(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788984
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】熱抵抗式流体噴射アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/05 20060101AFI20150917BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
B41J2/05
B41J2/14 207
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-521740(P2013-521740)
(86)(22)【出願日】2010年7月23日
(65)【公表番号】特表2013-532593(P2013-532593A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】US2010043123
(87)【国際公開番号】WO2012011923
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2013年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ブラッドレイ,ディー
(72)【発明者】
【氏名】クック,ギャレン,ピー
(72)【発明者】
【氏名】フラドル,ダニエル
【審査官】
梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−191644(JP,A)
【文献】
特開平06−320735(JP,A)
【文献】
特開平06−198914(JP,A)
【文献】
特開2002−211013(JP,A)
【文献】
特開2002−036558(JP,A)
【文献】
特開昭63−202455(JP,A)
【文献】
特開2002−067321(JP,A)
【文献】
特開平10−044413(JP,A)
【文献】
特開平08−300660(JP,A)
【文献】
特開2000−272130(JP,A)
【文献】
特開2003−211672(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0130924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱抵抗式流体噴射アセンブリであって、
絶縁基板と、
前記基板に形成された第1及び第2の電極と、
前記基板上に並列に配置されかつ互いから隔置された個々の抵抗素子からなる複数の抵抗素子であって、それぞれの抵抗素子が、第1の端部において前記第1の電極に電気的に結合され、第2の端部において前記第2の電極に電気的に結合されてなる、複数の抵抗素子と、
それぞれの抵抗素子に関連付けられている3次元櫛の歯構造
を備え、
前記櫛の歯構造の各々は、関連付けられている抵抗素子の上に形成された隆起部、及び、該関連付けられている抵抗素子の少なくとも一方の側のスペースに形成されたチャンネルを有し、それぞれの前記櫛の歯構造のかどが面取りされている、アセンブリ。
【請求項2】
2つの前記抵抗素子毎に設けられた該2つの抵抗素子間のスペースの幅が互いに等しい、請求項1の熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項3】
2つの前記抵抗素子毎に設けられた該2つの抵抗素子間のスペースのうちの少なくとも2つのスペースの幅が等しくない、請求項1の熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項4】
前記抵抗素子は抵抗構造を形成し、前記抵抗素子の幅は、前記抵抗構造の端に向かうにしたがって広くなり、該抵抗構造の中央に向かうにしたがって狭くなる、請求項1〜3のいずれかの熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項5】
前記抵抗素子は抵抗構造を形成し、前記抵抗素子の幅は、前記抵抗構造の端に向かうにしたがって狭くなり、該抵抗構造の中央に向かうにしたがって広くなる、請求項1〜3のいずれかの熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項6】
前記櫛の歯構造の各々は、前記隆起部の最上部から前記チャンネルの最上部にわたる高さを有する、請求項1〜5のいずれかの熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項7】
それぞれの前記櫛の歯構造の高さが等しい、請求項6の熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項8】
