特許第5788937号(P5788937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788937車両用開閉体制御装置及び車両用開閉システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788937
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】車両用開閉体制御装置及び車両用開閉システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/42 20150101AFI20150917BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20150917BHJP
   B60J 5/06 20060101ALN20150917BHJP
   E05F 15/659 20150101ALN20150917BHJP
   E05F 15/79 20150101ALN20150917BHJP
【FI】
   E05F15/42
   B60J5/00 D
   !B60J5/06 A
   !E05F15/659
   !E05F15/79
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-179490(P2013-179490)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48606(P2015-48606A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2014年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】錦邉 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 康平
(72)【発明者】
【氏名】早川 俊介
(72)【発明者】
【氏名】人見 佳典
(72)【発明者】
【氏名】勝田 武司
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−221652(JP,A)
【文献】 特開2007−138444(JP,A)
【文献】 特開2003−148048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開閉体を開閉作動させる開閉駆動装置と、
前記開閉体による異物の挟み込みを検出する挟み込み検出器と、
前記開閉駆動装置の駆動により前記開閉体を開閉作動させるための開閉操作を検出する開閉操作検出器と、
前記開閉体の開作動時及び閉作動時において、異物の挟み込みを検出した場合及び開閉操作を検出した場合には、前記開閉体の作動範囲の途中位置で該開閉体が停止するように前記開閉駆動装置の作動を制御する制御器とを備え、
前記開閉駆動装置には、該開閉駆動装置の駆動源となるモータと前記開閉体との間の駆動力伝達を断接可能な電磁クラッチが設けられ、
前記制御器は、前記開閉体を途中位置で停止させる場合には、車載電源の電圧に基づく駆動電力を供給して前記電磁クラッチを接続状態とし、該開閉体を途中位置で停止させてから所定保持時間経過後に前記電磁クラッチへの駆動電力の供給を停止して遮断状態とするものであり、
前記所定保持時間は、異物の挟み込みを検出した場合と開閉操作を検出した場合とで異なる車両用開閉体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記所定保持時間は、異物の挟み込みを検出した場合の方が、開閉操作を検出した場合よりも長い車両用開閉体制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記開閉操作検出器は、異物の挟み込みにより前記開閉体が途中位置で停止している場合において、検出した開閉操作が有効となる有効開閉操作検出器と、検出した開閉操作が無効となる無効開閉操作検出器とを有する車両用開閉体制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記有効開閉操作検出器には、前記開閉体と一体的に移動可能に設けられた一体開閉操作検出器が含まれる車両用開閉体制御装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記有効開閉操作検出器には、運転席領域に設けられた運転席開閉操作検出器が含まれる車両用開閉体制御装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記無効開閉操作検出器には、携帯可能な携帯機に設けられた携帯機開閉操作検出器が含まれる車両用開閉体制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記有効開閉操作検出器は、前記開閉体と一体的に設けられた一体開閉操作検出器、及び運転席領域に設けられた運転席開閉操作検出器のみである車両用開閉体制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記制御器は、前記車載電源の電圧が電圧判定閾値以下の場合には、前記電磁クラッチに供給する駆動電力を減少させる車両用開閉体制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記電圧判定閾値は、異物の挟み込みを検出した場合と開閉操作を検出した場合とで異なる車両用開閉体制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両用開閉体制御装置を備えた車両用開閉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用開閉体制御装置及び車両用開閉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、開閉駆動装置の作動を制御することによりスライドドア等の開閉体を開閉作動させる車両用開閉体制御装置が搭載されたものがある。こうした車両用開閉体制御装置には、開閉駆動装置の駆動による開閉体の開閉作動時に、異物が挟み込まれたことを検出する機能を有するものがある。なお、挟み込み検出の方法としては、開閉駆動装置の駆動源となるモータに供給される電流変化や開閉体の速度変化等に基づいて行うもの(例えば、特許文献1)、あるいはタッチセンサ(感圧センサ)等を用いて行うもの(例えば、特許文献2)が知られている。そして、異物の挟み込みを検出すると、開閉体を反転させることで該異物の挟み込みを解消するようにしている。また、近年では、開閉体を反転させた後に所定距離だけ移動させて作動範囲の途中位置で該開閉体を停止させることが提案されており(特許文献2の段落[0040]、非特許文献1等)、反転した開閉体によって同じ異物が再度挟み込まれることを抑制している。
【0003】
また、車両用開閉体制御装置には、開閉駆動装置の駆動による開閉体の開閉作動時に、ユーザによる開閉操作(例えば、ドアハンドルに対する操作入力等)を検出すると、開閉体をその作動範囲の途中位置で停止させる機能を有するものがある(例えば、特許文献3,4)。これにより、例えば雨天時等において開閉体の開き量をユーザが乗り降りできる最低限の開き量とすることが可能になり、利便性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−2110号公報
【特許文献2】特開2013−92019号公報
【特許文献3】特開2012−36569号公報
