(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789059
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】樹脂金属複合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/085 20060101AFI20150917BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20150917BHJP
C08L 97/02 20060101ALI20150917BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20150917BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20150917BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
B32B15/085 Z
C08L23/00
C08L97/02
C08K3/34
C08K3/26
B05D7/14 Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-545843(P2014-545843)
(86)(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公表番号】特表2015-505750(P2015-505750A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】KR2013006444
(87)【国際公開番号】WO2014073769
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2014年5月13日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0124807
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514119306
【氏名又は名称】ワプス.カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WAPS.CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェ チョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソンミン
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ソンシク
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−007356(JP,A)
【文献】
特開2002−048350(JP,A)
【文献】
特表2010−535867(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/004060(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/085
B05D 7/14
C08K 3/26
C08K 3/34
C08L 23/00
C08L 97/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理またはプライマー塗布によって表面加工された金属材の表面にオレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤を含む合成樹脂がコーティングされた樹脂金属複合体であって、
前記フィラーは、有機フィラーまたは無機フィラーのうちの少なくとも一つであり、前記有機フィラーは、木粉、木質ペレット(wood pellet)、木質繊維(woody fiber)または紙粉から選択された一つ以上であり、前記無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト(wollastonite)またはカオリナイト(kaolinite)から選択された一つ以上であり、
前記金属材は、断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、L字、コの字または3〜10個の頂点がある開形態の柱であることを特徴とする樹脂金属複合体。
【請求項2】
前記オレフィン樹脂100重量部に対して、前記フィラーは、1〜100重量部、前記カップリング剤は0.1〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂金属複合体。
【請求項3】
前記カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂金属複合体。
【請求項4】
前記合成樹脂は添加剤をさらに含み、前記添加剤は光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤または潤滑剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂金属複合体。
【請求項5】
前記金属材は、アルミニウム、鉄、銅、クロム、ニッケル、ケイ素、マンガン、タングステン、亜鉛またはマグネシウムのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂金属複合体。
【請求項6】
金属板をロールフォーミング成形して、断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、L字、コの字または3〜10個の頂点がある開形態の柱である金属材を準備する金属材の準備段階と、
前記金属材の表面をプラズマ処理またはプライマーを塗布によって加工する金属材の表面加工段階と、
