特許第5788961号(P5788961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788961フルオロヨードアルカン類の製造プロセスで使用する触媒の前処理及び再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788961
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】フルオロヨードアルカン類の製造プロセスで使用する触媒の前処理及び再生方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/10 20060101AFI20150917BHJP
   C07C 19/16 20060101ALI20150917BHJP
   C07C 17/158 20060101ALI20150917BHJP
   B01J 23/10 20060101ALI20150917BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20150917BHJP
   B01J 23/04 20060101ALI20150917BHJP
   B01J 27/18 20060101ALI20150917BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   C07C17/10
   C07C19/16
   C07C17/158
   B01J23/10 Z
   B01J23/44 Z
   B01J23/04 Z
   B01J27/18 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-265950(P2013-265950)
(22)【出願日】2013年12月24日
(62)【分割の表示】特願2008-301910(P2008-301910)の分割
【原出願日】2008年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-88410(P2014-88410A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2014年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/004,488
(32)【優先日】2007年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/264,635
(32)【優先日】2008年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】シュウ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュー・スン・トゥン
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−204006(JP,A)
【文献】 特開2005−008543(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/063241(WO,A1)
【文献】 特開昭50−101305(JP,A)
【文献】 特表2008−523089(JP,A)
【文献】 特開昭52−068110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/10
C07C 17/093
C07C 17/158
C07C 19/16
B01J 23/04
B01J 38/04,38/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
CF3(CF2)n-I
{式中、nは0または1である}により表されるフルオロヨードアルカンの製造プロセスであって、ヨウ素供給源と構造式:
CF3(CF2)n-Y
{式中、YはH、Cl、Br及びCOOHから選択され、nは0または1である}により表される化合物とを反応させることを含み、ここで前記反応は、触媒の存在下、前記フルオロヨードアルカンを製造するのに十分な温度、圧力及び接触時間で実施し、ここで前記触媒は、以下の:
a)前記反応の前に、前記触媒をCFからなる気体と、前記触媒の誘導期間の長さを短縮するのに十分な温度及び接触時間で処理すること;及び
b)前記反応の後に、前記触媒を窒素及び酸素からなる気体と、前記触媒を再生するのに十分な温度及び接触時間で処理すること、
