【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、序論に記載のタイプの装置であって、光学安全バリアが、工作移動動作の最後まで第2の機械部品の領域においてほぼ静止状態に保持され、第1の機械部品が光学安全バリアを遮る前に、光学安全バリアを次から次へと順次停止するように評価ユニットが設計されている装置によって達成される。
第1の態様への補足であってもよいし、第1の態様とは別個であってもよいが、公知の安全装置に対する好適な改良を示す更なる態様によれば、光学安全バリアが、少なくとも3列の相互に関連する光学安全バリアを形成し、第1の光学バリアを有する第1の列および第2の光学安全バリアを有する第2の列が、互いに略平行に配列され、第3の光学安全バリアを有する第3の列が、第1の列と第2の列との間に配置され、第1の列および第2の列は、それぞれ移動平面に略平行に配置され、第3の列は、移動平面に略直角に配置されている。
【0013】
一方、本発明の安全装置は、光学安全バリアを全て同時に停止するのではなく、各安全バリアが遮られる直前に連続して停止するという考えに基づいている。好適な変形態様においては、下方に移動し続ける第1の機械部品がスイッチオフ信号を発することがないように、第1の測定バリアによって保護フィールドを工作物の位置にほぼ静止状態に保持し、保護フィールドの高さを上から下げる。別個の光学安全バリアの好適な使用の場合、この様に安全バリアを上から下へと段階的に停止する(上方からミューティングする)一方で、保護フィールドの下端部を工作物の位置またはその真上に保持する。
【0014】
様々な方法で保護フィールドを工作物の位置で静止状態に保つことができる。ある好適な実施形態は、ピクセルマトリックスを有するカメラセンサによって、保護フィールドを達成し、第1の機械部品の下方移動に同期してカメラセンサの評価ピクセルの選択を上方へ移動して、「仮想」静止保護フィールドを移動中の第1の機械部品に対して生成する。その代替あるいは追加として、工作移動動作の終盤に受光装置を移動中の機械部品から脱離させて、最終的に静止状態に維持できるような方法で、受光装置を移動中の機械部品と機械的に連結することもできる。例えば、機械的な連結は、第1の機械部品を第2の機械部品に向けてさらに移動させる一方で、安全装置を停止位置で停止させる弾性バネによって達成することができる。
【0015】
通常、第1の機械部品の移動経路への侵入は、おそらく実際の曲げ工程または切削工程の直前に工作物の位置を修正するために、工作移動動作の終盤に向けて直接工作物の位置で起こるので、上方からの安全バリアのミューティングが有利である。上方からのミューティングは、急激な変化もなく、工作物の位置における特に重要な領域を一様に監視することを保証する。個々の安全バリアが停止された結果として生じる保護フィールドの如何なる減少も、工作物の重要な把持部位から離反する方向に発生する。さらに、上方からのミューティングは、特に、離間相互配置にある個々の安全バリアが、保護フィールドにまで及ぶ場合、評価ユニットおよび制御ユニットに対する適度な演算能力を必要とする実施を可能とする。光学バリアの停止および/または上方からの保護フィールドの削減は、このように、工作移動動作の終盤において工作物の真上で危険な把持部位の最適な安全性を提供する革新的な方法である。
【0016】
一方、本発明の安全装置は、相互関連する少なくとも3列の光学バリアを有する保護フィールドの使用に基づいている。3列のうちの2列は、移動平面と略平行に配置されており、移動方向を横断する保護フィールドの最小幅を定義する。これら2列は、保護フィールドの内部領域を包含する。第3の直角の列は、第1の列と第2の列との間に位置する内部領域を、移動平面に平行な方向への如何なる侵入に対しても「保全」する。3列の略直角な配置は、比較的少ない監視ビームを有する比較的大きな保護フィールドに及んでいる。大きな保護フィールドにより、様々な方向からの侵入を確実に認識することができる。さらに、個々のバリアにより、非常に簡単かつ迅速に侵入を監視することができる。さらに、カメラセンサを使用する安全装置の好適な実施の場合に、略直角な配置によって、極めて迅速に選択されたピクセルを読出すことができる。
【0017】
