(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
出力電圧に応じた第1の電圧と、出力電圧に応じて設定された第1の基準電圧との差に応じて第2の電圧を生成し、前記第1の電圧を前記第1の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第1の制御信号を生成する第1の制御回路であって、前記第1の制御信号は前記第2の電圧とスロープ電圧との比較により生成される、第1の制御回路と、
前記第2の電圧を第2の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第2の制御信号を生成する第2の制御回路であって、前記第2の制御信号は前記第2の電圧と前記第2の基準電圧との差と、前記スロープ電圧との比較により生成される、第2の制御回路と、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との相互作用に基づいて、昇降圧型の出力部を駆動する駆動部と、
を有することを特徴とする制御回路。
出力電圧に応じた第1の電圧と、出力電圧に応じて設定された第1の基準電圧との差に応じて第2の電圧を生成し、前記第1の電圧を前記第1の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第1の制御信号であって、前記第2の電圧とスロープ電圧との比較により生成される前記第1の制御信号を生成し、
前記第2の電圧を第2の基準電圧に等しくするようにパルス幅が制御された第2の制御信号であって、前記第2の電圧と前記第2の基準電圧との差と、前記スロープ電圧との比較により生成される前記第2の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との相互作用に基づいて、昇降圧型の出力部を駆動する
ことを特徴とするスイッチング電源の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を添付図面に従って説明する。
図1に示すように、昇降圧型のスイッチング電源10は、出力部11と制御部12を含む。
【0010】
出力部11は、4つのスイッチ回路SW1〜SW4、インダクタL、コンデンサC1を含む。例えば、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3はNチャネルMOSトランジスタである。第2スイッチ回路SW2は低電位電源(例えばグランドGND)側をアノードとするダイオードとして常時動作し、第4スイッチ回路SW4はノードN2側をアノードとするダイオードとして常時動作する。
【0011】
入力電圧Vinが供給される第1端子P1は第1スイッチ回路SW1の第1端子(例えばドレイン端子)に接続され、第1スイッチ回路SW1の第2端子(例えばソース端子)は第2スイッチ回路SW2に接続されている。第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2との間のノードN1はインダクタLの第1端子に接続されている。インダクタLの第2端子は第3スイッチ回路SW3の第1端子(例えばドレイン端子)に接続され、第3スイッチ回路SW3の第2端子(例えばソース端子)は低電位電源端子(グランドGND)に接続されている。インダクタLと第3スイッチ回路SW3との間のノードN2は第4スイッチ回路SW4の第1端子(アノード)に接続され、第4スイッチ回路SW4の第2端子(カソード)は、出力電圧Voutを出力する第2端子P2に接続されている。この第2端子P2とグランドGNDとの間にはコンデンサC1が接続されている。
【0012】
第1スイッチ回路SW1の制御端子(例えばゲート端子)には制御部12から駆動信号DR1が供給される、第3スイッチ回路SW3の制御端子(ゲート端子)には制御部12から駆動信号DR3が供給される。第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3は、駆動信号DR1,DR3に応答してオンオフする。そして、スイッチ回路SW4を介して出力電圧Vout及び出力電流Ioを出力する。
【0013】
次に、制御部12の構成を説明する。
制御部12は、誤差電圧生成回路21、発振回路22、PWM信号生成回路23、ステート制御回路24、制御信号生成回路25、駆動回路26を含む。
【0014】
誤差電圧生成回路21は出力部11の第2端子P2に接続され、出力電圧Voutが供給される。
誤差電圧生成回路21は、抵抗R1,R2、エラーアンプ31、基準電源32、コンデンサC2を含む。出力電圧Voutは抵抗R1の第1端子に供給され、抵抗R1の第2端子は抵抗R2の第1端子に接続され、抵抗R2の第2端子はグランドGNDに接続されている。両抵抗R1,R2間のノードはエラーアンプ31の反転入力端子に接続されている。エラーアンプ31の非反転入力端子には基準電源32から基準電圧Vrefが供給される。エラーアンプ31の出力端子は、位相補償用のコンデンサC2を介して同エラーアンプ31の反転入力端子と接続されている。
【0015】
