(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788941
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】熱電ヒートポンプの配置構造
(51)【国際特許分類】
F25B 21/02 20060101AFI20150917BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20150917BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20150917BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
F25B21/02 G
H01L35/30
F25B21/02 F
B60K11/04 G
B60H1/22 611Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-186257(P2013-186257)
(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公開番号】特開2014-59134(P2014-59134A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2013年9月10日
(31)【優先権主張番号】10 2012 108 793.8
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン フレーゼ
(72)【発明者】
【氏名】マイク ウーヴェ ツィリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】リューク ビェルネルト
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト フライシュハッカー
【審査官】
仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−185574(JP,A)
【文献】
特開2006−153429(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/135363(WO,A1)
【文献】
特開平11−173701(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/120603(WO,A1)
【文献】
米国特許第03138934(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/02
B60H 1/22
B60K 11/04
H01L 35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車の乗員室の暖房用の、少なくとも1つの第1流体回路(2、105)、1つの第2流体回路(3、106)および1つの第3流体回路(5、108)に熱電ヒートポンプ(1)が配置された配置構造であって、
前記第1流体回路(2)の流体と前記第3流体回路(5)の流体との間で熱を伝達する第1熱交換器(10、102)が設けられ、前記第2流体回路(3)の流体と前記第3流体回路(5)の流体との間で熱を伝達する第2熱交換器(11、103)が設けられ、
それぞれ1つの熱電素子(124、125)が、前記第1熱交換器(10、102)の熱伝達領域(118、119)間に、および前記第2熱交換器(11、103)の熱伝達領域(120、121)間に配置され、更に、
前記第1流体回路(2、105)が熱源(6)を有すると共に、前記第2流体回路(3、106)が前記熱源(6)とは異なる熱源(7)を有しており、
前記熱電素子(124、125)は、前記第1流体回路(2)から前記第3流体回路(5)へ及び前記第2流体回路(3)から前記第3流体回路(5)へ流体を加熱するための熱移動が実行されるように設定されており、
前記熱源(6)および前記熱源(7)のそれぞれは、前記第1熱交換器(10、102)および第2熱交換器(11、103)を介して、前記熱電素子(124、125)と同じ熱の伝達の向きで、前記第3流体回路(5、108)の流体を加熱するための熱源として構成され、
前記第3流体回路(5)は前記乗員室を暖房するために用いられている、配置構造。
【請求項2】
少なくとも1つのさらなる第4流体回路(4、107)が設けられ、かつ前記少なくとも1つの第4流体回路の流体と前記第3流体回路の流体との間で熱を伝達するための少なくとも1つのさらなる第3熱交換器(12、104)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の配置構造。
【請求項3】
熱電素子(126)が前記少なくとも1つのさらなる第3熱交換器(104)の熱伝達領域(122、123)間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の配置構造。