少なくとも2つの前記櫛の歯構造の高さが等しくない、請求項6の熱抵抗式流体噴射アセンブリ。
【請求項9】
複数の抵抗素子を有する抵抗構造を備える流体噴射アセンブリと、
平坦ではない核生成面
を備える流体噴射装置であって、
前記核生成面は、前記抵抗素子によって加熱されたときに流体を気化させるために、くぼんだチャンネルによって分離された隆起部を有し、かつ、前記抵抗構造の最上層として形成され、
それぞれの前記隆起部の幅は、前記核生成面の下にある関連する抵抗素子に適合し、
それぞれの前記隆起部における前記最上層のかどが面取りされていることからなる、流体噴射装置。
【請求項10】
少なくとも2つの前記隆起部の幅が等しくない、請求項9の流体噴射装置。
【請求項11】
前記最上層は、キャビテーション層及びその下にあるパッシベーション層から構成され、それぞれの前記隆起部における前記キャビテーション層及び前記パッシベーション層のかどが面取りされている、請求項9または10の流体噴射装置。
【請求項12】
それぞれの前記隆起部の垂直な側壁における前記最上層の厚さは、水平な面における前記最上層の厚さの約半分である、請求項9〜11のいずれかの流体噴射装置。
【請求項13】
並列に結合された抵抗素子からなる複数の抵抗素子であって、少なくとも2つの抵抗素子の幅が異なる、複数の抵抗素子と、
2つの前記抵抗素子毎に設けられた該2つの抵抗素子間のスペースと、
隆起部が各抵抗素子の上に形成され、かつ、チャンネルが各スペースの上に形成されるように、前記抵抗素子及び前記スペースの上に形成された薄膜層
を備え、
前記薄膜層は、前記抵抗素子からの熱を伝導して、チャンバー内の流体を気化させ、及び、該チャンバーから流体液滴を噴射させるために核生成面を形成し、
それぞれの前記隆起部に対応する前記薄膜層のかどが面取りされている、熱抵抗構造。
【請求項14】
前記薄膜層は、キャビテーション層及びその下にあるパッシベーション層から構成され、それぞれの前記隆起部に対応する前記キャビテーション層及び前記パッシベーション層のかどが面取りされている、請求項13の熱抵抗構造。
【請求項15】
それぞれの前記隆起部の垂直な側壁における前記薄膜層の厚さは、水平な面における前記薄膜層の厚さの約半分である、請求項13または14の熱抵抗構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷装置は、ドロップ・オン・デマンド(DOD)で流体液滴を噴射する流体噴射装置の1例である。従来のDODインクジェットプリンターでは、プリントヘッドが、一枚の紙などの印刷媒体に複数のノズルを通じて流体液滴(たとえばインク)を噴射することによって該印刷媒体に画像を印刷する。ノズルは、一般に、1以上のアレイをなすように配列されて、プリントヘッドと印刷媒体が互いに対して移動するときにノズルからインクを適切な順番で吐出することによって、印刷媒体に文字や他の画像が印刷されるようになっている。
【0002】
DODインクジェットプリンターの1例は、サーマルインクジェット(TIJ)プリンターである。TIJプリンターでは、プリントヘッドは、流体が充填されたチャンバー内に、流体を気化させて、急速に膨張するバブル(気泡)を生成する抵抗加熱素子(抵抗性発熱体)を備えており、該バブルは、流体液滴をプリンターノズルからが押し出すように作用する。該加熱素子を流れる電流は、熱を発生して、チャンバー内の流体のほんの一部を気化させる。該加熱素子が冷めると、蒸気泡(気泡ともいう)が崩壊し、リザーバ(インク槽)からチャンバーへとより多くの流体が引き込まれて、別の液滴をノズルを通じて噴射する準備ができる。
【0003】
残念ながら、TIJプリントヘッドの噴射メカニズムの熱効率及び電気効率が悪い(すなわち、蒸気泡を生成するために流体を過熱する)ために、TIJプリンターには、コストが高くなり、かつ、全体的な印刷品質が低下するといういくつかの欠点がある。たとえば、1つの欠点は、抵抗加熱素子の噴射面における残渣の堆積物(koga)によって、インクジェットペンの寿命期間にわたって噴射性能が劣化してしまうことである。別の欠点は、(たとえば、印刷されるページのスループット(印刷ページの処理量乃至処理速度)を維持しつつ画像解像度を高くするために)液滴噴射速度または液滴発射速度を大きくすると、プリントヘッドが過熱して、噴射を阻害するベーパーロック(vapor lock:蒸気閉塞)現象が引き起こされ、また、プリントヘッドが潜在的なダメージを受けることである。別の欠点は、熱効率が悪い抵抗加熱素子を駆動する大きな電子装置及び電力バスが、TIJプリントヘッドにおいて高価なシリコンスペースを占めることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】(追って補充)
