特許第5788973号(P5788973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788973
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】接着促進剤系、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 123/16 20060101AFI20150917BHJP
   C09J 123/16 20060101ALI20150917BHJP
   C09J 123/10 20060101ALI20150917BHJP
   C09J 11/02 20060101ALI20150917BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20150917BHJP
   C09D 123/10 20060101ALI20150917BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20150917BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   C09D123/16
   C09J123/16
   C09J123/10
   C09J11/02
   C09J11/06
   C09D123/10
   C09D5/02
   C09D7/12
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-510112(P2013-510112)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-532198(P2013-532198A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】US2011033249
(87)【国際公開番号】WO2011142949
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年1月7日
(31)【優先権主張番号】61/332,986
(32)【優先日】2010年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ディール,チャールズ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】マロットキー,デイビッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】リード,マイケル ディー.
【審査官】 松波 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−106178(JP,A)
【文献】 特表2007−504301(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0084764(US,A1)
【文献】 特開平08−176356(JP,A)
【文献】 特開平10−273570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00,101/00−201/20
C09J 1/00−5/10,9/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融混練生成物を含む分散体を含む接着促進剤系であって、前記溶融混練生成物が、
固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、前記ベースポリマー;
固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物であって、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン及びオクテンの少なくとも1つとのコポリマーを含み、前記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、前記無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の5ら45重量パーセントの範囲にあり、前記官能化ポリマー組成物が50から130℃の範囲の溶融温度を有する、前記官能化ポリマー組成物;
任意選択で、固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤;の
水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下における、
溶融混練生成物であり、
前記分散体が、0.05から5μmの範囲の平均粒径(直径)、および8から11の範囲のpHを有する、接着促進剤系。
【請求項2】
接着促進剤系の製造方法であって、
固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、ベースポリマーを選択するステップ;
固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物を選択するステップであって、前記官能化ポリマー組成物が、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン及びオクテンの少なくとも1つとのコポリマーを含み、前記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、前記無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の5ら45重量パーセントの範囲にあり、前記官能化ポリマー組成物が50から130℃の範囲の溶融温度を有する、ステップ;
固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤を選択するステップ;
前記ベースポリマー及び官能化ポリマー組成物を、水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下において、溶融混練するステップ;及び
それによって、前記接着促進剤系を形成するステップ
を含み、前記分散体が、0.05から5μmの範囲の平均粒径(直径)、および8から11の範囲のpHを有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の接着促進剤系に由来するフィルムを含む接着層。
【請求項4】
少なくとも1つ又は複数の基材層;
請求項1に記載の接着促進剤系に由来するフィルムを含む、少なくとも1つ又は複数の接着層;
少なくとも1つ又は複数の外側層;
を含み、
前記接着層が、前記1つ又は複数の基材層と前記1つ又は複数の外側層との間に配置されている、多層構造体。
【請求項5】
多層構造体の生成方法であって、
少なくとも1つ又は複数の基材層を選択するステップ;
請求項1に記載の接着促進剤系を選択するステップ;
前記接着促進剤系を、前記基材層の少なくとも1つの表面に適用するステップ;
水の少なくとも一部を除去するステップ;
それによって、前記基材層と結合した接着層を形成するステップ;
前記接着層上に、少なくとも1つ又は複数の外側層を形成するステップ;及び
それによって、多層構造体を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項6】
前記接着促進剤系が、1種又は複数のフィラー、1種又は複数のバインダー、1種又は複数の顔料、1種又は複数のレオロジー調整剤をさらに含む、請求項1に記載の接着促進剤系
【請求項7】
前記官能化ポリマー組成物が、(a)末端不飽和を有するプロピレン/ヘキセンコポリマーを無水マレイン酸と1:1のモル比で反応させて、末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを生成させるステップ、次いで、(b)末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、前記末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを、さらなる無水マレイン酸と、フリーラジカル開始の存在下において反応させて、前記官能化ポリマー組成物を生成させるステップ、を含む方法によって得られ、前記官能化ポリマー組成物が、官能化ポリマー組成物の重量に対して、5から45重量パーセントの範囲の無水コハク酸置換を有する、請求項1に記載の接着促進剤系
【請求項8】
請求項1,6,および7のいずれか一項に記載の接着促進剤系を含み、少なくとも1重量パーセントの前記接着促進剤系を含むコーティング組成物。
【請求項9】
少なくとも1つ又は複数の基材層;および
請求項8に記載のコーティング組成物を含む、少なくとも1つ又は複数のコーティング層
を含む、多層構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年5月10日に出願された「ADHESION PROMOTER SYSTEM, AND METHOD OF PRODUCING THE SAME」という名称の米国特許仮出願第61/332,986号による優先権を主張する本出願であり、仮出願の教示は、本明細書において以下に完全に再現されるように、参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、接着促進剤系、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な技術が、熱可塑性ポリオレフィン(「TPO」)などの特定の低表面エネルギープラスチック基材の塗装性を高めるために用いられている。例えば、このような技術は、自動車の外部塗装用途、例えば車のバンパー、及び自動車の内部塗装用途、例えばインストルメントパネルのように、自動車産業において広く用いられている。さらに、かなりの数の自動車以外の用途、例えば、包装用途、ジオテキスタイル用途、養殖、スポーツ用品、器具、消費者向け電子機器、家具、船舶、ルーフィング膜及び玩具があり、これらは、ポリプロピレン基材へのトップコートの良好な接着性を必要とする。
