特許第5788975号(P5788975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788975液体パーソナルケア組成物の半連続供給式製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788975
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】液体パーソナルケア組成物の半連続供給式製造
(51)【国際特許分類】
   B01F 5/06 20060101AFI20150917BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20150917BHJP
   B01F 3/12 20060101ALI20150917BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   B01F5/06
   B01F3/08 Z
   B01F3/12
   B01F15/02 A
   B01F15/02 B
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-514361(P2013-514361)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-529135(P2013-529135A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】US2011039767
(87)【国際公開番号】WO2011156576
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2012年12月6日
(31)【優先権主張番号】61/353,026
(32)【優先日】2010年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】バーガー,ジェイソン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ダンロップ,デイヴィド スコット
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ユンペン
(72)【発明者】
【氏名】ロイス,ダグラス アラン
(72)【発明者】
【氏名】クナペク,ダウン ルネ
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第90/005583(WO,A1)
【文献】 特開2006−297173(JP,A)
【文献】 米国特許第05597236(US,A)
【文献】 米国特許第04786185(US,A)
【文献】 特開平11−076780(JP,A)
【文献】 米国特許第04915300(US,A)
【文献】 実開平01−077834(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第01446998(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0001062(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/066660(WO,A1)
【文献】 特表2009−507289(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0003291(US,A1)
【文献】 米国特許第03498028(US,A)
【文献】 国際公開第2007/054293(WO,A1)
【文献】 特開平07−024279(JP,A)
【文献】 特開2007−069071(JP,A)
【文献】 特開昭55−013191(JP,A)
【文献】 特開2008−149052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0144425(US,A1)
【文献】 特開平04−052377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 5/06
B01F 3/08
B01F 3/12
B01F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体混合アセンブリであって、
主供給管と、
前記主供給管の下流の混合物運搬管と、
前記主供給管と前記混合物運搬管とを分離する壁に設けられ、長方形形状又は楕円形状をした1つのオリフィスと、
前記主供給管の周囲に配置され且つ前記主供給管の側壁を貫通して突出する複数の注入管であって、前記注入管のそれぞれは、前記主供給管の内部と流体連通する注入出口を有し、且つ前記オリフィスに向けて方向付けられている、複数の注入管と、
を備え、
前記複数の注入管のそれぞれが、前記主供給管の軸に対して30°の角度で配置され、
前記注入管の少なくとも1つが、前記注入管のうちの他のものよりも小さい内径であり、
小さい方の内径を有する前記注入管の前記注入出口が、前記オリフィスの長手方向の主軸方向に位置する前記オリフィスの第1の末端部及び第2の末端部のそれぞれに対して等距離に配置される流体混合アセンブリ。
【請求項2】
前記オリフィスが設けられる前記壁が、前記オリフィスの上流側にある湾曲した入口表面と、前記オリフィスの下流側にある湾曲した出口表面とを含む、請求項1に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項3】
前記湾曲した入口表面が、半球形状である、請求項2に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項4】
前記湾曲した出口表面が、半楕円形状である、請求項2または3に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項5】
前記オリフィスの形状が、前記オリフィスの上流側の入口表面から前記オリフィスの下流側の出口表面まで一定の幅を有するチャネル形状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の注入管のそれぞれが、前記注入管を介して前記主供給管に導入される材料の供給源と前記注入管とを選択的に固定するためのクランプ機構を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項7】
前記オリフィスが、前記主供給管と前記混合物運搬管との間に着脱自在に固定されるオリフィス・インサートに含まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項8】
