(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図4に示す線路Rは、車両が走行する通路(軌道)である。線路Rは、左右一対の車輪W
1をそれぞれ案内する左右一対のレールR
1などを備えており、レールR
1は車輪W
1を直接支持する頭頂面(頭部上面)R
2と、この頭頂面R
2と連続する内側頭側面(レール頭部の軌間内側の頭頂面(ゲージコーナー部))R
3などを備えている。輪軸Wは、輪重P及び横圧Qを測定するためのPQ軸(PQ測定用輪軸)であり、左右一対の車輪W
1と車軸W
2とによって一体に組み立てられている。輪軸Wは、左右一対のレールR
1とそれぞれ回転接触する左右一対の車輪W
1と、車輪W
1が圧入されて車輪W
1と一体となって回転する車軸W
2などを備えている。車輪W
1は、レールR
1の頭頂面R
2と接触して摩擦抵抗を受ける車輪踏面W
3と、車両が急曲線を通過するときに外軌側(曲線外側)のレールR
1の内側頭側面R
3と接触して摩擦抵抗を受けるフランジ面W
4などを備えている。
図4(A)に示す輪重Pは、レールR
1と車輪W
1との接触点Sに作用する力のうち、レールR
1の長さ方向に対して垂直な面内にある垂直方向成分の分力である。横圧Qは、この接触点Sに作用する力のうち、レールR
1の長さ方向に対して垂直な面内にある左右方向(車軸方向(輪重Pと直交する方向))成分の分力である。横圧Qは、通常、車輪W
1のフランジ面W
4がレールR
1から曲線の外側に押される向きを正とし、車輪W
1のフランジ面W
4がレールR
1から曲線の内側に押される向きを負としている。なお、
図4では、車両の進行方向右側の車輪のみを図示し、車両の進行方向左側の車輪については図示を省略している。
【0026】
図1に示すPQ測定システム1は、
図4に示すレールR
1と車輪W
1との間に作用する輪重P及び/又は横圧Qを測定するシステムである。PQ測定システム1は、
図1に示す間欠輪重検出装置2R,2Lが出力する間欠輪重信号W
P1,W
P2、間欠横圧検出装置3R,3Lが出力する間欠横圧信号W
Q1,W
Q2、連続横圧検出装置4R,4Lが出力する連続横圧信号W
QC、及び角速度検出装置5が出力する角速度信号W
ωなどをPQ測定装置6が所定の信号処理をして輪重P、横圧Q及び角速度などを測定するシステムである。PQ測定システム1は、間欠輪重検出装置2R,2Lと、間欠横圧検出装置3R,3Lと、連続横圧検出装置4R,4Lと、角速度検出装置5と、PQ測定装置6と、入力装置25と、補助入力装置26と、外部記憶装置27と、印刷装置28と、表示装置29などを備えている。
【0027】
図1に示す間欠輪重検出装置2Rは、右側の車輪W
1と右側のレールR
1との間に作用する輪重Pを間欠的に検出する装置であり、間欠輪重検出装置2Lは左側の車輪W
1と左側のレールR
1との間に作用する輪重Pを間欠的に検出する装置である。間欠輪重検出装置2R,2Lは、いずれも同一構造であり、以下では一方の間欠輪重検出装置2Rを例に挙げて説明し、他方の間欠輪重検出装置2Lについては詳細な説明を省略する。間欠輪重検出装置2Rは、
図4(B)に示すように間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-などを備えている。
【0028】
図
4に示す間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-は、輪重Pを間欠的に検出する手段である。間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-は、車輪W
1の周方向の4つの検出位置(間欠輪重計測点)で輪重Pを間欠的に検出して、この車輪W
1の回転に応じて間欠輪重信号W
P1,W
P2を出力する。間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-は、車輪W
1の板部に形成された検出用穴に装着されており、車輪W
1の半径方向の歪みを検出して、輪重Pの大きさ(輪重値P
1,P
2)に応じた電気信号を出力する歪みゲージなどのセンサである。間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-は、
図4(B)に示すように、車輪W
1の中心(車軸W
2の中心)に対して90°ずれた検出位置で輪重Pを検出可能なように、車輪W
1の周方向に等間隔で配置されている。間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-は、4つの検出位置のうち車輪W
1の中心に対して対称な検出位置毎に輪重Pを検出して間欠輪重信号W
P1,W
P2を出力する。間欠輪重検出部P1+,P1-は、車輪W
1の中心に対して180°ずれた検出位置(車輪W
1の中心に対して対称な検出位置)で輪重Pを検出する。間欠輪重検出部P2+,P2-は、車輪W
1の中心に対して180°ずれた検出位置(車輪W
1の中心に対して対称な検出位置)であって、かつ、間欠輪重検出部P1+,P1-の検出位置よりも車輪W
1の中心に対して90°ずれた検出位置で輪重Pを検出する。間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-は、車輪W
1が1回転すると位相の異なる4つの出力信号を発生し、それぞれ接触点Sに最も接近する最下位に位置するときに各検出位置で輪重Pを検出する。間欠輪重検出部P1+,P1-は、各検出位置における検出結果を1つの間欠輪重信号(間欠輪重データ)W
P1として
図1に示す増幅装置7に出力し、間欠輪重検出部P2+,P2-は各検出位置における検出結果を1つの間欠輪重信号(間欠輪重データ)W
P2として増幅装置7に出力する。
【0029】
図1に示す間欠横圧検出装置3Rは、右側の車輪W
1と右側のレールR
1との間に作用する横圧Qを間欠的に検出する装置であり、間欠横圧検出装置3Lは左側の車輪W
1と左側のレールR
1との間に作用する横圧Qを間欠的に検出する装置である。間欠横圧検出装置3R,3Lは、いずれも同一構造であり、以下では一方の間欠横圧検出装置3Rを例に挙げて説明し、他方の間欠横圧検出装置3Lについては詳細な説明を省略する。間欠横圧検出装置3R,3Lは、例えば、
図4(B)に示すように間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-などを備えている。
【0030】
図4(B)に示す間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、横圧Qを間欠的に検出する手段である。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、車輪W
1の周方向の4つの検出位置(間欠横圧計測点)で横圧Qを間欠的に検出して、この車輪W
1の回転に応じて間欠横圧信号W
Q1,W
Q2を出力する。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、車輪W
1の板部に装着されており、車輪W
1に作用する曲げ応力を検出して、横圧Qの大きさ(間欠横圧値Q
1,Q
2)に応じた電気信号を出力する歪みゲージなどのセンサである。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、
図4(B)に示す間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が輪重Pを検出するタイミングと同じタイミングで横圧Qを検出するように、輪重Pの検出位置と同じ位置に配置されている。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、
図4(B)に示すように、車輪W
1の中心(車軸W
2の中心)に対して90°ずれた検出位置で横圧Qを検出可能なように、車輪W
1の周方向に等間隔で配置されている。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、4つの検出位置のうち車輪W
1の中心に対して対称な検出位置毎に横圧Qを検出して間欠横圧信号W
Q1,W
Q2を出力する。間欠横圧検出部Q1+,Q1-は、車輪W
1の中心に対して180°ずれた検出位置(車輪W
1の中心に対して対称な検出位置)で横圧Qを検出する。間欠横圧検出部Q2+,Q2-は、車輪W
1の中心に対して180°ずれた検出位置(車輪W
1の中心に対して対称な検出位置)であって、かつ、間欠横圧検出部Q1+,Q1-の検出位置よりも車輪W
1の中心に対して90°ずれた検出位置で横圧Qを検出する。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-の検出位置(間欠輪重計測点)と同じ検出位置で横圧Qを検出する。間欠横圧検出部Q1+,Q1-は、間欠輪重検出部P1+,P1-による輪重Pの検出と同時に横圧Qを検出し、間欠横圧検出部Q2+,Q2-は間欠輪重検出部P2+,P2-による輪重Pの検出と同時に横圧Qを検出する。間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-は、車輪W
1が1回転すると位相の異なる4つの出力信号を発生し、それぞれ接触点Sに最も接近する最下位に位置するときに、各検出位置で横圧Qを検出する。間欠横圧検出部Q1+,Q1-は、各検出位置における検出結果を1つの間欠横圧信号(間欠横圧データ)W
Q1として
図1に示す増幅装置7に出力し、間欠横圧検出部Q2+,Q2-は各検出位置における検出結果を1つの間欠横圧信号(間欠横圧データ)W