【0004】
接着促進剤は、また、ガラス繊維強化ポリプロピレン若しくはTPOを製造するのに用いられるガラス繊維のためのサイジング剤として、又は、強化を可能にするために、天然繊維とPP若しくはTPO基材との間に接着性をもたせるために、使用され得る。
【0005】
通常、接着促進剤は、異なる層の間の接着特性を向上させるために用いられる。このような接着層は、別個の層、配合されたプライマー層、又はベースコート若しくはプライマー配合物におけるブレンド成分として適用され得る。適用されるコーティングは、溶剤系又は水性であり得る;しかし、後者の場合、通常少なくともいくらかの表面活性化処理、例えば、火炎処理、プラズマ処理、又はコロナ処理が必要とされる。溶剤ベースの系で、解決されていない重要な要求は、有益であると見なされている塩素を含まない低コスト材料を提供することである。
【0006】
現在利用可能な水性の選択肢では、特にTPO又はPP基材の表面活性化処理がない状態における、許容できる適切な耐ウォータージェット性さらには耐化学薬品性が得られていない。さらに、現在利用可能な選択肢は、塩素含有接着促進剤配合物に関連する問題に対処できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改良された接着促進剤配合物を製造しようとする研究努力にもかかわらず、特性が改良された、塩素を含まない接着促進剤系が依然として求められており;さらに、特性が改良された、このような塩素を含まない接着促進剤系を低コストで生成する方法が依然として求められている。本発明の接着促進剤系は、他の特性を妨げることなく、接着特性が改良された、塩素を含まない接着促進剤系を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接着促進剤系、及びその製造法である。
【0009】
一実施形態において、本発明は、(a)固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、ベースポリマー;(b)固形分の全重量に対して、0.5から30重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物であって、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン、オクテン及び/若しくは他の類似のα−オレフィンとのコポリマーを含み、上記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の約5から約45重量パーセントの範囲にある、官能化ポリマー組成物;(c)固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤;及び(d)水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下における、例えば25℃から200℃の範囲の温度での、溶融混練生成物を含む水性分散体を含む接着促進剤系を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、接着促進剤系の製造方法であって、(1)固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、ベースポリマーを選択するステップ;(2)固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物を選択するステップであって、前記官能化ポリマー組成物が、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン、オクテン及び/若しくは他の類似のα−オレフィンとのコポリマーを含み、上記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の約5から約45重量パーセントの範囲にある、ステップ;(3)固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤を選択するステップ;(4)前記ベースポリマー及び前記官能化ポリマー組成物を、水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下において、25℃から200℃の範囲の温度で、溶融混練するステップ;及び(5)それによって、前記接着促進剤系を形成するステップを含む方法をさらに提供する。
【0011】
代替的な別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のいずれかに従う接着促進剤系に由来するフィルムを含む接着層をさらに提供する。
【0012】
代替的な別の実施形態において、本発明は、(a)少なくとも1つ又は複数の基材層;(b)先の実施形態のいずれかに従う接着促進剤系に由来するフィルムを含む、少なくとも1つ又は複数の接着層;(c)少なくとも1つ又は複数の外側層;を含み、前記接着層が、前記1つ又は複数の基材層と前記1つ又は複数の外側層との間に配置されている、多層構造体をさらに提供する。
【0013】
代替的な別の実施形態において、本発明は、少なくとも前述の接着促進剤系を含むコーティング配合物をさらに提供する。
【0014】
代替的な別の実施形態において、本発明は、前述のコーティング配合物に由来するフィルムを含むコーティング層をさらに提供する。
【0015】
代替的な別の実施形態において、本発明は、(a)少なくとも1つ又は複数の基材層;(b)前述のコーティング配合物に由来するフィルムを含む、少なくとも1つ又は複数のコーティング層;及び(c)任意選択で、1つ又は複数の外側層、を含む多層構造体をさらに提供する。
【0016】
代替的な別の実施形態において、本発明は、多層構造体の生成方法であって、(1)少なくとも1つ又は複数の基材層を選択するステップ;(2)先の実施形態のいずれかに従う接着促進剤系を選択するステップ;(3)前記接着促進剤系を、前記基材層の少なくとも1つの表面に適用するステップ;(4)水の少なくとも一部を除去するステップ;(5)それによって、前記基材層と結合した接着層を形成するステップ;(6)前記接着層上に少なくとも1つ又は複数の外側層を形成するステップ;及び(7)それによって、多層構造体を形成するステップを含む方法をさらに提供する。
【0017】
代替的な別の実施形態において、本発明は、多層構造体の生成方法であって、(1)少なくとも1つ又は複数の基材層を選択するステップ;(2)前述のコーティング配合物を選択するステップ;(3)前記コーティング配合物を、前記基材層の少なくとも1つの表面に適用するステップ;(4)水の少なくとも一部を除去するステップ;(5)それによって、前記基材層と結合したコーティング層を形成するステップ;(6)任意選択で、前記コーティング層上に1つ又は複数の外側層を形成するステップ;及び(7)それによって、多層構造体を形成するステップを含む方法をさらに提供する。
【0018】
代替的な実施形態において、本発明は、接着促進剤系が、1種又は複数のフィラー、1種又は複数のバインダー、1種又は複数の顔料、1種又は複数のフィルム形成助剤、1種又は複数の架橋剤、1種又は複数の伝導性向上剤、1種又は複数のレオロジー調整剤を含むこと以外は、先の実施形態のいずれかに従う、組成物、その製造方法、それから生成される物品、及びこのような物品の生成方法を提供する。
【0019】
代替的な実施形態において、本発明は、官能化ポリマー組成物が、(a)末端不飽和を有するプロピレン/ヘキセンコポリマーを無水マレイン酸と1:1のモル比で反応させて、末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを生成させるステップ、次いで、(b)末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、上記末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを、さらなる無水マレイン酸と、フリーラジカル開始の存在下において反応させて、前記官能化ポリマー組成物を生成させるステップ、を含む方法によって得られ、前記官能化ポリマー組成物が、官能化ポリマー組成物の重量に対して、5から45重量パーセントの範囲の無水コハク酸置換を有すること以外は、先の実施形態のいずれかに従う、組成物、その製造方法、それから生成される物品、このような物品の生成方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、接着促進剤系、及びその製造方法である。
【0021】
本発明による接着促進剤系は、(a)固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、ベースポリマー;(b)固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物であって、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン、オクテン及び/若しくは他の類似のα−オレフィンとのコポリマーを含み、上記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、無水コハク酸置換が、官能化ポリマー組成物の約5から約45重量パーセントの範囲にある、官能化ポリマー組成物;(c)固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤;及び(d)水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下における、例えば25℃から200℃の範囲の温度での、溶融混練生成物を含む水性分散体を含む。
