開示されている。
【0005】
下記特許文献1及び2に開示されている角形二次電池の貫通穴は、いずれも電流遮断機構の電池外側に対応する側の空間と電池外部とが通じていることにより、外装体内の圧力が上昇した際に電流遮断機構が作動しやすくなるために設けられているものである。しかしながら、何等かの原因によって外装体内の圧力が増加しても、異常時に電池内部で発生するガス圧は非常に大きく、電流遮断機構の電池外側に対応する側の密閉空間内の圧力が同時に同様に増加することはないため、電流遮断機構の電池外側に対応する側の空間が密閉されていても開放されていても、電流遮断機構の動作に実質的に大きな差異は生じない。
【0006】
そのため、下記特許文献3には、
図9に示したように、製造時に電解液や洗浄液が電流遮断機構内に侵入し難くなるようにする目的で、外装体(図示省略)の開口を封口する封口体71と、封口体71に取り付けられた接続端子72を有する角形二次電池70において、接続端子72と電極体(図示省略)とを電気的に接続する集電体73との間に外装体内部の圧力の上昇に対応して電流を遮断する電流遮断機構74が設けられ、接続端子72は、その内部に電流遮断機構74の電池外側に対応する側の空間に連なる貫通穴75が形成され、貫通穴75は、電流遮断機構74との間に密閉空間が形成されるように、弾性部材からなる端子栓76によって封止された構成の角形二次電池70が開示されている。
【0007】
この電流遮断機構74は弁体の機能を果たす反転板77と集電体73の薄肉部73aとによって形成されており、集電体73の薄肉部73aには環状に溝73bが形成されていると共に、薄肉部73aの中央部において反転板77と溶接されている。なお、反転板77の外周側の縁部77aは、タブ部材78の筒状部の下端側に形成されたフランジ部78aの内周側に溶接されている。また、接続端子72は、上部第1絶縁部材79及び下部第1絶縁部材80を介して封口体71と電気的に絶縁されており、タブ部材78の筒状部の上端側と電気的に接続されている。また、電流遮断機構74の周囲の反転板77と集電体73との間には樹脂製の第2絶縁部材81が配置され、この第2絶縁部材81は下部第1絶縁部材80とラッチ固定部81aで固定されて一体化されている。そのため、外装体内部の圧力が増大すると、反転板77が封口体71側に変形して集電体73の薄肉部73aが溝73b部分で切断され、集電体73と反転板77との間の電気的接続が遮断されてそれ以上の電池の充電あるいは放電が停止されるという作用を奏するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献3に開示されている角形二次電池の発明によれば、電流遮断機構を備えているので安全性が高く、しかも、製造時に非水電解液や洗浄液等が電流遮断機構内に侵入し難いので、信頼性の高い接続端子を備えた角形非水電解質二次電池が得られるという優れた効果を奏する。
【0010】
しかしながら、電池は、振動・落下等により衝撃が加わった場合、電極体が封口体側に移動する場合があるが、その際には電極体に接続された集電体も封口体側に移動する。上記特許文献3に開示されている角形二次電池70においては、集電体73が封口体71側に移動することにより、集電体73がタブ部材78の筒状部の内部側に入り込み、タブ部材78と反転板77との間の溶接部に力が加わり、反転板77の外周側の縁部77aとタブ部材78の筒状部の下端側に形成されたフランジ部78aの内周側との間の溶接部が破断したり、クラックが生じたりする可能性がある。反転板77とフランジ部78aとの間の溶接部に破断部やクラックが存在すると、電極体近傍で発生したガスが、破断部やクラックを通じてタブ部材78の筒状部の内部空間に侵入し、外装体内の圧力が上昇しても反転板77が封口体71側に変形せず電流遮断機構が正常に作動しなくなる虞がある。
【0011】
発明者等は、このような角形二次電池における溶接部における破断の可能性が生じる原因について種々確認実験を行った結果、反転板77と対向配置されている集電体73の大きさや配置の如何によって、上記のような破断が生じたり生じなかったりすることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0012】
すなわち、本発明は、集電体と外部端子との間に電流遮断機構を備えた角形二次電池において、振動・落下等により電池に衝撃が加わっても、電流遮断機構が破損し難い、信頼性の高い角形二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の角形二次電池は、
開口を有する有底筒状の角形外装体と、
前記角形外装体内に収容された、正極極板及び負極極板を有する電極体と、
前記正極極板に電気的に接続された正極集電体と、
前記負極極板に電気的に接続された負極集電体と、
前記外装体の開口を封止する封口体と、
前記封口体に設けられた貫通孔に第1絶縁部材を介して前記封口体と電気的に絶縁された状態で挿通された少なくとも1つの外部端子と、
筒状部を有する導電部材と、
電池内部の圧力が予め定めた所定値よりも大きくなると変形する導電性材料からなる反転板と、
前記反転板と前記正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方との間に介在された貫通孔が形成された第2絶縁部材と、
前記正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方が前記第2絶縁部材に形成された貫通孔を介して前記反転板に接続されている角形二次電池において、