【特許文献4】特開2012−219469号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「マツダMPV新型車解説書」、マツダ自動車株式会社、2008年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常、開閉駆動装置には、モータと開閉体との間の駆動力伝達を断接可能な電磁クラッチが設けられており、開閉体を途中位置で停止させる場合には、電磁クラッチに駆動電力を供給して接続状態とすることでモータの保持トルク(コギングトルク)に基づく保持力で開閉体の位置を途中位置で保持している。これにより、例えば坂路停車時に開閉体が自重で移動することを抑制している。
【0007】
しかし、電磁クラッチを接続状態としている間は、該電磁クラッチに駆動電力を供給し続けなければならないため、開閉体を途中位置で停止させておく時間が長くなると、車載電源(バッテリ)の電圧が低下するという問題があり、その改善が求められていた。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車載電源の電圧低下を抑制できる車両用開閉体制御装置及び車両用開閉システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、車両の開閉体を開閉作動させる開閉駆動装置と、前記開閉体による異物の挟み込みを検出する挟み込み検出器と、前記開閉駆動装置の駆動により前記開閉体を開閉作動させるための開閉操作を検出する開閉操作検出器と、前記開閉体の開作動時及び閉作動時において、異物の挟み込みを検出した場合及び開閉操作を検出した場合には、前記開閉体の作動範囲の途中位置で該開閉体が停止するように前記開閉駆動装置の作動を制御する制御器とを備え、前記開閉駆動装置には、該開閉駆動装置の駆動源となるモータと前記開閉体との間の駆動力伝達を断接可能な電磁クラッチが設けられ、前記制御器は、前記開閉体を途中位置で停止させる場合には、車載電源の電圧に基づく駆動電力を供給して前記電磁クラッチを接続状態とし、該開閉体を途中位置で停止させてから所定保持時間経過後に前記電磁クラッチへの駆動電力の供給を停止して遮断状態とするものであり、前記所定保持時間は、異物の挟み込みを検出した場合と開閉操作を検出した場合とで異なる。
【0010】
上記構成によれば、開閉体が途中位置で停止してから所定保持時間経過後に電磁クラッチへの駆動電力の供給が停止されるため、車載電源の電圧が低下することを抑制できる。そして、上記構成では、所定保持時間が異物の挟み込みを検出した場合と開閉操作を検出した場合とで異なるため、利便性等を保ちつつ、車載電源の電圧低下を車両用開閉体制御装置の特性や仕様等に応じて好適に抑制できる。
【0011】
上記車両用開閉体制御装置において、前記所定保持時間は、異物の挟み込みを検出した場合の方が、開閉操作を検出した場合よりも長いことが好ましい。
ここで、異物の挟み込みを検出した場合、開閉体は、ユーザの意思ではなく、異物により移動が妨げられたことに起因して停止する。そのため、ユーザが状況を確認して異物を取り除く時間等が必要であることから、電磁クラッチによって開閉体が保持されている時間が短いと、例えば異物を取り除いている最中に開閉体が自重等により意図せず移動することがあり、利便性が著しく低下する虞がある。一方、開閉操作を検出した場合、開閉体は、ユーザの意思により停止する。そのため、ユーザが状況を略把握していることから、電磁クラッチを接続状態として開閉体位置が保持されている時間が短くても、利便性が低下し難い。したがって、上記構成のように所定保持時間を、異物の挟み込みを検出した場合の方が、開閉操作を検出した場合よりも長くすることで、利便性を保ちつつ、車載電源の電圧低下を抑制できる。
【0012】
上記車両用開閉体制御装置において、前記開閉操作検出器は、異物の挟み込みにより前記開閉体が途中位置で停止している場合において、検出した開閉操作が有効となる有効開閉操作検出器と、検出した開閉操作が無効となる無効開閉操作検出器とを有することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、異物の挟み込みを検出して開閉体を停止させた場合において、ユーザにより開閉操作が行われても、開閉体が開閉作動しないようにすることが可能になる。
上記車両用開閉体制御装置において、前記有効開閉操作検出器には、前記開閉体と一体的に移動可能に設けられた一体開閉操作検出器が含まれることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、異物の挟み込みを検出して開閉体を停止させた場合において、一体開閉操作検出器によって開閉操作を検出すると、開閉体を開閉作動させる。そのため、例えば開閉体の近傍に来て異物を取り除いたユーザがその場で開閉体を再び開閉作動させることができ、利便性を向上させることができる。
【0015】
上記車両用開閉体制御装置において、前記有効開閉操作検出器には、運転席領域に設けられた運転席開閉操作検出器が含まれることが好ましい。
上記構成によれば、異物の挟み込みを検出して開閉体を停止させた場合において、運転席開閉操作検出器によって開閉操作を検出すると、開閉体を開閉作動させる。そのため、例えば運転者となるユーザが運転席から離れずに開閉体を再び開閉作動させることが可能になり、利便性を向上させることができる。
【0016】
上記車両用開閉体制御装置において、前記無効開閉操作検出器には、携帯可能な携帯機に設けられた携帯機開閉操作検出器が含まれることが好ましい。
上記構成によれば、異物の挟み込みを検出して開閉体を停止させた場合において、携帯機開閉操作検出器によって開閉操作を検出しても、当該操作を無効として開閉体を開閉作動させない。そのため、例えば開閉体から離れており、異物が取り除かれているか否かを識別し難いユーザが開閉操作を行うことで、異物が取り除かれていない状態のまま開閉体が開閉作動することを抑制できる。
【0017】
上記車両用開閉体制御装置において、前記有効開閉操作検出器は、前記開閉体と一体的に設けられた一体開閉操作検出器、及び運転席領域に設けられた運転席開閉操作検出器のみであることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、一体開閉操作検出器及び運転席開閉操作検出器以外の開閉操作検出器により開閉操作を検出しても、当該操作を無効として開閉体を開閉作動させない。そのため、例えば開閉体から離れており、異物が取り除かれていない状態のまま開閉体が開閉作動することを効果的に抑制できる。
【0019】
上記車両用開閉体制御装置において、前記制御器は、前記車載電源の電圧が電圧判定閾値以下の場合には、前記電磁クラッチに供給する駆動電力を減少させることが好ましい。
上記構成によれば、車載電源の電圧が電圧判定閾値以下になると、電磁クラッチに供給される駆動電力が減少するため、車載電源の電圧低下を遅らせることができる。
【0020】
上記車両用開閉体制御装置において、前記電圧判定閾値は、異物の挟み込みを検出した場合と開閉操作を検出した場合とで異なることが好ましい。
上記構成によれば、判定閾値が異物の挟み込みを検出した場合と開閉操作を検出した場合とで異なるため、利便性等を保ちつつ、車載電源の電圧低下を車両用開閉体制御装置の特性や仕様等に応じて好適に遅らせることができる。
【0021】
上記課題を解決する車両用開閉システムは、上記のいずれかの構成の車両用開閉体制御装置を備える。
上記構成によれば、車載電源の電圧低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車載電源の電圧低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】パワースライドドア装置の概略構成図。
図2】パワースライドドア装置のブロック図。
図3】スライドドアの作動範囲を示す模式図。
図4】スライドドアの開閉制御の処理手順を示すフローチャート。
図5】開作動制御の処理手順を示すフローチャート。
図6】閉作動制御の処理手順を示すフローチャート。
図7】第1実施形態の挟み込み停止制御の処理手順を示すフローチャート。