【請求項4】
前記第1熱交換器を通る前記第3回路の流体の流体流を制御するための弁(115)が前記第1熱交換器に割り当てられ、および/または前記第2熱交換器を通る前記第3回路の流体の流体流を制御するための弁(116)が前記第2熱交換器に割り当てられ、および/または前記少なくとも1つの第3熱交換器を通る前記第3回路の流体の流体流を制御するための弁(117)が前記少なくとも1つの第3熱交換器に割り当てられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項5】
前記第1熱交換器を通る前記第1回路の流体の流体流を制御するための弁が前記第1熱交換器に割り当てられ、および/または前記第2熱交換器を通る前記第2回路の流体の流体流を制御するための弁が前記第2熱交換器に割り当てられ、および/または前記少なくとも1つの第3熱交換器を通る前記第4回路の流体の流体流を制御するための弁が前記少なくとも1つの第3熱交換器に割り当てられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項6】
前記弁のうちの少なくとも1つの弁が、前記流体の流れで見て前記熱交換器の上流および/または下流に配置されることを特徴とする、請求項4または5に記載の配置構造。
【請求項7】
前記弁が絞り弁であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項8】
前記熱電素子(124、125、126)がペルチェ素子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項9】
前記熱電素子(124、125、126)が電気的におよび/または電子的に作動可能であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項10】
前記第1熱交換器および前記第2熱交換器および/または前記少なくとも1つの第3熱交換器がハウジングの中に配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項11】
前記第1、第2および/または第3熱交換器が、前記第3回路の前記流体の流れで見て互いに並列に、および/または直列に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の配置構造。
【請求項12】
少なくとも1つの流体から前記第3流体への熱の伝達が、要求される暖房力の所定の基準、および/または各接続された流体回路における利用可能な熱量の所定の基準を満たすように、前記少なくとも1つの熱電素子および/または前記少なくとも1つの弁が制御されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の配置構造を制御する方法。
【請求項13】
乗員室を暖房するための前記第3流体の設定値温度が前記熱電素子および/または弁の選択および作動を介して達成されるように前記制御が実行されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用の、少なくとも1つの第1流体回路および1つの第2流体回路に熱電ヒートポンプが配置された配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、特に電気的に駆動される車両などでは、乗員室の暖房は、乗員にとっての乗り心地の快適さに関連する要素である。
【0003】
電動車両の場合、電気モータの形態をとる駆動機械は、専ら内燃機関によって駆動される車両の内燃機関ほどには廃熱を発生させない。しかしながら、ハイブリッド車の場合でも、内燃機関のサイズが小さいほど生じる廃熱も少なくなり得る。そのため、上記ハイブリッド車利用においても、乗員室を適切に暖房するという問題が、解決されるべき課題として残っている。
【0004】
流体回路が車両に備えられている場合、前記流体回路は、1つの熱電ヒートポンプ要素を用いて熱交換器を介して乗員領域に、および別の熱電ヒートポンプ要素を用いて周囲空気に対する熱交換器に結合することができる。ヒートポンプ要素を制御することにより、流体回路から周囲空気へ、または乗員領域への適切な熱の散逸を実現することが可能である。(特許文献1)はこの点で知られている。
【0005】
しかしながら前記の構造は、1つの流体回路における利用可能な熱の分配だけを実現する。
【0006】
車両において、異なる部品の冷却または温度制御に異なる流体回路が使用される場合、前記流体回路はまた、例えば乗員室の暖房にも温度制御にも使用することができる。しかしながら(特許文献1)による制御は、これにほぼ適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 357 102 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に自動車用の、少なくとも1つの第1流体回路および1つの第2流体回路に熱電ヒートポンプが配置された配置構造を提供することである。この配置構造は、従来技術と比べて簡単な構成のものであるにもかかわらず、乗員室の適切な温度制御を実現する。また、これに関連して前記タイプの配置構造を制御する方法を提供することも目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は請求項1の特徴によって達成される。それによれば、熱電ヒートポンプの配置構造が提供される。ここで、熱電ヒートポンプは、特に自動車