合成樹脂ペレットを溶融押出して合成樹脂コーティング液を準備する押出段階と、
前記金属材の表面に前記合成樹脂コーティング液を塗布して、樹脂金属複合体を形成するコーティング段階、および
前記樹脂金属複合体を冷却させる冷却段階と、を含むことを特徴とする樹脂金属複合体の製造方法。
【請求項7】
前記金属材の準備段階において、前記金属材は、アルミニウム、鉄、銅、クロム、ニッケル、ケイ素、マンガン、タングステン、亜鉛またはマグネシウムのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
【請求項8】
前記押出段階において、前記合成樹脂ペレットは、オレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤を含んでなり、
前記フィラーは、有機フィラーまたは無機フィラーのうちの少なくとも一つであり、前記有機フィラーは、木粉、木質ペレット、木質繊維または紙粉から選択された一つ以上であり、前記無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイトまたはカオリナイトから選択された一つ以上であり、前記カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
【請求項9】
前記コーティング段階において、前記金属材の表面に前記合成樹脂コーティング液を塗布するための金型を使用することを特徴とする請求項6に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
【請求項10】
前記コーティング段階において、前記合成樹脂コーティング液は、0.5〜7.0mmの厚さで前記金属材の表面に塗布されることを特徴とする請求項6または9に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
【請求項11】
前記冷却段階において、前記樹脂金属複合体は、5〜50℃の雰囲気で0.5〜10分間冷却させることを特徴とする請求項6に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂金属複合体の表面に模様を形成するエンボシング段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂金属複合体及びその製造方法に関し、より詳細には、オレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤が含まれている樹脂と金属材が結合された形態の樹脂金属複合体と一定の形態の金属材を準備して金属材の表面を化学処理し、薄く均一な厚さで合成樹脂を押出方式でコーティングすることができる樹脂金属複合体を一連の連続工程により製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脚光を浴びている建築資材として、木材とプラスチックを混合して製造するWPC(Wood Plastic Composite:放射線強化木材)プロファイル押出製品が内装及び外装建築資材として使用されている。
【0003】
WPCは、60%以上の高いフィラー含量とすることで強度は高くなったが比重が相対的に高くなり、そのため、重さが重いという欠点がある。このような欠点を補完するために重さを軽くするための方法として、様々な中空形態のデザインにより克服しようとしたが、中空構造の場合、さらに多くの断面積により水分に弱い欠点があり、また、施工時においても厚さが相対的に薄い方に荷重が集中して、衝撃によるクラック(crack)または穴などが発生し、結果的にWPCが破損するという問題点がある。
【0004】
これを改善するため、中空形態の内部寸法を、販売しているC形鋼または角管(square pipe)の外径と合うように製作して、製品内部にC形鋼または角管を挿入して、垣根、柱またはルーバーなどを製作して使用しているが、これはコストの上昇により経済的でない。また、正確な内部寸法が行われていない場合C形鋼または角管の挿入が難しく、一定の裕隔があった場合密着していないため、衝撃を与えるとWPC部分が割れる現象が起きざるを得ない。また、合成木材は、内部金属材層と密着していないため、製品別に用途に応じて10mm以上の一定の厚さが形成されてこそ、一定強度を備える木材金属複合体を製造することができるが、重さが重くて施工が難しくなり、経済性が低下する問題があった。このほか、金属材上に種々の樹脂を結合させて複合体を作って、様々な形態の建築資材が用途に合うように適切に使用できるようにすることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、オレフィン樹脂、有機・無機フィラー及びカップリング剤を含む樹脂が金属材上に結合することにおいて、結合力が優れて堅固でかつ様々な形態を具現することができる樹脂金属複合体を提供することに目的がある。
【0006】
また、本発明の目的は、一定の形態を有する金属材から最終樹脂金属複合体を製造する一体型工程において、一体型工程を遂行するために、プラズマ処理またはプライマー塗布を介して金属材表面の状態を調節する表面処理によって、合成樹脂との接着力を向上させることができる金属材表面の加工段階を含む製造方法を提供することに目的がある。また、薄いながらも強度の高い合成樹脂を具現するために、溶融押出時、合成樹脂ペレットと押出条件を最適化し、合成樹脂に一定の粘度を有するカップリング剤を使用して耐久性に優れるとともに、軽量な樹脂金属複合体を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の樹脂金属複合体は、金属材にオレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤を含む合成樹脂が結合された樹脂金属複合体であって、前記フィラーは、有機フィラーまたは無機フィラーのうちの少なくとも一つであり、前記有機フィラーは、木粉、木質ペレット(wood pellet)、木質繊維(woody fiber)または紙粉から選択された一つ以上であり、前記無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト(wollastonite)またはカオリナイト(kaolinite)から選択された一つ以上であることを特徴とする。前記オレフィン樹脂100重量部に対して、前記フィラーは、1〜100重量部、前記カップリング剤は0.1〜10重量部であることが好ましい。
