特許第5789010号(P5789010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789010表面形状測定装置およびそれを備えた工作機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789010
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】表面形状測定装置およびそれを備えた工作機械
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20150917BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G01B11/24 K
   B23Q17/24 C
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-25310(P2014-25310)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-152381(P2015-152381A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2014年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−103915(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0290989(US,A1)
【文献】 特開2012−194085(JP,A)
【文献】 特開平02−022504(JP,A)
【文献】 特開2011−099729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差を含む測定対象物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、
前記測定対象物に向けて光ビームを出射する発光部、前記測定対象物からの前記光ビームの散乱光を集光する光学系、および前記光学系によって集光された光の輝度分布を検出する受光部を含み、前記受光部での輝度分布の重心位置に基づいて前記測定対象物の表面の変位を測定する変位計と、
前記変位計と前記測定対象物とを相対的に移動させることによって、前記光ビームを走査する移動機構と、
前記段差と交差する方向に前記移動機構によって前記光ビームを走査しながら、前記測定対象物の表面の変位を前記変位計によって連続的に測定する第1の測定ステップと、前記光ビームを回転対称軸にして前記光学系および前記受光部の配置を前記第1の測定ステップの場合に対して180度回転させた状態で、前記第1の測定ステップと同一箇所を前記変位計によって連続的に測定する第2の測定ステップとを実行するように構成された測定制御部と、
前記第1の測定ステップによる測定値と前記第2の測定ステップによる測定値とが分離し始める分離開始点に基づいて前記段差の位置を特定する段差特定部とを備える、表面形状測定装置。
【請求項2】
前記段差特定部は、前記第1の測定ステップによる測定値と前記第2の測定ステップによる測定値とが分離している区間内で、前記分離開始点から前記光ビームのスポットサイズの1/2だけ離れた点を段差の位置として特定する、請求項1に記載の表面形状測定装置。
【請求項3】
前記分離開始点から特定された前記段差の位置までの各測定点における表面の変位の値を、前記第1の測定ステップによる測定値と前記第2の測定ステップによる測定値との平均値に設定するデータ補正部をさらに備える、請求項2に記載の表面形状測定装置。
【請求項4】
前記光ビームに沿った方向から平面視したとき、前記光ビームの走査方向は、前記光ビームと前記受光部の集光位置とを含む光路面に対して垂直方向でない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面形状測定装置。
【請求項5】
前記第1の測定ステップでは、前記光ビームに対して前記受光部は前記光ビームの走査方向の前方および後方のうちのいずれか一方に配置され、
前記第2の測定ステップでは、前記光ビームに対して前記受光部は前記走査方向の前方および後方のうちの他方に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面形状測定装置。
【請求項6】
段差を含む測定対象物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、
前記測定対象物の表面の変位を連続的に測定する変位計を備え、
前記変位計は、
前記測定対象物に向けて光ビームを出射する発光部と、
前記測定対象物からの前記光ビームの散乱光を集光する第1および第2の光学系と、
前記第1および第2の光学系によって集光された光の輝度分布それぞれ検出する第1および第2の受光部とを含み、
前記第2の光学系および前記第2の受光部は、前記光ビームを回転対称軸にして前記第1の光学系および前記第1の受光部をそれぞれ180度回転させた位置に配置され、
前記変位計は、前記第1および第2の受光部の各々の輝度分布の重心位置に基づいて前記測定対象物の表面の変位を測定し、
前記表面形状測定装置は、さらに、
前記変位計と前記測定対象物とを相対的に移動させることによって、前記光ビームを走査する移動機構と、
前記段差と交差する方向に前記移動機構によって前記光ビームを走査しながら、前記測定対象物の表面の変位を前記変位計によって連続的に測定するように構成された測定制御部と、
