特許第5789086号(P5789086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789086制御回路及びスイッチング電源の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789086
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】制御回路及びスイッチング電源の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   H02M3/155 U
   H02M3/155 H
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-94293(P2010-94293)
(22)【出願日】2010年4月15日
(65)【公開番号】特開2011-229214(P2011-229214A)
(43)【公開日】2011年11月10日
【審査請求日】2012年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】504378124
【氏名又は名称】スパンション エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】宮前 亨
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−233138(JP,A)
【文献】 特開2005−033862(JP,A)
【文献】 特開2008−131746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧に応じた第1の電圧と、出力電圧に応じて設定された第1の基準電圧との差に応じて第2の電圧を生成し、前記第1の電圧を前記第1の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第1の制御信号を生成する第1の制御回路であって、前記第1の制御信号は前記第2の電圧とスロープ電圧との比較により生成される、第1の制御回路と、
前記第2の電圧を第2の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第2の制御信号を生成する第2の制御回路であって、前記第2の制御信号は前記第2の電圧と前記第2の基準電圧との差と、前記スロープ電圧との比較により生成される、第2の制御回路と、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との相互作用に基づいて、昇降圧型の出力部を駆動する駆動部と、
を有することを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記第1の制御回路は、
前記第1の電圧と前記第1の基準電圧とが入力され、前記第2の電圧を出力する第1のアンプと、
前記第2の電圧と前記スロープ電圧とを比較し、その比較結果に応じた信号を出力する第1のコンパレータと、
クロック信号に応答してHレベルの前記第1の制御信号を出力し、前記第1のコンパレータの前記信号に応答してLレベルの前記第1の制御信号を出力する第1のフリップフロップ回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記第2の制御回路は、
前記第2の電圧と前記第2の基準電圧とが入力され、前記第2の電圧と前記第2の基準電圧との前記差に応じた第3の電圧を出力する第2のアンプと、
前記第3の電圧と前記スロープ電圧とを比較し、その比較結果に応じた信号を出力する第2のコンパレータと、
前記クロック信号の反転信号に応答してLレベルの前記第2の制御信号を出力し、前記第2のコンパレータの前記信号に応答してHレベルの前記第2の制御信号を出力する第2のフリップフロップ回路と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とを論理和して第1の駆動信号を生成する第1の信号生成部と、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とを論理積して第2の駆動信号を生成する第2の信号生成部と、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の制御回路。
【請求項5】
前記クロック信号を出力する発振器と、
前記クロック信号に基づいて前記スロープ電圧を生成する電圧生成回路と、
を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御回路。
【請求項6】
出力電圧に応じた第1の電圧と、出力電圧に応じて設定された第1の基準電圧との差に応じて第2の電圧を生成し、前記第1の電圧を前記第1の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第1の制御信号であって、前記第2の電圧とスロープ電圧との比較により生成される前記第1の制御信号を生成し、
前記第2の電圧を第2の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第2の制御信号であって、前記第2の電圧と前記第2の基準電圧との差と、前記スロープ電圧との比較により生成される前記第2の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との相互作用に基づいて、昇降圧型の出力部を駆動する
ことを特徴とするスイッチング電源の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
制御回路及びスイッチング電源の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器は、直流入力電圧の供給に基づいて定電圧を出力する電源回路として、半導体のスイッチング素子を用いたスイッチング電源回路を含む。そして、バッテリ等により動作する電子機器には、入力電圧(バッテリ電圧)に依存せず一定の出力電圧が得られる昇降圧型のスイッチング電源回路が用いられている。
【0003】