前記複数の注入管である第1の複数の注入管に加え、前記主供給管の周囲に配置され且つ前記主供給管と流体連通する注入出口を有する第2の複数の注入管を更に備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項9】
前記第2の複数の注入管の前記注入出口は、前記主供給管の内径部に合致する、請求項8に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項10】
前記第2の複数の注入管は、前記オリフィスから軸方向距離を隔てて前記主供給管と交差し、前記第2の複数の注入管の前記軸方向距離は、前記主供給管の前記側壁を貫通して突出する前記第1の複数の注入管が前記主供給管と交差する軸方向距離と等しい、請求項9に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項11】
前記第2の複数の注入管のそれぞれにおける前記主供給管の内径部の半径方向内側の領域が、前記主供給管の軸に対して平行に延びる、請求項8に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項12】
前記第2の複数の注入管の前記注入出口は、前記第1の複数の注入管の前記注入出口と異なる前記オリフィスからの軸方向距離で配置される、請求項8、9及び11のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の複数の注入管及び前記第2の複数の注入管における前記注入出口のそれぞれが、前記主供給管の軸に対して等しい非ゼロの角度を形成する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項14】
前記第1の複数の注入管の前記注入出口のそれぞれが、前記主供給管の軸に対して第1の非ゼロの角度を形成し、前記第2の複数の注入管の前記注入出口のそれぞれが、前記主供給管の前記軸に対して第2の角度を形成し、前記第2の角度は前記第1の角度と異なる、請求項8〜12のいずれか一項に記載の流体混合アセンブリ。
【請求項15】
液体組成物の混合方法であって、
請求項1〜14のいずれか一項に記載される流体混合アセンブリを設けることと、
液体組成物の基剤を前記主供給管に供給することと、
前記複数の注入管の中に供給された複数の原料を前記基剤に添加することであって、前記注入管の前記注入出口は、前記各注入管のそれぞれを通って前記主供給管に導入される前記原料が、その他の注入管を通って導入される原料と同時に前記オリフィスを通過するように配列される、複数の原料を前記基剤に添加することと、
を含み、
前記基剤への添加において、前記注入管の前記注入出口は、前記注入管の中に提供され且つ前記主供給管の中の前記基剤に導入される粘度調整成分が、前記基剤の粘度が増加する前に前記オリフィスを通過するように、配列される方法。
【請求項16】
前記基剤への前記粘度調整成分の導入から、前記オリフィスを通過するまでの時間が、0.25秒未満である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、液体パーソナルケア組成物の製造に関し、より詳細には、かかる液体パーソナルケア組成物の連続流れ生産を容易にするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、シャワー用ジェル、液体ハンドクリーナー、液体歯科用組成物、スキンローション若しくはクリーム、毛髪着色剤、洗顔クレンザー、拭き取り物品中又は上に含浸するための流体(例えば、赤ちゃん用おしり拭き)、洗濯洗剤、食器洗い洗浄剤、及びその界面活性剤系液体組成物といった液体パーソナルケア組成物は、典型的には、バッチ処理作業を用いて大量生産される。組成物の粘度は、かかるバッチ処理システムで使用される大型で固定サイズの混合タンクの中で測定されて調整され得るが、この手法は、混合操作を行うのに同じ設備を共用する、数多くの液体組成物の製造に携わる施設のニーズを満たす最適な生産要件を提供しない。
【0003】
液体パーソナルケア組成物の製造で用いられる従来のバッチ処理システムの別の欠点は、異なるパーソナルケア組成物の製造の切り替えに適応するために管及びタンクを洗浄することの難しさである。製造される次のバッチの損失を減少させ、且つ汚染を回避するために、バッチタンクへと又はバッチタンクから通じる供給ライン又は管に「ピグ(パイプライン検査ゲージ)(pig)」を通すのが一般的である。この洗い流し期間は、バッチサイクル時間の最高50%を要し得るので、切り替え時間を有意に低減することができるシステムは、生産能力及び生産効率を増加させる機会を提供することになる。
【0004】
切り替え時間に加えて、切り替え作業中にラインを通ってピグ(pigged)されたかなりの量の未使用の構成要素は、廃物と見なされて、切り替えが生じるときに廃棄される。したがって、かかる無駄を低減するシステムは、環境に有益であり、最終製品の価格を低減することになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
バッチプロセスの代わりに半連続プロセスを採用することにより、製造設備は、消費者の需要、及び特定の液体パーソナルケア組成物の「工程(run)」での生産目標により正確に一致した量を製造することができる。切り替え時間及び無駄もまた削減することができる。シャンプー、シャワー用ジェル、液体ハンドクリーナー、液体歯科用組成物、スキンローション若しくはクリーム、毛髪着色剤、洗顔クレンザー、拭き取り物品中又は上に含浸するための流体(例えば、赤ちゃん用おしり拭き)、洗濯洗剤、食器洗い洗浄剤、及びその他の界面活性剤系液体組成物といった、液体パーソナルケア組成物を製造するための本開示の半連続プロセスは、製造される様々な組成物の基剤を運搬する主供給管、主供給管と選択的に流体連通する複数の注入管、及び複数の注入管の下流の主供給管の端部に備えられる少なくとも1つのオリフィスを使用する。注入管のそれぞれは、他の注入管に対して同心円状に配置されてもよく、主供給管の側壁を貫通して突出してもよく、また、主供給管の内径とぴったり重なるか又は主供給管の内径より内側に主供給管とそろえられるかのいずれであってもよい。本明細書で使用するとき、「他の注入管に対して同心円状に配置される」とは、注入管の全てが、主供給管の軸方向長さに沿った共通位置で主供給管と交差し、注入管は、主供給管の周縁に相互に角度刻みで配置されることを指す。本開示のいくつかの実施形態において、第1の複数の注入管のそれぞれは、他の第1の複数の注入管に対して同心円状に配置される一方で、第2の複数の注入管のそれぞれは、他の第2の複数の注入管に対して同心円状に配置されるが、第1の複数の注入管と主供給管との交点の軸方向位置から軸方向に離間されてもよい。いくつかの実施形態において、全ての注入管と主供給管との交点の軸方向位置は、注入管の全てが同心円状に配置されるように同じであってもよく、また、注入管の1つ以上の出口の主供給管の内径からの長さは、例えば、注入管の1つ以上は内径と面一になり、他の注入管は主供給管の内径部の半径方向の内側に終端するといったように、他の注入管と異なってもよい。
