特許第5788992号(P5788992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クックジェ エレクトリック コリア カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

特許5788992半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法
<>
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000002
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000003
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000004
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000005
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000006
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000007
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000008
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000009
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000010
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000011
  • 特許5788992-半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788992
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】半導体製造に使用される噴射部材、それを有するプラズマ処理装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20150917BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20150917BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/509
   H05H1/46 M
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-546047(P2013-546047)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公表番号】特表2014-509066(P2014-509066A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】KR2012000297
(87)【国際公開番号】WO2012096529
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2013年6月25日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0003681
(32)【優先日】2011年1月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513019210
【氏名又は名称】クックジェ エレクトリック コリア カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン スン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ワン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン エウ
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一行
(72)【発明者】
【氏名】笠原 修
(72)【発明者】
【氏名】稲田 哲明
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−084693(JP,A)
【文献】 特開平07−045542(JP,A)
【文献】 特開2009−260199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/509
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が収容されてプラズマ処理工程が遂行される工程チャンバーと、
前記工程チャンバーに設置され、同一平面上に複数の基板が置かれる支持部材と、
前記支持部材と対向されるように設置され、反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を前記支持部材に置かれた複数の基板の各々に対応する位置で独立的に噴射できるように、相互に独立して区画された領域としての複数のバッフルを有する噴射部材と、
前記噴射部材のバッフルが前記支持部材に置かれた複数の基板上を各々順次的に旋回するように、前記支持部材又は前記噴射部材を回転させる駆動部と、を含み、
前記噴射部材は、前記複数のバッフルの中、反応ガスを噴射する少なくとも1つのバッフルに設置され、前記基板へ噴射される反応ガスをプラズマ化するプラズマ発生器を含み、
前記プラズマ発生器は、
基板と対向する底面を有する本体と、
前記本体内の底面側に設置され、ガスをプラズマ状態にするための高周波電源が印加される複数の第1電極と、
前記本体内の底面側において前記第1電極の間に配置され、バイアス電源が印加される第2電極と、を含み、
前記第1電極と前記第2電極は、前記支持部材又は前記噴射部材の回転にしたがって、プラズマ発生する領域が前記基板上を均等に通過できるように、同一平面上に放射形に形成されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記噴射部材は、前記プラズマ発生器と前記基板との間隔調節のために前記プラズマ発生器を昇降させる高低調節器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記噴射部材は、
前記プラズマ発生器が設置される前記少なくとも1つのバッフルに前記プラズマ発生器装着のための開口が形成され、前記プラズマ発生器を囲み、気密性を維持するように設置されるベローズをさらに含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1電極と前記第2電極とは、コーム(comb)状に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
記第1電極と前記第2電極とは、同一平面上にコイル状に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記噴射部材は、
円板形状の上部プレートと、
前記複数のバッフルが区画されるように前記上部プレートの底面に設置される仕切りと、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記噴射部材は、前記上部プレートの中央に設置され、外部から供給される反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を各々の対応する前記バッフルへ噴射させるノズル部をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記噴射部材は、
前記プラズマ発生器が設置された前記バッフル下端において前記プラズマ発生器から離隔され、前記支持部材と対向するように設置されるシャワーヘッドプレートをさらに含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
プラズマ処理装置に使用される噴射部材において、
円板形状の上部プレートと、
前記上部プレートの中央部に設置され、外部から供給される反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を独立的に噴射する、少なくとも4つの噴射口を有するノズル部と、
前記ノズル部を中心に前記上部プレートに放射状に区画され、前記ノズル部の噴射口と各々連通され、各々のガスを個別に提供する少なくとも4つのバッフルと、
前記少なくとも4つのバッフルの中、いずれか1つのバッフルに設置されてガスをプラズマ化するプラズマ発生器と、を含み、
前記プラズマ発生器は、
プラズマ処理される基板と対向する底面を有する本体と、
前記本体内の底面側に設置され、ガスをプラズマ状態にするための高周波電源が印加される複数の第1電極と、
前記本体内の底面側において前記第1電極の間に配置され、バイアス電源が印加される第2電極と、を含み、
前記第1電極と前記第2電極は、前記支持部材又は前記噴射部材の回転にしたがって、プラズマ発生する領域が前記基板上を均等に通過できるように、同一平面上に放射形に形成されることを特徴とする噴射部材。
【請求項10】
前記噴射部材は、前記プラズマ発生器を昇降させる高低調節器をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の噴射部材。
【請求項11】
前記噴射部材は、
前記プラズマ発生器が設置される前記バッフルに前記プラズマ発生器装着のための開口が形成され、前記プラズマ発生器を囲み、気密性を維持するように設置されるベローズをさらに含むことを特徴とする請求項又は請求項10に記載の噴射部材。
【請求項12】
複数の基板が収容されてプラズマ処理工程が遂行される工程チャンバーと、
前記工程チャンバーに設置され、同一平面上に複数の基板が置かれる支持部材と、
前記支持部材と対向されるように設置され、反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を前記支持部材に置かれた複数の基板の各々に対応する位置で独立的に噴射できるように、相互に独立して区画された領域としての複数のバッフルを有する噴射部材と、