【0022】
接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも20重量パーセントの分散体を含み得る。少なくとも20重量パーセントからの、全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも30重量パーセントの分散体を含み得る;又は、代わりに、接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも40重量パーセントの分散体を含み得る;又は、代わりに、接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも50重量パーセントの分散体を含み得る;又は、代わりに、接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも55重量パーセントの分散体を含み得る;又は、代わりに、接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも65重量パーセントの分散体を含み得る;又は、代わりに、接着促進剤系は、接着促進剤系の重量に対して、少なくとも75重量パーセントの分散体を含み得る。
【0023】
接着促進剤系は、1種又は複数の合着剤(coalescing agent)、湿潤剤、増粘剤、流動助剤、顔料、樹脂、殺生物剤、フィルム形成助剤、伝導性向上剤、又は架橋系をさらに含み得る。接着促進剤系は、別個の層として基材の表面に適用されるか、又は、それは、コーティング系に組み入れられ得る。
【0024】
水性分散体は、固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントの、下でさらに詳細に説明されるベースポリマーを含み得る。少なくとも60重量パーセントからの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、ベースポリマーの重量パーセントは、60、70、75、80、90、又は95重量パーセントの下限から、70、75、80、85、90、95又は100重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散体は、固形分の全重量に対して、60から95重量パーセント、又は70から90重量パーセント、又は75から95重量パーセント、又は80から99重量パーセント、又は85から99重量パーセント、又は90から100重量パーセントのベースポリマーを含み得る。
【0025】
水性分散体は、任意選択で、固形の全重量に対して、40重量パーセント未満の、下でさらに詳細に説明される官能化ポリマー組成物を含み得る。40重量パーセント未満からの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、官能化ポリマー組成物の重量パーセントは、0、5、10、15、20、30、又は35重量パーセントの下限から、5、10、15、20、30、又は40重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散体は、固形分の全重量に対して、0から35重量パーセント、又は0から30重量パーセント、又は0から25重量パーセント、又は0から15重量パーセント、又は5から15重量パーセント、又は0から10重量パーセントの官能化ポリマー組成物を含み得る。
【0026】
水性分散体は、フィラーの重量を除いて、水性分散体の全重量に対して、少なくとも5重量パーセントの固形分を含み得る。少なくとも5重量パーセントからの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、この重量パーセントは、5、10、20、30、40、50、55、60、65、70,75、又は80重量パーセントの下限から、45、50、55、60、65、70、75、80又は85重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散体は、フィラーの重量を除いて、水性分散体の全重量に対して、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも45重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも55重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも65重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセントの固形分を含み得る。
【0027】
水性分散体は、100μm未満(例えば、50μm未満;又は代わりに、25μm未満;又は代わりに、0.05から25μmまで;又は代わりに、0.05から10μmまで;又は代わりに、0.05から5μmまで)の範囲の平均粒径(直径)を有し得る。
【0028】
水性分散体は、12未満(例えば、7.5から11まで;又は代わりに、8から11まで;又は代わりに、8から10まで)の範囲のpHを有し得る。
【0029】
ベースポリマー
水性分散体は、固形分の全重量に対して、ベースポリマーに由来する少なくとも60重量パーセント(例えば、少なくとも70重量パーセント;又は代わりに、少なくとも80重量パーセント;又は代わりに、少なくとも90重量パーセント)の単位を含む。ベースポリマーは、ポリオレフィン組成物(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー組成物、例えば、プロピレン/エチレンコポリマー組成物)を含む。プロピレン/α−オレフィンコポリマー組成物は、任意選択で、1種又は複数のポリマー、例えば、ランダムコポリマーのポリプロピレン(RCP)をさらに含み得る。特定の一実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、実質的にアイソタクチックのプロピレン連鎖を有すると特徴付けられる。「実質的にアイソタクチックのプロピレン連鎖」は、連鎖が、約0.85を超える;代わりに、約0.90を超える;別の代わりとして、約0.92を超える;別の代わりとして、約0.93を超える;13C NMRによって求めたアイソタクチック3連子(mm)を有することを意味する。アイソタクチック3連子は当技術分野においてよく知られており、例えば、米国特許第5504172号、及び国際公開WO 00/01745に開示されており、これらは、アイソタクチック連鎖を13C NMRスペクトルによって求めた、コポリマー分子鎖における3連子単位により表す。
【0030】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16Kg)に従って求めて、0.1から500g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る。0.1から500g/10分までの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、メルトフローレートは、0.1g/10分、0.2g/10分、又は0.5g/10分の下限から、500g/10分、200g/10分、100g/10分、又は25g/10分の上限までであり得る。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.1から200g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.2から100g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.2から50g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.5から50g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1から50g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1から40g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1から30g/10分の範囲のメルトフローレートを有し得る。
【0031】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、又は3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)、又は7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限までであり得る。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る。結晶化度は、前述のように、DSC法により測定される。プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレンに由来する単位、及び1種又は複数のα−オレフィンコモノマーに由来するポリマー単位を含む。プロピレン/α−オレフィンコポリマーを製造するために用いられる例示的なコモノマーは、C、及びCからC10のα−オレフィン;例えば、C、C、C及びCのα−オレフィンである。