抵抗R1,R2は、それぞれの抵抗値に応じた分圧比で出力電圧Voutを分圧した電圧Vfbを生成する。この電圧Vfbは、出力電圧Voutに比例した電圧である。エラーアンプ31は、電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差電圧を増幅した誤差電圧Verを出力する。抵抗R1,R2の抵抗値と基準電圧Vrefは、出力電圧Voutを安定化する目標電圧に応じて設定されている。例えば、出力電圧Voutと同様に、抵抗R1,R2の分圧比により目標電圧を分圧した電圧値が基準電圧Vrefとして設定される。言い換えれば、基準電圧Vrefを抵抗R1と抵抗R2の接続点に供給したときに、抵抗R1の第1端子に生じる電圧が、出力電圧Voutを安定化する目標電圧となる。従って、誤差電圧Verは、出力電圧Voutと目標電圧の差電圧に比例した電圧となる。この誤差電圧VerはPWM信号生成回路23とステート制御回路24に供給される。
【0016】
発振回路22は、発振器41、バッファ回路42、スロープ電圧生成回路43を含む。
発振器41は、所定周期のクロック信号CKを出力する。このクロック信号CKの周期は、スイッチング電源10のスイッチング周期(スイッチングサイクル)に対応する。例えば、発振器41は、スイッチング周期と等しい周期のクロック信号CKを出力する。バッファ回路42はクロック信号CKと実質的に等しい波形のクロック信号CKbを出力する。このクロック信号CKbは、スロープ電圧生成回路43に供給される。また、クロック信号CKbは、PWM信号生成回路23とステート制御回路24に供給される。なお、クロック信号CKとクロック信号CKbは互いに同じ波形であるため、以下の説明においてはクロック信号CKを用いることとする。
【0017】
スロープ電圧生成回路43は、定電流源44、トランジスタT1、コンデンサC3を含む。トランジスタT1は例えばNチャネルMOSトランジスタであり、ソースがグランドに接続され、ドレインがコンデンサC3の第1端子に接続され、そのコンデンサC3の第2端子はグランドに接続されている。また、コンデンサC3の第1端子には、電圧VDDが供給される定電流源44から定電流が供給される。トランジスタT1のゲート端子には、クロック信号CKが供給される。そして、コンデンサC3の第1端子が接続されたノードにおける電圧は、スロープ電圧Vctとして、PWM信号生成回路23とステート制御回路24に供給される。
【0018】
トランジスタT1は、クロック信号CKに応答してオンオフする。トランジスタT1がオンすると、コンデンサC3に蓄積されている電荷が放電されるため、スロープ電圧Vctはグランドレベル(0V)となる。トランジスタT1がオフすると、定電流源44から供給される定電流によりコンデンサC3に電荷が蓄積され、スロープ電圧Vctが上昇する。つまり、トランジスタT1は、コンデンサC3に対する充放電素子として機能する。そして、スロープ電圧Vctは、クロック信号CKの周期と等しい周期の三角波(のこぎり波)となる。また、コンデンサC3には定電流源44から一定電流の定電流が供給される。従って、スロープ電圧Vctの傾き、即ちスロープ電圧Vctが変化する割合は固定されている。
【0019】
PWM信号生成回路23は、PWMコンパレータ51、RS型フリップフロップ回路(以下、RS−FF回路)52を含む。PWMコンパレータ51の非反転入力端子には誤差電圧Verが供給される。PWMコンパレータ51の反転入力端子には、スロープ電圧生成回路43からスロープ電圧Vctが供給される。
【0020】
PWMコンパレータ51は、両電圧Ver,Vctを比較し、その比較結果に応じた信号Spを出力する。例えば、PWMコンパレータ51は、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verより低い場合にHレベルの信号Spを出力し、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verより高い場合にLレベルの信号Spを出力する。出力電圧Voutが上昇すると、誤差電圧Verが低下するため、信号SpがLレベルである期間が長くなり、Hレベルである期間が短くなる。一方、出力電圧Voutが低下すると、誤差電圧Verが上昇するため、信号SpがLレベルである期間が短くなり、Hレベルである期間が長くなる。即ち、信号Spのデューティは、入力電圧Vinと出力電圧Voutに応じて変化する。この信号Spは、RS−FF回路52のリセット端子に供給される。
【0021】
RS−FF回路52のセット端子にはクロック信号CKが供給される。RS−FF回路52は、Hレベルのクロック信号CKに応答して端子QからHレベルの信号PWMを出力する。そして、RS−FF回路52は、PWMコンパレータ51から出力されるLレベルの信号Spに応答してLレベルの信号PWMを出力する。RS−FF回路52は、クロック信号CKの立ち上がりから比較信号Spの立ち下がりまでの期間、Hレベルの信号PWMを出力する。つまり、RS−FF回路52の制御信号PWMは、クロック信号CKの立ち上がりから、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verより高くなるまでの間、Hレベルとなる。この制御信号PWMは、制御信号生成回路25に供給される。
【0022】
ステート制御回路24は、アンプ61、基準電源62、モードコンパレータ63、インバータ回路64、D型フリップフロップ回路(以下、D−FF回路)65を含む。