の乗員室の暖房用の、少なくとも1つの第1流体回路(2、105)、1つの第2流体回路(3、106)および1つの第3流体回路(5、108)に熱電ヒートポンプ(1)が配置された配置構造であって、
前記第1流体回路(2)の流体と前記第3流体回路(5)の流体との間で熱を伝達する第1熱交換器(10、102)が設けられ、前記第2流体回路(3)の流体と前記第3流体回路(5)の流体との間で熱を伝達する第2熱交換器(11、103)が設けられ、
それぞれ1つの熱電素子(124、125)が、前記第1熱交換器(10、102)の熱伝達領域(118、119)間に、および前記第2熱交換器(11、103)の熱伝達領域(120、121)間に配置され、更に、
前記第1流体回路(2、105)が熱源(6)を有すると共に、前記第2流体回路(3、106)が前記熱源(6)とは異なる熱源(7)を
有しており、
前記熱電素子(124、125)は、前記第1流体回路(2)から前記第3流体回路(5)へ及び前記第2流体回路(3)から前記第3流体回路(5)へ流体を加熱するための熱移動が実行されるように設定されており、
前記熱源(6)および前記熱源(7)のそれぞれは、前記第1熱交換器(10、102)および第2熱交換器(11、103)を介して、前記熱電素子(124、125)と同じ熱の伝達の向きで、前記第3流体回路(5、108)の流体を加熱するための熱源として構成され、
前記第3流体回路(5)は前記乗員室を暖房するために用いられている、このようにして、第1および/または第2流体から第3流体への熱の伝達が制御可能となる。その結果、前記第3流体を温度制御または加熱し、例えば乗員室を暖房するために使用できるようになる。
【0010】
ここで、少なくとも1つの第4流体回路が設けられ、かつ少なくとも1つの第4流体回路の流体と第3流体回路の流体との間で熱を伝達するための少なくとも1つのさらなる第3熱交換器が設けられると有利である。このようにして、さらなる回路の少なくとも1つのさらなる流体を、第3流体への熱伝達に組み込むことを最適化することができる。
【0011】
熱電素子を少なくとも1つのさらなる第3熱交換器の熱伝達領域間に配置することも好都合である。熱電素子を設けることにより、第4流体から第3流体への熱の伝達を制御することができる。
【0012】
第1熱交換器を通る第3回路の流体の流体流を制御するための弁が第1熱交換器に割り当てられる場合、および/または第2熱交換器を通る第3回路の流体の流体流を制御するための弁が第2熱交換器に割り当てられる場合、および/または少なくとも1つの第3熱交換器を通る第3回路の流体の流体流を制御するための弁が少なくとも1つの第3熱交換器に割り当てられる場合も有利である。各弁を用いて、熱交換器を通る流れを、ひいては伝達される熱の量も制御することができる。
【0013】
第1熱交換器を通る第1回路の流体の流体流を制御するための弁が第1熱交換器に割り当てられる場合、および/または第2熱交換器を通る第2回路の流体の流体流を制御するための弁が第2熱交換器に割り当てられる場合、および/または少なくとも1つの第3熱交換器を通る第4回路の流体の流体流を制御するための弁が少なくとも1つの第3熱交換器に割り当てられる場合も適切である。各弁を用いて、熱交換器を通る流れを、ひいては伝達される熱の量も制御することができる。
【0014】
ここで上記弁のうちの少なくとも1つの弁が、流体の流れで見て熱交換器の上流および/または下流に配置されると有利である。
【0015】
弁が絞り弁であることも有利である。これにより、各熱交換器を通る通過流量を制御することができる。
【0016】
熱電素子がペルチェ素子であると特に好都合である。これにより、適切に作動させることによって、熱の伝達を制御することができる。
【0017】
有利には、熱電素子が電気的におよび/または電子的に作動可能であることが提案される。これにより、例えば乗員室の暖房を最適化するために、適切な電気的および/または電子的作動によって、第3流体への熱の伝達を制御することができる。
【0018】
第1熱交換器および第2熱交換器および/または少なくとも1つの第3熱交換器をハウジングの中に配置することも好適である。
【0019】
第1、第2および/または第3熱交換器が、第3回路の流体の流れで見て互いに並列に、および/または直列に配置される場合、有利である。したがって、全ての熱交換器を並列にまたは直列に配置することができる。しかしながら、熱交換器の一部を直列に配置または接続すること、および熱交換器の別の一部を並列に配置または接続することも可能である。
【0020】
