特許第5788978号(P5788978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788978連続繊維と長い繊維を含む熱可塑性プリプレグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788978
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】連続繊維と長い繊維を含む熱可塑性プリプレグ
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   C08J5/04
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-516736(P2013-516736)
(86)(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公表番号】特表2013-531717(P2013-531717A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】US2011041454
(87)【国際公開番号】WO2011163365
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】61/357,301
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100161595
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 梓
(72)【発明者】
【氏名】マリシェフスキ,ジェレミー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,アーロン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ティボー,ティモシー・エル
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−010643(JP,A)
【文献】 特開平04−223105(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/142291(WO,A1)
【文献】 特開2001−145958(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/044315(WO,A1)
【文献】 特開平07−062246(JP,A)
【文献】 特開平02−276625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性プリプレグであって、このプリプレグは:
実質的に縦方向に配向している複数の連続繊維、ここで、この連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成している;
複数のランダムに配置された長い繊維、ここで、長い繊維の少なくとも一部は縦方向に対してある角度で配向していて、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成している;および
1種以上の熱可塑性ポリマーを含んでいて、中に連続繊維と長い繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックス、ここで、熱可塑性ポリマーはプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成している;
を含み、
横断方向におけるプリプレグの最大引張り応力に対する縦方向におけるプリプレグの最大引張り応力の比は約1から約40であり;
長い繊維はプリプレグの第一の層の中に存在し、連続繊維はプリプレグの第二の層の中に存在し、そして、長い繊維の少なくとも一部は第二の層の中へ延びている、
前記熱可塑性プリプレグ。
【請求項2】
横断方向におけるプリプレグの最大引張り応力に対する縦方向におけるプリプレグの最大引張り応力の比は約2から約30である、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項3】
プリプレグは縦方向において約250から約3000メガパスカルの最大引張り応力を示す、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項4】
プリプレグは横断方向において約0.5から約50メガパスカルの最大引張り応力を示す、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項5】
連続繊維はプリプレグの約20重量%から約70重量%を構成している、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項6】
長い繊維はプリプレグの約5重量%から約30重量%を構成している、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項7】
連続繊維、長い繊維、またはこれら両者は、ガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項8】
熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項9】
プリプレグは約2%以下の気孔率を有する、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグ。
【請求項10】
請求項1に記載のプリプレグを含む線状の形材。
【請求項11】
形材は、形材の表面を画定しているキャッピング層をさらに含む、請求項10に記載の線状の形材。
【請求項12】
請求項1に記載のプリプレグを含む成形品。
【請求項13】
熱可塑性プリプレグを形成するための方法であって:
連続繊維を押出し装置に供給すること;
熱可塑性の供給原料を押出し装置に供給すること、このとき、その供給原料は少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む;
連続繊維と供給原料を含浸用ダイの中で押し出すことによって押出し物を形成すること、このとき、この押出し物において連続繊維は熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれる;
次いで、長い繊維を押出し物に付与することによって複合材料を形成すること;
を含み、
長い繊維はプリプレグの第一の層の中に存在し、連続繊維はプリプレグの第二の層の中に存在し、そして、長い繊維の少なくとも一部は第二の層の中へ延びている、
前記方法。
【請求項14】
ロールの間に画定されるニップを通して複合材料を引っ張り、それにより複合材料をシートの形に団結させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成していて、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成している、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
連続繊維、長い繊維、またはこれら両者は、ガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