アンプ61の反転入力端子には誤差電圧Verが供給され、アンプ61の非反転入力端子には基準電源62の基準電圧Vr1が供給される。基準電圧Vr1は、例えばスロープ電圧Vctに応じて、そのスロープ電圧Vctの中心電圧(ピーク電圧の1/2)に設定されている。アンプ61は、誤差電圧Verと基準電圧Vr1との差電圧を増幅した電圧V1を出力する。
【0023】
モードコンパレータ63の反転入力端子には、アンプ61からの出力電圧V1が供給され、非反転入力端子には、スロープ電圧Vctが供給される。モードコンパレータ63は、電圧V1とスロープ電圧Vctを比較し、その比較結果に応じた信号Smを出力する。例えば、モードコンパレータ63は、スロープ電圧Vctが電圧V1より低い場合にLレベルの信号Smを出力し、スロープ電圧Vctが電圧V1より高い場合にHレベルの信号Smを出力する。この信号SmはD−FF回路65に供給される。
【0024】
インバータ回路64は、クロック信号CKbを論理反転したレベルの反転クロック信号CKxを出力する。
D−FF回路65は、入力端子Dが電圧VDDレベルにプルアップされ、クロック端子CKにモードコンパレータ63から出力される信号Smが供給されている。また、D−FF回路65のリセット端子Rには反転クロック信号CKxが供給される。
【0025】
D−FF回路65は、Hレベルの信号Smに応答して出力端子QからHレベルの制御信号MPを出力する。また、D−FF回路65は、Lレベルの反転クロック信号CKx、すなわちHレベルのクロック信号CKに応答して出力端子QからLレベルの制御信号MPを出力する。従って、D−FF回路65は、信号Smの立ち上がりから反転クロック信号CKxの立ち下がり、すなわちクロック信号CKの立ち上がりまでの期間、Hレベルの制御信号MPを出力する。この制御信号MPは制御信号生成回路25に供給される。
【0026】
制御信号生成回路25は、OR回路(第1の信号生成部)71、AND回路(第2の信号生成部)72を含む。OR回路71とAND回路72には、PWM信号生成回路23(RS−FF回路52)の制御信号PWMとステート制御回路24(D−FF回路65)の制御信号MPとがそれぞれ供給される。OR回路71は、両信号PWM,MPを論理和演算(OR演算)し、その演算結果に応じたレベルの信号SR1を出力する。AND回路72は、両信号PWM,MPを論理積演算(AND演算)し、その演算結果に応じたレベルの信号SR3を出力する。
【0027】
駆動回路26は、バッファ回路81,82を含む。各バッファ回路81,82は、それぞれ信号SR1,SR3に応じて、スイッチ回路SW1,SW3を駆動するための駆動信号DR1.DR3を出力する。
【0028】
次に、上記のように構成された昇降圧型のスイッチング電源10の作用を説明する。
先ず、出力部11の動作を説明する。
上記したように、出力部11に含まれるスイッチ回路SW1,SW3は、制御部12から供給される駆動信号DR1,DR3によりそれぞれオン・オフする。
【0029】
駆動信号DR1及び駆動信号DR3がHレベルのとき、
図7に示すように、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオンされる。このとき、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4はオフ状態となる。すると、インダクタLの第1端子は入力電圧Vinが供給される第1端子P1に接続され、インダクタLの第2端子は基準電位(グランドGND)に接続される。この状態をステート1とする。このステート1では、電流I1が流れ、インダクタLにエネルギーが蓄積される。
【0030】
駆動信号DR1及び駆動信号DR3がともにLレベルのとき、
図8に示すように、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオフされる。このとき、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4はオン状態となる。すると、インダクタLの第1端子は基準電位(グランドGND)に接続され、インダクタLの第2端子は第2端子P2に接続される。この状態をステート2とする。このステート2では、電流I2が流れ、インダクタLに蓄積されたエネルギーが放出される。
【0031】
駆動信号DR1がHレベル、かつ駆動信号DR3がLレベルのとき、
図9に示すように、第1スイッチ回路SW1がオンされるとともに、第3スイッチ回路SW3がオフされる。このとき、第2スイッチ回路SW2はオフ状態となり、第4スイッチ回路SW4はオン状態となる。すると、インダクタLの第1端子は入力電圧Vinが供給される第1端子P1に接続され、インダクタLの第2端子は第2端子P2に接続される。この状態をステート3とする。このステート3では、電流I3が流れる。
【0032】
次に、制御部12の動作を説明する。
誤差電圧生成回路21のエラーアンプ31は、出力電圧Voutを抵抗R1,R2により分圧した電圧Vfbと基準電圧Vrefの差電圧を増幅した誤差電圧Verを出力する。PWM信号生成回路23のコンパレータ51は、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとを比較し、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとが一致するタイミングで立ち下がる信号Spを出力する。RS−FF回路52は、クロック信号CKに応答して制御信号PWMをセットし(立ち上げる)、信号Spに応答して制御信号PWMをリセットする(立ち下げる)。
