特許第5788816号(P5788816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000002
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000003
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000004
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000005
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000006
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000007
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000008
  • 特許5788816-非接触充電装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788816
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】非接触充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 17/00 20060101AFI20150917BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20150917BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-32952(P2012-32952)
(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公開番号】特開2013-172472(P2013-172472A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】渡部 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】花木 秀信
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−048517(JP,A)
【文献】 特開2012−005226(JP,A)
【文献】 特開2011−130569(JP,A)
【文献】 特開2013−070545(JP,A)
【文献】 特開2012−235674(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/105242(WO,A1)
【文献】 特表2014−522337(JP,A)
【文献】 特開2007−308895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J17/00
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H01M10/42−10/48
B60L11/18
H04B5/00−5/06
E05B49/00
E05B81/00−81/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーとの間での一連の通信を通じて正規の電子キーであるか否かの認証を行う車載装置を有する車両に設けられ、1次コイルに交流電流が供給されることで被充電装置に非接触で送電する非接触充電装置において、
前記車載装置及び前記電子キー間の一連の通信の開始を検出する検出手段と、
前記検出手段を通じて一連の通信の開始を検出すると、前記一連の通信に要する時間に基づき設定される第1の給電抑制時間及び、その第1の給電抑制時間が経過したときから開始する第2の給電抑制時間に亘って前記1次コイルに供給される交流電流を抑制するとともに、前記第2の給電抑制時間の経過中に前記検出手段を通じて新たな一連の通信の開始が検出されたとき、この新たな一連の通信が終了する以降まで給電抑制時間を延長する給電抑制手段と、を備えた非接触充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触充電装置において、
前記車載装置は、前記電子キーの応答があるまで第1の時間毎に複数回に亘ってウェイク信号を無線送信するとともに、応答があったとき前記電子キーとの間での一連の通信を通じて正規の電子キーであるか否かの認証を行い、
前記検出手段は、前記ウェイク信号の検出を通じて、前記車載装置及び前記電子キー間の通信の一連の開始を検出し、
前記第1の給電抑制時間は、前記検出手段を通じて1回目のウェイク信号の検出により前記一連の通信の開始を検出したときから、2回目のウェイク信号を契機とする一連の通信が完了するときまでの時間に基づき設定される非接触充電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非接触充電装置において、
前記車載装置は、前記電子キーとの一連の通信を通じて正規の前記電子キーである旨の認証後に、第2の時間毎に複数回に亘って前記電子キーとの一連の通信を通じた前記電子キーの認証を行い、
前記給電抑制手段は、
前記1次コイルへの電流供給経路に設けられるとともに、給電を抑制する旨の指令信号に基づき前記1次コイルへの供給電流を抑制する給電抑制素子と、
前記給電抑制素子に前記指令信号を前記第1及び第2の給電抑制時間に亘って出力する第1及び第2のタイマと、
前記第1及び第2のタイマを制御するタイマ制御手段と、を備え、