熱可塑性の供給原料を押出し装置にマニホールドアセンブリーによって供給し、このマニホールドアセンブリーは、熱可塑性の供給原料が流れる枝分れしたランナーを有する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は仮特許出願61/357301号(2010年6月22日提出)の優先権を主張し、その内容の全てが参考文献としてここに取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]強化複合材料(またはプリプレグ)は従来、樹脂製マトリックス(母材)の中に含浸される繊維(例えば、炭素繊維またはガラス繊維)から形成されてきた。熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル、エポキシ、またはポリイミド)はマトリックスとしてしばしば用いられ、特に高いレベルの強度が要求される用途においてそのように用いられる。しかし、熱硬化性樹脂から形成されるプリプレグの一つの問題は、一般的に脆く、また耐衝撃性が低いことである。さらに、樹脂の保存寿命が短いために、プリプレグは貯蔵するのが困難であることが多い。これらの問題を克服する試みの中で、熱可塑性プリプレグを開発する努力が近年なされている。そのようなプリプレグの一つは、熱可塑性樹脂と一方向に整列した連続繊維から形成される。このようなプリプレグは、弾性率と繊維軸の方向における強度について優れた性能を有する。しかし、このようなプリプレグは異方性の機械的性質を有するので、使用する際には、異なる方向に配向した多数のプリプレグの層が必要となる。このことは必然的に、最終的な部材のコストと厚さの増大をもたらす。熱硬化性プリプレグに伴う問題を解決する他の試みには、熱可塑性樹脂と一方向に整列したストランドを切断することによって形成されるチョップトファイバーを用いることが含まれる。そのようなプリプレグは良好な等方性の強度特性を示すが、強化用繊維の最大体積分率が一般に低く、その結果、弾性率と強度が比較的低くなる。さらに、チョップトファイバーの体積を操作することによってプリプレグの機械的性質を調整することが困難である。
【0003】
[0003]従って、特定の用途に応じてその機械的性質を選択的に制御することのできる熱可塑性プリプレグを形成する方法が、現在求められている。また、等方性の機械的性質を有する熱可塑性プリプレグも求められている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明の一つの態様によれば、熱可塑性プリプレグが開示され、このプリプレグは、実質的に縦方向に配向している複数の連続繊維と複数のランダムに(無作為に)配置された長い繊維とを含み、長い繊維の少なくとも一部は縦方向に対してある角度で配向している。連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成していて、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成している。プリプレグは1種以上の熱可塑性ポリマーを含む樹脂製のマトリックスも含んでいて、このマトリックスの中に連続繊維と長い繊維が埋め込まれていて、熱可塑性ポリマーはプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成している。横断方向におけるプリプレグの最大引張り応力に対する縦方向におけるプリプレグの最大引張り応力の比は、約1から約40である。
【0005】
[0005]本発明の別の態様によれば、熱可塑性プリプレグを形成するための方法が開示される。この方法は、連続繊維と長い繊維を押出し装置に供給することと、熱可塑性の供給原料を押出し装置に供給することを含み、このとき、その供給原料は少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む。連続繊維と長い繊維と熱可塑性ポリマーは含浸用ダイの中で押し出されて押出し物が形成され、この押出し物において連続繊維は長い繊維と混合されていて、そして熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれている。
【0006】
[0006]本発明のさらに別の態様によれば、熱可塑性プリプレグを形成するための方法が開示される。この方法は、連続繊維と熱可塑性の供給原料を押出し装置に供給することを含み、このとき、その供給原料は少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む。連続繊維と供給原料は含浸用ダイの中で押し出されて押出し物が形成され、この押出し物において連続繊維は熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれている。次いで、長い繊維が押出し物に付与されて複合材料が形成される。
【0007】
[0007]本発明のその他の特徴と態様は以下で詳細に説明される。
【0008】
[0008]当業者にとっての最良の形態を含む本発明の完全かつ授権的な開示は、本明細書の以下の記載において添付図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]図1は本発明において用いるための含浸装置の一態様の概略図である。
図2A】[0010]図2A図1に示す含浸用ダイの断面図である。
図2B】[0011]図2Bは本発明において用いることのできる含浸用ダイのためのマニホールドアセンブリーとゲート通路の一態様の分解組み立て図である。
図2C】[0012]図2Cは本発明において用いることのできる含浸領域を少なくとも部分的に画定するプレートの一態様の斜視図である。
図3】[0013]図3図1の装置を用いて製造されたプリプレグの一態様の横断面図である。
図4】[0014]図4図3に示すプリプレグの縦断面図である。
図5】[0015]図5は本発明のプリプレグから形材を形成するのに用いることのできる引抜き装置の一態様の概略図である。
図6】[0016]図6は本発明で製造されたプリプレグからなるアノードの態様の横断面図である。
図7】[0017]図7図6に示すプリプレグの縦断面図である。
図8】[0018]図8は本発明のプリプレグを形成するのに用いる含浸装置のさらに別の態様の概略図である。
図9】[0019]図9図8の装置を用いて製造されたプリプレグの一態様の横断面図である。
図10】[0020]図10図9に示すプリプレグの縦断面図である。
図11】[0021]図11は本発明に従って形成することのできる形材の一態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0022]本明細書と図面において参照符号を繰り返して用いるとき、それは本発明の同一または類似の特徴点または要素を表示することを意図している。
【0011】
[0023]当業者であれば、ここで検討することは典型的な態様だけについての説明であり、本発明の広い態様を限定することを意図していないことを理解するはずである。
【0012】
[0024]概して言えば、本発明は、熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれた複数の一方向に整列した連続繊維を含むプリプレグを対象とする。連続繊維に加えて、プリプレグは、この連続繊維と組み合わされて熱可塑性のマトリックスの中にランダムに配置される複数の長い繊維も含む。その結果、長い繊維の少なくとも一部は、連続繊維の方向に対してある角度で(例えば、垂直に)配向する。そのような配向により、長い繊維はプリプレグの機械的性質(例えば、強度)を横断方向において実質的に増大させることができ、従って、より等方性の材料が得られる。独特な等方性のプリプレグは本発明の一つの態様であるが、これが必須要件ではないことを理解すべきである。実際には、本発明の一つの顕著な特徴は、意図する用途に対してプリプレグの機械的性質を調整する能力であり、そのような調整は、用いられる長い繊維のタイプ、用いられる連続繊維のタイプ、長い繊維の濃度、連続繊維の濃度、用いられる熱可塑性樹脂などの特定のプロセスパラメーターを選択的に制御することによって行われる。
【0013】
[0025]本発明の様々な態様について以下で詳しく説明する。
I.連続繊維