【0006】
注入管とオリフィスの幾何学との組み合わせを用いて、組成物の基剤を添加し、一連の予め製造された等方性液体、液体/液体エマルション、又は固体/スラリーモジュールとこの基剤とを一点で混合して、均一混合物を生成する。大規模製造設備の半連続プロセスで使用することができる混合アセンブリを実行する際、いくつかの重要な設計考慮事項が存在する。例えば、エネルギー必要量を最小にすることが望ましいが、使用するエネルギーが小さすぎると、原料は、均一混合物を達成するように互いに適切に混合されない。その一方で、使用するエネルギーが大きすぎると、分離限界エマルション粒子径分布を破壊し、製造される液体パーソナルケア組成物の望ましい特性(例えば、シャンプーのヘアーコンディショニング能など)に悪影響を及ぼす。
【0007】
異なるパーソナルケア組成物を製造するための切り替えの間の無駄を最小限に抑えるため、主供給管の中で運搬される基剤を、主供給管の長さに沿った一点で添加するのが望ましい。製造中にラインを定期的に停止させる必要があり得るので、本開示の混合アセンブリは、望ましくない廃物を生成せずに瞬時に開始及び停止する能力を有し、それによって過渡運転に対応する。本開示の混合アセンブリは、完全に排水可能でもあり、微生物増殖が起きにくい。
【0008】
オリフィス混合システムの設計は、混合される特定の液体パーソナルケア組成物の性質に依存して様々であり得ることが認識される。様々な液体パーソナルケア組成物の粘度は変化に富んでおり、様々な粘度の原料、及び場合によっては、プレミックスから構成されることができる。低粘度の液体系、特に、少なくとも大部分が低粘度の原料及び/又は低粘度のプレミックスから作られる低粘度の系は、ブレンドに必要なエネルギーが高粘度の液体系よりも低い傾向がある。低粘度の液剤は、少なくともいくつかの構成成分をオリフィスの上流で混合することから恩恵を受けるが、高粘度の液剤は、オリフィスの上流側でのかかる混合から有害な影響を受ける可能性がある。高粘度の液体を混合しようと試みる場合のオリフィスの上流での効果的でなく管理された混合の潜在的なマイナスの結果の1つは、不完全な混合に起因した流体流れの一貫性のない濃度である。例えば、オリフィスの上流での部分的な混合は、オリフィスの位置で変化しない、又は更には増大する、濃度の変動を生じさせ得る。この場合、こうした濃度勾配はオリフィスの下流に存在することになり、特に高濃度の液体を混合する場合に、容認できない生成物濃度の変動をもたらす。本開示の小規模なアセンブリでは、オリフィスの上流の流れは層流であり得、オリフィスの下流の流れは非層流である。しかしながら、大規模なアセンブリでは、オリフィスの上流の流れも非層流となる可能性がある(即ち、大規模なアセンブリにおけるオリフィスの上流の流れは、乱流、又は少なくとも過渡的である可能性がある)。様々な設計戦略が本明細書において記載され、この設計戦略は、所望の混合品質を達成するのを目的として許容可能なバランスを達成するために行う調整を考慮する際に理解すべきトレードオフを提示する。
【0009】
このように、粘度が上昇する系では、オリフィスの下流で混合が生じるのが一般的に望ましい。これは、均一性を達成するために用いるエネルギーレベルを最適化するのを助ける。エネルギーコストを低く抑えることに加えて、低エネルギーレベルを使用することにより、液滴分裂及び/又は微粉化などの不利益なエネルギー感受性変化の危険性が低減される。本明細書に記載されるのは、半連続式液体パーソナルケア組成物混合システムに複数の注入管を設けるための代替手法、並びに、所望の液体組成物の粘度に応じて考慮に入れられてもよい、複数注入管混合システムのための設計考慮事項である。
【0010】
本開示の混合アセンブリのこれら及び他の利点を達成する方法は、添付の図面及び以下の詳細な説明において最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明とみなされる主題を特定して指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と関連させた次の説明から更によく理解されると考えられる。いくつかの図は、他の要素をより簡潔に示すため、選択された要素を省略することで簡易化されてもよい。いくつかの図中のかかる要素の省略は、対応する明細書の中で明確に述べられている場合を除き、代表的な実施形態のいずれかにおいて必ずしも特定要素の有無を暗示するものではない。いずれの図面も必ずしも縮尺どおりではない。
図1】液体パーソナルケア組成物の製造で半連続式に使用するための混合アセンブリの正面斜視図。
図2図1の混合アセンブリで使用するためのオリフィス・インサートの下流側の斜視図であり、オリフィス・インサートのオリフィスは矩形形状。
図3図1の混合アセンブリで使用するための代替オリフィス・インサートの下流側の斜視図であり、オリフィス・インサートのオリフィスは楕円形状。
図4図1の混合アセンブリの、下流の方を向いている上流端面図。
図5図1の混合アセンブリの正面図。
図6図5の線6−6に沿った混合アセンブリの断面図。
図7図2の線7−7に沿った、図2のオリフィス・インサートの断面図。
図8図2の線8−8に沿った、図2のオリフィス・インサートの断面図。
図9図1の混合アセンブリに挿入されて適所に固定された、図2のオリフィス・インサートの各大断面図。
図10】混合アセンブリの主要な主供給管が部分的に切り取られている、図1の混合アセンブリの斜視図。
図11】オリフィスの入口側からオリフィスの出口側に向けて鋭角の形状を有する、オリフィスの流れモデルを示す。
図12】チャネル形状を有するオリフィスの流れモデルを示す。
図13図2のオリフィス・インサートのすぐ上流側の主供給管領域を含む図1の混合管アセンブリの一部の断面図であり、主供給管を通って供給される原料の見掛け流速が、混合管アセンブリの2つの比較的大きな注入管によって主供給管に注入される質量流量に与える影響を示している。
図14図13と類似の混合管アセンブリの一部の断面図であり、主供給管を通って供給される原料の見掛け流速が、混合管アセンブリの2つの比較的小さな注入管によってオリフィスに向かって主供給管に注入される質量流量に与える影響を示している。