昇降圧DC/DCコンバータは、電圧出力端子と直列または並列にチョークコイルを接続し、スイッチング素子のオンオフ動作により入力側からチョークコイルにエネルギーを蓄積するステートと、チョークコイルから出力側にエネルギーを放出するステートとを交互に繰り返す。例えば、ステート1〜ステート4を含む4つのステートを切り替えることにより、昇降圧動作を行うHブリッジ昇降圧DC/DCコンバータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−192312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DC/DCコンバータでは、動作させるステートの数が多くなると、スイッチング動作が多くなることにより電力損失が大きくなり、効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、出力電圧に応じた第1の電圧と、出力電圧に応じて設定された第1の基準電圧との差に応じて第2の電圧を生成し、前記第1の電圧を前記第1の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第1の制御信号を生成する第1の制御回路と、前記第2の電圧を第2の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第2の制御信号を生成する第2の制御回路と、前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とに基づいて、昇降圧型の出力部を駆動する駆動部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一観点によれば、スイッチング制御による電力損失が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】昇降圧型スイッチング電源のブロック回路図である。
図2】スイッチング電源の動作を示す波形図である。
図3】スイッチング電源の動作を示す波形図である。
図4】スイッチング電源の動作を示す波形図である。
図5】スイッチング電源の動作を示す波形図である。
図6】スイッチング電源の動作を示す波形図である。
図7】出力部の動作説明図である。
図8】出力部の動作説明図である。
図9】出力部の動作説明図である。
図10】別の昇降圧型スイッチング電源のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を添付図面に従って説明する。
図1に示すように、昇降圧型のスイッチング電源10は、出力部11と制御部12を含む。
【0010】
出力部11は、4つのスイッチ回路SW1〜SW4、インダクタL、コンデンサC1を含む。例えば、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3はNチャネルMOSトランジスタである。第2スイッチ回路SW2は低電位電源(例えばグランドGND)側をアノードとするダイオードとして常時動作し、第4スイッチ回路SW4はノードN2側をアノードとするダイオードとして常時動作する。
【0011】
入力電圧Vinが供給される第1端子P1は第1スイッチ回路SW1の第1端子(例えばドレイン端子)に接続され、第1スイッチ回路SW1の第2端子(例えばソース端子)は第2スイッチ回路SW2に接続されている。第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2との間のノードN1はインダクタLの第1端子に接続されている。インダクタLの第2端子は第3スイッチ回路SW3の第1端子(例えばドレイン端子)に接続され、第3スイッチ回路SW3の第2端子(例えばソース端子)は低電位電源端子(グランドGND)に接続されている。インダクタLと第3スイッチ回路SW3との間のノードN2は第4スイッチ回路SW4の第1端子(アノード)に接続され、第4スイッチ回路SW4の第2端子(カソード)は、出力電圧Voutを出力する第2端子P2に接続されている。この第2端子P2とグランドGNDとの間にはコンデンサC1が接続されている。
【0012】
第1スイッチ回路SW1の制御端子(例えばゲート端子)には制御部12から駆動信号DR1が供給される、第3スイッチ回路SW3の制御端子(ゲート端子)には制御部12から駆動信号DR3が供給される。第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3は、駆動信号DR1,DR3に応答してオンオフする。そして、スイッチ回路SW4を介して出力電圧Vout及び出力電流Ioを出力する。
【0013】
次に、制御部12の構成を説明する。
制御部12は、誤差電圧生成回路21、発振回路22、PWM信号生成回路23、ステート制御回路24、制御信号生成回路25、駆動回路26を含む。
【0014】
誤差電圧生成回路21は出力部11の第2端子P2に接続され、出力電圧Voutが供給される。
誤差電圧生成回路21は、抵抗R1,R2、エラーアンプ31、基準電源32、コンデンサC2を含む。出力電圧Voutは抵抗R1の第1端子に供給され、抵抗R1の第2端子は抵抗R2の第1端子に接続され、抵抗R2の第2端子はグランドGNDに接続されている。両抵抗R1,R2間のノードはエラーアンプ31の反転入力端子に接続されている。エラーアンプ31の非反転入力端子には基準電源32から基準電圧Vrefが供給される。エラーアンプ31の出力端子は、位相補償用のコンデンサC2を介して同エラーアンプ31の反転入力端子と接続されている。
【0015】
抵抗R1,R2は、それぞれの抵抗値に応じた分圧比で出力電圧Voutを分圧した電圧Vfbを生成する。この電圧Vfbは、出力電圧Voutに比例した電圧である。エラーアンプ31は、電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差電圧を増幅した誤差電圧Verを出力する。抵抗R1,R2の抵抗値と基準電圧Vrefは、出力電圧Voutを安定化する目標電圧に応じて設定されている。例えば、出力電圧Voutと同様に、抵抗R1,R2の分圧比により目標電圧を分圧した電圧値が基準電圧Vrefとして設定される。言い換えれば、基準電圧Vrefを抵抗R1と抵抗R2の接続点に供給したときに、抵抗R1の第1端子に生じる電圧が、出力電圧Voutを安定化する目標電圧となる。従って、誤差電圧Verは、出力電圧Voutと目標電圧の差電圧に比例した電圧となる。この誤差電圧VerはPWM信号生成回路23とステート制御回路24に供給される。
