特許第5788900号(P5788900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788900菱沸石分子篩のNa+形における直接銅交換、及び触媒、及びシステム、及び方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788900
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】菱沸石分子篩のNa+形における直接銅交換、及び触媒、及びシステム、及び方法。
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/46 20060101AFI20150917BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20150917BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20150917BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20150917BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20150917BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   C01B39/46
   B01J29/76 AZAB
   B01J37/10
   B01D53/86 222
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-543793(P2012-543793)
(86)(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公表番号】特表2013-514168(P2013-514168A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2010070094
(87)【国際公開番号】WO2011073398
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】61/287,704
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ビューテル,ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】ディーテレ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ブル,アイバー
(72)【発明者】
【氏名】モイニ,アーマド
(72)【発明者】
【氏名】ブリーン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スロースキー,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】アリラスール,サイード
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウェンヨン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シンション
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−009214(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/141324(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/106519(WO,A1)
【文献】 J. Dedecek et al.,Siting of the Cu+ ions in dehydrated ion exchanged synthetic and natural chabasites: a Cu+ photoluminescence study,Microporous and Mesoporous Materials,1999年,Vol. 32, Issues 1-2,pp. 63-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
C01B 33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナに対するシリカのモル比が25〜40の範囲にあるCHA構造を備えた銅含有分子篩を製造する方法であって、
銅のモル濃度が0.125〜0.25モル/リットルの範囲である銅溶液を用いて、銅を菱沸石のNa+−形において交換し、
銅交換工程において使用される出発ゼオライト材料の質量に対する、銅溶液を製造するために使用される水の質量の比として定義される、固体に対する液体の比が、2〜10の範囲であり、
銅交換工程の反応温度が、55〜65℃の範囲である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
酢酸銅又は銅イオンのアンモニア溶液が、銅源として使用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分子篩が、2500ppm未満のナトリウム含有量を有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
得られるCHA構造を備えた銅含有分子篩における、アルミニウムに対する銅の原子比は0.3〜0.4である請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、アルミナに対するシリカのモル比が約10より大きいCHA構造を備えた銅含有分子篩を調整する方法に関し、特に、約0.001〜約0.4モルの範囲の銅濃度を有する銅溶液を用いて、菱沸石のNa+形態において銅を交換する方法に関する。更に、本発明は、上述の方法により得ることのできる又は得られたCHA構造を備えた銅含有分子篩、及び触媒、及びシステム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成及び天然ゼオライト、及び所定の反応を促進させるためにそれらを使用する方法は、従来技術で知られている。なお、所定の反応には、窒素酸化物とアンモニア、尿素、及び/又は炭化水素等の反応剤との酸素雰囲気下における選択触媒反応(SCR)が含まれる。ゼオライトは、比較的均一な孔径を有するアルミナケイ酸塩結晶材料であり、この細孔の直径は、ゼオライトの種類及びゼオライト格子構造に含まれるカチオンの種類及び量に依存して、3〜10Åの範囲の値をとる。菱沸石(CHA)は、8員環の孔開口(3.8Å以下)を有する小孔質のゼオライトであり、その開口には3次元孔質(International Zeolite Associationにより定義されている)によりアクセス可能である。2つの6環基礎単位を4環により連結することでケージ状構造が生じる。
【0003】
菱沸石におけるカチオンの位置についてX線回折測定により、骨格酸素に合わせて7つのカチオンのサイトが識別される。これらのサイトは、A、B、C、D、F、H、及びIとラベル付される。このカチオンサイトは、菱沸石ケージにおける2つの6員環の中央であるか、その近辺、及び菱沸石ケージの8員環の周辺に位置する。C位置は、菱沸石ケージにおける6員環構造よりもやや上方に配置されており、F、H、及びIの位置は、菱沸石ケージにおける8員環周辺に位置されている(Mortier, W. J. “Compilation of Extra Framework Sites in Zeolites”, Butterworth Scientific Limited, 1982, p11 and Pluth, J. J., Smith, J. V., Mortier, W. J., Mat. Res. Bull., 12 (1977) 1001を参照)。
【0004】
SCR処理において用いられる触媒は、理想的には、使用における広い温度範囲に亘って良好な触媒活性を保つことができるべきである。この温度範囲は、熱水条件の下で例えば、200℃〜600℃、或いはそれ以上である。熱水条件は、例えば、スートフィルタの再生工程や、粒子除去用に使用される排気ガス処理システムの要素において実際に適用されるものである。
【0005】
窒素酸化物をアンモニアで選択的に触媒還元するための、金属で促進化した(metal−promoted)ゼオライト触媒、特に、鉄で促進化した及び銅で促進化したゼオライト触媒が公知である。鉄で促進化したゼオライトベータ(US4961917号)は、窒素酸化物をアンモニアで選択的に還元するのに効果的な触媒である。しかし、700℃を超える温度でのスートフィルタの再生工程の間では、過酷な熱水条件の下で、多くの金属促進化ゼオラトの活性が低下することがわかった。この活性の低下は、ゼオライトの脱アルミニウム効果及びゼオライト内での金属含有活性中心の低下に繋がる。
【0006】
公知技術としての菱沸石を含む金属の製造方法は、4つのステップに分けられる。そのステップは、i)Na−菱沸石を含む有機テンプレートの結晶化、ii)Na−菱沸石の焼成、iii)NH4―菱沸石を形成するためのNH4―交換、iv)金属−菱沸石を形成するためのNH4―菱沸石における金属交換である。NH4―交換工程は、最終触媒の水熱安定性に対して悪影響のあるアルカリ金属(例えばNa)を除去することを目的とする。
【0007】
菱沸石の一般的なNa2Oレベルは、6000〜8000ppmである。ナトリウムはNa4SiO4とNa2Al24の形成、及び併発するゼオライトの脱アルミニウムによる熱水経年劣化の条件の下で、ゼオライト構造が劣化することが知られている。Na2O含有量を低く保つために、NH4NO3等とのNH4交換を3段階で実行する。