図15図1の線15−15に沿った混合アセンブリの上部断面図。
図16図5の混合アセンブリの底面(下流端から切断した)図。
図17】第1の複数の注入管と第2の複数の注入管とを含む、液体パーソナルケア組成物の製造で半連続式に使用するための混合アセンブリの正面図であり、前記第1の複数の注入管及び前記第2の複数の注入管の全ては、オリフィスから共通の軸方向距離で主供給管と交差しており、第1の複数の注入管のそれぞれは、主供給管の内径部の半径方向内側の距離の位置で終端し、第2の複数の注入管のそれぞれは、主供給管の内径の位置で終端している。
図18図17の線18−18に沿った断面図。
図19図18の線19−19に沿った断面図。
図20図17と類似の断面図であり、アクセスを容易にするためのアクセス可能なオリフィスゾーン及びクランプ機構を示している。
図21図20の線21に沿った拡大断面領域。
図22図20及び図21に示されるクランプ機構の斜視図。
図23】第1の複数の注入管と第2の複数の注入管とを含む、液体パーソナルケア組成物の製造で半連続式に使用するための混合アセンブリを示す、図18と類似の断面図であり、第1の複数の注入管と第2の複数の注入管の全ては、オリフィスから共通の軸方向距離の位置で主供給管と交差し、第1の複数の注入管のそれぞれは、主供給管の内径より内側の半径方向距離で終端し、第2の複数の注入管のそれぞれもまた、主供給管の内径より内側で終端しているが、第1の複数の注入管よりもオリフィスからの軸方向距離は大きい。
図24図23の24−24に沿った、図23に示されている混合アセンブリの断面図。
図25】オリフィスから第1の軸方向距離の位置で主供給管と交差する第1の複数の注入管と、オリフィスから第2の軸方向距離で主供給管と交差する第2の複数の注入管とを備える、液体パーソナルケア組成物の製造で半連続式に使用するための混合アセンブリの正面図であり、第2の軸方向距離は第1の軸方向距離と異なり、第2の複数の注入管のそれぞれは、主供給管と交差し且つ第1の複数の注入管のそれぞれと同じ角度で終端している。
図26図25の線26−26に沿った断面図。
図27図25の線27−27に沿った断面図。
図28】オリフィスから第1の軸方向距離の位置で主供給管と交差する第1の複数の注入管と、オリフィスから第2の軸方向距離で主供給管と交差する第2の複数の注入管とを備える、液体パーソナルケア組成物の製造で半連続式に使用するための混合アセンブリ正面図であり、第2の軸方向距離は第1の軸方向距離と異なり、第2の複数の注入管のそれぞれは、主供給管と交差し且つ主供給管の軸に対して第1の複数の注入管のそれぞれと異なる角度で終端している。
図29図28の線29−29に沿った断面図。
図30図28の線30−30に沿った断面図。
図31】オリフィスから第1の軸方向距離の位置で主供給管と交差する第1の複数の注入管と、オリフィスから第2の軸方向距離で主供給管と交差する第2の複数の注入管とを備える、液体パーソナルケア組成物の製造で半連続式に使用するための混合アセンブリ正面図であり、第2の軸方向距離は第1の軸方向距離と異なり、第1の複数の注入管のそれぞれは、主供給管と交差し且つ主供給管の軸に対して角度をなして終端し、第2の複数の注入管のそれぞれは、主供給管の軸に対して非ゼロの角度で且つ主供給管の内径より内側で主供給管と交差し、また、主供給管の軸に対して平行に延びる領域に向かって曲がっている。
図32図31の線32−32に沿った断面図。
図33図31の線33−33に沿った断面図。
図34図31の線34−34に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図4図5及び図6を参照すると、液体パーソナルケア組成物、例えば、シャンプー、シャワー用ジェル、液体ハンドクリーナー、液体歯科用組成物、スキンローション若しくはクリーム、毛髪着色剤、洗顔クレンザー、拭き取り物品中又は上に含浸するための流体(例えば、赤ちゃん用おしり拭き)、洗濯洗剤、食器洗い洗浄剤、及び他の界面活性剤系液体組成物などを製造するための半連続プロセスで使用する混合アセンブリ10は、製造される組成物の基剤を運搬する主供給管12と、主供給管12と選択的に流体連通する複数の注入管14、16、18、20、22、24と、複数の注入管14〜24の下流の主供給管12の端部に提供されるオリフィス・インサート26とを備える。単なる例として、主供給管12は、7.29cm(2.87インチ)の内径、及び7.62cm(3インチ)の外径を有してもよい。図7及び図8に示されるように、オリフィス・インサート26は、オリフィス30の上流側つまり入口側にある湾曲した、例えば、半球形状の入口表面28と、オリフィス30下流側つまり入口側にある半楕円形状の出口表面32とを含む。
【0013】
注入管14〜24から供給される原料を、製造される組成物の基剤の中に混合するオリフィス30を設けることにより、例えば、バッチ混合プロセスと比べて比較的低エネルギーで、均一な混合が可能となる。低エネルギー混合は、粘度成長が生じるのが遅れる又は遅延するのが理由で可能となり、この粘度成長は、製造される組成物の基剤中への補助界面活性剤、食塩水、及び他の粘度調整成分の初期添加後、約0.25秒であると推定される。この遅延を利用して、注入管14〜24の出口のすぐ下流側の一点に乱流を生じさせるようにオリフィス30が備えられる。オリフィス30は様々な形状をとることができるが、寸法及び形状の選択は混合効率に大幅な影響を与える可能性があり、シャンプーの製造では、図2に示されるような矩形形状、又は図3に示されるような楕円形状のオリフィス30を使用して最適混合を達成することができることが認められている。オリフィス30の矩形又は楕円形状は、有利には、オリフィス30の下流の乱流領域に、所望の剪断特性及び速度特性を得て維持するのを容易にする。
【0014】
オリフィス30全体にわたって一貫した剪断特性を維持するための追加的設計考慮事項は、剪断特性が厳しく維持されるように、オリフィス30の2つの縁部間の限定距離を維持することである。オリフィス30全体にわたる剪断速度の差が大きいと、エネルギーレベルが増加しない場合には、望ましくない不均一な混合物が生じる可能性がある。図2のような矩形のオリフィス30は、オリフィス・インサート26を打ち抜くことによって形成され得るが、図3のような楕円形状のオリフィス30は、レーザー切断など、より精密にオリフィス・インサート26にもたらされなければならない。オリフィス30は、2〜7のアスペクト比(長さと深さ)を有するのが好ましく、矩形形状に形成される場合、チャネル幅又は厚さは1mm〜3mmである。単なる例として、図2に示されるもののような矩形形状のオリフィス30は、0.80cm(0.315インチ)の主軸長及び0.19cm(0.078インチ)の短軸長を有してもよい。更に単なる例として、図3に示されるもののような楕円形状のオリフィス30は、0.79cm(0.312インチ)の主軸長及び0.16cm(0.061インチ)の短軸長を有してもよい。