【0016】
発振回路22は、発振器41、バッファ回路42、スロープ電圧生成回路43を含む。
発振器41は、所定周期のクロック信号CKを出力する。このクロック信号CKの周期は、スイッチング電源10のスイッチング周期(スイッチングサイクル)に対応する。例えば、発振器41は、スイッチング周期と等しい周期のクロック信号CKを出力する。バッファ回路42はクロック信号CKと実質的に等しい波形のクロック信号CKbを出力する。このクロック信号CKbは、スロープ電圧生成回路43に供給される。また、クロック信号CKbは、PWM信号生成回路23とステート制御回路24に供給される。なお、クロック信号CKとクロック信号CKbは互いに同じ波形であるため、以下の説明においてはクロック信号CKを用いることとする。
【0017】
スロープ電圧生成回路43は、定電流源44、トランジスタT1、コンデンサC3を含む。トランジスタT1は例えばNチャネルMOSトランジスタであり、ソースがグランドに接続され、ドレインがコンデンサC3の第1端子に接続され、そのコンデンサC3の第2端子はグランドに接続されている。また、コンデンサC3の第1端子には、電圧VDDが供給される定電流源44から定電流が供給される。トランジスタT1のゲート端子には、クロック信号CKが供給される。そして、コンデンサC3の第1端子が接続されたノードにおける電圧は、スロープ電圧Vctとして、PWM信号生成回路23とステート制御回路24に供給される。
【0018】
トランジスタT1は、クロック信号CKに応答してオンオフする。トランジスタT1がオンすると、コンデンサC3に蓄積されている電荷が放電されるため、スロープ電圧Vctはグランドレベル(0V)となる。トランジスタT1がオフすると、定電流源44から供給される定電流によりコンデンサC3に電荷が蓄積され、スロープ電圧Vctが上昇する。つまり、トランジスタT1は、コンデンサC3に対する充放電素子として機能する。そして、スロープ電圧Vctは、クロック信号CKの周期と等しい周期の三角波(のこぎり波)となる。また、コンデンサC3には定電流源44から一定電流の定電流が供給される。従って、スロープ電圧Vctの傾き、即ちスロープ電圧Vctが変化する割合は固定されている。
【0019】
PWM信号生成回路23は、PWMコンパレータ51、RS型フリップフロップ回路(以下、RS−FF回路)52を含む。PWMコンパレータ51の非反転入力端子には誤差電圧Verが供給される。PWMコンパレータ51の反転入力端子には、スロープ電圧生成回路43からスロープ電圧Vctが供給される。
【0020】
PWMコンパレータ51は、両電圧Ver,Vctを比較し、その比較結果に応じた信号Spを出力する。例えば、PWMコンパレータ51は、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verより低い場合にHレベルの信号Spを出力し、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verより高い場合にLレベルの信号Spを出力する。出力電圧Voutが上昇すると、誤差電圧Verが低下するため、信号SpがLレベルである期間が長くなり、Hレベルである期間が短くなる。一方、出力電圧Voutが低下すると、誤差電圧Verが上昇するため、信号SpがLレベルである期間が短くなり、Hレベルである期間が長くなる。即ち、信号Spのデューティは、入力電圧Vinと出力電圧Voutに応じて変化する。この信号Spは、RS−FF回路52のリセット端子に供給される。
【0021】
RS−FF回路52のセット端子にはクロック信号CKが供給される。RS−FF回路52は、Hレベルのクロック信号CKに応答して端子QからHレベルの信号PWMを出力する。そして、RS−FF回路52は、PWMコンパレータ51から出力されるLレベルの信号Spに応答してLレベルの信号PWMを出力する。RS−FF回路52は、クロック信号CKの立ち上がりから比較信号Spの立ち下がりまでの期間、Hレベルの信号PWMを出力する。つまり、RS−FF回路52の制御信号PWMは、クロック信号CKの立ち上がりから、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verより高くなるまでの間、Hレベルとなる。この制御信号PWMは、制御信号生成回路25に供給される。
【0022】
ステート制御回路24は、アンプ61、基準電源62、モードコンパレータ63、インバータ回路64、D型フリップフロップ回路(以下、D−FF回路)65を含む。
アンプ61の反転入力端子には誤差電圧Verが供給され、アンプ61の非反転入力端子には基準電源62の基準電圧Vr1が供給される。基準電圧Vr1は、例えばスロープ電圧Vctに応じて、そのスロープ電圧Vctの中心電圧(ピーク電圧の1/2)に設定されている。アンプ61は、誤差電圧Verと基準電圧Vr1との差電圧を増幅した電圧V1を出力する。
【0023】
モードコンパレータ63の反転入力端子には、アンプ61からの出力電圧V1が供給され、非反転入力端子には、スロープ電圧Vctが供給される。モードコンパレータ63は、電圧V1とスロープ電圧Vctを比較し、その比較結果に応じた信号Smを出力する。例えば、モードコンパレータ63は、スロープ電圧Vctが電圧V1より低い場合にLレベルの信号Smを出力し、スロープ電圧Vctが電圧V1より高い場合にHレベルの信号Smを出力する。この信号SmはD−FF回路65に供給される。
【0024】
インバータ回路64は、クロック信号CKbを論理反転したレベルの反転クロック信号CKxを出力する。
D−FF回路65は、入力端子Dが電圧VDDレベルにプルアップされ、クロック端子CKにモードコンパレータ63から出力される信号Smが供給されている。また、D−FF回路65のリセット端子Rには反転クロック信号CKxが供給される。
【0025】
D−FF回路65は、Hレベルの信号Smに応答して出力端子QからHレベルの制御信号MPを出力する。また、D−FF回路65は、Lレベルの反転クロック信号CKx、すなわちHレベルのクロック信号CKに応答して出力端子QからLレベルの制御信号MPを出力する。従って、D−FF回路65は、信号Smの立ち上がりから反転クロック信号CKxの立ち下がり、すなわちクロック信号CKの立ち上がりまでの期間、Hレベルの制御信号MPを出力する。この制御信号MPは制御信号生成回路25に供給される。
