(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる二重容器は、内容物を収容する内容器と、内容器を収容する外容器と、内容器に収容される内容物を吐出するポンプと、を備える。内容器は、内容物を収容するための収容空間を有する第1胴部と、第1胴部から延びている第1口部と、第1口部の外周面に形成される第1雄螺子と、を有する。外容器は、内容器を収容する第2胴部と、第2胴部から延びている第2口部と、第2口部の外周面に形成される第2雄螺子と、を有する。ポンプは、第1雄螺子に螺合する第1雌螺子、及び第2雄螺子に螺合する第2雌螺子を有するポンプキャップを有する。第1雄螺子に対して第1雌螺子を締め付け、かつ、第2雄螺子に対して第2雌螺子を締め付ける方向を締め付け方向とし、第1雄螺子に対して第1雌螺子を緩め、かつ、第2雄螺子に対して第2雌螺子を緩める方向を開放方向として、外容器及び内容器は、外容器と内容器の締め付け方向における相対移動を、締め付け方向における所定位置で制限するとともに、開放方向の相対移動を許容する位置決め部を有する(第1の構成)。
【0013】
上記構成によれば、位置決め部を有するため、外容器に対する内容器の位置が所定位置で位置決めされ、締め付け方向における内容器の空回りが抑制される。このため、内容器にポンプを取り付けてから、外容器に内容器を収容し、外容器にポンプキャップを取り付けてもよく、内容器にポンプを取り付ける前に、外容器に内容器を収容し、その後で内容器と外容器にポンプキャップを取り付けることもできる。よって、外容器だけでなくポンプを再利用でき、かつ、内容器と外容器とポンプの取り付け順序に制限がなく、いずれの順序で取り付けても内容器、外容器及びポンプを容易に取り付けることができる。
【0014】
上記第1の構成において、内容器は、外容器に収容された状態で第2口部に対向する肩部を、有する。位置決め部は、内容器の肩部に設けられる第1位置決め部と、外容器の第2口部に設けられる第2位置決め部と、を有する。第2位置決め部は、第2口部の端部の略全周に形成されるとともに、締め付け方向に向かうに従って第2胴部からの距離が減少するように傾斜する第2傾斜面と、第2傾斜面の端部のうち、第2口部の周方向における一方の端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部として、第1端部と第2端部に挟まれる位置に形成される第2係合面と、を有する。第1位置決め部は、肩部の端部の略全周に形成されるとともに、内容器が外容器に収容された状態で、第2傾斜面に組み合わされる第1傾斜面と、肩部の端部に形成され、内容器が外容器に収容された状態で、第2係合面に組み合わされる第1係合面と、を有してもよい(第2の構成)。
【0015】
上記構成によれば、内容器の第1位置決め部は、第1傾斜面及び第1係合面を有し、外容器の第2位置決め部は、第2傾斜面及び第2係合面を有する。外容器と内容器の締め付け方向における相対移動は、第1係合面及び第2係合面が組み合わされるまでは許容され、第1係合面及び第2係合面が組み合わされる所定位置では相対移動が制限される。このため、内容器と外容器とポンプの取り付け順序に制限がなく、いずれの順序で取り付けても内容器、外容器及びポンプは、所定位置まで相対移動可能であり、所定位置で相対移動が制限されることで、内容器と外容器は、正しい位置で位置決めされ、空回りが抑制される。よって、内容器と外容器とポンプをいずれの順序で取り付けても、内容器及び外容器にポンプキャップを締め付けることができる。
【0016】
上記第2の構成において、二重容器の中心軸に直交する面を水平面とし、水平面に対する第1傾斜面の傾斜角を第1傾斜角とし、水平面に対する第2傾斜面の傾斜角を第2傾斜角とし、水平面に対する第2雄螺子の傾斜角であるリード角を第2リード角とする。第1傾斜角及び第2傾斜角は、第2リード角と等しくしてもよい(第3の構成)。
【0017】
上記構成によれば、第1傾斜角及び第2傾斜角は、第2リード角と等しい。このため、内容器と外容器にポンプキャップが螺合しながら、内容器及び外容器が相対移動する場合に、第1傾斜面及び第2傾斜面が干渉して相対移動が妨げられることが抑制され、内容器及び外容器が円滑に相対移動する。このため、内容器、外容器及びポンプを円滑に取り付けることができる。
【0018】
上記第2又は第3のいずれかの構成において、内容器は、外容器の第2口部に差し込まれる差込部を有する。内容器を外容器に挿入する方向を挿入方向として、差込部は、第1傾斜面のうち最も挿入方向側に突出している部分よりも、挿入方向側に突出していてもよい(第4の構成)。
【0019】
上記構成によれば、差込部は、第1傾斜面のうち最も挿入方向側に突出している部分よりも、挿入方向側に突出している。このため、内容器を外容器に挿入する際に、差込部が外容器の第2口部に差し込まれるため、内容器の位置が外容器に対して安定する。
【0020】
上記第1から第4のいずれかの構成において、内容器の内部に配置されるアダプタを更に備える。アダプタは、第1口部に装着され、収容空間内に向けて延びる第1アダプタと、収容空間内において、第1アダプタの外側に装着される第2アダプタと、を有する。第1アダプタは、さらに、ポンプを挿入可能であるポンプ挿入口が形成されるとともに、ポンプ挿入口から挿入したポンプを収容するポンプ収容空間が内側に形成される第1アダプタ本体と、第1アダプタ本体の端部のうちポンプ挿入口とは反対側の端部に形成され、ポンプ収容空間に連通可能である第1吸引口と、ポンプ収容空間と第1吸引口を連通させない位置である閉位置から、連通させる位置である開位置に切り替え可能であり、ポンプを装着することで閉位置から開位置に切り替えられる栓と、第1アダプタ本体の側部に形成され、収容空間とポンプ収容空間を連通させる通気孔と、を有する。第2アダプタは、さらに、第1アダプタ本体の外面のうち、通気孔よりも第1吸引口側の位置から第1吸引口までを覆う第2アダプタ本体と、第2アダプタ本体の端部のうち通気孔側の一方の端部から、第1アダプタ本体の外面及び通気孔を覆うように延びる弁部と、第2アダプタ本体の他方の端部に形成され、第1吸引口及びパイプに連通する第2吸引口と、を有してもよい(第5の構成)。