前記導電部材の筒状部は、一方の端部が前記外部端子に電気的に接続され、他方の端部が前記反転板によって封止され、
前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方は、前記封口体と平行な第1領域と、前記第1領域から前記電極体の方向に延びて前記正極極板又は前記負極極板と接続されている第2領域とを有し、
前記第1領域と前記第2領域との境界部が前記導電部材の筒状部の内面よりも外面側に配置されていると共に、前記境界部を除く少なくとも1つの端部は前記導電部材の筒状部の内面よりも外面側に位置するように配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の角形二次電池においては、筒状部を有する導電部材と、反転板と、第2絶縁部材と、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方とにより、安全手段としての圧力感応式電流遮断機構を形成している。すなわち、外装体内部の圧力が増大すると、反転板が変形するので、集電体と反転板との間の接続部あるいは集電体に設けた薄肉部や溝部等の脆弱部が破断するため、集電体と反転板との間の電気的接続が遮断され、角形二次電池と外部回路との間に電流は流れなくなる。そのため、安全性に優れた角形二次電池が得られる。
【0015】
しかも、本発明の角形二次電池においては、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方に形成された第1領域と第2領域との境界部及び第2領域との境界部を除く第1領域の少なくとも1つの端部が導電部材の筒状部の内面よりも外面側に位置するように配置されている。そのため、振動・落下等により角形二次電池に衝撃が加わって電極体が封口体側に移動することがあっても、第1領域と第2領域との境界部及び第2領域と境界部を除く少なくとも1つの第1領域の端部は、導電部材の筒状部の他方の端部側に当接しているので、筒状部の内部側に入り難くなっており、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方と反転板との間の接続部が破断したり、クラックが生じたりすることが抑制される。これにより、振動・落下等により角形二次電池に衝撃が加わっても、電流遮断機構が破損し難い、信頼性の高い角形二次電池が得られる。
【0016】
なお、本発明の角形二次電池は、非水電解質二次電池に対しても、ニッケル−水素二次電池等のアルカリ二次電池に対しても適用可能であり、さらに、電極体として正極極板と負極極板をセパレータを介して互いに絶縁した状態で偏平状に巻回した電極体や積層した電極体に対しても適用可能である。また、本発明は、正極側及び負極側の何れか一方に対して適用すれば所定の作用効果が奏されるが、両方側に対して適用してもよい。
【0017】
また、本発明の角形二次電池においては、前記第1領域は、全ての方向において前記導電部材の筒状部の内面よりも外面側に突出していることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方の第1領域において、第2領域から反転板との接続部までの導電経路の断面積を広くすることができ、また、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方と第2絶縁部材との間の接触面積を広くできるので、内部抵抗が小さく、かつ正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方と第2絶縁部材との配置が安定した頼性の高い角形二次電池が得られる。
【0019】
また、本発明の角形二次電池においては、前記第2領域は前記第1領域に対して互いに反対側の位置に2箇所設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、集電体の第1領域と正極極板又は負極極板との間を2つの第2領域で接続することができるので、等価的に第2領域の断面積を広くすることができるため、内部抵抗が小さく、大電流出力が可能な角形二次電池が得られる。
【0021】
また、本発明の角形二次電池においては、前記第1領域及び前記第2領域は、一枚の板材を折り曲げることにより形成されたものであることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、集電体の第1領域及び第2領域の形成が容易であり、かつ第1領域と第2領域の境界部の強度が高くなるので、容易に信頼性の高い角形二次電池が得られる。
【0023】
また、本発明の角形二次電池においては、前記第1領域及び前記第2領域は剛性を有する導電性材料で形成されていることが好ましい。
【0024】
集電体の第1領域及び第2領域が剛性を有する導電性材料で形成されていると、振動・落下等により電池に衝撃が加わっても、電極体が外装体内で移動することを抑制できるため好ましい。なお、剛性を有する導電性材料としては、厚さ0.3mm以上の金属材料が好ましく、厚さ0.5mm以上の金属材料がより好ましい。
【0025】
また、本発明の角形二次電池においては、前記正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方の前記反転板との接続部の周囲には、薄肉部及び/又は溝が形成されているものとすることが好ましい。
【0026】