[0026]「連続繊維」という用語は、繊維、フィラメント、糸、またはロービング(例えば、繊維の束)であって、部材の長さだけによって概ね限定される長さを有するものを指す。例えば、そのような繊維は約25ミリメートルを超える長さを有し、ある態様においては約50ミリメートル以上であり、またある態様においては約100ミリメートル以上である。連続繊維は当分野で知られたあらゆる慣用の材料から形成されてもよく、それには例えば、金属繊維、ガラス繊維(例えば、Eガラス、Aガラス、Cガラス、Dガラス、ARガラス、Rガラス、S1ガラス、S2ガラス)、炭素繊維(例えば、黒鉛)ホウ素繊維、セラミック繊維(例えば、アルミナまたはシリカ)、アラミド繊維(例えば、E. I. duPont de Nemours(デラウェア州、ウィルミントン)によって市販されているケブラー(Kevlar)(登録商標))、合成有機繊維(例えば、ポリアミド、ポリエチレン、パラフェニレン、テレフタルアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリフェニレンスルフィド)、および熱可塑性樹脂配合物を強化するものとして知られているその他の様々な天然または合成の無機繊維材料または有機繊維材料がある。ガラス繊維と炭素繊維は連続繊維において用いるのに特に望ましい。このような繊維は約4〜約35マイクロメートルの公称直径を有することが多く、ある態様においては約9〜約35マイクロメートルである。繊維は撚られていても、あるいは真っ直ぐなものであってもよい。所望により、繊維は単一の繊維タイプの繊維または異なるタイプの繊維を含むロービング(例えば、繊維の束)の形態のものであってもよい。異なる繊維が個々のロービングの中に含まれていてもよく、あるいは各々のロービングが異なる繊維タイプを含んでいてもよい。例えば、一つの態様において、特定のロービングが連続炭素繊維を含んでいて、一方、他のロービングがガラス繊維を含んでいてもよい。各々のロービングの中に含まれる繊維の数は一定であっても、あるいはロービングどうしで異なっていてもよい。典型的に、ロービングは約1000本〜約50000本の個々の繊維を含んでいてもよく、ある態様においては約2000本〜約40000本の繊維を含んでいてもよい。
II.長い繊維
[0027]「長い繊維」という用語は一般に、連続していない繊維、フィラメント、糸、またはロービングであって、約0.5〜約25ミリメートルの長さを有するものを指し、ある態様においては約0.8〜約15ミリメートル、またある態様においては約1〜約12ミリメートルである。長い繊維は、連続繊維について上で説明したいずれの材料、形状、および/またはサイズのものから形成されていてもよい。ガラス繊維と炭素繊維は長い繊維として用いるのに特に望ましい。
III.熱可塑性のマトリックス
[0028]中に連続繊維と長い繊維が埋め込まれる熱可塑性樹脂のマトリックスを形成するために、任意の様々な熱可塑性ポリマーを用いることができる。本発明において用いるのに適当な熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマーなど)、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT))、ポリカーボネート、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標))、ポリエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン(例えば、ポリフェニレンジケトン(PPDK))、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド(例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS))、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテルポリマー、ペルフルオロ−アルコキシアルカンポリマー、ペトラフルオロエチレンポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンポリマーなど)、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS))などがある。ABSは特に適当な熱可塑性ポリマーである。
【0014】
[0029]プリプレグにおいて一つまたは複数の熱可塑性マトリックスを用いてもよい。例えば、一つの態様において、最初に長い繊維に第一の熱可塑性マトリックスが後述するようなやり方で予備含浸され、次いで冷却され、そして約25ミリメートル以下の長さを有するペレットに切断される。次いで、これらのペレットは、連続繊維に第二の熱可塑性マトリックスが含浸されるときに、連続繊維と一緒にすることができる。従って、この態様において、長い繊維は実際には二つの熱可塑性マトリックスの中に埋め込まれる。長い繊維のために用いられる第一の熱可塑性マトリックスは第二の熱可塑性マトリックスと同じものであっても、あるいは異なるものであってもよい。あるいは、長い繊維に予備含浸するのに用いられる第一の熱可塑性プラスチックのマトリックスは、プリプレグにおいて存在する唯一の熱可塑性マトリックスを構成していてもよい。さらに別の態様において、長い繊維は予備含浸されずに連続繊維と単純に一緒にされ、このときに両者に熱可塑性マトリックスが含浸される。
IV.プリプレグの形成
[0030]上で述べたように、プリプレグは概して、長い繊維をランダムに配置することのできる方法で形成される。これは様々なやり方で達成できるだろう。例えば、一つの特定の態様において、長い繊維を含む熱可塑性樹脂のペレットを押出し装置のホッパーに供給し、次いで、連続繊維と溶融混合する。押出しプロセスの圧力と力により、得られるプリプレグの中での長い繊維の所望のランダムな配向が生じる。図1を参照すると、例えば、そのような押出し装置の一態様が示されている。詳細には、装置は、バレル122の内部に取り付けられたスクリューシャフト124を含む押出し機120を有する。ヒーター130(例えば、抵抗加熱ヒーター)がバレル122の外側に取り付けられている。使用する間、熱可塑性ポリマーの供給原料127がホッパー126を通して押出し機120に供給される。この特定の態様において、供給原料127は長い繊維も含んでいる。例えば、長い繊維は供給原料の約5重量%から約60重量%を構成していてもよく、ある態様においては約10重量%から約50重量%、またある態様においては約20重量%から約40重量%を構成している。あるいは、供給原料127は長い繊維を含んでいなくてもよく、そのような繊維は、例えばホッパー126よりも下流および/または他の供給口のような、別の位置(図示せず)において供給されてもよい。
【0015】
[0031]いずれにしても、熱可塑性ポリマーの供給原料127はバレル122の内部にスクリューシャフト124によって運ばれ、そしてバレル122の内部の摩擦力とヒーター130によって加熱される。加熱されると、供給原料127はバレルフランジ128を通ってバレル122から出て、含浸用ダイ150のダイフランジ132に入る。(単一または複数の)連続繊維のロービング142が、(単一または複数の)リール144からダイ150に供給される。ロービング142は一般に、含浸する前には特定の距離だけ離しておかれ、それは例えば、少なくとも約4ミリメートルであり、ある態様においては少なくとも約5ミリメートルである。供給原料127を、ダイ150の中または周囲に取り付けられたヒーター133によってダイの内部でさらに加熱してもよい。ダイは一般に、熱可塑性ポリマーの溶融と含浸を起こさせるのに十分な温度において操作される。典型的に、ダイの操作温度は熱可塑性ポリマーの溶融温度よりも高く、例えば約200℃から約450℃までの温度である。このようにして加工処理されるとき、連続繊維のロービング142はポリマーマトリックスの中に埋め込まれ(この場合、そのマトリックスは供給原料127から処理された樹脂214(図2A)であろう)、そして供給原料の中に含まれる長い繊維と混合される。次いで、混合物は含浸用ダイ150から押出され、それにより押出し物152が生成する。
【0016】
[0032]圧力センサー137(図2A)が含浸用ダイ150の近傍の圧力を感知し、それによりスクリューシャフト124の回転速度、すなわち供給装置の供給量を制御することによって押出し量に制御を加えることが可能になる。すなわち、圧力センサー137は含浸用ダイ150の近傍に配置され、それにより押出し機120を、繊維のロービング142との相互作用を行わせるための樹脂214の正確な量を排出するように操作することができる。含浸用ダイ150から出た後、押出し物152、すなわち含浸された繊維のロービング142は、二つの隣接するロール190の間に形成されるニップ(ロール間隙)に入る前に、任意の予備成形部分または案内部分(図示せず)に入るようにしてもよい。選択的にではあるが、ロール190は押出し物152をリボン(またはテープ)の形状になるように団結するとともに、繊維の含浸を促進し、またあらゆる過剰な気孔を押しつぶすのを補助することができる。ロール190に加えて、他の成形装置(例えばダイ装置)を用いてもよい。得られた団結されたリボン156は、ロールの上に取り付けられた軌道162および164によって引っ張られる。軌道162および164はまた、含浸用ダイ150から押出し物152をロール190を通して引っ張る。所望により、団結されたリボン156を171の部分において巻き取ってもよい。概して言えば、リボンは比較的薄く、典型的に約0.05〜約1ミリメートルの厚さを有し、ある態様においては約0.1〜約0.8ミリメートル、またある態様においては約0.2〜約0.4ミリメートルの厚さである。
