特許第5788987号(P5788987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5788987多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造する水素化分解触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788987
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造する水素化分解触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/76 20060101AFI20150917BHJP
   B01J 29/78 20060101ALI20150917BHJP
   B01J 37/20 20060101ALI20150917BHJP
   C10G 47/20 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   B01J29/76 M
   B01J29/78 M
   B01J37/20
   C10G47/20
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-534826(P2013-534826)
(86)(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公表番号】特表2013-542070(P2013-542070A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】KR2011007877
(87)【国際公開番号】WO2012053853
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年8月20日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0103540
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507268341
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】キム・ド ワン
(72)【発明者】
【氏名】コ・ゼ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リ・サン イル
(72)【発明者】
【氏名】リ・スン ユ
(72)【発明者】
【氏名】オ・ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】コ・ゼ スック
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ギュン ロック
(72)【発明者】
【氏名】チョイ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ホン チャン
(72)【発明者】
【氏名】オ・サン フン
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/116603(WO,A1)
【文献】 特開2010−215434(JP,A)
【文献】 特開2010−215433(JP,A)
【文献】 特開平09−225312(JP,A)
【文献】 特開2008−297452(JP,A)
【文献】 特開2004−255241(JP,A)
【文献】 特開2000−024506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C10G1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ベータゼオライト;
(ii)シュードベーマイト(Pseudo Boehmite);
(iii)コバルト及びモリブデンの中から選ばれる1種以上の金属;並びに
(iv)触媒の全体重量に対して0.01〜10重量%の錫(Sn)を含む助触媒成分
を含んでなる、多環芳香族炭化水素から軽芳香族炭化水素を製造する水素化分解触媒。
【請求項2】
コバルト及びモリブデンが硫化物の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項3】
前記ベータゼオライトの全体Si/Al原子比が5〜200の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2記載の水素化分解触媒。
【請求項4】
前記ベータゼオライトの全体Si/Al原子比が10〜150の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2記載の水素化分解触媒。
【請求項5】
前記ベータゼオライトの含量が触媒の全体重量に対して10〜95重量%であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の水素化分解触媒。
【請求項6】