Q2として増幅装置7に出力する。
【0031】
図1に示す連続横圧検出装置4Rは、右側の車輪W
1と右側のレールR
1との間に作用する横圧Qを連続的に検出する装置であり、連続横圧検出装置4Lは左側の車輪W
1と左側のレールR
1との間に作用する横圧Qを連続的に検出する装置である。連続横圧検出装置4R,4Lは、いずれも同一構造であり、以下では一方の連続横圧検出装置4Rを例に挙げて説明し、他方の連続横圧検出装置4Lについては詳細な説明を省略する。連続横圧検出装置4R,4Lは、例えば、
図4(B)に示すように連続横圧検出部Q1〜Q8などを備えている。
【0032】
図4(B)に示す連続横圧検出部Q1〜Q8は、横圧Qを連続的に検出する手段である。連続横圧検出部Q1〜Q8は、車輪W
1の周方向の8つの検出位置(連続横圧計測点)で横圧Qを連続的に検出して、この車輪W
1の回転に応じて連続横圧信号W
QCを出力する。横圧検出部Q1〜Q8は、車輪W
1の板部に装着されており、車輪W
1に作用する曲げ応力を検出して、横圧Qの大きさ(連続横圧値Q
C)に応じた電気信号を出力する歪みゲージなどのセンサである。連続横圧検出部Q1〜Q8は、
図4(B)に示すように、車輪W
1の中心(車軸W
2の中心)に対して45°ずれた検出位置で横圧Qを検出可能なように、車輪W
1の周方向に等間隔に配置されている。連続横圧検出部Q1〜Q8は、車輪W
1が1回転すると位相の異なる8つの出力信号を発生し、それぞれ接触点Sに最も接近する最下位に位置するときに各検出位置で横圧Qを検出する。連続横圧検出部Q1〜Q8は、各検出位置における検出結果を1つの連続横圧信号(連続横圧データ)W
QCとして
図1に示す増幅装置7に出力する。
【0033】
図1に示す角速度検出装置5は、車両の角速度を検出する装置である。角速度検出装置5は、例えば、PQ測定用輪軸を備える車両が曲線に進入してこの車両が左右方向に回転(ヨーイング)したときにこの車両の角速度を検出する角速度センサ(ヨーセンサ)などである。角速度検出装置5は、車両の曲線進入及び曲線の方向を検出し、この検出結果を角速度信号(角速度データ)W
ωとして増幅装置7に出力する。
【0034】
図1に示すPQ測定装置6は、レールR
1と車輪W
1との間に作用する輪重P及び横圧Qを測定する装置である。PQ測定装置6は、間欠輪重検出装置2R,2Lが検出した輪重Pの時間変化を表す間欠輪重信号W
P1,W
P2、間欠横圧検出装置3R,3Lが検出した横圧Qの時間変化を表す間欠横圧信号W
Q1,W
Q2、連続横圧検出装置4R,4Lが検出した横圧Qの時間変化を表す連続横圧信号W
QC、及び角速度検出装置5が検出した角速度の時間変化を表す角速度信号W
ωなどを所定の信号処理し、輪重P及び横圧Qなどを測定する装置である。PQ測定装置6は、増幅装置7と、A/D変換装置8と、PQ測定処理装置9などを備えており、これらを筐体内に収容している。
【0035】
図1に示す増幅装置7は、間欠輪重検出装置2R,2L、間欠横圧検出装置3R,3L、連続横圧検出装置4R,4L及び角速度検出装置5の出力信号を増幅する装置である。増幅装置7は、間欠輪重検出装置2R,2Lが出力する間欠輪重信号W
P1,W
P2、間欠横圧検出装置3R,3Lが出力する間欠横圧信号
Q1,W
Q2、連続横圧検出装置4R,4Lが出力する連続横圧信号W
QC、及び角速度検出装置5が出力する角速度信号W
ωをそれぞれ増幅してA/D変換装置8に出力する絶縁アンプなどである。増幅装置7は、間欠輪重検出装置2R,2L、間欠横圧検出装置3R,3L及び角速度検出装置5の出力電圧を、予め設定されたスケール係数及びオフセットによってスケーリングする。
【0036】
図1に示すA/D変換装置8は、増幅装置7の出力信号をA/D変換する装置である。A/D変換装置8は、増幅装置7が出力する増幅後の間欠輪重信号W
P1,W
P2、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2、連続横圧信号W
QC及び角速度信号W
ωなどのアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号に変換しPQ測定処理装置9に出力する。
【0037】
図1に示すPQ測定処理装置9は、輪重P及び/又は横圧Qを測定処理する装置である。PQ測定処理装置9は、A/D変換装置8が出力するA/D変換後の間欠輪重信号W
P1,W
P2、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2、連続横圧信号W
QC及び角速度信号W
ωを所定の信号処理をして輪重P、横圧Q及び角速度などを演算するCPUユニットなどである。PQ測定処理装置9は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、PQ測定処理プログラムに従って所定の処理を実行する。PQ測定処理装置9は、
図2に示すデータ入力部10と、
図2及び
図3に示す間欠輪重信号補正部11と、輪重合成信号生成部12と、
図2に示す角速度演算部13と、走行距離演算部14と、
図2及び
図3に示す間欠輪重測定部15と、間欠横圧信号補正部16と、間欠横圧測定部17と、連続横圧信号補正部18と、連続横圧測定部19と、
図2に示すデータ記憶部20と、プログラム記憶部21と、データ出力部22と、制御部23と、通信部24などを備えている。
【0038】
図2に示すデータ入力部10は、種々の検出データを入力させる手段である。データ入力部10には、A/D変換装置8が出力するA/D変換後の間欠輪重信号(間欠輪重データ)W
P1,W
P2、間欠横圧信号(間欠横圧データ)W
Q1,W
Q2、連続横圧信号(連続横圧データ)W
QC及び角速度信号(角速度データ)W
ωが入力し、データ入力部10はこれらの検出データを制御部23に出力する。
【0039】
図2及び
図3に示す間欠輪重信号補正部11は、間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2の移動平均値に基づいて、この間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2を補正する手段である。間欠輪重信号補正部11は、間欠輪重信号W
P1,W
P2の移動平均に基づいてこれらの間欠輪重信号W
P1,W
P2をオフセット補正する。ここで、
図5に示すグラフは、縦軸が輪重Pであり、横軸が時間tである。なお、
図5では、発明の理解を容易にするために、二つの間欠輪重信号W
P1,W
P2のうち一方の間欠輪重信号W
P1のみを表しており、他方の間欠輪重信号W
P2については図示を省略している。間欠輪重信号補正部11は、例えば、間欠輪重検出部P1+,P1-の歪みゲージの温度変動などによって、
図5(A)に示すように間欠輪重信号W
P1がオフセット量P
offsetを含むときには、現在から所定時間前(例えば10秒程度)までのこの間欠輪重信号W
P1のうち、車輪W
1の整数回転分に相当する離散的なサンプリング値(間欠輪重データ)を移動平均化してオフセット量P
offsetを同定する。間欠輪重信号補正部11は、
図5(A)に示す間欠輪重信号W
P1からオフセット量P
offsetを減算してオフセット補正し、
図5(B)に示すように補正後の間欠輪重信号W
P1を生成する。間欠輪重信号補正部11は、補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2を間欠輪重データとして制御部23に出力する。
【0040】
図6(A)に示す間欠輪重信号W
P1は、
図4(B)に示す車輪W
1の回転に応じて正負が交互に逆転した波形であり、プラス側が間欠輪重検出部P1+によって検出された測定データに相当し、マイナス側が間欠輪重検出部P1-によって検出された測定データに相当する。ここで、
図6に示すグラフは、縦軸が輪重Pであり、横軸が時間tである。
図6(A)に示す間欠輪重信号W
P1は、間欠輪重検出部P1+が接触点Sに最も近づき最下位に位置したときに輪重Pが上側のピーク値P
1maxを示し、車輪W
1がさらに180°回転して間欠輪重検出部P1-が接触点Sに最も近づき最下位に位置したときに輪重Pが下側のピーク値P
1minを示す。
図6(B)に示す間欠輪重信号W
P2は、
図4(B)に示す車輪W
1の回転に応じて正負が交互に逆転した波形であり、プラス側が間欠輪重検出部P2+によって検出された測定データに相当し、マイナス側が間欠輪重検出部P2-によって検出された測定データに相当する。
図6(B)に示す間欠輪重信号W
P2は、間欠輪重検出部P2+が接触点Sに最も近づき最下位に位置したときに輪重Pが上側のピーク値P
2maxを示し、車輪W
1がさらに180°回転して間欠輪重検出部P2-が接触点Sに最も近づき最下位に位置したときに輪重Pが下側のピーク値P
2minを示す。
【0041】
図2及び
図3に示す輪重合成信号生成部12は、間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が車輪W
1の回転に応じて出力する位相の異なる複数の間欠輪重信号W
P1,W
P2を合成して輪重合成信号W
Pを生成する手段である。輪重合成信号生成部12は、
図4(B)に示す4つの検出位置のうち車輪W
1の中心に対して対称な検出位置毎に間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が出力する2つの間欠輪重信号W
P1,W
P2を合成する。例えば、輪重合成信号生成部12は、
図4(B)に示す車輪W
1の中心に対して対称な検出位置で輪重Pを検出する間欠輪重検出部P1+,P1-が出力する