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】1実施形態にしたがう、流体噴射アセンブリを組み込むのに適したインクジェットペンの1例を示す。
【
図2A】1実施形態にしたがう、流体噴射アセンブリの一部の断面図である。
【
図2B】1実施形態にしたがう、流体噴射アセンブリを
図2Aから90°回転させたときの該流体噴射アセンブリの一部の断面図である。
【
図2C】1実施形態にしたがう、動作中の流体噴射アセンブリの一部の断面図である。
【
図2D】1実施形態にしたがう、部分的に示されている電気回路に電気的に並列に結合された抵抗加熱素子を示す。
【
図3】1実施形態にしたがう、3次元抵抗構造の一部の1例の拡大断面図である。
【
図4A】1実施形態にしたがう、
図4B及び
図4Cとは異なる数の抵抗素子を有する抵抗構造のトップダウンビューである。
【
図4B】1実施形態にしたがう、
図4A及び
図4Cとは異なる数の抵抗素子を有する抵抗構造のトップダウンビューである。
【
図4C】1実施形態にしたがう、
図4A及び
図4Bとは異なる数の抵抗素子を有する抵抗構造のトップダウンビューである。
【
図5】1実施形態にしたがう、抵抗素子の幅が抵抗素子間の間隔(の大きさ)と同じではない抵抗素子を有する抵抗構造のトップダウンビューである。
【
図6A】1実施形態にしたがう抵抗構造のトップダウンビューであり、抵抗素子の幅と抵抗素子間の間隔との違いに関する構成が、
図6B〜
図6Dの抵抗構造とは異なっている。
【
図6B】1実施形態にしたがう抵抗構造のトップダウンビューであり、抵抗素子の幅と抵抗素子間の間隔との違いに関する構成が、
図6A、
図6C及び
図6Dの抵抗構造とは異なっている。
【
図6C】1実施形態にしたがう抵抗構造のトップダウンビューであり、抵抗素子の幅と抵抗素子間の間隔との違いに関する構成が、
図6A、
図6B、及び
図6Dの抵抗構造とは異なっている。
【
図6D】1実施形態にしたがう抵抗構造のトップダウンビューであり、抵抗素子の幅と抵抗素子間の間隔との違いに関する構成が、
図6A〜
図6Cの抵抗構造とは異なっている。
【
図7A】1実施形態にしたがう抵抗構造の断面図であり、櫛の歯構造の高さが、
図7B及び
図7Cの抵抗構造とは異なっている。
【
図7B】1実施形態にしたがう抵抗構造の断面図であり、櫛の歯構造の高さが、
図7A及び
図7Cの抵抗構造とは異なっている。
【
図7C】1実施形態にしたがう抵抗構造の断面図であり、櫛の歯構造の高さが、
図7A及び
図7Bの抵抗構造とは異なっている。
【
図8】1実施形態にしたがう、櫛の歯構造のかどが面取りされている抵抗構造の断面図である。
【
図9】1実施形態にしたがう、基本的な流体噴射装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0007】
課題及び解決策(ソリューション)の概要
上記のように、サーマルインクジェット(TIJ)装置には、一般にTIJプリントヘッド噴射メカニズムの熱効率及び電気効率の悪さに関連する種々の欠点がある。熱効率及び電気効率の悪さは、より具体的には、TIJ抵抗加熱素子の核生成面(nucleation surface。すなわち、蒸気泡が形成される抵抗体/流体境界)における温度の不均一性として表され、この不均一性によって、より多くのエネルギーを加熱素子に送る必要が生じる。しかしながら、温度の不均一性の問題を克服するためにTIJ抵抗加熱素子への噴射エネルギーを増やすと、他の種々の問題が引き起こされる。
【0008】
そのような問題の1つは、TIJプリントヘッドにおける流体液滴噴射レート(すなわち、噴射速度)に影響を与えるということである。噴射速度が速いと、画像解像度が高くなり、または、ページスループットがより速くなり、あるいは、それらの両方が達成されるので有利である。しかしながら、TIJ抵抗加熱素子の核生成面から流体(たとえばインク)へのエネルギーの伝達効率が悪いために、プリントヘッドの温度を上昇させる残留熱(余熱)が生じる。液滴噴射レートを高くすると、所与の時間期間にわたって加熱素子を通じて送られるエネルギー量が多くなる。したがって、液滴噴射レートを高くすることによってさらなる残留熱が生じ、これに対応してプリントヘッドの温度が上昇することによって、結果的に、噴射を阻害するベーパーロック現象(過熱状態)が生じ、及び、プリントヘッドが潜在的なダメージを受けることになる。したがって、抵抗加熱素子の表面からインクへのエネルギーの伝達効率が悪いために、液滴噴射レートを制限するかまたは調整することが必要になるが、これは、たとえば高速タイプの出版市場では大きなデメリットである。
【0009】