【0032】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1から40重量パーセントの1種又は複数のα−オレフィンコモノマーを含む。1から40重量パーセントまでの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、コモノマー含有量は、1重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、又は9重量パーセントの下限から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、又は9重量パーセントの上限までであり得る。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1から35重量パーセントの1種又は複数のα−オレフィンコモノマーを含む;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1から30重量パーセントの1種又は複数のα−オレフィンコモノマーを含む;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3から27重量パーセントの1種又は複数のα−オレフィンコモノマーを含む;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3から20重量パーセントの1種又は複数のα−オレフィンコモノマーを含む;又は代わりに、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3から15重量パーセントの1種又は複数のα−オレフィンコモノマーを含む。
【0033】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3.5以下;代わりに、3.0以下;又は別の代わりとして、1.8から3.0の分子量分布(MWD)(重量平均分子量/数平均分子量(M/M)として定義される)を有する。
【0034】
このようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、米国特許第6960635号及び米国特許第6525157号(参照により本明細書に組み込まれる)にさらに詳細に記載されている。このようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商用名で、又はExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商用名で市販されている。一実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、(A)60から100未満の間、好ましくは80から99の間、より好ましくは85から99重量パーセントの間のプロピレンに由来する単位と、(B)ゼロ超から40の間、好ましくは1から20の間、より好ましくは4から16の間、より一層好ましくは4から15重量パーセントの間の、エチレン及び/又はC4〜10のα−オレフィンの少なくとも1種に由来する単位とを含み;平均で少なくとも0.001、好ましくは平均で少なくとも0.005、より好ましくは平均で少なくとも0.01個の長鎖分岐/(1000個の全炭素)を含む;とさらに特徴付けられる。プロピレン/α−オレフィンコポリマーにおける長鎖分岐の最大数は、決定的に重要ではないが、通常、それは(3個の長鎖分岐)/(1000個の全炭素)を超えない。本明細書で用いられる場合、長鎖分岐という用語は、炭素が短鎖分岐より少なくとも1個多い鎖長を表し、本明細書で用いられる場合、短鎖分岐は、コモノマーの炭素数より炭素が2個少ない鎖長を表す。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、長さが少なくとも7個の炭素の長鎖分岐を有する骨格を有するが、これらの骨格は、また、長さが6個の炭素のみの短鎖分岐も有する。このようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、米国特許仮出願第60/988999号、及び国際特許出願PCT/US08/082599に詳細にさらに記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
官能化ポリマー組成物
官能化ポリマーは、それに続くベースコート、トップコート、インクなどを接着させる。マレイン酸官能基は、遊離の水素官能基を有する多くの樹脂;例えば、アルキッド、アクリル、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、ポリアミド、シリコーンなどと反応し得る。
【0036】
水性分散体は、固形分の全重量に対して、40重量パーセント未満;例えば、30重量パーセント未満;又は、代わりに、20重量パーセント未満;又は、代わりに、10重量パーセント未満の、官能化ポリマー組成物に由来する単位を含む。官能化ポリマー組成物は、ポリプロピレンの物理的特性に大きくは影響を及ぼさない多量の無水コハク酸が結び付いた、ポリプロピレン、すなわち、ポリプロピレンと1種又は複数のαオレフィン(例えばエチレン、ヘキセン、及びオクテン)のホモポリマー及びコポリマー、並びにその加水分解誘導体を含む。用語「ポリプロピレン」が本明細書で用いられる場合、それは、ポリプロピレンのホモポリマー及びコポリマーを包含するものとする。例えば、用いられるコモノマーには、必ずしもこれらに限らないが、エチレン、ヘキセン、オクテンなどが含まれる。
【0037】
本明細書に記載の方法の要所は、ビニリデン末端ポリプロピレンへのエン反応により形成されるコハク酸末端ポリプロピレンの使用である。このポリプロピレンは、排他的にではないが、多くの場合、メタロセン触媒によって調製される。このポリマーへの無水マレイン酸のグラフトは、鎖の開裂又は重合を、それ程生じないことが見出された。非限定的一実施形態において、その方法は、単一の末端ビニリデン基が各分子に生じるような方法で、メタロセン触媒を用いて形成されたポリプロピレンの存在下において、無水マレイン酸を加熱することを含む。最も一般的には、これらメタロセン重合は、水素(これは、重合を加速し、ポリマーの分子量を下げる)の存在下において行われ、この場合は、末端ビニリデン基を有さないポリマーを生じる。これらの飽和ポリマーは、本発明の方法では機能しないであろうから、メタロセン触媒の存在の下でのプロピレンの重合は、好ましくは、非常に少量の水素の存在下において、若しくは水素なしで、又は他の移動剤、例えばトリエチルシランなどの存在下において、実施される。
【0038】
エン反応が、下に概略的に示されている。
【0039】
【化1】
【0040】
どのような形のポリプロピレン(例えば、シンジオタクチック、ヘミシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック、及びアタクチックポリプロピレン)でも用いられ得る。ポリプロピレンは、多様な遷移金属触媒によって生成され得る。
【0041】
前記グラフト化ポリマーへの無水マレイン酸のさらなるグラフトは、本質的に、2重結合に影響を及ぼさない。全ての無水マレイン酸は、ポリプロピレンの骨格に付加される。これは、下に概略的に示されている。
【0042】
【化2】
【0043】
5重量パーセント未満の無水マレイン酸の組入れレベルは、確実に可能であるが、本明細書に記載の方法は、約5から約45重量パーセント、代わりに、約10から約45重量パーセントの程度の、より高レベルの全無水マレイン酸の組入れを実現することを容易にする。
【0044】
方法の非限定的一実施形態では、エン反応において、1モル当量のポリプロピレン(末端不飽和を有する)が約1モル当量の無水マレイン酸と反応させられる。加熱されるが、これは、反応物が混合され得るように、ポリプロピレンを溶融させるのに単に十分なだけ、通常、必要である。
【0045】
方法の別の非限定的実施形態において、無水マレイン酸のさらなる添加で、エン反応による末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有するポリプロピレンは、フリーラジカルによる開始の存在下において、さらなる無水マレイン酸と結び付けられる。フリーラジカルによる開始は、必ずしもこれらに限らないが、過酸化物、紫外線による光開始、ガンマ線、金属錯体及びこれらの組合せを含めて、一般に用いられるフリーラジカルによる開始の形のいずれかであり得る。本発明の非限定的一実施形態において、過酸化物開始剤は、ジ−t−ブチルペルオキシドである。
【0046】
無水マレイン酸のさらなる添加が手際よく実施される場合、反応物が混合されるように、混合物を少なくとも溶融状態に加熱することが必要である。反応温度は、ラジカル源及びポリマーの融点に応じて決まり、約60℃から約200℃の範囲にあり得る。方法の2つのステップは、雰囲気圧力で実施され得る。無水マレイン酸は、高温で揮発性であるので、反応は、密封された容器内で実施され得る。
【0047】
方法の別の非限定的実施形態において、末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有するポリプロピレンは、溶剤に溶かされてもよく、混合の間の加熱が、低減される、又は省かれ得る。ポリプロピレン反応物に適する溶剤には、必ずしもこれらに限らないが、トルエン、キシレン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0048】
無水マレイン酸により置換された生成物ポリプロピレンの分子量(M)は、約500から、約150,000ダルトンまで、代わりに、約50,000ダルトンまで、別の非限定的実施形態では、約10,000ダルトンまで、別の非限定的実施形態では、600から約5000ダルトンの範囲にあり得る。
【0049】
一実施形態において、第2の官能化ポリマーは、50から130℃;例えば、50から120℃、又は50から115℃、又は50から110℃、又は50から100℃の範囲の融点を有する。
【0050】