前記タイマ制御手段は、前記検出手段を通じて前記ウェイク信号を検出したときから前記第1のタイマを通じて前記第1の給電抑制時間に亘って前記給電抑制素子に前記指令信号を出力し、前記第1の給電抑制時間が経過したときから前記第2のタイマを通じて前記第2の給電抑制時間に亘って前記給電抑制素子に前記指令信号を出力し、前記第2の給電抑制時間の経過中に前記検出手段を通じて前記ウェイク信号を検出すると、前記第2のタイマをリセットするとともに、再び前記第1のタイマを通じて前記第1の給電抑制時間に亘って前記給電抑制素子に前記指令信号を出力する非接触充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非接触で被充電装置を充電する非接触充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電装置から被充電装置へ非接触で送電を行うことで、被充電装置を充電する非接触充電システムが存在する(例えば、特許文献1参照)。具体的には、充電装置には1次コイルが設けられ、被充電装置には2次コイルが設けられる。充電装置の上面には、被充電装置が設置される送電パッドが形成される。1次コイルは、励磁されることで低周波数の電波(電磁波)を放出する。この電波により2次コイルに電力が誘起される。この電力が被充電装置に内蔵される電池に充電される。
【0003】
今後、非接触充電システムの業界団体であるWPC(Wireless Power Consortium)の規格に沿った充電装置の普及が予想される。この規格においては、1次コイルからの電波の周波数は100kHz〜200kHzに指定されている。
【0004】
一方、車両には電子キー及び車両間での無線通信を通じて車両ドアの施解錠やエンジンの始動を可能とする電子キーシステムが搭載されている(例えば、特許文献2参照)。この電子キーシステムにおいて、車両から電子キーには、LF帯(代表的には134kHz又は125kHz)の電波が送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−5573号公報
【特許文献2】特開2004−92071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記充電装置を車両に搭載した場合、非接触充電システム及び電子キーシステム間で使用される周波数が重複するため電波干渉が生じるおそれがある。具体的には、充電装置を車内にて使用すると、その電波が電子キーシステムにとってノイズとなる。この結果、電子キー及び車両間の無線通信、ひいてはエンジンの始動等が不可となるおそれがある。このため、非接触充電装置を車載するにあたって、ユーザの利便性を確保するために電子キーシステムの通信に対する影響を抑制することが求められている。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子キーシステムの通信に対する影響を抑制した非接触充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、電子キーとの間での一連の通信を通じて正規の電子キーであるか否かの認証を行う車載装置を有する車両に設けられ、1次コイルに交流電流が供給されることで被充電装置に非接触で送電する非接触充電装置において、前記車載装置及び前記電子キー間の一連の通信の開始を検出する検出手段と、前記検出手段を通じて一連の通信の開始を検出すると、前記一連の通信に要する時間に基づき設定される第1の給電抑制時間及び、その第1の給電抑制時間が経過したときから開始する第2の給電抑制時間に亘って前記1次コイルに供給される交流電流を抑制するとともに、前記第2の給電抑制時間の経過中に前記検出手段を通じて新たな一連の通信の開始が検出されたとき、この新たな一連の通信が終了する以降まで給電抑制時間を延長する給電抑制手段と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、一連の通信の開始が検出されると、一連の通信に要する時間に基づき設定される第1の給電抑制時間に亘って1次コイルに供給される交流電流が抑制される。また、その第1の給電抑制時間が経過したときから開始する第2の給電抑制時間に亘って1次コイルに供給される交流電流が抑制される。この第2の給電抑制時間の経過中において、電子キー及び車載装置間の新たな一連の通信が検出された場合には、新たな一連の通信が終了する以降まで給電抑制時間が延長される。これらにより、車載装置及び電子キー間の通信を妨害する態様の非接触充電装置からの電磁波が抑制される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記車載装置は、前記電子キーの応答があるまで第1の時間毎に複数回に亘ってウェイク信号を無線送信するとともに、応答があったとき前記電子キーとの間での一連の通信を通じて正規の電子キーであるか否かの認証を行い、前記検出手段は、前記ウェイク信号の検出を通じて、前記車載装置及び前記電子キー間の通信の一連の開始を検出し、前記第1の給電抑制時間は、前記検出手段を通じて1回目のウェイク信号の検出により前記一連の通信の開始を検出したときから、2回目のウェイク信号を契機とする一連の通信が完了するときまでの時間に基づき設定されることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、第1の給電抑制時間は、1回目のウェイク信号の検出により検出手段を通じて一連の通信の開始を検出したときから、2回目のウェイク信号を契機とする一連の通信が完了するときまでの時間に基づき設定される。