前記第1の受光部による測定値と前記第2の受光部による測定値とが分離し始める分離開始点に基づいて前記段差の位置を特定する段差特定部とを備える、表面形状測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面形状測定装置を備える、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ビームを用いた非接触方式の変位センサによって表面形状を測定する表面形状測定装置、および表面形状測定装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工作機械で加工を行う際、加工対象物の形状を非接触式センサによって測定することが一般的となっている。この場合、工作機械の加工プログラムは、測定した形状に基づいて、対話システムまたは外部コンピュータ等を用いて作成される。
【0003】
加工対象物の形状を非接触式センサによって測定する際、加工対象物の表面段差(「エッジ」とも称する)は、加工開始点を設定する上で重要な部位である。なぜなら、当該エッジをいかに正確にかつ素早く検出するかが、加工精度、加工時間に影響を及ぼすからである。
【0004】
非接触式センサを用いてエッジを正確に検出する方法は、従来いくつか提案されている。たとえば、特開2012−194085号公報(特許文献1)に記載の技術では、半導体レーザからのレーザビームが被測定面に集光照射され、その反射光が複数分割光検出器に集光される。測定面上でレーザ光を合焦させるために、光検出器からの複数の出力信号が最大振幅を有するよう、レーザ光と測定面との距離が調整される。測定面のエッジは、複数分割光検出器を構成する各検出部の出力強度差から検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−194085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術では、レーザビームの反射光を複数分割光検出器に集光させる必要があるので装置構成が複雑になる。さらに、エッジの位置を検出するために、レーザビームが測定面上でフォーカスするようにレーザ光源および光学系の調整を行う必要があるので、測定に時間がかかる。
【0007】
この発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、従来よりも簡単かつ短時間に測定対象物の表面段差の位置を検出することが可能な表面形状測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は一局面において、段差を含む測定対象物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、変位計と、移動機構と、測定制御部と、段差特定部とを備える。変位計は、測定対象物に向けて光ビームを出射する発光部、測定対象物からの光ビームの散乱光を集光する光学系、および光学系による集光位置を検出する受光部を含む。変位計は、受光部での集光位置に基づいて測定対象物の表面の変位を測定する。移動機構は、変位計と測定対象物とを相対的に移動させることによって、光ビームを走査する。測定制御部は、第1の測定ステップと、第2の測定ステップとを実行するように構成される。第1の測定ステップにおいて、測定制御部は、段差と交差する方向に移動機構によって光ビームを走査しながら、測定対象物の表面の変位を変位計によって連続的に測定する。第2の測定ステップにおいて、測定制御部は、光ビームを回転対称軸にして光学系および受光部の配置を第1の測定ステップの場合に対して180度回転させた状態で、第1の測定ステップと同一箇所を変位計によって連続的に測定する。段差特定部は、第1の測定ステップによる測定値と第2の測定ステップによる測定値とが分離し始める分離開始点に基づいて段差の位置を特定する。
【0009】
上記の構成によれば、第1の測定ステップでの段差部の測定値と第2の測定ステップでの段差部の測定値とに差が生じる。したがって、測定値に差が生じ始めた測定点(分離開始点)の位置に基づいて段差の位置を特定することができる。
【0010】
好ましくは、段差特定部は、第1の測定ステップによる測定値と第2の測定ステップによる測定値とが分離している区間内で、分離開始点から光ビームのスポットサイズの1/2だけ離れた点を段差の位置として特定する。
【0011】
好ましくは、表面形状測定装置はデータ補正部をさらに備える。データ補正部は、分離開始点から特定された段差の位置までの各測定点における表面の変位の値を、第1の測定ステップによる測定値と第2の測定ステップによる測定値との平均値に設定する。
【0012】
好ましくは、光ビームに沿った方向から平面視したとき、光ビームの走査方向は、光ビームと受光部の集光位置とを含む光路面に対して垂直方向でない。
【0013】
好ましくは、第1の測定ステップでは、光ビームに対して受光部は光ビームの走査方向の前方および後方のうちのいずれか一方に配置される。第2の測定ステップでは、光ビームに対して受光部は走査方向の前方および後方のうちの他方に配置される。
【0014】
この発明は他の局面において、段差を含む測定対象物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、測定対象物の表面の変位を連続的に測定する変位計と、移動機構と、測定制御部と、段差特定部とを備える。変位計は、測定対象物に向けて光ビームを出射する発光部と、測定対象物からの光ビームの散乱光を集光する第1および第2の光学系と、第1および第2の光学系による集光位置をそれぞれ検出する第1および第2の受光部とを含む。第2の光学系および第2の受光部は、光ビームを回転対称軸にして第1の光学系および第1の受光部をそれぞれ180度回転させた位置に配置される。変位計は、第1および第2の受光部の各々の集光位置に基づいて測定対象物の表面の変位を測定する。移動機構は、変位計と測定対象物とを相対的に移動させることによって、光ビームを走査する。測定制御部は、段差と交差する方向に移動機構によって光ビームを走査しながら、測定対象物の表面の変位を変位計によって連続的に測定するように構成される。段差特定部は、第1の受光部による測定値と第2の測定ステップによる測定値とが分離し始める分離開始点に基づいて段差の位置を特定する。