【0033】
ステート制御回路24のアンプ61は、誤差電圧Verと基準電圧Vr1との差電圧を増幅した電圧V1を出力する。コンパレータ63は、電圧V1とスロープ電圧Vctとを比較し、電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングで立ち上がる信号Smを出力する。D−FF回路65は、信号Smの立ち上がりタイミングで制御信号MPを立ち上げ、クロック信号CKの立ち上がりタイミングで制御信号MPを立ち下げる。
【0034】
また、コンパレータ63は、電圧V1がスロープ電圧Vctの電圧範囲にないとき、つまりスロープ電圧Vctから外れているときに、電圧V1とスロープ電圧Vctとの大小関係に応じてHレベルまたはLレベルの信号Smを出力する。
【0035】
制御信号生成回路25は、制御信号PWMと制御信号MPとを合成して制御信号SR1,SR3を生成する。駆動回路26は、制御信号SR1,SR3に基づいて駆動信号DR1,DR3を生成する。出力部11のスイッチ回路SW1,SW3は、上記したように、駆動信号DR1,DR3にそれぞれ応答してオンオフし、第2端子P2から出力電圧Voutが出力される。そして、この出力電圧Voutは、誤差電圧生成回路21にフィードバックされる。
【0036】
従って、スイッチング電源10は、出力電圧Voutに基づいて制御信号PWMのパルス幅を調整する第1のフィードバックループと、出力電圧Voutに基づいて制御信号MPのパルス幅を調整する第2のフィードバックループを有する。そして、これらのフィードバックループに含まれるエラーアンプ31は、2つの入力電圧、つまりフィードバック電圧Vfbを基準電圧Vrefと一致するように、誤差電圧Ver、つまり制御信号PWMのパルス幅を制御する。また、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61は、2つの入力電圧、すなわち誤差電圧Verを基準電圧Vr1と一致するように、電圧V1、つまり制御信号MPのパルス幅を制御する。
【0037】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより高くその差が大きい(Vin≫Vout)とき、
図2に示すように、エラーアンプ31(
図1参照)から出力される誤差電圧Verはスロープ電圧Vctの電圧範囲内である。このとき、制御信号PWMは、誤差電圧Verの電圧に応じた期間、詳しくはクロック信号CKの立ち上がりからスロープ電圧Vctが誤差電圧Ver以上となるまでの期間、Hレベルとなる。
【0038】
一方、差動アンプ61(
図1参照)から出力される差電圧V1は、基準電圧Vr1と誤差電圧Verとに基づいて出力され、スロープ電圧Vctの電圧範囲から外れている。このため、制御信号MPは、一定のレベル(Lレベル)となる。
【0039】
そして、駆動信号DR1(制御信号SR1)は、制御信号PWMと制御信号MPとを互いに論理和演算(OR)して生成されるため、制御信号PWMと実質的に同じ波形となる。
図1に示すスイッチ回路SW1は、Hレベルの駆動信号DR1によりオンし、Lレベルの駆動信号DR1によりオフする。
【0040】
一方、駆動信号DR3(制御信号SR3)は、制御信号PWMと制御信号MPとを互いに論理積演算(AND)して生成されるため、継続的に一定レベル(Lレベル)となる。
図1に示すスイッチ回路SW3は、この駆動信号DR3によりオフ状態が維持される。
【0041】
従って、スイッチ回路SW1がオンすると、出力部11はステート3の状態(
図9参照)となる。一方、スイッチ回路SW1がオフすると、出力部11はステート2の状態(
図8参照)となる。つまり、制御部12は、ステート2とステート3を交互に繰り返すように出力部11を制御する。この動作により、スイッチング電源10は、入力電圧Vinを降圧して出力電圧Voutを生成する降圧モードにて動作する。
【0042】
そして、
図1に示すエラーアンプ31を含む第1のフィードバックループは、出力電圧Voutを分圧したフィードバック電圧Vfbを基準電圧Vrefに一致するように、RS−FF回路52の制御信号PWMのパルス幅を制御する。従って、制御信号PWMのパルス幅は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの電圧差に応じて制御される。そして、入力電圧Vinが高いほど、制御信号PWMのパルス幅は狭い。そして、入力電圧Vinが低下して出力電圧Voutに近づくにしたがって制御信号PWMのパルス幅は広くなる。
【0043】
入力電圧Vinが低下して出力電圧Voutに近づく(Vin>Vout)と、誤差電圧Verが上昇し、誤差電圧Verと基準電圧Vr1との差電圧が小さくなり、電圧V1が低下する。そして、