正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方の反転板との接続部の周囲に、薄肉部や溝等の脆弱部が形成されていれば、反転板が変形した際にこの脆弱部が容易に破断するので、安全性が向上する。また、この脆弱部の厚さや形成領域を適宜設定することにより、この電流遮断機構の作動圧を所定値に設定することができるので、信頼性も向上する。なお、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方の反転板との接続部の周囲に厚さの薄い薄肉部を設け、この薄肉部に接続部を囲むように環状の溝部を設けることがより好ましい。
【0027】
また、本発明の角形二次電池においては、前記外部端子には電池外部と前記導電部材の筒状部の内面側の空間との間を連通する貫通孔が形成されており、前記外部端子の前記貫通孔は封止部材によって封止されていることが好ましい。
【0028】
外部端子に形成されている貫通孔は組立途中で電流遮断機構のリーク検査を実施するためのものであるが、電解液の注液時や洗浄時に電解液や洗浄水が外部端子の貫通孔内に侵入してしまうことがある。貫通孔内に電解液や洗浄水が侵入すると、電流遮断機構が腐食されてしまうために電流遮断機構が正常に作動しなくなる可能性がある。本発明の角形二次電池によれば、貫通孔は封止部材によって封止されており、しかも、貫通孔と電流遮断機構との間の空間は密閉空間とされているため、貫通孔内に電解液や洗浄水が侵入することがなくなるので、電流遮断機構が腐食されて電流遮断機構が正常に作動しなくなることがなくなり、高信頼性の角形二次電池が得られる。なお、封止部材としては、弾性部材からなる封止栓を用いることができる。また、封止部材として金属部材を用い、金属部材を貫通孔に嵌合し、この嵌合部にレーザー等の高エネルギー線を照射し溶接することにより、貫通孔を封止することもできる。また、樹脂製の封止部材や、弾性部材及び金属部材からなる封止部材を用いることもできる。
【0029】
また、本発明の角形二次電池においては、記電極体は、偏平形電極体であり、一方側の端部に複数枚積層された正極芯体露出部を有し、他方側の端部に複数枚積層された負極芯体露出部を有し、前記正極芯体露出部が前記角形外装体の一方側の側壁に対向し、前記負極芯体露出部が前記角形外装体の他方側の側壁に対向するように配置され、前記正極集電体は前記正極芯体露出部に接続され、前記負極集電体は前記負極芯体露出部に接続されているものとすることができる。
【0030】
角形外装体の両側端側にそれぞれ正極芯体露出部及び負極芯体露出部が配置されていると、正極集電体と負極集電体との間の距離を大きくすることができるので容量が大きい角形二次電池とすることができ、また角形二次電池の組立が容易となる。加えて、本発明の角形二次電池では、複数枚積層された芯体露出部に集電体を接続しているので、出力特性に優れた電池となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を理解するために角形二次電池としての角形非水電解質二次電池を例示するものであって、本発明をこの角形非水電解質二次電池に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、本発明に係る角形二次電池は、正極極板と負極極板とをセパレータを介して積層又は巻回することにより偏平状とした電極体を有するものに対して適用できるが、以下においては、偏平状の巻回電極体を用いたものに代表させて説明する。
【0033】
[実施形態]
最初に、実施形態の角形非水電解質二次電池を
図1〜
図5を用いて説明する。なお、
図1Aは実施形態にかかる角形非水電解質二次電池の断面図であり、
図1Bは
図1AのIB−IB線に沿った断面図であり、
図1Cは
図1AのIC−IC線に沿った断面図である。
図2は、
図1に示した角形二次電池の正極側に設けた電流遮断機構部の外装体短辺方向の断面図である。
図3は
図1に示した角形二次電池の正極側に設けた電流遮断機構部の外装体長辺方向の断面図である。
図4Aは
図1に示した角形非水電解質二次電池の正極集電体を展開した状態の正面図であり、
図4Bは側面図である。
図5は、正極集電体の第1領域と導電部材の筒状部との配置関係を説明するための
図3に対応する部分の模式平面図である。
【0034】
本実施形態の角形非水電解質二次電池10は、正極極板と負極極板とがセパレータ(何れも図示省略)を介して巻回された偏平状の巻回電極体11を有している。正極極板は、アルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、アルミニウム箔が一方の端部に長手方向に沿って帯状に露出する帯状に露出するようにスリットすることにより作製されている。また、負極極板は、銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、銅箔が一方の端部に長手方向に沿って帯状に露出するようにスリットすることによって作製されている。
【0035】
そして、上述のようにして得られた正極極板及び負極極板を、正極極板のアルミニウム箔露出部と負極極板の銅箔露出部とがそれぞれ対向する電極の活物質層と重ならないようにずらして、ポリエチレン製微多孔質セパレータを介して巻回することで、巻回軸方向の一方の端には複数枚重なった正極芯体露出部14を備え、他方の端には複数枚重なった負極芯体露出部15を備えた偏平状の巻回電極体11が作製されている。
【0036】