【0008】
Dedecekらは、Microporous and Mesoporous Materials 32 (1999) 63〜74において、菱沸石のNa+− 、Ca2+− 、Cs+− 、Ba2+−形への直接銅交換を開示している。酢酸銅水性溶液は、0.20〜7.6質量%の間で変化する銅濃度において、0.001〜0.1モル使用される。固体に対する液体の比は、20〜110の間で変化させる。アルミナに対するシリカの比は、5〜8の間である。天然の菱沸石の全ての直接交換(すなわち、ゼオライトのNa−形となっている銅)において、CHA構造を備えた銅含有分子篩の全アルカリ金属含有量は、約4.6質量%(金属酸化物として表現される。)より大きい。更に、合成Na―菱沸石の直接交換において、ナトリウム含有量については、1の交換工程が行われる場合に、Na2Oが約0.97質量%を越えており、又は、2の交換工程が行われる場合には、Na2Oが0.73質量%を越えている。
【0009】
WO2008/77590は、金属のNa+−形における直接交換の方法を開示している。当該文献1において、金属交換は、金属イオンとアンモニウムイオンを含む水性溶液中でゼオライト材料を懸濁することによって行われる。特定の金属イオンに限定されない例として、鉄、銀、及び銅が記載されている。アンモニウム複塩は、特定の実施の形態で使用される。例えば、BEAがゼオライト材料として使用され、約0.025と0.09モルの濃度を有する鉄源として、アンモニウム鉄(II)硫酸水和物が使用される。なお、触媒のデータは開示されていない。
【0010】
直接銅交換方法の技術的課題は、残存するNa+イオンをCu2+イオンに交換し、双方の金属をSCR法の触媒性能と安定性の要求を同時に満たすための目標量に到達させることである。CuOが過剰であったり、Na2Oが残存すると、エージング後の触媒性能に悪影響を及ぼすと考えられる。
【0011】
WO2008/106519には、CHAの結晶構造を有するゼオライトを含み、アルミナに対するシリカのモル比が15より大きく、アルミニウムに対する銅の原子比が0.25を超えている触媒が開示されている。触媒は、NH4+―形のCHAを硫酸銅または酢酸銅に交換する銅を用いて製造される。水性硫酸銅イオン交換工程における銅濃度は、0.025から1モルに変化し、複数の銅イオン交換工程が、目標となる銅の量を達成するために必要とされる。硫酸銅イオン交換により生じた触媒は、200℃において45〜59%、及び450℃において〜82%のNOx変換率を示す。遊離銅は、エージング後の200℃における性能を向上させるために添加する必要がある。0.4Mの酢酸銅交換が、200℃及び450℃において70〜88%のエージング後に、それぞれNOx変換を伴い材料に生じる。WO2008/106519において、約3質量%のCuO量に到達するために、過剰に銅が使用されている。硫酸銅を使用する場合における一般的な銅の収率は約4%である。酢酸銅については、Cuの交換収率は24〜31%である。
【0012】
US2008/0241060及びWO2008/132452には、鉄及び/又は銅が、水性溶液または固体イオン交換又は直接合成(ゼオライト合成時による埋め込みによって微小孔結晶材料に導入されるにもかかわらず、また、直接合成は、ゼオライトが形成された後の金属ドーピングプロセスを必要としないにもかかわらず、ゼオライト材料を鉄および/または銅でローディングすることができる点が記載されている。US2008/0241060の例では、NH4NO3が、残存ナトリウムを除去するために使用されるが、銅イオン交換については記載されていない。WO2008/132452の例2では、アンモニウム交換が硝酸銅を用いて水性銅の交換の前に実行されている。これは、複数の水性溶液イオン交換が、3質量%のCuを目標として行うことが記載されている。反応条件の詳細は示されていない。
【0013】
製造プロセスのために資本コストと操作コストが必要な手作業を含む多数のステップを有する方法に対して、CHA構造を用いた銅含有分子篩を製造するために、プロセスを簡略化する要求が存在し続けている。
【0014】
一以上の実施の形態において、提供された分子篩に基づくSCR触媒は、多段階合成(NH4−菱沸石における銅交換)によって得られた最新技術の触媒とともに、比較的大きいNOx変換活性を示す。一般に、提供される触媒は、良好な低温NOx変換活性(NOx変換率>50 200°C)と良好な高温NOx変換活性(450℃NOx変換率>70%°C)の双方を示す。 NOx活性は、500ppmのNO、500ppmのNH3、10%のO2、5%のH2O、バランスN2の混合ガスにおいて、最大のNH3スリップ条件で、体積空間速度が80000h-1の定常状態の下、測定される。
【0015】
本発明の一以上の実施の形態では、菱沸石を含むCuの製造のために時間とコストを節約する新規な方法を提供する。本発明の他の実施の形態は、銅の使用量の高い方法を提供する。高い変換率により、環境のための排水管理において利益がある。
【0016】
したがって、本発明の実施の形態は、アルミナに対するシリカの比が約10以上であるCHA構造を備えた銅含有分子篩の製造方法に関し、当該方法では、銅が、菱沸石のNa+−形への直接交換され、該直接交換は、銅溶液を用いて行われ、銅溶液の濃度は、約0.001〜約0.4の範囲である。
【0017】
特定の実施の形態では、直接銅交換において、残留Naを除去するためにNa−菱沸石に対して行われる従来のNH4イオン交換を回避することができる。さらに、何種類かの菱沸石の材料は、カリウムなどの触媒の安定性にとって有害である他のアルカリ金属カチオンを含む。ナトリウムとカリウムは、多くの場合、菱沸石の結晶化に使用される。直接交換により、残留アルカリ金属を除去することができる。
【0018】
第1の実施の形態では、アルミナに対するシリカのモル比が約10を超えるCHA構造を備えた銅含有分子篩の製造方法であって、銅溶液を用いて銅が菱沸石のNa+形態において交換され、該銅溶液の銅の濃度が約0.001〜約0.4モルの範囲内であることを特徴とする。第2の実施の形態では、第1の実施の形態における方法の修正である。具体的には、銅交換工程で使用される出発ゼオライト材料の質量に対する調製用に使用される水の質量として定義される、固体に対する液体の比を約2〜約80とする修正が行われる。第3の実施の形態では、銅イオン交換工程の反応温度が約10℃〜約100℃の範囲となるように、第1及び第2の実施の形態の修正した例を含む。第4の実施の形態では、第1〜第3の実施の形態の何れかにおいて、酢酸銅又は銅イオンのアンモニア溶液が銅源として使用される変更がなされている。第5の実施の形態によれば、第1〜4の実施の形態のいずれかにおいて、銅の濃度を約0.075〜約0.3モルの範囲内とする変更がなされている。第6の実施の形態では、第1〜5の実施の形態のいずれかにおいて、分子篩が約2500ppm未満のナトリウム含有量となるように変更がなされる。
【0019】
第7の実施の形態は、第1〜5の実施の形態のいずれかによる方法によって製造された、CHA構造を備えた銅含有分子篩に関するものである。
【0020】
第8の実施の形態はCHA構造を備えた銅含有分子篩に関し、CHA構造を備えた銅含有分子篩が、H2昇温還元法スペクトルにおいて少なくとも2つの信号を示し、信号Iの最大値が約25〜約400℃の範囲にあり、信号IIの最大値が、約475°C〜約800の範囲にある。第9の実施の形態は、CHA構造を備えた銅含有分子篩に関するものであり、CHA構造を備えた銅含有分子篩は、約15〜約35nmの範囲内においてUV−VISの半値半幅の波長を有することを特徴とする。第10の実施の形態は、第8及び第9の実施の形態の銅含有分子篩に関するものであり、分子篩は、酸化銅に対する交換された銅の比が少なくとも約1となる。第11実施の形態においては、第8、第9、及び第10の実施の形態に対して、CHA構造を備えた銅含有分子篩が、約1948cm-1における拡散反射分光法(FT−IR)において、少なくとも1つのピークを示す特徴を備えたものである。
【0021】
第12実施の形態は、アルミナに対するシリカのモル比が10を超えており、CuOとして計算された銅含有量が焼成ゼオライトの全質量に対して1.5質量%である、CHA構造を備えた銅含有分子篩であって、ナトリウムに対する銅の原子比率が、0.5より大きく、200以下であり、酸化銅に対する交換された銅の質量比が、少なくとも約1となる銅である。
【0022】
第13実施の形態は、基体上に置かれた、第7、8〜11、又は12実施の形態の何れか1項に記載の、CHA構造を備えた銅含有分子篩を含む触媒である。
【0023】
第14実施の形態は、酸化窒素NOxの選択的還元用、NH3の酸化用、N2の分解用、すす酸化用、先進エミッション制御システムにおけるエミッション制御用の触媒として;流動接触分解法における添加剤として;有機添加反応における触媒として;又は、固定発生源法における触媒として;第13実施の形態の触媒を使用する方法
【0024】
第15実施は、アンモニア及び/又は臭素を含む排気ガス流と、第13実施の形態のCHA構造を備えた銅含有分子篩を含有する少なくとも一種の触媒と、を含む排気ガス処理システムに関する。
【0025】
酸化窒素NOxを含む気体流を、第7、8〜11、又は12の実施の形態の何れか1つのCHA構造を備える銅含有分子篩に接触させることを特徴とする、酸化窒素を選択的に還元する方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施例#2〜#4のH2昇温還元法プロットである。
図2図2は、実施例#2〜#4のUV−VISスペクトルである。