前記ベータゼオライトの含量が触媒の全体重量に対して30〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素化分解触媒。
【請求項7】
前記コバルトまたはモリブデンの含量が触媒の全体重量に対して0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の水素化分解触媒。
【請求項8】
前記コバルトまたはモリブデンの含量が触媒の全体重量に対して1〜10重量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素化分解触媒。
【請求項9】
前記錫(Sn)の含量が触媒の全体重量に対して0.5〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水素化分解触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油から産出される多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造する水素化分解(Hydrocracking)工程用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多環芳香族炭化水素は、石油から産出される低価の留分に主に含まれており、特に、二環芳香族炭化水素、例えばナフタレンやアルキル置換ナフタレンなどが主に含まれており、多環芳香族炭化水素の水素化分解を介して生成される軽芳香族炭化水素は、ベンゼンやアルキル置換ベンゼンなどの炭素数6〜13の炭化水素を通称するものである。
【0003】
一方、多環芳香族炭化水素は、次のような反応経路を介して水素化分解によって軽芳香族炭化水素に転換される。すなわち、代表的な二環芳香族炭化水素であるナフタレンを例として説明すると、ナフタレンに触媒存在の下で水素を添加する場合、ナフタレンを構成する2つのベンゼン環のうち一つのベンゼン環が水素化され、1つの環はベンゼン環、もう一つの環はナフテン環の形態を有するテトラリン(Tetralin)に転換される。転換されたテトラリンに含まれているナフテン環は、連続的な水素化分解反応を介して分解され、1つのベンゼン環にアルキル基が置換されている軽芳香族炭化水素に転換される。
勿論、過去にも本発明と同様の水素化分解触媒を用いてBTXを製造する技術があったが、BTX(ベンゼン(Benzene)、トルエン(Toluene)、キシレン(Xylene))の含量を最大にすることはできないという問題点があった。よって、LCO(Light Cycle Oil)からBTXを最大に製造することが必要となったうえ、これを可能にする水素化分解触媒への関心が増加しつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況で、本発明者は、石油から産出される多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造するとともに、これを可能にする水素化分解触媒を生産したところ、本発明は、上述したような技術に対する市場の要求に応えるために案出された。
そこで、本発明の目的は、多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化始祖を製造することができるようにする新規の水素化分解触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、(i)ベータゼオライト;(ii)シュードベーマイト(Pseudo Boehmite);並びに(iii)VIII族及びVIB族の中から選ばれる1種以上の金属を含み、任意に錫(Sn)、リン(P)、ホウ素(B)、珪素(Si)、ビスマス(Bi)及び鉛(Pb)よりなる群から選ばれる1種以上の助触媒成分を含んでなる、石油から産出される多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造する水素化分解触媒を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、石油から産出される多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素の生産を可能とし、LCOからBTXの含量を最大化することができるようにする画期的な方法を提供する。
特に、多様な水素化分解触媒のうちで、触媒構成成分を選択的に含み、LCOからのBTXの含量極大化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、石油から産出される多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造することが可能な水素化分解触媒に関するものである。本発明によれば、原料として用いられる多環芳香族炭化水素は、石油から産出される低価の留分であるLCO(Light Cycle Oil)などの留分に主に含まれており、特に、二環芳香族炭化水素、例えばナフタレンやアルキル基置換ナフタレンなどが主に含まれているが、これに限定されず、石油から産出できる多環芳香族を含む全ての炭化水素の使用が可能である。