【0017】
[0033]含浸用ダイの中で、ロービング142を含浸領域250を通して横断させ、それによりロービングにポリマーの樹脂214を含浸させるのが一般に望ましい。含浸領域250において、ポリマーの樹脂を、含浸領域250の中で作り出される剪断応力と圧力によってロービングを概ね横断するようにして強制的に送り出すようにしてもよく、それにより含浸の度合いが著しく高まる。これは、約35%以上の重量分率(Wf)、またある態様においては約40%以上のWfといったような、繊維含有量の高いリボンから複合材料を形成する場合に特に有用である。典型的に、ダイ150は複数の接触面252を有し、例えば、少なくとも2の、少なくとも3の、4〜7の、2〜20の、2〜30の、2〜40の、2〜50の、あるいはそれ以上の数の接触面252を有し、それによりロービング142に対して十分な程度の浸透と圧力が生み出される。それらの特定の形状は一様でなくてもよいが、接触面252は典型的に、曲がった耳たぶ状のもの(lobe)や曲がった棒などのような、曲線状の表面を有する。接触面252はまた、典型的には金属材料からなる。
【0018】
[0034]図2Aは含浸用ダイ150の断面図を示す。そこで示されているように、含浸用ダイ150はマニホールドアセンブリー220とゲート通路270および含浸領域250を有する。マニホールドアセンブリー220はポリマーの樹脂214を流通させるために設けられる。例えば、マニホールドアセンブリー220は単一または複数の流路222を有していてもよい。含浸用ダイ150に供給される樹脂214は、流路222を通って流れることができる。
【0019】
[0035]図2Bに示すように、流路222の幾つかの部分は曲線状であってもよく、典型的な態様において、流路222は中心軸224に沿って左右対称の配置を有する。さらに、ある態様においては、流路は複数の枝分れしたランナー222であってもよく、これには第一の枝分れしたランナーの群232、第二の群234、第三の群236、そして所望により、さらに枝分れしたランナーの群を含んでいてもよい。各々の群は、先行する群におけるランナー222から、あるいは最初の流路222から枝分れした、2の、3の、4の、あるいはもっと多いランナー222を含んでいてもよい。
【0020】
[0036]枝分れしたランナー222およびそれらの対称的な配置によって、樹脂214は概ね一様に分配され、それによりマニホールドアセンブリー220を出る樹脂214の流れとロービング142の被覆は、ロービング142の上に実質的に均一に分配される。これにより、ロービング142の概ね均一な含浸が可能になるのが望ましい。
【0021】
[0037]さらに、ある態様においては、マニホールドアセンブリー220は出口領域242を画定していてもよく、この領域は概して流路またはランナー222の少なくとも下流部分を含み、ここから樹脂214が出る。ある態様においては、出口領域242に配置された流路またはランナー222の少なくとも一部は樹脂214の流れの方向244で広がっている領域を有する。この広がっている領域は、樹脂214がマニホールドアセンブリー220を通って流れるときに、樹脂214が拡散して、いっそう分配されるのを可能にし、この領域はさらに、ロービング142の上に樹脂214が実質的に均一に分配されるのを可能にする。
【0022】
[0038]図2Aと2Bでさらに示されているように、樹脂214はマニホールドアセンブリー220を通って流れた後に、ゲート通路270を通って流れてもよい。ゲート通路270はマニホールドアセンブリー220と含浸領域250の間に配置され、またこれは、樹脂214をマニホールドアセンブリー220から流すことによって樹脂214がロービング142を被覆するようにするために設けられる。従って、そこで示されているように、マニホールドアセンブリー220から出た樹脂214は、例えば出口領域242を通って、そしてゲート通路270に入り、その中を流れてもよい。
【0023】
[0039]図2Aに示すように、ダイ150のマニホールドアセンブリー220とゲート通路270を出ると、樹脂214は、ダイ150を通って横断しているロービング142に接触する。上で説明したように、マニホールドアセンブリー220とゲート通路270の中での樹脂214の分配により、樹脂214はロービング142を実質的に均一に被覆するであろう。さらに、ある態様においては、樹脂214は各々のロービング142の上面、または各々のロービング142の下面、または各々のロービング142の上面と下面の両方に衝突してもよい。ロービング142への最初の衝突により、ロービング142への樹脂214の含浸がいっそう行われる。
【0024】
[0040]図2Aに示すように、被覆されたロービング142は含浸領域250を通って走行方向282へ横断して行くが、その含浸領域はロービング142に樹脂214が含浸するように構成されている。例えば、図2Aと2Cに示すように、ロービング142は含浸領域における接触面252の上を横断する。接触面252へのロービング142の衝突によって、ロービング142に樹脂214が含浸してロービング142を被覆するのに十分な剪断応力と圧力が生み出される。
【0025】
[0041]ある態様においては、図2Aに示すように、含浸領域250は間隔のある対面する二つのプレート256および258の間に画定される。第一のプレート256は第一の内面257を画定し、一方、第二のプレート258は第二の内面259を画定している。接触面252は、第一および第二の内面257および259の両者または第一および第二の内面257および259のうちの一つだけの上に画定されているか、あるいはそれらの内面から延びていてもよい。図2Cは、これらの態様に従って含浸領域250の少なくとも一部を形成する第二のプレート258とその上の様々な接触面を示す。典型的な態様において、図2Aに示すように、接触面252は第一および第二の面257および259の上に交互に画定されていてもよく、それによりロービングは第一および第二の面257および259の上の接触面252と交互に衝突する。従って、ロービング142は波形、屈曲した形あるいは正弦曲線の形の細い通路の中で接触面252を通過することができ、これにより剪断応力が高まる。
【0026】
[0042]ロービング142が接触面252を横断する位置での角度254は一般に、剪断応力を高めるのに十分なほどに大きくしてもよいが、しかし繊維を破断させるような過大な力を生じさせるほど大きくあってはならない。従って、例えば、角度254は約1°と約30°の間の範囲としてよく、またある態様においては約5°と約25°の間の範囲とする。
【0027】
[0043]代替の態様において、含浸領域250は複数のピン(図示せず)を含んでいてもよく、このとき各々のピンは接触面252を有する。ピンは動かないものであるか、自由に回転するもの、あるいは回転駆動するものであってよい。さらなる代替の態様において、接触面252と含浸領域250は、所望により、あるいは必要に応じて、ロービング142に樹脂214を含浸させるのに適した、いかなる形状および/または構造を有していてもよい。
【0028】
[0044]ロービング142の含浸をさらに容易にするために、含浸用ダイの中にある間、ロービングを張力下においてもよい。例えば、張力は一つのロービング142当り、あるいは繊維のトウ当り、約5〜約300ニュートンの範囲であってよく、ある態様においては約50〜約250ニュートン、またある態様においては約100〜約200ニュートンとする。
【0029】
[0045]図2Aに示すように、ある態様においては、ロービング142の走行方向282における含浸領域250の下流にランド領域280を配置してもよい。ロービング142は、ダイ150から出る前にランド領域280を通って横断するだろう。図2Aにさらに示すように、ある態様においては面板290が含浸領域250に隣接していてもよい。面板290は一般に、ロービング142から過剰な樹脂214を計量するように構成される。従って、ロービング142が横断する面板290における開口は、それをロービング142が横断して通過するときに、開口の大きさのために過剰な樹脂214がロービング142から除去されるような大きさにしてもよい。