すなわち、第1の給電抑制時間は、通信開始検出のために利用される1回目のウェイク信号を契機とした一連の通信ができないことを見こした時間に設定される。これにより、車載装置及び電子キー間の通信を妨害する態様の非接触充電装置からの電磁波がより確実に抑制される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の非接触充電装置において、前記車載装置は、前記電子キーとの一連の通信を通じて正規の前記電子キーである旨の認証後に、第2の時間毎に複数回に亘って前記電子キーとの一連の通信を通じた前記電子キーの認証を行い、前記給電抑制手段は、前記1次コイルへの電流供給経路に設けられるとともに、給電を抑制する旨の指令信号に基づき前記1次コイルへの供給電流を抑制する給電抑制素子と、前記給電抑制素子に前記指令信号を前記第1及び第2の給電抑制時間に亘って出力する第1及び第2のタイマと、前記第1及び第2のタイマを制御するタイマ制御手段と、を備え、前記タイマ制御手段は、前記検出手段を通じて前記ウェイク信号を検出したときから前記第1のタイマを通じて前記第1の給電抑制時間に亘って前記給電抑制素子に前記指令信号を出力し、前記第1の給電抑制時間が経過したときから前記第2のタイマを通じて前記第2の給電抑制時間に亘って前記給電抑制素子に前記指令信号を出力し、前記第2の給電抑制時間の経過中に前記検出手段を通じて前記ウェイク信号を検出すると、前記第2のタイマをリセットするとともに、再び前記第1のタイマを通じて前記第1の給電抑制時間に亘って前記給電抑制素子に前記指令信号を出力することを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、一般的なタイマを2つ用いた簡易な構成にて、一連の通信が繰り返される限り、給電抑制時間を延長することができる。また、タイマを1つだけ用いた場合より1次コイルへの給電復帰が早い。なぜなら、タイマを1つ用いた場合、第1の給電抑制時間及び第2の給電抑制時間の何れの時間にもタイマがリセットされるので、一連の通信における最後のビットから両給電抑制時間を足し合わせた時間に亘って給電を抑制する。その点、上記構成のように、タイマを2つ用いた場合、第1の給電抑制時間の間はリセットされないため、ウェイク信号の最初から両給電抑制時間を足し合わせた時間に亘って給電が抑制される。よって、1次コイルへの給電復帰を早めることができる。
【0014】
また、タイマがリセットされる時間を第2の給電抑制時間に限定することができるため、リセット回数を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非接触充電装置において、電子キーシステムの通信に対する影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における車両、電子キー及び携帯端末の構成を示すブロック図。
図2】本発明の一実施形態における車載装置及び電子キー間の一連の通信に関するタイミングチャート。
図3】本発明の一実施形態における携帯端末が送電パッドに設置された非接触充電装置の斜視図。
図4】本発明の一実施形態における干渉抑制部等の構成を示すブロック図。
図5】本発明の一実施形態における非接触充電装置の給電停止時間及び車載装置からの無線信号に関するタイミングチャート。
図6】本発明の一実施形態における非接触充電装置の給電停止時間及び車載装置からの無線信号に関するタイミングチャート。
図7】本発明の一実施形態における(a)はタイマが1つの場合の給電停止時間の設定態様を示したタイミングチャート、(b)は前記(a)の拡大図、(c)はタイマが2つの場合の給電停止時間の設定態様を示したタイミングチャート。
図8】他の実施形態における非接触充電装置及び車載装置の構成の一部を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる非接触充電装置を具体化した一実施形態について図1図7を参照して説明する。
図1に示すように、車両は、非接触充電装置40と、車載装置20とを備える。この車載装置20は、ユーザに所持される電子キー10との相互通信を通じてエンジンの始動を許可する。非接触充電装置40は、ユーザに所持される携帯端末50を非接触で充電可能に構成される。以下、電子キー10、車載装置20、非接触充電装置40及び携帯端末50の具体的構成について説明する。
【0018】
<電子キー>
電子キー10は、CPUからなるコンピュータユニットによって構成された電子キー制御部11を備える。この電子キー制御部11には、LF(Low Frequency)帯の無線信号を受信するLF受信部12と、UHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を送信するUHF送信部13とが接続されている。電子キー制御部11はメモリ11aを備え、そのメモリ11aにはビークルIDコード、キーIDコード及び暗号鍵が記憶されている。
【0019】
図2に示すように、LF受信部12は、その受信アンテナ12aを通じて車載装置20からのLF帯のウェイク信号を受信する。そして、LF受信部12は、ウェイク信号をパルス信号に復調したうえで電子キー制御部11へ出力する。
【0020】
電子キー制御部11は、ウェイク信号を認識すると、アック信号を生成し、それをUHF送信部13へ出力する。UHF送信部13は、アック信号を変調し、それを自身の送信アンテナ13aを介してUHF帯の無線信号として送信する。
【0021】