【0015】
オリフィス30の厚さは、図11に示されるような鋭角を有するようにオリフィス30の上流側からオリフィス30の下流側に向かって変化してもよいが、これに対して、図12に示されるように直線状チャネル(即ち、オリフィス30の上流側から下流側に向かって均一な厚さを有する)であってもよい。図11のような鋭角のオリフィスを使用する場合に必要なエネルギーレベルと同様のエネルギーレベルで図12の直線状チャネルを使用して、より大きな乱流プロフィルを達成することができることが、流体力学予測ソフトウェア(fluid dynamic prediction software)による流れモデリングを利用して認められているので、直線状チャネルを利用する方が好ましい。原料を超過圧力で主供給管に注入しなければならないことを回避しながら最適混合を達成するのが望ましいので、以下に更に記載されるように、オリフィスの幾何学だけでなく、注入管とオリフィスとの間の関係の幾何学も考慮される。
【0016】
シャンプー及び他の液体パーソナルケア組成物を製造する際には、多数の液体原料が基本(vanilla)基剤に加えられ、且つ混合される。基本基剤は、最終シャンプー製品よりも有意に低い粘度を有する主要界面活性剤混合物である。単なる例として、基本基剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウレス硫酸ナトリウム(SLE1−10S/SLE35)、及び水の混合物を挙げることができる。基本基剤に加えられる原料としては、塩化ナトリウム(NaCl)溶液及び補助界面活性剤などの増粘剤が挙げられる。粘度を増加させる傾向もある香料を添加してもよく、所望の混合物及び粘度を達成するために他のポリマー及び/又はプレミックスを添加してもよい。所与の原料混合物が高過ぎる粘度をもたらすと予想される場合、ヒドロトープ類を添加して粘度を低下させてもよい。
【0017】
本開示の半連続プロセスで採用される混合アセンブリの中の基本基剤に導入される原料は、必ずしも等量で添加される必要はない。例えば、シャンプーを混合する場合には、香料は、他の原料と比べて比較的低濃度で添加される。したがって、香料は、比較的より高濃度で導入される補助界面活性剤又は他の原料よりも比較的直径の小さい注入管16を通して主供給管12に導入され得る。同様に、シリコーンエマルションは、他の構成成分と比べてより低濃度で添加されてもよい。図11及び図12に示されるように、主供給管12を通って供給される原料(即ち、シャンプー製品では基本基剤)の見掛け流速は、より大きな直径の注入管14、18、22、24によって主供給管12に注入される質量流量よりも、混合管アセンブリの直径の小さい2つの注入管16、20によって主供給管12に注入される質量流量(例えば、低質量流体流を有する香料及び他の構成成分など)に対して、より大きな影響を有する。この不一致を補償するために、直径の小さい注入管16、20は、オリフィス30の主軸xに対して垂直に、即ち、12:00及び6:00の位置に配置される。換言すれば、他の注入管よりも小さい内径を有する注入管16、20の少なくとも一方の出口40は、オリフィス30の主軸xの第1の末端部42及び第2の末端部44に対してほぼ等距離で配置される。高い質量流量で基本基剤に導入される構成成分を収容するために、大きな方の直径の注入管(図示せず)を使用することができることを、更に指摘しておく。
【0018】
直径の異なる注入管を使用する本開示の混合アセンブリを設計する場合、オリフィスチャンバの流路に沿った所望の地点で排出が起きるように様々な注入管の排出をそろえるのが特に望ましい。
【0019】
オリフィス・インサート26を時々交換するのが望ましくあり得ることが認識される。設置技術者が円形のオリフィス・インサート26の適切な配向を達成するのを支援するために、オリフィス・インサート26上に位置合わせピン34を設けるのが望ましい。位置合わせピン34は、主供給管12又はクランプ機構36の相補的なピン受容開口部と相互作用することができ、このクランプ機構36は、かかる取り外し可能なオリフィス・インサート26を、主供給管12及びオリフィス・インサート26の下流側にある混合物運搬管38に対して適所に係止するように機能する。本明細書に図示され且つ記載されるオリフィス・インサート26は、別個の取り外し可能な部品であってもよいが、オリフィス30は、代わりとして、主供給管12の一体的端壁の中、混合物運搬管38の一体的端壁の中、又はオリフィス30の上流側にある主供給管12及びオリフィス30の下流側にある混合物運搬管38の両方を含む一体型ユニットの隔壁の中に設けられてもよい。あるいは、オリフィス・インサート26は、別個の部品として形成されてもよいが、主供給管12及び混合物運搬管38の一方又は両方と永久的に取り外し不可能に結合するように、最終的に溶接、ないしは別の方法で固定されてもよい。
【0020】
混合物運搬管38は、主供給管12よりも小さい直径を有する。単なる例として、混合物運搬管38は、6.02cm(2.37インチ)の内径及び6.35cm(2.5インチ)の外径を有してもよい。
【0021】
オリフィスに入る構成成分の対称性は、有効な均一混合物を達成するのを容易にする。注入管14〜24のそれぞれの出口40をオリフィス30に向けるように注入管14〜24を向けることにより、所望の対称性を達成するのを助ける。注入管14〜24が、混合されるべき構成成分の基剤の中にそれらの内容物を添加し、かかる添加された基剤を、粘度成長が生じる遅れ又は遅延(約0.25秒であると推定される)内にオリフィス30に通過させるのを達成する配置で配列される限り、注入管14〜24のそれぞれの傾斜角度、及び注入管14〜24のそれぞれの出口40のオリフィス30からの間隔に関して可変性が存在し得る。注入管14〜24が整列されていない場合、又は添加された基剤が、粘度の増加が始まる前にオリフィス30を通過しない場合、混合物の所望の均一性を達成するために、より高いエネルギーレベルが必要となり得る。あるいは、オリフィス30と直列に追加のオリフィス(図示せず)を設けるなど、追加混合領域が必要となり得る。オリフィス30から等しい軸方向距離で離間する出口を全てが有する複数の注入管14〜24に関し、約30°の注入管角度が最適であることが分かっているが、注入管角度は、0°(構成成分を混合される組成物の基剤の中に主供給管12の軸に沿った方向に添加するために、エルボ(図示せず)を使用する場合など)から90°(注入管が主供給管12に対して垂直な方向に入る場合)の範囲で様々であり得る。