【0021】
上記構成によれば、アダプタは、第1アダプタ及び第2アダプタを有している。第2アダプタに形成される弁部によって、第1アダプタに形成される通気孔が覆われている。このため、ポンプを取り付ける前の状態、及びポンプを取り付けた状態のいずれの状態でも、通気孔から内容物が漏出することを抑制することができ、ポンプのシリンダ外部に内容物が付着することを抑制することができる。ポンプのシリンダ外部に内容物が付着した場合、ポンプを再利用する場合に内容物が外気に触れるため、変質したり、塵挨や雑菌が付着するおそれがあるが、ポンプのシリンダ外部に内容物が付着することを抑制することができるため、ポンプを付け替えた新たな内容器内の内容物におよぼす悪影響を抑制することができる。
【0022】
[実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る二重容器300を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0023】
[全体構成]
まず、二重容器300の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る二重容器300の正面半断面図である。以下の図では、矢印Rは二重容器300の右方向を示し、矢印Lは左方向を示す。矢印Uは二重容器300の上方向を示し、矢印Dは下方向を示す。
【0024】
図1に示すように、二重容器300は、内容器100、外容器200、及びポンプ60を備えている。内容器100の内部には、例えば液状の化粧料のように流動性を有する内容物が収容される。外容器200は、内容器100を収容している。ポンプ60は、内容器100、及び外容器200に取り付けられている。ポンプ60は、使用者が押下げる操作を行うことにより、内容物を吐出可能である。二重容器300を使用しない場合は、二重容器300の上部にオーバーキャップ20を取り付けることができる。
【0025】
内容器100は、第1胴部14、第1口部18、第1雄螺子181、及びフランジ19を有している。
【0026】
第1胴部14は、内容物を収容するための収容空間12を有している。第1口部18は、第1胴部14から上方に延びている。第1雄螺子181は、第1口部18の外周面に形成されている。フランジ19は、第1口部18の下部から第1口部18の半径方向外側に延びている。フランジ19には、肩部191及び差込部192が設けられている。差込部192は、筒状であり、下方に向けて延びている。肩部191は、差込部192の外側に配置されている。肩部191は、差込部192の略全周に形成されており、下方に向けて延びている。本実施形態では、肩部191及び差込部192は一体に形成されている。内容器100の内部には、アダプタ30が配置されている。
【0027】
外容器200は、第2胴部214、第2口部218、第2雄螺子281を有している。第2胴部214は、内容器100を収容している。第2口部218は、第2胴部214から上方に延びている。第2口部218の上部は、内容器100の肩部191の下部に対向している。第2口部218の内側には、内容器100の差込部192が差し込まれている。第2雄螺子281は、第2口部218の外周面に形成されている。
【0028】
ポンプ60は、ポンプキャップ61、シリンダ62、及びヘッド63を有している。ポンプキャップ61の内周面には、第1雌螺子164及び第2雌螺子165が形成されている。第1雌螺子164は、内容器100の第1雄螺子181に螺合している。第2雌螺子165は、外容器200の第2雄螺子281に螺合している。シリンダ62は、ポンプキャップ61の内側に固定されている。ヘッド63は、ポンプキャップ61の上部に配置されている。ヘッド63は、ポンプキャップ61に対して上下方向に押動操作が可能である。
【0029】
二重容器300は、内容器100に収容されていた内容物を使い切った後、内容器100を別の新たな内容器100に交換可能である。つまり、内容器100は交換可能なレフィル容器である。外容器200及びポンプ60は再利用可能である。内容器100を交換する場合は、内容物を使い切った空の内容器100とポンプ60を外容器200から取り外し、内容器100からポンプ60を取り外す。取り外したポンプ60は、レフィル容器である別の新たな内容器100に付け替える。ポンプ60を取り付けた新たな内容器100を外容器200に収容し、ポンプ60を外容器200に取り付ける。内容器100、外容器200、及びポンプ60の取り付けは、他の手順で行ってもよい。
【0030】
[内容器の構成]
図2は、内容器100の正面断面図である。第1胴部14の収容空間12には、内容物Mが収容されているものとする。本実施形態の第1胴部14は、略円筒状であり、側壁部141、底壁部142、及び天壁部143を有している。内容器100の内部にはアダプタ30が配置されている。
【0031】
第1口部18は、天壁部143に連続して形成され、上方に延びている。第1口部18の内側には、収容空間12に連通する開口部16が形成されている。第1口部18の外周面には、第1雄螺子181及び固定用鍔部182が形成されている。
図2では、第1雄螺子181には、仮キャップ51の雌螺子511が螺合している。固定用鍔部182は、第1口部18の上端において鍔状に突出するように形成されている。
【0032】
第1口部18の下部からは、フランジ19が第1口部18の半径方向外側に延びている。フランジ19には、肩部191及び差込部192が設けられている。差込部192は、筒状であり、下方に向けて延びている。肩部191は、差込部192の外側に配置されている。肩部191には、位置決め部400の第1位置決め部410が形成されている。差込部192は、肩部191よりも下方まで延びている。位置決め部400については後に詳細に説明する。
【0033】