図8】第1実施形態の開閉操作停止制御の処理手順を示すフローチャート。
図9】第2実施形態の挟み込み停止制御の処理手順を示すフローチャート。
図10】第2実施形態の開閉操作停止制御の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、車両用開閉体制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両ボディ1の側部には、開口部としてのドア開口2が形成されている。ドア開口2の上縁及び下縁には、車両前後方向に延びるようにアッパレール3及びロアレール4がそれぞれ設置されている。また、車両ボディ1の側部におけるドア開口2の車両後方側(図1中、右側)には、車両前後方向に延びるようにセンターレール5が設置されている。なお、本実施形態の各レール3〜5は、車両前端側が車内側に湾曲するように形成されている。各レール3〜5には、それぞれローラ6を介して開閉体としてのスライドドア7が車両前後方向に移動可能に支持されている。そして、スライドドア7は、車両前後方向に移動することによりドア開口2を開閉する。具体的には、スライドドア7は、閉方向となる車両前方側(図1中、左側)に移動することによりドア開口2を閉塞した閉状態とし、開方向となる車両後方側に移動することによりドア開口2をユーザが乗降可能な開状態とする。
【0025】
スライドドア7には、ドア開口2を閉状態とする全閉位置Pcでスライドドア7を保持する全閉ロック(ラッチ機構)11が設けられている。なお、本実施形態の全閉ロック11には、ラッチ(図示略)をストライカ(図示略)に引き込むことにより、スライドドア7を全閉位置Pcで保持する周知の構成が採用されている。また、スライドドア7には、ドア開口2を開状態とする全開位置Poでスライドドア7を保持する全開ロック12が設けられている。なお、本実施形態の全開ロック12には、車両ボディ1に設けられた係合ピン(図示略)に対してフック(図示略)を係脱させことにより、スライドドア7を全開位置Poで保持する周知の構成が採用されている。
【0026】
スライドドア7の外表面(意匠面)を構成するアウターパネル13には、スライドドア7を開閉する際に操作されるドアハンドル14が設けられている。ドアハンドル14には、可動式のハンドグリップ15が設けられている。なお、本実施形態のハンドグリップ15は、車両後方側に操作することにより、車両前方側の端部が引き起こされる周知の構成を有している。そして、ドアハンドル14は、ワイヤ等の伝達部材を介して全閉ロック11及び全開ロック12と機械的に連結されている。これにより、ドアハンドル14に対する操作入力は、その把持部を構成するハンドグリップ15の動作に基づいて全閉ロック11及び全開ロック12へと伝達される。なお、スライドドア7の内表面を構成するインナーパネルにも同様に、ドアハンドル(ともに図示略)が設けられている。
【0027】
このように構成されたスライドドア7では、全閉位置Pcにあるスライドドア7の開方向への移動、又は全開位置Poにあるスライドドア7の閉方向への移動は、ユーザのドアハンドル14への操作入力に基づいて全閉ロック11又は全開ロック12によるスライドドア7の保持が解除されることで許容される。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、車両には、車両用開閉体制御装置としてのパワースライドドア装置21が搭載されており、このパワースライドドア装置21及びスライドドア7により車両用開閉システム20が構成されている。パワースライドドア装置21は、スライドドア7を開閉作動させる開閉駆動装置22と、その作動を制御する制御器としてのドアECU23とを備えている。なお、ドアECU23は、車載電源(バッテリ)24に接続されており、この車載電源24の電圧に基づく駆動電力の供給を通じて開閉駆動装置22の作動を制御する。ちなみに、ドアECU23がスライドドア7に設けられるか車両ボディ1に設けられるかは問わない。
【0029】
詳しくは、図2に示すように、開閉駆動装置22は、スライドアクチュエータ25と、クローザアクチュエータ26と、リリースアクチュエータ27とを備えている。スライドアクチュエータ25は、適宜の伝達機構(図示略)を介してスライドドア7に連結されており、スライドドア7が開閉可能な状態で、該スライドドア7を開閉作動させる。クローザアクチュエータ26は、適宜の伝達機構(図示略)を介して全閉ロック11に連結されており、半ドア状態のスライドドア7を全閉位置Pcまで移動させて全閉ロック11により保持させる。リリースアクチュエータ27は、適宜の伝達機構(図示略)を介して全閉ロック11及び全開ロック12に連結されており、全閉ロック11によるスライドドア7の全閉位置Pcでの保持を解除させるとともに、全開ロック12によるスライドドア7の全開位置Poでの保持を解除させる。
【0030】
より詳しくは、スライドアクチュエータ25は、駆動源となるスライドモータ31と、電磁クラッチ32と、パルスセンサ33とを備えている。スライドモータ31は、ドアECU23から供給される駆動電力によってその回転方向や回転数等が制御される。電磁クラッチ32は、ドアECU23から供給される駆動電力の有無によって、スライドモータ31の回転をスライドドア7に伝達可能な接続状態と、スライドモータ31の回転をスライドドア7に伝達不能な遮断状態とが切り替えられる。そして、スライドモータ31は、電磁クラッチ32を介してスライドドア7(伝達機構)に連結されている。なお、電磁クラッチ32を遮断状態とすることにより、スライドドア7がスライドモータ31を回転させることなく移動可能になるため、ユーザが大きな力を加えずともスライドドア7を手動で開閉させることが可能になる。
【0031】
パルスセンサ33は、スライドモータ31の回転に応じて位相の異なる2つのパルス信号をドアECU23に出力する。そして、ドアECU23は、所定位置(例えば、全閉位置Pc)を基準としてパルス信号のパルス数を計測することにより、スライドドア7のドア位置(開閉位置)を検出する。また、ドアECU23は、2つのパルスセンサ33から入力されるパルス信号のパルスの入力順に基づいて、スライドモータ31の回転方向、すなわちスライドドア7の作動方向を検出する。さらに、ドアECU23は、検出したドア位置を微分することによりスライドドア7の作動速度Vを検出する。つまり、本実施形態では、パルスセンサ33及びドアECU23により開閉体位置検出器が構成されている。
【0032】
クローザアクチュエータ26は、駆動源となるクローザモータ34と、ハーフラッチスイッチ35と、フルラッチスイッチ36とを備えている。クローザモータ34は、ドアECU23から供給される駆動電力によってその回転方向や回転数等が制御される。ハーフラッチスイッチ35は、ラッチが抜け止め状態をとることによりスライドドア7が半ドア状態になると、そのオンオフ状態が変化する。フルラッチスイッチ36は、ラッチがストライカに完全に嵌り込むことによりスライドドア7が全閉位置Pcで保持されると、そのオンオフ状態が変化する。
【0033】
ドアECU23は、開閉駆動装置22を駆動してスライドドア7を閉方向に移動(閉作動)させる際において、スライドドア7が全開位置Poにある場合には、リリースアクチュエータ27を駆動して全開ロック12によるスライドドア7の保持を解除する。続いて、スライドドア7が開閉可能な状態になると、スライドアクチュエータ25を駆動してスライドドア7を閉作動させる。そして、ドアECU23は、ハーフラッチスイッチ35のオンオフ状態に基づいてスライドドア7が半ドア状態になったことを検出すると、クローザアクチュエータ26の作動を制御し、ラッチをストライカに引き込むことにより、全閉ロック11によってスライドドア7を全閉位置Pcで保持する。なお、ドアECU23は、スライドドア7が全閉位置Pcで保持された状態では、電磁クラッチ32を遮断状態とする。