図6(A)に示すような補正後の間欠輪重信号W
P1と、
図4(B)に示す間欠輪重検出部P1+,P1-とは異なる対称な検出位置で輪重Pを検出する間欠輪重検出部P2+,P2-が出力する
図6(B)に示すような補正後の間欠輪重信号W
P2とを合成して、
図6(C)に示すような輪重合成信号W
Pを生成する。輪重合成信号生成部12は、以下の数1によって輪重合成信号W
Pを生成し、この輪重合成信号W
Pを制御部23に出力する。
【0042】
【数1】
【0043】
図6(C)に示す輪重合成信号W
Pは、
図4(B)に示す車輪W
1の回転に応じて正負が交互に逆転した波形であり、プラス側が間欠輪重検出部P1+,P2+が検出した測定データに相当し、マイナス側が間欠輪重検出部P1-,P2-が検出した測定データに相当する。
図6(C)に示す輪重合成信号W
Pは、波形が時間軸と交差して輪重Pがゼロとなるゼロクロス点t
01,t
02,…が
図4(B)に示す車輪W
1の中心に対して検出位置(間欠輪重計測点)の左右±45°に相当する。輪重合成信号生成部12は、例えば、
図6(B)(C)に示すような車輪W
1が1/4回転する毎に発生する間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形のピーク値P
1max,P
1min,P
2max,P
2minの両肩部分(裾の部分)の二点鎖線で示すような微小な立ち上がりを、2つの間欠輪重信号W
P1,W
P2を合成することによって除去し平滑化する。
【0044】
図2に示す角速度演算部13は、角速度検出装置5が出力する角速度信号W
ωに基づいて車両の角速度を演算する手段である。角速度演算部13は、演算後の車両の角速度を角速度データとして制御部23に出力する。
【0045】
図2に示す走行距離演算部14は、車両の走行距離を演算する手段である。走行距離演算部14は、例えば、
図4(B)に示す車輪W
1の円周が略一定であり、かつ、
図6(C)に示すゼロクロス点t
01,t
02,…間の時間と車輪W
1が1/4回転する時間とが同一であることから、車輪W
1の円周の1/4の長さをゼロクロス点t
01,t
02,…の数で乗算して車両の走行距離を演算する。走行距離演算部14は、演算後の車両の走行距離を走行距離データとして制御部23に出力する。
【0046】
図2及び
図3に示す間欠輪重測定部15は、間欠輪重値P
1,P
2を測定する手段である。間欠輪重測定部15は、例えば、
図6(A)(B)に示すように、間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形のピーク値P
1max,P
1min,P
2max,P
2minを間欠輪重値P
1,P
2として特定する。間欠輪重測定部15は、間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて間欠輪重値P
1,P
2を測定し、この測定結果を間欠輪重値データとして制御部23に出力する。
【0047】
図2及び
図3に示す間欠横圧信号補正部16は、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の間欠横圧値Q
1,Q
2の移動平均値に基づいて、この間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の間欠横圧値Q
1,Q
2を補正する手段である。間欠横圧信号補正部16は、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の移動平均値に基づいてこれらの間欠横圧信号W
Q1,W
Q2をオフセット補正する。ここで、
図7に示すグラフは、縦軸が横圧Qであり、横軸が時間tである。なお、
図7では、発明の理解を容易にするために、二つの間欠横圧信号W
Q1,W
Q2のうち一方の間欠横圧信号W
Q1のみを表しており、他方の間欠横圧信号W
Q2については図示を省略している。以下では、間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を補正する場合を例に挙げて説明する。
【0048】
間欠横圧信号補正部16は、例えば、間欠横圧検出部Q1+,Q1-の歪みゲージの温度変動などによって、
図7(A)に示すように間欠横圧信号W
Q1がオフセット量Q
offsetを含むときには、現在から所定時間前(例えば10秒程度)までのこの間欠横圧信号W
Q1のうち、車輪W
1の整数回転分に相当する離散的なサンプリング値(間欠横圧データ)を移動平均化してオフセット量Q
offsetを同定する。間欠横圧信号補正部16は、
図7(A)に示す間欠横圧信号W
Q1からオフセット量Q
offsetを減算してオフセット補正し、
図7(B)に示すように補正後の間欠横圧信号W
Q1を生成する。間欠横圧信号補正部16は、補正後の間欠横圧信号W
Q1,W
Q2を間欠横圧データとして制御部23に出力する。
【0049】
図2及び
図3に示す間欠横圧測定部17は、間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が出力する間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、補正後の間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の間欠横圧値Q
1,Q
2を測定する手段である。間欠横圧測定部17は、間欠輪重信号補正部11による補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、間欠横圧信号補正部16による補正後の間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の間欠横圧値Q
1,Q
2を測定する。ここで、
図8に示すグラフは、縦軸が輪重P及び横圧Qであり、横軸が時間tである。なお、
図8では、発明の理解を容易にするために、二つの間欠横圧信号W
Q1,W
Q2のうち一方の間欠横圧信号W
Q1と輪重合成信号W
Pとを重ねて表しており、他方の間欠横圧信号W
Q2については図示を省略している。以下では、間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を測定する場合を例に挙げて説明する。
【0050】
間欠横圧測定部17は、
図8に示すように、
図4(B)に示す間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-が出力する間欠横圧信号W
Q1と、
図2及び
図3に示す輪重合成信号生成部12が出力する輪重合成信号W
Pとに基づいて、間欠横圧値Q
1を測定する。間欠横圧測定部17は、
図8に示すように、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…と間欠横圧信号W
Q1とに基づいて横圧Qを測定する。間欠横圧測定部17は、
図6に示す間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形のピーク値P
1max,P
1min,P
2max,P
2minと同一時刻に、
図8に示す間欠横圧検出部Q1+,Q1-が出力する間欠横圧信号W
Q1のピーク値Q
1max,Q
1minを間欠横圧値Q
1として特定する。間欠横圧測定部17は、例えば、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02間及びゼロクロス点t
05,t
06間で間欠横圧検出部Q1+,Q1-が出力する間欠横圧信号W
Q1のピーク値Q
1maxに基づいて横圧Qを測定する。また、間欠横圧測定部17は、例えば、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
03,t
04間で間欠横圧検出部Q1+,Q1-が出力する間欠横圧信号W
Q1のピーク値Q
1minに基づいて横圧Qを測定する。間欠横圧測定部17は、
図4(B)に示す輪重Pの検出位置の±45°の範囲であって、
図8に示すような輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…間における間欠横圧信号W
Q1の波形のピーク値Q
1max,Q
1minを間欠横圧値Q
1として特定する。間欠横圧測定部17は、間欠横圧信号補正部16による補正後の間欠横圧信号W
Q1と、間欠輪重信号補正部11による補正後の輪重合成信号W
Pとに基づいて、間欠横圧値Q
1を測定しこの測定結果を間欠横圧値データとして制御部23に出力する。
【0051】
図2及び
図3に示す連続横圧信号補正部18は、間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-が出力する間欠横圧信号W
Q1,W
Q2に基づいて、連続横圧検出部Q1〜Q8が出力する連続横圧信号W
QCを補正する手段である。連続横圧信号補正部18は、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の波形と連続横圧信号W
QCの波形とが同一点を通過することを基本原理としており、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の波形を利用して連続横圧信号W
QCの波形をゼロ点補正する。連続横圧信号補正部18は、間欠横圧信号補正部16による補正後の間欠横圧信号W
Q1に基づいて、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する。連続横圧信号補正部18は、間欠横圧信号W
Q1又は間欠横圧信号W