【0022】
オリフィス30の上流側にある半球形状の入口表面28は、様々な構成成分の軌道をオリフィス30に向け且つその中へと維持するのを助け、それによって、材料の予測可能な速度特性を維持し、停滞域部又は渦巻きを回避し、且つ構成成分の噴出を制御するのを助ける(さもなければ、混合物を得るために構成成分を予混合してしまう)。単なる例として、半球形状の入口表面28は、半径1.74cm(0.685インチ)で形成されてもよい。半楕円形状の出口表面32は、主軸長が2.21cm(0.87インチ)及び短軸長が1.10cm(0.435インチ)である楕円曲率を有して形成されてもよい。オリフィス30の楕円又は矩形形状はまた、均一混合を容易にする剪断特性及び速度特性を維持するのを助ける。例えば、過剰なエネルギー入力に起因した過剰な剪断力は、エマルションの粒径を低下させるので、均一性とエマルション粒径保存との適切なバランスを保つために、オリフィス30の寸法を許容可能な動作範囲に維持すると同時に、剪断力又はエネルギー入力の上限及び下限も制御することが好ましい。省エネルギーへの配慮から、本開示の半連続プロセスを周囲温度で操作することも望ましい。
【0023】
注入管14〜24のそれぞれの出口40は、主供給管12の中を運搬される組成物の基剤と流体連通する。出口40は、主供給管12の内径の表面の位置であってもよいが、注入管14〜24は、出口40が主供給管12の内径より内側にあるように主供給管12の側壁を貫通して突出するのが好ましい。
【0024】
混合物運搬管38は、液体パーソナルケア組成物の均一な混合物をボトリングステーションまで直接供給することができる。あるいは、混合物運搬管38は、均一混合物の全てを、オリフィス・インサート26の下流の一時的保持タンク(図示せず)(例えば30秒サージタンクなど)に供給してもよい。ボトリングの前に混合物を流体静力学的に分離することが必要な場合、又は過渡的な所産を観察し、且つこれが分配を目的とする工程に入ることを防止するために、少量の混合物を貯蔵することが必要な場合、つまり、品質管理及び無駄の削減を目的とする場合に、サージタンクは望ましい。
【0025】
多様なシャンプーなどの特定の液体パーソナルケア組成物の混合で使用される基剤に関し、基剤は、粘度を上昇させない数種類の水溶性供給物の混合物として形成されてもよく、他の原料を注入管14〜24を介して基剤に添加する前に、基剤を再撹拌することが必要である。この目的のため、その中に1つ以上の撹拌機を有する、90秒タンクなどの供給タンクが、主供給管12の上流に提供される。
【0026】
混合アセンブリの切り替え及び洗浄を容易にするため、注入管14〜24のそれぞれはバルブ機構(図示せず)を備えている。注入管14〜24のそれぞれは、1.27cm(1/2インチ)衛生継手のようなクイッククランプ管継手を更に備えていてもよい。注入管14〜24は、図16に示されるように、主供給管12の周縁に互いに50°〜80°刻みで配設されてもよい。注入管14〜24は、ステンレス鋼管の成形又は他の冶金によって製造され得る。単なる例として、4つの注入管16、18、22、及び24は、1.59cm(0.625インチ)の内径及び1.91cm(0.75インチ)の外径を有してもよい。香料運搬注入管14は、0.39cm(0.152インチ)の内径及び0.64cm(0.25インチ)の外径を有してもよい。注入管20の少なくとも1つは、内径0.95cm(0.375インチ)及び外径1.27cm(0.5インチ)といった中間寸法のものであってもよい。この中間寸法の注入管20は、シリコーンエマルションを運搬してもよく、このシリコーンエマルションは、香料と同様に、主供給管12に添加される他の構成成分と比べてより低濃度で添加されてもよい。残りの注入管16、18、22及び24は、特定の液体パーソナルケア組成物を調製するのに必要な、有用な、又は望ましい、1種以上の予め製造された等方性液体、液体/液体エマルション、又は固体/液体スラリーモジュールを運搬してもよい。先に述べたように、高い質量流量を必要とする又は高い質量流量の利益を享受する構成成分を収容するために、直径のより大きな注入管、即ち、1.59cm(0.625インチ)よりも大きい内径を有する注入管を使用することができる。
【0027】
多くの異なる原料で構成されるパーソナルケア組成物の場合には、オリフィスの下流の最適混合を達成し、且つ、混合製品がパッケージ化されるときに、ボトルごとに原材料の濃度が望ましくなく変動するのを回避するために、種々の原料が導入される方法を制御する混合アセンブリの設計変数に特に注意を払うことが必要であると認められる。例えば、第1の複数の注入管は、いくつかの原料のそれぞれを、オリフィス30に対して第1の軸方向距離の位置で主供給管に導入することができる一方で、第2の複数の注入管は、いくつかの追加原料のそれぞれを、オリフィス30に対して第2の軸方向距離の位置で導入することができ、第2の軸方向距離は第1の軸方向距離と異なる。
【0028】
理想的には、所与のパーソナルケア組成物を混合するための全ての原料及びプレミックスは、オリフィス30に対して等しい軸方向距離で離間した、単一面内に配列された出口を有する、単一の、複数の、又は一列の注入管によって加えられる。しかしながら、いくつかの製剤は多くの構成成分を必要とする。場合によっては、そうした構成成分の部分集合を1つ以上のプレミックスに混ぜ合わせて、それらを混合流として加えることが望ましい。しかしながら、これは、構成成分間の相互作用が原因で不可能な場合があり、また、製造コスト又は制御能力などの考慮すべき事柄のせいで望ましくない場合がある。更に、混合流(これは後続の生産工程で使用されてもよい)として生じ得るウォッシュアウト及び廃物への変換が、全ての構成成分を一括混合するのがより望ましいのか、又は構成成分の部分集合を予混合するのがより望ましいのかどうかを決定し得る。更に、たとえ単一面に整列するのが最適であるとしても、幾何学的衝突が、全ての注入管の出口が単一面に沿って整列するのを妨げる場合がある。
【0029】
所与の組成物に必要な原料の数に応じて、各成分が個別の注入管を必要とすると仮定すると、ある時点で、幾何学的寸法及び広さの制約が、必要な注入管の全てを主供給管の同一領域に位置付けるのを妨げる、又は、注入管の全てがオリフィス30から同じ軸方向距離に配置された注入出口を有するのを少なくとも妨げる。そのため、注入出口の2つ以上の列が必要となり得る。
【0030】