【0015】
上記の構成によれば、第1の受光部による段差部の測定値と第2の受光部による段差部の測定値とに差が生じる。したがって、測定値に差が生じ始めた測定点(分離開始点)の位置に基づいて段差の位置を特定することができる。
【0016】
この発明はさらに他の局面において、上記の表面形状測定装置を備えた工作機械である。
【発明の効果】
【0017】
したがって、この発明によれば、従来よりも簡単かつ短時間で測定対象物の表面段差の位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】レーザ変位計の構成を模式的に示す図である。
図2図1のリニアイメージセンサの構成を模式的に示す斜視図である。
図3図1のリニアイメージセンサによって検出されるデータの一例を示す図である。
図4】実施の形態1による表面形状測定装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
図5】段差部の測定時に生じる誤差について説明するための図である。
図6図5に示すレーザ変位計の配置を180度回転させた場合において、段差部の測定時に生じる誤差について説明するための図である。
図7図5および図6の場合においてリニアイメージセンサ上の集光スポットの輝度分布の一例を模式的に示す図である。
図8図5および図6の場合において、表面形状の測定データの一例を示す図である。
図9】表面形状の測定手順および測定したデータの処理手順を示すフローチャートである。
図10】実施の形態2による表面形状測定装置で用いられるレーザ変位計の構成を模式的に示す図である。
図11】実施の形態2の装置において表面形状の測定手順および測定したデータの処理手順を示すフローチャートである。
図12】実施の形態3による工作機械の構成を模式的に示す斜視図である。
図13図12の工作機械のうち表面形状測定装置に関する部分の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。以下の各実施の形態では、レーザ変位計を用いた表面形状測定装置を例に挙げて説明するが、レーザ光に代えて非コヒーレントな光ビームを用いた非接触式の変位計の場合にもこの発明を適用することができる。なお、以下の説明において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
【0020】
<実施の形態1>
[レーザ変位計の概要]
図1は、レーザ変位計の構成を模式的に示す図である。図1を参照して、レーザ変位計100は、発光部110と、光学系としての集光レンズ118と、受光部としてのリニアイメージセンサ(Linear Image Sensor)120とを含む。発光部110は、レーザダイオード112と、レンズ114とを含む。
【0021】
レーザダイオード112から発せられたレーザビーム116はレンズ114によって略平行光に整形され、測定対象物130へ照射される。測定対象物上でのレーザビーム116のスポットサイズw(スポット径とも称する)は、たとえば、直径50μmである。
【0022】
測定対象物130上で拡散反射された光は、レーザビーム116とγの角度方向に配置されたリニアイメージセンサ120上に、集光レンズ118によって集光される。図1では、集光レンズ118の焦点距離をf0とし、測定対象物130の表面上におけるレーザビーム116の照射位置(レーザスポット132)から集光レンズ118までの距離をlとしている。
【0023】
リニアイメージセンサ120はシャインプルーフ条件(Scheimpflug Condition)に基付いた角度で配置される。すなわち、リニアイメージセンサ120の検出面と集光レンズ118の主面とは1直線で交わり、これらの面のなす角度をβとする。レーザビーム116を含む面が被写体面となる。この配置により、測定対象物130とレーザ変位計100の距離が変化しても、レーザスポット132はリニアイメージセンサ120上にボケることなく結像される。
【0024】
図1において、レーザビーム116の方向をZ軸方向とする。レーザビーム116の中心軸と集光レンズ118の光軸とを含む面を光路面と称する。この光路面に平行でありかつZ軸方向に垂直な方向をX軸方向とする。X軸方向およびZ軸方向の両方に垂直な方向をY軸方向とする。図1の場合、Y軸方向は紙面に垂直な方向であり、XZ平面は紙面(光路面)と平行である。
【0025】
ここで、レーザ光のビームサイズ(測定対象物上でのスポットサイズ)について説明する。レーザ光のビームサイズには種々の定義がある。たとえば、TEM00モードのように対称なビームプロファイルのレーザ光の場合には、光軸に直交する面において、ピーク値に対してeの2乗分の1(ただし、eは自然対数の底)(13.5%)の強度分布の幅でビームサイズが定義される。ビームプロファイルが崩れている場合には、たとえば、ビームの全パワーのうち、ピークパワーを基準として86.5%が含まれる円を算出し、この円の直径がビームサイズとして定義される。この明細書では、種々の定義を含めるために、全パワーの50%が含まれる円の直径以上、全パワーの95%が含まれる円の直径以下の範囲を実質的にビームサイズ(測定対象物上でのスポットサイズ)に等しいとする。