前記目的は、前記方法に関して、請求項12の特徴によって達成される。それによれば、配置構造を制御する方法が提供される。この方法により、少なくとも1つの流体から第3流体への熱の伝達が、要求される暖房力の所定の基準、および/または接続された各流体回路における利用可能な熱量の所定の基準を満たすように、少なくとも1つの熱電素子および/または少なくとも1つの弁が制御される。
【0021】
ここで、乗員室を暖房するための第3流体の設定値温度が熱電素子および/または弁の選択および作動を介して達成されるように制御が実行されると好都合である。
【0022】
さらなる有利な実施形態は、以下の図面の説明によって、および従属項によって説明される。
【0023】
本発明を、少なくとも1つの例示的実施形態に基づき、および図面を参照して、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】複数の流体管路からなる回路構成に熱電ヒートポンプが配置された配置構造の概略図を示す。
【
図2】複数の流体管路からなる回路構成に熱電ヒートポンプが配置された配置構造の概略図を示す。
【
図3】複数の流体管路からなる回路構成に熱電ヒートポンプが配置された配置構造の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、複数の流体回路2、3、4および5を有する回路構成または回路配置構造における熱電ヒートポンプ1を、概略的配置構造で示す。ここで、流体回路2、3、4は、熱源6、7、8を有する流体回路を構成する。その結果、流体回路2、3、4を流れる流体が各熱源6、7、8によって加熱される。流体回路2、3、4の流体から流体回路5の流体へ熱を伝達することにより、流体回路5の流体は加熱される。加熱された流体を使用して、別の熱交換器9を用いて、自動車の乗員室へ流れ込む空気を暖めることが可能である。
【0026】
ここで、熱電ヒートポンプ1は、3台の熱交換器10、11および12によって形成される。熱交換器10は流体回路2の流体と流体回路5の流体との間で熱を伝達する。
【0027】
熱交換器11は流体回路3の流体と流体回路5の流体との間で熱を伝達する。熱交換器12は流体回路4の流体から流体回路5の流体へ熱を伝達する。
【0028】
熱電ヒートポンプ1の熱交換器10、11、12は、それぞれに含まれる流体間での熱の伝達を制御する1つの熱電素子をそれぞれ有すると好ましい。その際、各熱電素子の電気的または電子的な起動を用いて、流体回路5の入口側の流体から出口側の流体への熱の伝達が適切な方式で実行可能である。
【0029】
図2は、3台の熱交換器102、103、104を備えた熱電ヒートポンプ101の概略図を示す。入口側において、熱電ヒートポンプ101は流体回路105、106および107に接続される一方で、別の流体回路108も熱電ヒートポンプ101に接続される。
【0030】
熱源は、流体回路105の流体109が熱源によって加熱されるように流体回路105、106、107に配置されると好ましい。ここで、流体109は温度T
3で熱交換器102に入り、温度T
9で熱交換器102および熱電ヒートポンプ101を再び出る。流体回路106の流体110は流体回路106の熱源によって加熱され、温度T
4で熱交換器103すなわち熱電ヒートポンプ101に入る。流体110は温度T
10で熱交換器103すなわち熱電ヒートポンプ101を再び出る。流体回路107の流体111は熱源によって加熱される。流体111は温度T
5で熱交換器104に入り、温度T
11で前記熱交換器104すなわち熱電ヒートポンプ101を出る。
【0031】
流体回路108の流体112は温度T
1で熱電ヒートポンプ101に入り、一方では、前記流体が温度T
2で熱電ヒートポンプ101を出るように、迂回路113および弁114を経由して、熱交換器102、103および104を経由して流れることができる。
【0032】
あるいは、流体112は熱交換器102を通って、および/または熱交換器103を通って、および/または熱交換器104を通って流れることができる。これは弁115、116、117によって制御可能である。ここでは、流体112は熱交換器102を温度T
6で、熱交換器103を温度T
7で、および/または熱交換器104を温度T
8で出る。弁114、115、116および117の制御により、迂回路113および/または熱交換器102および/または熱交換器103および/または熱交換器104を通過する流体112の流体の流速が制御される。
【0033】
さらに、各熱交換器102、103、104は、それぞれ、第1熱伝達領域118および第2熱伝達領域119、第1熱伝達領域120および第2熱伝達領域121、および第1熱伝達領域122および第2熱伝達領域123を有するように構成される。流体回路105の流体109は熱伝達領域118を通って流れる。流体112は第1熱交換器102の第2熱伝達領域119を通って流れる。
【0034】
対応して、流体110は熱交換器103の熱伝達領域120を通って流れ、流体112は熱交換器103の熱伝達領域121を通って流れる。
【0035】
