特許第5788915号(P5788915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788915
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】粒子分離器
(51)【国際特許分類】
   B64D 13/06 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   B64D13/06
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-5032(P2013-5032)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-147244(P2013-147244A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2013年1月16日
(31)【優先権主張番号】13/351,610
(32)【優先日】2012年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マコーリフ
(72)【発明者】
【氏名】ブレント ジェイ.メリット
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02642662(FR,A1)
【文献】 実開昭62−027708(JP,U)
【文献】 実開昭63−144853(JP,U)
【文献】 特開平10−235123(JP,A)
【文献】 特開2006−346538(JP,A)
【文献】 米国特許第03825212(US,A)
【文献】 特表2008−514179(JP,A)
【文献】 実開昭60−144924(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した近位端部から開口した遠位端部まで延びる第1のハウジングと、
第1のハウジング内に延在し、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられた1つまたは複数の通路を有する中空の管形状の第2のハウジングと、を備えており、
第2のハウジングは、第1のハウジングの開口した近位端部に隣接して配置された閉じた近位端部を有するとともに、第1のハウジング内で該第1のハウジングと同軸に配置された近位部分を有し、これにより、空気が前記近位部分の外側面と第1のハウジングの内側面との間を通って第1のハウジングを通過するように軸方向に流れることが可能となっていることを特徴とする粒子分離器。
【請求項2】
第2のハウジングは、複数の通路を有し、これらの複数の通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられていることを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項3】
第1のハウジングの開口した近位端部はベルマウスを含み、第1のハウジングは中空の管形状を有することを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項4】
前記1つまたは複数の通路は、第1のハウジング内に配置された第2のハウジングの側壁を貫通していることを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項5】
前記1つまたは複数の通路は、空気流が該1つまたは複数の通路を通過して第2のハウジングに入るためには方向転換が必要となるように、第1のハウジングを通過する空気流の方向に対して実質的に90°に設けられていることを特徴とする請求項4記載の粒子分離器。
【請求項6】
前記1つまたは複数の通路は、第2のハウジングに沿って互いに離間して設けられた複数のスロットを含み、各々のスロットは、約0.05〜0.10インチ(0.1〜0.2cm)の幅を有することを特徴とする請求項1記載の粒子分離器。
【請求項7】
各々のスロットは、第2のハウジングの周辺部に沿って異なる位置で終端となるように互いにオフセットされていることを特徴とする請求項6記載の粒子分離器。
【請求項8】
第2のハウジングの側面が、第1のハウジングの側壁に実質的に平行に延びており、前記1つまたは複数の通路は、第2のハウジングの側面を貫通していることを特徴とする請求項記載の粒子分離器。
【請求項9】
第2のハウジングは、少なくとも1つの湾曲部を有するとともに、第1のハウジングの側壁を通って延びていることを特徴とする請求項記載の粒子分離器。
【請求項10】
ラム空気ファン用の冷却アセンブリであって、
ラム空気ファンは、動作時に熱を発生する1つまたは複数の内部部品を有し、