TIJ抵抗加熱素子の表面からインクへのエネルギーの伝達効率の悪さはまた、インクジェット印刷システムの総コストを高くする。熱効率が悪いTIJ抵抗からなる大きな抵抗列を駆動するためのより多くのエネルギーを送るためには、大きなFET及び電力バスが必要である。それらのより大きなデバイス及びバスは、貴重なシリコンスペースを占有するだけでなく、それらに関連する電気的寄生も、結局のところ、プリントヘッドのダイシュリンク(プリントヘッドダイのサイズ縮小)量を制限することになる。したがって、効率の悪いTIJ抵抗を支持するためにより大きなシリコンのフットプリント(占有面積)が必要であるが、これは、シリコンが、依然として、多くのインクジェット印刷システムの総コストの大きな割合を占めることを意味している。
【0010】
TIJ抵抗の核生成面における温度の不均一性を克服するために該TIJ抵抗に対する噴射エネルギーを増やすと、該TIJ抵抗の表面が高温になることに関連する別の問題も生じる。核生成面における温度の全体的な増加によって、液滴の重量、液滴の速度、液滴の飛しょう経路、及び、液滴の形状などの、噴射された流体液滴のいつかの所望の特性が維持されるが、コゲーション(kogation)が増えるという悪影響もある。コゲーションは、該抵抗体(抵抗器)の表面上の残渣(koga)の堆積物である。時間とともに、コゲーションは、液滴の重量、液滴の速度、液滴の飛しょう経路、及び、液滴の形状など流体液滴の特性に悪影響を与え、最終的に、TIJ印刷システムの全体的な印刷品質を低下させる。
【0011】
TIJ抵抗加熱要素における熱効率の悪さ及び不均一性の問題に対する従来の解決策は、TIJ抵抗と噴射流体(インク)の両方を改良乃至変更することを含んでいる。しかしながら、そのような解決策にはいくつかの欠点がある。たとえば、宙吊りにされた抵抗体(抵抗器)構成によれば、流体中に浸した薄膜抵抗体の両側から加熱することができるので、該流体にさらされた抵抗体の表面積が大きくなることによって、熱/エネルギーの伝達効率を向上させることができる。しかしながら、壊れやすい薄膜梁(thin film beam)は、液滴噴射中の激しい核生成事象にさらされると信頼性のないものになりえ、また、コストを高くする特殊な製造工程を必要とする。別の例は、抵抗体の効率を意図的に改善し、及び、TIJ抵抗体に共通のホットスポット(hot spot)を除去するところの中央領域が除去されたドーナツ型の抵抗体である。しかしながら、曲線状の「ドーナツ」形状に伴う電気経路長の変化によって電流集中(current crowding)及び電流密度の均一性に関する問題が生じ、これらは、最終的に、抵抗器全体にわたって温度の不均一をもたらすホットスポットを生じる。コゲーションの問題に対する従来の解決策は、プリントヘッドの寿命期間にわたって反応性がより低い化学結合(化合)を決定するためにインク配合物(ink formulation)を調整することを本質的に含んでいる。しかしながら、この解決策は、コストを大幅に高くすると共に、TIJプリントヘッドに使用可能な流体/インクの可用性を限定する可能性があり、これによって、TIJ印刷システムに利用できる印刷市場が制限される。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態は、TIJ抵抗体の核生成面における温度の不均一性に関連するTIJ装置の欠点(たとえば、熱効率及び電気効率の悪さ)を克服するのに役立つものであり、一般に、幅及び間隔(以下では、該間隔を、物理的な実体として特定するためにスペースないし空間として参照する場合がある。その場合、該間隔は抵抗素子間にわたる該スペース乃至空間の幅に相当する)が個々に設定されて並列(乃至平行)に延在する抵抗素子(抵抗素子は抵抗体素子ともいう。以下同じ)からなる複数の抵抗素子を使用するTIJ抵抗構造を用いて、核生成面(全体)における温度の均一性を達成する。結果的に生成されるTIJ抵抗構造は、それぞれの隆起部すなわち「櫛の歯」の間に形成されたくぼみ(または凹部乃至溝)すなわちチャンネルを有する3次元構造である。該3次元構造の表面、及び抵抗素子のさまざまに変わりうる幅及び間隔は、TIJ抵抗の核生成面における温度の均一性の向上だけでなく、抵抗体材料の単位面積当たりの核生成面の領域(または面積)の増加に寄与する。核生成面の領域(以下、核生成面領域ともいう)が大きくなり、かつ、核生成面における温度の均一性が向上すると、TIJ抵抗構造と流体の間のエネルギーまたは熱の伝達効率が大きく向上する。熱効率及び(温度の)均一性が向上すると、流体の各液滴を噴射するのに必要なエネルギー量が小さくなり、その結果、たとえば、ベーパーロック現象を生じることなく液滴噴射レートを高める能力やFETを少なくし及び電力バスの幅を小さくして、より積極的なダイシュリンク及びシリコンコストの低減を可能にする能力やコゲーションを低減してTIJプリントヘッドの寿命期間にわたる液滴噴射性能を改善する能力などの多くの利益が得られることになる。
【0013】