Q2のうちのいずれか一方又は双方の信号に基づいて、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する。連続横圧信号補正部18は、例えば、間欠横圧信号W
Q1又は間欠横圧信号W
Q2の一方に基づいて連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正するときには、車輪W
1が1/2回転する毎にこの連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する。一方、連続横圧信号補正部18は、間欠横圧信号W
Q1及び間欠横圧信号W
Q2の双方に基づいて連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正するときには、車輪W
1が1/4回転する毎にこの連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する。以下では、
図9に示すように、一方の間欠横圧信号W
Q1のみに基づいて連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する場合を例に挙げて説明する。ここで、
図9に示すグラフは、縦軸が横圧Qであり、横軸が時間tである。
図9に示す実線は補正後の間欠横圧信号W
Q1及び補正後の連続横圧信号W
QCの波形を示し、二点鎖線は補正前の連続横圧信号W
QCの波形を示す。また、
図9に示す●は、補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠輪重値Q
1、及び補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを示し、○は補正前の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを示す。
【0052】
連続横圧信号補正部18は、間欠横圧信号補正部16による補正後の間欠横圧信号W
Q1と、連続横圧検出部Q1〜Q8が出力する補正前の連続横圧信号W
QCとの差分ΔQ
N,…の移動平均に基づいて、この連続横圧信号W
QCをドリフト補正する。連続横圧信号補正部18は、
図9に示すように、時刻t
N,…における間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と、時刻t
N,…における連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cの差分ΔQ
N,…の移動平均値に基づいて、この連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する。連続横圧信号補正部18は、例えば、連続横圧検出部Q1〜Q8の歪みゲージの温度変動などによって、
図9に示すように連続横圧信号W
QCがドリフト量ΔQ
N(=Q
drift)を含むときには、現在の時刻t
Nから過去の時刻t
N-9までの10波分(車輪W
1の2.5回転分)の間欠横圧信号W
Q1の離散的なサンプリング値(間欠輪重データ)と連続横圧信号W
QCのサンプリング値(連続横圧データ)との差分ΔQ
N,…,ΔQ
N-9を移動平均化してドリフト量Q
driftを同定する。
【0053】
連続横圧信号補正部18は、間欠横圧信号W
Q1と連続横圧信号W
QCとの差分ΔQ
N,…の移動平均を演算するときに、
図9に示すようにこの間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を必要に応じて変換する。連続横圧信号補正部18は、
図5(B)に示す補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号と、
図7(B)に示す補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号とに基づいて、
図9に示すようにこの補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を変換する。連続横圧信号補正部18は、間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号と間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号とが同符号であるときには、この間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を正に変換する。連続横圧信号補正部18は、例えば、
図9に示す時刻t
N-1,t
N-3,t
N-5,t
N-7,t
N-9における間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号が負であり、同一時刻における間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号も負であるときには、これらの時刻t
N-1,t
N-3,t
N-5,t
N-7,t
N-9における間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を負から正に変換する。一方、連続横圧信号補正部18は、間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号と間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号とが異符号であるときには、この補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を負に変換する。連続横圧信号補正部18は、例えば、
図9に示す時刻t
N,t
N-2,t
N-4,t
N-6,t
N-7,t
N-10における間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号が正であり、同一時刻における間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号も正であるときには、これらの時刻t
N,t
N-2,t
N-4,t
N-6,t
N-7,t
N-10における間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を正から負に変換せずに正のままに維持する。連続横圧信号補正部18は、
図9に二点鎖線で示す連続横圧信号W
QCにドリフト量ΔQ
driftを加算してドリフト補正し、実線で示す補正後の連続横圧信号W
QCを生成する。連続横圧信号補正部18は、補正後の連続横圧信号W
QCを連続横圧検出データとして制御部23に出力する。
【0054】
図2及び
図3に示す連続横圧測定部19は、間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が出力する間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを測定する手段である。連続横圧測定部19は、間欠輪重信号補正部11による補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、連続横圧信号補正部18による補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを測定する。ここで、
図10に示すグラフは、縦軸が輪重P及び横圧Qであり、横軸が時間tである。
図10では、輪重合成信号W
Pと連続横圧信号W
QCとを重ねて表している。
【0055】
連続横圧測定部19は、
図4(B)に示す連続横圧検出部Q1〜Q8が出力する連続横圧信号W
QCと、
図2及び
図3に示す輪重合成信号生成部12が出力する輪重合成信号W
Pとに基づいて、連続横圧値Q
Cを測定する。連続横圧測定部19は、
図10に示すように、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…と連続横圧信号W
QCとに基づいて連続横圧値Q
Cを測定する。連続横圧測定部19は、例えば、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02間で連続横圧検出部Q1〜Q8が出力する連続横圧信号W
QCのピーク値Q
Cmaxに基づいて連続横圧値Q
Cを測定する。また、連続横圧測定部19は、例えば、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
04,t
05間で横圧検出部Q1〜Q8が出力する連続横圧信号W
QCのピーク値Q
Cminに基づいて連続横圧値Q
Cを測定する。連続横圧測定部19は、
図4(B)に示す輪重Pの検出位置の±45°の範囲であって、
図10に示すような輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…間における連続横圧信号W
QCの波形のピーク値Q
Cmax,Q
Cminを連続横圧値Q
Cとして特定する。連続横圧測定部19は、連続横圧信号補正部18による補正後の連続横圧信号W
QCと輪重合成信号W
Pとに基づいて連続横圧値Q
Cを測定し、この測定結果を連続横圧値データとして制御部23に出力する。
【0056】
図11に示すデータ記憶部20は、種々のデータを記憶する手段である。データ記憶部20は、