複数枚の正極芯体露出部14は積層されて正極集電体16を介して正極外部端子17に電気的に接続され、同じく複数枚の負極芯体露出部15は積層されて負極集電体18を介して負極外部端子19に電気的に接続されている。また、正極外部端子17、負極外部端子19はそれぞれ絶縁部材20、21を介して封口体13に固定されている。この実施形態の角形非水電解質二次電池10では、正極集電体16と正極外部端子17の間、あるいは負極集電体18と負極外部端子19の間に感圧式の電流遮断機構が介在されているが、この電流遮断機構の具体的な構成については後述する。
【0037】
実施形態の角形非水電解質二次電池10は、上述のようにして作製された偏平状の巻回電極体11の封口体13側を除く周囲に絶縁性の樹脂シート23を介在させて角形の電池外装体12内に挿入した後、封口体13を電池外装体12の開口部にレーザ溶接し、その後、電解液注液孔22aから非水電解液を注液し、この電解液注液孔22aを密閉することにより作製されている。なお、封口体13には、電流遮断機構の作動圧よりも高いガス圧が加わったときに開放されるガス排出弁22bも設けられている。
【0038】
なお、実施形態の角形非水電解質二次電池10においては、偏平状の巻回電極体11は、正極極板側では、積層された複数枚の正極芯体露出部14が2分割されてその間に2個の正極用中間導電部材24が挟まれており、同じく負極極板側では、積層された複数枚の負極芯体露出部15が2分割されてその間に2個の負極用中間導電部材25が挟まれている。これらの2個の正極用中間導電部材24及び2個の負極用中間導電部材25はそれぞれ1個の樹脂材料からなる絶縁性中間部材24p、25pに保持されている。
【0039】
そして、正極用中間導電部材24の両側に位置する正極芯体露出部14の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極集電体16が配置されており、負極用中間導電部材25の両側に位置する負極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極集電体18が配置されている。なお、正極用中間導電部材24は正極芯体と同じ材料であるアルミニウム製であり、負極用中間導電部材25は負極芯体と同じ材料である銅製であるが、正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25の形状は共に実質的に同一のものを使用し得る。これらの正極集電体16と正極芯体露出部14との間及び正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24との間は共に抵抗溶接されており、また、負極集電体18と負極芯体露出部15との間及び負極芯体露出部15と負極用中間導電部材25との間は、共に抵抗溶接によって接続されている。
【0040】
なお、実施形態の角形非水電解質二次電池10においては、正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25としてそれぞれ2個ずつ用いた例を示したが、これらの正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25は、要求される電池の出力等に応じて1個ずつでもよく、あるいは3個ずつないしはそれ以上としてもよい。2個以上用いる構成であれば、これらの正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25が1個の樹脂材料からなる絶縁性中間部材に保持されているので、2分割された側の芯体露出部の間に安定な状態で位置決め配置できるようになる。
【0041】
次に、偏平状の巻回電極体11の正極芯体露出部14に対する正極集電体16及び正極用中間導電部材24の抵抗溶接方法、負極芯体露出部15に対する負極集電体18及び負極用中間導電部材25の抵抗溶接方法を説明する。しかしながら、実施形態の角形非水電解質二次電池10においては、正極用中間導電部材24の形状及び負極用中間導電部材25の形状は実質的に同一とすることができ、しかも、それぞれの抵抗溶接方法も実質的に同様であるので、以下においては正極極板側のものに代表させて説明することとする。
【0042】
まず、偏平状の巻回電極体11のアルミニウム箔からなる正極芯体露出部14を積層し、この積層した正極芯体露出部14を巻回中央部分から両側に2分割し、巻回電極体11の厚みの1/4を中心として正極芯体露出部14を集結させる。そして、正極芯体露出部14の最外周側の両側に正極集電体16、内周側に正極用中間導電部材24を、正極用中間導電部材24の両側の円錐台状の凸部がそれぞれ正極芯体露出部14と当接するように、配置する。ここで、集結させたアルミニウム箔の厚さは,例えば片側約660μmであり、総積層数は88枚(片側44枚)である。また、正極集電体16は厚さ0.8mmのアルミニウム板を打ち抜き、曲げ加工等にて製作したものを用いた。
【0043】
次いで、図示省略したが、上下に配置された一対の抵抗溶接用電極間に正極集電体16及び正極用中間導電部材24が配置された偏平状の巻回電極体11を配置し、一対の抵抗溶接用電極をそれぞれ正極芯体露出部14の最外周側の両側に配置された正極集電体16に当接させ、一対の抵抗溶接用電極間に適度の圧力で押圧力を印加し、予め定めた一定の条件で抵抗溶接を実施する。これにより、正極用中間導電部材24の凸部はプロジェクションとして作用するため、一対の抵抗溶接用電極間に配置されている正極集電体16及び2分割された正極芯体露出部14は良好に発熱するので、大きなナゲットが形成され、正極集電体16と2分割された正極芯体露出部14との間、各正極芯体露出部14の間、及び2分割された正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24との間の溶接強度は非常に強くなる。