の両方に供され、K、La、Pd及びCsからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む、前記プロセス。
【請求項2】
段階a)は、100℃〜600℃の温度で、0.001秒〜1時間の接触時間及び10分〜100時間の長さで実施する、請求項に記載のプロセス。
【請求項3】
段階a)の後、前記触媒と不活性ガスとを0.5時間〜2時間接触させる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
段階b)は100℃〜600℃の温度で、0.0001秒〜300時間の接触時間及び0.01秒〜150時間の長でさ実施する、請求項に記載のプロセス。
【請求項5】
段階b)の後、前記触媒と不活性ガスとを0.5時間〜2時間接触させる、請求項1または4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応を酸素供給源の存在下で実施する、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記フルオロヨードアルカンは、トリフルオロヨードメタンとペンタフルオロヨードエタンとの組み合わせである、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記ヨウ素供給源は、I2、HI、ICl、IF5、CI4及びその組み合わせからなる群から選択される化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸素供給源は、O2、空気、O3、N2O、H2O2及びその組み合わせからなる群から選択される化合物である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記段階b)を繰り返し、前記反応は100℃〜750℃の温度で、0.001〜100気圧の圧力及び0.1秒〜1時間の接触時間で実施する、請求項1〜9のいずれかに記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景
1.開示の分野
本発明はフルオロヨードアルカン類の製造プロセスに関する。本開示はさらに、フルオ
ロヨードアルカンの製造プロセスで使用する触媒の前処理及び再生法に関する。
【0002】
2.関連する技術の記載
トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)はフッ化物
の製造で合成中間体として使用されてきた。トリフルオロヨードメタンもトリフルオロブ
ロモメタンに変わる代替消火剤として、及びハイドロフルオロカーボンとのブレンドで低
地球温暖化係数をもつ冷媒としてみなされている。
【0003】
トリフルオロヨードメタン及びペンタフルオロヨードエタンは、酸素の存在または非存
在下、固体触媒上でヨウ素とトリフルオロメタン(CF3H)、ペンタフルオロエタン(CF3CF2H
)またはトリフルオロ酢酸(CF3COOH)とを反応させることによって製造できる。酸素はその
ような反応において、触媒表面上で炭素が形成することによっておきた触媒の失活化レベ
ル及び/または速度を低下させるために同時供給(cofeed)されてきた。しかしながら酸素
の同時供給は、触媒失活化を防ぐのに完全に有効というわけではなかった。この触媒が直
面する別の問題は、反応が定常状態に到達するのに必要な冗長な誘導期間である。
【0004】
触媒失活化レベル及び/または速度が低いヨードフルオロアルカン類の製造プロセスを
有するのが望ましい。さらに、誘導期間が短いように触媒前処理プロセスを設けるのが望
ましい。さらに、反応の間に触媒失活化が容易に起きるため、元の活性を回復させるため
に、使用済み触媒を再生するためのプロセスを設けるのが最も好ましい。
【0005】
概要
本発明に従って、構造式:
CF3(CF2)n-I
{式中、nは0または1である}により表されるフルオロヨードアルカンの製造プロセス
がある。本プロセスは、ヨウ素供給源と構造式:
CF3(CF2)n-Y
{式中、YはH、Cl、Br及びCOOHから選択され、nは0または1である}により表される化
合物とを反応させる段階を有する。本反応は、固体触媒の存在下、約100℃〜約750
℃の温度、約0.001〜約100気圧の圧力で、約0.001秒〜約300時間の接触
時間で実施する。この触媒は、以下の処理:
a)前記反応の前に、前記触媒をフッ化水素、トリフルオロメタン、水素、ヨウ化水素、
ヨウ素、フッ素及び酸素からなる群から選択される気体と接触させることにより触媒を処