LF受信部12は、受信アンテナ12aを介してビークル信号を受信すると、同ビークル信号をパルス信号に復調したうえで電子キー制御部11へ出力する。電子キー制御部11は、ビークル信号を認識すると、その信号に含まれるビークルIDコードと、メモリ11aに記憶されるビークルIDコードとの照合を行う(ビークルID照合)。電子キー制御部11は、ビークルIDコードの照合が成立した旨判断したとき、上記同様にアック信号を無線送信する。
【0022】
LF受信部12は、受信アンテナ12aを介してチャレンジ信号を受信すると、同チャレンジ信号をパルス信号に復調したうえで電子キー制御部11へ出力する。電子キー制御部11は、チャレンジ信号を認識すると、チャレンジ信号に含まれるチャレンジコードをメモリ11aに記憶される暗号鍵を利用して暗号化することによりレスポンスコードを生成する。そして、電子キー制御部11は、生成したレスポンスコードと、メモリ11aに記憶されるキーIDコードとを含むレスポンス信号を生成し、その生成したレスポンス信号をUHF送信部13へ出力する。UHF送信部13は、レスポンス信号を変調し、それを自身の送信アンテナ13aを介してUHF帯の無線信号として送信する。
【0023】
<車載装置>
図1に示すように、車載装置20は、コンピュータユニットにて構成されるECU21を備える。このECU21には、UHF帯の無線信号を受信するUHF受信部24と、LF帯の無線信号を送信するLF送信部23とが接続されている。LF送信部23には、非接触充電装置40を構成する干渉抑制部43を介してLF送信アンテナ23aが接続されている。干渉抑制部43の構成及び作用については後で詳述する。
【0024】
また、図1に示すように、ECU21には、エンジンスイッチ33と、カーテシスイッチ34とが接続されている。カーテシスイッチ34は、車両ドアの開閉状態を検出し、その検出結果をECU21に出力する。エンジンスイッチ33は、運転席の近傍に押し操作可能に設けられている。エンジンスイッチ33は押し操作されると、その旨の操作信号をECU21に出力する。
【0025】
ECU21は、不揮発性のメモリ21aを備え、そのメモリ21aには電子キー10と同一のキーIDコード及びビークルIDコードと、暗号鍵とが記憶されている。
ECU21は、例えばエンジン停止後にカーテシスイッチ34を通じて車両ドアが開閉した旨判断したとき、電子キー10の車外への持ち出しの有無を検知するためウェイク信号を生成し、その生成したウェイク信号をLF送信部23に出力する。LF送信部23は、ECU21からのウェイク信号を変調して、この変調したウェイク信号をLF送信アンテナ23aを介して車内に送信する。
【0026】
UHF受信部24は、その受信アンテナ24aを介してウェイク信号に対するアック信号を受信し、その受信信号をパルス信号に復調したうえでECU21へ出力する。ECU21は、このアック信号を認識すると、メモリ21aに記憶されるビークルIDコードを含むビークル信号を生成し、その生成したビークル信号をLF送信部23に出力する。LF送信部23は、ビークル信号を変調し、その変調したビークル信号を自身のLF送信アンテナ23aを介してLF帯の無線信号として送信する。
【0027】
なお、図5に示すように、ECU21は、1回目のウェイク信号の送信後に電子キー10からのアック信号を認識できないとき、そのウェイク信号の送信完了から一定時間T1経過後に再びウェイク信号を送信する。このウェイク信号の再送信は複数回に亘って行われる。
【0028】
UHF受信部24は、その受信アンテナ24aを介してビークル信号に対するアック信号を受信し、その受信信号をパルス信号に復調したうえでECU21へ出力する。ECU21はこのアック信号を認識すると、チャレンジコードを含むチャレンジ信号を生成し、それをLF送信部23に出力する。LF送信部23は、チャレンジ信号を変調し、その変調したチャレンジ信号を自身のLF送信アンテナ23aを介してLF帯の無線信号として送信する。このとき、ECU21は、メモリ21aに記憶される暗号鍵を利用してチャレンジコードを暗号化することによりレスポンスコードを生成する。
【0029】
UHF受信部24は、その受信アンテナ24aを介して受信したレスポンス信号を復調したうえでECU21へ出力する。ECU21は、レスポンス信号を認識すると、このレスポンス信号に含まれるキーIDコードと、メモリ21aに記憶されるキーIDコードとの照合を行う(キーID照合)。また、ECU21は、レスポンス信号に含まれるレスポンスコードと、自身が生成したレスポンスコードとの照合を行う(レスポンス照合)。ECU21は、キーID照合及びレスポンス照合が成立した旨判断すると、照合成立状態となる。上述した電子キー10及び車載装置20間でのウェイク信号、アック信号、ビークル信号、チャレンジ信号及びレスポンス信号の送受信を「一連の通信」と呼ぶ。図2に示すように、この一連の通信には、通信時間T3を要する。また、これら信号は、多数のHiビット及びLoビットの組み合せからなる。
【0030】
また、ECU21は、周囲のノイズ等の影響によりウェイク信号、ビークル信号又はチャレンジ信号に対する返信がない場合には、再びウェイク信号、ビークル信号又はチャレンジ信号を送信する。このチャレンジ信号又はレスポンス信号の再送信は複数回に亘って行われる。よって、一連の通信に要する通信時間T3は、ウェイク信号、チャレンジ信号及びレスポンス信号の送信回数によって変化する。
【0031】
ここで、車両の状況によって上記照合(一連の通信)を行う回数が異なる。例えば、ECU21は、ユーザの降車にあたってエンジン停止後にカーテシスイッチ34を通じて車両ドアが開閉した旨判断したとき、電子キー10が車室内から持ち出されたか否かを判断するべく、1回だけ上記両照合(一連の通信)を実行する。ECU21は、上記両照合が成立した旨判断すると車室内に電子キー10が存在するとして、車両ドアの施錠を禁止する。また、ECU21は上記両照合が成立しない旨判断すると車室内に電子キー10が存在しないとして、車両ドアの施錠を許可する。これにより、電子キー10の車室内への閉じ込めを抑制できる。このように、何らのイベント(本例では、エンジン停止後の車両ドアの開閉)をトリガとして照合を行うことをイベント照合という。