【0026】
制御信号生成回路25は、OR回路(第1の信号生成部)71、AND回路(第2の信号生成部)72を含む。OR回路71とAND回路72には、PWM信号生成回路23(RS−FF回路52)の制御信号PWMとステート制御回路24(D−FF回路65)の制御信号MPとがそれぞれ供給される。OR回路71は、両信号PWM,MPを論理和演算(OR演算)し、その演算結果に応じたレベルの信号SR1を出力する。AND回路72は、両信号PWM,MPを論理積演算(AND演算)し、その演算結果に応じたレベルの信号SR3を出力する。
【0027】
駆動回路26は、バッファ回路81,82を含む。各バッファ回路81,82は、それぞれ信号SR1,SR3に応じて、スイッチ回路SW1,SW3を駆動するための駆動信号DR1.DR3を出力する。
【0028】
次に、上記のように構成された昇降圧型のスイッチング電源10の作用を説明する。
先ず、出力部11の動作を説明する。
上記したように、出力部11に含まれるスイッチ回路SW1,SW3は、制御部12から供給される駆動信号DR1,DR3によりそれぞれオン・オフする。
【0029】
駆動信号DR1及び駆動信号DR3がHレベルのとき、図7に示すように、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオンされる。このとき、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4はオフ状態となる。すると、インダクタLの第1端子は入力電圧Vinが供給される第1端子P1に接続され、インダクタLの第2端子は基準電位(グランドGND)に接続される。この状態をステート1とする。このステート1では、電流I1が流れ、インダクタLにエネルギーが蓄積される。
【0030】
駆動信号DR1及び駆動信号DR3がともにLレベルのとき、図8に示すように、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオフされる。このとき、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4はオン状態となる。すると、インダクタLの第1端子は基準電位(グランドGND)に接続され、インダクタLの第2端子は第2端子P2に接続される。この状態をステート2とする。このステート2では、電流I2が流れ、インダクタLに蓄積されたエネルギーが放出される。
【0031】
駆動信号DR1がHレベル、かつ駆動信号DR3がLレベルのとき、図9に示すように、第1スイッチ回路SW1がオンされるとともに、第3スイッチ回路SW3がオフされる。このとき、第2スイッチ回路SW2はオフ状態となり、第4スイッチ回路SW4はオン状態となる。すると、インダクタLの第1端子は入力電圧Vinが供給される第1端子P1に接続され、インダクタLの第2端子は第2端子P2に接続される。この状態をステート3とする。このステート3では、電流I3が流れる。
【0032】
次に、制御部12の動作を説明する。
誤差電圧生成回路21のエラーアンプ31は、出力電圧Voutを抵抗R1,R2により分圧した電圧Vfbと基準電圧Vrefの差電圧を増幅した誤差電圧Verを出力する。PWM信号生成回路23のコンパレータ51は、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとを比較し、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとが一致するタイミングで立ち下がる信号Spを出力する。RS−FF回路52は、クロック信号CKに応答して制御信号PWMをセットし(立ち上げる)、信号Spに応答して制御信号PWMをリセットする(立ち下げる)。
【0033】
ステート制御回路24のアンプ61は、誤差電圧Verと基準電圧Vr1との差電圧を増幅した電圧V1を出力する。コンパレータ63は、電圧V1とスロープ電圧Vctとを比較し、電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングで立ち上がる信号Smを出力する。D−FF回路65は、信号Smの立ち上がりタイミングで制御信号MPを立ち上げ、クロック信号CKの立ち上がりタイミングで制御信号MPを立ち下げる。
【0034】
また、コンパレータ63は、電圧V1がスロープ電圧Vctの電圧範囲にないとき、つまりスロープ電圧Vctから外れているときに、電圧V1とスロープ電圧Vctとの大小関係に応じてHレベルまたはLレベルの信号Smを出力する。
【0035】
制御信号生成回路25は、制御信号PWMと制御信号MPとを合成して制御信号SR1,SR3を生成する。駆動回路26は、制御信号SR1,SR3に基づいて駆動信号DR1,DR3を生成する。出力部11のスイッチ回路SW1,SW3は、上記したように、駆動信号DR1,DR3にそれぞれ応答してオンオフし、第2端子P2から出力電圧Voutが出力される。そして、この出力電圧Voutは、誤差電圧生成回路21にフィードバックされる。
【0036】
従って、スイッチング電源10は、出力電圧Voutに基づいて制御信号PWMのパルス幅を調整する第1のフィードバックループと、出力電圧Voutに基づいて制御信号MPのパルス幅を調整する第2のフィードバックループを有する。そして、これらのフィードバックループに含まれるエラーアンプ31は、2つの入力電圧、つまりフィードバック電圧Vfbを基準電圧Vrefと一致するように、誤差電圧Ver、つまり制御信号PWMのパルス幅を制御する。また、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61は、2つの入力電圧、すなわち誤差電圧Verを基準電圧Vr1と一致するように、電圧V1、つまり制御信号MPのパルス幅を制御する。
【0037】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより高くその差が大きい(Vin≫Vout)とき、図2に示すように、エラーアンプ31(図1参照)から出力される誤差電圧Verはスロープ電圧Vctの電圧範囲内である。このとき、制御信号PWMは、誤差電圧Verの電圧に応じた期間、詳しくはクロック信号CKの立ち上がりからスロープ電圧Vctが誤差電圧Ver以上となるまでの期間、Hレベルとなる。