【0026】
図2は、図1のリニアイメージセンサの構成を模式的に示す斜視図である。図2を参照して、リニアイメージセンサ120は、直線状に配列された1024個の画素(ピクセル)122を含む。各画素122は、受光量に応じて0から最大255までの輝度レベルの信号を出力する。
【0027】
図3は、図1のリニアイメージセンサによって検出されるデータの一例を示す図である。図3の横軸がピクセル位置を示し、縦軸が輝度レベルを示す。図2および図3を参照して、測定対象物130上で拡散反射された光が集光レンズ118によってリニアイメージセンサ120上のスポット124に集光されることによって、図3に示すようなガウス分布状のデータが得られる。図3のデータの重心位置から三角測量により対象物までの距離が計算される。図3の場合には、輝度分布の中心線180と重心とが一致している。
【0028】
[表面形状測定装置の構成]
図4は、実施の形態1による表面形状測定装置の構成例を概略的に示すブロック図である。図4を参照して、表面形状測定装置140は、測定対象物130が載置されるテーブル144と、サドル142と、レーザ変位計100と、X軸駆動機構146Xと、Y軸駆動機構146Yと、Z軸駆動機構146Zと、C軸駆動機構146Cと、コンピュータ150とを含む。
【0029】
テーブル144はサドル142上に配置され、X軸方向に移動可能である。サドル142はY軸方向に移動可能である。X軸駆動機構146Xは、テーブル144をX軸方向に移動させる。Y軸駆動機構146Yは、サドル142をY軸方向に移動させる。Z軸駆動機構146Zは、レーザ変位計100をZ軸方向に移動させる。C軸駆動機構146Cは、レーザ変位計100をZ軸と平行な回転軸(C軸回転中心)の回りに回転させる。C軸駆動機構146Cは、基準位置に対して任意の回転角度に設定可能である。
【0030】
X軸駆動機構146X、Y軸駆動機構146Y、Z軸駆動機構146Z、およびC軸駆動機構146Cは、レーザ変位計100と測定対象物130とを相対的に移動させるための移動機構146として機能する。したがって、移動機構146によってレーザビーム116は、測定対象物130の表面上を走査する。
【0031】
なお、移動機構146の構成は図4の例には限られない。たとえば、測定対象物130が固定され、レーザ変位計100がX、Y、Zの3方向に移動可能な構成であってもよい。レーザ変位計100が固定され、測定対象物130を支持するテーブル144がC軸回転中心の回りに回転可能なように構成されていてもよい。
【0032】
コンピュータ150は、プロセッサ152、メモリ154、ならびに図示しない表示装置および入出力装置等を含む。プロセッサ152は、メモリ154に格納されたプログラムを実行することによって、測定制御部156およびデータ処理部158として機能する。
【0033】
測定制御部156は、レーザ変位計100および移動機構146を制御することによって、レーザビーム116を走査させる。このレーザビーム116の走査中に、測定制御部156は、レーザ変位計100を用いて測定対象物130の表面形状データ166を連続的に測定する。測定された表面形状データ166はメモリ154に格納される。表面形状データ166は、測定対象物130上の走査位置(レーザビームが照射される位置)と、当該走査位置における測定対象物130の表面のZ軸方向の変位とが対応付けられたデータ系列である。
【0034】
測定制御部156は、さらに、C軸駆動機構146Cを制御することによって、レーザ変位計100をZ軸方向と平行な回転軸(C軸回転中心)の回りに180度回転させる。これにより、C軸回転中心とレーザビーム116の中心軸とが一致している場合には、レーザ変位計100はレーザビーム116の中心軸の回りに180度回転する。すなわち、図1の集光レンズ118(光学系)およびリニアイメージセンサ120(受光部)は、レーザビーム116の中心軸について線対称な位置に移動する。レーザビーム116の中心軸とC軸回転中心とが一致していない場合には、C軸回転中心の回りの回転とともにX軸方向およびY軸方向にレーザ変位計100を移動させることによって、レーザビーム116の位置を保ったままレーザ変位計100をレーザビーム116の中心軸の回りに180度回転させることができる。
【0035】
後述するように、測定制御部156は、レーザ変位計100をレーザビーム116の中心軸の回りに180度回転させた後に、回転させる前と同一箇所をレーザ変位計100によって測定する。回転の前後で測定した同一箇所の表面形状データを比較することによって、測定対象物130の段差部のエッジ位置を簡単かつ正確かつ短時間に検出することができる。
【0036】
データ処理部158は、段差位置を特定するために、レーザ変位計100によって測定されたデータ(表面形状データ166)に対してデータ処理を行う。データ処理の内容については図9を参照して後述する。
【0037】
次に、具体的な段差位置の検出方法について説明する。本実施の形態の装置では、三角測量方式のレーザ変位計で段差部を測定する際に生じる誤差を利用することによって、段差位置を検出する。以下では、まず、段差部の測定時に生じる誤差について説明し、次に、段差位置を検出するためのデータ処理手順について説明する。
【0038】
[段差部の測定時に生じる誤差について]
図5は、段差部の測定時に生じる誤差について説明するための図である。図5では、レーザビームの走査方向を+X方向とする。測定対象物130の表面上の直線136に沿ってレーザビームが照射される。直線136の方向(レーザビームの走査方向)は、段差部のエッジ134と交差している(直交している必要はない)。なお、図5では図解を容易にするために、レーザスポット132のサイズを拡大して示している。