第1の複数の注入管(本明細書では注入管の第1の列とも呼ばれる)の注入出口は、第1の列の注入領域又はゾーンの上流境界又は上流端を集合的に画定し、オリフィス30の上流側は、第1の列の注入ゾーンの下流境界又は下流端を画定する。第2の複数の注入管(本明細書では注入管の第2の列とも呼ばれる)の注入出口は、第2の列の注入ゾーンの上流境界、又は上流端を集合的に画定し、第1の列の注入ゾーンの上流境界はまた、第2の列の注入ゾーンの下流境界又は下流端を画定する。アセンブリのオリフィス30の出口の下流の領域は、本明細書では下流ゾーンと呼ばれる。
【0031】
ここで図17図34を参照すると、注入管が2列存在する様々な実施形態が記載されている。注入管の追加の列(2つを超える)も本開示の範囲内であると考えられることが理解されよう。
【0032】
図17図19の実施形態によると、混合アセンブリ10の主供給管12は基本基剤を運搬する。第1の複数の注入管14、15、16、17、18、20、22、24は、主供給管12の周囲に円形配置で提供され、第1の複数の注入管14〜24のそれぞれは、主供給管12と交差し、且つ主供給管12の内径より内側に突出している注入出口を有する。第1の複数の注入管14〜24の全ての注入出口は、オリフィス30から等しい軸方向距離で終端している。主供給管12の第1の列の注入ゾーン(ゾーン1)(図19において一点鎖線で示されている)は、第1の複数の注入管14〜24の注入出口の上流端によって画定される平面(この平面は第1の列の注入ゾーンの上流境界を画定する)と、オリフィス30の上流端とで囲まれており、このオリフィス30の上流端は、第1の列の注入ゾーンの下流境界を画定する。
【0033】
第2の複数の注入管50、52、54、56、58、60もまた、主供給管12の周囲に円形配置で提供される。この実施形態では、第2の複数の注入管50〜60は、同じ軸方向位置、即ち、第1の複数の注入管14〜24と同じオリフィス30から軸方向距離を隔てて、主供給管12と交差する。しかしながら、主供給管12の内径より内側に突出する注入出口を有するのではなく、第2の複数の注入管50〜60は、主供給管12の内径部に合致する(即ち、面一になる又は実質的に面一になる)注入出口を有する。主供給管12内の第2の列の注入ゾーン(ゾーン2)(図19において点線で示されている)は、第2の複数の注入管50〜60の注入出口からの構成成分が、第1の複数の注入管14〜24の注入出口からの構成成分の流れと最初に遭遇し始める場所(即ち、第2の複数の注入管50〜60のそれぞれによって供給される流体構成成分の流れが、第1の複数の注入管14〜24のそれぞれによって供給される流体構成成分の流れと最初に遭遇する場所であり、2つ以上の注入管50〜60の中心から延びる寸法補助線が、2つ以上の注入管14〜24の中心から延びる寸法補助線と交差する、オリフィス30の上流の点を特定することによって見つけることができる場所)によって画定される平面と、第1の列の注入ゾーンの下流境界(即ち、オリフィス30の上流端)とで囲まれており、前記下流境界は、第2の列の注入ゾーンの下流境界も画定する。
【0034】
図20図22に示される実施形態は、図17図19に示される実施形態と同様であるが、保守又は交換のためのオリフィス30へのアクセスを提供するために、図9に示されるようなクランプ機構36を含んでいる。
【0035】
図17図19に示される実施形態と同様の図23及び図24に示される実施形態では、第2の複数の注入管50〜60は、第1の複数の注入管14〜24と同じ軸方向位置で主供給管12と交差する。しかしながら、主供給管12の内径部に合致する代わりに、第2の複数の注入管50〜60のそれぞれは、主供給管12の内径より内側に突出し、且つ第1の複数の注入管14〜24の注入出口よりもオリフィス30から軸方向に遠くに離れた注入出口を有している。
【0036】
図25図27に示される実施形態では、第2の複数の注入管50〜60は、オリフィス30に対して第1の複数の注入管14〜24とは異なる軸方向位置において主供給管12と交差する。この実施形態では、第2の複数の注入管50〜60は、主供給管の軸に対して第1の複数の注入管14〜24と同じ非ゼロの角度を形成してもよい。
【0037】
図28図30に示される実施形態では、図25図27に示される実施形態と同様に、第2の複数の注入管50〜60は、オリフィス30に対して第1の複数の注入管14〜24とは異なる軸方向位置において主供給管12と交差する。しかしながら、第2の複数の注入管50〜60は、主供給管12の軸に対して第1の複数の注入管14〜24よりも有意に小さい非ゼロの角度を形成する。主供給管の軸に対する所与の注入管それぞれの角度は、注入出口とオリフィス30の接近度、主供給管12の直径、主供給管12と交差する注入管の数、注入管が主供給管と交差する位置のオリフィスからの軸方向距離、及び注入管の直径などの要因に基づいて決定される。図31図34に示される実施形態では、図25図27に示される実施形態と同様に、第2の複数の注入管50〜60は、オリフィス30に対して第1の複数の注入管14〜24とは異なる軸方向位置において主供給管12と交差し、第2の複数の注入管は、第1の複数の注入管14〜24よりもオリフィス30から遠い軸方向距離の位置で主供給管12と交差する。第1の複数の注入管14〜24のそれぞれは、主供給管12と交差し、且つ主供給管12の軸に対して非ゼロの角度で終端する。第2の複数の注入管50〜60のそれぞれも同様に、主供給管12の軸に対して非ゼロの角度であるが、主供給管12の内径より内側で主供給管と交差し、主供給管12の軸に平行に延びる領域に曲がり、第2の複数の注入管50〜60の全ての注入出口は同一平面上にあり、第1の複数の注入管14〜24の注入出口よりもオリフィス30から大きな軸方向距離だけ離れている。
【0038】
流体の粘度が増加するとき、又は流体が粘度の異なる複数の構成成分から構成されているときに、最も厳しい混合条件が生じる。特定の混合アセンブリによって組み合わされる特定の流体組成物の増粘特性に応じて、設計トレードオフの中の異なる考慮すべき事柄が、流体組成物の製造にとって最適となる注入管の列の配列の要因となる。一般に、混合アセンブリの上流設計は、最適なエネルギー入力で混合を達成することに焦点が当てられる。エネルギー入力を最小限にすることは、製造コストを最小限に抑え、且つ、組み合わされている流体組成物の構成成分が剪断速度及び/又はエネルギーレベルに対して感受性がある場合には、前記流体組成物に損傷を与える危険性を低減するために望ましい。オリフィス30の対称性を制御すること、及び上流混合を最小限にすること(特に、増粘が速い又は高粘度組成物に関して)に寄与する設計考慮事項は、エネルギー入力を低減するのに役立つことが認められている。
【0039】
図16図33に示される実施形態と同様に注入管の列が複数ある場合には、オリフィス30に対する注入管の注入出口の位置、注入管の流量、及び他の変数に応じて、様々な戦略が、オリフィスの対称性を制御する、又はオリフィスの上流での混合を低減することが認められる。こうした戦略を以下に要約する。