【0008】
好ましい実施形態は、前記カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂であり、前記合成樹脂は添加剤をさらに含み、前記添加剤は光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤または潤滑剤のうちの少なくとも一つである。
【0009】
前記金属材は、アルミニウム、鉄、銅、クロム、ニッケル、ケイ素、マンガン、タングステン、亜鉛またはマグネシウムのうちの少なくとも一つであり、前記金属材は、断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、L字、コの字または3〜10個の頂点がある開形態の柱であることを特徴とする。
【0010】
前記の目的を達成するために、他の本発明の樹脂金属複合体の製造方法は、金属材を準備する金属材の準備段階と、前記金属材の表面を加工する金属材の表面加工段階と、合成樹脂ペレットを溶融押出して合成樹脂コーティング液を準備する押出段階と、前記金属材の表面に前記合成樹脂コーティング液を塗布して、樹脂金属複合体を形成するコーティング段階、および前記樹脂金属複合体を冷却させる冷却段階と、を含むことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記金属材の準備段階において、前記金属材は、アルミニウム、鉄、銅、クロム、ニッケル、ケイ素、マンガン、タングステン、亜鉛またはマグネシウムのうちの少なくとも一つであり、前記金属材の準備段階において、前記金属材は、金属板をロールフォーミング成形して、断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、L字、コの字または3〜10個の頂点がある開形態の柱であることを特徴とする。
【0012】
前記金属材の表面加工段階は、プラズマ処理またはプライマーを塗布することができる。
【0013】
前記押出段階において、前記合成樹脂ペレットは、オレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤を含んでなり、前記フィラーは、有機フィラーまたは無機フィラーのうちの少なくとも一つであり、前記有機フィラーは、木粉、木質ペレット、木質繊維または紙粉から選択された一つ以上であり、前記無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイトまたはカオリナイトから選択された一つ以上であり、前記カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂であることを特徴とする。
【0014】
前記コーティング段階において、前記金属材の表面に前記合成樹脂コーティング液を塗布するための金型を使用することが好ましく、前記コーティング段階において、前記合成樹脂コーティング液は、0.5〜7.0mmの厚さで前記金属材の表面に塗布されることが好ましい。
【0015】
前記冷却段階において、前記樹脂金属複合体は、5〜50℃の雰囲気で0.5〜10分間冷却させることを特徴とし、前記樹脂金属複合体の表面に模様を形成するエンボシング段階をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、オレフィン樹脂と最適のフィラー及びカップリング剤を含む樹脂を金属材上に堅固に結合させることで耐久性に優れるとともに、様々な形態で具現することができる樹脂金属複合体を提供することができる。
【0017】
また、本発明によると、金属材と合成樹脂を結合した形態の樹脂金属複合体を製造することにおいて、加工初期から完成品まで連続的な工程により行われることができ、これによって所望の最適化された形態と厚さの完成品を製造することができる。
【0018】
また、合成樹脂コーティング液を塗布することにおいて、金属材の表面状態を調節するために、プラズマ処理またはプライマーを塗布し、合成樹脂は最適の粘度を有するシラン系カップリング剤を含むことにより、金属材と合成樹脂との間の接着力を強くして、薄く均一に合成樹脂コーティング液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂金属複合体を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る樹脂金属複合体を製造する方法を順に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る樹脂金属複合体及びその製造方法について、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明は、下記の実施形態により、さらに理解することができ、下記の実施形態は本発明の例示目的のためのものであって、添付の特許請求の範囲によって限定される保護範囲を制限するものではない。
【0021】
本発明は、樹脂金属複合体に関するものであって、金属材にオレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤を含む樹脂が結合された形態である。前記フィラーは、有機フィラーまたは無機フィラーのうちの少なくとも一つであり、前記有機フィラーは、木粉、木質ペレット、木質繊維または紙粉から選択された一つ以上で、前記無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイトまたはカオリナイトから選択された一つ以上であることが好ましい。