【0030】
[0046]しかし、ここで示されていて、そして上で説明された含浸用ダイは、本発明において用いることのできる様々な可能な構成のうちの一つである。代替の態様において、例えば、繊維はクロスヘッドダイの中に導入され、このときクロスヘッドダイはポリマーの溶融液の流れの方向に対してある角度で配置される。繊維がクロスヘッドダイの中を移動して、ポリマーが押出し機のバレルから出る位置に達したときに、ポリマーを押出して繊維と接触させる。他のいかなる構成の押出し機(例えば、二軸スクリュー押出し機)も採用することができることを理解するべきである。さらに、繊維を含浸するのを補助するための他の構成要素を選択的に用いてもよい。例えば、特定の態様においては、個々の繊維の束またはトウを均一に広げるのを補助するために「ガスジェット」アセンブリーを用いてもよく、このとき各々のトウは、合わせたトウの全幅にわたって24000本程度までの繊維を含んでいるだろう。これにより、リボンの強度特性の均一な分布が達成され易くなる。そのようなアセンブリーは、出口孔を横切って通過するように移動する繊維のトウに概ね垂直に衝突する圧縮空気またはその他のガスを供給するものであろう。次いで、上で述べたような広げられた繊維の束を、含浸のためにダイの中に導入することができる。
【0031】
[0047]用いられる技術のいかんにかかわらず、プリプレグ中の長い繊維の少なくとも一部は、連続繊維の配向である縦方向(図1の装置の機械加工方向「A」)に対してある角度で配向している。例えば、その繊維の約10%以上、ある態様においては約20%以上、またある態様においては約30%以上が、連続繊維の縦方向に対してある角度で配向していてもよい。この角度は、例えば、約10°から約120°、ある態様においては約20°から約110°、また一つの態様においては約90°である。例えば、図3と4を参照すると、プリプレグ200の一つの態様が示されていて、これは、連続繊維240が整列している縦方向「L」に対して様々な角度で配向している多数の長い繊維220を含んでいる。特に、配向の角度はプリプレグの曲げ強さを制御するのに役立つ。
【0032】
[0048]加えて、プリプレグ中の長い繊維と連続繊維の相対的な割合も強度特性を制御するのに役立つ。引張り強さと曲げ強さの間の良好なバランスを達成するために、長い繊維の重量に対する連続繊維の重量の比は典型的に、約0.2から約10の範囲内で制御され、ある態様においては約0.4から約5、またある態様においては約0.5から約5である。例えば、連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成していてもよく、ある態様においては約20重量%から約70重量%、またある態様においては約40重量%から約60重量%である。同様に、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成していてもよく、ある態様においては約5重量%から約30重量%、またある態様においては約10重量%から約25重量%である。熱可塑性ポリマーはプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成していてもよく、ある態様においては約20重量%から約70重量%、またある態様においては約40重量%から約60重量%である。
【0033】
[0049] プリプレグは極めて低い気孔率も有し、このことはプリプレグの機械的性質が向上するのに役立つ。例えば、気孔率は約3%以下とすることができ、ある態様においては約2%以下、またある態様においては約1%以下である。気孔率は当業者に周知の方法を用いて測定することができる。例えば、気孔率は「樹脂焼き去り」試験を用いて測定することができ、これにおいてサンプルはオーブンの中に(例えば、600℃で3時間)置かれ、それにより樹脂が燃え切るようにする。次いで、残った繊維の質量が測定され、重量と体積分率が計算される。このような「焼き去り」試験はASTMD 2584−08に従って行うことができ、繊維と熱可塑性樹脂マトリックスの重量が決定され、次いで、それらを用いて次の式に基づいて「気孔率」が計算される:
=100×(ρ−ρ)/ρ
ここで、
はパーセントでの気孔率;
ρは複合材料の密度であり、液体比重壜または気体比重壜(例えば、ヘリウム比重壜)を用いるもののような公知の技術を用いて測定される;
ρは複合材料の理論密度であり、次の式によって決定される;
ρ=1/[W/ρ+W/ρ
ρは(例えば、適当な結晶化度における)熱可塑性樹脂マトリックスの密度;
ρは繊維の密度;
は繊維の重量分率;そして
は熱可塑性樹脂マトリックスの重量分率である。
【0034】
[0050]あるいは、気孔率はASTM D 3171−09に従って樹脂を化学的に溶解することによって決定してもよい。「焼き去り」法と「溶解」法は、一般に溶融と化学的溶解に対する耐性の高いものであるガラス繊維について特に適当である。しかし、他の場合において、気孔率は、ASTMD 2734−09(方法A)に従って熱可塑性ポリマー、繊維、およびリボンの密度に基づいて間接的に計算してもよく、このとき、密度はASTMD 792−08の方法Aに従って決定される。当然ながら、気孔率は従来の顕微鏡検査装置を用いて見積もることもできる。
【0035】
[0051]上で述べた様々なパラメーターを制御することにより、所望の用途に対して機械的な強度特性を調整することができる。例えば、特定の態様において、プリプレグは相対的に等方性の強度特性を示すのが望ましい。特に、そのような等方性のプリプレグについて、横断方向における最大引張り応力(または「極限強さ」)に対する縦方向における最大引張り応力の比率は典型的に約1から約40であり、ある態様においては約2から約30、またある態様においては約4から約20である。特定の態様において、本発明のプリプレグは約250から約3000メガパスカル(MPa)の縦方向における最大引張り応力を示し、ある態様においては約400から約2500MPa、またある態様においては約600から約2000MPaであり、また約0.5から約50MPaの横断方向における最大引張り応力を示し、ある態様においては約1から約40MPa、またある態様においては約2から約20MPaである。
【0036】
[0052]上で説明し、そして図3および4で示す態様において、長い繊維は含浸を行う間に押出し装置の中に組み込まれ、従って、連続繊維と混合されることになって、プリプレグの概ね全体に分配される。しかし、そのような構成は必須ではないことを理解すべきである。例えば、特定の態様において、長い繊維は連続繊維と、それらが別個の層を形成するようなやり方で併合される。これらの層は、長い繊維の少なくとも一部は連続繊維の層の中に延びているという意味において、「非分離的」であるかもしれない。そのような非分離的な層をなすプリプレグを形成するための装置の一つの態様は、連続繊維を含浸するためのダイよりも下流で長い繊維を供給するために用いられる追加の装置(例えば、押出し機)を含むものであるかもしれない。このやり方で供給される長い繊維は、それでもプリプレグの中でランダムに分配されるが、しかし分離した層を形成する。このことは図6および7で詳細に示されている。そこで示されているように、長い繊維262を含む層260が形成され、そして連続繊維272を含む層270が形成されている。一部の理由としては繊維が供給されるやり方のために、長い繊維262の一部230は連続繊維の層270の中にも延びている。
【0037】
[0053]当然のことながら、長い繊維の実質的に全てが層の中に含まれている、という意味において、層は「分離的」であってもよい。そのような分離的な層をなすプリプレグを形成するための装置の一つの態様が、図8に示されている。この特定の態様において、予備的に団結された連続繊維のプリプレグ320は、リール330から巻き出され、そしてオーブン340(例えば、赤外線加熱炉)の中で熱可塑性マトリックスの軟化点以上まで加熱される。次いで、軟化したプリプレグ320は押出し装置350に供給され、ここで長い繊維(図示せず)が供給されてもよい。次いで、得られた層状のプリプレグ360を、上で説明した二つの団結用ロール390の間に供給してもよい。この場合もやはり、このやり方で付与される長い繊維は、それでもプリプレグの中でランダムに分配されるが、しかし別個の「分離した」層を形成する。このことは図9および10で詳細に示されている。そこで示されているように、長い繊維422を含む層420が形成され、そして連続繊維424を含む層430が形成されている。