図3図3は、450℃におけるUV−バンドの半値半幅とNOx変換率の間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形は、特に文中に明示されていない限り複数の場合を含む。したがって、例えば、2つ以上の触媒の混合物を含む場合も“触媒”と記載し、他も同様である。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているように、用語 “菱沸石のNa+−形”は、どんなイオン交換も行わないゼオライトの焼成フォームを意味する。この形式では、ゼオライトは、一般的に、交換サイト中にNa+とH+カチオンの混合物を含んでいる。Na+カチオンによって占有されたサイトの断片は、特定のゼオライトバッチおよび方法によって変化する。
【0029】
分子篩は、ゼオライト−ゼオライト又は非ゼオライトであっても良く、ゼオライト及び非ゼオライトの分子篩は、国際ゼオライト協会によりCHA構造と呼ばれる菱沸石の結晶構造を有していても良い。ゼオライト菱沸石は、近似式(Ca、Na2、K2、Mg)Al2Si412x6H2O(例えば、含水カルシウムケイ酸アルミニウム)を有するゼオライト群の天然テクトケイ酸塩鉱物を含んでいる。ゼオライト菱沸石の3つの合成フォームは、“Zeolite Molecular Sieves,”(D.W.Breck著,John Wiley&Sonsにより1973年発行)に記載されている。Breckによって報告された3つの合成フォームは、Zeolite K−G,(J.Chem.Soc.,p.2822(1956)に記載), Barrer他による;Zeolite D(英国特許第868846(1961)に記載)、Zeolite R(米国特許3,030,181に記載)である。これらは、本明細書において参考として援用される。ゼオライト菱沸石SSZ−13の他の合成形態における合成は、本明細書において援用される米国特許4544538に記載されている。菱沸石の結晶構造(シリコアルミノリン酸塩34(SAPO−34))を有する非ゼオライト分子篩の合成形態の合成は、本明細書において参考として援用される米国特許第7264789号に記載されている。菱沸石構造(SAPO−44)を有する他の合成非ゼオライト分子篩の製造方法は、本明細書中で参考として援用される米国特許第6162415号に記載されている。
【0030】
CHA構造を備えたNa+−ゼオライトの合成は、本分野における種々の技術にしたがい実行される。たとえば、一般的なSSZ−13の合成において、シリカ源、アルミナ源、及び有機指向剤は、アルカリ性水性溶液条件下で混合される。一般的なシリカ源は、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、コロイダルシリカに加えてシリコンアルコキシドの種々なタイプを含む。一般的なアルミナ源はベーマイト、擬似ベーマイト、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム又はアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム塩、及びアルミニウムアルコキシドを含む。水酸化ナトリウムは、通常、反応混合物に添加される。この合成のための一般的な有機指向剤は、アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物であり、他のアミン及び/又は第四級アンモニウム塩を、上記有機指向剤の代わりに用いるか、或いは追加しても良い。反応混合物は、結晶SSZ−13の製品を得るために撹拌しながら、圧力容器内で加熱される。一般的な反応温度は100〜200°Cの範囲であり、特定の実施の形態では135〜170℃の範囲である。一般的な反応時間は1時間〜30日間であり、特定の実施の形態では、10時間〜3日間である。
【0031】
反応の終了時に、必要に応じてpHを6〜10に調整し、特定の実施の形態では、7〜7.5の間に調整して、生成物を濾過し水で洗浄する。任意の酸をpH調整に使用することができ、特定の実施の形態では硝酸を使用する。また、製品は遠心分離しても良い。有機添加剤は、固体生成物の処理および分離を補助するために使用しても良い。製品の処理の付随的な手順として噴霧乾燥を行っても良い。固体生成物は、熱空気または窒素で処理する。また、各ガス処理は、種々の順序を実行することができ、またはガスの混合物を用いることができる。一般的な焼成温度は400〜850℃の範囲である。
【0032】
CHA:
特定の実施の形態では、CHA構造を備えた銅含有分子篩は、すべてのアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ガロシリケート、MeAPSO、及びMeAPO組成物を含む。しかし、これらを含んでも、SSZ−13、SSZ−62、天然菱沸石、ゼオライトKG、リンデD、リンデR、LZ−218、LZ−235、LZ−236ZK−14、SAPO−34、SAPO−44、SAPO−47、ZYT−6、CuSAPO−34、CuSAPO−44、及びCuSAPO−47に限定されるものではない。最も好ましい材料は、SSZ−13及びSSZ−62などのアルミノシリケート組成物である。
【0033】
濃度:
特定の実施の形態では、銅イオン交換で使用される銅溶液の銅濃度が、約0.01から約0.35モル濃度の範囲であり、より好ましくは約0.05から約0.3モル濃度の範囲であり、更に好ましくは約0.075から約0.1モル濃度の範囲であり、特に約0.1〜約0.3モル濃度の範囲であり、更に好ましくは約0.1〜約0.25モル濃度の範囲であり、さらに特定の実施の形態では、0.125〜約0.25モル濃度の範囲である。
【0034】
液体:固体の比
特定の実施の形態の銅交換工程で使用されている出発ゼオライトの乾燥質量に対する、銅溶液を調整するために使用される水及び銅塩の量として定義されている固体に対する液体の比が、約0.1〜約800の範囲、特定の実施の形態において約2〜約80の範囲、さらに特定の実施の形態において約2〜約15の範囲で、さらに特定の実施の形態では約2〜約10の範囲、さらに特定の実施の形態において約4〜約8の範囲である。
【0035】
組み合わせ:濃縮液体:固体の比
本発明の実施の形態の好ましい態様によれば、銅イオン交換工程で使用される銅溶液の濃度は、特定の実施の形態で約0.05〜約0.3の範囲であり、出発ゼオライトの質量に対する、銅溶液を調整するために使用される水と銅塩の量として定義されている固体に対する液体の比が、約2〜約10である。より具体的な実施の形態において、銅イオン交換で使用される銅溶液の濃度は約0.1〜約0.25の範囲内であり、特定の実施の形態において、固体に対する液体比が約4〜約8の範囲である。
【0036】
反応温度:
特定の実施の形態では、銅イオン交換工程の反応温度は約15〜約100℃の範囲内であり、特定の実施の形態においては約20〜約60℃の範囲内である。銅イオンのアンモニア性溶液が銅源として使用されている場合には、反応温度は約20〜約35℃の範囲であり、より具体的な実施の形態においては約20〜約25℃の範囲である。
【0037】
反応物の添加順序:
反応ゼオライト、銅源、及び水は、任意の順序で添加しても良い。特定の実施の形態では、ゼオライトは予め作成された銅塩または複合体の溶液に添加される。この添加は、室温で、又はイオン交換温度とするための予備加熱の下で行っても良い。さらに特定の実施の形態では、予め作成された銅塩または複合体の溶液は、ゼオライトを添加する前に、約20〜約90℃の温度、特定の実施の形態では約40〜約75℃の温度、特定の実施の形態では約55〜約65℃の温度まで加熱される。
【0038】
反応時間:
さらに特定の実施の形態では、イオン交換工程の反応時間は、約1分〜24時間であり、さらに特定の実施の形態では約30分〜約8時間であり、特定の実施の形態では約1分〜10時間であり、さらに特定の実施の形態では10分〜5時間であり、さらに特定の実施の形態では10分〜3時間であり、さらに特定の実施の形態では30分〜1時間である。
【0039】
反応条件:
特定の実施の形態において、水性溶液は、好適に攪拌される。一般的に、撹拌速度は反応器のサイズが大きくなるにつれて減少する。
【0040】
pH値:酸性添加剤の使用:
特定の実施の形態において、イオン交換工程のpHは、約1〜約6の範囲、さらに特定の実施の形態において約2〜約6の範囲、さらに特定の実施の形態では約3〜約5.5の範囲である。銅イオンのアンモニア溶液が銅源として使用される場合、イオン交換工程のpHは、約5〜約14の範囲、特定の実施の形態では約6〜約12の範囲であり、及びさらに特定の実施の形態では約8〜約11の範囲である。
【0041】
用いられる出発材料に応じて、pHが上記の値を持つように、水性溶液のpHを調整する必要がある。特定の実施の形態では、pHは水性溶液として添加される酢酸やアンモニアを用いて上述の値に調整される。
【0042】
銅類:
一般的に、任意のCu塩源を用いることができる。たとえば、酸化銅(II)、酢酸銅、硝酸銅、塩化銅、フッ化銅、硫酸銅、炭酸銅、シュウ酸銅、及び銅イオンのアンモニア性溶液(例えば銅アミン炭酸塩)が挙げられる。特定の実施の形態において、少なくとも一種のCu塩または酸化物の水性溶液が用いられる。好ましくは、酸化銅と銅塩であり、例えば酢酸銅、フッ化銅、塩化銅、及び銅イオンのアンモニア性溶液である。さらに特定の実施の形態において、酢酸銅及び/又は銅イオンのアンモニア溶液(例えば銅アミン炭酸銅)が用いられる。2種以上の好適な銅源の混合物の使用も挙げられる。
【0043】
銅イオンのアンモニア性溶液
Panias他による(Oryktos Ploutos(2000)、116、47〜56)では、水性アンモニア溶液中における二価の銅イオンのスペシエーションが報告されている。二価の銅アミノ酸複合体Cu(NH3)N2+は、実際には銅が弱酸性状態で強アルカリ性アンモニア溶液にさらされている支配的な形態である。イオンであるCu(NH342+は、Cu2+−NH3−H2O系の最も重要なイオンである。それはpHが5の弱酸性溶液からpHが14の強アルカリ性溶液にわたる種々な広い安定領域を示す。二価の銅錯体の水酸基は、pHが12を超える強アルカリ性溶液及び総アンモニア濃度が0.1Mより少ない希釈アンモニア溶液中においてのみ、Cu2+−NH3−H2O系に現れる。アンモニア性溶液中で銅は、強い酸性水性溶液中においてのみ、遊離のCu2+イオンの形で検出される。