1実施形態では、熱抵抗式流体噴射アセンブリは、第1及び第2の電極が形成された絶縁基板を備えている。さまざまな幅の個別の抵抗素子からなる(たとえば、少なくとも2つの抵抗素子の幅が異なる)複数の抵抗素子が、該基板上に並列乃至平行に配列されて、第1の端部において該第1の電極に、第2の端部において該第2の電極にそれぞれ電気的に結合されている。
【0014】
別の実施形態では、流体噴射装置は、複数の抵抗素子を含む抵抗構造を有する流体噴射アセンブリを備えている。該抵抗構造の最上層は、該抵抗素子によって加熱されたときに流体を気化させるために、くぼんだチャンネルによって分離された(突き出た)隆起部を有する平坦ではない(すなわち凹凸のある)核生成面として形成されている。各隆起部の幅は、核生成面の下にある関連する抵抗素子(のたとえばサイズ)に適合乃至合致している。
【0015】
別の実施形態では、熱抵抗構造は、並列に結合されて、一様ではない幅を有する(たとえば、少なくとも2つの抵抗素子の幅が等しくない)複数の抵抗素子を備えている。任意の2つの抵抗素子の間にはスペース(間隔)がある。隆起部が各抵抗素子の上に形成され、かつ、チャンネルが該スペースのそれぞれの上に形成されるように、薄膜キャビテーション層(thin film cavitation layer)が、該抵抗素子及び該スペースの上に形成され、この場合、該キャビテーション層は、該抵抗素子からの熱を伝達(伝導)して、チャンバー内の流体を気化し、及び、該チャンバーから流体液滴を噴射するための核生成面を形成する。
【0016】
例示的な実施形態
図1は、1実施形態にしたがう、本明細書に開示されている流体噴射アセンブリ102を組み込むのに適したインクジェットペン100の1例を示している。この実施形態では、流体噴射アセンブリ102は、流体液滴噴射プリントヘッド102として開示される。インクジェットペン100は、ペンカートリッジ本体104、プリントヘッド102、及び、電気的接触部(電気接点ともいう)106を備えている。プリントヘッド102内の個々の流体液滴発生器200(たとえば
図2参照)は、電気的接続部106において供給される電気信号によってエネルギーを与えられて、選択されたノズル108から流体の液滴を噴射する。該流体を、種々の印刷可能な流体、インク、前処理組成物(pre-treatment composition)、定着液などの、印刷処理で使用される任意の適切な流体とすることができる。いくつかの例では、該流体を、印刷用流体以外の流体とすることができる。ペン100は、カートリッジ本体104内に自身の流体供給源を含むことができ、または、ペン100は、たとえば、チューブ(管)を介してペン100に接続された流体槽(流体貯留槽ともいう)などの外部供給源(不図示)から流体を受け取ることができる。自身に流体供給源を含むペン100は、一般に、該供給源の流体がなくなると使い捨てにすることができる。
【0017】
図2Aは、本開示の1実施形態にしたがう、流体噴射アセンブリ102の一部の断面図である。
図2Bは、本開示の1実施形態にしたがう、
図2Aと同じ流体噴射アセンブリ102の一部を90°回転させたときの断面図である。この部分的な流体噴射アセンブリ102は、単独の流体液滴発生器アセンブリ200として示されている。液滴発生器アセンブリ200は、硬質もしくは剛性の床基板(底部にある基板。フロア基板)202、及び、ノズル出口206(該ノズル出口を通って流体液滴が噴射される)を有する、最上部にある硬質もしくは剛性の(または可撓性のある)ノズルプレート(ノズル板ともいう)204を備えている。基板202は、典型的には、上面に酸化物層208を有するシリコン基板である。薄膜スタック(薄膜積層体)210は、一般に、酸化物層、複数の個々の抵抗加熱/噴射素子212を画定する金属層、導電性電極トレース214(
図2B)、パッシベーション層216、及び、キャビテーション層(たとえばタンタルからなるタンタルキャビテーション層)218を含んでいる。
図3〜
図8に関してより詳細に説明されているように、薄膜スタック210は、それぞれの隆起部すなわち「櫛の歯」の間に形成されたくぼみ(または凹部乃至溝)すなわちチャンネルを有する3次元抵抗構造300を形成する。
【0018】
流体液滴発生器アセンブリ200はまた、側壁220A及び220B(これらを合わせて側壁220と呼ぶ)などのいくつかの側壁を備えている。側壁220は、床基板202をノズルプレート204から分離する。床基板202、ノズルプレート204、及び側壁220は、ノズル出口206を通じて流体液滴として噴射されることになる流体を含む流体チャンバー(流体室ともいう)222を画定する。側壁220Bは、最終的にノズル出口206を通じて液滴として噴射される流体を受け入れるための流体入口224を有している。流体入口224が配置されるのは側壁220Bには限られない。別の実施形態では、たとえば、流体入口224を、他の側壁208内や床基板202内に配置することができ、あるいは、流体入口224を、異なるいくつかの側壁220内または基板202内に配置された複数の流体入口から構成することができる。