【0038】
[0054]本発明のプリプレグは一般に、様々な異なる用途や部材において用いることができる。例えば、このプリプレグは形材、射出成形された部材、圧縮成形された部材などに形成してもよい。「形材」は中空または中実の引抜きされた部材であり、正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、I形、C形、U形、J形、L形、スロット状など、広範囲の断面形状を有していてもよい。中空の形材においては、形材の内部の少なくとも一部は、空洞になった空間である。空洞になった空間は、場合により、形材の全体の長さにわたって延びていてもよい。形材は、形材全体の長さに沿って実質的に同じ断面形状を有する限りにおいて「線状」であってもよく、あるいはそれらは曲線状や捩れた形などの変化する断面形状を有していてもよい。いずれにしても、このような形材は、窓、デッキ厚板、手すり、手すり子、かわら、羽目、装飾板、パイプ、フェンス、標柱、照明柱、道路標識、道路標柱などのための構造部材として用いることができる。
【0039】
[0055]プリプレグから形材を形成する方法は、当業者には周知であるように、様々である。形材を形成するために、一つまたは複数のプリプレグの層を用いてもよい。例えば図5を参照すると、形材を形成するために複数のプリプレグ12を用いる装置の一つの特定の態様が示されている。この態様において、プリプレグ12は、クリール20の上に巻き取られたパッケージの中に用意される。クリール20は、それぞれがパッケージを支持している平面上の回転スピンドル22を備えたフレームを有する巻き戻しクリールであってよい。繊維に撚りを生じさせることが特に望ましい場合は、繰り出しクリールも用いてもよい。形材を形成するのとインラインで(直結させて)プリプレグを形成してもよいことを理解するべきである。例えば、一つの態様において、図1における含浸用ダイ150から出た押出し物152を、形材を形成するために用いられる装置に直接供給してもよい。
【0040】
[0056]張力の度合いを制御するのを助けるために、張力調整装置40も用いてもよい。装置40は、クリール20の回転スピンドル22に平行な垂直面内にある入口プレート30を有していてもよい。張力調整装置40は、ずらした構成で配置された円筒形のバー41を有していてもよく、それによりプリプレグ12はこれらのバーの上下を通過して、波打ったパターンが生じる。バーの高さを調節することによって、波打ったパターンの振幅を修正し、また張力を制御することができる。
【0041】
[0057]所望により、プリプレグ12を、任意の様々な公知の構成を有するオーブン45(赤外線加熱炉、熱対流炉など)の中で加熱してもよい。加熱を行う間、繊維は一方向に配向され、それにより熱への曝露を最適にし、また形材全体にわたる一様な加熱を維持する。リボン12を加熱する温度は一般に、リボンどうしが結合できる程度まで熱可塑性ポリマーを軟化させるのに十分な高さとする。しかし、その温度は材料の一体性が破壊されるほどに高くあってはならない。その温度は、例えば、約100℃から約300℃までの範囲とすることができ、ある態様においては約110℃から約275℃までの範囲、またある態様においては約120℃から約250℃までの範囲とする。一つの特定の態様においては、例えば、ポリマーとしてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)が用いられ、リボンはABSの融点(約105℃)以上まで加熱される。別の態様においては、ポリマーとしてポリブチレンテレフタレート(PBT)が用いられ、リボンはPBTの融点(約224℃)以上まで加熱される。
【0042】
[0058]加熱されたならば、連続繊維のリボン12を、異なるリボンの層どうしを結合するために、また整列させるために、そして形材の初期の形状を形成するために、団結用ダイへ送ってもよい。ここでは単一のダイとして示しているが、団結用ダイ50は実際には複数の個々のダイ(例えば、面板ダイ)から形成されていてもよいことを理解すべきである。団結用ダイ50はプリプレグ12を受け入れて、ダイ50の溝(図示せず)を通して「A」の方向へプリプレグを案内する。望ましい強化機構がなされるような任意の様々な方位と配置で溝を設けてもよい。ダイ50の中で、プリプレグは一般に、リボンにおいて用いられる熱可塑性樹脂のマトリックスの融点以上の温度に維持され、それにより適切な団結を確実に行わせる。
【0043】
[0059]所望により、プリプレグを形材のための最終形状に圧縮する引抜き用ダイ60も用いてもよい。ダイ60の構成は、得られる形材についての所望の形状と性質に依存する。中空の形材を形成するために、引抜き用ダイは典型的に、その内部にマンドレルを有していて、ダイの内表面とマンドレルの外表面の間を繊維材料が流れることによって所望の形状が形成されるようにする。さらに、ここでは単一のダイとして示しているが、引抜き用ダイ60は複数の個々のダイから形成されていてもよいことを理解すべきである。
【0044】
[0060]形材を形成するために、一つかまたは複数の層を用いることができる。例えば、一つの態様において、複数の層が用いられて、最初は垂直方向で互いに間隔が保たれる。それらが団結用ダイ50のそれぞれの溝を通過するとき、場合によっては、層の幅をリボン状にすることによって圧力のくさび(pressure wedges)を防ぎ、そして連続繊維が整列して捩れがないようにする。ここでは具体的には示さないが、団結用ダイ50の内部にマンドレルも設けることによって、形材の少なくとも一方の側で層が互いに接触するように案内してもよい。例えば、プリプレグの層の一側面と別のプリプレグの層の一側面を角度をつけて曲げて、それによりそれらが互いに接触して、中空の形材の一側面を形成するようにしてもよい。しかし、形材の他の側面は典型的に団結用ダイ50の中で開放されたままにして、それにより、その後に引抜き用ダイの中で形材の内部に長い繊維材料を供給できるようにする。所望の位置にあるときに、プリプレグの層は、上で述べたようにして引抜き用ダイ60の中に引かれる。
【0045】
[0061]所望により、得られた形材にはキャッピング層を設けてもよく、それにより形材の美的な印象を高め、そして/または形材を環境条件から保護する。例えば、図5を参照すると、そのようなキャッピング層は、キャッピング用ダイ72の中に熱可塑性樹脂を導入するための任意の所望の角度の向きを有する押出し機によって付与してもよい。樹脂は、形材を形成するのに用いられる熱可塑性ポリマーと概ね適合する、当分野で知られた任意の適当な熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。適当なキャッピング用ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ABS、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリウレタンなどがある。キャッピング用樹脂は一般に繊維を含まないが、それでも形材の最終的な性質を改善するための他の添加剤を含んでいてもよい。この段階で用いられる添加材料は、連続繊維の層または長い繊維の層の中に配合するのには適当でないものを含んでいてもよい。例えば、成形された製品の仕上げ作業を軽減するために複合構造物に顔料を添加するのが望ましいかもしれないし、あるいは成形された製品の難燃性を高めるために複合構造物に難燃剤を添加するのが望ましいかもしれない。多くの添加材料は感熱性なので、過剰な加熱はそれらを分解させ、また揮発性ガスを生じさせるかもしれない。従って、感熱性の添加材料を含浸樹脂とともに高い加熱条件の下で押出すと、その結果、添加材料は完全に劣化するかもしれない。添加材料としては、例えば、無機強化剤、潤滑剤、難燃剤、発泡剤、起泡剤、耐紫外線剤、熱安定剤、顔料、およびこれらの組み合わせがある。適当な無機強化剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、雲母、粘度、タルク、ケイ酸カルシウム、黒鉛、アルミナ三水和物、バリウムフェライト、およびこれらの組み合わせがある。