前記噴射部材のバッフルが前記支持部材に置かれた複数の基板上を各々順次的に旋回するように、前記支持部材を回転させる駆動部と、を含み、
前記噴射部材は、前記複数のバッフルの中、反応ガスを噴射する少なくとも1つのバッフルに設置され、前記基板へ噴射される反応ガスをプラズマ化するプラズマ発生器を含み、
前記プラズマ発生器は、
基板と対向する底面を有する本体と、
前記本体内の底面側に設置され、ガスをプラズマ状態にするための高周波電源が印加される第1電極と、
前記本体内の底面側において前記第1電極の間に配置され、バイアス電源が印加される第2電極と、を含み、
前記第1電極と前記第2電極は、前記支持部材又は前記噴射部材の回転にしたがって、プラズマを発生する領域が前記基板上を均等に通過できるように、同一平面上に放射形に形成されるプラズマ処理装置を提供する工程と、
前記支持部材の上部面に前記基板を載置する工程と、
前記支持部材を回転させる工程と、
前記基板へ噴射される前記反応ガスを前記プラズマ発生器でプラズマ化する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記プラズマ発生器と前記基板との間隔調節のために、前記プラズマ発生器を昇降させる工程をさらに含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子製造に使用される薄膜処理装置に関し、特にプラズマ発生器が搭載された噴射部材及びそれを有するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を製造するための乾式蝕刻、物理的又は化学的気相蒸着、及びその他の表面処理等の単位工程にはプラズマを利用する装置が広く使用されている。
【0003】
既存のプラズマ処理装置は、プラズマを発生するために第1電極をシャワーヘッドに連結して電極を形成し、第2電極をチャンバーに連結することによって、電気的な連結及びノイズの遮蔽等を考慮した設備構成が要求された。また、サセプタへプラズマバイアスを印加するための別の構成が必要とされる。
【0004】
このような既存のプラズマ処理装置は、シャワーヘッド一体形に形成されており、基板との間隔を調節することができない。また、既存のプラズマ処理装置はリモートプラズマ発生器を使用しているが、プラズマ発生源と基板が遠距離であるので、イオン化されたガス等が基板に薄膜を形成するには損失が多く発生して薄膜形成時間が長く、薄膜の品質にも良くない影響を及ぼすので、一部の装備で制限的に使用されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、安定的なプラズマを生成することができる、半導体製造用の噴射部材及びそれを有するプラズマ処理装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は基板状態にしたがって、基板とプラズマ発生領域の距離を調節できる噴射部材及びそれを有するプラズマ処理装置を提供することにある。
【0006】
本発明の目的はこれらに制限されなく、言及されないその他の目的は下の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を達成するための本発明のプラズマ処理装置は、複数の基板が収容されてプラズマ処理工程が遂行される工程チャンバーと、前記工程チャンバーに設置され、同一平面上に複数の基板が置かれる支持部材と、前記支持部材と対向されるように設置され、反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を前記支持部材に置かれた複数の基板の各々に対応する位置で独立的に噴射できるように、相互に独立して区画された領域としての複数のバッフルを有する噴射部材と、前記噴射部材のバッフルが前記支持部材に置かれた複数の基板上を各々順次的に旋回するように、前記支持部材又は前記噴射部材を回転させる駆動部と、を含み、前記噴射部材は、前記複数のバッフルの中、反応ガスを噴射する少なくとも1つのバッフルに設置され、前記基板に噴射される反応ガスをプラズマ化するプラズマ発生器を含む。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記噴射部材は、前記プラズマ発生器と前記基板との間隔調節のために前記プラズマ発生器を昇降させる高低調節器をさらに含む。