【0038】
一方、差動アンプ61(図1参照)から出力される差電圧V1は、基準電圧Vr1と誤差電圧Verとに基づいて出力され、スロープ電圧Vctの電圧範囲から外れている。このため、制御信号MPは、一定のレベル(Lレベル)となる。
【0039】
そして、駆動信号DR1(制御信号SR1)は、制御信号PWMと制御信号MPとを互いに論理和演算(OR)して生成されるため、制御信号PWMと実質的に同じ波形となる。図1に示すスイッチ回路SW1は、Hレベルの駆動信号DR1によりオンし、Lレベルの駆動信号DR1によりオフする。
【0040】
一方、駆動信号DR3(制御信号SR3)は、制御信号PWMと制御信号MPとを互いに論理積演算(AND)して生成されるため、継続的に一定レベル(Lレベル)となる。図1に示すスイッチ回路SW3は、この駆動信号DR3によりオフ状態が維持される。
【0041】
従って、スイッチ回路SW1がオンすると、出力部11はステート3の状態(図9参照)となる。一方、スイッチ回路SW1がオフすると、出力部11はステート2の状態(図8参照)となる。つまり、制御部12は、ステート2とステート3を交互に繰り返すように出力部11を制御する。この動作により、スイッチング電源10は、入力電圧Vinを降圧して出力電圧Voutを生成する降圧モードにて動作する。
【0042】
そして、図1に示すエラーアンプ31を含む第1のフィードバックループは、出力電圧Voutを分圧したフィードバック電圧Vfbを基準電圧Vrefに一致するように、RS−FF回路52の制御信号PWMのパルス幅を制御する。従って、制御信号PWMのパルス幅は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの電圧差に応じて制御される。そして、入力電圧Vinが高いほど、制御信号PWMのパルス幅は狭い。そして、入力電圧Vinが低下して出力電圧Voutに近づくにしたがって制御信号PWMのパルス幅は広くなる。
【0043】
入力電圧Vinが低下して出力電圧Voutに近づく(Vin>Vout)と、誤差電圧Verが上昇し、誤差電圧Verと基準電圧Vr1との差電圧が小さくなり、電圧V1が低下する。そして、図3に示すように、電圧V1がスロープ電圧Vctのピーク電圧より低くなる、すなわちスロープ電圧Vctの電圧範囲内となると、電圧V1とスロープ電圧Vctとの比較結果に応じて制御信号MPが生成される。つまり、第1及び第2のフィードバックループによりスイッチ回路SW1,SW3に対する駆動信号DR1,DR3のパルス幅が制御される。そして、誤差電圧Verが基準電圧Vr1と一致し、誤差電圧Ver、すなわち基準電圧Vr1に応じたパルス幅の制御信号PWMが生成される。つまり、第1及び第2のフィードバックループが動作している間、所定のパルス幅(基準電圧Vr1に応じたパルス幅)の制御信号PWMが出力されるとともに、出力電圧Voutに応じて制御信号MPのパルス幅が制御される。
【0044】
PWM信号生成回路23の制御信号PWMは、クロック信号CKの立ち上がりから、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と等しくなるまでの間、Hレベルである。制御信号MPは、スロープ電圧Vctが電圧V1と等しくなるときから、クロック信号CKの立ち上がりまでの間、Hレベルである。
【0045】
そして、駆動信号DR1(制御信号SR1)は、制御信号PWMと制御信号MPを論理和演算して生成される。従って、駆動信号DR1は、スロープ電圧Vctが電圧V1と一致するタイミングから、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と一致するタイミングまでの間、Hレベルとなる。図1に示すスイッチ回路SW1は、Hレベルの駆動信号DR1によりオンし、Lレベルの駆動信号DR1によりオフする。
【0046】
一方、駆動信号DR3(制御信号SR3)は、制御信号PWMと制御信号MPとを互いに論理積演算(AND)して生成されるため、一定レベル(Lレベル)となる。図1に示すスイッチ回路SW3は、この駆動信号DR3によりオフ状態が維持される。
【0047】
図3に示す状態から更に入力電圧Vinが低下すると、誤差電圧Verが上昇する。このとき、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61は、誤差電圧Verを基準電圧Vr1と等しくするように、電圧V1を出力する。その結果、誤差電圧Verは基準電圧Vr1と等しく、電圧V1が低下する。すると、この電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングが早くなり、その分、制御信号MPのパルス幅が長くなる。このため、駆動信号DR1のパルス幅が長くなる、つまりスイッチ回路SW1のオン時間(ステート3の期間)が長くなる。つまり、第2のフィードバックループは、入力電圧Vinの低下に応じて、ステート2の期間を短くするように、制御信号MPのパルス幅を制御する。
【0048】
入力電圧Vinが出力電圧Voutと等しい(Vin=Vout)とき、図4に示すように、アンプ61の出力電圧V1は、誤差電圧Ver及び基準電圧Vr1と等しくなる。すると、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と等しくなるタイミングと、スロープ電圧Vctが電圧V1と等しくなるタイミングとが一致する。その結果、駆動信号DR1は継続的にHレベルとなり、スイッチ回路SW1がオンする。一方、駆動信号DR3は、上記と同様に、継続的にLレベルとなり、スイッチ回路SW3はオフする。従って、出力部11はステート3の状態に維持される。
【0049】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより低くなる(Vin<Vout)と、図5に示すように、図1に示すアンプ61の出力電圧V1が基準電圧Vr1(誤差電圧Ver)より低くなる。すると、スロープ電圧Vctが電圧V1と等しくなるタイミングが、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と等しくなるタイミングよりも早くなる。この結果、PWM信号生成回路23の制御信号PWMと、ステート制御回路24の出力信号MPがともにHレベルとなる期間が生じる。そして、この期間、Hレベルの駆動信号DR3(SR3)が生成される。図1に示すスイッチ回路SW3は、Hレベルの駆動信号DR3によりオンし、Lレベルの駆動信号DR3によりオフする。一方、信号PWMと制御信号MPとにより生成される駆動信号DR1は、継続的にHレベルとなる。図1に示すスイッチ回路SW1は、Hレベルの駆動信号DR1により継続的にオンする。
