(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の仮設用路面標示シートでは、めくれ上がるのを抑制することが可能であるが、両面接着テープを用いる必要があるので、設置作業および撤去作業が煩雑になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、めくれ上がるのを抑制しながら、設置作業および撤去作業を簡略化することが可能な標示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による標示装置は、路面に仮設可能な標示装置であって、環状部材と、環状部材に設けられる標示部材とを備える。そして、標示装置は、路面に仮設された場合に、環状部材の内部から路面が露出するように構成され
るとともに、環状部材に対する内側および外側の少なくともいずれかに標示部材が配置されている。
【0008】
このように構成することによって、走行する車両のタイヤが環状部材の内部において路面と接触することにより、タイヤと標示装置との接触を抑制することができるので、両面接着テープなどの固定部材を用いることなく、標示装置がめくれ上がるのを抑制することができる。このため、本発明による標示装置では、路面に載置することにより仮設することができるので、設置作業および撤去作業を簡略化することができる。
【0009】
上記標示装置において、環状部材は複数設けられており、複数の環状部材は連結可能に構成されていてもよい。
【0010】
このように構成すれば、環状部材に設けられる標示部材を組み合わせて1つの標示を構成することができる。
【0011】
この場合において、複数の環状部材のうち隣接する環状部材を連結するための連結部材をさらに備え、環状部材および標示部材には、連結部材が挿通される挿通口が形成されていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、環状部材を連結するための連結部材を用いて、標示部材を環状部材に取り付けることができる。
【0013】
上記連結部材を備える標示装置において、連結部材は、折り曲げ可能に構成されており、路面に仮設された場合に、隣接する環状部材の平面的な位置関係を調整可能であってもよい。
【0014】
このように構成すれば、標示部材を組み合わせる際の自由度を高くすることができるので、標示の態様を変化させることができる。
【0015】
上記標示装置において、標示部材は、環状部材の内部に架け渡されるように配置されていてもよい。
【0016】
このように構成すれば、標示部材により環状部材を補強することができる。
【0017】
この場合において、標示部材の両端部には、環状部材と嵌合する嵌合部が形成されていてもよい。
【0018】
このように構成すれば、標示部材を環状部材の内部に架け渡すように取り付けることができる。
【0019】
上記標示装置において、標示部材は、環状部材に対して着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0020】
このように構成すれば、標示部材を交換することにより、様々な標示を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の標示装置によれば、めくれ上がるのを抑制しながら、設置作業および撤去作業を簡略化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
まず、
図1〜
図8を参照して、本実施形態による標示装置100の構成について説明する。
【0025】
標示装置100は、
図1に示すように、複数の環状部材1と、各環状部材1に設けられる標示部材2と、隣接する環状部材1を連結する連結部材3とを備えている。この標示装置100は、たとえば、道路工事などにより通行規制を行う際に、交通誘導を行うために路面に仮設(一時的に設置)される。なお、標示装置100は、路面に白線を表示することにより、車両の走行区画を標示するものである。
【0026】
環状部材1は、
図2および
図3に示すように、平面的に見て円形状に形成されており、所定の間隔を隔てて配置される同心円環部11〜13と、同心円環部11〜13を繋げる繋環部14とを含んでいる。同心円環部11は、同心円環部12および13よりも外側に配置され、同心円環部12は、同心円環部11および13の間に配置され、同心円環部13は、同心円環部11および12よりも内側に配置されている。繋環部14は、周方向に間隔を隔てて複数(たとえば、8個)設けられている。
【0027】
環状部材1には、連結部材3が挿通される挿通口1aが形成されている。この挿通口1aは、径方向に貫通するように形成されており、同心円環部11〜13にそれぞれ形成された挿通口11a〜13aにより構成されている。また、挿通口1aは、周方向に間隔を隔てて複数(たとえば、8個)設けられている。なお、所定の挿通口1aと180度間隔を隔てた位置に対応する挿通口1aが配置されており、環状部材1の中心を通る直線上に配置される一対の挿通口1aが4組設けられている。
【0028】
また、環状部材1は、たとえば、硬質の合成樹脂により一体的に形成され、路面を走行する車両の運転手から標示部材2を見やすくするために路面の色に近い色(たとえば、黒色)にされている。また、環状部材1は、たとえば、厚みが10mmであり、外径(同心円環部11の外径)が600mmであり、内径(同心円環部13の内径)が490mmである。
【0029】
標示部材2は、
図2に示すように、板状に形成され、環状部材1の内部(内側)に架け渡されるように配置されている。具体的には、標示部材2は、環状部材1の中心を通るように配置されており、環状部材1の内部を2等分するように配置されている。標示部材2は、たとえば、硬質の合成樹脂により形成され、白色にされるとともに表面2aが再帰反射性を有する。なお、再帰反射とは、入射した光が、入射した角度にかかわらず、入射してきた方向に戻されることをいう。また、標示部材2は、たとえば、厚みが12mmであり、長さが570mmであり、幅が155mmである。
【0030】