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記噴射部材は前記プラズマ発生器が設置される前記少なくとも1つのバッフルに前記プラズマ発生器装着のための開口が形成され、前記プラズマ発生器を囲み、気密性を維持するように設置されるベローズをさらに含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記プラズマ発生器は、基板と対向する底面を有する本体と、前記本体内の底面側に設置され、ガスをプラズマ状態に形成するための高周波電源が印加される複数の第1電極と、前記本体内の底面側において前記第1電極の間に配置され、バイアス電源が印加される第2電極と、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極と前記第2電極は、前記支持部材又は前記噴射部材の回転にしたがって、プラズマ発生する領域が前記基板上を均等に通過できるように同一平面上に放射形に形成される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極と前記第2電極とは、コーム(comb)状に配置される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記プラズマ発生器は基板と対向する底面を有する本体と、前記本体内の底面側に設置され、ガスをプラズマ状態にするための高周波電源が印加される複数の第1電極と、前記本体内の底面側において複数の前記第1電極の間に配置され、バイアス電源が印加される第2電極と、を含み、前記第1電極と前記第2電極とは、同一平面上にコイル状に配置される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記噴射部材は、円板形状の上部プレートと、前記複数個のバッフルが区画されるように前記上部プレートの底面に設置される仕切りと、を含む。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記噴射部材は、前記上部プレートの中央に設置され、外部から供給される反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を各々の対応する前記バッフルへ噴射させるノズル部をさらに含む。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記噴射部材は、前記プラズマ発生器が設置された前記バッフルの下端において前記プラズマ発生器から離隔され、前記支持部材と対向するように設置されるシャワーヘッドプレートをさらに含む。
【0017】
上記した課題を達成するためのプラズマ処理装置に使用される噴射部材は、円板形状の上部プレートと、前記上部プレートの中央部に設置され、外部から供給される反応ガス及びファジーガスの少なくとも一方を独立的に噴射する、少なくとも4つの噴射口を有するノズル部と、前記ノズル部を中心に前記上部プレートに放射状に区画され、前記ノズル部の噴射口と各々連通され、各々のガスを個別に提供する少なくとも4つのバッフルと、前記少なくとも4つのバッフルの中、いずれか1つのバッフルに設置されてガスをプラズマ化するプラズマ発生器と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、プラズマ発生器出力の高低を個別的に調節することができ、これを通じてプラズマ発生器と基板との間の間隔を部分的に調節できる格別な効果を有する。また、本発明によると、プラズマ発生器がバッフル上に具備されて反応ガスをプラズマ化させることによって、反応ガスの反応性を向上させ、バッフル内のプラズマ密度を増加させることによって、薄膜の蒸着速度を増加させ、膜質を向上させることができる格別な効果を有する。
【0019】
さらに、本発明によると、少なくとも異なる2つの気体(ガス)を基板上に順次的に噴射して基板表面を処理する薄膜蒸着工程等を効率的に進行できるようになり、信頼性をもって半導体装置の単位時間当たり処理量を増加させることができ、半導体装置の収率向上に寄与できる格別な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による薄膜蒸着装置を説明するための図面である。
図2A図1に図示された噴射部材の斜視図である。
図2B図1に図示された噴射部材の断面図である。
図3図1に図示された支持部材の平面図である。
図4A】プラズマ発生器を示す噴射部材の要部拡大断面図である。
図4B図4Aでプラズマ発生器が高低調節器によって下降した状態を示す図面である。
図5】第3バッフルにシャワーヘッドプレートが設置された噴射部材の変形形態を示す図面である。
図6】シャワーヘッドタイプのプラズマ発生器を具備する噴射部材を示す図面である。
図7】基板との近接性を高くするために第1電極と第2電極がプラズマ発生器の底面に設置された例を示す図面である。
図8】プラズマ発生器で第1、2電極の変形形態を示す図面である。
図9図2Bに図示された噴射部材でプラズマ発生器の変形形態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態による薄膜蒸着装置及び方法を詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付するに際して、同一の構成要素に対しては同一の符号を付した。また、本発明を説明するに際して、関連された公知構成又は機能に対する具体的な説明は、適宜その詳細な説明を省略した。
【0022】
図1は、本発明による薄膜蒸着装置を説明するための図面である。図2A及び図2Bは、図1に図示された噴射部材の斜視図及び断面図である。図3は、図1に図示された支持部材の平面図である。