理(前処理)する、ここで前記接触は、前記触媒の誘導期間の長さを短縮するのに十分な
温度及び接触時間で実施すること;及び
b)前記反応の後に、前記触媒をフッ化水素、水素、フッ素、酸素または空気からなる群
から選択される気体と、前記触媒を再生するのに十分な温度及び接触時間で処理(再生)
すること、
の一方または両方に供される。
【0006】
好ましい態様の詳細な説明
本開示は、フルオロヨードアルルカン類、たとえばトリフルオロヨードメタン(CF3I)及
びペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)の製造プロセスで使用する触媒の前処理及び再生
法を開示する。本方法では、反応転化率を高め、特定の所望の生成物である化合物の選択
性を高め、且つ触媒の誘導期間を短縮若しくは排除することができる。本前処理及び再生
法は、前記フルオロヨードアルカン類の製造プロセスで単独で、あるいはそれぞれを組み
合わせて使用することができる。
【0007】
本開示のプロセスは、以下の構造式:
CF3(CF2)n-I
{式中、nは0または1である}により表されるフルオロヨードアルカン化合物の製造で
有用である。好ましいフルオロヨードアルカン化合物としては、トリフルオロヨードメタ
ン及びペンタフルオロヨードエタンが挙げられる。
【0008】
前記フルオロヨードアルカン化合物は、以下の構造式:
CF3(CF2)n-Y
{式中、YはH、Cl、Br及びCOOHから選択され、nは0または1である}により表される前
駆体化合物とヨウ素供給源とを反応させることにより製造する。式:CF3(CF2)n-Yにより
表されるこの前駆体化合物としては、たとえばCF3H(トリフルオロメタン)、CF3CF2H(1,1
,1,2,2-ペンタフルオロエタン)、CF3COOH(トリフルオロ酢酸)、CF3Cl(クロロトリフルオ
ロメタン)、CF3Br(ブロモトリフルオロメタン)及びその組み合わせであってもよい。ヨウ
素の有用な供給源としては、I2(ヨウ素)、HI(ヨウ化水素)、ICl(塩化ヨウ素)、IF5(ペン
タフルオロヨウ素)、CI4(テトラヨードメタン)及びその組み合わせが挙げられる。本プロ
セスは場合により、不活性ガス、CO、CO2、水、有機溶媒またはその混合物などの希釈剤
を反応体と共に使用することができる。希釈剤は、反応体を希釈し、運搬するのに使用さ
れる不活性ガスまたは液体を指す。
【0009】
ヨード化反応は、O2、空気、O3(オゾン)、N2O(酸化二窒素)、H2O2(過酸化水素)及びそ
の組み合わせなどの酸素供給源の存在下または非存在下で実施することができる。酸素は
場合により、触媒供給源上に炭素が付着するのを減らし、触媒の失活化を軽減し易いよう
に配合することができる。酸素は炭素と反応して一酸化炭素/二酸化炭素を形成し、これ
が炭素の付着を効果的に軽減する。
【0010】
ヨード化反応は、好ましくは、約100℃〜約750℃、好ましくは約300℃〜約6
00℃、より好ましくは400℃〜500℃の温度で実施する。ヨード化反応は好ましく
は、約0.001気圧(atm)から約100atm、好ましくは約0.01〜約20a
tm、及びより好ましくは約0.5〜約5atmの圧力で実施する。このヨード化反応は
好ましくは、約0.001秒〜約300時間、より好ましくは約0.1秒〜約1時間、最
も好ましくは約1秒〜約10分間の接触時間で実施する。接触時間とは、触媒床容量対反
応体または処理ガス(またはガス混合物)の流速の比として定義される。前処理時間また
は再生時間が所定の時間の長さである間、処理ガスまたはガス混合物は、触媒と直接接触
させて保持される。
【0011】
本開示の一つの側面は、触媒の前処理である。前処理では、触媒はHF(フッ化水素)、
H2(水素)、CF3H(トリフルオロメタン)、HI(ヨウ化水素)、I2(ヨウ素)、F2(フッ素)、O2(
酸素)または空気と接触させる。前処理ガスは純粋であるか、またはN2(窒素)、Ar(アルゴ
ン)若しくはHe(ヘリウム)などの不活性ガスで希釈することができる。前処理は、触媒の
誘導期間の長さを短縮するのに十分な接触時間及び温度で実施する。前処理は好ましくは
、約100℃〜約600℃の温度、最も好ましくは約200℃〜約500℃の温度で実施
する。前処理は好ましくは、約0.001秒〜約1時間、より好ましくは約0.1秒〜1
0分間、最も好ましくは約1秒〜5分間の接触時間である。前処理は好ましくは、約10
分〜約100時間、より好ましくは約30分〜約20時間、最も好ましくは約1時間〜約