一実施形態において、第2の官能化ポリオレフィンは、(a)末端不飽和を有するプロピレン/ヘキセンコポリマーを無水マレイン酸と1:1のモル比で反応させて、末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを生成させるステップ、次いで、(b)末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを、フリーラジカル開始の存在下において、さらなる無水マレイン酸と反応させて、前記第2の官能化ポリオレフィンを生成させるステップ、を含む方法によって得られ、前記第2の官能化ポリオレフィンは、第2の官能化ポリオレフィンの重量に対して、5から45重量パーセントの範囲の無水コハク酸置換を有する。
【0051】
このような官能化ポリマーは、米国特許出願第2006/0084764号及び米国特許出願第2005/0203255号、並びに米国特許第7,183,359号にさらに記載されており、これらの各々は、このような官能化ポリマーを記載する範囲で、参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0052】
安定化剤
本発明による水性分散体は、安定な分散体の生成を助長するために、少なくとも1種又は複数の安定化剤をさらに含む。安定化剤は、好ましくは、外部安定化剤であり得る。本発明の水性分散体は、分散体の固形分の全重量に対して、1から50重量パーセントの1種又は複数の安定化剤を含む。1から50重量パーセントまでの全ての個々の値及び従属範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される;例えば、この重量パーセントは、1、3、5、10重量パーセントの下限から、15、25、35、45、又は50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散体は、水性分散体の固形分の全重量に対して、1から25、又は代わりに、1から35、又は代わりに、1から40、又は代わりに、1から45重量パーセントの1種又は複数の安定化剤を含み得る。選択された実施形態において、安定化剤は、界面活性剤、ポリマー、又はこれらの混合物であり得る。特定の実施形態において、安定化剤は、上で記載された、1種又は複数の第2の官能化ポリマー組成物であり得る。特定の実施形態において、安定化剤は、コモノマー又はグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する、極性ポリマーであり得る。例示的な実施形態において、安定化剤は、コモノマー又はグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する、1種又は複数の極性ポリオレフィンを含む。例示的なポリマー安定化剤には、これらに限らないが、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyにより市販され、PRIMACOR(商標)の商用名で入手可能なもの、E.I.DuPont de Nemoursにより市販されているNUCREL(商標)、及びExxonMobil Chemical Companyにより市販されているESCOR(商標)、並びに、米国特許第4,599,392号、米国特許第4,988,781号、及び米国特許第5,938,437号(これらの各々は、その全体が、参照を通じて本明細書に組み込まれる)に記載されているものが含まれる。他の例示的なポリマー安定化剤には、これらに限らないが、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、及びエチレンブチルアクリレート(EBA)が含まれる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーもまた用いられ得る。当業者は、かなりの数の他の有用なポリマーもまた用いられ得ることを理解するであろう。
【0053】
用いられ得る他の安定化剤には、これらに限らないが、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、脂肪酸塩、又は脂肪酸アルキルエステルが含まれる。別の実施形態において、長鎖脂肪酸又は脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有し得る。
【0054】
安定化剤、さらに官能化ポリマー組成物は、それぞれ、中和剤により、部分的又は完全に中和され得る。特定の実施形態において、安定化剤及び/又は官能化ポリマー組成物の中和は、モルベースで、25から250パーセントであり得る;又は、代わりに、それは、モルベースで、50から110パーセントであり得る。例えば、中和剤は、例えば水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムなどの塩基であり得る。他の中和剤には、例えば、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムが含まれ得る。代替的な別のものとして、中和剤は、例えば、炭酸塩であり得る。代替的な別のものとして、中和剤は、例えば、モノエタノールアミン、又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)などのアミンであり得る。本明細書に開示の実施形態において有用であるアミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びTRIS AMINO(それぞれ、Angusから入手可能)、NEUTROL TE(BASFから入手可能)、さらにはトリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びΝ,Ν−ジメチルエタノールアミン(それぞれ、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)が含まれ得る。他の有用なアミンには、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n プロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノエタン、Ν,Ν,Ν’Ν’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1.2−ジアミノプロパンが含まれ得る。ある実施形態では、アミンの混合物、又はアミンと界面活性剤の混合物が用いられ得る。当業者は、適切な中和剤の選択が、配合される具体的な組成物に応じて決まること、及び、このような選択が、当業者の知識の範囲内にあることを理解するであろう。
【0055】
本発明の実施に有用であり得る、さらなる安定化剤には、これらに限らないが、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤が含まれる。陰イオン界面活性剤の例には、これらに限らないが、スルホネート、カルボキシレート、及びホスフェートが含まれる。陽イオン界面活性剤の例には、これらに限らないが、第4級アミンが含まれる。非イオン界面活性剤の例には、これらに限らないが、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、及びシリコーン界面活性剤が含まれる。本発明の実施に有用である安定化剤は、外部界面活性剤又は内部界面活性剤のいずれかであり得る。外部界面活性剤は、分散体の調製の間に、ベースポリマーに化学的に反応した状態にならない界面活性剤である。本発明で有用な外部界面活性剤の例には、これらに限らないが、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩、及びラウリルスルホン酸塩が含まれる。内部界面活性剤は、分散体の調製の間に、ベースポリマーに化学的に反応した状態に実際になる界面活性剤である。本発明で有用な内部界面活性剤の例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸、及びその塩が含まれる。本発明の実施に有用であり得る、さらなる界面活性剤には、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、又はこれらの組合せが含まれる。OP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−1000(ステアリン酸カリウム)、及びOPK−181(オレイン酸カリウム)(それぞれ、RTD Hallstarから入手可能);UNICID 350(Baker Petroliteから入手可能);DISPONIL FES 77−IS及びDISPONIL TA−430(それぞれ、Cognisから入手可能);RHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33、及び796/P、RHODACAL BX−78及びLDS−22、RHODAFAC RE−610、及びRM−710、並びにSUPRAGIL MNS/90(それぞれ、Rhodiaから入手可能);並びに、TRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、及びTRITON CG−110(それぞれ、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン)から入手可能)を含めて、様々な市販の界面活性剤が、本明細書に開示の実施形態において用いられ得る。
【0056】
流体媒体