ラム空気ファンの部品と流体的に連通するシュラウド付き粒子分離器を含み、このシュラウド付き粒子分離器は、開口した近位端部を有する第1のハウジングと、第1のハウジング内に配置された部分を有する中空の管形状の第2のハウジングと、を備え、第2のハウジングは、1つまたは複数の通路を有し、これらの通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられており、第2のハウジングは、第1のハウジングの開口した近位端部に隣接して配置された閉じた近位端部を有するとともに、第1のハウジング内で該第1のハウジングと同軸に配置された近位部分を有し、これにより、空気が前記近位部分の外側面と第1のハウジングの内側面との間を通って第1のハウジングを通過するように軸方向に流れることが可能となっていることを特徴とするラム空気ファン用の冷却アセンブリ。
【請求項11】
第1のハウジングの開口した近位端部はベルマウスを含み、第1のハウジングは中空の管形状を有することを特徴とする請求項10記載のラム空気ファン用の冷却アセンブリ。
【請求項12】
前記1つまたは複数の通路は、第1のハウジング内に配置された第2のハウジングの側壁を貫通していることを特徴とする請求項10記載のラム空気ファン用の冷却アセンブリ。
【請求項13】
前記1つまたは複数の通路は、空気流が該1つまたは複数の通路を通過して第2のハウジングに入るためには方向転換が必要となるように、第1のハウジングを通過する空気流の方向に対して実質的に90°に設けられていることを特徴とする請求項10記載のラム空気ファン用の冷却アセンブリ。
【請求項14】
第2のハウジングは、複数の通路を有し、これらの複数の通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられていることを特徴とする請求項10記載のラム空気ファン用の冷却アセンブリ。
【請求項15】
第2のハウジングの側面が、第1のハウジングの側壁に実質的に平行に延びており、前記1つまたは複数の通路は、第2のハウジングの側面を貫通していることを特徴とする請求項10記載のラム空気ファン用の冷却アセンブリ。
【請求項16】
動作時に熱を発生する1つまたは複数の部品と、
前記1つまたは複数の部品と流体的に連通するシュラウド付き粒子分離器と、を有し、このシュラウド付き粒子分離器は、開口した近位端部を有する第1のハウジングと、第1のハウジング内に配置された部分を有する中空の管形状の第2のハウジングと、を備え、第2のハウジングは、1つまたは複数の通路を有し、これらの通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられており、第2のハウジングは、第1のハウジングの開口した近位端部に隣接して配置された閉じた近位端部を有するとともに、第1のハウジング内で該第1のハウジングと同軸に配置された近位部分を有し、これにより、空気が前記近位部分の外側面と第1のハウジングの内側面との間を通って第1のハウジングを通過するように軸方向に流れることが可能となっていることを特徴とする環境制御システム。
【請求項17】
前記1つまたは複数の通路は、空気流が該1つまたは複数の通路を通過して第2のハウジングに入るためには方向転換が必要となるように、第1のハウジングを通過する空気流の方向に対して実質的に90°に設けられていることを特徴とする請求項16記載の環境制御システム。
【請求項18】
第2のハウジングは、複数の通路を有し、これらの複数の通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられていることを特徴とする請求項16記載の環境制御システム。
【請求項19】
第2のハウジングの側面が、第1のハウジングの側壁に実質的に平行に延びており、前記1つまたは複数の通路は、第2のハウジングの側面を貫通していることを特徴とする請求項16記載の環境制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子分離器に関し、特に、航空機の環境制御システムのためのシュラウド付き粒子分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機に搭載された環境制御システム(ECS)は、航空機の機室に調和空気を供給する。調和空気は、航空機の乗員の快適さのために所望の温度、圧力および湿度を有する。飛行高度における大気の圧縮は、結果として得られる圧縮空気を加熱するので、大気温度がかなり低い場合でも圧縮空気の冷却が必要となる。よって、ほとんどの状況では、空気を航空機の機室に供給する前にECSによって空気から熱を除去しなければならない。空気から熱が除去されるに従って、この熱は、ECSに流入してECS内の熱交換器を通って流れる別の空気流に放散され、この空気流は過剰な熱とともに航空機から放出される。航空機が十分な速度で移動している条件では、航空機に流入する空気の圧力は、過剰な熱を除去するのに十分な空気をECSおよび熱交換器に通過させる。
【0003】