図11に示すように、間欠輪重データ記憶部20aと、間欠横圧データ記憶部20bと、連続横圧データ記憶部20cと、角速度データ記憶部20dと、輪重合成データ記憶部20eと、走行距離データ記憶部20fと、PQデータ記憶部20gなどを備えている。データ記憶部20は、間欠輪重データ、間欠横圧データ、連続横圧データ、輪重合成データ、角速度データ、走行距離データ、間欠輪重値データ、間欠横圧値データ、連続横圧値データなどを各記憶部にそれぞれ記憶するメモリである。
【0057】
図11に示す間欠輪重データ記憶部20aは、補正前後の間欠輪重データを記憶し、左右の車輪W
1にそれぞれ対応する補正前後の間欠輪重データを時系列順に記憶する。間欠横圧データ記憶部20bは、補正前後の間欠横圧データを記憶し、左右の車輪W
1にそれぞれ対応する補正前後の間欠横圧データを時系列順に記憶する。連続横圧データ記憶部20cは、補正前後の連続横圧データを記憶し、左右の車輪W
1にそれぞれ対応する補正前後の連続横圧データを時系列順に記憶する。角速度データ記憶部20dは、角速度演算部13が演算した角速度データを記憶し、この角速度データを時系列順に記憶する。輪重合成データ記憶部20eは、輪重合成信号生成部12が生成した輪重合成データを記憶し、左右の車輪W
1にそれぞれ対応する輪重合成データを時系列順に記憶する。走行距離データ記憶部20fは、走行距離演算部14が演算した走行距離データを記憶する。
【0058】
図11に示すPQデータ記憶部20gは、間欠輪重測定部15が測定した間欠輪重値データ、間欠横圧測定部17が測定した間欠横圧値データ、及び連続横圧測定部19が測定した連続横圧値データを記憶する。PQデータ記憶部20gは、左右の車輪W
1にそれぞれ対応する間欠輪重値データ、間欠横圧値データ及び連続横圧値データなどをPQデータとして時系列順に記憶する。PQデータ記憶部20gは、車両が走行する線路Rの線形に関する線路図情報と照合可能なように、走行距離データと対応させて間欠輪重値データ、間欠横圧値データ及び連続横圧値データを記憶する。
【0059】
図2に示すプログラム記憶部21は、輪重P及び/又は横圧Qを測定処理するためのPQ測定処理プログラムを記憶する手段である。プログラム記憶部21は、情報記録媒体から読み取ったPQ測定処理プログラム、又は電気通信回線を通じて取り込まれたPQ測定処理プログラムなどを記憶するメモリである。
【0060】
図2に示すデータ出力部22は、種々のデータを出力する手段である。データ出力部22は、例えば、データ記憶部20が記憶する種々のデータを
図1に示す外部記憶装置27、印刷装置28及び表示装置29などに出力する。
【0061】
図2に示す制御部23は、PQ測定処理装置9の種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部23は、プログラム記憶部21からPQ測定処理プログラムを読み出してPQ測定処理装置9のコンピュータに所定の処理を指令し実行させる。制御部23は、例えば、間欠輪重信号W
P1,W
P2の補正を間欠輪重信号補正部11に指令したり、輪重合成信号W
Pの生成を輪重合成信号生成部12に指令したり、角速度演算部13に角速度の演算を指令したり、走行距離演算部14に走行距離の演算を指令したり、間欠輪重測定部15に間欠輪重値P
1,P
2の測定を指令したり、間欠輪重信号W
P1,W
P2の補正を間欠輪重信号補正部11に指令したり、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の補正を間欠横圧信号補正部16に指令したり、間欠横圧測定部17に間欠横圧値Q
1,Q
2の測定を指令したり、連続横圧信号W
QCの補正を連続横圧信号補正部18に指令したり、連続横圧測定部19に連続横圧値Q
Cの測定を指令したり、データ記憶部20から種々のデータを読み出したり、これらのデータの出力をデータ出力部22に指令したりする。制御部23は、
図6に示すような補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形、輪重合成信号W
Pの波形、
図7に示すような補正後の間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の波形、
図9に示すような補正後の連続横圧信号W
QCの波形などを、
図1に示す表示装置29に表示するための画像データを生成し、この画像データを表示装置29に出力する。制御部23は、例えば、
図2に示すデータ入力部10から入力する間欠輪重データ、間欠横圧データ及び連続横圧検出データ、間欠輪重信号補正部11が補正した補正後の間欠輪重データ、輪重合成信号生成部12が生成した輪重合成データ、走行距離演算部14が演算した走行距離データ、間欠輪重測定部15が測定した間欠輪重データ、間欠横圧信号補正部16が補正した補正後の間欠横圧データ、間欠横圧測定部17が測定した間欠横圧データ、連続横圧信号補正部18が補正した補正後の連続横圧データ及び連続横圧測定部19が測定した連続横圧データなどの記憶をデータ記憶部20に指令する。
【0062】
図2に示す通信部24は、種々のデータを伝達するための手段である。通信部24は、データ入力部10、間欠輪重信号補正部11、輪重合成信号生成部12、角速度演算部13、走行距離演算部14、間欠輪重測定部15、間欠横圧信号補正部16、間欠横圧測定部17、連続横圧信号補正部18、連続横圧測定部19、データ記憶部20、プログラム記憶部21、データ出力部22及び制御部23などを相互に通信可能なように接続するバスである。
【0063】
図1に示す入力装置25は、PQ測定処理装置9に種々の情報を入力するための装置である。入力装置25は、例えば、PQ測定処理装置9のデータ記憶部20などに情報を入力するためのキーボードなどである。補助入力装置26は、PQ測定処理装置9に種々の情報を補助的に入力するための装置である。補助入力装置26は、例えば、PQ測定処理装置9の動作を選択するときに操作されるマウスなどである。外部記憶装置27は、PQ測定処理装置9のデータ記憶部20が記憶する種々のデータを記憶する装置である。外部記憶装置27は、例えば、走行安全性試験終了後にデータ記憶部20が記憶する種々のデータを長期的に保存するためのハードディスクなどである。印刷装置28は、PQ測定処理装置9のデータ記憶部20が記憶する種々のデータを印刷する装置である。
【0064】
図1に示す表示装置29は、PQ測定処理装置9のデータ記憶部20が記憶する種々の情報を表示する装置である。表示装置29は、例えば、
図12に示すように、左右の車輪W
1に対応する間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形とこの波形のピーク値P
1max,P
1min,P
2max,P
2min、左右の車輪W
1に対応する連続横圧信号W
QCの波形とこの波形のピーク値Q
Cmax,Q
Cmin、及び軸箱加速度信号の波形などを走行距離(キロ程)と対応して画面左上欄と画面左下欄とにそれぞれ表示する。
図12に示す軸箱加速度信号の波形は、
図4(A)に示す車軸W
2の端部を回転自在に保持する軸箱の振動を検出する加速度センサなどの振動検出装置が出力する加速度検出信号の波形である。なお、
図12に示す波形モニタ画面は、実際に営業線を車両が走行したときに測定したPQデータである。
【0065】
次に、この発明の実施形態に係るPQ測定処理装置の動作を説明する。
以下では、
図2に示すPQ測定処理装置9の制御部23の動作を中心として説明する。
ステップ(以下、Sという)100において、間欠輪重信号W
P1,W
P2の補正を間欠輪重信号補正部11に制御部23が指令する。図示しない電源スイッチがON操作されると、プログラム記憶部21からPQ測定処理プログラムを制御部23が読み出して、一連のPQ測定処理プログラムを実行し、制御部23が自動解析を開始する。先ず、制御部23が間欠輪重信号W
P1,W
P2などの全振幅値が予め設定されたしきい値を超えたか否かを制御部23が判断し、全振幅値がしきい値を超えたときには車両が走行中であると判定し、全振幅値がしきい値以下であるときには車両が停止していると判定する。次に、車両が走行を開始すると
図2に示すデータ入力部10から制御部23に間欠輪重データ、間欠横圧データ、連続横圧データ及び角速度データが入力し、データ記憶部20にこれらのデータを制御部23が記憶させる。次に、データ記憶部20の間欠輪重データ記憶部20aから間欠輪重データを制御部23が読み出してこの間欠輪重データを間欠輪重信号補正部11に出力すると、現在から所定時間前(例えば10秒程度)までの離散的な間欠輪重データを間欠輪重信号補正部11が移動平均化して、
図5(A)に示すようなオフセット量P
offsetを同定する。次に、
図5(B)に示すように現在から所定時間前(例えば10秒程度)までの離散的な間欠輪重データからオフセット量P
offsetを間欠輪重信号補正部11が減算して、オフセット補正後の間欠輪重データを制御部23に出力し、このオフセット補正後の間欠輪重データをデータ記憶部20の間欠輪重データ記憶部20aに制御部23が記憶させる。
【0066】
S110において、輪重合成信号W
Pの生成を輪重合成信号生成部12に制御部23が指令する。オフセット補正後の間欠輪重データをデータ記憶部20の間欠輪重データ記憶部20aから制御部23が読み出して輪重合成信号生成部12に出力すると、
図6(A)(B)に示すような2つの間欠輪重信号W
P1,W
P2を輪重合成信号生成部12が合成して、
図6(C)に示すような1つの輪重合成信号W
Pを生成する。生成後の輪重合成データを輪重合成信号生成部12が制御部23に出力すると、データ記憶部20の輪重合成データ記憶部20eにこの輪重合成データを制御部23が記憶させる。
【0067】
S120において、間欠輪重値P
1,P