【0034】
一方、ドアECU23は、開閉駆動装置22を駆動してスライドドア7を開方向に移動(開作動)させる際において、スライドドア7が全閉位置Pcにある場合には、リリースアクチュエータ27を駆動して全閉ロック11によるスライドドア7の保持を解除する。続いて、スライドドア7が開閉可能な状態になると、スライドアクチュエータ25を駆動してスライドドア7を開作動させる。そして、ドアECU23は、予め設定された全開範囲内でスライドドア7が停止状態になったと判定した場合に、該スライドドア7が全開ロック12によって全開位置Poで保持されたと判定する。なお、ドアECU23は、スライドドア7が全開位置Poで保持された状態では、電磁クラッチ32を遮断状態とする。
【0035】
なお、図3に示すように、全開範囲は、全開位置Poと該全開位置Poよりも閉方向側の全開擬制位置Po´との間の範囲であり、スライドドア7やレール3〜5等の各構成部品の寸法公差等に起因して全開ロック12によりスライドドア7が保持される位置が車両毎にばらつくことを考慮して設定されている。また、ドアECU23は、パルスセンサ33のパルス信号に基づいて検出されるスライドドア7の作動速度Vが所定の停止判定時間以上継続して速度判定閾値Vth以下となった場合に、スライドドア7が停止状態になったと判定する。
【0036】
また、図2に示すように、ドアECU23には、例えばインストルメントパネル等の運転席領域に設けられた運転席開閉操作検出器としての運転席スイッチ41と電気的に接続されている。なお、運転席領域は、運転席に着座したユーザが操作可能な領域であり、インストルメントパネルの他、ルームランプの周囲、Aピラー、コンソールボックス、あるいはスイングドアのインナーパネル等を含む。また、ドアECU23は、ドアハンドル14と一体的に設けられた一体開閉操作検出器としてのハンドルスイッチ42と電気的に接続されている。さらに、ドアECU23は、車両ボディ1のピラー1a(Bピラー)における車内側に設けられたピラースイッチ43と電気的に接続されている。さらにまた、ドアECU23は、ユーザの携帯する携帯機(電子キー)44との間で無線通信を行うレシーバECU45と電気的に接続されている。
【0037】
詳しくは、運転席スイッチ41は、オープンスイッチ41a及びクローズスイッチ41bの2つのスイッチにより構成されている。オープンスイッチ41aは、ユーザにより押圧操作されることで、開操作信号をドアECU23に出力し、クローズスイッチ41bは、閉操作信号をドアECU23に出力する。ハンドルスイッチ42は、ユーザによるドアハンドル14への操作入力に応じて、トリガ信号をドアECU23に出力する。トリガ信号は、ドアECU23に入力されると、直前のスライドドア7の作動方向とは逆方向の操作信号(例えば、直前にスライドドア7が開作動していた場合は閉操作信号)として認識される。ピラースイッチ43は、ユーザにより押圧操作されることで、ハンドルスイッチ42と同様にトリガ信号をドアECU23に出力する。携帯機44には、携帯機開閉操作検出器としての携帯機スイッチ44aが設けられている。そして、レシーバECU45は、携帯機44の携帯機スイッチ44aの押圧操作に伴う送信信号を受信することで、ハンドルスイッチ42と同様にトリガ信号をドアECU23に出力する。
【0038】
そして、ドアECU23は、開操作信号が入力されると開閉駆動装置22の駆動によりスライドドア7を全開位置Poに向けて開作動させる開作動制御を実行し、閉操作信号が入力されると開閉駆動装置22の駆動によりスライドドア7を全閉位置Pcに向けて閉作動させる閉作動制御を実行する。つまり、本実施形態では、運転席スイッチ41、ハンドルスイッチ42、携帯機44の携帯機スイッチ44aが、開閉駆動装置22の駆動によりスライドドア7を開閉動作させるための開閉操作を検出する開閉操作検出器にそれぞれ相当する。
【0039】
また、本実施形態のドアECU23は、ユーザによる開閉操作を検出しない場合であっても、スライドドア7が全開範囲内にある状態から自重等により閉方向に移動して全開擬制位置Po´を越えた場合には、開閉駆動装置22を駆動してスライドドア7を閉作動させる、すなわち閉作動制御(アシスト閉作動制御)を実行する。
【0040】
次に、ドアECUによるスライドドアの開閉制御の処理手順について説明する。なお、ドアECU23は、下記の各ステップに示す処理を所定周期毎に実行する。
図4のフローチャートに示すように、ドアECU23は、先ず開作動信号が入力されたか否かを判定し(ステップ101)、開作動信号が入力されたと判定した場合(ステップ101:YES)には、開閉駆動装置22の作動を制御してスライドドア7を開作動させるべく、開作動制御を実行する(ステップ102)。
【0041】
一方、ドアECU23は、開作動信号が入力されていないと判定した場合には(ステップ101:NO)、閉作動信号が入力されたか否かを判定する(ステップ103)。そして、閉作動信号が入力されたと判定した場合には(ステップ103:YES)、開閉駆動装置22の作動を制御してスライドドア7を閉作動させるべく、閉作動制御を実行する(ステップ104)。また、閉作動信号が入力されていないと判定した場合には(ステップ103:NO)、スライドドア7が全開範囲内から閉方向に移動して全開擬制位置Po´を越えたか否かを判定する(ステップ105)。そして、スライドドア7が全開擬制位置Po´を越えた場合には(ステップ105;YES)、ステップ104に移行して閉作動制御を実行する。なお、スライドドア7が全開範囲内にある状態から全開擬制位置Po´を越えない場合には(ステップ105;NO)、ステップ102,104の各処理を実行しない。
【0042】
ここで、本実施形態のパワースライドドア装置21は、スライドドア7の開作動時及び閉作動時において、該スライドドア7と車両ボディ1と間に異物が挟み込まれたことを検出する機能を備えている。なお、異物の挟み込みの態様としては、例えばスライドドア7のインサイドパネル側と車両ボディ1との間で傘等が入って挟み込まれる態様や、乗降するユーザの体がスライドドア7における車両前方側の外縁とドア開口2との間に挟み込まれる態様等が含まれる。
【0043】
詳しくは、図1に示すように、スライドドア7における車両前方側の外縁部には、タッチセンサ(感圧センサ)46が設けられている。なお、本実施形態のタッチセンサ46は、絶縁体からなる中空チューブ内に互いに離間して配置された複数の電極線を有しており、該タッチセンサ46に作用する人体等からの接触圧に応じて電極線同士が接離することで、該電極線を流れる検出電流Iが変化する構成となっている。
【0044】
図2に示すように、ドアECU23には、タッチセンサ46が接続されている。そして、ドアECU23は、スライドドア7の開作動時及び閉作動時において、検出信号としての検出電流I(の絶対値)が所定の挟み込み判定時間以上継続して挟み込み判定閾値Ith0を超えると、異物の挟み込みが発生した判定する。また、ドアECU23は、上記したスライドドア7が全開ロック12により保持されたか否かの判定と同様に、スライドドア7の作動速度Vに基づいてスライドドア7が停止状態となったか否かを判定し、停止状態となった場合に異物の挟み込みが発生したと判定する。つまり、本実施形態では、パルスセンサ33及びドアECU23、タッチセンサ46及びドアECU23により挟み込み検出器がそれぞれ構成されている。
【0045】