内容器100は、合成樹脂素材で形成されている。内容器100は、例えば、第1口部18及びフランジ19を有するプリフォームを射出成形し、プリフォームから中空の第1胴部14をブロー成形して製造することができる。
【0034】
アダプタ30は、第1アダプタ31、第2アダプタ41、及びパイプ70を有している。アダプタ30は、合成樹脂素材で形成されている。
【0035】
第1アダプタ31は、内容器100の第1口部18に装着されている。第1アダプタ31は、第1アダプタ本体32、第1吸引口38、栓39、及び通気孔40を有している。
【0036】
第1アダプタ本体32は、断面円形の筒状体であり、上方から下方に向けて径が小さくなるように形成されている。第1アダプタ本体32の上部には、ポンプ60を挿入可能であるポンプ挿入口34が形成されている。第1アダプタ本体32の内側には、ポンプ収容空間36が形成されている。ポンプ収容空間36は、ポンプ挿入口34からポンプ60を挿入した場合にポンプ60の一部を収容可能である。
【0037】
第1アダプタ本体32の上端の外周部には、フランジ324が形成されている。フランジ324の外周部には、第1口部18の固定用鍔部182に係合する係合部325が形成されている。固定用鍔部182に係合部325が係合することにより、第1アダプタ31は、内容器100の第1口部18に固定されている。
【0038】
第1吸引口38は、第1アダプタ本体32の底部に形成されている。第1吸引口38は、第1アダプタ本体32の底部を上下方向に貫通する円形の孔である。第1吸引口38の周囲には、第1吸引口38の中心方向に突出する第1突出部381が形成されている。
【0039】
栓39は、第1アダプタ本体32の下部に配置されている。栓39は、第1吸引口38に差し込まれた状態で配置されている。栓39は、第1吸引口38に対して上下方向に移動可能である。栓39は、栓本体391、底部393、第3吸引口394を有している。
【0040】
栓本体391は、筒状の側部392を有している。筒状の側部392の内側には挿通空間395が形成されている。栓本体391は、第1吸引口38に差し込まれている。栓本体391の上部には、側部392の径方向外側に突出する支持突起396が形成されている。支持突起396は、第1吸引口38よりも外側に延びている。
【0041】
側部392の上下方向の中央部には、第3吸引口394が複数形成されている。第3吸引口394は、側部392を貫通する孔である。第3吸引口394は、側部392の周方向に間隔を空けて形成されている。側部392の上下方向の中央部における外径は、第1吸引口38よりもやや小さく設定されている。
【0042】
側部392の下部には、閉塞部398が形成されている。閉塞部398は、第1吸引口38に嵌め込まれると、第1吸引口38の内面に密着して第1吸引口38を塞ぐような形状に形成されている。
【0043】
底部393は、栓本体391の下部に形成されている。底部393の外径は、第1吸引口38の内径よりも大きい。
【0044】
図2では、閉塞部398が、第1吸引口38に嵌め込まれた状態となっている。この状態を、栓39が閉位置P1にある状態とする。栓39が閉位置P1にある状態では、第1吸引口38は、栓39によって塞がれている。言い換えると、第1吸引口38は、ポンプ収容空間36に連通していない。
【0045】
ここで、
図4を参照して、栓39が閉位置P1から下方に移動した状態を、栓39が開位置P2にある状態とする。栓39が開位置P2にある状態では、第1吸引口38は、第3吸引口394及び挿通空間395を介してポンプ収容空間36に連通している。開位置P2では、支持突起396の下部が第1突出部381の上部に接触し、栓39が第1吸引口38から抜け落ちることを防止している。
【0046】
図2に戻って、第1アダプタ本体32の下部の内面において、第1突出部381の上方には、第3筒状部323の内部に突出するシール部382が形成されている。シール部382は、第1アダプタ本体32の内周面に沿って環状に形成されている。
【0047】
通気孔40は、第1アダプタ本体32の上部の側部に形成されている。通気孔40は、天壁部143よりも下方に位置しており、収容空間12内に位置している。通気孔40は、貫通孔であり、収容空間12とポンプ収容空間36を連通させる。
【0048】
第2アダプタ41は、収容空間12内において、第1アダプタ31の外側に装着されている。第2アダプタ41は、合成樹脂素材で形成されている。第2アダプタ41は、第2アダプタ本体42、弁部44、及び第2吸引口46を有している。
【0049】
第2アダプタ本体42は、断面円形の筒状体である。第2アダプタ本体42は、第1アダプタ本体32の外面のうち、通気孔40よりも下方の位置から第1吸引口38までを覆っている。
【0050】
弁部44は、第2アダプタ本体42の上端から上方に向けて延びている。言い換えると、弁部44は、第2アダプタ本体42の端部のうち通気孔40側の端部から、第1アダプタ本体32の外面及び通気孔40を覆うように延びている。弁部44は、断面円形の筒状体である。弁部44は、第2アダプタ本体42の肉厚よりも薄く形成されている。弁部44の上端は、自由端になっている。このため、弁部44は、第1アダプタ本体32に接触して通気孔40を覆うような閉じた状態と、上部が第1アダプタ本体32から離れて通気孔40を開放する開いた状態とに変形可能である。以下では、弁部44が閉じた状態を閉塞状態S1とし、弁部44が開いた状態を開放状態S2とする。
図2では、弁部44は、閉塞状態S1になっている。
【0051】
弁部44は、通気孔40を開閉する逆止弁として動作する。弁部44は、ポンプ収容空間36から収容空間12に向かう方向には外気の導入を可能とし、収容空間12からポンプ収容空間36に向かう方向には内容物Mの漏出を抑制する。弁部44の動作については後述する。
【0052】
第2アダプタ41の素材として、柔軟性を有する合成樹脂素材を用いることが好ましい。弁部44が柔軟性を有することで、逆止弁として動作しやすくなる。柔軟性を有する合成樹脂素材として、例えば、オレフィン系樹脂を用いることができる。
【0053】