【0050】
従って、スイッチ回路SW3がオンすると、出力部11はステート1の状態(図7参照)となる。一方、スイッチ回路SW3がオフすると、出力部11はステート3の状態(図9参照)となる。つまり、制御部12は、ステート1とステート3を交互に繰り返すように出力部11を制御する。この動作により、スイッチング電源10は、入力電圧Vinを昇圧して出力電圧Voutを生成する昇圧モードにて動作する。
【0051】
入力電圧Vinがさらに低下して出力電圧Voutと差が大きくなる(Vin≪Vout)と、図1に示すアンプ61の出力電圧V1がさらに低下し、スロープ電圧Vctのボトム電圧(最低電圧)と一致し、制御信号MPのパルス制御が不可能になる。すると、エラーアンプ31から出力される誤差電圧Verが上昇する。このとき、D−FF回路65は、リセット端子RにLレベルのクロック信号CKxが供給される間、すなわち図6に示すように、Hレベルのクロック信号CKと等しい期間だけLレベルとなる制御信号MPを出力する。
【0052】
PWM信号生成回路23は、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとに基づいて信号PWMを生成する。誤差電圧Verが上昇することにより、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verと等しくなるタイミングが遅くなり、その分、信号PWMのパルス幅が長くなる。
【0053】
そして、信号PWMと制御信号MPとにより、継続的にHレベルとなる駆動信号DR1が生成される。つまり、スイッチ回路SW1は継続的にオンする。一方、信号PWMと制御信号MPとにより、HレベルとLレベルとが交互に繰り返される駆動信号DR3が生成され、スイッチ回路SW3がオンオフされる。スイッチ回路SW3がオンする期間、すなわちHレベルの駆動信号DR3が出力される期間は、誤差電圧Verの上昇にしたがって長くなる。つまり、入力電圧Vinの低下に従ってステート1の期間を長くするように制御される。
【0054】
上記のように動作するスイッチング電源10は、素子のバラツキによる影響を受けにくい。例えば、スロープ電圧Vctを生成するスロープ電圧生成回路43は、コンデンサC3を含む。このコンデンサC3の容量値がばらつくと、スロープ電圧Vctの傾き(上昇率)が変化する。このため、PWM信号生成回路23とステート制御回路24にそれぞれ異なるスロープ電圧生成回路にて生成したスロープ電圧を供給する構成とすると、各スロープ電圧生成回路の構成要素のバラツキが、各ステート1〜3の期間のバラツキを生じさせる。
【0055】
例えば、図4に示すように、アンプ61の出力電圧V1が誤差電圧Ver及び基準電圧Vr1と等しくなっても、各電圧V1,Verとそれぞれに対応するスロープ電圧とが一致するタイミングにずれが生じる。例えば、電圧V1とスロープ電圧とが一致するタイミングが遅れると、その分、ステート3の期間が短くなり、ステート2の期間が長くなる。すると、HレベルとLレベルとを交互に繰り返す駆動信号DR1が生成され、スイッチ回路SW1がオンオフすることとなる。
【0056】
また、図5に示す状態において、電圧V1とスロープ電圧とが一致するタイミングが遅れると、その分、ステート3の期間が長くなり、ステート1の期間が短くなる。その結果、十分な昇圧比が生成できなくなり、出力電圧Voutが低下する、つまり所望の出力電圧Voutが得られなくなる。このことは、スイッチング周波数を高くすると、顕著となる。
【0057】
上記の問題に対し、図1に示すスイッチング電源10は、PWM信号生成回路23とステート制御回路24に共通のスロープ電圧Vctを供給している。そして、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61により、誤差電圧Verを基準電圧Vr1と一致するように、制御信号MPのパルス幅を制御している。誤差電圧Verが基準電圧Vr1と一致するように制御される間、PWM信号生成回路23から出力される信号PWMは、スロープ電圧Vctの傾きに応じて、一定のパルス幅に維持される。そして、信号PWMに対し、電圧V1に応じて生成された制御信号MPが合成(論理和演算、論理積演算)されて駆動信号DR1,DR3が生成される。従って、電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングと、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と一致するタイミングとの差、つまり電圧V1と基準電圧Vr1との差電圧に応じてステート2又はステート1の期間が設定される。このため、ステート1又はステート2の期間が確実に確保されるため、昇圧比又は降圧比を確保することができ、出力電圧Voutの変動を抑えることができる。
【0058】
そして、スイッチング周期を短くする、つまりスイッチング周波数を高くしても、上記の状態は維持される。つまり、コンデンサ等のばらつきに影響されることなく、スイッチング周波数を高周波化することができる。
【0059】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)PWM信号生成回路23は、出力電圧Voutに応じたフィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとに基づいて生成した誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとに基づいて制御信号PWMを生成する。ステート制御回路24は、誤差電圧Verと基準電圧Vr1とに基づいて生成した電圧V1とスロープ電圧Vctとに基づいて制御信号MPを生成する。