水性分散体は、流体媒体をさらに含む。流体媒体は、どのような媒体であってもよい;例えば、流体媒体は水であり得る。本発明の分散体は、分散体の全容積に対して、35から85重量パーセントの流体媒体を含む。特定の実施形態において、水含有量は、分散体の全重量に対して、35から80、又は代わりに、35から75、又は代わりに、45から65重量パーセントの範囲であり得る。分散体の水含有量は、固形分(ベースポリマー+安定化剤)が、約1重量パーセントから約80重量パーセントの間であるように、好ましくは制御され得る。特定の実施形態において、固形分の範囲は、約10重量パーセントから約75重量パーセントの間であり得る。別の特定の実施形態において、固形分の範囲は、約20重量パーセントから約70重量パーセントの間である。別の特定の実施形態において、固形分の範囲は、約25重量パーセントから約60重量パーセントの間である。
【0057】
さらなる成分
本発明による水性分散体は、任意選択で、1種又は複数のバインダー組成物、例えば、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、酢酸ビニルエチレンラテックス、任意選択で、1種又は複数の他の水性バインダー系、例えば、ポリウレタン分散体、エポキシ分散体、アルキド分散体、又はこれらのタイプのポリマーの混成分散体、任意選択で、1種又は複数のフィラー;任意選択で、1種又は複数の添加剤;任意選択で、1種又は複数の顔料、例えば、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、ミル加工したガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、及びクレー;任意選択で、カーボンブラックのような導電性フィラー;任意選択で、1種又は複数の補助溶剤、例えば、グリコール、グリコールエーテル、例えば、Dowanol(商標)TPnB(トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル)、DPnB(ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル)、DPM(ジプロピレングリコールメチルエーテル)、DPMA(ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、PGDA(プロピレングリコールジアセテート)、PM(プロピレングリコールメチルエーテル)、PMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、PnB(プロピレングリコールn−ブチルエーテル)、PnP(プロピレングリコールn−プロピルエーテル)、PPh(プロピレングリコールフェニルエーテル)、TPM(トリプロピレングリコールメチルエーテル)、Proglyde DMM(ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシルセロソルブ、ヘキシルカルビトール(全て、The Dow Chemical Companyから入手可能)、又はExxonMobilからTEXANOLの商用名で入手可能な他のグリコールエーテル;他の溶剤、例えば、トルエン、キシレン、AROMATIC100、N−プロピルプロピオネート、N−ブチルプロピオネート、N−ペンチルプロピオネート、これらの混合物、並びに、これらの組合せをさらに含み得る。このような溶剤は、例えば、ExxonMobilからAROMATIC 100の商用名で、The Dow Chemical CompanyからUCAR N−アルキルプロピオネートの商用名で、市販されている;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、アルコール、ミネラルスピリット、及びベンゾエートエステルのような他のもの;
【0058】
任意選択で、1種又は複数の分散剤、例えば、アミノアルコール、及びポリカルボキシレート;任意選択で、1種又は複数の界面活性剤;任意選択で、1種又は複数の泡制止剤;任意選択で、1種又は複数の消泡剤、例えば、Air ProductsによるSurfynol、EvonikによるTego Foamex、若しくはBYKによるBYKの商用名によるもの、又は他のもの、或いはこれらの組合せ;任意選択で、1種又は複数の保存剤、例えば、殺生物剤、防かび剤、殺菌剤、殺藻剤、及びこれらの組合せ;任意選択で、1種又は複数の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、疎水性に変性されたアルカリ可溶エマルジョン(HASE増粘剤、例えば、UCAR POLYPHOBE TR−116)、及び疎水性に変性されたエトキシ化ウレタン増粘剤(HEUR);或いは、任意選択で、1種又は複数のさらなる中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニア、及び炭酸塩;
【0059】
任意選択で、1種又は複数の湿潤剤、例えば、EvonikからTEGO、若しくは3MからNovec、若しくはDuPontからZonylの商用名で入手可能なフッ素系界面活性剤、又は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、TRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、及びTRITON CG−110などの他の炭化水素界面活性剤。
【0060】
さらなる着色剤成分
本発明の実施形態は、また、水性分散体の一部として、着色剤も用い得る。様々な色が用いられ得る。例には、黄色、マゼンタ、シアンなどの色が含まれる。黒の着色剤としては、カーボンブラック、及び、下に示される黄色/マゼンタ/シアン着色剤を用いて色調を黒にした着色剤が用いられ得る。本明細書で用いられる場合、着色剤には、とりわけ、染料、顔料、及び予分散体(predispersion)が含まれる。これらの着色剤は、単独で、混合物として、又は固溶体として用いられ得る。様々な実施形態において、顔料は、無処理顔料(raw pigment)、処理顔料、予めミル加工した顔料、顔料粉末、顔料プレスケーキ、顔料マスターバッチ、再生顔料、及び固体又は液体顔料の予分散体の状態で供給され得る。本明細書で用いられる場合、無処理顔料は、例えば表面に様々なコーティングを付着させるための、湿式処理が、その表面に加えられていない顔料粒子である。無処理顔料及び処理顔料は、PCT公開WO 2005/095277、及び米国特許出願公開第20060078485号においてさらに論じられており、これらの関連部分は、参照を通じて本明細書に組み込まれる。対照的に、処理顔料は、例えば粒子表面に金属酸化物コーティングを付けるために、湿式処理を受けているということがあり得る。金属酸化物コーティングの例には、アルミナ、シリカ、及びジルコニアが含まれる。再生顔料も、また、出発顔料粒子として用いられてもよく、ここで、再生顔料は、コーティングされた顔料として販売されるには不十分な品質の湿式処理後の顔料である。
【0061】
例示的な着色剤粒子には、これらに限らないが、黄色着色剤などの顔料が含まれ、顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、及びアリルアミド化合物によって代表される化合物が用いられ得る。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンゾイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物が用いられ得る。シアン着色剤として、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが用いられ得る。
【0062】
水性分散体の形成
本発明による水性分散体は、当業者によって認められる任意の数の方法によって形成され得る。一実施形態において、上で記載された、1種又は複数のベースポリマー、1種又は複数の官能化ポリマー組成物、及び1種又は複数の安定化剤が、水、及び、任意選択で、中和剤(例えば、アンモニア、水酸化カリウム、又は2種以上の組合せ)と共に、押出機で溶融混練されて、水性分散体が形成される。別の実施形態において、1種又は複数のベースポリマー、及び1種又は複数の官能化ポリマー組成物がコンパウンディングされ、次いで、ベースポリマー/1種又は複数の官能化ポリマー組成物のコンパウンドが、安定化剤、水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下において、押出機で溶融混練されて、水性分散体を形成する。ある実施形態では、分散体は、約1から約5重量パーセントの水を含むように最初に希釈され、それから次に、約25重量パーセントを超える水を含むように、さらに希釈される。
【0063】
当技術分野において知られている任意の溶融混練手段が使用され得る。ある実施形態では、混練機、バンバリー(BANBURY(登録商標))ミキサー、1軸押出機、又は多軸押出機、例えば2軸押出機が使用される。本発明による水性分散体を製造する方法は、特に限定されない。例えば、特定の実施形態では、押出機、例えば2軸押出機が、背圧調節器、メルトポンプ、又はギアポンプと連結される。例示的な実施形態は、また、塩基貯留器(base reservoir)、初期水貯留器を備え、これらの各々はポンプを含む。望みの量の塩基及び初期水が、それぞれ、塩基貯留器及び初期水貯留器から供給される。適切な任意のポンプが使用され得るが、ある実施形態では、例えば、240barの圧力で約150cc/minの流量を提供するポンプが、塩基及び初期水を押出機に供給するために使用される。別の実施形態では、液体注入ポンプが、200barで300cc/min、又は133barで600cc/minの流量を提供する。ある実施形態では、塩基及び初期水は、予熱ヒーターで予熱される。
【0064】