図3に示すように、電圧V1がスロープ電圧Vctのピーク電圧より低くなる、すなわちスロープ電圧Vctの電圧範囲内となると、電圧V1とスロープ電圧Vctとの比較結果に応じて制御信号MPが生成される。つまり、第1及び第2のフィードバックループによりスイッチ回路SW1,SW3に対する駆動信号DR1,DR3のパルス幅が制御される。そして、誤差電圧Verが基準電圧Vr1と一致し、誤差電圧Ver、すなわち基準電圧Vr1に応じたパルス幅の制御信号PWMが生成される。つまり、第1及び第2のフィードバックループが動作している間、所定のパルス幅(基準電圧Vr1に応じたパルス幅)の制御信号PWMが出力されるとともに、出力電圧Voutに応じて制御信号MPのパルス幅が制御される。
【0044】
PWM信号生成回路23の制御信号PWMは、クロック信号CKの立ち上がりから、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と等しくなるまでの間、Hレベルである。制御信号MPは、スロープ電圧Vctが電圧V1と等しくなるときから、クロック信号CKの立ち上がりまでの間、Hレベルである。
【0045】
そして、駆動信号DR1(制御信号SR1)は、制御信号PWMと制御信号MPを論理和演算して生成される。従って、駆動信号DR1は、スロープ電圧Vctが電圧V1と一致するタイミングから、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と一致するタイミングまでの間、Hレベルとなる。
図1に示すスイッチ回路SW1は、Hレベルの駆動信号DR1によりオンし、Lレベルの駆動信号DR1によりオフする。
【0046】
一方、駆動信号DR3(制御信号SR3)は、制御信号PWMと制御信号MPとを互いに論理積演算(AND)して生成されるため、一定レベル(Lレベル)となる。
図1に示すスイッチ回路SW3は、この駆動信号DR3によりオフ状態が維持される。
【0047】
図3に示す状態から更に入力電圧Vinが低下すると、誤差電圧Verが上昇する。このとき、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61は、誤差電圧Verを基準電圧Vr1と等しくするように、電圧V1を出力する。その結果、誤差電圧Verは基準電圧Vr1と等しく、電圧V1が低下する。すると、この電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングが早くなり、その分、制御信号MPのパルス幅が長くなる。このため、駆動信号DR1のパルス幅が長くなる、つまりスイッチ回路SW1のオン時間(ステート3の期間)が長くなる。つまり、第2のフィードバックループは、入力電圧Vinの低下に応じて、ステート2の期間を短くするように、制御信号MPのパルス幅を制御する。
【0048】
入力電圧Vinが出力電圧Voutと等しい(Vin=Vout)とき、
図4に示すように、アンプ61の出力電圧V1は、誤差電圧Ver及び基準電圧Vr1と等しくなる。すると、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と等しくなるタイミングと、スロープ電圧Vctが電圧V1と等しくなるタイミングとが一致する。その結果、駆動信号DR1は継続的にHレベルとなり、スイッチ回路SW1がオンする。一方、駆動信号DR3は、上記と同様に、継続的にLレベルとなり、スイッチ回路SW3はオフする。従って、出力部11はステート3の状態に維持される。
【0049】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより低くなる(Vin<Vout)と、
図5に示すように、
図1に示すアンプ61の出力電圧V1が基準電圧Vr1(誤差電圧Ver)より低くなる。すると、スロープ電圧Vctが電圧V1と等しくなるタイミングが、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と等しくなるタイミングよりも早くなる。この結果、PWM信号生成回路23の制御信号PWMと、ステート制御回路24の出力信号MPがともにHレベルとなる期間が生じる。そして、この期間、Hレベルの駆動信号DR3(SR3)が生成される。
図1に示すスイッチ回路SW3は、Hレベルの駆動信号DR3によりオンし、Lレベルの駆動信号DR3によりオフする。一方、信号PWMと制御信号MPとにより生成される駆動信号DR1は、継続的にHレベルとなる。
図1に示すスイッチ回路SW1は、Hレベルの駆動信号DR1により継続的にオンする。
【0050】
従って、スイッチ回路SW3がオンすると、出力部11はステート1の状態(
図7参照)となる。一方、スイッチ回路SW3がオフすると、出力部11はステート3の状態(
図9参照)となる。つまり、制御部12は、ステート1とステート3を交互に繰り返すように出力部11を制御する。この動作により、スイッチング電源10は、入力電圧Vinを昇圧して出力電圧Voutを生成する昇圧モードにて動作する。
【0051】
入力電圧Vinがさらに低下して出力電圧Voutと差が大きくなる(Vin≪Vout)と、
図1に示すアンプ61の出力電圧V1がさらに低下し、スロープ電圧Vctのボトム電圧(最低電圧)と一致し、制御信号MPのパルス制御が不可能になる。すると、エラーアンプ31から出力される誤差電圧Verが上昇する。このとき、D−FF回路65は、リセット端子RにLレベルのクロック信号CKxが供給される間、すなわち
図6に示すように、Hレベルのクロック信号CKと等しい期間だけLレベルとなる制御信号MPを出力する。