【0060】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより高いとき、制御信号PWMと制御信号MPとは同時にHレベルとならない。従って、駆動信号DR3はLレベルに維持され、スイッチ回路SW3はオフに維持される。そして、両制御信号PWM,MPにより生成された駆動信号DR1によりスイッチ回路SW1がオンオフされ、ステート2とステート3が交互に繰り返される。従って、一つのスイッチ回路SW1だけをオンオフ制御するので、スイッチ回路のオンオフ制御による電力損失を削減して、電力効率を向上させることができる。
【0061】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより低いとき、制御信号PWM,MPにより生成されたHレベルの駆動信号DR1によりスイッチ回路SW1がオンに維持される。一方、制御信号PWMと制御信号MPが同時にHレベルとなる期間に応じて生成される駆動信号DR3によりスイッチ回路SW3がオンオフされ、ステート1とステート3が交互に繰り返される。従って、一つのスイッチ回路SW3だけをオンオフ制御するので、スイッチ回路のオンオフ制御による電力損失を削減して、電力効率を向上させることができる。
【0062】
入力電圧Vinが出力電圧Voutと等しいとき、制御信号PWM,MPにより、Hレベルの駆動信号DR1とLレベルの駆動信号DR3が生成され、スイッチ回路SW1がオンに維持され、スイッチ回路SW3がオフに維持される。従って、ステート3が維持される。従って、出力部11に含まれるスイッチ回路SW1,SW3をオンオフ制御することなく、ステート3を維持するため、スイッチ回路SW1,SW3のスイッチングによる損失が削減され、電力効率を向上させることができる。
【0063】
(2)PWM信号生成回路23のコンパレータ51は、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとを比較し、その比較結果に応じた信号Spを出力する。ステート制御回路24のコンパレータ63は、アンプ61の出力電圧V1とスロープ電圧Vctとを比較し、その比較結果に応じた信号Smを出力する。そして、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61により、誤差電圧Verを基準電圧Vr1と一致するように、制御信号MPのパルス幅を制御している。誤差電圧Verが基準電圧Vr1と一致するように制御される間、PWM信号生成回路23から出力される信号PWMは、スロープ電圧Vctの傾きに応じて、一定のパルス幅に維持される。そして、信号PWMに対し、電圧V1に応じて生成された制御信号MPが合成(論理和演算、論理積演算)されて駆動信号DR1,DR3が生成される。従って、電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングと、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と一致するタイミングとの差、つまり電圧V1と基準電圧Vr1との差電圧に応じてステート2又はステート1の期間が設定される。このため、ステート1又はステート2の期間が確実に確保されるため、昇圧比又は降圧比を確保することができ、出力電圧Voutの変動を抑えることができる。そして、スイッチング周期を短くする、つまりスイッチング周波数を高くしても、上記の状態は維持される。つまり、コンデンサ等のばらつきに影響されることなく、スイッチング周波数を高周波化することができる。
【0064】
(3)入力電圧Vinの変化に応じて、昇圧モードから降圧モードへ、あるいは降圧モードから昇圧モードへ連続的にかつ自動的に移行させることができる。
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
【0065】
・スイッチング電源の構成を適宜変更してもよい。例えば、図10に示すスイッチング電源10aは、出力部11aと制御部12aを含む。
出力部11aは、4つのスイッチ回路SW1〜SW4を含む。例えば、第1スイッチ回路SW1及び第4スイッチ回路SW4はPチャネルMOSトランジスタであり、第2スイッチ回路SW2及び第3スイッチ回路SW3はNチャネルMOSトランジスタである。第1スイッチ回路SW1〜第4スイッチ回路SW4のゲート端子には制御部12から第1駆動信号DR1〜第4駆動信号DR4がそれぞれ供給される。
【0066】
第1スイッチ回路SW1のソース端子は第1端子P1に接続されている。第1端子P1には入力電圧Vinが供給される。第1スイッチ回路SW1のドレイン端子は第2トランジスタのドレイン端子に接続されている。第2トランジスタのソース端子はグランドGNDに接続されている。第1スイッチ回路SW1と第2トランジスタとの間のノードはインダクタLの第1端子に接続されている。インダクタLの第2端子は第3スイッチ回路SW3と第4トランジスタとの間のノードに接続されている。第3スイッチ回路SW3のソース端子はグランドGNDに接続されている。第3スイッチ回路SW3のドレイン端子は第4スイッチ回路SW4のドレイン端子に接続されている。第4スイッチ回路SW4のソース端子は第2端子P2に接続されている。第2端子P2はコンデンサC1の第1端子に接続され、コンデンサC1の第2端子はグランドGNDに接続されている。
【0067】
制御部12aは、誤差電圧生成回路21、発振回路22、PWM信号生成回路23、ステート制御回路24、制御信号生成回路25、駆動回路26a、を含む。
駆動回路26aは、制御信号生成回路25の出力信号SR1,SR3に基づいて駆動信号DR1〜DR4を生成する。駆動回路26aは、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2、あるいは第3スイッチ回路SW3と第4スイッチ回路SW4が同時にオンして貫通電流が流れることを防止するものである。つまり、駆動回路26aは、貫通防止回路の機能を有している。
【0068】
制御信号SR1はNAND回路91a及びインバータ回路92aに入力される。NAND回路91aの出力信号はバッファ回路94aに入力され、そのバッファ回路94aから駆動信号DR1が出力される。インバータ回路92aの出力信号はAND回路93aに入力され、そのAND回路93aにはバッファ回路94aの出力信号(駆動信号DR1)が入力される。そして、AND回路93aの出力信号はバッファ回路94b入力され、そのバッファ回路94bから駆動信号DR2が出力される。駆動信号DR2はインバータ回路92bに入力され、そのインバータ回路92bの出力信号がNAND回路91aに入力される。