【0046】
[0062]ここでは詳しくは示さないが、キャッピング用ダイ72は、キャッピング層の望ましい付与を行うのを助けるための、当分野で知られた様々な特徴を備えているだろう。例えば、キャッピング用ダイ72は、入ってくる形材を整列させる入口ガイドを有していてもよい。キャッピング用ダイはまた、適切な結合を確実に行うのを助けるために、キャッピング層を付与する前に形材を予備加熱する加熱機構(例えば、加熱されたプレート)を有していてもよい。
【0047】
[0063]選択的に行うキャッピングの後、成形された部材15を当分野で知られた冷却装置80へ送ってもよい。冷却装置80は、例えば真空サイジング機であり、これは形材を完全に包囲する一つ以上のブロック(例えば、アルミニウムのブロック)を有し、また同時に、高温の付形物が冷却するときに真空によってブロックの壁に対して付形物を引き抜く。形材を正確な形状に固めるために、空気または水のような冷却媒体をサイジング機に供給してもよい。
【0048】
[0064]選択的に行うキャッピングの後、次いで、成形された部材は当分野で知られた冷却装置80を用いて最終的に冷却される。冷却装置80は、例えば真空サイジング機であり、これは形材を完全に包囲する一つ以上のブロック(例えば、アルミニウムのブロック)を有し、また同時に、高温の付形物が冷却するときに真空によってブロックの壁に対して付形物を引き抜く。形材を正確な形状に固めるために、空気または水のような冷却媒体をサイジング機に供給してもよい。
【0049】
[0065]真空サイジング機は形材を形成するときに、典型的に用いられる。しかし、真空サイジング機が用いられない場合であっても、形材がキャッピング用ダイから出た後に(あるいは、キャッピングが適用されない場合は、団結用ダイまたは規制用ダイから出た後に)形材を冷却するのが一般に望ましい。冷却は当分野で知られた任意の方法を用いて行うことができ、例えば、真空水タンク、冷気流れまたは冷気ジェット、冷却ジャケット、内部冷却水路、冷却流体循環水路などがある。いずれにしても、材料を冷却する温度は通常、最適な機械的性質、部材寸法の許容度、良好な加工処理、および美的に満足できる複合材料が得られるように制御される。例えば、冷却ステーションの温度が高すぎる場合、材料は成形型の中で膨張し、そして加工処理が中断してしまうだろう。半結晶質材料の場合、温度が低すぎると、同様に材料をあまりに急速に冷却させ、また完全には結晶化させず、それにより複合材料の機械的および化学的耐性を損なう恐れがある。独立した温度制御を行う複数の冷却ダイの部分を用いることにより、加工処理と性能の最適なバランスを付与することができる。例えば、一つの特定の態様において、約10℃から約50℃の温度に保持される真空水タンクが用いられ、またある態様においては約15℃から約35℃の温度が用いられる。
【0050】
[0066]認識できることと思うが、本発明の装置のいずれかの部分を進行するときの形材の温度は、最適な生産性と望ましい最終の複合材料特性が得られるように制御することができる。アセンブリー区画のいずれかの部分またはそれらの全ては、電気カートリッジヒーター、循環流体冷却、あるいは当業者に知られたその他の任意の温度制御装置を用いて温度制御することができる。
【0051】
[0067]再び図5を参照すると、仕上げられた形材16を複合材料の最終のサイジングのための装置を通して引き取るための引取り装置82が、冷却装置80よりも下流に配置されている。引取り装置82は、その処理装置を通して形材を所望の速度で引き取ることのできる、いかなる装置であってもよい。典型的な引取り装置としては、例えば、カタピラ式引取り装置および往復式引取り装置がある。所望により、一つ以上の規制用ダイ(図示せず)も用いてもよい。そのようなダイは、最初の過大なサイズから最終の形材の形状まで段階的に正確な形材の形状になるように形が整えられた開口を有する。形材がそこを通過するとき、形材を動かすか、あるいは弛ませる作用が打ち消され、そして形材は(繰り返し)後ろへ押し返されて、正確な形状になる。寸法が整えられたならば、横断面の切断を行うことのできる切断のこを用いるもののような切断位置(図示せず)において、形材を所望の長さに切断してもよい。
【0052】
[0068]上で説明した方法によって形成された形材の一つの態様を、図11で要素516として詳細に示す。そこで示すように、形材516は概ね長方形の形状を有し、中に多数の長い繊維518が分配されたリボン514から形成されている。リボン514は本発明の一つ以上のプリプレグから形成されてもよい。キャッピング層519もリボン514の周囲に延びていて、形材516の外表面を画定している。リボンの厚さは、形材についての特定の引張り強さと曲げ強さ(例えば、曲げ弾性率)を達成するのに役立つように計画的に選択することができる。例えば、リボンは約1.0〜約4.0ミリメートルの厚さを有していてもよく、ある態様においては約2.0〜約3.0ミリメートルの厚さを有する。キャッピング層519の厚さはその部材の意図される機能に依存するが、しかし典型的に約0.1〜約5ミリメートル、またある態様においては約0.2〜約3ミリメートルである。
【0053】
[0069]認識できることと思うが、上で説明した特定の形材の態様は、本発明によって成しうる多数の構成の単なる典型例である。様々な可能性のある形材の構成の中で、上で説明したものに加えて、連続繊維材料および/または長い繊維材料の追加の層を用いてもよいことを理解すべきである。
【0054】
[0070]引抜きに加えて、プリプレグを所望の物品に加工処理するために、他の装置も用いることができる。例えば、中に1種以上のプリプレグを配置することのできる型を有する射出成形装置を用いてもよい。射出器(インゼクター)の中にある時間は、熱可塑性樹脂が予め固化しないように制御し、最適化することができる。吐出するためのサイクル時間に達し、そしてバレルが充満したとき、材料を金型キャビティに射出させるためにピストンを用いてもよい。本発明においては圧縮成形装置を用いてもよい。射出成形の場合と同様に、所望の物品へのプリプレグの成形はやはり型の中で行われる。自動化ロボットアームによって持ち上げるなどの任意の公知の技術を用いて、プリプレグを圧縮成形用金型の中に置くことができる。型の温度を、熱可塑性樹脂の凝固温度以上に、凝固させるのに望ましい時間にわたって、維持してもよい。次いで、成形された製品を、溶融温度未満の温度にすることによって凝固させることができる。得られた製品を型から取り出すことができる。各々の型成形プロセスのためのサイクル時間を、用いられる樹脂に適合し、十分な結合が達成され、そしてプロセス全体の生産性が向上するように、調整することができる。
【0055】
[0071]上で説明した装置において用いられる型は、単一のキャビティの型であっても、複数のキャビティの型であってもよい。キャビティの数は、用いられる樹脂、サイクル時間、および所望の生産速度によって決定することができる。型の形状は、羽目板、杭垣フェンス部材、エンドキャップ、ジョイント、ヒンジ、内装と外装のための装飾板、屋根用合成こけら板、スレート、こけら板またはパネルなどの特定の用途のための製品を製造するために選択することができる。
【0056】
[0072]本発明の以上のものとその他のものの変形と修正は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、当業者によって実施できるであろう。さらに、様々な態様の様相は、全てまたは一部を交換してもよいことを理解すべきである。さらに、当業者であれば、以上の説明は例としてのみ用いられたものであり、添付した特許請求の範囲に記載された本発明を限定することを意図してはいないことを認識するであろう。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]熱可塑性プリプレグであって、このプリプレグは:
実質的に縦方向に配向している複数の連続繊維、ここで、この連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成している;
複数のランダムに配置された長い繊維、ここで、長い繊維の少なくとも一部は縦方向に対してある角度で配向していて、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成している;および