【0052】
PWM信号生成回路23は、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとに基づいて信号PWMを生成する。誤差電圧Verが上昇することにより、スロープ電圧Vctが誤差電圧Verと等しくなるタイミングが遅くなり、その分、信号PWMのパルス幅が長くなる。
【0053】
そして、信号PWMと制御信号MPとにより、継続的にHレベルとなる駆動信号DR1が生成される。つまり、スイッチ回路SW1は継続的にオンする。一方、信号PWMと制御信号MPとにより、HレベルとLレベルとが交互に繰り返される駆動信号DR3が生成され、スイッチ回路SW3がオンオフされる。スイッチ回路SW3がオンする期間、すなわちHレベルの駆動信号DR3が出力される期間は、誤差電圧Verの上昇にしたがって長くなる。つまり、入力電圧Vinの低下に従ってステート1の期間を長くするように制御される。
【0054】
上記のように動作するスイッチング電源10は、素子のバラツキによる影響を受けにくい。例えば、スロープ電圧Vctを生成するスロープ電圧生成回路43は、コンデンサC3を含む。このコンデンサC3の容量値がばらつくと、スロープ電圧Vctの傾き(上昇率)が変化する。このため、PWM信号生成回路23とステート制御回路24にそれぞれ異なるスロープ電圧生成回路にて生成したスロープ電圧を供給する構成とすると、各スロープ電圧生成回路の構成要素のバラツキが、各ステート1〜3の期間のバラツキを生じさせる。
【0055】
例えば、
図4に示すように、アンプ61の出力電圧V1が誤差電圧Ver及び基準電圧Vr1と等しくなっても、各電圧V1,Verとそれぞれに対応するスロープ電圧とが一致するタイミングにずれが生じる。例えば、電圧V1とスロープ電圧とが一致するタイミングが遅れると、その分、ステート3の期間が短くなり、ステート2の期間が長くなる。すると、HレベルとLレベルとを交互に繰り返す駆動信号DR1が生成され、スイッチ回路SW1がオンオフすることとなる。
【0056】
また、
図5に示す状態において、電圧V1とスロープ電圧とが一致するタイミングが遅れると、その分、ステート3の期間が長くなり、ステート1の期間が短くなる。その結果、十分な昇圧比が生成できなくなり、出力電圧Voutが低下する、つまり所望の出力電圧Voutが得られなくなる。このことは、スイッチング周波数を高くすると、顕著となる。
【0057】
上記の問題に対し、
図1に示すスイッチング電源10は、PWM信号生成回路23とステート制御回路24に共通のスロープ電圧Vctを供給している。そして、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61により、誤差電圧Verを基準電圧Vr1と一致するように、制御信号MPのパルス幅を制御している。誤差電圧Verが基準電圧Vr1と一致するように制御される間、PWM信号生成回路23から出力される信号PWMは、スロープ電圧Vctの傾きに応じて、一定のパルス幅に維持される。そして、信号PWMに対し、電圧V1に応じて生成された制御信号MPが合成(論理和演算、論理積演算)されて駆動信号DR1,DR3が生成される。従って、電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングと、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と一致するタイミングとの差、つまり電圧V1と基準電圧Vr1との差電圧に応じてステート2又はステート1の期間が設定される。このため、ステート1又はステート2の期間が確実に確保されるため、昇圧比又は降圧比を確保することができ、出力電圧Voutの変動を抑えることができる。
【0058】
そして、スイッチング周期を短くする、つまりスイッチング周波数を高くしても、上記の状態は維持される。つまり、コンデンサ等のばらつきに影響されることなく、スイッチング周波数を高周波化することができる。
【0059】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)PWM信号生成回路23は、出力電圧Voutに応じたフィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとに基づいて生成した誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとに基づいて制御信号PWMを生成する。ステート制御回路24は、誤差電圧Verと基準電圧Vr1とに基づいて生成した電圧V1とスロープ電圧Vctとに基づいて制御信号MPを生成する。
【0060】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより高いとき、制御信号PWMと制御信号MPとは同時にHレベルとならない。従って、駆動信号DR3はLレベルに維持され、スイッチ回路SW3はオフに維持される。そして、両制御信号PWM,MPにより生成された駆動信号DR1によりスイッチ回路SW1がオンオフされ、ステート2とステート3が交互に繰り返される。従って、一つのスイッチ回路SW1だけをオンオフ制御するので、スイッチ回路のオンオフ制御による電力損失を削減して、電力効率を向上させることができる。