10時間の前処理時間で実施する。この反応で使用する触媒は通常、誘導期間を有する。
誘導期間の間、触媒は、所望の生成物の形成において殆ど活性を示さないか、または全く
活性を示さない。触媒を所定の時間で操作した後、所望の生成物が形成し始める。本明細
書に記載の触媒前処理手順では、触媒の誘導期間の長さを短縮する好都合な点を提供する
。この前処理の間、触媒の化学状態は、その元の状態、通常塩から、金属、酸化金属、フ
ッ化金属またはヨウ化金属に変化し、これがその元の状態とは異なる反応性(たとえば短
い誘導期間、高い活性)を示す。前処理後及びヨード化前に、場合により触媒を約0.5
〜約2時間、反応温度で不活性ガスでパージする。
【0012】
本開示の別の側面は、使用済み触媒の再生である。触媒を所定の時間使用した後、触媒
上に炭素が形成するため、触媒失活化がおきる。この場合、反応を停止し、触媒を同じ反
応器で再生した。好ましくは、使用済み触媒は、最初に約200℃〜約500℃で、最高
300時間、窒素などの不活性ガスでパージした。次に、反応器を所望の再生温度に設定
し、使用済み触媒をフッ化水素、水素、フッ素、酸素または空気と接触させる。この再生
ガスは純粋であるか、または窒素、ヘリウム若しくはアルゴンなどの不活性ガスで希釈す
ることができる。再生は触媒を再生するのに十分な温度及び接触時間で行う。再生は好ま
しくは約100℃〜約600℃、より好ましくは約200℃〜約500℃、最も好ましく
は約350℃〜約450℃の温度で行われる。再生ガスと使用済み触媒との接触時間は、
0.0001秒〜300時間、好ましくは約0.001秒〜約100時間、より好ましく
は約0.01秒〜約50時間を変動する。再生時間は、約0.01秒〜約150時間、好
ましくは約2〜約30時間、より好ましくは約5〜約15時間を変動する。好ましい再生
圧力は大気圧である。再生によって、触媒の活性をその元のレベルに部分的または実質的
に回復するという好都合な点を提供する。水素を使用する触媒再生の場合には、メタン生
成反応(C+2H2=CH4)をより効果的に開始するためには、少量の貴金属(たとえばPt及び
Pd)を触媒中に存在させると好ましい。再生後、触媒は場合により、約0.5〜約2時間
、反応温度で不活性ガスでパージすることができる。
【0013】
触媒の前処理及び再生は、本開示の分離可能な側面であり、それぞれヨード化反応と互
いに独立して併せて実施することができる。好ましくは両方を実施する。所望により、前
処理、ヨード化及び再生の順番は、同一触媒で所望に応じて何回も(2回以上)連続して
繰り返すことができる。
【0014】
本開示のプロセスで使用した触媒は、フルオロヨードアルカン類の合成で有用なものと
して当業界で公知のいずれかである。そのような触媒としては以下のもの:アルカリ金属
(Li、Na、K、Rb及びCs)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr及びB
a)、遷移金属(Sc、Y、V、Cr、Mn、Mo、Cu、Zn、など)、ランタノイド
若しくは希土類金属(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、
Ho、Er、Tm、Yb、Lu)またはその混合物若しくは組み合わせが挙げられるが、
これらに限定されない。金属は、その酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物、炭酸塩、重炭酸塩
、硫酸塩、及びリン酸塩(金属塩)などのその既存の状態及び形態のいずれをもとることが
できる。特に好ましい触媒としては、K(カリウム)、KNO3(硝酸カリウム)、K3PO4(リン
酸カリウム)、Cs(セシウム)及びLa(NO3O3(硝酸ランタン)が挙げられる。触媒は担持して
も担持しなくてもよい。担持触媒が好ましい。好ましい担持担体は活性炭である。
【0015】
反応器の種類は、固定床反応器または移動床反応器、たとえば流動床反応器、回転反応
器、上昇床(rising bed)反応器またはその組み合わせであってもよい。本プロ
セスはバッチ式または連続式のいずれかであってもよい。
【0016】
以下は本発明の開示の例であって、本発明を限定するものではない。
実施例
フルオロヨードアルカン類は本発明の開示に従って製造した。触媒を製造し、反応前に
前処理した。次いで触媒を反応後に再生し、さらにフルオロヨードアルカン類を製造した
【0017】
炭素に担持させたカリウム塩(K/C)触媒及び酸化ランタンまたは塩(La2O3/C)触媒
の製造:
KNO3またはLa(NO3)3の指定量を脱イオン水に溶解した(水量は、担体の孔容積から計算
した)。塩が完全に溶解したら、指定量の活性炭((100℃〜120℃で12時間予備乾
燥)をゆっくりとこの溶液に添加するか、または活性炭にこの溶液を添加した。ペースト
を連続して攪拌すると均質に含浸させることができ、次いでこれをフードに一晩いれて、
十分に含浸させた。続いて含浸したサンプルをオーブン中、100℃〜120℃で12時
間乾燥し、450℃〜550℃、窒素流下で4時間、か焼した。
【0018】
促進K/C触媒の製造:
指定量のKNO3と指定量のプロモーターの前駆体(たとえばKa(NO3)3)を予定量の脱イオ
ン水に溶解した。全ての塩が完全に溶解したら、指定量の活性炭(100℃〜120℃で
12時間予備乾燥)をゆっくりとこの溶液に添加するか、または活性炭にこの溶液を添加
した。得られたペーストを連続して攪拌して、均質に含浸させ、次いで一晩フード中にお
いて均質に含浸させた。続いて含浸したサンプルをオーブン中、100℃〜120℃で1
2時間乾燥し、その後450℃〜550℃、窒素流下で4時間か焼した。
【0019】
使用した活性炭担体は、表面積が1000m2/gを超え、平均孔径23Åの高純度活性炭
担体のペレット化Shirasagi C2X 4/6−2(Japan Enviro
Chemicals,Ltd.)であった。
【0020】
か焼触媒約50mlを3/4インチのハステロイCパイプ反応器に装填した。反応器の
温度は、反応器中心のサーモウェルに適合した5−熱電対束(熱電対の間は4インチ間隔
)によって測定した。反応前に、最初に触媒を以下の実施例で与えられた条件でガスまた
はガス混合物で前処理した。前処理後、CF3H及びヨウ素(I2)などの反応体を酸素と一緒に
または酸素を使用せずに導入した。未反応の反応体と生成物は、オンラインガスクロマト
グラフィーを使用して分析した。反応後、しばらくの間触媒が失活したら、以下に記載の
方法のたびに再生した。
【0021】
実施例1:種々の条件で前処理した触媒の反応性
表1は種々の条件下で前処理したK-La2O3/C触媒の反応性を列記する。反応前に500℃で2時間、N2で通常処理した触媒に関しては、2時間の誘導期間を示した。酸素の存在下(O2/CF3H=0.1)では、CF3H転化率52.6%、CF3I選択率51.2%、及びCF3CF2I選択率3.3%であった。同時供給の酸素の非存在下(O2/CF3H=0)8時間操業後では、触媒はCF3H転化率43.0%、CF3I選択率73.4%、及びCF3CF2I選択率4.1%であった。触媒を500℃で2時間、CF3Hで前処理すると、触媒の誘導期間は消失し、触媒はCF3H転化率50.7%、CF3I選択率52.0%、及びCF3CF2I選択率3.3%であり、N2で前処理した触媒と同一であった。触媒をH2またはI2で処理すると、4時間まで誘導期間は延びたが、触媒反応性は、N2で通常処理した触媒と比較して大きく変化しなかった。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例2:触媒再生−再生温度の効果
同時供給の酸素の非存在下では、反応の間に炭素が形成したため、触媒活性は急速に減少した。表2に示されているように、新しいK−La2O3/Cは、初期活性58%を示した。10時間実施後、触媒活性は36.4%に低下した。失活触媒を再生させるために、使用済み触媒を、指定条件下、N2中のO2の混合物中で処理した。表2は、種々の温度で10時間、10%O2−N2(酸素/窒素混合物中10容積%)で前処理した使用済み触媒の活性を列記する。400℃で再生した触媒は、70.6%CF3H転化率であり、これは新しい触媒の初期活性(58.0%)よりさらに高かった。450℃で再生した触媒は48.6%のCF3H転化率を示し、これは失活触媒の活性(36.4%)よりもかなり高く、新しい触媒の初期活性(58.0%)よりもやや低かった。500℃で10%O2−N2で前処理した触媒に関しては、触媒活性は36.4%から39%にほんの少しだけ回復した。これらの結果ははっきりと、400℃は450℃及び500℃よりも再生温度として優れていたことを示唆した。触媒を400℃で5%O2−N2で10時間再生すると、触媒活性は、36.4%から60.5%に回復した。
【0024】
【表2】
【0025】
実施例3:触媒再生−酸素濃度の効果
O2−N2中における酸素容積濃度の効果について詳細に調べ、結果を表3に示す。O2−N2
中の酸素濃度が2%のとき、触媒は450℃で再生できなかった。酸素濃度を5%または
10%に増加させると、触媒活性は一部回復した。表2に示した結果と比較して、5%O2