【0039】
図5に示す例では、レーザ変位計を構成する集光レンズ(光学系)118およびリニアイメージセンサ(受光部)120は、レーザビームに対して走査方向前方に位置するように、レーザ変位計の向きが決められている。この場合、レーザスポット132がエッジ部に差し掛かると、レーザスポット132のうちリニアイメージセンサ120に近接する側の一部が欠けるようになる。この結果、リニアイメージセンサ120の集光スポット124の重心位置が移動するため、測定対象物130の表面平坦部138は、実際よりもε+だけ上方に(発光部110のより近くに)位置するように観測される。
【0040】
図6は、図5に示すレーザ変位計の配置を180度回転させた場合において、段差部の測定時に生じる誤差について説明するための図である。図5の場合と同様に、レーザビームの走査方向を+X方向とし、測定対象物130の表面の同一箇所である直線136に沿ってレーザビームが照射される。図解を容易にするために、レーザスポット132のサイズを拡大して示している。
【0041】
図6の場合における集光レンズ118およびリニアイメージセンサ120の配置は、図5の場合の配置をレーザビームの中心軸116Cの回りに180度回転させたものである。すなわち、集光レンズ118およびリニアイメージセンサ120は、レーザビームに対して走査方向後方に位置するように、レーザ変位計の向きが定められている。この場合、レーザスポット132がエッジ部に差し掛かると、レーザスポット132のうちリニアイメージセンサ120から遠い側の一部が欠けるようになる。この結果、リニアイメージセンサ120の集光スポット124の重心位置が移動する。ただし、集光スポット124の重心位置の移動方向は図5の場合とは反対方向である。したがって、測定対象物130の表面は、実際よりもε−だけ下方に(発光部110から遠方に)位置するように観測される。
【0042】
図7は、図5および図6の場合においてリニアイメージセンサ上の集光スポットの輝度分布の一例を模式的に示す図である。図7(A)が図5に対応する場合の輝度分布を表し、図7(B)が図6に対応する場合の輝度分布を表す。レーザビームが平坦な表面上に照射されている場合には輝度分布はガウス分布に近い形状を示し、この場合の輝度分布の中心線180を一点鎖線で示している。図示されるように、図5に対応する図7(A)の場合の輝度分布の重心位置182と、図6に対応する図7(B)の場合の輝度分布の重心位置184とは、中心線180に対して互いに反対方向にずれる。この結果、レーザ変位計の測定値は、図5の場合と図6の場合とで互いに反対方向の誤差を有するようになる。
【0043】
図8は、図5および図6の場合において、表面形状の測定データの一例を示す図である。図8(A)において、図5の場合の測定データ186は実線で示され、図6の場合の測定データ188は破線で示される。図8(B)において、図5の場合の測定データ186と図6の場合の測定データ188との平均値190が示されている。
【0044】
図8(A)を参照して、点P0より左側の領域では、図5の場合の測定データ186と図6の場合の測定データ188とは一致している。点P0より右側の領域では、図5の場合の測定データ186と図6の場合の測定データ188とは異なっている。しかも、レーザビームの走査位置が点P0から離れるにつれて両測定値の隔たりが大きくなる。この明細書では、図5の場合の測定値と図6の場合の測定値とが分離し始める測定点P0を分離開始点とも称する。
【0045】
上記の測定結果は、測定対象物上のレーザスポットの位置と段差部のエッジの位置との相対関係によって説明することができる。具体的に、図5および図6においてレーザスポット132が測定対象物130の上部平坦面138の上にありエッジ134に掛かっていない場合は、図8(A)において走査位置が点P0よりも左側の場合に相当する。レーザスポット132の右端がエッジ134に一致する場合(レーザスポット132がエッジ134に掛かり始めたとき)は、図8(A)の点P0に相当する。レーザスポット132の中央点がエッジ134に一致する場合は、図8(A)の点P0からスポットサイズの半分(w/2)だけ移動した点P1に相当する。レーザスポット132の左端がエッジ134に一致する場合(レーザスポット132が上部平坦面138から外れた瞬間)は、図8(A)の点P0からスポットサイズ(w)だけ移動した点P3に相当する。ただし、走査位置が点P3に達する前の点P2においてリニアイメージセンサ120の受光量が検出限界に達するためにレーザ変位計によって測定ができなくなる。
【0046】
[データ処理手順]
以上に説明したように、三角測量方式のレーザ変位計を用いて段差部を測定する際には測定誤差が生じる。この測定誤差を利用すれば、段差部のエッジの位置を簡単かつ正確に検出することができる。具体的手順を図9に示す。
【0047】
図9は、表面形状の測定手順および測定したデータの処理手順を示すフローチャートである。図4および図9を参照して、まず第1の測定ステップにおいて、測定制御部156は、移動機構146を駆動することによって、段差を含む測定範囲に対してレーザビーム116を走査させながら、測定対象物の表面形状を、レーザ変位計100を用いて連続的に測定する(ステップS100)。
【0048】
なお、前述したエッジ部分での誤差はレーザスポットサイズよりも小さい範囲で現れるので、レーザ変位計によるサンプリング間隔は、レーザスポットサイズの1/2以下にする必要がある。この場合、測定値の上下の変化を正確に捉えるためには、レーザ変位計のサンプリング間隔はスポットサイズの1/10以下が望ましい。さらに望ましくは、レーザ変位計のサンプリング間隔をスポットサイズの1/20以下とする。