そして、ドアECU23は、スライドドア7による異物の挟み込みを検出すると、該スライドドア7を所定距離だけ反転させてから停止させる。具体的には、ドアECU23は、スライドドア7の開作動時に異物の挟み込みを検出すると、スライドドア7が所定の閉じ戻し距離だけ閉作動してから停止するように開閉駆動装置22の作動を制御する。また、ドアECU23は、スライドドア7の閉作動時に異物の挟み込みを検出すると、スライドドア7が所定の開き戻し距離だけ開作動してから停止するように開閉駆動装置22の作動を制御する。なお、本実施形態では、所定の閉じ戻し距離と所定の開き戻し距離とは同一距離に設定されている。そして、ドアECU23は、異物の挟み込みを検出してスライドドア7を反転させてから作動範囲の途中位置(全開位置Po及び全閉位置Pc以外の位置)で停止させた場合には、電磁クラッチ32を接続状態のまま維持することで、スライドドア7のドア位置を保持する挟み込み停止制御を実行する。なお、スライドドア7のドア位置は、電磁クラッチ32が接続状態のまま維持されることで、スライドモータ31の保持トルク(コギングトルク)に基づく保持力により途中位置で保持される。
【0046】
また、ドアECU23は、スライドドア7の開作動時及び閉作動時において、ユーザによる開閉操作を検出すると、当該操作を検出したドア位置でスライドドア7が停止するように開閉駆動装置22の作動を制御する。そして、ドアECU23は、ユーザによる開閉操作を検出してスライドドア7を停止させた場合には、電磁クラッチ32を接続状態のまま維持することで、スライドドア7のドア位置を保持する開閉操作停止制御を実行する。
【0047】
次に、ドアECUによるスライドドアの開作動制御の処理手順について説明する。
図5のフローチャートに示すように、ドアECU23は、開閉駆動装置22を駆動してスライドドア7を開作動させ(ステップ201)、スライドドア7が全開位置Poにあるか否かを判定する(ステップ202)。そして、スライドドア7が全開位置Poにあると判定した場合(ステップ202:YES)、すなわち異物の挟み込み及びユーザの開閉操作を検出することなく、スライドドア7が全開位置Poまで移動した場合には、開閉駆動装置22によるスライドドア7の開閉作動を停止し(ステップ203)、電磁クラッチ32を遮断状態とする(ステップ204)。
【0048】
一方、ドアECU23は、スライドドア7が全開位置Poにないと判定した場合には(ステップ202:NO)、スライドドア7による異物の挟み込みの有無を検出する(ステップ205)。続いて、異物の挟み込みを検出した場合には(ステップ205:YES)、スライドドア7を反転させてから停止させる戻り位置、すなわち挟み込みを検出したときのドア位置から所定の閉じ戻し距離だけ閉方向側の位置を演算する(ステップ206)。続いて、スライドドア7を閉作動させ(ステップ207)、スライドドア7がステップ206で演算した戻り位置にあるか否かを判定する(ステップ208)。そして、スライドドア7が戻り位置にある場合には(ステップ208:YES)、開閉駆動装置22によるスライドドア7の開閉作動を停止し(ステップ209)、電磁クラッチ32を接続状態としてスライドドア7を保持する挟み込み停止制御を実行する(ステップ210)。なお、スライドドア7が戻り位置にない場合には(ステップ208:NO)、ステップ207に移行して閉作動を継続し、スライドドア7が戻り位置に移動するまで繰り返す。
【0049】
また、ドアECU23は、スライドドア7による異物の挟み込みを検出しない場合には(ステップ205:NO)、ユーザによる開閉操作の有無を検出する(ステップ211)。続いて、開閉操作を検出した場合には(ステップ211:YES)、開閉駆動装置22によるスライドドア7の開閉作動を停止し(ステップ212)、電磁クラッチ32を接続状態としてスライドドア7を保持する開閉操作停止制御を実行する(ステップ213)。なお、開閉操作を検出しない場合には(ステップ211:NO)、ステップ201に移行して閉作動を継続する。
【0050】
次に、ドアECUによるスライドドアの閉作動制御の処理手順について説明する。
図6のフローチャートに示すように、ドアECU23は、開閉駆動装置22を駆動してスライドドア7を閉作動させ(ステップ301)、スライドドア7が全閉位置Pcにあるか否かを判定する(ステップ302)。そして、スライドドア7が全閉位置Pcにあると判定した場合(ステップ302:YES)、すなわち異物の挟み込み及びユーザの開閉操作を検出することなく、スライドドア7が全開位置Poまで移動した場合には、開閉駆動装置22によるスライドドア7の開閉作動を停止し(ステップ303)、電磁クラッチ32を遮断状態とする(ステップ304)。
【0051】
一方、ドアECU23は、スライドドア7が全閉位置Pcにないと判定した場合には(ステップ302:NO)、スライドドア7による異物の挟み込みの有無を検出する(ステップ305)。続いて、異物の挟み込みを検出した場合には(ステップ305:YES)、スライドドア7を反転させて停止させる戻り位置、すなわち挟み込みを検出したときのドア位置から所定の開き戻し距離だけ開方向側の位置を演算する(ステップ306)。続いて、スライドドア7を反転して開作動させ(ステップ307)、スライドドア7がステップ306で演算した戻り位置にあるか否かを判定する(ステップ308)。そして、スライドドア7が戻り位置にある場合には(ステップ308:YES)、開閉駆動装置22によるスライドドア7の開閉作動を停止し(ステップ309)、電磁クラッチ32を接続状態としてスライドドア7を保持する挟み込み停止制御を実行する(ステップ310)。なお、スライドドア7が戻り位置にない場合には(ステップ308:NO)、ステップ307に移行して開作動を継続し、スライドドア7が戻り位置に移動するまで繰り返す。
【0052】
また、ドアECU23は、スライドドア7による異物の挟み込みを検出しない場合には(ステップ305:NO)、ユーザによる開閉操作の有無を検出する(ステップ311)。続いて、開閉操作を検出した場合には(ステップ311:YES)、開閉駆動装置22によるスライドドア7の開閉作動を停止し(ステップ312)、電磁クラッチ32を接続状態としてスライドドア7を保持する開閉操作停止制御を実行する(ステップ313)。なお、開閉操作を検出しない場合には(ステップ311:NO)、ステップ301に移行して閉作動を継続する。
【0053】
次に、スライドドア7を途中位置で停止させる挟み込み停止制御及び開閉操作停止制御について説明する。なお、挟み込み停止制御及び開閉操作停止制御の制御内容は、開作動時にスライドドア7を途中停止させた場合、閉作動時にスライドドア7を途中停止させた場合ともに同一である。
【0054】
ドアECU23は、挟み込み停止制御及び開閉操作停止制御の実行時には、電磁クラッチ32を接続状態としておき、ユーザによる開閉操作を検出すると、各制御を中止してスライドドア7を開閉作動させる。ここで、上記のように電磁クラッチ32を接続状態としている間は、該電磁クラッチ32に車載電源24から駆動電力を供給し続けなければならないため、スライドドア7を途中位置で停止させておく時間が長くなると、車載電源24の電圧が低下する。この点、本実施形態のドアECU23は、挟み込み停止制御及び開閉操作停止制御の実行時において、開閉操作を検出することなく、所定保持時間経過した場合には、電磁クラッチ32への駆動電力の供給を停止して遮断状態とする。そして、本実施形態では、挟み込み停止制御(異物の挟み込みを検出してスライドドア7を停止させた場合)の方が、開閉操作停止制御(開閉操作を検出してスライドドア7を停止させた場合)よりも、電磁クラッチ32を接続状態とする所定保持時間が長く設定されている。
【0055】
詳しくは、ドアECU23は、挟み込み停止制御の実行時には、ユーザの開閉操作を運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42により検出した場合にのみ、挟み込み停止制御を中止してスライドドア7を開閉作動させる。具体的には、各スイッチ41,42から開操作信号が入力された場合には、スライドドア7を開作動させ、各スイッチ41,42から閉操作信号が入力された場合には、スライドドア7を閉作動させる。これに対し、ドアECU23は、挟み込み停止制御の実行時に、ユーザの開閉操作をピラースイッチ43又は携帯機44の携帯機スイッチ44aにより検出した場合には、スライドドア7を開閉作動させず、途中位置で停止させた状態を維持する。つまり、本実施形態では、運転席スイッチ41、ハンドルスイッチ42がそれぞれ有効開閉操作検出器に相当し、ピラースイッチ43及び携帯機44の携帯機スイッチ44aが無効開閉操作検出器に相当する。そして、ドアECU23は、運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42により開閉操作を検出することなく、第1保持時間経過した場合には、電磁クラッチ32への駆動電力の供給を停止して遮断状態とする。