【0032】
また、図6に示すように、ECU21は、ユーザの乗車に伴って車両ドアの解錠後にカーテシスイッチ34を通じて車両ドアが開閉した旨判断したとき、正規の電子キー10が車室内に存在するか否かを判断するべく上記一連の通信(照合)を複数回に亘って行う。ECU21は、照合が成立した状態においては、一連の通信(照合)を一定時間T2毎に行う。一連の通信毎に照合が成立する限り、一定時間T2においては、一連の通信は行われない。ECU21は、所定回目の照合が成立しない旨判断すると、それから一定時間T2より短い一定時間後に一連の通信(照合)を行う。
【0033】
ECU21は、上記両照合が成立した状態において、エンジンスイッチ33が操作された旨認識すると、エンジンを始動する。このように、ユーザの操作の事前に照合を行うことを事前照合と呼ぶ。
【0034】
<非接触充電装置及び携帯端末>
図3に示すように、非接触充電装置40は、その上面に携帯端末50を設置可能とした送電パッド40aを有する。この非接触充電装置40は、送電パッド40aを露出させた状態で車室内に取り付けられる。ユーザは、携帯端末50を送電パッド40aに置くだけで、その携帯端末50の充電を行うことができる。
【0035】
図1に示すように、非接触充電装置40は、上述した干渉抑制部43に加えて、充電制御装置41と、複数の励磁回路42と、それと同数の1次コイルL1と、を備える。
また、携帯端末50は、2次コイルL2と、整流回路52と、コンバータ53と、バッテリ54と、負荷変調回路55と、を備える。
【0036】
各1次コイルL1は、装置内部に送電パッド40aに沿って設けられる。1次コイルL1はスパイラルコイルである。各1次コイルL1は各励磁回路42に接続されている。また、各励磁回路42は電源及びグランド間に接続されている。
【0037】
充電制御装置41は、励磁回路42を通じて1次コイルL1に交流電流を供給する。これにより、1次コイルL1は励磁されて、電波(電磁波)を放出する。この電波の周波数は、上記背景技術でも説明したように、WPCの規格において100kHz〜200kHzに指定されている。充電制御装置41は、1次コイルL1に供給される電流を監視する。
【0038】
携帯端末50が送電パッド40aに設置された状態で、2次コイルL2の軸は送電パッド40aの面に直交する。2次コイルL2は、1次コイルL1からの電磁波により電流を誘起する(電磁誘導)。整流回路52は、誘起された交流電流を直流電流に変換し、その変換した電流をコンバータ53に出力する。コンバータ53は、電力を降圧又は昇圧して、その電力をバッテリ54に供給する。これにより、バッテリ54が充電される。
【0039】
充電制御装置41は、送電パッド40aに携帯端末50が設置されているか否かを判断するためにポーリングを行う。具体的には、充電制御装置41は、間欠的に1次コイルL1に交流電流を供給することで1次コイルL1を励磁する。これにより、1次コイルL1からはポーリング信号(電波)が送信される。
【0040】
携帯端末50の負荷変調回路55は、2次コイルL2を通じてポーリング信号を受けると負荷変調を行う。詳しくは、負荷変調回路55は、ポーリング信号を受信したとき、2次コイルL2に負荷(図示略)を接続した接続状態と、2次コイルL2に負荷を接続しない非接続状態との間で切り替える。この接続状態にあるとき、2次コイルL2と磁気結合する1次コイルL1からみたインピーダンスが非接続状態から変化する。従って、1次コイルL1に供給される電流が変化する。充電制御装置41は、この電流の変化を通じて送電パッド40aに携帯端末50が設置されている旨判断し、その旨判断したとき連続的に1次コイルL1を励磁させることで実際に携帯端末50の充電を行う。
【0041】
各励磁回路42及び電源間にはFET(電界効果トランジスタ)49のドレイン端子及びソース端子が接続されている。通常、FET49は、ドレイン端子及びソース端子間が導通状態(オン状態)とされており、各励磁回路42には、電源からの電力が供給されている。FET49のベース端子に、干渉抑制部43によって一定値以上の電圧が印加されることで、FET49のドレイン端子及びソース端子間が非導通状態(オフ状態)となる。よって、電源から各励磁回路42への電力供給が遮断される。
【0042】
次に、干渉抑制部43について説明する。
図4に示すように、干渉抑制部43は、LF送信部23からLF送信アンテナ23aに送られるウェイク信号(交流電流)の電流値をセンシングするセンサ44と、センサ44の検出結果に基づきFET49のゲート電圧を制御する処理回路45と、これらが配設される基板47とを備えている。
【0043】
基板47には、第1及び第2のコネクタ47a,47bが設けられている。第1のコネクタ47aは、LF送信部23からLF送信アンテナ23aに要求信号を送るためのハーネス(導線)25の先端部に設けられる第2のコネクタ25aに接続される。第2のコネクタ47bは、LF送信アンテナ23aに設けられ要求信号を受信するための第1のコネクタ23bに接続される。第1のコネクタ23b,47aは同じもの、第2のコネクタ25a,47bは同じものである。すなわち、干渉抑制部43がない構成においては、第1のコネクタ23bを第2のコネクタ25aに接続可能である。
【0044】