【0023】
図1乃至図3を参照すれば、本発明の実施形態による薄膜蒸着装置10は工程チャンバー(process chamber)100および供給部材500を含み、工程チャンバー100は支持部材(support member)200および噴射部材300を含む。
【0024】
工程チャンバー100は、一側に出入口112が提供される。出入口112を介して、工程進行の時、基板Wの出し入れが行われる。また、工程チャンバー100は、上部縁に、工程チャンバー100へ供給された反応ガスやファジーガス(パージガスともいう)、及び薄膜蒸着工程の中で発生された反応分散物を排気するための排気ダクト120と排気管114とを含む。排気ダクト120は、噴射部材300の外側に位置し、リング状に形成される。図示しないが、排気管114は真空ポンプに連結され、排気管には圧力制御バルブ、流量制御バルブ等が設置されることは当業者に自明な事実である。
【0025】
図1及び図3で示すように、支持部材200は、工程チャンバー100の内部空間に設置され、4枚の基板が置かれるバッチタイプに形成される。支持部材200は、上部面に基板が置かれる第1乃至第4ステージ212a−212dが形成された円板形状のテーブル210と、テーブル210を支持する支持柱220とを含む。第1乃至第4ステージ212a−212dは、基板の形状と類似な円形に形成され、支持部材200の中央を中心に同心円状に90°間隔に配置される。
【0026】
支持部材200は、駆動部290によって回転される。支持部材200を回転させる駆動部290は、駆動モーターの回転数と回転速度を制御できるエンコーダーが設置されたステッピングモーターを使用することが望ましく、エンコーダーによって噴射部材300の1サイクル工程(第1反応ガス−ファジーガス−第2反応ガス−ファジーガス)時間を制御できる。
【0027】
図示しないが、支持部材200は、各々のステージで基板Wを昇降させる複数のリフトピン(図示せず)が具備され得る。リフトピンは基板Wを昇降させることによって、基板Wを支持部材200のステージから離隔したり、或いはステージに安着させたりする。また、支持部材200の各ステージ212a−212dには、安着された基板Wを加熱するヒーター(図示せず)が具備され得る。ヒーターは、基板Wの温度を既設定された温度(工程温度)に上昇させるために基板を加熱する。
【0028】
図1及び図2Bを参照すれば、供給部材500は、第1ガス供給部材510a、第2ガス供給部材510b、及びファジーガス供給部材520を含む。第1ガス供給部材510aは基板W上に所定の薄膜を形成するための第1反応ガスを噴射部材300の第1バッフル320aへ供給し、第2ガス供給部材510bは第2反応ガスを第3バッフル320cへ供給し、ファジーガス供給部材520はファジーガスを第2及び第4バッフル320b、320dへ供給する。例えば、第1反応ガスと第2反応ガスは、基板W上に形成しようとする薄膜の造成原料物質を含むガスである。特に、薄膜蒸着工程は、互いに異なる複数の反応ガスを提供し、基板表面で反応ガスを化学的に反応させることによって、基板上に所定の薄膜を形成できる。そして、薄膜蒸着工程の反応ガスが提供される合間に、基板上部に残留する未反応ガスをファジー(パージ)させるためのファジーガスが提供される。
【0029】
なお、本実施形態では、2つの互いに異なる反応ガスを供給するために2つのガス供給部材が使用されたが、工程特性によって3つ以上の互いに異なる反応ガスを供給できるように複数個のガス供給部材が適用され得ることは当然である。
【0030】
図1図2A、及び図2Bを参照すれば、噴射部材300は、支持部材200に置かれた4枚の基板の各々へガスを噴射する。
【0031】
噴射部材300には、第1、2反応ガス及びファジーガスが、供給部材500から供給される。噴射部材300は、円板形状の上部プレート302と、ノズル部310、上述の第1乃至第4バッフル320a−320d、プラズマ発生器340、及び高低調節器350を含む。
【0032】
ノズル部310は、上部プレート302の中央部に設置され、供給部材500から供給された第1、2反応ガス及びファジーガスを各第1乃至第4バッフル320a−320dに独立的に噴射する。図2Bに示すように、ノズル部310は、4つのチャンバー311、312、313、314を有する。第1チャンバー311には第1反応ガスが提供され、第1バッフル320aへ第1反応ガスを供給するための噴射口311aが側面に形成される。第3チャンバー313には第2反応ガスが提供され、第3バッフル320cへ第2反応ガスを供給するための噴射口313aが側面に形成される。第1チャンバー311と第3チャンバー313との間に位置する第2チャンバー312と第4チャンバー314にはファジーガスが提供され、第2バッフル320bと第4バッフル320dとへファジーガスを供給するための噴射口312a、314aが側面に形成される。
【0033】