【0056】
一方、ドアECU23は、開閉操作停止制御の実行時に、ユーザの開閉操作を検出した場合には、検出したスイッチに関係なく、開閉操作停止制御を中止してスライドドア7を開閉作動させる。そして、ドアECU23は、ユーザによる開閉操作を検出することなく、第2保持時間経過した場合には、電磁クラッチ32への駆動電力の供給を停止して遮断状態とする。なお、第2保持時間は、第1保持時間よりも短く設定されている。
【0057】
次に、挟み込み停止制御の処理手順について説明する。
図7に示すように、ドアECU23は、先ず電磁クラッチ32を接続状態にすると(ステップ401)、開操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップ402)。開操作信号が入力された場合には(ステップ402:YES)、この開操作信号が運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42から入力されたか否か、すなわち開閉操作をこれらスイッチ41,42により検出したか否かを判定する(ステップ403)。そして、開閉操作をこれらスイッチ41,42により検出した場合には(ステップ403:YES)には、図4に示すフローチャートのステップ102に移行して開作動制御を実行する。これに対し、開操作信号が入力されていない場合(ステップ402:NO)、及び開閉操作を運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42により検出していない場合には(ステップ403:NO)には、閉操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップ404)。
【0058】
続いて、ドアECU23は、閉操作信号が入力された場合には(ステップ404:YES)、この開閉操作を運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42により検出したか否かを判定する(ステップ405)。そして、開閉操作をこれらスイッチ41,42により検出した場合には(ステップ405:YES)には、図4に示すフローチャートのステップ104に移行して閉作動制御を実行する。これに対し、閉操作信号が入力されていない場合(ステップ404:NO)、及び開閉操作を運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42により検出していない場合には(ステップ405:NO)には、電磁クラッチ32を接続状態としてから第1保持時間経過したか否かを判定する(ステップ406)。
【0059】
続いて、ドアECU23は、電磁クラッチ32を接続状態としてから第1保持時間経過していない場合には(ステップ406:NO)、ステップ402に移行して開操作信号が入力されたか否かを判定する。そして、開閉操作が行われることなく、電磁クラッチ32を接続状態としてから第1保持時間経過した場合には(ステップ406:YES)、電磁クラッチ32への駆動電力の供給を停止して遮断状態とする(ステップ407)。
【0060】
次に、開閉操作停止制御の処理手順について説明する。
図8に示すように、ドアECU23は、先ず電磁クラッチ32を接続状態にすると(ステップ501)、開操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップ502)。開操作信号が入力された場合には(ステップ502:YES)、図4に示すフローチャートのステップ102に移行してスライドドア7を開作動させる。これに対し、開操作信号が入力されていない場合には(ステップ502:NO)、閉操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップ503)。
【0061】
続いて、ドアECU23は、閉操作信号が入力された場合には(ステップ503:YES)、図4に示すフローチャートのステップ104に移行してスライドドア7を閉作動させる。これに対し、閉操作信号が入力されていない場合には(ステップ503:NO)電磁クラッチ32を接続状態としてから第2保持時間経過したか否かを判定する(ステップ504)。
【0062】
続いて、ドアECU23は、電磁クラッチ32を接続状態としてから第2保持時間経過していない場合には(ステップ504:NO)、ステップ502に移行して開操作信号が入力されたか否かを判定する。そして、開閉操作が行われることなく、電磁クラッチ32を接続状態としてから第2保持時間経過した場合には(ステップ504:YES)、電磁クラッチ32への駆動電力の供給を停止して遮断状態とする(ステップ505)。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。
スライドドア7の開閉作動時にユーザが開閉操作を行うと、スライドドア7は当該開閉操作が検出された途中位置で停止する。このとき、スライドドア7のドア位置は、電磁クラッチ32が接続状態とされることによりスライドモータ31の保持トルクに応じた保持力で保持される。そして、ユーザが携帯機44の携帯機スイッチ44a等に対して開閉操作を行うと、スライドドア7は再び開閉作動する。これに対し、開閉操作を行うことなく、スライドドア7を途中位置で停止させてから第2保持時間が経過すると、電磁クラッチ32への駆動電力の供給が停止されて遮断状態となる。
【0064】
一方、スライドドア7の開閉作動時に異物の挟み込みが発生すると、スライドドア7は、挟み込みが検出されたドア位置から所定距離だけ反転してからで停止する。このとき、スライドドア7のドア位置は、電磁クラッチ32が接続状態とされることによりスライドモータ31の保持トルクに応じた保持力で保持される。そして、ユーザが異物を取り除いてから、運転席スイッチ41、ドアハンドル14に対して開閉操作を行うと、スライドドア7は再び開閉作動する。このとき、例えば他のユーザが携帯機44の携帯機スイッチ44a又はピラースイッチ43に対して開閉操作を行っても、スライドドア7は開閉作動しない。これに対し、開閉操作を行うことなく、第1保持時間が経過すると、電磁クラッチ32への駆動電力の供給が停止されて遮断状態となる。
【0065】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)ドアECU23は、スライドドア7を途中位置で停止させる場合には、電磁クラッチ32を接続状態とし、該スライドドア7を途中位置で停止させてから所定時間経過後に電磁クラッチ32を遮断状態とするようにしたため、車載電源24の電圧が低下することを抑制できる。そして、異物の挟み込みを検出した場合に電磁クラッチ32を接続状態のまま維持する第1保持時間を、開閉操作を検出した場合に電磁クラッチ32を接続状態のまま維持する第2保持時間よりも長くした。
【0066】
ここで、開閉作動時に異物の挟み込みが検出された場合、スライドドア7は、ユーザの意思ではなく、異物により移動が妨げられたことに起因して停止する。そのため、ユーザが状況を確認して異物を取り除く時間等が必要であることから、電磁クラッチ32によってスライドドア7が保持されている時間が短いと、例えば異物を取り除いている最中にスライドドア7が自重等により意図せず移動することがあり、利便性が著しく低下する虞がある。一方、開閉作動時に開閉操作が検出された場合、スライドドア7は、ユーザの意思により停止する。そのため、ユーザが状況を略把握していることから、電磁クラッチ32によってスライドドア7が保持されている時間が短くても、利便性が低下し難い。したがって、本実施形態のように第1保持時間を第2保持時間よりも長くすることで、利便性を保ちつつ、車載電源の電圧低下を抑制できる。