処理回路45は、2つのタイマ48a,48bと、コンパレータ46bとを備える。コンパレータ46bは、LF送信部23からのウェイク信号に基づきセンサ44を通じて検出される電流値が閾値以上となったとき、一連の通信が開始されるとして第1のタイマ48aにトリガ信号を出力する。第1のタイマ48aはトリガ信号を受けると、第1の給電停止時間Ts1のカウントを開始し、その第1の給電停止時間Ts1に亘ってFET49のベース端子及びコンパレータ46bにHi信号を出力する。FET49は、このHi信号を通じてオフ状態となる。なお、第1のタイマ48aは第1の給電停止時間Ts1の経過中にリセットされることはない。
【0045】
上記第1の給電停止時間Ts1の経過により第1のタイマ48aからのHi信号を検出できなくなると、第2のタイマ48bにトリガ信号が入力され、第2のタイマ48bは、第2の給電停止時間Ts2のカウントを開始し、その第2の給電停止時間Ts2に亘ってFET49のベース端子にHi信号を出力する。これにより、第1の給電停止時間Ts1の経過後も少なくとも第2の給電停止時間Ts2だけFET49のオフ状態が維持される。従って、合計給電停止時間Taは、第1の給電停止時間Ts1及び第2の給電停止時間Ts2を足し合わせた時間以上に設定される。
【0046】
また、第2のタイマ48bにおけるHi信号の出力中に、LF送信部23からのウェイク信号に基づきセンサ44を通じて検出される電流値が閾値以上となったとき、第2のタイマ48bをリセットするとともに、再び第1のタイマ48aにトリガ信号を出力する。第1のタイマ48aは、再びトリガ信号を受けると、第1の給電停止時間Ts1のカウントを開始し、その第1の給電停止時間Ts1に亘ってFET49のベース端子及びコンパレータ46bにHi信号を出力する。そして、上記同様に、第2のタイマ48bは第1の給電停止時間Ts1の経過後に、第2の給電停止時間Ts2のカウントを開始し、その第2の給電停止時間Ts2に亘ってFET49のベース端子にHi信号を出力する。すなわち、事前照合の場合には、第1の給電停止時間Ts1及び第2の給電停止時間Ts2が再設定されることで、合計給電停止時間Taの延長が可能となる。
【0047】
第1の給電停止時間Ts1及び第2の給電停止時間Ts2は、以下の観点から設定されている。
図5に示すように、干渉抑制部43は1回目のウェイク信号の検出を通じて各励磁回路42への給電を停止する。このため、ディレイ時間Tdだけ1回目のウェイク信号と非接触充電装置40からの電磁波とが同時に出力される。従って、電子キー制御部11は、LF受信部12等を介して1回目のウェイク信号を認識できず、アック信号を返信できない。ECU21は、アック信号を受信できない場合、1回目のウェイク信号の送信完了から一定時間T1経過後に2回目のウェイク信号を送信し、そのウェイク信号を通じて一連の通信を行う。
【0048】
第1の給電停止時間Ts1は、一連の通信時間T3からディレイ時間Tdを差し引いた時間に設定される。ここでの一連の通信時間T3は一連の通信に要する最長時間とする。
なお、第1のタイマ48aは第1の給電停止時間Ts1の経過中において2回目のウェイク信号等の検出を通じてリセットされることがないため、2回目のウェイク信号を通じた一連の通信によって第1の給電停止時間Ts1が再設定されることはない。
【0049】
また、第2の給電停止時間Ts2は、事前照合における一連の通信の周期(一定時間T2)に微少時間Teを加えた時間に設定される。この微少時間Teは、次のウェイク信号の少なくとも一部を受信可能とするために設定されている。これにより、図6に示すように、第2の給電停止時間Ts2内に3回目のウェイク信号を検出可能となる。
【0050】
次に、図6を参照しつつ、干渉抑制部43の作用として事前照合の場合の給電停止時間の延長態様について説明する。
コンパレータ46bは、センサ44を通じて1回目のウェイク信号が検出されたときから、第1のタイマ48aを通じて第1の給電停止時間Ts1に亘って1次コイルL1への給電を停止する。そして、コンパレータ46bは、第1の給電停止時間Ts1の経過後に、第2のタイマ48bを通じて第2の給電停止時間Ts2に亘って1次コイルL1への給電を停止する。ここで、コンパレータ46bは、第2の給電停止時間Ts2の経過中である時刻t1においてセンサ44を通じて3回目のウェイク信号が検出されると、再び、第1のタイマ48aを通じて第1の給電停止時間Ts1に亘って給電を停止し、その第1の給電停止時間Ts1の経過後に、第2のタイマ48bを通じて第2の給電停止時間Ts2に亘って給電を停止する。このように、事前照合において一連の通信が繰り返されるかぎり、合計給電停止時間Taは延長されていく。よって、車載装置20及び電子キー10間の通信を妨害する態様の非接触充電装置40からの電磁波が抑制される。
【0051】
なお、イベント照合の場合には、干渉抑制部43は1回目の第2の給電停止時間Ts2の経過後に、FET49をオン状態とすることで1次コイルL1への給電、ひいては携帯端末50の充電を再開する。
【0052】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)一連の通信の開始が検出されると、一連の通信時間T3を含む時間に設定される第1の給電停止時間Ts1に亘って1次コイルL1に供給される交流電流が抑制される。また、その第1の給電停止時間Ts1が経過したときから開始する第2の給電停止時間Ts2に亘って1次コイルL1に供給される交流電流が抑制される。そして、この第2の給電停止時間Ts2の経過中に電子キー10及び車載装置20間で新たな一連の通信が検出された場合には合計給電停止時間Taが延長される。従って、上記事前照合(一連の通信の繰り返し)に応じた合計給電停止時間Taが設定される。これにより、合計給電停止時間Taを最小限としつつ車載装置20及び電子キー10間の通信を妨害する態様の非接触充電装置40からの電磁波が抑制される。