流体111は、熱伝達領域122において、熱交換器104を通って流れ、流体112は熱伝達領域123において、熱交換器104を通って流れる。
【0036】
図2の例示的実施形態では、それぞれに1つの熱電素子124、125、126が、熱伝達領域118、119および120、121および122、123の間にそれぞれ配置される。熱伝達領域118、119および120、121および122、123それぞれの間の熱流は、各熱電素子124、125、126の起動によって制御することができる。他の例示的実施形態では、熱交換器の少なくとも1台を、熱電素子を含まないようにすることもできる。
【0037】
弁114〜117は、流体流112を制御するために流体回路108に配置される。例示的実施形態では、前記弁は、流体の流れで見て各熱交換器102、103、104の下流に位置付けられ、および/または迂回路113に配置される。あるいは、対応する弁を、各熱交換器の上流に位置付けることもできる。いくつかの弁を熱交換器の上流に位置付け、そしてその他の弁を各熱交換器の下流に位置付けることも可能である。
【0038】
あるいはまたはさらに、熱電ヒートポンプ101すなわちその中に配置された熱交換器102、103、104を通る流体流109、110、111を制御するために、各弁を流体回路105、106、107に配置することも可能である。
【0039】
図3は、第1流体回路202、第2流体回路203、第3流体回路205および第4流体回路204を備えた回路構成における熱電ヒートポンプ201の配置構造を示す。
【0040】
流体回路202、203および204は、それぞれ
図1および2の流体回路2、3、4および105、106、107に対応する流体回路である。流体回路205は流体回路5および流体回路108にそれぞれ対応する。流体回路205は、乗員室を暖房するための流体回路を構成し、ポンプ206と、乗員室に流れ込む空気を暖める暖房用熱交換器207と、PTC型の構成のヒータとして形成され、例えば高電圧PTC補助ヒータであってもよい任意選択の電気ヒータ208とを含む。熱交換器207は、暖房用熱交換器として、空調システムの空調ユニット配置構造内に例えば配置される。車両の乗員室を暖房するために、熱が熱電ヒートポンプ201によって流体回路202、203および204から流体回路205へ伝達される。
【0041】
第1流体回路202は、ファン210を備えた第1熱交換器209と、ファン212を備えた第2熱交換器211とを有する流体回路である。この流体回路は、流れに関して、弁213、214を介して回路203に接続されている。車両の駆動モータ215は、制御装置216およびポンプ217とともに、回路203に配置される。流体回路202には、分岐管218および弁213および弁214に加えて、流体回路の流体を循環するためのポンプ219が配置されている。
【0042】
流体回路204はバッテリ220を冷却するための流体回路である。前記流体回路204はポンプ221と、充電装置222と、例えば高圧バッテリの形態であってもよいバッテリ220とを含む。バッテリ220の下流に接続される、加熱用に機能し得る高圧PTC補助ヒータ223を設けてもよい。さらに、回路204に、ファン225を備えた熱交換器224が設けられるが、これは任意選択であり、迂回路226および弁227を通る流れによって迂回され得る。同じく回路204に配置されるのは第2熱交換器228である。第2熱交換器228は回路204と空調システムの冷却回路229との間で熱を伝達するように機能する。第2熱交換器228は冷却器とも呼ばれ、冷却液回路204の冷却液と冷却回路229の冷媒との間の液体−液体熱交換器である。冷却回路229に2台の凝縮器230、231が配置されると好ましい。また、冷媒を回路において液体として圧送する冷媒圧縮機232が配置される。蒸発器234および膨張弁235および制御弁236も回路229に設けられる。また、弁237、238が設けられ、それらは第2熱交換器228の分岐管に配置される。
【符号の説明】
【0043】
1、101、201 熱電ヒートポンプ
2、105、202 第1流体回路
3、106、203 第2流体回路
4、107、204 第4流体回路
5、108、205 第3流体回路
6、7 熱源
9、224 熱交換器
10、102、209 第1熱交換器
11、103、211、228 第2熱交換器
12、104 第3熱交換器
109、110、111、112 流体
113、226 迂回路
114、115、116、117、213、214、227、237、238 弁
118、120、122 第1熱伝達領域
119、121、123 第2熱伝達領域
124、125、126 熱電素子
206、217、219、221 ポンプ
207 暖房用熱交換器
208 電気ヒータ
210、212、225 ファン
215 駆動モータ
216 制御装置
218 分岐管
220 バッテリ
222 充電装置
223 高圧PTC補助ヒータ
229 冷却回路
230、231 凝縮器
232 冷媒圧縮機
234 蒸発器
235 膨張弁
236 制御弁