【0061】
入力電圧Vinが出力電圧Voutより低いとき、制御信号PWM,MPにより生成されたHレベルの駆動信号DR1によりスイッチ回路SW1がオンに維持される。一方、制御信号PWMと制御信号MPが同時にHレベルとなる期間に応じて生成される駆動信号DR3によりスイッチ回路SW3がオンオフされ、ステート1とステート3が交互に繰り返される。従って、一つのスイッチ回路SW3だけをオンオフ制御するので、スイッチ回路のオンオフ制御による電力損失を削減して、電力効率を向上させることができる。
【0062】
入力電圧Vinが出力電圧Voutと等しいとき、制御信号PWM,MPにより、Hレベルの駆動信号DR1とLレベルの駆動信号DR3が生成され、スイッチ回路SW1がオンに維持され、スイッチ回路SW3がオフに維持される。従って、ステート3が維持される。従って、出力部11に含まれるスイッチ回路SW1,SW3をオンオフ制御することなく、ステート3を維持するため、スイッチ回路SW1,SW3のスイッチングによる損失が削減され、電力効率を向上させることができる。
【0063】
(2)PWM信号生成回路23のコンパレータ51は、誤差電圧Verとスロープ電圧Vctとを比較し、その比較結果に応じた信号Spを出力する。ステート制御回路24のコンパレータ63は、アンプ61の出力電圧V1とスロープ電圧Vctとを比較し、その比較結果に応じた信号Smを出力する。そして、第2のフィードバックループに含まれるアンプ61により、誤差電圧Verを基準電圧Vr1と一致するように、制御信号MPのパルス幅を制御している。誤差電圧Verが基準電圧Vr1と一致するように制御される間、PWM信号生成回路23から出力される信号PWMは、スロープ電圧Vctの傾きに応じて、一定のパルス幅に維持される。そして、信号PWMに対し、電圧V1に応じて生成された制御信号MPが合成(論理和演算、論理積演算)されて駆動信号DR1,DR3が生成される。従って、電圧V1とスロープ電圧Vctとが一致するタイミングと、スロープ電圧Vctが誤差電圧Ver(基準電圧Vr1)と一致するタイミングとの差、つまり電圧V1と基準電圧Vr1との差電圧に応じてステート2又はステート1の期間が設定される。このため、ステート1又はステート2の期間が確実に確保されるため、昇圧比又は降圧比を確保することができ、出力電圧Voutの変動を抑えることができる。そして、スイッチング周期を短くする、つまりスイッチング周波数を高くしても、上記の状態は維持される。つまり、コンデンサ等のばらつきに影響されることなく、スイッチング周波数を高周波化することができる。
【0064】
(3)入力電圧Vinの変化に応じて、昇圧モードから降圧モードへ、あるいは降圧モードから昇圧モードへ連続的にかつ自動的に移行させることができる。
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
【0065】
・スイッチング電源の構成を適宜変更してもよい。例えば、
図10に示すスイッチング電源10aは、出力部11aと制御部12aを含む。
出力部11aは、4つのスイッチ回路SW1〜SW4を含む。例えば、第1スイッチ回路SW1及び第4スイッチ回路SW4はPチャネルMOSトランジスタであり、第2スイッチ回路SW2及び第3スイッチ回路SW3はNチャネルMOSトランジスタである。第1スイッチ回路SW1〜第4スイッチ回路SW4のゲート端子には制御部12から第1駆動信号DR1〜第4駆動信号DR4がそれぞれ供給される。
【0066】
第1スイッチ回路SW1のソース端子は第1端子P1に接続されている。第1端子P1には入力電圧Vinが供給される。第1スイッチ回路SW1のドレイン端子は第2トランジスタのドレイン端子に接続されている。第2トランジスタのソース端子はグランドGNDに接続されている。第1スイッチ回路SW1と第2トランジスタとの間のノードはインダクタLの第1端子に接続されている。インダクタLの第2端子は第3スイッチ回路SW3と第4トランジスタとの間のノードに接続されている。第3スイッチ回路SW3のソース端子はグランドGNDに接続されている。第3スイッチ回路SW3のドレイン端子は第4スイッチ回路SW4のドレイン端子に接続されている。第4スイッチ回路SW4のソース端子は第2端子P2に接続されている。第2端子P2はコンデンサC1の第1端子に接続され、コンデンサC1の第2端子はグランドGNDに接続されている。
【0067】
制御部12aは、誤差電圧生成回路21、発振回路22、PWM信号生成回路23、ステート制御回路24、制御信号生成回路25、駆動回路26a、を含む。
駆動回路26aは、制御信号生成回路25の出力信号SR1,SR3に基づいて駆動信号DR1〜DR4を生成する。駆動回路26aは、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2、あるいは第3スイッチ回路SW3と第4スイッチ回路SW4が同時にオンして貫通電流が流れることを防止するものである。つまり、駆動回路26aは、貫通防止回路の機能を有している。
【0068】