【0053】
(2)第1の給電停止時間Ts1は、1回目のウェイク信号を通じて通信の開始が検出されたときから、2回目のウェイク信号を契機とする車載装置20及び電子キー10間の認証のための一連の通信が完了するときまでの時間に設定される。すなわち、第1の給電停止時間Ts1は、通信開始検出のために利用される1回目のウェイク信号を契機とした一連の通信ができないことを見こした時間に設定される。これにより、車載装置20及び電子キー10間の通信を妨害する態様の非接触充電装置40からの電磁波がより確実に抑制される。
【0054】
(3)コンパレータ46b及び2つのタイマ48a,48bを利用して、一連の通信が繰り返される限り、合計給電停止時間Taが延長される。このように簡易かつ既存の構成にて、上記(1)及び(2)の作用効果を奏することができる。
【0055】
また、タイマを1つだけ用いた場合より1次コイルL1への給電復帰を早くできる。なぜなら、図7(a)に示すように、タイマを1つ用いた場合、第1の給電抑制時間Ts1及び第2の給電抑制時間Ts2の何れの時間経過中にもタイマがリセットされる。このため、図7(b)に拡大して示すように、一連の通信における最後のHiビットから両給電抑制時間Ts1,Ts2を足し合わせた時間に亘って給電が抑制される。その点、2つのタイマ48a,48bを用いた場合、第1の給電抑制時間Ts1の経過中はリセットされないため、図7(c)に示すように、各一連の通信においてウェイク信号の最初のHiビットから両給電抑制時間Ts1,Ts2を足し合わせた時間に亘って給電が抑制される。よって、1次コイルL1への給電復帰を早めることができる。
【0056】
また、第2のタイマ48bのみリセット可能に構成することで、リセット可能な期間を第2の給電抑制時間Ts2に限定することができる。よって、リセット回数を低減することができる。
【0057】
(4)イベント照合の場合であっても、1回目のウェイク信号を通じて通信の開始が検出されたときから両給電停止時間Ts1,Ts2を足し合わせた時間の経過後に、非接触充電装置40による携帯端末50の充電が開始される。よって、事前照合の場合に比べて合計給電停止時間Taを短くしつつ、車載装置20及び電子キー10間の通信を妨害する態様の非接触充電装置40からの電磁波を抑制できる。
【0058】
(5)干渉抑制部43の各種の電子部品が配設される基板47には第1及び第2のコネクタ47a,47bが設けられている。その第1のコネクタ47aには、LF送信部23からLF送信アンテナ23aに要求信号を送るためのハーネス(導線)25の先端部に設けられる第2のコネクタ25aが接続される。第2のコネクタ47bには、LF送信アンテナ23aに設けられるとともに、ハーネス25からの要求信号を受けるための第1のコネクタ23bが接続される。これにより、干渉抑制部43を、容易にハーネス25とLF送信アンテナ23aとの間に接続することができる。特に、既存の構成に干渉抑制部43を後付けすることが容易となる。
【0059】
(6)第1のタイマ48aは第1の給電停止時間Ts1の経過中において2回目のウェイク信号等の検出を通じてリセットされることがないため、2回目のウェイク信号を通じた一連の通信によって連続的に第1の給電停止時間Ts1が再設定されることが抑制される。
【0060】
(7)ECU21は、所定回目の照合が成立しない旨判断すると、それから一定時間T2より短い一定時間後に一連の通信(照合)を行う。この場合あっても、一定時間T2の経過中においては、第2のタイマ48bがリセットされるため、両給電停止時間Ts1,Ts2が適切に設定される。
【0061】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、2つのタイマ48a,48bを通じて、それぞれ給電停止時間Ts1,Ts2が設定されていた。しかし、タイマを1つとしてもよい。この場合、給電停止時間は1回目のウェイク信号が検出されたときから一定時間に亘って設定される。この一定時間は、例えば第2の給電停止時間Ts2であってもよい。本構成においては、2回目のウェイク信号、ビークル信号及びチャレンジ信号の検出を通じて、第2の給電停止時間Ts2が連続的に再設定される。これは、センサ44の検出結果では、ウェイク信号、ビークル信号及びチャレンジ信号の種類を判別することは不能だからである。従って、チャレンジ信号の送信完了直前に第2の給電停止時間Ts2が設定されることになって、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0062】
・上記実施形態においては、タイマ制御手段としてコンパレータ46bが採用されていたが、タイマ制御手段であれば例えばCPU(中央演算処理装置)等であってもよい。CPUであっても、コンパレータ46bと同様に、センサ44の検出結果等に基づき、第1及び第2のタイマ48a,48bにトリガ信号を出力することが可能である。
【0063】
・上記実施形態においては、干渉抑制部43は、ハーネス25とLF送信アンテナ23aとの間に有線で接続されていた。しかし、図8に示すように、干渉抑制部60は、LF送信部23及びLF送信アンテナ23aとは別体で構成されてもよい。干渉抑制部60は、LF受信アンテナ60aと、信号増幅部60bと、整流平滑部60cと、コンパレータ46bと、第1のタイマ48aと、第2のタイマ48bとを有する。
【0064】