【0044】
銅:銅イオン交換ステップの銅スラリーのAl:
酢酸銅を使用して、銅交換ステップのための銅スラリー中におけるAlに対するCuのモル比は、約0.25〜約2の範囲、特定の実施の形態では、約0.5〜約2の範囲、さらに特定の実施の形態では約0.5〜1.5の範囲、さらに特定の実施の形態では、約0.5〜約1.2の範囲である。銅イオンのアンモニア性溶液を用いる場合、Alに対するCuの比は、定の実施の形態において約0.001〜約0.1の範囲で、さらに特定の実施の形態において約0.25〜約0.8の範囲で、さらに特定の実施の形態では、約0.25〜約0.6の範囲で、さらに特定の実施の形態では約0.25から約0.5までの範囲である。スラリーは、銅溶液中に分散されたゼオライトで構成される。
収率:
【0045】
パーセント収率は、(ゼオライト中のCuのモル数)/(出発溶液におけるCuのモル数)×100として定義される。特定の実施の形態では、銅交換工程の収率は、少なくとも約30%、特定の実施の形態においては少なくとも約35%、さらに特定の実施の形態では少なくとも約40%、さらに特定の実施の形態では少なくとも約60%、さらに特定の実施の形態では、少なくとも約80%、さらに特定の実施の形態では少なくとも約90%、さらに特定の実施の形態では少なくとも約95%である。
【0046】
イオン交換の繰り返し:
銅交換ステップは、0〜10回、特定の実施の形態において0〜2回繰り返しても良い。特定の実施の形態では、銅の交換工程は、一度行われ、繰り返されない。
後処理:
【0047】
銅交換ステップの後、CHA構造を備えた本発明の銅含有分子篩を含む交換スラリーは、適切に母液から分離される。分離の前に、母液の温度を、適切な冷却速度を用いて所望の値に減少させることもできる。
【0048】
この分離は、例えば、デカンテーション、濾過、限外濾過、透析濾過又は遠心分離方法または噴霧乾燥、噴霧造粒法等の当業者に知られているすべての適当な方法によって行うことができる。
【0049】
菱沸石分子篩は、適切な洗浄剤で少なくとも1回は洗浄しても良い。洗浄工程が少なくとも2回の場合には、同一又は異なる洗浄剤またはその混合物を使用することが可能である。
【0050】
使用される洗浄剤の例としては、水、例えばメタノール、エタノール、又はプロパノール等のアルコール類、又はそれらの2種以上の混合物である。例えば、2つまたはそれ以上のアルコールの混合物(例えばメタノールとエタノール、又はメタノールとプロパノール、又はエタノールとプロパノール又は、メタノールとエタノールとプロパノール)、または、例えば水と少なくとも一種のアルコールの混合物(例えば水とメタノール、または水とエタノール、または水とプロパノール、または水とメタノール及びエタノール、または水とメタノール及びプロパノール、または水とエタノール及びプロパノール、または水とエタノール及びプロパノール、または、水とエタノール及びプロパノール又は水とメタノール及びエタノール及びプロパノール)が、混合物として挙げられる。
【0051】
洗浄工程の洗浄液温度は、特定の実施の形態において約10〜約100℃の範囲で、さらに特定の実施の形態において約15〜約60℃の範囲で、さらに特定の実施の形態では約20〜約35℃の範囲で、さらに特定の実施の形態では、約20〜約25℃の範囲である。
【0052】
分離及び必要に応じた洗浄の後、CHA構造を備えた銅含有分子篩を乾燥してもよい。乾燥温度と乾燥時間は、当業者により知られている。乾燥温度は、特定の実施の形態において室温から約200℃の範囲であり、特定の実施の形態における乾燥時間は、約0.1から約48時間の範囲内である。
【0053】
分離した後、必要に応じて、洗浄、乾燥を行い、CHA構造を備えた銅含有分子篩を、少なくとも一つの追加的な工程において焼成しても良い。
【0054】
特定の実施の形態において、菱沸石の分子篩の焼成は、約750℃以下の温度範囲で行われる。一つの方法では、例えばマッフル炉内において静的な条件下で焼成が行われる場合には、約500〜約850℃以下の温度で行われることが好ましい。特定の実施の形態において、約500〜約800℃以下の温度、より具体的な実施の形態では、約500〜約750℃の以下の温度で行われる。他の方法では、焼成が動的な条件下(例えば回転焼成)で行われる場合、約500〜約750℃以下の温度が好ましい。
【0055】
焼成は、連続した温度で段階的に行うことができる。本発明の実施の形態の文脈で使用される“連続した温度で段階的”という用語は、焼成されるゼオライトが一定温度まで加熱され、一定の時間の間この温度に保たれ、当該温度から少なくとも一つの他の温度に加熱され、さらに一定時間の間、当該温度に保たれることを意味する。例として、段階的な焼成が、本明細書において参考として援用される出願番号PCT/EP2009/056036の国際特許出願において記載されている。
【0056】
焼成は、例えば、任意の適切な雰囲気、例えば、空気、酸素中で使い果たされるリーンエアー(lean air)、酸素、窒素、水蒸気、合成空気、二酸化炭素の雰囲気の下、行われる。特定の実施の形態において、焼成は、空気雰囲気下で行われる。焼成は、デュアルモード、すなわち、酸素の減少したまたは無酸素雰囲気で第1の焼成を行い、酸素の豊富な雰囲気中または純酸素雰囲気中で第2焼成を行うモードで実行されることも考えられる。
【0057】
特定の実施の形態によれば、第2焼成工程が約100%の空気を含む雰囲気中で実行されるのに対し、第1焼成工程は、約5〜約15%の空気及び約80〜約95%の窒素を含む雰囲気下で実行される。
方法により得られる製品:
【0058】
更に、本発明の実施の形態は、上記方法によって得られた菱沸石の結晶構造を有するCHA構造を備えた銅含有分子篩に関する。
【0059】
製品:
また、本発明の実施の形態は、上記方法又は本発明の実施の形態の方法により得られる/得られたCHA構造を備えた銅含有分子篩に関する。この銅は、アルミナに対するシリカの比が10を超えており、CuOとして計算された銅含有量が、揮発性物質が無い状態で少なくとも1.5質量%であり、CHA構造を備えた銅含有分子篩が、H2昇温還元法スペクトルにおいて、少なくとも2個の信号を示す。ここで、信号Iの最大値は、25〜400°Cの範囲に存在し、信号IIの最大値は、約475℃〜約800℃の範囲に存在する。なお、測定は、空気中における500℃でのゼオライトの30分間の焼成の後に行った。
【0060】
信号Iは、2つの反応i)Cu2+ +1/2H2= Cu++H+及びii)CuO+ H2 =Cu+ H2Oと相関していても良い。また、信号IIは、その最大値が約475℃〜約800℃の範囲である場合に、信号IIは一つの反応iii)Cu++1/2H2= Cu++H+に相関しても良い。
【0061】
特定の実施の形態では、信号IIの最大値は、約480℃〜約800℃の範囲にあり、さらに特定の実施の形態では、約490℃から約800℃の範囲にあり、さらに特定の実施の形態では、約550℃から約800℃の範囲にある。
【0062】
金属含有ゼオライトの評価のために、この技術を使用することは、文献で実証されている。たとえば、Yanと共同研究者によるCu−ZSM−5の性質(in Journal of Catalysis, 161, 43−54 (1996))において報告されている。
【0063】
Cu2 とCuO:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得ることのできるCHA構造を備えた焼成銅含有分子篩は、酸化銅に対する交換された銅の質量比が少なくとも約1である。なお、この質量比は、空気中における450℃でのゼオライトの1時間の焼成の後に測定した。特定の実施の形態において、酸化銅に対する交換された銅の質量比が、少なくとも約1.5である。さらに特定の実施の形態では、酸化銅に対する交換された銅の質量比が、少なくとも約2である。
【0064】
特定の実施の形態において、交換された銅は、C及びHサイトという活性部分に位置する。したがって、特定の実施の形態では、CHA構造を備えた銅含有分子篩が、拡散反射FT−IR分光法(DRIFT)により測定して、約1948cm-1(サイトC)及び任意に約1929cm-1(サイトH)においてピークを示す。
【0065】
FTIR技術の使用は、例えばJ. Catal. 136, 510−520 (1992)(Giamelloらによる)で実証されている。
【0066】
CHA構造を備えた銅含有分子篩のUV−VIS
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた焼成銅含有分子篩は、約5〜約35nm、特に約10〜約30nm、より好ましくは約15〜約25nmの範囲のUV−VIS半値半幅の波長を有する。なお、この値は、空気中において450℃で1時間の間のゼオライトの焼成の後に測定されたものである。
【0067】
UV−VIS技術の使用は、例えば、J. Catal. 220,500〜512 (2003)で実証されている。
【0068】
銅の質量%:
本発明の実施の形態の上述の方法によりは得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩のCu含有量は、CuOとして計算され、特定の実施の形態において、揮発性物質が無い状態で、少なくとも1.5質量%であり、さらに特定の実施の形態では少なくとも2質量%であり さらに特定の実施の形態では少なくとも2.5質量%である。より具体的な実施の形態では、菱沸石分子篩のCu含有量が、CuOとして計算され、それぞれ揮発性物質が無い状態で、約5質量%以下、さらに特定の実施の形態では約4質量%、さらに特定の実施の形態では約3.5質量%以下である。従って、特定の実施の形態において、菱沸石分子篩のCu含有量は、それぞれ揮発性物質が無い状態で、CuOとして計算され、約2〜約5質量%、さらに特定の実施の形態において約2〜約4質量%、及びさらに特定の実施の形態において約2.5〜約3.5質量%、及びさらに特定の実施の形態において約2.75〜約3.25質量%である。すべての質量%の値は、揮発性物質が無い状態で示されている。
【0069】
遊離銅:
ゼオライトの構造中の交換サイトとともに、銅レベル(level of copper)を増加させるために交換される銅に加えて、塩形態の非交換銅は、菱沸石の分子篩中に存在しても良く、いわゆる遊離銅と呼ばれる。しかし、特定の実施の形態において、遊離銅は菱沸石分子篩中に存在しない。
【0070】
シリカ/アルミナ:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩は、アルミナに対するシリカのモル比が約15を超え、特定の実施の形態では約20を超えている。特定の実施の形態において、銅含有の菱沸石は、アルミナに対するシリカのモル比が、約20から約256までの範囲であり、特定の実施の形態において、約25から約40までの範囲である。
【0071】
Cu/Al:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩における、アルミニウムに対する銅の原子比は、約0.25を超えている。さらに特定の実施の形態では、アルミニウムに対する銅の原子比が約0.25〜約1であり、さらに特定の実施の形態では、約0.25〜約0.5である。さらに特定の実施の形態では、アルミニウムに対する銅の原子比は約0.3〜約0.4である。
【0072】
SCR活性:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩は、少なくとも50%の200℃におけるエージングNOx変換率を示す。なお、この値は、500ppmのNO、500ppmのNH3、10%のO2、5%のH2O、バランスN2の混合ガス中において、最大NH3スリップ条件における定常状態条件下で、80000h-1のガス空間速度に基づき測定される。特定の実施の形態では、200°CにおけるエージングNOx変換率は、少なくとも55%であり、450℃では75%であり、さらに特定の実施の形態では、200℃で少なくとも60%であり、450℃で少なくとも75%であり、さらに特定の実施の形態では、200℃で少なくとも60%であり、450℃で少なくとも80%である。なお、この変換率は、80000h-1の時間あたりのガス空間速度で測定される。この熱老化のための一般的な条件は以下の通りである。すなわち、触媒を含む銅が、10%のH2O、10%のO2、バランスN2を含むガス流の管状炉に置かれ、80000〜120000h-1の体積空間速度で、750℃で1〜24時間或いは850℃で1〜6時間測定が行われる。
【0073】
SCR活性測定は、例えば、文献WO2008/106519で実証されている。
【0074】
ナトリウム含有量:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩は、2質量%未満のナトリウム含有量(揮発性物質が無い状態でNa2Oとして報告)を有する。特定の実施の形態では、ナトリウム含有量が1質量%未満であり、特定の実施の形態において2500ppm未満、さらに特定の実施の形態では、2000ppm未満、さらに特定の実施の形態では、1000ppm未満、さらに特定の実施の形態では、500ppm未満、最も好ましくは 100ppm未満である。
【0075】
Na:Al:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩は、アルミニウムに対するナトリウムの原子比が0.7未満であり、特定の実施の形態で0.35未満であり、さらに特定の実施の形態では、0.007未満であり、さらに特定の実施の形態では、0.03未満、さらに特定の実施の形態では、0.02未満である。
【0076】
Na:Cu:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩では、ナトリウムに対する銅の原子比が0.5より大きい。さらに特定の実施の形態では、ナトリウムに対する銅の原子比が1を超えており、さらに特定の実施の形態では、10を超えており、さらに特定の実施の形態では、50を超えている。
【0077】
Naを多く含む菱沸石:
また、本発明の実施の形態は、上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩に関連する。1又は複数の実施の形態では、銅含有分子篩は、アルミナに対するシリカの比が10を超えており、CuOとして計算された銅含有量は、揮発性物質が無い状態で少なくとも1.5質量%である。ナトリウムに対する銅の原子比は、0.5より大きく200以下であり、酸化銅に対する交換された銅の比は、少なくとも約1である。
【0078】
さらなる金属:
本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩では、1または複数の遷移金属を含んでいても良い。特定の実施の形態では、菱沸石の分子篩は、NOからNO2への酸化能力及び/又はNH3の貯蔵能力を有する遷移金属を含んでいても良い。特定の実施の形態において遷移金属は、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Ce、Zr、及びVからなる群から選択される。一般的にはFe、Co、Ni、Zn、Y、Ce、Zr、及びVの好適な源を用いることができる。これは、例えば、硝酸、シュウ酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、アセチルアセトネート、酸化物、水和物、及び/又は塩化物、臭化物、ヨウ化物等の塩を挙げることができる。
【0079】
更に、CHA構造を備えた銅含有分子篩は、1又は複数のランタニドを含んでいても良い。好ましいランタニド源は、特に、硝酸ランタンである。
【0080】
CHA構造を備えた銅含有分子篩は、一種以上の貴金属(例えば、Pd、Pt)を含んでいても良い。
【0081】
BET:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた焼成銅含有分子篩が、少なくとも約400m2/g、さらに特定の実施の形態では少なくとも約550m2/g、さらに特定の実施の形態では少なくとも約650m2/gの、DIN 66131に従って測定されるBET比表面積を示す。特定の実施の形態では、菱沸石分子篩が、約400〜約750m2/g、さらに特定の実施の形態では、約500〜約750m2/g、さらに特定の実施の形態では約600〜約750m2/gを示す。
【0082】
結晶の平均長:
特定の実施の形態では、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた焼成銅含有分子篩の結晶は、10ナノメートル〜100マイクロメートル、特定の実施の形態では50ナノメートル〜5マイクロメートル、特定の実施の形態では50ナノメートル〜500ナノメートルの範囲の平均長を有する。なお、この平均長は、SEMにより測定される。
【0083】
TOC:
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた焼成銅含有分子篩は、菱沸石分子篩の総重量に基づいて、0.1質量%のTOC(全有機炭素)含有量を有する。
熱安定性:
【0084】
特定の実施の形態において、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた焼成銅含有分子篩は、示差走査熱量測定又は示差熱分析によって測定された、約900〜約1400℃の範囲、特定の実施の形態では約1100〜約1400℃の範囲、特定の実施の形態では約1150〜約1400℃の範囲において熱安定性を有する。熱安定性の測定は、例えばPCT/EP2009/056036の38ページに記載されている。
【0085】
形状:
本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩は、例えば、粉体または上述の分離技術(例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離または噴霧)で得られた噴霧用材料で提供されても良い。
【0086】
一般に、粉末や噴霧用材料は、例えば、どんな化合物を用いることも無く、適切な圧縮等により、所望の形状の成形品とできる。なお、所望の形状は、平板状、筒状、球状などである。
【0087】
一例として、粉末や噴霧用材料は、当技術分野で周知の適切な重合調整剤とともに混合、或いはこれを塗布しつつ混合される。重合調整剤の例は、シリカ、アルミナ、ゼオライト及び/又は耐火性結合剤(例えば、ジルコニウム前駆体)などを使用することができる。粉末や噴霧用材料は、必要に応じて適切な重合調整剤とともに混合、或いは重合調整剤が塗布された後に、例えば適当な耐火キャリア(例えば、WO106519/2008)を含む水と混合し、スラリー状に形成しても良い。
【0088】
また、本発明の実施の形態の菱沸石分子篩は、微粒子触媒の充填層として使用するために、押出物、ペレット、平板状、又は他の任意の適切な粒子の形態で提供されても良い。また、この形態としては、プレート状、鞍状、チューブ状等が挙げられる。
【0089】
触媒:
従って、本発明の実施の形態は、基体上に配置され、本発明の実施の形態の上記方法によって得られた/得られ得るCHA構造を備えた銅含有分子篩を含む触媒に関する。
【0090】