結果的に、本発明の安全装置により、むしろ小さな演算負荷で、それ故、むしろ小さな演算能力で、操作員の最適な保護を提供することができる。
好適には、3列は、略U字形状で、第1の機械部品の移動方向に開放した構造を形成している。特に好ましい実施態様では、第3の列は、少なくとも部分的に保護フィールドの上縁部を形成している。
【0018】
これらの特徴は、第1の機械部品の工作移動方向に操作員が巻き込まれることに対して有効な保護を提供することができるので、機械の操作員の最適な保護に貢献する。
更なる改良態様において、第1の列および第2の列は、それぞれ上端部を有し、第1の列の上端部は、第3の列を超えて突出し、第2の列の上端部は、第3の列と面一である。
この改良態様は、機械の操作員の保護をさらに改善する。一方側で保護フィールドを拡大することによって、この一方側で第1の機械部品の工作移動方向に操作員が巻き込まれることに対する保護が改善される。これは、特に、保護フィールドが機械の操作員に対向する側で拡大している場合に適用される。
【0019】
更なる改良態様において、第1の列は、保護フィールドの第1の側縁部を定義し、第1の列は、移動平面に対して所定の離間距離で配置されている。
好ましくは、所定の離間距離は、指の幅より大きく、特に20mmよりも大きい。第1の列は、操作員側における保護フィールドの外縁部を形成する。この特徴は、操作員の最適な保護に貢献する。結果的に、操作員側からの移動平面への如何なる侵入も、早期に認識可能となる。
【0020】
更なる改良態様において、第2の列は、ほぼ移動平面上に配置されている。
第2の列は、移動平面に配置されているが、第2の列は、移動平面内に位置しないのが好ましく、むしろ若干ずれているのが好ましい。換言すれば、第2の列も、移動平面に対して離間距離をおいて配置されている。しかし、この離間距離は、移動平面と第1の列との離間距離よりも実質的に小さい。この小離間距離は、加工対象の工作物の直立部分によって発生する誤警報の数を低減するので、箱の折り曲げに特に有利である。他方、第2の列は、移動平面における重要な保護を確保する。
【0021】
更なる改良態様において、保護フィールドは、移動平面の両側に及んでおり、第1の列および第2の列は、それぞれ移動平面の別々の側に配置されている。
この改良態様は、機械の前方側及び後方側からの侵入に対する保護を提供する。結果的に、この改良態様により、機械の後方側に到達することを防止する保護フェンスの使用を控えることができ、あるいは、少なくともこの様なフェンスの使用を抑えることができる。
【0022】
更なる改良態様において、安全装置は、第3の列と共に保護フィールドの第2の側縁部を定義する第4の光学安全バリアを備えている。
この改良態様において、第3の列は、第2の列と交差して、第2の列を超えて側方に突出する。しかし、保護フィールドの側縁部を延長するために、第4の光学安全バリアが設けられており、この第4の光学安全バリアが、第3の列の自由端と共に保護フィールドの側縁部を定義する。この実施形態により、危険な移動平面において高分布密度の光学安全バリアを達成し、移動平面の両側において、むしろ少数の安全バリアで二次元保護フィールドを拡張することもできる。
【0023】
更なる改良態様において、第1の列および第2の列は、それぞれ下端部を有し、第5の光学安全バリアが、2つの下端部の間に配置され、この第5の光学安全バリアが、2つの下端部と共に保護フィールドの下縁部を定義する。
第5の光学安全バリアは、第1の列に近接し、第2の列から離間して配置されており、第5の光学バリアと第2の列との離間距離(結果的に、保護フィールドの下縁部の開口部)は、指の幅よりも大きい。この改良態様では、斜め下からの方向の保護フィールドへの如何なる侵入も、容易に認識される。しかし、同時に、保護フィールドは、開放されたままであり、誤警報の数の減少に寄与し、光学バリアの数を少数に維持する。
【0024】
更なる改良態様において、機械は、行程超過経路を備え、光学安全バリアの数は、行程超過経路の長さに依存して設定可能である。