【0019】
図2Cは、本開示の1実施形態にしたがう、動作中の流体噴射アセンブリ102の一部の断面図である。動作中、液滴発生器200は、抵抗素子212に電流を流すことによって、流体226の液滴をノズル206を通じて噴射する。個々の抵抗加熱素子212は、
図2Dの部分的な電気回路図に概略的に示されているように、導電性の電極トレース214間に並列に電気的に結合されている。抵抗素子212を流れる電流232は、熱を発生させて、噴射チャンバー222内の抵抗構造300の表面(すなわち、蒸気泡が形成される抵抗加熱素子212のすぐ近の、タンタルキャビテーション層218と流体との境界面)において流体226のごく一部を気化させる。電流パルスが供給されると、抵抗素子212が発生した熱によって急速に膨張する蒸気泡228が生成され、該蒸気泡によって、小さな流体液滴230が噴射チャンバーノズル206から押し出される。抵抗素子212が冷めると、蒸気泡はすぐに崩壊して、より多くの流体226が入口224を通じて噴射チャンバー222内へと引き込まれ、これによって、ノズル206から別の液滴226を噴射する準備が整うことになる。
【0020】
図3は、本開示の1実施形態にしたがう、3次元抵抗構造300の一部の1例の拡大断面図である。任意の抵抗構造300内の抵抗素子212の数は可変である。6個または7個の抵抗素子212を有する抵抗構造300を用いて、抵抗構造300の核生成面(全体)における温度の均一性の大幅な改善が達成されている(この結果、熱効率及び電気効率がかなり高くなる)が、構造300内の素子212の数は、要求される核生成面の面積(乃至領域)並びに抵抗素子の幅、間隔及び高さの選択に基づいて、この範囲を大きくはずれて変わりうる。
【0021】
抵抗構造300内の各抵抗素子212の間には間隔(またはスペース)302がある。一般に、各抵抗素子212の幅304と(隣り合う任意の)2つの素子212間の間隔302は可変である。抵抗素子212の幅及び間隔302は、本質的に、構造300内に存在する素子212の数に依存して変わる。たとえば、ある特定の幅を有する所与の抵抗構造300において、構造300内の素子212の数が増えると、素子の幅304及び/または素子212間の間隔302は小さくなるだろう。しかしながら、素子の幅304及び間隔302はさらに、構造300内の素子212の数とは無関係に構造300にわたって個々のレベルでも変わりうる。たとえば、7個の抵抗素子212を含む抵抗構造300において、それぞれの素子すなわち7個の全ての素子が、互いに異なる幅304を有しうる。個々の抵抗素子212と同様に、抵抗素子212間の間隔302もまた、構造300内の素子212の数とは無関係に構造300にわたって個々のレベルで変わりうる。さらに、抵抗構造300内にある各抵抗素子212は、変わりうる高さ306を有する櫛の歯構造を形成する。したがって、抵抗構造300内には3つの可変の寸法が存在する。それらには、各抵抗素子212の幅、(隣り合う任意の)2つの抵抗素子212間の間隔302、及び、各抵抗素子212に関連する各櫛の歯構造の高さ306が含まれる。
【0022】
一般に、櫛の歯構造にわたって素子の幅、間隔及び高さが可変であることによって、適合された熱プロフィール(thermal profile)を提供することができる。抵抗素子212の数が可変であり、抵抗素子212の幅304及び間隔302が可変であり、及び、櫛の歯構造の高さ306が可変であることによって、抵抗素子212と流体226の間の熱エネルギー伝達効率を改善し、及び、抵抗構造300の核生成面(全体)における温度分布をかなりの程度制御することが可能であり、これによって、温度の均一性を最大にすることが可能になる。より具体的には、
図3に示すように、3次元抵抗構造300において、抵抗素子212の結合された領域当たりの核生成面領域308が大きくなり、これによって、流体226への熱エネルギー伝達量が増加する(及び、プリントヘッドの残留熱エネルギー損失が小さくなる)。増大した核生成面領域308、及び、アクティブな抵抗素子212に対する該領域の近さを制御することができる能力(すなわち、幅304、間隔302、及び櫛の歯構造の高さ306を変えること)は、抵抗構造300の全表面領域にわたる熱エネルギー分布及び温度の均一性をかなりの程度制御することを可能にする。
【0023】