【0044】
しかも、この抵抗溶接時には、正極用中間導電部材24は2分割された正極芯体露出部14の間に安定的に位置決めされた状態で配置されているので、正確にかつ安定した状態で抵抗溶接することが可能となり、溶接強度がばらつくことが抑制され、溶接部の低抵抗化を実現でき、大電流充放電が可能な角形二次電池を製造することができるようになる。この抵抗溶接を用いた正極用中間導電部材24の数だけ繰り返すことにより、全ての正極集電体16と2分割された正極芯体露出部14との間、各正極芯体露出部14の間、及び2分割された正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24との間の抵抗溶接が行われる。なお、この抵抗溶接は、負極側についても同様に行われる。
【0045】
ここで、正極集電体16と正極外部端子17の間、あるいは負極集電体18と負極外部端子19の間に介在される感圧式の電流遮断機構について説明するが、この電流遮断機構は、正極側にのみ設けても、負極側にのみも受けても、さらには正極側及び負極側の両方に設けてもよいものであり、以下では正極側にのみ設けるものとして、
図2〜
図5を参照しながら説明する。
【0046】
図1A〜
図1Cに示すように、巻回電極体11の一方の側端面側に配置された複数の正極芯体露出部14には正極集電体16が接続されており、この正極集電体16は正極外部端子17に電気的に接続されている。この正極集電体16は、展開した状態の正面図である
図4A、同じく側面図である
図4Bに示したように、封口体13と平行に配置される第1領域16aと、この第1領域16aから互いに反対方向に延在されており、破線部分(境界部16f)で折り曲げられて正極芯体露出部14に接続される一対の第2領域16bとを有している。この正極集電体16は、厚さ0.8mmのアルミニウム板を打ち抜きにより作製したものを使用しているので、剛性を有しており、小さな力では折れ曲がらないようになっている。なお、
図4Aでは、境界部16fの両側に切り欠き部分が形成されているが、この切り欠き部分は正極集電体16を境界部16fに沿って折り曲げやすくするために形成されているものである。
【0047】
そして、正極集電体16の第1領域16aには、中央部に接続部形成用孔16cが形成され、この接続部形成用孔16cの中心を通り、封口体13の長辺方向に沿った中心線c上であって、接続部形成用孔16cの両側に第1開孔16g及び第2開孔16hがそれぞれ形成され、この中心線cに垂直な方向の両側には第3開孔16jが2箇所に形成されている。なお、ここでは、第1開孔16g及び第2開孔16hの径は同一とされ、2箇所の第3開孔16jの径は、共に同一であり、第1開孔16g及び第2開孔16hの径よりも小さく設定されている。また、正極集電体16の第2領域16bには正極芯体露出部14と対向する側にリブ16dが形成されている。このリブ16dは、正極集電体16と正極芯体露出部14との間の位置決め、巻回電極体11と電池外装体12との間の位置決め、正極集電体16を正極芯体露出部14に抵抗溶接する際に発生したスパッタが巻回電極体11内に侵入するのを防止する等の役割を果たす。また、第1領域16aの接続部形成用孔16cの周囲部分は、環状に他の部分よりも厚さが薄くされた薄肉領域16eとされている。
【0048】
正極外部端子17は、筒状部17aを備え、内部に貫通孔17bが形成されている。そして、正極外部端子17の筒状部17aは、ガスケット等の上部第1絶縁部材20a、封口体13及び下部第1絶縁部材20b及び筒状部32aを有する導電部材32にそれぞれ形成された孔内に挿入され、その先端部17cが加締められて互いに一体に固定されている。なお、導電部材32は、電池内部側に筒状部32aが形成されており、電池外部側すなわち封口体13側は内径が狭められて正極外部端子17の筒状部17aが挿入される開孔32bを形成している。そして、正極外部端子17の筒状部17aの先端部17cは導電部材32の開孔32bの近傍で加締められており、正極外部端子17の筒状部17aの先端部17cと導電部材32の接続部はレーザ溶接されている。これにより、正極外部端子17は、上部第1絶縁部材20a及び下部第1絶縁部材20bによって封口体13とは電気的に絶縁された状態で、導電部材32と電気的に接続された状態となっている。これらの上部第1絶縁部材20a及び下部第1絶縁部材20bの両者が本発明の第1絶縁部材に相当する。
【0049】
また、導電部材32の筒状部32aの電池内部側の先端には、反転板33の周囲が気密に溶接されている。反転板33は、周囲から中心側に向かって電池内部側に僅かに突出する形状、すなわち、封口体13とは傾斜した配置関係となる形状とされている。この反転板33は、導電性材料で形成されており、電池外装体12内の圧力が高くなると電池の外部側に向かって変形する弁の機能を有するものである。そして、反転板33の中心部には、正極集電体16の第1領域16aが当接され、第1領域16aに形成されている薄肉領域16eの接続部形成用孔16cの内壁部分と反転板33の表面とが複数箇所においてレーザ溶接されている。なお、図示は省略したが、この薄肉領域16eの接続部形成用孔16cの内壁部分と反転板33の表面との溶接されている箇所が、本発明の接続部に対応する。
【0050】