この改良態様により、保護機能の実施のために必要な演算負荷を最適化し、誤警報の回避をさらに改善することができる。行程超過経路が長い機械の場合、移動平面への侵入が起こったときに機械を行程超過経路内で確実に停止させるために、高保護フィールドが必要である。これとは対照的に、行程超過経路が短い機械の場合、高さの低い保護フィールドで充分である。好適には、保護フィールドの高さは、行程超過経路長に合わせて、複数の段階で調整可能である。行程超過経路長の減少に伴い、第3の列の下方に配置された光学バリアの数も減少するが、各行程超過経路長にかかわらず、第3の列は、いずれにせよ行程超過経路に合わせて調節された保護フィールドの一部であることが好ましい。
【0025】
いくつかの実施形態が、この特徴の実用化に適している。第1の実施形態において、全ての光学安全バリアからのデータを評価ユニットに読み込み、評価ユニットにおいて、行程超過経路に合わせて調整された保護フィールドを定義するこれらの光学バリアのデータだけを評価する。更なる実施形態においては、対照的に、行程超過経路に合わせて調整された保護フィールドを定義するこれらの光学バリアからのデータのみを評価ユニットに読み込む。
【0026】
更なる改良態様において、特に第1の光学測定フィールドの形態の第1の光学測定バリアが、第2の列の下方に配置されている。
ここで提案されている保護フィールドの実施とは無関係に、この改良態様も、別個の光学バリアから保護フィールドを構築するのではなく、むしろカメラセンサを使用して全域を監視するこの様な安全装置を含め、公知の安全装置に対する本発明の改良である。光学測定フィールドは、カメラセンサの選択ピクセル領域であることが好ましいが、原則として、別個の光バリアとすることもできる。光学測定バリアは、第2の列の下方に配置されているので、加工対象の工作物に近接する方向への第1の機械部品の工作移動動作中に最初に遮られる。したがって、前記光学測定バリアは、工作物が保護フィールドに入る前に工作物によって遮られる。第1の機械部品の「柔軟な」減速を開始する目的のために、測定バリアの早期の遮断を好適に使用することができる。結果的に、機械の負荷、機械の振動および機械の摩耗を低減することができる。さらに、好ましい実施形態においては、次の光学監視バリアのミューティングを誘発するために光学測定バリアを使用する。ミューティングを開始するために光学測定バリアを使用することによって、工作移動動作中にミューティングを開始するための位置を正確に定義することができる。さらに、ミューティング位置は、工作物によって異なる厚さに合わせて自動的に調節される。
【0027】
更なる改良態様において、更なる光学測定バリアが、特に第2の光学測定フィールドの形態で、第1の列および/または第2の列の上方に配置されている。
この改良態様において、序論で引用されている上記特許文献11に記載されているように、本発明の安全装置は、スイッチオフ信号の後で、第1の機械部品の行程超過経路の実際の長さを推定することできる。この点について、行程超過測定工程の詳細に関してはこの文書を参照する。
【0028】
更なる改良態様において、安全装置は、送光装置と受光装置とを備え、少なくとも受光装置が、第1の機械部品の工作移動動作に際して前端縁に先立って移動するように、第1の機械部品に連結されており、送光装置が、端縁に略平行に延びる光ビームを生成して受光装置に照射し、受光装置が、局所的に解像された光ビームの画像を受信するために、複数のピクセルを有する画像センサを備え、光学バリアが、選択されたピクセルにより構成される。
【0029】
この改良態様により、極めて強力で費用効果の高い実施が可能となる。これにより、本発明の安全装置を機械に合わせて調整する工程を単純化して、簡単な方法で遡及的に保護フィールドの寸法を変更することができる。さらに、この実施形態により、費用効果が非常に高く、維持管理を抑えた方法で、上方からの好適なミューティングを実施することができる。
【0030】
更なる改良態様において、本発明の安全装置の光学安全バリアは、それぞれ略正方形の横断面を有している。
この改良態様により、特に簡単で費用効果の高い方法で、単一のカメラセンサにおいて別個の光学バリアを実施することができる。正方形のバリアは、非常に迅速に読出可能な小さな選択ピクセル領域により実施可能である。
【0031】
言うまでもなく、上記の特徴および下記の特徴は、それぞれ上記の組み合わせでの使用に限定されず、その際に本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせまたは単独で使用することができる。
本発明の例示的実施形態は、以下に詳細に説明され、以下の図面に描かれている。