抵抗素子212の幅304及び間隔302の特定の寸法及び相対的な寸法、並びに、櫛の歯構造の高さ306は、抵抗構造300の表面(全体)における熱効率及び温度の均一性の向上に対する寄与を通じて、液滴発生器200の流体液滴噴射性能に種々の影響を与える。たとえば、流体液滴噴射性能(すなわち、液滴の所望の重量、液滴の速度、液滴の軌跡、液滴の形状)は、抵抗素子212の幅304及び間隔302が小さくなるにつれて向上する傾向がある。現在のところ、抵抗素子212の幅304と抵抗素子212の間隔302の両方について、0.25マイクロメートル(μm)〜3.00マイクロメートルの範囲が、性能の面で最も有利であると考えられている。現在のところ効果的であると考えられている高さ306の範囲は0.25マイクロメートル〜1.00マイクロメートルである。しかしながら、これらの範囲は、(これらの範囲に)限定することを意図したものではなく、関連する製造技術の進歩に応じてより広い範囲(たとえば、下限がより低い)が考慮される。したがって、重要な利益が、たとえば0.1マクロメートル近辺などのさらに小さな寸法において得られる可能性がある。
【0024】
図4A、
図4B、
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、それぞれ異なる数の抵抗素子212を有する抵抗構造300のトップダウンビュー(上から見下ろしたときの図)である。上記したように、特定の数の抵抗素子212が示されている抵抗構造300は、単なる例であって、抵抗構造300に存在することができる素子212の数に制限があることを示すことを意図したものではない。それゆえ、各構造300内の素子212の数は例示したもの以外のいろいろな数でありうる。したがって、
図4Aの抵抗構造300は2つの抵抗素子212を有しているが、これは例示である。
図4B及び
図4Cでは、抵抗構造300は、それぞれ、3つの抵抗素子212、4つの抵抗素子212を有している。
図4A〜
図4Cは、抵抗構造300がさまざまな数の抵抗素子212を有することができることを明らかにすることに加えて、素子212の幅304及び素子間の間隔302が、構造300内に存在する素子212の数に依存してどのように変わるかを示すことが意図されている。抵抗素子212の数が2つから4つに増えると、素子の幅304と素子212間の間隔302は小さくなる。
【0025】
図4A〜
図4Cの抵抗構造300は、素子212の幅304と間隔302が等しい例を示しているが、他の実施形態では、幅304と間隔302は等しくない。たとえば、
図5は、本開示の1実施形態にしたがう、抵抗素子212の幅304が抵抗素子212間の間隔302と同じ大きさではない抵抗素子212を有する抵抗構造300のトップダウンビューである。この例では、素子212の幅304は互いに等しく、かつ、素子212間の間隔302は互いに等しいが、幅は間隔とは等しくない。具体的には、素子の幅304は間隔302よりも大きい(広い)。しかしながら、他の実施形態では、素子212の幅304は、素子間の間隔302よりも小さい(狭い)。
【0026】
図6A、
図6B、
図6C、及び
図6Dは、本開示のいくつかの実施形態にしたがう抵抗構造300のトップダウンビューであり、それらの抵抗構造300の抵抗素子212の幅304及び抵抗素子212間の間隔302の構成はそれぞれ異なっている。
図6Aに示す実施形態では、抵抗構造300の表面において7個の抵抗素子212が6個の間隔302によって分離されている。素子212の幅304は、構造300の端に向かうにしたがって広くなり、中央に向かうにしたがって狭くなっている。間隔302は、構造300全体にわたって均一である。
図6Bに示す実施形態でも、抵抗構造300の表面において7つの抵抗素子212が6個の間隔302によって分離されている。しかしながら、素子212の幅304は、構造300の端に向かうにしたがって狭くなり、素子212の中央に向かうにしたがって広くなっている。間隔302は、この場合も、構造300全体にわたって均一である。
図6Cに示す実施形態では、抵抗構造300の表面において4個の抵抗素子212が3個の間隔302によって分離されている。この場合は、素子212の幅304と素子間の間隔302の両方が、構造300の中央に向かうにしたがって狭くなり、構造300の端に向かうにしたがって広くなっている。
図6Dに示す実施形態では、抵抗構造300の表面において5個の抵抗素子212が4個の間隔302によって分離されている。この場合は、素子212の幅304は、構造300の中央に向かうにしたがって狭くなり、構造300の端に向かうにしたがって広くなっており、一方、素子間の間隔302は、構造300の中央に向かうにしたがって広くなり、構造300の端に向かうにしたがって狭くなっている。したがって、抵抗構造300全体にわたって最適な温度均一性を達成し、かつ、抵抗構造300と流体226の間の最適な熱エネルギー伝達効率を達成するために、抵抗構造300にわたって、抵抗素子212、幅304及び間隔302の実質的に任意の構成が可能である。
【0027】
図7A、
図7B、及び