【0022】
有機フィラーである木質ペレット、木質繊維または紙粉を改良し、押出製品を生産することもできるが、前記で述べたように、耐久性の面で顕著に低下し、様々な形態で製造するのが難しいという問題があり、本発明のように金属材上に結合する形態を具現することによって、堅固でかつ用途に適した表面を有する建築資材が可能である。また、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイトまたはカオリナイトのような無機フィラーを含むことにより樹脂の物性を改善することができる。すなわち、前記のような無機フィラーは、水分を吸収せず、表面活性効果を高めて収縮変化防止の効率が優れて、合成樹脂製造時の成形性を顕著に改善させることができる。したがって、樹脂金属複合体の用途及び金属の種類に応じて、有機フィラーと無機フィラーを組み合わせて使用することができる。
【0023】
前記合成樹脂の組成は、オレフィン樹脂100重量部に対して、フィラーは1〜100重量部、カップリング剤は0.1〜10重量部であることが好ましい。フィラーは1重量部未満の場合には、強度が低くなって接着力が顕著に低下し、金属材に結合させることが難しいという問題点があり、また、100重量部を越える場合には、強度は高くなるが金属材上に樹脂を薄く塗布することが難しいという問題点がある。カップリング剤は、0.1重量部未満の場合には接着力が低下して、樹脂内の物質間の結束力が減少して弾性が低下し、10重量部を超過する場合には押出程度が減少する問題がある。
【0024】
カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂であることが好ましい。シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂は、多量使用される有機フィラー及びオレフィン樹脂による製品の強度の低下を防止し、天然木材水準の弾性と強度を有する組成物を製造することができるようになる。シラン樹脂は、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、ウレイドシラン、メタクリルオキシシラン、ビニールシラン、グリシドキシシラン及びスルフィドシランから選択された一つ以上であることが好ましい。
【0025】
前記合成樹脂は、添加剤をさらに含むことができ、添加剤は、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤または潤滑剤のうちの少なくとも一つであることが好ましい。これらの添加剤は、該当技術分野で通常的に使用されるものであれば限定されず使用することができる。
【0026】
詳しくは、光安定剤はビス2,2,6,6-テトラメチル-4ピペリジルが好ましく、光安定剤を添加することによりオレフィン樹脂や合成樹脂が紫外線に露出されると、耐候性が低下したり、色が脱色されるのを防止することができる。酸化防止剤は、リン酸塩系の酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、カルシウムステアリン酸塩を使用して、紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾル系を使用することが好ましく、これにより樹脂金属複合体の耐久性を向上させることができる。また、潤滑剤はエステル系の潤滑剤またはアミド系潤滑剤が好ましく、より好ましくはポリエチレンワックスまたはポリプロピレンワックスが効果的である。潤滑剤は、合成樹脂の各成分の間の潤滑性を提供し、各成分の混合過程で摩擦力を減少させてフィラーの分散度を高める役割をする。
【0027】
金属材は、アルミニウム、鉄、銅、クロム、ニッケル、ケイ素、マンガン、タングステン、亜鉛、マグネシウムのうちの少なくとも一つであることが好ましく、より好ましくは鉄が効果的であり、さらに好ましくはクロムを一定量含有して、腐食が防止されるステンレス鋼が最も効果的である。金属材の形態はいかなる形態でも構わないが、一般的に断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形または七角形で閉構造であるか、L字、コの字または3〜10個の頂点がある開形態の柱であることが好ましい。
【0028】
図1において、(a)は断面が円形の金属材10上に合成樹脂20が結合された形態であり、(b)は断面がC形態の金属材10上に合成樹脂20が結合された形態であり、(c)は断面が四角形の金属材10上に合成樹脂20が結合された形態であり、閉形態の金属材の場合、(a)または(c)に示すように前記金属材10の中が空の形態であり得る。
【0029】
前記合成樹脂20は、0.5〜7.0mmの厚さで形成されることができ、より好ましくは0.5〜3.0mmの厚さであることが効果的である。
【0030】
樹脂金属複合体は、
図1の形態に限定されるものではなく、用途に応じて様々な形態であり得る。
【0031】
また、本発明は、樹脂金属複合体の製造方法に関し、より詳しくは、合成樹脂-金属複合体に最適化された製造方法に関するものである。樹脂金属複合体は、
図2に示すように金属材の準備段階S10、金属材の表面加工段階S20、押出段階S30、コーティング段階S40及び冷却段階S50を経て、製造される。
【0032】
金属材の準備段階S10は、樹脂金属複合体の内部に位置し、最終的に製造される樹脂金属複合体の高強度を維持するようにする金属材を準備する段階である。従来のC形鋼あるいは角管を内部に挿入して、WPCのような樹脂と金属の一体型製品を生産する方式とは異なり、金属材を最初に製造することにより、樹脂金属複合体の形態を多様にすることができ、また優れた耐久性を有する。
【0033】