ラム空気は通常の飛行条件では良好に機能するが、比較的低速の飛行や航空機が地上にあるときは、ラム空気圧力はECSから十分に熱を除去するために熱交換器を通過する十分な空気流を供給するには低すぎる。このような条件では、ECS熱交換器を通る必要な空気流を供給するためにECS内のラム空気ファンが使用される。
【0004】
典型的に、ラム空気ファンは、ファンの駆動に電気モータを使用する。これは、固定子によって駆動される回転子アセンブリによって達成される。固定子は、回転子アセンブリの駆動に使用される磁界の副生成物としてかなりの量の熱を発生させる。その上、回転子アセンブリを支持する軸受が典型的に熱を発生し、冷却を要する。これらの熱源により、電気モータは、外気などの供給源によって冷却する必要がある。よって、ECSのラム空気ファンの上流または下流から1つまたは複数の流路に沿ってラム空気ファンの固定子および軸受に空気が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却空気の集合入口は、ECS(および航空機)内のラム空気ファンに隣接する位置により、動作時に大量の(ほこりなどの)粒子にさらされる。よって、固定子および軸受に到達する粒子の量を減少させるために、固定子および軸受用の冷却空気を収集する1つまたは複数の粒子分離器を使用することが望ましい。残念ながら、逆J字管粒子分離器などの粒子分離器は、ラム空気ファンおよびその周囲の領域では得られない清浄な高速気流を要するので、逆J字管は冷却空気から粒子を除去する効果がない。よって、逆J字管などの粒子分離器は、ラム空気ファンの内部部品に粒子を含む冷却空気を供給することで、目詰まりなどの問題を生じたり所望でない方法で動作するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
粒子分離器は、第1のハウジングおよび第2のハウジングを含む。第1のハウジングは、開口した近位端部から開口した遠位端部まで軸に沿って延びる。第2のハウジングは、第1のハウジングの開口した近位端部に隣接して配置された閉じた近位端部を有する。第2のハウジングは、閉じた近位端部から第1のハウジングの軸と実質的に同じ軸に沿って第1のハウジング内に延びる。第2のハウジングは、第2のハウジングの閉じた近位端部から所定距離に配置された1つまたは複数の通路を有する。さらに、1つまたは複数の通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に配置されている。
【0007】
他の形態では、ラム空気ファン用の冷却アセンブリは、動作時に熱を発生するラム空気ファンの内部部品と、シュラウド付き粒子分離器と、を含む。シュラウド付き粒子分離器は、ラム空気ファンの部品と流体的に連通するように設けられている。シュラウド付き粒子分離器は、開口した近位端部を有する第1のハウジングと、第2のハウジングと、を備える。第2のハウジングは、第1のハウジング内に配置された部分を有する。第2のハウジングは、1つまたは複数の通路を有する。これらの通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられている。
【0008】
また他の形態では、環境制御システムが、動作時に熱を発生させる1つまたは複数の部品と、シュラウド付き粒子分離器と、を含む。シュラウド付き粒子分離器は、部品と流体的に連通するように設けられている。シュラウド付き粒子分離器は、開口した近位端部を有する第1のハウジングと、第2のハウジングと、を備える。第2のハウジングは、第1のハウジング内に配置された部分を有する。第2のハウジングは、1つまたは複数の通路を有する。これらの通路は、第1のハウジング内で該第1のハウジングの開口した近位端部から所定距離に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ラム空気ファンに冷却空気流を供給するシュラウド付き粒子分離器の断面図である。
図2A図1のシュラウド付き粒子分離器の断面図である。
図2B図2Aのシュラウド付き粒子分離器の透視図である。
図3】内側ハウジングに設けられた複数の通路を示す、シュラウド付き粒子分離器の内側ハウジングの近位端部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、環境制御システム(ECS)のためのシュラウド付き粒子分離器に関し、特に、ラム空気ファンのモータ固定子および軸受の冷却に使用されるシュラウド付き粒子分離器に関する。シュラウド付き粒子分離器は、ラム空気ファンの近傍を流れる乱気流からほこりなどの粒子を効果的に分離し、実質的に清浄な冷却空気流をモータ固定子およびジャーナル軸受に供給する。特に、シュラウド付き粒子分離器の外側ハウジングが、粒子を含む空気流が内側ハウジングの冷却通路に流れる前に、内側ハウジングの外面に対して空気流を整流する。