弁部44は、第1突条48及び第2突条49を有している。第1突条48は、通気孔40よりも上方において、弁部44の内周に形成されている。第1突条48は、閉塞状態S1では第1アダプタ本体32の外面に接触している。第2突条49は、通気孔40よりも下方において、弁部44の内周に形成されている。第2突条49も、閉塞状態S1では第1アダプタ本体32の外面に接触している。閉塞状態S1で第1突条48及び第2突条49が第1アダプタ本体32の外面に接触することにより、閉塞状態S1での気密性が高められている。
【0054】
第2吸引口46は、第2アダプタ本体42の下端部に形成されている。第2吸引口46は、第1吸引口38と収容空間12を連通させることが可能な円形の貫通孔である。第2吸引口46の周囲には、下方に向けてパイプ支持部461が延びている。パイプ支持部461は、筒状であり、第2吸引口46に連通している。
【0055】
パイプ70は、収容空間12内に配置され、パイプ支持部461に支持されている。パイプ70は、第2吸引口46から収容空間12の下部に向けて延びている。パイプ70は、第2吸引口46、第1吸引口38、第3吸引口394、及び挿通空間395を介してポンプ収容空間36に連通している。
【0056】
図3は、内容器100にポンプ60を取り付ける前の状態を示す正面断面図である。
図3では、内容器100の仮キャップ51は取り外されている。仮キャップ51が取り外されている状態で内容器100を転倒させたとしても、内容器100の栓39は閉位置P1の状態にあり、弁部44は閉塞状態S1の状態にある。このため、内容物Mが内容器100の外部に流出することが防止されている。
【0057】
ポンプ60は、ポンプキャップ61、シリンダ62、及びヘッド63を有している。ポンプキャップ61は、第1筒部611、第2筒部612、キャップ天部613、内壁614を有している。第1筒部611は、第2筒部612よりも小径である。第1筒部611の内径は、内容器100の第1口部18の外径よりもやや大きい。第2筒部612の内径は、外容器200の第2口部218の外径よりもやや大きい(
図1参照)。キャップ天部613は、第1筒部611の下部と第2筒部612の上部に連続している。内壁614は、第1筒部611の内側の上部に形成されている。キャップ天部613の下部には、リブ616が形成されている。リブ616は下方に突出している。リブ616は、下面視で円状に形成されており、キャップ天部613の全周に渡って形成されている。ポンプ60を内容器100に取り付けた状態では、リブ616は、内容器100のフランジ19の上面に接触する。
【0058】
ポンプキャップ61の内周面には、第1雌螺子164及び第2雌螺子165が形成されている。第1雌螺子164は、内容器100の雄螺子181に螺合する。第2雌螺子165は、外容器200の第2雄螺子281に螺合する(
図1参照)。
図3において、内容器100の中心軸を中心軸L1とする。内容器100の第1雄螺子181に対してポンプキャップ61の第1雌螺子164を締め付ける方向を、中心軸L1回りの締め付け方向D1とする。また、内容器100の第1雄螺子181に対してポンプキャップ61の第1雌螺子164を緩める方向を、中心軸L1回りの開放方向D2とする。
【0059】
シリンダ62は、ポンプキャップ61の内壁614の下方に固定されている。シリンダ62の上部にはシリンダフランジ625が形成されている。シリンダフランジ625の下部にはシリンダパッキン626が配置されている。ポンプ60を内容器100に取り付けた状態では、シリンダパッキン626が内容器100の第1口部18の上端、より正確には、内容器100の第1口部18に取り付けられた第1アダプタ本体32のフランジ324に接触して気密性を確保する。
【0060】
シリンダ62の側部には、外気導入孔67が形成されている。外気導入孔67は、外気を内容器100内に導入して内容器100内の負圧化を解消するための孔である。内容器100内が負圧化すると、ポンプ60による内容物Mの吐出量が減少する場合や、内容物Mを吐出できなくなる場合がある。外気導入孔67は、ポンプ60を作動させる際に開閉して外気を内容器100内に導入し、内容器100内の負圧化を解消する。
【0061】
ヘッド63は、ポンプキャップ61の内壁614の上方に配置されている。ヘッド63は、ノズル631、ステム軸632などを備える。ステム軸632は、ポンプキャップ61の内壁614に形成された開口部を貫通している。ヘッド63を押下げる操作を行うことにより、ノズル631から内容物を吐出可能である。
【0062】
シリンダ62の下端には、ポンプ吸引口66が形成されている。シリンダ62の内部には、ステム弁621、ピストン弁622、ボール623、スプリング624などが配置されている。シリンダ62の内部の構造については従来のポンプと同様の構造であるため、詳細な説明は省略する。
【0063】
図4は、内容器100にポンプ60を取り付けた状態を示す正面断面図である。
図4に示すように、ポンプキャップ61の第1雌螺子164が、内容器100の第1雄螺子181に螺合することで、ポンプ60は、内容器100に取り付けられている。アダプタ30のポンプ収容空間36には、ポンプ60のシリンダ62が収容されている。
【0064】
アダプタ30のポンプ収容空間36にポンプ60のシリンダ62を挿入すると、シリンダ62の下端が栓39を下方に移動させる。
図4では、栓39は、シリンダ62を挿入する前の閉位置P1(
図2参照)から、開位置P2に移動している。つまり、内容器100にポンプ60を装着することで、栓39は、閉位置P1から開位置P2に切り替えられる。栓39が開位置P2に切り替えられることにより、ポンプ吸引口66は、挿通空間395、第3吸引口394、第1吸引口38、第2吸引口46、及びパイプ70を介して収容空間12に連通した状態となる。
【0065】
また、アダプタ30のポンプ収容空間36にポンプ60のシリンダ62を挿入すると、シリンダ62の下部の外周面と、第1アダプタ31の下部に形成したシール部382が密着する。シリンダ62とシール部382が密着することにより、内容物がシリンダ62と第1アダプタ31の間に浸入することが抑制され、シリンダ62の外部に内容物が付着することを抑制することができる。