2の測定を間欠輪重測定部15に制御部23が指令する。データ記憶部20の間欠輪重データ記憶部20aからオフセット補正後の間欠輪重データを制御部23が読み出して、この間欠輪重データを間欠輪重測定部15に出力する。その結果、
図6(A)(B)に示すような間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形のピーク値P
1max,P
1min,P
2max,P
2minを間欠輪重値P
1,P
2として間欠輪重測定部15が特定する。間欠輪重値P
1,P
2に関する間欠輪重値データを間欠輪重測定部15が制御部23に出力すると、この間欠輪重データをデータ記憶部20に制御部23が出力し、データ記憶部20のPQデータ記憶部20gにこの間欠輪重データが記憶される。
【0068】
S130において、間欠横圧信号W
Q1,W
Q2の補正を間欠横圧信号補正部16に制御部23が指令する。データ記憶部20の間欠横圧データ記憶部20bから間欠横圧データを制御部23が読み出してこの間欠横圧データを間欠横圧信号補正部16に出力すると、現在から所定時間前(例えば10秒程度)までの離散的な間欠横圧データを間欠横圧信号補正部16が移動平均化して、
図7(A)に示すようなオフセット量Q
offsetを同定する。次に、
図7(B)に示すように現在から所定時間前(例えば10秒程度)までの離散的な間欠横圧データからオフセット量Q
offsetを間欠横圧信号補正部16が減算して、オフセット補正後の間欠横圧データを制御部23に出力し、このオフセット補正後の間欠横圧データをデータ記憶部20の間欠横圧データ記憶部20bに制御部23が記憶させる。
【0069】
S140において、間欠横圧値Q
1,Q
2の測定を間欠横圧測定部17に制御部23が指令する。データ記憶部20の間欠横圧データ記憶部20bからオフセット補正後の間欠横圧データを制御部23が読み出して、この間欠横圧データを間欠横圧測定部17に出力する。また、データ記憶部20の輪重合成データ記憶部20eから輪重合成データを制御部23が読み出してこの輪重合成データを間欠横圧測定部17に出力する。その結果、例えば、
図8に示すような輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…間の間欠横圧信号W
Q1のピーク値Q
1max,Q
1minを間欠横圧値Q
1として間欠横圧測定部17が特定する。輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…間の間欠横圧信号W
Q2のピーク値Q
2max,Q
2minについても間欠横圧測定部17が同様に特定し、間欠横圧値Q
2を間欠横圧測定部17が特定する。間欠横圧値Q
1,Q
2に関する間欠横圧値データを間欠横圧測定部17が制御部23に出力すると、この間欠横圧データをデータ記憶部20に制御部23が出力し、データ記憶部20のPQデータ記憶部20gにこの間欠横圧データが記憶される。
【0070】
S150において、車両の角速度の演算を角速度演算部13に制御部23が指令する。その結果、角速度検出装置5が出力する角速度信号に基づいて、角速度演算部13が車両の角速度を演算する。演算後の角速度データを角速度演算部13が制御部23に出力すると、データ記憶部20の角速度データ記憶部20dにこの角速度データを制御部23が記憶させる。
【0071】
S160において、車両の走行距離の演算を走行距離演算部14に制御部23が指令する。データ記憶部20の輪重合成データ記憶部20eから輪重合成データを制御部23が読み出してこの輪重合成データを走行距離演算部14に出力すると、
図6(C)に示す輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…の数を車輪W
1の円周の1/4の長さで乗算して車両の走行距離を演算する。走行距離演算部14は、演算後の車両の走行距離データを制御部23に出力すると、データ記憶部20の走行距離データ記憶部20fにこの走行距離データを制御部23が記憶させる。
【0072】
S170において、車両が曲線に進入したか否かを制御部23が判断する。角速度演算部13の演算結果に基づいて車両が曲線に進入したか否かを制御部23が判断する。例えば、角速度演算部13が演算した角速度データが所定値を超えると制御部23が判断したときには、車両が曲線に進入したと判断してS180に進む。一方、角速度演算部13が演算した角速度データが所定値を下回ると制御部23が判断したときには、車両が直線を走行していると判断してS190に進む。
【0073】
S180において、連続横圧信号W
QCの補正を連続横圧信号補正部18に制御部23が指令する。データ記憶部20の連続横圧データ記憶部20cから連続横圧データを制御部23が読み出してこの連続横圧データを連続横圧信号補正部18に出力する。その結果、
図9に示すような現在の時刻t
Nから過去の時刻t
N-9までの10波分(車輪W
1の2.5回転分)の連続横圧信号W
QCの離散的な連続横圧データを連続横圧信号補正部18が移動平均化して、
図9に示すようなドリフト量Q
driftを同定する。先ず、
図9に示す時刻t
N,…,t
N-9において、
図6(A)(B)に示す間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号と、
図9に示す間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号とが同符号であるときには、この間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を連続横圧信号補正部18が正に変換する。一方、
図9に示す時刻t
N,…,t
N-9において、
図6(A)(B)に示す間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号と、
図9に示す間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号とが異符号であるときには、この間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号を連続横圧信号補正部18が負に変換する。例えば、
図9に示す時刻t
N-1,t
N-3,t
N-5,t
N-7,t
N-9では、
図5に示す間欠輪重信号W
P1,W
P2の波形の符号と、
図9に示す間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の符号とが同符号であるため、これらの時刻t
N-1,t
N-3,t
N-5,t
N-7,t
N-9における間欠横圧値Q
1の符号が負から正に変換される。
【0074】
間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1が正規の値を示す2つの間欠横圧計測点に対応する時刻t
N,…では、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cも正規の値を示し、間欠横圧値Q
1と連続横圧値Q
Cとが本来一致する。しかし、
図9に示すように、車両が曲線区間を通過しているときに、連続横圧信号W
QCのゼロ点が移動するドリフト現象が発生する。この場合には、
図9に実線で示す本来の間欠横圧信号W
Q1の波形の正規の間欠横圧値Q
1である●で示す測定ポイントではなく、この測定ポイントからずれた○で示す測定ポイントを図中二点鎖線で示す連続横圧信号W
QCの波形が通過する。
【0075】
例えば、衝撃的な横圧Qが車輪W
1に作用していない場合には、
図9に示すように間欠横圧信号W
Q1が急激に変化しない。このような場合には、
図9に示す時刻t
N,…における補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と、時刻t
N,…における補正前の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとの差分ΔQ
N,…も大きく変動せず略一定で推移する。このため、
図9に示す時刻t
N,…,t
N-9における差分ΔQ
N,…,ΔQ
N-9の移動平均値を連続横圧信号補正部18が演算し、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧信号補正部18が補正する。その結果、
図9に示す時刻t
Nにおける補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と、時刻t
Nにおける補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとが略一致し、現在の時刻t
Nにおける補正後の間欠横圧信号W
Q1の測定ポイントを、補正後の連続横圧信号W
QCの波形が通過することになる。
【0076】
一方、
図14及び
図15に示すように、衝撃的な横圧Qが車輪W
1に作用する場合には、図中実線で示す間欠横圧信号W
Q1と図中一点鎖線で示す連続横圧信号W
QCとが急激に変化することがある。ここで、
図14及び
図15に示すグラフは、縦軸が横圧Qであり、横軸が時間tである。
図14及び
図15に示す●は、間欠横圧信号W
Q1の急激な変化を考慮した場合の連続横圧信号補正部18による補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを示す。◎は、間欠横圧信号W