また、多環芳香族炭化水素の水素化分解を介して生成される高付加の軽芳香族炭化水素は、ベンゼンやアルキル置換ベンゼンなどの炭素数6〜13の炭化水素を通称するものと知られているが、特に高付加の軽芳香族炭化水素はBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)などが主に含まれている。
【0008】
一方、本発明に係る多環芳香族炭化水素の水素化分解工程による軽芳香族炭化水素への転換のための概略的な反応経路は、次のとおりである。
多環芳香族炭化水素のうち、代表的な二環芳香族炭化水素であるナフタレンを例として説明すると、ナフタレンに触媒の存在下で水素を添加する場合、ナフタレンを構成する2つのベンゼン環のうち、1つのベンゼン環が水素化される。ここで、ナフタレンを構成する1つの環はベンゼン環、もう一つの環はナフテン環の形態を有するテトラリンに転換される。その後、転換されたテトラリンに含まれているナフテン環は、連続的な水素化分解反応を介して分解され、結果として1つのベンゼン環にアルキル基が置換されている軽芳香族炭化水素に転換される。
【0009】
すなわち、本発明は、多環芳香族炭化水素を構成するベンゼン環の1つ以上が水素化反応を介して飽和されることにより、1つのベンゼン環と1つ以上のナフテン環からなっている炭化水素に転換された後に、ナフテン環の水素化分解反応を介して高付加の軽芳香族炭化水素が製造される。
前記ナフタレンからBTXを生成する反応は、これと共に多様な形態の副反応が起こる。このような副反応による生成物はBTXの形態を有しないため、副反応は生成物中のBTXの含量を減少させる原因となる。よって、BTXの収率を最大にするためには副反応の抑制が必要である。
【0010】
次に、本発明の反応と共に起こる副反応について説明する。
一つ目は、テトラリンとナフタレン間の熱力学的平衡関係である。ナフタレンなどの二環芳香族物質からBTXを製造するためにはナフタレンからテトラリンへの転換が必須であるが、これはテトラリンの水素化分解反応を介してBTXが生成されるためである。一般に温度が低いほど、かつ圧力が高いほど、平衡がテトラリン側に移動すると知られている。
また、本発明の水素化分解反応は、高温、高圧で行われるため、条件によってナフタレンから転換されたテトラリンがさらにナフタレンに転換される可能性を持っているが、ナフタレンへの再転換を防ぐためには、できる限り反応温度を低め反応圧力を高めるなどの工程条件を変化させるか、或いは転換されたテトラリンを速く水素化分解してBTXを生成することにより、反応物中のテトラリンの濃度を低めてテトラリンのナフタレンへの転換を減少させなければならない。すなわち、本発明の水素化分解触媒は、強い水素化分解機能によりこのようなナフタレンからの再転換を最小化することにより、BTXの生成を最大化することができる。
【0011】
二つ目は、テトラリンを構成する1つのベンゼン環がさらに水素化されて2つの環が全て飽和されたデカリン(decalin)に転換される反応である。高圧の水素条件で生成されたデカリンは、更なる水素化分解反応を介してパラフィン類に転換されるので、このような副反応が大きく起こると、生成物中のBTX含量は減少する。
実際、水素化反応が強い水素化処理(Hydrotreating)触媒を用いて本発明の水素化分解反応を行った場合、BTXよりはナフテンまたはパラフィン物質が多く生成される。このような副反応を抑制するためには、水素化分解反応用触媒の水素化機能を適切に調節して、ナフタレンからテトラリンが生成される水素化反応は促進し、テトラリンからデカリンが生成される水素化反応は抑制しなければならない。すなわち、本発明の水素化分解反応用触媒は、水素化機能を適切に調節することにより、ナフテン及びパラフィン物質の生成を最小化しかつBTXの生成を最大化することができる。
【0012】
三つ目は、テトラリンの水素化分解を介して生成されたBTXがさらに水素化反応してシクロヘキサン類のナフテンに転換される反応である。生成されたナフテンは追加の水素化分解反応を介してパラフィに転換できるが、このような副反応経路も上記の二つ目に言及した副反応と同様に水素化分解反応用触媒の水素化機能が非常に強い場合に現れるのである。すなわち、本発明の水素化分解反応用触媒は、水素化機能を調節することにより生成されたBTXの追加の水素化反応を抑制することにより、BTXの生成を最大化することができる。
また、多環芳香族炭化水素から高付加の軽芳香族炭化水素を製造するためには水素化分解触媒が必要であるが、本発明に係る水素化分解触媒は、(i)ベータゼオライト、(ii)バインダーとしてのシュードベーマイト、並びに(iii)VIII族及びVIB族の中から選ばれる1種以上の金属を含み、任意に錫(Sn)、リン(P)、ホウ素(B)、珪素(Si)、ビスマス(Bi)及び鉛(Pb)よりなる群から選ばれる1種以上の助触媒成分を含む。
特に、本発明は、水素化分解触媒のVIII族金属がコバルトであることが好ましく、VIB族金属がモリブデンであることが好ましい。また、前記コバルトまたはモリブデン成分は硫化物の形態であることを特徴とするが、これは水素化活性のない金属酸化物を硫化することにより適切な強さの水素化性能を有し、フィード(feed)中に存在する硫黄及び窒素化合物による被毒に強い性能を有するので好ましい。