【0049】
次に、測定制御部156は、C軸駆動機構146Cを駆動することによって、レーザビーム116の中心軸の回りにレーザ変位計100を180度回転させる(ステップS105)。なお、C軸駆動機構146CのC軸回転中心とレーザビーム116の中心軸とが一致していない場合には、C軸駆動機構146Cを用いた180度の回転駆動とともに、X軸駆動機構146XおよびY軸駆動機構146Yの少なくとも一方によって、レーザビーム116の中心軸の位置を保つようにレーザ変位計100を移動させる。
【0050】
次に、測定制御部156は、第2の測定ステップにおいて、第1の測定ステップの場合と同一箇所をレーザ変位計100によって連続的に測定する(ステップS110)。第1および第2の測定ステップによって測定されたデータ(表面形状データ166)は、メモリ154に格納される。
【0051】
次に、データ処理部158によって表面形状データ166のデータ処理を行う。データ処理部158は、段差特定部160とデータ補正部162とを含む。まず、段差特定部160は、表面形状データ166の測定範囲のうちで、第1の測定ステップの測定値(M1と称する)と第2の測定ステップの測定値(M2と称する)とが分離し始める分離開始点(図8(A)の点P0)を特定する(ステップS115)。
【0052】
なお、具体的に測定値M1と測定値M2との分離開始点を特定する方法として種々の方法が考えられる。たとえば、測定値の差M1−M2が予め定める閾値を超えた点を分離開始点としてもよい。あるいは、測定値の差M1−M2と走査位置との関係を表す近似曲線を求め、当該近似曲線の値が予め定める閾値を超えた点を分離開始点としてもよい。
【0053】
次に、段差特定部160は、特定した分離開始点P0に基づいて段差位置を特定する(ステップS120)。具体的に、段差特定部160は、第1の測定ステップによる測定値M1と第2の測定ステップによる測定値M2とが分離している分離区間内(図8(A)の点P0よりも右側)で、分離開始点P0からレーザビームのスポットサイズwの1/2だけ離れた点P1を段差位置として特定する。
【0054】
次に、データ補正部162は、分離開始点P0から段差位置P1までの測定値を補正する(ステップS125)。具体的に、データ補正部162は、第1の測定ステップによる測定値M1と第2の測定ステップによる測定値M2との平均値(図8(B)の190)を、当該区間における高さ方向の変位とする。その後、例えば、移動平均などのフィルタリング処理を行うことによって、さらに表面形状データを補正してもよい。
【0055】
上記において、レーザビームの走査方向は、図5および図6に示すように、レーザビームの中心軸116Cとリニアイメージセンサ(受光部)120の集光スポット124とを含む光路面(XZ平面)と平行な方向であることが望ましい。走査方向と光路面とが平行のとき、第1の測定ステップによるエッジ部の測定値M1と第2の測定ステップによるエッジ部の測定値M2との差が最も大きくなるからである。一般的には、レーザビームに沿った方向(Z軸方向)から平面視したとき、レーザビームの走査方向が光路面と垂直でなければ(YZ平面と平行でなければ)どのような角度であっても構わない(ただし、段差部は走査方向と交差している必要がある)。図5および図6においてレーザビームの走査方向がYZ平面と平行でなければ、第1の測定ステップによる段差部の測定値M1と第2の測定ステップによる段差部の測定値M2とに差が生じるので、段差位置を特定することができる。
【0056】
[実施の形態1の効果]
以上のとおり、実施の形態1による表面形状測定装置140によれば、段差部を含む測定対象物130の表面形状をレーザ変位計100によって測定した後、レーザ変位計100をレーザビーム116の中心軸の回りに180度回転させてから、回転させる前と同一箇所を再度レーザ変位計100によって測定する。そして、回転の前後で測定した同一箇所の表面形状データを比較し、両データに違いが生じ始める測定点の位置(分離開始点)に基づいてエッジの位置を特定する。これによって、測定対象物130の段差(エッジ)の位置を簡単かつ正確かつ短時間に検出することができる。
【0057】
<実施の形態2>
実施の形態2による表面形状測定装置では、レーザ変位計の構成が実施の形態1の場合と異なる。図10は、実施の形態2による表面形状測定装置で用いられるレーザ変位計の構成を模式的に示す図である。
【0058】
図10を参照して、レーザ変位計100Aは、発光部110と、第1および第2の光学系としての集光レンズ118A,118Bと、第1および第2の受光部としてのリニアイメージセンサ120A,120Bとを含む。集光レンズ118Bおよびリニアイメージセンサ120Bは、レーザビーム116の中心軸の回りに集光レンズ118Aおよびリニアイメージセンサ120Aをそれぞれ180度回転させた位置に配置される。発光部110は、レーザダイオード112と、レンズ114とを含む。
【0059】
レーザダイオード112から発せられたレーザビーム116はレンズ114によって略平行光に整形され、測定対象物130へ照射される。測定対象物130上で拡散反射された光は、レーザビーム116に対して+γの角度方向に配置されたリニアイメージセンサ120A上に集光レンズ118Aによって集光されるとともに、レーザビーム116に対して−γの角度方向(+γと反対方向)に配置されたリニアイメージセンサ120B上に集光レンズ118Bによって集光される。
【0060】