Q1の急激な変化を考慮しなかった場合の間欠横圧信号補正部16による補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1、及び連続横圧信号補正部18による補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを示す。○は、連続横圧信号補正部18による補正前の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを示す。
【0077】
例えば、車両が分岐器(ポイント)を通過するような場合には、衝撃的な横圧Qが車輪W
1に瞬間的に作用して、
図14及び
図15に実線で示す間欠横圧信号W
Q1が急激に変化することがある。この場合に、現在から所定時間前までの間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとの差分ΔQ
N,…の移動平均値を演算せずに、この差分ΔQ
N,…の単純平均値を演算することによって、ドリフト量Q
driftを同定することも考えられる。しかし、現在から所定時間前までの間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとの差分ΔQ
N,…の単純平均値によってドリフト量Q
driftを同定すると、
図14及び
図15に破線で示すように補正後の連続横圧信号W
QCが急激に変化して、◎で示すように補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cが大きく補正されてしまう。このような衝撃的な横圧Qが車輪W
1に作用する場合であっても、時刻t
N,…,t
N-9の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとの差分ΔQ
N,…の移動平均値を連続横圧信号補正部18が演算する。その結果、
図14及び
図15に●で示すように、補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cが最適に補正されて、実線で示すように補正後の連続横圧信号W
QCの波形の急激な変化が抑制される。
図9及び
図14に示すように現在の時刻t
Nから過去の時刻t
N-9までの10波分(車輪W
1の2.5回転分)の離散的な連続横圧データからドリフト量Q
driftを連続横圧信号補正部18が減算して、ドリフト補正後の連続横圧データを制御部23に出力し、このドリフト補正後の連続横圧データをデータ記憶部20の連続横圧データ記憶部20cに制御部23が記憶させる。
【0078】
図16に示す縦軸は、輪重P及び横圧Qであり、横軸は走行距離(キロ程)である。
図16に示すように、走行距離D
1付近において車両が分岐器に進入したために間欠横圧信号W
Q1の負側の波形がやや崩れており、間欠横圧信号W
Q1が急激に変化している。このため、走行距離D
1付近において連続横圧信号W
QCが連続横圧信号補正部18によって補正されており、連続横圧信号W
QCが僅かに上に立ち上がっている。また、走行距離D
2において、間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとが一致している。走行距離D
2において、間欠輪重信号W
P1がピーク値P
1maxとなるタイミングと一致する間欠横圧信号W
Q1の測定ポイントを、連続横圧信号W
QCの波形が通過するように、この連続横圧信号W
QCが連続横圧信号補正部18によって補正されている。
【0079】
S190において、連続横圧値Q
Cの測定を連続横圧測定部19に制御部23が指令する。データ記憶部20の連続横圧データ記憶部20cからドリフト補正後の連続横圧データを制御部23が読み出して、この連続横圧データを連続横圧測定部19に出力する。また、データ記憶部20の輪重合成データ記憶部20eから輪重合成データを制御部23が読み出してこの輪重合成データを連続横圧測定部19に出力する。
図4(B)に示すように、間欠輪重値P
1,P
2の検出位置と連続横圧値Q
Cの検出位置とが一致せず、横圧Qが連続的に出力される場合であっても、
図8に示すように連続横圧値Q
Cの検出対象範囲位相(間欠輪重計測点の±45°)が輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…によって容易に特定される。その結果、例えば、
図8に示すような連続横圧信号W
QCの波形のピーク値Q
Cmax,Q
Cminを連続横圧値Q
Cとして連続横圧測定部19が特定する。連続横圧値Q
Cに関する連続横圧値データを連続横圧測定部19が制御部23に出力すると、この連続横圧データをデータ記憶部20に制御部23が出力し、データ記憶部20のPQデータ記憶部20gにこの連続横圧データが記憶される。
【0080】
S200において、測定処理を継続するか否かを制御部23が判断する。例えば、
図1に示す入力装置25又は補助入力装置26が操作されて、測定処理の終了が選択されたと制御部23が判断したときには、一連のPQ測定処理を終了し、測定処理の終了が選択されていないと制御部23が判断したときには、S170に戻り測定処理を継続する。
【0081】
この発明の実施形態に係るPQ測定処理装置及びPQ測定処理プログラムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、横圧Qを間欠的に検出する間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-が出力する間欠横圧信号W
Q1,W
Q2に基づいて、横圧Qを連続的に検出する連続横圧検出部Q1〜Q8が出力する連続横圧信号W
QCを連続横圧信号補正部18が補正する。このため、鉄道車両の走行安全性及び速度向上を目的とする試験において使用される連続横圧信号W
QCによる波形を、車両の走行中や曲線通過中であっても自動的に補正することができる。その結果、高度に訓練された測定員が必要な従来の輪重・横圧測定処理システムに比べて、連続横圧信号W
QCを簡単な信号処理によって自動的に補正して連続横圧値Q
Cを高精度に測定することができる。また、簡易な測定を実現することによって測定員の負担の軽減を図ることができるとともに、コストを大幅に削減することができる。
【0082】
(2) この実施形態では、時刻t
Nにおける間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1に、この時刻t
Nにおける連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cが一致するように、この連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧信号補正部18が補正する。
図4(B)に示すように、間欠輪重値P
1,P
2の検出位置である4つの間欠輪重計測点以外の検出位置では間欠横圧値Q
1,Q
2が正規の値を示さないが、これら4つの間欠輪重計測点では間欠横圧信号W
Q1,W
Q2が正規の間欠横圧値Q
1,Q
2を示し、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cがこの間欠横圧値Q
1,Q
2と原理的に一致する。このため、間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の検出タイミングと同じタイミングにおける連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cが同じ値になるという原理を利用して、この連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを高精度に補正することができる。
【0083】
(3) この実施形態では、時刻t
N,…,t
N-9における間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1と、この時刻t
N,…,t
N-9における連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cとの差分ΔQ
N,…,ΔQ
N-9の移動平均値に基づいて、この連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧信号補正部18が補正する。このため、間欠横圧信号W
Q1が急激に変化するような場合に、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cが大きく補正されてしまうのを抑制することができる。
【0084】
(4) この実施形態では、間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1の移動平均値に基づいて、この間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を間欠横圧信号補正部16が補正し、補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1に基づいて、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧信号補正部18が補正する。このため、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正するときに基準となる間欠横圧信号W
Q1を正確に演算することができる。その結果、補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を基準として、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを正確に補正することができる。
【0085】