【0013】
また、本発明によれば、前記水素化分解触媒の中でも、助触媒成分は錫(Sn)であることが好ましいが、錫(Sn)を使用する場合、本発明の水素化分解触媒の活性金属であるコバルトまたはモリブデンと相互作用してコバルトまたはモリブデンの水素化性能を調節することにより、BTXの収率を改善することができる。
一方、前記水素化分解触媒を構成するベータゼオライトの全体Si/Al原子比は、5〜200の範囲であることが、BTXの生成に必要な水素化分解触媒の分解機能を提供することができるので好ましく、特に好ましくは10〜150の範囲である。
【0014】
前記水素化分解触媒において、ベータゼオライトはバインダーとしてのシュードベーマイトと混合した押し出し物(Extrudate)の形で存在する。該押し出し物(Extrudate)は、ベータゼオライトを触媒の全体重量に対して10〜95重量%含むことが、担持体の機械的強度を維持しかつBTXの生成に必要な水素化分解触媒の分解機能を提供することができるので好ましい。特に好ましくは30〜90重量%の範囲である。
また、前記コバルトまたはモリブデンの含量は、触媒の全体重量に対して0.1〜20重量%であることが、BTXを最大に生成するための本発明の水素化分解触媒の水素化機能を提供するという理由から好ましく、特に好ましくは1〜10重量%の範囲である。
また、前記錫(Sn)の含量は、触媒の全体重量に対して0.01〜10重量%であることが、コバルトまたはモリブデンと相互作用して本発明の水素化分解触媒の水素化機能を改善するという理由から好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。
【0015】
前記水素化分解触媒において、主触媒としてコバルトまたはモリブデン、および助触媒として錫の含量が前記の範囲より低い場合は、触媒の活性点数の減少により水素化機能が低減してBTXの収率が低くなる。
これに対し、主触媒としてコバルトまたはモリブデン、及び助触媒として錫の含量が上記の範囲より大きい場合は、活性金属であるコバルトまたはモリブデン及び錫の焼結現象により、前記範囲内の水素化分解触媒と比較するとき、類似の活性点数により類似のBTX収率を示し、或いは焼結した粒子がベータゼオライトの気孔を塞いで水素化性能が減少する。
【0016】
以下、本発明の原理をさらに説明するために、実施例を後述する。但し、本実施例は本発明者が考慮する発明の範囲を限定するためのものではない。
【実施例】
【0017】
多様な遷移金属硫化物触媒の性能比較
実施例1.Co−BETA触媒の製造
直径1mmサイズのベータゼオライト(ゼオライト:バインダー=7:3、重量比)にコバルトが約5重量%となるように触媒を製造した。製造に使用されたコバルト前駆体としては硝酸コバルト六水和物(Cobalt Nitrate Hexahydrate、以下「CNH」)を使用した(コバルトの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
前記触媒は次の順序で製造された。
まず、CNHを蒸留水に溶かして製造した水溶液をベータゼオライトに含浸させた後、150℃で2時間乾燥させ、しかる後に、500℃で2時間連続的に焼成してCo−BETA触媒を製造した。
【0018】
実施例2.Mo−BETA触媒の製造
CNHをヘプタモリブデン酸アンモニウム(Ammonium Heptamolybdate)に変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した(Moの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
【0019】
比較例1.Pt−BETA触媒の製造
CNHをヘキサクロロ白金酸(Hydrogen hexachloroplatinate)に変更する以外は、実施例1と同様にして製造した(Ptの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
【0020】
比較例2.Pd−BETA触媒の製造
CNHを硝酸パラジウム水和物(Palladium Nitrate Hydrate)に変更する以外は、実施例1と同様にして製造した(Pdの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
【0021】
比較例3.Fe−BETA触媒の製造
CNHを硝酸鉄(Iron Nitrate)に変更する以外は、実施例1と同様にして製造した(Feの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
前記方法で製造した触媒を次の触媒硫化方法で硫化した後、水素化処理反応を行った。その結果を表1に示した。
【0022】
−触媒の硫化−
本発明の原理をさらに説明するために述べた全ての実施例及び比較例の方法で製造した触媒5ccに、圧力50bar、水素90cc/minの導入条件で、硫化フィードとしてのDMDSを含むR−LGOを0.08cc/minの流速で流し、232℃まで昇温した。232℃に到達した後、6時間維持し、しかる後に、320℃に昇温して320℃に到達した後、6時間維持して触媒を硫化した。