第1乃至第4バッフル320a−320dは、基板上の各々に対応する位置でノズル部310から提供されたガスを基板の処理面の全体に提供するための独立された空間を有する。第1乃至第4バッフル320a−320dは、上部プレート302の底面に設置される仕切り309によって区画される。第1乃至第4バッフル320a−320dは、ノズル部310を中心に90°間隔に区画された扇形模様に上部プレート302の内側で放射状に配置される。第1乃至第4バッフル320a−320dは、ノズル部310の噴射口311a、312a、313a、314aと各々連通され、支持部材200と対向する底面が開放されるように形成される。
【0034】
第1乃至第4バッフル320a−320dの各々の独立空間には、ノズル部310から提供されるガスが供給され、これらは開放された底面を通じて基板へ提供される。第1バッフル320aには第1反応ガスが提供され、第3バッフル320cには第2反応ガスが提供され、第1バッフル320aと第3バッフル320cとの間に位置する第2バッフル320bと第4バッフル320dとには、第1反応ガスと第2反応ガスの混合を防ぎ、未反応ガスをファジーするためのファジーガスが提供される。
【0035】
本発明によると、基板は、支持部材200が回転するにしたがって第1乃至第4バッフル320a−320dの下で順次的に通過するようになり、基板が第1乃至第4バッフル320a−320dを全て通過すれば、基板W上に一層の原子層が蒸着される。そして、このように基板を持続的に回転させることによって、基板の上に所定厚さの薄膜を蒸着させることができる。
【0036】
なお、噴射部材300は、第1乃至第4バッフル320a−320dを90°間隔にして扇形状に形成したが、本発明はこれに制限されることはなく、工程の目的や特性によって、45°間隔又は180°間隔に構成することができ、各々のバッフル大きさを異なって構成することもあり得る。
【0037】
図4Aは噴射部材のプラズマ発生器の要部拡大断面図であり、図4B図4Aでプラズマ発生器が高低調節器によって下降した状態を示す図面である。
【0038】
本発明で最も核心的な構成であるいうことができるプラズマ発生器340は、噴射部材300の少なくとも1つのバッフルにおいて、上下方向に移動できるように設置され得る。なお、本実施形態ではプラズマ発生器340が第3バッフル320cにおいて上下に移動できるように設置されたことを例として説明しているが、必要によっては他のバッフルにも設置されることができるのは当然である。
【0039】
図2A図2B図4A、及び図4Bを参照すれば、プラズマ発生器340は、上部プレート302の第3バッフル320cに対応する領域に形成された開口304に設置される。プラズマ発生器340は、第3バッフル320cから独立して昇降移動が可能になるように設置される。
【0040】
プラズマ発生器340は、気密性維持のためにベローズ380によって囲まれる。本実施形態では、噴射部材300の上部プレート302が工程チャンバー100の上部カバーと一体的に構成されているので、ベローズ380はプラズマ発生器340を囲むように開口304上に設置される。プラズマ発生器340が上部プレート302まで持ち上げられた図4Aの状態から、プラズマ発生器340が上部プレート302から離れるように下降された図4Bの状態に移行しても、べローズ380により工程チャンバー100内の気密性を維持することができる。
【0041】
なお、図示しないが、噴射部材300が工程チャンバー100の内部空間に設置される場合、プラズマ発生器340は、工程チャンバー100の上部カバーを貫通して設置される別の昇降軸に連結され、工程チャンバー100の外に位置する昇降軸は、高低調節器によって昇降可能に構成される。この場合、ベローズ380は、工程チャンバーの上部カバーを貫通する昇降軸を囲むように設置される。
【0042】
プラズマ発生器340は、第3バッフル320c上に具備されて第2反応ガスをプラズマ化させることによって第2反応ガスの反応性を向上させ、第3バッフル320c内のプラズマ密度を増加させることによって薄膜の蒸着速度を増加させ、膜質を向上させる。
【0043】
プラズマ発生器340は、ガスをプラズマ状態に形成するための高周波電源が印加される第1電極343と、第1電極343間に配置され、バイアス電源が印加される第2電極344とを含む。第1電極343と第2電極344とは、プラズマ発生器340の本体341内の底面342側に同一平面上に設置される。第1、2電極343、344は棒形状に互いに交差するように、そして同一間隔に配置される。第1、2電極343、344の設置方向は、回転方向と直交する方向(図中横方向、すなわち回転中心に向かう方向)にコーム(comb)状(又は放射状)に設置される。なお、第2電極にはその他の高周波電源が印加されることもあり得る。また、図8で示すように、第1、2電極343b、344bは、同一平面上にコイル状に配置され得る。
【0044】
また、プラズマ発生器340は、第1電極343と第2電極344との設置方向が回転軌道の接線に平行な縦方向(図2Bに図示された状態から90°回転された状態)に設置され、このようなプラズマ発生器340の変形形態は図9に例示されている。
【0045】