【0067】
(2)ドアECU23は、異物の挟み込みを検出してスライドドア7を停止させた場合において、ハンドルスイッチ42によって開閉操作を検出すると、スライドドア7を開閉作動させるようにした。そのため、例えばスライドドア7の近傍に来て異物を取り除いたユーザがその場でスライドドア7を再び開閉作動させることができ、利便性を向上させることができる。
【0068】
(3)ドアECU23は、異物の挟み込みを検出してスライドドア7を停止させた場合において、運転席スイッチ41によって開閉操作を検出すると、スライドドア7を開閉作動させるようにした。そのため、例えば運転者となるユーザが運転席から離れずにスライドドア7を再び開閉作動させることが可能になり、利便性を向上させることができる。
【0069】
(4)ドアECU23は、異物の挟み込みを検出してスライドドア7を停止させた場合において、携帯機44の携帯機スイッチ44a又はピラースイッチ43によって開閉操作を検出しても、当該操作を無効としてスライドドア7を開閉作動させないようにした。そのため、例えばスライドドア7から離れており、異物が取り除かれているか否かを識別し難いユーザが開閉操作を行うことで、異物が取り除かれていない状態のままスライドドア7が開閉作動することを抑制できる。
【0070】
(5)ドアECU23は、異物の挟み込みを検出してスライドドア7を停止させた場合において、運転席スイッチ41又はハンドルスイッチ42によって開閉操作を検出した場合にのみ、スライドドア7を開閉作動させるようにした。そのため、これらスイッチ41,42以外のスイッチにより開閉操作を検出しても、当該操作が無効としてスライドドア7が開閉作動させない。そのため、例えばスライドドア7から離れており、異物が取り除かれていない状態のままスライドドア7が開閉作動することを効果的に抑制できる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、車両用開閉体制御装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、挟み込み停止制御及び開閉操作停止制御のみである。このため、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】
本実施形態のドアECU23は、車載電源24の電圧を検出しており、挟み込み停止制御及び開閉操作停止制御の実行時において、電圧が電圧判定閾値以下となった場合には、電磁クラッチ32を接続状態とする際に供給する駆動電力を通常よりも減少させる。そして、そして、本実施形態では、挟み込み停止制御の方が、開閉操作停止制御よりも、電圧判定閾値が小さく設定されている。換言すると、挟み込み停止制御の方が開閉操作停止制御よりも、車載電源24の電圧が低下した場合に、駆動電力が減少され難くなっている。
【0073】
詳しくは、ドアECU23は、挟み込み停止制御の実行時に、車載電源24の検出電圧E(の絶対値)が第1電圧判定閾値Eth1以下になった場合には、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量を通常(検出電圧Eが第1電圧判定閾値Eth1よりも大きい場合の供給量)よりも減少させる。また、ドアECU23は、開閉操作停止制御の実行時に、検出電圧Eが第2電圧判定閾値Eth2以下になった場合には、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量を通常よりも減少させる。なお、第2電圧判定閾値Eth2は、第1電圧判定閾値Eth1よりも小さな値に設定されている。また、上記第1実施形態と同様に、ドアECU23は、開閉操作の検出によりスライドドア7を開閉作動させるとともに、所定保持時間の経過により電磁クラッチ32への駆動電力の供給を停止して遮断状態とする。
【0074】
次に、挟み込み停止制御の処理手順について説明する。
図9に示すように、上記第1実施形態と同様に、ドアECU23は、電磁クラッチ32を接続状態とし(ステップ401)、ユーザによる開閉操作を検出した後に(ステップ402〜405)、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量が通常であるか否かを判定する(ステップ601)。続いて、駆動電力の供給量が通常である場合には(ステップ601:YES)、検出電圧Eが第1電圧判定閾値Eth1以下であるか否かを判定する(ステップ602)。そして、検出電圧Eが第1電圧判定閾値Eth1以下である場合には(ステップ602:YES)、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量を減少させ(ステップ603)、ステップ406に移行して上記第1実施形態と同様に、電磁クラッチ32を接続状態としてから第1保持時間が経過したか否かを判定する。
【0075】
なお、駆動電力の供給量が通常よりも減少されている場合(ステップ601:NO)、及び検出電圧Eが第1電圧判定閾値Eth1よりも大きい場合には(ステップ602:NO)、同様にステップ406に移行して電磁クラッチ32を接続状態としてから第1保持時間が経過したか否かを判定する。
【0076】
次に、開閉操作停止制御の処理手順について説明する。
図10に示すように、上記第1実施形態と同様に、ドアECU23は、電磁クラッチ32を接続状態とし(ステップ501)、ユーザによる開閉操作を検出した後に(ステップ502,503)、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量が通常であるか否かを判定する(ステップ701)。続いて、駆動電力の供給量が通常である場合には(ステップ701:YES)、検出電圧Eが第2電圧判定閾値Eth2以下であるか否かを判定する(ステップ702)。そして、検出電圧Eが第2電圧判定閾値Eth2以下である場合には(ステップ702:YES)、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量を減少させ(ステップ703)、ステップ504に移行して上記第1実施形態と同様に、電磁クラッチ32を接続状態としてから第2保持時間が経過したか否かを判定する。
【0077】
なお、駆動電力の供給量が通常よりも減少されている場合(ステップ701:NO)、及び検出電圧Eが第2電圧判定閾値Eth2よりも大きい場合には(ステップ702:NO)、同様にステップ504に移行して電磁クラッチ32を接続状態としてから第2保持時間が経過したか否かを判定する。
【0078】
次に、本実施形態の効果について記載する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態の(1)〜(5)の効果に加えて以下の効果を有する。
(6)ドアECU23は、車載電源24の電圧が電圧判定閾値以下の場合に、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量を減少させるようにしたため、車載電源24の電圧低下を遅らせることができる。
【0079】
(7)挟み込み停止制御実行時の電圧判定閾値である第1電圧判定閾値Eth1を、開閉操作停止制御実行時の電圧判定閾値である第2電圧判定閾値Eth2よりも小さくした。ここで、電磁クラッチ32への駆動電力の供給量が減少すると、スライドドア7は自重等により移動し易くなる。そして、上記のように異物の挟み込みが検出されてスライドドア7を停止させた場合に該スライドドア7が意図せず移動すると、利便性が著しく低下する虞がある。この点上記構成では、第1電圧判定閾値Eth1を第2電圧判定閾値Eth2よりも小さくしたため、利便性を保ちつつ、車載電源24の電圧低下を遅らせることができる。