LF受信アンテナ60aはウェイク信号を受信すると、その受信信号を信号増幅部60bに出力する。信号増幅部60bは、受信信号を増幅すると、その増幅した信号を整流平滑部60cに出力する。整流平滑部60cは、信号増幅部60bからの信号(交流電流)を整流及び平滑することで直流電流をコンパレータ46bに出力する。コンパレータ46bは、信号増幅部60bからの信号(交流電流)に基づきウェイク信号の受信を検出し、上記実施形態と同様に両タイマ48a,48bを制御する。よって、非接触充電装置40及び車載装置20を別体で構成した場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0065】
・上記実施形態において、ハーネス25と干渉抑制部43との間、及び干渉抑制部43とLF送信アンテナ23aとの間は、コネクタ接続に限らない。例えば、はんだ付けによる接続であってもよい。
【0066】
・上記実施形態においては、干渉抑制部43は、LF送信アンテナ23aに供給される交流電流を、電磁誘導によりセンシングするもの(例えばトランス)としてセンサ44を採用したが、これ以外のものによりセンシングしてもよい。電磁誘導により交流電流を検出するものとしては、例えば電流プローブがある。電流プローブを採用すれば、間接的なセンシングか可能になる。また、電磁誘導に代えて、例えばシャント抵抗を採用して、交流電流を電圧に変換して、信号の有無をセンシングしてもよい。
【0067】
・上記実施形態においては、給電抑制素子であるFET49をオフ状態とすることで、非接触充電装置40からの電磁波が遮断されていた。しかし、非接触充電装置40からの電磁波を遮断することができれば、上記構成に限らない。例えば、非接触充電装置40全体の電源をオフ状態としてもよい。本構成によれば、より簡易に非接触充電装置40からの電磁波を遮断できる。
【0068】
また、例えば、励磁回路42及び1次コイルL1間にリレー回路を設けてもよい。このリレー回路は第1〜第3の端子を有する。そして、第1の端子が励磁回路42に接続され、第2の端子が1次コイルL1に接続され、第3の端子がグランドに接続される。可動接点が第2及び第3の端子間で変位することで、1次コイルL1が励磁回路42及びグランドの何れかに接続された状態となる。干渉抑制部43は、電圧値が閾値以上となった旨判断すると、一定時間に亘ってリレー回路を通じて、1次コイルL1をグランドに接続する。これによって、非接触充電装置40からの電磁波が遮断される。
【0069】
また、1次コイルL1を含むアンテナ系のインピーダンスを増大させることで、1次コイルL1からの電磁波を抑制してもよい。詳しくは、励磁回路42及び1次コイルL1間にはマッチング回路が設けられている。このマッチング回路は、1次コイルL1及び電力経路間のインピーダンスを整合させることで、1次コイルL1を含むアンテナ系の電気エネルギーの反射損失を抑制する。干渉抑制部43は、電圧値が閾値以上となった旨判断すると、一定時間に亘ってマッチング回路を通じてアンテナ系のインピーダンスを増大させる。これにより、1次コイルL1に供給される交流電流が減少し、結果的に1次コイルL1からの電磁波を抑制することができる。
【0070】
・上記実施形態においては、LF送信アンテナ23aから車内にウェイク信号が送信されるとき、非接触充電装置40からの電磁波が抑制される。しかし、車外(例えばドアハンドル内)に設けられる送信アンテナから無線信号が送信されるときにも、非接触充電装置40からの電磁波を抑制してもよい。例えば、イベント照合の場合、車外ドアハンドルに設けられるロックスイッチが操作されたとき、車載装置20は車外にウェイク信号を送信する。そして、車載装置20は、そのウェイク信号を通じた電子キー10との一連の通信により照合が成立したとき車両ドアの施解錠状態を切り替える。事前照合の場合、車載装置20は、一定周期毎に車外にウェイク信号を送信し、電子キー10が車両周辺に位置するとき電子キー10との一連の通信を通じて照合を行う。車載装置20は、この照合が成立した状態において、上記ロックスイッチが操作されたとき、車両ドアの施解錠状態を切り替える。
【0071】
・上記実施形態においては、非接触充電装置40は電磁誘導型であったが、磁界共鳴型であってもよい。
・上記実施形態において、干渉抑制部43にLF送信アンテナ23aに供給される交流電流がウェイク信号であるか否かを判断するための処理回路、例えばデコーダや、マイクロコンピュータ、メモリを設けてもよい。
【0072】
・上記実施形態においては、給電停止時間Ts1を設定する際の一連の通信時間T3は最長のものが利用されていたが、給電停止時間Ts1を設定する際の一連の通信時間T3は最長でなくてもよい。例えば、一連の通信において、ウェイク信号、ビークル信号及びチャレンジ信号の送信回数がそれぞれ1回の場合における最小の通信時間T3を利用して給電停止時間Ts1を設定してもよい。
【符号の説明】
【0073】
L1…1次コイル、L2…2次コイル、10…電子キー、11…電子キー制御部、12…LF受信部、12a…LF受信アンテナ、13…UHF送信部、13a…送信アンテナ、20…車載装置、21…ECU、23…LF送信部、23a…LF送信アンテナ、23b,47a…第1のコネクタ、24…UHF受信部、24a…UHF受信アンテナ、25…ハーネス、25a,47b…第2のコネクタ、33…エンジンスイッチ、34…カーテシスイッチ、40…非接触充電装置、41…充電制御装置、42…励磁回路、43…検出手段及び給電抑制手段としての干渉抑制部、44…センサ、45…処理回路、46b…コンパレータ、47…基板、48a…第1のタイマ、48b…第2のタイマ、49…FET、50…携帯端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8