1種又は複数のベースポリマーが、ペレット、粉末、又はフレーク状で、フィーダーから押出機入口に供給され、押出機で樹脂は溶融され、又はコンパウンディングされる。1種又は複数の官能化ポリマー組成物が、フィーダーを通して押出機に、1種又は複数のベースポリマーと同時に供給される;或いは、代わりに、1種又は複数の官能化ポリマー組成物が、1種又は複数のベースポリマーにコンパウンディングされ、次いで、フィーダーを通して押出機に供給される。ある実施形態では、安定化剤は、それらの樹脂を通じて、それらと共に、1種又は複数のベースポリマーに添加され、別の実施形態では、安定化剤は、2軸押出機に、別途、供給される。次いで、樹脂溶融物は、押出機の混合及び輸送ゾーンから、乳化ゾーンへと送られ、そこで、初期量の水及び任意選択の塩基が、水貯留器及び塩基貯留器から、入口を通して添加される。ある実施形態では、安定化剤は、その水の流れに、付け加えて、又はそれだけに限って、添加され得る。ある実施形態では、さらなる希釈水が、押出機の希釈及び冷却ゾーンにおいて、水貯留器から水入口を通して添加され得る。通常、分散体は、冷却ゾーンにおいて、少なくとも30重量パーセントの水にまで希釈される。さらに、希釈された混合物は、望みの希釈レベルに達するまで、何回でも希釈され得る。ある実施形態では、水は、2軸押出機には添加されないで、溶融物が押出機から出た後で、樹脂溶融物を含有する流れに添加される。この様にして、押出機において増加する蒸気圧が除かれ、分散体は、ローターステーター型ミキサーなどの第2の混合装置において形成される。
【0065】
一実施形態において、本発明は、接着促進剤系の製造方法であって、(1)固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、ベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、ベースポリマーを選択するステップ;(2)固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物を選択するステップであって、前記官能化ポリマー組成物が、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン、オクテン及び/若しくは他の類似のα−オレフィンとのコポリマーを含み、上記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の約5から約45重量パーセントの範囲にある、ステップ;(3)固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤を選択するステップ;(4)前記ベースポリマー及び前記官能化ポリマー組成物を、水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下において、例えば、25℃から200℃の範囲の温度で、溶融ブレンドするステップ;及び(5)それによって、接着促進剤系を形成するステップ、を含む方法をさらに提供する。
【0066】
最終用途への適用
本発明の接着促進剤系は、例えば、様々なコーティング用途、例えば、自動車コーティング用途において、熱可塑性ポリオレフィン(「TPO」)などの、特定の低表面エネルギープラスチック基材に対する接着促進剤として用いられ得る。
【0067】
接着促進剤系は、任意の方法により、基材、物品、又は構造体の1つ又は複数の表面に適用され得る。このような方法には、これらに限らないが、スプレー、浸漬、ロール、印刷、及び当業者に広く知られている通常の他の任意の技術が含まれる。接着促進剤系は、約5℃を超える範囲;例えば、25℃から400℃の範囲の温度で、基材、物品、又は構造体の1つ又は複数の表面にコーティングとして適用され得る;或いは、代わりに、それは、ガラス繊維強化ポリプロピレン若しくはTPOを製造するために、ガラス繊維などの基材のためのサイジング剤として、又は、強化を可能にするために、セルロースなどの天然繊維とPP若しくはTPO基材との間に接着性をもたせるための接着促進剤として、使用され得る。このような基材には、これらに限らないが、熱可塑性ポリオレフィン(「TPO」)、及びガラス繊維強化ポリプロピレン基材、又は天然繊維強化PP若しくはTPOが含まれる。本発明の接着促進剤系は、インストルメントパネルなどの自動車内装用途、バンパーなどの自動車外装用途、又は、包装、玩具、レジャー用品、養殖、ジオテキスタイル、スポーツ用品、器具、消費者向け電子機器、家具、船舶、ルーフィング膜及び玩具におけるような他の自動車以外の用途のための接着促進層として用いられ得る。
【0068】
このようなコーティング基材は、トップコート、例えば塗料によりさらにコーティングされ得る。本発明の接着促進剤系は、インストルメントパネルのような自動車内装用途、バンパーフェイシアのような自動車外装用途、又はこれらの組合せのための接着促進層として用いられ得る。本発明の接着促進剤系は、基材、物品又は構造体の1つ又は複数の表面に適用され、次いで、トップコートが適用される。トップコートは、中間の焼付けステップの後で、すなわち、少なくとも一部の水を除去した後で、適用され得る;又は、代わりに、トップコートは、中間の焼付けステップなしに、適用され得る。代わりに、本発明の接着促進剤系は、基材、物品、又は構造体の1つ又は複数の表面に適用され、次いで、トップコートが適用される前に、少なくとも一部の水が除去される。トップコートが少なくとも部分的に乾燥した後で、クリアコートが、さらに適用され得る。代わりに、接着促進剤系は、トップコートと混合されてもよく、次いで、この混合物が、基材、物品、又は構造体の1つ又は複数の表面に適用され得る。
【0069】
一実施形態において、接着促進剤系は、接着層(すなわちフィルム)を形成し、これは、基材、物品、又は構造体の1つ又は複数の表面と結合している。接着層は、1から30μm;例えば5から15μmの範囲の厚さを有し得る。
【0070】
代替的な別の実施形態において、多層構造体は、(a)少なくとも1つ又は複数の基材層;(b)本発明の接着促進剤系に由来するフィルムを含む、少なくとも1つ又は複数の接着層;(c)少なくとも1つ又は複数の外側層;を含み、前記接着層は、前記1つ又は複数の基材層と前記1つ又は複数の外側層との間に配置されている。
【0071】
代替的な別の実施形態において、本発明は、少なくとも前述の接着促進剤系を含むコーティング配合物をさらに提供する。
【0072】
代替的な別の実施形態において、本発明は、前述のコーティング配合物に由来するフィルムを含むコーティング層をさらに提供する。
【0073】
代替的な別の実施形態において、本発明は、(a)少なくとも1つ又は複数の基材層;(b)前述のコーティング配合物に由来するフィルムを含む少なくとも1つ又は複数のコーティング層;及び、(c)任意選択で、1つ又は複数の外側層、を含む多層構造体をさらに提供する。
【0074】
代替的な別の実施形態において、本発明は、多層構造体の生成方法であって、(1)少なくとも1つ又は複数の基材層を選択するステップ;(2)前述の接着促進剤系を選択するステップ;(3)前記接着促進剤系を、前記基材層の少なくとも1つの表面に適用するステップ;(4)水の少なくとも一部を除去するステップ;(5)それによって、前記基材層と結合した接着層を形成するステップ;(6)前記接着層上に少なくとも1つ又は複数の外側層を形成するステップ;及び(7)それによって、多層構造体を形成するステップを含む方法をさらに提供する。
【0075】
代替的な別の実施形態において、本発明は、多層構造体の生成方法であって、(1)少なくとも1つ又は複数の基材層を選択するステップ;(2)前述のコーティング配合物を選択するステップ;(3)前記コーティング配合物を、前記基材層の少なくとも1つの表面に適用するステップ;(4)水の少なくとも一部を除去するステップ;(5)それによって、前記基材層と結合したコーティング層を形成するステップ;(6)任意選択で、前記コーティング層上に1つ又は複数の外側層を形成するステップ;及び(7)それによって、多層構造体を形成するステップを含む方法をさらに提供する。
【実施例】
【0076】
次の実施例は、本発明を例示するが、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0077】
本発明の実施例1〜7
本発明の実施例1〜7を次の手順に従って調製した。48のL/Dを有するBerstorff ZE25 UTX押出機を500rpmで回転させて用いて、本発明の実施例1〜7の本発明の各接着促進剤系の水性分散体成分を調製した。各水性分散体の配合成分を表Iに報告する。ベースポリマー、官能化ポリマー組成物、及びポリマー安定化剤を、Schenck Mechatron減量式フィーダーにより、押出機の供給口に供給した。非ポリマー安定化剤は、水を添加した後、バレルに送り込んだ。ベースポリマー、官能化ポリマー組成物、及びポリマー安定化剤を溶融ブレンドし、次いで、水、及び、任意選択で中和剤の存在下において乳化した。代わりに、ベースポリマー及び官能化ポリマー組成物を溶融ブレンドし、次いで、水、非ポリマー安定化剤、及び、任意選択で、中和剤の存在下において乳化した。次に、乳化相を、押出機の希釈及び冷却ゾーンへと前方に送り、そこで、60重量パーセント未満の範囲の固形分レベルを有する水性分散体を形成するためにさらなる水を添加した。本発明の実施例1〜7の分散体成分の各々の特性を測定し、表IIに報告した。さらなる水を乳化相が押出機の縦方向に下流に運ばれた時に添加し、そこで乳化相をさらなる水と合わせて、乳化相を60重量パーセント未満の最終固形分レベルまで希釈した。塩基(存在する場合)、初期水、非ポリマー安定化剤(存在する場合)、及び希釈水は、全て、Iscoデュアルシリンジポンプ(500ml)によって供給された。押出機のバレル温度は、150℃に設定された。分散体が押出機を出た後、それは、さらに冷却され、200μmのメッシュサイズのバグフィルター(bag filter)を通して、濾過された。
【0078】
比較例1