なお、正極集電体16の第1領域16aと反転板33との間には、貫通孔34aを有する樹脂材料からなる第2絶縁部材34が配置されており、この貫通孔34aを介して正極集電体16の第1領域16aと反転板33が電気的に接続されている。この第2絶縁部材34の貫通孔34aの周囲には、正極集電体16の第1領域16aの第1開孔16gに対応する位置に第1突起34bが、第2開孔16hに対応する位置に第2突起34cが、第3開孔16jに対応する位置に第3突起34dが、それぞれ形成されている。
【0051】
第2絶縁部材34の第1〜3突起34b〜34dをそれぞれ正極集電体16の第1領域16aに形成された第1〜3開孔16g〜16j内に挿入し、第1〜3突起34b〜34dの先端部を加熱し拡径することにより第2絶縁部材34と正極集電体16の第1領域16aが互いに固定されている。そのため、第2絶縁部材34の第1〜3突起34b〜34dはそれぞれに形成された拡径部によって正極集電体16の第1領域16aに形成された第1〜3開孔16g〜16jから抜け止めされた状態となり、第2絶縁部材34と正極集電体の第1領域16aとは強固に結合された状態となっている。これらの正極集電体16の第1領域16aに形成された第1〜3開孔16g〜16jと第2絶縁部材34の第1〜3突起34b〜34dとによって、第1固定部30a〜第3固定部30cが形成されている。なお、第2絶縁部材34と第1絶縁部材を構成する下部第1絶縁部材20bとを係合により固定することが好ましい。固定方法は特に限定されないが、ここではラッチ固定部34gにより第2絶縁部材34と第1絶縁部材を構成する下部第1絶縁部材20bとを固定している。
【0052】
したがって、正極芯体露出部14は、正極集電体16の第2領域16b、正極集電体16の第1領域16a及び薄肉領域16e、反転板33及び導電部材32を介して正極外部端子17と電気的に接続されていることになる。また、ここでは、これらの導電部材32の筒状部32a、反転板33、第2絶縁部材34及び正極集電体16の第1領域16aに形成された薄肉領域16eによって本実施形態の電流遮断機構35が形成されている。
【0053】
すなわち、反転板33は、電池外装体12内の圧力が増加すると正極外部端子17の貫通孔17b側に膨れるようになっており、反転板33の中央部には正極集電体16の第1領域16aの薄肉領域16eが溶接されているため、電池外装体12内の圧力が所定値を超えると正極集電体16の第1領域16aが薄肉領域16eの部分で破断するので、反転板33と正極集電体16の第1領域16aとの間の電気的接続が遮断されるようになっている。
【0054】
このように薄肉領域16eが存在していると、反転板33が変形した際に薄肉領域16e部分で破断しやすくなり、電池内部の圧力が上昇した際にはこの薄肉領域16e部分で確実に破断するようになるので、角形非水電解質二次電池10の安全性が向上する。また、この薄肉領域16e部分の厚さや形成領域を適宜設定することにより、この薄肉領域16e部分が破断する圧力を所定値に設定することができるので、信頼性も向上する。
【0055】
なお、ここでは、第1領域16aの接続部形成用孔16cの周囲部分に環状に他の部分よりも厚さが薄くされた薄肉領域16eを形成した例を示したが、薄肉領域16eに接続部形成用孔16cを囲むように環状の溝を設けることがより好ましい。この溝は、環状に間欠的に形成してもよい。また、第1領域16aの接続部形成用孔16cの周囲部分の厚さを他の部分と同じ厚さとして、環状ないし環状に間欠的に溝を形成することによって薄肉領域16eを形成してもよい。なお、薄肉領域16e及び溝は必須の構成ではなく、薄肉領域16e及び溝を設けずに反転板33と正極集電体16の接続強度を調節し、反転板33が変形した場合に反転板33と正極集電体16の接続が切断されるようにしてもよい。
【0056】
そして、実施形態の角形非水電解質二次電池10では、
図5に示したように、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16fが導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されており、かつ、第1領域16aの第2領域16bとの境界部16f以外の部分の端部の少なくとも1箇所、ここでは第1領域16aの全ての端部(突端部16k、側端部16m等)が導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置し、第1領域16aは全ての方向において導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されている。
【0057】
このような配置とすると、振動・落下等により角形非水電解質二次電池10に衝撃が加わって巻回電極体11が封口体13側に移動することがあっても、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f及び第1領域16aの突端部16kが共に導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されているため、正極集電体16の第1領域16aが封口体13側に向かって移動しようとしても、導電部材32の筒状部32aの他方側の端部に当接しているため、それ以上封口体13側に向かって移動することができないようになっている。
【0058】
しかも、正極集電体16は、剛性を有し、小さな力では折れ曲がらないものからなっているので、振動・落下等により巻回電極体11が封口体13側に移動した際に正極集電体16の第1領域16aに加わる力は、第2領域16b部分によって吸収されるために小さくなる。そのため、振動・落下等により巻回電極体11が封口体13側に移動した際に、に加わる力は小さいので、薄肉領域16eが破断する可能性が抑制され、感圧式の電流遮断機構35の動作に対する影響は少なくなり、安全性及び信頼性に優れた非水電解質二次電池10が得られる。