基体は、触媒を調製するために通常使用される任意の材料で良く、一般的にセラミック又は金属製のハニカム構造体を含む。任意の適切な基体として、例えば、ガス通路が並行して基体の入口または出口面から延在し、該通路が流体路に開口している(基体を通したハニカム流と呼ばれる)、並列ガス流路を有するタイプのモノリシック基体を用いることができる。また、上記基体は、流路が交互にブロックされたウォールフローフィルタ基体でも良い。この基体では、ガス流が、1方向(入口方向)から流路に入り込み、流路壁を介して他の方向(出口方向)から流れ出るように水が選択的にブロックされる。さらに、適切な担体/基体とともに適切な被覆プロセスは、出願番号PCT/EP2009/056036の国際特許出願やWO2008/106519に記載されている。PCT/EP2009/056036及びWO2008/106519は、参考として本明細書に援用される。
【0091】
SCR/排ガス処理システム:
一般に、上述のCHA構造を備えた銅含有分子篩は、分子篩、吸着剤、触媒、それらの触媒担体又はバインダーとして使用しても良い。特に好ましくは、触媒として使用することである。
【0092】
また、本発明の実施の形態は、化学反応を触媒する方法であって、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩を、触媒活性材料として用いる方法に関する。
【0093】
特に、上記触媒は、窒素酸化物(NOx)の選択還元(SCR)用として、NH3の酸化用として、特にディーゼルエンジンシステムにおけるNH3スリップの酸化用として、N2Oの分解用として、すす酸化用として、予混合圧縮着火(HCCl)エンジンなどの高度なエミッションシステムの放出制御用として、流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤として、有機転化反応の触媒として、又は“固定発生源”処理における触媒として用いても良い。酸化反応に用いるために、特定の実施の形態では、貴金属成分(例えば、Pd、Pt)が、銅菱沸石に添加される。
【0094】
したがって、本発明の実施の形態は、適切な還元条件の下、NOxを含むストリームを、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩に接触させ、窒素酸化物(NOx)を選択的に還元する方法に関する。また、本発明の実施の形態は、適切な酸化条件の下、NH3を含むストリームを、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩に接触させ、ディーゼルシステムにおけるNH3、特にNH3スリップを酸化する方法に関する。また、本発明の実施の形態は、適切な分解条件の下、N2Oを含むストリームを、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩に接触させ、N2Oを分解する方法に関する。更に、本発明の実施の形態は、適切な条件の下、排出流を、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩に接触させ、予混合圧縮着火(HCCl)エンジンなどの高度なエミッションシステムにおける放出量を制御する方法に関する。また、本発明の実施の形態は、流動式接触分解FCC法に関し、特に、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩を添加剤として用いるFCC法に関する。更に、本発明の実施の形態は、適切な変換条件の下、有機化合物を、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩に接触させ、該有機化合物を変換する方法に関する。また、本発明の実施の形態は、“固定発生源”処理に関し、特に、本発明の実施の形態に係るCHA構造を備えた銅含有分子篩を含む触媒を用いる“固定発生源”処理に関する。
【0095】
特に、本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩を触媒活性材料として用いる窒素酸化物の選択還元については、アンモニア又は尿素の存在下で行われる。アンモニアは、固定のパワープラント用に選択される還元剤である一方で、尿素は、移動可能なSCRシステム用に選択される還元剤である。通常、SCRシステムは、車両の排気ガス処理システムに統合されており、また、通常、次の主要コンポーネントを含む。すなわち、この主要コンポーネントは、本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩を含むSCR触媒、尿素貯蔵タンク、尿素ポンプ、尿素投入システム、尿素インジェクター/ノズル、およびそれぞれの制御ユニットである。
【0096】
NOxを還元する方法:
従って、本発明の実施の形態では、窒素酸化物(NOx)を選択還元する方法に関し、当該方法では、窒素酸化物(NOx)を含む気体ガス流、例えば工業プロセス又は操作により生成された排気ガス(特にアンモニア及び/又は尿素も含有する)を、本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩と接触させる。
【0097】
本発明の実施の形態において、窒素酸化物NOxという語は、特に、一酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N23)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N24)、五酸化二窒素(N25)、過酸化窒素(NO3)を意味する。
【0098】
本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩、又は本発明の実施の形態によって得られ得るか、或いは得られた菱沸石分子篩を含む触媒を使用することで還元される窒素酸化物は、任意のプロセス(例えば、廃棄ガス流)により生じ得る。廃棄ガス流は、特に、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチルグリオキサール、グリオキシル酸を製造するための方法において生じるか、又は窒素材料を燃焼することで生じる廃棄ガス流である。
【0099】
内燃機関(特にディーゼルエンジン)の排気ガスからの窒素酸化物(NOx)を除去するために、本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩、又は本発明の実施の形態によって得られ得るか、或いは得られた菱沸石分子篩を含む触媒を使用することが特に好ましい。なお、上記内燃機関は、空気が所定の化学量論による燃焼において要求される量に対して過度になっている燃焼条件(すなわち、希薄状態)で動作する。
【0100】
従って、本発明の実施の形態は、所定の化学量論による燃焼において要求される量に対して過度の空気を伴う燃焼条件(すなわち、希薄条件)で動作する内燃機関(特にディーゼルエンジン)の排気ガスから窒素酸化物(NOx)を除去する方法に関し、当該方法では、本発明の実施の形態に係る菱沸石分子篩、又は本発明の実施の形態によって得られ得るか、或いは得られた菱沸石分子篩を含む触媒を触媒活性材料として使用する。
【0101】
排気ガス処理システム。
本発明の実施の形態は、アンモニア、尿素および/または炭化水素等の還元剤を含み、特定の実施の形態ではアンモニア又は尿素を付随的に含む排気ガス流を含み、上述の方法により得られ得る或いは得られたCHA構造を備えた銅含有分子篩を含有する触媒、スートフィルタ、及びディーゼル酸化触媒が基体に配置された排気ガス処理システムに関する。
【0102】
触媒化された、又は触媒化されていないスートフィルタは、触媒の上流又は下流に配置しても良い。ディーゼル酸化触媒は、特定の実施の形態において、触媒の上流に配置される。特定の実施の形態では、上記ディーゼル酸化触媒及び上記触媒スートフィルタが触媒の上流に配置される。
【0103】
特定の実施の形態では、排気物(特にNOxを含む)が、ディーゼルエンジンから排気システムにおける下流位置に運ばれる。ここで、還元剤が添加され、添加された還元剤とともに排気ガス流が、上記触媒の位置に運ばれる。
【0104】
例えば、触媒スートフィルタ、ディーゼル酸化触媒、及び還元剤は、本明細書において援用されるWO2008/106519に記載されている。
【0105】
更に、以下の実施例において、本発明の実施の形態の方法及び材料について説明する。
【実施例】
【0106】
2−昇温還元法スペクトル
2の昇温還元(昇温還元法)測定を、TCD検出器を用いて、マイクロメリケム社のAutochem2910分析器で行った。前処理として、4%のO2/He中において、20℃/minで室温から500℃まで昇温し、その温度を20分間保持した。次いで、試料を室温まで冷却し、続いて、ヘリウムで10分間パージした。0.5%のH2/N2中において10℃/minで室温から900℃まで昇温し、その温度を20分間保持して昇温還元法を行った。還元の間、液体アルゴンの冷却トラップを使用した。
【0107】
UV−VIS
試料を、0.2センチメートル石英キュベットに封入する前に、乳鉢及び乳棒を用いて塗布した。F(R)で表される拡散反射UV−visスペクトルを、Cary 300 UV−Visスペクトルメータ内において、BaSO4で被覆された積分球を備えた拡散反射アタッチメントを用いて収集した。以下の機器のパラメータ設定を用いた。
スキャンレート= 300nm
SBW(解像度)2.0nm
ビームモード=ダブルリバース
紫外可視変化=350nm
ベースライン補正モード
雑音補正モードへの信号
【0108】
(比較例)
1.比較例1
WO2008/106519における実施例1には、CuSSZ−13の多段階合成が記載されている。この合成は、2つの1M硫酸銅をSSZ−13のNH4形態に交換することで行われる。pH値は、良好なろ過を行うために、硝酸を添加して7.5に調整した。重要な合成条件、及び材料特性は表1及び2に記載している。