標示部材2は、平面的に見て、略長方形状に形成されるとともに、長手方向の両端部が環状部材1の周方向に沿って湾曲するように形成されている。また、
図4および
図5に示すように、標示部材2の裏面2bには、長手方向の両端部に環状部材1と嵌合する嵌合部21が形成されている。この嵌合部21は、長手方向の端部に沿って湾曲するように溝状に形成され、外側壁22および内側壁23を含んでいる。そして、嵌合部21は、環状部材1の同心円環部12および13(
図7参照)と嵌合するように構成されている。このとき、外側壁22は、環状部材1の同心円環部11および12の間に配置されるように構成されている。なお、標示部材2の裏面2bには、複数の凹部24が形成されることにより肉盗みが施されている。
【0031】
また、標示部材2の両端部には、連結部材3が挿通される挿通口25および26が長手方向に貫通するように形成されている。具体的には、挿通口25および26は、それぞれ、外側壁22および内側壁23に形成されている。これにより、標示部材2が環状部材1に嵌合され、周方向の位置合わせがされた場合には、挿通口11a、25、12a、13aおよび26の順に外側から内側へと径方向に連なるように配置される。なお、挿通口11a、25、12a、13aおよび26によって形成される貫通口は、直線状であるとともに、環状部材1に設けられる標示部材2の両端部にそれぞれ形成される。
【0032】
連結部材3は、
図6に示すように、一方端部にフランジ部31aが形成された板状部材31と、板状部材31の他方端部に着脱可能に取り付けられる係止片32とを含んでいる。板状部材31の他方端部には、平面視矩形状の貫通孔31bと、平面視円形状の貫通孔31cとが形成されている。係止片32には、貫通孔31bに係合される係合爪32aと、貫通孔31cに挿入される係合突起32bとが形成されている。そして、この連結部材3は、係合爪32aが貫通孔31bに係合された状態で、係合突起32bが貫通孔31cに挿入されることにより、係止片32が板状部材31に取り付けられるように構成されている。
【0033】
また、
図7に示すように、隣接する環状部材1の挿通口1aと、それらの環状部材1に設けられる標示部材2の挿通口25および26とに板状部材31が挿通された状態で、板状部材31に係止片32が取り付けられることにより、隣接する環状部材1同士が連結されるとともに、それらの環状部材1に対して標示部材2が取り付けられる。このとき、フランジ部31aは、隣接する環状部材1の一方に設けられる標示部材2の内側壁23に係合され、係止片32は、隣接する環状部材1の他方に設けられる標示部材2の内側壁23に係合されている。なお、フランジ部31aおよび係止片32は、標示部材2の裏面2b側に配置されている。
【0034】
上述したように、標示装置100では、連結部材3により、隣接する環状部材1が連結されるとともに、環状部材1に標示部材2が取り付けられている。このとき、所定の環状部材1に対して隣接する一対の環状部材1は、所定の環状部材1の周方向において180度間隔で連結されており、環状部材1および標示部材2が連なるように配置されている。なお、標示装置100では、板状部材31から係止片32を取り外すとともに、板状部材31を挿通口1a、25および26から抜き取ることにより、隣接する環状部材1の連結を解除することが可能である。さらに、環状部材1と標示部材2との嵌合を解除して、環状部材1から標示部材2を取り外すことが可能である。
【0035】
また、標示装置100は、仮設された場合に環状部材1の内部(平面視半円状の2つの内部空間S)から路面が露出するように構成されている。また、標示装置100は、隣接する環状部材1が離間するように構成されるとともに、連結部材3の板状部材31が可撓性を有する。このため、標示装置100では、
図1に示すように、環状部材1を直線状に配置することが可能であるとともに、
図8に示すように、板状部材31を折り曲げて環状部材1を湾曲状に配置することが可能である。すなわち、標示装置100では、連結される環状部材1の平面的な位置関係を調整可能である。
【0036】
−効果−
本実施形態では、上記のように、仮設された場合に環状部材1の内部から路面が露出することによって、走行する車両のタイヤが環状部材1の内部において路面と接触することにより、タイヤと標示装置100との接触を抑制することができるので、両面接着テープなどの固定部材を用いることなく、標示装置100がめくれ上がるのを抑制することができる。このため、本実施形態による標示装置100では、路面に載置することにより仮設することができるので、設置作業および撤去作業を簡略化することができる。その結果、標示装置100がめくれ上がるのを抑制しながら、標示装置100の設置作業および撤去作業を簡略化することができる。
【0037】
また、本実施形態では、環状部材1および標示部材2により路面に対して段差が形成されることによって、車両がその段差を通過する際に振動するので、車両の運転手に対して注意喚起を行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では、複数の環状部材1を連結するとともに、環状部材1の内部に白色の標示部材2を配置することによって、車両の走行区画を標示する白線を路面に表示することができる。
【0039】
また、本実施形態では、連結部材3を折り曲げ可能に構成することによって、連結される環状部材1の平面的な位置関係を調整することができるので、直線状の白線を路面に表示することができるとともに、曲線状の白線を路面に表示することができる。
【0040】
また、本実施形態では、標示部材2の裏面2bに嵌合部21を形成するとともに、その嵌合部21が環状部材1の同心円環部12および13に嵌合されることによって、車両のタイヤにより標示部材2が踏みつけられた場合に、標示部材2が環状部材1に係合される方向に荷重が加えられることから、標示部材2が環状部材1から外れるのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、標示部材2に挿通口25および26が形成されるとともに、その挿通口25および26に連結部材3の板状部材31が挿通されることによって、隣接する環状部材1を連結するための連結部材3を用いて、標示部材2を環状部材1に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施形態では、連結部材3のフランジ部31aおよび係止片32を標示部材2の裏面2b側に配置することによって、車両のタイヤがフランジ部31aおよび係止片32に接触するのを抑制することができるので、連結部材3が破損するのを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、環状部材1の内部に架け渡されるように標示部材2を配置することによって、標示部材2により環状部材1を補強することができる。