プラズマ発生器340の本体底面342は、支持部材200と対向するように形成される。第1電極343と第2電極344とによる影響が工程チャンバー内に及ぶことを防止することができるように、プラズマ発生器340の本体341は、石英又はセラミックの絶縁及び耐熱、耐化学性の材質から形成される。
【0046】
本発明では、基板Wは、プラズマ発生器340が設置された第3バッフル320cの下を通りながら、プラズマ化された第2反応ガスにより表面処理が行われる。即ち、RFパワーとバイアスパワーとがプラズマ発生器340の第1、2電極343、344へ印加され、第2反応ガスがノズル部310の第3チャンバー313を通じて第3バッフル320cへ供給されれば、第2反応ガスは第3バッフル320c上に設置されたプラズマ発生器340で発生した誘導磁気場によってプラズマ状態に励起された後、基板上へ提供される。
【0047】
高低調節器350は工程チャンバーの外部に設置され、プラズマ発生器340と基板との間隔調節のためにプラズマ発生器340を昇降させる。即ち、本発明では、プラズマ発生器340の上下移動のための高低調節器350を具備することで、基板状態、使用ガス、使用環境にしたがって、基板とプラズマ発生領域(第3バッフル空間)の距離(間隔)を調節しつつ薄膜を形成することができる。
【0048】
図5は、第3バッフルにシャワーヘッドプレートが設置された噴射部材の変形形態を示す図面である。
【0049】
図5に示すように、噴射部材300は、第3バッフル320cにシャワーヘッドプレート390が設置される。シャワーヘッドプレート390は、プラズマ発生器340が設置された第3バッフル320cの下端において、プラズマ発生器390から離隔され、支持部材200と対向するように設置される。シャワーヘッドプレート390は、複数の噴射孔を有する。
【0050】
図6は、シャワーヘッドタイプのプラズマ発生器を具備する噴射部材を示す図面である。
【0051】
図6に図示されたプラズマ発生器340は、シャワーヘッドに第2反応ガスを供給するバッファ空間360と、バッファ空間360と連結し、電極343、344の間に形成されて第3バッフル320cに連結される噴射孔362とを有する。図6に図示された噴射部材では、第2反応ガスは、プラズマ発生器340の電極上部に提供されるバッファ空間360へ提供された後、第1電極343と第2電極344との間に形成された噴射孔362を通じて第3バッフル320cへ提供される。
【0052】
図7は、基板との近接性を高くするために第1電極と第2電極とがプラズマ発生器の底面に設置された例を示す図面である。図面では便宜上、高低調節器は省略されている。
【0053】
図7に示すように、第1電極343aと第2電極344aとは、プラズマ発生器340aの底面342を貫通して設置され、底面342に露出された第1電極343aと第2電極344との先端は、絶縁素材349で覆われている。
【0054】
本実施形態の薄膜蒸着装置は、セミリモートプラズマ形態にプラズマ発生器340aを噴射部材300に装着して、一般的なリモートプラズマ発生器より基板との間で数mmから数十mm距離を維持した状態で、反応ガスの直接的な分解によるラジカル化を経て基板に薄膜を形成することができる。特に、本実施形態に適用されたプラズマ発生器340aは、第1電極343aと第2電極344aとを同時に駆動してプラズマを発生させることによって、工程チャンバー100及び本体等に別の追加装備を付着しなくとも良い。
【0055】
さらに、一般的なシングル設備の場合、サセプタを上下移動してプラズマ発生領域と基板との間隔を調節するが、上記実施形態のようにバッチ式構造では、プラズマ発生器のみが別に独立昇降構造を採択して基板の状態、使用ガス、環境等にしたがってプラズマ発生器と基板との間隔を調節して薄膜を形成することができる。
【0056】
本発明は、少なくとも異なる2つの気体(ガス)を基板の上に順次的に噴射して基板表面を処理する設備に適用できる。上記では、そのような実施形態の中、薄膜蒸着工程で使用されるバッチ式薄膜蒸着装置の望ましい実施形態の例を説明したが、本発明は高密度プラズマ(HDP)を利用する薄膜蒸着装置にも適用することができ、プラズマを使用した蒸着、蝕刻装置にも適用できる。
【0057】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したに過ぎないので、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性で逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であることを理解することができる。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するのではなく、単なる説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲は限定されない。本発明の保護範囲は、下の請求の範囲によって解釈しなければならないし、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈すべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9