(5) この実施形態では、輪重Pを間欠的に検出する間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が出力する間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を間欠横圧測定部17が測定する。
図4(B)に示すように、間欠輪重値P
1,P
2の検出位置である4つの間欠輪重計測点では正規の間欠横圧値Q
1,Q
2を示し、間欠輪重値P
1,P
2の検出位置と間欠横圧値Q
1,Q
2の検出位置とが同じである。このため、間欠輪重信号W
P1の正規の間欠輪重値P
1,P
2の検出タイミングと同じタイミングで間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を特定することができる。例えば、輪重Pの検出位置の左右±45°に相当するゼロクロス点t
01,t
02,…間のピーク値(最大値)Q
1max,Q
1minを間欠横圧値Q
1として効率的に精度よく特定することができる。その結果、間欠輪重信号W
P1,W
P2を基準として補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を正確に特定し、この補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を基準として連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを高精度に補正することができる。
【0086】
(6) この実施形態では、間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2の移動平均値に基づいて、この間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2を間欠輪重信号補正部11が補正し、補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、補正後の間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を間欠横圧測定部17が測定する。このため、レールR
1の継目を通過するときに発生する衝撃的な間欠輪重値P
1,P
2や、車輪W
1がレールR
1から浮き上がったときに発生する異常な間欠輪重値P
1,P
2などによる影響を低減することができる。その結果、補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2を基準として、間欠横圧信号W
Q1の間欠横圧値Q
1を正確に測定することができる。
【0087】
(7) この実施形態では、輪重Pを間欠的に検出する間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-が出力する間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧測定部19が測定する。このため、間欠輪重信号W
P1の正規の間欠輪重値P
1,P
2の検出タイミングと同じタイミングで、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを特定することができる。例えば、輪重Pの検出位置の左右±45°に相当するゼロクロス点t
01,t
02,…の間のピーク値(最大値)Q
Cmax,Q
Cminを連続横圧値Q
Cとして効率的に精度よく特定することができる。
【0088】
(8) この実施形態では、間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2の移動平均値に基づいて、この間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2を間欠輪重信号補正部11が補正し、補正後の前記間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて、補正後の連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧測定部19が測定する。このため、補正後の間欠輪重信号W
P1,W
P2の間欠輪重値P
1,P
2を基準として、連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを正確に測定することができる。
【0089】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、4個の間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-によって間欠輪重値P
1,P
2を検出する場合を例に挙げて説明したが、設置個数を4個に限定するものではない。例えば、間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-,…が車輪W
1の周方向に2
n+1(nは整数)個配置されており、これらの間欠輪重検出部P1+,P1-,P2+,P2-,…が出力する位相の異なる2
n+1/2個の間欠輪重信号W
P1,W
P2,…を合成して1つの輪重合成信号W
Pを生成することもできる。また、この実施形態では、4個の間欠横圧検出部Q1+,Q1-,Q2+,Q2-によって間欠横圧値Q
1,Q
2を検出する場合を例に挙げて説明したが、設置個数を4個に限定するものではない。同様に、この実施形態では、8個の連続横圧検出部Q1〜Q8によって連続横圧値Q
Cを検出する場合を例に挙げて説明したが設置個数を8個に限定するものではない。さらに、この実施形態では、輪重P及び横圧Qを測定する場合を例に挙げて説明したが、輪重P又は横圧Qのいずれか一方のみを測定することもできる。
【0090】
(2) この実施形態では、現在から10秒程度前までの間欠輪重信号W
P1のサンプリング値を移動平均化してオフセット量P
offsetを同定する場合を例に挙げて説明したが、サンプリング数を過去10秒間に限定するものではない。同様に、この実施形態では、現在から10秒程度前までの間欠横圧信号W
Q1のサンプリング値を移動平均化してオフセット量Q
offsetを同定する場合を例に挙げて説明したが、サンプリング数を過去10秒間に限定するものではない。また、この実施形態では、現在から過去までの10波分(車輪W
1の2.5回転分)の連続横圧信号W
QCのサンプリング値を移動平均化してドリフト量Q
driftを同定する場合を例に挙げて説明したが、サンプリング数を10波分に限定するものではない。
【0091】
(3) この実施形態では、間欠横圧信号W
Q1のみに基づいて連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する場合を例に挙げて説明したが、このような補正方法に限定するものではない。例えば、間欠横圧信号W
Q2のみに基づいて連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正したり、間欠横圧信号W
Q1及び間欠横圧信号W
Q2の双方に基づいて連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正したりすることもできる。また、この実施形態では、車輪W
1が1/4回転する毎に連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正する場合を例に挙げて説明したが、車輪W
1が1/2回転する毎に連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを補正することもできる。
【0092】
(4) この実施形態では、車両が曲線区間に進入したときに連続横圧信号補正部18によって連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cをドリフト補正する場合を例に挙げて説明したが、車両の曲線区間の通過中における連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cの補正に限定するものではない。例えば、車両が曲線区間を走行する場合に限らず、車両が直線区間を走行中に連続横圧信号W
QCの連続横圧値Q
Cを連続横圧信号補正部18によってオフセット補正することもできる。また、この実施形態では、間欠輪重信号W
P1,W
P2に基づいて輪重タイミングを判別しているが、ロータリエンコーダなどが出力する回転系信号と併用して輪重タイミングを判別することもできる。
【0093】
(5) この実施形態では、輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…に基づいて車両の走行距離を演算することができるが、車両の台車の軸箱の振動を検出する加速度センサなどの振動検出部が出力する振動検出信号に基づいて車両の走行距離を測定することもできる。また、この実施形態では、
図8に示すような輪重合成信号W
Pのゼロクロス点t
01,t
02,…間の間欠横圧信号W
Q1のピーク値Q
1max,Q
1minを間欠横圧値Q
1として特定したり、これらのゼロクロス点t
01,t
02,…間の連続横圧信号W
QCのピーク値Q
Cmax,Q
Cminを連続横圧値Q
Cとして特定したりする場合を例に挙げて説明したが、このような特定方法に限定するものではない。例えば、輪重合成信号W
Pのピーク間の間欠横圧信号W
Q1のピーク値を間欠横圧値Q
1として特定したり、輪重合成信号W
Pのピーク間の連続横圧信号W
QCのピーク値を連続横圧値Q
Cとして特定したりすることもできる。