【0080】
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態では、スライドドア7の開作動時及び閉作動時にユーザによる開閉操作を検出すると、当該操作を検出したドア位置でスライドドア7を停止させたが、これに限らず、例えば当該操作を検出したドア位置から所定距離だけ反転してからスライドドア7を停止させてもよい。
【0081】
・上記各実施形態では、スライドドア7の開作動時及び閉作動時に異物の挟み込みを検出すると、スライドドア7を所定距離だけ反転させてから停止させたが、これに限らず、スライドドア7を全開位置Po又は全閉位置Pcまで移動させてもよく、また、異物の挟み込みを検出したドア位置で停止させてもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、ドアECU23は、スライドドア7の停止位置によらず、ハンドルスイッチ42等から入力されるトリガ信号を直前のスライドドア7の作動方向とは逆方向の操作信号として認識するようにした。しかし、これに限らず、トリガ信号を、スライドドア7が全開位置Po又は全閉位置Pcにある場合にのみ直前のスライドドア7の作動方向とは逆方向の操作信号として認識し、スライドドア7が途中位置にある場合には、直前のスライドドア7の作動方向と同一方向の操作信号として認識するようにしてもよい。これにより、例えばスライドドア7の閉作動時に該スライドドア7を途中位置で停止させた場合、ユーザがドアハンドル14等を再度操作することにより、継続してスライドドア7を閉作動させることが可能になる。
【0083】
・上記各実施形態では、異物の挟み込みが検出されてスライドドア7が停止した場合において、運転席スイッチ41、ハンドルスイッチ42によって開閉操作が検出された場合にのみ、スライドドア7が開閉作動するようにした。しかし、これに限らず、運転席スイッチ41によって開閉操作が検出された場合にのみ、スライドドア7が開閉作動するようにしたり、ハンドルスイッチ42によって開閉操作が検出された場合にのみ、スライドドア7が開閉作動するようにしたりしてもよい。
【0084】
・上記各実施形態では、異物の挟み込みが検出されてスライドドア7が停止した場合において、ピラースイッチ43又は携帯機44の携帯機スイッチ44aによって開閉操作が検出されても、スライドドア7が開閉作動しないようにした。しかし、これに限らず、ピラースイッチ43や携帯機スイッチ44aによって開閉操作が検出された場合にも、スライドドア7が開閉作動するようにしてもよい。つまり、開閉操作検出器のすべてを有効開閉操作検出器として構成してもよい。
【0085】
・上記各実施形態では、挟み込み停止制御の実行時の方が開閉操作停止制御の実行時よりも、電磁クラッチ32の接続状態を継続させる所定保持時間を長くした。つまり、第1保持時間を第2保持時間よりも長くしたが、これに限らず、第2保持時間を第1保持時間よりも長くしてもよい。この構成によれば、異物の挟み込みを検出してスライドドア7を停止させた場合に、速やかに手動でスライドドア7を容易に開閉させることを可能とするとともに、ユーザのスライドドア7を停止させる意思をなるべく長く反映させつつ、車載電源24の電圧低下を抑制できる。
【0086】
同様に、上記第2実施形態において、第1電圧判定閾値Eth1を第2電圧判定閾値Eth2よりも大きくしてもよい。換言すると、挟み込み停止制御の方が開閉操作停止制御よりも、車載電源24の検出電圧Eが低下した場合に、駆動電力が減少され易くしてもよい。
【0087】
・上記各実施形態において、スライドドア7が全開範囲内にある状態から閉方向に移動して全開擬制位置Po´を越えても、ユーザによる開閉操作を検出しなければ閉作動制御実行しないようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態では、ユーザの開閉操作を検出する開閉操作検出器として、パワースライドドア装置21が運転席スイッチ41、ハンドルスイッチ42、ピラースイッチ43及び携帯機スイッチ44aを有する構成としたが、これに限らず、例えばピラースイッチ43を有していない構成としたり、他のスイッチ等を有する構成としたりしてもよい。
【0089】
・上記各実施形態では、所定の閉じ戻し距離と所定の開き戻し距離とを同一距離に設定したが、所定の閉じ戻し距離と所定の開き戻し距離とを異なる距離に設定してもよい。
・上記各実施形態において、全開ロック12として、例えば各ローラ6が各レール3〜5に設けられた突起(図示略)を乗り越えることにより、スライドドア7を全開位置Poで保持する構成を採用してもよい。この場合には、全開位置Poにあるスライドドア7の閉方向への移動は、ローラ6が突起を乗り越えるために必要な力をスライドドア7に付与することで許容される。
【0090】
・上記各実施形態では、タッチセンサ46から出力される検出電流Iに基づいて異物の挟み込みを検出したが、これに限らず、例えばタッチセンサ46を接触圧に応じた検出電圧を出力する構成とし、この検出電圧に基づいて異物の挟み込みを検出してもよい。また、タッチセンサ46として、例えば圧電材料を2つの電極で挟んだ構成のもの等、他の構成のものを採用してもよい。
【0091】
・上記各実施形態では、スライドドア7の作動速度Vに基づいて該スライドドア7が停止状態となったか否か(挟み込みが発生したか否か)を検出したが、これに限らず、例えばスライドモータ31に供給されるモータ電流に基づいてスライドドア7が停止状態となったか否かを検出してもよい。
【0092】
・上記各実施形態では、パルスセンサ33から出力されるパルス信号のパルス数をカウントすることでスライドドア7のドア位置(作動速度V)を検出したが、これに限らず、例えばスライドモータ31の絶対角を検出することで、スライドドア7のドア位置(作動速度V)を検出してもよい。また、例えば変位センサ等を用いて、直接的にドア位置を検出してもよい。
【0093】
・上記各実施形態では、開閉駆動装置22がスライドアクチュエータ25、クローザアクチュエータ26及びリリースアクチュエータ27を有する構成としたが、これに限らず、例えばクローザアクチュエータ26を設けず、スライドアクチュエータ25により半ドア状態のスライドドア7を全閉位置Pcまで移動させるようにしてもよい。
【0094】
・上記各実施形態では、スライドドア7を開閉させるパワースライドドア装置21に対して、車載電源24の電圧低下を抑制するための制御を適用した。しかし、例えば、車両後部に設けられたバックドアやラゲッジドア、あるいはトランク蓋等、スライドドア7以外の開閉体を開閉させる他の車両用開閉体制御装置に対して、車載電源の電圧低下を抑制するための制御を適用してもよい。
【符号の説明】
【0095】
7…スライドドア(開閉体)、11…全閉ロック、12…全開ロック、14…ドアハンドル、20…車両用開閉システム、21…パワースライドドア装置(車両用開閉体制御装置)、22…開閉駆動装置、23…ドアECU(制御器、挟み込み検出器)、24…車載電源、31…スライドモータ(モータ)、32…電磁クラッチ、33…パルスセンサ(挟み込み検出器)、41…運転席スイッチ(開閉操作検出器、運転席開閉操作検出器、有効開閉操作検出器)、42…ハンドルスイッチ(開閉操作検出器、一体開閉操作検出器、有効開閉操作検出器)、43…ピラースイッチ(開閉操作検出器、無効開閉操作検出器)、44…携帯機、44a…携帯機スイッチ(開閉操作検出器、携帯機開閉操作検出器、無効開閉操作検出器)、45…レシーバECU、46…タッチセンサ(挟み込み検出器)、Pc…全閉位置、Po…全開位置。
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