金属材は、アルミニウム、鉄、銅、クロム、ニッケル、ケイ素、マンガン、タングステン、亜鉛、マグネシウムのうちの少なくとも一つであることが好ましく、より好ましくは鉄が効果的であり、さらに好ましくはクロムを一定量含有して、腐食が防止されるステンレス鋼が最も効果的である。
【0034】
金属材の金属板またはロール形態で提供されている金属をロールフォーミング(Roll foaming)成形をして、一定の形態に折って、所望の形態に製造することができ、金属材の形態はいかなる形態でも構わないが、一般的に断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形または七角形で閉構造であるか、L字、コの字または3〜10個の頂点がある開形態の柱であることが好ましい。
【0035】
金属材の表面加工段階S20は、ロールフォーミング成形されて生成された金属材の表面を加工する段階であって、金属材表面に下記の合成樹脂コーティング液を薄く均一な厚さで塗布するための表面処理が行われる。金属材の表面は、プラズマ処理またはプライマー塗布により、合成樹脂コーティング液と金属材との堅固な接着が可能となる。
【0036】
プラズマ処理は、通常の方法によりプラズマ処理を実施することができるが、金属材を10
-2torr以下の圧力でアルゴン単独で、または前記アルゴンに酸素または窒素をさらに含む雰囲気下で、プラズマ処理することが好ましい。これは、前記圧力より高い圧力でプラズマ処理をすると、不純物によるアーク放電が起きることがあるからである。
【0037】
プライマー塗布時、前記プライマーは、金属材と合成樹脂コーティング液との接着を容易にするためのものであって、少量を塗布する。前記プライマーは、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を含む組成物のもので、一般的に熱可塑性樹脂は、耐熱温度が低く、樹脂との接着力は優れているが金属との接着力が良くなく、熱硬化性樹脂は、耐熱温度が高く、熱硬化性樹脂や金属との接着力は優れているが熱可塑性樹脂との接着力が良くない特性がある。したがって、熱硬化性樹脂を混合して組成されたプライマーを使用することが好ましく、熱硬化性樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂100重量部であることが効果的である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂とメラミン樹脂が、熱可塑性樹脂としては、メチルセルロースとポリ酢酸ビニル樹脂が好ましい。
【0038】
前記のような化学的処理とともに表面粗さを調節する物理的加工を実施することによって接着力を極大化させることができる。本発明の金属材表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.5〜10μm、最大高さ(Rmax)は20〜50μmであることが好ましい。前記の中心線平均粗さと最大高さの範囲を外れた場合、金属材の表面が表面粗さの程度が小さくて樹脂コーティング液との接着力が弱いため、薄く塗布することが難しくなったり、表面粗さの程度が大きくて滑らかにコーティングされず、外観上の美感が損なわれる問題がある。このような表面加工は加工方法に制限がないが、旋削(turning)、ミーリング(milling)、研削(grinding)、ラッピング(lapping)またはホーニング(honing)の金属加工法が好ましい。
【0039】
押出段階S30は、金属材に塗布する合成樹脂コーティング液を準備するためのものであって、合成樹脂ペレットを溶融押出して合成樹脂コーティング液を準備する段階である。
【0040】
合成樹脂ペレットを構成する合成樹脂の組成は、前記で説明したように、オレフィン樹脂、フィラー及びカップリング剤を含み、フィラーは、有機フィラーまたは無機フィラーのうちの少なくとも一つであり、前記有機フィラーは木粉、木質ペレット、木質繊維または紙粉から選択された一つ以上であり、前記無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイトまたはカオリナイトから選択された一つ以上であり、前記カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂であることが好ましい。特に、本発明は、有機フィラーを使用する場合、木粉、オレフィン樹脂及びカップリング剤を含んで製造することが好ましい。
【0041】
有機フィラーのうち木粉について、その種類には制限がない。広葉樹の木粉と針葉樹の木粉のうち、どちらを使用しても構わないが、広葉樹が針葉樹に比べて比重が高く、粒子を一定に製造することができるため、広葉樹の木粉がより好ましい。このような特性により、合成樹脂コーティング液を薄く塗布することができる。木粉は、10〜200メッシュの粒子サイズを有し、含水率が8%未満であることが好ましい。含水率が8%を超過する場合、機械的物性と生産性の低下をもたらす問題がある。
【0042】
オレフィン樹脂とは、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPEのようなエチレン重合体)及びこれらの共重合体またはこれら重合体の混合物を称する。オレフィン樹脂は、他の樹脂に比べて外部衝撃に強く、高強度の樹脂を製造することができる。
【0043】
オレフィン樹脂とフィラーとの間の結合力を増大させるためにカップリング剤が含まれることが好ましい。カップリング剤は、シラン樹脂または無水マレイン酸変性樹脂を使用することが好ましく、これはオレフィン樹脂とフィラーを結合するのに優れた性能を有する。カップリング剤は、粘度が20,000〜25,000cpsであることが好ましく、20,000cps未満である場合には、強度の増加が微小で、樹脂コーティング剤を薄く塗布することが難しく、粘度が25,000cpsを超過する場合には、合成樹脂が金属材表面から剥離され、製品の耐久性が顕著に低下することがある。