図10のレーザ変位計100Aは、図4に示す表面形状測定装置140に図1のレーザ変位計100に代えて取付けられる。測定対象物130の表面の変位は、リニアイメージセンサ120A上の集光スポット124Aの位置およびリニアイメージセンサ120B上の集光スポット124Bの位置に基づいて決定される。図10のその他の点は、図1の場合と同じであるので同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0061】
図11は、実施の形態2の装置において表面形状の測定手順および測定したデータの処理手順を示すフローチャートである。図4図10および図11を参照して、まず、測定制御部156は、移動機構146を駆動することによって、段差を含む測定範囲に対してレーザビーム116を走査させながら、測定対象物130の表面形状を、レーザ変位計100を用いて連続的に測定する(ステップS200)。
【0062】
実施の形態2の場合、レーザビーム116の中心軸に関して互いに線対称な位置に、集光レンズ118A,118Bが予め設けられ、リニアイメージセンサ120A,120Bが予め設けられている。したがって、実施の形態1のように同一箇所を2回測定する必要はない。なお、実施の形態1の場合と同様に、レーザビーム116の方向(Z軸方向)から平面視したとき、レーザビームの走査方向は光路面(XZ平面)に対して垂直にならないようにする(YZ平面と平行にならないようにする)。望ましくは、レーザビームの走査方向は光路面(XZ平面)と平行にする。
【0063】
次に、データ処理部158の段差特定部160は、表面形状データ166の測定範囲のうちで、第1のリニアイメージセンサ120Aによる測定値(M1と称する)と第2のリニアイメージセンサ120Bによる測定値(M2と称する)とが分離し始める分離開始点を特定する(ステップS205)。
【0064】
次に、段差特定部160は、特定した分離開始点に基づいて段差位置を特定する(ステップS210)。具体的に、段差特定部160は、第1のリニアイメージセンサ120Aによる測定値M1と第2のリニアイメージセンサ120Bによる測定値M2とが分離している分離区間内で、分離開始点からレーザビームのスポットサイズwの1/2だけ離れた点を段差位置として特定する(ステップS210)。
【0065】
次に、データ補正部162は、分離開始点から段差位置までの測定値を補正する(ステップS215)。具体的に、データ補正部162は、第1のリニアイメージセンサ120Aによる測定値M1と第2のリニアイメージセンサ120Bによる測定値M2との平均値を、当該区間における高さ方向の変位とする。
【0066】
以上のとおり、実施の形態2による表面形状測定装置によれば、レーザビームの中心軸に関して互いに線対称の位置に配置された第1および第2の集光レンズ(光学系)ならびに第1および第2のリニアイメージセンサ(受光部)を含むレーザ変位計を用いて、段差部を含む測定対象物の表面形状が測定される。そして、第1および第2のリニアイメージセンサによる測定値に違いが生じ始める測定点(分離開始点)の位置に基づいてエッジの位置が特定される。この結果測定対象物の段差(エッジ)の位置を簡単かつ正確かつ短時間に検出することができる。
【0067】
<実施の形態3>
実施の形態3は、実施の形態1または2の表面形状測定装置を備えた工作機械を開示する。以下では、工作機械が立形マシンニングセンタである場合について説明しているが、工作機械は、横形マシニングセンタまたは旋盤など、他の種類のものであっても構わない。
【0068】
図12は、実施の形態3による工作機械の構成を模式的に示す斜視図である。図12を参照して、工作機械200は、加工装置10と、NC(Numerical Control)装置24と、ATC(自動工具交換装置:Automatic Tool Changer)28と、コンピュータ150とを含む。
【0069】
加工装置10は、ベッド12と、ベッド12上に設置されたコラム14と、主軸22を有する主軸頭20と、テーブル18を有するサドル16とを含む。
【0070】
主軸頭20は、コラム14の前面に支持されて、上下方向(Z軸方向)に移動可能である。主軸22の先端には、工具(図示せず)または測定ヘッド42が着脱可能に装着される。主軸22は、その中心軸線(図2のCL)がZ軸と平行なC軸回転中心のまわりに回転可能に、主軸頭20に支持されている。主軸頭20は、工作物2の加工のために主軸22を高速回転させる回転駆動部36と、主軸22の回転を低速送り制御可能な回転駆動部38とを内蔵する。後者の回転駆動部38は、図4のC軸駆動機構146Cに対応する。
【0071】
測定ヘッド42は、図1または図10に示すレーザ変位計100,100Aと、このレーザ変位計の制御回路および駆動用バッテリと、無線通信を行うための通信装置とを内蔵する。低速送り制御可能な回転駆動部38によって、測定ヘッド42(すなわち、レーザ変位計100,100A)の向きが制御される。
【0072】
サドル16は、ベッド12上に配置されて前後の水平方向(Y軸方向)に移動可能である。サドル16上にはテーブル18が配置されている。テーブル18は、左右の水平方向(X軸方向)に移動可能である。テーブル18上には工作物2が載置されている。サドル16は図4のサドル142に対応し、テーブル18は図4のテーブル144に対応する。工作物2は図4の測定対象物130に対応する。
【0073】
加工装置10は、測定ヘッド42と工作物2とを相対的にX軸、Y軸、Z軸の直交3軸方向に直線移動させるともに、少なくともZ軸と平行なC軸回転中心の回りに測定ヘッド42を回転駆動可能なマシニングセンタである。なお、図1の構成と異なり、加工装置10は、測定ヘッド42を支持する主軸頭20を、工作物2に対してX軸、Y軸方向にそれぞれ移動させる構成であってもよいし、工作物2を支持するテーブル18をC軸回転中心の回りに回転可能な構成であってもよい。