比較例1を次の手順に従って調製した。48のL/Dを有するBerstorff ZE25 UTX押出機を500rpmで回転させて用いて、比較例1の比較の接着促進剤系の水性分散体成分を調製した。各水性分散体の配合成分を表Iに報告する。ベースポリマーは、Schenck Mechatron減量式フィーダーを通して、押出機の供給口に供給された。非ポリマー安定化剤は、水が添加された後でバレルに送り込まれた。ベースポリマーを溶融し、次いで、水、及び非ポリマー安定化剤の存在下において、乳化した。次に、乳化した相を、押出機の希釈及び冷却ゾーンへと前方に送り、そこで、60重量パーセント未満の範囲の固形分レベルを有する水性分散体を形成するためにさらなる水を添加した。比較実施例1の分散体成分の特性を測定し、表IIに報告した。さらなる水を乳化相が押出機の縦方向に下流に運ばれた時に添加し、そこで、乳化相を、さらなる水と合わせて、乳化相を60重量パーセント未満の最終固形分レベルまで希釈した。初期水、非ポリマー安定化剤、及び希釈水は、全て、Iscoデュアルシリンジポンプ(500ml)によって供給された。押出機のバレル温度は、150℃に設定された。分散体が押出機を出た後、それは、さらに冷却され、200μmのメッシュサイズのバグフィルターを通して、濾過された。
【0079】
接着促進剤の性能試験
本発明の実施例4及び5、すなわち、前記分散体成分4及び5を含む接着促進剤系を、合着剤のトリプロピレングリコールN−ブチルエーテル(TPnB)(The Dow Chemical Companyから市販されている)を添加することによって、さらに配合した。分散体は、35重量パーセントの固形分レベルを有するように希釈し、追加の8重量パーセント(湿/湿)の合着剤を添加して、本発明の実施例4及び5の接着促進剤系を形成した。射出成形したTPO(DTF0808SC、The Dow Chemical Company)基材パネルを、30分間、超音波浴中イソプロパノールで十分に洗浄した。本発明の実施例4及び5の接着促進剤系を、メイヤー(Meyer)ロッドを用いてTPO基材上に適用して、約20μmの厚さ(乾燥前フィルム厚さ)を有するコーティングフィルムを各TPO基材の1つの表面上に形成した。このフィルムを、90℃のオーブン中で15分間乾燥し、次いで、それに、下に記載される様々なトップコートを、メイヤーロッドにより適用して、50μmの厚さ(乾燥前フィルム厚さ)を有するフィルムを形成した。
【0080】
トップコートAは、Akzo NobelによってHBC Candyweiss(49−91096)の名称で供給される、水性メラミン系であった。
【0081】
トップコートBは、Akzo NobelによってHBC Iridiumsilber(49−96016)の名称で供給される、水性メラミン系であった。
【0082】
トップコートCは、Akzo NobelによってHBC Obsidianschwarz(49−95432)の名称で供給される、水性メラミン系であった。
【0083】
トップコートDは、PPGによってGM Blackの名称で供給され、水性であった。
【0084】
トップコートAからCに対するクリアコート系は、Akzo Nobelによって2 K PUR KLARLACK(7807025D)の名称で、硬化剤の8407140と共に供給される、ヘキサメチレン−ジイソシアネートに由来する溶剤系であった。
【0085】
トップコートDに対するクリアコート系は、PPGによってDC 3010(低VOC)及びDCH 3620低VOC硬化剤の名称で供給される、溶剤系のクリアコート系であった。
【0086】
コーティングした試験体の接着性能は、ASTM D 3359−09 Bに従って、クロスハッチ試験により、初期接着として、またクロスハッチ後の試料を2時間、水に浸漬した後で評価し(0−接着していない、5B−優れている)、結果を表IIIに報告する。
【0087】
試験法
試験法には以下が含まれる。
【0088】
平均粒径(直径)は、Beckman Coulter LS230粒径分析装置によって、試料デリバリーシステムとしてSmall Volume Moduleを用い、求めた。用いたソフトウェアバージョンは、Version 3.29である。ハードウェア及びソフトウェアは、Beckman Coulter Inc.(マイアミ、フロリダ州)から入手できる。
【0089】
全ての測定での分析条件として、1.332の流体屈折率、1.5の試料屈折率実部、及び0.0の試料屈折率虚部を用いる。拡張光学モデルは用いない。分極強度差散乱(polarization intensity differential scattering(PIDS))のオプションは、作動させ、粒径の情報を生じるように用いる。平均粒径(直径)は、μmで測定され、報告される。
【0090】
本発明は、その精神及び本質的属性から逸脱することなく、別の形態で実施され得るので、本発明の範囲を示すものとして、以上の明細書よりも、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】


以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、前記ベースポリマー;
固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物であって、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン、オクテン及び/若しくは他の類似のα−オレフィンとのコポリマーを含み、前記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、前記無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の約5から約45重量パーセントの範囲にあり、前記官能化ポリマー組成物が50から130℃の範囲の溶融温度を有する、前記官能化ポリマー組成物;
任意選択で、固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤;の
水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下における、
溶融混練生成物を含む分散体を含む接着促進剤系。
[2] 接着促進剤系の製造方法であって、
固形分の全重量に対して、少なくとも60重量パーセントのベースポリマーであって、プロピレン/エチレンコポリマー組成物を含み、前記プロピレン/エチレンコポリマーが、1重量パーセントから30重量パーセントの範囲の結晶化度、2ジュール/グラムから50ジュール/グラム)の範囲の融解熱、及び25℃から110℃の範囲のDSC融点を有する、ベースポリマーを選択するステップ;
固形分の全重量に対して、0.5から40重量パーセント未満までの官能化ポリマー組成物を選択するステップであって、前記官能化ポリマー組成物が、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとヘキセン、オクテン及び/若しくは他の類似のα−オレフィンとのコポリマーを含み、前記ホモポリマー又はコポリマーが、ポリプロピレン骨格上に、単一の不飽和、末端無水コハク酸部分、及びさらなる無水コハク酸置換を有し、ここで、前記無水コハク酸置換が官能化ポリマー組成物の約5から約45重量パーセントの範囲にあり、前記官能化ポリマー組成物が50から130℃の範囲の溶融温度を有する、ステップ;
固形分の全重量に対して、0.1から20重量パーセント未満までの安定化剤を選択するステップ;
前記ベースポリマー及び官能化ポリマー組成物を、水、及び、任意選択で、1種又は複数の中和剤の存在下において、溶融混練するステップ;及び
それによって、前記接着促進剤系を形成するステップ
を含む、方法。
[3] [1]に記載の接着促進剤系に由来するフィルムを含む接着層。
[4] 少なくとも1つ又は複数の基材層;
請求項1に記載の接着促進剤系に由来するフィルムを含む、少なくとも1つ又は複数の接着層;
少なくとも1つ又は複数の外側層;
を含み、
前記接着層が、前記1つ又は複数の基材層と前記1つ又は複数の外側層との間に配置されている、多層構造体。
[5] 多層構造体の生成方法であって、
少なくとも1つ又は複数の基材層を選択するステップ;
請求項1に記載の接着促進剤系を選択するステップ;
前記接着促進剤系を、前記基材層の少なくとも1つの表面に適用するステップ;
水の少なくとも一部を除去するステップ;
それによって、前記基材層と結合した接着層を形成するステップ;
前記接着層上に、少なくとも1つ又は複数の外側層を形成するステップ;及び
それによって、多層構造体を形成するステップ
を含む、方法。
[6] 前記接着促進剤系が、1種又は複数のフィラー、1種又は複数のバインダー、1種又は複数の顔料、1種又は複数のレオロジー調整剤をさらに含む、[1]から[5]のいずれか一項。
[7] 前記官能化ポリマー組成物が、(a)末端不飽和を有するプロピレン/ヘキセンコポリマーを無水マレイン酸と1:1のモル比で反応させて、末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを生成させるステップ、次いで、(b)末端無水コハク酸部分及び単一の不飽和を有する、前記末端で無水コハク酸により官能化されたプロピレン/ヘキセンコポリマーを、さらなる無水マレイン酸と、フリーラジカル開始の存在下において反応させて、前記官能化ポリマー組成物を生成させるステップ、を含む方法によって得られ、前記官能化ポリマー組成物が、官能化ポリマー組成物の重量に対して、5から45重量パーセントの範囲の無水コハク酸置換を有する、[1]から[5]のいずれか一項。
[8] [1]から[5]に記載の接着促進剤系を含み、少なくとも1重量パーセントの前記接着促進剤系を含むコーティング組成物。
[9] 少なくとも1つ又は複数の基材層;
前記接着促進剤系、並びに、任意選択で、他の成分及び添加剤を含む配合された組成物に由来するフィルムを含む、少なくとも1つ又は複数のコーティング層
を含む、多層構造体。