【0066】
図4では、弁部44は、閉塞状態S1にあり、収容空間12から通気孔40を通じてポンプ収容空間36に内容物Mが漏出することを抑制する。このため、ポンプ60のシリンダ62外部に内容物Mが付着することを抑制することができる。
【0067】
[外容器の構成]
図5は、外容器200の正面図である。本実施形態の外容器200の第2胴部214は、略円筒状であり、側壁部241、及び底壁部242を有している。第2胴部214は、内部に内容器100を収容するための空間が形成されている。
【0068】
第2口部218は、側壁部241の上部に連続して形成され、上方に延びている。第2口部218の外周面には、第2雄螺子281が形成されている。
図5において、外容器200の中心軸を中心軸L2とする。外容器200に内容器100を収容した状態では、外容器200の中心軸L2は、内容器100の中心軸L1と重なるものとする。
図5において、外容器200の第2雄螺子281に対してポンプキャップ61の第2雌螺子165を締め付ける方向を、中心軸L2回りの締め付け方向D1とする。また、外容器200の第2雄螺子281に対してポンプキャップ61の第2雌螺子165を緩める方向を、中心軸L2回りの開放方向D2とする。
図5の締め付け方向D1は、
図3の締め付け方向D1と一致しており、
図5の開放方向D2は、
図3の開放方向D2と一致している。
【0069】
第2口部218の上部には、位置決め部400の第2位置決め部420が形成されている。位置決め部400については、後に詳細に説明する。
【0070】
外容器200は、合成樹脂素材で形成されている。外容器200は、例えば、射出成形法で製造することができる。外容器200は、需要者の好みに適合するよう、種々のデザインを採用することができる。
【0071】
[位置決め部の構成]
図6は、外容器200に内容器100の一部を差し込んだ状態を示す正面図である。
図6において、内容器100の中心軸L1と外容器200の中心軸L2が重なる線を中心軸L3とする。
図6において、内容器100の第1雄螺子181に対してポンプキャップ61の第1雌螺子164を締め付け、かつ、外容器200の第2雄螺子281に対してポンプキャップ61の第2雌螺子165を締め付ける方向を、中心軸L3回りの締め付け方向D1とする。また、内容器100の第1雄螺子181に対してポンプキャップ61の第1雌螺子164を緩め、かつ、外容器200の第2雄螺子281に対してポンプキャップ61の第2雌螺子165を緩める方向を、中心軸L3回りの開放方向D2とする。
【0072】
外容器200及び内容器100には、位置決め部400が設けられている。位置決め部400は、第1位置決め部410、及び、第2位置決め部420を有する。第1位置決め部410は、内容器100の肩部191に設けられている。第2位置決め部420は、外容器200の第2口部218に設けられている。位置決め部400は、外容器200と内容器100の締め付け方向D1における相対移動を、締め付け方向D1における所定位置で制限する。また、位置決め部400は、外容器200と内容器100の開放方向D2における相対移動は許容する。
【0073】
外容器200に設けられる第2位置決め部420は、第2傾斜面422、及び第2係合面424を有している。第2傾斜面422は、第2口部218の上端部の略全周に形成されている。第2傾斜面422は、締め付け方向D1に向かうに従って第2胴部214からの距離HAが減少するように傾斜している。つまり、第2傾斜面422は、第2口部218の上端部の略全周において、締め付け方向D1に向かうに従って第2口部218の上端部が低くなる、螺旋状に形成されている。
【0074】
第2傾斜面422の端部のうち、第2口部218の周方向における一方の端部を第1端部TE1とし、他方の端部を第2端部TE2とする。第1端部TE1は、第2端部TE2よりも上方に位置している。第2係合面424は、第1端部TE1と第2端部TE2に挟まれる位置に形成されている。つまり、第1端部TE1と第2端部TE2の間は、第2係合面424が形成されて段状になっている。第2係合面424は、側面視で垂直方向に形成されているが、傾斜していてもよい。
【0075】
二重容器300の中心軸である中心軸L3に直交する面を水平面H1とする。水平面H1に対する第2傾斜面422の傾斜角を第2傾斜角A2とする。また、水平面H1に対する第2雄螺子281の傾斜角であるリード角を第2リード角B2とする。第2傾斜角A2は、第2リード角B2と等しい角度とすることが好ましい。
【0076】
内容器100の肩部191に設けられている第1位置決め部410は、第1傾斜面412、及び第1係合面414を有している。第1傾斜面412は、肩部191の下端部の略全周に形成されている。第1傾斜面412は、内容器100が外容器200に収容された状態で、第2傾斜面422に組み合わされる形状を有している。つまり、第1傾斜面412は、肩部191の下端部の略全周において、締め付け方向D1に向かうに従って肩部191の下端部が低くなる、螺旋状に形成されている。
【0077】
第1傾斜面412の端部のうち、肩部191の周方向における一方の端部を第3端部TE3とし、他方の端部を第4端部TE4とする。第4端部TE4は、第3端部TE3よりも下方に位置している。第1係合面414は、肩部191の下端部に形成され、第3端部TE3と第4端部TE4に挟まれる位置に形成されている。第1係合面414は、内容器100が外容器200に収容された状態で、第2係合面424に組み合わされる形状を有している。つまり、第3端部TE3と第4端部TE4の間は、第1係合面414が形成されて段状になっている。第1係合面414は、側面視で垂直方向に形成されているが、傾斜していてもよい。
【0078】
水平面H1に対する第1傾斜面412の傾斜角を第1傾斜角A1とすると、第1傾斜角A1は、第2リード角B2と等しい角度とすることが好ましい。