【0044】
また、本実施形態では、標示部材2を環状部材1に対して着脱可能に取り付けることによって、標示部材2を交換することができるので、様々な標示を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、標示部材2の表面2aが再帰反射性を有することによって、夜間における白線の視認性の向上を図ることができる。
【0046】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
たとえば、本実施形態では、標示装置100が、複数の環状部材1と、各環状部材1に設けられる標示部材2とを備える例を示したが、これに限らず、標示装置が1つの環状部材とその環状部材に設けられる標示部材とにより構成されていてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、連結される環状部材1のうち全ての環状部材1に標示部材2が設けられる例を示したが、これに限らず、連結される環状部材のうち一部の環状部材のみに標示部材が設けられるようにしてもよい。たとえば、所定の間隔で標示部材を設けるようにすれば、路面に点線を表示することができる。
【0049】
また、本実施形態では、標示装置100が路面に白線を表示することにより車両の走行区画を標示する例を示したが、これに限らず、標示装置が路面に白線を表示することにより車両の停止位置を標示するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、標示部材2が白色であり、複数の標示部材2により白線を構成する例を示したが、これに限らず、標示部材に矢印または文字情報などが描かれていてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、環状部材1が黒色である例を示したが、これに限らず、環状部材が白色などのその他の色であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、環状部材1が平面的に見て円形状に形成される例を示したが、これに限らず、環状部材が平面的に見て多角形状に形成されていてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、環状部材1が同心円環部11〜13を含んでおり、環状部材1が3重である例を示したが、これに限らず、環状部材が2重以下であってもよいし、4重以上であってもよい。
【0054】
また、本実施形態では、環状部材1に挿通口1aが8個設けられる例を示したが、これに限らず、環状部材に挿通口が2個設けられていればよい。この場合には、挿通口が周方向において180度間隔に配置されることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態では、連結部材3の板状部材31が可撓性を有する例を示したが、これに限らず、連結部材が可撓性を有していなくてもよい。この場合には、連結部材を折り曲げ可能なように、連結部材に回動機構が設けられることが好ましい。
【0056】
また、本実施形態において、隣接する環状部材1を対向するように折りたためるように連結部材3を構成してもよい。このように構成すれば、連結部材3により環状部材1を連結した状態のまま、環状部材1を積み重ねることができるので、収納や搬送する際のスペースを小さくすることができる。
【0057】
また、本実施形態では、標示部材2の表面2aが再帰反射性を有する例を示したが、これに限らず、標示部材の表面が再帰反射性を有していなくてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、所定の環状部材1に対して隣接する2つの環状部材1が180度間隔で連結される例を示したが、これに限らず、所定の環状部材に対して隣接する2つの環状部材が120度間隔で連結されていてもよい。この場合、標示部材が平面的に見て直線状ではなく120度に折れ曲がるようにしてもよい。すなわち、所定の環状部材に設けられる標示部材が、隣接する2つの環状部材を結ぶように形成されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、標示部材2が環状部材1の内部(内側)に架け渡されるように配置される例を示したが、これに限らず、
図9に示す第1変形例による標示装置200のように、環状部材201の接線上に標示部材202が配置されるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、挿通口11a、25、12a、13aおよび26によって形成される貫通口が直線状である例を示したが、これに限らず、
図10に示す第2変形例による環状部材301および標示部材302のように、挿通口11b、25a、12b、13bおよび26aによって形成される貫通口が扇状であってもよい。この貫通口は、開口面積が内側から外側に向かって広くなるように形成されている。このように構成すれば、貫通口内において連結部材を回動させることが可能であるので、連結部材が可撓性を有していなくても、連結される環状部材301の平面的な位置関係を調整可能である。なお、この場合には、隣接する環状部材301が離間することなく接触していてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、環状部材1および標示部材2が硬質の合成樹脂により形成される例を示したが、これに限らず、環状部材および標示部材が軟質の合成樹脂により形成されていてもよい。