【0059】
また、正極外部端子17の頂部の貫通孔17bは、電流遮断機構35を構成する反転板33の周囲が気密に溶接されているか否かの試験に用いられるが、このままの状態でも使用可能である。しかしながら、貫通孔17bの内部に腐食性気体や液体が侵入して反転板33が腐食されてしまうと、電流遮断機構35が正常に動作しないおそれが生じるので、正極外部端子17の貫通孔17bは密閉することが好ましい。そこで、実施形態の角形非水電解質二次電池10では、正極外部端子17に形成された貫通孔17bは、電池外装体12の外部側に大径部が、前記電池外装体12の内部側に小径部がそれぞれ形成されていることを利用し、正極外部端子17の貫通孔17b内に、ゴム製の端子栓36によって強固に封止されているものとしている。この端子栓36は、上端部に正極外部端子17の貫通孔17bの小径部よりも大径で貫通孔17bの大径部よりも小径の頭部36aと、下端部に頭部36aよりも小径で貫通孔17bの小径部よりも大径の突出部36bと、この突出部36bよりテーパー状にすぼまるように形成された係止部36cと、中間に正極外部端子17の貫通孔17bの小径部と略同一径でこの小径部の長さと実質的に同一の長さの連結部36dと、を備えている。
【0060】
そして、端子栓36は、頭部36aが正極外部端子17の貫通孔17bの大径部側に位置し、係止部36cが正極外部端子17の貫通孔17bの小径部の端部より突出するように、貫通孔17bに取り付けられている、なお、端子栓36の頭部36aの表面には、頭部36aの厚さを薄くしても強度を大きくするため、例えばアルミニウム金属製の金属板37が設けられている。この金属板37は、例えばレーザ溶接によって正極外部端子17に溶接固定することができる。端子栓36は、弾性部材から構成されているので、振動等で抜け落ちる可能性があるが、金属板37を正極外部端子17に溶接固定することにより、より強固に端子栓36によって貫通孔17bを封止することができるようになる。
【0061】
なお、実施形態の角形二次電池10では、電流遮断機構35の外部に対応する側の空間は完全に密閉されているが、何等かの原因によって電池外装体12内の圧力が増加しても、異常時には電池内部で発生するガス圧が非常に大きくなり、電流遮断機構35の電池の外部側の密閉空間内の圧力が同時に同様に増加することはないため、電流遮断機構35の動作は、電池の外部側の空間が密閉されていても問題とならない。
【0062】
なお、上記実施形態の角形非水電解質二次電池10では、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f及び第1領域16aの突端部16kが導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されている例を示した。しかしながら、本発明は、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16fが導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されていれば、正極集電体16の第1領域16aの第2領域16bとの境界部16f以外の端部の少なくとも1箇所(封口体13の長辺方向における中心側の端部、封口体13の短辺方向の端部等)が導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されていれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
このような本発明に属する正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの配置関係を
図6を用いて、本発明に属さない正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの配置関係を
図7を用いて、それぞれ説明する。なお、
図6A〜
図6Dは、それぞれ本発明に属する封口体の上方から見た集電体の第1領域と導電部材の筒状部との間の配置関係を示す概略図である。
図7A及び
図7Bは、それぞれ本発明に属さない封口体の上方から見た集電体の第1領域と導電部材の筒状部との間の配置関係を示す概略図である。また、
図6及び
図7においては、実施形態の非水電解質二次電池と同一の構成部分には同一の参照符号を付与して,その詳細な説明は省略する。
【0064】
図6Aに示したものは、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f及び第1領域16aの全ての端部が導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されているものである。振動・落下等により巻回電極体11が封口体13側に移動しても、正極集電体16の第1領域16aは全周囲が導電部材32の筒状部32aによってそれ以上の移動が制限されているので、正極集電体16は実質的に完全に導電部材32の筒状部32aの内部側に入り込まないようになされている例である。
【0065】