制御信号SR1はNAND回路91a及びインバータ回路92aに入力される。NAND回路91aの出力信号はバッファ回路94aに入力され、そのバッファ回路94aから駆動信号DR1が出力される。インバータ回路92aの出力信号はAND回路93aに入力され、そのAND回路93aにはバッファ回路94aの出力信号(駆動信号DR1)が入力される。そして、AND回路93aの出力信号はバッファ回路94b入力され、そのバッファ回路94bから駆動信号DR2が出力される。駆動信号DR2はインバータ回路92bに入力され、そのインバータ回路92bの出力信号がNAND回路91aに入力される。
【0069】
制御信号SR3はAND回路93b及びインバータ回路92cに入力される。AND回路93bの出力信号はバッファ回路94cに入力され、そのバッファ回路94cから駆動信号DR3が出力される。この駆動信号DR3はインバータ回路92dに入力され、そのインバータ回路92dの出力信号がNAND回路91bに入力される。NAND回路91bの出力信号はバッファ回路94dに入力され、そのバッファ回路94dから駆動信号DR4が出力される。この駆動信号DR4はAND回路93bに入力される。
【0070】
バッファ回路94a,94b,94c,94dの動作遅延時間は、スイッチ回路SW1〜SW4の大きいゲート容量を駆動するため、他のAND回路、NAND回路、インバータ回路の動作遅延時間に比して大きい。
【0071】
次に、駆動回路26aによる駆動信号DR1,DR2の生成動作を説明する。
出力信号SR1は、RS−FF回路52の制御信号PWMとステート制御回路24の出力信号MPがともにLレベルとなるときLレベルとなる。駆動信号DR1は、信号SR1の立ち下がりからバッファ回路94aの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR1の立ち上がりからバッファ回路94b,94aの動作遅延時間だけ遅れて立ち下がる。従って、駆動信号DR1のHレベルのパルス幅は信号SR1のLレベルのパルス幅より大きくなる。駆動信号DR2は、駆動信号DR1の立ち上がりからバッファ回路94bの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR1の立ち上がりからバッファ回路94bの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がる。
【0072】
このような動作により、駆動信号DR2は駆動信号DR1の立ち上がりの後に立ち上がり、駆動信号DR1の立ち下がりに先立って立ち下がる。従って、ステート2とステート3でスイッチ回路SW1,SW2がスイッチング制御されるとき、スイッチ回路SW1,SW2が同時にオンすることによる貫通電流の発生が阻止される。
【0073】
次に、駆動回路26aによる駆動信号DR3,DR4の生成動作を示す。
出力信号SR3は、RS−FF回路52の制御信号PWMとステート制御回路24の出力信号MPがともにHレベルとなるときHレベルとなる。駆動信号DR4は、信号SR3の立ち上がりからバッファ回路94dの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR3の立ち下がりからバッファ回路94c,94dの動作遅延時間だけ遅れて立ち下がる。従って、駆動信号DR4のHレベルのパルス幅は信号SR3のHレベルのパルス幅より大きくなる。駆動信号DR3は、駆動信号DR4の立ち上がりからバッファ回路94cの動作遅延時間だけ遅れて立ち上がり、信号SR3の立ち下がりからバッファ回路94cの動作遅延時間だけ遅れて立ち下がる。
【0074】
このような動作により、駆動信号DR3は駆動信号DR4の立ち上がりの後に立ち上がり、駆動信号DR4の立ち下がりに先立って立ち下がる。従って、ステート1とステート3でスイッチ回路SW3,SW4がスイッチング制御されるとき、スイッチ回路SW3,SW4が同時にオンすることによる貫通電流の発生が阻止される。
【0075】
上記のように構成されたスイッチング電源10aは、スイッチ回路SW1〜SW4をスイッチング制御する同期整流動作を行う電源回路であり、電力効率が良い。
第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオンされるとともに、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4がオフされる。この状態をステート1とする(
図7参照)。このステート1では、電流I1が流れ、インダクタLにエネルギーが蓄積される。また、第2スイッチ回路SW2及び第4スイッチ回路SW4がオンされるとともに、第1スイッチ回路SW1及び第3スイッチ回路SW3がオフされる。この状態をステート2とする(
図8参照)。このステート2では、電流I2が流れ、インダクタLに蓄積されたエネルギーが放出される。また、第1スイッチ回路SW1及び第4スイッチ回路SW4がオンされるとともに、第2スイッチ回路SW2及び第3スイッチ回路SW3がオフされる。この状態をステート3とする(
図9参照)。このステート3では、電流I3が流れる。
【0076】
なお、スイッチ回路SW1〜SW4をMOSトランジスタとしたが、バイポーラトランジスタ、Bi−CMOSトランジスタを用いても良い。また、スイッチ回路SW1〜SW4の全てをPチャネルMOSトランジスタとする、又はスイッチ回路SW1〜SW4の全てをNチャネルMOSトランジスタとしてもよい。これらの変更に応じて制御部12(駆動回路26a等)の構成が変更されることは言うまでもない。