【0109】
2.比較例2
WO2008/106519における実施例18には、CuSSZ−13の多段階合成が記載されている。この合成は、2つの0.4M酢酸銅をSSZ−13のNH4形態に交換することで行われる。重要な合成条件、及び材料特性は表1及び2に記載している。
【0110】
3.比較例3
比較例2も、他の全ての実施形態において使用した、後述の実施例1B(揮発性物質を含まない状態で、32SiO2:Al23、及び 0.71質量%のNa2O) に記載されているNa−SSZ−13と同じバッチを用いて行った。WO2008/106519の実施例18に記載されている0.4M酢酸銅の交換を繰り返す前に、最初のアンモニウム交換をナトリウム除去のために実行した。最終組成物は、3.58質量%のCuO、100ppm未満のNa2O、及び32.6SiO2:Al22であった。重要な合成条件、及び材料特性は表1に記載している。
【0111】
4.比較例4
WO2008/106519における実施例19は、後述の実施例1B(揮発性物質を含まない状態で、32のSiO2:Al23、及び 0.71質量%のNa2O) に記載されているNa−SSZ−13と同じバッチを用いて行った。WO2008/106519の実施例18に記載されている0.3M酢酸銅の交換を繰り返す前に、最初のアンモニウム交換をナトリウム除去のために実行した。最終組成物は、3.31質量%のCuO、100ppm未満のNa2O、及び32.6SiO2:Al22であった。重要な合成条件、及び材料特性は表1に記載している。
【0112】
本発明の実施例:
例1−出発材料Na−SSZ13
例1A−出発材料Na−SSZ13(1)
テンプレートとしてのトリメチルアダマンアンモニウム水酸化物、及びOHの他のソースとしての水酸化ナトリウムを用いている米国特許4544538号において記載されているように、SSZ−13を結晶化させた。pH値を7.5に調整し、材料を濾過により回収し、600℃で焼成して、SSZ−13のNa−形を製造した。
【0113】
化学的解析により、材料は、揮発性物質を含まない状態で、31.8SiO2:Al23、及び 0.62質量%のNa2Oを含むことが示された。XRDにより、純粋なSSZ−13が得られたことが示された。DIN66131に従って測定された焼成材料のBET表面積は、663m2/gであった。
【0114】
実施例1B − 出発物質Na−SSZ13(2)
実施例1Aで記載したようにSSZ−13を合成した。化学的解析により、材料に揮発性物質を含まない状態で、32.3SiO2:Al23、及び 0.71質量%のNa2Oを含むことが示された。XRDにより、純粋なSSZ−13が得られたことが示された。DIN66131に従って測定された焼成材料のBET表面積は、613m2/gであった。なお、粉末の含水率は〜4.8質量%であった。
【0115】
2.Na−形の直接的な酢酸銅交換
2.1.1.試薬および懸濁液の調製(実施例2〜6)
以下の出発材料を用いた。
酢酸銅水和物
純水
実施例1Aのナトリウム菱沸石
【0116】
2.1.2.イオン交換の条件と化学分析(実施例#2〜#5)
表1は、実施例2〜5のイオン交換のための重要な合成パラメータを示す。一般的には、200gのNa−CHA(実施例1A)を室温(r.t.)でそれぞれの酢酸銅溶液800ml中に浸漬させ、ジャケット型の1Lのガラス製反応器中で撹拌した。交換スラリーの量を、既に定義されたように液体:固体が4:1となるように一定に保った。例外は、実施例5である。実施例5では、添加される固体量を125g(5.33液体:固体)に減らすことでCu:Alを調整した。30分後、循環加熱浴を用いて水ジャケットの温度を60℃に到達させた。交換ベッセル内の温度を温度計を用いて独立に測定しところ、その温度は、通常57〜58℃であった。交換スラリーを3時間、室温に保った。そして、541Whatmann濾過ペーパー(>25μmの濾過機能)を用いて、33cm径のBuechner漏斗を介して(付加的な冷却は行わない)熱濾過した。ろ液を室温まで冷却した後に収集し、そのpH値を測定した。その後、洗浄水の導電率が200μScm-1に達するまで、濾過試料を1Lの純水でバッチ洗浄した。なお、すべての濾過試料は、室温の洗浄水で洗浄した。
【0117】
Cu−CHA濾過試料におけるCuO、Na2O、及びAl23含有量を、
ICP分析により解析した。SiO2含有量を差分から算出した。すべての値は揮発性物質を含まない状態のものである。また、表1には、CuO及びNa2Oの量をまとめた。
【0118】
2.2.1.試薬および懸濁液の調製(実施例6)
以下の出発材料を用いた。
酢酸銅水和物
純水
実施例1Bのナトリウム菱沸石
【0119】
2.2.2.イオン交換条件と化学分析(実施例6)
更に、表1は、実施例6の調製におけるイオン交換のための重要な合成パラメータを示している。酢酸銅溶液を、4Lのジャケットのガラス反応器内で2822.5gの純水に57.5グラムの酢酸銅一水和物を溶解することで調製した。360グラムのNa−CHA(実施例1B)を添加する前に、この溶液を60℃に加熱した。すべてのゼオライトを溶液中に確保するために、150gの純水を反応器の洗浄に使用した。交換スラリーの量を、液体:固体が8:1となるように一定に保った。pHが4.75から4.5の範囲である間、温度を60℃で8時間保持した。イオン交換の8時間後、スラリーを541Whatmann濾過ペーパー(>25μmの濾過機能)を使用して、33cm径のBuechner漏斗を介して熱濾過した。その後、洗浄水の導電率が200μScm-1に達するまで、濾過ケークを純水で洗浄した。なお、すべての濾過試料は、室温の洗浄水で洗浄した。その後、得られた粉末を、120℃で16時間の間オーブンで乾燥させた。
【0120】
Cu−CHA濾過ケークにおけるCuO、Na2O、及びAl23含有量を、ICP分析により解析した。すべての値は揮発性物質を含まない状態のものである。また、表1は、CuOおよびNa2Oの負荷をまとめたものである。これらの含水率は〜15.8質量%であった。
【0121】
表1:酢酸銅の交換条件、NaCHAの直接交換についての収量と化学分析。さらに、NH4CHAの多段階の交換についての比較例の詳細。
【0122】
【表1】
【0123】
2の交換工程は、これらの条件を用いて実行した。収率は2交換工程の後にCuに対して計算した。
【0124】
3 触媒の製造、コア反応炉におけるエージング試験
3.1 触媒の被覆(実施例#2〜#5)
被覆されたモノリシックのテストスコアの調製のために、実施例2〜5に記載したように製造した濾過ケーク(600℃で1時間の間、空気中で焼成した後に測定した含水率が45%である)に、純水を添加することにより、38〜45%の固体含有率のスラリーとした。その後、Cu−CHAスラリーをセラミックボールミルで粉砕し、10μm未満(例えば4〜10μm)のD90のサイズの粒子とした。なお、粒子サイズは、前方レーザー散乱を利用するSYMPATEC社製の粒径分析器を用いて測定した。なお、触媒の固有の活性を検査するために、酸またはバインダーはスラリーに添加していない。粉砕したスラリーを、400cpisのセル密度と6ミル壁厚を有する、“1”直径及び“2”長さのセラミックモノリス(NGK)へ被覆した。目標の乾燥ゲインは、2.3g/in3であり、これは、WO2008/106519における活性触媒の量に対応する。一般的に、目標に達するために2〜3の被覆が必要であり、所望の目標乾燥ゲインの増加を満たすために、追加の被覆により固体含有率が調整される。各被覆の後に、コアを空気中において90°Cで3時間乾燥させた。最後の乾燥工程に続いて、マッフル漏斗内において空気雰囲気下で、450℃で1時間の焼成を行った。
【0125】
3.2 エージングと触媒試験(触媒の実施例#2〜#5)
管状炉内における10%のH2O、5%のO2、バランスN2を含むガス流中で、体積空間速度が80000h-1、850℃の温度下で、6時間の間、コアを熱水エージングした。このエージングの手順は、Cu−CHA SCR触媒の品質管理テストのために選択した。
【0126】
DeNOx活性は、実験炉の最大NH3スリップ条件における定常状態の条件下で、500ppmのNO、500ppmのNH3、10%のO2、5%のH2O、バランスN2の混合ガス中で測定した。なお、この測定は、体積空間速度が80000h-1で、200℃、250℃、300℃、及び450℃の温度条件下で行った。活性が250℃及び300℃において90%を超えていたので、低温である200℃と高温である450℃におけるNOx変換率が問題となり得る。
【0127】
表2は、このセクションで説明したコア・ベースの触媒試験炉における200℃及び450℃のエージング後のDeNOx活性を示している。
【0128】
表2:熱水エージングの後の200℃と450℃におけるDeNOx活性。
【0129】
【表2】
【0130】
4.触媒の製造、押出反応炉におけるエージング試験、
4.1 触媒の製造(触媒の実施例#6、比較例#3、#4)
比較例3及び4、及び実施例6から得られた粉末を、試験の前に、押出物として製造した。一般的な製造には、Stephan−Werke社製混合器(モデルナンバー:0ZDe042/4s)内において18gの水を20gの乾燥粉末に添加する工程が含まれる。なお、この工程で、混合速度は、1分あたり80回転である。これを均一になるまで約10分間混合した。その後、0.5gのポリエチレンオキシド(PEO)を添加し、均一になるまで2分間混合した。バインダーとして2.5質量%のPEOを混合物に添加した。その後、2gの水を徐々に添加し、ペーストを均一化するために約5分間混合した。そして、このペーストを、直径2ミリメートル且つ長さ10cmの押し出し穴に手製のプレス機で圧入した。得られた押出物を5時間120℃で乾燥し、5時間540℃で焼成した。その後、押出物をペレットのサイズに調整し、0.5〜1mmのペレットサイズに分離するために篩にかけた。このサイズの画分を反応器内におけるテストのために使用した。使用した篩は、Retsch社による500μm篩(S/N 04025277)及び1mm篩(S/N 04009529)であった。なお、これらの篩は、何れも200mmの直径と25mmの高さを有している。得られた触媒については、その粉末形態の実験名(すなわち、触媒例6は実施例6で製造される触媒)を保持する。