【0069】
制御信号SR3はAND回路93b及びインバータ回路92cに入力される。AND回路93bの出力信号はバッファ回路94cに入力され、そのバッファ回路94cから駆動信号DR3が出力される。この駆動信号DR3はインバータ回路92dに入力され、そのインバータ回路92dの出力信号がNAND回路91bに入力される。NAND回路91bの出力信号はバッファ回路94dに入力され、そのバッファ回路94dから駆動信号DR4が出力される。この駆動信号DR4はAND回路93bに入力される。
【0070】
バッファ回路94a,94b,94c,94dの動作遅延時間は、スイッチ回路SW1〜SW4の大きいゲート容量を駆動するため、他のAND回路、NAND回路、インバータ回路の動作遅延時間に比して大きい。
【0071】
次に、駆動回路26aによる駆動信号DR1,DR2の生成動作を説明する。
出力信号SR1は、RS−FF回路52の制御信号PWMとステート制御回路24の出力信号MPがともにLレベルとなるときLレベルとなる。駆動信号DR1は、信号SR1の立ち下がりからバッファ回路94aの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR1の立ち上がりからバッファ回路94b,94aの動作遅延時間だけ遅れて立ち下がる。従って、駆動信号DR1のHレベルのパルス幅は信号SR1のLレベルのパルス幅より大きくなる。駆動信号DR2は、駆動信号DR1の立ち上がりからバッファ回路94bの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR1の立ち上がりからバッファ回路94bの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がる。
【0072】
このような動作により、駆動信号DR2は駆動信号DR1の立ち上がりの後に立ち上がり、駆動信号DR1の立ち下がりに先立って立ち下がる。従って、ステート2とステート3でスイッチ回路SW1,SW2がスイッチング制御されるとき、スイッチ回路SW1,SW2が同時にオンすることによる貫通電流の発生が阻止される。
【0073】
次に、駆動回路26aによる駆動信号DR3,DR4の生成動作を示す。
出力信号SR3は、RS−FF回路52の制御信号PWMとステート制御回路24の出力信号MPがともにHレベルとなるときHレベルとなる。駆動信号DR4は、信号SR3の立ち上がりからバッファ回路94dの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR3の立ち下がりからバッファ回路94c,94dの動作遅延時間だけ遅れて立ち下がる。従って、駆動信号DR4のHレベルのパルス幅は信号SR3のHレベルのパルス幅より大きくなる。駆動信号DR3は、駆動信号DR4の立ち上がりからバッファ回路94cの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR3の立ち下がりからバッファ回路94cの動作遅延時間だけ遅れて立ち下がる。
【0074】
このような動作により、駆動信号DR3は駆動信号DR4の立ち上がりの後に立ち上がり、駆動信号DR4の立ち下がりに先立って立ち下がる。従って、ステート1とステート3でスイッチ回路SW3,SW4がスイッチング制御されるとき、スイッチ回路SW3,SW4が同時にオンすることによる貫通電流の発生が阻止される。
【0075】
上記のように構成されたスイッチング電源10aは、スイッチ回路SW1〜SW4をスイッチング制御する同期整流動作を行う電源回路であり、電力効率が良い。
第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオンされるとともに、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4がオフされる。この状態をステート1とする(図7参照)。このステート1では、電流I1が流れ、インダクタLにエネルギーが蓄積される。また、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4がオンされるとともに、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオフされる。この状態をステート2とする(図8参照)。このステート2では、電流I2が流れ、インダクタLに蓄積されたエネルギーが放出される。また、第1スイッチ回路SW1及び第4スイッチ回路SW4がオンされるとともに、第2スイッチ回路SW2及び第3スイッチ回路SW3がオフされる。この状態をステート3とする(図9参照)。このステート3では、電流I3が流れる。
【0076】
なお、スイッチ回路SW1〜SW4をMOSトランジスタとしたが、バイポーラトランジスタ、Bi−CMOSトランジスタを用いても良い。また、スイッチ回路SW1〜SW4の全てをPチャネルMOSトランジスタとする、又はスイッチ回路SW1〜SW4の全てをNチャネルMOSトランジスタとしてもよい。これらの変更に応じて制御部12(駆動回路26a等)の構成が変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
10,10a スイッチング電源
11,11a 出力部
12,12a 制御部(制御回路)
21 誤差電圧生成回路(第1の制御回路)
22 発振回路
23 PWM信号生成回路(第1の制御回路)
24 ステート制御回路(第2の制御回路)
25 制御信号生成回路(駆動部)
26 駆動回路(駆動部)
SW1〜SW4 スイッチ回路
L インダクタ
PWM 制御信号(第1の制御信号)
MP 制御信号
SR1,SR3 制御信号
DR1〜DR4 駆動信号
CK クロック信号
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
Ver 誤差電圧(第2の電圧)
Vfb フィードバック電圧(第1の電圧)
Vref,Vr1 基準電圧
Vct スロープ電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10