【0079】
内容器100の第1口部18の外径と、外容器200の第2口部218の外径は異なっているため、内容器100の第1雄螺子181の径と、外容器200の第2雄螺子281の径も異なっている。しかしながら、本実施形態では、内容器100と外容器200にポンプ60を同時に取り付けることができるように、第1雄螺子181及び第2雄螺子281が設定されている。具体的には、第1雄螺子181のリードを第1リードとし、第2雄螺子281のリードを第2リードとすると、第1リードと第2リードは同一に設定されている。ここで、リードは、ネジが一回転して軸方向に進む距離である。
【0080】
内容器100の第1雄螺子181、外容器200の第2雄螺子281、及びポンプキャップ61の第1雌螺子164と第2雄螺子281は、内容器100の第1位置決め部410と、外容器200の第2位置決め部420が組み合わされた状態で、ポンプキャップ61を所定の角度回転させることで、内容器100に対してポンプキャップ61の締め付けが完了し、かつ、外容器200に対してポンプキャップ61の締め付けが完了するように設定されている。
【0081】
内容器100は、外容器200の第2口部218に差し込まれる差込部192を有している。内容器100を外容器200に挿入する方向を挿入方向TD1とする。
図6では、挿入方向TD1は、下方向Dと一致している。第1傾斜面412のうち最も挿入方向TD1側に突出している部分は、第4端部TE4である。差込部192は、第4端部TE4よりも挿入方向TD1側に突出している。つまり、
図6において、差込部192は、第4端部TE4よりも距離HBだけ挿入方向TD1側に突出している。言い換えると、差込部192の下端部は、第1傾斜面412の下端部である第4端部TE4よりも距離HBだけ下方に位置している。このため、内容器100及び外容器200の中心軸L3回りにおける相対位置がどのような状態であっても、内容器100を外容器200に挿入する際には、内容器100の第1位置決め部410と外容器200の第2位置決め部420とが当接するより先に、差込部192が外容器200の第2口部218に差し込まれる。例えば、内容器100の第4端部TE4と、外容器200の第1端部TE1とが上下方向に対向する状態で、内容器100を外容器200に挿入しても(
図7B参照)、差込部192が外容器200の第2口部218に差し込まれる。このため、内容器100の位置が外容器200に対して安定し、内容器100を外容器200に容易に挿入することができる。
【0082】
図7A、及び
図7Bは、外容器200に内容器100を差し込んだ状態を示す正面図である。
図7Aでは、内容器100の第1位置決め部410と、外容器200の第2位置決め部420が組み合わされた状態になっている。
図7Bでは、内容器100の第1位置決め部410と、外容器200の第2位置決め部420が組み合わされておらず、第1傾斜面412の第4端部TE4が、第2傾斜面422上に載った状態となっている。
【0083】
図7Aに示すように、内容器100の第1位置決め部410と、外容器200の第2位置決め部420が組み合わされた状態では、内容器100及び外容器200の中心軸L3回りにおける相対位置が位置決めされ、外容器200に対する内容器100の締め付け方向D1における空回りが抑制される。このため、ポンプ60を取り付ける際に、外容器200に対する内容器100の空回りが抑制される。具体的には、ポンプキャップ61を内容器100及び外容器200に対して締め付け方向D1に回転させた場合に、外容器200に対する内容器100の空回りが抑制されるため、ポンプキャップ61の第1雌螺子164を内容器100の第1雄螺子181に螺合させることができ、同時に、第2雌螺子165を外容器200の第2雄螺子281に螺合させることができる(
図1参照)。
【0084】
ポンプキャップ61を内容器100及び外容器200に締め付けた状態では、シリンダパッキン626が内容器100の第1口部18の上端(より正確には、第1アダプタ本体32のフランジ324)に接触して気密性が確保される。また、ポンプキャップ61のリブ616が、内容器100のフランジ19の上面に接触するとともに、ポンプキャップ61の第2雌螺子165が、外容器200の第2雄螺子281に螺合することで、内容器100、外容器200、及びポンプ60が確実に取り付けられる。
【0085】
一方、外容器200に内容器100を差し込んだ際に、第1位置決め部410と第2位置決め部420の中心軸L3回りの位置関係が、
図7Aのような位置関係にならない場合がある。具体的には、
図7Bに示すように、第1係合面414及び第2係合面424が対向した状態ではなく、第1傾斜面412の第4端部TE4が、第2傾斜面422上に載った状態になる場合がある。
【0086】
図7Bに示した状態では、外容器200に対する内容器100の位置は位置決めされておらず、外容器200に対して内容器100が締め付け方向D1に空回りすることが許容される。この状態で、ポンプ60を取り付けることにより、ポンプキャップ61の第1雌螺子164と内容器100の第1雄螺子181との間の摩擦によって内容器100が外容器200に対して締め付け方向D1に空回りする。言い換えると、第1傾斜面412の第4端部TE4が、第2傾斜面422上を滑りながら締め付け方向D1へ移動する。
【0087】
ポンプキャップ61の回転に伴って内容器100が外容器200に対して空回りしていくと、第1位置決め部410と第2位置決め部420が
図7Aのように組み合わされた状態になる。この状態では、外容器200に対する内容器100の締め付け方向D1における位置が位置決めされ、締め付け方向D1における内容器100の空回りが抑制される。
【0088】
つまり、外容器200に内容器100を差し込んだ際における、第1位置決め部410と第2位置決め部420の相対位置に関わらず、ポンプキャップ61を締め付け方向D1に回転させることで、内容器100と外容器200は第1位置決め部410と第2位置決め部420が組み合わされる状態になる。第1位置決め部410と第2位置決め部420が組み合わされる状態になると、締め付け方向D1における内容器100と外容器200の空回りが抑制され、内容器100及び外容器200に対して同時にポンプ60を取り付けることができる。