【0044】
合成樹脂は、添加剤として光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤または潤滑剤のうちの少なくとも一つをさらに含むことが好ましく、各添加剤間の比率は同一の重量費で使用することが効果的である。
【0045】
合成樹脂の組成は、オレフィン樹脂100重量部に対して、フィラー1〜100重量部、カップリング剤0.1〜10重量部、添加剤5〜20重量部であることが好ましい。
【0046】
合成樹脂ペレットは、直径が2〜5mmのものを使用し、使用されるペレットの直径が平均的に前記の範囲で一定の場合、押出性が優秀に発揮されるが、前記範囲を外れて、ペレットの形状が互いに異なる場合、スクリューに原料の供給量が一定していないため、押出性が低下する問題がある。
【0047】
良質の合成樹脂コーティング液を生産する重要な工程である押出工程は、原料の合成樹脂ペレットが押出機のホッパー(hopper)を介して、スクリューに入ってから始まる。木紛の特性上、比重が低く、炭化点が低く、木紛の内部構造が押出工程上の激しい剪断応力(shear stress)に弱いため、二重押出方式により、スクリューの直径が20〜100mmであることが好ましい。前記直径の範囲のスクリューを使用する場合、最適の混練度及び最小の剪断応力を維持して、直径が2〜5mmの合成樹脂ペレットに対して最適の押出状態を組成し、優れた押出性を具現することができる。
【0048】
また、押出速度は1〜10m/minが好ましく、より好ましくは2〜5m/minが効果的である。押出速度が1m/min未満の場合には、製造されたプロファイルの表面が粗くなったり、屈曲が生じて曲がるため経済性が低下し、10m/minを越える場合には生産条件の制御に困難があって、コーティング状態が一定していない製品が生産される問題点がある。
【0049】
コーティング段階S40は、樹脂金属複合体を形成する段階であって、金属材の準備段階S10と金属材の表面加工段階S20とを経て生産された金属材上に、押出段階S30を経て生産された合成樹脂コーティング液を塗布する。
【0050】
塗布するために金属材は、金型で長さ方向に移送されて投入され、押出段階S30を経た合成樹脂コーティング液が金属材に薄い厚さで塗布して樹脂金属複合体が形成される。金型は、塗布厚さに応じ異なって製作することができる。本発明の場合、内部に高強度の金属材があるだけでなく、プラズマ処理またはプライマー塗布過程を実施して、金属材の表面の状態を調節し、合成樹脂の組成を最適にして、接着力を高めたので、従来とは異なり、薄い厚さでも塗布が可能である。したがって、合成樹脂コーティング液を0.5〜7.0mmの厚さでも金属材の表面に塗布することができ、より好ましくは0.5〜3.0mmの厚さが効果的である。
【0051】
冷却段階S50は、樹脂金属複合体を冷却させる段階で、溶融押出された状態の合成樹脂コーティング液を塗布したため、樹脂金属複合体を5〜50℃ 雰囲気下で0.5〜10分間冷却させる。冷却温度が5℃未満の場合には、塗布された合成樹脂上にクラックが発生することがあって経済性が低下し、50℃を越える場合には冷却温度が高く、冷却時間が過度に所要され経済性が低下する。冷却装置では、冷却水槽を使用することが好ましく、空冷方式を使用してもよい。
【0052】
冷却段階S50以後の生産を容易にするために引取段階S60をさらに含むことができ、引取された後に表面を流麗にするためのエンボシング段階S70及び生産された樹脂金属複合体を必要な長さに応じて切断する切断段階S80をさらに含むことが好ましい。前記樹脂金属複合体の表面に様々な模様を形成することができ、特に実際の木の質感を付与するために木目模様を形成することができ、模様形成のためのエンボシング処理は高圧でディープエンボシングが可能である。従来のWPCのみからなる材料は、強度が本発明による樹脂金属複合体より弱く、エンボシングが難しく、角管を挿入して作った場合、連続生産が難しいという問題がある。
【0053】
このように、金属材の準備段階S10、金属材の表面加工段階S20、押出段階S30、コーティング段階S40、冷却段階S50、引取段階S60、エンボシング段階S70及び切断段階S80を含む一連の段階を経て、加工初期から完成品まで連続的な工程により行われるようにすることができるだけでなく、異種素材間の融合及び生産を効率的に行うことができ、生産コストの節減が可能である。また、既存の製品の金属角管あるいはC形鋼を使用しなければならない非効率性から脱して、所望の最適化された形態と厚さの製品を使用することができ、本発明に係る場合、製品に最適化された設計が可能であるという長所がある。
【0054】
また、本発明は、前記の方法によって製造された樹脂金属複合体に関するものである。
【0055】
従来のWPCのみで構成された資材の場合、強度が脆弱であり、太陽に長期間放置されると、表面の色相が変質して物性自体が劣化され耐久性に限界がある反面、本発明の製造方法による樹脂金属複合体は、金属材に合成樹脂をコーティングした形態で優れた物性及び耐久性を保持することができる。
【0056】
本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲内で様々な形態の実施形態に具現することができる。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【産業上の利用可能性】
【0057】
金属材に合成樹脂をコーティングして物性及び耐久性に優れた樹脂金属複合体が提供される。また、本発明の樹脂金属複合体の製造方法によって、一連の過程を経て金属材に合成樹脂が塗布された形態の樹脂金属複合体を製造することができ、金属材の表面の状態及び合成樹脂の組成を最適化し、耐久性及び強度に優れた樹脂金属複合体を提供することができ、連続的な工程によって、所望の最適化された形態と厚さの樹脂金属複合体が提供される。