図6Bに示したものは、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f及び第1領域16aの両側の側端部16mが導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されており、第1領域の16aの突端部16kは導電部材32の筒状部32aの内面側に配置されているものである。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動した場合、第1領域の16aの両側の側端部16mが導電部材32の筒状部32aによってそれ以上の移動が制限されているので、実質的に第1領域の16aの突端部16kも導電部材32の筒状部32aの内部側に入り込むことはない。
【0066】
図6Cに示したものは、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f、第1領域16aの突端部16k及び側端部16mが導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されているが、第1領域16aの両側の側面は導電部材32の筒状部32aの内面側に配置されているものである。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動しても、第1領域16aの突端部16k及び両側の側端部16mは、導電部材32の筒状部32aによって移動が制限されているので、導電部材32の筒状部32aの内部側に入り込むことがないから、第1領域の16aの両側面も導電部材32の筒状部32aの内部側に入り込むことはない。
【0067】
図6Dに示したものは、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f及び第1領域16aの一方の側端部16mが導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されているが、第1領域16aの他方の側の側端部16mが導電部材32の筒状部32aの内面側に配置されているものである。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動しても、一応、第1領域16aの一方の側端部16m及び一方の側面が導電部材32の筒状部32aによって移動が制限されているので、第1領域16aの突端部16k及び他方の側端部16mも導電部材32の筒状部32aの内部側に入り込み難くなっている。
【0068】
それに対し、
図7Aに示したものは、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16fは導電部材32の筒状部32aの内面よりも外面側に位置するように配置されているが、第1領域16aの突端部16k及び両側の側端部16m共に導電部材32の筒状部32aの内面側に配置されているものである。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動すると、第1領域16aの導電部材32の筒状部32aの支持部を支点として、第1領域16aの突端部16kと両側端16mが導電部材32の筒状部32a内に入り込みやすくなっているものである。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動すると、電流遮断機構が破損する可能性が大きくなっている。
【0069】
同じく
図7Bに示したものは、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16fも、第1領域16aの突端部16k及び両側の側端部16mも、全てが導電部材32の筒状部32aの内面側に位置するように配置されている例である。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動すると、正極集電体16の第1領域16aと第2領域16bとの境界部16f、第1領域16aの突端部16k及び両側の側端部16mの全てが導電部材32の筒状部32a内に入り込みやすくなっているものである。この例では、振動・落下等により巻回電極体が封口体側に移動すると、電流遮断機構が破損する可能性が最も大きくなっている。
【0070】
なお、上記実施形態の角形非水電解質二次電池10では、正極集電体16として一対の第2領域16bが形成されているものを使用した例を示したが、第2領域16bは一つであってもよい。この場合は、正極集電体16の第2領域16bを正極芯体露出部14に抵抗溶接する際に、正極芯体14の反対側に正極集電体と同じ材料で形成されている集電受け部材を配置して抵抗溶接を行うことが好ましい。また、正極集電体16と正極芯体露出部14の接続方法は、抵抗溶接に限定されず、レーザ溶接あるいは超音波溶接でもよい。また、正極芯体露出部14の先端側の端面に正極集電体16を接続することも可能である。
さらに、集電体における第1領域の形状は、上記実施形態に示した形状に限定されず、平面視で長方形等としてもよい。さらに、上記実施形態の角形非水電解質二次電池10では、正極外部端子17の貫通孔17bを密閉する端子栓36として金属板37が設けられたゴム製のものを用いた例を示したが、樹脂製のものであってもよく、さらには金属板37のみで貫通孔17bを密閉してもよい。
【0071】
また、上記実実施形態の角形非水電解質二次電池10では正極外部端子17側の構成について説明したが、負極外部端子19側の構成としても採用することもできる。ただし、正極外部端子17側に上述の電流遮断機構35を備えている構成を採用した場合、負極外部端子19側には電流遮断機構を採用する必要はないので負極外部端子19側としてはより簡単な構成のものを採用し得る。