冷却通路に到達したときには、粒子を含まない比較的軽い空気流の部分が、内側ハウジングの外面に対して実質的に90°方向転換して冷却通路に流入する十分に低い運動量を有する。比較的大きい粒子は、直線状の経路から方向転換して通路に入るには運動量が大きすぎる。冷却通路は、空気を引き込む一方で、ほこりなどの粒子が内側ハウジングに入らずに外側ハウジングを通過するように、動作条件および用途のパラメータに対応する寸法を有する。内側ハウジングに入ると、清浄な空気流は、内側ハウジング内の複数の湾曲部を通過してから、ダクト、ホースまたは同様の通路によってラム空気ファンに連通する。清浄な冷却空気流は、ラム空気ファン内で従来の手段によってモータ固定子および軸受に供給される。シュラウド付き粒子分離器は、ダクト構造の乱流領域において粒子を含む空気流内に配置できるとともに、目詰まりなどの副次的な負の作用を引き起こしたり粒子を含む空気を望ましくない位置に導かずに不要な粒子を分離できるので有利である。
【0011】
図1は、ラム空気ファン12、ケーシング14およびシュラウド付き粒子分離器16を含む環境制御ユニット(ECS)10の一部を示している。図1は、ファン外側ハウジング18、軸受ハウジング20、内側ハウジング22、ファンロータ24、モータ回転子26、モータ固定子28、シャフト30、スラストプレート32、スラスト軸受33、ジャーナル軸受34、端子箱36、冷却口38、および冷却管40を含むラム空気ファン12の断面を示している。ケーシング14は、ラム出口ヘッダ42を含む。シュラウド付き粒子分離器16は、外側ハウジング44と内側ハウジング46を含む。内側ハウジング46は、通路48を含む。
【0012】
ファン入口は、ラム空気圧力が十分でないときにラム空気ファン12によって動かされる空気流の供給源である。バイパス入口は、ラム空気圧力が十分なときにラム空気ファン12を通過する空気流の供給源である。バイパス入口およびファン入口からの空気流は、ファン出口を通ってラム空気ファン10から出てケーシング14に入る。
【0013】
図1に示すように、ラム空気ファン10は、米国特許第7394174号および第7757502号に開示された構成を有し、これらの特許は参照としてここに含まれる。よって、ラム空気ファン10の構成および動作は詳細に説明しない。ファン外側ハウジング18は、軸受ハウジング20と内側ハウジング22を囲む。(ファンケースを含む)ファン外側ハウジング18は、ファンストラットにおいて内側ハウジング22に取り付けられている。軸受ハウジング20は、ボルトによって内側ハウジング22に取り付けられている。ファンロータ24は、中心線CLに対して径方向で、シャフト30から軸受ハウジング20および内側ハウジング22の前方における隣接するファン外側ハウジング18まで延在する。特に、ファンロータ24は、タイロッド(符号なし)などの従来の手段によってシャフト30に取り付けられている。
【0014】
モータ回転子26とモータ固定子28は、軸受ハウジング20および内側ハウジング22内に配置されている。図示の実施例では、モータ回転子26は、モータ固定子28内に収容され、シャフト30に連結されている。モータ回転子28とシャフト30は、合わせてラム空気ファン10の回転軸を画定する。
【0015】
スラストプレート32および内側ハウジング22は、シャフト30のフランジ延長部を収容し、スラスト軸受33は、シャフト30のフランジ延長部とスラストプレート32の間、およびシャフト30のフランジ様部分と内側ハウジング22の間に配置されている。ジャーナル軸受34は、スラストプレート32の後方に配置されており、スラスト軸受33は、シャフト30と軸受ハウジング20の間に配置されている。さらに、ジャーナル軸受34は、シャフト30の後方部分に沿って配置されている。
【0016】
端子箱36は、外側バウジング18内に配置されており、電線などの電子機器が電線移送管(図示省略)によって内側ハウジング22に配線される。外側ハウジング18は、冷却管40を介して内側ハウジング22と連通する冷却口38も含む。図1に矢印で示されているように、冷却空気はシュラウド付き粒子分離器16で分離され、シュラウド付き粒子分離器16から入口38、管40および追加のダクト(図示省略)を通って内側ハウジング22に流れる。
【0017】
図1に示す実施例では、シュラウド付き粒子分離器16は、ケーシング14のラム出口ヘッダ42部分に隣接して(空気流の方向によって定められる)ラム空気ファン10の下流に配置されている。空気流の方向およびラム出口ヘッダ42に対するシュラウド付き粒子分離器16の相対的な配置は変更可能であり、空気流の量および速度などの動作基準、予測される粒子含有量、ラム空気ファンの動作速度、高度などによって必然的に決まる。市販の流体力学計算処理ソフトが、与えられた動作基準に従って、形状寸法やシュラウド付き粒子分離器16の配置などの基準の最適化を補助するのに利用可能である。
【0018】