図7Cは、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、櫛の歯構造の高さ306がさまざまな寸法をとりうることを示す抵抗構造300の断面図である。高さ306は、櫛の歯構造の最上部700における抵抗構造300の表面(すなわち、タンタルキャビテーション層218の表面)から、櫛の歯構造の底部702における抵抗構造300の表面までの距離である。抵抗素子212の幅304及び間隔302と同様に、櫛の歯構造の高さ306も可変である。幅304、間隔302、及び櫛の歯構造の高さ306を変えることによって、核生成面領域308の大きさ、及び、抵抗素子212に対する該領域の近さ(すなわち近接度)を制御することができる。したがって、高さ306の寸法が可変であることもまた、抵抗構造300の表面全体における温度均一性及び熱エネルギー伝達効率を最適化するのに役立つ。さらに、高さ306の制限もしくは最小化を利用して、抵抗器の寿命を制御または調整するのに役立てることもできる。
【0028】
図7Aに示す実施形態では、抵抗構造300の櫛の歯構造の高さ306は1例としての上限値を有するものとして示されており、
図7Bに示す実施形態では、高さ306は1例としての下限値を有するものとして示されている。上記したように、現在のところ、0.25マイクロメートル〜1.00マイクロメートルの範囲内の高さ306が、最大の性能利益をもたらすものと考えられているが、この範囲外の高さを用いた場合でも利益が得られる場合があるので、この範囲は限定することを意図したものではない。たとえば、場合によっては高さ306を0.0マイクロメートルに制限する(すなわち、核生成面を平坦にする)ことが、抵抗器の寿命の最適化に効果を有する場合がある。
図7Cは、櫛の歯構造の高さ306が構造300の表面にわたって変化する抵抗構造300を示している。このように、特定の抵抗構造300にわたって抵抗素子の幅304及び間隔302を変化させることができるのと同様に、櫛の歯構造の高さ306を変化させることもできる。
【0029】
図8は、本開示の1実施形態にしたがう抵抗構造300の断面図であり、該抵抗構造の櫛の歯構造は、面取りされた(すなわち傾斜が付くように切られた)かどを有している。櫛の歯構造の(すなわち、タンタルキャビテーション層218の表面における)面取りされたかど800は、抵抗構造300の核生成面領域を増大させる。さらに、面取りされたかど800によって、それぞれの抵抗素子212のまわりの核生成面領域の近接度(近さ)が調整され、これによって、構造300の表面にわたってさらなる温度均一性がもたらされる。ベベル(面取りされたかど)800がない場合には、櫛の歯構造のとがったかどは、抵抗素子212からより遠くに離れるため、抵抗素子212に対する近さがより均一である核生成面領域よりも温度のばらつきが大きくなる。
図8に示すように、下にあるパッシベーション層216の輪郭を、面取りされた角800の形状に沿った(すなわち、該形状を追従する)形状とすることもできる。さらに、薄膜蒸着プロセスに概ね起因して、櫛の歯構造の急勾配の垂直な側壁上の薄膜の厚さは、典型的には、最上部の水平な面の薄膜の厚さの約半分である。このように垂直な側壁における薄膜の被覆範囲が異なることによって、抵抗素子212からチャンネルすなわち間隔302までの熱伝導距離(thermal path length)が短くなるが、これは、抵抗素子からチャンネルすなわち間隔302へと横方向に熱が伝達するのを促進する。
【0030】
図9は、本開示の1実施形態にしたがう、基本的な流体噴射装置のブロック図である。流体噴射装置900は、電子制御装置(電子コントローラ)902及び流体噴射アセンブリ102を備えている。流体噴射アセンブリ102を、本開示において説明し、及び/または図示し、及び/または考慮されている流体噴射アセンブリ102の任意の実施形態とすることができる。電子制御装置902は、典型的には、アセンブリ102と通信し及び該アセンブリ102を制御して、正確乃至的確に流体液滴を噴射するためのプロセッサ、ファームウェア、及び、他の電子機器回路を備えている。
【0031】
1実施形態では、流体噴射装置900をインクジェット印刷装置とすることができる。この場合、流体噴射装置900は、流体噴射アセンブリ102に流体を供給するための流体/インク供給及びアセンブリ904、噴射された流体液滴のパターンを受けるための媒体を供給する媒体搬送(もしくは媒体供給)アセンブリ906、及び、電源908を備えることもできる。一般に、電子制御装置902は、コンピュータなどのホストシステムからデータ910を受けとる。このデータは、たとえば、印刷される文書及び/またはファイルを表しており、1以上の印刷ジョブコマンド及び/またはコマンドパラメータを含む印刷ジョブを構成する。電子コントローラ902は、該データから、文字、及び/または、シンボル(記号)、及び/または、他のグラフィックスもしくは画像を形成する液滴の噴射パターンを画定乃至決定する。