1種以上の熱可塑性ポリマーを含んでいて、中に連続繊維と長い繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックス、ここで、熱可塑性ポリマーはプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成している;
を含み、横断方向におけるプリプレグの最大引張り応力に対する縦方向におけるプリプレグの最大引張り応力の比は約1から約40である、前記熱可塑性プリプレグ。
[2]横断方向におけるプリプレグの最大引張り応力に対する縦方向におけるプリプレグの最大引張り応力の比は約2から約30である、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[3]プリプレグは縦方向において約250から約3000メガパスカルの最大引張り応力を示す、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[4]プリプレグは横断方向において約0.5から約50メガパスカルの最大引張り応力を示す、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[5]連続繊維はプリプレグの約20重量%から約70重量%を構成している、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[6]長い繊維はプリプレグの約5重量%から約30重量%を構成している、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[7]連続繊維、長い繊維、またはこれら両者は、ガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[8]熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[9]プリプレグは約2%以下の気孔率を有する、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[10]長い繊維は連続繊維と混合されている、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[11]長い繊維はプリプレグの第一の層の中に存在し、そして連続繊維はプリプレグの第二の層の中に存在する、[1]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[12]長い繊維の少なくとも一部は第二の層の中へ延びている、[11]に記載の熱可塑性プリプレグ。
[13][1]に記載のプリプレグを含む線状の形材。
[14]形材は、形材の表面を画定しているキャッピング層をさらに含む、[13]に記載の線状の形材。
[15][1]に記載のプリプレグを含む成形品。
[16]熱可塑性プリプレグを形成するための方法であって:
連続繊維と長い繊維を押出し装置に供給すること;
熱可塑性の供給原料を押出し装置に供給すること、このとき、その供給原料は少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む;および
連続繊維と長い繊維と熱可塑性ポリマーを含浸用ダイの中で押し出すことによって押出し物を形成すること、このとき、この押出し物において連続繊維は長い繊維と混合され、そして熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれる;
を含む、前記方法。
[17]供給原料は長い繊維を含む、[16]に記載の方法。
[18]ロールの間に画定されるニップを通して押出し物を引っ張り、それにより押出し物をシートの形に団結させることをさらに含む、[16]に記載の方法。
[19]連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成していて、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成している、[16]に記載の方法。
[20]連続繊維、長い繊維、またはこれら両者は、ガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、[16]に記載の方法。
[21]熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、[16]に記載の方法。
[22]熱可塑性の供給原料を押出し装置にマニホールドアセンブリーによって供給し、このマニホールドアセンブリーは、熱可塑性の供給原料が流れる枝分れしたランナーを有する、[16]に記載の方法。
[23]熱可塑性プリプレグを形成するための方法であって:
連続繊維を押出し装置に供給すること;
熱可塑性の供給原料を押出し装置に供給すること、このとき、その供給原料は少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む;
連続繊維と供給原料を含浸用ダイの中で押し出すことによって押出し物を形成すること、このとき、この押出し物において連続繊維は熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれる;
次いで、長い繊維を押出し物に付与することによって複合材料を形成すること;
を含む、前記方法。
[24]ロールの間に画定されるニップを通して複合材料を引っ張り、それにより複合材料をシートの形に団結させることをさらに含む、[23]に記載の方法。
[25]連続繊維はプリプレグの約10重量%から約80重量%を構成していて、長い繊維はプリプレグの約2重量%から約35重量%を構成している、[23]に記載の方法。
[26]連続繊維、長い繊維、またはこれら両者は、ガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、[23]に記載の方法。
[27]熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、[23]に記載の方法。
[28]熱可塑性の供給原料を押出し装置にマニホールドアセンブリーによって供給し、このマニホールドアセンブリーは、熱可塑性の供給原料が流れる枝分れしたランナーを有する、[23]に記載の方法。
【符号の説明】
【0057】
12 プリプレグ、 15 成形された部材、 16 形材、 20 クリール、 22 回転スピンドル、 30 入口プレート、 40 張力調整装置、 41 バー、 45 オーブン、 50 団結用ダイ、 72 キャッピング用ダイ、 80 冷却装置、 82 引取り装置、 120 押出し機、 122 バレル、 124 スクリューシャフト、 126 ホッパー、 127 供給原料、 128 バレルフランジ、 130 ヒーター、 132 ダイフランジ、 133 ヒーター、 137 圧力センサー、 142 連続繊維のロービング、 144 リール、 150 含浸用ダイ、 152 押出し物、 156 団結されたリボン、 162、164 軌道、 171 巻取り部分、 190 ロール、 200 プリプレグ、 214 ポリマーの樹脂、 220 長い繊維、 220 マニホールドアセンブリー、 222 流路(ランナー)、 224 中心軸、 230 長い繊維の一部、 232、234、236 枝分れしたランナー、 240 連続繊維、 242 出口領域、 244 樹脂の流れの方向、 250 含浸領域、 252 接触面、 254 ロービングの横断角度、 256 第一のプレート、 257 第一の内面、 258 第二のプレート、 259 第二の内面、 260 長い繊維を含む層、 262 長い繊維、 270 連続繊維を含む層、 270 ゲート通路、 272 連続繊維、 280 ランド領域、 282 走行方向、 290 面板、 320 連続繊維のプリプレグ、 330 リール、 340 オーブン、 350 押出し装置、 390 団結用ロール、 420 長い繊維を含む層、 422 長い繊維、 424 連続繊維、 430 連続繊維を含む層、 514 リボン、 516 形材、 518 長い繊維、 519 キャッピング層、 A 機械加工方向(縦方向)、 L 縦方向。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11