【0040】
オリフィスの対称性を制御するために、位置決め、寸法設定、及び第1の複数の注入管14〜24のそれぞれの注入出口における流速の制御の変動は、(1)注入管14〜24からの流体を、オリフィス30の中心点に(即ち、非円形オリフィス30ではオリフィス30の主軸と短軸の交点に向かって)方向付けること、(2)第1の複数の注入管14〜24の全ての注入出口にわたって同様の流速を維持すること(少なくとも同じ桁内)、(3)非円形オリフィス30の場合には、より低い流速で主供給管12に導入される流体構成成分が、より速い流速で導入される構成成分に圧倒されて、オリフィス30から半径方向外向きに離れて押しのけられる傾向を補償するために、低い方の流速の注入管16、22をオリフィス30の中心に向けて位置付けること、及び(4)低い方の流速の注入管16、22の注入出口を、第1の複数の注入管14〜24の他の注入出口と面一になる、又は直接隣接するように位置付けること、を含む。
【0041】
更にオリフィスの対称性を制御するために、位置決め、寸法設定、及び第2の複数の注入管50〜60のそれぞれの注入出口における流速の制御の変動は、(1)注入管の主供給管12の内径より内側に突出する低角度部分は、特にそれらがオリフィス30から同じ軸方向距離の位置で主供給管12と交差する場合には、主供給管12と交差する2列の注入管を備えて製造するのが難しくなるので、第2の複数の注入管50〜60の注入出口を、図18図19に示されるように主供給管12の内径の位置で終端させること、(2)第1の複数の注入管14〜24の場合と同様に、第2の複数の注入管50〜60の全ての注入出口にわたって同様の流速を維持すること(少なくとも同じ桁内)、(3)第1の複数の注入管14〜24の場合と同様に、より低い流速で主供給管12に導入される流体構成成分が、より速い流速で導入される構成成分に圧倒されて、オリフィス30から半径方向外向きに離れて押しのけられる傾向を補償するために、第2の複数の注入管50〜60のあらゆる低い方の流速の注入管をオリフィス30の中心に向けて位置付けること、及び(4)第1の複数の注入管14〜24の場合と同様に、第2の複数の注入管50〜60の低い方の流速の注入管の注入出口を、第2の複数の注入管50〜60の他の注入出口と面一になる、又は直接隣接するように位置付けること、を含む。
【0042】
戦略はまた、例えば、アセンブリから詰められた様々な流体ボトルごとに許容不可能な相違を引き起こす可能性のある濃度のばらつきをもたらすなど、オリフィスの入口における一貫性のない濃度勾配を引き起こし、且つオリフィスの下流に効果的でない均一混合をもたらす可能性のある形での上流混合、つまり、オリフィス30の上流の構成成分のあらゆる望ましくない混合を最小限に抑えるために存在する。第1の複数の注入管14〜24の注入管に関し、これらの戦略は、次の(1)〜(5)を含む。(1)複数の注入管14〜24のそれぞれの注入出口を、特に粘度を上昇させる系における遅れを最小限にするように位置決めすること。(可能であれば、粘度成長の前に構成成分を混合するのが望ましい。粘度及び粘度上昇速度に応じて、ある流体組成物は他の組成物よりも、注入出口間の遅れに対応することが認識される。)(2)オリフィス30の第1の複数の注入管14〜24のそれぞれの注入出口からの距離を最小限にする。(3)オリフィス30の上流つまり入口側にある入口表面28の半球又は楕円形状を確実にする。こうすることにより、オリフィス30全体のエネルギー密度が最大となることが認められている。(4)注入出口速度を制御し、流れの衝突を回避するように注入出口を位置付ける。(5)液量のバランスを保つ(遅延時間を減少するために流量を最小限に抑える)ことによって主管の直径を選択し、レイノルズ数に影響を与えるように調整する(主管の直径に調整を加えることにより、オリフィス30の上流及び/又は下流の乱流を変更する)。
【0043】
注入管の第2の列、即ち、第2の複数の注入管50〜60の場合、かかる追加の注入管は、オリフィス30の上流の混合を最小限にすることをますます難しくするが、上流混合を最小限にする戦略は、(1)第2の複数の注入管50〜60の中の粘度を上昇させない傾向にある低粘度液体を加えること、(2)第2の複数の注入管50〜60の中の粘度を低減するのを助ける流体を加えること、(3)第1の複数の注入管14〜24の場合と同様に、オリフィス30の上流つまり入口側にある入口表面28の半球又は楕円形状を確実にすること、(4)図28図30及び図31図34の実施形態に示されるように、主供給管12の軸に対する第2の複数の注入管50〜60の角度を、主供給管12の軸に対する第1の複数の注入管50〜60の角度と異ならせること、(5)第2の複数の注入管50〜60の管径及びレイノルズ数を調整すること、を含む。
【0044】
オリフィスの上流の混合、及びオリフィスの対称性にプラスの(又はマイナスの)影響を与え得る他の要素、調整、又は考慮点としては、管の中での静的混合機、ベンチュリ、エルボ、又は他のターンの使用、管の直径の変更、粉砕機、突き出た注入器などの障害物が挙げられる。
【0045】
本開示の混合アセンブリは、図17図19図20図24図26図28図29、及び図31図32に示されるように、オリフィスが注入管よりも高い高さに配置されるように配向されてもよく、注入管から出た構成成分は、オリフィスに向かって上向きに向けて方向付けられる。この配向では、アセンブリの清浄可能性が高められることが認められている。あるいは、本開示の混合アセンブリの配向は、図6に示されるようにオリフィスが注入管よりも低い高さに配置されるようなものであってもよく、注入管から出た構成成分は、オリフィスに向かって下向きに向けて方向付けられる。水平に延びる主供給管の周囲、又は更には傾斜した主供給管の周囲に配向される注入管など、他の配向が可能であり、且つ本開示の範囲内であると考えられる。粒子を有する材料を加える注入管と共に使用するためには、かかる材料を収容している注入管の配向によっては粒子は沈殿する可能性があるので、混合アセンブリのこれらの配向のいくつかは、他の配向よりも好ましい場合がある。
【0046】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0047】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0048】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
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