−N2よりも10%O2−N2の方がよく再生できたことが明らかである。
【0026】
【表3】
【0027】
実施例4:触媒再生−再生時間の効果
触媒は、450℃、10%O2−N2で種々の時間で再生した。使用済み触媒の活性は、再
生時間が長くなるにつれて高まるようであり、このことは使用済み触媒上で形成したコー
クスの連続的除去を示唆する。結果を表4に列記する。
【0028】
【表4】
【0029】
実施例5:種々の組成物の使用済み触媒の再生
種々の組成の触媒を再生し、活性に関して試験した。触媒K-La2O3/C、Pd/K-La2O3/C、K-Cs/C及びK2PO4/Cを同一条件で再生した。1重量%PdをK-La2O3/Cに添加すると、再生触媒のCF3H転化率は50.6%(再生前35.0%)であった。新しいK-Cs/Cは、反応(3時間)の開始時に68.8%のCF3H転化率及び38.1%のCF3I選択性であったが、10時間操作後、39.4%に低下した。450℃、10%O2−N2で10時間再生後、触媒は49.8%のCF3H転化率を示した。カリウム供給源としてK3PO4を使用するK/Cに関しては、使用済み触媒は新しい触媒と殆ど同じ初期活性を示した。結果を以下の表5に示す。
【0030】
【表5】
【0031】
上記のことから、本発明の開示の前処理及び再生段階を使用することによって、触媒の
誘導期間を短縮することができ、且つ使用済み触媒の活性を回復することができることは
明らかである。
【0032】
上記の説明は本発明の開示の単なる例示にすぎないことは理解すべきである。本発明の開示から逸脱することなく、当業者には種々の変更及び変形を考案できるだろう。従って、本発明の開示はそのような全ての変形、変更及び変動を包含するものであり、これらは付記請求の範囲内である。
本発明は以下の態様を含む。
[1]構造式:
CF3(CF2)n-I
{式中、nは0または1である}により表されるフルオロヨードアルカンの製造プロセスであって、ヨウ素供給源と構造式:
CF3(CF2)n-Y
{式中、YはH、Cl、Br及びCOOHから選択され、nは0または1である}により表される化合物とを反応させることを含み、ここで前記反応は、触媒の存在下、前記フルオロヨードアルカンを製造するのに十分な温度、圧力及び接触時間で実施し、ここで前記触媒は、以下の:
a)前記反応の前に、前記触媒をフッ化水素、トリフルオロメタン、水素、ヨウ化水素、ヨウ素、フッ素及び酸素からなる群から選択される気体と、前記触媒の誘導期間の長さを短縮するのに十分な温度及び接触時間で処理すること;及び
b)前記反応の後に、前記触媒をフッ化水素、水素、フッ素、酸素または空気からなる群から選択される気体と、前記触媒を再生するのに十分な温度及び接触時間で処理すること、
の一方または両方に供される、前記プロセス。
[2]段階a)は、約100℃〜約600℃の温度で、約0.001秒〜約1時間の接触時間及び約10分〜約100時間の長さで実施し、ここで段階a)の後、場合により前記触媒と不活性ガスとを約0.5時間〜約2時間以上接触させる、[1]に記載のプロセス。
[3]段階b)は約100℃〜約600℃の温度で、約0.0001秒〜約300時間の接触時間及び約0.01秒〜約150時間の長でさ実施し、ここで段階b)の後、場合により前記触媒と不活性ガスとを約0.5時間〜約2時間以上接触させる、[1]に記載のプロセス。
[4]前記反応を酸素供給源の存在下で実施する、[1]に記載のプロセス。
[5]前記反応後の処理で使用した気体は純粋または希釈された酸素、水素またはフッ化水素である、[1]に記載のプロセス。
[6]前記触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、上記のいずれかの塩及び上記の任意の組み合わせからなる群から選択される、[1]に記載のプロセス。
[7]前記フルオロヨードアルカンは、トリフルオロヨードメタンとペンタフルオロヨードエタンとの組み合わせである、[1]に記載のプロセス。
[8]前記ヨウ素供給源は、I2、HI、ICl、IF5、CI4及びその組み合わせからなる群から選択される化合物である、[1]に記載のプロセス。
[9]前記酸素供給源は、O2、空気、O3、N2O、H2O2及びその組み合わせからなる群から選択される化合物である、[4]に記載のプロセス。
[10]前記触媒は段階a)とb)の両方に供され、ここで前記段階b)を繰り返し、前記反応は約100℃〜約750℃の温度で、約0.001〜約100気圧の圧力及び約0.1秒〜約1時間の接触時間で実施する、[1]に記載のプロセス。