【0074】
NC装置24は、上記の直交3軸およびC軸制御を含めて加工装置10全体の動作を制御する。ATC(自動工具交換装置)28は、主軸22に対して工具と測定ヘッド42をそれぞれ自動的に交換する。ATC28は、NC装置24によって制御される。
【0075】
図13は、図12の工作機械のうち表面形状測定装置に関する部分の機能的構成を示すブロック図である。図13には、加工装置10に備えられているZ軸送り機構34、Y軸送り機構32およびX軸送り機構30が示されている。
【0076】
図12図13を参照して、Z軸送り機構34は、コラム14に支持されている主軸頭20を駆動してZ軸方向に移動させる。Y軸送り機構32は、ベッド12上に配置されているサドル16を駆動してY軸方向に移動させる。X軸送り機構30は、サドル16上に載置されて工作物2を支持するテーブル18を駆動してX軸方向に移動させる。NC装置24は、Z軸送り機構34、Y軸送り機構32およびX軸送り機構30をそれぞれ制御する。X軸送り機構30、Y軸送り機構32、および、Z軸送り機構34は、図4のX軸駆動機構146X、Y軸駆動機構146Y、およびZ軸駆動機構146Zにそれぞれ対応する。
【0077】
コンピュータ150は、プロセッサ152、メモリ154、および測定ヘッド42との間で無線通信を行うための通信装置168等を含む。プロセッサ152は、メモリ154に格納されたプログラムを実行することによって、図4で説明した測定制御部156およびデータ処理部158として機能する。
【0078】
測定制御部156は、NC装置24と連携することによって、測定ヘッド42と工作物2との相対的位置関係を連続的に変化させ、これによってレーザビーム116が工作物2の表面に沿って走査する。測定制御部156は、レーザビーム116の走査中に、レーザビーム116の走査方向の複数の測定点における高さ方向(Z軸方向)の変位データを工作物2の表面形状データとして測定ヘッド42から取得する。具体的な手順は以下のとおりである。
【0079】
まず、測定制御部156からの制御に基づいて、NC装置24は、X軸送り機構30およびY軸送り機構32のいずれか一方、もしくはX軸送り機構30、Y軸送り機構32、およびZ軸送り機構34のうちの少なくとも2軸を駆動することによって、測定ヘッド42と工作物2との相対的位置関係を連続的に変化させる。
【0080】
NC装置24に内蔵されたPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ:Programmable Logic Controller)26は、上記の送り機構の駆動に同期して、所定周期でトリガ信号を通信装置168に出力する。通信装置168はトリガ信号を受信すると測定指令fを測定ヘッド42に送信し、測定ヘッド42は測定指令fに従って測定ヘッド42から工作物2までの距離D(すなわち、工作物2の表面の変位)を測定する。測定された距離DのデータFは、測定ヘッド42から通信装置168を介して測定制御部156に送信される。
【0081】
PLC26は、さらに、上記の測定ヘッド42による距離測定のタイミングに合わせて、X軸送り機構30、Y軸送り機構32、およびZ軸送り機構34の位置情報を取得することによって、測定ヘッド42の位置のデータを検出する。PLC26は、検出した測定ヘッド42の位置のデータを測定制御部156に送信する。
【0082】
測定制御部156は、PLC26から取得した測定ヘッド42の位置データと、測定ヘッド42から取得した距離DのデータFとに基づいて、レーザビーム116の走査方向に沿った各測定点における高さ方向(Z軸方向)の変位データを表面形状データ166として、メモリ154に格納する。なお、図1に示す構成のレーザ変位計100を用いて工作物2の段差の位置を検出する場合には、工作物2の同一箇所についてレーザ変位計100の向きを180度回転させる前と後の合計2回の測定が行われる。
【0083】
プロセッサ152は、さらに、上記の表面形状データ166のデータ処理を行うためのデータ処理部158として機能する。データ処理部158の動作は、実施の形態1および2で説明したとおりである。データ処理部158によるデータ処理の結果、工作物2の段差(エッジ)の位置を簡単かつ短時間で検出することができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
2 工作物、10 加工装置、16,142 サドル、18,144 テーブル、20 主軸頭、22 主軸、24 NC装置、30 X軸送り機構、32 Y軸送り機構、34 Z軸送り機構、36,38 回転駆動部、42 測定ヘッド、100,100A レーザ変位計、110 発光部、112 レーザダイオード、114 レンズ、116 レーザビーム、118,118A,118B 集光レンズ(光学系)、120,120A,120B リニアイメージセンサ(受光部)、130 測定対象物、132 レーザスポット、134 エッジ、140 表面形状測定装置、146 移動機構、146X X軸駆動機構、146Y Y軸駆動機構、146Z Z軸駆動機構、146C C軸駆動機構、150 コンピュータ、152 プロセッサ、154 メモリ、156 測定制御部、158 データ処理部、160 段差特定部、162 データ補正部、166 表面形状データ、200 工作機械、P0 分離開始点、P1 段差位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13