【0089】
図8は、ポンプ60に内容器100を取り付けてから、内容器100を外容器200に差し込む組み立て手順を示す正面図である。
図6、
図7A及び
図7Bでは、内容器100を外容器200に差し込み、内容器100及び外容器200に同時にポンプ60を取り付ける組み立て手順を示した。
図8では、内容器100を外容器200に差し込む前に、先に内容器100にポンプ60を取り付けている。
【0090】
この手順の場合でも、内容器100を外容器200に差し込んだ際の第1位置決め部410と第2位置決め部420の位置に関わらず、ポンプキャップ61を回転させることで、内容器100と外容器200は第1位置決め部410と第2位置決め部420が組み合わされる状態となり、内容器100、外容器200、及びポンプ60を取り付けることができる。
【0091】
尚、ポンプ60に内容器100を取り付けてから、内容器100を外容器200に差し込む組み立て手順の場合、ポンプ60と内容器100がしっかりと取り付けられている場合と、ポンプ60と内容器100が緩く取り付けられている場合がある。しっかりと取り付けられている場合とは、内容器100の第1雄螺子181に対するポンプキャップ61の第1雌螺子164の締め付けが完了している状態であり、シリンダパッキン626が内容器100の第1口部18の上端に接触して気密性が確保されている状態である。また、緩く取り付けられている場合とは、内容器100の第1雄螺子181に対するポンプキャップ61の第1雌螺子164の締め付けが完了しておらず、ポンプキャップ61を内容器100に対して更に締め付けることが可能な状態である。
【0092】
ポンプ60と内容器100がしっかりと取り付けられている場合には、内容器100を外容器200に差し込んでポンプ60を外容器200に対して締め付け方向D1に回転させることで、ポンプ60と外容器200の締め付けが完了する位置まで内容器100と外容器200が相対回転する。内容器100の第1位置決め部410と外容器200の第2位置決め部420が組み合わされたところで、ポンプキャップ61の第2雌螺子165と外容器200の第2雄螺子281との螺合が完了し、ポンプ60と外容器200の締め付けが完了する。
【0093】
ポンプ60と内容器100が緩く取り付けられている場合には、内容器100を外容器200に差し込んでポンプ60を外容器200に対して締め付け方向D1に回転させることで、内容器100と外容器200が相対回転する。内容器100の第1位置決め部410と外容器200の第2位置決め部420が組み合わされたところで、さらにポンプ60と内容器100の締め付けが完了する位置までポンプ60と内容器100の締め付けが進行し、同時に、ポンプ60と外容器200の締め付けが完了する位置までポンプ60と外容器200の締め付けが進行する。このため、ポンプ60と内容器100が緩く取り付けられている場合には、内容器100に対するポンプ60の締め付けと、外容器200に対するポンプ60の締め付けが同時に完了する。
【0094】
二重容器300は、内容器100に収容されていた内容物を使い切った後、内容器100を別の新たな内容器100に交換可能である。内容器100を交換する場合は、外容器200に対してポンプ60を開放方向D2に回転させる。内容器100の第1位置決め部410と外容器200の第2位置決め部420は、外容器200と内容器100の開放方向D2における相対移動は許容する。このため、ポンプ60及び内容器100は、外容器200に対して開放方向D2に回転可能である。外容器200の第2雄螺子281に対してポンプキャップ61の第2雌螺子165を緩めて、内容物を使い切った空の内容器100とポンプ60を外容器200から取り外す。次に、内容器100の第1雄螺子181に対してポンプキャップ61の第1雌螺子164を緩めて、内容器100からポンプ60を取り外す。取り外したポンプ60は、レフィル容器である別の新たな内容器100に付け替える。このような手順により、外容器200及びポンプ60を再利用することができる。
【0095】
[弁部の動作]
次に、ポンプ60の吐出動作と吸引動作(ポンピング動作)、及び弁部44の動作について説明する。
図9は、ポンプを操作して内容物を吐出する状態を示す正面断面図である。
図10は、内容物を吐出した後の状態を示す正面断面図である。尚、ヘッド63が押圧されていない状態において、シリンダ62の内部には、すでに内容物Mが吸引されているものとする。
【0096】
図9に示すように、ヘッド63を押下げると、シリンダ62の内部に吸引されていた内容物Mがノズル631から吐出される。ヘッド63が押下げられると、シリンダ62の側部に形成された外気導入孔67が開き、外気がアダプタ30のポンプ収容空間36に導入される。このとき、弁部44は、閉塞状態S1になっており、アダプタ30の通気孔40は弁部44によって塞がれている。このため、ポンプ収容空間36に導入された外気は、内容器100内部の収容空間12には導入されない。
【0097】
図10に示すように、ヘッド63を押下げた状態から解放すると、ヘッド63は、スプリング624の付勢力により上昇する。シリンダ62内部は負圧となり、内容物Mは、パイプ70の下端からシリンダ62の内部に吸引される。
【0098】
上述のようなポンピング動作を繰り返すことにより、内容器100に収容されていた内容物Mはノズル631から吐出されて減少する。内容物Mが減少すると収容空間12の気圧が低下する。収容空間12とポンプ収容空間36との間に気圧差が生じると、気圧差によって弁部44が一時的に閉塞状態S1から開放状態S2に変化する。弁部44が開放状態S2になるとアダプタ30の通気孔40は開放され、矢印Bのようにポンプ収容空間36から収容空間12に外気が導入されて、収容空間12とポンプ収容空間36との間の気圧差が解消される。つまり、収容空間12内部の負圧化が解消される。