シュラウド付き粒子分離器16は、ベルマウス状の近位端部を有するスリーブまたは管のような形状の外側ハウジング44を含む。内側ハウジング46は、外側ハウジング44内に配置される。図1に示す実施例では、内側ハウジング46は、管または導管の形状を有し、外側ハウジング44のベルマウスに隣接して閉じた近位端部を有する。内側ハウジング46の近位端部から所定距離において、通路48が内側ハウジング46を貫通する。後述するように、通路48は、実質的に清浄な空気流のみが冷却のために内側ハウジング46に流入するように、外側ハウジング44を通過する空気流から粒子を受け入れないような寸法および位置に設けられている。
【0019】
動作時には、ラム空気ファン12は、航空機に搭載されたECS10に設置され、ファン入口、バイパス入口およびファン出口に接続される。航空機が、ECS10の冷却の必要性を満たす十分なラム空気圧力を発生する十分な速さで移動しないときに、モータ固定子28を励磁するためにモータ固定子28に電気が供給される。これにより、モータ回転子26がラム空気ファン12の回転軸を中心に回転し、連結されたシャフト30およびファンロータ24を回転させる。ジャーナル軸受34およびスラスト軸受33が、回転部品のための低摩擦支持部を提供する。ファンロータ24は、回転するに従ってファン入口からの空気をファン外側ハウジング18を通ってファン出口に移動させる。
【0020】
軸受ハウジング20および内側ハウジング22内の部品は、スラスト軸受33、ジャーナル軸受34、モータ固定子28およびモータ回転子26を含む。これらの部品は、かなりの熱を発生し、動作時に冷却する必要がある。上述および図1に示したように、冷却空気が、スラスト軸受33、ジャーナル軸受34、モータ固定子28およびモータ回転子26を通過するように供給され、冷却を達成する。特に、冷却空気は、シュラウド付き粒子分離器16から入口38、管40および追加のダクトや通路(図示省略)を通して内側ハウジング22に流れる。冷却空気は、スラスト軸受33、ジャーナル軸受34、モータ固定子28およびモータ回転子26を通過した後、参照としてここに含まれる米国特許第7342332号に詳細に説明された当該技術で周知の方法で内側ハウジング22から出る。
【0021】
図2Aは、シュラウド付き粒子分離器16の断面を示している。図2Bは、シュラウド付き粒子分離器16の透視図である。シュラウド付き粒子分離器16は、外側ハウジング44と内側ハウジング46に加えて、支持部材50を含む。外側ハウジング44は、近位端部52と遠位端部54を含む。内側ハウジング46は、通路48に加えて、近位端部56、遠位端部58、第1の部分60、第1の湾曲部62、第2の部分64、第2の湾曲部66、第3の部分68、第3の湾曲部70および第4の部分72を含む。
【0022】
外側ハウジング44と内側ハウジング46は、支持部材50によってラム出口ヘッダ42に支持され、かつラム出口ヘッダ42に取り付けられており、支持部材50は、ラム出口ヘッダ42と外側ハウジング44の両方に連結されている。図2A図2Bに示す実施例では、外側ハウジング44は管形状を有し、近位端部52から遠位端部54まで湾曲部/エルボーを含まずに直線状に延びる。近位端部52は、ベルマウスを含む。外側ハウジング44と内側バウジング46は、シートメタルなどの軽量な耐久性材料によって製造可能である。
【0023】
図2A図2Bに示すように、内側ハウジング46は、管状の構造を有し、近位端部56から遠位端部58まで延びる。内側ハウジング46の一部は、外側ハウジング44内に配置され、外側ハウジング44の対称軸と同じ対称軸に沿って延びる。よって、第2の内側ハウジング46は、第1の外側ハウジング44内で同軸に配置された第1の近位部分60を有する。図示の実施例では、外側ハウジング44内に配置された部分は、ふた付き近位端部56、第1の部分および通路48である。他の実施例では、近位端部56や第1の部分60などの内側ハウジング46の部分は、外側ハウジング44の近位端部52を超えて延びてもよい。
【0024】
内側ハウジング46は、外側ハウジング44の遠位端部54の近傍から延びる中空の管を含む。近位端部56は、閉じた半球形またはドーム形の端部を有し、直線状の第1の部分60へと遷移する。通路48が、第1の部分60の側面を貫通して設けられ、外側ハウジング44および内側ハウジング46の近位端部52,56から所定距離だけ引っ込んでいる(recessed)。また、通路48は、外側ハウジング44の側壁53からも引っ込んでいる。後述するように、空気流が方向転換して通路48を通って内側ハウジング46に流入するように、通路48は第1の部分50の外側面を横切って外側ハウジング44を通過する空気流の方向からオフセットされている。一実施例では、通路48は、外側ハウジング44を通過する空気流に対して実質的に90°オフセットされるように、第1の部分60の側面に沿って内側ハウジング46に設けられている。
【0025】