【0131】
4.2 エージング及び触媒試験(触媒の実施例#6、比較例#3及び#4)
エージング炉は、500ミリメートルの高さ及び18ミリメートルの内径を有し、直径が1mm厚さのスチールチューブ(Buhlmann Groupによるグレード1.4841)で構成した。試料の位置において内部熱電対によりモニタした目標反応温度に反応器を加熱するために、ニッケルマントルベースの炉を使用した。静的ミキサー内において残留ガスと混合する前に、鋼製プレスチーマーを用いて、調整された量の水を150℃の水に加熱することにより蒸気を製造した。ガスは蒸気とともに、目標温度に達するように予備加熱器を通過させた。
【0132】
セクション4.1に説明されているように生成された形成押出物を、管状炉内において、10%のH2O、5%のO2、バランスN2を含むガス流中で、体積空間速度が12500h-1、850℃の温度下で、6時間の間、熱水エージングした。これら触媒は、エージング状態として記載されている。得られた触媒については、その粉末形態の実験名(すなわち、触媒例3は実施例3で製造される触媒)を保持する。
【0133】
エージング触媒の試料を、準備した下記の反応炉を用いて、NOx活性の選択的触媒還元について評価した。
【0134】
反応器は、500ミリメートルの高さ及び18ミリメートルの内径を有し、1mm厚さのスチールチューブ(Buhlmann Groupによるグレード1.4841)で構成した。試料の位置において内部熱電対によりモニタした目標反応温度に反応器を加熱するために、銅マントルベースの炉を使用した。
【0135】
5ml(〜1.8 g)の試料を反応器に充填し、試料の各端部にシリカウールのプラグを固定した。空の反応器内部を不活性シリカ系材料(Ceramtek株式会社の製品である1.080001.01.00.00; 0.5〜1mm〜試料の底部45g及び試料の頂部108g)で充填することにより、試料の高さを調整した。
【0136】
500ppmのNO、500ppmのNH3、10%のO2、5%の蒸気、及びバランスHeを含む入口ガス混合物を生成した。静的ミキサー内において残留ガスと混合する前に、鋼製プレスチーマー(Buhlmannによるグレード1.4541、寸法は、内径6ミリメートルで長さが900ミリメートル)を用いて、調整された量の水を150℃に加熱し蒸気を製造した。その後、混合ガスを、250℃に設定した予備加熱器、及び前段落で説明したSCR反応器に入る前の静的ミキサーに通過させた。
【0137】
DeNOx活性を、FTIR分光計を用いて測定した。測定は、定常状態の条件下で、出口においてNOx、NH3及びN2O濃度を測定することにより行った。試料を、200℃と450℃の反応温度で試験した。さらに、試験は、体積空間速度が80000h-1で行っている。NO変換率を、((NO入口濃度(ppm)−NO出口濃度(ppm))/(NO入口濃度(ppm))×100として計算した。N2Oの生成を、ppm単位で濃度として記録した。
【0138】
表3には、押出ベース反応器において測定された、触媒実施例6、及び触媒比較例3及び4の200℃と450℃におけるエージングの後のDeNOx活性を示している。
【0139】
【表3】
【0140】
5 さらなる特性
5.1 H2昇温還元(H2−昇温還元法)
上述のように、Cu、H2−昇温還元法スペクトルの状態を特徴付けるために、実施例#2〜#4までのH2−昇温還元法スペクトルをとった。図1及び表4は、温度の関数として測定された実施例#2、#3、及び#4(CuOの量の影響を受けている)における水素消費量を示している。
【0141】
このスペクトルには、2つ主な還元信号が存在する。すなわち、約190℃の低温度における信号Iと、高い温度定における信号IIである。これらの試料中の水素消費量は、Cu2+からCu0への完全な還元に対応している。水素消費量の信号I及びIIは、銅イオンからCu金属への2価の還元と解釈することができ、信号IがCu2+からCu+への還元(反応1)に対応し、信号IIがCu+からCu0への還元(反応3)に対応する。信号Iには、約200℃〜220℃において1工程による、CuOからCu金属への還元(反応2)が寄与していても良い。
信号I: 1)Cu2++1/2H2=Cu++H+
2)CuO+H2=Cu+H2

信号II:3)Cu++1/2H2=Cu+H+
【0142】
【表4】
【0143】
5.2 UV−vis分光法による特徴付け
図2及び表5は、850℃で6時間のエージング後の、実施例#2〜#4のUV−visスペクトルを示している。すべてのスペクトルは、205〜210nm付近に主要な電荷移動(CT)バンドにおける共通の特徴を持っている。このバンドは、酸素配位子から二価の銅イオンへの電子遷移に寄与する。
【0144】
【表5】
【0145】
図3は、450℃における、UVバンドの半値半幅とNOx変換率との間の関係を示している。
【0146】
6.実施例7及び8:Na−形の直接酢酸銅交換のpH調整
6.1 試薬と懸濁液の調整
次の出発材料を用いた。
酢酸銅一水和物
酢酸
純水
実施例1Aのナトリウム菱沸石
【0147】
6.2 イオン交換条件及び化学分析
表6は、イオン交換のために重要な合成パラメータを示している。これらの試料についてすべての処理工程は、実施例2.1.2に記載されている。実施例8が、pHを調整するために酢酸を所定量添加しているのに対し、実施例7は、交換懸濁液に酢酸を添加していない。溶液のpHは、Na−CHAの添加前で、5.2〜4.7に調整した。
【0148】
2.1.2で説明したように、Cu−CHA濾過ケーク試料のCuO、Na2O、およびAl23含有量を測定した。
【0149】
表6:酢酸を使用してpH調整したNaCHAの直接交換のための酢酸銅の交換条件、収率、及び化学分析。
【0150】
【表6】
【0151】
6.3 触媒被覆
実施例3.1で説明したように被覆触媒を調製した。
【0152】
6.4 エージング及び触媒試験
エージング及び触媒試験手順は、実施例3.2(コアベース反応器)に記載されている。表7には、200℃及び450℃においてエージングした後のDeNOx活性を示している。
【0153】
【表7】
【0154】
7.銅アンモニア溶液を用いたNa−形の直接交換
7.1 実施例9:銅アンモニア溶液を用いたNa−形の60℃における直接交換
7.1.1 試薬および懸濁液の調整
以下の出発材料を使用した。
Cu(NH34(14.6質量%のCu)の水性溶液
純水
実施例1Bのナトリウム菱沸石
【0155】
7.1.2 イオン交換条件と化学分析
360gのNa−CHAを60°Cで0.05Mの銅テトラアミン溶液2880ml中に浸漬し、4Lのジャケット型ガラス反応器中で撹拌した。交換スラリーの体積を、液体:固体が8:1となるように一定に保った。pH値は12であった。交換スラリーを、この温度で8時間保持し、その後、541Whatmann濾過ペーパー(>25μmの濾過機能)を用いて、33cm径のBuechner漏斗を介して濾過した。その後、洗浄水の導電率が200μScm-1に達するまで、濾過ケークを洗浄した。なお、試料は、室温の洗浄水で洗浄した。
【0156】
化学分析により、揮発性物質が無い状態で、CuOが3.19質量%でNa2Oが1884ppmであることが分かった。製品におけるAl23に対するSiO2の比は32.3であった。
【0157】
Cuの収率は100%であった。
【0158】
7.2 実施例10:銅アンモニア溶液を用いたNa−形の室温直接交換。
7.2.1 試薬および懸濁液の調整
次の出発材料を用いた。
Cu(NH34(14.6質量%のCu)の水性溶液
純水
実施例1Bのナトリウム菱沸石
【0159】
7.2.2イオン交換条件と化学分析
360gのNa−CHAを室温(〜25℃)で0.05Mの銅テトラアミン溶液2880ml中に浸漬し、4Lのジャケット型ガラス反応器中で撹拌した。 ゼオライトを添加する前の銅テトラアミン溶液のpH値は、10.5と測定された。交換スラリーの体積を、液体:固体が8:1となるように一定に保った。交換スラリーを、この温度で6時間保持し(反応の終わりにおけるpHは8.6)、その後、541Whatmann濾過ペーパー(>25μmの濾過機能)を用いて、33cm径のBuechner漏斗を介して濾過した。その後、洗浄水の導電率が200μScm-1に達するまで、濾過ケークを洗浄した。なお、試料は、室温の洗浄水で洗浄した。
【0160】
化学分析により、揮発性物質が無い状態で、CuOが3.15質量%でNa2Oが1393ppmであることが分かった。製品におけるAl23に対するSiO2の比は31.3であった。
Cuの収率は99%であった。
【0161】
触媒(実施例9及び10)の製造
実施例4.1で説明したように押出物ベースの触媒を調製した。
【0162】
7.2 エージングと触媒試験
エージング及び触媒試験手順は、実施例4.2(押出物ベース反応器)に記載されている。表8は、200℃及び450℃においてエージングした後のDeNOx活性を示している。なお、比較例は表3に示した。
【0163】
【表8】
【0164】
8.比であるCu:Al、Na:Al、及びCu:Na
表9には、上述の実施例において説明した菱沸石分子篩における各比、Cu:Al、Na:Al、及びCu:Naを示ししている。
【0165】
【表9】
ND=非開示、N/A=適用が無い
図1
図2
図3