【0099】
弁部44は、一時的に開放状態S2に変化して、ポンプ収容空間36から収容空間12に外気を導入する場合の他は、閉塞状態S1になっている。このため、収容空間12からポンプ収容空間36に内容物Mが漏出することを抑制し、ポンプ60のシリンダ62外部に内容物Mが付着することを抑制することができる。
【0100】
内容器100に収容された内容物Mを使い切った場合は、ポンプ60を新たなレフィル容器110に付け替えて、ポンプ60を再利用することができる。ポンプ60のシリンダ62外部には、内容物Mが付着していないため、ポンプ60を衛生的に再利用することができる。また、ポンプ60を付け替える際にパイプ70を抜き差しする必要がなく、かつ、アダプタ30のポンプ挿入口34が広く形成されているため、再利用したポンプ60を新たな内容器100に容易に取り付けることができる。
【0101】
[実施形態の効果]
二重容器300によれば、位置決め部400を有するため、外容器200に対する内容器100の位置が所定位置で位置決めされ、締め付け方向D1における内容器100の空回りが抑制される。このため、内容器100にポンプ60を取り付けてから、外容器200に内容器100を収容し、外容器200にポンプキャップ61を取り付けてもよく、内容器100にポンプ60を取り付ける前に、外容器200に内容器100を収容し、その後で内容器100と外容器200にポンプキャップ61を取り付けることもできる。よって、外容器200だけでなくポンプ60を再利用でき、かつ、内容器100と外容器200とポンプ60の取り付け順序に制限がなく、いずれの順序で取り付けても内容器100、外容器200及びポンプ60を容易に取り付けることができる。
【0102】
二重容器300によれば、内容器100の第1位置決め部410は、第1傾斜面412及び第1係合面414を有し、外容器200の第2位置決め部420は、第2傾斜面422及び第2係合面424を有する。外容器200と内容器100の締め付け方向D1における相対移動は、第1係合面414及び第2係合面424が組み合わされるまでは許容され、第1係合面414及び第2係合面424が組み合わされる所定位置では相対移動が制限される。このため、内容器100と外容器200とポンプ60の取り付け順序に制限がなく、いずれの順序で取り付けても内容器100、外容器200及びポンプ60は、所定位置まで相対移動可能であり、所定位置で相対移動が制限されることで、内容器100と外容器200は、正しい位置で位置決めされ、空回りが抑制される。よって、内容器100と外容器200とポンプ60をいずれの順序で取り付けても、内容器100及び外容器200にポンプキャップ61を締め付けることができる。
【0103】
二重容器300によれば、第1傾斜角A1及び第2傾斜角A2は、第2リード角B2と等しい。このため、内容器100と外容器200にポンプキャップ61が螺合しながら、内容器100及び外容器200が相対移動する場合に、第1傾斜面412及び第2傾斜面422が干渉することが抑制され、内容器100及び外容器200が円滑に相対移動する。このため、内容器100、外容器200及びポンプ60を円滑に取り付けることができる。
【0104】
二重容器300によれば、差込部192は、第1傾斜面412のうち最も挿入方向TD1側に突出している部分である第3端部TE3よりも、挿入方向TD1側に突出している。このため、内容器100を外容器200に挿入する際に、差込部192が外容器200の第2口部218に差し込まれるため、内容器100の位置が外容器200に対して安定する。
【0105】
二重容器300によれば、アダプタ30は、第1アダプタ31及び第2アダプタ41を有している。第2アダプタ41に形成される弁部44によって、第1アダプタ31に形成される通気孔40が覆われている。このため、ポンプ60を取り付ける前の状態、及びポンプ60を取り付けた状態のいずれの状態でも、通気孔40から内容物Mが漏出することを抑制することができ、ポンプ60のシリンダ62外部に内容物Mが付着することを抑制することができる。ポンプ60のシリンダ62外部に内容物Mが付着した場合、ポンプ60を再利用する場合に内容物Mが外気に触れるため、変質したり、塵挨や雑菌が付着するおそれがあるが、ポンプ60のシリンダ62外部に内容物Mが付着することを抑制することができるため、ポンプ60を付け替えた新たな内容器100内の内容物Mにおよぼす悪影響を抑制することができる。
【0106】
[変形例]
本発明に係る二重容器は、上記説明した本実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、内容器100の内部にアダプタ30を設けたが、アダプタを設けなくても、ポンプ、内容器及び外容器を容易に取り付けることのできる二重容器とすることができる。
【0107】
本実施形態では、内容器100のフランジ19は、第1口部18の下部に対して一体に形成されているが、一体でなくてもよい。例えば、フランジ19を別部材として、第1口部18の下部に取り付けてもよい。この場合、第1口部18に対してフランジ19が相対的に回転しないようにする。
【0108】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【課題】外容器だけでなくポンプを再利用でき、かつ、内容器及び外容器の取り付け順序に制限がなく、ポンプ、内容器及び外容器を容易に取り付けることができる二重容器を提供する。
【解決手段】内容器100の第1雄螺子181に対してポンプキャップ61の第1雌螺子164を締め付け、かつ、外容器200の第2雄螺子281に対してポンプキャップ61の第2雌螺子165を締め付ける方向を締め付け方向D1とし、第1雄螺子181に対して第1雌螺子164を緩め、かつ、第2雄螺子281に対して第2雌螺子165を緩める方向を開放方向D2として、外容器200及び内容器100は、外容器200と内容器100の締め付け方向D1における相対移動を、締め付け方向D1における所定位置で制限するとともに、開放方向D2の相対移動を許容する位置決め部を有する。