近位端部56および/または52に対して通路がどの程度引っ込んで設けられるかは、実施例によって異なり、動作条件によって決まる。上述したように、シュラウド付き粒子分離器16の位置および寸法は変動し、流体力学計算処理ソフトによって決定することができる。よって、通路48の寸法、形状および数などの幾何学的な設計の詳細は、実施例によって異なる。図示の実施例では、外側ハウジング44は、約4.0インチ(10.2cm)の直径を有し、内側ハウジングは、約2.0インチ(5.10cm)の直径を有し、通路48の幅は、約0.05〜0.10インチ(0.1〜0.2cm)であり、通路48の近位端部52からの距離は、約2.66インチ(6.8cm)である。
【0026】
第1の部分60は、外側ハウジング44と実質的に一致する対称軸を有する。よって、第1の部分60の側面は、外側ハウジング44の側壁53から所定距離だけ離間して側壁53に実質的に平行に延びている。直線状の第1の部分60は、第1の湾曲部62を介して直線状の第2の部分64へと遷移する。第1の湾曲部62は、第1の曲率半径を有する。第1の曲率半径は、第2の湾曲部66および第3の湾曲部70の曲率半径と同じでも異なっていてもよい。第1の湾曲部62は、第2の部分64に接続される前に外側ハウジング44を通過する。直線状の第2の部分64は、第2の湾曲部66を介して直線状の第3の部分68に遷移する。第3の部分68は、ラム出口ヘッダ42を通過し、第4の部分72に接続される。直線状の第4の部分72は、内側ハウジング46の遠位端部58で終端となる。
【0027】
上述したように、遠位端部58は、従来の手段によって、ラム空気ファン12(図1参照)の内部部品に清浄な冷却空気ACを導くダクト、管または同様の通路(図示省略)に連結可能である。
【0028】
動作時には、シュラウド付き粒子分離器16は、図2Aに示すように、粒子を含む空気流Aが外側ハウジング44の近位端部52に入るために方向転換しなければならないように配置される。近位端部52におけるベルマウスは、乱流の整流を補助するように機能し、近位端部52から遠位端部54まで直線状で曲率半径がない外側ハウジング44の設計は、外側ハウジング44を通過する混入粒子が流れる経路を、内側ハウジング46の第1の部分60の外側面および外側ハウジング44の側壁53の内側に対して直線状にする効果を有する。通路48に到達すると、粒子を含まない比較的軽い空気流の部分が、第1の部分60の外面に対して実質的に90°方向転換して通路48に流入する十分に低い運動量を有する。一実施例では例えば0.2ミル(5ミクロン)以上の比較的大きい粒子は、直線状の流れ経路から方向転換して通路48に入るには運動量が大きすぎる。シュラウド付き粒子分離器16は、このように空気流から粒子を分離するように機能する。分離されて内側ハウジング46の内部にある冷却空気ACは、内側ハウジング46に沿って運ばれ、適切な手段によってラム空気ファン12またはECS10の他の部分に供給される。
【0029】
図3は、内側ハウジング46の近位端部56および第1の部分60を示している。図3に示すように、近位端部56は閉じている。通路48は、第1の部分60を貫通し、近位端部56から所定距離に設けられている。図示の実施例では、通路48は、内側ハウジング46の周辺部の一部にわたって延びるスロットである。これらのスロットは、第1の部分60に沿って千鳥状のパターンで互いにオフセットされており、各々のスロットは、第1の部分の周辺部に沿った異なる位置で終端となっている。上述したように、これらのスロットの幅は、一実施例では、約0.05〜0.10インチ(0.1〜0.2cm)である。
【0030】
例示的な実施例を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が可能であり、本発明の要素を同等物に置き換えることができることは当業者には理解されよう。例えば、冷却通路48の寸法、形状および数が変更可能である。内側および外側ハウジング44,46の相対的な寸法および形状も変更可能である。シュラウド付き粒子分離器16は、ECS10の他の構成要素または航空機の他の装置と共に使用することができる。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況や材料を本発明の教示に採用するために多くの改良を行うことができる。よって、本発明は、開示された特定の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲内の全ての実施例を含むものである。
【符号の説明】
【0031】
16…シュラウド付き粒子分離器
42…ラム出口ヘッダ
44…外側ハウジング
46…内側ハウジング
48…通路
50…支持部材
52…近位端部
53…側壁
54…遠位端部
56…近位端部
58…遠位端部
60…第1の部分
62…第1の湾曲部
64…第2の部分
66…第2の湾曲部
68…第3の部分
70…第3の湾曲部
72…第4の部分
図1
図2A
図2B
図3