【0023】
−水素化分解反応−
前記触媒の硫化方法によって、本発明で述べた全ての実施例及び比較例の方法で製造した触媒を硫化した後、条件を圧力80bar、水素90cc/minに変更し、しかる後に、反応温度を410℃に昇温した。反応温度に到達した後、触媒硫化に使用したDMDSを含むR−LGOからテトラリンにフィードを変更し、テトラリンを0.08cc/minの流速で流し、水素化分解反応を行った。定常状態に到達した後、8時間毎に反応生成物を回収し、生成物内の成分をGC−MSDで分析した。触媒性能は反応物としてのテトラリンの転換率、液体生成物内のナフテン環を有しない1環芳香族炭化水素の含量、及び炭素数6〜8の芳香族炭化水素、例えば液体生成物内のBTXなどの含量で比較した。
【0024】
テトラリン転換率(%)=(100−生成物内のテトラリン含量)/100*100
【0025】
【表1】
【0026】
コバルトの含量による水素化分解触媒の性能比較
実施例3.1重量%のCo−BETA触媒の製造
触媒の全体重量に対してコバルトの含量が1重量%となるように変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。
【0027】
実施例4.3重量%のCo−BETA触媒の製造
触媒の全体重量に対してコバルトの含量が3重量%となるように変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。
【0028】
実施例5.10重量%のCo−BETA触媒の製造
触媒の全体重量に対してコバルトの含量が10重量%となるように変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。
【0029】
実施例6.20重量%のCo−BETA触媒の製造
触媒の全体重量に対してコバルトの含量が20重量%となるように変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。
【0030】
比較例4.30重量%のCo−BETA触媒の製造
触媒の全体重量に対してコバルトの含量が30重量%となるように変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した
【0031】
【表2】
【0032】
多様なゼオライトを適用した水素化分解触媒の性能比較
比較例5.Co−USY触媒の製造
ベータゼオライトをUSYゼオライトに変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。
【0033】
比較例6.Co−SiO2−Al23触媒の製造
ベータゼオライトを無晶質のSiO2−Al23に変更する以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。
【0034】
【表3】
【0035】
助触媒の添加による水素化分解触媒の性能比較
実施例7.Co−Sn−BETA触媒の製造
CNHと塩化錫を、触媒の全体重量に対してコバルト及び錫の含量がそれぞれ5重量%、3重量%となるように蒸留水に溶かし、前記水溶液をBETAゼオライトに含浸させた後、150℃で2時間乾燥させ、しかる後に、500℃で2時間連続的に焼成してCo−Sn−BETA触媒を製造した(Co、Snの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
【0036】
実施例8.Mo−Sn−BETA触媒の製造
CNHをヘプタモリブデン酸アンモニウム(Ammonium Heptamolybdate)に変更する以外は、実施例7と同様にして触媒を製造した。
【0037】
比較例7.Co−Cr−BETA触媒の製造
塩化錫を硝酸クロム(III)(Chromium(III)Nitrate)に変更する以外は、実施例7と同様にして触媒を製造した(Crの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
【0038】
比較例8.Co−Ni−BETA触媒の製造
塩化錫を硝酸ニッケル(Nickel Nitrate)に変更する以外は、実施例7と同様にして触媒を製造した(Niの場合、多様な前駆体を使用することができ、それらの前駆体に限定されるものではない。)。
【0039】
【表4】
【0040】
助触媒の含量による水素化分解触媒の性能比較
実施例9.Co−Sn−BETA(Sn:1重量%)触媒の製造
触媒の全体重量に対して錫の含量が1重量%となるように変更する以外は、実施例7と同様にして触媒を製造した。
【0041】
比較例9.Co−Sn−BETA(Sn:20重量%)触媒の製造
触媒の全体重量に対して錫の含量が20重量%となるように変更する以外は、実施例7と同様にして触媒を製造した。
【0042】
【表5】
【0043】
以上、本発明の好適な実施例について説明の目的で開示したが、当業者であれば、添付した請求の範囲に開示された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変形、追加または置換を加え得ることを理解するであろう。したがって、それらの変形例、追加例及び置換例も本発明の範囲内に含まれるものと理解されるべきである。